JP4829112B2 - 特異的抗体を用いる小型肝細胞の分離法 - Google Patents
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Description
肝臓および肝細胞は体内における化学工場と言われるほど多様な機能を持っている。例えば、血清タンパク質の90%以上は肝細胞が産生しており、体内に取り込まれたり産生された有害物質を代謝する解毒機能を有している。そのため、肝細胞を培養し、その持っている機能を使って有害物質の検出(バイオセンサー)、ヒトに必要な物質の体外生産を可能にしようと様々な研究機関で研究がなされている。それらの研究に用いる肝細胞を供給するためには、現在のところ分化した肝細胞機能を保持している細胞株は存在していないため、実験毎に成熟肝細胞を単離しなければならない。このような場合には、得られる細胞数は個々の個体の肝細胞数に依存する。なぜなら、肝細胞の機能を維持したまま、成熟細胞を増殖させる方法が十分に確立しているわけではないからである。従って、成熟肝細胞機能の多くを有する細胞の恒常的な大量供給が望まれている。ヒトを含めて動物の肝細胞を冷凍し、長期保存し、再び使用する方法の開発は非常に重要な課題であって、世界中でなされているが、これまでに冷凍保存後、解凍した肝細胞が培養皿上に生着し、肝細胞としての機能の70〜80%程度を短期間保持できることが報告されているのみである。しかも、これらの報告においては、解凍された肝細胞はほとんど増殖能を有せず、短期間に死滅している。
その他、小型肝細胞および増殖能を有する肝実質細胞に関する報告もいくつかなされている(特許第3211941号、特開2002-078481、特開平09-313172、特開平08-112092)。また、特開2002-045087にはヒトを含む異種動物由来の肝細胞からなる肝臓を有するキメラ動物と、このキメラ動物を用いた試験方法が報告されている。
さらに、本発明者らは、そのような小型肝細胞に富む画分を肝臓から得る方法を報告しており(WO 01/92481)、肝細胞の機能および増殖能を保持し得る、小型肝細胞の凍結保存方法、および、そのような方法に適した小型肝細胞の調製方法を報告してきた(WO 01/92481)。さらに、本発明者らは移植可能な肝組織を調製するために適した小型肝細胞コロニー、その調製方法、その小型肝細胞コロニーから肝組織を誘導する方法を報告し(WO 02/088332)、薬物の作用、特に正常な肝機能と関連した作用をin vitroで推定する方法も報告してきた(WO 02/088332)。しかしながら、ヒトを含む動物由来の増殖性肝細胞(小型肝細胞)に特異的なマーカータンパク質は必ずしも明らかにされておらず、そのため効率のよい分離方法にはなお改善の余地が残されていた。
本発明の目的はヒトを含む哺乳動物由来増殖性肝細胞(小型肝細胞)の効率的な分離方法を提供することである。
1)本発明により、下記の工程を含む、小型肝細胞を分離する方法が提供される:
i)哺乳動物の肝臓由来の細胞を含む細胞懸濁物と、CD44に対する抗体(抗CD44抗体)、D6.1Aに対する抗体(抗D6.1A抗体)およびBRI3に対する抗体(抗BRI3抗体)からなる群より選ばれる1以上の抗体とを接触させ、前記細胞懸濁物中に含まれる小型肝細胞と前記1以上の抗体との免疫複合体を形成させる工程;
ii)小型肝細胞を含む前記免疫複合体を回収する工程。
より具体的には、本発明は、上記方法において、抗CD44抗体、抗D6.1A抗体および抗BRI3抗体からなる群より選ばれる1以上の抗体がビオチンで標識されており、小型肝細胞を含む免疫複合体を回収する工程が、アビジンに結合した担体および/または蛍光色素で標識したアビジンと前記免疫複合体とを接触させることを含む、小型肝細胞を分離する方法でもある。
iii)前記免疫複合体中から小型肝細胞を解離させる工程;および
iv)前記解離させた小型肝細胞を回収する工程。
更に、
i)哺乳動物の肝臓由来の細胞を含む細胞懸濁物と、抗CD44抗体、抗D6.1A抗体および抗BRI3抗体からなる群より選ばれる1以上の抗体とを接触させ、前記細胞懸濁物中の小型肝細胞と前記1以上の抗体との第1の免疫複合体を形成させる工程;
ii)i)で使用した抗CD44抗体、抗D6.1A抗体および抗BRI3抗体からなる群より選ばれる1以上の抗体の少なくとも1つに結合する抗体の1以上と前記第1の免疫複合体とを接触させ、第2の免疫複合体を形成させる工程、
iii)小型肝細胞を含む前記第2の免疫複合体を回収する工程。
場合により、更に下記の工程を含んでも良い:
iv)前記第2の免疫複合体から小型肝細胞を解離させる工程;および
v)前記解離させた小型肝細胞を回収する工程。
i)抗CD44抗体、抗D6.1A抗体および抗BRI3抗体からなる群より選ばれる1以上の抗体と前記抗体の少なくとも一つに結合する抗体の1以上とを接触させ、第1の免疫複合体を形成させる工程;
ii)前記第1の免疫複合体と哺乳動物の肝臓由来の細胞を含む細胞懸濁物とを接触させ、第2の免疫複合体を形成させる工程;
iii)小型肝細胞を含む前記第2の免疫複合体を回収する工程。
場合により、更に下記の工程を含んでも良い:
iv)前記第2の免疫複合体から小型肝細胞を解離させる工程;および
v)前記解離させた小型肝細胞を回収する工程。
i)哺乳動物の肝臓由来の細胞を含む細胞懸濁物と、抗CD44抗体、抗D6.1A抗体および抗BRI3抗体からなる群より選ばれる1以上の抗体であって担体に結合した前記抗体とを接触させ、前記細胞懸濁物中に含まれる小型肝細胞と前記1以上の抗体との免疫複合体を形成させる工程;
ii)小型肝細胞を含む前記免疫複合体を回収する工程。
場合により、下記の工程を更に含んでも良い:
iii)前記免疫複合体から小型肝細胞を解離させる工程;および
iv)前記解離させた小型肝細胞を回収する工程。
i)哺乳動物の肝臓由来の細胞を含む細胞懸濁物と、抗CD44抗体、抗D6.1A抗体および抗BRI3抗体からなる群より選ばれる1以上の抗体とを接触させ、前記細胞懸濁物中の小型肝細胞と前記1以上の抗体との第1の免疫複合体を形成させる工程;
ii)i)で使用した抗CD44抗体、抗D6.1A抗体および抗BRI3抗体の少なくとも1つに結合する、担体に結合した抗体の1以上と前記第1の免疫複合体とを接触させ、第2の免疫複合体を形成させる工程;
iii)小型肝細胞を含む前記第2の免疫複合体を回収する工程。
場合により、更に下記の工程を含んでも良い:
iv)前記第2の免疫複合体から小型肝細胞を解離させる工程;および
v)前記解離させた小型肝細胞を回収する工程。
i)抗CD44抗体、抗D6.1A抗体および抗BRI3抗体からなる群より選ばれる1以上の抗体と、前記抗体の少なくとも一つに結合する、担体に結合した抗体の1以上とを接触させ、第1の免疫複合体を形成させる工程;
ii)前記第1の免疫複合体と哺乳動物の肝臓由来の細胞を含む細胞懸濁物とを接触させ、第2の免疫複合体を形成させる工程;
iii)小型肝細胞を含む前記第2の免疫複合体を回収する工程。
場合により、下記の工程を更に含んでも良い:
iv)前記第2の免疫複合体から小型肝細胞を解離させる工程;および
v)前記解離させた小型肝細胞を回収する工程。
また、細胞懸濁物が、ガラクトサミン等を投与した哺乳動物の肝臓に由来する、上記各方法も提供される。
本発明は小型肝細胞の効率的な分離方法である。本明細書において、「小型肝細胞」とは、単に肝臓に由来する小型の細胞を意味するものではなく、以下に記載する方法、あるいはこれに準じた方法を用いて肝臓から単離される細胞であって、強い増殖能を有し、アルブミン、トランスフェリン、サイトケラチン(CK) 8、CK18などのマーカーについて成熟肝細胞とほぼ同様の表現型を示し、超微構造的にも肝細胞としての特徴を有する、肝臓由来の特別な種類の小型の細胞を意味する。この細胞は発明者らによって見出されたものであり、より詳しくはMitaka T. ら、Hepatology, 16, 440-447,(1992)、Mitaka, T, Sato F, Mizuguchi Tら、Hepatology, 29, 111-135 (1999)に記載されている。
実質細胞の除去は、以下のように低速遠心によって行なうことができる。低速遠心とは、実質細胞および不要な組織破砕物等を多く含む画分と、非実質細胞を多く含む軽画分とを分離するために十分な条件をいい、好ましくは、実質細胞および不要な組織破砕物等を主として含む画分と、小型肝細胞および非実質細胞を多く含み実質細胞をほとんど含まない軽画分とを分離するために十分な条件をいう。このような条件で上述したような方法で得られる肝臓由来の細胞を分画すると、小型肝細胞は前述の軽画分により多く得られる。より具体的には、例えば、この細胞懸濁液を低速遠心、例えば50xgで1分間遠心することにより、主として実質細胞を含む重い画分と、星細胞、クッパー細胞、類洞内皮細胞等の非実質細胞を主として含む比較的軽い細胞を含む軽い上清画分とに分画することができる。小型肝細胞はこの遠心条件下で上清画分に多く得られる。
このようにして調製した、小型肝細胞を多く含む画分から本発明の方法によって、効率的に小型肝細胞を分離することができる。また、上述のように調製した小型肝細胞を多く含む画分を一定期間培養して(前培養)小型肝細胞を増殖させてから、本発明の方法によって、小型肝細胞を効率的に分離することもできる。前培養は、好ましくはヒアルロン酸付着担体および/またはヒアルロン酸を主成分とする担体の共存下で行う。
ガラクトサミンによるそのような障害を与えない場合は、3日〜18日間、好ましくは3日〜5日間前培養することが好ましい。また、ヒアルロン酸付着担体、例えばヒアルロン酸付着培養皿、ヒアルロン酸付着多孔質、ヒアルロン酸からなるまたはヒアルロン酸を主成分とする担体、例えば多孔質等の共存下で培養する場合、これよりも少し長期間、例えば3日間〜21日間前培養してもよい。ヒアルロン酸共存下で培養する場合は、小型肝細胞が選択的に増殖するので、ヒアルロン酸共存下で小型肝細胞を含むと考えられる細胞集団を培養した後、本発明の方法を適用することにより更に効率的に小型肝細胞を分離することができる。
なお、ヒアルロン酸は一般に分子量約100万を境に低分子量ヒアルロン酸と高分子量ヒアルロン酸に分類されるが、ヒアルロン酸共存下で前培養を行う場合は高分子量ヒアルロン酸を使用することが好ましい。
また、初代培養においてはDMSOは培養開始4日目から好ましくは約0.1〜約2%(v/v)、より好ましくは約0.5%〜約1.5%(v/v)の濃度で添加する。更に、前述したように、前培養はヒアルロン酸共存下、例えばヒアルロン酸付着担体、ヒアルロン酸からなる担体、またはヒアルロン酸を主成分とする担体共存下で行っても良い。
特に、FACSを用いたソーティングを行う場合は、上記3種類の抗体をそれぞれ別の色素でラベルすることにより、CD44、D6.1AおよびBRI3の1、2または全てを発現した細胞を個別に分離することができる。さらに、FACSを用いる場合、3種類の抗体のうち、1種の抗体についてのみビオチン化抗体と蛍光色素標識ビオチンの組み合せを用いることもできる。
本発明によって分離された小型肝細胞を更に、凍結保存用または薬物機能の推定用に培養する場合の培養容器としては、ヒアルロン酸付着培養皿を用いることもできるが、通常の細胞培養に使用される培養皿を使用することもできる。一般には接着細胞の培養はコラーゲン被覆をした培養皿が使用され、例えば、ウシ真皮、ラットの尾部由来のコラーゲンを被覆した種々の大きさの培養皿が商業的に入手可能であり、また必要であればそのような培養皿を調製することもできる。肝組織形成に適した小型肝細胞コロニーを調製するためにはコラーゲンを被覆しない培養皿を使用することが好ましい。なぜならば、細胞外基質が少ないほどより温和な条件で細胞が剥がれやすく、かつ、コラーゲン等で被覆しない場合には、小型肝細胞が優先的に容器から剥離する傾向があるからである。培養には、通常の5%炭酸ガスインキュベーターを使用することができる。炭酸ガス濃度および培養温度は、通常の培養細胞に許容される範囲であれば本質的ではない。
実施例1.小型肝細胞を豊富に含む細胞分画の調製
成熟ラット(8〜10週齢)にD-ガラクトサミン(アクロス)を75mg/200μl PBS/100g体重、の濃度で腹腔内注射をした。注射後4日目にSeglenの方法に準じて、細胞を肝臓より分離した。0.2 mM EGTAを加えたカルシウム、マグネシウムを含まないハンクス液で門脈から灌流した。40ml/分の流速で約4分流したあと、0.02%コラゲナーゼ(ヤクルト)を含むハンクス液を20ml/分の流速で10分間流した。消化された肝臓から定法に従って肝細胞をビーカー内に振るい落とした。細胞縣濁液を250および70マイクロメーターの穴のあいたフィルターでろ過し、50 x gで1分間遠心した。上清を集め、再び50 x gで1分間遠心を2回くり返した。その上清を集め、50 x gで5分間遠心した。沈殿した細胞を培養液(Leivobitz L-15+10% ウシ胎仔血清 + 10-7 M デキサメタゾン+0.5mg/l インスリン + 抗生物質)で洗い、再び50 x gで5分間遠心する。同様の操作を繰り返した後、今度は150 x gで5分間遠心した。同様の操作を繰り返した後、再び50 x gで5分間遠心する。沈殿した細胞を新しい培養液で縣濁したあと、生細胞数を数え、1x104〜5x105cells/mlに調製した。
成熟肝細胞および実施例1で調製した細胞のCD44、D6.1A、およびBRI3の発現パターンを調べた。
1)CD44、D6.1A、およびBRI3の発現パターンの経時的変化
調製直後の小型型肝細胞、培養開始後の小型肝細胞からtotal RNAを調製し、RT-PCR法によりCD44の発現を調べた。GPDH(グリセロール3-リン酸脱水素酵素)を陽性対照として使用した。小型肝細胞の培養には以下の培地を使用した。
CD44用プライマー
5'-cccgaattcatggacaaggtttggtggca-3' (配列番号1)
5'-cccgaattcctacaccccaatcttcatat-3' (配列番号2)
5'-cccgaattcatggcaggtgtcagtggctg-3' (配列番号3)
5'-cccgaattctcatttgcttccaatttggc-3' (配列番号4)
5'-cccgaattcatggtgaagatcagtttcca-3' (配列番号5)
5'-cccgaattctcacaccaccccacagatga-3' (配列番号6)
5'-accacagtccatgccatcac-3' (配列番号7)
5'-tccaccaccctgttgctgta-3' (配列番号8)
PCRの条件は以下の通りである:95℃、15秒、60℃、30秒、68℃、1分、サイクル数=25
WO 01/92481に記載した方法に従って凍結保存しておいた細胞(約1.0〜1.5x105細胞)を常法に従って溶解し、2週間培養した細胞から1)と同様な手順によりtotal RNAを抽出した。成熟肝細胞からのRNA抽出は、灌流直後の細胞から同様な方法で抽出した。
得られたtotal RNA 10ngを用いて、1)と同様にしてRT-PCRを用いてCD44、D6.1A、およびBRI3の相対発現量を調べた。ただし、PCRのサイクル数を35とした。PCR産物を電気泳動し、得られた各バンドをデンシトメータで読み取り、CD44、D6.1A、BRI3の各バンドの強度をGPDHのバンドの強度で除算し、小型肝細胞と成熟肝細胞における各抗原の発現を比較した。
その結果、成熟肝細胞では一貫してCD44、D6.1A、およびBRI3の発現は極めて低く(図2および図3)、また小型肝細胞由来の成熟化した細胞はその成熟化に伴ってこれらの抗原の発現が次第に減少することが明らかになった(図1および図4)。
上記方法で得られたRNA 20μgを電気泳動し、ノーザンブロットを行った。使用したプローブは、CD44、D6.1A、BRI3のコード領域全長である。CD44、D6.1A、BRI3のコード領域をそれぞれ配列番号9、10および11に示した。プローブは、Alkphos Directラベリングキット(Amersham Biosciences)を用いて標識した。
さらに、WO 02/088332に記載された方法に従って、Matrigelを培養中の小型肝細胞に添加して小型肝細胞の成熟化を誘導し、CD44発現の変化をノーザンブロットにより調べた。Matrigel添加後第2日から成熟化が開始することが分かっているが、成熟化に伴ってCD44の発現が低下することが示された(図4)。
これらの結果は、CD44、D6.1A、およびBRI3が小型肝細胞に特異的であることを示すと共に、肝臓からの細胞画分の調製という傷害により、CD44、D6.1A、およびBRI3の発現が誘導され、肝臓を構成する細胞群中に潜在的に存在していた小型肝細胞またはその前駆細胞が小型肝細胞としての本来の性質を表すようになった可能性を示唆している。
上記i)小型肝細胞を豊富に含む細胞分画の調製法に記載の50 x gで1分間の遠心を3回くり返した後の上清を集め、150xgで5分間遠心した。沈澱した細胞を下記のバッファー(リン酸緩衝生理食塩水(PBS)+ 2mM EDTA (SIGMA Chemical Co.)+ 0.5% ウシ血清アルブミン(Serologicals Proteins Inc.))で縣濁した。
1x107細胞当たり80〜99mlのバッファーを加え縣濁後、1〜20mlのマウス抗ラットCD44抗体(PharMingen)を加えて5〜10分間、4〜8℃でインキュベートした。10-20倍容量のバッファーを加え、300xgで10分間遠心した。遠心後の沈澱をバッファーに縣濁し、再び300 x gで10分間遠心した。この沈澱を1x107細胞当たり80mlのバッファーで縣濁し20mlのMACS抗マウスIgG磁気抗体(Miltenyi Biotec)を加え、15分間4〜8℃でインキュベートする。10〜20倍容量のバッファーを加え、200xgで10分間遠心した。遠心後の沈澱を1x108細胞個当たり500ml(細胞が1x108個以下の時は一律500ml)に縣濁した。MACSカラム(Miltenyi Biotec)をマルチスタンドに装着し、カラムにバッファーを500ml流した。カラムが乾かないうちに細胞縣濁液を流し、その後500mlを3回流し、カラムを洗浄した。ここまでのカラムを通した液をCD44陰性フラクションとした。カラムを磁気からはずし、カラムに1mlのバッファーを注入し、シリンジで勢いよく押し出してCD44ポジティブフラクションを得た。
ウサギ抗ラットD6.1A抗体を用いて、実施例3と同様にしてD6.1Aポジティブ細胞を得た。得られたD6.1A陽性細胞は形態学的に小型肝細胞と同等であった。
ウサギ抗ラットD6.1A抗体は、FGAADWGKNFPDAKESC(配列番号12)を免疫原として、免疫生物研究所(群馬県高崎市)に作製を依頼した。
ウサギ抗ラットBRI3抗体を用いて、実施例3と同様にしてBRI3ポジティブ細胞を得た。
ウサギ抗ラットBRI3抗体は、LTPAREERPPRHRSRKGGSV(配列番号13)を免疫原として、免疫生物研究所(群馬県高崎市)に作製を依頼した。
得られたBRI3陽性細胞は形態学的に小型肝細胞と同等であり、コロニーを形成することができた。コロニーを形成した細胞はCK8陽性細胞であった。また、これらの細胞は免疫染色によって解析した結果、非実質細胞マーカー[ED1/2(クッパー細胞のマーカー)、SE-1(類洞内皮細胞マーカー)、デスミン(desmin)(伊東細胞のマーカー)、ビメンチン(vimentin)(肝上皮様細胞マーカー)]は全て陰性であった。従って、得られた細胞は小型肝細胞であることが確認された。
1.国際公開第WO 01/92481号パンフレット
2.国際公開第WO 02/088332号パンフレット
3.日本国特許第3211941号公報
4.特開2002-078481号公報
5.特開平09-313172号公報
6.特開平08-112092号公報
7.特開2002-045087号公報
8.Mitaka T. ら、Hepatology, 16, 440-447,(1992)
9.Mitaka T., Sato F, Mizuguchi Tら、Hepatology 29, 111-135 (1999)
Claims (9)
- 下記の工程を含む、小型肝細胞を分離する方法:
i)哺乳動物の肝臓由来の細胞を含む細胞懸濁物と、CD44に対する抗体(抗CD44抗体)、D6.1Aに対する抗体(抗D6.1A抗体)およびBRI3に対する抗体(抗BRI3抗体)からなる群より選ばれる1以上の抗体とを接触させ、前記細胞懸濁物中に含まれる小型肝細胞と前記1以上の抗体との免疫複合体を形成させる工程であって、
前記細胞懸濁物が、肝臓組織由来の細胞を含む溶液を50xg 1分間で遠心し、得られる上清をさらに50xg 5分間遠心して沈澱する細胞の懸濁物である、前記工程;
ii)小型肝細胞を含む前記免疫複合体を回収する工程。 - 下記の工程を含む、請求項1記載の、小型肝細胞を分離する方法:
i)哺乳動物の肝臓由来の細胞を含む細胞懸濁物と、抗CD44抗体、抗D6.1A抗体および抗BRI3抗体からなる群より選ばれる1以上の抗体とを接触させ、前記細胞懸濁物中の小型肝細胞と前記1以上の抗体との第1の免疫複合体を形成させる工程であって、前記細胞懸濁物が、哺乳動物の肝臓組織由来の細胞を含む溶液を50xg 1分間で遠心し、得られる上清をさらに50xg 5分間遠心して沈澱する細胞の懸濁物である、前記工程;
ii) i)で使用した抗CD44抗体、抗D6.1A抗体および抗BRI3抗体からなる群より選ばれる1以上の抗体の少なくとも1つに結合する抗体の1以上と前記第1の免疫複合体とを接触させ、第2の免疫複合体を形成させる工程、
iii)小型肝細胞を含む前記第2の免疫複合体を回収する工程。 - 抗CD44抗体、抗D6.1A抗体および抗BRI3抗体からなる群より選ばれる1以上の抗体がビオチンで標識されており、小型肝細胞を含む免疫複合体を回収する工程が、アビジンに結合した担体および/または蛍光色素で標識したアビジンと前記免疫複合体とを接触させることを含む、請求項1記載の方法。
- 下記の工程を含む小型肝細胞を分離する方法:
i)抗CD44抗体、抗D6.1A抗体および抗BRI3抗体からなる群より選ばれる1以上の抗体と前記抗体の少なくとも一つに結合する抗体の1以上とを接触させ、第1の免疫複合体を形成させる工程;
ii)前記第1の免疫複合体と哺乳動物の肝臓由来の細胞を含む細胞懸濁物とを接触させ、第2の免疫複合体を形成させる工程であって、前記細胞懸濁物が、哺乳動物の肝臓組織由来の細胞を含む溶液を50xg 1分間で遠心し、得られる上清をさらに50xg 5分間遠心して沈澱する細胞の懸濁物である、前記工程;
iii)小型肝細胞を含む前記第2の免疫複合体を回収する工程。 - 下記の工程を含む、請求項1記載の小型肝細胞を分離する方法:
i)哺乳動物の肝臓由来の細胞を含む細胞懸濁物と、抗CD44抗体、抗D6.1A抗体および抗BRI3抗体からなる群より選ばれる1以上の抗体であって担体に結合した前記抗体とを接触させ、前記細胞懸濁物中に含まれる小型肝細胞と前記1以上の抗体との免疫複合体を形成させる工程であって、前記細胞懸濁物が、哺乳動物の肝臓組織由来の細胞を含む溶液を50xg 1分間で遠心し、得られる上清をさらに50xg 5分間遠心して沈澱する細胞の懸濁物である、前記工程;
ii)小型肝細胞を含む前記免疫複合体を回収する工程。 - 下記の工程を含む、請求項1記載の、小型肝細胞を分離する方法:
i)哺乳動物の肝臓由来の細胞を含む細胞懸濁物と、抗CD44抗体、抗D6.1A抗体および抗BRI3抗体からなる群より選ばれる1以上の抗体とを接触させ、前記細胞懸濁物中の小型肝細胞と前記1以上の抗体との第1の免疫複合体を形成させる工程であって、前記細胞懸濁物が、哺乳動物の肝臓組織由来の細胞を含む溶液を50xg 1分間で遠心し、得られる上清をさらに50xg 5分間遠心して沈澱する細胞の懸濁物である、前記工程;
ii)i)で使用した抗CD44抗体、抗D6.1A抗体および抗BRI3抗体の少なくとも1つに結合する、担体に結合した抗体の1以上と前記第1の免疫複合体とを接触させ、第2の免疫複合体を形成させる工程;
iii)小型肝細胞を含む前記第2の免疫複合体を回収する工程。 - 下記の工程を含む小型肝細胞を分離する方法:
i)抗CD44抗体、抗D6.1A抗体および抗BRI3抗体からなる群より選ばれる1以上の抗体と、前記抗体の少なくとも一つに結合する、担体に結合した抗体の1以上とを接触させ、第1の免疫複合体を形成させる工程;
ii)前記第1の免疫複合体と哺乳動物の肝臓由来の細胞を含む細胞懸濁物とを接触させ、第2の免疫複合体を形成させる工程であって、前記細胞懸濁物が、哺乳動物の肝臓組織由来の細胞を含む溶液を50xg 1分間で遠心し、得られる上清をさらに50xg 5分間遠心して沈澱する細胞の懸濁物である、前記工程;
iii)小型肝細胞を含む前記第2の免疫複合体を回収する工程。 - 担体が磁気ビーズである、請求項3または5〜7のいずれか1項記載の、小型肝細胞を分離する方法。
- 免疫複合体を回収する工程が、フローサイトメトリーによって行われる、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
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