JP4750994B2 - 特に加速度センサに用いられるマイクロメカニカル構造体 - Google Patents

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Description

【0001】
背景技術
本発明は、特に加速度センサに用いられるマイクロメカニカル構造体であって、アンカ固定装置を有する基板と、慣性質量体もしくははずみ質量体とが設けられていて、該はずみ質量体が、撓みばね装置を介してアンカ固定装置に結合されていて、はずみ質量体がその休止位置から弾性的に変位可能である形式のものに関する。
【0002】
本発明は、実際には任意のマイクロメカニカル構造体に適用可能ではあるが、本発明および本発明の根底を成す問題点をマイクロメカニカル式の加速度センサに関して説明する。
【0003】
図2には、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19808549号明細書に基づき公知であるような加速度センサに用いられる公知のマイクロメカニカル構造体の概略的な平面図が示されている。このようなマイクロメカニカル構造体は、たとえばヨーレートセンサのセンシング素子として使用される。
【0004】
図2には、符号5′で慣性質量体もしくははずみ質量体が示されている。このはずみ質量体5′は、長手方向軸線L′を備えた円錐状の縦長形状を有している。符号M′は長手方向中心点である。はずみ質量体5′はアンカ固定装置(図示しない)と撓みばね4a′,4b′,4c′,4d′とを介して基板1の上に弾性的に懸吊されているので、はずみ質量体5′はその休止位置から弾性的に変位可能となり、つまり線状振動子となる。符号10a′,10b′,10c′,10d′,10e′,10f′は、はずみ質量体5′と共に運動可能となる可動電極であり、符号100は基板1にアンカ固定された固定電極である。当然ながら、各可動電極10a′〜10f′には、それぞれこのような固定電極が対応配置されているが、しかし図面を簡単にするために、図面には固定電極100しか書き込まれていない。
【0005】
すなわち、このようなマイクロメカニカル構造体は、ばね・質量系として設計されている。一般に、はずみ質量体5′と撓みばね4a′〜4d′と可動電極10a′〜10f′は、エピタキシ・ポリシリコン(Epitaxie−Polysilizium;本来は単結晶シリコンのために使用されるエピタキシ設備を使用して製造された多結晶シリコン)から成っている。このエピタキシ・ポリシリコンは、エピタキシ・ポリシリコンと基板との間のSiOから成る犠牲層を除去することによって片持ち式に支承されている。
【0006】
加速度の検出は相応するコンデンサにより容量式に行われる。このコンデンサはコンデンサプレートとして、はずみ質量体5′に固定された可動電極10a′〜10f′と、基板1にアンカ固定された固定電極100とを有している。はずみ質量体5′に固定された可動電極10a′〜10f′は、さらに、互いに異なる固有周波数を有する段付けされた長さを有している。その理由は、可動電極10a′〜10f′の固有周波数が加速度センサの伝送特性を妨げないことが望ましいからである。
【0007】
はずみ質量体5′の公知の形状は方形および図2に示した円錐状の形状である。図2に示した公知の構成の欠点としては、長手方向軸線L′に対して直交する方向に作用する外乱影響因子に対して、はずみ質量体5′の頑丈性が低すぎるという事実が挙げられる。
【0008】
発明の利点
本発明の根底を成す思想は、はずみ質量体の凸面状の形状を設けることによって応力勾配を減少させること、つまりはずみ質量体の撓みを減少させることにある。言い換えれば、はずみ質量体の幅は中心を起点として長手方向両端部へ向かって徐々に小さくなる。撓みばねに対する結合部には、付加的に(optionellerweise)拡幅部が設けられていてよい。
【0009】
これにより、他軸感度(Querempfindlichkeit)、つまり直交加速度に対する敏感性も減じられている。種々異なる長さを有する可動電極の利点を維持することができるので、電極の固有周波数に基づく妨害成分混入の危険が有効に阻止されている。さらに、本発明はトレンチプロセス、特にフラットトレンチプロセスにおけるプロセス・製作確実性の向上をもたらす。それと同時に、別のパラメータに関する欠点は存在していない。
【0010】
請求項2以下には、請求項1に記載のマイクロメカニカル構造体の有利な改良形が記載されている。
【0011】
本発明の有利な改良形では、はずみ質量体に側方で可動電極が取り付けられており、該可動電極がはずみ質量体と一緒に運動可能である。
【0012】
本発明の別の有利な改良形では、各可動電極の長さが、長手方向中心を起点として長手方向両端部へ向かうにつれて増大している。
【0013】
本発明のさらに別の有利な改良形では、可動電極の、はずみ質量体から遠い方の端部、つまりはずみ質量体とは反対の側の端部と、長手方向軸線との間の間隔が一定となるように可動電極の長さが段付けされている。これにより、可動電極の固有周波数が加速度センサの伝送特性を妨げる恐れはなくなる。
【0014】
本発明のさらに別の有利な改良形では、はずみ質量体の幅が、長手方向中心を起点として長手方向両端部へ向かって均一に減小している。
【0015】
本発明のさらに別の有利な改良形では、前記拡幅部が、長手方向両端部で段状に形成されている。
【0016】
本発明のさらに別の有利な改良形では、本発明によるマイクロメカニカル構造体が、シリコン表面マイクロマニシングまたは別のマイクロマニシング技術により製造可能である。
【0017】
実施例の説明
図面中、同一の構成部分または同一機能の構成部分は同じ符号で示されている。
【0018】
図1には、加速度センサの一部として形成された本発明によるマイクロメカニカル構造体の1実施例が概略的な平面図で示されている。
【0019】
図1には、既に導入された符号に対して付加的に、符号5で慣性質量体もしくははずみ質量体が示されている。このはずみ質量体5は長手方向軸線Lを有する凸面状の縦長形状を有している。符号Mはこの場合、長手方向中心点である。はずみ質量体5はアンカ固定装置(図示しない)と撓みばね4a,4b,4c,4dとを介して基板1の上に弾性的に懸吊されているので、はずみ質量体5は、基板表面に対して直角に位置する回転軸線と、基板表面に対して平行に位置する少なくとも1つの回転軸線とを中心にして、その休止位置から弾性的に変位可能となる。符号10a,10b,10c,10d,10e,10fは、それぞれはずみ質量体5と共に運動可能な可動電極であり、符号100は基板1にしっかりとアンカ固定された固定電極である。当然ながら、各可動電極10a,10b,10c,10d,10e,10fには、それぞれこのような1つの固定電極が対応配置されているが、しかし図面を簡単にするために図面には、固定電極100しか書き込まれていない。
【0020】
加速度センサの慣性質量体もしくははずみ質量体5は凸面状に設計されている。これによって、加速度センサは応力勾配および他軸感度に関して最適化される。それと同時に、ばね・質量系の伝達特性を損なわないようにするために、段付けされた可動電極アームが維持される。すなわち、考察された種々の量は、測定したいヨーレート(回転角速度)に起因するものではなく、電極の誤位置もしくはミスアライメントによる、ジオメトリ的に生ぜしめられた病的(pathologisch)な容量変化に起因するような検出時の容量変化を決定する要因となる。
【0021】
この場合、凸面状のジオメトリ(幾何学的形状)を十分に有効に働かせるために、長手方向両端部に設けられた補強部5a,5bを、撓みばね4a,4b,4c,4dへの結合のために使用することが有利である。これらの補強部5a,5bは本実施例におけるように、段状の拡幅部により実現されていてよい。当然ながら、両端部における連続的な拡幅部も可能である。
【0022】
さらに、はずみ質量体5のこのような新規のジオメトリに基づき、チップ面が付加的に負荷されることなしに、撓みばね4a,4b,4c,4dの一層太いばねビームを使用することが可能となると同時に、共振周波数を変えることなしにばねビームを延長することが可能となる。
【0023】
ばねビームの幅は加速度センサの機能性に対して極めて大きな影響を与えるプロセスパラメータである。この場合、拡幅が行われるとプロセス窓が高められる。このことは、付加的にトレンチプロセス、特にフラットトレンチプロセス(Flachtrenchprozess)におけるプロセス・製作確実性の向上を意味する。
【0024】
このような構造のマイクロメカニカル式の加速度センサは、シリコン表面マイクロマニシングにより製造されると有利である。
【0025】
本発明を上では有利な実施例につき説明したが、しかし本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、種々様々な形に改良可能である。
【0026】
特に、はずみ質量体のジオメトリ(幾何学的形状)ならびに撓みばね装置および電極のジオメトリは図示の実施例に限定されるものではない。ただし、外部加速の線状成分が測定結果を誤める危険がある場合には、対称的な形状からの大きな偏倚は回避されることが望ましい。
【0027】
前記製造方法も同じく単に一例として挙げられているに過ぎず、別の方法、たとえば電気メッキ法も、同じく加速度センサを製造するために使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 加速度センサの一部である本発明によるマイクロメカニカル構造体の1実施例を示す概略的な平面図である。
【図2】 加速度センサのための公知のマイクロメカニカル構造体を示す概略的な平面図である。

Claims (3)

  1. 加速度センサに用いられるマイクロメカニカル構造体であって、
    −基板(1)が設けられており、該基板(1)がアンカ固定装置を有しており、
    −はずみ質量体(5)が設けられており、該はずみ質量体(5)が、撓みばね装置(4a,4b,4c,4d)を介してアンカ固定装置に結合されていて、はずみ質量体(5)がその休止位置から弾性的に変位可能である
    形式のものにおいて、はずみ質量体(5)が、長手方向軸線(L)を有する縦長形状を有していて、該長手方向軸線(L)に対してほぼ鏡像対称的に形成されており、はずみ質量体(5)が、付加的に長手方向両端部に拡幅部(5a,5b)を有しており、該拡幅部(5a,5b)に撓みばね装置(4a,4b,4c,4d)が取り付けられており、はずみ質量体(5)の幅が、長手方向中心(M)を起点として長手方向両端部へ向かって均一に減少しており、はずみ質量体(5)に側方で可動電極(10a,10b,10c,10d,10e,10f)が取り付けられており、該可動電極(10a,10b,10c,10d,10e,10f)がはずみ質量体(5)と一緒に運動可能であり、各可動電極(10a,10b,10c,10d,10e,10f)の長さが、はずみ質量体(5)の長手方向中心(M)を起点として長手方向両端部へ向かうにつれて増大していることを特徴とする、加速度センサに用いられるマイクロメカニカル構造体。
  2. 可動電極(10a,10b,10c,10d,10e,10f)の、はずみ質量体(5)から遠い方の端部と、長手方向軸線(L)との間の間隔が一定となるように可動電極(10a,10b,10c,10d,10e,10f)の長さが設定されている、請求項記載のマイクロメカニカル構造体。
  3. 拡幅部(5a,5b)が、長手方向両端部で段状に形成されている、請求項1または2記載のマイクロメカニカル構造体。
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