JP4797344B2 - 冷媒熱物性値の計算方法、当該熱物性値の計算プログラム、当該計算プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び冷媒熱物性値の計算装置 - Google Patents

冷媒熱物性値の計算方法、当該熱物性値の計算プログラム、当該計算プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び冷媒熱物性値の計算装置 Download PDF

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Description

本発明は、冷媒熱物性値の計算に関するものであり、冷媒熱物性値を得るための高速で高精度な計算を実現し、また、解の安定性を実現した冷媒熱物性値の計算方法、当該熱物性値の計算プログラム、当該計算プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及びその計算プログラムを実装した計算装置に関するものである。
従来より、エアコンの設計を行うにあたって、構成要素である膨張弁、熱交換器、圧縮機の接続関係を指定し、さらには、熱交換器に用いられるフィンやチューブ等の形状をも指定して、冷凍サイクル全体の性能をシミュレートすることが出来るシミュレーション方法が提案されている。このような冷凍サイクルのシミュレーション方法を用いてエアコン等の設計を行うことにより、細部の変更等による全体への影響を実際の試作を行わずに知ることが出来るため、開発コストの削減等の効果を得ることが出来、また、開発に要する期間を短縮することが可能となる。このようなシミュレーション方法の一例としては、特許文献1及び特許文献2が既に提案されている。
特開平09−257319号公報 特開平11−270913号公報
このようなエアコンの設計においては、各部での冷媒の熱物性値を求めなければ全体の性能を予測することが出来ないため、冷凍サイクルのシミュレーションを行うにあたっては、冷媒熱物性を表現する関数が重要かつ不可欠である。冷凍サイクルのシミュレーションでは常に冷媒の熱物性値を計算すると同時に数値解析を行っているため、この関数は最終的に数千回も呼び出されて使用されることになる。よって、この冷媒熱物性の関数の1回の計算速度がシミュレーション全体の速度に大きな影響を与えることになる。
従来用いられてきた冷媒熱物性の関数として、Martin-Hou方程式を以下に示す。
Figure 0004797344
上記(1)の式において、温度Tは定数であり、比体積νに対応する圧力pを計算する必要がある場合には、(1)式を変形して、次の陽方程式(2)を用いる。
Figure 0004797344
圧力pに関しては(2)式の陽方程式を得ることが出来るため、比体積νに対応する圧力pを求める計算は非常に高速でかつ安定である。しかし、圧力pと温度Tに対応する比体積νを計算する場合、(1)式を変形しても、ν=f(p)の形式となる陽方程式を得ることは不可能であるため、圧力pと温度Tに対応する比体積νを求めるには、陰方程式である(1)式に基づいて反復法で収束解を求めざるをえない。よって、計算速度は反復ループ数と反復回数の影響を受け、反復ループ数と反復回数が増えれば増えるほど計算速度は遅くなってしまう。また、反復演算の過程で発散が生じることで正しい解を得られない可能性もあり、このような場合には高速、高精度、高安定というシミュレーションに求められる要請に答えることができない。
冷媒熱物性のうち、温度T、比体積ν及び圧力pの関係について(1)式を用いて説明したが、この他の冷媒熱物性として、例えば、温度T、比体積ν、圧力p、エンタルピh、エントロピs、密度ρ、定圧比熱C、動粘性μ、熱伝導率λ、表面張力σ、乾度χ等のパラメータについても相互の関係を表した関数が存在し、それらの関数から陽方程式を導出できない限り、比体積νと圧力pの関係と同様に、陰方程式に基づいて反復法で収束解を求めるしかなく、この場合においても、反復ループ数と反復回数が増えれば増えるほど計算速度は遅くなるし、また、反復演算の過程で発散が生じるおそれもある。
このように、従来の冷媒熱物性の計算方法は、冷媒熱物性の算出方法として、複雑な関数において反復計算による収束解を求める方法で冷媒の状態量から冷媒の熱物性値を求めている。この方法は、冷媒を使用する可能性のあるあらゆる条件範囲を広くカバーしており、また、高精度で冷媒熱物性を計算できるという長所を有しているが、上述の通り複雑な関数による演算は非常に長い演算時間を要し、また、収束しない可能性もある不安定な計算方法であった。エアコンを設計するにあたって、高精度で冷媒熱物性を計算できることは大きなメリットであるが、シミュレーションの度に膨大な計算時間を必要とする従来方法は作業効率が悪く、シミュレータとしての実用性は著しく低いものとなってしまっていた。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、冷媒熱物性値を得るための高速で高精度な計算を実現し、また、解の安定性を実現することで、シミュレータとしての実用性を向上させた冷媒熱物性値の計算方法、当該熱物性値の計算プログラム、当該計算プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及びその計算プログラムを実装した計算装置を提供することを目的とするものである。
本発明の請求項1は、冷媒熱物性値のソースデータを得るためのソースデータ演算処理手段と、特定の高次多項式を前記冷媒熱物性値のソースデータのうち、求めたい冷媒熱物性値によって回帰処理することで前記高次多項式の係数を得る回帰処理手段と、前記求めた係数を代入した高次多項式を解くことで前記高次多項式の根を得て、前記根の中から有効な根を選択する解式及び根選択処理手段とによって、求めたい冷媒熱物性値の関係を表した陽方程式を得て、この陽方程式を用いて冷媒熱物性値の計算を行うことを特徴とする冷媒熱物性値の計算方法である。
本発明の請求項2は、請求項1に加えて、ソースデータ演算処理手段において求めるソースデータは、冷媒熱物性値の関係を表した陰方程式を反復法によって解いて求めたものを含むことを特徴とする冷媒熱物性値の計算方法である。
本発明の請求項3は、請求項1又は2に加えて、ソースデータ演算処理手段では、指定した冷媒の温度範囲についてソースデータを求め、回帰処理手段では、前記冷媒の温度範囲を指定して求めたソースデータのうち、求めたい冷媒熱物性値について高次多項式に当てはめて最小二乗法により回帰処理し、この回帰処理が収束した場合に前記高次多項式の係数を得るようにしたことを特徴とする冷媒熱物性値の計算方法である。
本発明の請求項4は、請求項3に加えて、回帰処理手段において行った回帰処理が収束しなかった場合には、冷媒の温度範囲を調整し、その調整後の温度範囲のソースデータを用いて回帰処理を行うようにし、温度範囲を調整しながら回帰処理を設定した回数行っても収束しない場合には、回帰処理に用いたソースデータに対して変換式を適用して再度回帰処理を行うようにしたことを特徴とする冷媒熱物性値の計算方法である。
本発明の請求項5は、請求項1に加えて、解式及び根選択処理手段では、求めた前記高次多項式の根をそれぞれソースデータと比較して、最も誤差の小さい根を有効な根とすることを特徴とする冷媒熱物性値の計算方法である。
本発明の請求項6は、請求項1乃至5記載のソースデータ演算処理手段、回帰処理手段、及び、解式及び根選択処理手段とをコンピュータに実行させ、これによって求めたい冷媒熱物性値の関係を表した陽方程式を得て、この陽方程式を用いて冷媒熱物性値の計算を行うことを特徴とする冷媒熱物性値の計算プログラムである。
本発明の請求項7は、請求項1乃至5記載のソースデータ演算処理手段、回帰処理手段、及び、解式及び根選択処理手段とをコンピュータに実行させ、これによって求めたい冷媒熱物性値の関係を表した陽方程式を得て、この陽方程式を用いて冷媒熱物性値の計算を行うことを特徴とする冷媒熱物性値の計算プログラムを記憶した記憶媒体である。
本発明の請求項8は、冷媒熱物性値のソースデータを得るためのソースデータ演算処理部と、特定の高次多項式を前記冷媒熱物性値のソースデータのうち、求めたい冷媒熱物性値によって回帰処理することで前記高次多項式の係数を得る回帰処理部と、前記求めた係数を代入した高次多項式を解くことで前記高次多項式の根を得て、前記根の中から有効な根を選択する解式及び根選択処理部とを具備し、これらの処理部を経ることで求めたい冷媒熱物性値の関係を表した陽方程式を得てこれをメモリに記憶し、この陽方程式を用いて冷媒熱物性値の計算を行うことを特徴とする冷媒熱物性値の計算プログラムを実装した冷媒熱物性値の計算装置である。
本発明の請求項9は、請求項8に加えて、ソースデータ演算処理部において求めるソースデータは、冷媒熱物性値の関係を表した陰方程式を反復法によって解いて求めたものを含むことを特徴とする冷媒熱物性値の計算プログラムを実装した冷媒熱物性値の計算装置である。
本発明の請求項10は、請求項8又は9に加えて、ソースデータ演算処理部では、指定した冷媒の温度範囲についてソースデータを求め、回帰処理部では、前記冷媒の温度範囲を指定して求めたソースデータのうち、求めたい冷媒熱物性値について高次多項式に当てはめて最小二乗法により回帰処理し、この回帰処理が収束した場合に前記高次多項式の係数を得るようにしたことを特徴とする冷媒熱物性値の計算プログラムを実装した冷媒熱物性値の計算装置である。
本発明の請求項11は、請求項10に加えて、回帰処理部において行った回帰処理が収束しなかった場合には、冷媒の温度範囲を調整し、その調整後の温度範囲のソースデータを用いて回帰処理を行うようにし、温度範囲を調整しながら回帰処理を設定した回数行っても収束しない場合には、回帰処理に用いたソースデータに対して変換式を適用して再度回帰処理を行うようにしたことを特徴とする冷媒熱物性値の計算プログラムを実装した冷媒熱物性値の計算装置である。
本発明の請求項12は、請求項8に加えて、解式及び根選択処理部では、求めた前記高次多項式の根をそれぞれソースデータと比較して、最も誤差の小さい根を有効な根とすることを特徴とする冷媒熱物性値の計算プログラムを実装した冷媒熱物性値の計算装置である。
上記のような冷媒熱物性値の計算方法、計算プログラム、計算プログラムを記憶した記憶媒体、又は、計算プログラムを実装した冷媒熱物性値の計算装置とすることで、従来計算に長時間を要し、さらに解が発散する可能性のあった反復法による演算に替えて、冷媒熱物性値を得るための高速で高精度な計算を実現し、また、解の収束の安定性を実現することが可能な陽方程式を得ることが出来たので、これらの陽方程式を用いることで実用性の高いシミュレーションを実現できる。
本発明による冷媒熱物性値の計算は、陰方程式を解くことでしか求めることができなかった冷媒熱物性のソースデータに対して回帰処理を行うことで近似陽方程式を求め、この近似陽方程式を用いて冷媒熱物性値の計算を行うことで、高速で高精度な計算を実現し、また、解の安定性を実現しているものである。この本発明の冷媒熱物性値の計算を実現するための全体の流れを図1のフローチャート図を用いて説明する。この図1のフローチャートに示すように、本発明は3つの主要な処理系として、ソースデータ演算処理系(S102〜S103)、回帰処理系(S104〜S108)、解式及び根選択処理系(S109〜S111)を有している。以下、3つの処理系の概要を説明する。
[ソースデータ演算処理系]
先ず、(S101)においてk=1とした後に、(S102)において、ソースデータを演算する必要のあるデータ範囲を特定するために、最低温度Tmin、最高温度Tmax及びこれらの温度間で計算するデータ点の個数Nを指定する。ここで指定する温度範囲は、冷媒の種類によって異なるものであり、各冷媒の具体的な温度範囲については後述する。温度範囲を指定したら、(S103)においてソースデータを演算によって求める。ここで求めるソースデータは、従来の反復法を用いた計算方法によって求められるものであり、例えば、温度T、比体積ν、圧力p、エンタルピh、エントロピs、密度ρ、定圧比熱Cp、動粘性μ、熱伝導率λ、表面張力σ、乾度χ等の冷媒熱物性値を全てソースデータとして演算によって求めてメモリ等に記憶する。
[回帰処理系]
次に、前記(S103)において演算によって求めたソースデータのうち、任意のパラメータについての冷媒熱物性値を(S104)で読込み、この読込んだソースデータを(S105)において回帰式に入力するのに最適な形式となるように変換処理を行う。そして、(S106)において変換処理後のソースデータを回帰式に入力して、(S107)において回帰処理を行う。ここで、(S106)において使用する回帰式は、多次多項式を変形したものであり、未知変数部分にそれぞれ変換処理後のソースデータを入力して回帰処理を行うことにより、前記多次多項式の係数が求まる。この多次多項式は冷媒の種類(純冷媒、混合冷媒など)やその状態(サブクール領域、飽和領域又はスーパーヒート領域)によって異なり、適宜選択して使用する。このようにして回帰処理を行った後に、その回帰処理が収束したか否かを(S108)において判断する。回帰処理が収束した場合には次の(S109)に進むが、回帰処理が収束しない場合には、(S116)において指定した温度範囲及びその間のデータ数を調整し直して、再度(S103)〜(S107)によって回帰処理を行って、(S108)で収束判断を行う。回帰処理を3回行っても収束しない場合((S113)においてnoの場合)には、(S114)で変換式を適用することで、ソースデータが回帰式に適用可能な形式になるように(S105)で変換処理を行う。
[解式及び根選択処理系]
回帰処理が収束した場合には、前記多次多項式の係数が求まるのでこれを(S109)でメモリ等に記憶し、これらの係数を用いて残りの係数を全て求めて(S110)でメモリ等に記憶し、全ての係数が求まったら、これらを(S110)において前記多次多項式に代入してこれを解く。根の数は多項式の次数で決まり、これらの根の中から最適な根を選択する。
このように、ソースデータ演算処理系、回帰処理系、解式及び根選択処理系の3つの処理系によって、任意に選択したパラメータについての関係を近似式としての陽方程式によって表現できるようになる。この陽方程式によって冷媒熱物性値を求める場合には、反復計算を必要としないため、高い計算安定性を有するとともに、高精度でかつ高速に計算を行うことが可能となる。また、この方法で開発した陽方程式のうちのいくつかは、冷媒熱物性の計算における可逆性を備えているものである。
上記の処理系の説明では概要のみを記載したが、実際には冷媒の種類(純冷媒、混合冷媒)や冷媒の状態(サブクール領域、飽和領域又はスーパーヒート領域)によって高速計算の実現方法はそれぞれ異なる。
具体的な条件時における高速計算の実現方法を説明する前に、本発明の実施例において使用する冷媒の種類とその温度範囲を説明する。純冷媒としては、R22(飽和温度範囲は−60℃〜+80℃)、R134a(飽和温度範囲は−60℃〜+80℃)、R125(飽和温度範囲は−60℃〜+60℃)、R32(飽和温度範囲は−60℃〜+70℃)などがあり、これらは全てスーパーヒート(過熱度)を+65℃までとする。混合冷媒としては、R410A(飽和液温度範囲は−60℃〜+60℃、飽和蒸気温度範囲は−60℃〜+60℃)、R407C(飽和液温度範囲は−60℃〜+80℃、飽和蒸気温度範囲は−60℃〜+80℃)などがあり、これらもスーパーヒート(過熱度)を+65℃までとする。これらの冷媒について、以下、それぞれの具体的な条件時における高速計算の実現方法を説明する。
[純冷媒が飽和領域にある場合]
純冷媒としては、R22、R134a、R125、R32などが存在するが、これらの純冷媒が飽和領域にある場合の冷媒熱物性を求めるための陽方程式を導出するのに、次の3次方程式を用いた。
Figure 0004797344
ここで、u、vは、2つの異なる温度特性を表した変数であり、a〜aは、係数である。この式(3)において一方の温度特性vの値が利用可能である場合には、式(3)は以下の式(4)に変換することが出来る。
Figure 0004797344
この式(4)は3次方程式であるので、一般に、これは3つの異なる根u、u及びuを持つことになり、それは次のように表現される。
Figure 0004797344
これらの式(5)、式(6)、式(7)のうち、ただ1つの式が必要とする正しい関数であり、これは3つの方程式を計算してその結果をソースデータと比較することで正しい関数を選択することができる。このようにして選択された関数は、uとvの正しい関係を表した反復計算の必要がない陽方程式となるため、高速演算と安定性を保証できるものとなる。
また、上記式(3)において他方の温度特性uの値が利用可能である場合には、式(3)は以下の式(8)に変換することが出来る。
Figure 0004797344
この式(8)は3次方程式であるので、一般に、これは3つの異なる根v、v及びvを持つことになり、それは次のように表現される。
Figure 0004797344
これらの式(9)、式(10)、式(11)のうち、ただ1つの式が必要とする正しい関数であり、これは3つの方程式を計算してその結果をソースデータと比較することで正しい関数を選択することができる。このようにして選択された関数は、vとuの正しい関係を表した反復計算の必要がない陽方程式となるため、高速演算と安定性を保証できるものとなる。
上記式(4)と式(8)は同じ方程式(3)を変形したものであり、式(4)の有効な根が式(6)で、式(8)の有効な根が式(9)であるとすると、これらの式から得られたuとvは一対一の対応をしており、それぞれ一方の式から他方の根を逆算できる可逆性を備えたものとなる。
よって、冷媒熱物性値のうち選択した2つのパラメータについてのソースデータを用いて式(3)を回帰処理して係数a〜aを求めることで、選択した2つのパラメータについての陽方程式(例えば、式(6)や式(9))を導出することが出来る。ここで、式(3)の回帰処理を簡単にするために、回帰処理の前に式(3)に適切な処理をする必要がある。あるデータ範囲において、点(x、y)、点(x、y)及び点(x、y)は、それぞれ最低点、最高点及びランダムな点であると仮定して、u=y−y、v=x−xと置くと、式(3)は次のようになる。
Figure 0004797344
2つの端点(x、y)及び(x、y)について、式(12)は次のようになる。
Figure 0004797344
この式(13)と式(14)とから、次の式(15)及び式(16)が得られる。
Figure 0004797344
式(16)はデータ範囲の全ての点に適用可能なので、式(15)と式(16)を式(3)に代入すると、次の式を得ることができる。
Figure 0004797344
この式(17)を用いて最小二乗法により選択した前記データ範囲の全データ点について回帰処理を行うことにより、7個の未知係数a〜aを得ることができ、この係数a〜aを式(16)に代入することで未知係数aを得ることができる。よって、この式(17)は純冷媒の飽和領域における冷媒熱物性を求めるための陽方程式を導出するための回帰式となる。
上記回帰式(17)を用いた回帰処理によって、純冷媒が飽和領域にある場合の冷媒熱物性値を求めるための陽方程式を導出する流れを図1のフローチャートを用いて詳しく説明する。
先ず、(S101)において回帰処理の回数kをk=1とした後に、(S102)において、ソースデータを演算する必要のあるデータ範囲を特定するために、最低温度Tmin、最高温度Tmax及びこれらの温度間で計算するデータ点の個数Nを指定する。例えば、冷媒がR22である場合には、有効なデータ範囲は−60℃〜+80℃であり、この間のデータ点の間隔を1℃とするとデータ点の個数Nは141個となる。この他の純冷媒の有効なデータ範囲としては、R134aの場合は−60℃〜+80℃、R125の場合には−60℃〜+60℃、R32の場合には−60℃〜+70℃となっている。
温度範囲を指定したら、(S103)においてソースデータを演算によって求める。ここでのソースデータ演算処理の詳しいフローチャートを図2に示す。ここで、iをデータ点の番号(i=1、2、・・・、141)とする。この図2において、(S201)でi=1に設定した後に、(S202)において、Ts[i]=i+Tsmin−1の式によってi番目のデータ点の温度を指定する。ここで、Tsminは飽和領域における最低温度を表している。(S202)で最初の温度を指定したら、(S203)において温度Ts[i]における冷媒熱物性の様々なパラメータを演算によって求める。ここで求められるソースデータは、従来の反復法を用いた計算方法によって求められるもので、例えば、液相の圧力pl[i]、気相の圧力pv[i]、液相のエンタルピhl[i]、気相のエンタルピhv[i]等があり、この他の冷媒熱物性値についても全てソースデータとして演算によって求める。この最初の(S202)と(S203)のフローによって最低温度Tsminにおける全ての冷媒熱物性値を演算によって求めて、次の(S204)においてi<Nである場合には(S205)においてiの値に+1をして、以下、N個分のデータ点について冷媒熱物性値を求めるまで、(S202)〜(S205)の処理を続ける。i=Nになったら、(S206)においてN個分のデータ点のそれぞれにおいて演算で求めた全ての冷媒熱物性値のソースデータをメモリ等に記憶して、図1の(S104)に進む。
(S104)では、前記(S103)において演算によって求めたソースデータのうち、任意の2つのパラメータについての冷媒熱物性値を読込み、この読込んだソースデータを(S105)において回帰式に入力するのに最適な形式となるように変換処理を行う。ここで、(S104)において読込むソースデータを圧力pl[i]と温度Ts[i]とした場合の(S105)でのソースデータの処理の詳細を図3のフローチャートを用いて説明する。この図3において、先ず(S301)においてk=3か否かを確認し、k=3でない場合には(S302)に進む。この(S302)では、回帰式(17)を回帰処理する際に用いる値として、u[1]=pl[N]−pl[1]、v[1]=Ts[N]−Ts[1]の2つを準備する。次に(S303)においてi=2とした後に、(S304)〜(S306)のループによってi=2〜i=Nとなるまでの全データ点について、u[i]=pl[i]−pl[1]、v[i]=Ts[i]−Ts[1]の2つを準備する。i=Nまで2つの変数u[i]とv[i]を準備したら、(S305)で判断して図1の(S106)へ進む。
ここで、前記(S301)においてk=3であった場合、すなわち回帰処理を3回行ったが収束しなかった場合には、図1の(S114)において回帰処理が収束するように変換式を適用する。この図3の場合には、(S301)にてk=3であった場合には(S307)に進み、この(S307)においてi=1とした後に、前記(S104)において読込んだ圧力pl[i]とTs[i]のうち、圧力pl[i]についてのみ(S308)においてy´=y/100という変換式を適用することにより100分の1にする。これをi=1〜Nまで、すなわち読込んだ全ての圧力pl[i]について、(S308)〜(S310)のループによって変換式を適用して、変換終了後に、前記(S302)からの処理に移行する。ここでの変換式の適用は、回帰計算の解を容易に求めるため、ソースデータに対する一組の変数間の関係を調整するために行う。これらの変換式は、実験的、経験的に決定される。
前記(S105)でのソースデータの処理が終了したら、その処理後のu[i]とv[i]とを(S106)において回帰式(17)に入力し、(S107)においてその回帰式(17)を回帰処理する。この(S107)において行う回帰処理は、一般的な数学的手法として知られている最小二乗法により行われるものであり、具体的な回帰処理の内容については説明を省略する。この回帰処理によりソースデータに対して最適な曲線を適用することができ、その曲線の係数としてa〜aを得ることができる。ここでの回帰処理が収束したか否かを(S108)において判断するが、収束しなかった場合には、(S115)でkの値をカウントアップしつつ(S116)で最低温度Tmin、最高温度Tmax及びデータ点の個数Nを調整し直して、再度(S103)〜(S107)の処理を行う。温度範囲の指定があまりにも広すぎると収束しない可能性があるため、最適な温度範囲に調整することで回帰処理を収束させることが可能となる。ただし、温度範囲を調整しても回帰処理が収束しない場合もあり、そのような場合には、前記(S105)でのソースデータの処理の部分で説明した通り、3回の回帰処理で収束しない場合に限り(S114)で変換式を適用することとなる。
(S108)で回帰処理が収束したら、(S109)で前記回帰処理によって得られた係数a〜aをメモリ等に記憶し、(S110)で係数a〜aを式(16)に代入することで係数aを得てこれをメモリ等に記憶する。このようにして得られた係数a〜aを用いて(S111)で式(4)及び式(8)を解いて、それらの根の中から最適な根を選択する。この(S111)における処理の詳細を図4に基づいて説明する。図4において、(S401)で式(4)に係数a〜aを代入し、(S402)で式(4)を解く。式(4)を解くと複数の根が求められるので、(S403)でこれらの根の中から有効な根を選択する。次に、(S404)で式(8)に係数a〜aを代入し、(S405)で式(8)を解く。式(8)を解くと複数の根が求められるので、(S406)でこれらの根の中から有効な根を選択する。最後に、(S407)で式(4)の有効な根と式(8)の有効な根とをそれぞれ出力する。この式(4)の有効な根と式(8)の有効な根とが、目的とする冷媒熱物性値を求めるための陽方程式となる。
上記(S402)で式(4)を解く具体的な流れを図5のフローチャートに基づいて説明する。図5において、(S501)でi=1とした後、(S502)で回帰処理が収束するのに要した回数としてk=3であるか否かを確認する。3回以下で回帰処理が収束している場合にはそのまま(S504)へ進むが、回帰処理が3回以下で収束していない場合には、(S114)を経て(S308)で変換式を適用しているので、それに合わせて(S503)で最低温度における圧力値を100分の1に変換する。次に、(S504)でx=Ts[i]−Ts[1]と定義し、また、(S505)において、前記xの値と(S110)で得られた係数a〜aを図9に示す式(A−6)に適用することでa、b、c及びdの値を求める。この求めたa、b、c及びdの値を用いて(S506)において、図8の式(A−1)〜式(A−3)、及び、図9の式(A−4)と式(A−5)の計5つの式によって、y1[i]〜y5[i]を得る。ここで、式(A−1)〜式(A−3)は、式(4)の判別式が0より小さい場合の3つ実根であり、式(A−4)と式(A−5)は、式(4)の判別式が0より大きい場合の1つの実根と2つの虚根の対である。次に、(S507)において、y1[i]〜y5[i]にpl[1]をそれぞれ加えることでp1[i]〜p5[i]を得る。ここで、変換式を適用していた場合には、(S509)においてp1[i]〜p5[i]をそれぞれ100倍する。このような処理を(S510)においてiがデータ点の個数Nとなるのを確認するまで、(S511)でiを1ずつ増やしながらp1[i]〜p5[i]をその都度求める。よって、この図5のフローチャートによる処理を終了した段階で、(p1[i]〜p5[i])×N個分のデータが得られている。なお、純冷媒R22における圧力pl[i]と温度Ts[i]の関係については、3つの実根を持つので、以下、式(A−1)〜式(A−3)で求めた(p1[i]〜p3[i])×N個分のデータに基づいて説明する。
上記(S402)で式(4)を解くことで得た(p1[i]〜p3[i])×N個分のデータを用いて、(S403)で有効な根を選択する処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。有効な根を選択する手法は、反復法で求めたソースデータとしての圧力pl[i]に対して、式(A−1)〜式(A−3)の3つの式でそれぞれ求めたp1[i]〜p3[i]のどれが最も誤差が少ないかを判断の材料とする。先ず、(S601)においてi=1とした後に、(S602)において、δ1[i]=|p1[i]−pl[i]|/pl[i]というようにしてδ1[i]を求め、同様に、δ2[i]、δ3[i]についても求める。この、δ1[i]〜δ3[i]は、式(A−1)〜式(A−3)で求めたデータの各点でのソースデータとの誤差である。これを(S602)〜(S604)の処理をiの値を1ずつ増やしながら繰り返すことで、N個のデータ点全てについて各点での誤差を求める。次に、(S605)において、各点の誤差値であったδ1[i]〜δ3[i]について1〜Nまでを合計したものとして、δ1、δ2、δ3を求める。(S606)において、このδ1、δ2、δ3のうち最も値の小さいものをδとして選択する。例えば、ここでδ2が最小であったとすると、次の(S607)において、δmean=δ2/Nによって誤差の平均を求め、δmax=max(δ2[i])によって最大の誤差となったデータ点を求める。そして、(S608)において、δmean<0.002、かつ、δmax<0.2という条件を満たした場合には、式(A−2)で求めた根を有効な根として選択する。
このように図6のフローチャートによって、(S403)で式(4)についての有効な根を選択することができる。また、(S404)〜(S406)によって、式(8)を解いてその解の中から有効な根を選択するが、この場合の具体的なフローについても、図5及び図6で示した式(4)に関するものと略同様であり、図5の(S503)において用いた変換式を、図7の(S701)に置換え、図5及び図6のフローチャート中の「p」と「T」とを置換え、また、図5において使用した式(A−6)を図9に示す式(A−7)に置換ることで、式(8)を解いてその解の中から有効な根を選択することができる。そして、図4のフローの最後として(S407)において、選択した式(4)の有効な根、及び、式(8)の有効な根をそれぞれ出力する。
このような流れにより、図1の(S111)において、式(4)の有効な根、及び、式(8)の有効な根を得ることができ、これらは、p=f(T)、及び、T=f(p)というように表現された圧力と温度の関係を表した陽方程式である。この陽方程式を用いることにより、未知の飽和液圧力p又は未知の飽和液温度Tを得るための、高速で高精度かつ安定な計算を実現することができる。このように、図1のフローチャートによって、他のパラメータについても冷媒熱物性値を求めるための陽方程式を導出することができ、その導出した陽方程式を使った計算は高速で高精度かつ高安定なものとなる。
[純冷媒がスーパーヒート領域にある場合]
前記実施例1では、純冷媒が飽和領域にある場合の冷媒熱物性を求めるための陽方程式を導出する方法について説明したが、本実施例2では、純冷媒がスーパーヒート領域にある場合の冷媒熱物性を求めるための陽方程式を導出する方法について説明する。この純冷媒がスーパーヒート領域にある場合についての冷媒熱物性を求めるための陽方程式を導出するのに、次の3次方程式を用いた。
Figure 0004797344
ここで、yはスーパーヒート温度特性、yはyに対応した飽和蒸発温度特性、Tはスーパーヒート温度、TはTに対応した飽和蒸発温度であるとともにスーパーヒート圧力pの関数であり、a〜a11は係数である。この式(18)は、それぞれyが未知か、Tが未知かの何れかによって、式(19)又は式(20)に変換することが出来る。
Figure 0004797344
この式(19)及び式(20)は、共に3次方程式であるので、一般に、これらは3つの異なる根を持つことになる。それらの根のうち、式(19)と式(20)はそれぞれ1つの有効な根を持ち、それらは、例えばy=f(p,T)のように、陽方程式として表現することが可能となる。このように表現された陽方程式に反復計算は必要ないため、高速で安定な計算を行うことができる。
よって、上記式(19)及び式(20)を回帰処理することにより、純冷媒がスーパーヒート領域にある場合の冷媒熱物性を求めるための陽方程式を導出することができる。この場合の流れは、いくつかのステップを調整する以外は、図1のフローチャートと基本的に同様である。以下、調整したステップの部分について説明する。
前記実施例1では、図1の(S102)において、ソースデータを演算する必要のあるデータ範囲を特定するために、最低温度Tmin、最高温度Tmax及びこれらの温度間で計算するデータ点の個数Nを指定し、回帰処理が収束しない場合には(S116)において前記最低温度Tmin、最高温度Tmax及びデータ点の個数Nを調整するようになっていたが、純冷媒がスーパーヒート領域にある場合には、この図1の(S102)を図10(a)に示す(S1001)に置換えて、同様に、図1の(S116)を図10(b)に示す(S1002)に置換える。ここで、Tsminは最低飽和蒸発温度、Tsmaxは最高飽和蒸発温度、Nはこれらの温度間で計算するデータ点の個数、Nspはスーパーヒート(過熱度)であり、これらを(S1002)において指定してから、次の(S103)に進む。同様に、回帰処理が収束しない場合には(S1002)において最低飽和蒸発温度Tsmin、最高飽和蒸発温度Tsmax、これらの温度間で計算するデータ点の個数N、及び、スーパーヒート(過熱度)Nspを調整する。例えば、純冷媒がR22の場合には、最低飽和蒸発温度Tsmin=−60℃、最高飽和蒸発温度Tsmax=+80℃、これらの温度間で計算するデータ点の個数N=141個、及び、スーパーヒート(過熱度)Nsp=+65℃となる。
前記実施例1では、図1の(S103)においてソースデータを演算によって求める詳しいフローチャートとして図2を用いたが、純冷媒がスーパーヒート領域にある場合には、この図2の替わりに図11を用いる。図11に示すソースデータの演算の流れにおいて図2と異なる点は、図2においては、ある温度T[i]におけるソースデータを求めてこれをN点分求めるものであったが、純冷媒がスーパーヒート領域にある場合には、図11の(S1104)〜(S1108)のループにおいて、ある飽和蒸発温度Ts[i]においてスーパーヒート(過熱度)温度を1度ずつ上げながらNspに到達するまで各スーパーヒート温度毎にソースデータを演算し、この処理を(S1110)のループによって飽和蒸発温度Ts[i]を1度ずつ上げながらNに到達するまで繰り返す。よって、純冷媒R22がスーパーヒート領域にある場合には、(ソースデータのパラメータ数×65×141)個のソースデータを演算によって求めることとなる。
このようにしてソースデータを演算によって求めたら、図1のフローチャートの(S104)〜(S111)の流れと同様に、求めたソースデータを用いて式(18)を回帰処理をし、回帰処理によって求まった係数を用いて式(18)を解いて有効な根を選択する。ここでの回帰処理、並びに、解式及び根の選択処理は、若干の変換式の違いがある以外は、前記実施例1での最小二乗法を用いた回帰処理と略同様であり、また、根の選択方法についても前記実施例1と略同様であるので、説明は省略する。
[飽和領域又はスーパーヒート領域で、いくつかの特別冷媒温度特性を求める場合]
計算過程では、未知変数、また稀ではあるが既知変数としてのみ用いるいくつかの特別冷媒温度特性として、例えば、定圧比熱Cp、動粘性μ、熱伝導率λ、表面張力σなどがある。例えば、既知の飽和温度Tsによって未知の飽和熱伝導率λを計算することが多いし、稀には、既知の飽和熱伝導率λによって未知の飽和温度Tsを計算することもある。このような場合、この種の温度特性では、一組のλとTsの一対一関数を得るために3次方程式を解いて陽関数を得る必要はなく、高次陽多項式を適用して、高速、高精度かつ高安定に計算できる冷媒熱物性の陽方程式を得ることができる。ここで、飽和領域(サブクール領域を含む)又はスーパーヒート領域におけるいくつかの特別冷媒温度特性を求めるために、以下の高次陽多項式を用いる。
Figure 0004797344
この式(21)に対して求めたい特別冷媒温度特性のソースデータ、例えば、λとTsのソースデータを適用して回帰処理を行うが、その回帰処理は、若干の変換式の違いがある以外は、冷媒が飽和状態かスーパーヒートの常態かによって、前記実施例1で述べた最小二乗法によるものと略同様又は前記実施例2で述べた最小二乗法によるものと略同様であるので、説明は省略する。
[純冷媒の二相冷媒温度特性を求める場合]
二相純冷媒の場合、圧力ptp(或いは温度Ttp)を与えたとき、任意の気相温度特性zvと液相温度特性zlは、それぞれ対応する飽和蒸気温度特性zvsと飽和液温度特性zlsに等しくなる。乾度χが0〜1の間の領域においては、対応する飽和蒸気温度特性zvs並びに飽和液温度特性zlsは変化しない。同時に、気相冷媒の温度特性は対応する飽和蒸気冷媒に等しく、液相冷媒の温度特性は対応する飽和液冷媒に等しくなる。その結果、二相純冷媒は、圧力(或いは温度)及びその他の異なる温度常態パラメータ、例えば、乾度χ、エントロピs、エンタルピhなどを与えると決めることができる。よって、例えば、圧力ptp及び乾度χを与えると、任意の対応する二相温度特性ztpは、次式で計算できる。
tp=(1−χ)zls+χzvs (22)
この式(22)において、飽和蒸気温度特性zvsと飽和液温度特性zlsとが明らかになれば二相温度特性ztpは求まるので、飽和蒸気温度特性zvsと飽和液温度特性zlsとをそれぞれ前記実施例における方法で求めることにより、二相温度特性ztpが得られる。
[混合冷媒の二相冷媒温度特性を求める場合]
混合冷媒(非共沸冷媒)として、例えば、R410A、R407Cなどが存在する。混合冷媒、特に非共沸冷媒の場合、二相圧力ptpが与えられたとき、二相温度特性ztpは、対応する沸点温度特性zbにも等しくないし、対応する露点温度特性zdにも等しくない。同時に純冷媒とも異なり、ある圧力に対応する沸点温度Tbと対応する露点温度Tdも等しくない。従って、混合冷媒の場合、気相状態は対応する露点温度状態に等しくなく、また、液相状態は対応する沸点温度状態に等しくもない。また、純冷媒とは異なり、混合冷媒の温度特性は対応する飽和(沸点或いは露点)温度特性を直接用いて計算することができない。ここで、液相温度特性(沸点温度特性ではない)をzlとし、気相温度特性(露点温度特性ではない)をzvとしたとき、対応する任意の温度特性ztpは、次式で計算できる。
tp=(1−χ)zl+χzv (23)
この式(23)をzlとzvとによって回帰することで、陽方程式を得られるように見えるが、液相温度特性zlと気相温度特性zvは、それぞれ液相冷媒と気相冷媒の要素に準拠しており、これらの要素は乾度χによって変化するため、各乾度χにおける液相温度特性zlと気相温度特性zvを計算するのに全ての高速演算式を回帰するのは不可能である。よって、混合冷媒の温度特性を求めるために次の新たな式を導入した。
一般に、混合冷媒の圧力とエンタルピ或いは圧力と乾度を用いることができる場合、そのときの物理状態は決まる。よって、混合冷媒の計算を行うためには、圧力、温度、エンタルピ及びエントロピのみが必要である。この条件に基づいて、混合冷媒の温度特性を求めるために次の4つの式を用いる。1つは、圧力と乾度が既知である場合にエンタルピを計算するための式で、他の3つは、圧力とエンタルピが既知である場合に、乾度、エントロピ及び温度を計算するための式である。
以下の式において、エンタルピhと乾度χは、次の式、h=f(p,χ)及びχ=f(p,h)から逆算する必要がある。以下の式(24)、式(25)は、それぞれ非共沸冷媒R410A、R407Cのための演算式である。
Figure 0004797344
ここで、R410Aの場合pr=pc/pとなり、R407Cの場合pr=1000pc/pとなる。但し、pcは臨界圧力、pは所与の二相圧力である。
以下の式において、エンタルピh、エントロピs及び温度Tは、次の式、h=f(p,χ)、s=f(p,h)及びT=f(p,h)から逆算する必要がある。以下の式は、それぞれ非共沸冷媒R410A、R407Cで共用の演算式である。
Figure 0004797344
以上の式(24)、式(25)、式(27)及び式(28)によって、エンタルピh、乾度χ、エントロピs及び温度Tを得ることができる。
[サブクール領域の冷媒温度特性を求める場合]
サブクール冷媒温度特性の特徴は、飽和液冷媒温度特性のそれと同じであるので、サブクール冷媒温度特性を求めるための演算式は、間接的に飽和液冷媒温度特性を計算するための方程式を用いることで構成できる。なお、ここで示す演算方法は、冷媒が純冷媒であっても混合冷媒であっても使用することができる演算方法である。
一般的な実施例では、サブクール状態における圧力と温度は既知で、エンタルピhscの計算が必要である。従って、サブクール状態におけるエンタルピhscを既知のサブクール圧力pscとサブクール温度Tscによって計算する。そのための計算式として、次式を用いる。
sc=hls−Cpls(Tls−Tsc) (30)
この式(30)を演算する流れを図12のフローチャートに示す。この図12において、先ず、(S1201)において既知のサブクール圧力pscとサブクール温度Tscを入力する。次に、(S1202)において既知のサブクール圧力pscを用いて飽和液温度Tlsを求める。飽和液温度Tlsが求まったら、これを用いて(S1203)において、飽和液エンタルピhlsと飽和液定圧比熱Cplsを求める。これら値が求まったら、(S1204)において、式(30)を用いて演算を行い、(S1205)でサブクールエンタルピhscを得る。なお、図12中のTls=f(psc)、hls=f(Tls)及びCpls=f(Tls)は、それぞれのパラメータを求めるための高速演算式であり、前記実施例に示した方法で導出した陽方程式を用いるものである。
このように、それぞれ冷媒の種類や冷媒の状態ごとに異なる回帰式を適用することで、最適な高速演算式としての陽方程式を得ることが出来た。これらの方法で得た高速演算式を用いた計算は、従来の陰方程式を反復法で解く計算方法に比べて非常に計算速度の速いものとなっている。従来の計算方法の代表的なものとして、NISTのREFPROP6.01が存在するが、このREFPROPを用いた計算と本発明の高速演算式を用いた計算方法との計算時間の比較を行った。図14〜図16は、計算時間の比較結果を示したものである。なお、図14において使用しているサブクール領域及び飽和領域における冷媒熱物性値を計算するための関数の定義を図17に、同様に、図15において使用しているスーパーヒート領域における冷媒熱物性値を計算するための関数の定義を図18に示す。
図14は、サブクール領域及び飽和領域における様々な冷媒熱物性値について計算時間の比較を行ったもので、REFPROPによる計算時間をt1(s)とし、本発明の高速演算式による計算時間をt2(s)としたときに、t1/t2によって計算時間の比率(倍率)を求めている。この図14からも分かるように、全体としての計算時間は、従来の計算方法に比べて本発明の高速演算式による計算時間の方が、171.3倍速いことが分かる。同様に、図15は、スーパーヒート領域における様々な冷媒熱物性値について計算時間の比較を行ったもので、この場合には、従来の計算方法に比べて本発明の高速演算式による計算時間の方が、45.2倍速いことが分かる。さらに、図16は、混合冷媒の場合の様々な冷媒熱物性値について計算時間の比較を行ったもので、この場合には、従来の計算方法に比べて本発明の高速演算式による計算時間の方が、R410Aについては1449倍速く、R407Cについては1793倍速いことが分かる。
このように、従来の計算方法に比べて本発明の高速演算式による計算時間の方が、圧倒的に計算速度が速く、冷媒熱物性値の計算を行うシミュレータとしての実用性は圧倒的に高いことが分かる。
また、上記実施例では、フローチャートに基づいて説明を行ってきたが、本発明はこれに限られるものではなく、冷媒熱物性値の計算を行う装置としても構成することが出来る。例えば、図13に示すように、全体を、ソースデータ演算処理部11、回帰処理部12、解式及び根選択処理部13、冷媒熱物性演算部14、及び、メモリ部15で構成することが出来る。先ず、冷媒の指定、求めたい冷媒熱物性値の指定、及び、温度範囲とデータ点数の指定が、ソースデータ演算処理部11に対して行われ、このソースデータ演算処理部11でソースデータを演算によって求め、この求めたソースデータをメモリ部15のソースデータ記憶部16に記憶する。次に、回帰処理部12において、求めたい冷媒熱物性値のソースデータをソースデータ記憶部16から読出し、回帰式に当てはめて回帰処理を行い、回帰式の係数を得る。ここで得た複数の係数は、一時的に、演算過程一時記憶部17に記憶される。そして、解式及び根選択処理部13では、演算過程一時記憶部17に記憶された係数を読み出して回帰式に当てはめ、この回帰式を解いて複数の根を得て、これらの根の中から有効な根を選択して、陽方程式記憶部18に記憶する。冷媒熱物性演算部14では、この陽方程式記憶部18に記憶された陽方程式を高速演算式として用いて求めたい冷媒熱物性値の計算を行う。このように、冷媒熱物性値の計算を行う装置を構成することも出来る。また、このような装置においては、例えば、ソースデータ記憶部16をデータベースとすることで、予めソースデータを有するような構成とすることもできる。
前記実施例1〜5により、冷媒の種類や状態に合わせてそれぞれ異なる演算方法で陽方程式を導出することが可能となったが、前述の通り陽方程式を導出するためには、求めたいパラメータを適宜変形した後に、式(3)等の3次方程式を用いて回帰処理を行って係数を得て、その係数を3次方程式に代入して解いて、その根の中から有効な根を選択して陽方程式を得ていた。このように、実際は求めたいパラメータ毎にそれぞれ異なる処理を行って、異なる回帰式によって回帰処理を行うものであり、この実施例においては、純冷媒R22、R134aと、混合冷媒R410A、R407Cとについて、それぞれのパラメータ毎の陽方程式を導出するための詳細な演算式を示すとともに、これらを一覧表示して対応関係の把握を容易にした。なお、この実施例における演算式に適用する温度範囲については、R22、R134a及びR407Cに関する飽和温度は−60℃〜+80℃であり、R410Aに関する飽和温度範囲は−60℃〜+60℃であり、また、R22、R134a、R410A及びR407Cに関するスーパーヒート領域は0℃〜+65℃である。ただし、R410AのTvs=f(h)に関する−60℃から+29℃の飽和温度と、R407CのTvs=f(h)に関する−53℃から+80℃の飽和温度については除くものとする。
[純冷媒(R22、R134a)が飽和状態の場合]
R22、R134a等の純冷媒が飽和状態の場合における各パラメータの関係を表す陰方程式は、前記実施例1で述べたように、式(3)によって表現することが可能となる。よって、この式(3)を用いて回帰処理を行って陽方程式を導出するが、その際に、この式(3)におけるuとvに代入する各パラメータを適切な形に変形する必要がある。図19に示すのは、R22とR134aが飽和状態の場合の主要パラメータの変形例であり、R22に関するパラメータ毎の陰方程式No.をI1〜I9とし、R134aに関するパラメータ毎の陰方程式No.をI10〜I18とした時に、各陰方程式に適用するパラメータの変形例を示している。例えば、R22の飽和圧力psと飽和温度Tsとの関係を表した陰方程式をI1とすると、式(3)の3次方程式のuとvにそれぞれ(ps−37.5049)/100とTs−213.150とを代入したものが陰方程式I1となり、この陰方程式I1に回帰処理を行って各係数を得る。この図19からも分かるように、パラメータ毎にそれぞれ異なる変形処理を行った後に回帰処理を行っている。
上記のように、最適な形式のパラメータを代入した陰方程式に対して回帰処理を行うことで、その陰方程式の係数を得ることができる。図20は、R22が飽和状態の場合の各陰方程式I1〜I9に回帰処理を行って求めた各係数を表したものであり、また、図21は、R134aが飽和状態の場合の各陰方程式I10〜I18に回帰処理を行って求めた各係数を表したものである。このようにして求めた係数を用いて陽方程式を導出する。図22は、R22が飽和状態の場合の各陰方程式I1〜I9から導出した陽方程式と、R134aが飽和状態の場合の各陰方程式I10〜I18から導出した陽方程式とを示したものであり、また、これらの陽方程式を導出するのに用いた各式を示している。
例えば、R22が飽和状態の場合の飽和圧力psと飽和温度Tsとの関係を表した陽方程式を導出するには、陰方程式I1を回帰処理して係数a〜aを求める。ここで、陰方程式(3)は式(4)のように整理でき、この式(4)における各係数を図9(A−6)に示すa〜dで置換え(但し、式中のx=v)、u=yで置換えると、式(4)は以下のようになる。
ay+by+cy+d=0 (31)
この式(31)の根のうち有効な根となるのが図8(A−2)であり、これによって有効な根yを求める。このyを図22に示すR22の場合のpsとTsとの関係を表した陽方程式に代入することで、最終的な陽方程式を得る。このように、図22に示した数式を用いることで、R22が飽和状態の場合の各パラメータに関する陰方程式I1〜I9からそれぞれ陽方程式を導出することができ、同様に、R134aが飽和状態の場合の各パラメータに関する陰方程式I1〜I9からそれぞれ陽方程式を導出することができる。
[混合冷媒(R410A、R407C)が飽和状態の場合]
混合冷媒であるR410AとR407Cが飽和状態の場合についても同様に、図23に示すのは、R410AとR407Cが飽和状態の場合における主要パラメータの変形例であり、R410Aに関するパラメータ毎の陰方程式No.をI19〜I28とし、R407Cに関するパラメータ毎の陰方程式No.をI29〜I38とした時に、各陰方程式に適用するパラメータの変形例を示している。R410Aに関する陰方程式I19〜I28をそれぞれ回帰処理して求めた係数が図24であり、R407Cに関する陰方程式I29〜I38をそれぞれ回帰処理して求めた係数が図25である。これらに基づいて導出したR410AとR407Cが飽和状態の場合の陽方程式を図26に示し、また、これらの陽方程式を導出するのに用いた各式を図26に示す。
[冷媒がスーパーヒート状態の場合]
冷媒がスーパーヒート状態の場合における各パラメータの関係を表す陰方程式は、前記実施例2で述べたように、式(18)によって表現することが可能となる。この式(18)のパラメータの具体的な変形パターンとして、図27(a)は、R22とR134aがスーパーヒート状態の場合における主要パラメータの変形例を示したものであり、R22に関するパラメータ毎の陰方程式No.をI39〜I41とし、R134aに関するパラメータ毎の陰方程式No.をI42〜I44としている。また、図27(b)は、R410AとR407Cがスーパーヒート状態の場合における主要パラメータの変形例を示したものであり、R410Aに関するパラメータ毎の陰方程式No.をI45〜I47とし、R407Cに関するパラメータ毎の陰方程式No.をI48〜I50としている。
上記R22及びR134aに関する陰方程式I39〜I44をそれぞれ回帰処理して求めた係数が図28であり、R410A及びR407Cに関する陰方程式I45〜I50をそれぞれ回帰処理して求めた係数が図29である。これらに基づいて導出したR22及びR134aがスーパーヒート状態の場合の陽方程式及び陽方程式を導出するのに用いた各式を図30(a)に示し、R410A及びR407Cがスーパーヒート状態の場合の陽方程式及び陽方程式を導出するのに用いた各式を図30(b)に示す。
[混合冷媒(R410A、R407C)の二相温度特性を求める場合]
混合冷媒の二相温度特性を求める場合における各パラメータの関係を表す陰方程式は、図33に示す式(32)によって表現することが可能となる。この式(32)におけるAは、前記式(29)によって与えられるものであり、この式(32)のパラメータであるuとv、及び、式(29)におけるパラメータであるprの具体的な変形パターンを示したものが図31である。この図31において、R410Aに関するパラメータ毎の陰方程式No.をI51〜I53とし、R407Cに関するパラメータ毎の陰方程式No.をI54〜I56としている。
上記R410A及びR407Cに関する陰方程式I51〜I56をそれぞれ回帰処理して求めた係数が図32である。これらに基づいて導出した混合冷媒の二相温度特性を求める場合の陽方程式を図33に示す。なお、陽方程式の導出のために、図33の式(32)又は式(33)を用いている。
このように、純冷媒R22、R134aと、混合冷媒R410A、R407Cとについて、それぞれの陰関数毎にパラメータを最適な形式に変形して回帰処理を行い、それによって得た係数を用いて具体的な陽方程式を導出する過程について説明したが、この実施例6において導出したR22、R134a、R410A及びR407Cに関する陽方程式の計算精度及び計算速度について図面を用いて説明する。
図34に示すのは、R22、R134a、R410A及びR407Cに関する陽方程式の計算精度を検証するために、NISTのREFPROP6.01によって計算した値と、この実施例6に示した陽方程式によって計算した値とを比較し、その場合の平均誤差と最大誤差とを各陽方程式ごとに求めた。飽和状態の陽方程式については140点を計算して求め、スーパーヒート状態の陽方程式については3000点を計算して求め、二相温度特性の陽方程式については4000点を計算して求めた。この図34からも分かるように、各冷媒の高速演算式の総平均相対誤差は0.021%以下であることがわかる。またρsp =f(p,T)の最大相対誤差は2.0%以下と大きくなっているが、他の高速演算式の最大相対誤差は0.61%以下である。
また、図35に示すのは、R22、R134a、R410A及びR407Cに関する陽方程式の計算速度を検証するために、陽方程式ごとに、NISTのREFPROP6.01による計算とこの実施例6に示した陽方程式による計算とのそれぞれについて平均計算時間と最大計算時間とを求めるとともに、REFPROPによる計算に比べてこの実施例6に示した陽方程式による計算がどの程度高速化されたかを示す倍率を求めた。その結果、図35からも分かるように、純冷媒R22及びR134aに関する平均計算速度は、REFPROPの速度と比較してそれぞれ約140倍高速になっており、混合冷媒R410A及びR407Cに関する平均計算速度は、REFPROPの速度と比較してそれぞれ約1000倍高速になっていることが分かる。
本発明の冷媒熱物性値の計算において使用する陽方程式を導出する流れを示したフローチャート図である。 図1の(S103)における処理の詳細を示したフローチャート図である。 純冷媒の飽和領域における冷媒熱物性を求める場合の図1の(S105)における処理の詳細を示したフローチャート図である。 純冷媒の飽和領域における冷媒熱物性を求める場合の図1の(S111)における処理の詳細を示したフローチャート図である。 純冷媒の飽和領域における冷媒熱物性を求める場合の図4の(S402)における処理の詳細を示したフローチャート図である。 純冷媒の飽和領域における冷媒熱物性を求める場合の図4の(S403)における処理の詳細を示したフローチャート図である。 純冷媒の飽和領域における冷媒熱物性を求める場合の図4の(S405)における処理において図5を引用する場合に、その図5における(S503)の処理に置換えて使用するステップ図である。 図5の(S506)における処理で使用する演算式である。 図5の(S505)及び(S506)における処理で使用する演算式である。 純冷媒のスーパーヒート領域における冷媒熱物性を求める場合の図1の処理に置換えて使用するステップ図である。 純冷媒のスーパーヒート領域における冷媒熱物性を求める場合の図1の(S105)における処理の詳細を示したフローチャート図である。 サブクール領域の冷媒温度特性を求める場合の演算の流れを示したフローチャート図である。 図1における計算方法を実現するための計算装置の構成を示したブロック図である。 サブクール領域及び飽和領域における様々な冷媒熱物性値について、REFPROP6.01による計算時間と本発明の高速演算式による計算時間の比較を行った表である。 スーパーヒート領域における様々な冷媒熱物性値について、REFPROP6.01による計算時間と本発明の高速演算式による計算時間の比較を行った表である。 混合冷媒の場合の様々な冷媒熱物性値について、REFPROP6.01による計算時間と本発明の高速演算式による計算時間の比較を行った表である。 図14において示したサブクール領域及び飽和領域における冷媒熱物性値を計算するための関数の定義を示した表である。 図15において示したスーパーヒート領域における冷媒熱物性値を計算するための関数の定義を示した表である。 飽和冷媒R22及びR134aに関する陰方程式の主要パラメータの変形例を示した表である。 飽和冷媒R22に関する陰関数方程式の係数を示した表である。 飽和冷媒R134aに関する陰関数方程式の係数を示した表である。 飽和冷媒R22及びR134aに関する陽方程式を示した表である。 飽和冷媒R410A及びR407Cに関する陰方程式の主要パラメータの変形例を示した表である。 飽和冷媒R410Aに関する陰方程式の係数を示した表である。 飽和冷媒R407Cに関する陰方程式の係数を示した表である。 飽和冷媒R410A及びR407Cに関する陽方程式を示した表である。 スーパーヒート冷媒に関する陰関数方程式の主要パラメータの変形例を示した表であり、(a)は純冷媒の場合、(b)は混合冷媒の場合を表している。 純冷媒がスーパーヒート状態の場合の陰方程式の係数を示した表である。 混合冷媒がスーパーヒート状態の場合の陰方程式の係数を示した表である。 スーパーヒート冷媒に関する陽方程式を示した表であり、(a)は純冷媒の場合、(b)は混合冷媒の場合を表している。 二相冷媒R410A及びR407Cに関する陰方程式の主要パラメータの変形例を示した表である。 二相冷媒R410A及びR407Cに関する陰方程式の係数を示した表である。 二相冷媒R410A及びR407Cに関する陽方程式を示した表、及び、この陽方程式を導出するのに用いた数式を表したものである。 R22、R134a、R410A及びR407Cについて、NISTのREFPROP6.01によって計算した値と、実施例6に示した陽方程式によって計算した値とを比較した場合の相対誤差を示した表である。 R22、R134a、R410A及びR407Cについて、NISTのREFPROP6.01による計算と、実施例6に示した陽方程式による計算とのそれぞれの計算速度を示すとともに、両者の計算速度の比較を行った結果を示した表である。
符号の説明
(S101)〜(S116)…図1における各ステップ、(S201)〜(S206)…図2における各ステップ、(S301)〜(S310)…図3における各ステップ、(S401)〜(S407)…図4における各ステップ、(S501)〜(S511)…図5における各ステップ、(S601)〜(S608)…図6における各ステップ、(S701)…図7におけるステップ、(S1001)〜(S1002)…図10における各ステップ、(S1101)〜(S1111)…図11における各ステップ、(S1201)〜(S1205)…図12における各ステップ、11…ソースデータ演算処理部、12…回帰処理部、13…解式及び根選択処理部、14…冷媒熱物性演算部、15…メモリ部、16…ソースデータ記憶部、17…演算過程一時記憶部、18…陽方程式記憶部。

Claims (12)

  1. 演算処理部及びメモリ部を有したコンピュータにおいて、冷媒熱物性値のソースデータを演算処理部で演算して得てメモリ部に記憶するソースデータ演算処理手段と、特定の高次多項式をメモリ部に記憶された前記冷媒熱物性値のソースデータのうち、求めたい冷媒熱物性値によって演算処理部における演算により回帰処理することで前記高次多項式の係数を得てメモリ部に記憶する回帰処理手段と、前記メモリ部に記憶された係数を代入した高次多項式を演算処理部における演算により解くことで前記高次多項式の根を得てメモリ部に記憶し、さらに前記根の中から有効な根を選択してメモリ部に記憶する解式及び根選択処理手段とによって、求めたい冷媒熱物性値の関係を表した陽方程式を得て、この陽方程式を用いて冷媒熱物性値の計算を演算処理部において行うことを特徴とする冷媒熱物性値の計算方法。
  2. ソースデータ演算処理手段において求めるソースデータは、冷媒熱物性値の関係を表した陰方程式を演算処理部における演算により反復法によって解いて求めたものを含むことを特徴とする請求項1記載の冷媒熱物性値の計算方法。
  3. ソースデータ演算処理手段では、指定した冷媒の温度範囲について演算処理部における演算によりソースデータを求め、回帰処理手段では、前記冷媒の温度範囲を指定して求めたソースデータのうち、求めたい冷媒熱物性値について高次多項式に当てはめて最小二乗法により演算処理部における演算により回帰処理し、この回帰処理が収束した場合に前記高次多項式の係数を得てメモリ部に記憶するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の冷媒熱物性値の計算方法。
  4. 回帰処理手段において行った回帰処理が収束しなかった場合には、冷媒の温度範囲を調整し、その調整後の温度範囲のソースデータを用いて演算処理部における演算により回帰処理を行うようにし、温度範囲を調整しながら回帰処理を設定した回数行っても収束しない場合には、回帰処理に用いたソースデータに対して変換式を適用した後に再度演算処理部における演算により回帰処理を行うようにしたことを特徴とする請求項3記載の冷媒熱物性値の計算方法。
  5. 解式及び根選択処理手段では、求めた前記高次多項式の根をそれぞれソースデータと演算処理部において比較して、最も誤差の小さい根を有効な根としてメモリ部に記憶することを特徴とする請求項1記載の冷媒熱物性値の計算方法。
  6. 請求項1乃至5記載のソースデータ演算処理手段、回帰処理手段、及び、解式及び根選択処理手段とをコンピュータに実行させ、これによって求めたい冷媒熱物性値の関係を表した陽方程式を得て、この陽方程式を用いて冷媒熱物性値の計算を行うことを特徴とする冷媒熱物性値の計算プログラム。
  7. 請求項1乃至5記載のソースデータ演算処理手段、回帰処理手段、及び、解式及び根選択処理手段とをコンピュータに実行させ、これによって求めたい冷媒熱物性値の関係を表した陽方程式を得て、この陽方程式を用いて冷媒熱物性値の計算を行うことを特徴とする冷媒熱物性値の計算プログラムを記憶した記憶媒体。
  8. 冷媒熱物性値のソースデータを演算処理によって得てメモリ部に記憶するソースデータ演算処理部と、特定の高次多項式を前記メモリ部に記憶された前記冷媒熱物性値のソースデータのうち、求めたい冷媒熱物性値によって演算により回帰処理することで前記高次多項式の係数を得てメモリ部に記憶する回帰処理部と、前記メモリ部に記憶された係数を代入した高次多項式を解くことで前記高次多項式の根を得てメモリ部に記憶し、さらに前記根の中から有効な根を選択してメモリ部に記憶する解式及び根選択処理部とを具備し、これらの処理部を経ることで求めたい冷媒熱物性値の関係を表した陽方程式を得てこれをメモリ部に記憶し、このメモリ部に記憶された陽方程式を用いて冷媒熱物性値の計算を行う冷媒熱物性演算部を具備したことを特徴とする冷媒熱物性値の計算装置
  9. ソースデータ演算処理部において求めるソースデータは、冷媒熱物性値の関係を表した陰方程式を演算により反復法によって解いて求めたものを含むことを特徴とする請求項8記載の冷媒熱物性値の計算装置
  10. ソースデータ演算処理部では、指定した冷媒の温度範囲について演算によりソースデータを求め、回帰処理部では、前記冷媒の温度範囲を指定して求めたソースデータのうち、求めたい冷媒熱物性値について高次多項式に当てはめて最小二乗法により演算により回帰処理し、この回帰処理が収束した場合に前記高次多項式の係数を得てメモリ部に記憶するようにしたことを特徴とする請求項8又は9記載の冷媒熱物性値の計算装置
  11. 回帰処理部において行った回帰処理が収束しなかった場合には、冷媒の温度範囲を調整し、その調整後の温度範囲のソースデータを用いて演算により回帰処理を行うようにし、温度範囲を調整しながら回帰処理を設定した回数行っても収束しない場合には、回帰処理に用いたソースデータに対して変換式を適用した後に再度演算により回帰処理を行うようにしたことを特徴とする請求項10記載の冷媒熱物性値の計算装置
  12. 解式及び根選択処理部では、求めた前記高次多項式の根をそれぞれソースデータと比較して、最も誤差の小さい根を有効な根としてメモリ部に記憶することを特徴とする請求項8記載の冷媒熱物性値の計算装置
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