JP4803477B2 - 微生物の計測方法 - Google Patents

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Description

本発明は、食品、医療、製薬、医療等の分野で、微生物を計測する方法に関し、特に、迅速に微生物を計測する方法に関する。
近年、食中毒の大規模化や新興感染症の問題では、微生物に起因するリスクが、大きな社会問題になっている。こうした状況に対応するため、微生物検査の迅速化が強く求められている。
従来、微生物の検査には、培養法が用いられてきた。培養法は、生物学的な信号増幅を利用した検査方法である。培養法では、微生物種による栄養要求性の違いを利用して、選択培地を用いることで、目的の種のだけをある程度選択的に検出することができる。しかしながら、培養法は、微生物の分裂増殖によって信号増幅を行うため、検出できる信号強度を得るために時間を要する。公定法では、培養時間は概ね24時間以上を要し、真菌(カビや酵母)では、1週間を要する。
従来より、微生物検査に用いられてきた培養法の問題点は、培養時間が長いために、迅速な検査が行えない点であった。次に、培養法では、他の菌が混入しないために、無菌操作を必要とする。このため、専門的な知識が必要である。さらに、培養法では、微生物を増殖させて検出しているために、分裂、増殖しない微生物は検出することができない。
これらの問題点を解決するものとして、分子生物学的な技術を応用した迅速な検査技術が、考案、開発されている。例えば、遺伝子標識法、抗原標識法、およびファージの感染を利用する方法等がある。
遺伝子標識法は、微生物細胞内のDNAやRNAを標識して、微生物を検出する技術である。予め、検出対象となる微生物が有する固有の配列に対して、相補的に結合する遺伝子断片(プローブ)を用意し、そのプローブを蛍光色素、あるいは酵素で標識しておく。この標識プローブをサンプルに加えることにより、目的の遺伝子を特異的に蛍光標識、あるいは酵素標識できる。蛍光標識の場合には、蛍光顕微鏡やフローサイトメーターで蛍光を発している微生物を検出する。酵素標識の場合には、酵素の作用で蛍光を発する、または化学発光する試薬を加え、その信号を、顕微鏡や時間積算型の画像処理装置を用いて検出する。
次に、抗原標識法は、微生物が有する抗原を標識し、微生物を検出する技術である。予め、検出対象となる微生物が有する抗原に対して、特異的に結合する抗体を用意し、その抗体を蛍光色素、あるいは酵素で標識しておく。この標識酵素をサンプルに加えることにより、目的の抗原を特異的に蛍光標識、あるいは酵素標識できる。標識した微生物の検査は、遺伝子標識の検出は、遺伝子標識の場合と同様に行う。
さらに、ファージの感染を利用する方法では、標識されたファージ(微生物に感染するウイルス)をサンプルに添加して、目的とする微生物をファージに感染させ、ファージに施した標識に由来する信号を検出する。標識としては、放射性同位体、酵素、レポーター遺伝子を用いる。特に、レポーター遺伝子を用いる方法は、目的の微生物内でのみ所定の信号を発現させることができるため、非常に特異性の高い方法である。ファージの核酸に組み込むレポーター遺伝子としては、オパイン合成酵素遺伝子、β−グルクロニダーゼ遺伝子、β−ガラクトシダーゼ遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子がある。ファージの感染を利用したものとして、特許文献1、2に示す方法が提案されている。
特開平 8−154700号公報 特開平10−179161号公報
以上の従来の迅速検査技術では、蛍光または化学発光を検出することによって、信号を検出する。しかしながら、遺伝子標識法や抗原抗体法等の蛍光標識を用いた検出方法では、蛍光は特性の低い信号なので、夾雑物の影響が大きい(例えば、ゴミ粒子の自家蛍光)。また、蛍光標識を用いた検出方法では、信号強度が低いため、高感度な検出系が必要である。例えば、蛍光顕微鏡、フローサイトメーター等が必要である。
次に、従来の迅速検査技術で、化学発光する試薬を用いた検出方法では、化学発光は特異性の高い信号であるため、夾雑物の影響は小さい。しかし、信号強度が蛍光よりもさらに微弱なため、高感度な検出系が必要である。例えば、時間積算型の画像取得装置等が必要である。
ここで、高感度な検出系が必要な理由は、信号増幅度が低いためである。したがって、本発明の課題は、微生物計測の信号検出に対して、新たな信号増幅手段を提供し、高感度な検出を実現して、以上の問題点を解決することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る微生物の計測方法(第1の計測方法)は、酵素の量から微生物の量を求める微生物の計測方法において、計測しようとする微生物を自己触媒反応を触媒する酵素で標識し、自己触媒反応によって上記酵素の量を計測し、計測した酵素の量から微生物の量を求めることを特徴とする。
また、本発明に係る微生物の計測方法(第1の計測方法)は、その一つの実施の形態で、上記微生物のもつ固有の遺伝子に相補的に結合する遺伝子断片を酵素で標識し、該遺伝子断片を上記固有の遺伝子に結合させることにより、計測しようとする微生物に酵素を導入することが好適である。
さらに、本発明に係る微生物の計測方法(第1の計測方法)は、別の実施の形態で、上記微生物のもつ抗原に特異的に結合する抗体を酵素で標識し、該抗体を該抗原に結合させることにより、計測しようとする微生物に酵素を導入することが好適である。
次に、本発明に係る微生物の計測方法(第1の計測方法)は、別の実施の形態で、上記微生物を宿主とするウイルスの遺伝子に酵素の遺伝子を導入し、該微生物を該ウイルスに感染させ、該微生物内で該ウイルスの遺伝子が発現する際に、上記微生物内で上記酵素を合成させることが好適である。
本発明に係る微生物の計測方法(第2の計測方法)は、計測しようとする微生物を担体に保持するステップと、上記微生物のもつ固有の遺伝子に相補的に結合する遺伝子断片を、自己触媒反応を触媒する酵素で標識するステップと、上記微生物に上記酵素で標識された上記遺伝子断片を導入し、当該微生物を上記酵素で標識するステップと、自己触媒反応によって該酵素の上記担体の場所を検知し、該計測した酵素の上記担体の場所の数として上記微生物の数を求めるステップとを含むものである
また、本発明に係る微生物の計測方法(第2の計測方法)は、その一つの実施の形態で、上記微生物のもつ固有の遺伝子に相補的に結合する遺伝子断片を酵素で標識し、該遺伝子断片を上記固有の遺伝子に結合させることにより、計測しようとする微生物に酵素を導入することが好適である。
さらに、本発明に係る微生物の計測方法(第2の計測方法)は、別の実施の形態で、上記微生物のもつ抗原に特異的に結合する抗体を酵素で標識し、該抗体を該抗原に結合させることにより、計測しようとする微生物に酵素を導入することが好適である。
次に、本発明に係る微生物の計測方法(第2の計測方法)は、別の実施の形態で、上記微生物を宿主とするウイルスの遺伝子に酵素の遺伝子を導入し、該微生物を該ウイルスに感染させ、該微生物内で該ウイルスの遺伝子が発現する際に、上記微生物内で上記酵素を合成させることが好適である。
本発明に係る微生物の計測方法(第2の計測方法)は、2次元的なpHセンサを用いて、自己触媒反応にともなうpHの変化点を検知し、pHの変化点の数から上記微生物の数を求めることが好適である。
本発明に係る微生物の計測方法は、上記第1、第2の計測方法で、上記自己触媒反応が、上記酵素が触媒として作用する反応であることが好適である。
本発明によれば、本発明のいずれの構成を用いても特定の微生物を迅速で、選択的に計測することができる微生物の計測方法が提供される。
次に、本発明によれば、従来の蛍光色素や化学発光を検知する検査法に比べて、格段に簡便な検査方法が提供される。本発明では、操作が簡単であり、微生物の取り扱いや、特殊な測定機器(蛍光顕微鏡、高感度カメラ、およびフローサイトメーター等)に習熟した専門家でなくても、容易に、再現性よく微生物検査を行うことができる。
また、自己触媒反応の特徴は、触媒の濃度が低くても、検出すべき信号の強度が低下しない点にあり、本発明によれば、自己触媒反応により、反応が指数関数的に進行するため、非常に大きなシグナル増幅が可能である。結果として、微生物を非常に高感度に計測することができる。
さらに、本発明は、例えば、後述の式(I)の反応で、pH指示薬を用いることで、自己触媒反応にともなうpH変化を色の変化とすることができ、微生物の量を容易に検出できる。
さらにまた、本発明によれば、例えば、後述の式(II)の反応では、それ自体が変色をともなうことから、微生物の存在する場所を目視でも検出可能である。
以下に、本発明に係る微生物の計測方法について、その実施の形態を参照しながらさらに詳細に説明する。
本発明の微生物の計測方法は、2系統に大別することができる。図1は、本発明の実施の微生物の計測方法の流れ図である。第1の系統(第1の計測方法)は、1→2→3の工程を経る方法であり、第2の系統(第2の計測方法)は、1→4→5の工程を経る方法である。
第1の系統では、計測しようとする微生物に酵素を導入することで、又は微生物内で酵素を合成させることで微生物を酵素標識する工程、(図1の工程1)、自己触媒反応によって上記酵素の量を計測する工程(図1の工程2)、計測した酵素の量から微生物の量を求める工程(図1の工程3)を経る。
第1の系統では、工程1でまず、例えば、ポリエルリジン等でコートしたスライドガラス上に、例えば、パラホルムアルデヒド等の固定剤を用いて微生物を固定する。微生物の固定方法としては、この他に、例えば、ろ過フィルタ上にトラップした微生物を粘着シートに転写することで固定する方法、または担体表面に検出したい微生物と相補的に結合する抗体とを固定しておき、サンプルをその抗体固定化担体に接触させることで目的の微生物を担体上に固定する方法等を用いてもよい。次に、微生物を酵素標識するために、計測しようとする微生物のもつ固有の遺伝子に結合する遺伝子断片、又は計測しようとする微生物のもつ抗原に特異的に結合する抗体を、自己触媒反応を触媒する酵素で標識する。続いて、酵素で標識した上記遺伝子、又は上記抗体をスライドガラス上に滴下し、計測しようとしている微生物に酵素を導入することで、微生物を酵素標識する。
また、工程1では、計測しようとする微生物のもつ固有の遺伝子に結合する遺伝子断片、又は計測しようとする微生物のもつ抗原に特異的に結合する抗体を、例えば、ビオチン等で標識して、標識プローブとし、該標識プローブに対して、標識化(ここでは、アビジン)した酵素を特異的に結合することにより、微生物を酵素標識してもよい。
さらに、工程1では、計測しようとする微生物内で酵素を合成させ、微生物を酵素標識することとしてもよい。この場合には、まず、微生物を宿主とするウイルスに対して、ウイルスの核酸に酵素の遺伝子を組み込み、サンプルに加え、微生物をウイルスに感染させる。このとき、例えば、ウイルスがT4ファージであった場合、サンプル上のウイルスの濃度は、106個/mL以上が好ましく、109から1011個/mLがより好適である。上記ウイルスに感染した微生物は、ウイルスの酵素が組み込まれた遺伝子を翻訳し、酵素を合成する。このようにして、微生物を酵素標識するときでは、例えば、大腸菌にはラムダファージやT系ファージ、M13ファージ等が適している。その他、サルモネラ菌にはP22、赤痢菌等にはP2、枯草菌φ105やφE1、カンキツかいよう病菌(Xanthomonascampestris pv. citri)にはCP1およびCP2、Clostridium botulinumにはCDβおよびDEβ、ジフテリア菌にはβtoxt、黄色ブドウ球菌には42D、緑膿菌にはD3、Vibrio fetusにはVFP−13をそれぞれ用いることが適している。ファージは宿主とする微生物に遭遇すると、まず微生物に吸着し、ファージ自身の核酸を細胞に注入する。微生物に注入された核酸は、自らの遺伝子が産生する酵素によって複製され、短時間のうちに数百倍に増幅する。その後、複製されたそれぞれの核酸にコードされたタンパク質が合成される。したがって、たとえ被検体中の微生物数が少なくとも、測定は数百倍に増幅したタンパク質に対して行うため、検出の感度を大幅に高めることが可能となる。
第1の系統では、次に、例えば、ペルオキシダーゼを利用した自己触媒反応によって上記酵素の量を計測する工程(工程2)を行う。例えば、下記の式(I)で示すように、亜硫酸ナトリウムとサンプルとを混ぜ、次に過酸化水素水を加え、自己触媒反応を行う。後に実施例について図2で示すように、自己触媒反応中は、pHの変化を経時的に測定し、反応開始からpHが急変するまでの時間(誘導時間)を求めることができる。この誘導時間から、サンプルに含まれる酵素の量を算出することができる。ここで、pHの変化を経時的に測定するために、例えば、pH電極、pH指示薬(例えば、ブロモチモールブルー、フェノールレッド、ニュートラルレッド、ブロモクレゾールパープル、パラニトロフェノール、メチルパープル、リトマス、メチルレッド等)等を用いる。また、吸光度変化を装置で検出することで、pHの変化を測定してもよい。
Figure 0004803477
ここで、自己触媒反応とは、反応生成物が反応に関与し、反応速度を増大させる反応である。例えば、上記式(I)に示した反応では、反応生成物であるプロトンが反応物になるという関係がある。このため、式(I)の反応は、反応進行に伴って反応物の濃度が高くなり、反応の平衡を生成側に傾けることによって、さらに反応速度が増大するとう特性を持っている。この結果、時間経過とともに反応速度が急激に増大していく。最終的には、反応物(ここでは亜硫酸イオン:SO3 2)の枯渇とともに反応速度が低下する。この反応を時間とpHの関係としてグラフに表すと、反応曲線は、特徴的なS字型を描く。
さらに、式(I)の反応の他、ペルオキシターゼを利用した式(II)のような反応も
採用できる。式(II)に示した反応では、反応生成物であるコバルトイオン(Co2+)が
反応を触媒するという関係がある。
Figure 0004803477
このため、反応進行に伴って触媒の濃度が高くなり、反応速度が増大していく。結果的に式(I)同様、時間経過とともに反応速度が急増した後、反応物の枯渇によって反応速度が低下する。時間と吸光度の関係をグラフ化(図2)すると、やはり、反応曲線はS字型となる。
続いて、計測した酵素の量から微生物の量を求める工程(図1の3工程)を行う。この工程3では、標識酵素の量は、サンプル中の微生物量に比例することを利用している。したがって、あるサンプルについての標識酵素量と微生物量との関係を後に実施例1について示す。図3のように把握しておけば、標識酵素の計測値から、サンプル中の微生物量を算出することができる。
次に、第2の系統の方法を説明する。この方法では、1→4→5の工程を経ている。工程1は、第1の系統の方法と同様に、微生物を酵素標識する工程である。工程4は、自己触媒反応により酵素局在点を検知する工程を意味する。工程5は、工程4で検出した酵素局在点を微生物数に換算するための工程である。しかし、実際には、工程5は、工程4に含まれるとみなすことができるため、特別な換算を行う必要はない。
このように、第2の系統では、計測しようとする微生物を自己触媒反応を触媒する酵素で標識する工程1、自己触媒反応によって該酵素の担体中の場所を検知する工程4、上記酵素の担体中の場所の数として微生物の数を求める工程5を経る。
第2の系統では、まず、第1の系統と同様に工程1を実施する。
次いで工程4(5)を実施する。例えば、半流動のアガロースゲル、亜硫酸ナトリウム水溶液、及びブロモチモールブルー等を混ぜ、続いて、例えば、過酸化水素水等を加え、ガラスシャーレのような平坦な容器に入れる。これによって、式(I)に示すように自己触媒反応が起こる。そして、酵素の局在点があれば、この局在点は青から黄色に変色する(実施例2、図4)。また、変色点の数は、微生物の数と考えることができる。なお、式(II)で示す反応を利用してもよい。
第2の系統では、pH変化による変色点の検出を、目視検出の代わりに、例えば、カメラ等で行ってもよい。その場合、カメラは、例えば、CCD素子、CMOS素子等を用いることが好適である。
真正細菌の計測
本発明の実施例1を、図1から図3を参照して、説明する。特に、真正細菌に適応した例として、大腸菌の計測方法を説明する。
本実施例1の大腸菌の計測では、まず、計測しようとする大腸菌を酵素標識する工程を行った(図1の工程1)。ここでは、大腸菌(Escherichia coli K−12)の遺伝子を酵素標識した。まず、スライドガラス上に、大腸菌を固定するために、ポリリジンコートしたスライドガラス上に大腸菌を含む溶液10μLを滴下し、続いて大腸菌を含む溶液をデシケータ内で乾燥させ、大腸菌をスライドガラス上に貼り付けた。次に、そのスライドガラスをパラホルムアルデヒドの固定液に20分間浸した。その後、リン酸緩衝食塩水(PBS(phosphate buffered saline))でスライドガラスを洗浄し、エタノールで脱水を行った後、再び、デシケータ内で乾燥させた。
本実施例1では、酵素標識させるプローブは、大腸菌を含む真正細菌全般のrRNA(ribosomal RNA)に結合するEUB338を用いた。EUB338は、予めペルオキシダーゼで標識しておき、ペルオキシダーゼで標識したEUB338の溶液30μLを、スライドガラス上で大腸菌が貼りついている部分に滴下した。続いて、46℃、2時間でハイブリダイゼーションを行うため、その状態でスライドガラスを保湿箱に収納した。
ハイブリダイゼーション後、標的の遺伝子に結合しなかったプローブを排除するために、48℃の洗浄用緩衝液10mLでスライドガラスを洗浄した。さらに洗浄を行うため、48℃の洗浄用緩衝液を容器に入れ、そこにスライドガラスを浸し、48℃で、20分間保温した。最後に、スライドガラスをリン酸緩衝食塩水に浸し、不要なプローブを洗い流し、遺伝子の酵素標識の工程(図1の工程1)を完了させた。
次に、自己触媒反応により酵素の量を計測する工程(図1の工程2)について説明をする。25℃に温度コントロールしたビーカーに5×10-2Mの亜硫酸ナトリウム水溶液1mLとサンプルを入れ、全量を9mLとし、pH電極をセットした。続いて、2.5×10-1M過酸化水素水を1mL加え、反応を開始した。この溶液をマグネティックスターラー等で攪拌しながら、pHの変化を経時的に測定し、反応開始からpHが急変するまでの時間(誘導期間)を求めることができた(図2)。本実施例では、この誘導期間から、サンプルに含まれるペルオキシダーゼの量を算出した。
次に、計測した酵素の量から微生物の量を求める工程(図1の工程3)について説明する。この工程3では、標識酵素の量は、サンプル中の微生物量に比例することを利用した。すなわち、あるサンプルについての標識酵素量と微生物量との関係を図3のように把握しておくことにより、標識酵素の計測値から、サンプル中の微生物量を算出することができた。
大腸菌の目視検出
本発明の他の実施例として、ファージの感染を利用して、微生物を酵素標識する方法(第2の系統に相当)について説明する。
予め、大腸菌を宿主とするT4ファージに対して、その核酸(以下、ファージ核酸)に酵素ペルオキシダーゼの遺伝子を組み込んだ。ここで、ペルオキシダーゼの遺伝子は、ファージのプロモーターの支配を受けるようにファージ核酸に組み込み、続いてペルオキシダーゼ遺伝子を組み込んだT4ファージをサンプルに添加した。サンプル中に大腸菌が存在する場合、T4ファージを大腸菌に吸着させ、T4ファージの核酸を大腸菌に注入した。大腸菌に注入されたファージ核酸は、体調菌中で翻訳され、短時間のうちに遺伝子にコードされたタンパク質が合成される。T4ファージの感染から大腸菌内でペルオキシダーゼが合成され、蓄積されるまでの時間は、約1時間であった。
さらに、ペルオキシダーゼ遺伝子を組み込んだT4ファージをサンプルに添加した。そのサンプルを速やかに1mL採り、半流動のアガロースゲル40mLと、亜硫酸ナトリウム水溶液5mLと、0.04%ブロモチモールブルー溶液5mLと共にビーカーに入れ、混合した。そのビーカーに過酸化水素水5mLを加え、すばやく攪拌して反応ゲルとし、これをガラスシャーレのような平坦な容器に入れた。
半流動のアガロースゲルを用いることで、溶液中の微生物の拡散速度を低下させ、数分から10分程度の自己触媒反応の時間内で、事実上、位置が固定された。続いて、自己触媒反応が起こった。ペルオキシダーゼの局在点を確認し、反応ゲルが青から黄色に変色することを観察した(図4)。なお、変色点の数を、微生物の数と判断した。
本発明に係る微生物の計測方法で、微生物の計測方法の流れ図である。 本発明に係る微生物の計測方法で、自己触媒反応による誘導期間と酵素量との関係を示すグラフである。 本発明に係る微生物の計測方法で、標識酵素量と微生物量との関係を示したグラフである。 本発明に係る微生物の計測方法で、自己触媒反応による酵素局点の検知を示した状態を示す概念図である。
符号の説明
1 微生物の酵素標識する工程
2 自己触媒反応で酵素を定量する工程
3 標識酵素量を微生物に換算する工程
4 自己触媒反応で酵素局在点を検出する工程
5 微生物数に換算する工程

Claims (3)

  1. 計測しようとする微生物を担体に保持するステップと、
    上記微生物のもつ固有の遺伝子に相補的に結合する遺伝子断片を、自己触媒反応を触媒する酵素で標識するステップと、
    上記微生物に上記酵素で標識された上記遺伝子断片を導入し、当該微生物を上記酵素で標識するステップと、
    自己触媒反応によって該酵素の上記担体の場所を検知し、該計測した酵素の上記担体の場所の数として上記微生物の数を求めるステップと
    含む、微生物の計測方法。
  2. 2次元的なpHセンサを用いて、自己触媒反応にともなうpHの変化点を検知し、pHの変化点の数から上記微生物の数を求めることを特徴とする請求項に記載の微生物の計測方法。
  3. 上記酵素がペルオキシダーゼであることを特徴とする請求項1又は2に記載の微生物の計測方法。
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