JP4761161B2 - グラウチング方法 - Google Patents
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Description
プレグラウトは、一般的にはトンネルの切羽面から放射状にグラウト孔を削孔して、これにセメントミルク等のグラウト材を圧入し、岩盤の割れ目に浸透させて岩盤透水性を改良するものである。グラウトの効果は、チェック孔による湧水量やルジオン値(浸透し易さの目安)により確認され、必要な場合には、追加で2次グラウト孔の設置や、さらにその内側に同じように放射状のグラウト孔を設けるなどの追加処置がなされ、所定の湧水量、透水性に改良している。
すなわち、例えば水封式地下貯槽の貯槽周辺のグラウトにおいて、貯槽上部の水封トンネルや水封ボーリングにセメントミルクが浸透し固化すると、これらの水封ボーリング等においては水封機能が十分に発揮されないこととなることから、ある一定の方向や限られた範囲にグラウト材を浸透させることができるグラウチング方法が求められているが、現状ではグラウト材の浸透方向や注入範囲について好適に制御することができないといった問題があった。
本発明では、空孔をなす第2ボーリング孔内が大気圧状態であり、周囲岩盤内の地下水圧やグラウト注入圧より小さいことから、岩盤内に水圧の圧力差が生じ、注入されたグラウト材が第1ボーリング孔から第2ボーリング孔に向けて誘導されて流れ、第2ボーリング孔から排出されることになる。すなわち、グラウト材を注入するための第1ボーリング孔に対してグラウト材を浸透させたい任意の方向に第2ボーリング孔を設けることで、グラウト材の浸透方向を制御することができる。また、第1ボーリング孔と第2ボーリング孔との間の範囲に対して集中的にグラウト材を注入させることができることから、注入範囲を限定したグラウチングを行うことができる。
本発明では、例えば、グラウト材の注入を開始するときにはバルブを開放しておき、第2ボーリング孔から排出される液体が地下水からほぼ完全にグラウト材となった時点でバルブを閉じてグラウチングを停止することで、グラウト材の注入量を管理することができる。また、第2ボーリング孔から過大な湧水が生じ、開放状態を長時間継続していると周辺地下水位などに悪影響を及ぼすことが考えられる場合や、微細な割れ目にもグラウト材がまわるようにするなど、適宜バルブを調整することで状況に応じた対応をとることができる。
本発明では、坑道の掘削進行方向の切羽前方の岩盤に対して、効率的にグラウチングを行うことができる。例えば、坑道の掘進によって掘削されてしまう岩盤に対してグラウト材の浸透を抑制させることができ、必要な限られた範囲のみにグラウチングすることが可能となる。
図1は本発明の実施の形態によるグラウチング方法の概要を示す側面図、図2は図1に示すグラウチング方法のA−A線断面図、図3は注入時のグラウト材の流れの概要を示す図であって、(a)はその側面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
ここで、以下の説明では、必要に応じて坑道1の掘進方向(図1で左側から右側に向かう方向)を「前方」とする。
ここで、グラウチングした状態の確認については、従来と同様にグラウト注入領域にチェック孔を設けて、浸透のし易さの目安となるルジオン値(Lu値)を測定するなどして確認すればよい。
また、坑道1の掘進によって掘削されてしまう岩盤に対してグラウト材Gの浸透を抑制させることができ、必要な限られた範囲のみにグラウチングすることが可能となることから、坑道1の掘削進行方向の切羽前方の岩盤に対して効率的にグラウチングを行うことができる。
しかも、グラウト孔2、2、…と排出孔3、3、…との間の範囲にグラウト材Gを注入させることができることから、グラウト材Gの浸透範囲を制限することができ、不必要な範囲にグラウト材Gを浸透させるようなことを防げるため、効率よく且つ確実なグラウト注入を行うことができる。
図4は第二の実施の形態による注入時のグラウト材の流れの概要を示す図であって、(a)はその側面図、(b)は(a)のC−C線断面図である。
図4(a)及び(b)に示すように、第二の実施の形態によるグラウチング方法では、各グラウト孔2においてその長さ方向を複数区間(本第二の実施の形態では2区間)に区切ってグラウチングするようにしたものである。すなわち、図3に示した第一の実施の形態ではグラウト孔2における長さ方向のほぼ全域から岩盤に向けて注入する方法であるが、本第二の実施の形態ではグラウト孔2をその奥側(先端側)の第1注入区間D1と手前の第2注入区間D2との2区間に分割して二段階に分けて注入する方法である。
ここで、図4(a)及び(b)は、第1注入区間D1からグラウト材を注入する状態を示したものである。
先ず、削孔した各グラウト孔2には、その奥側(先端側)において所定長さの第1注入区間D1を確保するようにパッカー5と注入管4が設けられている。つまり、パッカー5によって仕切られてなる第1注入区間D1が形成され、その第1注入区間D1内に注入管4の前方先端4aが位置するように配置された状態となっている。そして、排出孔3についても、グラウト孔2の第1注入区間D1に対応する位置に第1排出区間D3を確保するようにパッカー5と排出配管7の排出口7aが設けられている。一方、排出孔3の場合には、孔口3bから坑道1内にグラウト材Gが流入しないように、第一の実施の形態と同様に孔口3bにもパッカー5が設けられている。なお、前記排出孔3における第1注入区間D1に対応する位置とは、グラウト孔2における孔口2aから第1注入区間D1までの距離と、排出孔3における孔口3bから第1排出区間D3までの距離とがほぼ同じ距離となる位置をいう。
次いで、第1注入区間D1によるグラウチングの終了後、グラウト孔2内の注入管4及びパッカー5の位置をグラウト孔2の手前側(孔口2a側)に移動させ、第2注入区間D2(正確には第2注入区間D2と第1注入区間D1)を確保するように配置させるとともに、排出孔3の排出配管7の排出口7aの位置についてもグラウト孔2に対応させて手前に移動させる。そして、グラウト材Gを注入すると、第1注入領域R1の岩盤内にはグラウト材Gが注入されている状態であることから、注入管4から注入されるグラウト材Gの多くは第2注入区間D2から第2注入領域R2の岩盤に浸透し、排出孔3の第2排出区間D4に向けて流れることになる。
なお、通常のグラウトでは第1注入区間D1から注入されたグラウト材Gがグラウト孔2の手前の第2注入区間D2に浸透することはないが、万一、第2注入区間D2に浸透するようなことがあり非効率となる場合には、必要に応じてグラウト孔2の孔口部に排出孔3と同様なパッカーを配置するようにすればよい。
例えば、グラウト孔2及び排出孔3の位置、配置形態、周方向の削孔間隔、孔数、削孔長などは、本実施の形態に限定されることはなく、透水性や割れ目の分布状況などの岩盤条件、工期、工費を勘案し、最適となるように設定すればよい。例えば、本実施の形態ではグラウト孔2、2、…及び排出孔3、3、…をリング状としているが、リング状の配置形態に制限されることはない。要は、グラウト材Gの注入範囲に対してグラウト孔2と排出孔3とが相対する位置にあればよいのである。
また、本実施の形態では図2に示すようにグラウト孔2、2、…の注入範囲を1つのリング状としているが、注入範囲の大きさによっては、これを幾つかの同様なリングに分けて施工してもかまわない。
さらに、坑道1の壁面や底面から概ね直角方向にグラウト孔を削孔するポストグラウトに関しても、同様にグラウト対象範囲の両側にグラウト孔と排出孔を設けることにより、その間へグラウト材を優先的に浸透させることができる。この場合、通常のポストグラウトにみられるような坑道1内(大気圧状態)へのグラウト材の浸入量を少なくすることができ、ポストグラウトをより効果的に行うことができる。
また、本グラウチング方法は、坑道1におけるグラウトのみならず、ダムの基礎におけるグラウト等、グラウトを施工する工事すべてに対して同様に適用することが可能である。
さらに、第二の実施の形態では、グラウト孔2を2つの注入区間D1、D2に分割させて注入しているが、3区間以上の注入区間に分割させて注入してもかまわない。
1A 切羽面
2 グラウト孔(第1ボーリング孔)
3 排出孔(第2ボーリング孔)
4 注入管
6 バルブ
G グラウト材
R グラウト範囲
Claims (3)
- 坑道から周囲岩盤に向けてグラウト材を注入するためのグラウチング方法であって、
前記坑道から周囲岩盤に向けて削孔することで、グラウト材を注入するための第1ボーリング孔及び空孔をなす第2ボーリング孔を設ける工程と、
前記第1ボーリング孔から前記周囲岩盤に向けてグラウト材を注入する工程と、
を有し、
前記注入されたグラウト材を、前記周囲岩盤内に生じる水圧の圧力差によって前記第1ボーリング孔から前記第2ボーリング孔に向けて流れるように誘導させるようにしたことを特徴とするグラウチング方法。 - 前記第2ボーリング孔には、開閉可能なバルブが設けられ、
前記グラウト材の注入を開始するときには前記バルブを開放しておき、前記バルブを開閉させることで、前記第2ボーリング孔から排出されるグラウト材の排出量を調整するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のグラウチング方法。 - 前記第1ボーリング孔は、前記坑道の切羽面から前方外方に広がるように放射状に削孔され、
前記第2ボーリング孔は、前記放射状に削孔された前記第1ボーリング孔の内側で、前記坑道の切羽面から前方外方に広がるように放射状に削孔されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のグラウチング方法。
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