以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の1実施形態にかかる照光機能付き複合電子部品(以下単に「電子部品」という)1の概略側断面図、図2は電子部品1の斜視図、図3乃至図5は電子部品1を上側から見た分解斜視図であり、図3は上側の部品、図4は中間の部品、図5は下側の部品を示す図、図6乃至図8は電子部品1を下側から見た分解斜視図であり、図6は上側の部品、図7は中間の部品、図8は下側の部品を示す図である。なお以下の説明において、「上」とは第1回路基板150から回転体90側を向く方向をいい、「下」とはその反対側を向く方向をいうものとする。
これらの図に示すように電子部品1は、回転つまみ10と、押釦つまみ30(つまみ本体部31及び導光部材33及びスイッチ押圧部35からなる)と、ケース50と、クリック板70と、回転体90と、摺動子110と、発光素子130と、回転機能用の第1回路基板(以下「第1フレキシブル回路基板」という)150と、発光機能用の第2回路基板(以下「第2フレキシブル回路基板」という)170と、取付台190と、支持部材210と、第3回路基板(以下「第3フレキシブル回路基板」という)230と、保持部材(以下「保持板」という)250とを具備して構成されている。以下各構成部品について説明する。
回転つまみ10は合成樹脂(この実施形態ではABS樹脂)の成形品であり、略円板状の本体部11の中央に円形の開口部13を設けて構成されている。もちろん他の各種合成樹脂(例えばポリカーボネート(PC)樹脂やポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂やPOM樹脂等)を用いて構成しても良い。回転つまみ10の開口部13は、内部に下記する押釦つまみ30のつまみ本体部31を設置できるようにつまみ本体部31(その本体部311)の外径寸法よりも若干大きな内径寸法であり、且つつまみ本体部31に設けた下記するつば部319が上方に抜けないようにつば部319の外形寸法よりも若干小さい内径寸法に形成されている。一方回転つまみ10の外周には下方に突出する筒状の外周側壁部15が形成され、また回転つまみ10の下面の開口部13の周囲には外周側壁部15よりも小さな突出寸法で下方に突出する筒状の軸部17が形成されている。軸部17の下端面の複数位置(本実施形態では180°対向する2ヶ所の位置)には、この回転つまみ30にクリック板70を固定する小突起からなる板取付部19が設けられ、また軸部17の下端面の板取付部19の間の複数位置(本実施形態では180°対向する2ヶ所の位置)には、この回転つまみ10に回転体90を係止する回転体取付部21が設けられている。
つまみ本体部31は合成樹脂の成形品であり、この実施形態では不透光性の合成樹脂として熱可塑性のABS樹脂を用いている。もちろん他の各種合成樹脂(例えばPC樹脂やPBT樹脂やPOM樹脂等)を用いて構成しても良いし、透明であっても良い。つまみ本体部31は略円板状の本体部311と、本体部311の中央に上下に貫通するように設けられる導光部材挿通部313と、つまみ本体部31下面の導光部材挿通部313の周囲の複数位置(本実施形態では180°対向する2ヶ所の位置)に設けられ下方に向けて突出する棒状の導光部材取付部315と、つまみ本体部31下面の導光部材挿通部313の周囲の導光部材取付部315の間の複数位置(本実施形態では180°対向する2ヶ所の位置)に設けられ下方に向けて突出する棒状の押圧部取付部317と、本体部311の外周側面の下部に薄板リング状に突出するつば部319とを設けて構成されている。押圧部取付部317の根元側の部分は基部317aとなっており、先端側の部分は細い柱状の取付部317bとなっている。
導光部材33は透明な合成樹脂の成形品であり、この実施形態ではPC樹脂を用いている。もちろん透明な合成樹脂であれば、他の各種合成樹脂(例えばアクリル、PMMA樹脂、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PBT、ポリスチレン、ポリアクリロニトリルブタジエンスチレン等)を用いても良い。導光部材33は略円柱形状の導光部331の下部に略楕円状に張り出す取付基部333を設け、取付基部333の左右両側部分に上下に貫通して前記導光部材取付部315を挿通する内径寸法の取付部335を設けて構成されている。
スイッチ押圧部35は合成樹脂を略円板状に成形して構成されており、この実施形態ではABS樹脂を用いているが、他の各種合成樹脂(例えばPC樹脂やPBT樹脂やPOM樹脂等)を用いて構成しても良い。スイッチ押圧部35はその上面中央に矩形状の凹部からなる挟持部材収納部351を設け、またその下面中央に柱状に突出する押圧部353を設け、またバネ収納部351の周囲の複数位置(この実施形態では180°対向する2ヶ所の位置)に上下に貫通して前記押圧部取付部317の取付部317bを挿入する寸法形状の本体部取付部355を設けて構成されている。スイッチ押圧部35下面の本体部取付部355の周囲は凹部357となっている。
ケース50は合成樹脂の成形品であり、この実施形態では熱可塑性のPC樹脂を用いている。もちろん他の各種材質の合成樹脂(例えばABS樹脂やPBT樹脂やPOM樹脂等)を用いて構成しても良い。ケース50は円形平板状の上面部51を備え、上面部51の中央に回転つまみ10の軸部17をその内部に挿入して回動自在に軸支する円形の開口部53を有している。上面部51の外周には下方に向かって突出する筒状の側壁部55が設けられ、側壁部55の下端面の複数位置(この実施形態では等間隔〔90°間隔〕の4ヶ所の位置)には、下記する取付台190に取り付けられる小突起状の取付台取付部57が設けられている。また上面部51の下面には、下記するクリック板70のクリック弾接部83を弾接係合させる凹凸を所定間隔でリング状に配置してなるクリック係合部59が形成されている。ケース50の外径は、回転つまみ10の下面の外周側壁部15の内側に収納される寸法に形成されている。
クリック板70は弾性金属板(例えばステンレス板)を円形に形成したクリック本体部71と、クリック本体部71の外周を囲む位置に設置された一対の半円弧状のアーム部73,73とを一体に形成して構成されている。クリック本体部71はその外径が回転つまみ10の軸部17の外径と略同じ寸法に形成され、その中央には前記つまみ本体部31の導光部材取付部315と押圧部取付部317とを挿通させる円形の開口部75が設けられ、クリック本体部71の外周の180°を隔てて対向する2ヶ所の位置には回転つまみ10の回転体取付部21を挿通させる半円弧状の切り欠きからなる挿通部77が形成され、クリック本体部71の180°を隔てて対向する2ヶ所の位置には回転つまみ10の板取付部19を挿入する扇形状の貫通孔からなる取付固定部79が形成されている。クリック本体部71の取付固定部79,79の両外側には、半径方向外方に突出して両アーム部73,73の根元部分に連結する一対の連結部81,81が設けられている。両アーム部73,73はそれぞれクリック本体部71の外周に沿うように設置され、両アーム部73,73の中間位置にはクリック板70の上面側に向かって円弧状に湾曲する突起状のクリック弾接部83,83が設けられている。
回転体90は合成樹脂の成形品であり、この実施形態ではPOM樹脂を用いているが、もちろん他の各種材質の合成樹脂材を用いて構成しても良い。回転体90は円形の平板状に形成され、その中央に前記つまみ本体部31の導光部材取付部315と押圧部取付部317とを挿通させる円形の開口部91を設けている。一方回転つまみ10の回転体取付部21に対向する2ヶ所の位置には貫通孔からなる挿入部93が設けられ、また回転つまみ10の板取付部19に対向する2ヶ所の位置には、クリック板70の下面から突出する板取付部19の先端部を収納配置する凹状の収納部95が設けられている。一方回転体90の下面は摺動子110を設置する摺動子設置部101となっており、摺動子設置部101の面の同心円上の等間隔(120°間隔)の3ヶ所の位置には、小突起状の摺動子固定部103が設けられている。
摺動子110は弾性金属板製であり、この実施形態ではリン青銅板を用いているが、他の各種材質のものを用いても良い。摺動子110は、回転体90よりも若干小さな外径寸法を有する略円形の平板状でリング状に形成され、中央に開口部111を設けると共に、等間隔(120°間隔)の3ヶ所の位置に、前記回転体90の摺動子固定部103を挿入する貫通孔からなる取付固定部113を設け、また各取付固定部113の側部から3本ずつの摺接ブラシ115を摺動子110の円形の外形に沿うように設置して構成されている。各組の摺接ブラシ115の先端近傍部分は接点部117となっている。
発光素子130はこの実施形態では略凸形状の発光ダイオード(LED)であり、その中央の突出している上面に光を放射する発光部131を設け、またその下部両側面から左右方向に向けて突出した部分の表面に電極部133,133を露出して設けて構成されている。
第1フレキシブル回路基板150と第2フレキシブル回路基板170は、同一の(一枚の)フレキシブル回路基板の周囲部分と中央部分にそれぞれ設けられており、第2フレキシブル回路基板170の周囲の部分(第1フレキシブル回路基板150と第2フレキシブル回路基板170の境界部分)には、上下に貫通する挿通部181が設けられている。挿通部181は略矩形状の第2フレキシブル回路基板170の周囲を、第2フレキシブル回路基板170と第1フレキシブル回路基板150とを連結する一対の連結部183を除いて囲む形状に設けられている。また第1フレキシブル回路基板150は、その外周に接続した帯状の連結部173によって第3フレキシブル回路基板230の外周と連結されている。即ち第1,第2,第3フレキシブル回路基板150,170,230は一枚の回路基板(以下「フレキシブル回路基板」という)140で構成されている。従ってフレキシブル回路基板140全体について説明すると、フレキシブル回路基板140は可撓性を有する合成樹脂フイルム上に所望の回路パターンを設けて構成されており、この実施形態では合成樹脂フイルムとして熱可塑性のPETフイルムを用いている。もちろん他の各種熱可塑性、熱硬化性、光硬化性の合成樹脂フイルム、例えばポリフェニレンスルフイド(PPS)フイルム、ポリイミド(PI)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フイルム、ポリエーテルイミド(PEI)フイルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フイルム、ポリエーテルケトン(PEK)フイルム、PCフイルム、ポリブチレンナフタレート(PBN)フイルム、PBTフイルム等を用いて構成しても良い。
そして第1フレキシブル回路基板150の部分は略円形の外形を有し、その上面に同心円状(リング状)に所望の摺接パターン151を設けて構成されている。摺接パターン151は銀ペースト等の導電ペーストを印刷する等して形成されており、図では詳細な記載を省略しているが、この実施形態では等間隔にリング状に複数のスイッチパターンを形成して構成されている。また第1フレキシブル回路基板150の前記ケース50の各取付台取付部57に対向する4ヶ所の位置には、貫通孔からなる挿通部153が設けられている。
第2フレキシブル回路基板170の部分は略矩形状の外形を有し、その上面に左右一対の電極接続パターン171,171を設けて構成されている。電極接続パターン171,171も銀ペースト等の導電ペーストを印刷する等して形成されている。また前述のように第2フレキシブル回路基板170の長手方向に沿う左右一対の側辺の中央部分は連結部183によって第1フレキシブル回路基板150に連結されている。
第3フレキシブル回路基板230は略八角形の外形を有し、その上面(前記摺接パターン151や電極接続パターン171を設けた反対側の面)の中央に中央スイッチ231を設置し、中央スイッチ231の周囲の複数の位置(この実施形態では同一円周上の等間隔〔90°間隔〕の4ヶ所の位置)に押圧スイッチ233を設置して構成されている。中央スイッチ231と押圧スイッチ233は何れも同一構造であり、第3フレキシブル回路基板230上の図示しない一対のスイッチ接点上に弾性金属板をドーム形状に形成してなる反転板(可動接点板)231a,233aを設置し、反転板231a,233aを押圧してこれを反転することでスイッチがオンする構造に構成されている。また第3フレキシブル回路基板230の周囲8ヵ所の位置には、貫通孔又は切り欠きからなる挿通部235が形成されている。また中央スイッチ231、押圧スイッチ233の出力は図示しない回路パターンによって第3フレキシブル回路基板230の外周に連結した帯状の引出部237に引き出されている。引出部237には前記第1フレキシブル回路基板150の摺接パターン151や第2フレキシブル回路基板170の電極接続パターン171に接続された回路パターンも引き出されている。
ところで第1,第2フレキシブル回路基板150,170の摺接パターン151と電極接続パターン171を設けた上面と、第3フレキシブル回路基板230の中央スイッチ231や押圧スイッチ233を設けた上面とは、フレキシブル回路基板140の表裏の異なる面となっている。即ち接続部173の部分で折り返すことで、前記各面が上面となる。
取付台190は合成樹脂の成形品であり、この実施形態ではABS樹脂を用いているが、他の各種合成樹脂材を用いて構成しても良い。取付台190は回転つまみ10よりも若干大きい外径寸法を有し、中央には押釦つまみ30のスイッチ押圧部35を挿通して上下動自在に軸支する略円形の開口部191が設けられている。一方前記ケース50の各取付台取付部57に対向する複数の位置(本実施形態では4ヶ所の位置)には、貫通孔からなる取付部193が設けられ、また外周の所定位置(本実施形態では各取付部193の外側の4ヶ所の位置)には、半径方向外方に向かって舌片状に突出する係合片195が設けられている。各係合片195の両側辺には幅方向に突出する小突起状の係止部197が設けられている。取付台190の下面の各取付部193の間の所定位置(各取付部193間の中間位置)には、下方向に向かって突出する柱状の押圧部199が設けられている。
支持部材210は合成樹脂の成形品であり、この実施形態ではABS樹脂を用いているが、他の各種合成樹脂材料を用いて構成しても良い。支持部材210は、略リング状(C字状)に形成されており、中央の開口211の内径寸法は、回転つまみ10や取付台190(係合片195を除く)の外径寸法よりも少し大きく形成されている。支持部材210の等間隔の4ヶ所(即ち90°間隔)の位置には、上方向に凸となる取付台保持部213が設けられ、各取付台保持部213の下面には凹状の係合部215が設けられている。係合部215の形状は取付台190の係合片195を所定の短い寸法だけ上下動自在で平面方向には移動しない状態で挿入できるように、係合片195の係止部197を挿入する幅広部分とその先端側部分を挿入する幅細部分とを有している。支持部材210の下面の各係合部215の両側部分には、下方向に突出する小突起状の取付部217が設けられている。また略リング状の支持部材210の一部には、切り欠きからなる基板挿通部219が設けられている。
保持板250は硬質板であり、この実施形態では金属板(ステンレス板)を用いているが、他の材質の金属板又は合成樹脂板を用いても良い。保持板250はその外形寸法形状が第3フレキシブル回路基板230の外形寸法形状と略同一であり、第3フレキシブル回路基板230の各挿通部235に対向する位置には、これら各挿通部235と同一寸法形状の貫通孔又は切り欠きからなる挿通部251が設けられている。
次に電子部品1の組み立て方法を説明する。まず予め第2フレキシブル回路基板170の上面(電極接続パターン171を形成した側の面)に発光素子130を載置し、発光素子130両側の電極部133を電極接続パターン171に当接する。そして第2フレキシブル回路基板170の下面側に、矩形状のバネ板をコ字状に折り曲げてなる挟持部材180を設置し、これによって図9に示すように第2フレキシブル回路基板170の両側部分を折り曲げて発光素子130の両電極部133の周囲に巻き付け、これによって両電極部133に両電極接続パターン171を圧接し、同時に発光素子130を第2フレキシブル回路基板170に取り付けておく。一方回転体90の摺動子設置部101に摺動子110を設置して、摺動子固定部103を摺動子110の取付固定部113に挿通し、摺動子110の下面側に突出する摺動子固定部103の先端を熱かしめすることで、回転体90の摺動子設置部101に摺動子110を取り付けておく。
次につまみ本体部31の下面側に導光部材33を配置し、その際導光部材33の導光部331をつまみ本体部31の導光部材挿通部313に挿入し、同時につまみ本体部31の導光部材取付部315を導光部材33の取付部335に挿入し、導光部材33の下面側に突出する導光部材取付部315の先端を熱かしめしてつまみ本体部31と導光部材33とを一体化する。そして回転つまみ10の開口部13にその下側から導光部材33を取り付けたつまみ本体部31の本体部311を挿入し、その上面を開口部13から回転つまみ10の上面側に露出させる。次につまみ本体部31を収納した回転つまみ10の下側にケース50を設置し、その際ケース50の開口部53内に上側から回転つまみ10の軸部17が挿入され、ケース50の上部に回転つまみ10が回動自在に設置される。
次にケース50の下面側にクリック板70を設置し、その際つまみ本体部31の押圧部取付部317をクリック板70の開口部75に挿通させ、同時に回転つまみ10の回転体取付部21をクリック板70の挿通部77に挿通し、且つ回転つまみ10の板取付部19をクリック板70の取付固定部79に挿通し、クリック板70の下面側に突出する各板取付部19の先端を熱かしめして固定する。次に前記摺動子110を取り付けた回転体90を、クリック板70の下面側に設置し、その際つまみ本体部31の押圧部取付部317を回転体90の開口部91と摺動子110の開口部111に挿通させると共に、クリック板70の挿通部77からクリック板70の下面側に突出している回転体取付部21を回転体90の挿入部93に挿入する。なおここでは回転体取付部21を挿入部93に挿入するだけで、回転体取付部21先端の熱かしめは行っていないが、回転体取付部21の先端を回転体90の下面側で熱かしめして固定しても良い。
次に前記回転体90等を収納したケース50の下側に第1,第2フレキシブル回路基板150,170を配置し、その際第1フレキシブル回路基板150の各挿通部153にケース50の各取付台取付部57を挿入する。このとき同時につまみ本体部31の押圧部取付部317が挿通部181に挿入される。そして第2フレキシブル回路基板170の下側に配置したスイッチ押圧部35の本体部取付部355につまみ本体部31の押圧部取付部317の取付部317bを挿入する。そしてスイッチ押圧部35の下面側に突出する取付部317bの先端を熱かしめし、これによってつまみ本体部31とスイッチ押圧部35とを一体化した押釦つまみ30とする。このときスイッチ押圧部35の上面はつまみ本体部31の押圧部取付部317の基部317aの先端面に当接するので、スイッチ本体部31の導光部材33を取り付けた下面とスイッチ押圧部35(挟持部材収納部351)の上面の間には所定の隙間があり、前記発光素子130を取り付けた第2フレキシブル回路基板170はこの隙間内で所定寸法上下動自在となっている。
次に第1,第2フレキシブル回路基板150,170の下側に取付台190を配置し、その際前記第1フレキシブル回路基板150の各挿通部153を貫通したケース50の各取付台取付部57を取付台190の各取付部193に挿入し、取付台190の下面から突出する各取付台取付部57の先端を熱かしめすることで取付台190をケース50等に一体に取り付ける。このとき同時に取付台190の開口部191内にスイッチ押圧部35が上下動自在に挿入され、その押圧部353が取付台190の下面に露出する。
次に連結部173を折り曲げることで第3フレキシブル回路基板230を取付台190の下面側に設置し、さらに第3フレキシブル回路基板230の下面側に保持板250を設置した上で、回転つまみ10の上部から被せるように支持部材210を第3フレキシブル回路基板230上に設置する。このとき支持部材210の開口211内に前記ケース50等が設置され、また支持部材210の各係合部215内に取付台190の各係合片195が所定の短い寸法上下動自在に挿入され、さらに支持部材210の各取付部217が第3フレキシブル回路基板230の各挿通部235と保持板250の各挿通部251に挿入される。またこのとき折り曲げた連結部173は支持部材210の基板挿通部219に位置する。そして保持板250の下面から突出する各取付部217の先端を熱かしめすれば、電子部品1が完成する。なお上記電子部品1の組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
これによりケース50の上部に設置した回転つまみ10と、ケース50の下部に設置したクリック板70及び回転体90及び摺動子110が、ケース50の上下でケース50に対して一体に回転自在に設置される。またこのときクリック板70のクリック弾接部83がケース50のクリック係合部59に弾接係合した状態となり、また摺動子110の接点部117が第1フレキシブル回路基板150の摺接パターン151に当接した状態となっている。また押釦つまみ30の押圧部353の下面は中央スイッチ231の反転板231aに当接して上方向に押し上げられ、つば部319の上面が回転つまみ10の下面に接近又は当接している。また取付台190は各押圧部199が各押圧スイッチ233の反転板233aに当接して水平状態を保っている。また押釦つまみ30は、回転体90及び第1,第2フレキシブル回路基板150,170及び取付台190を貫通して上下動自在に設置されている。また押釦つまみ30内に第2フレキシブル回路基板170及びこれに取り付けた発光素子130が設置されている。また第1フレキシブル回路基板150と第2フレキシブル回路基板170は、同一のフレキシブル回路基板の周囲部分と中央部分にそれぞれ、折り曲げられることなく設置されている。即ち第2フレキシブル回路基板170の基板面と第1フレキシブル回路基板150の基板面とは略同一面に位置している。また押釦つまみ30を構成するつまみ本体部31とスイッチ押圧部35は、第2フレキシブル回路基板170の周囲に設けた挿通部181を介して第2フレキシブル回路基板170及び発光素子130を静止したまま上下動自在に連結されている。
そして回転つまみ10を指等で回転すれば、クリック板70と回転体90と摺動子110とが回転つまみ10と一体に回転し、摺動子110の接点部117が摺接パターン151上を摺動して摺接パターン151の電気的出力が変化する。同時に、クリック板70のクリック弾接部83がケース50のクリック係合部59に弾接係合してクリック感覚が生じる。
一方押釦つまみ30の本体部311上面を押圧すれば、押釦つまみ30が下降してその押圧部353が中央スイッチ231の反転板231aを押圧してこれを反転し、中央スイッチ231がオンする。押釦つまみ30への押圧を解除すれば反転板231aの弾性復帰力によって中央スイッチ231はオフする。また回転つまみ10の本体部11上面の前記取付台190の4ヶ所の押圧部199の何れかに対応する部分を押圧すれば、ケース50や回転体90や押釦つまみ30等、取付台190上に設置されている各構成部品が取付台190と一体に押圧された方向に傾いて揺動し、下降した側の押圧部199が対向する押圧スイッチ233の反転板233aを押圧してこれを反転し、押圧スイッチ233がオンする。回転つまみ10への押圧を解除すれば、反転している反転板233aの弾性復帰力によって回転つまみ10及び取付台190等の各構成部品が一体に元の位置に自動復帰し、押圧スイッチ233がオフする。
以上説明したように、電子部品1は、第1フレキシブル回路基板150上に回転体90を設置し、この回転体90の回転によって回転体90と第1フレキシブル回路基板150の間に設置した摺動子110及び摺接パターン151からなる電気的機能部の電気的出力を変化する回転式電子部品部A1と、回転体90及び第1フレキシブル回路基板150を貫通して上下動自在に押釦つまみ30を設置し、この押釦つまみ30の上下動によって押釦つまみ30の下方に設置した中央スイッチ231をオンオフする押圧式電子部品部A2と、第1フレキシブル回路基板150を設置した取付台190を揺動自在に支持する支持部材210と、取付台190の揺動によって押圧される押圧スイッチ233とを具備してなる揺動式電子部品部A3とを具備して構成されている。このようにこの電子部品1によれば、回転式電子部品と押圧式電子部品と揺動式電子部品の機能を一体化した多機能型の電子部品1を構成することができる。特にこの実施形態においては、第1フレキシブル回路基板150の下側に揺動式電子部品部A3用の押圧スイッチ233を設置したので、電子部品1の外径の小型化・コンパクト化が図れる。
一方発光素子130を発光すれば、その光は導光部材33を透して押釦スイッチ30の上面から放射され、明るく照らし出す。そしてこの電子部品1においては、回転式電子部品部A1の電気的出力を取り出す第1フレキシブル回路基板150の中央に、発光素子130を取り付けて押釦つまみ30内に設置される第2フレキシブル回路基板170を、両回路基板150,170が略同一面に位置するように配置したので、従来の第1フレキシブル回路基板上に第2フレキシブル回路基板を重ね合わせるタイプの電子部品に比べ、回転式電子部品部A1及び押圧式電子品部A2の第1フレキシブル回路基板150の基板面からの高さ寸法を薄型化することができる。
また押釦つまみ30が上下動しても、第2フレキシブル回路基板170及び発光素子130は静止状態のままなので、容易に第1フレキシブル回路基板150と第2フレキシブル回路基板170とを同一の回路基板の周囲部分と中央部分とにそれぞれ設けることができる。そして第1,第2フレキシブル回路基板150,170を同一の回路基板の周囲部分と中央部分にそれぞれ配置することができれば、従来のように第2フレキシブル回路基板を第1フレキシブル回路基板の外周から引き出して第1フレキシブル回路基板上に折り曲げて設置する必要がなくなる。このため電子部品1の構造を簡素化でき、組み立ても容易になる。また回転体90(及び回転つまみ10)が360°エンドレスで回転する構造であっても、従来のように第2フレキシブル回路基板を第1フレキシブル回路基板の外周から引き出して第1フレキシブル回路基板上に折り曲げて設置する構造にする必要がなくなり、引き出して折り曲げた部分が360°回転する回転体90の何れかの部分に当接する恐れはなく、容易にエンドレスタイプの回転式電子部品部A1とすることができる。このことは特に電子部品1を小型化した場合に前記折り曲げる部分が邪魔になるので有効である。
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば上記実施形態においては、発光素子130の第2フレキシブル回路基板170への固定を、挟持部材180によって行ったが、本発明はこの取付構造に限定されるものではなく、例えば図10,図11に示すように、挟持部材180の代りに取付用ケース270を取り付けても良い。即ち第2フレキシブル回路基板170上に発光素子130を載置し、その際電極接続パターン171に発光素子130の電極部133を当接し、さらにこれら第2フレキシブル回路基板170及び発光素子130の周囲を覆うように成形(射出成形)によって合成樹脂製の取付用ケース270を取り付ける構造である。これによって発光素子130の電極部133と第2フレキシブル回路基板170の電極接続パターン171とは当接・接続した状態のまま取付用ケース270内で一体化される。このとき発光素子130の光を放射する発光部131は取付用ケース270の上面から露出させる。なお取付用ケース270の材質としては、例えばABS樹脂やPBT樹脂やPOM樹脂等を用いる。取付用ケース270は透明でも不透明でも何れの色彩でも良く、必要に応じて選択できる。また発光素子130の第2フレキシブル回路基板170への固定は、接着剤のボンディングによって行っても良い。また上記以外の各種取付方法によって行っても良い。
また上記実施形態では第1,第2フレキシブル回路基板150,170と第3フレキシブル回路基板230とは連結部173によって一体に連結されているが、連結部173を無くして第1,第2フレキシブル回路基板150,170と第3フレキシブル回路基板230とを別個の回路基板として構成しても良い。また第1,第2フレキシブル回路基板150,170と第3フレキシブル回路基板230の少なくとも一方を硬質の回路基板で構成しても良い。また上記実施形態では本発明を、回転式電子部品と押圧式電子部品と揺動式電子部品の機能を一体化した電子部品に適用した例を示したが、回転式電子部品と押圧式電子部品の機能を一体化した電子部品、即ち取付台190を揺動自在に支持しない構成の電子部品に本発明を適用してもよい。この場合、例えば支持部材210と押圧スイッチ233と取付台190の押圧部199と係合片195とを省略し、取付台190を図1に示す状態のまま第3フレキシブル回路基板230を載置した保持板250上に固定すれば良い。
また上記実施形態では回転体90に取り付けた摺動子110と取付台190上に設置した第1フレキシブル回路基板150の摺接パターン151とによって電気的機能部を構成したが、電気的機能部は回転体90の回転によってその電気的出力が変化する構成であれば他の各種構成であっても良い。また上記実施形態では中央スイッチ231や押圧スイッチ233を一枚の合成樹脂フイルム上に形成した接点パターン上に反転板を取り付けることで構成しているが、これらのスイッチは2枚の合成樹脂フイルムを重ね合わせて両合成樹脂フイルムにそれぞれ設けた一対の接点パターンを隙間を介して対向させ、一方の合成樹脂フイルムに設けた接点パターンの裏面側に反転板を設置することで構成されるいわゆるメンブレンスイッチで構成しても良い(この場合、反転板は必ずしも必要ない)。
また上記実施形態では電子部品に揺動式電子部品の機能を持たせるために取付台を支持部材によって揺動自在に支持したが、取付台を揺動自在に支持する構造として他の各種構造を用いても良く、要は取付台を揺動自在に支持することで揺動して下降した位置にある押圧スイッチをオンオフ操作する構造であればどのような構造であっても良い。なお本実施形態にかかる支持部材は取付台の外周にこれを囲むように設置するだけの構造なので、構造が簡単で、取り付けも容易で、また厚みの薄型化が図れて好適である。
上記実施形態では発光素子から照射される光を押釦つまみに取り付けた導光部材に設けた導光部を透してその表面から外部に照射するように構成したが、導光部材を省略してつまみ本体部自体を透明な材料で構成してつまみ本体部自体を導光部として構成しても良い。要は発光素子から照射される光を押釦つまみを通して外部に照射する構造であればよい。また上記実施形態では別部材であるつまみ本体部及びスイッチ押圧部によって押釦つまみを構成したが、つまみ本体部及びスイッチ押圧部を一体成形品によって構成しても良い。その場合でも本実施形態と同様に、内部に第2フレキシブル回路基板及び発光素子を静止状態で(少なくとも押釦つまみの上下動ストローク分)押釦つまみが上下動自在となるように収納する収納空間を設ける。