JP4805732B2 - ボリュームデータから中立面を生成する中立面生成方法とそのプログラム - Google Patents
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以下、本出願において、境界平面が直交する直方体セルを「ボリュームセル」、各セル毎に種々の物性値を記憶したものを「ボリュームデータ」、ボリュームデータを用いたシミューション手段を「ボリュームCAD」又は「VCAD」と呼ぶ。
しかし、例えば薄板を設計する際には、物体の中立面の形状を表すサーフェスモデルで設計されることが多い。また、有限要素法などで解析計算を行う場合も、やはり中立面形状が必要となる。
非特許文献1の手段は、中心軸変換(MAT:Medial Axis Transform)と呼ぶ、円や球を境界情報に内接させる手段である。中心軸変換は、探索とか、アニメーションとか、有限要素法のメッシュ生成とか、経路探索、特徴認識などに有用な、骨格(スケルトン)表現法である。
また特許文献1および非特許文献2の手段は、局所Marching Cube 法を用いた等値面作成手段であり、ボリュームデータから高精度に中立面形状が生成でき、複雑形状にも対応可能である。
また、特許文献1および非特許文献2の手段は、大量なデータが必要であり、複雑な形状を表現する上での計算負荷が高く、1台のPCで大規模データを扱うには限界があった。
(1)ボリュームデータ(物質の分布)や表面データから対象の概略形状特徴量を抽出できる。
(2)CADデータや表示用データ、点群などの3次元表面情報から物体の中立面を自動作成できる。
(3)CTやMRIなどボリューム計測データから指定した対象の中立面を自動抽出できる。
(4)同様に肉厚や、骨組み構造などの物体を特徴付ける諸量を簡易に、自動的に算出できる。
前記特定材料の境界データの内側及び境界面を含む位置に位置する特定セル毎に、当該特定セルとこれに隣接する複数のセルにおける前記特定材料の空間占有率の共分散から特定材料の厚さに相当する固有値と、厚さ方向にあたる固有値に対応した固有ベクトルを求める固有データ計算ステップと、
前記特定セル毎に、前記固有ベクトルの方向に沿って特定セル以外のセルまでの正方向距離と負方向距離を計算する距離計算ステップと、
前記正方向距離と負方向距離の差が所定の閾値以下の特定セルを中立セルとして選択し、中立セルの中心点を結んで中立面を生成する中立面生成ステップとを有する、ことを特徴とするボリュームデータから中立面を生成する中立面生成方法が提供される。
さらに行列Aを固有値分解して固有値と固有ベクトルを求め、非零となる最小の固有値の値と対応する固有ベクトルを前記特定セル毎に記憶する。
前記特定材料の境界データの内側及び境界面を含む位置に位置する特定セル毎に、当該特定セルとこれに隣接する複数のセルにおける前記特定材料の空間占有率の共分散の共分散から特定材料の厚さに相当する固有値と、厚さ方向にあたる固有値に対応した固有ベクトルを求める固有データ計算ステップと、
前記特定セル毎に、前記固有ベクトルの方向に沿って特定セル以外のセルまでの正方向距離と負方向距離を計算する距離計算ステップと、
前記正方向距離と負方向距離の差が所定の閾値以下の特定セルを中立セルとして選択し、中立セルの中心点を結んで中立面を生成する中立面生成ステップとを有する、ことを特徴とするボリュームデータから中立面を生成する中立面生成プログラムが提供される。
また行列の各成分は、それぞれ対角成分がX、Y,Z方向にずらしたときの平均からのズレの二乗和、それ以外の成分は半対称成分として、X方向とY方向のズレの積にあたる。従って行列全体として、位置に関係した物質のばらつき(分散)を表す。
従って、一番小さい固有値が、分布の少なさすなわち薄さにあたり、それに対応した固有ベクトルが薄く分布する対象を平面で近似したときの法線ベクトルに当たる。また逆に大きい値は厚みとして解釈できる。
固有値の1つが0になる場合は、3次元に広がっておらず、独立な成分が2つのみの平面状の分布、2つがゼロになれば線状の分布(厚み)となる。
(1)対象の形状だけでなく元素分布などがからも簡略化表現(骨組み)が得られる。これにより、データ量、処理速度の画期的な削減、転送、配布、編集の容易さなどの波及効果が得られる。
(2)中立面の生成により簡略化表現ができ、少ない情報で物体の本質的な形や動きが表現可能となる。
(3)構造や流体などの各種シミュレーション(数値解析)のためのシェル要素が得られる。これにより少ない計算時間とメモリ量で高精度な数値解析が行える。
(4)LOD(Level Of Detail)機能、すなわち分割数に応じた精度でリーズナブルに結果が得られる。粗い分割数ではそれなりに簡略化され、分割数を細かくするとより対象に忠実な形状が再現される
(5)従来のボクセル法よりも、同じ手間でボリューム共分散用いることで直接的に形状情報が簡易に、肉厚や中心軸などの特徴量を、境界セルによる体積占有率を用いることで高精度に算出できる。
図1は、本発明の方法を実行するための装置構成図である。この図に示すように、この装置は、ボリュームデータ入力手段12、外部記憶装置13、内部記憶装置14、中央処理装置15および出力装置16を備える。
外部記憶装置13は、ハードディスク、フロピィーディスク、磁気テープ、コンパクトディスク等であり、対象物のボリュームデータ及び本発明の中立面生成プログラムを記憶する。
内部記憶装置14は、例えばRAM,ROM等であり、演算情報を保管する。中央処理装置15(CPU)は、演算や入出力等を集中的に処理し、内部記憶装置14と共に、本発明の中立面生成プログラムを実行する。
出力装置16は、例えば表示装置とプリンタであり、記憶したボリュームデータと本発明の中立面生成プログラムの実行結果を出力する。
中央処理装置15、内部記憶装置14及び外部記憶装置13は、共同して、後述する固有データ計算手段、距離計算手段、および中立面生成手段として機能する。
この場合、対象物の境界データは、多面体を表すポリゴンデータ、有限要素法に用いる四面体又は六面体要素、3次元CAD又はCGツールに用いる曲面データ、或いはその他の立体の表面を部分的な平面や曲面で構成された情報で表現するデータである。
図3(A)において、1は対象物を構成する特定材料の境界データである。この例では、対象物を構成する特定材料が1種類の場合であり、境界データ1は対象物(斜線部)の輪郭線と一致する。また、2次元モデルでは、直方体のセル2は矩形(長方形又は正方形)となる。
また、図3(B)において、斜線を付したセルが境界セル3であり、それ以外のセルが非境界セル4である。従って、非境界セル4は、境界データ1の内側にも外側にも存在する。
図3(B)において、特定セルは、斜線を付した境界セル3とその内側に位置する非境界セル4が該当する。この図において、各特定セルに付した0〜1の数字は、特定材料のセル内に占める分布(空間占有率)を示している。
また行列の各成分は、それぞれ対角成分がX、Y,Z方向にずらしたときの平均からのズレの二乗和、それ以外の成分は半対称成分として、X方向とY方向のズレの積にあたる。従って行列全体として、位置に関係した物質のばらつき(分散)を表す。
従って、一番小さい固有値が、分布の少なさすなわち薄さにあたり、それに対応した固有ベクトルがその薄さの直交する、平面で対象を近似したときの法線ベクトルに当たる。また逆に大きい値は厚みとして解釈できる。
固有値の1つが0になる場合は、3次元に広がっておらず、独立な成分が2つのみの平面状の分布、2つがゼロになれば線状の分布(厚み)となる。
また、本発明におけるボリューム共分散は、対象を格子空間離散化(volume sampling)した際の、2つの座標軸における対象の分布(の偏り)を示したもので、2次元ならば2×2の行列、3次元ならば3×3の正方行列となり、固有値解析によってえられる固有値が分散(ばらつきの幅)、(対応する)固有ベクトルがそれとの直行方向(即ち法線)に相当する。
例えば、この図で斜線を付した特定セルにおける上の0.6は最小の固有値(厚さ)、下の(0.5,0.6)は2次元法線ベクトルのX成分、Y成分である。
すなわち、図4(B)に示すように、この図で斜線を付した特定セルを中心として、法線ベクトル(固有ベクトル)の方向に沿って正と負の2方向の半直線と交差する、同じ所属空間コードを有するセルを加算してゆく。非境界セル4に対しては空間占有率1を境界セル3についてはその空間占有率(0〜1までの値)を加算してゆき、これを異なる空間コードを持つ境界セル(即ち別の材料または外部を指す)まで行い、正方向の積算値(この例では+1.3)と負方向の積算値(この例では−1.2)の両方をセットする。
これをすべての特定セルについて行う。結果として、図5(A)に示すように、指定された材料に相当する特定セルはすべて(正負の)距離に相当する2つの値を持つ。
すなわち、図5(B)に示すように、距離計算ステップS3で得られた正方向と負方向の距離が同じものが中立セルであり、その中心点(1セル内では必ずしも同じではないが、近い値になるので、その場合はセル中心から法線方向に両方の値に比例した内分点を中心点とする)を結んできる三角形パッチ(図6)が中立面である。
なおKd木またはk次元木は、木構造の一種で、別名BSP木とも言われる。X,Y,Z軸のどれか任意の方向と位置で空間を二分してゆく階層構造により空間分割する方法である。
(1)鋳造、射出成形、鍛造などの素形材産業の製品の加工、シミュレーション、計測、評価、設計に効力を発揮する。
(2)医療や生体などの観察(計測)データからの特徴量(寸法、厚み、体積、面積、軸など)の頑健で高速な算出が可能であり、診療や生体認証(セキュリティ)への応用が可能である。
(3)プラントや車両などの検査、評価、保守にも適用できる。
2 セル、3 境界セル、4 非境界セル、
12 外部データ入力手段、13 外部記憶装置、
14 内部記憶装置、15 中央処理装置、16 出力装置、
53a 非境界セル、53b 境界セル、55 切断点
Claims (4)
- 対象物を構成する特定材料の境界データを境界平面が直交する直方体のセルに分割し、分割された各セルを特定材料の境界データの内側および外側に位置する非境界セルと境界面を含む境界セルとに区分したボリュームデータを、ボリュームデータ入力手段によりコンピュータに入力し、ボリュームデータから中立面を生成する中立面生成方法であって、
前記特定材料の境界データの内側及び境界面を含む位置に位置する特定セル毎に、当該特定セルとこれに隣接する複数のセルにおける前記特定材料の空間占有率の共分散から特定材料の厚さに相当する固有値と、厚さ方向にあたる固有値に対応した固有ベクトルを求める固有データ計算ステップと、
前記特定セル毎に、前記固有ベクトルの方向に沿って特定セル以外のセルまでの正方向距離と負方向距離を計算する距離計算ステップと、
前記正方向距離と負方向距離の差が所定の閾値以下の特定セルを中立セルとして選択し、中立セルの中心点を結んで中立面を生成する中立面生成ステップとを有する、ことを特徴とするボリュームデータから中立面を生成する中立面生成方法。 - 前記固有データ計算ステップにおいて、それぞれの特定セルに対し、隣接数p(pは1以上の整数)の数1の式(1)(2)で定義するボリューム共分散行列Aを求め、
さらに行列Aを固有値分解して固有値と固有ベクトルを求め、非零となる最小の固有値の値と対応する固有ベクトルを前記特定セル毎に記憶する、ことを特徴とする請求項1に記載のボリュームデータから中立面を生成する中立面生成方法。 - 前記ボリュームデータは、八分木分割又はkd木により、階層構造に対して局所的に分割数を変えて適用する、ことを特徴とする請求項1に記載のボリュームデータから中立面を生成する中立面生成方法。
- 対象物を構成する特定材料の境界データを境界平面が直交する直方体のセルに分割し、分割された各セルを特定材料の境界データの内側および外側に位置する非境界セルと境界面を含む境界セルとに区分したボリュームデータを、ボリュームデータ入力手段によりコンピュータに入力し、ボリュームデータから中立面を生成する中立面生成プログラムであって、
前記特定材料の境界データの内側及び境界面を含む位置に位置する特定セル毎に、当該特定セルとこれに隣接する複数のセルにおける前記特定材料の空間占有率の共分散から特定材料の厚さに相当する固有値と、厚さ方向にあたる固有値に対応した固有ベクトルを求める固有データ計算ステップと、
前記特定セル毎に、前記固有ベクトルの方向に沿って特定セル以外のセルまでの正方向距離と負方向距離を計算する距離計算ステップと、
前記正方向距離と負方向距離の差が所定の閾値以下の特定セルを中立セルとして選択し、中立セルの中心点を結んで中立面を生成する中立面生成ステップとを有する、ことを特徴とするボリュームデータから中立面を生成する中立面生成プログラム。
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