JP4808920B2 - 自動機械の制御装置 - Google Patents

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本発明は、自動機械の制御装置において、ロボットとロボット、ロボットとポジショナを連動運転する制御装置に関する。
従来の協調動作を行うロボットシステムの例を図6、図7に示して説明する。図6では、2つのロボットに関する演算を説明する。スレーブロボット101の座標系をΣRとする。マスタロボット100の座標系をΣMとする。マスタロボット100の動作に連動して、スレーブロボット101の動作が実行されるとする。変換行列Tは、ΣRとΣMの変換を表わすものである。ここで、点PcをΣMの座標系上で表わすとMc、ΣRの座標系上で表わすとRcという関係であるとすると、
Rc=T・Mc
が成り立つ(例えば、非特許文献1)。
このような関係を利用して、マスタの動作に連動して、スレーブの目標位置を求めることにより、教示位置の補間演算を実行し、ロボット同士、またはロボットとポジショナなどの自動機械同士を協調動作していた(例えば、特許文献1)。
実際の溶接アプリケーションとして、多層盛溶接に関して説明する。マスタロボット100は、手先部に治具104が取り付けられており、治具104の上に溶接ワーク103をクランプしている。スレーブロボット101は、溶接トーチ102を手先部に備えている。多層盛溶接を行うワークは、大物が多いため、溶接ワークのセット誤差が大きい。このため、外部センサなどにより、ずれ量を検出して、教示位置をシフトする必要がある。図8に基づいて、シフト量と位置の関係について説明する。1層目の1パスの開始点P1を溶接する前には、溶接ワーク103のシフト量Sをタッチセンサなどを用いて演算する。ここで、シフト量は、位置及び回転を伴う変換行列である。以下に説明する座標については、座標系ΣR上の値である。シフト量Sを用いて、P1の位置をフレームPtとし、シフト後の位置P2のフレームPaについて、次式が成り立つ。
Pa=S・Pt
以上のようにして、従来はシフト量を元に教示位置を演算していた。
これらの従来技術を組合せて、多層盛溶接を行う場合には、1層目のシフト量を2層目、3層目の教示位置に同じようにシフトし、協調動作を行っていた。
特開2003−145462号公報(第10頁左列第3行〜第37行) John J.Graig著「ロボティクス」共立出版、1994年4月15日、p.34−35
以上に述べた従来のロボット制御装置では、1層目で求めたシフト量と、2層目で使用するシフト量同一にする必要があった。つまり、1層目のシフト量は、2つのロボットの基準となる座標系ΣRに対して同一であるために、2層目でワークを把持しているロボットを動作させ、ワークの位置や姿勢を変化させることができなかった。
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、シフト動作を簡単に実現するロボット制御装置を提供することを目的とする
本発明の請求項1記載の自動機械の制御装置は、ワークをクランプする1台のマスタ自動機械と、前記マスタ自動機械と連動して動作するスレーブ自動機械とから構成される自動機械システムを制御する自動機械システムの制御装置であって、前記スレーブ自動機械の座標系であるスレーブ座標系(ΣR)と、前記マスタ自動機械の座標系であるマスタ座標系(ΣM)との関係を表わすキャリブレーションデータ(T)を記憶する手段と、前記ワークの教示位置に対するずれ量を検出するセンサからの入力に基づいて、前記ワークの教示位置に対するずれ量を検出し、検出したずれ量を前記ワークのスレーブ座標系におけるシフト量(Rs)として入力するスレーブ座標系シフト量入力部と、スレーブ座標系(ΣR)における前記スレーブ自動機械の現在値(Pc)の位置及び姿勢データから、当該現在値(Pc)をスレーブ座標系(ΣR)上で表すフレーム(Rc)を作成し、マスタ座標系(ΣM)における前記マスタ自動機械の現在値(Pc)位置及び姿勢データから、当該現在値(Pc)をマスタ座標系(ΣM)上で表わすフレーム(Mc)を作成する制御点取得部と、前記フレーム(Rc)と、スレーブ座標系におけるシフト量(Rs)と、キャリブレーションデータ(T)と、に基づいて、スレーブ座標系におけるシフト量(Rs)をマスタ座標系におけるシフト量(Ms)に変換するマスタ座標系シフト量変換部と、前記フレーム(Mc)と、マスタ座標系におけるシフト量(Ms)と、キャリブレーションデータ(T)と、に基づいて、マスタ座標系におけるシフト量(Ms)をスレーブ座標系におけるシフト量(Rs)に変換するスレーブ座標系シフト量変換部とを備え、スレーブ座標系シフト量入力部により、前記ワークの教示位置に対するずれ量をスレーブ座標系におけるシフト量(Rs)として入力する過程と、入力された前記スレーブ座標系におけるシフト量(Rs)に基づいて、前記スレーブ自動機械の動作軌跡をシフトさせて前記スレーブ自動機械を動作させる過程と、前記マスタ自動機械を動作させる過程と、マスタ座標系シフト量変換部により前記マスタ自動機械の動作後の前記マスタ座標系におけるシフト量(Ms)をスレーブ座標系におけるシフト量(Rs)に変換する過程と、当該変換したスレーブ座標系におけるシフト量(Rs)に基づいて、前記スレーブ自動機械の動作軌跡をシフトさせて、前記スレーブ自動機械を動作させる過程と、を実行することを特徴とするものである。
本発明を使用することで、ロボットやポジショナに保持されているワークのずれ量を教示軌跡に反映できるために、教示作業が非常に容易になるという格段の効果を奏するものである。
以下、本発明の実施の形態として図1〜図5に基づいて説明する
本実施例のロボットシステムの概要を図1に基づいて説明する。マスタロボット100は、手先部に治具104が取り付けられており、治具104の上に溶接ワーク103をクランプしている。スレーブロボット101は、溶接トーチ102を手先部に備えている。スレーブ座標系シフト量入力部は、スレーブ座標でのシフト量を入力するものである。例えば、外部センサなどにより、検出した溶接ワーク103のシフト量を入力する。制御点取得部3は、ロボット100、101の各制御点を取得する処理を行う。各制御点は、直交XYZ軸の3軸、及び各軸の回転量を表わす行列で表現されている。座標系キャリブレーションデータ4は、スレーブの座標系とマスタの座標系の関係を表わすキャリブレーションデータである。マスタ座標系シフト量変換部2は、スレーブ座標系シフト量とロボット100、101の制御点と、座標系キャリブレーションデータ4とから、スレーブ座標系シフト量をマスタ座標系シフト量に変換するものである。
以下に、詳細部分について図2に基づいて説明する。説明を簡単にするために、ワールド座標系をスレーブ座標系と同一に設定する。スレーブの座標系をΣR、マスタの座標系をΣM、座標系キャリブレーションデータを変換行列Tとする。ここで、点PcをΣMの座標系上で表わすとMc、ΣRの座標系上で表わすとRc、スレーブ座標系シフト量Rsとする。
制御点取得部3では、ロボット100及びロボット101の各々の座標系での現在値から、フレームを作成する。点Pcの位置を(x,y,z)、姿勢データを(α,β,γ)とする。ここで、α、β、γは、X軸、Y軸、Z軸回りの回転角度である。この位置及び姿勢から、フレームRcは、
Figure 0004808920
となる。
よって、各座標系も同様に表現され、次式がなりたつ。
Ra=Rs・Rc ・・・(1)
Mc=T-1・Rc ・・・(2)
Ma=T-1・Ra ・・・(3)
Ma=Ms・Mc ・・・(4)
(1)、(2)、(3)式より、Ma、Mcを求め、(4)式より、
Ms=Ma・Mc-1 =(T-1・Ra)・(T-1・Rc)-1
=T-1・Rs・Rc・(T-1・Rc)-1 ・・・(5)
を求める
ここでは、マスタ座標系シフト量入力部5にマスタ座標系のシフト量が入力される。その後、スレーブ座標系シフト量変換部6にて、スレーブ座標系でのシフト量が演算されるものである。
以下、詳細について、図2を元に説明する。
(1)式より、
Rs=Ra・Rc-1 ・・・(6)
(2)、(3)、(4)式より、
Rs=Ra・Rc-1=(T・Ma)・(T・Mc)-1
=T・Ms・Mc・(T・Mc)-1 ・・・(7)
となる。
このようにして、マスタ座標系のシフト量をスレーブ座標系のシフト量へ変換することができる
実際のアプリケーションについて、説明する。
図4(a)では、溶接トーチ102を保持しているスレーブロボットで、溶接ワーク103のずれ量を演算する。この演算量は、教示位置に対してシフト量として入力される。入力形態としては、ロボットの位置変数と呼ばれる位置を格納するユーザが使用する変数にセットされる。このセットの方法については、電気的に接触を感知するワイヤタッチによりずれ量を求める方法や、外部センサを取り付けてずれ量を求める方法、または画像処理センサなどによる光学的な検出方法などある。
ロボットプログラムの例を図5に示す。SYNCONは、協調動作の開始命令である。MOVLは、直線動作をさせる命令である。SFTON P000のP000が、スレーブ座標系シフト量入力部1に相当する。SFTONにより、P000の値で、以下のロボットの位置がシフトされる。つまり、SFTOF命令が実行されるまでは、SFTON P000のシフト量でスレーブ側のロボット、つまり、溶接トーチ102を把持しているロボットの軌跡がシフトされる。
図4(b)のように、マスタのロボットが治具104を移動させた場合を考える。図5のロボットプログラムのライン7では、CNVRT命令によって、現在のスレーブ座標系のシフト量マスタ座標系のシフト量に変換される。その後、ライン8では、マスタのロボットが移動する。例えば、溶接ワーク103の姿勢を変化させたりする。ライン9では、マスタ座標系のシフト量に変換されたシフト量をスレーブ座標系のシフト量に変換する。
以上のようにすれば、マスタがどのように変化しても、スレーブ座標系上のずれ量を確実にワークに追従して、軌跡に反映させることができる。
また、本実施例では、スレーブ座標系でのシフト量を求めたアプリケーションを説明したが、システム構成上、マスタ座標系でのシフト量を求める場合にも、同じように実現できる。さらに、実施例では、ロボットとロボットについて説明したが、ロボットとポジショナなどの組合せにも適用できる。マスタを1台、スレーブを3台、4台と増やしても同じように実現できる。
本発明は、ロボットとロボット、ロボットとポジショナを連動運転する自動機械の制御装置に関する。
本発明の第1実施例を示す構成図 本発明の第1、2実施例の座標系の説明図 本発明の第2実施例を示す構造図 本発明の第3実施例のアプリケーション例 本発明の第3実施例のプログラム例 従来技術の座標系の説明図 従来技術のアプリケーション例 シフト動作の説明図
符号の説明
1:スレーブ座標系シフト量入力部
2:マスタ座標系シフト量変換部
3:制御点取得部
4:座標系キャリブレーションデータ
5:マスタ座標系シフト量入力部
6:スレーブ座標系シフト量変換部

Claims (1)

  1. ワークをクランプする1台のマスタ自動機械と、前記マスタ自動機械と連動して動作するスレーブ自動機械とから構成される自動機械システムを制御する自動機械システムの制御装置であって、
    前記スレーブ自動機械の座標系であるスレーブ座標系(ΣR)と、前記マスタ自動機械の座標系であるマスタ座標系(ΣM)との関係を表わすキャリブレーションデータ(T)を記憶する手段と、
    前記ワークの教示位置に対するずれ量を検出するセンサからの入力に基づいて、前記ワークの教示位置に対するずれ量を検出し、検出したずれ量を前記ワークのスレーブ座標系におけるシフト量(Rs)として入力するスレーブ座標系シフト量入力部と、
    スレーブ座標系(ΣR)における前記スレーブ自動機械の現在値(Pc)の位置及び姿勢データから、当該現在値(Pc)をスレーブ座標系(ΣR)上で表すフレーム(Rc)を作成し、マスタ座標系(ΣM)における前記マスタ自動機械の現在値(Pc)位置及び姿勢データから、当該現在値(Pc)をマスタ座標系(ΣM)上で表わすフレーム(Mc)を作成する制御点取得部と、
    前記フレーム(Rc)と、スレーブ座標系におけるシフト量(Rs)と、キャリブレーションデータ(T)と、に基づいて、スレーブ座標系におけるシフト量(Rs)をマスタ座標系におけるシフト量(Ms)に変換するマスタ座標系シフト量変換部と、
    前記フレーム(Mc)と、マスタ座標系におけるシフト量(Ms)と、キャリブレーションデータ(T)と、に基づいて、マスタ座標系におけるシフト量(Ms)をスレーブ座標系におけるシフト量(Rs)に変換するスレーブ座標系シフト量変換部とを備え、
    スレーブ座標系シフト量入力部により、前記ワークの教示位置に対するずれ量をスレーブ座標系におけるシフト量(Rs)として入力する過程と、
    入力された前記スレーブ座標系におけるシフト量(Rs)に基づいて、前記スレーブ自動機械の動作軌跡をシフトさせて前記スレーブ自動機械を動作させる過程と、
    前記マスタ自動機械を動作させる過程と、
    マスタ座標系シフト量変換部により前記マスタ自動機械の動作後の前記マスタ座標系におけるシフト量(Ms)をスレーブ座標系におけるシフト量(Rs)に変換する過程と、
    当該変換したスレーブ座標系におけるシフト量(Rs)に基づいて、前記スレーブ自動機械の動作軌跡をシフトさせて、前記スレーブ自動機械を動作させる過程と、を実行する
    ことを特徴とする自動機械の制御装置
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