JP4838641B2 - 女性用体形補正補助着の製造方法 - Google Patents

女性用体形補正補助着の製造方法 Download PDF

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本発明は、女性用体形補正補助着に関し、特に性同一性障害を持つ人々向けに開発されたものであり、女性の体型をもつ人が男性型体型に矯正することを目的とする。特に乳房を引き締めフラットな男性形体型に矯正し、なおかつ補正用下着を隠して、なで肩や弱体の体形等にも整えるのにも使用する女性用体形補正補助着に関するものである。
女性が装用する補正用下着は、従来ボデー・スーツ、ガードル、ウエスト・ニッパー、ブラジャー等があげられ、それらの用途も多彩であり、各用途の補正下着の種類も多い。これらはもっぱら女性がより女性らしい体型を得るべく補正するものであり、特に腰回りを細く、バストを大きくすることを狙って開発されている。
これに対し、性同一性障害者用の補正下着は、女性の体型を男性に近いものに矯正するという通常の人とは異なる目的を有し、機能、外観や造り、外姿を異にするため、補正下着により自己の体形を目的とする体型まで整え、かつデザイン性に配慮を施すのは困難であった。
従来品として、女性の乳房を締め付けて押さえるまでの商品までは存在していた。しかし、なで肩や弱体のような体形を補う物はなかった。また、外観のデザイン性への配慮が欠けていたことから、従来品を着用していてもそれによって補正されて得られた体形をさらに隠していなければならない状況があった。
特許文献1には、伸縮透湿性生地にて構成される下着本体の、胸部外周に伸縮性の胸部構成片と背面部構成片を周回的に設け、当該構成片にて人体胸部を体心方向に圧迫する女性用体形補正下着が開示されている。
特許文献2には、前身頃部と後ろ身頃部とにより、少なくとも肩線から腹部までの上半身の胴体を包む体型補正用上衣であって、伸縮素材による生地からなり、前記前身頃部は、肩部分における前記後ろ身頃との境界から腹部までの面積を少なくとも等しくする生地を当該面積が重なるようにして2枚以上の一定枚数重ね縫製された体型補正用上衣が開示されている。
特開2005−281944号公報 特許第3739778号公報
通常の女性であれば腰の締まりや乳房のふくらみを強調する形式の補正下着は従来からかなりあり、さらに昨今では、性同一性障害者や男装向けの胸を締め付ける商品も存在している。しかし、性同一性障害者は染色体レベルでは女性であるが、脳機能は男性であるため、生物学的「性」と精神的機能としての「性」が異なり、本来女性である体系を男性型に変換(トランス)する必要がある。このように、目的が特殊であり、本来体形がそれぞれ異なる各個人の要求を全て満足して障害者の身体に適合するように品揃えするには、注文生産する以外にはない。ところが、注文生産するには生産個数が僅少であるため製作コストが高価になるという欠点がある。本発明は上記課題に鑑み、簡単な取扱操作により装用することができ、女性らしい体型となる乳房を引き締め、引き締めている部分以外の外見を補正していないように覆い隠し、なで肩や弱体の体系を補い、従来の商品の単に引き締めるだけでなく、より自然な体形でいられ、なおかつ、生産面でも構造の合理化と材料の選定をし、生産の手間などの面も安定して供給出来る女性用体形補正補助着を提供することにある。
発明は、前身頃と後身頃と左右の袖とを縫合してなる、素材として綿75パーセント、ポリウレタン25%で生地の裏面の織がループして厚みをもつストレッチ裏毛を用いた表地部分を独立して縫製し、人体胸部を体心方向に圧迫すべく左右方向の引っ張り力の大きい素材として、通気性と吸湿性を有する化繊系ガーゼ状布地であって、並行に設けられた複数の横糸に縦糸を横巻廻部にて巻き付け、そのまま下部に移行して隣の横糸に巻き付け、前記横巻廻部を均等に設けて、該横巻廻部の真下に縦結合部がくるようにして煉瓦模様の構造として左右引張力に対しての伸縮性が高く、上下引張力に対して伸縮性が弱いものを用いた裏地部分を前記表地部分とは独立して縫製し、前記表地部分と前記裏地部分とは、裾の丈が同じであって、前記表地部分と前記裏地部分とを結合した後に、襟回りのパイピングを接合させてなる女性用体形補正補助着の製造方法であって、前記表地部分は、前記前身頃と右の袖と肩パットポケットの裁断面を重ねて結合し、前記後見頃と左の袖と肩パットポケットの裁断面を重ねて結合し、左右の袖の肩パットポケットの加工を終了した後に、前記前見頃と後見頃とを中側が表になるように裁断面を重ね、左右の袖まで一度に縫い合わせ、結合させて、前記裏地部分は、裏地部分の前と裏地部分の後とを切断面を重ねて脇の部分を結合し、その後、肩部分を結合し、脇と肩部分の結合後、さらに強度をつけるために脇と肩部分をさらにステッチをかけ、縫合は強度を上げるために3針ミシンにて縫合し、裏地部分の形の出来上がった後に襟ぐりと袖ぐりにロックミシンをかけ、前記独立して縫製した表地部分と裏地部分の形の完成後、いずれも裏返した状態で、表地部分に裏地部分を重ね着させるようにして、重ね合わせ、表地部分の襟に近い部分に裏地部分の襟に近い部分を重ね縫い合わせ、次に、表地部分の裾部分と裏地部分の裾部分との裁断面を重ね、縫い合わせて本体とし、最後に襟回りのパイピングを該本体と接合させ、袖を内側に倒し縫い合わせることを特徴とする女性用体形補正補助着の製造方法である。
請求項1に記載した発明は、簡単な取扱操作により被着者の身長や座高の高低、または肩幅や胸幅の広狭等に応じて胸部に適度な圧縮力を加圧することで女性らしい体型をより男性に近い体型に変換することができ、快適に装用することができるという効果を有する。また、装着により特に贅肉が付き易い例えば下腹、脇腹、腰回り等の贅肉を引き締めることによって体形を確実に整えることもでき、また被着者が運動する場合に窮屈であって機能性を損なうことにより不自由を覚えることなく爽快に下着本体を装用することができ、さらには構造堅牢にして注文製作ではなく量産も可能であり大量生産に適する。請求項2に記載した発明は、アウターと同じ感覚で着用できるという効果がある。請求項3に記載した発明は、凹凸以外の部分での圧量との差で、無駄な凹凸が出てしまい体の美感を損なうことをカバーするという効果を有する。請求項4に記載した発明は、性同一性障害者の身体の特徴として、胸部を気にして隠す癖がありその隠す動作の反面、背部が丸くなり肩先が下がり、身体は女性である性同一性障害者は男性体形の平均より一回り小さいという2つの特徴が男性の体形差に対して逆効果にはたらきやすいことをカバーし、男性の体形と女性の体形との差でより自然に体形を男性体形に近づき、背部の湾曲を無理なく自然な姿勢を効果的に補う場所として、肩峰の位置を上げて、肩に厚みを加えるという効果を有する。請求項5に記載した発明は、着心地のよさをもたらすという効果を有する。請求項6に記載した発明は、量産可能性を引き出す。
以下、本発明の実施形態の具体例を図面で参照して説明する。
図1は、女性用体形補正補助着の表地部分を正面から見た図である。図2は、女性用体形補正補助着の表地部分を背面から見た図である。図3は、女性用体形補正補助着の裏地部分を正面から見た図である。図4は、女性用体型補正補助着の裏地部分を背面から見た図である。図5は、女性用体形補正補助着の肩パット及び肩パットポケットを正面から見た図である。
表地部分は、ストレッチ裏毛という素材を使用している。素材の特性としては、通常のTシャツなどで使用しているのと異なり、生地の裏面の織がループしているため厚みがある。原材料も綿75%・ポリウレタン25%の割合で出来ており、綿とナイロンやポリエステルの合成繊維と比べて非常に肌触りがよい。綿の割合も多いため吸湿性もすぐれている。これによって生地質に不快感を思わず、シルエットも違和感もなく着用することが出来る。
表地部分の縫製手順としては、図1の袖106と図5のポケット503の裁断面を重ねて結合する。同様に図2の袖206の方も結合して、肩パットの入るポケットを構成する。
左右の袖のポケットの加工が終了後、図1の前身頃101と後身頃201を中側が表になるように裁断面を重ね、袖の103と袖203まで一度に縫い合わせ、結合させる。
裏地部分の縫製手順としては、図3の前301と後401の切断面を重ね結合する。その後、図4の404と403の裁断面を重ね結合する。
脇と肩部分が結合後、強度をつけるために脇と肩部分をさらにステッチをかける。縫合は強度を上げるために3針ミシンにて縫合される。
裏地部分の形の出来上がった後に襟ぐりと袖ぐりにロックミシンをかける。
表地部分と裏地部分の結合方法は、次の通りである。
表地部分と裏地部分の形の完成後、いずれも裏返した状態で、表地部分に裏地部分を重ね着させるようにして、重ね合わせる。
表地部分の図1の107部分に裏地部分の図3の303を重ね縫い合わせる。
次に、図1の102と図302の裁断面を重ね、縫い合わせる。
最後に襟回りのパイピングを本体と接合させ、袖を内側に倒し縫い合わせすべての作業が完了する。
前記、女性用体形補正補助着は、被着者が自己の体格に応じて選択できるように大中小の数種のサイズのものが用意される。しかも、裏地部分は通気性と吸湿性とを発揮するような布地で、合成繊維により形成される。素材としてはテトロンなどがあり、通気性を特に重視するため、化繊系ガーゼ状の布地を用いている。この生地の実施例として図7に示すものがある。図7は、本実施形態の女性用体形補正補助着の生地拡大図である。生地は並行に設けられた横糸(図7の701・702・703)があり、これに縦糸を横巻廻部704にて巻き付け、そのまま下部に移行して隣の横糸に巻き付ける。横巻廻部704は均等に設けられ、必ず横巻廻部の真下に縦結合部(図7の705)がくるようになっている。このようにすることで全体が煉瓦模様の構造となることで左右引張り力(図7の706、図7の707)と上下引張力に対して柔軟なる引っ張り強度を保つようにしている。特にこの生地では左右引張力図7の706、707に対しての伸縮性が高く、逆に上下に働く上下引張力に対して伸縮性が弱くなっており、人体への体心への圧縮力が高く、体の運動に伴う下着の上下方向へのズレが小さくなるような構造としてある。既製品としては、パワーネットと呼ばれるものがあり、従来品のガードルなどに用いられている。厚手のパワーネットが本発明の裏地部分の生地として用いることが可能である。ここで、パワーネットとは、ヤング向けのセクシーカジュアルブランドを中心に注目されている素材であって、パワーは力の意味で、ストレッチパワーのある細かいネット状の編物である。特に、重ね着のための透け感素材として、軽く薄手のものがトレンドに乗っている。通常のメッシュニットやチュールレースなどでも、透け感やストレッチ性は得られるが、パワーネットは、ナイロンなどにポリウレタン弾性繊維を交編しているため、伸びた後のキックバック性に優れている。たて編みのラッセル編みの一種で、もともとはファンデーション用途で多く使われてきた。
この伸縮性により起伏運動、旋回運動等の運動が違和感なく行えるとともに、運動量が大きな生地各所が人体の運動に追従して本発明に係る女性用体形補正補助着が伸縮して生地疲労を防ぎ、構造的に強固にするようにしてある。
なお、女性用体型補正補助着は、図示では襟ぐり図3の304が正面略U字形に形成されているが、襟ぐり図3の304の外形状は図示するものに限ることなく、例えばV字形であってもよい。
本発明の実施形態の構成は以上の構成からなり、被着者が衣類本体を装用するには衣類本体に設けられる下方の開口部から潜り込むようにして首を襟ぐり図3の304に通すとともに左右の両肩図3の305・図4の405の肩口の開口から腕を外部に通す。
この際、衣類本体の左右の両肩を形成する1対の肩部構成片図4の405にて肩からの衣類本体のずり落ちを防止する。そして、首を襟ぐり部図3の304・図4の406にしかも左右の両肩9の開口に左右の腕を通した後は、全体が周回状に構成された背面部構成片図4の405と胸部構成片図3の305にて人体胸部が若干圧迫される感覚で装着する。被着者の伸長や座高の高低、肩幅や胸回りの広狭等に対応して衣類本体は伸縮し、体型に応じて適合する形に調整される。
図6は、本実施形態の女性用体形補正補助着が人体に圧縮力を作用する状態を示す断面図である。裏地部分601は図6に示すごとく、全体がタガのようになって圧縮力を人体に作用する。すなわち、体心602方向に圧縮力を加圧し、胸骨603の周辺部にある脂肪層や乳房604を圧縮して人体胸部を円筒状に近いフラットな体型に保持せしめる。人体への圧縮力に応じて裏地部分601の布地重ね枚数は適宜増減することが望ましい。胸部を構成する部分は乳房を隠蔽するための重要な部分であるため、必要に応じて枚数を増加させる。
図8は、本実施形態の女性用体型補正補助着に用いる肩パットの形状を示す図である。前の部分よりも後のほうが広くなっており、図に示す破線部を縫製してある。
また、表地部分は非伸縮布と伸縮布との混合体により形成される実施形態ともすることができる。このようにすることで、圧縮力を必要とする部位とさほど圧縮力を必要としない部位とを分割し、人体への不用な圧縮力の加圧によえる不快感を防止できる。
図示する上記実施形態では、表地部分には長袖のものが示されているが、半袖タイプの実施例も考えられる、この場合、構成生地は圧縮力を発生させるために弾力性が必要とされるが、通気性はさほど必要としない。図9は、半そでタイプの実施例についてそれぞれの構成片を重ねて表示した図である。表地部分902は、前身頃、後身頃、左右の袖とを縫合してなる。表地部分902には、肩パットポケット904が設けられ、肩パット905が挿入される。裏地部分901は、前身頃と後身頃とを縫合してなる。裏地部分901と表地部分902とが、表地部分の前身頃と袖との縫合部分のうち襟に近い部分で縫合される。
注文生産、受注生産などによる生産だけでなく、大量生産も可能である。いくつかの工程にわけて生産ラインを構成することが可能だからである。
女性用体形補正補助着の表地部分を正面から見た図である。 女性用体形補正補助着の表地部分を背面から見た図である。 女性用体形補正補助着の裏地部分を正面から見た図である。 女性用体型補正補助着の裏地部分を背面から見た図である。 女性用体形補正補助着の肩パット及び肩パットポケットを正面から見た図である。 女性用体形補正補助着が人体に圧縮力を作用する状態を示す断面図であるである。 女性用体形補正補助着の生地拡大図である。 女性用体型補正補助着に用いる肩パットの形状を示す図である。 半袖の実施例について、それぞれの構成片を重ねて表示した図である。
符号の説明
101 前身頃
103,106,203,206 袖
201 後身頃
301 裏地部分の前
401 裏地部分の後


503,904 肩パットポケット
601 裏地部分
602 体心
603 胸骨
604 乳房
605 背骨
701,702,703 横糸
704 横巻廻部
705 縦結合部
706,707 横引張り力
8 肩パット
901 裏地部分
902 表地部分
903 袖
904 肩パットポケット
905 肩パット

Claims (3)

  1. 前身頃と後身頃と左右の袖とを縫合してなる、素材として綿75パーセント、ポリウレタン25%で生地の裏面の織がループして厚みをもつストレッチ裏毛を用いた表地部分を独立して縫製し、
    人体胸部を体心方向に圧迫すべく左右方向の引っ張り力の大きい素材として、通気性と吸湿性を有する化繊系ガーゼ状布地であって、並行に設けられた複数の横糸に縦糸を横巻廻部にて巻き付け、そのまま下部に移行して隣の横糸に巻き付け、前記横巻廻部を均等に設けて、該横巻廻部の真下に縦結合部がくるようにして煉瓦模様の構造として左右引張力に対しての伸縮性が高く、上下引張力に対して伸縮性が弱いものを用いた裏地部分を前記表地部分とは独立して縫製し、
    前記表地部分と前記裏地部分とは、裾の丈が同じであって、
    前記表地部分と前記裏地部分とを結合した後に、襟回りのパイピングを接合させてなる女性用体形補正補助着の製造方法であって、
    前記表地部分は、
    前記前身頃と右の袖と肩パットポケットの裁断面を重ねて結合し、
    前記後見頃と左の袖と肩パットポケットの裁断面を重ねて結合し、
    左右の袖の肩パットポケットの加工を終了した後に、前記前見頃と後見頃とを中側が表になるように裁断面を重ね、左右の袖まで一度に縫い合わせ、結合させて、
    前記裏地部分は、
    裏地部分の前と裏地部分の後とを切断面を重ねて脇の部分を結合し、その後、肩部分を結合し、脇と肩部分の結合後、さらに強度をつけるために脇と肩部分をさらにステッチをかけ、縫合は強度を上げるために3針ミシンにて縫合し、裏地部分の形の出来上がった後に襟ぐりと袖ぐりにロックミシンをかけ、
    前記独立して縫製した表地部分と裏地部分の形の完成後、
    いずれも裏返した状態で、表地部分に裏地部分を重ね着させるようにして、重ね合わせ、表地部分の襟に近い部分に裏地部分の襟に近い部分を重ね縫い合わせ、次に、表地部分の裾部分と裏地部分の裾部分との裁断面を重ね、縫い合わせて本体とし、最後に襟回りのパイピングを該本体と接合させ、袖を内側に倒し縫い合わせる
    ことを特徴とする女性用体形補正補助着の製造方法。
  2. 請求項1に記載した女性用体形補正補助着の製造方法であって、肩パットを一体化して構成した女性用体形補正補助着の製造方法
  3. 請求項1に記載した女性用体形補正補助着の製造方法であって、裏地部分の生地として、厚手のパワーネットを用いる女性用体形補正補助着の製造方法
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