JP4815043B2 - 付加電気装置を備える時計 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケースと、表示手段を備え電池によって給電される、ケース内に収容された電気式時計仕掛けムーブメントと、着脱可能モジュールに組み込まれ前記電池によって給電される付加電気装置とを備える時計であり、前記着脱可能モジュールがケース内に少なくとも一部が嵌合される時計に関する。
【０００２】
【従来の技術】
電気時計において、時計仕掛けムーブメントと同じ電池によって給電され、時計仕掛けムーブメントと直接的関係を伴い、または伴わないで付加機能を提供する、１個以上の電気装置を装着することは普通である。例えば、計算機、電子データベース、ページャ形式の無線伝播メッセージ受信器（スイス特許ＣＨ６７２８７０号）、音響または無音アラーム（欧州特許第０３４９２３０号）、温度、圧力または磁場といった物理的パラメータ用センサ、照明（英国特許第２２２６６６１号，米国特許第５８３８６３９号）、電子カメラ、または、データ伝送装置、特に赤外線ビームによるデータ伝送装置（英国特許第２２３８１４６号，国際特許出願ＷＯ９６／３４３４３号，国際特許出願ＷＯ９７／１９４４８号）といった付加装置と組み合わされた時計が公知である。
【０００３】
国際特許出願ＷＯ９８／３２９５７号は、電池を完備した電子時計を収容する主ケースと、主ケースと側部で接続され、時計のマイクロコントローラと信号をやり取りできる着脱可能モジュールとを備える腕時計を記載している。このモジュールは、充電式電池および通信手段を備える付加装置、例えばテレビ視聴率測定装置、医療用遠隔監視装置、アクセス制御装置などを収容する。着脱可能モジュールは、主ケース側部に固定された分離ケース内に収容され、これらの２個のケースの電気的接続は差込コネクタによって保証される。従って、２個のケースが集成されると、時計のかさはほぼ倍加し、不都合となり得る。
【０００４】
国際特許出願ＷＯ８４／０４４０６号は、時計の内部回路とのデータ交換が可能な着脱可能補助モジュールを収容するように意図されたハウジングをその裏面に有する電子時計を記載している。この場合、共通の電源はまったく設けられていない。
【０００５】
１９７８年４月５日公開の日本特許出願昭５３−３７０６８号には、前述の形式の電子時計が開示されている。この時計は、計算機、アラーム部材、メモリまたは信号受信機といった１個以上の付加モジュールを収容する着脱可能モジュールが装着されている。このモジュールは別の異なるモジュールと交換可能である。それは例えば時計ケース内に確保された空間に収容することができる。付加装置は時計に組み込まれた電池により給電される。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
こうした付加装置はしばしば、時計仕掛けムーブメントよりも多くの電力を消費するので、電池をより頻繁に交換しなければならないか、または、より大形の電池を使用しなければならない。そのため、欧州特許第０４６０５２５号は、ケース内に組み込まれたページャと、比較的大形の電池を時計の中間部に配置された高さの低い側部開口を通じて挿入できるようにする引出しを備える時計を提供している。この構造はページャ付き時計の場合に特に有利である。なぜなら、ケースの裏ぶたを固定することができ、電池ぶたがなくなるので、アンテナ巻線をその中に通すことが可能になるからである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明の基本的発想は、そうした電池引出しを、特に前述の形式の装置である、電力を消費する付加装置を収容するためにも使用するという点にある。
【０００８】
より詳細には、本発明は、着脱可能モジュールがケース内に嵌合される着脱可能引出しによって形成されており、また、その電池が、引出しに取り付けられ、引出しがケースに嵌合された時にケースの内部に位置することを特徴とする前述の形式の時計に関する。
【０００９】
電池交換を著しく容易にする、電池を引出しに取り付けるという本質的な利益に加え、この解決策は、場合によっては比較的高電流を消費することがある付加装置に、電流が必ずしも内部時計回路を通ることなく、直接給電できるようにする。もう一つの重要な利益は、時計製造者が、基本的な時計ケースモデルと、各種付加装置を収容する各種引出しとを組み合わせることができるということにある。同様に、引出しが取り外せるので、製造者は、使用者が複数の異なる互換性のある自己の時計に合わせて選択装着が可能な引出しとともに時計を市販することができる。
【００１０】
好ましくは、引出しはケースの側部開口に嵌合される。引出しは、ケースの外部に突出する外側部分を有することができ、装置はこの外側部分内に少なくとも部分的に広がっている。これにより、通常はケース内部に全体としてスペースが得られないような装置を時計に組み込むことができ、また、時計ケースの通常の全体形状および美観を保つことができる。
【００１１】
付加装置の電子制御回路は、ケースの内部かつ引出しの外部に好適に配設でき、電気接点手段によって引出しと接続できる。
【００１２】
本発明の他の有利な特徴は、添付図面に関して非限定的な例示として示した、特定の実施の形態に関する以下の説明において示される。
【００１３】
【発明の実施の形態】
図面に示す時計１は、その上面に表示手段３を備えるケース２と、ケースの中間部５の片側に竜頭４とを有する。電池７を収容する着脱可能引出し６は、一部がケース２の内側にあり、一部が外側に出ている図示の使用位置に、中間部５の側部開口１３へスライドさせることにより係合させることができる。この実施形態において、引出し６の外側部分８は中間部５とバンド１０の一端９との間に位置し、バンド１０の一端９に、通常の時計ケースおよび欧州特許第０４６０５２５号に記載の引出しと同様に、突出取付部材１１と金属棒１２によって着脱可能に引出しが取り付けられる。引出し６は、各々がケース２の裏ぶた１６の穴１５に嵌着する１個以上のばね留め具１４によって、使用位置に保持される。特に電池を交換するために引出しを取り外すには、留め具１４の各々を押圧し穴１５から解放し、バンドまたは引出しを引っ張る。このような固定装置は、欧州特許第０４６０５２５号に記載されているので、詳細については参照されたい。
【００１４】
図示の時計は、アラーム時計として動作し、引出し６に収容された触知アラーム部材１８を含む、無音アラーム装置を備える。現在時刻およびアラーム時刻の設定ならびにアラームモードの設定は、竜頭４によって従来のように行われる。表示手段３は、本実施形態の場合ディジタル式であり、一方で現在時刻およびアラーム時刻を、他方でアラームのオンオフ状態を指示させることができる。
【００１５】
図３〜５は引出し６の構成をより特定的に示しており、これは、電池７の受け器を形成し、ケース２の内側で裏ぶたの上に広がっている、Ｕ字形の部分２０を備える。引出しの中心部２１は対応する中間部５の側部開口に嵌着し、そこでシーリングパッキンとともに協働する。この部分は留め具１４を格納する。
【００１６】
引出しの外側部分８には、触知アラーム部材１８を収容するためのハウジング２２が配設されている。触知アラーム部材１８は、電気モータ２３を備え、そのシャフト２４が振動を発生させるための不釣り合い質量を有する回転部材２５を保持している。すなわち部材２５の重心がシャフト２４の回転軸に対して離心している。この形式の触知アラーム部材は例えば、参照符号ＧＰＶ−０４１Ａによりエルジー・エレクトロコンポーネンツ・リミテッド（ＬＧ Ｅｌｅｃｔｒｏｃｏｍｐｏｎｅｎｔｓ Ｌｔｄ．）社によって市販されている。ハウジング２２は、カバー２６によって閉鎖されている引出し６の底面に対して開放されている。図４では、このカバーは図面を明瞭にするために取り外されている。
【００１７】
モータ２３の給電のために、モータの２個の端子は、引出しの中心部２１を通る２個の接続片２８および２９とそれぞれ接続されている。接続片２８は、電池７の接地極と接触する可撓性水平部３０を備える。接続片２９は、時計の回路基板３２の縁に設けられた側部接点と接触する可撓性垂直部３１を備える。この回路基板は、欧州特許第０４６０５２５号の場合と同様に電池７により給電され、電子保時回路に加え、接続片２９によってアラーム部材１８を制御する電子回路３３を備えている。
【００１８】
部材２５の回転によって発生した触知アラームは、引出し６だけでなくケース２の全体をも振動させ、その裏ぶた１６が信号を着用者に伝える。従って、引出し６が着用者の皮膚に接触する必要はない。
【００１９】
上述の引出し６はバンド１０の一端に取り付けられるが、この構成は絶対不可欠のものではない。例えば、引出し６を収容する中間部５の開口は、別の位置、詳細には竜頭４の反対側とすることもできよう。
【００２０】
本発明の用途は、無音アラーム部材が装着された時計に限定されず、時計の引出しに取り付けられ、前記引出しに収容された電池によって給電される他のあらゆる電気装置に及ぶものである。詳細には、それらの電気装置は、前述の付加電気装置のいずれかより構成し得る。図３は、略示的かつ例示として、引出しの外側部分８の光指示器４０、前記部分８の送信器４１および受信器４２といった光通信手段、または、引出し６内部の圧力その他のセンサ４３をそれぞれ含む、複数の変更態様を示している。さらに、引出しは、それが収容する装置の制御回路を備えることができ、また、例えばタッチボタンなどの手動制御手段を備えてもよい。これにより引出しは、それが収容する装置の機能として特定的に構成され、標準形式の時計と組み合わせて使用可能となると同時に、装置を製造者または使用者の好みに合わせて変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】触覚型形式の無音アラーム部材を収容する電池引出しが装着された電子腕時計の平面図である。
【図２】時計の側立面図である。
【図３】引出しの上面の拡大図である。
【図４】引出しの底面の拡大図である。
【図５】図４の線Ｖ−Ｖに沿った断面である。
【符号の説明】
２ ケース
３ 表示手段
６ 着脱可能引出し
７ 電池
１８ 付加電気装置

Claims (11)

1. ケース（２）と、表示手段（３）を備え電池（７）によって給電され、前記ケース内に収容された電気式時計仕掛けムーブメントと、着脱可能モジュールに組み込まれ前記電池によって給電される付加電気装置（１８）とを備える時計であり、前記着脱可能モジュールは前記ケース内に少なくとも一部が嵌合されるものである、前記時計であって、
   前記着脱可能モジュールが前記ケース内に嵌合される着脱可能引出し（６）によって形成されており、また、前記電池（７）が、前記着脱可能引出し（６）に取り付けられ、前記着脱可能引出しが前記ケースに嵌合された時に前記ケースの内部に位置し、
   前記付加電気装置（１８）が前記着脱可能引出し（６）に取り付けられていることを特徴とする時計。
2. 前記着脱可能引出し（６）が前記ケースの側部開口を通じて嵌合されることを特徴とする請求項１記載の時計
3. 前記着脱可能引出し（６）が前記ケースの外側に突出する外側部分（８）を有しており、また、前記付加電気装置（１８）は前記外側部分（８）内に少なくとも部分的に達することを特徴とする請求項１または２に記載の時計。
4. 前記付加電気装置の電子制御回路（３３）が、前記ケースの内部かつ前記着脱可能引出し（６）の外部に配設され、電気接点手段（２９）によって前記着脱可能引出しと接続されていることを特徴とする請求項１記載の時計。
5. 前記付加電気装置が前記電気式時計仕掛けムーブメントによって電気的に制御されるアラーム部材（１８）であることを特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載の時計。
6. 前記アラーム部材（１８）が触知アラーム部材であり、前記時計が腕時計であることを特徴とする請求項５記載の時計。
7. 前記触知アラーム部材（１８）が、不釣り合い質量を備える回転要素（２５）と結合されたロータを有する電気モータ（２３）を備えることを特徴とする請求項６記載の時計。
8. 前記アラーム部材が音響アラーム部材であることを特徴とする請求項５記載の時計。
9. 前記付加電気装置が前記着脱可能引出しの前記外側部分に発光指示手段（４０）を備えることを特徴とする請求項３記載の時計。
10. 前記付加電気装置が、前記着脱可能引出しの前記外側部分に、送信器または受信器要素（４１，４２）を含む光通信手段を備えることを特徴とする請求項３記載の時計。
11. 前記付加電気装置がセンサ（４３）を備えることを特徴とする請求項３記載の時計。

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