JP4778990B2 - 抗原濃度検出装置及び抗原濃度検出方法 - Google Patents
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Description
これにより、抗原の濃度に応じて屈折率の変化速度が大きくなるため、この変化速度から抗原濃度を測定している。
上記プリズム104は、シリンドリカルレンズ103により集光されて下部から入射される光が、上部面に形成された表面プラズモン共鳴を起こすための金属薄膜105において焦線107となるよう構成されている。
また、プリズムに入射された入射光は、焦線107の位置にて、金属薄膜105、抗体固定膜106及び流路を流れる液体により反射される。この反射光は、レンズ108により平行光とされ、偏光子109によりP偏光光のみがレンズ110に入射される。レンズ110は、入射される光を受光素子111(CCD)面へ放射する。
したがって、CCD111面には、このCCD111の上面図である図8に示すように、焦線107の面において、y方向の位置に対応して、焦線107の面からの反射光がそれぞれピクセル単位に格子状に配列された受光素子に入力される。
上述した構成により、各抗体固定領域201に固定されている抗体に対して、抗原が反応して結合した場合、抗体固定膜106の屈折率が変化し、この屈折率に対応した入射角度における反射率が変化、すなわち抗体に抗原が付着すると屈折率が高くなることにより、反射率が低下する入射角度(SPR角度)を、時系列にモニタすることにより、抗体固定膜106の屈折率の変化を測定することができる。
しかしながら、CCD111により撮像した画像データにノイズが重畳しているため、上記従来例においては、SPR角度の推定値が上記ノイズによりばらつき、精度の高い抗原濃度の測定が行えないという欠点がある。
また、上記試料領域200において、抗体固定領域201の数が一定だが、抗体固定領域201の位置はy方向にてばらつくため、屈折率の変化を検出する抗体固定領域201を、画像処理の対象とするROI(Region Of Interest)領域として抽出することができず、ノイズの影響と同様に、精度の高い抗原濃度の測定が行えないという欠点がある。
前記空間周波数から前記ローパスフィルタ部及び前記バンドパスフィルタ部にて行う演算に用いるフィルタパラメータを算出するフィルタパラメータ算出部と
をさらに有することを特徴とする。
ここで、上記ROI領域の位置を求める処理は、フレーム画像データ毎に独立して行うため、複数のフレーム画像データから求める場合に比較し、時間分解能の低下を伴わないため、高い精度にて抗原濃度を測定することができる。
この図において、図示していないが、本実施形態の抗原濃度検出装置には、図6と同様の表面プラズモン共鳴センサ(以下、SPRセンサ)が設けられており、このSPRセンサのCCD111から各受光素子の画素データ、すなわち抗体固定領域の配列方向の各位置と、この各位置における予め設定した入射角度範囲における入射角度と、に対応した受光素子の反射強度を示す画素データが、配置フレーム画像データとして入力される。
したがって、本実施形態による抗原濃度検出装置は、上記SPRセンサ(図6の構成)以外に、データ入力部11、データ記憶部12、空間周波数成分算出部13、統計情報演算部14、フィルタパラメータ算出部15、ローパスフィルタ部16、バンドパスフィルタ部17、SPR角度検出部18、ROI検出部19を有している。
ここで、反射強度が強い場合に階調度が高くなり、反射強度が弱い場合に階調度が低くなる。なお、データ入力部11は、例えば、実験で得られた最大の反射強度を最大の階調度として規格化し、入力される電圧値を階調度に変換する。
また、空間周波数成分算出部13は、フーリエ変換またはウェーブレット変換により(例えば、本実施形態にてはフーリエ変換を利用)、列方向(y方向:図6の抗体固定領域201の配列方向である)の各受光素子からの階調度のデータから、列単位の周波数成分を算出し、列の位置に対応させて、データ記憶部12におけるy方向周波数記憶領域に、それぞれの周波数における強度データを、周波数毎に書き込む。
また、上述した列単位の周波数成分は、抗体固定領域201の配置周期、すなわち画像処理の対象とするROI領域を求めるために用いられる。
また、同様に、統計情報演算部14は、y方向周波数記憶領域に記憶されている列単位の周波数成分の強度データを、周波数毎に加算して列数にて除算することにより、強度データの周波数毎の平均値を算出し、y方向周波数データとしてデータ記憶部12に書き込む。
あるいは、フィルタパラメータ算出部15は、バンドパスフィルタに対し、設計値としての抗体固定領域201の数、この領域の幅、間隔などのデータから、この画像形状に対応したy方向のバンドパスフィルタのパラメータを、複数個予め設定しておき、測定対象(抗体固定領域201の数)に対応して選択するようにしても良い。
また、バンドパスフィルタ部17は、データ記憶部12のローパスフィルタ演算結果領域から、ローパスフィルタ処理データを読み出し、フィルタパラメータ算出部15の生成したバンドパスフィルタ(列方向のコンボリューション核)により、y方向に対してバンドパスフィルタ演算を行い、演算結果をフィルタ処理データとして、データ記憶部12のフィルタ処理データ領域に書き込む。
上述した処理により、CCD111から入力された受光素子からのデータに重畳しているノイズ成分を低減させることができる。
同様に、バンドパスフィルタ部17は、ローパスフィルタ部16が再生した画像を、列方向にフーリエ変換し、周波数変換したデータに対して、列方向(y方向)毎にバンドパスフィルタ演算を行い、設定された周波数範囲以外の強度データを「0」とし、逆フーリエ変換を行い、画像を再生し、フィルタ処理データとして、データ記憶部12のフィルタ処理データ領域に書き込むように構成しても良い。
このSPR角度の算出方法としては、
・凹型の関数を2次元関数により近似させて、極値の位置を求め、この位置をSPR角度とする
・図形的にx方向の波形形状の重心を求める
・凹型の関数をQ(x)=A1cos(x)あるいはQ(x)=A1cos(x)+A2cos(2x)にてフィッティングし、フィッティング結果を微分して、Q’(x)=0となるxiを求める(A1及びA2はフーリエ変換による周波数におけるスペクトルの強度値)
などの方法がある。
そして、ROI検出部19は、SPR角度の時間変化に基づいて、抗原濃度を算出するパラメータとなる抗原抗体の反応速度を検出するROI領域の抽出を、このSPR角度の時間変化により検出する(詳細は後述)。
データ入力部11は、図6のCCD111の各受光素子からの画素データを、階調度に変更し、図2に示す構成にてデータ記憶部12に書き込む(ステップS1)。
データ入力部11は、予め設定されている測定期間が終了したか否かを、測定時間と、内部タイマの計時する時間とを比較し(ステップS2)、測定期間の終了が検出されるまで、一定のサンプリング周期にてステップS1の処理を繰り返して、CCD111からの画素データを読み込み、このサンプリング周期の順番にてサンプリング周期毎に、図2に示す構成のフレーム画像データとして、測定した画素データの階調度のデータを、データ記憶部12に書き込む。一方、データ入力部11は、測定期間の終了が検出されると処理をステップS3へ進める。
同様に、統計情報演算部14は、データ記憶部12のy方向周波数成分記憶領域に記憶されているフレーム画像データの列単位の周波数成分の強度データを、周波数成分毎に加算し、さらにフレーム画像データ毎の加算結果をさらに周波数成分毎に加算し、周波数全サンプリング周期の加算結果を、周期数及び列数の乗数により乗算し、全サンプリング周期のフレーム画像データにおける、列方向の各周波数成分の強度データの平均値として、y方向周波数データを算出する(ステップS4)。
そして、フィルタパラメータ算出部15は、上記y方向周波数データにおける最大周期の周波数成分の帯域を抽出し、この帯域以下の周波数を通過帯域とする、列方向にかけるバンドパスフィルタのコンボリューション核の畳み込み核パラメータを求める(ステップS5)。例えば、フィルタパラメータ算出部15は、予め実験から求めた複数の周波数(周波数帯域)毎のコンボリューション核及びその核パラメータをテーブルにて保持しており、抽出した最大周期の周波数成分に対応させ、x方向のローパスフィルタ、及びy方向のバンドパスフィルタそれぞれのコンボリューション核及び核パラメータを読み出して用いるようにする。
また、バンドパスフィルタ部17は、上記ローパスフィルタ処理データをサンプリング周期毎に、データ記憶部12のローパスフィルタ処理データ領域から読み込み、上記y方向のコンボリューション核を用いて、ローパスフィルタ処理データの画素データに対してy方向に向かってバンドパスフィルタ演算を行い、各フレーム画像データのバンドパスフィルタ処理データを、フィルタ処理データとしてサンプリング周期毎にデータ記憶部12のフィルタ処理データ領域に書き込む(ステップS6)。
そして、ROI検出部19は、各x方向の画素データのSPR角度のサンプリング期間毎の変化を、測定時間範囲内にて一次近似した一次直線を求め、この一次直線に対するSPR角度の偏差を求めることにより、ROI領域の検出を行う(ステップS7)。すなわち、抗原抗体反応が発生している場合、抗体固定領域201におけるSPR角度の変化が一次近似より外れることを利用し、一次近似より外れる行部分を抗体固定領域201とし、ドリフト変化(単調変化)を行う部分をリファレンス領域202として検出する。
ROI検出部19は、y方向の位置毎におけるSPR角度の測定時間内における時間平均を算出、すなわち測定時間内にサンプリングしたSPR角度を積算し、サンプリング周期数にて除算し、y方向の位置毎におけるSPR角度の時間平均A1を算出する。(また、時間平均ではなく、測定時間内にサンプリングしたSPR角度の中央値、標準偏差、歪度及び尖度のいずれの指標を用いてもよい。)
また、ROI検出部19は、抗体固定領域201の幅Lの2倍に対応するy方向の画素数単位に、1画素ずつずらしながら上記時間平均A1の幅2Lの画素数単位の移動平均値A3を求める。
そして、ROI検出部19は、各y方向の位置毎(画素毎に)に、移動平均A2から移動平均A3を減算し、それぞれ差分A4を算出する。
検出の結果、ROI検出部19は、符合の極性が正であるy方向の位置を抽出し、両端を除いた範囲を、図5に示すようにROI領域として設定する。この設定に関して、ROI検出部19が表示する図4において、マウスなどの入力装置を用いて、差分A4が算出されて表示された後、表示画面上においてユーザが選択してROI領域の部分を選択する様にしても良い。
次に、本実施形態の抗原濃度検出装置は、ROI領域が検出された後、この部分における抗体に対する抗原の反応速度などから、フローセルに流す検体に含まれる抗原濃度の検出処理を行う。
LED100からプリズム104に入射された光は、プリズム104と金属薄膜105との界面でエバネッセント波を生起させる。エバネッセント波の波数kevは、式(1)により定義される。
kev=kpnpsinθ …(1)
ここで、kpは入射光の波数、npはプリズム104の屈折率、θは入射角である。
一方、金属薄膜105の表面では、表面プラズモン波が生じる。表面プラズモン波の波数kspは、式(2)により定義される。
ksp=(c/ω){εn2/(ε+n2)}1/2 …(2)
ここで、cは光速、ωは角振動数、εは金属薄膜105の誘電率、nは被測定物質10 5の屈折率である。
このSPR現象は、金属薄膜105に接する被測定物の検体の抗原と抗体との複合体の屈折率nに依存する。このため、極小値をとる角度θ0から、検体に含まれる抗原濃度変化による屈折率変化等を測定することができる。
12…データ記憶部
13…空間周波数成分算出部
14…統計情報演算部
15…フィルタパラメータ算出部
16…ローパスフィルタ部
17…バンドパスフィルタ部
18…SPR角度検出部
19…ROI検出部
100…LED
101,108,110…レンズ
102,109…偏光子
103…シリンドリカルレンズ
104…プリズム
105…金属薄膜
106…抗体固定膜
107…焦線
111…CCD
Claims (6)
- 長尺状のマイクロフローセル内に、異なる抗体が検体の流れる方向に配列されており、検体に含まれる抗原の濃度を測定する抗原濃度検出装置であり、
光発振器と、
該光発振器からの出射光による表面プラズモン共鳴を起こすための金属薄膜と、
該金属薄膜を固定し、該金属薄膜上に前記光発振器の出射光を、複数の入射角度の入射光に変換して直線状の焦線位置にて集光する集光機構と、
前記金属薄膜上に前記焦線位置に重なる位置に抗体を固定した抗体固定領域及び抗体を固定しないリファレンス領域を交互に配置した測定領域と、
前記焦線位置において生じた表面プラズモン共鳴による該出射光の前記焦線位置における反射光を、複数の入射光の角度毎に受光する受光素子アレイと、
前記焦線位置での前記入射角度毎の反射光の強度からなるフレーム画像データを、一定のサンプリング周期毎に測定するデータ入力部と、
フレーム画像データ毎に、入射角度方向の反射光の強度に対し、ローパスフィルタ演算を行うローパスフィルタ部と、
前記ローパスフィルタ演算後のフレーム画像データ毎に、前記焦線位置が伸びる方向に対し、前記抗体固定領域の配置周期に対応したバンドパスフィルタ演算を行い、フィルタ演算結果として出力するバンドパスフィルタ部と、
前記フィルタ演算結果から、前記焦線位置の伸びる方向の各位置における、最も反射光の強度が低い入射角度であるSPR角度を求めるSPR角度算出部と、
前記焦線位置の伸びる方向の各位置におけるSPR角度のサンプリング周期毎の変化状態から、測定領域における抗体が実際に固定されている抗体固定領域を、抗原濃度測定に用いるROI領域として検出するROI検出部と
を有する抗原濃度検出装置。 - 前記フレーム画像データから、抗体固定領域の配列方向及び入射角度方向それぞれの空間周波数を求める空間周波数成分算出部と、
前記空間周波数から前記ローパスフィルタ部及び前記バンドパスフィルタ部にて行う演算に用いるフィルタパラメータを算出するフィルタパラメータ算出部と
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の抗原濃度検出装置。 - 前記バンドパスフィルタ部のフィルタパラメータが前記測定領域の設計値における抗体固定領域の数、幅及び間隔から設定されていることを特徴とする請求項1記載の抗原濃度検出装置。
- 前記SPR角度算出部が、ローパスフィルタ演算後のフレーム画像データから、測定領域の位置毎の反射強度の変化曲線に対応するサイン関数を求め、このサイン関数を微分して、微分結果が「0」となる位置に対応する入射角度をSPR角度とすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の抗原濃度検出装置。
- 前記ROI検出部が、各測定領域の位置におけるSPR角度の時間平均を算出し、この時間平均を測定領域の位置方向に、設計値の抗体固定領域の幅に対応する位置の範囲にて第1の移動平均を算出し、上記範囲の2倍の範囲にて第2の移動平均を算出し、第1の移動平均から第2の移動平均を減算し、減算結果が正の範囲を抗原濃度検出の処理を行うROI領域とすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の抗原濃度検出装置。
- 光発振器と、該光発振器からの出射光による表面プラズモン共鳴を起こすための金属薄膜と、該金属薄膜を固定し、該金属薄膜上に前記光発振器の出射光を、複数の入射角度の入射光に変換して直線状の焦線位置にて集光する集光機構と、前記金属薄膜上に前記焦線位置に重なる位置に長尺状のマイクロフローセルが構成され、このマイクロフローセル内に抗体を固定した抗体固定領域及び抗体を固定しないリファレンス領域を交互に配置した測定領域と、前記焦線位置において生じた表面プラズモン共鳴による該出射光の前記焦線位置における反射光を、複数の入射光の角度毎に受光する受光素子アレイと、からなる抗原濃度検出装置により、検体に含まれる抗原の濃度を測定する抗原濃度検出方法であり、
データ入力部が、前記焦線位置での前記入射角度毎の反射光の強度からなるフレーム画像データを、一定のサンプリング周期毎に測定するデータ入力過程と、
ローパスフィルタ部が、フレーム画像データ毎に、入射角度方向の反射光の強度に対し、ローパスフィルタ演算を行うローパスフィルタ過程と、
バンドパスフィルタ部が、前記ローパスフィルタ演算後のフレーム画像データ毎に、前記焦線位置が伸びる方向に対し、前記抗体固定領域の配置周期に対応したバンドパスフィルタ演算を行い、フィルタ演算結果として出力するバンドパスフィルタ過程と、
SPR角度算出部が、前記フィルタ演算結果から、前記焦線位置の伸びる方向の各位置における、最も反射光の強度が低い入射角度であるSPR角度を求めるSPR角度算出過程と、
ROI検出部が、前記焦線位置の伸びる方向の各位置におけるSPR角度のサンプリング周期毎の変化状態から、測定領域における抗体が実際に固定されている抗体固定領域を、抗原濃度測定に用いるROI領域として検出するROI検出過程と
を有する抗原濃度検出方法。
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