JP4749253B2 - 駆動軸を備える船舶推進機 - Google Patents

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本発明は、上下方向を指向して配置されると共にエンジンにより回転駆動される駆動軸と、該駆動軸の動力が入力される出力ギヤ機構から出力された動力により回転駆動される推進軸の回転方向を切り換える切換機構と、該切換機構を操作する操作機構とを備える船舶推進機に関する。
船舶推進機において、推進軸の回転方向を切り換える切換機構を操作する操作機構が、運転者により操作される操作部材と、係合機構を介して操作部材により駆動されて前記切換機構を操作する作動部材とから構成されるものは知られている(例えば特許文献1参照)。
特開昭61−175344号公報
操作機構の係合機構が駆動軸よりも前方でギヤケース内に配置される場合、操作部材と作動部材との係合機構が、操作部材の中心軸線から偏心したピンやカムにより構成されるものでは、推進軸の回転中心線方向での所要の移動量に対応して偏心ピンの偏心量やカムの突出量が設定されるため、係合機構が左右方向(平面視での推進軸の回転中心線に直交する方向)に大型化し、したがって係合機構が配置される部分でのギヤケースの左右方向で外径が大きくなって、前進航走時の形状抵抗(以下、「水中抵抗」という。)が大きくなっていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、船舶推進機において、切換機構を操作する操作機構の係合機構を小型化することにより、左右方向でギヤケースを小型化することにより、ギヤケースによる水中抵抗の減少を図ることを目的とする。
請求項1記載の発明は、上下方向を指向して配置されると共にエンジンにより回転駆動される駆動軸と、前記駆動軸の動力が入力される出力ギヤ機構と、前記出力ギヤ機構から出力された動力により回転駆動される推進軸と、前記推進軸の回転方向を切り換える切換機構と、前記切換機構を操作する操作機構と、前記出力ギヤ機構および前記推進軸を収容する前記ギヤケースとを備、前記操作機構が、回転操作されるべく上下方向に延びる操作部材と、係合機構を介して前記操作部材により駆動されて前記切換機構を操作する作動部材とから構成され、前記係合機構が前記駆動軸よりも前方で前記ギヤケース内に配置される船舶推進機において、前記係合機構は、前記操作部材の下端部に設けられて操作部材の回転操作に伴って操作部材の中心軸線回りで回転するピニオンと、前記推進軸に平行に前記作動部材に設けられて前記ピニオンに噛合するラックとから構成され、前記ギヤケースは、前記出力ギヤ機構、前記推進軸および前記係合機構を収容する収容部を有し、前記操作機構の前記作動部材は、その前端部が前記収容部の前端に嵌合支持されるとともに、前記推進軸の中心軸線方向に移動可能に後方に向かって延び、前記切換機構は、前記推進軸の前半部の内部に、推進軸の軸線方向に摺動可能に嵌合して切換動作を行うシフタを有し、前記作動部材の後端部が前記シフタに連結部を介して連結されることを特徴とする船舶推進機である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の船舶推進機において、記駆動軸における前記出力ギヤ機構への入力部の入力回転中心線と前記操作部材の中心軸線との前後方向での間隔は、前記入力回転中心線の前後方向での位置における前記収容部の左右方向での外径よりも大きいことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の船舶推進機において、前記作動部材は、前記推進軸の左右方向に関して反転した位置で、前記シフタに連結部を介して連結可能であることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1、2または3記載の船舶推進機において、前記作動部材は、前記推進軸の中心軸線方向の長孔を有する枠部を備え、該枠部の内側に前記ラックが形成されていることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、操作機構に設けられる係合機構が、操作部材に設けられたピニオンと、作動部材に設けられたラックとにより構成されるので、係合機構が偏心ピンやカム機構により構成される場合に比べて、係合機構の左右方向での位置変化を伴うことがなく、しかも操作部材の回転量に応じて作動部材の移動量を大きな範囲で変更できるので、係合機構付近でのギヤケースの左右方向での外径を小さくできて、ギヤケースによる水中抵抗を減少することができる。
請求項2記載の事項によれば、駆動軸の入力回転中心線と操作部材の中心軸線との前後方向での間隔は、前後方向での入力回転中心線の位置における収容部の左右方向での外径よりも大きいことから、入力回転中心線よりも前方で収容部を長細くすることができるので、収容部の前端から後方に向かって左右方向での外径が緩やかに大きくなるようにできて、水中抵抗の減少に寄与する。
請求項3記載の発明によれば、作動部材は、推進軸の左右方向に関して反転した位置で、シフタに連結部を介して連結可能であるから、作動部材の連結状態を変更することで、プロペラの捩れ方向や駆動軸の回転方向が反対の場合にも、操作部材の前後進操作の方向を変更することなく船舶の前後進を制御することができる。
請求項4記載の発明によれば、作動部材は、推進軸の中心軸線方向の長孔を有する枠部を備え、該枠部の内側にラックが形成されるから、ラックと操作部材のピニオンとの噛み合い関係の確立操作を容易に行うことができる。
以下、本発明の実施形態を図1〜図7を参照して説明する。
図1を参照すると、本発明が適用された船舶推進機としての船外機Sは、推進機本体と、該推進機本体を船体Tに取り付けるための取付装置19とを備える。前記推進機本体は、エンジンとしての内燃機関Eおよび該内燃機関Eにより駆動されて推力を発生するプロペラ18を有する推進ユニットのほかに、後述するオイルパン11、ケース12,13およびカバー14,15を備える。
回転中心線L0が上下方向を指向するクランク軸8を備えるバーチカル機関である内燃機関Eは、頭上カム軸型の動弁装置を備える水冷式多気筒4ストローク内燃機関であり、それぞれにピストン6が往復動可能に嵌合する複数のシリンダ、この実施形態では直列に配列された4つのシリンダが一体に形成されたシリンダブロック1と、シリンダブロック1の前端部に結合されるクランクケース2と、シリンダブロック1の後端部に結合されるシリンダヘッド3と、ヘッドカバー4とから構成される機関本体を備える。シリンダブロック1とクランクケース2との間で回転可能に支持されるクランク軸8は、シリンダヘッド3に形成された燃焼室5内で発生する燃焼ガスの圧力により駆動されて往復運動するピストン6によりコンロッド7を介して回転駆動される。
なお、明細書または特許請求の範囲において、上下方向は図1および図2に示される駆動軸31,32の回転中心線の方向であるとし、上下方向に直交する方向である水平方向は、前後方向および左右方向を含む。また、左右方向は、平面視で推進軸の回転中心線に直交する方向に含まれる。そして、実施形態において、上下方向、前後方向および左右方向は、船体における上下方向および前後方向および左右方向に一致する。
内燃機関Eはマウントケース10の上端部に結合され、マウントケース10の下端部にオイルパン11およびオイルパン11を囲むエクステンションケース12が結合され、エクステンションケース12の下端部にギヤケース13が結合される。内燃機関Eの下部、マウントケース10およびエクステンションケース12の上部はアンダカバー14により覆われ、アンダカバー14の上端部に、内燃機関Eを覆うと共にアンダカバー14と協働して内燃機関Eが収容されるエンジンルームを形成するエンジンカバー15が結合される。
クランク軸8の下端部8bにフライホイール9を介してクランク軸8に連結されることで内燃機関Eの動力により回転駆動される駆動軸31は、クランク軸8と同軸に上下方向を指向する回転中心線L1を有し、マウントケース10内に位置する下端部8bからマウントケース10内およびエクステンションケース12内を下方に延び、さらにギヤケース13内に達するまで延びるように配置される。そして、駆動軸31,32は、ギヤケース13内で駆動軸31,32の回転を制御する変速装置としての前後進切換装置16を介して推進軸17に連結される。内燃機関Eの動力は、クランク軸8から駆動軸31,32、前後進切換装置16および推進軸17を経て、推進軸17に連結される推力発生手段としてのプロペラ18に伝達され、プロペラ18が回転駆動される。
ここで、駆動軸31,32、前後進切換装置16、推進軸17およびプロペラ18は前記推進ユニットを構成する。
取付装置19は、マウントケース10およびエクステンションケース12に固定されるスイベル軸19aを回動可能に支持するスイベルケース19bと、スイベルケース19bを回動可能に支持するチルト軸19cを保持すると共に船体Tの船尾に固定されるブラケット19dとを備える。スイベル軸19aは、その上端部でマウントケース10にマウントラバー19eを介して固定され、その下端部でエクステンションケース12にマウントラバー19fを介して固定される。取付装置19により、船外機Sは、船体Tに対してチルト軸19cを中心に上下方向に揺動可能であり、スイベル軸19aを中心に左右方向に揺動可能である。
図1,図2を参照すると、ギヤケース13は、前後進切換装置16および推進軸17が収容されるギヤ室20を形成する収容部21と、収容部21から上方に延びてエクステンションケース12に結合される支柱部22と、収容部21から下方に延びるスケグ23と、支柱部22の上部で水平方向に延びるアンチキャビテーションプレート24とを有する。船舶の航走時、水面はアンチキャビテーションプレート24付近に位置し、いずれも水面下に位置すると共に流線型に形成される収容部21および支柱部22において、収容部21は全体としてほぼ砲弾形状の外形を有し、支柱部22は、上下方向(または駆動軸31,32の回転中心線L1,L2)に直交する平面での断面である平断面が翼断面形状である外形を有する。
支柱部22には、いずれも上下方向を指向して配置される第1,第2駆動軸31,32が軸受36〜39を介して回転可能に支持され、オイルポンプ70が内蔵され、さらに、シフトロッド61が挿入される収容孔69と、内燃機関Eのシリンダブロック1およびシリンダヘッド3に設けられる水ジャケットJに冷却水を圧送する水ポンプ90に吸入される水を導く吸水通路97と、船速検出用の水圧を検出するための水圧通路27とが設けられる。
図2,3を参照すると、駆動軸31,32は、上端部でクランク軸8(図1参照)に連結される第1駆動軸31と、第1駆動軸31に中間ギヤ機構33を介して連結されて第1駆動軸31の動力を出力ギヤ機構50に伝達すると共に第1駆動軸31から後方にオフセットして配置される第2駆動軸32とから構成される。第2駆動軸32は、内燃機関Eの回転中心線L0に一致する第1駆動軸31の回転中心線L1に対して、回転中心線L1に平行であるその回転中心線L2が前後方向でオフセット量δとなる位置にある。また、第2駆動軸32は、前後方向で収容部21のほぼ中央に、すなわち収容部21の前後方向での長さWの二等分線が回転中心線L1よりも回転中心線L2に近い位置を占めるように配置され、さらに第1駆動軸31よりも下方まで延びている。なお、両回転中心線L1,L2は、推進軸17の回転中心線L3を含み上下方向に平行な同一の平面上にある。
水ポンプ90が設けられる第1駆動軸31は、水と接触するために、耐食性に優れた材料、例えばステンレス鋼により形成される。一方、第2駆動軸32は、後述するようにオイル内およびオイル雰囲気内に配置されるため、第1駆動軸31の形成材料に比べて耐食性に劣るものの低価格の鉄系材料(例えば、SCM415などを含む機械構造用炭素鋼)により形成され得るので、コスト削減に寄与する。
連結機構としての中間ギヤ機構33は、第1駆動軸31にスプライン結合されて設けられる駆動ギヤ34と、駆動ギヤ34と噛合すると共に第2駆動軸32にスプライン結合されて設けられる被動ギヤ35とから構成される。
エクステンションケース12を貫通する第1駆動軸31は、支柱部22内に位置する下側部分31cを有し、下側部分31cにおいて該下側部分31cに取り付けられる駆動側連結部材としての駆動ギヤ34よりも下方に位置する部分である第1駆動軸31の下端部31bは、上下方向で推進軸17と水ポンプ90との間のほぼ中央または支柱部22のほぼ中央に位置する。第1駆動軸31は、上下方向で駆動ギヤ34のボス部34aを挟んで上下にそれぞれ配置される1対の軸受36,37により支持される。
ローラ軸受からなる上側軸受36は、ボス部34aの延長部を介して下側部分31cと、支柱部22の上端部22aに結合される軸受ホルダ41を介して支柱部22とに、駆動ギヤ34の歯部34bの直上にて保持される。テーパローラ軸受からなる下側軸受37は、ボス部34aの延長部を介して下側部分31cと、支柱部22とに、歯部34bの直下にて保持される。
ほぼ全体が支柱部22内に位置する第2駆動軸32は、被動側連結部材としての被動ギヤ35の回転軸であるボス部35aよりも上方に位置する上端部32aと、ギヤ室20に位置すると共に出力ギヤ機構50への動力の入力部である下端部32bとを有する。第2駆動軸32は、上下方向で被動ギヤ35を挟んで上下にそれぞれ配置される1対の軸受38,39のみにより支持される。
複列の外向きテーパローラ軸受からなる上側軸受38は、上方および下方のアキシアル荷重を受ける複列軸受であり、被動ギヤ35から上方に突出する上端部32aと、上端部22aに結合される軸受ホルダ42を介して支柱部22とに、ボス部35aの直上にて保持される。ニードル軸受からなる下側軸受39は、第2駆動軸32と支柱部22とに、下端部32bの直上にて保持される。
上側軸受38は、第2駆動軸32において上下方向で駆動ギヤ34のボス部34aおよび歯部34bと重なる位置にあり、しかも上下方向で被動ギヤ35の円筒状の歯部35bと重なる位置にあって、径方向で上端部32aと歯部35bとにより形成されて歯部35bにより囲まれる円筒状空間43内に配置される。下側軸受39は、第2駆動軸32において入力ギヤ51が設けられる下端部32bまでの範囲に位置する。
回転中心線L3が前後方向を指向して配置される推進軸17は、収容部21に取り付けられて排気ガスの排気通路28を形成する軸受ホルダ29に回転可能に支持され、出力ギヤ機構50から出力される動力により回転駆動される。推進軸17は、収容部21内またはギヤ室20に配置される前半部17aと、収容部21の外部に配置されてプロペラ18が結合される後半部17bとを有する。
前後進切換装置16は、出力ギヤ機構50と、推進軸17の回転方向を切り換える切換機構としてのクラッチ機構54とから構成される。
第2駆動軸32からの動力が入力される出力ギヤ機構50は、オイルで満たされた密閉空間であるギヤ室20に配置される。出力ギヤ機構50は、下端部32bで第2駆動軸32に結合される入力ギヤ51と、推進軸17の前半部17aに回転可能に支持されると共に前後方向でクラッチ機構54を挟んで配置される1対の出力ギヤである前進ギヤ52および後進ギヤ53とから構成されるベベルギヤ機構である。この実施形態では、出力ギヤ機構50はスタンダードローテーション仕様となる構造になっている。すなわち、入力ギヤ51の回転中心線でもある回転中心線L2(前記入力部(すなわち下端部32b)の入力回転中心線でもある。)の前後方向での位置に対して、後方に、1対の軸受46,47を介して収容部21および前半部17aに支持される前進ギヤ52が配置され、前方に、1対の軸受48,49を介して収容部21および前半部17aに支持される後進ギヤ53が配置される。
第1,第2駆動軸31,32から推進軸17までの動力伝達系に配置される1次減速ギヤ機構としての中間ギヤ機構33および2次減速ギヤ機構としての出力ギヤ機構50は、いずれも減速機構を構成し、中間ギヤ機構33の減速比は、出力ギヤ機構50の減速比よりも大きく設定される。例えば、中間ギヤ機構33の減速比が1.6〜2.5の範囲で設定され、それに対応して出力ギヤ機構50の減速比が1.4〜1.0の範囲で設定される。このため、出力ギヤ機構50での減速比を、中間ギヤ機構33が設けられない場合に比べて小さく設定できるので、前進ギヤ52および後進ギヤ53の径を小さくすることができて、収容部21の小径化、ひいてはギヤケース13の小型化が可能になる。
併せて図4,図5を参照すると、クラッチ機構54は、前半部17aの内部に前後方向(または推進軸17の回転中心線L3方向)に摺動可能に嵌合するシフタ55と、前半部17aの外周に嵌合する円筒状のクラッチ素子56と、シフタ55とクラッチ素子56とを一体に結合すると共にコイルバネ58により抜止めされた連結ピン57とを備える。
シフトロッド61の操作に応動して回転中心線L3の方向Aに移動するシフタ55には、回転中心線方向Aに一体移動可能にかつ回転可能に作動ロッド62に連結される連結部55aと、クラッチ機構54の中立位置、前進位置および後進位置を設定する位置決め機構としてのディテント機構55bとが設けられる。連結ピン57は、前半部17aに回転中心線L3に平行に形成された1対の長孔59を貫通し、その両端部でクラッチ素子56に連結される。前半部17aにスプライン結合されて回転中心線方向Aに移動可能なクラッチ素子56には、いわゆるドッグクラッチであり、その両端部には、それぞれ、前進ギヤ52の爪からなる係合部52aおよび後進ギヤ53の爪からなる係合部53bにそれぞれ択一的に係合可能な爪からなる前進側係合部56aおよび後進側係合部56bが設けられる。
前後進切換装置16により、シフトロッド61の操作に応じて、シフタ55が前記中立位置を占めるとき、クラッチ素子56は、前進ギヤ52および後進ギヤ53と接続されず、第1,第2駆動軸31,32の動力は推進軸17には伝達されない。シフタ55が前記前進位置を占めるとき、クラッチ素子56が前進ギヤ52に係合して第1,第2駆動軸31,32の動力が前進ギヤ52およびクラッチ素子56を介して推進軸17に伝達され、プロペラ18が正回転して船舶が前進する。シフタ55が前記後進位置を占めるとき、クラッチ素子56が後進ギヤ53に係合して第1,第2駆動軸31,32の動力が後進ギヤ53およびクラッチ素子56を介して推進軸17に伝達され、プロペラ18が逆回転して船舶が後進する。
図1〜図3,図5を参照すると、クラッチ機構54を操作する操作機構は、運転者により操作される駆動機構(図示されず)により駆動されて回転する操作部材としてのシフトロッド61と、係合機構63を介してシフトロッド61により駆動されてクラッチ機構54を操作する作動部材としての作動ロッド62とから構成される。
収容孔69に収容されてギヤケース13内に配置されるシフトロッド61は、第1駆動軸31よりも前方において支柱部22内で上下方向に延びて収容部21に達し、その下端部61bがギヤ室20内に位置する。最下部61b1が収容部21に摺動可能に嵌合して回転可能に支持される下端部61bにはピニオン63aが設けられる。
作動ロッド62は、前端部62aにて収容部21の前端21c付近に摺動可能に嵌合して回転中心線方向Aに移動可能に支持され、後端部62bにて連結部55aでシフタ55に連結される。作動ロッド62には、前端部62aおよび後端部62bの間の中間部に、推進軸17に平行に設けられてピニオン63aに噛合するラック63bが設けられる。ラック63bは、ピニオン63aが上下方向に貫通する長孔62eを形成する枠部62dにおいて、左右方向での一側の内側に設けられる。
そして、係合機構63は、駆動側係合部としてのピニオン63aと、該ピニオン63aと係合する被動側係合部としてのラック63bにより構成される。
シフトロッド61が操作されて回転すると、ピニオン63aが回転してラック63bが前後方向(回転中心線方向A)に移動し、作動ロッド62がシフタ55を前後方向に移動させて、シフタ55が前記中立位置、前記前進位置および前記後進位置を択一的に占めて、出力ギヤ機構50における変速が行われる。具体的には、図3,図5に示される位置ではシフタ55は前記中立位置を占める。図5において、シフトロッド61が回転してピニオン63aが時計方向に回転すると、ラック63b(作動ロッド62)が後方に移動して、シフタ55が後方に移動し前記前進位置を占め、シフトロッド61が反対方向に回転してピニオン63aが反時計方向に回転すると、ラック63b(作動ロッド62)が前方に移動して、シフタ55が前方に移動し前記後進位置を占める。
作動ロッド62は、連結部55aに対して、切欠部62c(図5のa図参照)を通じて左右反転位置で連結することが可能であり、これにより、ピニオン63aに対して左右反転した位置にラック63bを配置することができる。これにより、シフタ55に対する作動ロッド62の連結状態を変更することで、プロペラ18の羽根の捩れ方向や第1駆動軸31または第2駆動軸32の回転方向が前述とは反対である場合にも、シフトロッド61の前後進操作の方向を変更することなく、船舶の前後進を制御することができる。
図1,図2を参照すると、収容部21は、前後方向で回転中心線L2をほぼ境として、第2駆動軸32から前方に収容部21の前端21cを先端とする先細部21aと、第2駆動軸32から後方に収容部21の後端までの円筒部21bとを有する。併せて図4,図5を参照すると、先細部21aは、推進軸17の回転中心線L3を中心とする周方向でのほぼ全体において、前後方向で第2駆動軸32から前端21cに向かうほど細く(したがって外径が小さく)なり、円筒部21bは、周方向でのほぼ全体において、前後方向で同じ外径を有する。
ここで、「ほぼ全体」とは、先細部21aの全体または円筒部21bの全体において、局所的な凹凸を除くことを意味する。また、収容部21と支柱部22およびスケグ23との接続部(または形状移行部)は、先細部21aおよび円筒部21bには含まれないものとする。
より具体的には、先細部21aでは、回転中心線L3からの先細部21aの外面25までの距離である半径eが、回転中心線L3を中心とする周方向での同じ位置(または同じ径方向)において、すなわち図4において例えば回転中心線L3から上下方向で上方に延びる線分を基準線としたとき該基準線からの角度θが同じである位置において、第2駆動軸32の回転中心線L2から前方に向かうほど小さくなる。そして、先細部21aにおいて、半径eのうちの最大半径eは収容部21に収容される出力ギヤ機構50の寸法、すなわち各ギヤ51〜53の径にほぼ依存して決定されるため、半径eは、前後方向での回転中心線L2での位置で最大半径eとなり、第2駆動軸32から前方に配置される第1駆動軸31の回転中心線L1の位置(この位置は、後述する中立位置での連結ピン57の中心軸線の位置に一致する。)での半径eである半径e(図4には第1駆動軸31の回転中心線L1の位置での外面25が二点鎖線で示されている。)やシフトロッド61の中心軸線としての回転中心線L4の位置での半径eである半径eを含め、第2駆動軸32から前方に位置する部分の半径eは、前端21cに向かうほど小さくなる。そして、先細部21aの外面25の横断面での形状は、上下方向で入力ギヤ51と重なる部分を除いて、ほぼ円弧状である。
ここで、横断面とは、前後方向(または直進航走時の水流の方向)に直交する平面での断面である。また、横断面積とは、横断面での断面積である。
それゆえ、この実施形態によれば、前端21cからの先細部21aの最大半径eの位置は、唯一の駆動軸が第1駆動軸31の位置に相当する位置にあると仮定し、かつギヤケースの先端位置が概ね同じとした場合の船外機のギヤケース(以下、「比較ギヤケース」という。)の先細部の最大半径の位置に比べて、第2駆動軸32が第1駆動軸31から後方にオフセットして配置されている分、オフセット量δに等しい距離だけ後方になる。このため、比較ギヤケースに比べてこの先細部21aでは先細比がより大きくなって、先細部21aが細長くなって先細部21aが先鋭化される。そして、先細部21aが先鋭化されることで、前端21cから後方に向かって、半径eを、前後方向で前端21cから第2駆動軸32までの間で、比較ギヤケースに比べて緩やかに大きくすることができ、したがって前端21cから後方に向かって先細部21aの横断面積が急増することが防止される。このため、水中抵抗が減少する。
ここで、先細比とは、半径eが最大になる位置(この実施形態では回転中心線L2の位置)と前端21cとの前後方向での間隔f1と最大半径eとの比(すなわちf1/e)である。
図5を参照すると、先細部21aの形状は、前後方向における前端21c、第1,第2駆動軸31,32およびシフトロッド61の位置と、それら位置での半径とを使用して、以下のように規定される。
前端21cと回転中心線L4との間隔f2は、20%≦R2≦45%の範囲の値を有し、好適にはR2=34%前後の値を有する。また、回転中心線L4の位置での半径eは、58%≦R5≦69%の範囲の値を有し、好適にはR5=63%の値を有する。
前端21cと回転中心線L1との間隔f3は、60%≦R3≦80%の範囲の値を有し、好適にはR3=68%前後の値を有する(なお、このときの前後方向での回転中心線L1と回転中心線L2との間隔f4はR4=36%前後の値を有する。)。また、回転中心線L1の位置での半径eは、89%≦R6≦97%の範囲の値を有し、好適にはR6=93%の値を有する。
ここで、R2=f2/f1
R3=f3/f1
R4=f4/f1
R5=e/e
R6=e/e1
一方、円筒部21bにおいては、前後方向での任意の位置で、回転中心線L3からの円筒部21bの外面26(図1参照)までの距離はほぼ最大半径eに等しく、外面26の横断面での形状は円弧状である。
出力ギヤ機構50、推進軸17および係合機構63を収容する収容部21において、第2駆動軸32における出力ギヤ機構50への下端部32bの回転中心線L2とシフトロッド61の回転中心線L4との前後方向での間隔は、前後方向での回転中心線L2の位置における収容部21の左右方向での外径d1(先細部21aにおける左右方向での最大外径でもある。)よりも大きい。
また、先細部21aにおいて、前後方向で、第1駆動軸31の回転中心線L1と前端21cとの間での半径eの減少率は、図5によく示されるように、第2駆動軸32の回転中心線L2と回転中心線L1との間での半径eの減少率よりも大きい。
さらに、前後方向での前端21cとシフトロッド61の回転中心線L4との間隔f2は、前後方向での回転中心線L4の位置における先細部21aの左右方向での外径d2(半径eの2倍)以上であり、半径eの2.5倍以下である。
そして、第1駆動軸31に対して第2駆動軸32が後方にオフセットすることにより、両駆動軸31,32が配置される支柱部22においても、比較ギヤケースに比べて、左右方向での外径に対して、第2駆動軸32と支柱部22の前端22c(図2,図6参照)との間隔を大きくできるので、収容部21と同様に先鋭化され、支柱部22の横断面積の急増が防止される。
また、図2を参照すると、ギヤケース13は、シフトロッド61を中心に左右に揺動して船舶の舵取を行うため、シフトロッド61の回転中心線L4からギヤケース13の前端21c,22cまでは、前方のオーバハングとなり、この部分の形状が高速航走性と転舵時の応答性などに反映される。そこで、このギヤケース13においては、支柱部22におけるオーバハング、すなわちアンチキャビテーションプレート24よりもやや下方において、前後方向での回転中心線L4と前端22cとの間隔f5を基準としたとき、先細部21aにおけるオーバハング、すなわち回転中心線L4と前端21cとの間隔f2を、1〜2倍前後の範囲に設定される。そして、間隔f5に対する間隔f2が等倍であるときは前端22cから前端21cまでをほぼ直線でつなぎ、それ以上であれば連続する曲線でつなぐことにより、前端21c,22cの形状が設定されている。
図2,図3を参照して、ギヤケース13内の潤滑箇所である軸受36,37,38,39および中間ギヤ機構33に、オイルを供給する潤滑系統について説明する。
該潤滑系統は、第1駆動軸31により駆動されるオイルポンプ70と、第2のオイルポンプとしてのねじポンプ71と、油路群とから構成される。トロコイドポンプから構成されるオイルポンプ70は、支柱部22内において上下方向で出力ギヤ機構50と中間ギヤ機構33との間であって、上下方向でねじポンプ71と重なる位置に配置される。
オイルポンプ70は、支柱部22内に固定されるポンプボディ72と、ポンプボディ72に下方に開放して形成された凹部に収容されるポンプロータを構成するインナロータ74aおよびアウタロータ74bと、支柱部22の段部22dに載置されると共に両ロータ74a,74bを下方から覆うポンプカバー73と、下端部61bに連結されて設けられると共にインナロータ74aに結合されるポンプ軸75とを備える。ポンプカバー73は、該ポンプカバー73に重合されるポンプボディ72と共にボルト79により段部22dに取り付けられる。ポンプカバー73およびポンプボディ72には、それぞれ吸入ポート76および吐出ポート77が設けられる。
前記油路群は、支柱部22に設けられてギヤ室20のオイルを吸入ポート76に導く吸入油路80と、第1駆動軸31に設けられて吐出ポート77からのオイルを導く吐出油路81と、支柱部22と軸受ホルダ41とにより形成されて上側軸受36が収容される収容空間から構成されて吐出油路81のオイルが流入する油室82と、軸受ホルダ41に設けられた油路83と、軸受ホルダ41に設けられた凹部により形成される油室84と、両軸受ホルダ41,42により形成されて上側軸受38が収容される収容空間により構成される油室85と、支柱部22に設けられてギヤ室20にオイルを戻す1対の戻り油路87,88と、第2駆動軸32に設けられて油室84のオイルの一部をねじポンプ71に導く油路86とから構成される。
油室84には、第2駆動軸32の上端部32aの最上部32a1が挿入されていて、油路86が開口する。上下方向で被動ギヤ35と下側軸受39との間に配置されて第2駆動軸32により駆動されるねじポンプ71は、円筒状のロータの外周面に、回転時に下向きとなるピッチの螺旋溝が形成されたポンプである。また、ギヤケース13内の油面OLは、中間ギヤ機構33よりも下方に形成され、オイルポンプ70によるオイルの吸入が可能となるように、オイルポンプ70の付近に位置する。
内燃機関Eが運転されて第1,第2駆動軸31,32が回転すると、オイルポンプ70により吸入油路80を通じて汲み上げられたオイルが、吐出ポート77を通じて吐出油路81に吐出される。吐出油路81を流通するオイルは、第1駆動軸31の回転により発生する遠心力により加圧されて油室82に流入た後に上側軸受36に導かれて、該上側軸受36を潤滑し、次いで流下して駆動ギヤ34および被動ギヤ35、さらに下側軸受37を潤滑して、図示されない油路を通って戻り油路87に流入する。また、油室82のオイルは、油路83を経て油室84に流入し、油室84から軸受ホルダ41と上端部32aと隙間を通って油室85に流入し、上側軸受38を潤滑した後に、被動ギヤ35を潤滑し、戻り油路87に流入する。油室84のオイルの一部は、ねじポンプ71に吸入されて油路86に流入し、ねじポンプ71により圧送されて、その一部が下側軸受39を潤滑した後にギヤ室20に戻り、別の一部が戻り油路88に流入する。それゆえ、第2駆動軸32の全体はオイル内およびオイル雰囲気内にある。
第1駆動軸31により駆動される水ポンプ90は、軸受ホルダ41を介してギヤケース13に取り付けられる。水ポンプ90は、軸受ホルダ41の上端部に固定されるポンプハウジング91と、ポンプハウジング91により形成されるポンプ室92内に配置されて第1駆動軸31に設けられたインペラ93とを備える。ガスケット94に設けられた入口ポート95を経てポンプ室92に吸入された水は、インペラ92により圧送されて、ポンプハウジング91の出口ポート96から導管やマウントケース10に設けられた孔などにより形成される供給水通路を経て内燃機関Eの水ジャケットJ(図1参照)に供給される。
図6を併せて参照すると、支柱部22および軸受ホルダ41には、入口ポート95に冷却水を導く吸水通路97が設けられる。吸水通路97は、支柱部22において、左右方向で対向する1対の外面25にそれぞれ開口する1対の水取入口98(図面には右側の水取付口98のみが示されている。)を有する。異物を取り除くためのスクリーン99により覆われる水取入口98の少なくとも一部は、オイルポンプ70と共に、上下方向で、第1駆動軸31と出力ギヤ機構50との間に配置され、前後方向で、第1駆動軸31とシフトロッド61との間に配置される。
そして、水取入口98は、第1駆動軸31の下端部31bが上下方向で第2駆動軸32のほぼ中央部に相当する位置にあることにより、第1駆動軸31よりも後方に位置する第2駆動軸32の前方に、かつ上下方向での第1駆動軸31と出力ギヤ機構50との間に形成されるスペースを利用して設けられる。また、水取入口98の上端部98cは、下端部31bよりも下方に位置し、水取入口98の下端部98dの少なくとも一部は、出力ギヤ機構50の後進ギヤ52の前方、したがって入力ギヤ51および前進ギヤ53の前方において、上下方向で入力ギヤ51と重なる位置に設けられる。
水取入口98の前後方向での幅は、その上下方向の幅とほぼ等しいか、それよりも大きい。そして、水取入口98は、前後方向で第1駆動軸31の回転中心線L1の位置から、前方に向かって、オフセット量δに等しい距離にその前端部98aを有し、軸受36,37よりも後方にその後端部98bを有する。
次に、前述のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
クラッチ機構54を操作する前記操作機構の係合機構63は、シフトロッド61に設けられたピニオン63aと、作動ロッド62に推進軸17に平行に設けられてピニオン63aに噛合するラック63bとから構成されることにより、係合機構が偏心ピンやカム機構により構成される場合に比べて、係合機構63の左右方向での位置変化を伴うことがなく、しかもシフトロッド61の回転量に応じて作動ロッド62の移動量を大きな範囲で変更できるので、係合機構63付近でのギヤケース13の左右方向での外径を小さくできて、ギヤケース13による水中抵抗を減少することができる。
ギヤケース13は、出力ギヤ機構50、推進軸17および係合機構63を収容する収容部21を有し、第2駆動軸32における出力ギヤ機構50への下端部32bの回転中心線L2とシフトロッド61の回転中心線L4との前後方向での間隔は、前後方向での回転中心線L2の位置における収容部21の左右方向での外径d1よりも大きいことにより、回転中心線L2よりも前方で収容部21を長細くすることができるので、収容部21の前端21cから後方に向かって左右方向での外径が緩やかに大きくなるようにできて、水中抵抗の減少に寄与する。
駆動軸31,32は、内燃機関Eに連結される第1駆動軸31と、第1駆動軸31に減速ギヤ機構である中間ギヤ機構33を介して連結されて第1駆動軸31の動力を出力ギヤ機構50に伝達する第2駆動軸32とから構成されることにより、第1駆動軸31の回転速度が中間ギヤ機構33により減速された後に、第2駆動軸32を通じて出力ギヤ機構50に伝達されるため、出力ギヤ機構50の減速比を小さくできるので、ギヤケース13の収容部21の小型化が可能になる。
ギヤケース13の収容部21は、第1駆動軸31から後方にオフセットして配置される第2駆動軸32から前方に収容部21の前端21cを先端とする先細部21aを有し、先細部21aは、推進軸17の回転中心線L3を中心とする周方向でのほぼ全体において、前後方向で第2駆動軸32から前端21cに向かうほど細くなることにより、比較ギヤケースにおける収容部の前端と駆動軸との前後方向での間隔に比べて、第2駆動軸32が第1駆動軸31よりも後方にオフセットしている分、収容部21の前端21cから第2駆動軸32までの前後方向での間隔を大きくすることが可能になり、しかも先細部21aは前後方向で第2駆動軸32から収容部21の前端21cに向かうほど細くなることから、先細部21aの外面25の半径eを、前後方向で前端21cから第2駆動軸32までの間で、比較ギヤケースに比べて緩やかに大きくすることができ、したがって前端21cから後方に向かって先細部21aの横断面積の急増を防止できるので、先細部21aの形状による水中抵抗を減少することができる。さらに、高速航走時には、水流の乱れも少なくなって、ギヤケース13上およびギヤケース13の後方に配置されるプロペラ18上でのキャビテーションの発生が抑制される。
前後方向での前端21cとシフトロッド61との間隔は、前後方向でのシフトロッド61の位置における先細部21aの左右方向での外径d2以上であることにより、前端21cと第2駆動軸32との間隔を大きくすることができるので、後方に向かって先細部21aの外面25の半径eの増加が緩やかになって、水中抵抗の減少効果およびキャビテーション防止効果が高められる。
第2駆動軸32は、前後方向で収容部21のほぼ中央に配置されることにより、先細部21aの外面25の半径eの増加を緩やかにする一方で、前端21cから第2駆動軸32までの前後方向での間隔が過度に大きくなることに起因する先細部21aと水との間の摩擦抵抗の増加を抑制することができる。
第2駆動軸32を支持する軸受は、被動ギヤ35を挟んで上下にそれぞれ配置される上側軸受38および下側軸受39の1対の軸受のみにより構成され、上側軸受38,39は、第2駆動軸32において被動ギヤ35から上方に突出する上端部32aを支持すると共に上下方向で駆動ギヤ34と重なる位置にあり、下側軸受39は、第2駆動軸32において出力ギヤ機構50の入力ギヤ51が設けられる下端部32bまでの範囲に位置する。これにより、第2駆動軸32は上側軸受38および下側軸受39の1対の軸受のみにより支持され、しかも第2駆動軸32の上端部32aを支持する上側軸受38は上下方向で駆動ギヤ34と重なる位置にあるので、第2駆動軸32の軸長を短くすることができ、第2駆動軸32が軽量化される。しかも、第2駆動軸32は、被動ギヤ35の上方に配置される上側軸受38と下側軸受39とで構成される1対の軸受により支持されるので、上側軸受38の組付が容易になると共に、第2駆動軸が3以上の軸受により支持される場合に比べて部品点数および組付工数が削減されて、コストが削減される。
中間ギヤ機構33は減速ギヤ機構であり、上側軸受38は、上下方向で被動ギヤ35の歯部35bと重なる位置にあって、歯部35bより囲まれる円筒状空間43内に配置されることより、上側軸受38が被動ギヤ35により形成される円筒状空間43内に配置されるので、上側軸受38を設けたことによる被動ギヤ35から上方への第2駆動軸32の突出量を抑制できて、第2駆動軸32の短軸化に寄与し、しかも駆動ギヤ34よりも大径の被動ギヤ35により空間43が形成されるので、大きな被動ギヤ35を軽量化することができる。
上側軸受38は、上方および下方のアキシアル荷重を受ける複列軸受であることにより、1つの上側軸受38で上下方向での両方向のアキシアル荷重を受けることができるので、第2駆動軸32が確実に支持される。
ギヤケース13内に配置されるオイルポンプ70は、第1駆動軸31により駆動されることにより、中間ギヤ機構33とは別個に設けられるので、中間ギヤ機構がオイルポンプを兼ねる場合に比べて、ポンプ容量の設定の自由度が大きく、所要のオイル吐出量を容易に確保できる。
しかも、オイルポンプ70は、第2駆動軸32よりも回転速度が大きい第1駆動軸31により駆動されるので、所要のオイル吐出量を確保するうえでオイルポンプ70を小型化することができ、ギヤケース13を小型化することができる。
オイルポンプ70は、中間ギヤ機構33よりも下方に配置されて、ギヤケース13内で中間ギヤ機構33よりも下方に油面OLを形成するオイルを吸入することにより、オイルポンプ70によるオイルの攪拌抵抗が減少し、第1,第2駆動軸31,32の動力損失が減少する。
第1駆動軸31には、オイルポンプ70から吐出されたオイルを潤滑箇所である軸受36,37,38,39および中間ギヤ機構33に導く吐出油路81が設けられることにより、オイルポンプ70からのオイルをそれら潤滑箇所に導く吐出油路81がオイルポンプ70を駆動する第1駆動軸31を利用して設けられるので、ギヤケース13に吐出油路を設ける必要がなく、ギヤケース13が小型化される。
第1駆動軸31および第2駆動軸32はギヤケース13に回転可能に支持されると共に第2駆動軸32は第1駆動軸31よりも下方まで延びており、ギヤケース13には、水ポンプ90に吸入される水を取り入れる水取入口98が、上下方向で第1駆動軸31と出力ギヤ機構50との間で、第2駆動軸32の前方に設けられることにより、第1駆動軸31よりも後方にオフセットして配置される第2駆動軸32の前方に、かつ第1駆動軸31の下方に形成されるスペースを利用して水取入口98を設けられるので、十分な水量を確保することが可能な大きな水取入口98を設けることができる。
水取入口98は、前後方向での第1駆動軸31の回転中心線L1の位置から、前方に向かって、オフセット量δに等しい距離に前端部98aを有することにより、水取入口98の前端部98aがオフセット量δだけ第1駆動軸31の回転中心線L1よりも前方に位置するように大きな水取入口98を設けることができる。
水取入口98の下端部98dの少なくとも一部が、出力ギヤ機構50の後進ギヤ52の前方、したがって入力ギヤ51および前進ギヤ53の前方において、上下方向で入力ギヤ51と重なる位置に設けられることにより、後進ギヤ52の前方に形成されるスペースを利用して、所要の開口面積を有する水取入口98の下端部98dを上下方向で入力ギヤ51と重なる位置まで下げることにより、その分、水取入口98の上端部98cも下げることができるので、水取入口98が水面上に出にくくなって、水取入口98から空気が吸い込まれることが防止され、内燃機関Eの冷却性が向上する。
水ポンプ90は第1駆動軸31に設けられることにより、第2駆動軸32が第1駆動軸31よりも下方で出力ギヤ機構50に連結されるため、第1駆動軸31が出力ギヤ機構50に直接接続される場合に比べて、第1駆動軸50の軸長を短くできるので、水ポンプ90が設けられるために耐食性に優れた高価な材料が使用される第1駆動軸31が短軸化される分、そのコストが削減され、さらに第2駆動軸32には低価格の通常の鉄系材料を使用することができるので、船外機Sのコストが削減される。
以下、前述した実施形態の一部の構成を変更した実施形態について、変更した構成に関して説明する。
前記実施形態では、出力ギヤ機構50はスタンダードローテーション仕様となる構造になっていたが、図7を参照して、カウンタローテーション仕様となる構造の出力ギヤ機構150について説明する。船体に1対の船外機が取り付けられる、いわゆる二機掛けの場合には、両方の船外機のプロペラの回転方向は互いに反対方向となるように設定される。このとき、一方の船外機の出力ギヤ機構はスタンダードローテーション仕様であり、他方の船外機の出力ギヤ機構はカウンタローテーション仕様である。
なお、出力ギヤ機構150では、該出力ギヤ機構150以外は、前記実施形態と基本的に同一の構成を有するものである。そのため、第1実施形態の部材と同一の部材または対応する部材については、必要に応じて同一の符号を使用した。
出力ギヤ機構150においては、入力ギヤ51の回転中心線L2の前後方向での位置に対して、前方に、1対の軸受46,47を介して収容部21および前半部17aに支持される前進ギヤ152が配置され、後方に、1対の軸受48,49を介して収容部21および前半部17aに支持される後進ギヤ153が配置される。
作動ロッド62は、切欠部62c(図5のa図参照)を通じて、図7(B)に示されるように、連結部55aに対して、スタンダードローテーション仕様の出力ギヤ機構50に対して左右反転位置で連結される。これにより、ピニオン63aに対して左右反転した位置にラック63bが配置される。
図7(A)において、シフトロッド61が回転してピニオン63aが時計方向に回転すると、ラック63b(作動ロッド62)が前方に移動して、シフタ55が前方に移動し、クラッチ機構54は前進位置を占め、シフトロッド61が反対方向に回転してピニオン63aが反時計方向に回転すると、ラック63b(作動ロッド62)が後方に移動して、シフタ55が後方に移動しクラッチ機構54は後進位置を占める。
このように、シフタ55に対する作動ロッド62の連結状態を変更することで、カウンタローテーション仕様の場合にも、シフトロッド61の前後進操作の方向を変更することなく、スタンダードローテーション仕様の場合と同様に船舶の前後進を制御することができる。
なお、ギヤケース13内の潤滑箇所である軸受36,37,38,39および中間ギヤ機構33に、オイルを供給する潤滑系統において、図7(A)に示されるように、ねじポンプ71(図2参照)を省略することができる。
トロコイドポンプからなるオイルポンプ70を備えることなく、ねじポンプ71が、第1駆動軸31または第2駆動軸32に設けられることにより、該ねじポンプ71からなるオイルポンプにより汲み上げたオイルが軸受36,37,38,39および中間ギヤ機構33に供給されてもよい。
内燃機関は、単気筒内燃機関、直列4気筒以外の直列多気筒内燃機関、または例えばV型6気筒などのV型内燃機関であってもよい。船舶推進機は船内外機であってもよい。
本発明が適用された船外機の概略の右側面図である。 図1の船外機において、主に第1,第2駆動軸の回転中心線を含む平面での要部断面図である。 図2の要部拡大図である。 図2のIV−IV線での要部断面図である。 図2のV−V線での要部断面図であり、a図は、a−a線での断面図である。 図2のVI−VI線での要部断面図である。 本発明の実施形態の変形例を示し、(A)は、図2の要部に対応する図であり、(B)は、図5の要部に対応する図である。
符号の説明
13…ギヤケース、16…前後進切換装置、17…推進軸、21…収容部、21a…先細部、21b…円筒部、22…支柱部、31,32…駆動軸、33…中間ギヤ機構、50,150…出力ギヤ機構、61…シフトロッド、63…係合機構、63a…ピニオン、63b…ラック、70…オイルポンプ、90…水ポンプ、98…水取入口、
S…船外機、E…内燃機関。

Claims (4)

  1. 上下方向を指向して配置されると共にエンジンにより回転駆動される駆動軸(32)と、前記駆動軸(32)の動力が入力される出力ギヤ機構(50)と、前記出力ギヤ機構(50)から出力された動力により回転駆動される推進軸(17)と、前記推進軸(17)の回転方向を切り換える切換機構(54)と、前記切換機構(54)を操作する操作機構と、前記出力ギヤ機構(50)および前記推進軸(17)を収容する前記ギヤケース(13)とを備、前記操作機構が、回転操作されるべく上下方向に延びる操作部材(61)と、係合機構(63)を介して前記操作部材(61)により駆動されて前記切換機構(54)を操作する作動部材(62)とから構成され、前記係合機構(63)が前記駆動軸(32)よりも前方で前記ギヤケース(13)内に配置される船舶推進機において、
    前記係合機構(63)は、前記操作部材(61)の下端部に設けられて操作部材(61)の回転操作に伴って操作部材(61)の中心軸線(L4)回りで回転するピニオン(63a)と、前記推進軸(17)に平行に前記作動部材(62)に設けられて前記ピニオン(63a)に噛合するラック(63b)とから構成され
    前記ギヤケース(13)は、前記出力ギヤ機構(50)、前記推進軸(17)および前記係合機構(63)を収容する収容部(21)を有し、
    前記操作機構の前記作動部材(62)は、その前端部(62a)が前記収容部(21)の前端(21c)に嵌合支持されるとともに、前記推進軸(17)の中心軸線(L3)方向に移動可能に後方に向かって延び、
    前記切換機構(54)は、前記推進軸(17)の前半部(17a)の内部に、推進軸(17)の軸線(L3)方向に摺動可能に嵌合して切換動作を行うシフタ(55)を有し、前記作動部材(62)の後端部(62b)が前記シフタ(55)に連結部(55a)を介して連結される
    ことを特徴とする船舶推進機。
  2. 記駆動軸(32)における前記出力ギヤ機構(50)への入力部の入力回転中心線(L2)と前記操作部材(61)の中心軸線(L4)との前後方向での間隔は、前記入力回転中心線(L2)の前後方向での位置における前記収容部(21)の左右方向での外径(d1)よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の船舶推進機。
  3. 前記作動部材(62)は、前記推進軸(17)の左右方向に関して反転した位置で、前記シフタ(55)に連結部(55a)を介して連結可能であることを特徴とする請求項1または2記載の船舶推進機。
  4. 前記作動部材(62)は、前記推進軸(17)の中心軸線(L3)方向の長孔(62a)を有する枠部(62d)を備え、該枠部(62d)の内側に前記ラック(63b)が形成されていることを特徴とする請求項1、2または3記載の船舶推進機。
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