本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図3は、本発明を適用した超音波診断装置1の内部の構成を表している。
図3に示されるように、超音波診断装置1は、本体11、その本体11に電気ケーブルを介して接続されている超音波プローブ12、入力部13、および表示部14により構成されている。
図3に示されるように、超音波診断装置1の本体11は、制御部21、送信部22、受信部23、画像データ生成部24、データ記憶部25、演算部26、およびDSC(Digital Scan Converter)27により構成されている。
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)などからなり、種々の制御信号を生成し、各部に供給することにより超音波診断装置1の駆動を総括的に制御する。
送信部22は、レートパルス発生器、送信遅延回路、およびパルサ(いずれも図示せず)からなり、レートパルス発生器は被検体の内部に入射する超音波パルスの繰り返し周期を決定するレートパルスを発生し、送信遅延回路に供給する。また、送信遅延回路は、送信時における超音波ビームの収束距離や偏向角度を設定するための遅延回路であり、制御部21から供給される制御信号に基づいて、送信時における超音波ビームの焦点位置と偏向角度が所定の焦点位置と偏向角度となるように、レートパルス発生器から供給されたレートパルスに遅延時間を加え、パルサに供給する。さらに、パルサは、超音波振動子を駆動するための高圧パルスを生成する駆動回路であり、送信遅延回路から供給されたレートパルスに基づいて、超音波振動子を駆動するための高圧パルスを生成し、生成された高圧パルスを超音波プローブ12に出力する。
受信部23は、プリアンプ、受信遅延回路、および加算器(いずれも図示せず)からなり、プリアンプは、超音波プローブ12から被検体に送信された超音波パルスの反射波に基づく受信信号を取得し、取得された受信信号を所定のレベルまで増幅し、増幅された受信信号を受信遅延回路に供給する。
受信遅延回路は、制御部21から供給される制御信号に基づいて、プリアンプから供給された増幅後の受信信号に各超音波振動子のフォーカス位置からの超音波の伝播時間の差に対応する遅延時間を与え、加算器に供給する。加算器は、受信遅延回路から供給された各超音波振動子からの受信信号を加算し、加算された受信信号を画像データ生成部24に供給する。
また、受信部23には、受信時において並列同時受信することができるように1つの超音波振動子に対して複数系統(例えば、4系統など)の受信遅延回路がそれぞれ設けられており、受信部23は、複数方向からの受信を同時に行うことができる。例えば、1つの超音波振動子に受信遅延回路が2系統設けられた場合、送信時に超音波ビームを拡散して送信し、受信時に送信ビーム方向に対して例えば±Δα度だけずれた2方向から同時に受信することができる。
画像データ生成部24は、Bモード処理部31とドプラモード処理部32により構成されている。Bモード処理部31は、対数増幅器、包絡線検波回路、およびA/D変換器(いずれも図示せず)からなり、制御部21から供給された制御信号に基づいて、以下の処理を行う。
すなわち、Bモード処理部31の対数増幅器は、受信部23から供給された受信信号を対数増幅し、対数増幅された受信信号を包絡線検波回路に供給する。包絡線検波回路は、超音波周波数成分を除去して振幅のみを検出するための回路であり、対数増幅器から供給された受信信号について包絡線を検波し、検波された受信信号をA/D変換器に供給する。A/D変換器は、包絡線検波回路殻供給された受信信号をディジタル信号に変換し、Bモード画像データを生成し、生成されたBモード画像データをデータ記憶部25に供給する。
ドプラモード処理部32は、基準信号発生器、π/2位相器、ミキサ、LPF(Low Pass Filter)、A/D変換器、ドプラ信号記憶回路、FFT(Fast Fourier Transform)分析器、および演算器(いずれも図示せず)からなり、主に直交位相検波とFFT分析が行われる。すなわち、ドプラモード処理部32は、受信部23から供給された受信信号を取得し、取得された受信信号をミキサの第1の入力端子に入力する。一方、基準信号発生器は、入力信号の中心周波数とほぼ等しい周波数をもった基準信号を発生させて、ミキサの第1の入力端子とπ/2位相器に供給する。π/2位相器は、基準信号発生器から供給された基準信号の位相を90度シフトし、ミキサの第2の入力端子に供給する。
ミキサは、受信信号をLPFに供給し、LPFは、ミキサから供給された受信信号の高周波成分を除去し、A/D変換器に供給する。A/D変換器は、LPFから供給された受信信号をディジタル信号に変換し、FFT分析器に供給する。FFT分析器は、ディジタル化された受信信号の直交成分を一旦ドプラ信号記憶回路に記憶した後、FFT分析を行い、演算器に供給する。演算器は、FFT分析器から供給されたドプラ信号の周波数スペクトルに対して、その中心周波数や分散などを計算し、データ記憶部25に供給する。
データ記憶部25は、Bモード処理部31とドプラモード処理部32から供給されたBモード画像データとドプラモード画像データを取得し、取得されたBモード画像データとドプラモード画像データを記憶する。また、データ記憶部25は、制御部21からの指示に従い、必要に応じて、記憶されているBモード画像データとドプラモード画像データをDSC27に供給する。さらに、データ記憶部25は、演算部26において演算された演算結果を記憶し、必要に応じて、記憶されている演算結果を本体11の各部に供給する。
演算部26は、特徴点抽出部33、追跡可能特徴点設定部34、追跡演算部35、および物理パラメータ算出部36からなり、特徴点抽出部33は、データ記憶部25に記憶されている複数の画像データの中から所望の画像データを読み出し、読み出された画像データに基づいて候補となる特徴点を抽出し、その抽出結果をデータ記憶部25、追跡可能特徴点設定部34、および追跡演算部35に供給する。追跡可能特徴点設定部34は、特徴点抽出部33から供給された抽出結果に基づいて追跡可能な特徴点を設定し、その設定結果をデータ記憶部25と追跡演算部35に供給する。
追跡演算部35は、データ記憶部25に記憶されている複数の画像データの中から所望の画像データを読み出し、読み出された画像データに基づいて追跡演算を行い、その追跡演算結果をデータ記憶部25と物理パラメータ算出部36に供給する。物理パラメータ36は、追跡演算部35から供給された追跡演算結果に基づいて被検体の診断部位における各種パラメータを算出し、その算出結果をデータ記憶部25に供給する。
DSC27は、データ記憶部25から供給されたBモード画像データとドプラモード画像データを取得し、取得されたBモード画像データとドプラモード画像データを、超音波スキャンの走査線信号列からビデオフォーマットの走査線信号列に変換し、表示部14に供給する。
また、超音波プローブ12は、本体11に電気ケーブルを介して接続されており、被検体の表面に対してその前面を接触させ超音波の送受信を行う超音波トランスジューサであり、1次元にアレイ配列あるいは2次元にマトリクス配列された微小な超音波振動子(図示せず)をその先端部分に有している。この超音波振動子は圧電振動子としての電気音響変換素子である。超音波プローブ12は、送信時には本体11の送信部22から入力された電気パルスを超音波パルス(送信超音波)に変換し、また受信時には被検体により反射された反射波を電気信号に変換し、本体11に出力する。
入力部13は、電気ケーブルを介して本体11と接続され、操作パネル上にユーザの種々の指示を入力するための表示パネル、キーボード、トラックボール、マウスなどの入力デバイスを有しており、患者情報、計測パラメータ、物理パラメータ、テンプレートサイズ、および、画像演算に用いる画像の時相や格子間隔などをユーザが入力するために用いられる。
表示部14は、ケーブルを介して本体11のDSC27と接続され、図示せぬLCD(Liquid Crystal Display)や図示せぬCRT(Cathode Ray Tube)が設けられており、超音波スキャンの走査線信号列からビデオフォーマットの走査線信号列に変換されたDSC27からのBモード画像データとドプラモード画像データなどを取得し、取得されたBモード画像データとドプラモード画像データなどを図示せぬLCDや図示せぬCRTに表示する。
次に、図4のフローチャートを参照して、図3の超音波診断装置1における異生成条件複数画像データ生成処理について説明する。
ステップS1において、制御部21は、ユーザが入力部13を操作することにより異生成条件複数画像データ生成処理を開始するとの指示がなされたか否かを判定し、異生成条件複数画像データ生成処理を開始するとの指示がなされたと判定されるまで待機する。
ステップS1において異生成条件複数画像データ生成処理を開始するとの指示がなされたと判定された場合、制御部21はステップS2で、超音波送信制御信号を生成し、生成された超音波送信制御信号を送信部22に供給する。
ステップS3において、制御部21は、異なる生成条件で超音波画像データを生成させるための異生成条件超音波受信制御信号を生成し、生成された異生成条件超音波受信制御信号を受信部23に供給する。ここで、異生成条件超音波受信制御信号には、例えば、並列同時受信法を用いて、受信時に送信ビーム方向θに対して例えば±Δα度だけずれた2方向(左方向と右方向)から同時に受信するための制御信号が含まれている。
ステップS4において、送信部22は、制御部21から供給された超音波送信制御信号に基づいて超音波ビームを被検体に送信する。すなわち、送信部22のレートパルス器は、制御部21から供給された超音波送信制御信号に基づいて、被検体の内部に入射する超音波パルスのパルス繰り返し周期を決定するレートパルスを発生し、送信遅延回路に供給する。また、送信遅延回路は、制御部21から供給される超音波送信制御信号に基づいて、送信時における超音波ビームの焦点位置と偏向角度が所定の焦点位置と偏向角度(θ1)となるように、レートパルス発生器から供給されたレートパルスに遅延時間を加え、パルサに供給する。さらに、パルサは、送信遅延回路から供給されたレートパルスに基づいて、超音波振動子を駆動するための高圧パルスを生成し、生成された高圧パルスを超音波プローブ12に出力する。超音波プローブ12は、送信部22から入力された高圧パルス(電気パルス)を超音波パルスに変換し、変換された超音波パルスを被検体に送信する。被検体内に送信された超音波の一部は、音響インピーダンスの異なる被検体内の臓器間の境界面あるいは組織にて反射される。
ステップS5において、超音波プローブ12は、被検体により反射された反射波を電気信号に変換し、本体11に出力する。ステップS6において、受信部23は、制御部21から供給された異生成条件超音波受信制御信号に基づいて、超音波プローブ12から入力された受信信号を増幅し、所定の遅延時間を付加して、画像データ生成部24に供給する。すなわち、受信部23のプリアンプは、超音波プローブ12から入力された受信信号を取得し、取得された受信信号を所定のレベルまで増幅し、増幅された受信信号を受信遅延回路に供給する。
受信部23の受信遅延回路は、1つの超音波振動子に対して複数系統、例えば2系統の受信遅延回路からなり、制御部21から供給された異生成条件超音波受信制御信号に基づいて、プリアンプから供給された増幅後の受信信号に、それぞれ、各超音波振動子のフォーカス位置からの超音波の伝播時間の差に対応する遅延時間(所定の方向(θ1+Δα)に強い受信指向性をもたせて受信するための遅延時間)と、各超音波振動子のフォーカス位置からの超音波の伝播時間の差に対応する遅延時間(所定の方向(θ1−Δα)に強い受信指向性をもたせて受信するための遅延時間)を与え、加算器に供給する。加算器は、受信遅延回路から供給された各超音波振動子からの異生成条件(左受信方向と右受信方向)の複数の受信信号を加算し、加算された異生成条件の複数の受信信号を画像データ生成部24に供給する。
ステップS7において、制御部21は、異なる生成条件で複数の画像データを生成するための異生成条件複数画像データ生成制御信号を生成し、生成された異生成条件複数画像データ生成制御信号を画像データ生成部24に供給する。
ステップS8において、画像データ生成部24のBモード処理部31とドプラモード処理部32は、制御部21から供給された異生成条件複数画像データ生成制御信号に基づいて、受信部23から供給された異生成条件の複数の受信信号に種々の処理を施し、θ1+Δα方向の第1生成条件Bモード画像データと第1生成条件ドプラモード画像データを生成するとともに、θ1−Δα方向の第2生成条件Bモード画像データと第2生成条件ドプラモード画像データを生成し、生成されたθ1+Δα方向の第1生成条件Bモード画像データと第1生成条件ドプラモード画像データとθ1−Δα方向の第2生成条件Bモード画像データと第2生成条件ドプラモード画像データをデータ記憶部25に供給する。
ステップS9において、データ記憶部25は、画像データ生成部24のBモード処理部31とドプラモード処理部32から供給された生成されたθ1+Δα方向の第1生成条件Bモード画像データと第1生成条件ドプラモード画像データとθ1−Δα方向の第2生成条件Bモード画像データと第2生成条件ドプラモード画像データを取得し、取得された生成されたθ1+Δα方向の第1生成条件Bモード画像データと第1生成条件ドプラモード画像データとθ1−Δα方向の第2生成条件Bモード画像データと第2生成条件ドプラモード画像データをそれぞれ記憶する。
次に、超音波の送受信方向をΔθずつ順次更新させながらθ1+(N−1)Δθまで変更してN方向の走査によって上記と同様な手順で超音波の送受信を行い、被検体内をリアルタイム走査する。このとき、制御部21は、その制御信号によって送信部22の送信遅延回路と受信部23の受信遅延回路の遅延時間を、所定の超音波送受信方向に対応させて順次切り替えさせながら、θ1+Δα+Δθ乃至θ1+Δα+(N−1)Δθ方向の第1生成条件Bモード画像データと第1生成条件ドプラモード画像データの各々を生成させるとともに、θ1−Δα+Δθ乃至θ1−Δα+(N−1)Δθ方向の第1生成条件Bモード画像データと第1生成条件ドプラモード画像データの各々を生成させる。
データ記憶部25は、生成されたθ1+Δα+Δθ乃至θ1+Δα+(N−1)Δθ方向の第1生成条件Bモード画像データと第1生成条件ドプラモード画像データを、すでに記憶されているθ1+Δα方向の第1生成条件Bモード画像データと第1生成条件ドプラモード画像データとともに、時相T1の2次元の第1生成条件Bモード画像データと第1生成条件ドプラモード画像データとして記憶する。一方、データ記憶部25は、生成されたθ1−Δα+Δθ乃至θ1−Δα+(N−1)Δθ方向の第2生成条件Bモード画像データと第2生成条件ドプラモード画像データを、すでに記憶されているθ1−Δα方向の第2生成条件Bモード画像データと第2生成条件ドプラモード画像データとともに、時相T1の2次元の第2生成条件Bモード画像データと第2生成条件ドプラモード画像データとして記憶する。
次に、時相T2乃至時相TMにおいても同様な手順により画像データ生成部24において第1生成条件Bモード画像データと第1生成条件ドプラモード画像データを生成するとともに、第2生成条件Bモード画像データと第2生成条件ドプラモード画像データを生成する。また、データ記憶部25は、生成されたT2乃至時相TMの第1生成条件Bモード画像データと第1生成条件ドプラモード画像データを記憶するとともに、生成されたT2乃至時相TMの第2生成条件Bモード画像データと第2生成条件ドプラモード画像データを記憶する。なお、上記M枚の第1生成条件Bモード画像データと第1生成条件ドプラモード画像データ、あるいは、第2生成条件Bモード画像データと第2生成条件ドプラモード画像データは、便宜上、心臓の1心拍期間において得られるものとする。勿論、1心拍以上の期間の画像データを生成し、記憶するようにしてもよい。
このように、本発明の実施形態に示された超音波診断装置1においては、異なる生成条件(超音波の送受信方向が異なる生成条件)により複数の画像データを生成することができる。なお、図4のフローチャートを参照して説明した異生成条件複数画像データ生成処理においては、並列同時受信法を用いて、左方向から受信した受信信号に基づいて第1生成条件Bモード画像データと第1生成条件ドプラモード画像データを生成し、右方向から受信した受信信号に基づいて第2生成条件Bモード画像データと第2生成条件ドプラモード画像データを生成するようにしたが、このような方法に限られず、異なる生成条件(例えば、送受信される超音波の周波数帯域や送受信方向など)で複数の画像を生成することができればよい。
例えば、画像データ生成部24において、受信した受信信号を画像データ生成部により処理する場合に高周波と低周波の帯域にそれぞれ切り出し、高周波帯域の画像データと低周波帯域の画像データを生成するようにしてもよい。また、並列同時受信法を用いて左方向から受信した受信信号を高周波の帯域に切り出し、左受信方向、かつ、高周波帯域の画像データを生成するとともに、右方向から受信した受信信号を低周波の帯域に切り出し、右受信方向、かつ、低周波帯域の画像データを生成するようにしてもよい。勿論、並列同時受信法を用いずに、例えば、2回続けて同じ場所に高周波帯域の超音波と低周波帯域の超音波を送受信し、受信した受信信号を用いて高周波帯域の画像データと低周波帯域の画像データをそれぞれ生成するようにしてもよい。
なお、異なる生成条件で生成された複数の画像データにおいては、画像の生成条件が異なるため、複数の散乱体の干渉によるランダムなスペックルパターンは異なる状態で発生し、スペックルパターンの画像は変化する。一方、追跡可能な構造物については、画像の生成条件が異なっていても時間方向にほぼその構造を維持するため、構造物の画像は変化しない。
図5のフローチャートを参照して、図3の超音波診断装置1における物理パラメータ算出処理について説明する。なお、この物理パラメータ算出処理は、ユーザが入力部13を操作することによりデータ記憶部25に記憶されているBモード画像データの中から、例えば心臓の1心拍分(時相T1乃至時相TM)のM枚の画像データを選択することにより、開始される。
ステップS11において、演算部26の特徴点抽出部33は、制御部21の指示に従い、データ記憶部25に記憶されている時相T1乃至時相TMの第1生成条件Bモード画像データA1乃至AMを読み出す。また同時に、制御部21は、データ記憶部25に記憶されている時相T1乃至時相TMの第1生成条件Bモード画像データA1乃至AMのうち、時相T1の第1生成条件Bモード画像データA1を表示部14に表示させる。表示部14は、制御部21の指示に従い、データ記憶部25に記憶されている時相T1の第1生成条件Bモード画像データA1を表示部14に表示する。
ステップS12において、特徴点抽出部33は、読み出された時相T1の第1生成条件Bモード画像データA1に基づいて、第1生成条件Bモード画像データA1の特徴点である第1生成条件Bモード画像データ特徴点を抽出する。第1生成条件Bモード画像データ特徴点の抽出は、例えば、コーナー検出法などにより行われる。
図6は、表示部14に表示される第1生成条件Bモード画像データA1を表している。
図6に示されるように、第1生成条件Bモード画像データA1には、予め所定の間隔の格子が配置され、第1生成条件Bモード画像データ特徴点が一般に不等間隔に配置されている。第1生成条件Bモード画像データA1が表示部14に表示されると、ユーザは、入力部13を操作することにより、追跡演算や物理パラメータの算出を行う所望の関心領域として、図6に示されるようなテンプレートを設定する。図6の例の場合、ユーザにより設定されたテンプレート内には、第1生成条件Bモード画像データ特徴点a1、a2、a3、a4、a5、およびa6が配置されている。
特徴点抽出部33は、特徴点抽出結果を追跡可能特徴点抽出部34に供給する。
ステップS13において、追跡可能特徴点設定部34は、データ記憶部25に記憶されている時相T1乃至時相TMの第2生成条件Bモード画像データB1乃至BMを読み出す。ステップS14において、追跡可能特徴点設定部34は、特徴点抽出部33から供給された特徴点抽出結果を取得し、取得された特徴点集出結果と、読み出された時相T1の第1生成条件Bモード画像データA1および時相T1の第2生成条件Bモード画像データB1に基づいて、設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点を用いてフレーム間(時相T1の第1生成条件Bモード画像データA1と時相T1の第2生成条件Bモード画像データB1)における相互相関係数を算出する。すなわち、異なる生成条件で生成された2つの画像データに基づいて、1つの生成条件により生成された画像データに基づいて抽出された特徴点を用いて、2つの画像データのフレーム間における相互相関係数を算出する。なお、算出される相互相関係数は、0から1までの値をもつ物理量である。
具体的には、図7に示されるように、まず、ユーザにより設定されたテンプレート内の1つの特徴点である第1生成条件Bモード画像データ特徴点a1が中心となるような第1生成条件Bモード画像データ特徴点a1用テンプレート(図7の点線のテンプレート)が、新たに所定の大きさで設定される。次に、新たに設定された第1生成条件Bモード画像データ特徴点a1用テンプレートについて、時相T1の第1生成条件Bモード画像データA1と第2生成条件Bモード画像データB1のフレーム間で相互相関処理を行う。この相互相関処理の過程において算出された複数個の相互相関係数のうちの最大値を、第1生成条件Bモード画像データ特徴点a1における相互相関係数として用いる。
図8の例の場合、第1生成条件Bモード画像データ特徴点a1における相互相関係数は、「0.5」である。同様の手順で第1生成条件Bモード画像データ特徴点a2、a3、a4、a5、およびa6における相互相関係数が算出される。図8の例の場合、第1生成条件Bモード画像データ特徴点a2、a3、a4、a5、およびa6における相互相関係数は、「0.2」、「0.7」、「0.6」、「0.8」、および「0.4」である。
ステップS15において、追跡可能特徴点抽出部34は、算出された相互相関係数が予め設定された所定の基準値より大きいか否かを判定する。
ステップS15において算出された相互相関係数が予め設定された所定の基準値より大きいと判定された場合、追跡可能特徴点設定部34はステップS16で、類似度が高いと判定する。ここで、「類似度」とは、画像間において変化がない部分であるか否かの高さを示す値である。すなわち、「類似度が高い」ということは、画像間において変化がない部分であるか否かの高さが高いこと(時間方向に構造物が維持されることにより画像間において変化がない部分であること)を示しており、「類似度が低い」ということは、画像間において変化がない部分であるか否かの高さが低いこと(時間方向に構造物が維持されないことにより画像間において変化がある部分であること)を示している。図8の例の場合、予め設定された所定の基準値が「0.6」であるとき、第1生成条件Bモード画像データ特徴点a3において算出された相互相関係数は「0.7」であることから、第1生成条件Bモード画像データ特徴点a3においては類似度が高い(時間方向に構造物が維持されることにより画像間において変化がない部分であること)と判定される。これにより、追跡可能な構造体によるものと、複数の散乱体の干渉によるランダムなスペックルパターンによるものを区別することができる。
ステップS15において算出された相互相関係数が予め設定された所定の基準値より大きくないと判定された場合、追跡可能特徴点設定部34はステップS17で、類似度が低いと判定する。図8の例の場合、予め設定された所定の基準値が「0.6」であるとき、第1生成条件Bモード画像データ特徴点a1において算出された相互相関係数は「0.5」であることから、第1生成条件Bモード画像データ特徴点a1においては類似度が低いと判定される。
ステップS18において、追跡可能特徴点設定部34は、算出されたすべての相互相関係数について類似度判定処理を行ったかを判定する。ステップS18において算出されたすべての相互相関係数について類似度判定処理を行っていないと判定された場合、処理はステップS15に戻り、ステップS15以降の処理が繰り返される。これにより、ユーザにより設定されたテンプレート内のすべての特徴点について類似度を判定することができる。
ステップS18において算出されたすべての相互相関係数について類似度判定処理を行ったと判定された場合、追跡可能特徴点設定部34はステップS19で、類似度が高いと判定された特徴点を追跡可能特徴点として設定し、追跡可能特徴点フラグFを1に設定する。一方、追跡可能特徴点設定部34は、類似度が低いと判定された特徴点を追跡可能特徴点として設定せず、追跡可能特徴点フラグFを0に設定する。
図9は、第1生成条件Bモード画像データ特徴点の特徴点番号、相互相関係数、類似度、および追跡可能特徴点フラグとの対応関係を表している。
図9のテーブルの第1列目乃至第4列目には、「特徴点番号」、「相互相関係数」、「類似度」、および「追跡可能特徴点フラグ」が記述されており、それぞれ、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点の識別番号、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点での相互相関係数の値、画像間において変化がない部分であるか否かの高さを示す値、および、追跡可能特徴点設定部34により設定された追跡可能な特徴点であるか否かを表すフラグの値を示している。
図9の第1行目の場合、「特徴点番号」は「a1」であり、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点の識別番号が「a1」であることを示している。「相互相関係数」は「0.5」であり、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点での相互相関係数が「0.5」であることを示している。「類似度」は「低い」であり、画像間において変化がない部分であるか否かの高さを示す値が「低い」であること(すなわち、時間方向に構造物が維持されないことにより画像間において変化がある部分であること)を示している。「追跡可能特徴点フラグ」は「F=0」であり、追跡可能特徴点設定部34により設定された追跡可能な特徴点であるか否かを表すフラグの値が「F=0」である(すなわち、追跡可能な特徴点ではないこと)を示している。
図9の第2行目の場合、「特徴点番号」は「a2」であり、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点の識別番号が「a2」であることを示している。「相互相関係数」は「0.2」であり、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点での相互相関係数が「0.2」であることを示している。「類似度」は「低い」であり、画像間において変化がない部分であるか否かの高さを示す値が「低い」であること(すなわち、時間方向に構造物が維持されないことにより画像間において変化がある部分であること)を示している。「追跡可能特徴点フラグ」は「F=0」であり、追跡可能特徴点設定部34により設定された追跡可能な特徴点であるか否かを表すフラグの値が「F=0」である(すなわち、追跡可能な特徴点ではないこと)を示している。
図9の第3行目の場合、「特徴点番号」は「a3」であり、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点の識別番号が「a3」であることを示している。「相互相関係数」は「0.7」であり、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点での相互相関係数が「0.7」であることを示している。「類似度」は「高い」であり、画像間において変化がない部分であるか否かの高さを示す値が「高い」であること(すなわち、時間方向に構造物が維持されることにより画像間において変化がない部分であること)を示している。「追跡可能特徴点フラグ」は「F=1」であり、追跡可能特徴点設定部34により設定された追跡可能な特徴点であるか否かを表すフラグの値が「F=1」である(すなわち、追跡可能な特徴点であること)を示している。
図9の第4行目の場合、「特徴点番号」は「a4」であり、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点の識別番号が「a4」であることを示している。「相互相関係数」は「0.6」であり、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点での相互相関係数が「0.6」であることを示している。「類似度」は「高い」であり、画像間において変化がない部分であるか否かの高さを示す値が「高い」であること(すなわち、時間方向に構造物が維持されることにより画像間において変化がない部分であること)を示している。「追跡可能特徴点フラグ」は「F=1」であり、追跡可能特徴点設定部34により設定された追跡可能な特徴点であるか否かを表すフラグの値が「F=1」である(すなわち、追跡可能な特徴点であること)を示している。
図9の第5行目の場合、「特徴点番号」は「a5」であり、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点の識別番号が「a5」であることを示している。「相互相関係数」は「0.8」であり、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点での相互相関係数が「0.8」であることを示している。「類似度」は「高い」であり、画像間において変化がない部分であるか否かの高さを示す値が「高い」であること(すなわち、時間方向に構造物が維持されることにより画像間において変化がない部分であること)を示している。「追跡可能特徴点フラグ」は「F=1」であり、追跡可能特徴点設定部34により設定された追跡可能な特徴点であるか否かを表すフラグの値が「F=1」である(すなわち、追跡可能な特徴点であること)を示している。
図9の第6行目の場合、「特徴点番号」は「a6」であり、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点の識別番号が「a6」であることを示している。「相互相関係数」は「0.4」であり、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点での相互相関係数が「0.4」であることを示している。「類似度」は「低い」であり、画像間において変化がない部分であるか否かの高さを示す値が「低い」であること(すなわち、時間方向に構造物が維持されないことにより画像間において変化がある部分であること)を示している。「追跡可能特徴点フラグ」は「F=0」であり、追跡可能特徴点設定部34により設定された追跡可能な特徴点であるか否かを表すフラグの値が「F=0」である(すなわち、追跡可能な特徴点ではないこと)を示している。
本発明の実施形態に示された超音波診断装置1においては、第1生成条件により生成され第1生成条件Bモード画像データに基づいて追跡可能な特徴点の候補となる第1生成条件Bモード画像データ特徴点を抽出し、抽出された第1生成条件Bモード画像データ特徴点を用いて、第1生成条件と第2生成条件で生成されたほぼ同時相の第1生成条件Bモード画像データと第2生成条件Bモード画像データに基づいて、フレーム間の相互相関係数を算出し、算出された相互相関係数に基づいて追跡可能な特徴点を設定するようにしたので、抽出された追跡可能な特徴点の候補となる第1生成条件Bモード画像データ特徴点のうち、周波数や送受信ビーム方向によって画像に変化がない構造物によるものと、周波数や送受信ビーム方向によって画像に変化があるスペックルパターンによるものを区別した上で、周波数や送受信ビーム方向によって画像に変化がない構造物によるものだけを追跡可能な特徴点として設定することができる。
追跡可能特徴点設定部34は、設定された設定結果を追跡演算部35に供給する。
ステップS20において、追跡演算部35は、追跡可能特徴点設定部35から供給された設定結果を取得し、取得された設定結果に含まれる追跡可能特徴点フラグFに基づいて追跡可能な特徴点であるか否かを判定するとともに、データ記憶部25に記憶されている時相T1乃至時相TMの第1生成条件Bモード画像データA1乃至AMを読み出し、読み出された時相T1乃至時相TMの第1生成条件Bモード画像データA1乃至AMに基づいて、テンプレート内に設定された追跡可能特徴点を用いて追跡演算を行う。
具体的には、読み出された時相T1乃至時相TMの第1生成条件Bモード画像データA1乃至AMのうち、時相T1と時相T2の第1生成条件Bモード画像データA1とA2に基づいて、テンプレート内に設定された追跡可能特徴点(図8の例の場合、第1生成条件Bモード画像データ特徴点a3、a4、およびa6)を用いて画像間での相互相関処理を行い、この相互相関処理の過程において算出された複数個の相互相関係数のうちの最大値における変位量を、ユーザにより設定されたテンプレートにおける計測点(図6の例の場合、計測点P)における心筋の変位量として算出する。
同様に、読み出された第1生成条件Bモード画像データA2とA3を用いて、第1生成条件Bモード画像データA1に設定された計測点(図6の例の場合、計測点P)の第1生成条件Bモード画像データA2における移動先を中心とした新たなテンプレートを設定し、設定されたテンプレートと第1生成条件Bモード画像データA3との間で相互相関処理を行い、第1生成条件Bモード画像データA3における計測点の変位量を算出する。さらに、同様の手順を繰り返すことにより第1生成条件Bモード画像データA1において設定された計測点の第1生成条件Bモード画像データA3乃至AMにおける移動先、即ち変位量を算出する。
追跡演算部35は、追跡演算された追跡演算結果を物理パラメータ算出部36に供給する。
ステップS21において、物理パラメータ算出部36は、追跡演算部35から供給された追跡演算結果を取得し、取得された追跡演算結果に基づいて物理パラメータを算出する。具体的には、物理パラメータ算出部36は、追跡演算結果に含まれる変位量に基づいて移動速度(変位の時間に対する1次微分)や移動加速度(変位の時間に対する2次微分)などの物理パラメータを算出する。
ステップS22において、物理パラメータ算出部36は、算出された物理パラメータの算出結果をデータ記憶部25に供給する。ステップS23において、データ記憶部25は、物理パラメータ算出部36から供給された物理パラメータの算出結果を取得し、取得された物理パラメータの算出結果を記憶する。
本発明の実施形態に示された超音波診断装置1においては、追跡可能な特徴点を設定したあと、追跡可能な特徴点のみを用いてフレーム間において追跡演算を行うようにしたので、ランダムなスペックルパターンによる影響を受けない追跡演算結果を取得することができる。これにより、超音波の画像から抽出された特徴点を用いたトラッキング(追跡演算)の精度を向上させることができる。
なお、図5のフローチャートを参照して説明した物理パラメータ算出処理においては、1つの生成条件により生成された画像データに基づいて追跡可能な特徴点の候補となる第1生成条件Bモード画像データ特徴点を抽出するようにしたが、異なる生成条件により生成された2つの画像データに基づいて候補となる特徴点をそれぞれ抽出するようにしてもよい。この場合における物理パラメータ算出処理は、図10のフローチャートに示されている。
図10のフローチャートを参照して、図3の超音波診断装置1における他の物理パラメータ算出処理について説明する。なお、図10のステップS42乃至S45の処理は、図5のステップS20乃至S23の処理と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
ステップS31において、演算部26の特徴点抽出部33は、制御部21の指示に従い、データ記憶部25に記憶されている時相T1乃至時相TMの第1生成条件Bモード画像データA1乃至AMを読み出す。また同時に、制御部21は、データ記憶部25に記憶されている時相T1乃至時相TMの第1生成条件Bモード画像データA1乃至AMのうち、時相T1の第1生成条件Bモード画像データA1を表示部14に表示させる。表示部14は、制御部21の指示に従い、データ記憶部25に記憶されている時相T1の第1生成条件Bモード画像データA1を表示部14に表示する。
ステップS32において、特徴点抽出部33は、読み出された時相T1の第1生成条件Bモード画像データA1に基づいて、第1生成条件Bモード画像データA1の特徴点である第1生成条件Bモード画像データ特徴点を抽出する。第1生成条件Bモード画像データ特徴点の抽出は、例えば、コーナー検出法などにより行われる。
図11[A]は、表示部14に表示される第1生成条件Bモード画像データA1を表している。
図11[A]の例の場合、ユーザにより設定されたテンプレート内には、第1生成条件Bモード画像データ特徴点a1、a2、a3、a4、a5、およびa6が配置されている。
特徴点抽出部33は、特徴点抽出結果を追跡可能特徴点抽出部34に供給する。
ステップS33において、追跡可能特徴点設定部34は、特徴点抽出部33から供給された特徴点抽出結果を取得し、取得された特徴点抽出結果と、読み出された時相T1の第1生成条件Bモード画像データA1および時相T2の第1生成条件Bモード画像データA1に基づいて、設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点を用いてフレーム間の相互相関係数を算出する。なお、具体的な相互相関係数の算出方法については、図7を用いて説明した方法と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
図12[A]の例の場合、第1生成条件Bモード画像データ特徴点a1、a2、a3、a4、a5、およびa6における相互相関係数は、「0.7」、「0.4」、「0.6」、「0.5」、「0.7」、および「0.3」である。
ステップS34において、演算部26の特徴点抽出部33は、制御部21の指示に従い、データ記憶部25に記憶されている時相T1乃至時相TMの第2生成条件Bモード画像データB1乃至BMを読み出す。また同時に、制御部21は、データ記憶部25に記憶されている時相T1乃至時相TMの第2生成条件Bモード画像データB1乃至BMのうち、時相T1の第2生成条件Bモード画像データB1を表示部14に表示させる。表示部14は、制御部21の指示に従い、データ記憶部25に記憶されている時相T1の第2生成条件Bモード画像データB1を表示部14に表示する。
ステップS35において、特徴点抽出部33は、読み出された時相T1の第2生成条件Bモード画像データB1に基づいて、第2生成条件Bモード画像データB1の特徴点である第2生成条件Bモード画像データ特徴点を抽出する。第2生成条件Bモード画像データ特徴点の抽出は、例えば、コーナー検出法などにより行われる。
図11[B]は、表示部14に表示される第2生成条件Bモード画像データB1を表している。
図11[B]の例の場合、ユーザにより設定されたテンプレート内には、第2生成条件Bモード画像データ特徴点b1、b2、b3、b4、b5、およびb6が配置されている。
特徴点抽出部33は、特徴点抽出結果を追跡可能特徴点抽出部34に供給する。
ステップS36において、追跡可能特徴点設定部34は、特徴点抽出部33から供給された特徴点抽出結果を取得し、取得された特徴点抽出結果と、読み出された時相T1の第2生成条件Bモード画像データB1および時相T2の第2生成条件Bモード画像データB2に基づいて、設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点を用いてフレーム間の相互相関係数を算出する。なお、具体的な相互相関係数の算出方法については、図7を用いて説明した方法と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
図12[B]の例の場合、第2生成条件Bモード画像データ特徴点b1、b2、b3、b4、b5、およびb6における相互相関係数は、「0.2」、「0.8」、「0.5」、「0.1」、「0.6」、および「0.9」である。
ステップS37において、追跡可能特徴点設定部34は、抽出された第1生成条件Bモード画像データ特徴点と第2生成条件Bモード画像データ特徴点のうち、相互相関係数が上位の特徴点であるか否かを判定する。
ステップS37において抽出された第1生成条件Bモード画像データ特徴点と第2生成条件Bモード画像データ特徴点のうち、相互相関係数が上位の特徴点であると判定された場合、追跡可能特徴点設定部34はステップS38で、類似度が高いと判定する。図12[A]の例の場合、第1生成条件Bモード画像データ特徴点a1、a3、およびa5が6つの第1生成条件Bモード画像データ特徴点のうち上位3つであるため、第1生成条件Bモード画像データ特徴点a1、a3、およびa5について類似度が高いと判定される。同様に、図12[B]の例の場合、第2生成条件Bモード画像データ特徴点b2、b5、およびb6が6つの第2生成条件Bモード画像データ特徴点のうち上位3つであるため、第2生成条件Bモード画像データ特徴点b2、b5、およびb6について類似度が高いと判定される。
ステップS37においてそれぞれの第1生成条件Bモード画像データ特徴点と第2生成条件Bモード画像データ特徴点のうち、相互相関係数が上位の特徴点であると判定された場合、追跡可能特徴点設定部34はステップS39で、類似度が低いと判定する。図12[A]の例の場合、第1生成条件Bモード画像データ特徴点a1、a3、およびa5が6つの第1生成条件Bモード画像データ特徴点のうち下位3つであるため、第1生成条件Bモード画像データ特徴点a2、a4、およびa6について類似度が低いと判定される。同様に、図12[B]の例の場合、第2生成条件Bモード画像データ特徴点b1、b3、およびb4が6つの第2生成条件Bモード画像データ特徴点のうち下位3つであるため、第2生成条件Bモード画像データ特徴点b1、b3、およびb4について類似度が低いと判定される。
ステップS40において、追跡可能特徴点設定部34は、算出されたすべての相互相関係数について類似度判定処理を行ったか否かを判定する。ステップS40において算出されたすべての相互相関係数について類似度判定処理を行っていないと判定された場合、処理はステップS37に戻り、ステップS37以降の処理が繰り返される。これにより、ユーザにより設定されたテンプレート内のすべての特徴点について類似度を判定することができる。
ステップS40において算出されたすべての相互相関係数について類似度判定処理を行ったと判定された場合、追跡可能特徴点設定部34はステップS41で、類似度が高いと判定された特徴点を追跡可能特徴点として設定し、追跡可能特徴点フラグFを1に設定する。一方、追跡可能特徴点設定部34は、類似度が低いと判定された特徴点を追跡可能特徴点として設定せず、追跡可能特徴点フラグFを0に設定する。
図13[A]と[B]は、第1生成条件Bモード画像データ特徴点または第2生成条件Bモード画像データ特徴点の特徴点番号、相互相関係数、類似度、および追跡可能特徴点フラグとの対応関係を表している。なお、図13[A]と[B]の第1列目乃至第4列目の「特徴点番号」、「相互相関係数」、「類似度」、および「追跡可能特徴点フラグ」は、図9の第1列目乃至第4列目の「特徴点番号」、「相互相関係数」、「類似度」、および「追跡可能特徴点フラグ」と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
図13[A]の第1行目の場合、「特徴点番号」は「a1」であり、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点の識別番号が「a1」であることを示している。「相互相関係数」は「0.7」であり、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点での相互相関係数が「0.7」であることを示している。「類似度」は「高い」であり、画像間において変化がない部分であるか否かの高さを示す値が「高い」であること(すなわち、時間方向に構造物が維持されることにより画像間において変化がない部分であること)を示している。「追跡可能特徴点フラグ」は「F=1」であり、追跡可能特徴点設定部34により設定された追跡可能な特徴点であるか否かを表すフラグの値が「F=1」である(すなわち、追跡可能な特徴点であること)を示している。
図13[A]の第2行目の場合、「特徴点番号」は「a2」であり、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点の識別番号が「a2」であることを示している。「相互相関係数」は「0.4」であり、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点での相互相関係数が「0.4」であることを示している。「類似度」は「低い」であり、画像間において変化がない部分であるか否かの高さを示す値が「低い」であること(すなわち、時間方向に構造物が維持されないことにより画像間において変化がある部分であること)を示している。「追跡可能特徴点フラグ」は「F=0」であり、追跡可能特徴点設定部34により設定された追跡可能な特徴点であるか否かを表すフラグの値が「F=0」である(すなわち、追跡可能な特徴点ではないこと)を示している。
図13[A]の第3行目の場合、「特徴点番号」は「a3」であり、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点の識別番号が「a3」であることを示している。「相互相関係数」は「0.6」であり、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点での相互相関係数が「0.6」であることを示している。「類似度」は「高い」であり、画像間において変化がない部分であるか否かの高さを示す値が「高い」であること(すなわち、時間方向に構造物が維持されることにより画像間において変化がない部分であること)を示している。「追跡可能特徴点フラグ」は「F=1」であり、追跡可能特徴点設定部34により設定された追跡可能な特徴点であるか否かを表すフラグの値が「F=1」である(すなわち、追跡可能な特徴点であること)を示している。
図13[A]の第4行目の場合、「特徴点番号」は「a4」であり、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点の識別番号が「a4」であることを示している。「相互相関係数」は「0.5」であり、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点での相互相関係数が「0.5」であることを示している。「類似度」は「低い」であり、画像間において変化がない部分であるか否かの高さを示す値が「低い」であること(すなわち、時間方向に構造物が維持されないことにより画像間において変化がある部分であること)を示している。「追跡可能特徴点フラグ」は「F=0」であり、追跡可能特徴点設定部34により設定された追跡可能な特徴点であるか否かを表すフラグの値が「F=0」である(すなわち、追跡可能な特徴点ではないこと)を示している。
図13[A]の第5行目の場合、「特徴点番号」は「a5」であり、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点の識別番号が「a5」であることを示している。「相互相関係数」は「0.7」であり、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点での相互相関係数が「0.7」であることを示している。「類似度」は「高い」であり、画像間において変化がない部分であるか否かの高さを示す値が「高い」であること(すなわち、時間方向に構造物が維持されることにより画像間において変化がない部分であること)を示している。「追跡可能特徴点フラグ」は「F=1」であり、追跡可能特徴点設定部34により設定された追跡可能な特徴点であるか否かを表すフラグの値が「F=1」である(すなわち、追跡可能な特徴点であること)を示している。
図13[A]の第6行目の場合、「特徴点番号」は「a6」であり、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点の識別番号が「a6」であることを示している。「相互相関係数」は「0.3」であり、予め設定されたテンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点での相互相関係数が「0.3」であることを示している。「類似度」は「低い」であり、画像間において変化がない部分であるか否かの高さを示す値が「低い」であること(すなわち、時間方向に構造物が維持されないことにより画像間において変化がある部分であること)を示している。「追跡可能特徴点フラグ」は「F=0」であり、追跡可能特徴点設定部34により設定された追跡可能な特徴点であるか否かを表すフラグの値が「F=0」である(すなわち、追跡可能な特徴点ではないこと)を示している。
次に、図13[B]の第1行目の場合、「特徴点番号」は「b1」であり、予め設定されたテンプレート内の第2生成条件Bモード画像データ特徴点の識別番号が「b1」であることを示している。「相互相関係数」は「0.2」であり、予め設定されたテンプレート内の第2生成条件Bモード画像データ特徴点での相互相関係数が「0.2」であることを示している。「類似度」は「低い」であり、画像間において変化がない部分であるか否かの高さを示す値が「低い」であること(すなわち、時間方向に構造物が維持されないことにより画像間において変化がある部分であること)を示している。「追跡可能特徴点フラグ」は「F=0」であり、追跡可能特徴点設定部34により設定された追跡可能な特徴点であるか否かを表すフラグの値が「F=0」である(すなわち、追跡可能な特徴点ではないこと)を示している。
図13[B]の第2行目の場合、「特徴点番号」は「b2」であり、予め設定されたテンプレート内の第2生成条件Bモード画像データ特徴点の識別番号が「b2」であることを示している。「相互相関係数」は「0.8」であり、予め設定されたテンプレート内の第2生成条件Bモード画像データ特徴点での相互相関係数が「0.8」であることを示している。「類似度」は「高い」であり、画像間において変化がない部分であるか否かの高さを示す値が「高い」であること(すなわち、時間方向に構造物が維持されることにより画像間において変化がない部分であること)を示している。「追跡可能特徴点フラグ」は「F=1」であり、追跡可能特徴点設定部34により設定された追跡可能な特徴点であるか否かを表すフラグの値が「F=1」である(すなわち、追跡可能な特徴点であること)を示している。
図13[B]の第3行目の場合、「特徴点番号」は「b3」であり、予め設定されたテンプレート内の第2生成条件Bモード画像データ特徴点の識別番号が「b3」であることを示している。「相互相関係数」は「0.5」であり、予め設定されたテンプレート内の第2生成条件Bモード画像データ特徴点での相互相関係数が「0.5」であることを示している。「類似度」は「低い」であり、画像間において変化がない部分であるか否かの高さを示す値が「低い」であること(すなわち、時間方向に構造物が維持されないことにより画像間において変化がある部分であること)を示している。「追跡可能特徴点フラグ」は「F=0」であり、追跡可能特徴点設定部34により設定された追跡可能な特徴点であるか否かを表すフラグの値が「F=0」である(すなわち、追跡可能な特徴点ではないこと)を示している。
図13[B]の第4行目の場合、「特徴点番号」は「b4」であり、予め設定されたテンプレート内の第2生成条件Bモード画像データ特徴点の識別番号が「b4」であることを示している。「相互相関係数」は「0.1」であり、予め設定されたテンプレート内の第2生成条件Bモード画像データ特徴点での相互相関係数が「0.1」であることを示している。「類似度」は「低い」であり、画像間において変化がない部分であるか否かの高さを示す値が「低い」であること(すなわち、時間方向に構造物が維持されないことにより画像間において変化がある部分であること)を示している。「追跡可能特徴点フラグ」は「F=0」であり、追跡可能特徴点設定部34により設定された追跡可能な特徴点であるか否かを表すフラグの値が「F=0」である(すなわち、追跡可能な特徴点ではないこと)を示している。
図13[B]の第5行目の場合、「特徴点番号」は「b5」であり、予め設定されたテンプレート内の第2生成条件Bモード画像データ特徴点の識別番号が「b5」であることを示している。「相互相関係数」は「0.6」であり、予め設定されたテンプレート内の第2生成条件Bモード画像データ特徴点での相互相関係数が「0.6」であることを示している。「類似度」は「高い」であり、画像間において変化がない部分であるか否かの高さを示す値が「高い」であること(すなわち、時間方向に構造物が維持されることにより画像間において変化がない部分であること)を示している。「追跡可能特徴点フラグ」は「F=1」であり、追跡可能特徴点設定部34により設定された追跡可能な特徴点であるか否かを表すフラグの値が「F=1」である(すなわち、追跡可能な特徴点であること)を示している。
図13[B]の第6行目の場合、「特徴点番号」は「b6」であり、予め設定されたテンプレート内の第2生成条件Bモード画像データ特徴点の識別番号が「b6」であることを示している。「相互相関係数」は「0.9」であり、予め設定されたテンプレート内の第2生成条件Bモード画像データ特徴点での相互相関係数が「0.9」であることを示している。「類似度」は「高い」であり、画像間において変化がない部分であるか否かの高さを示す値が「高い」であること(すなわち、時間方向に構造物が維持されることにより画像間において変化がない部分であること)を示している。「追跡可能特徴点フラグ」は「F=1」であり、追跡可能特徴点設定部34により設定された追跡可能な特徴点であるか否かを表すフラグの値が「F=1」である(すなわち、追跡可能な特徴点であること)を示している。
本発明の実施形態に示された超音波診断装置1においては、第1生成条件により生成され第1生成条件Bモード画像データと第2生成条件により生成され第2生成条件Bモード画像データに基づいて追跡可能な特徴点の候補となる第1生成条件Bモード画像データ特徴点と第2生成条件Bモード画像データ特徴点を抽出し、抽出された第1生成条件Bモード画像データ特徴点と第2生成条件Bモード画像データ特徴点を用いて、それぞれ、異なる2つの時相の第1生成条件Bモード画像データまたは第2生成条件Bモード画像データに基づいてフレーム間の相互相関係数を算出し、算出された相互相関係数に基づいて追跡可能な特徴点を設定するようにしたので、抽出された候補となる特徴点のうち、周波数や送受信ビーム方向によって画像に変化がない構造物によるものと、周波数や送受信ビーム方向によって画像に変化があるスペックルパターンによるものを区別した上で、周波数や送受信ビーム方向によって画像に変化がない構造物によるものだけを追跡可能な特徴点として設定することができる。
その後、ステップS42以降の処理が行われ、設定された追跡可能特徴点を用いて追跡演算が行われ、その追跡演算結果に基づいて物理パラメータが算出される。
これにより、ランダムなスペックルパターンによる影響を受けない追跡演算結果を取得することができ、その結果、超音波の画像から抽出された特徴点を用いたトラッキング(追跡演算)の精度を向上させることができる。
なお、生成条件が異なる第1生成条件Bモード画像データと第2生成条件Bモード画像データに基づいて、それぞれ、追跡可能な特徴点の候補となる第1生成条件Bモード画像データ特徴点と第2生成条件Bモード画像データ特徴点を抽出し、抽出された第1生成条件Bモード画像データ特徴点と第2生成条件Bモード画像データ特徴点のうち、共通する特徴点(例えば、空間的な位置がほぼ一致している特徴点など)を追跡可能特徴点として設定するようにしてもよい。この場合における物理パラメータ算出処理は、図14のフローチャートに示されている。
図14のフローチャートを参照して、図3の超音波診断装置1における他の物理パラメータ算出処理について説明する。なお、図18のステップS51乃至S54、およびステップS59乃至S62の処理は、図12のステップS31、ステップS32、ステップS34、ステップS35、ステップS41乃至S45の処理と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
ステップS55において、追跡可能特徴点設定部34は、抽出された第1生成条件Bモード画像データ特徴点と第2生成条件Bモード画像データ特徴点の座標がほぼ一致するか否かを判定する。
ステップS55において抽出された第1生成条件Bモード画像データ特徴点と第2生成条件Bモード画像データ特徴点の座標がほぼ一致すると判定された場合、追跡可能特徴点設定部34はステップS56で、座標がほぼ一致すると判定された特徴点を追跡可能特徴点として設定し、追跡可能特徴点フラグFを1に設定する。図15の例の場合、第1生成条件Bモード画像データ特徴点a1乃至a17と第2生成条件Bモード画像データ特徴点b1乃至b17の座標がほぼ一致しており、テンプレート内の第1生成条件Bモード画像データ特徴点a1とa3(第1生成条件Bモード画像データ特徴点b1とb3)が追跡可能特徴点として設定される。
ステップS55において抽出された第1生成条件Bモード画像データ特徴点と第2生成条件Bモード画像データ特徴点の座標がほぼ一致しないと判定された場合(座標がずれていると判定された場合)、追跡可能特徴点設定部34はステップS57で、座標がほぼ一致しないと判定された(座標がずれていると判定された)特徴点を追跡可能特徴点として設定せず、追跡可能特徴点フラグFを0に設定する。図15の例の場合、図15の例の場合、第1生成条件Bモード画像データ特徴点a1乃至a17と第2生成条件Bモード画像データ特徴点b1乃至b17以外の特徴点の座標は一致しておらず、追跡可能特徴点として設定されない。
ステップS58において、追跡可能特徴点設定部34は、すべての特徴点について設定したか否かを判定する。ステップS58においてすべての特徴点について設定していないと判定された場合、処理はステップS55に戻り、ステップS55以降の処理が繰り返される。これにより、ユーザにより設定されたテンプレート内のすべての特徴点について座標がほぼ一致するか否かを判定し、追加可能特徴点か否かを設定することができる。
ステップS58においてすべての特徴点について設定したと判定された場合、処理はステップS59に進む、その後、追跡可能特徴点を用いて追跡演算が行われ、その追跡演算結果に基づいて物理パラメータが算出される。
これにより、周波数や送受信ビーム方向によって画像に変化がない構造物によるものと、周波数や送受信ビーム方向によって画像に変化があるスペックルパターンによるものを区別した上で、周波数や送受信ビーム方向によって画像に変化がない構造物によるものだけを追跡可能な特徴点として設定することができる。従って、ランダムなスペックルパターンによる影響を受けない追跡演算結果を取得することができ、その結果、超音波の画像から抽出された特徴点を用いたトラッキング(追跡演算)の精度を向上させることができる。
なお、異なる生成条件により生成された画像データについてそれぞれ追跡演算を行い、その2つの追跡演算結果から矛盾のないもの、すなわち、統計的に大きく外れていない結果を採用し、統計的に大きく外れてしまうような結果を除外するようにしてもよい。この場合における物理パラメータ算出処理は、図16のフローチャートに示されている。
図16のフローチャートを参照して、図3の超音波診断装置1における他の物理パラメータ算出処理について説明する。
ステップS71において、演算部26の特徴点抽出部33は、制御部21の指示に従い、データ記憶部25に記憶されている時相T1乃至時相TMの第1生成条件Bモード画像データA1乃至AMを読み出す。また同時に、制御部21は、データ記憶部25に記憶されている時相T1乃至時相TMの第1生成条件Bモード画像データA1乃至AMのうち、時相T1の第1生成条件Bモード画像データA1を表示部14に表示させる。表示部14は、制御部21の指示に従い、データ記憶部25に記憶されている時相T1の第1生成条件Bモード画像データA1を表示部14に表示する。
ステップS72において、特徴点抽出部33は、読み出された時相T1の第1生成条件Bモード画像データA1に基づいて、第1生成条件Bモード画像データA1の特徴点である第1生成条件Bモード画像データ特徴点を抽出する。第1生成条件Bモード画像データ特徴点の抽出は、例えば、コーナー検出法などにより行われる。なお、具体的な抽出方法については、図6で説明した抽出方法と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
特徴点抽出部33は、特徴点抽出結果を追跡演算部35に供給する。
ステップS73において、追跡演算部35は、特徴点抽出部33から供給された抽出結果を取得し、データ記憶部25に記憶されている時相T1乃至時相TMの第1生成条件Bモード画像データA1乃至AMを読み出し、読み出された時相T1乃至時相TMの第1生成条件Bモード画像データA1乃至AMに基づいて、第1生成条件Bモード画像データ特徴点を用いて追跡演算を行う。なお、具体的な方法については、図5のステップS20の処理において説明した方法と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
ステップS74において、追跡演算部35は、第1生成条件Bモード画像データ特徴点を用いた追跡演算結果である第1生成条件追跡結果をデータ記憶部25に供給する。ステップS75において、データ記憶部25は、追跡演算部33から供給された第1生成条件追跡結果を取得し、取得された第1生成条件追跡結果を記憶する。
ステップS76において、演算部26の特徴点抽出部33は、制御部21の指示に従い、データ記憶部25に記憶されている時相T1乃至時相TMの第2生成条件Bモード画像データB1乃至BMを読み出す。また同時に、制御部21は、データ記憶部25に記憶されている時相T1乃至時相TMの第2生成条件Bモード画像データB1乃至BMのうち、時相T1の第2生成条件Bモード画像データB1を表示部14に表示させる。表示部14は、制御部21の指示に従い、データ記憶部25に記憶されている時相T1の第2生成条件Bモード画像データB1を表示部14に表示する。
ステップS77において、特徴点抽出部33は、読み出された時相T1の第2生成条件Bモード画像データB1に基づいて、第2生成条件Bモード画像データB1の特徴点である第2生成条件Bモード画像データ特徴点を抽出する。第2生成条件Bモード画像データ特徴点の抽出は、例えば、コーナー検出法などにより行われる。なお、具体的な抽出方法については、図6で説明した抽出方法と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
特徴点抽出部33は、特徴点抽出結果を追跡演算部35に供給する。
ステップS78において、追跡演算部35は、特徴点抽出部33から供給された抽出結果を取得し、データ記憶部25に記憶されている時相T1乃至時相TMの第2生成条件Bモード画像データB1乃至BMを読み出し、読み出された時相T1乃至時相TMの第2生成条件Bモード画像データB1乃至BMに基づいて、第2成条件Bモード画像データ特徴点を用いて追跡演算を行う。なお、具体的な方法については、図5のステップS20の処理において説明した方法と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
ステップS79において、追跡演算部35は、第2生成条件Bモード画像データ特徴点を用いた追跡演算結果である第2生成条件追跡結果をデータ記憶部25に供給する。ステップS80において、データ記憶部25は、追跡演算部33から供給された第1生成条件追跡結果を取得し、取得された第2生成条件追跡結果を記憶する。
ステップS81において、追跡可能特徴点設定部34は、データ記憶部25に記憶されている第1生成条件追跡結果と第2生成条件追跡結果を読み出す。ステップS82において、追跡可能特徴点設定部34は、読み出された第1生成条件追跡結果と第2生成条件追跡結果に基づいて統計処理を行う。
ステップS83において、追跡可能特徴点設定部34は、統計的に大きく外れているか否かを判定する。例えば、統計的に平均値から大きくずれているものが統計的に外れていると判定される。
ステップS83において統計的に大きく外れていないと判定された場合、追跡可能特徴点設定部34はステップS84で、統計的に大きく外れていないと判定された特徴点を追跡可能特徴点として設定し、追跡可能特徴点フラグFを1に設定する。また、追跡可能特徴点設定部34は、設定された設定結果を物理パラメータ算出部36に供給する。
ステップS83において統計的に大きく外れていると判定された場合、追跡可能特徴点設定部34はステップS85で、統計的に大きく外れていると判定された特徴点を追跡可能特徴点として設定せず、追跡可能特徴点フラグFを0に設定する。また、追跡可能特徴点設定部34は、設定された設定結果を物理パラメータ算出部36に供給する。
ステップS86において、追跡可能特徴点設定部34は、すべての特徴点について設定したかを判定する。ステップS86においてすべての特徴点について設定していないと判定された場合、処理はステップS83に戻り、その後、ステップS83以降の処理が繰り返される。これにより、ユーザにより設定されたテンプレート内のすべての特徴点について統計的に外れているか否かを判定し、追加可能特徴点か否かを設定することができる。
ステップ86においてすべての特徴点について設定したと判定された場合、処理はステップS87に進み、物理パラメータ算出部36は、追跡可能特徴点設定部34から供給された設定結果を取得し、取得された設定結果に基づいて追跡可能特徴点であるか否かを判定するとともに、データ記憶部25に記憶されている第1生成条件追跡演算結果と第2生成条件追跡演算結果を読み出し、読み出された第1生成条件追跡演算結果と第2生成条件追跡演算結果のうち、追跡可能特徴点についての追跡演算結果に基づいて物理パラメータを算出する。
これにより、ランダムなスペックルパターンによる影響を受けない追跡演算結果を取得することができるとともに、その追跡演算結果に基づいて物理パラメータを算出することができる。従って、超音波の画像から抽出された特徴点を用いたトラッキング(追跡演算)の精度を向上させることができる。
なお、本発明の実施形態に示された超音波診断装置1においては、2次元断層像について用いているようにしているが、例えば、3次元断層像について用いるようにしてもよい。
また、本発明の実施形態に示された超音波診断装置1においては、異なる生成条件で生成された画像を表示部14に表示させるようにしたが、装置内部において追跡可能特徴点の設定に用いられればよく、表示させないようにしてもよい。
さらに、本発明の実施形態に示された超音波診断装置1においては、ユーザが設定したテンプレート内の関心領域においてのみ追跡可能特徴点を設定するようにしたが、表示部14に表示される画像全体について追跡可能特徴点を設定するようにしてもよい。
なお、本発明の実施形態では、フローチャートのステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。