JP4797787B2 - 運転シーン変化検出装置、自動車及び運転シーン変化検出方法 - Google Patents
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Description
本発明の課題は、運転シーンの変化の検出精度をより高めることである。
自車両の周囲環境の時系列に沿った画像を撮影する撮像手段と、前記撮像手段が撮影した前記周囲環境の画像それぞれの複雑度を算出する複雑度算出手段と、前記複雑度算出手段が算出した複雑度の時系列データに対し、ウェーブレット変換を施して複数成分からなる信号群を出力するウェーブレット変換手段と、前記ウェーブレット変換手段が出力した複数成分からなる信号群に基づいて、運転シーン変化を検出する運転シーン変化検出手段と、を備え、前記複雑度算出手段は、前記撮像手段が撮影した前記画像からサンプリング時間ごとに静止画像を抽出し、その抽出した各静止画像のフラクタル次元を算出し、算出したフラクタル次元を前記複雑度の時系列データとして出力するようになっていることを特徴とする。
(第1の実施形態)
先ず第1の実施形態を説明する。
第1の実施形態は、本発明を適用した運転シーン変化検出装置である。
(構成)
図1は、車両に搭載した運転シーン変化検出装置を示す。
図1に示すように、動画入力部1、動画入力部1から入力された動画像から複雑度を算出するシーン変化検出部2、シーン変化検出部2の算出値に基づいて、ウェーブレット変換をするウェーブレット変換部3及び運転シーン変化検出部4を備えている。
動画入力部1は、カメラ等の動画像撮像手段であり、各方向に向くように車体に取り付けられており、各方角の運転シーンを撮像する。動画入力部1に入力された動画像は、シーン変化検出部2に出力される。
信号Sは、1回のウェーブレット変換で近似成分A1と詳細成分D1とに分解され、さらにウェーブレット変換を行うことで、それら近似成分A1と詳細成分D1とに分解された信号がさらに近似成分と詳細成分とに分解される。例えば、1回のウェーブレット変換により分解して得た信号が近似成分A1であれば、図2に示すように、さらにウェーブレット変換を行うことで、近似成分A2と詳細成分D2とに分解される。
続いて、ウェーブレット変換部3は、再構成した信号の特徴点を強調するために重み関数による重み付けを行う。ここで、重み関数としては、たとえば同じ信号を掛け合わせる関数、すなわち、再構成された信号を2乗する関数が挙げられる。そして、ウェーブレット変換部3は、最終的に得た信号の時系列(パワー変化時系列)を作成して、その時系列データを運転シーン変化検出部4に出力する。
図3に示すように、ウェーブレット変換部3は、複雑度の時系列データを分解する正変換部3a、変換回数やマザーウェーブレットの選択等を行う変換特性設定部3e、正変換部3aで分解し信号群から所定の信号を除去する信号除去部3b、信号除去部3bで所定の信号を除去した信号群を逆ウェーブレット変換する逆変換部3c、及び逆変換部3cで得た信号を重み関数で重み付けする重み付け部3dを備えている。
運転シーン変化検出部4は、時系列データで所定の閾値よりも大きくなる箇所を、運転シーンの変化点として特定する。ここで、所定の閾値は実験値や経験値である。
次に動作を説明する。
ここで、図4を用いて運転シーン変化検出装置の動作を説明する。
運転シーン変化検出装置では、動画入力部1が自車両周囲を撮像する(ステップS1)。続いて、シーン変化検出部2が、動画入力部1が撮像した動画像から一定時間(サンプリング時間T)ごとに静止画像を抽出して(ステップS2)、抽出した各静止画像(各時刻tにおける静止画像)の複雑度(フラクタル次元等)を算出し、算出した複雑度を時系列データとして、ウェーブレット変換部3に出力する(ステップS3)。これにより、図5に例として示すような複雑度を定量的に示すフラクタル次元の時系列データを得ることができる。
図6に示す出力信号(フラクタル次元のパワー)の時系列データは、前記図5の示すフラクタル次元の時系列データを、マザー関数ドベシー(例えば、マザー関数ドベシー2)により1回だけウェーブレット変換し、その後、必要成分の信号として高周波成分の信号のみを残す一方で、他の信号を0として再構成し、その後、その再構成した信号を2乗値にして得た値になる。
図6に番号(ラベル)を付したピーク(パワー)は、時系列データで所定の閾値よりも大きくなる箇所、すなわち運転シーンの変化点である。
図7は、図6に示す番号(ラベル)に対応する運転シーンの変化の態様を示し、図8〜図18は、その番号に対応する運転シーンの変化を得た際の画像の変化を示す。
ここで、図6に示す番号3、4、10の走行シーン変化は、ゆっくりとした変化であるが、図6に示すように、そのときのパワーは、大きい値として得られる。
次に作用を説明する。
動画像から静止画像を連続して抽出していき、その各静止画像(画像全体)について複雑度(フラクタル次元等)の時系列データを作成して、その時系列データをウェーブレット変換及び逆ウェーブレット変換することで、その時系列データ中の特異点(パワーのピーク)を抽出している。そして、特異点を所定の閾値を用いて特定して、運転シーンの変化を検出している。
また、フラクタル次元により静止画像の複雑度を算出することで、静止画像に含まれる数値的な特性を演算することができるので、簡単かつ高精度に運転シーンの変化を検出することができる。
また、逆ウェーブレット変換した信号を重み関数により重み付けすることで、該信号の特徴を強調している。これにより、該信号中の特異点を抽出し易くして、運転シーンの変化の検出精度をより高めことができる。
(1)自車両の周囲環境の時系列に沿った画像を撮影する撮像手段と、前記撮像手段が撮影した前記周囲環境の画像それぞれの複雑度を算出する複雑度算出手段と、前記複雑度算出手段が算出した複雑度の時系列データに対し、ウェーブレット変換を施して複数成分からなる信号群を出力するウェーブレット変換手段と、前記ウェーブレット変換手段が出力した複数成分からなる信号群に基づいて、運転シーン変化を検出する運転シーン変化検出手段と、を備える。時系列データから、一定期間内の信号変化(周波数特性)をパターンとして検出できるウェーブレット変換の特徴を利用することで、周囲環境が様々な事物の組み合わせで非連続的に変化する場合でも、周囲環境を複雑度として捉えて、その複雑度のパターンの変化特異点から運転シーンの変化を特定でき、運転シーンの変化の検出精度をより高めることができる。また、複雑度は、動画像を構成する時系列の静止画像全体を対象として算出されるので、静止画像中の事物を検出する際の検出誤差等を抑制し、静止画像全体の特徴を適確に反映したデータとなるので、このような複雑度の時系列データを用いることで、運転シーンの変化の検出精度をより高めることができる。
次に第2の実施形態を説明する。
第2の実施形態は、本発明を適用した運転シーン変化検出装置である。
(構成)
第2の実施形態の運転シーン変化検出装置は、自車両と環境の相対速度に応じた運転シーンを検出することができるように構成されている。なお、第2の実施形態の運転シーン変化検出装置の構成は、前記図1に示した第1の実施形態の運転シーン変化検出装置の構成と同一である。
図19は、第2の実施形態におけるウェーブレット変換部3の処理手順を示す。
図19に示すように、処理を開始すると、先ずステップS11において、ウェーブレット変換部3は、前記第1の実施形態と同様に、検出したい運転シーンに合わせて、適切なマザーウェーブレットを選択する。
続いてステップS12において、ウェーブレット変換部3は、検出したい運転シーンの変化と自車両との相対速度、例えば、運転シーンの変化をなす環境(事物)と自車両との相対速度を決定する。
続いてステップS15において、ウェーブレット変換部3は、前記第1の実施形態と同様に、分解した信号のうち必要な信号を残して、逆ウェーブレット変換する。
次に動作を説明する。
運転シーン変化検出装置では、前記第1の実施形態と同様に、動画入力部1が自車両周囲を撮像し、続いて、シーン変化検出部2が、動画入力部1が撮像した動画像から一定時間(サンプリング時間T)ごとに静止画像を抽出するとともに、抽出した各静止画像(各時刻tにおける静止画像)の複雑度を算出し、算出した複雑度を時系列データとして、ウェーブレット変換部3に出力する。
最後に、運転シーン変化検出部4が、時系列データのうち所定の閾値よりも大きくなる箇所を、運転シーンの変化点として検出する。
次に作用を説明する。
特に、第2の実施形態では、検出したい運転シーンの変化と自車両との相対速度(環境と自車両との相対速度)に基づいて、ウェーブレット変換の適用回数(変換回数)nを決定し、その決定した適用回数nだけウェーブレット変換を行っている。
ここで、ウェーブレット変換では、適用回数分だけ信号を階層化でき、適用回数が多いほど、時系列信号から抽出できる信号特性が低周波数に移行していく。本発明では、このようなウェーブレット変換の特徴を利用して、検出したい運転シーンの変化と自車両との相対速度が小さくなるほど、適用回数を多くして(例えば2回以上)、前記相対速度が小さい(ゆっくりとした)運転シーンの変化の検出精度を高くし、検出したい運転シーンの変化と自車両との相対速度が大きくなるほど、適用回数を少なくして(例えば1回)、相対速度が大きい(すばやい)運転シーンの変化の検出精度を高くしている。
なお、この図6及び図20から、高速な運転シーンの変化として検出されたシーン変化の中から、低速な運転シーンの変化(番号の3,4,7の運転シーンの変化)が検出されているが、これは各運転シーンの変化が高速な運転シーンの変化と低速な運転シーンの変化の両方の成分を含むことを意味している。そのため、高速な運転シーンの変化として検出されずに、低速な運転シーンの変化のみが検出されることもある。
(1)前記ウェーブレット変換手段は、前記複雑度算出手段が算出した複雑度の時系列データに対し、ウェーブレット変換を複数回施し、前記運転シーン変化検出手段は、前記ウェーブレット変換手段が出力した前記信号群のうちの参照する信号のウェーブレット変換回数と、運転シーン変化の種類とを関連づけて検出する。ウェーブレット変換の変換回数(適用回数)により時系列信号から抽出できる信号特性(周波数)が異なることを利用し、ウェーブレット変換回数と、運転シーン変化の種類とを関連づけて運転シーンの変化を検出することで、運転シーンの変化の検出精度をより高めることができる。
Claims (7)
- 自車両の周囲環境の時系列に沿った画像を撮影する撮像手段と、
前記撮像手段が撮影した前記周囲環境の画像それぞれの複雑度を算出する複雑度算出手段と、
前記複雑度算出手段が算出した複雑度の時系列データに対し、ウェーブレット変換を施して複数成分からなる信号群を出力するウェーブレット変換手段と、
前記ウェーブレット変換手段が出力した複数成分からなる信号群に基づいて、運転シーン変化を検出する運転シーン変化検出手段と、
を備え、
前記複雑度算出手段は、前記撮像手段が撮影した前記画像からサンプリング時間ごとに静止画像を抽出し、その抽出した各静止画像のフラクタル次元を算出し、算出したフラクタル次元を前記複雑度の時系列データとして出力するようになっていることを特徴とする運転シーン変化検出装置。 - 前記撮像手段は、自車両の周囲環境の動画像を撮像する動画撮像手段であることを特徴とする請求項1記載の運転シーン変化検出装置。
- 前記ウェーブレット変換手段が出力した複数成分からなる信号群のうちの選択された一部を逆ウェーブレット変換し、変換して得た時系列データを出力する逆ウェーブレット変換手段と、
前記逆ウェーブレット変換手段から出力される前記時系列データに重み付けすることで、該時系列データの特徴を強調する重み付け手段と、を備え、
前記運転シーン変化検出手段は、前記重み付け手段が重み付けした前記時系列データの変動から、運転シーンの変化を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の運転シーン変化検出装置。 - 前記ウェーブレット変換手段は、前記複雑度算出手段が算出した複雑度の時系列データに対し、ウェーブレット変換を複数回施し、
前記運転シーン変化検出手段は、前記ウェーブレット変換手段が出力した前記信号群のうちの参照する信号のウェーブレット変換回数と、運転シーン変化の種類とを関連づけて検出することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の運転シーン変化検出装置。 - 前記運転シーン変化検出手段は、自車両に対する相対速度がより大きい運転シーン変化を検出対象とするときほど、より少ないウェーブレット変換回数の信号を参照することを特徴とする請求項4に記載の運転シーン変化検出装置。
- 車体に搭載されて、自車両の周囲環境の時系列に沿った画像を撮影する撮像手段と、
前記撮像手段が撮影した前記周囲環境の画像それぞれの複雑度を算出する複雑度算出手段と、
前記複雑度算出手段が算出した複雑度の時系列データに対し、ウェーブレット変換を施して複数成分からなる信号群を出力するウェーブレット変換手段と、
前記ウェーブレット変換手段が出力した複数成分からなる信号群に基づいて、運転シーン変化を検出する運転シーン変化検出手段と、
を備え、
前記複雑度算出手段は、前記撮像手段が撮影した前記画像からサンプリング時間ごとに静止画像を抽出し、その抽出した各静止画像のフラクタル次元を算出し、算出したフラクタル次元を前記複雑度の時系列データとして出力するようになっていることを特徴とする自動車。 - 自車両の周囲環境の時系列に沿った画像それぞれについて複雑度を算出する複雑度算出ステップと、
前記複雑度算出ステップで算出された複雑度の時系列データに対し、ウェーブレット変換を施して複数成分からなる信号群を出力するウェーブレット変換ステップと、
前記ウェーブレット変換ステップで出力された複数成分からなる信号群に基づいて、運転シーンの変化を検出する運転シーン検出特定ステップと、
を含み、
前記複雑度算出ステップは、前記自車両の周囲環境の時系列に沿った画像からサンプリング時間ごとに静止画像を抽出し、その抽出した各静止画像のフラクタル次元を算出し、算出したフラクタル次元を前記複雑度の時系列データとして出力することを特徴とする運転シーン変化検出方法。
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