JP4753443B2 - 飛行機体のエンジン - Google Patents

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Description

本発明は、航空機分野における、例えば、輸送用ヘリコプター等に搭載される、飛行機体のエンジンに関するものである。
近年におけるヘリコプターは、航空機に搭載するジェットエンジン類のジェット推進力を、プロペラの回転力に使用するようになっている。
例えば、従来においては、特許文献1に開示されているように、直列2重ターボシャフト・エンジンとして、1本のエンジン出力軸を備え、このエンジン出力軸上に直列に並べられた主エンジンと補助エンジンにより構成されているターボシャフト・エンジンとしての技術が存在する。
この主エンジンは、コンプレッサ(主エンジンコンプレッサ)、燃焼器(主エンジン燃焼器)、ガスジェネ・タービン(主エンジンガスジェネ・タービン)、およびパワー・タービン(主エンジンパワー・タービン)を有している。
また、補助エンジンは、主エンジンと同様に、コンプレッサ(補助エンジンコンプレッサ)、燃焼器(補助エンジン燃焼器)、ガスジェネ・タービン(補助エンジンガスジェネ・タービン)、およびパワー・タービン(補助エンジンパワー・タービン)を有している。
この補助エンジンは、主エンジンに対して比較的小型であるが、主エンジンの故障時に、飛行を継続して緊急に着陸するのに必要な出力を最大出力(MAX出力)により発生可能としている。
さらに、主エンジンのパワー・タービンの出力軸とエンジン出力軸は、その間に介装された一方向クラッチにより結合され、主エンジンの故障時に補助エンジンの動作が妨げられない構造となっている。
同様に、補助エンジンのパワー・タービンの出力軸とエンジン出力軸とは、その間に介装された一方向クラッチにより結合され、補助エンジンの故障時に主エンジンの動作が妨げられない構造となっている。
特開平5−193579号公報
しかしながら、上記した特許文献1に示すターボシャフト・エンジンの場合、エンジンの前方に位置する空気取り入れ口側から、エンジンの後方に位置する空気の噴出口側に至る直進路において、タービン羽根が二段以上に設けられており、エンジン内で勢い良く直進する空気に対して、これを真正面から受けるようにタービン羽根が位置し、所定の角度を有するタービン羽根に空気が当たって通過するときにタービン羽根が回転することから、エンジン内で勢い良く直進する空気を介して、タービン羽根を効率良く回転させることができなかった。
具体的には、エンジン内で勢い良く直進する空気を遮るようにタービン羽根が位置していることから、エンジン内で勢い良く直進する空気に対して、タービン羽根が抵抗として作用してしまうのである。
このような事態は、エンジン内において空気が進行する方向と、タービン羽根、エンジン出力軸が回転する方向が異なる事を要因として生ずるものである。
そこで、本発明は如上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、主駆動タービンの内側に燃焼噴出機構を配置し、主駆動タービンが回転する方向に沿って排気を高速で噴出することにより、主駆動タービンを介してタービン部材を効率良く回転させることのできる飛行機体のエンジンを提供することを目的とする。
本発明は、円筒部本体の内部に、底部分を有して下方が閉鎖している保持筒体を配置し、この保持筒体を貫通する中央回転軸部を有する縦型のタービン部材を保持筒体に回転可能に取り付け、タービン部材の回転により大型のプロペラを回転させる飛行機体のエンジンであり、保持筒体の底部分の外周壁に燃焼噴出機構を設ける一方、中央回転軸部の下方に、燃焼噴出機構を取り囲むように主駆動タービンを配置し、
保持筒体は、タービン部材に固定している圧縮内側羽根、上側高圧羽根、下側高圧羽根の回転により取り込んだ空気を圧縮するもので、この保持筒体の底部分と燃焼噴出機構が連通しており、保持筒体内で圧縮した空気を燃焼噴出機構に送り込むと共に、
燃焼噴出機構は、保持筒体の底部分の外周壁に、保持筒体の接線方向に沿う方向に排気噴出口を有する複数の高圧空気路を設け、それぞれの高圧空気路内には、高圧空気路の排気噴出口に向けて排気を高速で噴射させる開口部を有する燃料噴射体を配置し、
主駆動タービンは、立設した複数の大タービン羽根を備え、大タービン羽根の下端部側と中央回転軸部を湾曲した板羽根部材により連結して成り、主駆動タービンの内側に位置している燃焼噴出機構は、主駆動タービンが回転する方向に沿って排気を高速で噴出して大タービン羽根を高速で回転させることで、上述した課題を解決した。
また、円筒部本体の内部に生じた旋回流は、円筒部本体の下部に位置する排気排出口から排出されることで、同じく上述した課題を解決した。
この他、円筒部本体を構成する下筒部分の周壁に、対向するように2箇所の排出孔を設け、この2箇所の排出孔の位置に合致するように、下筒部分の周壁に2個の排出筒体を設け、下筒部分の外周壁と、排出孔を有する排出筒体の間に、排出量調整環を介在させていることで、同じく上述した課題を解決した。
また、排出量調整環を移動させて、一方の排出筒体のみから排気が排出されるように排気量の調整が可能であることで、同じく上述した課題を解決した。
本発明は、円筒部本体の内部に、底部分を有する保持筒体を配置し、この保持筒体を貫通する中央回転軸部を有する縦型のタービン部材を保持筒体に回転可能に取り付け、タービン部材の回転により大型のプロペラを回転させる飛行機体のエンジンであり、保持筒体の底部分の外周壁に燃焼噴出機構を設ける一方、中央回転軸部の下方に、燃焼噴出機構を取り囲むように主駆動タービンを配置していることから、燃焼噴出機構により高速で噴出される排気により、主駆動タービンを介して中央回転軸部を有するタービン部材を効率良く回転させることができる。
また、保持筒体は、タービン部材の回転により取り込んだ空気を圧縮するもので、この保持筒体の底部分と燃焼噴出機構が連通しており、保持筒体内で圧縮した空気を燃焼噴出機構に送り込むことから、燃焼噴出機構から排気をより高速に噴出でき、主駆動タービンを介してタービン部材を効率良く回転させることができる。
さらに、燃焼噴出機構は、保持筒体の底部分の外周壁に、排気噴出口を有する複数の高圧空気路を設け、それぞれの高圧空気路内には、開口部を有する燃料噴射体を配置し、複数の高圧空気路は、保持筒体の外周壁に沿うように配置されていることから、円筒部本体の内部における保持筒体の底部分の周囲に旋回流を生じさせ、この旋回流により主駆動タービンを介してタービン部材を効率良く回転させることができる。
また、主駆動タービンは、立設した複数の大タービン羽根を備え、大タービン羽根の下端部側と中央回転軸部を湾曲した板羽根部材により連結し、保持筒体の底部分の外周壁に設けている燃焼噴出機構を取り囲む高さを備えていることから、円筒部本体の内部における保持筒体の底部分の周囲に生じている旋回流を効率良く受け止めて、高速で回転することができる。
加えて、主駆動タービンの内側に位置している燃焼噴出機構は、主駆動タービンが回転する方向に沿って排気を高速で噴出して大タービン羽根の内側に旋回流を生じさせることから、この旋回流により主駆動タービンを高速に回転させることができる。
また、円筒部本体の内部に生じた旋回流は、円筒部本体の下部に位置する排気排出口から排出されることで、所定の揚力を得ることができる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
本発明に係る飛行機体Pのエンジン1は、例えば、図1・図2に示す所定の飛行機体Pにおいて、その後方側に位置する室内に設置されている。
このエンジン1は、図3・図4に示すように、円筒部本体2の内部に保持筒体3が固定されており、この保持筒体3の内部に縦型のタービン部材4が回転自在に取り付けられている。保持筒体3は、タービン部材4の回転により取り込んだ空気を圧縮するものである。
円筒部本体2は、図4に示すように、上筒部分2aと下筒部分2bを上下に連設して形成されている。上筒部分2aと下筒部分2bの間には、所定の隔たりが存在し、熱の伝達防止用空間5を形成している。
上筒部分2aの上面には、図3に示すように、所定幅の輪郭縁部材6を固着している。この輪郭縁部材6の内側には、長方形状の仕切板部材7を、上筒部分2aの中心に向けて複数配置している。各仕切板部材7間には、略三角形状の隔たりが複数存在し、空気取り入れ開口部8を形成している。また、上筒部分2aの中心に位置している各仕切板部材7の先端部には、タービン部材4を回転可能に支持するベアリング部材9が固定されている。
円筒部本体2の内部に固定されている保持筒体3は、上筒部分2aの輪郭縁部材6の内側に合致した開口部を上方に備えている。また、保持筒体3は、開口部から下方に向けて次第に径を小さくする長尺な周壁を備えている。さらに、次第に径を小さくする周壁の下部には、底部分が連設されている。
この底部分は、径を等しくする短尺な周壁と、この周壁の下端部を閉鎖する底板により形成されている。
これらの開口部、次第に径を小さくする周壁、周壁の下部に連設した底部分により、保持筒体3は略椀型に形成されている。
そして、上筒部分2aの底板部には、保持筒体3の次第に径を小さくする周壁を貫装させる孔が設けられている。また、下筒部分2bの上面部には、保持筒体3の底部分を貫装させる孔が設けられている。
このようにして、図4に示すように、保持筒体3の開口部が輪郭縁部材6の内側部分に接合した状態で、また、次第に径を小さくする周壁の下方部分が底板部の孔を貫装した状態で、保持筒体3が上筒部分2aの内部に固定されている。さらに、保持筒体3の底部分が、下筒部分2bの上面部の孔を貫装し、保持筒体3の底部分が下筒部分2bの上部に進入した状態で、保持筒体3が下筒部分2bの上面に固定されている。
上筒部分2aの内部に位置している保持筒体3の周壁の内側には、図5・図6に示すように、複数の圧縮外側羽根10が等間隔に固定され、保持筒体3内において空気圧縮室11を形成している。また、上筒部分2aの内部における保持筒体3の外側部分は、燃料貯留室12となっている。
下筒部分2bの上部に進入している保持筒体3の底部分の内側には、図5に示すように、上方仕切板13と下方仕切板14が固定されており、上方仕切板13と下方仕切板14の間で第一高圧室15を形成している。また、下方仕切板14と底板の間で第二高圧室16を形成している。
加えて、下筒部分2bの上部に進入している保持筒体3の底部分の外周(第一高圧室15の外周)には、図4・図7に示すように、燃焼噴出機構20を巻回状に設けている。
燃焼噴出機構20は、図4・図7に示すように、保持筒体3の底部分の外周(第一高圧室15の外周)に、所定の高圧空気路21を4個設けている。この高圧空気路21は、図7に示すように、保持筒体3の底部分の外周(第一高圧室15の外周)に沿った所定の長さを有する曲線状に形成され、その基端部が所定の開口部22を介して保持筒体3の第一高圧室15に連通している。高圧空気路21は、略円弧状に形成されている保持筒体3の底部分の外周に沿うように配置されているのである。
また、高圧空気路21の先端部は、排気噴出口23を形成している。そして、高圧空気路21の基端部が保持筒体3の第一高圧室15に連通していることから、高圧空気路21には、加圧されて高圧になっている空気が送り込まれるのである。
高圧空気路21内には、燃料噴射体30が配置されている。この燃料噴射体30は、図8に示すように、複数の空気取り入れ孔31を有する外側ケース32と、内側ケース33の二重構造となっており、先端側に開口部34を有している。また、燃料噴射体30の基端側には、複数の燃料噴射ノズル35を設けている。この燃料噴射ノズル35は、外側ケース32と内側ケース33の間に燃料を霧状に噴射するものである。さらに、燃料噴射体30の側面に、点火栓36を設けている。また、燃料噴射体30基端部には、燃料パイプ37が接続されている。
燃焼噴出機構20における高圧空気路21の排気噴出口23と燃料噴射体30の開口部34は、図7に示すように、いずれも保持筒体3の外周壁に沿うように
形成されている。尚、高圧空気路21の排気噴出口23と燃料噴射体30の開口部34について、その先端部分が若干内側を向くように折曲するように形成しても良い。
また、下筒部分2bの中程には、図5に示すように、複数の長尺連結板部材40と底室41が存在し、下筒部分2bにおいて、長尺連結板部材40と底室41の上方に噴出回転排気室38を形成している。高圧空気路21の排気噴出口23は、この噴出回転排気室38に通じている。
下筒部分2bの中程においては、図5に示すように、長方形状の長尺連結板部材40を下筒部分2bの中心に向けて複数配置し、この長尺連結板部材40を介して下筒部分2bの下方に底室41を固定している。
この底室41は、中空の円錐台形状に形成されている。また、底室41の下部においても、短尺連結板部材42を介して下筒部分2bの下方に底室41を固定している。そして、短尺連結板部材42下方側は、ドーナツ型の排気排出口43を形成している。
また、底室41の上面における中央部分には、タービン部材4を回転可能に支持するベアリング部材44が固定されている。
そして、円筒部本体2における保持筒体3の内部と、噴出回転排気室38の内部に、縦型のタービン部材が、ベアリング部材9・44を介して回転自在に取り付けられている。
タービン部材4は、図9に示すように、所定の長さの中央回転軸部50を備えている。この中央回転軸部50は、図4に示すように、保持筒体3を貫通するように配置されている。
中央回転軸部50の中程には、円錐台形状の基部51が固定されている。また、基部51の周面には、複数の圧縮内側羽根52が列層状に固定されている。この圧縮内側羽根52は、タービン部材4の取付時に、保持筒体3内の空気圧縮室11に位置するものである。具体的には、空気圧縮室11に固定されている各圧縮外側羽根10の間に、タービン部材4の各圧縮内側羽根52が位置している。また、各圧縮外側羽根10は、取り込んだ空気を保持筒体3の底部分に向けて送り込むものである。
中央回転軸部50における圧縮内側羽根52の下側には、上側高圧羽根53を備えている。上側高圧羽根53は、図10に示すように、立設した複数の小タービン羽根54を備え、個々の小タービン羽根54の上下に、中央部分が刳り貫かれた円形の板部材55を固定している。個々の小タービン羽根54は、若干湾曲した円弧形状に形成されている。また、複数の小タービン羽根54は、いずれも所定の傾斜角度を有して並設されている。
さらに、複数の小タービン羽根54の内側には、側方に湾曲した板羽根部材56が複数存在する。この板羽根部材56は、小タービン羽根54側から中心部に向けて延設され、先端部に筒部材57を固定している。この上側高圧羽根53は、タービン部材4の取付時に、保持筒体3内の第一高圧室15に位置するものである。
また、中央回転軸部50における上側高圧羽根53の下側には、下側高圧羽根58を備えている。下側高圧羽根58は、図10に示すように、筒部材59の周囲に、側方に湾曲した板羽根部材60を複数固定して形成している。この下側高圧羽根58は、タービン部材4の取付時に、保持筒体3内の第二高圧室16に位置するものである。
加えて、中央回転軸部50における下側高圧羽根58の下側には、主駆動タービン61を備えている。主駆動タービン61は、全体が円形で内側の全体が窪んでいる略笊型に形成されている。
主駆動タービン61は、図10に示すように、立設した複数の大タービン羽根62を備え、個々の大タービン羽根62の上下に、円形の補強部材63を固定している。個々の大タービン羽根62は、若干湾曲した円弧形状に形成されている。また、複数の大タービン羽根62は、いずれも所定の傾斜角度を有して並設されている。
また、下側の補強部材63の内側には、湾曲した板羽根部材64が複数存在する。この板羽根部材64は、基端部が下側の補強部材63に固定され、補強部材63側から中心部に向けて延設されている。板羽根部材64の基端部分は、上方に向けて折曲しており、この折曲部分と大タービン羽根62の存在により、主駆動タービン61が所定の高さを備えるように形成されている。また、個々の板羽根部材64の先端部には、主駆動タービン61をタービン部材4に取り付ける元部65を固定している。
主駆動タービン61は、タービン部材4の取付時に、下筒部分2bの噴出回転排気室38に位置するものである。このとき、主駆動タービン61は、保持筒体3の底部分の外周(第一高圧室15の外周)に巻回状に設けている燃焼噴出機構20を取り囲むように配置されている。
具体的には、図4に示すように、主駆動タービン61の板羽根部材64の上方に、保持筒体3の底部分を形成する底板が存在する状態において、大タービン羽根62の内側に燃焼噴出機構20が位置している。
この他、主駆動タービン61は、空気冷却機構を備えている。この空気冷却機構は、元部65、板羽根部材64、下側の補強部材63、大タービン羽根62により形成されている。
元部65は、図9に示すように、中央回転軸部50に固定されているもので、中央回転軸部50に沿った垂直筒部分65aと、垂直筒部分65aの下部から側方に延びる円形部分65bにより形成されている。この元部65は、保持筒体3の底部分を形成する底板に、ベアリング部材66を介して取り付けられている。
また、元部65は、垂直筒部分65aと円形部分65bにかけて、複数の吸引通路67を有している。この垂直筒部分65aの吸引通路67は、保持筒体3内の第二高圧室16に連通するように位置している。
さらに、板羽根部材64と下側の補強部材63は、共に中空状に形成され、内部に空気流通路を有している。また、大タービン羽根62も、複数の空気噴射通路68を有している。そのため、第二高圧室16内の圧縮された高圧空気が、元部65の吸引通路67に入り、板羽根部材64と下側の補強部材63の空気流通路を通って大タービン羽根62に送られ、大タービン羽根62の空気噴射通路68から噴射されて、主駆動タービン61の全体が空気冷却されるのである。
主駆動タービン61の内側に位置している燃焼噴出機構20の燃料噴射体30への燃料の供給は、所定の燃料供給管70を介して行う。燃料供給管70の先端部は、図4に示すように、上筒部分2aの燃料貯留室12に連設している。また、燃料供給管70の基端部は、燃料噴射体30の燃料パイプ37に接続している。この燃料供給管70は、燃料の流量調節部71を備えている。
また、図11に示すように、保持筒体3に沿って高圧空気管72を取り付けても良い。この高圧空気管72の基端部は、保持筒体3の第二高圧室16に連設している。また、高圧空気管72の先端部は、燃料貯留室12の上部に位置するように保持筒体3に固定されている。
この場合、第二高圧室16から高圧空気が高圧空気管72を介して燃料貯留室12に送られ、燃料貯留室12内の圧力が高まることにより、燃料貯留室12内の燃料が燃料供給管70を介して燃料噴射体30の燃料パイプ37に送られるのである。
この他、図4に示すように、ベアリング部材44を介して中央回転軸部50の下端部分を保持している底室41の内部には、タービン部材4の回転始動モータ73が設置されている。この回転始動モータ73は、底室41の内部に緩衝用のブラケットを介して固定されている油圧ポンプ部74に載置されている。また、中央回転軸部50の下端部には、上側クラッチ盤75が固定され、回転始動モータ73の回転軸には下側クラッチ盤76が固定されている。
そして、回転始動モータ73の上昇により両クラッチ盤75・76が強固に接合し、回転始動モータ73の駆動が中央回転軸部50に伝わるようになっている。一方、回転始動モータ73が下降したときは、両クラッチ盤75・76が離れ、互いの駆動が分断されるようなっている。
また、タービン部材4の中央回転軸部50の駆動は、図1・図2に示すように、所定のトランスミッション機構部T1を介して連結軸T2に伝えられる。この連結軸T2は、飛行機体Pの上部において、飛行機体Pの尾翼側から機首側に向けて配置されている。また、連結軸T2の駆動は、所定のトランスミッション機構部T3を介して駆動軸T4に伝えられる。この駆動軸T4には、大型のプロペラ機構部T5が接続されている。
このように、タービン部材4の中央回転軸部50を駆動させることにより、飛行機体Pのプロペラ機構部T5を回転させて、飛行機体Pの飛行を可能にするのである。
また、下筒部分2bにおける噴出回転排気室38の外周には、図3・図14(a)に示すように、排気排出機構80が設けられている。
円筒部本体2を構成する下筒部分2bの周壁には、図12・図14(b)に示すように、対向するように2箇所の排出孔81が設けられている。この2箇所の排出孔81の位置に合致するように、下筒部分2bの周壁に排出筒体82A・82Bを設けている。
この排出筒体82A・82Bは、基端部に排出孔82aを有し、先端部が下筒部分2bの側方に向けて突出されている。これらの下筒部分2bにおける排出孔81と、排出孔82aを有する排出筒体82A・82Bは、図1に示すように、いずれも飛行機体Pの側方を向くように位置している。
この排出孔81を有する下筒部分2bの外周壁と、排出孔82aを有する排出筒体82A・82Bの間には、図14(b)に示すように、所定の隙間が存在し、この隙間部分にリング状の排出量調整環83が回動自在に配置されている。
排出量調整環83は、図15(a)に示すように、下筒部分2bの排出孔81を閉鎖できる高さを有している。また、図14(b)・図15(a)に示すように、対向する2箇所の位置に、開口部84aを設けている。
また、図14(b)に示すように、両開口部84aに隣接するように、開口部84b、84cを設けている。この開口部84b、84cは、いずれも同一方向に開口部84aに隣接している(図14(b)に示す図において、いずれも開口部84aの下方向に隣接している)。さらに、排出量調整環83の外周壁には、所定の長さの歯部85を設けている。
排出孔81を有する下筒部分2bの外周壁には、図15(b)に示すように、所定の間隔を開けて2本の突出環86を設けている。この2本の突出環86により排出量調整環83を挟み込んで、下筒部分2bの外周壁に排出量調整環83を回動自在に保持しているのである。
排出量調整環83の移動は、下筒部分2bに取り付けた回転調整部87を操作して行う。この回転調整部87は、図15(b)に示すように、略コ字型の固定部88と、この固定部88に保持されている縦型の軸部89により形成されている。
軸部89上端部には、所定の操作片90が設けられている。また、軸部89下部には、所定の歯車91が固定されている。この歯車91の歯は、排出量調整環83の外周壁に設けている所定の長さの歯部85に歯合している。
噴出回転排気室3からの排気量調整は、この回転調整部87の操作片90を廻して行う。
例えば、操作片90を廻して排出量調整環83を移動させ、図14(b)に示すように、排出筒体82Aの排出孔82a・排出量調整環83の開口部84a・下筒部分2bの排出孔81が連通した状態とする。同様に、排出筒体82Bの排出孔82a・排出量調整環83の開口部84a・下筒部分2bの排出孔81も連通した状態とする。このとき、排出筒体82A・82Bから排出される排気量は、等しくなる。
また、回転調整部87の操作片90を廻し、排出量調整環83を図14(b)のF方向に移動させる。すると、排出筒体82Aの排出孔82a・排出量調整環83の開口部84c・下筒部分2bの排出孔81が連通した状態となる。
一方、排出筒体82Bの排出孔82aと下筒部分2bの排出孔81は、排出量調整環83により閉鎖される。そのため、排出筒体82Aのみから排気が排出されることとなる。
さらに、回転調整部87の操作片90を廻し、排出量調整環83を図14(b)のG方向に移動させる。すると、排出筒体82Aの排出孔82aと下筒部分2bの排出孔81は、排出量調整環83により閉鎖される。
一方、排出筒体82Bの排出孔82a・排出量調整環83の開口部84b・下筒部分2bの排出孔81が連通した状態となる。そのため、排出筒体82Bのみから排気が排出されることとなる。
このように、排出筒体82A・82Bから排出する排気量を調整することにより、飛行機体Pの尾翼側を移動させ、飛行機体Pの進行方向を決定するのである。
この他、飛行機体Pの下部には、図2に示すように、下筒部分2bの排気排出口43に向けて進退移動する開閉機構100を備えている。
この開閉機構100は、飛行機体Pの下部においてスライド移動するケーシング部101と、ケーシング部101を移動させる油圧ポンプ部102により構成されている。ケーシング部101は、油圧ポンプ部102が備えている伸縮ピストンロッド103に連結されている。
ケーシング部100は、図16・図17に示すように、飛行機体Pの下側に配置されている一対のレール部104を介して飛行機体Pに取り付けられている。
レール部104は、円筒部本体2の排気排出口43を挟み込むようにして、飛行機体Pの下側に固定されている。このレール部104は、側方から見て内向きの略J字型に形成され、レール内に複数のローラ105を並設している。個々のローラ105は、所定の軸を介してレール内に回転自在に取り付けられている。
ケーシング部100は、方形状の底板と、底板の両端部に垂設した側壁を備え、両側壁間に傾斜板106を固定している。この傾斜板106は、図16に示すように、先端部側が上方に位置し、後方側が下方に位置するように傾斜している。また、ケーシング部100の後方側は、開放された状態となっている。
その為、円筒部本体2の排気排出口43からの排気が、ケーシング部100の傾斜板106に当ったときは、傾斜板106に沿ってケーシング部100の後方から噴出されることとなり、前方向への推進力が生じる。
さらに、ケーシング部100は、両側壁の上端部に掛架片107を備えている。この掛架片107は、側壁の上端部から横方向に延設された水平板部と、水平板部の先端に設けた下向片により形成されている。そして、掛架片107の下向片を、レール部104のローラ105に載せて、ケーシング部91が前後にスライド移動できるようになっている。
次に、以上のように構成された飛行機体Pのエンジン1について、動作の一例を説明する。
エンジン1を始動させるときは、底室41内の回転始動モータ73を油圧ポンプ部74により上昇させ、回転始動モータ73の下側クラッチ盤76を、中央回転軸部50の上側クラッチ盤75に強固に接合させる。この状態で回転始動モータ73を駆動させて、タービン部材4を回転させる。
次に、燃焼噴出機構20を構成する燃料噴射体30に燃料を送り込んで、燃料噴射ノズル35から燃料を霧状に噴射し、点火栓36により点火する。そして、燃料噴射体30を内蔵している高圧空気路21の排気噴出口23から、排気を高速で噴出させる。この高速で噴出される排気により、主駆動タービン61を介してタービン部材4が高速で回転することから、この時点で回転始動モータ73の下側クラッチ盤76と、中央回転軸部50の上側クラッチ盤75の接合を解除する。
タービン部材4が高速で回転すると、中央回転軸部50に取り付けている圧縮内側羽根52も、保持筒体3の空気圧縮室11内において高速回転する。同様に、上側高圧羽根53も、保持筒体3の第一高圧室15内において高速回転する。同様に、下側高圧羽根58も、保持筒体3の第二高圧室16内において高速回転する。
このように、保持筒体3の空気圧縮室11内において圧縮内側羽根52が高速回転し、取り込んだ空気を圧縮しながら保持筒体3の底部分に向けて強制的に送り込んでいる。
また、保持筒体3の底部分においては、第一高圧室15内において上側高圧羽根53が高速回転し、空気をさらに圧縮する。同様に、第二高圧室16内においても下側高圧羽根58が高速回転し、空気を圧縮する。
さらに、上側高圧羽根53と下側高圧羽根58の高速回転により、保持筒体3の底部分において、圧縮されて高圧になっている空気の旋回流が生じている。また、保持筒体3内は、圧縮された空気により全体が高圧の状態となっている。
このように、保持筒体3内において充分に圧縮されて高圧になり、旋回流が生じている空気は、保持筒体3の開口部22を通過して燃焼噴出機構20の各高圧空気路21に送られる。
各高圧空気路21においては、点火状態の燃料噴射体30が存在し、圧縮されて高圧になっている空気が、空気取り入れ孔31を介して外側ケース32と内側ケース33の間に送り込まれる。また、外側ケース32と内側ケース33の間においては、燃料噴射ノズル35から燃料が霧状に噴射されており、圧縮されて高圧になっている空気と霧状の燃料が混合して燃焼し、開口部34から排気を高速で噴出させる。このようにして、高圧空気路21の排気噴出口23から、排気を高速で噴出させるのである。
この高速で噴出される排気により、主駆動タービン61を介してタービン部材4が高速で回転するのであるが、図12に示すように、主駆動タービン61は、保持筒体3の底部分の外周(第一高圧室15の外周)に巻回状に設けている燃焼噴出機構20を取り囲むように配置されており、大タービン羽根62の内側に燃焼噴出機構20が位置していることから、大タービン羽根62の内側において排気が高速で噴出されている。
そのため、図13に示すように、高速で噴出された排気が大タービン羽根62の内側の全体に満遍なく当たって、主駆動タービン61を効率よく回転させている。
また、排気が高速で噴出されている方向と大タービン羽根62が回転する方向が同一となり、主駆動タービン61を効率よく回転させている。さらに、燃焼噴出機構20における高圧空気路21の排気噴出口23と燃料噴射体30の開口部34は、図7に示すように、いずれも保持筒体3の周壁に沿うように配置されている。
その為、図13に示すように、大タービン羽根62の回転する方向に沿って排気を高速で噴出して、大タービン羽根62の内側において旋回流を生じさせ、この旋回流が大タービン羽根62の全体に満遍なく当たって、主駆動タービン61を効率よく回転させている。また、旋回流は、大タービン羽根62の外側においても発生し、下筒部分2bにおける噴出回転排気室38の全体に旋回流が生じることとなり、主駆動タービン61を効率よく回転させている。
加えて、円周の大きい主駆動タービン61により回転力を得ることから、中央回転軸部50に伝達される回転力がさらに大きなものとなる。このタービン部材4の中央回転軸部50の駆動は、トランスミッション機構部T1を介して連結軸T2に伝えられ、連結軸T2の駆動は、トランスミッション機構部T3を介して、駆動軸T4に伝えられる。この駆動軸T4には、大型のプロペラ機構部T5が接続されていることから、タービン部材4の中央回転軸部50を駆動させることにより、飛行機体Pのプロペラ機構部T5を回転させて、飛行機体Pの飛行を可能にする揚力を得るのである。
そして、噴出回転排気室38に生じた旋回流は、連結板部材40の間を通過して下筒部分2bにおける下方に送られ、その回転力が衰えることなく、底室41の周囲を旋回しながら排気排出口43から排出される。
このとき、旋回流は、底室41を形成している中空の円錐台形状部分の外周を旋回し、その通路が次第に狭くなっていることから、再度加圧されて高圧の状態で旋回し、排気排出口43から排出されて所定の揚力が得られる。
また、油圧ポンプ部102を介してケーシング部100をスライド移動させ、下筒部分2bにおける排気排出口43の下方にケーシング部100の傾斜板106を配置したときには、円筒部本体2の排気排出口43からの排気が、ケーシング部100の傾斜板106に当って傾斜板106に沿って流れ、ケーシング部100の後方から噴出されることとなり、前方向への推進力が生じる。
この他、回転調整部87の操作片90を操作して、排出筒体82A・82Bから排出する排気量を調整することにより、飛行機体Pの尾翼側を移動させ、飛行機体Pの進行方向を決定することも可能となる。
本発明に係る飛行機体のエンジンは、航空機分野における、例えば、輸送用ヘリコプター等に搭載されることの他に、様々な飛翔体の揚力発生可能な垂直離着陸装置として、幅広く利用することができる。
エンジンを搭載した飛行機体の構成を示す平面図である。 エンジンを搭載した飛行機体の構成を示す側面図である。 タービン部材を備えている円筒部本体の構成を示す斜視図である。 タービン部材を備えている円筒部本体の構成を示す断面図である。 タービン部材が存在していない円筒部本体の構成を示す断面図である。 円筒部本体の上筒部分の構成を示す切断斜視図である。 燃焼噴出機構の構成を示す平面図である。 燃料噴射体の構成を示す切断斜視図である。 タービン部材の構成を示す一部拡大の側面図である。 上側高圧羽根、下側高圧羽根、主駆動タービンの構成を示す分解斜視図である。 タービン部材が存在していない円筒部本体の構成を示す断面図である。 円筒部本体の構成を示す平断面図である。 燃料噴射体から高速で噴出された排気が、大タービン羽根の内側の全体に当たって、主駆動タービンを効率よく回転させる状態を示す概略の斜視図である。 排気排出機構の構成を示すもので、(a)は平面図、(b)は平断面図である。 排気排出機構の構成を示すもので、(a)は排出量調整環の斜視図、(b)は回転調整部の斜視図である。 開閉機構の構成を示す斜視図である。 開閉機構の構成を示す断面図である。
符号の説明
P…飛行機体

T1…トランスミッション機構部
T2…連結軸
T3…トランスミッション機構部
T4…駆動軸
T5…プロペラ機構部

1…エンジン
2…円筒部本体
2a…上筒部分
2b…下筒部分
3…保持筒体
4…タービン部材
5…熱の伝達防止用空間
6…輪郭縁部材
7…仕切板部材
8…空気取り入れ開口部
9…ベアリング部材
10…圧縮外側羽根
11…空気圧縮室
12…燃料貯留室
13…上方仕切板
14…下方仕切板
15…第一高圧室
16…第二高圧室
20…燃焼噴出機構
21…高圧空気路
22…開口部
23…排気噴出口
30…燃料噴射体
31…空気取り入れ孔
32…外側ケース
33…内側ケース
34…開口部
35…燃料噴射ノズル
36…点火栓
37…燃料パイプ
38…噴出回転排気室
40…長尺連結板部材
41…底室
42…短尺連結板部材
43…排気排出口
44…ベアリング部材
50…中央回転軸部
51…基部
52…圧縮内側羽根
53…上側高圧羽根
54…小タービン羽根
55…板部材
56…板羽根部材
57…筒部材
58…下側高圧羽根
59…筒部材
60…板羽根部材
61…主駆動タービン
62…大タービン羽根
63…補強部材
64…板羽根部材
65…元部
65a…垂直筒部分
65b…円形部分
66…ベアリング部材
67…吸引通路
68…空気噴射通路
70…燃料供給管
71…燃料の流量調節部
72…高圧空気管
73…回転始動モータ
74…油圧ポンプ部
75…上側クラッチ盤
76…下側クラッチ盤
80…排気排出機構
81…排出孔
82A…排出筒体
82B…排出筒体
82a…排出孔
83…排出量調整環
84a…開口部
84b…開口部
84c…開口部
85…歯部
86…突出環
87…回転調整部
88…固定部
89…軸部
90…操作片
91…歯車
100…開閉機構
101…ケーシング部
102…油圧ポンプ部
103…伸縮ピストンロッド
104…レール部
105…ローラ
106…傾斜板
107…掛架片

Claims (4)

  1. 円筒部本体の内部に、底部分を有して下方が閉鎖している保持筒体を配置し、この保持筒体を貫通する中央回転軸部を有する縦型のタービン部材を保持筒体に回転可能に取り付け、タービン部材の回転により大型のプロペラを回転させる飛行機体のエンジンであり、保持筒体の底部分の外周壁に燃焼噴出機構を設ける一方、中央回転軸部の下方に、燃焼噴出機構を取り囲むように主駆動タービンを配置し、
    保持筒体は、タービン部材に固定している圧縮内側羽根、上側高圧羽根、下側高圧羽根の回転により取り込んだ空気を圧縮するもので、この保持筒体の底部分と燃焼噴出機構が連通しており、保持筒体内で圧縮した空気を燃焼噴出機構に送り込むと共に、
    燃焼噴出機構は、保持筒体の底部分の外周壁に、保持筒体の接線方向に沿う方向に排気噴出口を有する複数の高圧空気路を設け、それぞれの高圧空気路内には、高圧空気路の排気噴出口に向けて排気を高速で噴射させる開口部を有する燃料噴射体を配置し、
    主駆動タービンは、立設した複数の大タービン羽根を備え、大タービン羽根の下端部側と中央回転軸部を湾曲した板羽根部材により連結して成り、主駆動タービンの内側に位置している燃焼噴出機構は、主駆動タービンが回転する方向に沿って排気を高速で噴出して大タービン羽根を高速で回転させることを特徴とする飛行機体のエンジン。
  2. 円筒部本体の内部に生じた旋回流は、円筒部本体の下部に位置する排気排出口から排出される請求項1に記載の飛行機体のエンジン。
  3. 円筒部本体を構成する下筒部分の周壁に、対向するように2箇所の排出孔を設け、この2箇所の排出孔の位置に合致するように、下筒部分の周壁に2個の排出筒体を設け、下筒部分の外周壁と、排出孔を有する排出筒体の間に、排出量調整環を介在させている請求項1または2に記載の飛行機体のエンジン。
  4. 排出量調整環を移動させて、一方の排出筒体のみから排気が排出されるように排気量の調整が可能である請求項3に記載の飛行機体のエンジン。
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