JP4743959B2 - ロードセル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
負荷荷重の大きさによって歪みを生ずる起歪部と前記起歪部に装着され歪み量を感じる歪み量センサーと、前記歪み量センサーの出力信号をデジタル荷重信号に変換し出力するデジタル荷重信号変換手段とを外界環境から保護するために密閉包囲手段を有する金属体内に収納した構造のロードセルに関する。
【0002】
【従来の技術】
歪み量センサの一種である歪みゲージを起歪部に装着して、負荷荷重による起歪部の伸縮量を歪みゲージの抵抗値変化による電気信号に変換して負荷荷重の大きさに比例するアナログ荷重信号を発生するロードセルでもって、アナログ荷重信号を各種の生産プロセスにとって有用な使い易い形であるデジタル荷重信号へ変換することは現代の産業界では必須要件となっている。そのためにアナログ荷重信号を出力するロードセルと各種生産プロセスとの間にデジタル信号変換装置を置く技術は古くから存在する。また、歪み量を負荷荷重の大きさに比例した電気信号に変換するとき、歪みゲージや起歪部が周囲の温度変化によって荷重負荷量の変化に関係のないところで荷重信号に変化が与えられれば荷重信号に誤差を発生するが、このような誤差を補償するするために歪みゲージの近傍に温度センサを設け、温度センサからの信号を利用して誤差補償演算を行わせることもデジタル荷重信号変換装置において従来より実施されている。デジタル荷重信号変換装置はロードセルから出力されるアナログ信号を増幅しA/D変換をして各種演算処理を行うもので、前述のような誤差補正も行いながらデジタル荷重信号を各種プロセス制御装置やコンピューターに供給するものである。
【0003】
ところで前述のデジタル荷重信号変換装置の収納場所に関する従来例をみると、起歪部そのものや起歪部の表面に装着される歪みゲージを保護するため起歪部の周囲を金属製保護容器で囲み密閉している構造のロードセルにおいては、起歪部と金属製保護容器の間にある空間を利用して、この空間に小さくまとめたデジタル荷重信号変換基板を収納し、温度等の変化に対する誤差を補正しながらデジタル荷重信号を出力するロードセルの技術が特開平1−250028に提案されている。また、上記の提案とは別の形状、構造のロードセルにおいて、デジタル荷重変換基板あるいは装置を配置する場所を特徴とする提案が特開平4−194710、特開昭63−52026によりなされている。このようにデジタル荷重変換基板をロードセル本体に一体的に配置したロードセルはデジタルロードセルと呼ばれている。
【0004】
図4は既に提案されているデジタルロードセルの構造を示す。この図において起歪部30及びゲージなどの荷重変換手段31とこの荷重変換手段31から出力されるアナログ荷重信号をデジタル荷重信号に変換するデジタル荷重信号変換手段32を起歪部および荷重変換手段を密閉包囲する密閉包囲手段33の内部空間を利用してそこに装備し、その密閉包囲手段から防水コネクタ34を通してデジタル荷重信号が外部へ出力される構造になっている。こうすることによってロードセルは従来のアナログ信号出力式ロードセルと外観上の構造は差異がない。
【0005】
しかし、ロードセルの型式にもよるが、従来例のようにデジタル荷重信号変換手段をロードセル起歪部の密閉包囲手段内に一体的に配置する方法については、出力荷重信号の安定性やデジタル荷重信号変換手段の保守の面で課題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、図4のロードセルのように密閉された空間の中に起歪体と歪ゲージとデジタル荷重信号変換手段及び演算手段とを一緒に封入すると、次のような問題がある。つまり、デジタル荷重信号変換手段には歪ゲージに供給する電源と演算増幅器に供給する電源およびデジタル回路に供給するために通常複数の種類の電源が必要であるが、外部から一種類の電源を供給した場合はDC−DCコンバータや抵抗による分圧回路などが必要になり、また演算回路には高速CPUの搭載も必要であるので、各種の回路部品からかなりの発熱がある。
【0007】
歪みゲージはブリッジ回路に接続された微少な抵抗変化を電気信号に変換するようにしているので、もしブリッジの辺を構成する歪ゲージの何れかが温度変化によって抵抗値に微少な変化を生ずると直ちに出力信号変化となって現れる。勿論、歪みゲージや起歪部の温度変化による出力信号の変化を補償するために従来より歪みゲージや起歪部の近くに温度センサを設け、温度センサの出力によってアナログ的あるいはデジタル的に補償を行っているが、こうした補償が有効になるのは全ての歪みゲージや起歪部が温度に対して一定で同一の状態の場合となった時に限られる。
【0008】
ところが前述のような回路を持つデジタル荷重信号変換手段を狭い密閉された部屋に歪みゲージや起歪部、温度センサと密着同室させると、それらの部品への熱の放射、対流によって、特に電源をオンしてからウォーミングアップの長い時間、デジタル荷重信号変換手段の温度上昇変化によって該密閉空間には大きい温度傾斜が現れ、歪みゲージや起歪体の熱平衡が崩れ、しかも温度センサ自身の感じる温度が補償対象部品の温度とは異なってしまうので、各部品の温度一定、平衡の状態を想定した温度補償演算体系が崩れ、長時間に亘って、荷重信号に大きい温度ドリフトを与えることになる。
【0009】
例えば特開昭63−52026において、複数のストレインゲージ(歪みゲージ)をロバーバル機構に形成し、A/D変換部を収納した金属製のシールドケースをロバーバル機構の中央の空間内部に装着する方法が提案されているが、このような構成にすると、前述したように温度補償の問題が極めてむずかしい。
【0010】
図3に示すような、起歪体1と僅かな空隙3aをもって金属やゴム製の防水蛇腹2によって起歪体の外郭を覆う構造のロードセルでは、空隙3aにデジタル荷重信号変換手段を収納することによってさらに上記の問題解決は困難となる。
【0011】
【課題を解決するための手段】
従ってこのような課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、起歪部とロードセル本体とを他の構造物に取り付けるための取り付け部とが一体構造であって、前記起歪部の周囲が前記起歪部を密閉包囲するために蛇腹によって覆われた構造の密閉包囲手段を持つロードセルにおいて、前記取り付け部の中に空洞を加工作成して設け、該空洞の中と前記密閉包囲手段との間に配線用連絡穴を更に加工作成し、配線連絡を施したのち、前記配線用連絡穴を通気封止手段により封止することによって、前記空洞と前記密閉包囲手段とは通気を遮断するように相互に密閉して分離された部屋を成し、前記取り付け部の中に設けられた前記空洞内に前記起歪部から出力されるアナログ荷重信号をデジタル荷重信号に変換するデジタル荷重信号変換手段を収容する構造としたことを特徴としたロードセルである。
【0012】
また請求項2に記載の発明は、起歪部とロードセル本体とを他の構造物に取り付けるための取り付け部とが一体構造であって、前記起歪部の周囲が前記起歪部を密閉包囲するために蛇腹によって覆われた構造の密閉包囲手段を持つロードセルにおいて、前記起歪部と反対端の前記取り付け部の端部に金属容器を設け、該金属容器の中と前記密閉包囲手段との間に配線用連絡穴を加工作成し、配線連絡を施したのち、前記配線用連絡穴を通気封止手段により封止することによって、前記金属容器の中と前記密閉包囲手段とは通気を遮断するように相互に密閉して分離された部屋を成し、前記金属容器内に前記起歪部から出力されるアナログ荷重信号をデジタル荷重信号に変換するデジタル荷重信号変換手段を収容する構造としたこを特徴としたロードセルである。
【0013】
【発明の作用と効果】
そこで本発明では、図1のようにロードセル本体の内、起歪部を密閉包囲するための蛇腹で覆われ、ロードセルを他の構造物へ取り付けするための取り付け部は露出した構造のロードセルにおいて、前記ロードセル取り付け部の中に前記の密閉包囲され蛇腹で覆われた空間とは通気を遮断するように相互に密閉して分離された部屋をなす空洞を加工作成し、前記空洞の内部に上記デジタル荷重信号変換手段を収容する構造、及び、図2のように前記ロードセル取り付け部の、前記起歪部と反対端の前記取り付け部の端部に前記の密閉包囲され蛇腹で覆われた空間とは通気がないように相互に密閉して分離された部屋をなす金属容器を装着させ、前記金属容器の中に上記のデジタル荷重信号変換手段を収容させる構造とし、金属容器と起歪部、変換手段、温度センサの封入装備されたそれぞれの部屋との間で通気を遮断するように相互に密閉・気密性を保つようにしたので、デジタル荷重信号変換手段から起歪部、変換手段、温度センサへの熱の放射・対流は防止できる。従ってデジタル荷重変換基板の発熱による温度ドリフトを防止することができる。
【0014】
ロードセル取り付け部の内部空洞内に、または、上記の位置に設けた金属容器内にデジタル荷重信号変換手段を収納させる構造にしたので、従来の同型ロードセルに比べて外形形状、寸法を大きく変更せずにデジタル荷重信号を出力するロードセルが実現できるのと、取り付け部の空洞内あるいは金属容器内にこもった熱は金属外壁を伝わって速やかにロードセルの外部空間へ放熱させることができるので、デジタル荷重信号変換基板の発熱によるデジタル荷重信号への温度ドリフトを与えないで済む。
【0015】
最近はチップ部品、LSI等電子部品の矮小化に伴い、これらを利用することにより上記のようなデジタル荷重信号変換装置は小さいプリント基板にまとめて製作できるようになったことと相まって従来のロードセルと外形寸法を殆んど変更することなく収納できるので、より正確なデジタル荷重信号を出力するロードセルが実現できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に図面に示す実施の形態について説明する。図1は本発明のロードセルを横方向から見た断面図である。1は起歪部、2は歪みゲージ等変換手段、3は蛇腹、3aは僅かな隙間、4はロードセル取り付け部、5は空洞円筒穴、6はデジタル荷重信号変換基板、7はディスタンスカラー、8は連絡穴、9は樹脂、10は配線用コネクタ、11はシールソケット。
【0017】
図2は本発明の他の実施例を示す断面図である。12はロードセルに装着された金属容器である。図3は従来のロードセルであって金属やゴム製の防水蛇腹によって起歪体の外郭を覆う構造のロードセルの断面図、図4は従来のロードセルの断面図である。本図において30は起歪体31は歪みゲージなどの荷重変換手段、32はデジタル荷重信号変換手段、33は上記起歪体30及び荷重変換手段32を密閉包囲する密閉包囲手段、34は防水コネクタである。
【0018】
図1より説明すると、図1においては起歪部1の上に起歪部の歪み量を検出する歪みゲージや歪みゲージ周辺の温度を検出する温度センサなどからなる変換手段2が装着されている。起歪部や変換手段は金属蛇腹3によって保護されている。4はロードセル取り付け部であり、起歪部と反対端に空洞円筒穴5を加工して、デジタル信号変換基板6を基板位置決め用のディスタンスカラー7に挟んでホールドさせ収納する。起歪部上の変換手段とデジタル信号基板の間には取り付け部に連絡穴8が加工され、配線連絡される。外部機器とロードセルとを結ぶ配線はロードセル取り付け部4の起歪部とは反対端に配線用コネクタ10が取り付けられ、外部機器からの配線はシールソケット11を通して空洞穴内のデジタル信号変換基板と結ばれる。配線は空洞穴5の連絡穴8の入り口で樹脂9によって封じられ、蛇腹に起歪部が包囲された部屋とデジタル信号変換基板が収納されている空洞穴5との通気を遮断し、空洞穴5内のデジタル荷重信号変換基板に発生した熱が起歪部の部屋へ流入しないようにする。同時に空洞穴5の熱は取り付け部金属体からロードセルが取り付けられている構造物へ熱伝導して放熱されるのでほとんど起歪部への熱影響を回避することができて、変換手段2は温度ドリフトのない正しい重量値をデジタル荷重信号変換基板の方へ出力することができる。
【0019】
一方、図2は図1と同じ起歪部と防水用蛇腹を持つロードセルの取り付け部4に起歪部と反対端にデジタル荷重信号変換基板収納用の金属容器12を溶接などの方法で装着した構造のロードセルである。金属容器のロードセル取り付け部と反対端には外部機器との配線用コネクタ10が取り付けられ、外部機器からの配線がシールソケット11を通して金属容器内のデジタル荷重信号変換基板6に連結されている。金属容器内にはディスタンスカラー7が設置されて基板の位置決め設置を行う。
【0020】
またデジタル荷重信号変換基板と変換手段の間の配線は図1の場合と同様に連絡穴8を通して接続され、連絡穴の入り口において金属容器と起歪部が蛇腹で包囲された部屋との間の通気を遮断するために樹脂9で封じる。こうすることによって金属容器内のデジタル荷重信号変換基板に発生した熱が連絡穴8を通して起歪部へ流入しないようにする。同時に金属容器5内の熱は容器の金属壁を伝導して外気へ放熱されるので、ほとんど起歪部への熱影響を回避することができて、変換手段2は温度ドリフトのない正しい重量値をデジタル荷重信号変換基板の方へ出力することができる。
【0021】
以上のような構造にすることで、起歪部に蛇腹を設けたロードセルにおいて、図1、又は図2のようにデジタル荷重信号変換基板を配置すれば、基板から発熱があっても熱は放射・対流で起歪体、変換手段には伝わりにくくなるのと同時にロードセル取り付け部金属体あるいは金属容器外壁に伝熱して外気へ放熱されるので、デジタル荷重信号変換基板による温度ドリフトが発生しないロードセルを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のロードセルを横方向から見た断面図。
【図2】本発明の他の実施例を示す断面図。
【図3】従来のロードセルの断面図。
【図4】従来のロードセル断面図。
【付号の説明】
1 起歪部
2 歪みゲージ等変換手段
3 蛇腹
4 ロードセル取り付け部
5 空洞円筒穴
6 デジタル荷重信号変換基板
7 ディスタンスカラー
8 連絡穴
9 樹脂
10 配線用コネクタ
11 シールソケット
12 金属容器
13 ケーブル

Claims (2)

  1. 起歪部とロードセル本体を他の構造物に取り付けるための取り付け部とが一体構造であって、前記起歪部の周囲が前記起歪部を密閉包囲するために蛇腹によって覆われた構造の密閉包囲手段を持つロードセルにおいて、前記取り付け部の中に空洞を加工作成して設け、該空洞の中と前記密閉包囲手段との間に配線用連絡穴を更に加工作成し、配線連絡を施したのち、前記配線用連絡穴を通気封止手段により封止することによって、前記空洞と前記密閉包囲手段とは通気を遮断するように相互に密閉して分離された部屋を成し、前記取り付け部の中に設けられた前記空洞内に前記起歪部から出力されるアナログ荷重信号をデジタル荷重信号に変換するデジタル荷重信号変換手段を収容する構造としたことを特徴とするロードセル。
  2. 起歪部とロードセル本体とを他の構造物に取り付けるための取り付け部とが一体構造であって、前記起歪部の周囲が前記起歪部を密閉包囲するために蛇腹によって覆われた構造の密閉包囲手段を持つロードセルにおいて、前記起歪部と反対端の前記取り付け部の端部に金属容器を設け、該金属容器の中と前記密閉包囲手段との間に配線用連絡穴を加工作成し、配線連絡を施したのち、前記配線用連絡穴を通気封止手段により封止することによって、前記金属容器の中と前記密閉包囲手段とは通気を遮断するように相互に密閉して分離された部屋を成し、前記金属容器内に前記起歪部から出力されるアナログ荷重信号をデジタル荷重信号に変換するデジタル荷重信号変換手段を収容する構造としたことを特徴とするロードセル。
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