JP4765024B2 - 光出射方向変換機能を有するフィルムを用いたスクリーンおよびプロジェクションディスプレイシステム光学系 - Google Patents

光出射方向変換機能を有するフィルムを用いたスクリーンおよびプロジェクションディスプレイシステム光学系 Download PDF

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Description

本発明は、光出射方向変換機能を有するフィルムを用いたスクリーンおよびプロジェクションディスプレイシステム光学系に関する。
リアプロジェクションディスプレイシステム光学系を薄型化するためには、例えば図10に示すように、プロジェクタ20をスクリーン光軸10A上に配置するのではなく、スクリーン光軸10Aからずれた位置に配置し、スクリーン10に斜め方向からプロジェクタ光を入射させる必要がある。スクリーン10に斜めから入射したプロジェクタ光の大部分は、一般的に、観察者が存在するスクリーン正面方向ではなく、プロジェクタ光の直進透過方向に強く拡散するから、前記薄型化を達成するためには、斜め方向からスクリーンに入射するプロジェクタ光の出射方向を正面方向に変換することが非常に重要となる。
このようなプロジェクタ光の方向変換を行うために、従来、例えば図11に示すように、斜め方向から入射してくるプロジェクタ光20Aをプリズム30に通し、プリズム界面における屈折40および全反射50のいずれか一方または両方を利用することにより出射方向を変換する技術が知られている(例えば非特許文献1参照)。
Shikama,S.et.al.,SID’02Digest,p.1250−1253
前述のプリズムを用いたスクリーンでは、プリズムが有する複雑な界面においてプロジェクタ光の迷光が発生し画像にゴーストが生じるといった問題、および界面において外光がその入射側(観察者側)に反射(後方反射)されコントラスト比が低下するといった問題を有する。さらに加工精度の問題でプリズムの角が丸くなり、このためプリズムの角の部分でプロジェクタ光が拡散し出射方向変換効率が低下することからプロジェクタ光利用効率が低いといった問題、および斜め入射では主にプリズムの角の部分にプロジェクタ光が当たることから出射方向変換効率が入射角度に依存するため実質的に出射方向変換角度に限界が存在するといった問題を有する。
ここで、出射方向変換効率(または光出射方向変換効率)とは、光出射方向変換フィルムに対してある角度または角度領域から入射した光と、ある角度または角度領域に出射する光の強度の比であり、入射および出射の角度または角度領域は一般的にプロジェクタ光入射角度とスクリーン拡散特性によって決定される。また、出射方向変換角度とは、直進透過方向と光出射方向変換素子からの出射方向の差の絶対値である。
そこで、本発明は、複雑な界面に起因する画像のゴーストやコントラスト比の低下を生じさせることなく、かつ出射方向変換効率が高く、出射方向変換角度に限界を有さない光出射方向変換素子の実現を目標とし、それをスクリーンとして用いた薄型高品位プロジェクションディスプレイの提供を目指した。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、光導波路の原理を用い、入射光の伝播方向を、面内方向に層状に積層させた湾曲した光導波路内で変化させることで、
1)迷光による画像のゴーストが生じない、
2)後方反射が少ない、
3)光出射方向変換効率が高い、
4)出射方向変換角度に限界を有さない、
5)入射光の偏光が保持される、
という優れた特性を実現する光出射方向変換フィルムの構造に想到した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(発明項1) 入射光拡散角度領域から入射した光を出射光拡散角度領域に拡散させる拡散フィルムと、斜め方向から入射した光を正面方向に出射させる光出射方向変換フィルムとからなるスクリーンにおいて、前記光出射方向変換フィルムは、隣接相互間で異なる屈折率を有して複数のステップインデックス型光導波路をなす層厚さ一定の複数の層がフィルム面内方向に縞状に並び、フィルム厚さ方向に対し前記一定の層厚さを保って湾曲して延在する構造を有することを特徴とする光出射方向変換機能を有するフィルムを用いたスクリーン。
(発明項2) 入射光拡散角度領域から入射した光を出射光拡散角度領域に拡散させる拡散フィルムと、斜め方向から入射した光を正面方向に出射させる光出射方向変換フィルムとからなるスクリーンにおいて、前記光出射方向変換フィルムは、層厚さ方向に集光能力を発現する屈折率分布を有する光導波路をなす複数の層がフィルム面内方向に縞状に並び、フィルム厚さ方向に対し湾曲して延在する構造を有することを特徴とする光出射方向変換機能を有するフィルムを用いたスクリーン。
(発明項3) 入射光拡散角度領域から入射した光を出射光拡散角度領域に拡散させる拡散フィルムと、斜め方向から入射した光を正面方向に出射させる光出射方向変換フィルムとからなるスクリーンにおいて、前記光出射方向変換フィルムは、発明項1記載の構造と発明項2記載の構造とがフィルム厚さ方向およびフィルム面内方向のいずれか一方または両方に混在した構造を有することを特徴とする光出射方向変換機能を有するフィルムを用いたスクリーン。
(発明項4) 前記拡散フィルムの入射光拡散角度領域と前記光出射方向変換フィルムの出射角度領域とがマッチングすることを特徴とする発明項1〜3のいずれかに記載の光出射方向変換機能を有するフィルムを用いたスクリーン。
(発明項) 発明項1〜のいずれかに記載の光出射方向変換機能を有するフィルムを用いたスクリーンと、該スクリーンへの入射光を発光するプロジェクタとを有し、該プロジェクタのプロジェクタ開口および配置が前記スクリーンの入射角度領域とマッチングされてなるプロジェクションディスプレイシステム光学系。
(発明項) さらに前記プロジェクタからの発光を反射して前記スクリーンへ入射させる反射鏡を有し、該反射鏡の配置が前記スクリーンの入射角度領域とマッチングされてなる発明項記載のプロジェクションディスプレイシステム光学系。
本発明によれば、
1)迷光による画像のゴーストが生じない、
2)後方反射が少ない、
3)光出射方向変換効率が高い、
4)出射方向変換角度に限界を有さない、
5)入射光の偏光が保持される、
という優れた特性を実現する光出射方向変換フィルムおよび光出射方向変換拡散フィルムを実現することができ、それをスクリーンとして用い、プロジェクタおよび反射鏡の配置、プロジェクタの開口をスクリーンの開口に合わせることにより高品位薄型プロジェクションディスプレイを提供することが可能となる。
リアプロジェクションディスプレイシステム(略してリアプロ)では、システムを薄型にするために、例えば図12に示すように、光学エンジン(プロジェクタ)20をスクリーン10の下側に配置し、鏡など(ミラーM1、M3、非球面ミラーM2)によって光の方向を変え、スクリーン10の下側からスクリーン法線に対し斜め方向からの結像を用いている。よって、このままでは光のエネルギーの中心方向がスクリーン上側に向いた拡散特性となるため、従来、図11に示したようにプリズム30(プリズムシート)を用いて、光強度の中心方向をスクリーンの法線方向に向けるのが一般的である。
しかし、プリズムシートを用いると、薄型リアプロの場合、屈折型と反射型を併用することによる特性のばらつきや、場所により異なるプリズム形状による製造の困難さがある。
これに対し、本発明では、従来のプリズムシートに代えて、図1に示すように、光導波路アレイをなす複数の層1がフィルム面内方向に縞状に並び、フィルム厚さ方向に対し湾曲して延在する構造を有する光出射方向変換フィルム2を用いる。なお、3は入射光拡散角度領域から入射した光を出射光拡散角度領域に拡散させる拡散フィルムであり、この拡散フィルム3と光出射方向変換フィルム2とでスクリーン10が構成される。
光出射方向変換フィルム2内の光導波路1は、ステップインデックス型の光導波路、または、層厚さ方向に集光能力を発現する屈折率分布を有する型(例えばグラジエントインデックス型)の光導波路である。
図2は、湾曲した光導波路アレイがステップインデックス型である場合の光出射方向変換フィルムの例を示す模式図である。光導波路1をなす屈折率nの層(コア)1と屈折率nの層(クラッド)1(n>n)がフィルム面内方向に互い違いに積層している。2は残部(光導波路1以外のフィルム部分)である。層1,1の境界は、フィルム面の法線に対して入射側でθbend-in、出射側でθbend-outの角度だけ傾いている。かかるステップインデックス型の光導波路では、コア1に入射した光線8が層境界で全反射しつつコア1内を光導波路1の曲がりに沿って伝播して、光強度の中心方向をθbend-outにより決定される所望の方向(例えばフィルム面の法線方向)として出射するように設計することができる。
なお、本発明において、光学系を記述する角度については、図3に示すように、基準方向(例えば水平方向)の角度を0°とし、基準方向から左回転方向の角度を正(+)、右回転方向の角度を負(−)とする。
図4は、湾曲した光導波路アレイが層厚さ方向に集光能力を発現する屈折率分布を有する型である場合の光出射方向変換フィルムの例を示す模式図である。層厚さ方向に集光能力を発現する屈折率分布を有する層1がフィルム面内方向に積層して光導波路アレイをなしている。2は残部(光導波路1以外のフィルム部分)である。層1の境界は、フィルム面の法線に対して入射側でθbend-in、出射側でθbend-outの角度だけ傾いている。かかる層厚さ方向に集光能力を発現する屈折率分布を有する型の光導波路では、層1に入射した光線8が層境界間を振幅とする波形を描くように屈折しつつ層1内を光導波路1の曲がりに沿って伝播して、光強度の中心方向をθbend-outにより決定される所望の方向(例えばフィルム面の法線方向)として出射するように設計することができる。
1枚の光出射方向変換フィルムには、ステップインデックス型、および、層厚さ方向に集光能力を発現する屈折率分布を有する型のうち、いずれか一型の光導波路のみが存在してもよく、また、両型の光導波路がフィルム面内方向、フィルム厚さ方向のいずれか一方または両方に混在してもよい。なお、図5にはステップインデックス型の光導波路アレイと、層厚さ方向に集光能力を発現する屈折率分布を有する型の光導波路アレイとが、(a)フィルム厚さ方向に混在する例、および(b)フィルム面内方向に混在する例を示した。
なお、本発明の開示中の図および解析では全てフィルム中に層を形成しない残部2を有する例を示しているが、これは光出射方向変換特性に直接寄与しない部分であり、残部2がない構造、または片側だけに存在する構造であっても同様に光出射方向変換特性を発現する。この場合も以下に示す解析と同様に層内部における光の伝播を考え、出射時における残部2での屈折を計算することで同様に扱うことが可能である。また図では残部2は層厚み方向断面が三角形状であり、その一辺がフィルムの空気界面であるとしているが、上記と同様の理由によりこれ以外の構造(例えば残部2が非常に大きくフィルムの厚み方向の一部において層の存在しない領域が存在する等)であっても同様に扱うことが可能である。
このように構成されたスクリーンでは、光学エンジンからの光を湾曲した光導波路内で反射あるいは屈折させながら、光強度の中心方向をθbend-outにより決定される所望の方向(例えばスクリーン法線方向)へ向けることができる。これによれば、従来のプリズムシートのような、屈折型と反射型を併用することによる特性のばらつきや、場所により異なるプリズム形状による製造の困難さはなくなり、
1)迷光による画像のゴーストが生じない、
2)後方反射が少ない、
3)光出射方向変換効率が高い、
4)出射方向変換角度に限界を有さない、
5)入射光の偏光が保持される、
という優れた特性を実現する光出射方向変換フィルムを実現することができる。
もっとも、光出射方向変換フィルムの出射角度領域が、拡散フィルムの入射光拡散角度領域とマッチングしていないと、プロジェクタ光の一部が観察者の存在する方向に拡散されず、プロジェクタ光利用効率が低下することから、これらの角度領域はマッチングしていることが好ましく、少なくとも光出射方向変換フィルムの出射角度領域θoutの50%が拡散フィルム入射角度領域θd-inに含まれている必要がある。
また、光出射方向変換フィルムと組合わせて用いる拡散フィルムとしては、特に限定しないが、本発明者らが先に特願2004−267170号として提案したプロジェクションディスプレイ用スクリーンに用いる拡散フィルムが好ましい。
また、上記光出射方向変換フィルムは、ステップインデックス型の光導波路の層傾き角度のばらつき、および/または、層厚さ方向に集光能力を発現する屈折率分布を有する型の光導波路の層長さのばらつきを略トップハット型に分布させることにより、略トップハット型の拡散光強度特性をもたせた光出射方向変換拡散フィルムとすることができる。
この光出射方向変換拡散フィルムは、前記特願2004−267170号に記載した拡散フィルム内の光導波路を湾曲させた形態のものに相当する。
1枚の光出射方向変換拡散フィルムには、ステップインデックス型、および、層厚さ方向に集光能力を発現する屈折率分布を有する型のうち、いずれか一型の光導波路のみが存在してもよく、また、両型の光導波路がフィルム面内方向、フィルム厚さ方向のいずれか一方または両方に混在してもよい。
また、1枚の光出射方向変換拡散フィルムは、上記両型の光導波路が融合した構造を有するものであってもよい。この構造は、層内の屈折率分布がステップインデックス型の屈折率分布関数と層厚さ方向に集光能力を発現する屈折率分布関数とのいずれかであって、層傾き角度と層長さが共に略トップハット型のばらつき分布を有する湾曲層からなる構造である。
この光出射方向変換拡散フィルムは、入射光を光導波路内で曲げながら拡散させる機能をもつから、これを前記光出射方向変換フィルム(拡散機能のない光出射方向変換フィルム)の代わりに用いることにより、別段の拡散フィルムを用いる必要がなくなり、スクリーンをこの光出射方向変換拡散フィルムのみで構成することができる。
本発明のスクリーンにおいて、光出射方向変換フィルムまたは光出射方向変換拡散フィルム内の光導波路をなす各層の厚さは、これが大きすぎると解像度の高い画像を伝播することができないため、一般的なプロジェクションディスプレイ投射画像の画素の大きさから考えて、500μmよりも小さいことが望ましい。
また、光出射方向変換フィルムまたは光出射方向変換拡散フィルムのフィルム面は平面に限定されず、曲面であってもよい。曲面の場合はこれを微小な平面の集まりと考えることで同様に扱いうるからである。
本発明のスクリーンを用いてプロジェクションディスプレイシステム光学系を構成する場合、光学エンジンとの開口(=開口数;Numerical Aperture;略号NA)のマッチングが重要である。光学エンジンのNAは、例えばリアプロジェクションディスプレイの場合について図1に示されるように、光学エンジン20のレンズの直径、焦点距離、結像倍率、結像位置によって決まるスクリーン後方からの入力光線の角度範囲を2θ(≡2×θ)とすると、NA=sinθで定義される。
なお、実際のプロジェクションディスプレイシステム光学系では、例えば図12に示されるように、光学エンジンとスクリーンとの間に反射鏡やレンズ等の光学素子が配置されている場合が多いが、その場合にはその光学系を、図1あるいは図6のように1枚のレンズのみを用いた光学的に等価な形態に変換した図において同様に定義される。
図6に示すように、直径d、焦点距離fのレンズの後方の距離aの位置に置いた長さSの物体(プロジェクションディスプレイにおいては例えば液晶、DMD等の画像表示パネル)21から出た光がレンズを通ってレンズ前方の、1/a+1/b=1/fを満たす距離bの位置に結像されたとすると、その像の長さSは、S/S=b/a、を満たし、かつ、レンズ中心軸から像の下端、上端までの距離をそれぞれl、l、レンズ上端と像下端、レンズ下端と像上端を結ぶ直線がそれぞれレンズ中心軸となす角度をθ、θとすると、NAに対応する角度範囲2θは次式で表される。
2θ=θ−θ ‥‥(0-1)
tanθ=(l+d/2)/b ‥‥(0-2)
tanθ=(l−d/2)/b ‥‥(0-3)
この角度範囲2θの光の全てを、湾曲した光導波路(以下、曲がり導波路という)で曲げることができなければ、スクリーンの光の利用効率が低下するだけでなく、曲がり導波路からもれた光は画像の解像度の低下につながる。よって、スクリーン後方からの入力光線の角度範囲2θと、曲がり導波路のNAに対応する角度範囲とのマッチングは、プロジェクションディスプレイシステム光学系の設計上、極めて重要なものとなる。
そこで、曲がり導波路のNAの理論的導出について、以下に詳述する。
〔ステップインデックス型の曲がり導波路のNA〕
図7に、ステップインデックス光導波路曲線構造モデルを示す。曲がり導波路をなす屈折率nの層(コア)1と、nよりも小さい屈折率nの層(クラッド)1が互い違いに積層した構造である。コア1について、厚さをy1、曲率中心をO、内周側境界面の曲率半径をr0とする。モデルでは、入出力のNAを理解しやすくするために、光導波路の曲線構造部(C部)の入口と出口に微小長さΔzの直線構造部(L部)を付加した。光導波路の外部は屈折率nairの空気層である。
光線5、6はC部のコア1を伝播できる光線のモードである。この二つのモードは、C部のコア1のクラッド1との外周側境界面(外周境界)で臨界角θ、C部のコア1のクラッド1との内周側境界面(内周境界)でθ+θで、全反射して伝播してゆくモードである。光線5はC部の入口と出口の外周境界において臨界角θで全反射し、光線6はC部の入口と出口の内周境界においてθ+θで全反射して伝播する。
光線5が外周境界の入口と出口でちょうど臨界角で全反射した場合、空気層へ出射する角は、図のθin1、θout1である。位置が少しずれた場合、出入口ちょうどの位置で全反射が起らないため、−θin1、−θout1となる。よって、光線5のモードのNAは、±θin1、±θout1で決まる。同様の議論を光線6のモードについて行うと、該モードのNAは、±θin2、±θout2で決まるといえる。
ここで光線5に着目してみる。図では+θin1で入射してくる光線を描いているが、−θin1で外周境界入口へ入射してくる光を考えてみる(Δzは無限小)。外周境界入口へ入射したこの光はC部のコア内を伝播できるが、入射位置を外周境界から内周境界へ移動させると、内周境界において臨界角θで全反射してゆくことになり、外周境界に達した時には臨界角θより小さな角で外周境界へ入射し、光はもはや全反射せずクラッドへ屈折してしまう。よって、光線5において出入口の外周境界位置のNAは、±θin1、±θout1で決まるが、内周へ向かうにしたがってNAは減少し、内周境界位置では光線6のNAを決める角±θin2、±θout2と一致する。よって、この曲線構造の導波路を安全に伝播できるNAは、光線6の角±θin2、±θout2で決まるといえる。よって、スクリーン設計では、この角で議論する。
次に、図7より、この角±θin2、±θout2の導出を行う。図4の△OABに対し正弦定理を適用して、
0/sinθ=(r0+y1)/sin{π−(θ+θ)} ‥‥(1-1)
θは臨界角であるので、コア、クラッドの屈折率n、nを用いて、
θ=sin-1(n/n) ‥‥(1-2)
(1-1),(1-2)式より、
θ+θ=sin-1{(n/n)×(1+y1/r0)} ‥‥(1-3)
よって、点Bで全反射している光線6の、空気層と光導波路との界面には、次式のスネル則が成立する。
air×sinθin2=n1×sin{π/2−(θ+θ)} ‥‥(1-4)
(1-3),(1-4)式より、θin2(=θout2)は次式で与えられる。
θin2=θout2=sin-1〔(n1/nair)×cos{sin-1((n/n)×(1+y1/r0))}〕 ‥‥(1-5)
よって、図4に示すステップインデックス光導波路曲線構造モデルを入力位置によらず安全に伝播できる光の光軸に対する入出力角θNAstepは、(1-5)式より、次式で与えられる。
−θin2(=−θout2)≦θNAstep≦+θin2(=+θout2) ‥‥(1-6)
次に、図7のモデルが、屈折率ngのフィルムの中に形成された場合のNAを求める。出力側はフィルム面に垂直であるため、(1-5)式の±θout2が出力のNAを決める。入力側は、図2,図4,図5での残部2相当の、屈折率ngのプリズム(P部)が付加されることになる。このような状態を図8および図9に示す。図8ではC部の出入口の内周境界で全反射している光線6を、図9では全反射していない光線7を示した。また、理解しやすいように、図8のC部の出入口に長さΔzのL部を付加した。実際はΔz→0と考えてよい。
まず、図8のθin4は、光線6について空気層とP部との境界面にスネル則を適用し、
air×sin(−θin4)=ng×sin(θbend−θin3) ‥‥(1-7)
θin3は、図7においてnairに代えてngとした場合のθin2に相当するので、(1-5)式のnairをngに変えることにより、
θin3=sin-1〔(n1/ng)×cos{sin-1((n/n)×(1+y1/r0))}〕 ‥‥(1-8)
(1-7),(1-8)式より、
−θin4=sin-1〔(ng/nair)×sin{−sin-1((n/ng)×cos(sin-1((n/n)×(1+y1/r0))))+θbend}〕 ‥‥(1-9)
次に、図9のθin5を求める。これは、(1-7)式、(1-9)式のθbendの前の符号を変えればよいので、(1-7)式、(1-9)式に対し、次の二式が成立する。
air×sin(−θin5)=ng×sin(θbend−θin3) ‥‥(1-10)
θin5=sin-1〔(ng/nair)×sin{sin-1((n/ng)×cos(sin-1((n/n)×(1+y1/r0))))+θbend}〕 ‥‥(1-11)
よって、まとめると、ステップインデックス光導波路曲線構造モデルフィルムの入射側のNAを決める角θNAstepinと出射側のNAを決める角θNAstepoutは、次の二式で与えられる。
θin4≦θNAstepin≦θin5 ‥‥(1-12)
−θout2≦θNAstepout≦θout2 ‥‥(1-13)
一方、図8、図9より、−θin4≧−90°、θin5≦90°であるから、(1-9),(1-11)式より、入射側の層傾き角度θbend(θbend-inと記す)の条件は次式で表される。
|θbend-in|≦−sin-1〔(n/ng)×cos{sin-1((n/n)×(2×Rin+y1)/(2×Rin−y1))}〕+sin-1(nair/ng) ‥‥(1-14)
ここで、Rinは入射面付近のコア厚さ中心部の曲率半径(=r0+y1/2)である。
出射側についても一般には0°でない層傾き角度が存在するから、入射側と同様の議論により、出射側の層傾き角度θbend(θbend-outと記す)の条件は次式で表される。
|θbend-out|≦−sin-1〔(n/ng)×cos{sin-1((n/n)×(2×Rout+y1)/(2×Rout−y1))}〕+sin-1(nair/ng) ‥‥(1-15)
ここで、Routは入射面付近のコア厚さ中心部の曲率半径(=r0+y1/2)である。
ところで、図7において、|θ+θ|>π/2であると、光線5が内周境界で全反射することができないから、|θ+θ|≦π/2、がモデルの前提条件であり、この条件と(1-3)式とから、r0≦n2/(n1−n2)×y1、である。よって、曲がり導波路のコア厚さ中心部の曲率半径は、次式で与えられる最小曲率半径Rminstep以上とする必要がある。
minstep=n2/(n1−n2)×y1+y1/2=(n1+n2)/(n1−n2)×(y1/2) ‥‥(1-16)
以上より、ステップインデックス型の曲がり導波路では、入射角度領域(θin-min〜θin-max)内の一入射角で曲がり導波路に入射した光は、その伝播方向を曲がり導波路内で徐々に変化させ、出射角度領域(θout-min〜θout-max)内の一出射角で出射する。ここに、θin-min,θin-max,θout-min,θout-maxは、次式で与えられる。
θin-min=sin-1[(ng/nair)×sin{−sin-1((n1/ng)×cos(sin-1((n2/n1)×(2×Rin+y1)/(2×Rin−y1))))+θbend-in}] ‥‥(1-17)
θin-max=sin-1[(ng/nair)×sin{sin-1((n1/ng)×cos(sin-1((n2/n1)×(2×Rin+y1)/(2×Rin−y1))))+θbend-in}] ‥‥(1-18)
θout-min=sin-1[(ng/nair)×sin{−sin-1((n1/ng)×cos(sin-1((n2/n1)×(2×Rout+y1)/(2×Rout−y1))))+θbend-out}] ‥‥(1-19)
θout-max=sin-1[(ng/nair)×sin{sin-1((n1/ng)×cos(sin-1((n2/n1)×(2×Rout+y1)/(2×Rout−y1))))+θbend-out}] ‥‥(1-20)
上記図7〜図9のモデルは、全ての光路に対する導波路入口から出口までのそれぞれの層境界を角度に急激な変化がない曲線であるとしている。この場合、入射光は拡散されず出射方向のみが変換される。一方、本発明では、前記層境界を角度が急激に変化する曲線であるとすることもでき、その場合、入射光の反射方向を層内部で変化させ、入射光の進行方向を変換しつつ拡散させることが可能である。なお本発明において特に説明なく「曲率半径を場所によりばらつかせ入射光を拡散させる」とした場合には層傾き角度が急激に変化する曲線である場合を指し、層傾き角度の急激な変化とは少なくとも0.01deg./μm以上の層傾き角度の変化である。
〔グラジエントインデックス型の曲がり導波路のNA〕
本発明者らの理論解析によれば、グラジエントインデックス型の曲がり導波路の曲線を折れ線で近似したとき、その近似による曲率半径の誤差は、曲がり導波路の幅(層厚さ)中心部の屈折率が一般的な光導波路のコア値と近い1.55のとき、高々1.3%程度と小さい。よって、以下では、折れ線近似モデルを用いてNAの導出を行う。
折れ線近似モデルにおける直線部は、図13に示すような、層厚さ方向の屈折率分布が2次曲線:
n(r)=n×(1−A/2×r) ‥‥(2-1)
で表される直線型グラジエントインデックス光導波路4である。ここで、rは層厚さ中心からの距離、nは中心軸上の屈折率である。Aは屈折率分布定数であり、n、層厚さy、層厚さ端の屈折率nにより、
A=(8/y1 2)×(n1−n2)/n1 ‥‥(2-2)
で表される。
図示のように導波路の長さをz、入力光線、出力光線の位置をr1、r2、各位置での導波路内での光線の方向をr1 =dr1/dz=tanθin、r2 =dr2/dz=tanθoutとすると、入力光線、出力光線の位置と方向を表すベクトル〔r1,r1 〕、〔r2,r2 〕の間には次の(2-3)式が成り立つ。
(2-3)式において、2×2の行列項が単位行列の場合、入力光線と出力光線とで〔位置,方向〕ベクトルが同じとなる。このときの長さzの最小解は導波路のピッチPとよばれ、行列項の要素がサイン、コサインの関数であることから、
P=2×π/√A ‥‥(2-4)
となる。
この直線型グラジエントインデックス光導波路のNAを決める角度は、該導波路を伝播できる光線と光軸(z軸)との角度のうち最大の角度で与えられる。この最大の角度は、図14に示すように、導波路の長さがP/4、入力光線、出力光線の〔位置,方向〕ベクトルが〔±y1/2,0〕、〔0,r2 〕である場合における出力光線と光軸との角度θNA0(y1が+のとき負、−のとき正)に相当する。この角度θNA0は、(2-3)式にr2=0、r1=−y1/2、r1 =0、z=P/4=π/(2×√A)を代入し、r2 (=tanθNA0)について解くことで得られ、
θNA0=tan-1(n1×√A×y1/2) ‥‥(2-5)
となる。
図15に折れ線近似モデルを示す。これは、上述の直線型グラジエントインデックス光導波路が、長さP/2の位置で角度θNA0/n(nは0.5以上の実数)だけ折れ曲がり、さらに光軸方向にP/2だけ進んだ位置でまたθNA0/nだけ折れ曲がる構造が繰り返される折れ線型グラジエントインデックス光導波路によりグラジエントインデックス型の曲がり導波路を近似したものである。図中の光線15,16,17,18はこの折れ線型光導波路を伝播できる代表的な光線のモードを示している。なお、nが0.5未満の場合は、光が導波路外へ出てしまうため、モデルの対象から除外する。
光線17は1番目の直線型グラジエントインデックス光導波路4(以下、光導波路4という)の光軸と平行に光軸の位置に入射した光で、この光は光導波路4内を直進し、P/2進んだ位置で−θNA0/nだけ傾いた2番目の直線型グラジエントインデックス光導波路4(以下、光導波路4という)へ入射することになる。よって、光導波路4への入射角はθNA0/nとなる。各直線型グラジエントインデックス光導波路の長さはP/2であるので、光導波路4の出射角は、光導波路4の光軸に対して−θNA0/nとなる。3番目の直線型グラジエントインデックス光導波路4(以下、光導波路4という)は、2番目に対して−θNA0/nだけ傾いているため、光導波路4への光線7の入射角は0°となり、光線17は光導波路4内を直進することになる。つまり、光線17は奇数番目の直線型グラジエントインデックス光導波路内を直進し、偶数番目の直線型グラジエントインデックス光導波路内では光軸に対する入射角:+θNA0/nから出射角:−θNA0/nまで進行方向を変えて曲がってゆくことになる。一方、光線16は、光線17の奇数番目と偶数番目の直線型グラジエントインデックス光導波路内の状態を入れ替えたモードを示している。
この折れ線型グラジエントインデックス光導波路のNAを決める光線は、光線15と光線18である。
光線15は光導波路4を伝播できる最大入射角の光線である。よって、光導波路4への、導波路内の入射角はθNA0である。各直線型グラジエントインデックス光導波路の長さはP/2であるので、光線15の光導波路4の出射角は−θNA0となる。光導波路4は光導波路4に対し−θNA0/nだけ傾いているため、光線15の、光導波路4の光軸に対する入射角は、−(1−1/n)×θNA0となる。この入射角の絶対値:|(1−1/n)×θNA0|はθNA0より小さいため、光線15は光導波路4内を伝播できる。光導波路4の長さもP/2であるので、光導波路4の光軸に対する出射角は、(1−1/n)×θNA0となる。次番目の光導波路4は、光導波路4に対して−θNA0/nだけ傾いているため、光導波路4に対する光線15の入射角はθNA0となり、光導波路4内の光の伝播状態と同じになる。よって、光線15は、奇数番目の直線型グラジエントインデックス光導波路内では入射角:θNA0から出射角:−θNA0へ方向を変え、偶数番目の直線型グラジエントインデックス光導波路内では入射角:−(1−1/n)×θNA0から出射角:(1−1/n)×θNA0へ方向を変え、伝播してゆくモードである。つまり、光線15で示したモードは、奇数番目の直線型グラジエントインデックス光導波路内で伝播できる最大の入射角となっているモードである。一方、光線18は、光線15の奇数番目と偶数番目の直線型グラジエントインデックス光導波路内の状態を入れ替えたモードを示している。よって、この折れ線型グラジエントインデックス光導波路のNAは、光線15の入射角および出射角と、光線18の入射角および出射角の間の角によって決定される。
そこで次に、このNAを求める。折れ線モデルを構成している直線型グラジエントインデックス光導波路の数を自然数kとすると、k番目の直線型グラジエントインデックス光導波路の光軸は、1番目のそれに対し、次式で表される角θbendだけ曲がっていることになる。
θbend=−(k−1)×θNA0/n ‥‥(2-6)
k番目の直線型グラジエントインデックス光導波路内の出射側NAを決める角θNA0(k)は、図15より、
θbend−θNA0≦θNA0(k)≦θbend+(1−1/n)×θNA0 ‥‥(2-7)
であり、この式に(2-6)式を代入すると次式を得る。
−θNA0/n×(k+n−1)≦θNA0(k)≦−θNA0/n×(k−n) ‥‥(2-8)
(2-6)、(2-7)、(2-8)式によって表される角の中に自然数kがあるため、離散的な角度定義となっているが、図15の折れ線近似モデルは、実際のフィルム内に存在する曲がり導波路の近似であり、図15の折れ線近似モデルの曲率中心でモデルをモデル全体を連続的に回転しても、モデルのNAは変化せず、NAは曲率半径と、(2-1)式で表される屈折率分布関数n(r)によって決まる。
よって、(2-7)式中のθbendは、離散的な値でなく、連続的な値として扱ってよい。θbendを連続的な値とした場合の折れ線近似モデルの光導波路内のNAを決める角θNA1は次式で与えられる。
θbend−θNA0≦θNA1≦θbend+(1−1/n)×θNA0 ‥‥(2-9)
図15のモデルがフィルム中に形成された場合、右側の出射部に図16に示すように、図2,図4,図5での残部2相当の、屈折率ng、頂角θbendのプリズム(P部)が付加されることになる。
光線18について、光導波路4出射端とP部との界面、およびP部と空気層(屈折率:nair)との界面にスネル則を適用すると、それぞれ次の(2-10)、(2-11)式となる。
1×sinθNA0=ng×sinθng1 ‥‥(2-10)
g×sin(θbend+θng1)=nair×sinθout1 ‥‥(2-11)
(2-10)、(2-11)式より、θout1は次式で与えられる。
θout1=sin-1[ng/nair×sin{θbend+sin-1(n1/ng×sinθNA0)}] ‥‥(2-12)
同様の解析を光線15について行うと、以下の三式が成立する。
1×sin{(1−1/n)×θNA0}=ng×sinθng2 ‥‥(2-13)
g×sin(θbend−θng2)=nair×sinθout2 ‥‥(2-14)
(2-13)、(2-14)式より
θout2=sin-1[ng/nair×sin{θbend−sin-1(n1/ng×sin((1−1/n)×θNA0))}] ‥‥(2-15)
(2-12)、(2-15)式より、出射側のNAは、次式のθNAoutによって決まる。
−θout2≦θNAout≦−θout1 ‥‥(2-16)
入射側のNAは、(2-12)、(2-15)式のθbend=0°とし、(2-12)式のθout1をθin1に変え、(2-15)式のθout2をθin2に変えると、次の二式となり、
θin1=sin-1(n1/nair×sinθNA0) ‥‥(2-17)
θin2=−sin-1{n1/nair×sin((1−1/n)×θNA0)} ‥‥(2-18)
(2-12)、(2-15)式より、入射側のNAは、次式のθNAinによって決まる。
θin2≦θNAin≦θin1 ‥‥(2-19)
図15のモデルでは、光の入出力角度が図1のリアプロジェクションディスプレイシステムと逆になっているが、(2-12),(2-15),(2-16)式において角度θの添え字のoutをinに変えると入力側の角度が図1のシステムと合う以下の三式が成立する。
θin1=sin-1[ng/nair×sin{θbend+sin-1(n1/ng×sinθNA0)}] ‥‥(2-12A)
θin2=sin-1[ng/nair×sin{θbend−sin-1(n1/ng×sin((1−1/n)×θNA0))}] ‥‥(2-15A)
θin2≦θNAin≦θin1 ‥‥(2-16A)
出射側に関しては、(2-17),(2-18),(2-19)式より、図1のシステムに合わせた以下の三式が成立する。
θout1=−sin-1(n1/nair×sinθNA0) ‥‥(2-17A)
θout2=sin-1{n1/nair×sin((1−1/n)×θNA0)} ‥‥(2-18A)
θout1≦θNAout≦θout2 ‥‥(2-19A)
(2-19A)式は、光導波路の光軸をスクリーン法線方向まで曲げてしまうと、上下非対称な出射側NAとなることを意味する。そこで、次に、出射側で上下対称なNAを発現させるための、出射側の光導波路の光軸の角度θaxisを解析により求める。
図17は、出射側最後の光導波路(直線型グラジエントインデックス光導波路)4が光軸の角度θaxisで終わっている部分を描いている。出力NAは、光線15,18の間の角で決まる。よって、図でθout3=θout4となるときのθaxisが求める光軸の角度である。
θout3は、光線18について光導波路出射面とP部との界面で成立する(2-20)式およびP部と空気層との界面で成立する(2-21)式より、(2-22)式となる。
1×sinθNA0=ng×sinθng3 ‥‥(2-20)
×sin(θng3−θaxis)=nair×sinθout3 ‥‥(2-21)
θout3=sin-1[ng/nair×sin{sin-1(n1/ng×sinθNA0)−θaxis}] ‥‥(2-22)
θout4は、光線15について光導波路出射面とP部との界面で成立する(2-23)式およびP部と空気層との界面で成立する(2-24)式より、(2-25)式となる。
1×sin{(1−1/n)×θNA0}=ng×sinθng4 ‥‥(2-23)
×sin(θng4+θaxis)=nair×sinθout4 ‥‥(2-24)
θout4=sin-1[ng/nair×sin{sin-1(n1/ng×sin((1−1/n)×θNA0))+θaxis}] ‥‥(2-25)
よって、(2-22)式=(2-25)式より、求めるθaxisは、次式で与えられる。
θaxis=1/2×[sin-1(n1/ng×sinθNA0)−sin-1(n1/ng×sin((1−1/n)×θNA0))] ‥‥(2-26)
(2-26)式の成立下での出射側NAを決める角は、(2-26)式を(2-22)式または(2-25)式に代入することにより、次式で得られる。求める角をθ' out3=θ' out4とすると、
θ' out3=θ' out4=sin-1[ng/nair×sin{1/2×sin-1(n1/ng×sin((1−1/n)×θNA0))+1/2×sin-1(n1/ng×sinθNA0)}] ‥‥(2-27)
よって、求める上下対称出射側NAを決める角は、(2-27)式より次式となる。
−θ' out3≦θNAout≦θ' out3 ‥‥(2-28)
次に、このモデルの曲率半径の導出を行う。図18に示すように、この折れ線近似モデルでは、直線型グラジエントインデックス光導波路4、4、4、‥‥の長さP/2の各線分の垂直二等分線の交点Oを曲率中心とし、曲率中心Oから各光導波路4、4、4、‥‥の長さおよび厚さの中心点までの距離を曲率半径R(同図より、R=r0+y1/2)とする。同図において、頂角θNA0/(2×n)の直角三角形に着目すると、次式が成立する。
tan(θNA0/(2×n))=(P/4)/(r0+y1/2) ‥‥(2-29)
(2-29)式より曲率半径Rは次式で与えられる。
R=r0+y1/2=(P/4)/tan(θNA0/(2×n)) ‥‥(2-30)
すなわち、折れ線近似モデルの構成要素である直線型グラジエントインデックス光導波路のθNA0とPを決め、折れる角度(曲がり具合)を決めるn(0.5以上の実数)を決めると、(2-30)式により曲率半径が決定する。最小曲率半径Rminは、n=0.5の場合であり、(2-30)式にn=0.5を代入した式と、(2-4),(2-5)式とから、
min=π/(n1×A×y1) ‥‥(2-31)
で与えられる。この場合に折れ線近似モデルの誤差が最大となる。一方、詳細な導出過程の説明は割愛するが、同じ厚さと屈折率分布を有する滑らかに曲がったグラジエントインデックス型光導波路(曲線構造モデル)の最小曲率半径R' minは、
' min=2/(A×y1) ‥‥(2-32)
で与えられる。(2-31),(2-32)式より、R' min(厳密解相当)とRmin(近似解相当)との誤差ファクタはπ/(2×n1)であり、これに一般的な光導波路のコア値に近いn1=1.55を代入すると、この誤差ファクタの値は1.0134である。よって、厳密解に対する近似解の誤差は高々1.3%以内であり、折れ線近似モデルは、曲線構造モデルの十分に良い近似であるといえる。
ところで、光の入射角はフィルム面の法線に対し−90°〜90°の範囲内にあるから、(2-16A)式において、θin2≧−90°、θin1≦90°であり、この制約と(2-12A),(2-15A)式とから、入射面付近の層傾き角度θbend-inの条件は、入射面付近での層曲率半径Rin、層内部での伝播角度θNA0および光伝播のピッチPを用いて、以下のように表される。
θbend-in-min≦θbend-in≦θbend-in-max ‥‥(2-33)
θbend-in-min=sin-1{n1/ng×sin(θNA0−2×tan-1(P/(4×Rin)))}−sin-1(nair/ng) ‥‥(2-34)
θbend-in-max=−sin-1(n1/ng×sinθNA0)+sin-1(nair/ng) ‥‥(2-35)
また、光の出射角もフィルム面の法線に対し−90°〜90°の範囲内にあるから、(2-16)式において、θout2≧−90°、θout1≦90°であり、この制約と(2-12),(2-15)式とから、入射面付近の層傾き角度θbend-outの条件は、入射面付近での層曲率半径Rout、層内部での伝播角度θNA0および光伝播のピッチPを用いて、以下のように表される。
−θbend-out-min≦θbend-out≦−θbend-out-max ‥‥(2-36)
θbend-out-min=sin-1{n1/ng×sin(θNA0−2×tan-1(P/(4×Rout)))}−sin-1(nair/ng) ‥‥(2-37)
θbend-out-max=−sin-1(n1/ng×sinθNA0)+sin-1(nair/ng) ‥‥(2-38)
また、フィルム内の層の曲率半径は、(2-32)式の値が下限となる。
以上より、グラジエントインデックス型の曲がり導波路では、入射角度領域(θin-min〜θin-max)内の一入射角で曲がり導波路に入射した光は、その伝播方向を曲がり導波路内で徐々に変化させ、出射角度領域(θout-min〜θout-max)内の一出射角で出射する。ここに、θin-min,θin-max,θout-min,θout-maxは、次式で与えられる。
θin-min=sin-1[ng/nair×sin{−sin-1(n1/ng×sin(θNA0−2×tan-1(P/(4×Rin))))+θbend-in}] ‥‥(2-39)
θin-max=sin-1[ng/nair×sin{θbend-in+sin-1(n1/ng×sinθNA0)} ‥‥(2-40)
θout-min=sin-1[ng/nair×sin{−sin-1(n1/ng×sin(θNA0−2×tan-1(P/(4×Rout))))+θbend-out}] ‥‥(2-41)
θout-max=sin-1[ng/nair×sin{θbend-out+sin-1(n1/ng×sinθNA0)} ‥‥(2-42)
上記図13〜18のモデルでは、複数の層の長さが等しい場合を想定している。この場合、入射光は拡散されず出射方向のみ変換される。一方、本発明では、層の長さを層ごとにばらつかせることもでき、その場合、層出射時の出射方向を層ごとに変化させることで、入射光の変換方向を変換しつつ拡散させることが可能である。
また、層厚さ方向に集光能力を発現する屈折率分布を有する型の光導波路は、グラジエントインデックス型のような放物線型の屈折率分布をもつもの以外にも、例えば図19に示すような略台形型の屈折率分布をもつもの等、多種多様に存在しうるが、いずれも入射光を層内部に留めて伝播させうるものである以上、グラジエントインデックス型と同様の出射方向変換特性を得ることが可能である。
ここでステップインデックス型、層厚さ方向に集光能力を発現する屈折率分布を有する型ともに、曲率半径は導波路入口から出口まで一定である必要はなく、導波路の平均的傾き角度が0.01deg./μm未満と緩やかに変化している場合においても同様の光出射方向変換効果を得ることが可能である。ステップインデックス型において層傾き角度が0.01deg./μm以上と急激に変化した場合については前述のとおりステップインデックス型の光出射方向変換拡散フィルムとなり、また、層厚さ方向に集光能力を発現する屈折率分布を有する型において層傾き角度が0.01deg./μm以上と急激に変化した場合については後述の「ステップインデックス型と層厚さ方向に集光能力を発現する屈折率分布を有する型とが融合した構造」を有する光出射方向変換拡散フィルムとなる。
なお、図2に示すステップインデックス型、図4に示す層厚さ方向に集光能力を発現する屈折率分布を有する型ともに、図では隣り合う層が接触しているが、隣り合う層が多少離れていても上記と同様に扱うことができる。ただしこの場合は出射方向変換効率が多少低下するものと考えられる。
また、光出射方向変換フィルムに関して、ステップインデックス型の光導波路アレイと、層厚さ方向に集光能力を発現する屈折率分布を有する型の光導波路アレイとが混在する場合(図5)、または、光出射方向変換拡散フィルムに関して、ステップインデックス型の光導波路アレイと、層厚さ方向に集光能力を発現する屈折率分布を有する型の光導波路アレイとが混在する場合(図5)もしくは両型が融合した構造の光導波路アレイの場合についての入射角度領域と出射角度領域は、それぞれの型について導出したものを重ね合わせることにより求めることができる。
〔光学エンジンとのNAマッチング〕
次に、本発明のスクリーンをなす光出射方向変換フィルムまたは光出射方向変換拡散フィルム(以下、本発明フィルムという)と光学エンジンとのNAマッチングについて説明する。
スクリーン開口角度θSは、スクリーン最小開口角度θS-minとスクリーン最大開口角度θS-maxを用いて、θS≡θS-max−θS-min、と定義される。光学エンジンのNAとのマッチングをとってプロジェクタ光出射方向を観察者の方向に変換するためには、θSは、図1、図6における2θ2以上でなければならない。すなわち、その条件は前述の(0-1),(0-2),(0-3)式より、以下のように表される。
θS≧tan-1{(l2+d/2)/b}−tan-1{(l2−d/2)/b} ‥‥(0-4)
ここで、等号の場合がマッチングした状態に該当する。上記θS-minおよびθS-maxはそれぞれ本発明フィルムの入射角度領域の下限θin-minおよび上限θin-maxに等しい。これらは、ステップインデックス型の場合(1-17),(1-18)式で与えられ、グラジエントインデックス型の場合(2-39),(2-40)式で与えられる。
また、ステップインデックス型の光導波路アレイと、層厚さ方向に集光能力を発現する屈折率分布を有する型の光導波路アレイとが混在する場合は、上記θS-maxとして両型の入射角度領域の上限のうち小さい方を採用し、一方、上記θS-minとしては両型の下限のうち大きい方を採用するのがよい。すなわち、ステップインデックス型の光導波路の入射角度領域の下限、上限をθSTEPin-min、θSTEPin-maxとし、層厚さ方向に集光能力を発現する屈折率分布を有する型の光導波路の入射角度領域の下限、上限をθGRADin-min、θGRADin-maxとすると、次式を満足するように設計するのが望ましい。
Min{θSTEPin-max,θGRADin-max}−Max{θSTEPin-min,θGRADin-min}≧tan-1{(l2+d/2)/b}−tan-1{(l2−d/2)/b} ‥‥(0-5)
ここで、Max{a,b}はaとbのうち大きい方を表し、Min{a,b}はaとbのうち小さい方を表す。
以上の議論はプロジェクタ光を有効に利用する理想的なものであるが、実際のリアプロジェクションディスプレイにおいても開口数NAで光学エンジンから出射した光の少なくとも50%以上がθmin〜θmaxの範囲からスクリーンに入射しなければならない。
〔本発明フィルムの製造方法〕
湾曲した導波路アレイ構造を有する本発明フィルムは、異なる屈折率を有する少なくとも2種類の光重合可能なモノマーあるいはオリゴマーからなる混合物に光を照射し、硬化させることで、湾曲していない導波路構造を作製し、それを物理的に湾曲させることで得られる。
ここで、光重合可能なモノマーあるいはオリゴマーとは、分子内にアクリロイル基、メタアクリロイル基、ビニル基などの重合可能な基を1個以上有するモノマーまたはオリゴマーである。これら化合物の複数の混合物を基板上に塗布するかまたはセル中に封入し膜状とし、光を照射しながら徐々に硬化させる。
照射する光はモノマーあるいはオリゴマーを含有する組成物を硬化させるものであればどのような波長でもよく、例えば可視光線および紫外線等がよく用いられる。
紫外線は水銀ランプやメタルハライドランプ等を用いて照射されるが、棒状ランプを用いた場合はその照射条件を調整することにより、生成したシート状の硬化物に光源の長軸と短軸方向に対し異方性を発現させ、光源の長軸方向を軸として回転させた場合のみ光を拡散させることができる。
このようにして作られたフィルムは、ステップインデックス型の光導波路と層厚さ方向に集光能力を発現する屈折率分布を有する型の光導波路とが融合した構造を有する。
このフィルムを有機溶剤に浸漬して柔らかくし、物理的に力を加えることで、湾曲していなかった導波路構造を湾曲させ、本発明フィルムとすることが可能である。前記有機溶剤は、フィルムが有する導波路構造を損ねることなく柔らかくさせるものでありさえすれば、いかなるものでもよい。
実施例1では、図20(a)に示すように、屈折率の相異なる層9と層9とが面内方向に交互に重なって配列した構造を有する光学フィルム9から採取した光学フィルム片9Aを図20(b)に示すように曲げて配置することで、本発明に用いる光出射方向変換拡散フィルムの曲がり導波路構造と光学的に等しい構造を実現した。各層の厚さは2μmである。各層は、層境界局所曲率半径をばらつかせたステップインデックス型の光導波路と、層長さをばらつかせたグラジエントインデックス型の光導波路とが融合した構造をもち、層厚さ中心部における屈折率が、層9では1.55、層9では1.51である。また、空気界面での全反射を防ぐために、図20(b)に示すように、曲げた光学フィルム片9Aの周辺を屈折率1.6の透明媒体12で満たした。曲率半径は最小の層でも4cmと、(1-16)式のRminstepおよび(2-32)式のR' minのいずれと比べても十分大きくした。
このようにして曲げて配置した光学フィルム片9Aに、その一端面側から光源11を用いて光(入射光11)を入射させる実験を行い、この光が他端面側から出射光11として出射することを確認した。出射光11の光強度は入射光11の光強度と略同等であった。
実施例2では、図12に示した実際の薄型リアプロジェクションディスプレイシステムに発明項1記載の発明に相当するスクリーン(ステップインデックス型の光出射方向変換フィルム+拡散フィルム)を適用する場合の光出射方向変換フィルムと光学エンジンとのNAマッチングを行う設計の具体例を示す。
実際のシステムのミラーM1,M3と非球面ミラーM2を外して展開した光学系は図6のようになる。
実際のシステムでは図12に示すように、光はスクリーン10の裏でミラーM1,M2および非球面ミラーM2により3回方向を変え、光学エンジン20出力光は直前のミラーM1で横に曲げられる。実際のシステムの奥行き(ミラーM3とスクリーン10の面間距離)を20cm、スクリーン10の高さを1m、レンズとミラーM1の中心間距離を40cmとすると、図6の展開光学系では、b=20cm×3+40cm=1m、S=1mである。DMDチップからなる画像表示パネル21の縦長さ(=図6のS)を2.5cmとすると、倍率S/S=1m/2.5cm=40=b/a=1m/aより、a=2.5cmであり、1/a+1/b=1/fより、レンズの焦点距離f=2.44cmである。レンズ口径dは2.4cmとした。l=30cmとすると、l=l+S=130cmである。
これで光学系のパラメータが決定したので、(0-2)式、(0-3)式より、図6のθ、θは、θ=52.474°、θ=16.066°となる。光学系のシステムの出力NAを決める角θoptの範囲は、θ以上θ以下である。この範囲と光出射方向変換フィルムの入力角度範囲が一致すればNAマッチングが成立する。
ステップインデックス型の光出射方向変換フィルムの入力角度範囲は、(1-12)式より、θin4以上θin5以下であるから、NAマッチング成立条件は、θin4=θ=16.066°、θin5=θ=52.474°である。
次に、θbendbend-inに該当)を計算する。θbendは、(1-9)式の−θin4を+θin4とした式と(1-11)式とから導出される次式で計算される。
θbend=1/2×[sin-1(nair/ng×sinθin4)+sin-1(nair/ng×sinθin5)]‥‥(1-21)
この式を用いて、θin4、θin5を上記各値とし、ng=1.5、nair=1.0として計算すると、θbend=21.275°となる。
次に、曲がり導波路の曲率半径を計算する。この計算では、(1-11)式を変形して得られる次式:
sin[cos-1{ng/n1×sin(sin-1(nair/ng×sinθin5)−θbend)}]=n2/n1×(1+y1/r0)‥‥(1-11B)
にθin5、θbend、ng、nair、n1、n2、y1(光導波路の幅=層の厚さ)の値を入れてr0を計算し、R=r0+y1/2より、曲率半径を求める。θin5、θbend、ng、nairを上記各値とし、n1=1.55、n2=1.51、y1=4μmとしてr0を求めると、r0=401.617μmとなる。よって、曲率半径は、R=r0+y1/2=403.617μmとなる。
また、フィルムの厚さtは、θbendを用いると図21より(r0+y)×sinθbendであるので、t=(r0+y)×sinθbend=147.2μmである。
一方、出力側のNAは、(1-5)式で決まるので、(1-5)式に上で求めたr0とその他のパラメータを代入すると、θout2=16.084°となる。よって(1-6)式より、出力側NAを決める角の範囲は、−16.084°≦θNAstep≦+16.084°となる。
実施例3では、実施例2と同じ薄型リアプロジェクションディスプレイシステムに発明項2記載の発明に相当するスクリーン(グラジエントインデックス型の光出射方向変換フィルム+拡散フィルム)を適用する場合の光出射方向変換フィルムと光学エンジンとのNAマッチングを行う設計の具体例を示す。
光学系のシステムの出力NAを決める角θoptの範囲は、実施例2と同じθ(=16.066°)以上θ(=52.474°)以下である。この範囲と光出射方向変換フィルムの入力角度範囲が一致すればNAマッチングが成立する。
グラジエントインデックス型の光出射方向変換フィルムの入力角度範囲は、(2-16A)式より、θin2以上θin1以下であるから、NAマッチング成立条件は、θin2=θ=16.066°、θin1=θ=52.474°である。
次に、θbendbend-inに該当)を計算する。θbendは、(2-12A)式を変形してなる次式で計算される。
θbend=sin-1(nair/ng×sinθin1)−sin-1(n1/ng×sinθNA0)]‥‥(2-12B)
ここで、θNA0は(2-5)式:θNA0=tan-1(n1×√A×y1/2)で計算され、(2-5)式中のAは(2-2)式:A=(8/y1 2)×(n1−n2)/n1で計算される。
(2-2)式にy1=4μm、n1=1.55、n2=1.51を代入すると、A=1.290×1010となる。該A値および前記y1、n1値を(2-5)式に代入すると、θNA0=19.397°となる。そこで、該θNA0値、前記θin1、n1値およびng=1.5、nair=1.0を(2-12B)式に代入し、θbend=11.848°が決定する。
次に、nを決定する。nは、(2-15A)式を変形してなる次式を用いて計算される。
n=θNA0/[θNA0−sin-1{ng/n1×sin{θbend−sin-1(nair/ng×sinθin2)}}]‥‥(2-15B)
(2-15B)式に、該式中のパラメータ対応分の前記各値を代入し、n=1.0646が決定する。
次に、曲がり導波路の曲率半径を計算する。この計算では、(2-4)式:P=2×π/√Aに前記A値を代入して、P=55.32μmを得、該P値と前記θNA0、n値を(2-30)式:R=r0+y1/2=(P/4)/tan(θNA0/(2×n))に代入し、曲率半径R=86.247μmが決定する。
また、フィルムの厚さtは、θbendを用いると図21より(r0+y)×sinθbendであるので、t=(r0+y)×sinθbend=18.1185μm(ただしθbend-out=0°の場合)である。
一方、出力側NAは、上下対称出力で設計する。出力側光軸角度θaxis(=θbend-out)は、(2-26)式に、該式中のパラメータ対応分の前記各値を代入することにより、θaxis(=θbend-out)=9.4273°となる。よって、(2-27)式より、θ' out3=θ' out4=16.084°となる。よって、(2-28)式より、この光出射方向変換フィルムの上下対称出力NAを決める角の範囲は、−16.084°≦θNAout≦16.084°となる。
本発明は、リア(またはフロント)プロジェクションディスプレイ用スクリーンの設計・製造に利用することができる。
本発明のスクリーンの一例およびそれを用いたリアプロジェクションディスプレイシステム光学系の一例を示す側断面模式図である。 湾曲した光導波路アレイがステップインデックス型である場合の光出射方向変換フィルムの例を示す模式図である。 角度の符号と回転方向との対応づけの説明図である。 湾曲した光導波路アレイが層厚さ方向に集光能力を発現する屈折率分布を有する型である場合の光出射方向変換フィルムの例を示す模式図である。 ステップインデックス型の光導波路アレイと、層厚さ方向に集光能力を発現する屈折率分布を有する型の光導波路アレイとが、(a)フィルム厚さ方向に混在する例、および(b)フィルム面内方向に混在する例を示す模式図である。 NAに対応する角度範囲と、レンズの直径、焦点距離、結像倍率、結像位置との関係を示す説明図である。 ステップインデックス光導波路曲線構造モデルの説明図である。 図7のモデルがフィルム中に形成した状態を示す説明図である。 図7のモデルがフィルム中に形成した状態を示す説明図である。 プロジェクションディスプレイシステム光学系の薄型化についての説明図である。 プリズムを用いた従来技術の概念図である。 薄型リアプロジェクションディスプレイシステムの例を示す(a)側面図および(b)平面図である。 直線型グラジエントインデックス光導波路の定義説明図である。 直線型グラジエントインデックス光導波路内のNAを決定する角度の導出を示す説明図である。 グラジエントインデックス型の曲がり導波路の折れ線近似モデルの説明図である。 図15のモデルがフィルム中に形成した状態を示す説明図である。 グラジエントインデックス型曲がり導波路の出射側で上下対称なNAを発現させる光軸の角度解析の説明図である。 グラジエントインデックス型曲がり導波路の折れ線近似モデルの曲率半径を示す説明図である。 放物線型以外に層厚さ方向に集光能力を発現する屈折率分布の例を示す説明図である。 実施例1に用いた光学フィルムの概要(a)と該光学フィルムから作製した曲がり導波路を用いて出射方向を変換させる実験要領(b)を示す説明図である。 フィルムの厚さの算出方法を示す説明図である。
符号の説明
1 層(湾曲した光導波路=曲がり導波路)
層(コア)
層(クラッド)
層(層厚さ方向に集光能力を発現する屈折率分布を有する層)
2 光出射方向変換フィルム
残部(光導波路以外のフィルム部分)
3 拡散フィルム
4、4、4、4、4、4 直線型グラジエントインデックス光導波路
5、6、7、8、15、16、17、18 光線
9 光学フィルム
、9
9A 光学フィルム片
10 スクリーン
10A スクリーン光軸
11 光源
11 入射光
11 出射光
12 透明媒体
20 プロジェクタ(光学エンジン)
20A プロジェクタ光
21 物体(画像表示パネル)
30 プリズム
40 屈折
50 全反射
M1,M3 ミラー
M2 非球面ミラー

Claims (6)

  1. 入射光拡散角度領域から入射した光を出射光拡散角度領域に拡散させる拡散フィルムと、斜め方向から入射した光を正面方向に出射させる光出射方向変換フィルムとからなるスクリーンにおいて、前記光出射方向変換フィルムは、隣接相互間で異なる屈折率を有して複数のステップインデックス型光導波路をなす層厚さ一定の複数の層がフィルム面内方向に縞状に並び、フィルム厚さ方向に対し前記一定の層厚さを保って湾曲して延在する構造を有することを特徴とする光出射方向変換機能を有するフィルムを用いたスクリーン。
  2. 入射光拡散角度領域から入射した光を出射光拡散角度領域に拡散させる拡散フィルムと、斜め方向から入射した光を正面方向に出射させる光出射方向変換フィルムとからなるスクリーンにおいて、前記光出射方向変換フィルムは、層厚さ方向に集光能力を発現する屈折率分布を有する光導波路をなす複数の層がフィルム面内方向に縞状に並び、フィルム厚さ方向に対し湾曲して延在する構造を有することを特徴とする光出射方向変換機能を有するフィルムを用いたスクリーン。
  3. 入射光拡散角度領域から入射した光を出射光拡散角度領域に拡散させる拡散フィルムと、斜め方向から入射した光を正面方向に出射させる光出射方向変換フィルムとからなるスクリーンにおいて、前記光出射方向変換フィルムは、請求項1記載の構造と請求項2記載の構造とがフィルム厚さ方向およびフィルム面内方向のいずれか一方または両方に混在した構造を有することを特徴とする光出射方向変換機能を有するフィルムを用いたスクリーン。
  4. 前記拡散フィルムの入射光拡散角度領域と前記光出射方向変換フィルムの出射角度領域とがマッチングすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光出射方向変換機能を有するフィルムを用いたスクリーン。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の光出射方向変換機能を有するフィルムを用いたスクリーンと、該スクリーンへの入射光を発光するプロジェクタとを有し、該プロジェクタのプロジェクタ開口および配置が前記スクリーンの入射角度領域とマッチングされてなるプロジェクションディスプレイシステム光学系。
  6. さらに前記プロジェクタからの発光を反射して前記スクリーンへ入射させる反射鏡を有し、該反射鏡の配置が前記スクリーンの入射角度領域とマッチングされてなる請求項記載のプロジェクションディスプレイシステム光学系。
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