まず、光通信システムにおいて、電気搬送波信号による光変調を用いて直交した偏波面を持つ複数波長光信号を生成する光信号発生器の実施例を説明する。尚、全ての図において、同様な構成要素には同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
(光信号発生器の実施例)
図1及び図2は、本発明の光信号発生器の実施例を示し、図3は、各信号の周波数スペクトルの一例を示す。
図1に示すように、本実施例の光信号発生器は、光源101と、偏波調整器102と、電気発振器104と、偏波依存型光変調器103と、光変調度調整機構105とを備える。光源101は、或る波長のスペクトルからなる光信号を出力する光源として構成でき、図1においては、単一スペクトルからなる光信号を出力する構成である。
偏波調整器102は、光源101の出力光信号の偏波面に対して、ある偏波面X及び偏波面Xと垂直の偏波面Yとを有するように、且つ、偏波面X及び偏波面Yが、ゼロではない所定の角度差を持つ直線偏波になるように調整する。
電気発振器104は、所定の周波数(fs)の電気搬送波信号を出力する。偏波依存型光変調器103は、電気発振器104の出力電気搬送波信号により、偏波調整器102の出力光信号に対し、偏波面Xの光信号に対して最も大きく光変調作用を及ぼし、偏波面Yの光信号に対しては光変調作用を及ぼさないように制御する。
光変調度調整機構105は、偏波依存型光変調器103の出力光信号に対し、その光変調作用の光変調度を調整する。
上記の偏波依存型光変調器103は、例えば、ニオブ酸リチウム(LN: LiNb03)結晶を用いたマッハツェンダ型光変調器(LN-MZM: LN-Mach-Zehnder Modulator)や、光変調を行う媒質として光半導体を用いた光半導体マッハツェンダ光変調器を用いることができる。また、光変調度調整機構105は、例えば、図2に示すように、電気発振器104の出力電気搬送信号1cの信号強度を調整する出力調整器1051と、この出力調整器1051の出力電気搬送波信号に所定のバイアスを印加するバイアスT1052で構成される。
ここで、図3に示すように、偏波調整器102により、単一スペクトルの光信号1aの偏波面を、偏波依存型光変調器103が最も大きな光変調作用を及ぼす偏波面X、また、この偏波面と垂直な偏波面Yとの角度差がゼロではない値の直線偏波になるよう調整することで(1b)、単一の偏波依存型光変調器103により、一方では、入力された単一スペクトルの光信号1aの偏波面Yの光信号成分に対して光変調作用を与えずに、単一スペクトルの状態で出力し、他方では、偏波面Xの光信号成分に対して光変調作用を及ぼし、側波帯光信号を発生させることができる(1d)。
また、偏波依存型光変調器103において、偏波面Xの光搬送波成分を抑圧する両側波帯光変調(DSB-SC)又は単側波帯光変調(SSB-SC)を施すようにする。この場合、変調作用を受けない偏波面Yの光搬送波成分(周波数fc)が、偏波面Xの光搬送波成分(周波数fc)からの干渉を受けないため、互いに偏波が直交した3波の光信号1d1、又は2波の光信号1d2を発生させることができる。尚、図示される光信号1d2は、単側波帯変調は、上側波帯光成分を抑圧し、下側波帯成分(fc−fs)のみを発生させた場合のスペクトル図である。
更に、偏波調整器102と光変調度調整機構105によって、偏波面Xの光側波帯成分と、偏波面Yの光搬送波成分の光電力が等しくなるように、偏波依存型光変調器103に入力する単一スペクトルの光信号1bの偏波状態(偏波面Xの成分と偏波面Yの成分との比率であり、以下、偏波状態と称する)及び光変調度を調整することができる。例えば、単側波帯光変調の場合には、互いに偏波が直交し、光電力が均一な2波の光信号1d3を発生させることができる。そのような光変調度の調整は、例えば、光変調度調整機構105内に配置される出力調整器1051により、電気発振器104の出力を調整し、偏波依存型光変調器103に印加される電気搬送波信号強度を変化させることで実現することができる。
次に、図1に示す光信号発生器を用いた、実施例1の光通信システムについて説明する。
(実施例1の光通信システム)
図4は、本発明による実施例1の光通信システム(例えば、IM/DD(Intensity-Modulation/ Direct-Detection)システム)を示し、図5は、実施例1の光通信システムにおける各信号の周波数スペクトルの一例を示す。
本実施例の光通信システムは、光送信部100と、光変調部200と、光受信部300とを備え、光受信部300は、受光素子301と、積分回路302とを有する。光送信部100は、図1に示す光信号発生器を有する。
光変調部200は、光送信部100からの光搬送波信号2aを受信し、所定のベースバンド信号(例えば、ベースバンドディジタル信号)2bで光変調して変調光信号2cを生成する偏波依存型光変調器201を有する。受光素子301は、偏波依存型光変調器201からの変調光信号2cを受信し、所定のベースバンド信号2b、及び所定の周波数(fs)を中心周波数とした電気帯域信号2dを出力する。積分回路302は、受光素子301から出力された電気信号を積分処理し、中心周波数(fs)の電気帯域信号2dを除去する。これにより、光受信部300は、所定のベースバンド信号2bを復調することができる。
以下、光送信部100が光伝送路400を介して光変調部200に接続され、その光変調部200は光伝送路500を介して光受信部300に接続される構成例について詳細に説明する。
図4において、光送信部100は、図1に構成例を示す光信号発生器であり、偏波依存型光変調器103の出力光信号を、光伝送路400を介して光変調部200に送信する。ここで、光送信部100において、光搬送波抑圧単側波帯変調(SSB-SC)を施し、更に、偏波依存型光変調器103への入力光信号(1b)の偏波状態と光変調度の調整により、各成分の光電力が均一化された2波の光信号2a(1d3と同一)を送信する場合について図示している。
光変調部200は、偏波依存型光変調器201を備え、偏波依存型光変調器201は、
光受信部300へ送信するベースバンドディジタル信号2bで、光送信部100から送信された光信号2aを光変調して、出力変調光信号2cを生成する。この出力変調光信号2cは、光伝送路500を介して光受信部300に送信される。ここで、ベースバンドディジタル信号2bのビットレート(又は、シンボルレート)は、光送信部100において偏波依存型光変調器103に入力する電気搬送波信号(1c)の周波数fsに等しいものとする。
ここで、光伝送路400として偏波保持型でなく、通常、加入者網などに用いられるシングルモードファイバ(SMF)を想定した場合、伝送中に、光送信部100から送信された2波の光信号2aに偏波変動が生じる場合がある。この結果、偏波依存型光変調器201の入力時点において、光信号2aの2波間の偏波直交性は保持されるが、それぞれの光信号が含む互いに直交する偏波面(偏波面X,Y)の成分の電力比率は変動することになる。
一方、図5に示すように、偏波依存型光変調器201は、入力光信号のうち偏波面Yの成分にのみ変調作用を及ぼすとすると、例えば、光周波数fc−fs,fsの入力光信号2aの偏波面がそれぞれX,Yに等しいとき(2c1)は、光周波数fc−fsの光信号は変調されず、光周波数fcの光信号だけが最大の光変調度で変調される。逆に、光周波数fc−fs,fsの入力光信号2aの偏波面がそれぞれY,Xに等しいとき(2c2)は、光周波数fc−fsの光信号のみが最大の光変調度で変調される。また、2波の光信号2aのいずれも偏波面X,Yに一致しないとき(2c3)には、それぞれの光信号のうち偏波面Yの成分だけが変調される。このように、偏波依存型光変調器201に入力される2波の光信号2aの偏波状態に応じて、出力光信号の変調度がそれぞれ変動することになる(2c)。
光受信部300において、受光素子301は、光変調部200から送信された2波の光信号2cを受光し、ベースバンドディジタル信号及び中心周波数fsの電気帯域信号(2d)を出力する。積分回路302は、この受光素子301の出力電気信号2dに、周波数fsの成分とこの逓倍の周波数成分を抑圧する積分処理を加え、中心周波数fsの電気帯域信号のみを除去し、所望のベースバンドディジタル信号2eを出力する(即ち、2bを抽出する)。積分回路302は、例えば、トランスバーサル型フィルタとサンプルホールド回路で構成することができる。
このように、光送信部100において、互いに偏波が直交し、光電力が等しい2波の光信号2aを生成して送信しているため、光受信部300の受光素子301の受光において偏波ダイバーシティ効果を得ることができ、光伝送路400における伝送中の偏波変動に影響を受けることなく、一定の受信特性を維持することができる。
尚、本実施例では、光通信に使用する光信号の波長帯域を最小化するための波長/周波数配置を示している。即ち、光受信部300でのデータ復調において、上述の積分処理により、不要な電気帯域信号(中心周波数fs)の除去を行うには、光送信部100において偏波依存型光変調器に入力する電気搬送波信号の周波数と、ベースバンドディジタル信号2eのビットレート(又はシンボルレート)が正確に一致していることが必要である。従来例のように、複数の光源を用いて光送信部100を構成した場合には、これらの波長・位相・偏波を精密に制御する必要が生じ、多大な技術的困難を伴う構成であったのに対し、図4に示す光送信部100の構成であれば簡素にでき、且つ、出力光信号2eの波長間隔について、電気発振器の出力周波数fsを調整することで精密に制御することができる。
次に、図1に示す光信号発生器を用いた、実施例2の光通信システムについて説明する。
(実施例2の光通信システム)
図6は、本発明による実施例2の光通信システム(例えば、ヘテロダイン−ベースバンドシステム)を示し、図7は、実施例2の光通信システムにおける各信号の周波数スペクトルの一例を示す。
本実施例の光通信システムは、光送信部100と、光変調部200と、ヘテロダイン光受信部A(300A)とを備え、ヘテロダイン光受信部A(300A)は、単一スペクトル光源303と、光合波器304と、受光素子301と、検波器305と、積分回路302とを有する。光送信部100は、図1に示す光信号発生器を有する。光変調部200は、光送信部100からの光搬送波信号3aを受信し、所定のベースバンド信号(例えば、ベースバンドディジタル信号)3bで光変調して変調光信号3cを生成する偏波無依存型光変調器202を有する。
単一スペクトル光源303は、単一スペクトルの光信号をローカル光信号として出力する。光合波器304は、そのローカル光信号及び偏波無依存型光変調器202からの変調光信号3cを受信して合波する。受光素子301は、光合波器304からの出力光信号を受信し、そのローカル光信号を用いて光ヘテロダイン検波し、第1の中間周波数信号(fIF)及びその第1の中間周波数信号に対し、所定の周波数(fs)だけ中心周波数が異なる第2の中間周波数信号(fIF+fs)を出力する。検波器305は、受光素子301から出力された電気信号を受信して、所定のベースバンド信号3b及び所定の周波数(fs)を中心周波数とした電気帯域信号3fを出力する。積分回路302は、検波器305から出力された電気信号を積分処理し、中心周波数(fs)の電気帯域信号を除去する。これにより、所定のベースバンド信号を復調することが可能となる。
以下、光送信部100が光伝送路400を介して光変調部200に接続され、その光変調部200は光伝送路500を介してヘテロダイン光受信部A(300A)に接続される構成例について詳細に説明する。
図6において、光送信部100は、図1に構成例を示す光信号発生器であり、偏波依存型光変調器103の出力光信号を、光伝送路400を介して光変調部200に送信する。ここでは、実施例1と同様、光送信部100から、各成分の光電力が均一化された2波の光信号3a(1d3と同一)を送信する場合について図示している。
光変調部200において、偏波無依存型光変調器202は、ヘテロダイン光受信部A(300A)へ送信するベースバンドディジタル信号3bで、光送信部100から送信された光信号3aを光変調し、この出力変調光信号3cを、光伝送路500を介してヘテロダイン光受信部A(300A)に送信する。ここで、ベースバンドディジタル信号3bのビットレート(又は、シンボルレート)は、光送信部100において偏波依存型光変調器に入力する電気搬送波信号の周波数fsに等しいものとする。
ヘテロダイン光受信部A(300A)において、光合波器304は、光変調部200から送信された2波の光信号3cと、単一スペクトル光源303から出力されたローカル光信号とを合波する。受光素子301は、光ヘテロダイン検波を行うために、光合波器304の出力光信号3dを受光する。ここで、受光素子301は、第1及び第2の中間周波数信号3eを検波器305に入力することになるが、光ヘテロダイン検波の偏波依存性に起因し、光伝送路500における伝送中の偏波変動が生じる場合がある。この場合、例えば、図示するように、2波の中間周波数信号の信号電力がそれぞれ変動する(3e)。検波器305は、ベースバンドディジタル信号と中心周波数fsの電気帯域信号を出力する(3f)。この出力電気信号3fを受信する積分回路302は、周波数fsの成分とこの逓倍の周波数成分を抑圧する積分処理を行い、中心周波数fsの電気帯域信号のみを除去し、所望のベースバンドディジタル信号3gを出力する(即ち、3bを抽出する)。
このように、光送信部100において、互いに偏波が直交し、光電力が等しい2波の光信号3aを生成して送信しているため、ヘテロダイン光受信部A(300A)の検波器305の検波において偏波ダイバーシティ効果を得ることができ、光伝送路500における伝送中の偏波変動に影響を受けることなく、一定の受信特性を維持することができる。
次に、図1に示す光信号発生器を用いた、実施例3の光通信システムについて説明する。
(実施例3の光通信システム)
図8は、本発明による実施例3の光通信システム(例えば、ヘテロダイン−SCM (Sub Carrier Modulation)システム)を示す。
本実施例の光通信システムは、光送信部100と、光変調部200と、ヘテロダイン光受信部A(300A)とを備え、光変調部200は、電気発振器203と、電気変調器(例えば乗算器)204と、偏波無依存型光変調器202を有し、ヘテロダイン光受信部A(300A)は、単一スペクトル光源303と、光合波器304と、受光素子301と、検波器305と、積分回路302とを有する。光送信部100は、図1に示す光信号発生器を有する。
電気発振器203は、第2の所定の周波数(fsc)の電気搬送波信号を出力する。電気変調器(例えば乗算器)204は、所定のベースバンド信号(例えば、ベースバンドディジタル信号)で、その電気搬送波信号を変調して電気帯域信号4bを生成する。偏波無依存型光変調器202は、電気帯域信号4bで光変調して変調光信号4cを生成する。単一スペクトル光源303は、単一スペクトルの光信号をローカル光信号として出力する。光合波器304は、そのローカル光信号及び偏波無依存型光変調器202からの変調光信号4cを受信して合波する。受光素子301は、光合波器304からの出力光信号を受信し、そのローカル光信号を用いて光ヘテロダイン検波し、第1の中間周波数信号(fIF)及びその第1の中間周波数信号に対し、所定の周波数(fs)だけ中心周波数が異なる第2の中間周波数信号(fIF+fs)を出力する。検波器305は、受光素子301から出力された電気信号を受信して、所定のベースバンド信号及び所定の周波数(fs)を中心周波数とした電気帯域信号4fを出力する。積分回路302は、検波器305から出力された電気信号を積分処理し、中心周波数(fs)の電気帯域信号を除去する。これにより、所定のベースバンド信号を復調することが可能となる。
以下、光送信部100が、光伝送路400を介して光変調部200に接続され、その光変調部200は光伝送路500を介してヘテロダイン光受信部A(300A)に接続される例について詳細に説明する。本実施例は、光変調部200において、電気発振器203からの電気搬送波信号と、ベースバンドディジタル信号とを基に生成された電気帯域信号で、光送信部100から入力された光搬送波信号を光変調する構成である。
図8において、光送信部100は、図1に構成例を示す光信号発生器であり、偏波依存
型光変調部103の出力光信号を、光伝送路400を介して光変調部200に送信する。
実施例3において、光変調部200の偏波無依存型光変調器202は、ヘテロダイン光受信部A(300A)へ送信するべースバンドディジタル信号と電気発振器203の出力電気搬送波信号(fsc)を電気変調器(例えば乗算器)204で乗算することで得られる電気帯域信号4bで、光送信部100から送信された光信号4aを光変調し、出力変調光信号4cを生成する。この出力変調光信号4cは、光伝送路500を介してヘテロダイン光受信部A(300A)に送信される。受信部300Aの構成は、実施例2(図6)と同様である。
実施例3において、光送信部200のベースバンドディジタル信号のビットレート(又は、シンボルレート)は、光送信部100において偏波依存型光変調器に入力する電気搬送波信号の周波数fsに等しいものとする。ヘテロダイン光受信部A(300A)は、光変調部200から送信された光信号4cと単一スペクトル光源303から出力されたローカル光信号とを合波する光合波器304、及び、光合波器304の出力光信号5dを受光する受光素子301を備えており、光ヘテロダイン検波を行う。
このように、光送信部100において、互いに偏波が直交し、光電力が等しい2波の光信号3aを生成して送信しているため、ヘテロダイン光受信部A(300A)の検波器305の検波において偏波ダイバーシティ効果を得ることができ、光伝送路500における伝送中の偏波変動に影響を受けることなく、一定の受信特性を維持することができる。
次に、図1に示す光信号発生器を用いた、実施例4の光通信システムについて説明する。
(実施例4の光通信システム)
図9は、本発明による実施例4の光通信システム(例えば、ヘテロダイン−ROF(Radio-On-Fiber)システム)を示す。
本実施例の光通信システムは、光送信部100と、無線端末600からの無線信号を受信する光変調部200と、ヘテロダイン光受信部A(300A)とを備え、ヘテロダイン光受信部A(300A)は、単一スペクトル光源303と、光合波器304と、受光素子301と、検波器305と、積分回路302とを有する。無線端末600は、電気発振器601と、電気変調器(例えば乗算器)602を有する。光送信部100は、図1に示す光信号発生器を有する。
電気発振器601は、所定の無線周波数(fRF)の電気搬送波信号を出力する。電気変調器(例えば乗算器)602は、所定のベースバンド信号(例えば、ベースバンドディジタル信号)で前記電気搬送波信号を変調して無線信号4bを生成する。光変調部200は、無線端末600から、無線信号4bを受信するともに、光送信部100からの光搬送波信号4aを受信し、無線信号4bで光変調して変調光信号4cを生成する偏波無依存型光変調器202を有する。
単一スペクトル光源303は、単一スペクトルの光信号をローカル光信号として出力する。光合波器304は、そのローカル光信号及び偏波無依存型光変調器202からの変調光信号4cを受信して合波する。受光素子301は、光合波器304からの出力光信号を受信し、そのローカル光信号を用いて光ヘテロダイン検波し、第1の中間周波数信号及びその第1の中間周波数信号に対し、所定の周波数(fs)だけ中心周波数が異なる第2の中間周波数信号を出力する。検波器305は、受光素子301から出力された電気信号を受信して、所定のベースバンド信号及び所定の周波数(fs)を中心周波数とした電気帯域信号4fを出力する。積分回路302は、検波器305から出力された電気信号を積分処理し、中心周波数(fs)の電気帯域信号を除去する。これにより、所定のベースバンド信号を復調することが可能となる。
以下、光送信部100が、光伝送路400を介して光変調部200に接続され、その光変調部200は光伝送路500を介してヘテロダイン光受信部A(300A)に接続される構成について、詳細に説明する。
図9に示すように、光送信部100は、図1に構成例を示す光信号発生器であり、偏波依存型光変調部103の出力光信号を、光伝送路400を介して光変調部200に送信する。図10では、実施例1及び2と同様、光送信部100から、各成分の光電力が均一化された2波の光信号4a(1d3と同一)を送信する場合について図示している。
光変調部200の偏波無依存型光変調器202は、所定の無線周波数(fRF)の電気搬送波信号を出力する電気発振器601と、所定のベースバンド信号でその電気搬送波信号を変調して無線信号を生成する電気変調器(例えば乗算器)602を有する無線端末から、その無線信号4b(fRF)を受信するとともに、光送信部100から送信された光搬送波信号4aを受信する。更に、偏波無依存型光変調器202は、無線端末600から送信された無線信号4b(fRF)で、光送信部100から送信された光信号4aを光変調し、変調光信号4cを生成する。偏波無依存型光変調器202は、この出力変調光信号4cを、光伝送路500を介してヘテロダイン光受信部A(300A)に送信する。受信部300Aの構成は、実施例2(図6)と同様である。
実施例4において、無線端末600から送信するベースバンドディジタル信号のビットレート(又は、シンボルレート)は、光送信部100において偏波依存型光変調器に入力する電気搬送波信号の周波数fsに等しいものとする。ヘテロダイン光受信部A(300A)は、光変調部200から送信された光信号4cと単一スペクトル光源303から出力されたローカル光信号とを合波する光合波器304、及び、光合波器304の出力光信号4dを受光する受光素子301を備えており、光ヘテロダイン検波を行う。
このように、光送信部100において、互いに偏波が直交し、光電力が等しい2波の光信号4aを生成して送信しているため、ヘテロダイン光受信部A(300A)の検波器305の検波において偏波ダイバーシティ効果を得ることができ、光伝送路500における伝送中の偏波変動に影響を受けることなく、一定の受信特性を維持することができる。
図10に、上述した実施例3及び4における各信号の周波数スペクトルの一例を示す。図10では、ローカル光信号の光周波数が、実施例3においてfc+fsc+fIF(実施例4においてfc+fRF+fIF)である例を示しているが、ローカル光信号として、光周波数が実施例3においてfc−fs+fsc−fIF,fc−fsc+fIF,fc−fs−fsc−fIF(実施例4においてfc−fs+fRF−fIF,fc−fRF +fIF,fc−fs−fRF−fIF)の単一スペクトルの光信号を用いても、同様に、第1及び第2の中間周波数信号4e(fIF,fIF+fs)を生成することができる。ここで、光ヘテロダイン検波の偏波依存性に起因し、光伝送路500における伝送中の偏波変動が生じた場合、図示するように、受光素子301から検波器305に入力される、第1及び第2の中間周波数信号の信号電力がそれぞれ変動する(4e)。検波器305は、ベースバンドディジタル信号と中心周波数fsの電気帯域信号を出力し(4f)、この出力電気信号4fは、積分回路302において、周波数長の成分とこの逓倍の周波数成分を抑圧する積分処理により、中心周波数fsの電気帯域信号のみが除去され、所望のベースバンドディジタル信号が抽出される(4g)。
次に、図1に示す光信号発生器を用いた、実施例5の光通信システムについて説明する。
(実施例5の光通信システム)
図11は、本発明による実施例5の光通信システム(例えば、ヘテロダイン−ベースバンドシステム)を示し、図12は、実施例5における各信号の周波数スペクトルの一例を示す。
本実施例の光通信システムは、実施例2(図6)の光通信システムに対し、光送信部100が、単一スペクトル(fc)の光信号を出力する単一スペクトル光源700のみから構成され、ヘテロダイン光受信部B(300B)は、ヘテロダイン光受信部B(300B)の単一スペクトル光源303が、図1に示す光信号発生器(図11において、光信号発生器306)に置き換えられて構成される。ここで、光合波器304は、光信号発生器306からの出力光信号をローカル光信号として、偏波無依存型光変調器202からの変調光信号5cと合波する。これにより、所定のベースバンド信号(例えば、ベースバンドディジタル信号)5bを復調することが可能となる。
以下、単一スペクトル光源700が光伝送路400を介して光変調部200に接続され、その光変調部200は光伝送路500を介してヘテロダイン光受信部B(300B)に接続される構成例について詳細に説明する。
図11において、単一スペクトル光源700の出力5aが、光伝送路400を介して光変調部200に送信される。
光変調部200は、ヘテロダイン光受信部B(300B)へ送信するベースバンドディジタル信号5bで、単一スペクトル光源700から送信された光信号5aを光変調する、偏波無依存型光変調器202を備え、出力変調光信号5cを、光伝送路500を介してヘテロダイン光受信部B(300B)に送信する。ここで、ヘテロダイン光受信部B(300B)内に配置される光信号発生器306は、図1に構成例を示す光信号発生器であり、ベースバンドディジタル信号5bのビットレート(又は、シンボルレート)は、光信号発生器306において偏波依存型光変調器103に入力する電気搬送波信号の周波数fsに等しいものとする。ヘテロダイン光受信部B(300B)は、光変調部200から送信された1波の光信号5cと光信号発生器306から出力された2波のローカル光信号とを合波する光合波器304、及び、光合波器304の出力光信号5dを受光する受光素子301を備えており、光ヘテロダイン検波を行う。
図12では、実施例1と同様、光信号発生器306から、各成分の光電力が均一化された2波の光信号(5dのfc+fIF,fc+fIF+fs成分)を送信する場合について図示する。図12を参照して、受光素子301からの第1及び第2の中間周波数信号5eは、検波器305に入力されるが、光ヘテロダイン検波の偏波依存性に起因し、光伝送路500における伝送中の偏波変動が生じた場合、図示するように、2波の中間周波数信号の信号電力がそれぞれ変動する(5e)。検波器305は、ベースバンドディジタル信号と中心周波数fsの電気帯域信号を出力する(5f)。積分回路302は、この出力電気信号5fを、周波数fsの成分とこの逓倍の周波数成分を抑圧するように積分処理し、中心周波数fsの電気帯域信号のみを除去して、所望のベースバンドディジタル信号5gを出力する(即ち、5bが抽出される)。
このように、光信号発生器306において、互いに偏波が直交し、光電力が等しい2波のローカル光信号(5dのfc+fIF,fc+fIF+fs成分)を生成して送信しているため、ヘテロダイン光受信部B(300B)の検波器305の検波において偏波ダイバーシティ効果を得ることができ、光伝送路500における伝送中の偏波変動に影響を受けることなく、一定の受信特性を維持することができる。
次に、図1に示す光信号発生器を用いた、実施例6の光通信システムについて説明する。
(実施例6の光通信システム)
図13は、本発明による実施例6の光通信システム(例えば、ヘテロダイン−SCMシステム)を示す。
本実施例の光通信システムは、実施例3(図8)の光通信システムに対して、光送信部100が、単一スペクトル(fc)の光信号を出力する単一スペクトル光源700のみから構成され、ヘテロダイン光受信部B(300B)は、ヘテロダイン光受信部A(300A)の単一スペクトル光源303が、図1に示す光信号発生器(図13において、光信号発生器306)に置き換えて構成される。ここで、光合波器304は、光信号発生器306からの出力光信号をローカル光信号として、偏波無依存型光変調器202からの変調光信号6cと合波する。これにより、所定のベースバンド信号を復調することが可能となる。
以下、単一スペクトル光源700が光伝送路400を介して光変調部200に接続され、その光変調部200は光伝送路500を介してヘテロダイン光受信部B(300B)に接続される。本実施例において、光変調部200では、電気発振器203からの電気搬送波信号と、ベースバンドディジタル信号とを基に生成された電気帯域信号で、光送信部100から入力された光搬送波信号を光変調する例について詳細に説明する。
図13において、単一スペクトル光源700の出力6aが、光伝送路400を介して光変調部200に送信される。本実施例においては、光変調部200の偏波無依存型光変調器202は、ヘテロダイン光受信部B(300B)へ送信するべ一スバンドディジタル信号と電気発振器203の出力電気搬送波信号(fsc)とを乗算器204で乗算することで得られる電気帯域信号6bで、単一スペクトル光源700から送信された光信号6aを光変調し、出力変調光信号6cを生成する。また、偏波無依存型光変調器202は、この出力変調光信号6cを、光伝送路500を介してヘテロダイン光受信部B(300B)に送信する。受信部300Bの構成は、実施例2(図6)及び実施例3(図8)の受信部300Aと同様である。
本実施例において、光送信部200のビットレート(又は、シンボルレート)は、光信号発生器306において偏波依存型光変調器に入力する電気搬送波信号の周波数fsに等しいものとする。ヘテロダイン光受信部B(300B)は、光変調部200から送信された光信号6cと光信号発生器306から出力された2波のローカル光信号とを合波する光合波器304、及び、光合波器304の出力光信号6dを受光する受光素子301を備えており、光ヘテロダイン検波を行う。
このように、光信号発生器306において、互いに偏波が直交し、光電力が等しい2波の光信号(6dのうちfc+fsc+fIF,fc+fsc+fIF+fs成分)を生成して送信しているため、ヘテロダイン光受信部B(300B)の検波器305の検波において偏波ダイバーシティ効果を得ることができ、光伝送路500における伝送中の偏波変動に影響を受けることなく、一定の受信特性を維持することができる。
次に、図1に示す光信号発生器を用いた、実施例7の光通信システムについて説明する。
(実施例7の光通信システム)
図14は、本発明による実施例7の光通信システム(例えば、ヘテロダイン−ROFシステム)を示す。
本実施例の光通信システムは、実施例4(図9)の光通信システムに対して、光送信部100が、単一スペクトル(fc)の光信号を出力する単一スペクトル光源700のみから構成され、ヘテロダイン光受信部B(300B)は、ヘテロダイン光受信部A(300A)の単一スペクトル光源303が、図1に示す光信号発生器(図14において、光信号発生器306)に置き換えて構成される。ここで、光合波器304は、光信号発生器306からの出力光信号をローカル光信号として、偏波無依存型光変調器202からの変調光信号6cと合波する。これにより、所定のベースバンド信号を復調することが可能となる。
以下、単一スペクトル光源700が光伝送路400を介して光変調部200に接続され、その光変調部200は光伝送路500を介してヘテロダイン光受信部B(300B)に接続される構成であり、光変調部200で、無線端末600から送信された無線信号で入力されたを光変調する例について詳細に説明する。
図14において、単一スペクトル光源700の出力6aが、光伝送路400を介して光変調部200に送信される。本実施例においては、光変調部200は、無線端末600から送信された無線信号6b(fRF)で、単一スペクトル光源700から送信された光信号6aを光変調する、偏波無依存型光変調器202を備え、この出力変調光信号6cを、光伝送路500を介してヘテロダイン光受信部B(300B)に送信する。受信部300Bの構成は、実施例2(図6)及び実施例4の受信部300A(図9)と同様である。
本実施例において、無線端末600から送信するベースバンドディジタル信号のビットレート(又は、シンボルレート)は、光信号発生器306において偏波依存型光変調器に入力する電気搬送波信号の周波数fsに等しいものとする。ヘテロダイン光受信部B(300B)は、光変調部200から送信された光信号6cと光信号発生器306から出力された2波のローカル光信号と合波する光合波器304、及び、光合波器304の出力光信号5dを受光する受光素子301を備えており、光ヘテロダイン検波を行う。
このように、光信号発生器306において、互いに偏波が直交し、光電力が等しい2波の光信号(6dのうちfc+fRF+fIF,fc+fRF+fIF+fs成分)を生成して送信しているため、ヘテロダイン光受信部B(300B)の検波器305の検波において偏波ダイバーシティ効果を得ることができ、光伝送路500における伝送中の偏波変動に影響を受けることなく、一定の受信特性を維持することができる。
図15に、上述した実施例6及び7における各信号の周波数スペクトルの一例を示す。図15では、光信号発生器306から、ローカル光信号として、各成分の光電力が均一化されたされた2波の光信号、即ち6dに示す実施例6におけるfc+fsc+fIF,fc+fsc+fIF+fs成分(実施例7におけるfc+fRF+fIF,fc+fRF+fIF+fs成分)を送信する場合について図示しているが、ローカル光信号として、光周波数が、実施例6においてfc+fsc−fIF及びfc+fsc−fIF−fsの2波、fc−fsc+fIF及びfc−fsc+fIF+fsの2波、又はfc−fsc−fIF及びfc−fsc−fIF−fsの2波の光信号(実施例7においてfc+fRF−fIF及びfc+fRF−fIF−fsの2波、fc−fRF+fIF及びfc−fRF+fIF+fsの2波、又はfc−fRF−fIF及びfc−fRF−fIF−fsの2波の光信号)を用いても、同様に、第1及び第2の中間周波数信号6e(fIF,fIF+fs)を生成することができる。
ここで、光ヘテロダイン検波の偏波依存性に起因し、光伝送路500における伝送中の偏波変動が生じた場合、図示するように、受光素子301から検波器305に入力される、第1及び第2の中間周波数信号の信号電力がそれぞれ変動する(6e)。検波器305は、ベースバンドディジタル信号と中心周波数fsの電気帯域信号を出力し(6f)、この出力電気信号6fは、積分回路302により、周波数fsの成分とこの逓倍の周波数成分を抑圧するように積分処理される。これにより、中心周波数fsの電気帯域信号のみが除去され、所望のベースバンドディジタル信号6gが抽出される。
次に、光通信システムにおいて、電気搬送波信号による光変調を用いた複数波長光源を備える光信号発生器の実施例を説明する。
(複数波長光源を備える光信号発生器の実施例)
図16〜19は、本発明の複数波長光源を備える光送信部の実施例を示し、図20は、各信号の周波数スペクトルの一例を示す。
本実施例の光信号発生器は、複数波長光源106と、偏波調整器102と、電気発振器104と、偏波依存型光変調器103と、光変調度調整機構105とを備える。複数波長光源106は、或る波長のスペクトルからなる光信号を出力する光源として構成でき、例えば、図17においては、複数波長からなる光信号を出力するように、複数の単一スペクトル光源1061と、各々の単一スペクトル光源1061の出力を合波する波長多重光合波器1062とから構成される。偏波調整器102は、複数波長光源106の出力光信号の偏波面に対して、ある偏波面X及びその偏波面Xと垂直の偏波面Yとを有するように、且つ、偏波面X及び偏波面Yが、ゼロではない所定の角度差を持つ直線偏波になるように調整する。電気発振器104は、所定の周波数(fs)の電気搬送波信号を出力する。偏波依存型光変調器103は、電気発振器104の出力電気搬送波信号により、偏波調整器102の出力光信号に対し、偏波面Xの光信号に対して最も大きく光変調作用を及ぼし、偏波面Yの光信号に対しては光変調作用を及ぼさないように制御する。光変調度調整機構105は、偏波依存型光変調器103の出力光信号に対し、その光変調作用の光変調度を調整する。
このように、図16及び図20を参照して、本光信号発生器は、前述の光信号発生器の実施例(図1、図2及び図3)における、単一スペクトルの光信号1aを出力する単一スペクトル光源101を、複数波長からなる光信号7aを出力する複数波長光源106に置き換えて構成される。複数波長光源106は、例えば、図17に示すように、それぞれ出力光信号の波長が異なる複数の単一スペクトル光源1061とこれらの出力光信号を波長多重する波長多重光合波器1062を用いることができ、また、図18及び図19に示すように、所望の周波数の電気搬送波信号を出力する電気発振器1063と、その所望の周波数に応じた波長間隔を持つ複数波長からなる光信号7aを出力する、スーパーコンティニウム光源1064、又はモード同期光源1065で構成することができる。
次に、図16に示す光信号発生器を用いた、実施例8の光通信システムについて説明する。
(実施例8の光通信システム)
図21は、本発明による実施例8の光通信システム(例えば、WDM(Wavelength Division Multiplexing)−IM/DDシステム)を示す。図16に示す光信号発生器を、実施例1の光通信システムに応用することができ、実施例1における参照番号に基づいて、以下のように構成させることができる。
実施例1からの応用である本実施例の光通信システムは、図16に示す光信号発生器を有する光送信部100Aと、波長分離光分波器800と、光変調部200と、光受信部300とを備える。波長分離光分波器800は、光送信部100Aからの複数波長光信号を波長毎に分離して、複数の光搬送波信号を生成する。光変調部200は、波長分離光分波器800からの光搬送波信号を受信するとともに、所定のベースバンド信号(例えば、ベースバンドディジタル信号)で光変調して、各複数波長光信号に対応する変調光信号を生成する複数の偏波依存型変調器201から構成される。光受信部300は、複数の偏波依存型変調器201からの変調光信号を受信し、所定のベースバンド信号及び所定の周波数(fs)を中心周波数とした電気帯域信号を出力する受光素子301、及び、受光素子301から出力された電気信号を積分処理し、その中心周波数(fs)の電気帯域信号を除去する積分回路302を有する。これにより、光受信部300は、所定のベースバンド信号を復調することを可能とする。
以下、光送信部100Aが光伝送路400を介して波長分離光合波器800に接続され、その波長分離光合波器800は複数の光伝送路401を介して複数の光変調部200に接続され、その複数の光変調部200は複数の光伝送路500を介して複数の光受信部300に接続される構成例について詳細に説明する。
図21において、光送信部100Aは、図16に構成例を示す光信号発生器であり、偏波依存型光変調器103の出力光信号を、光伝送路400を介して波長分離光合波器800に送信する。波長分離光合波器800により、複数波長の光信号は、各波長成分に分離され、それぞれ別の光伝送路401を介して複数の光変調部200へ送信される。各光変調部200は、実施例1と同様の信号変調を施し、各光伝送路500を介して各光受信部300に接続される。各光受信部300は、実施例1と同様に、光信号を検波し、所望のベースバンドディジタル信号を得るように構成される。
このように、本実施例では、実施例1の光通信システムと同様に、伝送中の偏波変動に影響を受けることなく、一定の受信特性を維持することができる。更に、図16に構成例を示す光送信部100Aを用いることにより、複数波長成分を持つ光信号を一括で生成することが可能となるため、個別に光信号発生器を配置する場合と比較し、大きく光部品点数を削減することが可能となる。
次に、図16に示す光信号発生器を用いた、実施例9の光通信システムについて説明する。
(実施例9の光通信システム)
図22は、本発明による実施例9の光通信システム(WDM−ヘテロダインシステム)を示す。図16に示す光信号発生器を、実施例2〜4の光通信システムに応用することができ、実施例2〜4の各々における参照番号に基づいて、以下のように構成させることができる。
実施例2からの応用である本実施例の光通信システムは、図16に示す光信号発生器を有する光送信部100Aと、波長分離光分波器800と、光変調部200と、ヘテロダイン光受信部A(300A)とを備える。また、ヘテロダイン光受信部A(300A)は、単一スペクトル光源303、光合波器304、受光素子301、検波器305、及び、積分回路302を有する。波長分離光分波器800は、光送信部100Aからの複数波長光信号を波長毎に分離して、複数の光搬送波信号を生成する。光変調部200は、波長分離光分波器800からの光搬送波信号を受信するとともに、所定のベースバンド信号(例えば、ベースバンドディジタル信号)で光変調して、各複数波長光信号に対応する変調光信号を生成する複数の偏波無依存型変調器202から構成される。光合波器304は、単一スペクトルの光信号をローカル光信号として出力する。光合波器304は、そのローカル光信号及び複数の偏波無依存型変調器202からの変調光信号を受信して合波する。受光素子301は、光合波器304からの出力光信号を受信し、そのローカル光信号を用いて光ヘテロダイン検波し、第1の中間周波数信号及び前記第1の中間周波数信号に対し前記所定の周波数(fs)だけ中心周波数が異なる第2の中間周波数信号を出力する。検波器305は、受光素子301から出力された電気信号を受信して、所定のベースバンド信号及び所定の周波数(fs)を中心周波数とした電気帯域信号を出力する。積分回路302は、検波器305から出力された電気信号を積分処理し、中心周波数(fs)の電気帯域信号を除去する。これにより、ヘテロダイン光受信部A(300A)(複数の光受信部からなるときは各々の光受信部)は、所定のベースバンド信号を復調することを可能とする。
実施例3からの応用である本実施例の光通信システムは、図16に示す光信号発生器を有する光送信部100Aと、波長分離光分波器800と、光変調部200と、ヘテロダイン光受信部A(300A)とを備える。また、ヘテロダイン光受信部A(300A)は、単一スペクトル光源303、光合波器304、受光素子301、検波器305、及び、積分回路302を有する。波長分離光分波器800は、光送信部100Aからの複数波長光信号を波長毎に分離して、複数の光搬送波信号を生成する。光変調部200は、第2の所定の周波数(fsc)の電気搬送波信号を出力する電気発振器203、及び、所定のベースバンド信号で電気搬送波信号を変調して電気帯域信号を生成する電気変調器204を有し、波長分離光分波器800からの光搬送波信号を受信するとともに、電気帯域信号で光変調して、各複数波長光信号に対応する変調光信号を生成する複数の偏波無依存型変調器202から構成される。単一スペクトル光源303は、単一スペクトルの光信号をローカル光信号として出力する。光合波器304は、そのローカル光信号及び複数の偏波無依存型変調器202からの変調光信号を受信して合波する。受光素子301は、光合波器304からの出力光信号を受信し、そのローカル光信号を用いて光ヘテロダイン検波し、第1の中間周波数信号及び前記第1の中間周波数信号に対し前記所定の周波数(fs)だけ中心周波数が異なる第2の中間周波数信号を出力する。検波器305は、受光素子301から出力された電気信号を受信して、所定のベースバンド信号及び所定の周波数(fs)を中心周波数とした電気帯域信号を出力する。積分回路302は、検波器305から出力された電気信号を積分処理し、中心周波数(fs)の電気帯域信号を除去する。これにより、ヘテロダイン光受信部A(300A)(複数の光受信部からなるときは各々の光受信部)は、所定のベースバンド信号を復調することを可能とする。
実施例4からの応用である本実施例の光通信システムは、光−無線融合型の光通信システムとして構成でき、図16に示す光信号発生器を有する光送信部100Aと、波長分離光分波器800と、光変調部200と、ヘテロダイン光受信部A(300A)とを備える。また、ヘテロダイン光受信部A(300A)は、単一スペクトル光源303、光合波器304、受光素子301、検波器305、及び、積分回路302を有する。波長分離光分波器800は、光送信部100Aからの複数波長光信号を波長毎に分離して、複数の光搬送波信号を生成する。光変調部200は、所定の無線周波数(fRF)の電気搬送波信号を出力する電気発振器601、及び、所定のベースバンド信号で電気搬送波信号を変調して無線信号を生成する電気変調器602を有する無線端末600から、その無線信号を受信するとともに、波長分離光分波器800からの光搬送波信号を受信し、その無線信号で光変調して、各複数波長光信号に対応する変調光信号を生成する複数の偏波無依存型変調器202から構成される。単一スペクトル光源303は、単一スペクトルの光信号をローカル光信号として出力する。光合波器304は、そのローカル光信号及び複数の偏波無依存型変調器202からの変調光信号を受信して合波する。受光素子301は、光合波器304からの出力光信号を受信し、そのローカル光信号を用いて光ヘテロダイン検波し、第1の中間周波数信号及び前記第1の中間周波数信号に対し前記所定の周波数(fs)だけ中心周波数が異なる第2の中間周波数信号を出力する。検波器305は、受光素子301から出力された電気信号を受信して、所定のベースバンド信号及び所定の周波数(fs)を中心周波数とした電気帯域信号を出力する。積分回路302は、検波器305から出力された電気信号を積分処理し、中心周波数(fs)の電気帯域信号を除去する。これにより、ヘテロダイン光受信部A(300A)(複数の光受信部からなるときは各々の光受信部)は、所定のベースバンド信号を復調することを可能とする。
以下、光送信部100Aが光伝送路400を介して波長分離光合波器800に接続され、その波長分離光合波器800は複数の光伝送路401を介して複数の光変調部200に接続され、その複数の光変調部200は複数の光伝送路500を介して複数のヘテロダイン光受信部A(300A)に接続される構成例について詳細に説明する。
図22において、光送信部100Aは、図16に構成例を示す光信号発生器であり、偏波依存型光変調器103の出力光信号を、光伝送路400を介して波長分離光合波器800に送信する。波長分離光合波器800により、複数波長光信号は各波長成分に分離され、それぞれ別の光伝送路401を介して複数の光変調部200へ送信される。各光変調部200は、実施例2〜4と同様の信号変調を施し、各光伝送路500を介してヘテロダイン光受信部A(300A)に接続される。各ヘテロダイン光受信部A(300A)は、実施例2〜4と同様に、光信号を検波し、所望のべ一スバンドディジタル信号を得るように構成される。
このように、図16に構成例を示す光送信部100Aを、実施例2〜4の光通信システムに応用した実施例9では、実施例2〜4と同様に、伝送中の偏波変動に影響を受けることなく、一定の受信特性を維持することができる。更に、図16に構成例を示す光送信部100Aを用い、複数波長成分を持つ光信号を一括で生成することが可能となるため、個別に光信号発生器を配置する場合と比較し、大きく光部品点数を削減することが可能となる。
次に、図16に示す光信号発生器を用いた、実施例10の光通信システムについて説明する。
(実施例10の光通信システム)
図23は、本発明による実施例10の光通信システム(例えばFDM(Frequency Division Multiplexing)−ヘテロダインシステム)を示す。本実施例は、実施例9の更に別の例を示すものである。
本実施例の光通信システムは、実施例9の光通信システムに対して、ヘテロダイン光受信部A(300A)が、1つのヘテロダイン光受信部A(300A)(図23)からなり、複数の偏波無依存型変調器からなる光変調部200から出力された、それぞれ異なる波長の変調光信号を波長多重し、1つのヘテロダイン光受信部A(300A)に出力する波長多重光合波器801を備える。
本実施例では、光送信部100Aは、光伝送路400を介して波長分離光合波器800に接続され、波長分離光合波器800は、複数の光伝送路401を介して複数の光変調部200に接続される。また、その複数の光変調部200は、複数の光伝送路402を介して波長多重光合波器801に接続され、その波長多重光合波器801は光伝送路500を介してヘテロダイン光受信部A(300A)に接続される。
図23において、光送信部100Aは、図16に構成例を示す光信号発生器であり、偏波依存型光変調器103の出力光信号を、光伝送路400を介して波長分離光合波器800に送信する。波長分離光合波器800により、複数波長光信号は各波長成分に分離され、それぞれ別の光伝送路401を介して複数の光変調部200へ送信される。各光変調部200は、実施例2〜4の光通信システムと同様の信号変調を施し、各光伝送路402を介して波長多重光合波器801に送信する。波長多重光合波器801により、変調を施された各波長成分は合波され、単一の光伝送路500を介してヘテロダイン光受信部A(300A)に接続される。ヘテロダイン光受信部A(300A)は、実施例2〜4と同様に、光信号を検波し、所望のベースバンドディジタル信号を得る構成である。
このように、本実施例では、実施例2〜4と同様に伝送中の偏波変動に影響を受けることなく、一定の受信特性を維持することができる。更に、図16に構成例を示す光送信部100Aと複数の光変調部200を用い、複数波長成分を持つ光信号を生成するため、例えば、ヘテロダイン光受信部A(300A)内の単一スペクトル光源303を波長可変光源とすることで、複数波長光信号から任意の波長成分をもつ光信号を選択受信することが可能となる。
次に、図16に示す光信号発生器を用いた、実施例11の光通信システムについて説明する。
(実施例11の光通信システム)
図24は、本発明による実施例11の光通信システム(例えばFDM−PON(Passive Optical Network)−ヘテロダインシステム)を示す。本実施例は、実施例9及び10の更に別の例を示すものである。
本実施例の光通信システムは、実施例9の光通信システムに対して、ヘテロダイン光受信部A(300A)が、複数のヘテロダイン光受信部A(300A)(図24)からなり、複数の偏波無依存型変調器からなる光変調部200から出力された、それぞれ異なる波長の変調光信号を波長多重する波長多重光合波器801、及び、波長多重光合波器の出力光信号を複数に分岐し、それぞれ複数のヘテロダイン光受信部A(300A)に出力する光分岐器802を更に備える。
本実施例では、光送信部100Aは、光伝送路400を介して波長分離光合波器800に接続され、波長分離光合波器800は、複数の光伝送路401を介して複数の光変調部200に接続される。また、複数の光変調部200は、複数の光伝送路402を介して波長多重光合波器801に接続され、波長多重光合波器801は、光伝送路403を介して光分岐器802に接続される。更に、光分岐器802は、複数の光伝送路500を介して複数のヘテロダイン光受信部A(300A)に接続される。
図24において、光送信部100Aは、図16に構成例を示す光信号発生器であり、偏波依存型光変調器103の出力光信号を、光伝送路400を介して波長分離光合波器800に送信する。波長分離光合波器800により、複数波長光信号は各波長成分に分離され、それぞれ別の光伝送路401を介して複数の光変調部200へ送信される。各光変調部200は、実施例2〜4の光通信システムと同様の信号変調を施し、各光伝送路402を介して波長多重光合波器801に送信する。
波長多重光合波器801により、変調を施された各波長成分は合波され、単一の光伝送路403を介して光分岐器802に送信される。光分岐器802により、複数波長光信号は、例えば光強度分岐又は光波長分岐され、複数の光伝送路500を介して複数のヘテロダイン光受信部A(300A)に接続される。ヘテロダイン光受信部A(300A)は、実施例2〜4と同様に、光信号を検波し、所望のベースバンドディジタル信号を得るように構成される。
このように、本実施例では、実施例2〜4と同様に伝送中の偏波変動に影響を受けることなく、一定の受信特性を維持することができる。更に、複数波長光信号発生器100Aと複数の光変調部200を用い、複数波長成分を持つ光信号を生成するため、例えば、ヘテロダイン光受信部A(300A)内の単一スペクトル光源303を波長可変光源とすることで、複数波長光信号から任意の波長成分を持つ光信号を選択受信することが可能となる。更に、実施例9(図22)と異なり、複数の光変調部200と複数のヘテロダイン光受信部A(300A)間の光伝送路を一部複数信号で共用する構成であるため、必要な光伝送路数を低減し、簡易な光ネットワークを構成することが可能となる。
次に、実施例12〜14の光通信システムについて説明する。
(実施例12〜14の光通信システム)
図25〜27は、本発明による実施例12〜14の光通信システムをそれぞれ示し、図28〜30は、実施例12〜14で用いられる光変調部の構成例をそれぞれ示す。
これらの実施例では、光送受信部900は、光伝送路400及び光伝送路500を介して光変調部200に接続される構成である。実施例12では、光送受信部900に、光信号発生器901及び光受信部300が配置され(図25)、実施例13では、光送受信部900に、光信号発生器901及びヘテロダイン光受信部A(300A)が配置され(図26)、実施例14では、光送受信部900に、単一スペクトル光源700及びヘテロダイン光受信部B(300B)が配置される(図27)。
図25において、光送受信部900内に配置される光信号発生器901は、図1に構成例を示す光信号発生器であり、偏波依存型光変調器103の出力光信号を、光伝送路400を介して光変調部200に送信する。光変調部200は、実施例1と同様の信号変調を施し、光伝送路500を介して、光送受信部900内に配置される光受信部300に接続される。光受信部300は、実施例1と同様に、光信号を検波し、所望のベースバンド信号(例えば、ベースバンドディジタル信号)を得るように構成される。
図26において、光送受信部900内に配置される光信号発生器901は、図1に構成例を示す光信号発生器であり、偏波依存型光変調器103の出力光信号を、光伝送路400を介して光変調部200に送信する。光変調部200は、実施例2〜4と同様の信号変調を施し、光伝送路500を介して、光送受信部900内に配置されるヘテロダイン光受信部A(300A)に接続される。ヘテロダイン光受信部A(300A)は、実施例2〜4と同様に、光信号を検波し、所望のベースバンド信号(例えば、ベースバンドディジタル信号)を得るように構成される。
図27において、光送受信部900内に配置される単一スペクトル光源700は、実施例5〜7と同様に、単一スペクトルの光信号を、光伝送路400を介して光変調部200に送信する。光変調部200は、実施例2〜4と同様の信号変調を施し、光伝送路500を介して、光送受信部900内に配置されるヘテロダイン光受信部B(300B)に接続される。ヘテロダイン光受信部B(300B)は、実施例5〜7と同様に、光信号を検波し、所望のベースバンド信号(例えば、ベースバンドディジタル信号)を得るように構成される。
ここで、図25〜27の光変調部200の一例として、例えば図28〜30のような構成とすることが可能である。図28において、光変調部200は、実施例2〜4における光変調部200と同様の構成を備える。図29において、光変調部200は、光変調部206と光サーキュレータ207を備え、図25〜27の光伝送路400及び500について、同一の光伝送路を用いることが可能なように構成される。このとき、図25〜27の光送受信部900内にも同様に、例えば光サーキュレータを配置し、光信号を分離する必要がある。
図30において、光変調部200は、反射型光変調器208を備え、図25〜27の光伝送路400及び500について、同一の光伝送路を用いることが可能なように構成される。このとき、図25〜27の光送受信部900内には、例えば光サーキュレータを配置し、光信号を分離する必要がある。また、反射型光変調器208としては、例えば半導体光増幅器や電界吸収型光変調器を用いることができる。
このように、これらの実施例では、実施例1と同様に伝送中の偏波変動に影響を受けることなく、一定の受信特性を維持することができる。また、光信号を変調する箇所において、光信号生成器や単一スペクトル光源等の光源を配置する必要が無く、光送受信部において光スペクトルを厳密に管理することで、光変調部での精密な制御を不要とすることができる。
これらの実施例においては、実施例8〜11と同様に、複数波長を伝送する形とすることも可能であり、その場合には、複数配置される光変調部で個別に制御する必要が無く、複数波長からなる光信号を光送受信部において一括で制御することができる。
次に、変調光信号を出力する光信号発生器である、変調光信号発生器の実施例について説明する。
(変調光信号発生器の実施例)
図31〜33は、本発明による実施例の変調光信号発生器を示し、図34は、各信号の周波数スペクトルの一例を示す。
本実施例の変調光信号発生器は、図1に示す光信号発生器において、単一スペクトル光源101(図1)を用いる代わりに、所定のベースバンド信号で変調された、単一スペクトルからなる光信号を出力する光源を用いる。そのような光源は、変調光発生部107(図31)として、所定のベースバンド信号(例えば、ベースバンドディジタル信号)で直接変調可能な単一スペクトルの光信号を出力する直接変調型光源1071で構成することができ、又は、単一スペクトルの光搬送波信号を発生する光源部1072、及び、光源部1072からの光搬送波信号を所定のベースバンド信号から生成した電気帯域信号で変調する光変調器1073で構成することができる。本実施例の変調光信号発生器を、前述の実施例1〜4のいずれかに応用することができる。
即ち、本発明による図1に示す光信号発生器における、単一スペクトルの光信号1aを出力する単一スペクトル光源101を、ベースバンド信号、又は、電気搬送波信号とベースバンド信号から生成した電気帯域信号で変調された変調光信号8aを出力する変調光発生部107に置き換えた構成であり、以下、図31〜33を参照して、ベースバンド信号で変調された変調光信号8aを出力する例を説明する。
変調光発生部107は、例えば、図32に示すように、ベースバンド信号で駆動電流を変化させることで直接変調が可能な直接変調型光源1071を用いることができる。また、図33に示すように、単一スペクトル光源1072、及び、単一スペクトル光源1072の出力光搬送波信号をベースバンド信号で変調する光変調部1073で構成させることもできる。このように、光変調部200で、ベースバンド信号を光変調せずに、変調光発生部107で、ベースバンド信号を光変調することができる。即ち、実施例1〜4のいずれかの光通信システムにおいて、光送信部100が、本実施例の変調光信号発生器を有する場合には、実施例1〜4の光通信システムの効果を有しながら、光受信部300(又はヘテロダイン光受信部A(300A))が、本実施例の変調光信号発生器からの変調光信号を直接受信することができる。
図34に示すように、光信号発生器の実施例(図1及び図2)と同様、入力された変調光信号8bの偏波面Yの光信号成分には変調作用を与えずに、偏波面Xの光信号成分に光変調作用を及ぼし、側波帯光信号を発生させることができる(8d)。また、搬送波抑圧型の光変調(DSB-SC又はSSB-SC)を施すことで、互いに偏波が直交した3波の光信号8d1、又は2波の光信号8d2を発生させることができる。更に、光信号発生器の実施例(図1及び図2)と同様に、偏波面Xの光側波帯成分と、偏波面Yの光搬送波成分の光電力が等しくなるように、変調光信号8bの偏波状態(偏波面Xの成分と偏波面Yの成分との比率)と光変調度を調整することで、例えば、単側波帯光変調の場合には、互いに偏波が直交し、光電力が均一な2波の光信号8d3を発生させることができる。
次に、複数波長の変調光信号を出力する光信号発生器である、複数波長変調光信号発生器の実施例について説明する。
(複数波長変調光信号発生器の実施例)
図35〜37は、本発明による実施例の複数波長変調光信号発生器を示し、図38は、各信号の周波数スペクトルの一例を示す。
本実施例の変調光信号発生器は、図16に示す光信号発生器において、複数波長光源106(図16)を用いる代わりに、所定のベースバンド信号で変調された、複数波長からなる光信号を出力する光源を用いる。そのような光源は、複数波長変調光発生部108として、所定のベースバンド信号(例えば、ベースバンドディジタル信号)で直接変調可能な、出力光信号の波長が異なる複数の直接変調型光源1081、及び、複数波長の直接変調型光源1081の各々からの出力光信号を受信して波長多重する波長多重型光合波器1082で構成することができ、又は、異なる波長の光搬送波信号を出力する複数の単一スペクトル光源1083、複数の単一スペクトル光源部1083からの光搬送波信号を所定のベースバンド信号から生成した電気帯域信号で変調する複数の光変調器1084、及び、複数の光変調器1084の各々からの光信号を受信して合波する波長多重型光合波器1082で構成することができる。複数波長変調光発生部108から、複数波長からなる光信号が出力される。
即ち、本発明による実施例の変調光信号発生器(図31〜34)における、変調光信号8aを出力する変調光発生部107を、複数波長の変調光信号9aを出力する複数波長変調光発生部108に置き換えた構成であり、以下、図35〜37を参照して、ベースバンド信号でそれぞれ変調された複数波長変調光信号9aを出力する例を説明する。
複数波長変調光発生部108は、例えば、図36に示すように、それぞれ出力光信号の波長が異なる複数の直接変調型光源1081、及び、これらの出力変調光信号を波長多重する波長多重型光合波器1082で構成させることができる。また、図37に示すように、複数波長変調光発生部108は、異なる波長の光信号を出力する複数の単一スペクトル光源1083、これら複数の単一スペクトル光源1083の出力光搬送波信号をそれぞれベースバンド信号で変調する光変調器1084、及び、これらの光変調部の出力変調光信号を波長多重する波長多重型光合波器1082で構成させることもできる。このように、光変調部200で、ベースバンド信号を光変調せずに、複数波長変調光発生部108で、ベースバンド信号を光変調することができる。即ち、実施例8〜11のいずれかの光通信システムにおいて、光送信部100Aが、本実施例の複数波長変調光信号発生器を有する場合には、実施例8〜11の光通信システムの効果を有しながら、光受信部300(又はヘテロダイン光受信部A(300A))が、本実施例の変調光信号発生器からの変調光信号を直接受信することができる。
次に、図31に示す変調光信号発生器を用いた、実施例15の光通信システムについて説明する。
(実施例15の光通信システム)
図39は、本発明による実施例の光通信システム(例えば、ヘテロダイン−ベースバンドシステム)を示し、図40は、実施例15における各信号の周波数スペクトルの一例を示す。
本実施例では、光送信部100が光伝送路400を介してヘテロダイン光受信部A(300A)に接続される構成例に基づいて説明する。図39において、光送信部100は、図31に構成例を示す変調光信号発生器を有する。その変調光信号発生器は、偏波依存型光変調器103の出力変調光信号10aを、光伝送路400を介してヘテロダイン光受信部A(300A)に送信する。ここでは、実施例2の光通信システム(図6及び図7)と同様、光送信部100から、各成分の光電力が均一化された2波の変調光信号10a(即ち、図34に示す8d3と同一)を送信する場合について図示する。尚、ベースバンドディジタル信号のビットレート(又は、シンボルレート)は、光送信部100において偏波依存型光変調器に入力する電気搬送波信号の周波数fsに等しいものとする。
ヘテロダイン光受信部A(300A)は、第2〜4の実施例と同様、光変調部200から送信された2波の光信号10aと単一スペクトル光源303から出力されたローカル光信号とを合波して光ヘテロダイン検波を行う。受光素子301から出力される第1及び第2の中間周波数信号10cを検波器305で検波して得られる、ベースバンドディジタル信号と中心周波数fsの電気帯域信号(10d)を、積分回路302において、周波数fsの成分とこの逓倍の周波数成分を抑圧するよう積分処理して、中心周波数fsの電気帯域信号のみを除去することで、所望のベースバンドディジタル信号が抽出される(10e)。
このように、光送信部100において、互いに偏波が直交し、光電力が等しい2波の変調光信号10aを生成して送信しているため、ヘテロダイン光受信部A(300A)の検波器305の検波において偏波ダイバーシティ効果を得ることができ、光伝送路400における伝送中の偏波変動に影響を受けることなく、一定の受信特性を維持することができる。
本実施例の応用として、図31に示す変調光信号発生器の代わりに、図35の複数波長変調光信号発生器を用いることができる。図35の複数波長変調光信号発生器に用いられる複数波長変調光発生部108について、図36又は図37に構成例を示す複数波長変調光発生部を用いて構成させることができ、実施例8〜11と同様、複数波長を伝送する光通信システムとすることも可能である。複数波長を伝送する光通信システムとして構成した場合には、複数配置される光変調部で個別に制御する必要が無く、複数波長の光スペクトルを光送受信部において一括で制御することができる。
上述の実施例については代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。即ち、本発明は、上述の実施例によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲によってのみ制限される。