JP4835161B2 - 電動機固定子鉄心の検査方法および検査装置 - Google Patents

電動機固定子鉄心の検査方法および検査装置 Download PDF

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Description

本発明は、電動機固定子鉄心の検査方法および検査装置に関し、特に実際に駆動状態下にある電動機の鉄心の異常の有無を、実機で判定しようとするものである。
電動機は、電気エネルギーを有効に機械的回転運動に変換することを目的としており、特に高効率電動機においては、一定入力あたりの出力トルクに優れると共に、出力/入力で定義されるエネルギー変換効率が高いことが要求される。
このため、近年では、従来から広く用いられてきた誘導電動機に加えて、永久磁石式同期電動機(ブラシレスDCモータ)やリラクタンスモータなど多くの方式が用いられてきている。
このような電動機の鉄心としては、種々の構造のものが用いられるが、いずれの形式の電動機においても、固定子が交流励磁される場合には、積層電磁鋼板が用いられることが多い。その目的は、電気的絶縁を施した薄厚の電磁鋼板を積層した鉄心構造とすることにより、交流磁化による渦電流損を低減して磁気損失を低減し、モータ効率を向上させることにある。
しかしながら、電磁鋼板は、積層構造体とするための加工工程や製造工程における意図しない損傷などの種々の原因によって鉄心に入った機械的歪により劣化することがあり、その場合には鉄心の磁気特性が損なわれるために、電動機完成品の性能を十分に発揮させることができない。また、電磁鋼板を打抜き・積層した後に歪取焼鈍を施して上記のような原因による歪を除去して鉄心の磁気特性を回復させることもしばしば行われているが、このような歪取焼鈍により鋼板相互を電気的に絶縁する絶縁コーティングが損なわれ、鋼板同士が電気的に接触するいわゆるスティッキングが発生することにより、渦電流損が異常に増加して電動機特性が劣化する場合があることも指摘されている。
そのため、このような電磁鋼板積層構造からなる鉄心の磁気的劣化を非破壊的に検出して、品質管理に役立てることが求められている。
電動機の検査方法としては、励磁電流巻線の絶縁を検査する試験が存在するが、この方法は、鉄心そのものの磁気的特性を検査するものではない。また、励磁巻線に一定の高電圧を非定常的に通電して電流波形を検出するいわゆるサージテスト法や、鉄心に接触式プローブを接触させ、電気抵抗の測定により導通を検出して絶縁性を検査する導通テスト法などがある。
しかしながら、これらはいずれも、鉄心における磁気的劣化を間接的に検出する方法であり、鉄心の劣化を直接的に検出することは困難である。
例えば、高電圧を非定常的に通電して電流波形を検出する方法においては、鉄心の状態が劣化した場合には通常の電流波形と異なる波形が生じるが、その判定は経験的要素による部分が大きく、機種により判断が分かれる場合も少なくない。
また、接触式プローブを用いた抵抗測定により、スティッキングにより生じた積層間の絶縁劣化を検出する方法においては、正常状態においても生じているわずかな導通と、電動機特性に悪影響を及ぼすような程度の導通とを区別することは通常は困難である。
本発明は、上記したような従来の検査方法における欠点を解消し、非破壊的手段によって、電動機鉄心の磁気特性そのものの劣化を直接検出、判定することができる電動機固定子鉄心の検査方法を、その実施に用いて好適な検査装置と共に提案することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.通電回転状態にある電動機の固定子鉄心の軸方向端面における局所的磁気特性信号を検出して、該鉄心の異常状態を検出する方法であって、作動状態を定常状態とした電動機に対し、その固定子鉄心の軸方向端面の所定位置に検出器を移動し、該検出器により検出した局所的磁気特性信号または該信号から導出した特性値を該鉄心の正常状態を表す一定の基準値と比較することにより、該鉄心の異常箇所を判定する、ことを特徴とする電動機固定子鉄心の検査方法。
2.前記局所的磁気特性信号が、磁束密度に相当する信号であることを特徴とする上記1に記載の検査方法。
3.前記局所的磁気特性信号が、磁界強度に相当する信号であることを特徴とする上記1に記載の検査方法。
4.前記局所的磁気特性信号から導出した特性値が、磁束密度と磁界強度に相当する信号を用いて算出した鉄損値であることを特徴とする上記1に記載の検査方法。
5.通電回転状態にある電動機の固定子鉄心の軸方向端面における局所的磁気特性信号を検出して、該鉄心の異常状態を検出する装置であって、電動機の作動制御装置、電動機固定子鉄心の軸方向端面の所定位置への移動機構、該移動機構上に設置された検出器、該検出器の位置制御装置および該検出器からの信号を処理する信号処理装置からなり、該検出器は、電動機固定子鉄心の軸方向端面の所定位置において、該軸方向端面に対し平行な面内の1方向成分または2方向成分を検出する一対の探針をそなえる検出素子を1組以上有し、また該信号処理装置は、検出器で検出した局所的磁気特性信号または該信号から導出した特性値を固定子鉄心の正常状態を表す一定の基準値と比較することにより、該鉄心の異常箇所を判定する機能を有する、ことを特徴とする電動機固定子鉄心の検査装置。
6.前記局所的磁気特性信号が、磁束密度に相当する信号であることを特徴とする上記5に記載の検査装置。
7.前記局所的磁気特性信号が、磁界強度に相当する信号であることを特徴とする上記5に記載の検査装置。
8.前記局所的磁気特性信号から導出した特性値が、磁束密度と磁界強度に相当する信号を用いて算出した鉄損値であることを特徴とする上記5に記載の検査装置。
本発明によれば、電動機の鉄心の異常状態を、抵抗測定など通常の方法では検出不可能な場合でも、異常箇所、異常原因などを特定して、精度よく検出することができ、電動機製品の検査の上で極めて有益である。
以下、本発明を具体的に説明する。
図1に、本発明に従う電動機固定子鉄心の検査装置の好適例を模式的に示す。図中、番号1は被測定物である電動機、2は電動機1の作動制御装置、3は検出器、4は検出器3の位置制御装置、5は信号処理装置である。
本発明において、被測定物である電動機1の種類は特に制限されることはなく、誘導電動機、ブラシ付直流電動機、ブラシレスDC電動機およびスイッチトリラクタンス電動機など、いかなるタイプの電動機も測定可能である。
ここに、異常状態を検出すべき鉄心の箇所が固定子鉄心の歯部である場合には、このような歯部にも検出器3が装入可能なように、図2に示すように、歯部の端部表面には空隙を設けて巻線を施すなどの工夫が必要となる。このような巻線を施した場合、巻線の長さは通常より長くなるが、必要な電力を供給して同一の駆動条件を確保すれば、測定精度に遜色なく異常状態を検出することが可能である。
電動機の制御装置2は、電動機固定子鉄心の局所的磁気特性信号を測定している期間中、電動機を一定の回転状態で作動させる、すなわち電動機の作動状態を定常状態に制御するために用いる。電動機の制御方式は、電圧波形は正弦波・矩形波など任意でよく、回転数・トルク制御など、実際に行われる制御状態で試験することが可能である。
検出器3は、磁界強度および磁束密度に変換できる信号を実際の駆動条件下で検出し、信号処理装置に送出する機能を有することが必要である。また、固定子鉄心の軸方向端面など、狭い空間にもスムーズに装入可能なように、できるだけ小さい検出素子を使用することが望ましい。
そこで、本発明では、磁界強度を測定するものとしてホール素子を、一方磁束密度を測定するものとして金属製の1対の探針を使用した。ホール素子のサイズは、1mm×0.5mm程度のものが使用可能であるので、これを挟んで設置される探針対の間隔についても1mm程度に設定することができる。勿論、これ以外にも、より小さい磁界検出素子を用いることができる。例えば、微細な巻線を用いて作製した小型のHコイルを用いることもできる。
原理的には、磁界強度や磁束密度は3次元のベクトル量であるが、電動機の固定子鉄心内部では磁束密度はほぼ鋼板面内に流れるため、磁界強度や磁束密度は2次元ベクトル量と考えてよい。従って、検出器の検出素子としては、電動機固定子鉄心の鋼板面内で互いに独立な2方向の成分を測定することが好ましい。このときの独立な2方向とは、固定子鉄心の軸方向(z方向成分とする)に直交する、径方向の成分(r方向成分)と回転子が回転する円周接線方向の成分(θ方向成分)の組合せとする方法や、z方向に直交し、空間に固定されたx向およびそれに直交するy方向の組合せとすることが特に有利である。検出する磁界・磁束密度の方向は、必ずしも直交する2方向の成分である必要はなく、独立な2方向の成分を検出、信号処理した後に再合成することも可能である。また、目的に応じては、独立の2方向を測定する必要は必ずしもなく、磁束が主として流れる1方向のみの測定であってもよい。また、必ずしも固定子鉄心端部の表面全体を走査する必要はなく、必要とする箇所の周辺のみ、あるいは1点のみの測定であってもよい。
図3に、検出器の正面図を示す。図中、番号6が検出器3の先端に設置された検出素子であり、6aは固定子鉄心端部表面の周方向検出用の検出素子、6bは径方向の検出素子である。各検出素子6は、ホール素子7およびこれを挟んで設置された一対の探針8、8’からなっている。ここに、ホール素子7は磁界検出用の素子であって、直接磁界強度を検出し、一方探針対8、8′は磁束検出用の素子であって、接触して探針対間の電位差を検出し、得られた各信号をリード線を介して後述する信号処理装置5に送る仕組みになっている。
また、図4に、径方向検出素子6bの場合について示すように、各探針対の先端は弾性的に保持されており、探針を測定面に対して適当な押圧下で接触させることができるようになっている。

検出器3の位置制御装置4は、電動機固定子鉄心表面の所定位置に検出器3を的確に移送するためのものである。本発明では、動的な状態で信号を検出する必要があるため、各検出位置での検出器の滞留時間はできるだけ短いことが好ましいが、電動機固定子鉄心表面での検出器による信号採取時間は、少なくとも回転子の1回転相当時間以上とする必要がある。
というのは、検出器の信号採取時間を少なくとも回転子の1回転相当時間以上とすることによりはじめて、動的な磁束密度・磁界強度曲線の全体像を描くことが可能となり、ひいては各種磁気特性値の正確な算出が可能となるからである。
検出器3の所定位置への移送は、電動機固定子鉄心の端面に平行な2次元座標位置への移送と、電動機固定子鉄心の端面に垂直な方向への移送とがあるが、まず端面に平行な2次元位置に自動的に移送し、ついで端面に垂直な方向に移動させて測定面に接近・接触させることが、測定を行う上でも、また測定の自動化を図る上でもより有利である。また、測定面に接触後の探針の押し付け圧力を制御する機能を付与することは、2本の金属探針の電位差の検出精度を高める上でより有利である。さらに、必ずしも電動機鉄心の端面すべての位置を検出する必要はなく、予め必要とする測定範囲や位置を設定して自動測定する方法も、測定能率を高める上で有利な方法である。
上記のようにして測定した信号は、リード線を介して信号処理装置5に送られる。この信号処理装置5は、検出器3で検出した信号から、磁界強度と磁束密度の時間波形を算出する機能、およびこれらの磁界強度・磁束密度の時間波形を、正常状態を表す一定の基準波形と比較して鉄心の異常状態を判定する機能、あるいはこれらの磁界強度・磁束密度の時間波形から最大磁束密度(2次元測定の場合、最大磁束密度ベクトル)、最大磁界強度(2次元測定の場合、最大磁界強度ベクトル)、抗磁力(保磁力)、透磁率および鉄損など、各種の局所磁気特性を算出し、正常状態を表す一定の基準値と比較して鉄心の異常状態を判定する機能を備える。
ここに、信号処理としては、検出器からの信号をアナログ/ディジタル変換して時系列の数値とし、これら時系列数値のディジタル処理により各種の磁気特性を動的に算出する方法が、処理の迅速性と正確さから推奨される。また、磁界強度と磁束密度の時間変化をデータとして磁界強度・磁束密度の波形を求める方法としては、電動機の制御系における各所の信号から適切なものを選んで同期させ、1周期の時間を定めて波形データの組を選ぶ方法も勿論可能であるが、単に時系列データの繰り返し周期から1周期を定めて求める方法も可能である。
局所的磁気特性信号としては、上記の磁束密度または磁界強度に相当する信号を用いることができる。これらの信号を正常状態を表す一定の基準値と比較するためには、コンパレータや差動トランスなどを用いて基準信号との差分をアナログ回路上で検出・増幅し、差分が基準値より大きいことをもって鉄心の異常状態判定信号を発生させることも可能であるが、検出器からの信号をアナログ/ディジタル変換して時系列の数値データとして後、CPU上で平均化処理を行い、正常状態を表す一定の基準値との比較により鉄心の異常状態判定信号を発生させる方法が、正確性、再現性、機種に応じた柔軟性等を得やすいので推奨される。
また、鉄損値を用いる場合には、電力計等を用いて鉄損を計測した後、基準値と比較する方法も可能であるが、同様の理由により、検出器からの信号をアナログ/ディジタル変換して時系列の数値データとした後、CPU上でディジタル処理する方法が簡便である。
正常な誘導電動機固定子鉄心の歯部とバックヨーク接合部近辺における半径方向の局所的磁気特性(磁束密度、磁界強度)波形を、上記の方法により測定した例を図5(磁束密度波形),図6(磁界強度波形)に示す。
また、図7には、その時のヒステリシスループを示す。
測定条件は次の通りである。
・駆動電圧:100 V(正弦波)
・駆動周波数:60 Hz
・測定装置:歯部/バックヨーク接合部付近
・測定方向:半径(r)方向
・負荷:無負荷
図5,6から明らかなように、正常な電動機の場合には、探針対およびホール素子で検出した信号から、磁束密度および磁界強度についてきれいな波形の周期曲線を得ることができ、ひいては図7に示したような形状のヒステリシスループを得ることができた。
次に、積層鋼板間にスティッキングを生じて部分的に固着した誘導電動機固定子鉄心、およびこの鉄心に機械的振動を加え、スティッキングを除去した後の鉄心における局所的磁気特性(磁束密度、磁界強度)波形を上記の方法により測定した例を、前後比較して図8(磁束密度波形),図9(磁界強度波形)に示す。
さらに、図10には、その時のヒステリシスループを示す。
測定位置はヨーク部分の幅中央部であり、それ以外の測定条件は上記と同様である。
この固定子鉄心では、スティッキング除去処理前後に全く同一の測定条件で測定したにもかかわらず、測定波形に大きな違いが生じていることが明らかである。まず、磁束密度波形の絶対値が増加し、最大値は数倍もの値になっている。また、磁界強度は正常時の数倍の値になると同時に、高調波の重畳により、波形が著しく歪んでいることが分かる。さらに、ヒステリシスループの面積が著しく増大していることから、スティッキング発生時には鉄損値も見かけ上大きく増大することが分かる。
次に、図11に示す誘導電動機固定子鉄心のバックヨークから歯部先端に至る各測定点において、積層鋼板間にスティッキングを生じて部分的に固着した状態と、この鉄心に機械的振動を加え、スティッキングを除去した状態における局所的磁束密度一磁界強度ヒステリシスループを求めた結果を比較して、図12および図13に示す。
スティッキングが発生していると考えられるバックヨーク部(点:a〜d)では、正常状態に比べて磁束密度(B)の値が異常に増大し、最大約7.5Tの値を示すと同時に、磁界強度(H)の値も増大傾向を示している。また、ヒステリシスループの面積が顕著に増大し、この面積に比例する鉄損値が異常に増加していることが分かる。さらに、磁束密度および磁界強度双方の波形とも、高調波の影響により異常な形態を示していることが分かる。
上記の現象は、鋼板絶縁層間の融着によって、探針測定において磁束測定に係る鎖交断面積が増加し、そのため見かけ上磁束密度が増加すると共に、電流路面積が増した結果、渦電流が顕著に増加し、その影響により磁界強度が増加したこと、さらに両者の結果により鉄損値が見かけ上顕著に増加したことに由来すると考えられる。
なお、上記いずれの場合においても積層鋼板間には電気的導通があり、抵抗測定によっては異常と正常の区別は不可能であった。
上記のようなスティッキングが発生した場合、磁束密度、磁界強度および鉄損値のいずれについても顕著に増加するため、正常値が既に判明している場合には、正常状態を表す一定の基準値としては正常値を基準に決めることができる。この例では、正常状態においては、バックヨーク付近(測定箇所:a〜d)における最大磁束密度は1.1Tであるので、バックヨーク付近における磁束密度相当信号値の異常判定基準としては、例えば1.2Tと定めればよい。また、バックヨーク付近(測定箇所:a〜d)における最大磁界強度は500A/mであるので、バックヨーク付近における磁界強度相当信号値の異常判定基準としては、例えば550A/mと決めればよい。なお、これらの基準値は、設計磁束密度や設計磁界強度を基準に設定することも可能である。
以上、鉄心焼鈍時のスティッキングによる鉄心の異常状態について述べたが、これ以外にも機械的、熱的ダメージによる鉄心の不良状態など種々の場合における鉄心異常の判定に対しても、上述の方法を適用することができる。通常、機械的、熱的衝撃などによる鉄心の異常時には磁束密度が減少し、一定磁束密度に達する磁界強度は増加し、鉄損値は増加する傾向となる。一定値以下の磁束密度を異常とする場合には、その基準値としては、例えば測定点における磁束密度の正常値の90%の値と採用し、測定値がそれ以下の場合を異常と判断してもよい。また、基準値を低位基準値と高位基準値の2点設定し、それらの中間にある場合を正常とし、中間にない場合を異常と判断してもよい。
なお、測定点に関しては、固定子鉄心端面の全面あるいは数分割したの面状の範囲を測定評価してもよいが、スティッキングの場合には通常ヨーク部が主たる異常部となるため、必要に応じて1点ないし数点の測定点を設ければよい。他の異常の場合についても同様に設定すればよい。
実施例1
図1に示した検査装置を用いて、積層鋼板間にスティッキングを生じて部分的に固着した誘導電動機固定子鉄心、およびこの鉄心に機械的振動を加えてスティッキングを除去した後の鉄心における局所的磁気特性を測定した。巻線には、磁気測定プローブ装入用の20mmの空隙を測定端面部上に設けた。また、局所的磁束密度測定には半径方向磁束密度検出用探針を用い、また局所的滋界強度測定には半径方向磁界強度測定用小型ホール素子を用いた。局所的鉄損は半径方向成分のみを導出した。
なお、いずれの検出においても、局所的磁気測定プローブによる電圧信号をプリアンプにて増幅後、アナログ/ディジタル変換し、パーソナルコンピュータにより数値的に磁束密度および磁界強度に変換した後、励磁電流に同期させた波形を採取し、各測定点につき100回の平均化処理を行った。
図14,15に、半径方向の磁束密度最大値:Bm//r、磁界強度最大値:Hm//rの分布状況を、また16,17には、局所的鉄損値の半径方向成分:W//rおよび全鉄損値W:W//r+W//θの分布状況をそれぞれ、スティッキング除去前後で比較して示す。
図14は、探針法によって測定した最大磁束密度を、鉄心表面の測定箇所を示すアドレスごとに示した図である。アドレスは図11に示したように、鉄心端面表面を角度によって24に分割し、それぞれごとに半径方向にヨークの最外周位置から歯部の先端付近まで、9箇所の位置に対応して設けた。図中、A01〜B01は24分割したステータ内回転角アドレスであり、各ステータ内回転角アドレスでバックヨーク外周部から歯部先端部まで、歯部のある回転角アドレスでは9点、バックヨーク部相当部分では3点の半径方向アドレス(図には記載せず)を設けた。例えば、A01では、左から3点が「ヨーク部」(図11でa〜c相当)、右の4点 が「歯部」(図11でf〜i相当)、中間は接合部分(図11でd,e相当)を示す。測定は、鉄心焼鈍後にスティッキングが生じた状態で1回、機械的振動によりスティッキングを完全に除去した状態で1回測定を行った後、さらに機械的振動を加えて2回目の測定を行い、変化のないことを確認した。
図14から明らかなように、スティッキング状態においては、ヨーク部においては磁束密度値が8T付近の値を示しており、明らかに正常な状態の磁束密度とは異なる値を示している。一方、スティッキング除去後の正常状態では磁束密度は1Tから2T弱の正常な値を示している。歯部では一部両者の測定値の間に差が見られるが、数値上では大きな変化はない。この場合、スティッキングは主としてヨーク部のみに起こっていたため、ヨーク部での測定値を鉄心の正常/異常状態判定の基準に用いることができる。通例、2T以上の磁束密度は発生することはないので、ここでは2Tをヨーク部におけるスティッキング異常の判定基準値とした。ヨーク部での測定値は、この基準によればすべて異常と見なすことができる。
図15は、小型ホール素子によって測定した最大磁界強度を、鉄心表面の測定箇所を示すアドレスごとにプロットした図である。アドレスの定義は局所磁束密度と同等である。磁束密度と同様に、ヨーク部における磁界強度は、スティッキング状態ではどの測定点においても正常状態に比べて数値が大きく、異常値と判定することができる。この局所磁界強度を用いた場合、ヨーク部における磁界強度1000A/mを基準値として正常/異常の判定が可能である。
同様に、図16および図17は、局所的磁束密度および局所的磁界強度信号から求めた局所的鉄損の半径方向成分W//rおよび全鉄損W:W//r+W//θの分布を示す。
W//rおよびWともに、50W/kgを基準値として、それより数値が大きい場合を異常、小さい場合を正常とすることにより、正常/異常の判定が可能である。
使用した誘導電動機の交流100V、50Hzにおける効率は、スティッキングが発生していた状態においては82.3%であったのに対し、スティッキング除去後の状態においては83.9%であり、この差が上記の正常/異常基準により判定可能であることがわかる。
実施例2
図1に示した検査装置を用いて、積層鋼板間にスティッキングを生じて部分的に固着した永久磁石式同期電動機固定子鉄心、およびこの鉄心に機械的振動を加え、スティッキングを除去した後の鉄心、および機械的応力により種々の程度に部分的に歪みが生じた同設計の鉄心における局所的磁気特性を測定した。巻線には、測定端面部上のプローブ装入用の空隙は特に設けていない。局所的磁気測定箇所は、ティース/バックヨーク接合部の1カ所のみとした。局所的磁束密度測定には半径方向磁束密度検出用探針を用い、また局所的磁界強度測定には半径方向磁界強度測定用小型ホール素子を用いた。
いずれの検出においても、磁気測定プローブによる電圧信号をプリアンプにて増幅後、アナログ/ディジタル変換し、パーソナルコンピュータにより数値的に磁束密度および磁界強度に変換した後、励磁電流に同期させた波形を採取し、各測定点につき200回の平均化処理を行った。
表1に、局所的磁気測定による磁束密度最大値、磁界強度最大値、局所的磁気測定による正常/異常判定結果、電動機の効率および電動機効率による正常/異常判定結果をそれぞれ示す 。
なお、判定基準は、磁束密度最大値:1.08〜1.15T、磁界強度最大値:2820〜2920A/mの範囲内であれば正常とした。
Figure 0004835161
同表に示したとおり、電動機効率による判定は、局所的磁気特性による判定と一致しており、上記の方法による検査法が有効であることがわかる。
本発明に従う電動機固定子鉄心の検査装置の好適例の模式図である。 電動機固定子鉄心の歯部に、検出器を装入できる空間を設けて電気巻線を巻き付けた状態を示す図である。 検出器の正面図である。 半径方向検出素子の詳細図である。 (a)は探針で検出した波形、(b)はこの波形信号を磁束密度に変換した後の磁束密度波形を示した図である。 (a)はホール素子で検出した波形、(b)はこの波形信号を磁界強度に変換した後の磁界強度波形を示した図である。 上記の磁束密度波形および磁界強度波形から求めたヒステリシスループである。 スティッキング発生時および正常時の磁束密度波形を示した図である。 スティッキング発生時および正常時の磁界強度波形を示した図である。 スティッキング発生時および正常時の磁束密度波形および磁界強度波形から求めたヒステリシスループを示した図である。 誘導電動機固定子鉄心端面の1/4部分における局所的磁気特性測定点を示した図である。 スティッキング発生時の磁束密度波形および磁界強度波形から求めたヒステリシスループの半径方向位置による変化を示した図である。 正常時の磁束密度波形および磁界強度波形から求めたヒステリシスループの半径方向位置による変化を示した図である。 スティッキング発生時および正常時の磁束密度最大値の位置による変化において、正常状態と異常状態を判定する基準を示した図である。 スティッキング発生時および正常時の磁界強度最大値の位置による変化において、正常状態と異常状態を判定する基準を示した図である。 スティッキング発生時および正常時の鉄損(半径方向成分)の位置による変化において、正常状態と異常状態を判定する基準を示した図である。 スティッキング発生時および正常時の鉄損(全鉄損)の位置による変化において、正常状態と異常状態を判定する基準を示した図である。
符号の説明
1 電動機
2 電動機の作動制御装置
3 検出器
4 検出器の位置制御装置
5 信号処理装置
6 検出素子
7 ホール素子
8 探針
8′探針

Claims (8)

  1. 通電回転状態にある電動機の固定子鉄心の軸方向端面における局所的磁気特性信号を検出して、該鉄心の異常状態を検出する方法であって、作動状態を定常状態とした電動機に対し、その固定子鉄心の軸方向端面の所定位置に検出器を移動し、該検出器により検出した局所的磁気特性信号または該信号から導出した特性値を該鉄心の正常状態を表す一定の基準値と比較することにより、該鉄心の異常箇所を判定する、ことを特徴とする電動機固定子鉄心の検査方法。
  2. 前記局所的磁気特性信号が、磁束密度に相当する信号であることを特徴とする請求項1に記載の検査方法。
  3. 前記局所的磁気特性信号が、磁界強度に相当する信号であることを特徴とする請求項1に記載の検査方法。
  4. 前記局所的磁気特性信号から導出した特性値が、磁束密度と磁界強度に相当する信号を用いて算出した鉄損値であることを特徴とする請求項1に記載の検査方法。
  5. 通電回転状態にある電動機の固定子鉄心の軸方向端面における局所的磁気特性信号を検出して、該鉄心の異常状態を検出する装置であって、電動機の作動制御装置、電動機固定子鉄心の軸方向端面の所定位置への移動機構、該移動機構上に設置された検出器、該検出器の位置制御装置および該検出器からの信号を処理する信号処理装置からなり、該検出器は、電動機固定子鉄心の軸方向端面の所定位置において、該軸方向端面に対し平行な面内の1方向成分または2方向成分を検出する一対の探針をそなえる検出素子を1組以上有し、また該信号処理装置は、検出器で検出した局所的磁気特性信号または該信号から導出した特性値を固定子鉄心の正常状態を表す一定の基準値と比較することにより、該鉄心の異常箇所を判定する機能を有する、ことを特徴とする電動機固定子鉄心の検査装置。
  6. 前記局所的磁気特性信号が、磁束密度に相当する信号であることを特徴とする請求項5に記載の検査装置。
  7. 前記局所的磁気特性信号が、磁界強度に相当する信号であることを特徴とする請求項5に記載の検査装置。
  8. 前記局所的磁気特性信号から導出した特性値が、磁束密度と磁界強度に相当する信号を用いて算出した鉄損値であることを特徴とする請求項5に記載の検査装置。
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