JP4760873B2 - プラズモニック結晶の設計方法 - Google Patents

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本発明は、プラズモニック結晶の設計方法に関する。より詳しくは、プラズモン結晶の配置周期を所定条件のもとに決定することにより、任意のエネルギーにプラズモニックバンドギャップを生じさせることが可能なプラズモニック結晶の設計方法に関する。
「表面プラズモンポラリトン(Surface Plasmon Polariton: SPP)」は、金属と誘電体の界面に存在する電子の疎密波であり、金属−誘電体界面を伝搬する表面電磁波である。金属−誘電体界面の金属表面に周期的な「格子構造」がある場合、SPPは、ある波長において格子によりブラック反射され、反対方向に伝搬されて定在波を生じる。この格子構造は、「凹凸構造」や「レリーフ構造」とも称される。
定在波となったSPPでは、電場がその腹に局在化する。また、定在波となったSPPは、格子との相対位相によって2つの異なるエネルギー状態を生じる。その結果、SPPの分散曲線には、「プラズモニックバンドギャップ」と呼ばれるエネルギーギャップが出現する。
プラズモニックバンドギャップを出現させる金属表面の周期的なレリーフ構造を「プラズモニック結晶」と呼んでいる。プラズモニック結晶は、輻射場の制御や巨大な電場増強が期待できるため、基礎から応用まで幅広く研究が行われてようとしている。非特許文献1には、プラズモニック結晶上に色素薄膜を堆積することで、色素の発光強度を増強する試みが報告されている。このようなプラズモニックバンドギャップ端(以下、単に「ギャップ端」ともいう)における電場の局在及び増強を利用した色素発光の増強技術は、プラズモニックバンドギャップレーザーと呼ばれている。プラズモニックバンドギャップレーザーは、高い発光効率が得られる有機EL素子等の開発につながるものと期待されている。
他方、近年、SPPを利用したセンサが、種々の物質間の相互作用を検出するために用いられてきている。このセンサは、「表面プラズモン共鳴(Surface plasmon resonance: SPR)センサ」と呼ばれている。
SPPを励起するため、偏向した光を全反射条件で金属−誘電体界面に入射させると、界面にエバネッセント波という浸み出し成分が生じる。全反射条件においては、通常、入射光のエネルギーはほとんど損失なく反射光のエネルギーとなる。しかし、エバネッセント波とSPPの波数が一致する波数整合条件下では、入射光のエネルギーがSPPの励起に利用されてSPRが生じ、反射光のエネルギーが減少する。この反射光のエネルギー変化は、入射光に対する反射光の波数の変化として検出することができる。
波数整合条件は入射光の入射角θに依存するので、入射角θを変化させながら反射光の波数を検出すると、ある角度においてSPRが生じ、波数の変化が最大となる。この角度を「共鳴角θsp」といい、共鳴角θspにおける反射光の波数を「ピーク波数(又は吸収ピーク)」という。
共鳴角θspは誘電体の誘電率に依存するので、共鳴角θsp及びピーク波数の変化(以下、「シフト」という)は、誘電体の誘電率の変化に対応する。従って、誘電体として種々の物質を含むサンプルを用いて、ピーク波数のシフトを検出することで、物質間の相互作用に起因するサンプルの誘電率変化を検出することができる。
SPRセンサでは、誘電率の変化によってサンプル中の物質間の相互作用を検出するため、放射性物質や蛍光物質等による物質のラベリングが不要であり、鋭敏な検出を行うことが可能である。このため、SPRセンサは、特に、タンパク質や核酸等の生体内物質の相互作用を評価するバイオセンサとして好適に用いられている。特許文献1には、光学バイオセンサ装置としてのSPRセンサが開示されている。
特許3294605号公報 Applied Physics Letters, 2004, Vol.85, p.3968-3970
SPRセンサでは、ピーク波数のシフトを検出することで、サンプルの誘電率の変化、すなわちサンプル中の物質間の相互作用を検出している。しかし、分子量が極めて小さい物質や超微量の物質間の相互作用を検出しようとする場合、誘電率の変化が小さいために、ピーク波数のシフトが検出限界未満となってしまい、十分な測定感度が得られない場合があった。
そこで、本発明は、SPRセンサを高感度化するための基盤技術となり得るプラズモニック結晶の設計方法を提供することを主な目的とする。
上記課題解決のため、本発明は、誘電体と金属との界面の金属表面に形成されるプラズモン結晶の配置周期を、前記界面における表面プラズモンポラリトンの分散関係と、下記式(1)に示す表面プラズモンポラリトンのブラッグ反射条件と、に従って決定するプラズモニック結晶の設計方法を提供する。
この設計方法では、任意の入射光周波数条件及び誘電体誘電率条件において、前記配置周期を、前記分散関係と前記ブラッグ反射条件とに従って決定することにより、入射光周波数と一致する周波数にプラズモニックバンドギャップ端を有するプラズモニック結晶を得ることができる。この際、誘電体と金属とプリズムとから構成される表面プラズモン共鳴クレッチマン配置を採用することが好適となる。
この設計方法は、得られたプラズモニック結晶を、表面プラズモン共鳴センサの試料と金属との界面の金属表面に形成することにより、該表面プラズモン共鳴センサを高感度化するために適用し得る。また、この設計方法は、得られるプラズモニック結晶上に色素薄膜を堆積することにより、色素の発光強度を増強するためにも適用し得る。
本発明において、「プラズモニックバンドギャップ」とは、プラズモン結晶を配した誘電体/金属界面におけるSPPの分散曲線に出現するエネルギーギャップをいい、「プラズモニックバンドギャップ端」とは、プラズモニックバンドギャップの高エネルギー側端(上端)及び/又は低エネルギー側端(下端)を意味するものとする。
プラズモン結晶の配置周期を所定条件のもとに決定することにより、任意のエネルギーにプラズモニックバンドギャップを生じさせることが可能なプラズモニック結晶の設計方法が提供される。
SPRセンサでは、ピーク波数のシフトを検出することで、サンプルの誘電率変化を検出している。従って、一定の誘電率変化を検出する際、その誘電率変化によるピーク波数のシフトがより大きく現れるほど、誘電率変化の検出感度は高くなる。
そこで、今回、本発明者らは、上述のプラズモニックバンドギャップに着目し、SPPの分散曲線のギャップ端における傾きの変化を利用することにより、一定の誘電率変化に対するピーク波数のシフトを増強することを考えた。
図1は、プラズモニックバンドギャップ利用したSPRセンサの高感度化の概念を説明するための図である。図は、SPRセンサにおいて、誘電体の誘電率がεs1からεs2に変化した際のピーク波数のシフトを示している。図中、符号Gは、プラズモニックバンドギャップを示す。
誘電体の誘電率がεs1である場合において、誘電体との界面の金属表面にプラズモニック結晶が配されている場合のピーク波数を実線で、プラズモニック結晶がない場合のピーク波数を点線で示す。入射光の周波数をギャップ端(高エネルギー側である上端)の角振動数ω+に一致させると、プラズモニック結晶を配した場合のピーク波数k'1は、プラズモニック結晶がない場合のピーク波数k1に比べて、低波数側に現れる。すなわち、「k'1<k1」となる。
誘電体の誘電率がεs2に変化した場合、同一周波数の入射光におけるピーク波数をk2とすると、プラズモニック結晶を配した場合のピーク波数のシフトS’は「k2-k'1」となる。また、プラズモニック結晶がない場合のピーク波数のシフトSは「k2-k1」となる。
ここで、「k'1<k1」であるので、「k2-k'1>k2-k1」となり、プラズモニック結晶を配した場合のピーク波数のシフトS’ (k2-k'1)とプラズモニック結晶がない場合のピーク波数のシフトS(k2-k1)は、「S'>S」となる。すなわち、誘電体との界面にプラズモニック結晶を配することで、誘電体のεs1からεs2への誘電率変化に伴うピーク波数のシフトを増幅することが可能となる。
このように、誘電体との界面にプラズモニック結晶を配し、ギャップ端の周波数を有する入射光を用いてピーク波数のシフトを検出することで、一定の誘電率変化に対するピーク波数のシフトをより大きく検出し、誘電率変化の検出感度を高めることができる。
しかし、通常のSPRセンサにおいて、このような高感度検出を行うためには、ギャップ端の周波数が、センサに設けられた入射光の周波数に一致するようなプラズモニック結晶を予め作製し、金属表面に配置しておくことが必要となる。
本発明者らは、任意の入射光周波数に一致したギャップ端周波数を有するプラズモニック結晶を作製するために検討を行った結果、このようなプラズモニック結晶を与える得る所定の条件を見出し、本発明に係るプラズモニック結晶の設計方法を完成させた。すなわち、本発明者らは、プラズモン結晶の配置周期を、誘電体と金属との界面におけるSPPの分散関係と、下記式(1)に示すSPPのブラッグ反射条件と、に従って決定することにより、任意の入射光周波数と一致する周波数にプラズモニックバンドギャップ端を有するプラズモニック結晶が得られることを明らかにした。
このプラズモニック結晶の設計方法では、任意の入射光周波数条件及び誘電体誘電率条件において、配置周期を、SPP分散関係とブラッグ反射条件とに従って決定することにより、入射光周波数と一致する周波数にプラズモニックバンドギャップ端を有するプラズモニック結晶を得ることが可能である。
以下、SPPの励起に汎用される表面プラズモン共鳴クレッチマン配置を例として、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
図2は、本発明に係る設計方法におけるプラズモニック結晶の配置周期を説明するための模式図である。表面プラズモン共鳴クレッチマン配置は、誘電体/金属/プリズムから構成される。図2中、符号12はプリズム、符号100は金属、符号102は金属の誘電体側表面に形成されるプラズモニック結晶を示す。
図2中、符号Λは、プラズモニック結晶102の有する周期的なレリーフ構造におけるレリーフの配置周期を示す。この配置周期Λが所定の条件を満たすと、SPPは定常波を生じ、電場はその腹に局在する。
定常波となったSPPでは、図2上段及び下段に示すように、角振動数ω+とω−の2つのエネルギー状態を取り得る。これにより、SPPの分散曲線に角振動数ω+及びω−をギャップの上端及び下端とするプラズモニックバンドギャップが生じる(図1参照)。
プラズモニックバンドギャップが生じると、ギャップ内の周波数を持つSPPは伝播を禁止される。また、ギャップ端では、分散曲線の傾き(dω/dk)が0となり、群速度が0となって、SPPが閉じ込められたことによる大きな電場増強が起きる。
このとき、配置周期Λを、誘電体/金属100界面におけるSPP分散関係とSPPのブラッグ反射条件とを同時に満たすように形成することで、入射光の周波数をギャップ上端の角振動数ω+に一致させることが可能となる。すなわち、任意の入射光周波数条件及び誘電体誘電率条件において、入射光周波数と一致する周波数にギャップ端(上端)を有するプラズモニック結晶を得ることができる。
続いて、本発明に係るプラズモニック結晶の設計方法の具体的な手順を説明する。
まず、所定の入射光周波数条件及び誘電体誘電率条件においてSPP分散関係を求める。誘電体/金属/プリズムの三層系における反射光強度をフレネルの式と多波干渉の式を用いて算出し、任意の入射光波長及び誘電率条件におけるSPRカーブを求める。そして、このディップの角度を入射光波長に対してプロットし、SPPの分散関係を得る。
次に、所定の入射光周波数条件においてSPPのブラッグ反射条件を求める。ブラッグ反射条件は、下記式(1)にて示される。ここで、「kspp」は、SPPの波数であるが、誘電体/金属の界面の波数と同一である。
このようにして、配置周期Λが満たすべき、SPP分散関係とブラッグ反射条件を得ることができる。そして、任意の入射光周波数条件及び誘電体誘電率条件において、これらを満たす配置周期Λを求めることで、入射光周波数と一致する周波数にギャップ端(上端)を有するプラズモニック結晶を得ることができる。
従って、例えば、SPRセンサに設けられた入射光の周波数に一致するようなギャップ端の周波数を有するプラズモニック結晶を予め設計し、センサの試料と金属との界面の金属表面に形成することにより、一定の誘電率変化に対するピーク波数のシフトをより大きく検出し、誘電率変化の検出感度を高めることが可能となる。
一般に、SPRセンサは、入射光の波長が長い程、感度が向上する。本発明に係るプラズモニック結晶の設計方法によって、この長波長の入射光に合わせて、プラズモニック結晶の配置周期を決定することで、センサの感度をさらに向上させることができる。なお、プラズモニック結晶のギャップ端の周波数は、SPRセンサの入射光の周波数に厳密に一致する必要はなく、入射光がギャップ端よりも高いエネルギーとなるようなプラズモニック結晶を用いれば、センサの感度を高めることが可能である。
さらに、本発明に係るプラズモニック結晶の設計方法は、SPRセンサの高感度化の他、局所化・増強されたエネルギーを利用し、種々の物質を高効率に励起したり、物質間の反応を促進したりすることを目的として、様々なアプリケーションに適用され得る。すなわち、本発明に係るプラズモニック結晶の設計方法によれば、プラズモン結晶の配置周期を所定条件のもとに決定することにより、任意のエネルギー(周波数)にプラズモニックバンドギャップを生じさせ、当該エネルギーを局所化・増強することができる。このため、本設計方法は、局所化・増強された特定のエネルギーを利用して、例えば、プラズモニック結晶上に堆積された色素薄膜を効率的に励起し、色素の発光強度を増強するために適用できる。また、例えば、局所化・増強された特定周波数を利用して、プラズモニック結晶上においてフォトレジストの反応を促進し、レジストの描画精度を高めるためにも用いることができる。
<実施例1>
1.プラズモニック結晶の配置周期の予測
プリズムを用いてSPPをカップリングさせるクレッチマン配置(Journal of Applied Physics, Vol.79, p.7383-7385参照)において、SPRが起こる条件(SPP分散関係)と、SPPとプラズモニック結晶がカップルする条件(ブラッグ反射条件)をともに満たす系を見積もった。
金属薄膜には、Au 45 nm/BK7基板上に周期的なレリーフ構造を作製したプラズモニック結晶を用いることとした。また、表面誘電体層は空気(n = 1)又は純水(n = 1.33)とした。
表面誘電体層/金属薄膜/プリズムの三層系における反射光強度を、フレネルの式と多波干渉の式を用いて算出し、任意の入射光波長及び誘電率条件におけるSPRカーブを求めた(栗原一嘉ら, ぶんせき, 2002年, 4号, p.161-167参照)。図3に、入射光波長を770nm、表面屈折率1とした場合のSPRカーブを示す。このディップの角度を入射光波長に対してプロットし、SPPの分散関係を得た。
一方、任意の結晶におけるSPPのブラッグ反射条件は、下記の式(1)によって与えられる。
図4に、プラズモニック結晶のレリーフ構造の配置周期を280nmとした場合のSPP分散関係とブラッグ反射条件を示す。このSPP分散関係とブラッグ反射条件を同時に満たす条件を、プラズモニックバンドギャップが生じる条件と仮定した。そして、任意の入射光波長に対して、この条件を満たすプラズモニック結晶の配置周期を算出し、プラズモニックバンドギャップを生じさせる配置周期を決定した。図5に、配置周期200〜350 nmにおいて算出された入射光波長に対する配置周期を示す。
<実施例2>
2.任意の入射波長に対し、プラズモニックバンドギャップを生じさせるプラズモニック結晶の配置周期の検証
実施例1で決定されたプラズモニック結晶の配置周期について、プラズモニックバンドギャップの実測を行い、仮定を検証した。
(1)白色光を用いたバンドギャップの実測
表面誘電体層を空気(n = 1)とし、波長347〜784 nmの条件下で、180〜340nmの配置周期のレリーフ構造を作製したプラズモニック結晶を用い、プラズモニックバンドギャップを実測した。プラズモニック結晶のレリーフ構造は、180〜340nmにおいて10 nm刻みで作製した。
0.7 mm厚BK7基板に、接着層としてCr 1 nmを挟んで、Au 45 nmを蒸着した。PMMAをレジストとし、EB露光装置ELS-7500を用いて、金表面にレリーフ構造を描画した。現像後、30 nmのAuを蒸着し、PMMAをリフトオフした。図6に、配置周期180nmでレリーフ構造を作製したプラズモニック結晶の電子顕微鏡写真を示す。
プラズモニック結晶を作製した基板を、BK7からなる半円筒形プリズムの底面に屈折液を介して載せた。光源にはタングステンランプを用い、プリズム側からファイバーにカップリングした光を入射し、反射光はファイバーを用いてCCD分光器に導きスペクトルを得た。図7に、実験装置の概略を示す。
入射光の入射角を41度から50度まで0.2度ずつ走査しながら反射光スペクトルを測定することで、SPP分散関係及びプラズモニックバンドギャップを測定した。
図8に、配置周期280nmのレリーフ構造を作製したプラズモニック結晶の各入射角における反射光スペクトル測定した結果を示す。図は、入射角40°における反射光スペクトルで規格化を行った結果を示している。図中、点線は、実施例1で決定した入射波長と配置周期の関係から予測された入射光の波長を示し、配置周期280nmのプラズモニック結晶でプラズモニックバンドギャップを生じさせる入射光波長を示す。
図8に示されるように、低角度側ではメインピークのほかに595nm付近に2つ目のピークが見られ、高角度側では610nm付近にピークがみられる。これはレリーフ構造を作製していない金平坦基板では見られないピークであり、プラズモニックバンドギャップによるピークの分裂と考える。そして、このプラズモニックバンドギャップの出現波長は、実施例1で決定された入射波長と配置周期の関係から予測された入射光の波長と合致した。
図9には、同様にして、配置周期300, 320, 340 nmのレリーフ構造を作製したプラズモニック結晶で、プラズモニックバンドギャップの実測を行って得たSPP分散関係を示す。図9(A)〜(D)は、それぞれ配置周期280, 300, 320, 340 nmのレリーフ構造を作製したプラズモニック結晶のSPP分散関係を示す。
図9(A)の配置周期300nmのレリーフ構造を作製したプラズモニック結晶では、595nm付近から610nm付近でプラズモニックバンドギャップによるピークの分裂が確認される。
「表1」には、各配置周期のプラズモニック結晶について得られたプラズモニックバンドギャップのエネルギーをまとめた。
さらに、図10には、各配置周期のプラズモニック結晶について得られたプラズモニックバンドギャップのエネルギーについて、実施例1で決定した入射波長と配置周期の関係からの予測値と、本実施例における実測値とを比較した結果を示す。
図10から、各配置周期のプラズモニック結晶について、プラズモニックバンドギャップのエネルギーの予測値と実測値がよく一致していることが確認される。以上の結果から、プラズモニック結晶のバンドギャップエネルギーに関する理論計算による予測が有効であることが確認できた。
(2)プラズモニックバンドギャップ端付近のSPRの実測
実施例1で決定した入射波長と配置周期の関係に基づく理論予測によれば、入射波(単一波長)のエネルギーがプラズモニックバンドギャップ端にあたるようなプラズモニック結晶を作製することが可能となる。本実施例では、プラズモニックバンドギャップ端付近でのSPRカーブの振る舞いを実測した。
表面誘電体層の誘電率 n = 1.33(純水)として、入射波波長 770 nmに対するプラズモニック結晶の配置周期を275 nmと予測した。250, 260, 270, 280, 290 nmの配置周期のレリーフ構造を作製したプラズモニック結晶を用い、SPR測定を行なった。SPR測定は、PDMS製マイクロ流路をプラズモニック結晶チップ上に貼り付け、プラズモニック結晶上に純水を流しながら行なった。測定装置には、フルイドウェアテクノロジー社のSPRセンサを用いた。
図11に、得られたSPRカーブを示す。予測値275 nmを挟む270 nm, 280 nmの配置周期のプラズモニック結晶で、ピーク強度の減少が観測された。これは、プラズモニックバンドギャップの存在によって、波長 770 nmの入射波が、プラズモニック結晶内において伝播を禁止され、金薄膜への光エネルギーの吸収が起こらなくなった結果と考えられる。以上の結果から、角度走査(波長固定)によって、プラズモニックバンドギャップを捉えることに成功したといえる。
以上、実施例1及び2では、まず、任意の入射波長条件でプラズモニックバンドギャップを利用するため、SPRが起こる条件で、かつ、SPPがブラッグ反射を起こす条件から、プラズモニックバンドギャップが起こる条件を予測した。そして、クレッチマン配置のSPRセンサにおいて、この条件を満たすプラズモニック結晶を実際に作製して検証を行った。その結果、バンドギャップの現れる波長を制御して、単色光を用いた角度走査型SPRセンサにおいてプラズモニックバンドギャップを捉えることに成功した。
本発明に係るプラズモニック結晶の設計方法は、SPRセンサを高感度化するために有効に用いられる。また、この設計方法により得られるプラズモニック結晶は、プラズモニックバンドギャップレーザーやフォトレジストの微細描画にも有効に用いられる。
プラズモニックバンドギャップ利用したSPRセンサの高感度化の概念を説明するための図である。 本発明に係る設計方法におけるプラズモニック結晶の配置周期を説明するための模式図である。 表面誘電体層/金属薄膜/プリズムの三層系において、フレネルの式と多波干渉の式を用いて算出し、入射光波長を770nm、表面屈折率1として求めたSPRカーブを示す図である。 プラズモニック結晶のレリーフ構造の配置周期を280nmとした場合のSPP分散関係とブラッグ反射条件を示す図である。 任意の入射光波長に対する、SPP分散関係とブラッグ反射条件を満たすプラズモニック結晶の配置周期(200〜350 nm)を示す図である。 配置周期180nmでレリーフ構造を作製したプラズモニック結晶の電子顕微鏡写真を示す図面代用写真である。 実施例2で用いた実験装置の概略を示す図である。 配置周期280nmのレリーフ構造を作製したプラズモニック結晶の各入射角における反射光スペクトル測定した結果を示す図である。 配置周期280, 300, 320, 340 nmのレリーフ構造を作製したプラズモニック結晶で、プラズモニックバンドギャップの実測を行って得たSPP分散関係を示す。(A)〜(D)は、それぞれ配置周期280, 300, 320, 340 nmのレリーフ構造を作製したプラズモニック結晶のSPP分散関係を示す。 配置周期280, 300, 320, 340 nmのプラズモニック結晶について得られたプラズモニックバンドギャップのエネルギーについて、実施例1で決定した入射波長と配置周期の関係からの予測値と、実施例2における実測値とを比較した結果を示す図である。 250, 260, 270, 280, 290 nmの配置周期のレリーフ構造を作製したプラズモニック結晶を用いてSPR測定を行なって得られたSPRカーブを示す図である。
符号の説明
100 金属
102 プラズモニック結晶
12 プリズム

Claims (1)

  1. 誘電体と金属とプリズムとから構成される表面プラズモン共鳴クレッチマン配置において、
    誘電体と金属との界面の金属表面に形成されるプラズモン結晶の配置周期を、前記界面における表面プラズモンポラリトンの分散関係と、下記式(1)に示す表面プラズモンポラリトンのブラッグ反射条件と、を同時に満たすように決定することより、任意の入射光周波数条件及び誘電体誘電率条件において、入射光周波数と一致する周波数にプラズモニックバンドギャップ端を有するプラズモニック結晶を得て、
    該プラズモニック結晶を、表面プラズモン共鳴クレッチマン配置センサの試料と金属との界面の金属表面に形成することにより、該表面プラズモン共鳴クレッチマン配置センサを高感度化する方法。
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