JP4812900B1 - 相互作用力変化予測装置および相互作用力変化予測方法 - Google Patents

相互作用力変化予測装置および相互作用力変化予測方法 Download PDF

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Abstract

相互作用力変化予測装置(100)は、1対のアミノ酸残基ペアと、アミノ酸残基ペアの中の一方のアミノ酸残基と隣り合う1つのアミノ酸残基とを示す3残基組の結合3残基組データを作成する結合3残基組データ作成部(211)と、変異後の3残基組の変異後3残基組データを作成する変異後3残基組データ作成部(212)と、3残基組テーブル(151)を参照し、結合3残基組データによって示される3残基組の結合相互作用スコアと、変異後3残基組データによって示される3残基組の変異後相互作用スコアとを算出する相互作用スコア算出部(213)と、結合相互作用スコアおよび変異後相互作用スコアの差分を算出する相互作用力変化予測値算出部(214)とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、バイオインフォマティクスにおけるデータ処理を用いて、相互作用するタンパク質間の相互作用力の変化を予測する相互作用力予測装置に関する。
従来、タンパク質間相互作用の予測方法として、様々な方法が提案されている。
例えば、2つのタンパク質が相互作用しているときの三次構造状態を示す複合体立体構造が既知の場合には、その複合体立体構造をベースとしてタンパク質に変異をかけた場合にタンパク質間の相互作用がどのように変化するかを予測するために、残基入れ替え後の複合体立体構造と結合自由エネルギー変化とを分子力学等の物理化学に基づくシミュレーション手法を用いて予測する方法がある(例えば、非特許文献1参照)。
また、2つのタンパク質の一次構造情報のみが既知の場合には、所定の長さのアミノ酸配列の組合せからなる配列対に対して相互作用可能性のスコア付けを行ったスコア付き配列対の集合から、与えられた1対のタンパク質のアミノ酸配列対を検索して相互作用を予測する手法がある(例えば、特許文献1、非特許文献2および非特許文献3参照)。図19は、特許文献1に記載されている従来のタンパク質間相互作用予測装置の機能的な構成を示すブロック図である。図19において、タンパク質相互作用予測装置1は、配列対生成部10と配列対評価部20とを有するスコア付き配列対生成部30と、相互作用予測部40と、相互作用候補選出部50と、変異設計部60とを備える。スコア付き配列対生成部30は、タンパク質のアミノ酸配列間の相互作用に関するスコアが付けられた配列対の集合であるスコア付き配列対集合を生成する。相互作用予測部40は、生成したスコア付き配列対集合を用いて、2つのタンパク質間の相互作用を予測する。このスコア付き配列対集合は、タンパク質のアミノ酸配列の一部を構成する所定の長さの部分アミノ酸配列の組合せからなる配列対とスコアとから成っている。
特許第4320145号公報
Shaun M Lippow et al.,"Computational Design of antibody-affinity improvement beyond in vivo maturation",Nature biotechnology volume 25, number10, 2007 清水謙多郎ら、「高精度のドッキング機能を有するタンパク質間相互作用予測システムの開発」、文部科学省「ゲノム特定領域」年次報告書 領域1 生命システム情報、2007年 清水謙多郎ら、「タンパク質相互作用のネットワーク予測から原子レベルの結合予測までの統合的研究」、文部科学省「ゲノム特定領域」年次報告書 領域1 生命システム情報、2008年
しかしながら、上記非特許文献1に示されるような物理化学に基づくシミュレーションにおいては、変異後の複合体立体構造予測および結合自由エネルギー変化の算出のための力学計算環境などが必要であり、計算資源が大規模化するという課題を有する。また、このような処理は計算負荷が高いため、各変異のパターンを網羅してシミュレーションを行うために長時間を要するという課題を有する。
また、上記特許文献1に示されるタンパク質相互作用予測装置1では、予測のための検索情報として所定の長さの部分アミノ酸配列の組合せからなる配列対とスコアとからなるスコア付き配列対集合を用いて2つのタンパク質間の相互作用を推定している。このタンパク質相互作用予測装置1において、非特許文献2および非特許文献3で最もよい結果であると示された3つのアミノ酸の組を所定の長さの部分アミノ酸配列として、処理を行うことを想定する。その場合であっても、スコア付き配列対集合のデータ数は、20(アミノ酸の種類数)の6乗、すなわち3200万となる。よって、多数のデータの生成および検索を行うためのメモリが必要となり、計算負荷がかかるという課題を有する。
本発明は上述の課題を解決するもので、少ない計算資源下においても、既知の複合体立体構造を用いて相互作用する2つのタンパク質の内の1つのタンパク質の相互作用部位に変異をかけた場合にその相互作用力がどのように変化するかを予測することができる相互作用力変化予測方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のある局面に係る相互作用力変化予測装置は、タンパク質に変異をかける前後における2つのタンパク質間の相互作用力の変化を予測する相互作用力変化予測装置であって、相互作用する2つのタンパク質を構成する原子の位置を示す複合体立体構造情報を参照し、前記2つのタンパク質の結合部位において一定の距離内に近接する1対のアミノ酸残基ペアと、前記アミノ酸残基ペアの中の一方のアミノ酸残基のアミノ酸配列上隣り合うN末端側またはC末端側の1つのアミノ酸残基とを示す3残基組を複数取得し、取得した複数の前記3残基組を示す結合3残基組データを作成する結合3残基組データ作成部と、変異をかけるタンパク質のアミノ酸残基の位置と変異後のアミノ酸残基の種類とを示す変異情報を参照し、前記結合3残基組データで示される複数の前記3残基組のそれぞれについて、前記変異をかけるタンパク質のアミノ酸残基の位置のアミノ酸残基の種類を、前記変異後のアミノ酸残基の種類に置き換えた3残基組を示す変異後3残基組データを作成する変異後3残基組データ作成部と、任意の3つのアミノ酸残基の種類を示す3残基組文字列と、前記3残基組文字列により示される種類の3つのアミノ酸残基が、2つのタンパク質の結合部位において前記3残基組を構成したときの相互作用力を示す3残基組スコアとを対応付けたデータである3残基組テーブルを参照し、前記結合3残基組データによって示される複数の前記3残基組の相互作用力の平均値である結合相互作用スコアと、前記変異後3残基組データによって示される複数の前記3残基組の相互作用力の平均値である変異後相互作用スコアとを算出する相互作用スコア算出部と、前記変異情報にて指定された変異をかける前とかけた後との前記2つのタンパク質間の相互作用力の変化を予測するための相互作用力変化予測値として、前記結合相互作用スコアおよび前記変異後相互作用スコアの差分を算出する相互作用力変化予測値算出部とを備える。
この構成によると、3残基組文字列と相互作用力とを示す3残基組テーブルを用いて、結合3残基組データおよび変異後3残基組データの相互作用力を求めている。アミノ酸残基の種類は20種類であることより、3残基組文字列は、20×20×20=8000通り存在する。つまり、3残基組テーブルにおいて、3残基組文字列と相互作用力との組合せは8000種類存在する。このため、結合3残基組データおよび変異後3残基組データの相互作用力を求めるには、最大8000のデータの中から各3残基組データを示す文字列に一致する3残基組文字列を探せばよいことになる。従来、3200万のデータ数のデータを用いていたのに比べると、少ない計算資源下においても、変異前後で相互作用力がどのように変化するかを高速に予測することができる。
なお、本発明は、このような特徴的な処理部を備える相互作用力変化予測装置として実現することができるだけでなく、相互作用力変化予測装置に含まれる特徴的な処理部が実行する処理をステップとする相互作用力変化予測方法として実現することができる。また、相互作用力変化予測方法に含まれる特徴的なステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現することもできる。そして、そのようなプログラムを、CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等のコンピュータ読取可能な不揮発性の記録媒体やインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは、言うまでもない。
本発明によると、少ない計算資源下においても、既知の複合体立体構造を用いて相互作用する2つのタンパク質の内の1つのタンパク質の相互作用部位に変異をかけた場合にその相互作用力がどのように変化するかを予測することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る相互作用力変化予測装置の全体構成を示す図である。 図2は、3残基組テーブル作成部の処理フローを示す図である。 図3は、3残基組データ作成部の処理フローを示す図である。 図4は、タンパク質間結合部位のアミノ酸残基の模式図である。 図5は、タンパク質間結合部位のアミノ酸残基の例を示す図である。 図6は、3残基組データの例を示す図である。 図7は、3残基組テーブル作成処理の詳細な処理を示すフローチャートである。 図8は、3残基組テーブルの例を示す図である。 図9は、相互作用力変化予測部が実行する処理を示すフローチャートである。 図10は、タンパク質間結合部位のアミノ酸残基の例を示す図である。 図11は、変異後のタンパク質間結合部位のアミノ酸残基の例を示す図である。 図12は、入力した複合体立体構造情報から作成した3残基組データの例を示す図である。 図13は、変異後のタンパク質から作成した3残基組データの例を示す図である。 図14は、相互作用スコア算出部の処理フローを示す図である。 図15は、アミノ酸残基対テーブルの例を示す図である。 図16は、相互作用力変化予測装置の外観図である。 図17は、相互作用力変化予測装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 図18は、予測値と実験値の相関図である。 図19は、従来のタンパク質間相互作用予測装置の機能的な構成を示すブロック図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る相互作用力変化予測装置の全体構成を示す図である。
相互作用力変化予測装置100は、タンパク質に変異をかける前後における2つのタンパク質間の相互作用力の変化を予測する装置であって、複合体構造データベース152と、3残基組テーブル作成部202と、相互作用力変化予測部201とを備える。
複合体構造データベース152は、2つのタンパク質の結合状態を示す複合体の3次元構造情報(複合体立体構造情報)のデータベースであり、HDD(Hard Disk Drive)またはメモリ等により構成される。
3残基組テーブル作成部202は、複合体構造データベース152に記憶されている複合体立体構造情報から、3残基組テーブル151を生成する。3残基組テーブル151とは、2つのタンパク質の結合部位において一定の距離内に近接する1対のアミノ酸残基ペアと、そのアミノ酸残基ペアの中の一方のアミノ酸残基のアミノ酸配列上隣り合うN末端側またはC末端側の1つのアミノ酸残基とを示す3残基組毎に、相互作用力に対応するスコアを示すデータテーブルである。
相互作用力変化予測部201は、複合体立体構造情報101と、変異情報102と、3残基組テーブル151とに基づいて、タンパク質に変異をかける前後における2つのタンパク質間の相互作用力の変化を予測し、予測結果としての相互作用力変化予測値103を出力する。ここで、複合体立体構造情報101は、変異をかける前の相互作用する2つのタンパク質の立体構造を示す。つまり、複合体立体構造情報101は、相互作用する2つのタンパク質を構成する原子の位置を示す。また、変異情報102は、変異をかけるタンパク質のアミノ酸残基の位置と変異後のアミノ酸残基の種類とを示す。また、相互作用力変化予測値103は、変異情報102にて指定された変異をかける前とかけた後との2つのタンパク質間の相互作用力の変化を予測するための値である。相互作用力変化予測部201は、結合3残基組データ作成部211と、変異後3残基組データ作成部212と、相互作用スコア算出部213と、相互作用力変化予測値算出部214とを含む。相互作用力変化予測部201が含む各処理部の詳細については後述する。
次に、3残基組テーブル作成部202が実行する処理について説明する。
図2は、3残基組テーブル作成部202が実行する処理のフローチャートである。
3残基組テーブル作成部202は、複合体構造データベース152から1つの複合体立体構造情報を読み取る(S1)。
結合3残基組データ作成部211は、読み取った複合体立体構造情報104から3残基組データ130を作成する(S2)。3残基組データ130とは、3残基組テーブル151を生成する際に一時的に生成される3残基組の相互作用力に対応するスコアを示すデータテーブルである。
3残基組テーブル作成部202は、3残基組データ130を集計した3残基組テーブル151を作成する(S3)。なお、3残基組テーブル151の作成方法については、後述する。
3残基組テーブル作成部202は、複合体構造データベース152に含まれる全ての複合体立体構造情報について、S1〜S3の処理を実行したか否かを判定する(S4)。
S1〜S3の処理が終了していない複合体立体構造情報が存在する場合には(S4でNO)、3残基組テーブル作成部202は、その複合体立体構造情報について、S1〜S3の処理を実行する。
全ての複合体立体構造情報についてS1〜S3の処理が終了した判定した場合には(S4でYES)、3残基組テーブル作成部202は、3残基組テーブル151を出力して処理を終了する。
次に、3残基組データ作成処理(図2のS2)の詳細について説明する。図3は、3残基組データ作成処理(図2のS2)の詳細を示すフローチャートである。
3残基組テーブル作成部202は、複合体立体構造情報104の中から、相互作用する2つのタンパク質のアミノ酸残基の3次元構造情報を読み取る(S21)。図4は、相互作用する2つのタンパク質を模式的に示した図である。タンパク質501のアミノ酸残基511と、タンパク質502のアミノ酸残基515とが、両タンパク質の結合部位において近接している。また、アミノ酸残基511のアミノ酸配列上隣り合うN末端側にはアミノ酸残基512が位置し、C末端側にはアミノ酸残基513が位置する。さらに、アミノ酸残基515のアミノ酸配列上隣り合うN末端側にはアミノ酸残基516が位置し、C末端側にはアミノ酸残基517が位置する。S21において読取った3次元構造情報には、タンパク質501およびタンパク質502のアミノ酸残基の配列とそのアミノ酸残基を構成する各原子の3次元座標とが含まれている。
3残基組テーブル作成部202は、読取った3次元構造情報が示す2つのタンパク質のアミノ酸残基について、そのアミノ酸残基対が結合部位において近接しているか否かを判定する(S22)。つまり、3残基組テーブル作成部202は、タンパク質間でCα原子間距離が12×10-10m以下となるアミノ酸残基対が存在すれば、2つのタンパク質のアミノ酸残基対が結合部位において近接していると判定し、そのようなアミノ酸残基対が存在しなければ、2つのタンパク質のアミノ酸残基対が結合部位において近接していないと判定する。図5は、相互作用する2つのタンパク質の結合部位におけるアミノ酸残基を示す図である。図5に示す例においては、タンパク質501のアミノ酸残基の中でタンパク質502と接触するアミノ酸残基511はT(スレオニン)、タンパク質502のアミノ酸残基の中でタンパク質501のアミノ酸残基511と接触するアミノ酸残基515はQ(グルタミン)である。また、アミノ酸残基511とアミノ酸配列上隣り合うN末端側のアミノ酸残基512はS(セリン)、アミノ酸残基511とアミノ酸配列上隣り合うC末端側のアミノ酸残基513はY(チロシン)、アミノ酸残基515とアミノ酸配列上隣り合うN末端側のアミノ酸残基516はT(スレオニン)、アミノ酸残基515とアミノ酸配列上隣り合うC末端側のアミノ酸残基517はA(アラニン)である。また、アミノ酸残基511とアミノ酸残基515のCα原子間距離は9.60×10-10mであり、12×10-10m以下であるため、アミノ酸残基511およびアミノ酸残基515近接していると判定される。
結合部位においてアミノ酸残基対が近接している判定された場合は(S22でYES)、3残基組テーブル作成部202は、3残基組データ130を更新する(S23)。図6は、3残基組データ130の一例を示す図である。3残基組データ130には、5つの欄が設けられており、欄621には、アミノ酸残基511、515および516の3残基組が、連続する3文字の文字列で示される。欄622には、アミノ酸残基511、515および517の3残基組が、連続する3文字の文字列で示される。欄623には、アミノ酸残基511、515および512の3残基組が、連続する3文字の文字列で示される。欄624には、アミノ酸残基511、515および513の3残基組が、連続する3文字の文字列で示される。欄625には、アミノ酸残基511およびアミノ酸残基515のCα原子間距離が示される。つまり、3残基組テーブル作成部202は、3残基組データ130に行を追加することにより、3残基組データ130を更新する。図5に示す例においては、図6に示すように、欄621、622、623および624に、文字列“TQT”、“TQA”、“QTS”および“QTY”がそれぞれ追加される。例えば、欄622に追加された文字列“TQA”は、アミノ酸残基511、515および517が、それぞれT、QおよびAであることを示している。また、欄625には、アミノ酸残基511であるTとアミノ酸残基515であるQとの間のCα原子間距離9.60×10-10mが追加される。
3残基組テーブル作成部202は、複合体立体構造情報104に含まれる全てのアミノ酸残基に対して、近接しているか否かの判定処理(S22)と3残基組データの更新処理(S23)とが完了したか否かを判定する(S24)。上記処理が完了していないアミノ酸残基がある場合には(S24でNO)、3残基組テーブル作成部202は、未処理のアミノ酸残基を複合体立体構造情報104より読み出すとともに(S21)、S22およびS23の処理を実行する。全てのアミノ酸残基について上記処理が完了していれば(S24でYES)、3残基組テーブル作成部202は、処理を終了する。
次に、3残基組テーブル151作成処理(図2のS3)について、詳細に説明する。図7は、3残基組テーブル151作成処理(図2のS3)の詳細な処理を示すフローチャートである。
3残基組テーブル作成部202は、3残基組データ130を参照し、3残基組データ130の着目する行に含まれる3残基組のサブスコアを、Cα原子間距離に基づいて算出する(S31)。例えば、図6に示される3残基組データ130を例にとり説明すると、3残基組テーブル作成部202は、3残基組データ130の行130Aに示されている4つの3残基組(TQT、TQA、QTS、QTY)のそれぞれについて、以下の(式1)に基づいてサブスコアを計算する。つまり、Cα原子間距離が6×10-10m以下の場合にはサブスコアを1と計算し、6×10-10mよりも大きい場合にはサブスコアを(12−Cα原子間距離)/6と計算する。行130Aに示される4つの3残基組のCα原子間距離は9.60×10-10mである。このため、サブスコアは(12−9.60)/6=0.4と計算される。なお、3残基組データ130に登録されているCα原子間距離は12×10-10m以下である。このため、サブスコアは0から1までの値をとる。
Figure 0004812900
行130Aの3残基組については、以下の表1に示すように、各3残基組のサブスコアが0.4と求められる。
Figure 0004812900
3残基組テーブル作成部202は、3残基組データ130に含まれる全ての行に対して、サブスコア算出処理(S31)を繰り返し実行する(ループA)。
次に、3残基組テーブル作成部202は、3残基組の種類毎に、ループAの処理で求められたサブスコアの合計値を計算し、その合計値を3残基組テーブル151にスコアとして追加する(S32)。図8は、3残基組テーブル151の一例を示す図である。3残基組テーブル151には、2つの欄が設けられている。欄631には、アミノ酸残基の3残基組が、連続する3文字の文字列で示されている。この文字列は、図6の3残基組データ130の欄621〜624に示した文字列と同様の文字列である。欄632には、欄631に示した3残基組のスコアが示されている。例えば、S32の処理において3残基組「AAW」のスコアが0.18として求められている。なお、アミノ酸の種類数は20であるため、3残基組は20×20×20=8000種類存在する。このため、3残基組テーブル151に示される3残基組の種類数も8000となる。
次に、3残基組テーブル作成部202は、3残基組テーブル151の欄632に示されている全てのスコアの平均値を算出し、算出した平均値よりも大きいスコアを、算出した平均値に修正する(S33)。例えば、平均値が2.85として求められた場合には、2.85よりも大きいスコアは2.85に修正される。図8は、スコア修正後の3残基組テーブル151を示しており、3残基組「GNF」および「GNL」などのスコアが2.85に修正されている。
以上説明した処理により、3残基組テーブル作成部202により3残基組テーブル151が作成される。
次に、相互作用力変化予測部201が、作成された3残基組テーブル151を用いて、相互作用力の変化を予測する処理について詳細に説明する。図9は、相互作用力変化予測部201が実行する処理を示すフローチャートである。
相互作用力変化予測部201には、複合体立体構造情報101が入力される。複合体立体構造情報101からは、図10に示されるようなタンパク質間結合部位のアミノ酸残基の情報が得られる。つまり、タンパク質501のアミノ酸残基の中でタンパク質502と接触するアミノ酸残基511はS(セリン)、タンパク質502のアミノ酸残基の中でタンパク質501のアミノ酸残基511と接触するアミノ酸残基515はG(グリシン)である。また、アミノ酸残基511とアミノ酸配列上隣り合うN末端側のアミノ酸残基512はF(フェニルアラニン)、アミノ酸残基511とアミノ酸配列上隣り合うC末端側のアミノ酸残基513はL(ロイシン)、アミノ酸残基515とアミノ酸配列上隣り合うN末端側のアミノ酸残基516はK(リシン)、アミノ酸残基515とアミノ酸配列上隣り合うC末端側のアミノ酸残基517はT(スレオニン)である。
相互作用力変化予測部201は、複合体立体構造情報101と変異情報102とに基づいて、複合体立体構造情報101で示されるタンパク質に、変異情報102で示される変異をかけた後のタンパク質の立体構造を、変異後複合体立体構造情報133として作成する(S4)。変異情報102には、一例として、アミノ酸残基511をN(アスパラギン)に変異をかけるという情報が示されているものとする。つまり、図10に示したタンパク質間結合部位のアミノ酸残基のうちアミノ酸残基511がSからNに変更され、図11に示すような変異後のタンパク質間結合部位のアミノ酸残基の情報が、変異後複合体立体構造情報133として得られる。
結合3残基組データ作成部211は、複合体立体構造情報101から、結合3残基組データ131を作成する(S5)。結合3残基組データ作成処理(S5)は、図2に示した3残基組テーブル作成部202が実行する3残基組データ作成処理(S2)と同様である。このため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。この処理(S5)により、図10に示すようなタンパク質間結合部位のアミノ酸残基を示す複合体立体構造情報101から、図12に示すような結合3残基組データ131が作成される。結合3残基組データ131の各欄は、図6に示した3残基組データ130の各欄と同様である。このため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。図12に示されるように、タンパク質間結合部位における3残基組の文字列が“SGK”、“SGT”、“GSF”および“GSL”である。また、結合部位に存在するアミノ酸残基511であるSとアミノ酸残基515であるGとのCα原子間距離が9.86×10-10mである。
また、変異後3残基組データ作成部212は、変異後複合体立体構造情報133から、変異後3残基組データ132を作成する(S6)。変異後3残基組データ作成処理(S6)は、図2に示した3残基組テーブル作成部202が実行する3残基組データ作成処理(S2)と同様である。このため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。この処理(S6)により、図11に示すようなタンパク質間結合部位のアミノ酸残基を示す変異後複合体立体構造情報133から、図13に示すような変異後3残基組データ132が作成される。変異後3残基組データ132の各欄は、図6に示した3残基組データ130の各欄と同様である。このため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。図13に示されるように、タンパク質間結合部位における3残基組の文字列が“NGK”、“NGT”、“GNF”および“GNL”である。また、結合部位に存在するアミノ酸残基511であるNとアミノ酸残基515であるGとのCα原子間距離が9.86×10-10mである。なお、ここでは、各アミノ酸残基のCα原子の座標は変わらないと仮定する。このため、欄625に示されるCα原子間距離が図12に示す結合3残基組データ131と図13に示す変異後3残基組データ132とで同じ値になっている。
次に、相互作用スコア算出部213は、結合3残基組データ131および3残基組テーブル151に基づいて、複合体立体構造情報101で示されるタンパク質間の相互作用力を示す結合相互作用スコア135を算出する。また、相互作用スコア算出部213は、変異後3残基組データ132および3残基組テーブル151に基づいて、変異後複合体立体構造情報133で示されるタンパク質間の相互作用力を示す変異後相互作用スコア136を算出する(S7)。相互作用スコア算出処理(S7)の詳細については後述する。
相互作用力変化予測値算出部214は、変異後相互作用スコア136から結合相互作用スコア135を減算することにより、変異前後における相互作用力の変化を示す相互作用力変化予測値103を算出する(S8)。
次に、相互作用スコア算出処理(S7)の詳細について説明する。図14は、相互作用スコア算出処理(S7)の詳細を示すフローチャートである。
まず、相互作用スコア算出部213は、結合3残基組データ131から、アミノ酸残基種類を連続して示す3文字の文字列を1行分読み込む(S71)。つまり、図12に示す結合3残基組データ131において、欄621、622、623および624にそれぞれ示される3文字の文字列“SGK”、“SGT”、“GSF”および“GSL”を1行分読み込む。
相互作用スコア算出部213は、S71の処理で読み込んだ3文字の文字列で示される3残基組のスコアを、3残基組テーブル151の中から検索し、検索したスコアの平均値を、3残基構造指標として算出する(S72)。つまり、相互作用スコア算出部213は、S71の処理で読み込んだ3文字の文字列と一致する文字列を、3残基組テーブル151の欄631の中から検索し、その文字列に対応する欄632に示されている3残基組のスコアの平均値を算出する。例えば、上述のように3文字の文字列“SGK”、“SGT”、“GSF”および“GSL”が読み込まれている場合には、相互作用スコア算出部213は、図8に示した3残基組テーブル151から、文字列“SGK”、“SGT”、“GSF”および“GSL”にそれぞれ対応するスコア2.85、2.85、2.85および2.85を抽出し、それら4つのスコアの平均値2.85を算出する。
また、相互作用スコア算出部213は、複合体立体構造情報101で示されるタンパク質結合部位におけるアミノ酸残基511およびアミノ酸残基515からなるアミノ酸残基対の相互作用力を示すアミノ酸ペア指標を決定する(S73)。つまり、S71で読み込んだ3文字の文字列の前2文字がアミノ酸残基対を示している。例えば、上述の例では“SG”がアミノ酸残基対を示す。相互作用スコア算出部213は、アミノ酸残基対の相互作用力を示すアミノ酸ペア指標を、図15に示すようなアミノ酸残基対テーブル310を参照して決定する。アミノ酸残基対テーブル310には、2つの欄が設けられている。欄311には、アミノ酸残基対が、連続する2文字の文字列で示されている。欄312には、アミノ酸残基対のアミノ酸ペア指標が示されている。なお、アミノ酸の種類数は20であるため、アミノ酸残基対は20×20=400種類存在する。このため、3残基組テーブル151に示される3残基組の種類数も400となる。ただし、互いに順列の異なる関係にあるアミノ酸残基対(例えば、“GS”と“SG”)では、アミノ酸ペア指標は同一の値となるため、3残基組テーブル151に示される3残基組の種類数を200にすることも可能である。アミノ酸残基対のアミノ酸ペア指標の実例については、非特許文献4に記載されている。このため、その詳細な説明は繰り返さない。アミノ酸残基対テーブル310より、アミノ酸残基対“GS”に対応するアミノ酸ペア指標は、0.1と決定される。
相互作用スコア算出部213は、S72で決定された3残基組構造指標およびS73で決定されたアミノ酸ペア指標のそれぞれに、異なる所定の係数を掛け加算することにより、部分相互作用スコアを計算する(S74)。つまり、3残基組構造指標とアミノ酸ペア指標とを同じウェイトで算出するため、3残基組構造指標の値の幅が2.85であり、アミノ酸ペア指標の値の幅が2であることから、相互作用スコア算出部213は、部分相互作用スコアを以下の(式2)にしたがって算出する。
部分相互作用スコア=アミノ酸ペア指標×2.85
−3残基組構造指標×2 …(式2)
ここで、減算を行なっているのは、アミノ酸ペア指標と3残基組構造指標との極性が異なるためである。つまり、アミノ酸ペア指標は、値が大きいほど2つのタンパク質が反発しあい、値が小さいほど2つのタンパク質が引き合うことを示すのに対し、3残基組構造指標は、値が大きいほど2つのタンパク質が引き合い、値が小さいほど2つのタンパク質が反発しあうことを示す。なお、各指標に掛け合わせる係数は変更しても良い。
上記の例では、3残基組の構造指標が2.85であり、アミノ酸ペア指標が0.1であるため、部分相互作用スコアが−5.415と算出される。
相互作用スコア算出部213は、算出した部分相互作用スコアの平均を、一時相互作用スコアとして算出する(S75)。
相互作用スコア算出部213は、結合3残基組データ131の全ての行について、S71〜S75の処理が終了したかを判定し(S76)、終了していない行が存在する場合には(S76でNO)、S71以降の処理を繰り返す。全ての行について処理が終了していれば(S76でYES)、その時点で求められている一時相互作用スコアを結合相互作用スコア135として出力する。
一方、相互作用スコア算出部213は、変異後3残基組データ132に対しても、図14に示す処理を実行し、変異後相互作用スコア136を算出する。つまり、相互作用スコア算出部213は、結合3残基組データ131の代わりに変異後3残基組データ132に対して、図14に示す処理を実行する。これにより、結合相互作用スコア135の代わりに、変異後相互作用スコア136が算出される。
以上の処理により、結合相互作用スコア135として、−5.415が算出され、変異後相互作用スコア136として、−5.035が算出されたとする。この結果、上述した相互作用力変化予測値算出処理(S8)において、相互作用力変化予測値103が0.38(=−5.035−(−5.415))として算出される。
なお、相互作用力変化予測装置100は、コンピュータにより実現することが可能である。
図16は、相互作用力変化予測装置100の外観図である。相互作用力変化予測装置100は、コンピュータ434と、コンピュータ434に指示を与えるためのキーボード436およびマウス438と、コンピュータ434の演算結果等の情報を提示するためのディスプレイ432と、コンピュータ434で実行されるプログラムを読み取るためのCD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)装置440および通信モデム(図示せず)とを含む。
相互作用力の変化を予測するためのプログラムは、コンピュータで読取可能な媒体であるCD−ROM42に記憶され、CD−ROM装置440で読み取られる。または、コンピュータネットワーク426を通じて通信モデムで読み取られる。
図17は、相互作用力変化予測装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。コンピュータ434は、CPU(Central Processing Unit)444と、ROM(Read Only Memory)446と、RAM(Random Access Memory)448と、ハードディスク450と、通信モデム452と、バス454とを含む。
CPU444は、CD−ROM装置440または通信モデム452を介して読み取られたプログラムを実行する。ROM446は、コンピュータ434の動作に必要なプログラムやデータを記憶する。RAM448は、CPU444で実行されるプログラムおよびプログラム実行時に生成される中間データなどを記憶する。ハードディスク450は、プログラムおよびデータなどを記憶する。通信モデム452は、コンピュータネットワーク426を介して他のコンピュータとの通信を行なう。バス454は、CPU444、ROM446、RAM448、ハードディスク450、通信モデム452、ディスプレイ432、キーボード436、マウス438およびCD−ROM装置440を相互に接続する。
次に、本実施の形態に示した相互作用力変化予測装置100による相互作用力変化予測値の正当性について考察する。
本実施の形態による相互作用変化の予測方法を用いて、非特許文献5に記載のドッキングベンチマークデータのRigid−bodyの63の複合体PDBデータを複合体構造データベース152として3残基組テーブル151を作成する。また、非特許文献6と非特許文献7と非特許文献8に示される複合体情報と結合部位への1変異を行った変異体の結合自由エネルギー変化量を参照し、複合体立体構造情報101としてPDB−ID:1B0G、1MLC、1VFB、2DQJのPDBデータを使用する。さらに、各非特許文献に示される変異情報102を入力情報として、39の相互作用力変化予測値103を得た。この算出した相互作用力変化予測値103をX軸に各文献による結合自由エネルギー変化量をY軸としてプロットしたグラフを、予測値と実験値との相関図として図18に示す。39の予測値のうち、28の予測値の正負が、実験値の正負と一致し、約72%の正確度である。なお、3残基組構造指標のみを用いて同様の実験を行った場合、約62%の正確度である。つまり、3残基組構造指標とアミノ酸ペア指標との双方を用いて相互作用力変化予測値103を算出することにより、その精度を高めることが可能となる。
なお、相互作用力は、結合部位における2つのアミノ酸残基のみならず、その周囲に位置するアミノ酸残基によっても変化する。このため、3残基組を用いることにより、精度良く相互作用力の変化を予測することができる。
Julian Mintseris, et al.,"Protein-Protein Docking Benchmark 2.0: An Update", PROTEINS volume 60, Issue 2, 2005 S. M. Lippow, et al.,"Computational design of antibody affinity improvement beyond in vivo maturation", Nature Biotechnology volume 25, 2007 M. Shiroishi, et al.,"Structural Consequences of Mutations in Interfacial Tyr Residues of a Protein Antigen-Antibody Complex", THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY volume 282, number 9, 2007 I. Mandrika, et al.,"Improving the affinity of antigens for mutated antibodies by use of statistical molecular design",Journal of Peptide Science volume 14, 2008
以上説明したように、本実施の形態に係る相互作用力変化予測装置100の構成によれば、複合体立体構造情報101と変異情報102とを入力情報として、8000種類の3残基組文字列と3残基組スコアから構成される3残基組テーブル151を参照することにより、少ない計算資源下においてもタンパク質間相互作用変化の予測が可能である。
以上、本発明の実施の形態に係る相互作用力変化予測装置100について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
例えば、本実施の形態において、タンパク質501とタンパク質502とは1対のアミノ酸残基が結合している複合体を形成している例を示したが、結合するアミノ酸残基対は複数存在してもよい。
また、本実施の形態において、結合部位のアミノ酸残基対の判定基準として、アミノ酸残基のCα原子間距離が12×10-10m以下のものを結合部位のアミノ酸残基対としたが、アミノ酸残基の側鎖の重心間の距離が6.5×10-10m以下のものを結合部位のアミノ酸残基対とするなどの別の判定基準を用いてもよい。
また、本実施の形態において、3残基組テーブル151の欄631に示す3残基組は、3残基組データ130の欄621〜624に示す3残基組を集約することにより作成したが、N末端側のアミノ酸残基とC末端側のアミノ酸残基とを区別して集約しても良い。つまり、欄621および欄623の集約と、欄622および欄624の集約と区別して行なってもよい。これにより、より正確な相互作用力の変化予測が可能となる。なお、3残基組テーブル151の行数は、2倍になる。
また、本実施の形態において、上述の(式1)に従いサブスコアを計算し、サブスコアの総和を3残基組テーブル151における3残基組のスコアとしたが、3残基組の出現頻度または出現確率を3残基組のスコアとしてもよいし、3残基組データ130の欄625に示されるCα原子間距離の平均値を3残基組のスコアとしてもよい。
また、本実施の形態において、相互作用スコア算出部213では3残基組構造指標およびアミノ酸ペア指標を用いた相互作用スコア(結合相互作用スコア135および変異後相互作用スコア136)の算出を行っている。3残基組構造指標は、3残基組が結合部位を形成する頻度が高く、より近接している場合には大きな数値となり既存複合体立体構造データの統計から結合力の高さを表している。また、アミノ酸ペア指標は、アミノ酸残基の水素結合、静電的相互作用および疎水的相互作用の観点からのアミノ酸残基間の結合力の低さを表している。したがって、相互作用スコアを求める際に、上述の(式2)で示したように、3残基組構造指標にマイナスの係数をかけた上で、両者を足し合わせている。また、その比率は、式2に示したようにアミノ酸ペア指標:3残基組構造指標=2.85:2としている。相互作用スコアは、経験的な構造指標と物理化学的な性質からの指標の性質を併せ持つ指標となっている。しかしながら、3残基組構造指標のみを用いて相互作用スコアを計算してもよいし、3残基組構造指標とアミノ酸ペア指標との加算比率を変更してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及びおよび範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、生体または人工の各タンパク質の相互作用力の変化を予測する相互作用力変化予測装置等に適用でき、特に、生化学、医療または製薬などのタンパク質に関する研究を行う分野全般において有用である。
100 相互作用力変化予測装置
101、104 複合体立体構造情報
102 変異情報
103 相互作用力変化予測値
130 3残基組データ
131 結合3残基組データ
132 変異後3残基組データ
133 変異後複合体立体構造情報
135 結合相互作用スコア
136 変異後相互作用スコア
137 相互作用スコア
151 3残基組テーブル
152 複合体構造データベース
201 相互作用力変化予測部
202 3残基組テーブル作成部
211 結合3残基組データ作成部
212 変異後3残基組データ作成部
213 相互作用スコア算出部
214 相互作用力変化予測値算出部
310 アミノ酸残基対テーブル

Claims (8)

  1. タンパク質に変異をかける前後における2つのタンパク質間の相互作用力の変化を予測する相互作用力変化予測装置であって、
    相互作用する2つのタンパク質を構成する原子の位置を示す複合体立体構造情報を参照し、前記2つのタンパク質の結合部位において一定の距離内に近接する1対のアミノ酸残基ペアと、前記アミノ酸残基ペアの中の一方のアミノ酸残基のアミノ酸配列上隣り合うN末端側またはC末端側の1つのアミノ酸残基とを示す3残基組を複数取得し、取得した複数の前記3残基組を示す結合3残基組データを作成する結合3残基組データ作成部と、
    変異をかけるタンパク質のアミノ酸残基の位置と変異後のアミノ酸残基の種類とを示す変異情報を参照し、前記結合3残基組データで示される複数の前記3残基組のそれぞれについて、前記変異をかけるタンパク質のアミノ酸残基の位置のアミノ酸残基の種類を、前記変異後のアミノ酸残基の種類に置き換えた3残基組を示す変異後3残基組データを作成する変異後3残基組データ作成部と、
    任意の3つのアミノ酸残基の種類を示す3残基組文字列と、前記3残基組文字列により示される種類の3つのアミノ酸残基が、2つのタンパク質の結合部位において前記3残基組を構成したときの相互作用力を示す3残基組スコアとを対応付けたデータである3残基組テーブルを参照し、前記結合3残基組データによって示される複数の前記3残基組の相互作用力の平均値である結合相互作用スコアと、前記変異後3残基組データによって示される複数の前記3残基組の相互作用力の平均値である変異後相互作用スコアとを算出する相互作用スコア算出部と、
    前記変異情報にて指定された変異をかける前とかけた後との前記2つのタンパク質間の相互作用力の変化を予測するための相互作用力変化予測値として、前記結合相互作用スコアおよび前記変異後相互作用スコアの差分を算出する相互作用力変化予測値算出部と
    を備える相互作用力変化予測装置。
  2. 前記3残基組テーブルに含まれる前記3残基組スコアは、各々が、相互作用する2つのタンパク質を構成する原子の位置を示す所定の複数の複合体立体構造情報から統計的に算出される
    請求項1記載の相互作用力変化予測装置。
  3. 前記3残基組テーブルに含まれる前記3残基組スコアは、前記複数の複合体立体構造情報から取得される前記3残基組に含まれる前記アミノ酸残基ペアのアミノ酸残基間の距離情報を用いて算出される
    請求項2記載の相互作用力変化予測装置。
  4. 前記3残基組テーブルに含まれる前記3残基組スコアは、前記複数の複合体立体構造情報から取得される前記3残基組に含まれる前記アミノ酸残基ペアのアミノ酸残基間の距離が小さいほど大きくなるような値として算出される
    請求項3記載の相互作用力変化予測装置。
  5. 前記3残基組テーブルに含まれる前記3残基組スコアは、前記複数の複合体立体構造情報から取得される前記3残基組の出現頻度または出現確率を用いて算出される
    請求項2記載の相互作用力変化予測装置。
  6. 前記相互作用スコア算出部は、さらに、2つのアミノ酸残基の種類を示すアミノ酸ペア文字列と、前記アミノ酸ペア文字列により示される種類の2つのアミノ酸残基の相互作用力を統計的または物理化学的性質により示すアミノ酸ペア指標とからなるテーブルを参照し、前記結合3残基組データによって示される複数の前記3残基組に含まれるアミノ酸残基ペアのアミノ酸ペア指標の平均値を前記結合相互作用スコアに加算し、前記変異後3残基組データによって示される複数の前記3残基組に含まれるアミノ酸残基ペアのアミノ酸ペア指標の平均値を前記変異後相互作用スコアに加算する
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の相互作用力変化予測装置。
  7. コンピュータにより、タンパク質に変異をかける前後における2つのタンパク質間の相互作用力の変化を予測する相互作用力変化予測方法であって、
    相互作用する2つのタンパク質を構成する原子の位置を示す複合体立体構造情報を参照し、前記2つのタンパク質の結合部位において一定の距離内に近接する1対のアミノ酸残基ペアと、前記アミノ酸残基ペアの中の一方のアミノ酸残基のアミノ酸配列上隣り合うN末端側またはC末端側の1つのアミノ酸残基とを示す3残基組を複数取得し、取得した複数の前記3残基組を示す結合3残基組データを作成し、
    変異をかけるタンパク質のアミノ酸残基の位置と変異後のアミノ酸残基の種類とを示す変異情報を参照し、前記結合3残基組データで示される複数の前記3残基組のそれぞれについて、前記変異をかけるタンパク質のアミノ酸残基の位置のアミノ酸残基の種類を、前記変異後のアミノ酸残基の種類に置き換えた3残基組を示す変異後3残基組データを作成し、
    任意の3つのアミノ酸残基の種類を示す3残基組文字列と、前記3残基組文字列により示される種類の3つのアミノ酸残基が、2つのタンパク質の結合部位において前記3残基組を構成したときの相互作用力を示す3残基組スコアとを対応付けたデータである3残基組テーブルを参照し、前記結合3残基組データによって示される複数の前記3残基組の相互作用力の平均値である結合相互作用スコアと、前記変異後3残基組データによって示される複数の前記3残基組の相互作用力の平均値である変異後相互作用スコアとを算出し、
    前記変異情報にて指定された変異をかける前とかけた後との前記2つのタンパク質間の相互作用力の変化を予測するための相互作用力変化予測値として、前記結合相互作用スコアおよび前記変異後相互作用スコアの差分を算出する
    相互作用力変化予測方法。
  8. 請求項7に記載の相互作用力変化予測方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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