JP4750999B2 - 核因子κB誘導因子 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、免疫応答および他の細胞機能に関与する遺伝子の調節に関係する真核細胞転写因子のファミリーからなる核因子κB(NFκB)に関する。場合により、NFκBの活性化は最終的に病的状態を生じる炎症応答を招くことがある。したがって、NFκBの誘導をコントロールすることが望ましい場合がある。本発明は、NFκBの誘導に関与し、NFκBの発現もしくは活性化を増強させるため、またはNFκBの発現もしくは活性化の阻害剤を同定もしくは調製するために使用できるポリペプチドを提供する。
【0002】
【背景技術】
核因子κB(NFκB)は、ほとんどすべて、真核細胞中に見出される転写因子のファミリーからなる。NFκBは組織の炎症、細胞の増殖、および細胞の分化に関与する遺伝子の調節の役割を果たす。
【0003】
疾患状態と、NFκBからなるサブユニットタンパク質の発現または細胞中に既に存在するNFκBの活性化との間の関係は、これまでに多くの研究によって調べられている。Li et al.は、HTLV−1 Taxタンパク質によるNFκBの調節について研究し、NFκB経路を活性化するTaxの能力がHTLV−1誘導性の細胞の形質転換に必須の役割を果たしていることを証明した(Lie et al., Gene Expr. 7, 4−6, 233−245, (1999))。LentschおよびWardは急性炎症時におけるNFκBの活性化および調節を研究し、NFκBとIκBのファミリー阻害タンパク質との間の関係について報告している(Lentsch et al., Clin. Chem. Lab. Med., 37, 3, 205−208, (1999))。Visconti et al.は甲状腺癌細胞系を分析することによって甲状腺の発癌におけるNFκBの役割を検討した。彼らの研究によれば、p65タンパク質の過剰発現によるNFκB複合体の活性化が甲状腺の細胞の形質転換過程に重要な役割を果たすことが指示された(Visconti et al., Oncogene, 15, 16, 1987−1994, (1997))。Mukhopadhyay et al.は非小細胞肺癌組織におけるNFκB転写因子複合体のp50サブユニットの発現を検討し、新鮮な非小細胞肺癌組織の81%が正常な肺組織より2〜20倍高レベルのp50サブユニットを発現することを証明した(Mukhopadhyay et al., Oncogene, 11, 5, 999−1003, (1995))。Khaled et al.はp50遺伝子の発現を特異的なアンチセンス3'ホスホロチオエート修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドで標的化し、NFκBの発現を低下させることができた。彼らの結果は、p50アンチセンス分子はNFκBの発現を低下させ、免疫応答を下方調整することが可能であることを証明し、自己免疫障害の処置における可能性を示した(Khaled et al., Clin. Immunol. Immunopathol. 83, 3, 254−263, (1997))。
【0004】
【発明の開示】
本発明によれば、核因子κB誘導因子(NFIF)14bおよび7aをコードする核酸配列が提供される。また、NFIF−14bおよびNFIF−7aをコードするcDNA、ならびにNFκBを誘導する単離、精製NFIF−14bおよびNFIF−7aポリペプチドも本発明に包含される。本発明にはまた、患者の生体内に、たとえばNFIF− 14bおよびNFIF−7aポリペプチドを発現する発現ベクターを含む、NFκBの誘導を活性化する組成物を導入することからなるNFκBの誘導方法を包含する。好ましい発現ベクターの例には、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ヘルペス、ヘルペスウイルスベクターおよび裸DNAベクターがある。本発明はまた、本発明の組成物がNFIF−14bまたはNFIF−7aポリペプチドならびに製薬上許容される担体からなる方法を提供する。
【0005】
本発明の他の態様は、アンチセンス核酸からなるNFIF遺伝子の発現を低下させるための組成物である。本発明のさらに他の態様は、NFIFポリペプチドに結合し、その活性を低下させる中和抗体からなるNFIFポリペプチドの活性を低下させるための組成物である。
【0006】
本発明のさらに他の実施態様は、NFIFポリペプチドをコードするRNAを切断するリボザイムからなる患者におけるNFIFの発現を低下させる組成物である。
【0007】
本発明は、試験化合物がNFIF−14bポリペプチドの活性を阻害するのに有効であるか否かを評価する方法において、(A)(1)NFIF−14b;(2)NFκB−調節レポーター遺伝子;および(3)試験化合物からなる第一のサンプル中におけるNFκB−調節遺伝子の発現レベルを、(4)NFIF−14b;および(5)NFκB−調節レポーター遺伝子からなる第二のサンプルにおける遺伝子発現レベルと比較し、ついで(B)レポーター遺伝子の発現が第二のサンプル中に比較して第一のサンプル中における方が低いことを確認することからなる方法を提供する。
【0008】
本発明のさらに他の態様は、試験化合物がNFIF−7aポリペプチドの活性を阻害するのに有効あるか否かを評価する方法において、(A)(1)NFIF−7a;(2)NFκB−調節レポーター遺伝子;および(3)試験化合物からなる第一のサンプル中におけるNFκB−調節遺伝子の発現レベルを(4)NFIF−7a;および(5)NFκB−調節レポーター遺伝子からなる第二のサンプルにおける遺伝子発現レベルと比較し、ついで(B)レポーター遺伝子の発現が第二のサンプル中に比較して第一のサンプル中における方が低いことを確認することからなる方法を提供する。
【0009】
本発明のさらに他の態様は、試験化合物がNFκBレギュレーターレポーター遺伝子の発現に基づくNFIF−14bの活性を増強できるか否かを同定する方法において、(A)(1)NFIF−14b;(2)NFκB−調節レポーター遺伝子;および(3)試験化合物からなる第一のサンプル中におけるNFκB−調節遺伝子の発現レベルを(4)NFIF− 14b;および(5)NFκB−調節レポーター遺伝子からなる第二のサンプルにおける遺伝子発現レベルと比較し、ついで(B)レポーター遺伝子の発現が第二のサンプルの場合に比較して第一のサンプル中における方が高いことを確認することからなる方法を提供する。
【0010】
本発明の他の態様は、試験化合物がNFκBレギュレーターレポーター遺伝子の発現に基づくNFIF−7aの活性を増強できるか否かを同定する方法において、(A)(1)NFIF−7a;(2)上記NFκB−調節レポーター遺伝子;および(3)試験化合物からなる第一のサンプル中におけるNFκB−調節遺伝子の発現レベルを(4)NFIF−7a;および(5)NFκB−調節レポーター遺伝子からなる第二のサンプルにおける遺伝子発現レベルと比較し、ついで(B)レポーター遺伝子の発現が第二のサンプルの場合に比較して上記第一のサンプル中における方が高いことを確認することからなる方法を提供する。
【0011】
本発明のさらに他の態様においては、NFκB−依存性遺伝子の発現を阻害する方法において、NFIF−14bまたはNFIF−7aの活性を阻害する組成物を患者に投与することからなる方法が提供される。
【0012】
本発明のさらに他の態様は、NFIF−14bまたはNFIF−7aの活性を阻害する組成物を患者に投与することからなるNFκB−依存性遺伝子の発現を阻害する方法を提供する。
【0013】
本発明のさらに他の態様は、NFIF−14bまたはNFIF−7aの活性を阻害する組成物を投与することからなる炎症の阻害方法である。
【0014】
本発明の他の態様は、NFκB−調節炎症応答の処置および/または予防を目的とする医薬の製造のためのNFIFポリペプチドの使用に関する。本発明のさらに他の態様はNFκB−調節炎症応答の処置および/または予防を目的とする医薬の製造のためのNFIFポリペプチドをコードする核酸の使用に関する。
【0015】
本発明の他の態様は、NFκB−調節炎症応答の処置および/または予防を目的とする医薬の製造のためのNFIFポリペプチドをコードする核酸からなる組換えベクターの使用に関する。本発明のさらに他の態様はNFκB−調節応答の処置および/または予防を目的とした、医薬の製造のための欠損組換えウイルスベクターの使用に関する。
【0016】
本発明の他の態様は、生体内に移植され、本発明のNFIFポリペプチドを長期にわたり効果的に in vivo で発現する組換えウイルスによりエクスビボで遺伝的に修飾された細胞の使用またはこのような組換えウイルスを含有する細胞の産生に関する。
【0017】
本発明のポリペプチドに類似性を示す2つの配列はジーンバンク核酸配列ライブラリーにおいて利用可能である。受入番号Y08135を有する第一の配列は完全長マウス酸スフィンゴミエリナーゼ様ホスホジエステラーゼ3aとして同定されるペプチドをコードする。受入番号Y08136の第二の配列は、ヒト酸スフィンゴミエリナーゼ様ホスホジエステラーゼ3aとして同定されるタンパク質配列に対する部分的なヒトクローン(836 bpの536 bpがコードされる)をコードする。両配列ともに1996年9月17日にK. Hofmannによって提出された。これらの両配列は酸スフィンゴミエリナーゼ様ホスホジエステラーゼをコードするとして同定されたが、このタイプの酵素活性の確認はこれまでにない。これらの配列はこれらのタンパク質の3' 配列とスフィンゴミエリナーゼファミリーのメンバーの3' 配列の間の類似性によって、酸スフィンゴミエリナーゼ様ホスホジエステラーゼとして同定された。
【0018】
【発明の詳述】
本発明はNFκBを誘導できるポリペプチドならびにNFκBの誘導を阻害できる化合物および組成物を提供する。
【0019】
本発明は一部、NFκB−誘導因子(NFIF)タンパク質の発見に基づくものである。NFIFタンパク質の2つの機能性変異体が同定された。一つの変異体は完全長NFIFからなるNFIF−14bである。第二の変異体、NFIF−7aはNFIF−14bのスプライス変異体と考えられる。NFIF−14bおよびNFIF−7aの両者ともNFκBを誘導する能力を有する。
【0020】
NFκBは免疫応答および他の細胞活性の関与する遺伝子を調節する真核細胞転写因子のファミリーからなる。場合により、免疫応答を開始させるか、またはその程度を増強させるために、NFκBを誘導することが望ましい。他の場合には、NFκB−調節免疫応答を低下または防止するために、NFκBの誘導を低下または防止することが望ましい。たとえば、NFIFは動脈硬化症を包含する、NFκB−調節免疫応答に関連する様々な病因に関係することが見出されている。NFIF遺伝子の発現を阻害することにより、または他の方法でNFIFタンパク質の活性に干渉することによって、NFκBの誘導を阻害し、それにより、動脈硬化症および他の疾患を生じるNFκB−調節炎症応答を阻害または防止することができる。
【0021】
NFIFをコードする遺伝子の発見およびNFIFタンパク質を調製する能力は、NFIFタンパク質の活性を阻害できる化合物および組成物の同定および製造、したがってNFκB誘導の阻害を容易にする。
【0022】
定義の項に始まる以下の記述はNFκBに関する背景情報に続いている。続いて、本発明のNFIFポリペプチドについての考察、ならびにこのようなポリペプチドをコードするDNAの単離およびそれらのポリペプチド変異体の製造方法に関する情報について記述する。ついで、NFIFポリペプチドDNAをコードするDNAを発現できる発現ベクターに関し、その発現システムに適当なプロモーターに関する情報を含めて、発現ベクターを適当な宿主細胞およびウイルスベクターシステムに導入する方法を記述する。NFIFポリペプチドおよびそれらの変異体に関するこの記述に続いて、NFIFポリペプチドに関する治療における使用を記述する。次に、本発明の実施に有用な組成物を説明する。続いて、NFIF、アンチセンス核酸、リボザイムおよび抗体に基づくポリペプチドを含む様々な治療用組成物および化合物について略述する。最後に上述の化合物および組成物を用いる本発明の方法について説明する。
【0023】
定義
「NFIF」の語は「核因子κB−誘導因子」を意味して使用される。
NFIFの活性の記述において用いられる場合、「誘導する」または「誘導」の語は、それらの範囲に、NFκBからなるサブユニットタンパク質の発現を直接もしくは間接的に引き起こす能力ならびに細胞内に既に存在するNFκBを活性化する能力を包含する。この活性化は直接的でも間接的でもよく、それにより転写因子としてのNFκBの機能化を生じる。
【0024】
この記述の目的においては、「核酸配列」の表現はポリヌクレオチドまたは核酸のいずれかを意味して使用される。「ヌクレオチド配列」の表現は、遺伝子材料自体をカバーするものであり、したがってその配列に関連する情報に限定されるものではない。
【0025】
「核酸」、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」または「ヌクレオチド配列」の語はRNA, DNA, gDNAもしくはcDNA配列または2以上のヌクレオチドのRNA/DNAハイブリッド配列をカバーし、一本鎖型または二本鎖型のいずれであってもよい。
【0026】
「核酸」は、ヌクレオチドと呼ばれるサブユニットが共有結合してなるポリマー化合物である。核酸にはポリリボ核酸(RNA)およびポリデオキシリボ核酸(DNA)が包含され、いずれも一本鎖または二本鎖である。DNAにはcDNA, ゲノムDNA, 合成DNAおよび半合成DNAが包含される。タンパク質をコードするヌクレオチドの配列はセンス配列またはコード配列と呼ばれる。
【0027】
「ヌクレオチド」の語は天然のヌクレオチド(A, T, G, C)ならびに少なくとも1個の修飾体たとえば(1)プリン類縁体、(2)ピリミジン類縁体または(3)糖類縁体からなる修飾ヌクレオチドの両者を意味し、たとえば修飾ヌクレオチドはPCT出願WO95/04064に記載されている。
【0028】
本発明の目的では、第一のヌクレオチド塩基のそれぞれがオリエンテーションの逆な第二のポリヌクレオチドの相補性塩基とペアを形成する場合、第一のポリヌクレオチドは第二のポリヌクレオチドと「相補性」であるとみなされる。相補性塩基はAおよびT(またはAおよびU)、またはCおよびGである。
【0029】
「異種」DNAは、細胞内または細胞の染色体部位に天然には存在しないDNAを意味する。好ましくは、異種DNAは細胞に外来性の遺伝子を包含する。
【0030】
本明細書で用いられる「相同」の語は、そのすべての文法的形式およびスペルの変化において、スーパーファミリー(たとえば免疫グロブリンスーパーファミリー)からのタンパク質および異種からの相同タンパク質(たとえばミオシン軽鎖等)を含む「共通の発生起源」を有するタンパク質の間の関係を意味する(Reeck et al., Cell 50: 667, (1987))。このようなタンパク質(およびそれらのコード遺伝子)はそれらの高度の配列類似性に反映される配列の相同性を有する。
【0031】
すなわち、「配列類似性」の語は、そのすべての文法的形式において、共通の発生起源をもつかまたはもたない核酸またはタンパク質のアミノ酸配列間の同一性または相同性の程度を意味する(前述の Reeck et al. 参照)。しかしながら、一般的慣習および本出願においては、「高度に」のような副詞で修飾された「相同」の語は配列類似性に関し共通の発生の起源を意味しない。
【0032】
特異的な実施態様においては、ヌクレオチドの少なくとも約50%(好ましくは少なくとも約75%、さらに好ましくは少なくとも約90または95%)がDNA配列の既定の長さにわたってマッチしている場合、2個のDNA配列は「実質的に相同」であるかまたは「実質的に類似」している。標準ソフトウエアを用いて配列データバンク中の配列、またはたとえば特定のシステムについて定義されるストリンジェントな条件下にサザンハイブリダイゼーション実験で配列を比較することにより、実質的に相同の配列を同定することができる。適当なハイブリダイゼーション条件の定義は当業者には周知である。たとえば、Maniatis et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring, NY, (1982); Glover et al., DNA Cloning: A Practical Approach, Volume I & II Oligo− nucleotide Synthesis, MRL Press, Ltd, Oxford, U.K. (1985); Hames & Higgins, Hames BD & Higgins SJ, (1985). Nucleic acid hybridization: a practical approach, Hames & Higgins Ed, IRL Press, Oxford, (1985)参照。
【0033】
同様に、特定の実施態様においては、30%以上のアミノ酸が同一であるか、または約60%以上が類似(機能的に同一)である場合、2つのアミノ酸配列は「実質的に相同」または「実質的に類似」である。好ましくは、類似または相同な配列は、たとえばGCG(Genetics Computer Group, Program Manual for the GCG Package, Version 7, Madison, Wisconsin)パイルアッププログラムを用いるアラインメントによって同定される。
【0034】
本発明の目的において2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列の間の「同一性百分率」は、比較のためにウインドウを通して至適にアラインされた2つの配列を比較することによって決定される。
【0035】
すなわち比較のためのウインドウ内におけるヌクレオチドまたはポリペプチド配列部分は、2つの配列の至適アラインメントが得られるように参照配列(これらの付加またはこれらの欠失を含まない)に比べて付加または欠失(例えば「ギャップ」)から構成される。
【0036】
百分率は比較される2つの配列(核酸またはペプチド)について同一の核酸塩基または同一のアミノ酸残基が観察される位置の数を計算し、2つの塩基またはアミノ酸残基の間が同一の位置の数を、比較のためのウインドウ内位置の総数で除し、得られた数に100を乗じて配列の同一性百分率を求める。
【0037】
比較に至適な配列アラインメントは575 Science Doctor, Madison, Wisconsinの Genetics Software Package社からのGenetics Computer Group (GCG) からのパッケージに含まれる既知のアルゴリズムを用いて達成される。
【0038】
例示すれば、配列同一性の百分率はBlastソフトウエア(バージョン1996年3月 Blast 1.4.9, 1998年2月Blast 2.0.4および1998年9月Blast 2.0.6)を用い欠損パラメーターは排除して得ることが可能である(Altschul et al., J. Mol. Biol. 215: 403−410, 1990; Altschul et al., Nucleic Acids Res. 25: 3389−3402, 1997)。参照「リクエスト」配列に対する配列類似性/相同性はAltschul et al.のアルゴリズムを用いてBlastにより探索する。使用したリクエスト配列およびデータベースはペプチドまたは核酸型であり、任意の組み合わせが可能である。
【0039】
「相当する」の語は、類似性または相同性が測定される分子と正確な位置が同一または異なっていても、本明細書においては類似または相同な配列を意味するために使用される。核酸またはアミノ酸配列のアラインメントにはスペースが包含される。したがって、「相当する」の語は配列類似性を意味し、アミノ酸残基または核酸塩基の数は意味しない。
【0040】
本発明による核酸の「変異体」の語は、参照ポリヌクレオチドと比較して1または2以上の塩基で相異する核酸を意味するものと理解される。変異核酸は天然に存在する対立変異体のように天然起源であってもよく、またたとえば突然変異技術によって得られる非天然変異体であってもよい。
【0041】
一般に、参照(一般に野生型)核酸と変異核酸の間の差は小さく、参照核酸と変異核酸のヌクレオチド配列はきわめて類似し、多くの領域で同一である。変異核酸中に存在するヌクレオチド修飾はサイレントである。これは、それらが上記変異核酸によってコードされたアミノ酸配列を変えないことを意味する。
【0042】
しかしながら、変異核酸におけるヌクレオチドの変化はまた、参照核酸によりコードされるポリペプチドに比べて、変異核酸によってコードされるポリペプチドに置換、付加または欠失を生じることもある。さらに、コード領域におけるヌクレオチド修飾がポリペプチドのアミノ酸配列内に保存的または非保存的置換を生じることもある。
【0043】
本発明による変異核酸は参照核酸のポリペプチドと同一の機能および生物活性を好ましくは実質的に保存するポリペプチドをコードするか、または初期の参照核酸によりコードされるポリペプチドに対する抗体により認識される能力を保存する。
【0044】
したがって一部の変異核酸配列はポリペプチドの突然変異型をコードし、その系統的研究は、問題のタンパク質の構造−活性相関を導き出すことを可能にする。検討した疾患との関連におけるこれらの変異体の知識は疾患の分子的原因を理解することを可能にするので必須である。
【0045】
「フラグメント」の語は、参照核酸に比べて長さが短く、共通部分は参照核酸と同一のヌクレオチド配列からなるヌクレオチド配列を意味する。本発明によるこのような核酸「フラグメント」は適宜、それを成分とするより大きなポリヌクレオチドを包含する。このようなフラグメントは本発明の核酸8、10、12、15、18、20〜25、30、40、50、70、80、100、200、500、1000または1500連続ヌクレオチド長の範囲のオリゴヌクレオチドからなるかまたは構成される。
【0046】
「核酸分子」の語は、リボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジンまたはシチジン;「RNA分子」)もしくはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジンまたはデオキシシチジン;「DNA分子」)のホスフェートエステルポリマー型またはそれらの任意のホスホエステル類縁体たとえばホスホロチオエートおよびチオエステルを意味し、それらの一本鎖型または二本鎖ヘリックスである。二重鎖DNA−DNA、DNA−RNAおよびRNA−RNAヘリックスが可能である。核酸分子、とくにDNAまたはRNA分子の語は、分子の一次および二次構造のみを意味し、特定の三次型に限定されない。すなわち、この語はとくに直鎖状または環状DNA分子(たとえば制限フラグメント)中に見出される二重鎖DNA, プラスミドおよび染色体を包含する。特定の二重鎖DNA分子の構造を論じる場合、本明細書においては、配列はDNAの非翻訳鎖(すなわちmRNAに相同な配列を有する鎖)に沿った5′から3′方向の配列のみを与える通常の慣行に従って記載する。「組換えDNA分子」は分子生物学的操作を受けたDNA分子である。
【0047】
核酸分子は、核酸分子の一本鎖型が適当な温度およびイオン強度の溶液条件下に他の核酸分子にアニーリングできる場合、他の核酸分子たとえばcDNA, ゲノムDNAまたはRNAに「ハイブリダイズ」する(Sambrook et al., Molecular cloning: a labo− ratory manual. 2 ed. Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, 1989)。温度およびイオン強度の条件はハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を決定する。相同な核酸の一次スクリーニングのための低い「ストリンジェンシー」ハイブリダイゼーション条件はTm 55°に相当し、たとえば5×SSC、0.1%SDS、0.25%ミルク、ホルムアミドなしか30%ホルムアミド、5×SSC、0.5%SDSを使用することができる。中等度のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件は高いTm, たとえば40%ホルムアミドと5×または6×SCCに相当する。高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件は最も高いTm、たとえば50%ホルムアミド、5×または6×SCCに相当する。ハイブリダイゼーションは2つの核酸が相補性の配列を含有することを要求するが、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに応じて塩基間のミスマッチが可能である。核酸をハイブリダイズするために適当なストリンジェンシーは核酸長さおよび相補性の程度の変動に依存することは本技術分野において周知である。2つの核酸間の類似性または相同性が大きいほど、これらの配列を有する核酸のハイブリッドのためのTm値は大きい。核酸ハイブリダイゼーションの相対的安定性(高いTmに相当する)は以下の順に低下する。すなわちRNA:RNA, DNA:RNA, DNA:DNAである。長さ100ヌクレオチド以上のハイブリッドのためには、Tmを計算する式が誘導されている(Sambrook et al., 上掲, 9.50−0.51参照)。短い核酸すなわちオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションの場合は、ミスマッチの位置はさらに重要で、オリゴヌクレオチドの長さがその特異性を決定する(Sambrook et al., 上掲, 11.7−11.8参照)。好ましくはハイブリダイゼーション可能な核酸の最低の長さは少なくとも約10ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約15ヌクレオチド、さらに好ましくは長さが少なくとも約20ヌクレオチドである。
【0048】
特異的な実施態様においては、「標準ハイブリダイゼーション条件」の語はTm 55℃を意味し、上掲のような条件が利用される。好ましい実施態様においては、Tmは60℃であり、さらに好ましい実施態様においては、Tmは65℃である。
【0049】
本発明の目的において「高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件」とは以下の条件を意味するものと理解すべきである。
1−膜競合およびプレハイブリダイゼーション:
- ミックス:40μLサケ精子DNA(10mg/mL)+40μLヒト胎盤DNA(10mg/mL)
- 5分間96℃で変性し、ついで混合物を氷中に浸漬する。
- 2×SSCを除去し、膜を含有するハイブリダイゼーションチューブ中にホルムアミドミックス4mLを注ぐ。
- 2つの変性DNAの混合物を加える。
- 攪拌しながら42℃で5〜6時間インキュベートする。
【0050】
2−標識プローブ競合
- 標識した精製プローブ10〜50μLにCot I DNAを、リピートの量に応じて加える。
- 7〜10分間95℃で変性する。
- 65℃で2〜5時間インキュベートする。
【0051】
3−ハイブリダイゼーション:
- プレハイブリダイゼーションミックスを除去する。
- 40μLサケ精子DNA+40μLヒト胎盤DNAを混合し、5分間96℃で変性し、ついで氷中に浸漬する。
- ハイブリダイゼーションチューブ中にホルムアミドミックス4mL、2つのDNAの混合物および変性させた標識プローブ/Cot I DNAを加える。
- 攪拌しながら42℃で15〜20時間インキュベートする。
【0052】
4−洗浄と暴露:
- 2×SSC中室温で1回洗浄して濯ぐ。
- 2×SSC中室温および0.1%SDS中65℃で5分間2回洗浄。
- 1×SSC中65℃および0.1%SDS中65℃で15分間2回洗浄。
- 膜を澄明なプラスチックラップで覆い、暴露する。
【0053】
上述のハイブリダイゼーション条件は、20ヌクレオチドから数百ヌクレオチドの様々な長さの核酸分子を高いストリンジェンシーの条件下にハイブリダイズするのに適している。上述のハイブリダイゼーション条件は、そのハイブリダイゼーションが追求されているかまたは標識のタイプが選択されている核酸の長さの関数として、本技術分野の熟練者には周知の技術により調整される。適当なハイブリダイゼーション条件はたとえばHames & Higgins, (1985) 前出、または F. Ausubel et al.によるマニュアル, Current Protocols in Molecular Biology, Green Publishing Association and Wiley Interscience, N. Y. (1989) に含まれる教示に従い調整することができる。
【0054】
核因子κ B
核因子κB(NFκB)は真核細胞転写因子のファミリーからなる。NFκB転写因子は最初、ネズミBリンパ球におけるκ軽鎖遺伝子のエンハンサーエレメントに結合する因子として同定された。その後の研究によって、NFκBはほとんどすべての細胞に存在し、組織炎症、細胞増殖および細胞分化に関与する遺伝子を調節することが明らかにされた。
【0055】
NFκBは少なくとも5つのサブユニット、すなわちp50, p52, p65 (RelA), c−RelおよびRelBからなり、これらは様々な組み合わせでホモダイマーおよびヘテロダイマーを形成することができる。NFκBの活性型は通常p65 (RelA) およびp50からなるヘテロダイマーである。
【0056】
大部分の細胞では、NFκBは、阻害タンパク質I−κBに会合することによりサイトゾル中に封鎖された不活性ヘテロダイマーとして存在する。炎症刺激のような刺激に応答して、I−κBタンパク質はリン酸化され、分解され、I−κB− NFκB複合体の解離およびNFκBの核への移動を生じる。核に入ると、NFκBはNFκB DNA結合モチーフを含む特異的エンハンサー部位を認識し、基礎転写因子と相互作用し、TATAボックス結合タンパク質とともにRNAポリメラーゼII仲介転写を開始する。上述のように、これは広範囲の遺伝子とくに免疫および炎症応答に関与する遺伝子の転写を生じる。
【0057】
上述のように、本発明は一部、核因子κB−誘導因子(NFIF)タンパク質の発見に基づくものである。これらのタンパク質はNFκBの誘導に関与する。これらのNFIFタンパク質の発見はNFκB−調節炎症応答が関与する状態の処置への別のアプローチを提供する。NFκB−調節炎症応答は様々な疾患状態を伴い、それらに限定されるものではないが、慢性関節リウマチ、動脈硬化症、自己免疫疾患、ウイルス疾患、NSAID−誘発胃疾患、神経変性疾患、スクレイピー、敗血症、アポトーシス、クローン病、腎疾患、再狭窄、脳傷害/炎症、アルツハイマー病、喘息、および多面発現性サイトカインの不適正に調節された発現が包含される。免疫応答の増大を生じさせる目的でのNFκB誘導の増大が望ましい場合には、本発明のNFIFタンパク質を患者に導入するか、または発現させて、NFκBを誘導させることができる。他方、免疫応答を阻害または防止するためにNFκBの誘導を阻害することが望ましい場合は、NFIFタンパク質をコードする遺伝子配列およびこれらのタンパク質がいかにして調製されるかの本発明による提供を、NFIFタンパク質の発現を阻害もしくは防止するか、またはNFIFタンパク質と相互作用してそれらの活性を阻害もしくは防止する化合物および組成物を同定するために使用することができる。
【0058】
核因子κ B 誘導因子( NF κ B )タンパク質
本発明のポリペプチドおよびタンパク質には組換えポリペプチド、天然のポリペプチドまたは合成ポリペプチドが包含され、ヒト、ウサギまたは他の動物起源のものであってよい。
【0059】
ポリペプチドは天然のソースたとえば胎盤抽出物、ヒト血漿、または培養細胞の条件メジウムから、本技術分野の熟練者に周知の精製操作を用いて単離することができる。
【0060】
また、本発明のポリペプチドは、それらのポリペプチドをコードする核酸を適当なベクターと結合し、得られたベクターを適当な宿主に挿入し、得られた宿主細胞によって産生されたポリペプチドを回収し、回収されたポリペプチドを精製することからなる組換えDNA技術を用いて調製することができる。
【0061】
ポリペプチドは再現性のある単一分子量および/または多重セットの分子量、クロマトグラフィーの性質および溶出プロフィル、アミノ酸組成および配列、ならびに生物活性によって特徴づけることができる。
【0062】
NFIF ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の単離
本発明の実施態様NFIF−14bおよびNFIF−7aは、本技術分野の熟練者には周知の様々の適当な方法で調製することができる。一般的な分子生物学、微生物学に関する技術、および本技術分野の熟練者に周知の組換えDNA技術は文献に完全に説明されている。たとえばSambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, (1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York(以下Sambrook et al., 1989という);DNA Cloning: A Practical Approach, Volumes I & II (D. N. Glover ed. 1985);F. M. Ausubel et al. (eds.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc. (1994) 参照。
【0063】
NFIF−14bおよびNFIF−7aのcDNA配列は図3に示す。NFIF−7aはNFIF−14bのスプライス変異体である。「スプライス変異体」の語は、遺伝子の完全長mRNAに対して1または2以上の欠失を含有するmRNAを生じる遺伝子(単数または複数)によってコードされる完全長mRNAの別経路処理により産生するmRNAによってコードされるポリペプチドを意味する。図4に示すように、NFIF−14bに対して、NFIF−7aは塩基ペア473〜739の内部欠失を有する。NFIF−14bおよびNFIF−7aのDNA配列について本明細書に記載の情報ならびにcDNAを得る技術の既知方法が与えられれば、NFIF−14bおよびNFIF−7aをコードするヌクレオチド配列は容易にクローン化され、これらのタンパク質を in vitro または in vivo で発現させるための適当なベクター中に挿入することができる。cDNAのクローニングおよびベクターの発現に関する方法についてはSambrook et al., 1989を参照されたい。「クローニングベクター」はレプリコンであり、例えば他のDNAセグメントが結合したセグメントの複製をもたらすように結合された、たとえばプラスミド、ファージまたはコスミドである。「レプリコン」はDNA複製の in vivo において自律性ユニットとして機能する任意の遺伝子エレメント(たとえば、プラスミド、染色体、ウイルス)であり、すなわちそれ自身の制御によって複製することができる。クローニングベクターは1つの細胞タイプで複製できるものでも、他の細胞タイプで発現できるもの(「シャトルベクター」)であってもよい。本発明の好ましい実施態様においては、クローニングベクターは宿主細胞内で発現可能であり、「発現ベクター」は細胞内でNFκB調節経路を行うのに十分なレベルでNFIFを発現する。
【0064】
NFIF−14bおよびNFIF−7aをコードする遺伝子は、ゲノムDNAであれcDNAであれ、ヒトゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーから単離することができる。DNA「コーディング配列」は二重鎖DNA配列であり、適当な調節配列の制御下に置かれる場合、in vitro または in vivo において細胞中で転写され、ポリペプチドに翻訳される。DNA配列および適当な調節配列は好ましくは発現ベクター中に提供される。コード配列の境界は5' (アミノ) 末端における開始コドンおよび3' (カルボキシル) 末端における停止コドンによって決定される。コード配列にはそれらに限定されるものではないが、原核生物配列、真核生物mRNAからのcDNA, 真核生物(たとえば哺乳動物)DNAからのゲノムDNA配列および合成DNA配列も包含される。コード配列が真核細胞における発現を目的とするものであれば、通常ポリアデニル化シグナルおよび転写終結配列をコード配列に対して3' に配置する。ここに提示されるDNA配列情報を与える遺伝子を得る方法は本技術分野で周知である。DNAはクローン化DNA(たとえば、DNA「ライブラリー」)から本技術分野において周知の標準操作によって得られる。それは、好ましくは、そのタンパク質の高レベルの発現を示す組織から調製された cDNAライブラリーから得られる。DNAはまた、所望の細胞から精製されたゲノムDNAもしくはそのフラグメントのクローニングにより(たとえばSambrook et al., 1989, 前出;Glover D. M. (ed), 1985, DNA Cloning: A Practical Approach, MRL Press, Ltd, Oxford, U. K. Vol. I, II参照)または化学合成によって得ることができる。ゲノムDNAから誘導されたクローンはコード領域に加えて、調節およびイントロンDNA領域を含有する。
【0065】
cDNAを得る方法は本技術分野においては周知である。略述すれば、これらの方法には、真核細胞からメッセンジャーRNA(mRNA)の混合物の単離、および単離されたmRNAに相補性の二重鎖DNAコピー(cDNA)の合成のための一連の酵素反応が包含される。「ポリメラーゼ連鎖反応」(PCR)は、本技術分野において周知の技術を用い特異的なDNA配列を増幅する in vitro の方法を意味する。
【0066】
所望のcDNAを得るために用いられた方法とは無関係に、二重鎖cDNA混合物は、少なくとも一部は使用された特定のビヒクルに依存して、多くの既知技術における任意の方法によりクローニングベクターに挿入される。様々な挿入方法がSambrook et al., 1989, 前出に記載され、本技術分野において周知である。「カセット」は1または2以上の特異的制限部位でベクターに挿入できるDNAのセグメントを意味する。DNAのセグメントは興味あるポリペプチドをコードし、カセットおよび制限部位は転写および翻訳に適性のリーディングフレームでカセット中に挿入されることを保証するように設計される。
【0067】
DNAセグメントがクローニングベヒクルに挿入されたならば、クローニングビヒクルは適当な宿主をトランスフォームするために使用される。このようなDNAが細胞の内部に挿入された場合、細胞は外因性または異種DNAによって「トランスフェクト」されたという。トランスフェクトされたDNAが表現型の変化を示す場合、細胞は外因性または異種DNAにより「トランスフォームされた」という。トランスフォームされたDNAは染色体DNAに統合(共有結合により連結)されて細胞のゲノムを形成することができる。これらのクローニングビヒクルは通常、宿主に抗生物質抵抗性の形質を付与する。このような宿主は一般に原核細胞であり、わずか数個の宿主細胞が所望のDNAを含有する。トランスフェクトされた宿主細胞は遺伝子「ライブラリー」を構成し、細胞中に存在するmRNAの代表的なサンプルを提供し、これからmRNAが単離された。
【0068】
ここに提供されるNFIF−14bおよびNFIF−7aに関する配列情報が得られたならば、適当なオリゴヌクレオチドを好ましくは上述のように合成的に調製し、NFIF配列を含有するクローンの同定に使用することができる。オリゴヌクレオチドは好ましくは少なくとも約18個のヌクレオチドを包含し、NFIFをコードするゲノムDNA分子、cDNA分子またはmRNA分子にハイブリダイゼーションすることが可能である。オリゴヌクレオチドはたとえば32P−ヌクレオチド、またはそれに標識たとえばビオチンを共有結合により連結できるヌクレオチドで標識することができる。
【0069】
一実施態様においては、標識オリゴヌクレオチドはNFIFをコードする核酸の存在を検出するためのプローブとして使用することができる。他の実施態様においては、オリゴヌクレオチド(その一方または両者は標識されていてもよい)はNFIFの全長もしくはフラグメントのクローニングまたはNFIFをコードする核酸の存在の検出するのいずれかのために、PCRプライマーとして使用することができる。さらに他の実施態様においては、オリゴヌクレオチドはNFIF DNA分子とともに三重ヘリックスを形成することができる。
【0070】
一般的に、オリゴヌクレオチドは合成的に、好ましくは核酸シンセサイザーで調製される。したがって、オリゴヌクレオチド配列は天然には存在しないリン酸エステル類似配列たとえばチオエステル結合等によって調製することができる。NFIF配列を含有するクローンを同定するためには、個々のトランスフォームまたはトランスフェクトされた細胞をニトロセルロースろ紙上でコロニーとして増殖させる。コロニーを分解し、DNAを加熱して、ろ紙に強固に結合させる。ついで、ろ紙をNFIFと相補性の標識オリゴヌクレオチドプローブとインキュベートする。NFIFに実質的に相同なDNAフラグメントがプローブにハイブリダイズする。
【0071】
上述のように温度およびイオン強度の条件がハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を決定する。ハイブリダイゼーションは2つの核酸が相補性配列を含有することを要求するが、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに依存して塩基間のミスマッチが可能である。核酸のハイブリダイゼーションに適当な緊縮度は本技術分野で周知の変数、核酸の長さおよび相補性の程度に依存する。
【0072】
プローブは相補性であるcDNAとハイブリダイズする。それは、プローブの存在を確認するオートラジオグラフィーまたは化学反応によって同定することができる。相当するクローンは、所望のタンパク質についてのすべての構造情報を含む1個のクローンまたはクローンの組み合わせを同定するために特性づけられる。興味あるタンパク質をコードする核酸配列は単離され、発現ベクターに再挿入される。発現ベクターはクローン化された遺伝子を、ds−DNAの効率的な発現(転写および翻訳)を可能にする特異的な原核細胞または真核細胞制御エレメントの調節的制御下に導く。転写および翻訳制御配列はDNA調節配列であり、宿主細胞中でのコード配列の発現を提供する、たとえばプロモーター、エンハンサー、およびターミネーターである。真核細胞においては、ポリアデニル化シグナルが制御配列である。コード配列は、細胞中では転写および翻訳制御配列の「制御下」にあり、RNAポリメラーゼがコード配列をmRNAに転写し、これはついでスプライスされ(コード配列がイントロンを含む場合)、コード配列によってコードされるタンパク質に翻訳される。
【0073】
遺伝子の性質に基づいて更なる選択を実施することができる。たとえばクローン中における所望の遺伝子の存在は、その発現されるタンパク質生成物の物理的、化学的または免疫学的性質に基づくアッセイによって検出することができる。たとえば、電気泳動における移動性、等電点電気泳動、非平衡pHゲル電気泳動、タンパク質分解消化または抗原性に関してNFIFの場合と類似または同一の性質を有するタンパク質を産生するcDNAクローンまたはDNAクローンを選択することができる。
【0074】
NFIF ポリペプチドの変異体の調製
本発明はその範囲内に、NFIFの対立変異体、置換、付加および欠失突然変異体、類縁体および誘導体、ならびにNFIFと同一または相同の機能性活性を有する他の種からの相同体を包含する。好ましい実施態様においては、本発明の実施に際してNFκBを誘導する能力を増大させる欠失または置換を有する遺伝子を使用する。NFIF変異体の調製または単離は本発明の範囲である。したがって、本発明の範囲は、機能的に活性な、すなわちNFIFに1または2以上の機能的活性を表すことができるNFIF変異体を包含する。
【0075】
NFIF変異体は、コード核酸配列を、機能的に均等な分子を与える置換、付加または欠失により変えることによって作成することができる。好ましくは、NFIFの実施態様はNFIF−14bおよびNFIF−7aに比べて増強または増大された機能的活性を有するNFIFである。
【0076】
核酸コード配列の縮重により、単一アミノ酸変異体を含有するアミノ酸配列を含みNFIFと実質的に同じアミノ酸配列をコードする他のDNA配列が本発明の実施に使用できる。これらには、それらに限定されるものではないが、対立遺伝子、他の種からの相同性遺伝子、および配列内の同じアミノ酸残基をコードする、異なるコドンの置換により変化した、すなわちサイレント変化を生じたNFIFのすべてまたは部分からなる核酸配列が包含される。同様に、本発明のNFIF変異体には、それらに限定されるものではないが、一次アミノ酸配列として機能的に均等なアミノ酸残基が配列内の残基で置換されて保存的アミノ酸置換を生じた、変化した配列を含むNFIFタンパク質のアミノ酸配列のすべてまたは部分を含有するNFIF変異体が包含される。たとえば、配列内の1または2以上のアミノ酸残基が機能的な均等体として働く同じ極性の他のアミノ酸により置換され、サイレント変化を生じることもできる。配列内のアミノ酸置換はそのアミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択することができる。たとえば、非極性(疎水性)アミノ酸にはアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンが包含される。芳香族構造を含むアミノ酸にはフェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンがある。極性中性アミノ酸には、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミンが包含される。陽性に荷電した(塩基性)アミノ酸にはアルギニン、リジンおよびヒスチジンが包含される。陰性に荷電した(酸性)アミノ酸にはアスパラギン酸およびグルタミン酸が包含される。このような変化はポリアクリルアミドゲル電気泳動または等電点電気泳動で測定される見かけの分子量には、影響することは期待されない。
【0077】
とくに好ましい置換は:
- 陽性の荷電が維持されるArgのLysによる置換またはその逆;
- 陰性の荷電が維持されるAspのGluによる置換またはその逆;
- 遊離のOHが維持されるThrのSerによる置換;および
- 遊離のCONH2が維持されるAsnのGlnによる置換
である。
【0078】
アミノ酸置換はまた、特定の好ましい性質をもつアミノ酸置換を導入することもできる。たとえば、Cysは他のCysとのジスルフィド結合との可能性の部位として導入される。Hisは特定の「触媒」部位として導入することができる(すなわち、Hisは酸または塩基であり、生化学的触媒における最も一般的なアミノ酸である)。Proはタンパク質構造においてβ−ターン構造を誘導する、そのとくに平面構造により導入される。
【0079】
本発明のNFIF変異体をコードする遺伝子は本技術分野で周知の様々な方法によって産生させることができる。それらの産生を生じる操作は遺伝子またはタンパク質のレベルで行われる。たとえば、クローン化されたNFIF遺伝子配列は、本技術分野において周知の多くの戦略から任意の方法により修飾することができる(Sambrook et al., 1989, 前出)。配列は、適当な部位において制限エンドヌクレアーゼ(単数または複数)により切断し、所望によりさらに酵素的修飾を行ったのち、単離され、インビトロでライゲートされる。NFIFの実施態様をコードする遺伝子の産生には、修飾された遺伝子がNFIF遺伝子と同じ翻訳リーディングフレームを維持し、所望の活性がコードされている遺伝子領域で翻訳停止シグナルによって中断されていないことを保証するため注意しなければならない。
【0080】
さらに、NFIFをコードする核酸配列はインビトロもしくはインビボで、翻訳、開始および/または配列を創製および/または破壊するか、またはコード領域に変異を作成し、および/または新しい制限ヌクレアーゼ部位を形成するか、または既存の制限ヌクレアーゼ部位を破壊して更なるインビトロ修飾を容易にするために突然変異を起こさせることができる。好ましくは、このような突然変異は突然変異NFIF遺伝子産物の機能性活性を増強する。本技術分野で周知の任意の突然変異誘発技術、たとえば in vitro 特定部位の突然変異誘発(Hutchinson, C. et al., 1978, J. Biol. Chem. 253: 6551; Zoller & Smith, 1984, DNA 3: 479−488; Oliphant et al., 1986, Gene 44: 177; Hutchinson et al., 1986, Pro. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 83: 710)の使用ならびに「TABリンカー」(Pharmacia)等の使用が可能である。PCR技術が特定部位の突然変異には好ましい(Higuchi, 1989, "Using PCR to engineer DNA", in PCR Technology: Principles and Applications for DNA Amplification, H. Erlich, ed, Stockton Press, Chapter 6, pp. 61−70)参照。
【0081】
NFIF に基づくポリペプチド
治療的に有用なNFIF変異体は、NFκB調節遺伝子またはその発現がNFIF変異体の存在下にNFκB調節エレメントによって調節される遺伝子の発現レベルを同定するために使用できる in vitro アッセイを含む様々な方法により同定することができる。NFκB誘導を増強(または阻害)できるポリペプチドを同定するための一方法にはレポーター遺伝子システムの使用がある。これらのシステムは、与えられたプロモーターが容易に検出および定量が可能な「レポーター遺伝子」の上流にクローン化されているクローニング部位を包含するレポーター遺伝子発現ベクターを利用する。本技術分野の熟練者は、NFκBのプロモーターならびに他の制御配列を容易に同定し、市販のレポーター遺伝子発現ベクターにサブクローニングすることができる。発現ベクターを宿主細胞に導入し、細胞をNFIF変異体(インヒビターまたはエンハンサー候補分子)に暴露して、レポーター遺伝子産物の発現に対する効果を測定する。とくに、細胞はレポーターmRNAの量、レポータータンパク質自身またはレポータータンパク質の酵素活性を直接測定することによりレポーター遺伝子産物の存在がアッセイされる。理想的には、レポーター遺伝子は興味ある細胞の型内で内因的に発現されず、高感度、定量的かつ迅速なアッセイに力を尽くすものである。様々なレポーターアッセイの構築体が市販され、数種のレポーター遺伝子およびアッセイが開発されていて、本技術分野の熟練者はそれらを容易に調製することができる。真核細胞における遺伝子活性をモニタリングするために最も一般的なシステムには、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β−ガラクトシダーゼ、ホタルルシフェラーゼ、成長ホルモン(GH)、β−グルクロルダーゼ(GUS)、アルカリホスファターゼ(AP)、緑色蛍光タンパク質(GFP)および Renillaルシフェラーゼが含まれる。レポーターアッセイ構築体はPromegaおよびInvitrogenを含めた多くのメーカーから購入することができる。
【0082】
上述のように、レポーター遺伝子活性は、レポーターmRNAまたはレポータータンパク質のアッセイによって検出することができる。レポーターmRNAはノーザンブロット分析、リボヌクレアーゼ保護アッセイまたはRT−PCRによって検出できる。これらのアッセイはタンパク質の発現を測定するよりも直接的な方法であるが、細胞中に存在するmRNAよりもむしろレポータータンパク質の存在を測定するアッセイが開発されている。レポータータンパク質は分光光学的に、または酵素活性の検出によってアッセイすることができる。レポータータンパク質のレベルはまた、抗体に基づくアッセイによっても測定できる。一般的に、酵素的アッセイはきわめて高感度であり、レポーター遺伝子の発現のモニターには好ましい方法である。好ましい市販のNFκBレポーター遺伝子構築体はStratageneから入手できるp NFκB−Luc(ルシフェラーゼ)レポーター遺伝子ベクターである。このレポーターシステムを用いてNFIFタンパク質の活性を定量する例は実施例4に示す。
【0083】
上述のタイプの実験は、本発明の組成物を用いて与えられた疾患状態をいかに処置できるかを測定するために使用することができる。
【0084】
以下の記述は、本発明のポリペプチドをコードするDNAの操作および発現に関するものである。
【0085】
NFIF ポリペプチドをコードする発現ベクター
同定され単離されたDNA配列は、そのタンパク質の配列の修飾および発現を容易にするため、適当なクローニング/発現ベクター(以下、「ベクター」という)に挿入することができる。これらのベクターは通常、多重クローニング部位、プロモーター、宿主細胞中での複製を促進する配列および選択マーカーを包含する。
【0086】
適当な任意のベクターが使用できる。本技術分野では多くのベクターが知られている。使用できるベクターの例にはたとえば、プラスミドまたは修飾ウイルスが包含される。ベクターは通常、ベクターの複製およびコードタンパク質の発現を容易にするために導入される、与えられた宿主細胞に適合性である。ベクターへのDNA配列の挿入はたとえば、相補性の付着末端を有するクローニングベクターにDNAフラグメントをライゲートすることによって達成できる。しかしながら、DNAを切断するために使用される相補性制限部位がクローニングベクター中に存在しない場合は、DNA分子の末端を酵素的に修飾する。またヌクレオチド配列(リンカー)をDNA末端にライゲートして所望の任意の部位を形成してもよい。ライゲートされたリンカーは、制限エンドヌクレアーゼ認識配列をコードする化学的に合成された特異的オリゴヌクレオチドから構成されていてもよい。有用なベクターは染色体、非染色体および合成DNA配列のセグメントから構成されていてもよい。本発明の実施に有用な特異的ベクターの例には、E. coliバクテリオファージたとえばラムダ誘導体、またはプラスミド、たとえばpBR322誘導体もしくはpUCプラスミド誘導体、たとえばE. coliプラスミドcol E1, pCR1, pMal−C2, pET, pGEX(Smith et al., 1988, Gene 67: 31−40), pMB9およびそれらの誘導体、プラスミドたとえばRP4;ファージDNA、たとえばファージ1の多くの誘導体、たとえばNM989、および他のファージDNA、たとえばM13および繊維状一本鎖ファージDNA;酵母ベクター、たとえば2μmプラスミドまたはその誘導体;真核細胞において有用なベクター、たとえば昆虫細胞で有用なベクター、たとえばバキュロウイルスベクター、哺乳動物細胞において有用なベクター;プラスミドとファージDNAの組み合わせから誘導されるベクター、ファージDNAまたは他の発現制御配列を使用するように修飾されたプラスミド等である。
【0087】
本発明によって使用できる酵母ベクターの例としては非融合pYES2ベクター(Invitrogen)または融合pYESHisA, B, C(Invitrogen)がある。
【0088】
本発明の実施に使用できるバキュロウイルスベクターには、非融合トランスファーベクターたとえばpVL941(Summers)、pVL1393(Invitrogen)、pVL1392(Summers & Invitrogen)およびpBlueBacIII(Invitrogen)、ならびに融合トランスファーベクターたとえばpAc700(Summers)、pAc701およびpAc702, pAc360(Invitrogen)およびpBlueBacHisA, B, C(Invitrogen)の両者を含む多様なベクターが使用できる。
【0089】
本発明における使用を目的とする哺乳動物ベクターにはたとえば、誘導性プロモーター、たとえばジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)プロモーターを有するベクター、DHFR発現ベクターを有する任意の発現ベクター、またはDHFR/メトトレキセート共増幅ベクター、たとえばpEDが包含される(Kaufman, Current Protocols in Molecular Biology, 16.12, (1991))。また、グルタミン/シンセターゼメチオニンスルフォキシイミン共増幅ベクター、たとえば、pEE14(Celltech)がある。他の実施態様においては、エプスタイン・バール・ウイルス(EBV)の制御下にエピソーム発現を指示するベクター、たとえばpREP4(Invitrogen)、pCEP4(Invitrogen)、pMEP4(Invitrogen)、pREP8(Invitrogen)、pREP9(Invitrogen)およびpEBVHis(Invitrogen)を使用できる。本発明に用いられる選択可能な哺乳動物発現ベクターには、pRc/CMV(Invitrogen)、pRc/RSV(Invitrogen)、pcDNA3(Invitrogen)等が包含される。本発明によって使用されるワクシニアウイルス哺乳動物発現ベクター(Kaufman, 1991, 前出参照)にはそれらに限定されるものではないが、pSC11, pMJ601およびpTKgptF1Sが包含される。
【0090】
NFIF−14b、NFIF−7aまたは他のNFIF変異体をコードする所望のDNA配列がベクターにクローン化されたことを確認するためには様々な方法が使用される。一般に、以下のアプローチ、すなわち(a)所望のプラスミドDNAまたは特異的mRNAのPCR増幅、(b)核酸ハイブリダイゼーション、(c)選択マーカー遺伝子機能の存在または不存在、(d)適当な制限エンドヌクレアーゼによる分析および(e)挿入配列の発現の1または2以上が使用される。最初のアプローチでは、核酸をPCRによって増幅して増幅された生成物の検出が行われる。第二のアプローチでは、発現ベクターに挿入された異種遺伝子の存在を挿入遺伝子マーカーに相同な配列からなるプローブを用いる核酸ハイブリダイゼーションにより検出できる。第三のアプローチでは、組換えベクター/宿主システムを、ベクター中への異種遺伝子の挿入によって生じた、ある種の「選択マーカー」遺伝子機能(たとえば、β−ガラクトシダーゼ活性、チミジンキナーゼ活性、抗生物質に対する抵抗性、トランスフォーメーション表現型、バキュロウイルスにおける封入体形成等)の存在または不存在に基づいて同定し、選択することができる。他の例では、NFIFをコードする核酸がベクターの「選択マーカー」遺伝子配列内に挿入された場合、NFIF挿入体を含む組が選択マーカー遺伝子機能の不存在によって同定できる。第四のアプローチでは、組換え発現ベクターが適当な制限酵素による消化で同定される。第五のアプローチでは、発現されたタンパク質が機能的に活性なコンフォーメーションをもつと仮定すれば、組換え発現ベクターはその組換え体により発現される遺伝子産物の活性、生物学的または免疫学的特性をアッセイすることにより同定することができる。
【0091】
プロモーター
NFIF−14bもしくはNFIF−7aまたはNFIF変異体をコードするヌクレオチド配列は、挿入されたタンパク質のコード配列の転写および翻訳に必要なエレメントを含有する発現ベクター中に挿入することができる。このようなエレメントは、ここでは「プロモーター」と呼ばれる。
【0092】
プロモーターは、細胞内でRNAポリメラーゼを結合できるDNA調節領域であり、下流(3' 方向)のコーディング配列の転写を開始する。本発明を定義する目的では、プロモーター配列はその3' 末端において転写開始部位によって結合され、上流(5' 方向)に伸展して、バックグランド以上の検出可能なレベルで転写を開始するのに必要な最小の塩基数またはエレメントを包含する。プロモーター配列の内部には、転写開始部位(たとえばヌクレアーゼS1によって便宜的に定義される)ならびにRNAポリメラーゼの結合に応答するタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が見出される。
【0093】
本発明のポリペプチドをコードする核酸は、本発明における発現ベクター内でプロモーターと会合する。cDNAおよびゲノム配列の両者はクローン化が可能であり、このような調節配列の制御下に発現させることができる。発現ベクターはまた好ましくは複製起点を包含する。必要な転写シグナルおよび翻訳シグナルは組換え発現ベクター上に提供されるか、またはそれらはNFIFをコードする天然型遺伝子および/またはその隣接領域によって供給される。DNAフラグメントをクローニングベクターに挿入するために前述した任意の方法が、適当な転写/翻訳制御シグナルおよびタンパク質コード配列から構成される遺伝子を含む発現ベクターの構築に使用される。これらの方法には in vitro 組換えDNAおよび合成技術、ならびに in vivo 組換え(遺伝子組換え)技術が包含される。
【0094】
発現は、本技術分野で周知の任意のプロモーター/エンハンサーエレメントによって制御されるが、これらの調節エレメントは発現に選択された宿主内で機能性でなければならない。NFIF遺伝子の発現を制御するため使用できるプロモーターの例には、SV40初期プロモーター領域(Benoist & Chambon, 1981, Nature 290: 304−310)、ラウス肉腫ウイルスの3′長い末端反復配列に含有されるプロモーター(Yamamoto et al., 1980, Cell 22: 787−797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al., 1981, Proc. Natl. Acad. Sci, U.S.A., 78: 1441−1445)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinster et al., Nature 296: 39−42);原核細胞発現ベクター、たとえばβ−ラクタマーゼプロモーター(Villa−Kamaroff et al., 1978, Proc. Natl. Acad. Sci, U.S.A., 75: 3727−3731)、またはtacプロモーター(De Bore et al., 1983, Proc. Natl. Acad. Sci, U.S.A., 80: 21−25);酵母または他のカビ類のプロモーターエレメント、たとえばGal 4プロモーター、ADC(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、PKG(ホスホグリセロールキナーゼ)プロモーター、アルカリホスファターゼプロモーター、および組織特異性を表し、トランスジェニック動物に使用された動物の転写制御領域:膵臓腺房細胞において活性なエラスターゼI遺伝子制御領域(Swift et al., 1984, Cell 38: 639−409; Ornitz et al., 1986, Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 50: 399−409;MacDonald, 1987, Hepatology 7: 425−515);膵臓β細胞において活性なインスリン遺伝子制御領域(Hanahan, 1985, Nature 315: 115−122)、リンパ系細胞で活性な免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedl et al., 1984, Cell 38: 647−658; Adames et al., 1985, Nature 318: 533−538; Alexander et al., 1987, Mol. Cell. Biol., 7: 1436−1444)、精巣、乳房、リンパおよびマスト細胞において活性なマウス乳癌ウイルス制御領域(Leder et al., 1986, Cell 45: 485−495)、肝臓で活性なアルブミン遺伝子制御領域(Pinkert et al., 1987, Genes and Devel. 1: 268−276)、肝臓において活性なα−フェトプロテイン遺伝子制御領域(Krumlauf et al., 1985, Mol. Cell. Biol., 5: 1639−1648;Hammer et al., 1987, Science 235: 53−58)、肝臓で活性なα 1−アンチトリプシン遺伝子制御領域(Kelsey et al., 1987, Genes and Devel. 1: 161−171)、骨髄細胞で活性なβ−グロビン遺伝子制御領域(Mogram et al., 1985, Nature 315: 338−340;Kollias et al., 1986, Cell 46: 89−94)、脳のオリゴデンドロサイト細胞において活性なミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readhead et al., 1987, Cell 48: 703−712)、平滑筋で活性なミオシン軽鎖−2遺伝子制御領域(Sani, 1985, Nature 314: 283−286)および視床下部において活性なゴナドトロピン放出ホルモン遺伝子制御領域(Mason et al., 1986, Science 234: 1372−1378)が包含される。
【0095】
以下に述べる発現ベクター構築体に使用される好ましいプロモーターは様々な哺乳動物細胞系において高レベルの発現を提供することができるサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターである。
【0096】
ベクターの宿主細胞への導入
ベクターは適当な任意の方法により、たとえばトランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、トランスダクション、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション(リソソーム融合)、遺伝子銃の使用、DNAベクタートランスポーターにより宿主細胞に導入することが可能で(たとえばWu et al., 1992, J. Biol. Chem. 267: 963−967;Wu & Wu, 1988, J. Biol. Chem. 263: 14621−14624;Hartmut et al., 1990年3月15日出願カナダ特許出願2,012,311参照)、遺伝子配列の多くのコピーを発生させることができる。好ましい方法においては、細胞はGibco−BRLから入手できるLipfectamine(登録商標)を用いて in vitro でトランスフェクトされる。好ましくは、クローン化された遺伝子は、シャトルベクタープラスミド上に含有され、これはクローニング細胞(たとえばE. coli)中で増殖し、適当な発現細胞系への挿入後の精製を容易にする。たとえば、シャトルベクターは、2種以上の生物体中で複製が可能であり、E. coliおよびSaccharomyces cerevisiaeの両方で、E. coliプラスミドからの配列を酵母2μmプラスミドからの配列と連結させることにより複製のために製造することができる。
【0097】
宿主細胞システム
宿主細胞システムには、哺乳動物宿主細胞システム、昆虫宿主細胞システムおよび微生物(たとえば酵母または細菌)が包含される。使用される宿主細胞システムによって、多くの適当な転写エレメントおよび翻訳エレメントの任意の一つが使用される。
【0098】
さらに、宿主細胞株は、挿入された配列の発現を修飾するかまたは所望の特異的な様式で遺伝子産物を修飾し、プロセッシングするように選択される。異なる宿主細胞は翻訳および翻訳後プロセッシング、ならびにタンパク質の修飾に特徴的および特異的な機構を有する。適当な細胞系または宿主システムは、発現した外来性タンパク質が所望のように修飾およびプロセッシングされることを保証するように選択することができる。酵母における発現は生物学的に活性な産物を産生することができる。真核細胞における発現は「天然型」フォールディングの可能性を増大させることができる。さらに、哺乳動物細胞における発現はNFIF阻害活性を再構築または構成するためのツールを提供できる。さらにまた、異種ベクター/宿主発現システムはプロセッシング反応たとえばタンパク切断反応に様々な程度で、影響することがある。本発明の発現ベクターは、上に指摘したように、NFIF活性調節因子のスクリーニングまたは生物学的試験の両方のために細胞をトランスフェクトするのに使用することができる。
許容される哺乳動物宿主細胞の例には、HEK293細胞およびCOS−7細胞がある。
【0099】
本発明の組換えNFIF−14b, NFIF−7aまたはNFIF変異体は、コード配列を組換えによって組み込んだ後、染色体から発現させることができる。これに関しては、任意の多くの増幅システムが高レベルの安定な遺伝子発現を達成するために使用できる(Sambrook et al., 1989, 前出参照)。
【0100】
NFIFをコードする核酸からなる組換えベクターを導入された細胞は、細胞によるNFIFポリペプチドの発現が提供される条件下に適当な細胞培養メジウム中で培養される。
【0101】
適当な宿主システムおよび増殖条件が確立されたならば、組換え発現ベクターを増殖させ、大量に調製する。タンパク質の溶解型は培養液を収集して得るか、または、たとえば界面活性剤で処理し、所望により超音波処理または他の機械的方法によって封入体を可溶化して得ることができる。可溶化または溶解型タンパク質は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)、等電点電気泳動、2次元ゲル電気泳動、クロマトグラフィー(たとえば、イオン交換、アフィニティー、イムノアフィニティーおよびサイジング(sizing)カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、免疫沈降、またはタンパク質の精製のための他の標準技術のような様々な技術を用いて単離することができる。
【0102】
上述のように、「ベクター」は本発明の核酸を宿主細胞に移すための手段である。好ましいベクターは、ウイルスベクター、たとえばレトロウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、アデノウイルスベクターおよびアデノ随伴ウイルスベクターである。したがって、本発明のタンパク質またはポリペプチドドメインフラグメントをコードする遺伝子は、ウイルスベクターを用い、またはDNAの直接導入により、in vivo、ex vivo または in vitro で導入される。標的組織における発現は特定の細胞にトランスジェニックベクターを標的化することにより、たとえばウイルスベクターもしくは受容体リガンド、または組織特異的プロモーターあるいは両者を使用して行われる。
【0103】
以下の記述は、in vivo または in vitro で宿主細胞中にDNAを導入するために使用される様々なウイルスおよび非ウイルスシステムについて略述する。
【0104】
ウイルスベクターシステム
NFIFポリペプチド、ならびにアンチセンス核酸、リボザイムおよび以下に述べる抗体は、in vitro または ex vivo で調製されるか、またはウイルスベクターシステムを介して導入された適当な発現システムを用いて、患者において in vivo で発現するように設計される。
【0105】
in vivo または ex vivo 標的化および治療操作のために共通して使用されるウイルスベクターは、DNAを基盤とするベクターおよびレトロウイルスベクターである。ウイルスベクターの構築方法および使用方法は本技術分野において周知である(たとえば、Miller & Rosman, BioTechniques 7: 980−990, 1992参照)。好ましくは、ウイルスベクターは複製欠損であり、すなわち標的細胞内では自動的に複製できない。一般的に、本発明の範囲内で使用される複製欠損ウイルスベクターのゲノムは感染細胞中におけるウイルスの複製に必要な少なくとも一つの領域を欠いている。これらの領域は全部または一部を除去するか、または本技術分野における当業者には周知の任意の技術によって非機能性にする。これらの技術には全体的除去、(他の配列とくに核酸の挿入による)置換、複製に必須な領域の部分欠失または少なくとも1もしくは2以上の塩基の付加が包含される。このような技術は、遺伝子操作技術を用いるか、または突然変異誘発物質で処理して、単離DNAに in vitro または in situ で行われる。好ましくは、複製欠損ウイルスはウイルス粒子の封入に必要なそのゲノムの配列を維持する。
【0106】
DNAウイルスベクターは弱毒化されているかまたは欠損DNAウイルスを包含し、たとえば単純ヘルペスウイルス(HSV)、パピローマウイルス、エプスタイン・バール・ウイルス(EBV)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ワクシニアウイルス等が含まれるが、それらに限定されるものではない。ウイルス遺伝子を完全にまたはほぼ完全に欠く欠損ウイルスが好ましい。欠損ウイルスは、細胞に導入後の複製成分ではないので、増殖性のウイルス感染を導くことはない。欠損ウイルスベクターの使用は、ベクターが他の細胞に感染することなく、特異的な局所的領域における細胞への投与を可能にする。すなわち特定の組織を特異的に標的化することができる。特定のウイルスの例は、欠損ヘルペスウイルス1(HSV1)ベクター(Kaplitt et al., Molec. Cell. Neurosci. 2: 320−330, (1991))、糖タンパク質L遺伝子欠損ヘルペスウイルスベクター(公開特許RD 371005A)、または他の欠損ヘルペスウイルスベクター(1994年9月29日に公開された国際特許公開WO 94/21807;1994年4月2日に公開された国際特許公開WO 92/05263);弱毒化したアデノウイルスベクター、たとえばStratford−Perricaudet et al.(J. Clin. Invest. 90: 626−630, (1992))に記載されたベクター(La Salle et al., Science 259: 988−990, (1993)も参照);および欠損アデノ随伴ウイルスベクター(Samulski et al., J. Virol. 61: 3096−3101, (1987);Samulski et al., J. Virol. 63: 3822−3828, (1989);Lebkowski et al., Mol. Cell. Biol. 8: 3988−3996, (1988))が包含される。
【0107】
好ましくは、in vivo 投与のためには、ウイルスベクターおよびトランスフェクトされた細胞の免疫不活性化を避けるために、ウイルスベクター(たとえばアデノウイルスベクター)とともに適当な免疫抑制処置が使用される。たとえば、免疫抑制サイトカイン、たとえばインターロイキン−12(IL−12)、インターフェロン−γ(INF−γ)または抗−CD4抗体がウイルスベクターに対する体液性または細胞性の免疫応答をブロックするために投与できる。さらに、最小限の抗原を発現するように操作されたウイルスベクターを用いるのが有利である。
【0108】
本発明においては当然、遺伝子療法への応用のために治療的有効量のNFIFを発現するベクターの送達を目的とする。「治療的有効量」の句はこの場合、宿主における臨床的に有意な状態に改善するのに十分な量を意味する。
ある種のウイルスベクターは本技術分野において十分に開発されていて、本発明の処置方法に適している。
【0109】
アデノウイルスベクターシステム
好ましい実施態様においては、ベクターはアデノウイルスベクターである。アデノウイルスは、本発明の核酸を様々なタイプの細胞に効率的に送達されるように修飾できる真核細胞DNAウイルスである。アデノウイルスには様々な血清型が存在する。本発明の範囲に含まれるこれらの血清型の中では、タイプ2またはタイプ5のヒトアデノウイルス(Ad 2またはAd 5)または動物起源のアデノウイルスの使用が好ましい(WO 94/26914参照)。本発明の範囲に含まれるこれらの動物起源のアデノウイルスには、イヌ、ウシ、マウス(たとえば、Mav1, Beard et al., Virology 75, 1990, 81)、ウシ、ブタ、鳥類、およびサル(たとえばSAV)起源のアデノウイルスが包含される。
【0110】
本発明の複製欠損アデノウイルスベクターは、好ましくはITR, キャプシド化配列および興味ある核酸からなる。さらに好ましくは、アデノウイルスベクターの少なくともE1領域は非機能性である。E1領域における欠失は好ましくはAd5アデノウイルスの配列中ヌクレオチド455〜3329(PvuII−BglIIフラグメント)または382〜3446(HinfII−Sau3Aフラグメント)に及ぶ。他の領域、とくにE3領域(WO 95/02697)、E2領域(WO 94/28938)、E4領域(WO 94/28152, WO 94/ 12649, WO 95/02697)、または後期遺伝子L1〜L5中が修飾されていてもよい。
【0111】
好ましい実施態様においては、アデノウイルスベクターはE1領域の欠失を有する(Ad 1.0)。E1−欠失アデノウイルスの例は、EP 185,573に開示されている。この内容は参照により本明細書に導入される。他の好ましい実施態様においては、アデノウイルスベクターはE1およびE4領域に欠失を有する(Ad 3.0)。E1/E4−欠失アデノウイルスの例はWO 95/02697およびWO 96/22378に開示されている。これらの内容は参照により本明細書に導入される。なおさらに他の好ましい実施態様においては、アデノウイルスベクターはE1領域に欠失を有し、それにE4領域および核酸配列が挿入されている(FR94 13355参照。この内容は参照により本明細書に導入される)。
【0112】
本発明による複製欠損組換えアデノウイルスは、本技術分野の当業者には周知の任意の技術によって調製することができる(Levrero et al., Gene 101, (1991), 195, EP 185, 573;Graham, EMBO J. 4, (1984), 2917)。とくに、それらはアデノウイルスおよびとくに興味あるDNA配列を有するプラスミドの間の相同組換えにより調製することができる。相同組換えは、適当な細胞系中にアデノウイルスとプラスミドの以下のコトランスフェクションによって行われる。使用される細胞系は好ましくは、(i)上記エレメントによりトランスフォーム可能であり、および(ii)組換えの危険を回避するために好ましくは組み込み型で、複製欠損アデノウイルスのゲノムの部分に相補性の配列を含まなければならない。使用できる細胞系の例はヒト胚腎臓細胞293(Graham et al., J. Gen. Virol. 36, (1977), 59)であり、これはそのゲノムに組み込まれたAd5アデノウイルスのゲノムの左側部分(12%)、ならびに出願WO 94/26914およびWO 95/02697に記載されたようにE1機能およびE2機能を補足できる細胞系を含有する。組換えアデノウイルスは、本技術分野の通常の当業者には周知の標準的な分子生物学的技術を用いて回収され、精製される。
【0113】
アデノ随伴ウイルスベクターシステム
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、比較的小さく、安定な部位特異的様式で、それらが感染する細胞のゲノムに組み込むことができる。それらは細胞の広いスペクトルに感染することが可能で、細胞の増殖、形態または分化に何ら影響を及ぼすことなく、ヒトの病態には関与しないものと思われる。AAVゲノムはクローン化され、配列決定され、特性が明らかにされている。それは約4700塩基を含み、各末端に約145塩基の逆方向末端反復配列(ITR)領域を含有し、それはウイルスの複製起点として働く。ゲノムの残部は被包機能を有する2つの必須領域に分割され、ゲノムの左側部分はウイルス遺伝子のウイルス複製および発現に関与するrep遺伝子を含有し、ゲノムの右側部分はウイルスのキャプシドタンパク質をコードするcap遺伝子を含有する。
【0114】
遺伝子を in vitro および in vivo で移動するためにAAVから誘導されるベクターの使用が報告されている(WO 91/18088;WO 93/09239;US 4,797,368, US 5,139,941, EP 488 528)。これらの刊行物には、rep遺伝子および/またはcap遺伝子が欠失して興味ある遺伝子で置換された様々なAAV−誘導構築体、ならびに興味ある遺伝子を in vitro に(培養細胞に)または in vivo に(直接、生物体に)トランスファーするための、これらの構築体の使用が記載されている。本発明による複製欠損組換えAAVは、2つのAAV逆方向末端反復配列(ITR)領域によって隣接された興味ある核酸配列を含有するプラスミドと、AAV被包遺伝子(rep遺伝子およびcap遺伝子)をもつプラスミドを、ヒトヘルパーウイルス(たとえば、アデノウイルス)で感染させた細胞系中にコトランスフェクションすることによって調製される。次いで、生成したAAVを標準技術によって精製する。
【0115】
したがって、本発明はまた、ゲノムがNFIFまたはその変異体をコードする核酸をAAV ITRに隣接して包含するAAV−誘導組換えウイルスに関する。本発明はまた、NFIFまたはその変異体をコードする核酸がAAVからの2個の ITRに隣接するコード配列を包含するプラスミドに関する。このようなプラスミドはそのまま、リポソームベクター(偽ウイルス)に適宜導入されたプラスミドで、核酸配列を移動するために使用することができる。
【0116】
レトロウイルスシステム
他の実施態様においては、遺伝子はレトロウイルス(たとえば、Anderson et al., US特許5,399,346;Mann et al., 1983, Cell 33: 153;Temin et al., US特許第4,650,764号;Temin et al., US特許第4,980,289号;Markowitz et al., 1988, J. Virol. 62: 1120;Temin et al., US特許第5,124,263号;EP第453242号, EP 第178220号;Bernstein et al., Genet. Eng. 7, (1985), 235;McCormick, BioTechnology 3, (1985), 669;1995年3月16日公開のDougherty et al. による国際特許公開WO95/ 07358;Kuo et al., 1993, Blood 82: 845に記載されている)に導入することができる。レトロウイルスは分裂中の細胞に感染する組み込みウイルスである。レトロウイルスのゲノムは、2個のLTR, 被包配列および3個のコード領域(gag, polおよびenv)を包含する。組換えレトロウイルスでは、gag, polおよびenv遺伝子は全部または一部が一般に欠失し、興味ある異種核酸配列で置換されている。これらのベクターは異なるタイプのレトロウイルス、たとえばHIV, MoMuLV(「マウスモロニーウイルス」), MSV(「マウスモロニー肉腫ウイルス」), HaSV(「ハーベイ肉腫ウイルス」);SNV(「脾臓壊死ウイルス」);RSV(「ラウス肉腫ウイルス」)およびフレンドウイルスから構築することができる。欠損レトロウイルスベクターはWO 95/02697に開示されている。
【0117】
一般的に、核酸配列を含有する組換えレトロウイルスを構築するためには、LTR, 被包配列およびコード配列を含有するプラスミドを構築する。この構築体を用いてパッケージ細胞系をトランスフェクトすると、細胞系はプラスミドには欠けているレトロウイルス機能をトランスに供給できる。したがって、一般にパッケージング細胞系はgag, polおよびenv遺伝子を発現することができる。このようなパッケージング細胞系、とくに細胞系PA317(US 4,861,719);PsiCRIP細胞系(WO90/02806)およびGP+envAm−12細胞系(WO89/07150)が先行技術に記載されている。さらに、組換えレトロウイルスベクターはLTR内に転写活性を抑制するための修飾、ならびにgag遺伝子の一部を包含する広範なパッケージング配列を含有することができる(Bender et al., J. Virol. 61, (1987), 1639)。組換えレトロウイルスベクターは本技術分野の通常の当業者に周知の標準技術によって精製される。
【0118】
レトロウイルスベクターは、感染粒子として機能するように、または単回のトランスフェクションを受けるように構築することができる。前者の場合、ウイルスは腫瘍原性トランスフォーメーションの性質に関与する遺伝子を除いてそのすべての遺伝子が維持されるように、また異種遺伝子を発現するように修飾される。非感染ウイルスベクターは、ウイルスパッケージングシグナルを破壊するが、異種遺伝子およびパッケージングシグナルを含有するように操作された共導入ウイルスをパッケージするのに必要な構造遺伝子は維持するように調製される。したがって、産生されるウイルス粒子は、さらにウイルスを産生することはできない。
【0119】
非ウイルスシステム
ある種の非ウイルスシステムが本技術分野において使用され、NFIFポリペプチドをコードするDNA、アンチセンス核酸、リボザイムおよび抗体の導入を容易にできる。
【0120】
リポフェクション送達システム
ベクターはリポフェクションによって in vivo で導入することができる。この10年間に、in vitro における核酸の被包およびトランスフェクションのためのリポソームの使用は増加してきた。リポソーム仲介トランスフェクションで遭遇する困難性および危険を制限するため設計された合成陽イオン脂質を、マーカーをコードする遺伝子を in vivo でトランスフェクトするためのリポソームの調製に使用することができる(Felgner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 84: 7413−7417, (1987);Mackey et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 85: 8027−8031, (1988);Ulmer et al., Science 259: 1745−1748, (1993))。陽イオン脂質の使用は−に荷電した核酸の被包を促し、また−に荷電した細胞膜との融合を促進する(Felgner & Ringold, Science 337: 387−388, 1989)。核酸を導入するためのとくに有用な脂質化合物および組成物は、国際特許公開WO95/18863およびWO96/17823ならびにUS特許第5,459,127号に記載されている。特異的な臓器に、in vivo で外来性遺伝子を導入するためのリポフェクションの使用にはある種の実用的な利点がある。特異的な細胞にリポソームを分子標的化することは一つの有益な領域である。特定の型の細胞へのトランスフェクションに標的化することは、細胞不均一性を有する組織たとえば膵臓、肝臓、腎臓および脳にとくに有利である。脂質は標的化の目的で他の分子に化学的にカップリングさせることができる(Mackey et al.、前出)。標的化ペプチドたとえばホルモンまたは神経伝達物質、タンパク質たとえば抗体、または非ペプチド分子はリポソームに化学的にカップリングさせることができた。
【0121】
他の分子、たとえば陽イオンオリゴペプチド(たとえば国際特許公開WO95/ 21931)、DNA結合タンパク質から誘導されるペプチド(たとえば国際特許公開WO96/25508)または陽イオンポリマー(たとえば国際特許公開WO95/21931)も in vivo での核酸の形質導入を促進するために有用である。
【0122】
DNA 送達システム
裸DNAプラスミドとして in vivo でベクターを導入することも可能である(US特許第5,693,662号, 第5,589,466号および第5,580,859号)。遺伝子療法のための裸のDNAベクターは所望の宿主細胞に本技術分野で知られている方法、たとえばトランスフェクション法、エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法、トランスダクション法、細胞融合法、DEAEデキストラン法、リン酸カルシウム沈殿法、遺伝子銃を使用する方法、またはDNAベクタートランスポーターの使用によって導入することができる(たとえば、Wu et al., J. Biol. Chem. 267: 963−967, (1992);Wu & Wu, J. Biol. Chem. 263: 14621−14624, (1988);Hartmut et al., 1990年3月15日出願カナダ特許出願第 2,012,311号;Williams et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 88: 2726−2730, (1991)参照)。受容体仲介DNA送達法も使用することができる(Curiel et al., Hum. Gene Ther. 3: 147−154, 1992;Wu & Wu, J. Biol. Chem. 262: 4429− 4432, (1987))。
【0123】
NFIF ポリペプチドの使用
上述のように、ある種の場合には、免疫応答を開始またはその程度を増大させるためにNFκBの誘導が望ましい。NFκBを誘導するためには、本発明のNFIFポリペプチドを様々な方法で患者の体内に導入することができる。
【0124】
NFIFを患者の体内に導入するために用いられる方法には、精製NFIFポリペプチドの直接投与または患者の体内でポリペプチドを発現する発現ベクター中にNFIFポリペプチドをコードする核酸を導入する方法がある。
【0125】
NFIFポリペプチドの直接投与を含む実施態様においては、NFIFポリペプチドは上述のような宿主細胞発現システムを用いて調製される。ポリペプチドは慣用の精製方法を用いて精製し、ついで以下に詳述するような適当な生物学的に適合性のある溶液と混合する。ポリペプチドを含有する溶液は、局所、経口、非経口的、経鼻、皮下または眼内経路により患者に導入される。体内に入れば、ポリペプチドはその作用を発揮することが可能であり、NFκBを誘導し、それにより免疫応答を含めてNFκB−調節経路の活性を上昇させる。
【0126】
NFIFポリペプチドをコードする核酸の投与を含む実施態様においては、NFIFポリペプチドを発現できる発現ベクターを用いるウイルスまたは非ウイルスシステムを患者の体内に導入することができる。上述の任意のウイルスまたは非ウイルストランスフェクションシステムが使用される。ウイルスおよび非ウイルスベクターシステムはまた、それらの体内への導入を促進するために、適当な生物学的に適合性のある溶液と混合してもよい。ウイルスまたは非ウイルスベクターが体内に導入されれば、核酸をコードするNFIFポリペプチドは宿主のゲノムに組み込まれ、上述のような作用を発揮するNFIFポリペプチドの安定な、長期にわたる発現が提供される。
【0127】
NFIF−14bおよびNFIF−7aポリペプチドはシグナル配列を含有し、これらのポリペプチドがある細胞内で発現し、一方、他の細胞内でそれらの作用を発揮できることが指示される。したがって、NFIFポリペプチドは、ついでNFIFポリペプチドを血流または他の輸送システム(たとえば、リンパ)中に放出する細胞によって発現させることもできる。ここで、それらはNFκB誘導に対するそれらの作用を発揮する組織に輸送される。
【0128】
以下の記載は、本発明における発見のNFIFポリペプチドに基づくNFκB誘導の調節のための組成物および方法をいかに同定するかについて説明する。
【0129】
組成物
本発明は、本発明のポリペプチド、核酸およびベクターからなる生物学的に適合性のある(生物適合性)溶液中の組成物を提供する。生物学に適合性のある溶液は、その中に、本発明のポリペプチド、核酸またはベクターが活性型、たとえば生物活性を発揮できる型で維持される溶液である。たとえば、本発明のポリペプチドはNFκB活性化または非活性化活性を有し;抗体(それ自体ポリペプチドである)は本発明のポリペプチドを結合し;核酸は複製、メッセージの翻訳、または相補性核酸とのハイブリダイゼーションが可能であり;ベクターは標的細胞をトランスフェクトすることができる。一般的に、このような生物学的に適合性のある溶液は、塩イオンを含有する緩衝水溶液、たとえばTris, リン酸塩またはHEPES緩衝液である。通常、塩イオンの濃度は生理学的レベルに類似する。特定の実施態様においては、生物学的に適合性のある溶液は製薬上許容される組成物である。生物学的に適合性のある溶液には安定剤および防腐剤を包含してもよい。
【0130】
このような組成物は、局所、経口、非経口的、経鼻、皮下または眼内の経路により投与される。非経口投与の語は静脈内注射、筋肉内注射、動脈内注射または輸液技術を包含することを意味する。組成物は、標準的な、周知の非毒性、生理学的に許容される担体、アジュバントおよびビヒクルを所望により含有する投与量単位の製剤で非経口的に投与されてもよい。
【0131】
好ましい滅菌注射用製剤は非毒性の非経口的投与に許容される溶媒または希釈剤中の溶液または懸濁液とすることができる。製薬上許容される担体の例は食塩水、緩衝食塩水、等張性食塩水(たとえば、リン酸一ナトリウムもしくはリン酸二ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムまたは塩化マグネシウム、あるいはこのような塩の混合物)、リンガー溶液、デキストロース、水、滅菌水、グリセロール、エタノール、およびそれらの混合物がある。1,3−ブタンジオールおよび滅菌固定油は溶媒または懸濁剤として慣用される。任意の刺激の強くない固定油が、合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドを含めて使用できる。脂肪酸たとえばオレイン酸も注射用製剤に使用することができる。
【0132】
組成物のメジウムはまた、生物適合性または非細胞毒性の(ホモまたはヘテロ)ポリマー、たとえば親水性ポリアクリル酸ポリマーから調製されるヒドロゲルとすることも可能で、これは薬物吸着スポンジとしても働く。このようなポリマーはたとえば特許出願WO93/08845に記載されている。この全内容は参照により本明細書に導入される。これらのある種(とくにエチレンおよび/またはプロピレンオキシド)から得られるポリマーは市販から入手することができる。ヒドロゲルは処置される組織の表面に、たとえば外科的介入時に、直接当てることができる。
【0133】
本発明の他の好ましい実施態様は複製欠損組換えウイルスおよびポロキサマーからなる医薬組成物に関する。さらに特定すれば、本発明はNFIFポリペプチドをコードする核酸を含む複製欠損組換ウイルスおよびポロキサマーからなる組成物に関する。好ましいポロキサマーは市販のポロキサマー407(BASF, Parsippany, NJ)であり、非毒性の生物適合性ポリオールであり、これが最も好ましい。組換えウイルスを浸漬させたポロキサマーは、処置される組織の表面に、たとえば外科的介入時に、直接当てることができる。ポロキサマーはヒドロゲルとほぼ等しい利点を有し、しかも低粘度である。
【0134】
本発明はまた、NFκB調節炎症応答に冒された患者の処置を目的とする医薬の製造に有用な組成物、およびNFκB調節炎症応答に冒されることから患者を防御することを目的とする医薬の製造に有用な組成物に関する。したがって、本発明は、NFκB調節炎症応答の処置および/または防止を目的とする医薬の製造における本発明によるNFIFポリペプチドの使用を包含する。本発明はまた、NFκB調節炎症応答の処置および/または防止を目的とする医薬の製造における、NFIFポリペプチドをコードする本発明による核酸の使用を包含する。本発明はさらにまた、NFκB調節炎症応答の処置および/または防止を目的とする医薬の製造における、NFIFポリペプチドをコードする核酸からなる本発明の組換えベクターの使用を含む。本発明はまた、NFκB調節炎症応答の処置および/または防止を目的とする医薬の製造における、本発明の欠損組換えウイルスベクターの使用を包含する。
【0135】
本発明の他の態様は、組換えウイルスにより ex vivo で遺伝的に修飾された細胞からなる組成物および本発明のNFIFポリペプチドの長期にわたる効果的な in vivo 発現を容易にするため体内に移植されたこのような組換えウイルスを含有する細胞からなる組成物の使用に関する。
【0136】
NF κ B の活性化を阻害する NFIF に基づく治療用化合物
上に説明したように、場合によりNFκB調節免疫応答を減弱または阻害することが望ましい。NFIF遺伝子の発現を阻害することまたはNFIFポリペプチドの活性に干渉することにより、NFκBの誘導を阻害し、その結果、動脈硬化症および他の疾患を生じるNFκB調節免疫応答を阻害または防止することが可能である。
【0137】
NFIFの発現または活性を阻害するために使用できる多様な治療用化合物がある。これらの治療用化合物は核酸、ポリペプチド、ペプチドまたは非ペプチドの小分子である。一実施態様においては、アンチセンス核酸が、NFIFの一次転写体のプロセッシング(スプライシング)を阻害することにより、NFIF遺伝子の発現を低下させるために使用される。他の実施態様においては、NFIF mRNAを切断するリボザイムが使用され、NFIFの合成が防止される。本発明のポリペプチドには、抗体またはNFIFポリペプチドを結合し、NFκBの誘導を活性化する能力に干渉する他の結合タンパク質が包含される。さらに、NFIF遺伝子の発現またはNFIFポリペプチドの活性を阻害する小分子インヒビターのような化合物は上述したようなレポーター遺伝子アッセイにおいて同定することが可能であり、NFIFの発現/活性を阻害するために患者に投与できる。NFIFポリペプチドおよびNFIFポリペプチドをコードする核酸を患者の体内に導入するために上述したのと同じ方法が、様々なアンチ−NFIF化合物を投与するために使用される。
【0138】
アンチセンス核酸
アンチセンス核酸を用いる遺伝子発現のダウンレギュレーションは翻訳または転写レベルにおいて達成することができる。本発明のアンチセンス核酸は、好ましくはNFIFをコードする核酸または相当する mRNAの全部または一部と特異的にハイブリダイズできる核酸フラグメントである。さらに、アンチセンス核酸は、その一次転写体のスプライシングを阻害することによってNFIF遺伝子の発現を低下させるように設計または同定する。NFIF遺伝子の構造および部分配列の知識により、このようなアンチセンス核酸を設計し、その効果を試験することができる。
【0139】
アンチセンス核酸は好ましくはオリゴヌクレオチドであり、多くは全体がデオキシリボヌクレオチド、修飾デオキシリボヌクレオチド、または両者のある種の混合物から構成される。アンチセンス核酸は合成オリゴヌクレオチドであってもよい。オリゴヌクレオチドは所望により安定性および/または選択性を改良するために化学的に修飾することができる。オリゴヌクレオチドは細胞内ヌクレアーゼによる分解を受けやすいため、修飾にはたとえばホスホジエステル結合の遊離酸素を置換する硫黄基の使用を包含することができる。この修飾はホスホロチオエート結合と呼ばれる。ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチドは水溶性で、ポリ陰イオン性かつ内因性ヌクレアーゼに抵抗性である。しかも、ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチドがその標的部位にハイブリダイズした場合には、RNA−DNA二重鎖は内因性酵素である、リボヌクレアーゼ(RNase)Hを活性化し、これはハイブリッド分子のmRNA成分を切断する。
【0140】
さらにホスホロアミダイト結合およびポリアミド(ペプチド)結合を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドを合成することができる。これらの分子はヌクレアーゼ分解にきわめて抵抗性である。さらにまた、化学基を糖残基の2'炭素およびピリミジンの5炭素(C−5)に付加し、安定性を増強し、アンチセンスオリゴヌクレオチドのその標的部位への結合を促進する。修飾には2'デオキシ、O−ペントキシO−プロポキシ、O−メトキシ、フルオロ、メトキシエトキシホスホロチオエート、修飾塩基、ならびに本技術分野の当業者に周知である他の修飾が包含される。
【0141】
アンチセンス核酸はまた、細胞内での発現がNFIF mRNAの全部または一部に相補性のRNAを産生するDNA配列であってもよい。アンチセンス核酸は、EP 140308に記載されたような逆方向での図3に示される配列からなる群より選択される配列の全部または一部の発現により調製することができる。長すぎてNFIFの発現をダウンレギュレーションまたはブロックすることがない限り、任意の長さのアンチセンス配列が、本発明の実施に適当である。好ましくはアンチセンスの長さは少なくとも20ヌクレオチドである。アンチセンス核酸、アンチセンスRNAをコードするDNAの調製および使用、ならびにオリゴおよび遺伝子アンチセンスの使用はWO92/15680に開示されている。この内容は参照により本明細書に導入される。
【0142】
アンチセンス核酸処置方法に使用されるNFIFの至適フラグメントを決定する一つのアプローチには機械的剪段力によるNFIF cDNAのランダムフラグメントの調製、酵素処理および本明細書に記載された任意のベクターシステムへのフラグメントのクローン化が包含される。個々のクローンもしくはクローンのプールを用いてNFIF−発現細胞を感染させ、有効なアンチセンスNFIF cDNAフラグメントをRNAレベルまたはタンパク質レベルにおけるNFIFの発現をモニターして同定する。
【0143】
上述のレトロウイルス、アデノ関連ウイルス、およびアデノウイルスベクターシステムはすべて、細胞にアンチセンス核酸を導入し、発現させるために使用される。アンチセンス合成オリゴヌクレオチドは、以下に記載する方法を含む様々な方法により導入することができる。
【0144】
リボザイム
リボザイムを用いてNFIFポリペプチドのレベルの低下は達成される。リボザイムは触媒および基質結合ドメインが分離した触媒RNA分子(RNA酵素)である。基質結合配列は、ヌクレオチド相補性および、その標的配列との非水素結合相互作用によって結合する。触媒部分は標的RNAを特異的な部位において切断する。リボザイムの基質ドメインは特異的なmRNA配列に向けられるように操作することができる。リボザイムは相補性塩基ペアリングを介し標的mRNAを認識し、ついで結合する。それが正しい標的部位に結合したならば、リボザイムは酵素的に働いて標的mRNAを切断する。リボザイムによるNFIF mRNAの切断はNFIFポリペプチドの合成に向けられたその能力を破壊する。一旦リボザイムがその標的配列を切断すると、その標的配列が放出され、他のNFIF mRNAに繰り返し結合し、それを切断できる。
【0145】
本発明の実施に使用されるリボザイムの例には、様々なモチーフ、たとえばハンマーヘッドモチーフ、ヘアピンモチーフ、肝炎δウイルス、グループIイントロンまたはRNaseP RNA(RNAガイド配列と会合)モチーフまたはニューロスポラ VS RNAモチーフが包含される。ハンマーヘッドモチーフはRossi et al., 1992, Aids Research and Human Retroviruses, 8, 283に記載されている。ヘパリンモチーフはHampel & Tritz 1989, Biochemistry, 28, 4929およびHampel et al., 1990, Nucleic Acids Res. 18, 299に記載されている。肝炎δウイルスモチーフはPerrotta & Been, 1992, Biochemistry, 31, 16に記載されている。RNasePモチーフはGuerrier−Tanaka et al., 1983, Cell, 35, 849に、アカパンカビ属 VS RNAリボザイムモチーフはCollins(Saville & Collins, 1990, Cell, 61, 685−696;Savilla & Collins, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A, 88, 8826−8830;Collins & Olive, 1993, Biochemistry 32, 2795−2799)に、グループIイントロンモチーフはCech et al., US特許第4,987,071号に記載されている。
【0146】
リボザイムを調製する一つのアプローチでは、転写後に標的NFIF mRNAにハイブリダイズする配列に隣接するリボザイム触媒ドメイン(20ヌクレオチドまで)を有するオリゴデオキシリボヌクレオチドを化学的に合成する。オリゴデオキシリボヌクレオチドをプライマーとして基質結合配列を用いて増幅する。増幅生成物を真核細胞発現ベクターにクローン化する。
【0147】
ハンマーヘッド構造またはヘパリン構造を有するリボザイムは、これらの触媒RNA分子が真核細胞プロモーターから細胞内で発現できることから、容易に調製される(たとえば、Scanlon et al., 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 88, 10591−5;Kashiani−Sabet et al., 1992, Antisense Res. Dev. 2, 3−15; Dropulic et al., 1992, J. Virol. 66, 1432-41; Weerasinghe et al., 1991, J.Virol., 65, 5531−4;Ojwang et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89, 10802−6;Chen et al., 1992, Nucleic Acids Res. 20, 4581−9;Sarver et al., 1990, Science 247, 1222−1225)。本発明のリボザイムは真核細胞内で適当なDNAベクターから発現させることができる。所望によりリボザイムの活性は一次転写体から第二のリボザイムによってそれを放出させて増強することができる(Ohkawa et al., 1992, Nucleic Acids Symp. Ser. 27, 15−6;Taira et al., 1991, Nucleic Acids Res. 19, 5125−30;Ventura et al., 1993, Nucleic Acids Res. 21, 3249−55)。
【0148】
リボザイムを調製する一アプローチにおいては、リボザイムを、DNA、RNAまたはウイルスベクターに挿入した転写単位から発現させる。リボソーム配列の転写は真核細胞RNAポリメラーゼI(pol I)、RNAポリメラーゼII(pol II)またはRNAポリメラーゼIII(pol III)からプロモーターで駆動させる。Pol IIプロモーターまたはpol IIIプロモーターはすべての細胞において高レベルで発現される。与えられたタイプの細胞における与えられたpol IIプロモーターのレベルは近くの遺伝子調節配列に依存する。原核細胞RNAポリメラーゼプロモーターも、原核細胞RNAポリメラーゼ酵素が適当な細胞内で発現される限り、同様に使用できる(Elroy−Stein & Moss, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87, 6743−7;Gao & Huang, 1993, Nucleic Acids Res. 21, 2867−72;Lieber et al., 1993, Methods Enzymol., 217, 47−66;Zhou et al., 1990, Mol. Cell. Biol., 10, 4529−37)。これらのプロモーターから発現されるリボザイムが哺乳動物細胞内で機能できることは証明されている(Kashani−Sabet et al., 1992, Antisense Res. Dev., 2, 3−15;Ojwang et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 89, 10802−6;Chen et al., 1992, Nucleic Acids Res. 20, 4581−9;Yu et al., 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 90, 6340−4;L'Huillier et al., 1992, EMBO J. 11, 4411−8;Lisziewicz et al., 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 90, 8000−4)。
【0149】
本発明の一実施態様においては、NFIF RNAを切断するリボザイムを発現する転写単位は、プラスミドDNAベクター、レトロウイルスベクター、アデノウイルスDNAウイルスベクターまたはアデノ随伴ウイルスベクターに挿入される。組換えベクターは好ましくはDNAプラスミドまたはアデノウイルスベクターである。しかしながら、RNAの発現に向けられた他の哺乳動物細胞ベクターもこの目的に使用することができる。ベクターは組換えウイルス粒子として送達される。DNAは単独で、または様々なビヒクルと複合化して送達することができる。DNA, DNA/ビヒクル複合体、または組換えウイルス粒子は、以下に述べるように処置部位に局所的に投与される。好ましくは、リボザイムを発現できる組換えベクターは、以下に述べるように局所的に送達され、標的細胞内に維持される。一旦発現すると、リボザイムは標的NFIF mRNAを切断する。
【0150】
リボザイムは患者に様々な方法で投与される。それらは陽イオン脂質と複合体化して、リポソーム内にパッケージされ、標的組織に直接添加するか、または本技術分野で周知の他の方法により送達される。所望の組織への局所的投与は、以下に記載するバイオポリマー中にリボザイムを導入するか、または導入しないで、カテーテル、注入ポンプまたはステントによって行われる。送達の別経路には、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射、エアゾル吸入、経口(錠剤または丸剤の形態)、局所、全身、眼内、腹腔内、および/または鞘内送達が包含される。リボザイムの送達および投与についてのさらに詳細な記述は、Sullivan et al., PCT WO94/02595およびDraper et al., PCT WO93/23569に与えられている。これらは参照により本明細書に導入されるが、それらに限定されるものではない。
【0151】
抗体
本発明はNFIFポリペプチドに対する抗体を提供する。これらの抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体である。本発明には、キメラ、一本鎖、およびヒト化抗体、ならびにFabフラグメントおよびFab発現ライブラリーの生成物、FvフラグメントおよびFv発現ライブラリーの生成物が包含される。
【0152】
ポリクローナル抗体はNFIFポリペプチドの抗原性フラグメントに対して調製される。抗体は無傷であるNFIFのタンパク質もしくはポリペプチド、またはタンパク質もしくはポリペプチドのフラグメント、NFIF誘導体もしくはNFIFエピトープに対して発生させてもよい。抗体は、タンパク質、ポリペプチド、フラグメント、誘導体、またはエピトープを動物に投与したのち、本技術分野で周知の技術および操作を用いて得られる。
【0153】
モノクローナル抗体はMishell, B.B., et al.の方法(Selected Methods in Cellular Immunology, W.H.Freeman ed, San Francisco, 1980)を用いて調製される。略述すれば、本発明のポリペプチドを使用してBalb/Cマウスの脾臓細胞を免疫処置する。免疫処置された脾臓細胞を骨髄細胞と融合する。脾臓および骨髄細胞特性を含む融合細胞を、いずれの母体細胞も殺滅させるが、融合生成物は生存、増殖させるHATメジウム中で増殖させ、単離する。
【0154】
本発明のモノクローナル抗体は、抗体に対する免疫応答の増強から宿主を防止するためにヒト化されてもよい。「ヒト化抗体」は相補性決定領域(CDR)および/または軽鎖および/または重鎖の可変ドメインフレームワークの部分が非ヒト免疫グロブリンから誘導されるが、分子の残部は1もしくは2以上のヒト免疫グロブリンに由来する抗体である。ヒト化抗体にはまた、ドナーまたはアクセプター非修飾軽鎖またはキメラ軽鎖と会合した人化重鎖またはその逆を特徴とする抗体を包含する。抗体の人化は本技術分野において周知の方法によって達成することができる(たとえば、G. E. Mark & E. A. Padlan, “Chapter 4. Humanization of Monoclonal Antibodies", The Handbook of Experimental Pharmacology Vol. 113, Springer−Verlag, New York, 1994参照)。ヒト化抗体を発現させるためにはトランスジェニック動物を使用することもできる。
【0155】
一本鎖抗体の製造のために本技術分野で知られている技術は、本発明の免疫原ポリペプチドおよびタンパク質に対する一本鎖抗体を生成させるために適用することができる。
【0156】
好ましい実施態様においては、抗−NFIF抗体は患者におけるNFIFに結合してその活性を阻害するために使用される。
【0157】
抗−NFIF抗体はまた、NFIFのレベルを検出または定量するためのアッセイにおいて有用である。一実施態様においては、これらのアッセイは様々な疾患状態におけるNFIFの臨床診断法およびアセスメント法、ならびに処置の効果をモニタリングする方法を提供する。NFIFを結合するための、および組織中におけるその存在を同定するための抗−NFIF抗体の使用例を実施例5に示す。これらの抗−NFIF抗体、さらに組織サンプル中のNFIFを定量するためにも使用できる。
【0158】
処置方法
本発明は、ヒトまたは他の動物に本発明の組成物の有効量を投与することからなる処置方法を提供する。
有効量は、年齢、処置される状態の種類および重症度、体重、所望の処置期間、投与方法、および他のパラメーターに依存して変動する。有効量は医師または他の資格ある医療専門家によって決定される。大部分の場合、投与量レベルはNFIFまたは他の治療化合物の所望レベルが達成され、維持されるように調整される。
本発明のポリペプチドは一般的に1日あたり約0.01mg/kg〜約100mg/kgの用量で、好ましくは約0.1mg/kg〜約50mg/kgの用量で、さらに好ましくは約1mg/kg〜約10mg/kgの用量で投与される。
【0159】
本発明の中和抗体は、1回のボーラスで、長時間にわたる注入により、またはその両者でボーラスおよび長時間にわたる注入で投与される。投与量は上述のパラメーター、および抗体の結合能に基づいて変動するが、0.2〜0.6 mg/kgの用量がボーラスとして、ついで2〜12時間の注入期間により与えられる。また、多重ボーラス注射が隔日、2日おき、または3日おきに、必要に応じて投与される。投与量のレベルはNFIFレベルおよび/またはNFκB誘導レベルにより決定されて調整される。
【0160】
上述のように、組換えウイルスは、NFIFおよびNFIFのサブフラグメントをコードするDNAならびにアンチセンス核酸の両者を導入するために使用される。本発明の組換えウイルスは一般に約104〜約1014 pfuの用量の形態に製剤化され、投与される。AAVおよびアデノウイルスの場合は、約106〜約1011 pfuの用量の使用が好ましい。用語pfu(「プラーク形成単位」)は、ビリオンの懸濁液の感染力に相当し、適当な培養細胞を感染させ、形成されたプラーク数を測定して決定される。ウイルス溶液のpfu力価の決定技術は先行技術に説明されている。
【0161】
本発明のリボザイムは、製薬上許容される担体中、約5〜約50mg/kg/日の範囲の量が投与される。投与量レベルは測定された治療効果に基づいて調整される。
インヒビターまたはエンハンサー分子の適当なレベルは、上述のパラメーターを用いて、資格ある医療専門家によって決定される。
【0162】
NFIF ポリペプチド活性のレベルを上昇させる方法
NFIFポリペプチドの発現または活性を上昇させる方法には、NFIFポリペプチドからなる組成物の投与、NFIFポリペプチドをコードする発現ベクターからなる組成物の投与、NFIFポリペプチドの活性を増強させるエンハンサー分子からなる組成物の投与、およびNFIF遺伝子の発現を上昇させるエンハンサー分子の投与が包含されるが、これらに限定されるものではない。
【0163】
NFIF ポリペプチドを用いる方法
一実施態様においては、NFIFの活性レベルはNFIFポリペプチドからなる組成物の投与によって上昇させる。この組成物は慣用の様式で、たとえば経口、局所、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、経鼻、または経皮経路で投与される。組成物はそのまま、またはカプセルに封入して(たとえば、脂質システム内、アミノ酸ミクロスフェア内、または球状のデンドライマー)投与される。ポリペプチドは場合により、他のポリマーたとえば血清アルブミンまたはポリビニルピロリドンに付着させてもよい。
【0164】
NFIF を発現するベクターを使用する方法
他の実施態様においては、NFIFのレベルは遺伝子療法の使用により、NFIFポリペプチドをコードし、その発現を目的とする核酸からなる組成物を投与して上昇させる。この実施態様においては、NFIFポリペプチドは適当な発現ベクター中にクローン化される。可能なベクターシステムおよびプロモーターは上に広範に述べた通りである。発現ベクターは上述のベクター送達システムの一つを用いて標的組織に移動させる。この移動は、核酸は実験室で細胞に移動され、修飾された細胞をついでヒトまたは他の動物に投与する操作により ex vivo で、または核酸を直接ヒトまたは他の動物内の細胞に移動させる操作により in vivo で行われる。好ましい実施態様においては、発現ベクターの送達にはアデノウイルスベクターシステムが使用される。所望により、上述の発現ベクターには組織特異的なプロモーターが用いられる。
【0165】
非ウイルスベクターは、本技術分野で周知の方法、たとえばリン酸カルシウム共沈殿法、リポフェクション法(合成陰イオンおよび陽イオンリポソーム)、受容体仲介遺伝子送達、裸DNA注射、エレクトロポレーション法および生物弾道(bioballistic)法または粒子加速化法の任意の方法を用いて細胞に移動される。
【0166】
NFIF の活性を増強するエンハンサー分子を使用する方法
他の実施態様においては、NFIFの活性はNFIFの活性を上昇させるか、または細胞の結合部位によるその適当な認識を上昇させるエンハンサー分子によって増強される。これらのエンハンサー分子は、ポリペプチドの投与について上述したのと同じ方法で導入することができる。
【0167】
NFIF 遺伝子の発現を上昇させるエンハンサー分子を使用する方法
他の実施態様においては、NFIFのレベルは転写、翻訳または翻訳後のレベルでNFIFの発現をアップレギュレーションすることができる小分子量化合物の使用により上昇させる。これらの化合物はポリペプチドの投与について上述したのと同じ方法で投与することができる。
【0168】
NF κ B 調節炎症応答を処置または防止する方法
本発明は、慢性リウマチ、動脈硬化症、自己免疫疾患、ウイルス疾患、NSAID−誘発胃疾患、神経変性疾患、スクレイピー、敗血症、アポトーシス、クローン病、腎疾患、再狭窄、脳傷害/炎症、アルツハイマー病、喘息、および不適切に調節された多面発現性サイトカインの発現を含むNFκB調節炎症応答を処置または防止する方法を包含するが、それらに限定されるものではない。
【0169】
これらの方法には、アンチセンス核酸からなる組成物の投与、細胞内結合タンパク質たとえば抗体からなる組成物の投与、NFIFの活性を阻害する阻害分子(たとえばNFIFのサブフラグメントをコードする発現ベクターまたは低分子量分子からなる組成物)の投与、NFIFの発現を転写、翻訳または翻訳後のレベルでダウンレギュレーションする低分子量化合物の投与、NFIFをコードするmRNAを切断するリボザイムの投与、NFIFポリペプチドを用いて製造された医薬の投与、NFIFポリペプチドをコードする核酸を用いて製造された医薬の投与、NFIFポリペプチドをコードする核酸を含む組換えベクターを用いて製造された医薬の投与およびNFIFポリペプチドをコードする核酸を含む欠損組換えウイルスベクターを用いて製造された医薬の投与が包含されるが、それらに限定されるものではない。
【0170】
NFIF ポリペプチド活性のレベルを低下させる方法
NFκBの誘導を低下させるため、NFIFポリペプチドの発現を低下させる方法には、アンチセンス核酸からなる組成物の投与、細胞内結合タンパク質(たとえば抗体)からなる組成物の投与、NFIFの活性を阻害する阻害分子の投与、たとえばNFIFのサブフラグメントをコードする発現ベクターまたは低分子量分子からなる組成物の投与、NFIFの発現を転写、翻訳または翻訳後のレベルでダウンレギュレーションする低分子量化合物の投与、およびNFIFをコードするmRNAを切断するリボザイムの投与が包含されるが、それらに限定されるものではない。
【0171】
アンチセンス核酸を用いる方法
一実施態様においては、NFIFの発現をダウンレギュレーションまたはブロックするために、アンチセンス核酸からなる組成物が使用される。一実施態様においては、核酸はアンチセンスRNA分子をコードする核酸である。この実施態様においては、核酸は核酸配列の発現を可能にするシグナルに操作可能に連結され、好ましくは組換えベクター構築体を用いて細胞内に導入される。ベクターが細胞内に導入されれば、これはアンチセンス核酸を発現する。適当なベクターの例には、プラスミド、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルスおよびヘルペスウイルスが包含される。好ましくは、ベクターはアデノウイルスである。さらに好ましくは、ベクターはウイルスのE1および/またはE3領域に欠失を有する複製欠損アデノウイルスである。
【0172】
他の実施態様においては、アンチセンス核酸は合成され、上述のように細胞内ヌクレアーゼによる分解に抵抗するように化学的に修飾される。合成アンチセンスオリゴヌクレオチドはリポソームを用いて細胞内に導入することができる。アンチセンスオリゴヌクレオチドがリポソームに封入されている場合は、細胞に取り込まれる。効果的な送達システムにより、低い非毒性濃度のアンチセンス分子は標的mRNAの翻訳を阻害するために使用できる。さらに、細胞特異的結合部位に接合するリポソームは特定の組織にアンチセンスオリゴヌクレオチドを導く。
【0173】
中和抗体および他の結合タンパク質を使用する方法
他の実施態様においては、NFIFの発現は、NFIFに選択的に相互作用することができる細胞内結合タンパク質をコードする核酸配列の発現をダウンレギュレーションまたはブロックできる。WO 94/29446およびWO94/02610には、細胞内結合タンパク質をコードする遺伝子による細胞トランスフェクションが開示されている。この内容は参照により本明細書に組み込まれる。細胞内結合タンパク質には、それが発現された細胞内でNFIFと選択的に相互作用またはそれを結合し、結合NFIFの機能を中和できる任意のタンパク質が包含される。好ましくは、細胞内結合タンパク質は、中和抗体または中和抗体のフラグメントである。さらに好ましくは、細胞内結合タンパク質は一本鎖抗体である。
【0174】
WO94/02610には抗体の調製および特定の抗体をコードする核酸の同定が開示されている。NFIFまたはそのフラグメントを用いて、本技術分野で周知の技術により特異的なモノクローナル抗体が調製される。したがって、細胞内結合タンパク質をコードする核酸からなるベクター、または宿主細胞中で発現できるベクターまたはその部分は、本発明の方法に使用するために調製される。
【0175】
また、NFIFの活性は循環中への中和抗体の投与によってブロックすることができる。このような中和抗体はタンパク質としてそのまま投与されるか、またはベクターから(分泌シグナルとともに)発現させることができる。
【0176】
NFIF 遺伝子の発現を防止する阻害分子を用いる方法
他の実施態様においては、低分子量化合物を含む阻害分子により、転写、翻訳または翻訳後のレベルでNFIFの発現をダウンレギュレーションすることができる。このような阻害分子を同定するためには、上述のレポーター遺伝子システムが使用される。これらの阻害分子は製薬上許容される担体と混合し、本技術分野で周知の慣用方法を用いて投与することができる。
【0177】
リボザイムを用いる方法
リボザイムはリポソーム中に封入して、微小電気泳動法、ヒドロゲル、シクロデキストラン、生物分解性ナノカプセルおよび生物接着性ミクロスフェアへの導入法、または上述の様々な他の方法によって細胞に投与することができる。リボザイムは直接注射、またはカテーテル、注入ポンプもしくはステントの使用により標的組織に送達される。送達の別経路には、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射、エアロゾル吸入、経口(錠剤または丸剤の形態)、局所、全身、眼内、腹腔内、および/または鞘内への送達が包含される。
【0178】
好ましい実施態様においては、リボザイムをコードする配列はDNA発現ベクター中にクローン化される。リボザイム配列の転写は、真核細胞RNAポリメラーゼII(pol II)またはRNAポリメラーゼIII(pol III)プロモーターによって駆動される。発現ベクターはウイルスDNAベクター、たとえば上述のアデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルスベクターを含む様々なベクターに導入することができる。
【0179】
本発明の好ましい実施態様においては、NFIF RNAを切断するリボザイムを発現する転写単位をアデノウイルスDNAウイルスベクターに挿入する。ベクターは組換えウイルス粒子として送達され、カテーテル、ステントまたは注入ポンプを用いて処置部位に局所投与される。
【0180】
【実施例】
実施例1:
NFIF 14b および NFIF 7a のクローニング方法
NFIF−14bおよびNFIF−7aをコードするDNAを単離するためには、cDNAライブラリーを、Clontech Marathon(登録商標)cDNAライブラリー合成キットを用いて、ヒト血管平滑筋細胞(SMC)総RNAから調製した。cDNA合成キットはまた、対照のヒト胎盤DNAライブラリーを包含する。ライブラリーは線状であり、PCRによって増幅が可能である。
【0181】
NFIF−14b遺伝子およびNFIF−7a遺伝子は、ヒト血管平滑筋およびヒト胎盤cDNA Marathonライブラリーの両者について実施したPCRによって得られた。
【0182】
PCR反応を実施するためには、標準PCR成分(Perkin Elmer 10×緩衝液およびTaq Goldポリメラーゼ)を使用し、反応を以下のように実施した。すなわち、反応混合物を94℃に10分間加熱し、ついで94℃で30秒の変性工程、65℃で30秒のアニーリング工程および72℃で1.5分の伸長工程からなる10回の熱サイクルを行った。これらの10サイクルののち、反応混合物に、94℃で30秒の変性工程、46℃で30秒のアニーリング工程および72℃で1.5分の伸長工程からなる30回の熱サイクルを行った。これらの30サイクルの後、反応混合物を72℃で7分間インキュベートし、4℃で保存した。PCR反応は、Perkin Elmer 9600サーモサイクラー中で実施した。
【0183】
各PCRからのPCR産物をpCR2.1(Invitrogen)中にライゲートし、DH5α−E. coliにトランスフォームした。クローンを採取し、5mLのLB−amp中で増殖させ、ついでプラスミドを単離し、EcoRIで消化して放出された挿入体のサイズをチェックした。15クローン中5つが1.2〜1.3 Kbサイズののバンドを与え、標的遺伝子であることを示唆しており、その配列を決定した。
【0184】
NFIFクローンの候補をオープンリーデフィングフレームおよび配列の予想される5'配列に対するシークェンスアラインメントに基づいて同定した。クローン番号14bおよび7aを、さらに特徴を解析するために選択した。
プラスミド大量調製をクローン7および14の元のグリセロール保存液から増殖させ、Qiagen MaxiPrepキットを用いて単離した。
【0185】
実施例2:
クローン 7a および 14b の、真核細胞発現ベクターへのサブクローニング
クローン14bおよび7aをさらにInvitrogenから入手したプラスミドベクター
pcDNA3.1myc−hisにサブクローニングした。この発現ベクターは、哺乳動物細胞における高レベルの発現のための強力なプロモーターおよび安定な細胞系を発生するための選択マーカーを包含する。このベクター中のC末端融合タグは迅速な精製のためのポリヒスチジン配列および抗myc抗体による便利な検出のためのmycエピトープを特徴としている。
【0186】
PCR反応は、PCRプライマーとして
5′−hasm −5′−tccaccatggcgctggtgcgcgcactc−3′(配列番号:6)および
fushasn 3′−3′−ctggatatcgtaattgtgctttatataaagctg−5′(配列番号:7)ならびに各完全長クローンに対してpCR2.1構築体を鋳型として用いて実施した。475 pgのPCR2.1クローン7aまたは500 pgのpCR2.1クローン14bを用いたPCR条件を次の通りとした。すなわち、反応混合物を95℃に10分間加熱し、ついで95℃で30秒の変性工程、52℃で30秒のアニーリング工程および72℃で1.5分の伸長工程からなる30回の熱サイクルを行った。これらの30サイクルの後、反応混合物を72℃で7分間インキュベートし、4℃で保存した。
【0187】
PCR産物をpCR2.1中にライゲートし、挿入されたDNA配列を、a Big Dye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction およびPerkin Elmer Applied Biosystems ABI Prism 377 DNA Sequencer を用いて配列決定した。配列決定は、PCRプライマーが天然の終止コドン(TAG)を除去し、EcoRV部位を挿入したことを示した。
【0188】
NFIF−14bおよびNFIF−7aの陽性構築体をEcoRIおよびEcoRVで消化し、EcoRIおよびEcoRVで切断したpcDNA3.1 mychis(Invitrogen)にサブクローニングした。これにより、mycタグはNFIF cDNAの3'末端に融合した。これらの構築体はpcDNA3.1mychasm7aおよびpcDNA3.1hasm14bmycと命名された。
【0189】
実施例3:
NFIF の欠失変異体の調製
NFIF−14bおよびNFIF−7aの欠失突然変異体は、上述のpcDNA3.1mychasm7aおよびpcDNA3.1hasm14bmycプラスミドを用いてPCR反応により調製した。欠失突然変異体の調製には、2セットのPCRプライマー:
hasm313mut+hasm3′mut:
5′gctccaccatgatatggacaggggatag 3′(配列番号:8)
5′gccactgtgctggatatcgtaattaac 3′(配列番号:9)
hasm396mut+hasm3′mut:
5′gctccaccatgacaaccaccatccagagtc 3′(配列番号:10)
5′gccactgtgctggatatcgtaattaac 3′(配列番号:9)
を用いた。
【0190】
hasm313+hasm3′mutプライマーペアは完全長クローン14bおよび7a cDNAの同一配列を生じたが、オープンリーディングフレームはbp313の下流で開始された(ATG)(完全長クローンにおけるATGから番号をつけた)。コンセンサスKozak配列は翻訳を至適化するために順方行のプライマーを包含した。
hasm396+hasm3′mutプライマーペアは、完全長cDNAの同一配列を精製したが、オープンリーディングフレームはbp 394の下流で開始された(ATG)。
【0191】
PCR産物をpCR2.1中にライゲートし、挿入されたDNAの配列を決定した。各欠失突然変異体をEcoRI/EcoRVで切断し、EcoRIおよびEcoRVで切断した pcDNA3.1mychisにサブクローニングした。正しい配列を有するNFIF−14b欠失クローンをpcDNAmychis 14−313およびpcDNAmychis 14−396と命名した。正しい配列を有するNFIF−7a欠失クローンをpcDNAmychis 7−313およびpcDNA mychis 7−396と命名した。
【0192】
反応中に [35S] メチオニンを導入する in vitro 転写/翻訳を用いる上記クローンの解析(Promega TnT Quick Coupled Transcription Translation キット# L1170)は縮小したオープンリーディングフレームから期待されるサイズのバンドを生じた(NFIF 14b=51 kDa;NFIF 14−313=40 kDa;NFIF 14−396=37 kDa;NFIF 7a=41 kDa;NFIF 7−313=30 kDa;およびNFIF 7−396=27 kDa;)。翻訳の容易性は、機能活性の評価および活性にどのドメインが重要であるかを決める前に決定することが重要である。
【0193】
実施例4:
プラスミドを含有する安定な細胞系を調製するために NFIF 14b または NFIF 7a で細胞をトランスフェクトする方法
NFIF−14b, NFIF−7aおよびそれらの欠失突然変異体を含有する安定な細胞系を調製するために、Falcon6ウエルプレートに、2×105 HEK293細胞またはCOS−7細胞を接種し、完成したcDNA NFIF構築体pcDNAmychis 7, pcDNAmuchis 7−313, pcDNAmychis 7−396;pcDNAmychis 14, pcDNAmychis 14−313, pcDNA−mychis 14−396(0.8μg)、Stratagene pNFκB−Lucレポーター遺伝子ベクター(0.1μg)およびClontech EGFPベクター(0.1μg)とともに、6μLのリポフェクタミンおよび200μLのOptimen(800μLの新鮮なOptimen/ウエル)を用いてトランスフェクトした。トランスフェクトした溶液を37℃で4時間インキュベートし、ついでプレートに完全メジウム(3mL)を供給した。
【0194】
トランスフェクション後24、48および72時間の溶解液を、200μLの1×Reporter Lysis緩衝溶液(E−397A−Promega)を用いて作成した。溶解液を氷上で20分間インキュベートし、攪拌し、ついで12,000rpmで5分間遠心分離した。上澄液を用いて、Stratagene pNFκB−lucレポーター遺伝子キットに従いルシフェラーゼ活性を評価した。
【0195】
安定な細胞系を調製するために、上記48時間培養液の二重サンプルを、細胞の選択するためのG418とともに完全増殖メジウムで1:100の比に分割し、それらのDNA中にプラスミドを導入した。単一細胞のクローンを単離し、増殖のために48穴プレートに移動した。NFκBルシフェラーゼレポーターアッセイにおけるそれらの活性により、クローンを選択した。
【0196】
ルシフェラーゼ活性は、一過性に感染させた細胞系のすべての細胞溶解液から測定した。溶解液20μLを96穴Costar セロクラスター(#3789)白色丸底プレートに加えた。100μLのルシフェラーゼ試薬(Promega E1501)を直接加えたのち、1450 Microbeta Walko ジェット中でサンプルを読み取った。
【0197】
24時間、48時間、72時間の時点からの結果の解析により、48時間の時点でのサンプルが活性の評価に最も適当であるとして同定された。アッセイの陽性対照は、pcDNA3.1mychisベクターでトランスフェクション後1日の細胞を24時間腫瘍壊死因子(α)(TNF−α)で刺激した。HEK293細胞では、完全長pcDNAmychis 7, pcDNAmychis14 cDNAによる一過性トランスフェクションはそれぞれ、ベクターのみ(図5)の場合より約3.1倍および約2.1倍の1秒あたりのルミノメーターカウントを示し、COS−7細胞中(図6)完全長クローンpcDNAmychis 7およびpcDNAmychis 14はそれぞれベクターのみよりも2.4倍のシグナル、および2.3倍の1秒あたりルミノメーターカウントの上昇を示した。
【0198】
欠失突然変異体(pcDNAmychis 7−313, pcDNAmychis 7−396, pcDNAmychis 14−313およびpcDNAmychis 14−396)は活性の低下を示した。他の日に48時間のタイムポイントを用いて行ったアッセイでは、応答に、クローン7(完全長)は2〜5倍、クローン14は2〜4倍の範囲の変動が見られた。
【0199】
実施例5:
NFIF タンパク質の組織発現または含有の同定
ヒト組織のNFIFタンパク質の発現を測定するために、NFIFから調製したランダムにプライムしたp32標識プローブで、Clontechの既製ノーザンブロット(ヒト12レーン#7780−1)をプローブにした。結果を図8に掲げる。図8に例示されるように、NFIFの発現はとくに骨格筋、腎臓、肝臓および胎盤組織で明瞭であった。
【0200】
NFIFタンパク質が、炎症が関与する動脈硬化症を含む病態に関係があるか否かを決定し、本発明の方法を用いて処置できる組織を同定するために、NFIFタンパク質の65〜79残基に由来するペプチド抗原(SKGANASNPGPFGDV)(配列番号:5)に対する99−06と命名されたウサギモノクローナル抗体を用いて免疫細胞化学的試験を実施した。ペプチドは、FMOC(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)保護方法をHOBT/HBTU活性化化学と組み合わせた固相法を用いて0.25ミリモルのスケールで合成した(Fields et al., Peptide Research, 4: 95−101, 1991)。ペプチドの合成にはApplied Biosystems Fast−Moc カップリングサイクルで稼動したApplied Biosystems 433 ペプチドシンセサイザーを用いた。
【0201】
ペプチドを、82.5%トリフルオロ酢酸(TFA)、5%フェノール、5%H2O, 5%チオアニソール、および2.5%エタンジチオールの切断試薬(King et al., Intl. J. Peptide and Protein Research, 36, 255−266, 1990)を用いて室温で1.5時間切断した。切断後、ペプチドをtert−ブチルエーテルで沈殿させ、洗浄し、ついで真空下に1時間乾燥した。ついで、ペプチドを0.1%TFA/水に溶解し、C18逆相HPLCを用いて精製した。ペプチドについて純度>95%のレベルが達成され、同時に正しいMALDI−TOF分子量のデータが得られた。
【0202】
精製ペプチド10〜30 mgを、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)を用いて、キーホールリンペットヘモシアニンとコンジュゲートさせた。この調製物をPBSに対して完全に4℃で透析した。ハプテンと担体との調製物を完全フロイントアジュバントと1:1で混合し、ペプチドに対する抗血清を産生させるため、ウサギへの注射に使用した。15残基のペプチドを、本技術分野で周知の標準的な方法による抗−NFIF抗体の製造に使用した。ウサギを抗原/完全フロイントアジュバントの乳化液(50%抗原溶液/50%完全フロイントアジュバント)の皮下注射によって免疫処置した。初期の免疫処置には完全フロイントアジュバント(CFA)が多様な範囲のタンパク質およびペプチド抗原に対する抗体応答の産生にきわめて高い成功率で用いられ、副作用の出現も稀少ないし無であることから、これを使用した。以下に記載する注射スケジュールはフロイントアジュバントを使用するために至適化されたものである。注射する領域を乳化液に対する反応の視覚による検査を可能にするために剃毛した。注射の前に、注射部位を希釈したNolvasan洗浄液で清浄した。注射部位は肩甲骨の間に始まる背部上とした。注射部位は広く分離し、動物が注射部位を引っ掻く可能性を低くするために中央に接近させた。通常、20μgの抗原を含有する100μLをそれぞれのウサギの5箇所に皮下注射し、1匹のウサギにつき計100μgとした。次に、ブースター注射を抗原/不完全フロイントアジュバントの乳濁液により、4週間隔で行った。6週後、5〜30 mLの血液を採取し、抗体の力価を測定した。抗体の力価が十分でない場合は、1週間隔でさらにブースター注射を行い、血液サンプルを2〜4週ごとに集めた。それぞれの抗原の注射前に、前の注射部位の状態を有害作用について評価した。陽性の抗体応答を維持した動物は、周期的にブースター投与および採血を行い、抗血清の大量の保存液を生成させた。
【0203】
抗体の滴定実験は、最低のバックグランドおよび最高のシグナルの検出を生じる濃度を確立するために、抗体99−06を用いて実施した。系列希釈試験により、1:500および1:1,000の希釈において、最高のシグナル対ノイズ比が認められ、これらの濃度の抗体とスライドをインキュベートし、病理学者により分析した。一次抗体としては抗体99−06を用い、主要な検出システムは、Vector ABC−APキット(AK5002)から構成し、暗赤色沈殿を生じるVector Red基質キットを用いた(SK−5100)。組織はまた、ヒト白血球抗原に対する陽性対照抗体(CD31)でも染色し(Stockinger et al., J. Immunol. 145 (11): 3889−97, 1990)、組織抗原が免疫細胞化学的分析のために維持され、接近可能であることを保証した。冠状動脈サンプルに加えて、この試験のフェーズIIに染色し、造影したその他の組織は、正常脾臓、胸腺、およびリンパ節である。染色は、このタンパク質を発現する細胞における炎症サブセットの同定補助のため、脾臓、胸腺およびリンパ節について実施した。
【0204】
脾臓、胸腺およびリンパ節内では、抗体99−06は末梢リンパ管鞘部のリンパ球内、ビルロード索、皮質胸腺リンパ球、リンパ節の胚中心細胞および血管内皮、ならびに平滑筋内で強い陽性の染色を示した。この抗体によって中等度ないし強度に陽性に染色された他のタイプの細胞は、シュワン細胞および心筋細胞が包含された。検査したタイプの細胞では、シグナルは、平滑筋細胞内に認められる細胞質顆粒およびプラークまたは組織化血栓の領域における細胞屑に満たされたマクロファージを除いて、主に核にあった。
【0205】
正常な冠状動脈内では、時折みられる核シグナルを示す細胞、および弱い核シグナルを示す心筋内膜平滑筋を除き、抗体は大部分、内膜の内皮では陰性であった。中膜内では、抗体は平滑筋細胞では中等度に均一な陽性を示した。外膜では、染色に対して、内皮細胞、血管平滑筋および炎症細胞が中等度の陽性を示した。内部および外部の弾性層板は染色に対して陰性であった。
【0206】
わずかな動脈硬化症を示すサンプルでは、アテロームが上層にあっても、内皮細胞はときに弱い核シグナルを示すのみであった。表面的のアテローム内では、筋内膜の平滑筋細胞は弱い核シグナルのみを示した。アテロームの深い領域では、増殖している線維芽細胞型および泡沫状マクロファージで高い染色レベルが観察された。コレステロールを含有するプラークおよび石灰化領域を示すサンプルにおいては一部、コレステロール負荷プラークおよび石灰化材料の周囲の平滑筋細胞および泡沫状組織球に染色レベルの上昇が認められた。
【0207】
中等度の動脈硬化症サンプルでは、内膜および血管新生領域の両方で、抗体99−06による染色の増強を示した。内皮に沿った縁部またはその下部にある炎症細胞は、染色に対し強い陽性を示した。新しい血管を覆う内皮は染色に対して中等度ないし強度に陽性であり、内皮下の筋線維芽細胞は関連内皮に比べて陽性度が低かった。一般に、筋内膜細胞の線維芽細胞型は、増殖中の平滑筋細胞または組織球型の平滑筋細胞のいずれよりも陽性度がはるかに低かった。さらに、コレステロール、石灰化、またはプラーク内の泡沫状マクロファージでは、染色レベルの上昇が認められた。中膜の平滑筋では、中膜が傷ついていないすべてのサンプルでかなり均一な中等度の陽性を示し、外膜血管内の平滑筋は同様に陽性であった。
【0208】
動脈硬化症が重症である場合は、内膜を覆う内皮の多くは剥離されているか、または残存内皮は染色に対して弱いか、または中等度の陽性を示した。プラーク関連炎症浸潤はマクロファージおよびリンパ球内で、新生血管の領域を含めて、染色に対してきわめて強い陽性を示した。染色の増強は石灰化およびコレステロールに隣接または包囲されたマクロファージおよびリンパ球内ならびに組織化された血栓の領域内でも認められた。新しい血管によって覆われた内皮は、これらの領域内で強い陽性を示した。シグナルの強度の上昇は、この場合も、平滑筋の線維芽細胞型に比較して、組織球および増殖型で認められた。これらの場合もまた炎症細胞たとえば外膜内リンパ球、血漿細胞、および外膜内マクロファージのサブセットで染色に対して強い陽性を示した。
【0209】
最小の炎症と静止したプラークを示す重症動脈硬化症の後期においては、染色は、はるかに弱い。これらのサンプルでは、内皮の染色はきわめて弱い陽性であるが、石灰化材料により囲まれた残りのリンパ球およびマクロファージでは陽性の染色が認められた。
【0210】
本発明の実施に有用な生物学的材料
pCR2.1プラスミドベクターにサブクローニングされたヒト血管平滑筋細胞cDNAライブラリーよりクローン化されたヒトNFκB誘導因子7a(NFIF−7a)の寄託、およびpCR2.1プラスミドベクターにサブクローニングされたヒト血管平滑筋細胞cDNAライブラリーよりクローン化されたヒトNFκB誘導因子14b(NFIF−14b)の寄託は、American Type Culture Collectionに行った。これらの培養体へのアクセスは、35 U.S.C.§122および37 C.F.R.§1.14により、その権限を与えられた特許庁長官が決定した者に特許出願の係属中も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 NFIF−14bのアミノ酸配列である。
【図2】 NFIF−7aのアミノ酸配列である。
【図3】 比較のために配列したNFIF−14bおよびNFIF−7aのcDNA配列である。
【図4】 NFIF−14bおよびNFIF−7aのダイヤグラム表示である。
【図5】 48時間にHeK 293細胞において観察された1秒間あたりのルミノメーターカウントを表す棒グラフである。
【図6】 48時間にCos−7細胞において観察された1秒間あたりのルミノメーターカウントを表す棒グラフである。
【図7】 NFIFに対する抗体を調製するために用いられた15残基配列のアミノ酸配列である。
【図8】 NFIFプローブを用いたノーザンブロットである。
【配列表】
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Claims (6)

  1. 配列番号1に示すアミノ酸配列からなるNFIF−14bポリペプチド、または配列番号2に示すアミノ酸配列からなるNFIF−7aポリペプチドをコードする核酸。
  2. 核酸はcDNAである請求項1に記載の核酸。
  3. NFκBの発現を誘導し、配列番号1に示すアミノ酸配列からなる単離精製NFIF−14bポリペプチド、またはNFκBの発現を誘導し、配列番号2に示すアミノ酸配列からなる単離精製NFIF−7aポリペプチド。
  4. レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、および裸DNAベクターからなる群より選ばれる請求項1に記載の核酸からなる発現ベクター。
  5. NFκB−調節レポーター遺伝子の発現に基づいて、試験化合物が、配列番号1に示すアミノ酸配列からなるNFIF−14bポリペプチドまは配列番号2に示すアミノ酸配列からなるNFIF−7aポリペプチドの活性の阻害に有効か否かを評価する方法において、
    (A) (1)上記NFIF−14bまたはNFIF−7aポリペプチド;(2)上記NFκB−調節レポーター遺伝子;および(3)上記試験化合物からなる第一のサンプル中におけるNFκB−調節レポーター遺伝子の発現レベルを(4)上記NFIF−14bまたはNFIF−7aポリペプチド;および(5)上記NFκB−調節レポーター遺伝子からなる第二のサンプルにおける遺伝子発現レベルと比較し、ついで、
    (B) 上記NFκB−調節レポーター遺伝子の発現レベルが上記第二のサンプルに比較して上記第一のサンプル中における方が低いか否かを確認することからなる方法。
  6. NFκB−調節レポーター遺伝子の発現に基づいて、試験化合物が、配列番号1に示すアミノ酸配列からなるNFIF−14bポリペプチドまは配列番号2に示すアミノ酸配列からなるNFIF−7aポリペプチドの活性を増強できるか否かを同定する方法において、
    (A) (1)上記NFIF−14bまたはNFIF−7aポリペプチド;(2)上記NFκB−調節レポーター遺伝子;および(3)上記試験化合物からなる第一のサンプル中におけるNFκB−調節レポーター遺伝子の発現レベルを(4)上記NFIF−14bまたはNFIF−7aポリペプチド;および(5)上記NFκB−調節レポーター遺伝子からなる第二のサンプルにおける遺伝子発現レベルと比較し、ついで、
    (B) 上記NFκB−調節レポーター遺伝子の発現レベルが上記第二のサンプルに比較して上記第一のサンプル中における方が高いか否かを確認することからなる方法。
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