JP4739507B2 - 3次元造形装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は3次元造形装置に関し、特に3次元データに基づいて光ビームを粉体状被硬化材料の薄層に照射して、高精度で実体化することのできる3次元造形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ビームを液状の光硬化性樹脂薄層に選択的に照射して部分的に硬化する処理を繰り返して積層し、3次元形状を高速で実体化するラピッドプロトタイピングに用いる光造形装置については、「3次元造形システム」(中川・丸谷著、日刊工業新聞社)に詳しく説明されている。
【0003】
一方、薄層成形材料として、液状の光硬化性樹脂ではなく、光照射によって焼結する粉体を用いる場合がある。この方法は粉体焼結積層造形法として知られているが、成形材料として樹脂粉体から金属粉体まで幅広い素材を採用できるという特徴により、非常に注目されつつある。
しかしながら、粉体焼結積層によって3次元造形を行う場合、照射ビーム光と粉体の焼結との関係が必ずしも十分に明らかではなく、このため従来より、一般に思考錯誤的に造形を行うことが多く、高精度の3次元造形することが困難であった。
【0004】
本願発明は、かかる従来の問題点に鑑みて創作されたものであり、粉体状被硬化材料の薄層に光ビームを照射して、簡易に、高速に、かつ精度良く立体形状を実体化することが可能な3次元造形装置の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、3次元造形装置に係り、粉体状被硬化材料を供給するパウダー供給手段と、上下に移動して、前記供給された粉体状被硬化材料を載せ、薄層を形成するパウダーベッドと、光ビームを前記薄層の表面に照射し、該薄層を熔融し硬化する光学系と、粉体データ、ビームデータ及び目的とする3次元造形物に対応する3次元データを入力するデータ入力手段と、前記データ入力手段からの前記データに基づき、前記パウダー供給手段、前記パウダーベッド及び前記光学系を制御することにより、順次、前記パウダーベッド上に前記粉体状被硬化材料を供給して前記薄層を形成し、該薄層の所定の領域に対して相互に隣接して設定される複数の走査ラインに従い前記光ビームを照射して硬化させ、該硬化させた薄層を積層していく制御装置とを有し、前記制御装置は、前記硬化させる薄層の所定の領域に対して、一の前記走査ラインに従って前記光ビームを照射し、次に、該光ビームの照射による熱エネルギが加わらない領域の前記走査ラインに従って該光ビームを照射し、これを繰り返して前記硬化させる薄層の所定の領域全体に前記光ビームを照射することを特徴とする。
【0013】
また、上述の3次元造形装置は、さらに、前記粉体データ及び前記ビームデータを用いて、
Cd=Dp・ln(Emax/Ec)
(ここで、Cdは硬化深度、Dpは硬化深度係数、Emaxは前記光ビームの露光密度、Ecは臨界露光密度である。)
及び
Wc=W0・√(2Cd/Dp)
(ここで、Wcは硬化幅、W0は光ビームの実質半径である。)
により算出された硬化深度Cd及び硬化幅Wcと、前記3次元データとに基づき、3次元立体物の画像を作成する3次元造形シミュレーション装置を備え、前記3次元造形シミュレーション装置により、前記3次元立体物の画像が前記目的とする3次元造形物に近くなるように前記粉体データ、前記ビームデータ及び前記3次元データを補正しつつシミュレーションし、前記データ入力手段に入力する前記粉体データ、前記ビームデータ及び前記3次元データを設定することを特徴とする。
【0014】
これにより、従来のような試行錯誤的な作業を不要とし、精度の良好な立体形状を高速に作製することができる。
また、上述の3次元造形装置においては、さらに、前記光学系は、第1光学系と、該第1光学系に比較して光ビームの露光密度を低くし、かつビーム幅を細くした第2光学系とを有し、前記制御装置により前記光学系を制御して、前記3次元造形物のあまり精度を要しない箇所では第1光学系を用い、前記3次元造形物の精度を要する箇所では第2光学系に切り換えることを特徴とする。
【0015】
これにより、全体として、高精度に、かつ高速に実体形状を作製することが可能となる。
【0016】
【本願発明の原理説明】
図1は一般的な粉体焼結積層造形装置の全体構成を示す図である。パウダーカートリッジ4から粉体が供給されると、粉体供給用ローラー3が回転しながら移動し、粉体をパウダーベッド1全体にわたって供給するとともに、表面を平にして所定の厚さの粉体層2を形成する。このとき、余分な粉体は反対側のパウダーカートリッジ5に排出される。粉体層2が形成されると、CO2 レーザ8から光学系7を介して所定の領域にレーザ光を照射する。粉体はレーザ光のエネルギーを得て熔融し、一定時間の後に硬化する。このようにして、粉体層2の所定領域の硬化処理を終えると、パウダーベッド1を僅かに下降させ、新しい粉体をパウダーカートリッジ4から押し上げてパウダーベッド1に供給し、再びレーザ光を照射して硬化処理をする。このようにして、各層ごとに硬化処理して積層することにより、3次元の実体造形を形成することができる。
【0017】
ところで、粉体焼結積層造形法は、加工対象となる粉体がレーザー光の熱を吸収し、輻射し, 伝導することで熔融し、成形加工を行う手法である。従って、焼結は、熱伝導や散乱・輻射の各現象が絡み合い、複雑な過程を伴うものと考えられており、非常に制御が困難であるものと予想されていた。このため、粉体焼結積層造形法による場合は、作製してみると、実体形状が予定したものに比較して大きかったり、あるいは目的とした角部の形状がほとんど得られなかったりした。そこで、精度が要求される場合には、思考錯誤的にビーム径を細くしたり、ビームの露光密度を低下させていた。
【0018】
本願発明者は、積層のピッチを0.1mm 程度と非常に薄くした場合において、ランバート・ベールの法則(光のエネルギーは, 透過深さに対して指数関数的に減衰するという法則)を適用し、光強度と硬化深度の関係、光強度と硬化幅の関係をそれぞれ理論的に求め実験と比較した。その結果、理論値と実験値と非常に良く一致していることを見出した。
【0019】
以下、本願発明者がどのように検討したかを、(1)レーザビーム強度の数式化による特定、(2)レーザビーム光による粉体材料の硬化深度の数式化による特定、(3)レーザビーム光による粉体材料の硬化幅の数式化による特定、(4)理論と実験結果との比較、の順に説明する。
(1)レーザビームの強度の特定
焼結を引き起こす熱源レーザ光としては、CO2レーザやYAGレーザが用いられている。これらのレーザ光は必ずしも完全なガウスビームではないが、数学的取り扱いの便宜上、ガウス分布に従うレーザ光として近似すると、レーザ光の光強度H の分布は、次式で表される。
【0020】
【式7】
Figure 0004739507
【0021】
ここで、σは標準偏差である。
また、r=0 のとき、光強度H はピークの光強度Hoとなることから、
【0022】
【式8】
Figure 0004739507
【0023】
となる。
ここで、正規分布のレーザビームの光強度分布図を図2に示す。そして、図2に示されるように、
【0024】
【式9】
Figure 0004739507
【0025】
となるビーム半径をWoと定義し、式8と式9を式7に代入すると、
レーザビームの光強度分布は、以下の式10で表される。
【0026】
【式10】
Figure 0004739507
【0027】
さて、レーザビームの総エネルギー量PLは、H(r)をr=0 から無限大まで積分した値に等しいから、
【0028】
【式11】
Figure 0004739507
【0029】
となる。
ここで、新しい可変数u を定義すると、以下の式12となる。
【0030】
【式12】
Figure 0004739507
【0031】
式12を式11に代入して積分すると、
【0032】
【式13】
Figure 0004739507
【0033】
となる。従って、
【0034】
【式14】
Figure 0004739507
【0035】
となる。さらに、式14を式10に代入すると、
【0036】
【式15】
Figure 0004739507
【0037】
となる。
このようにして、まず、シングルモードのエネルギー分布H(x,y)がビームの中心からの距離r の関数として表される。これにより、光硬化を加工する光照射工具が特定されたことになる。
次に、式15で表されるレーザを光硬化対象である粉体表面に照射し、硬化加工される形状を特定する。
【0038】
式15で特定されたレーザ光を粉体材料の表面に照射しながら走査すると、粉体が熔融して糸状の硬化物が得られる。その糸状の硬化物の硬化幅と硬化深さが、粉体焼結積層造形の加工単位であり、この加工単位を特定し、かつ制御することで、3次元立体像を成形する際の寸法精度の向上が可能となる。まず、粉体材料の硬化深度を特定する。
【0039】
(2)粉体材料の硬化深度の特定
まず、硬化深度について、数値モデル化を行う。図3に示すように、レーザビーム9の半径がWo、中心部の光強度がHoであるシングルモードであるガウス分布のレーザビーム光H(x, y) を速度VsでX 軸方向に走査する。そのときの粉体の表面z=0 での露光量E(x, y) を以下のようにして導く。なお、図3(a )は上面図、図3(b )は側面図、図3(c )は正面図であり、10はレーザビーム9の走査によって硬化した粉体を示している。
【0040】
まず、走査速度VsはX 軸方向に移動させるため、式16のように表される。
【0041】
【式16】
Figure 0004739507
【0042】
粉体表面における露光量E(y, 0) は、式8と式16及びピタゴラスの定理から、
【0043】
【式17】
Figure 0004739507
【0044】
と表される。ここで、以下のように、新しい可変数νを定義する。
【0045】
【式18】
Figure 0004739507
【0046】
式18を式17に代入すると、
【0047】
【式19】
Figure 0004739507
【0048】
となる。ここで、次式の式20が成り立つことが証明されているから、
【0049】
【式20】
Figure 0004739507
【0050】
従って、式20を式19に代入すると、
【0051】
【式21】
Figure 0004739507
【0052】
となる。式21は粉体表面の任意の点P(x, 0) での露光量を表している。
さて、次に任意のz における露光量E(y, z) はランバート・ベールの法則に従うと仮定しているので、その法則を適用して表面からのz の位置の点P(y, z) におけるレーザ光の通過による総露光量を求めると、
【0053】
【式22】
Figure 0004739507
【0054】
となる。
ここで、透過深度Dpは、その物質が光をどの程度透過するかの指標を示し、用いた粉体材料に固有の値である。なお、透過深度Dpは光を吸収する度合いを示す吸光率εの逆数の関係にある。以上から、任意の点P(y, z) の露光量はy とz の関数として表せる。
【0055】
粉体材料は、臨界露光量Ecを越える露光量が与えられると焼結する。レーザの露光量がEcの場合は焼結点と呼ばれ, 熔融焼結の限界を示す境界点である。粉体材料にレーザ露光して焼結させるということは、粉体材料に臨界露光量Ecを上回るエネルギーの露光をしたこととなる。
一方、E(y, z)=Ec(臨界露光量)となる臨界領域を特定することにより、硬化する形状をある程度特定することができる。まず、臨界露光量となる点をP(Yc, Zc) とするとEc=E(Yc, Zc)であり、これを式22に代入すると、
【0056】
【式23】
Figure 0004739507
【0057】
となる。
これを解くと、式24となる。
【0058】
【式24】
Figure 0004739507
【0059】
式24はa とb を定数とした下記の式25で表すことができる。
【0060】
【式25】
Figure 0004739507
【0061】
式25から臨界露光量でEcある部分は、下に凸の放物線形状となる。しかし、この形状がそのまま粉体材料の硬化形状とはならない。粉体はローラーで押して供給されるため、50%程度、ポーラスと考えられる。従って、露光中、あるいは露光後に粉体は焼結・熔融し、下方に落ち込むこととなる。いま、ポーラス度を50%と仮定し、0.1mm の積層を行うためには、0.2mm を積層して焼結させることになる。硬化形状は、図4の実線で囲まれた領域で示される。すなわち、硬化した粉体11は、最上面12および最下面13に囲まれた領域になる。ここで、最大露光量Emaxを求める。照射されるレーザ光がシングルモードのガウス分布ビームであるから、表面(z=0 )で、かつy=0 の点が露光量最大となり、最大露光量Emaxは、
【0062】
【式26】
Figure 0004739507
【0063】
となる。式26を式24に代入し、Yc=0とすると、硬化した最大深さZcは、
【0064】
【式27】
Figure 0004739507
【0065】
となる。
ここで、式27で表された最大硬化深さZcは、成形物の硬化深度Cd (Cure Depth) に一致することから、
【0066】
【式28】
Figure 0004739507
【0067】
である。
すなわち、成形物の硬化深度Cdは、透過深度Dpに比例するとともに、臨界露光量Ecと最大露光量Emaxの比の対数に比例していることを示している。
この式を図示すると、図13に示すようになる。この図から、以下の重要な事項が得られる。
【0068】
(a )硬化深度Cdは、露光量に関し線形であること。
(b )硬化深度Cdとln(Emax)をグラフにした硬化深度曲線の傾きはDpとなる。
(c )硬化深度曲線のx 軸との交点における露光量は、Ecである。
次に硬化幅を求める。
(3)粉体材料の硬化幅の特定
まず、最大硬化幅を求める。硬化形状は、前述した式23で与えられており、また下に凸の放物線形状であるから、最大硬化幅は、Zc=0のときに求めることができる。そこで、Zc=0を式23に代入すると、
【0069】
【式29】
Figure 0004739507
【0070】
となる。
ここで、最大硬化幅Wcは、Wc=2Ycであるから、
【0071】
【式30】
Figure 0004739507
【0072】
となる。式28を式30に代入すると、以下の式を導くことができる。
【0073】
【式31】
Figure 0004739507
【0074】
ここで、Woはビームの実質半径、Cdは硬化深度、Dpは透過深度を示している。
式25より、最大硬化幅Wcは照射ビームの半径Woに比例する。また最大硬化幅Wcは硬化深度Cdの平方根に比例し、深く硬化すれば同時に硬化幅も広がることが示されている。さらに、最大硬化幅Wcは透過深度Dpの平方根に反比例する。すなわち、透過深度の高い(吸光率の低い)材料ほど、最大硬化幅は小さくなる。
【0075】
(4)実験と理論の比較
ワーキングカーブ実験では、図5(a )に示すように、平板一層分(縦:30mm, 横:30mm、厚さ0.1mm )の粉体層を形成した。また、図5(b )に示すように、露光量を平板上の全域で均等に露光されるように、隣接するレーザビームを70%重ねる方法を用いた。こうして図6に示すような実験結果を得た。なお比較のために理論曲線も描いている。この実験で用いた粉体材料の特性は、臨界露光量Ec=1.385J/cm2 であり、透過深度Dp=0.2285mm である。
【0076】
一般的に臨界露光量Ecは環境温度に依存し、温度による補正が必要であるので、環境温度によって適宜、値を変更する必要がある。なお、透過深度Dpは実用上、温度に関して定数と考える。
このように、照射する光ビームの露光密度および光ビームの半径から硬化深度と硬化幅を予測することができるので、造形3次元データに対し、補正量を決定できる。この補正データを用いることにより、予測した状態に近い実体形状を作成することができる。
【0077】
【実施の形態】
以下、本願発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
(1)粉体焼結造形積層のシミュレーション装置とシミュレーション
図7はシミュレーション装置の構成を示す図であり、図8は図7に示すシミュレーション処理を説明する図である。
【0078】
まず、データ入力手段16に、粉体層の厚さや粉体材料の特性を示す透過深度Dpの粉体データを入力する。また使用するレーザ光の、露光密度やビーム幅等のビームデータを入力する。さらに、目的とする3次元造形物に対応する3次元データを入力する(図8において、P 1)。
記憶装置17には、上述した粉体の硬化深度の計算式や硬化幅の計算式が記憶されているので、制御装置18は、データ入力手段16から入力された上記データを、記憶装置18内の計算式に代入する計算処理を行うことにより、露光深度Cdおよび露光幅Wcを算出する(P 2)。
【0079】
これらの計算処理が各層にわたって行われ(P 3)、最終的に表示装置19に3次元形状が表示される(P 4)。
このように、本願発明の実施の形態に係る粉体焼結造形積層のシミュレーション装置によれば、実験データに非常に合致する理論式を用いてシミュレーションしているので、作成した3次元造形も実際に作製する造形物と非常に近いものとなる。なお、目的とすべき3次元造形に対して、シミュレーションによって得られた3次元造形とがかなり異なっていれば、上記入力データの変更や補正を行い、再度、シミュレーションする。
【0080】
このシミュレーションは、造形装置の内部で自動的に行うようにしてもよい。その場合、実際の露光、予熱条件をシミュレーションに加味し、正確さを増すことができる。
そして、目的とした3次元造形に近くなったとき、そのときに使用したビームデータ、粉体データおよび3次元データを実際の粉体焼結造形積層装置に適用することにより、従来のように無駄の多い思考錯誤的作業をすることなく、所定の形状の3次元造形を作製することができる。
【0081】
(2)粉体焼結造形積層装置と粉体焼結造形積層処理
図9は粉体焼結造形積層装置の構成を示す図であり、図10は図9に示す粉体焼結造形積層装置による積層処理を説明する図である。
まず、データ入力手段20に、前述したシミュレーションの結果、採用することとなった粉体データを入力する。また使用するレーザ光の露光密度やビーム幅等のビームデータを入力する。さらに、目的とする3次元造形物に対応する3次元データを入力する(図10において、Q 1)。
【0082】
制御装置22は、パウダー供給手段25から粉体をパウダーベッドに供給し、ローラーによって粉体の平坦化し、所定の厚さの薄層を形成する。なお、薄層の厚さは、パウダーベッド機構系24を介してパウダーベッドを上下して高さを決めることにより設定することができる(Q 2)。
また、入力データに基づき、制御装置22は光学系23を制御し、所定露光幅、所定露光密度のレーザー光を粉体薄層の所定の領域を照射する。これにより、照射された領域が硬化する(Q 3)。このような処理を各層ごとに繰り返し行うことにより、目的とする3次元実体造形を形成することができる(Q 2〜Q 4)。
【0083】
(3)別の実施の形態に係る粉体焼結造形積層装置
図11は別の実施の形態に係る粉体焼結造形積層装置の構成を示す図である。
図9の粉体焼結造形積層装置と異なるのは、光学系が第1の光学系31と第2の光学系32とを有する点である。
ここで、第1の光学系31は、第2の光学系32に比較してレーザ光の露光密度を低くし、かつビーム幅を細くしている。これにより、目的とする3次元造形物の外形を決める個所や、角部や窪み等の微妙な曲線を形成することを要求されている個所には、第1の光学系31を作動させて精度を優先させる。一方、あまり精度を必要としない領域では、第2の光学系32のレーザビーム光を使用して高速の硬化処理を行う。
【0084】
本実施の形態に係る粉体焼結造形積層装置によれば、精度を要求する領域とそれほど精度を要求しない領域とで、使用するレーザビーム光を使い分けしているので、3次元実体造形を効率良く製作することができる。
(4)外挿(Ec)
図6に示すように、特定の粉体状被硬化材料の臨界露光密度Ecは、異なった露光密度の光ビームを照射し、その外挿値によって求めることことができる。
【0085】
なお、臨界露光密度Ecは粉体状被硬化材料の温度に大きく依存するので、異なった温度ごとに取得する必要がある。従って、実際に3次元造形装置によって造形するときには、そのときの温度に応じた臨界露光密度Ecの値を採用する必要がある。
(5 )走査順序の変更
粉体層の所定の領域を照射するときには、レーザ光をライン状に走査する。一般に走査したラインに続いて隣接したラインを走査する。しかし、粉体層は熱エネルギーによって熔融し、自然冷却によって硬化するものであるので、走査直後においては、隣接走査ラインも熱伝導により高温になっている。このため、さらに次ぎのレーザ光が走査すると、短時間の内に2重に光エネルギーを受けることになる。このため、シミュレーション結果と異なる場合がある。
【0086】
そこで、走査ラインを適宜、変更することにより、余分な熱エネルギーが加わらないようにして、シミュレーションとの一致を図っている。
これを図12に示す。
(6)粉体層の厚さやレーザ光について
粉体層の厚さとしては、材料にもよるが、0.3 mm程度までは、シミュレーション結果と良く一致するが、高精度を要求する場合は、0.1 mm程度が望ましい。なお、現在、200μm、100μmの幅のレーザ光が一般に使用されているが、露光密度を抑え、かつより高い吸収係数の粉体材料を用いることにより、10μm程度の加工精度まで上げることが可能となる。
【0087】
【発明の効果】
以上、説明したように、本願の粉体状被硬化材料のシミュレーション装置によれば、実験結果に良く合致する簡単な式を基にして粉体硬化の幅や深さを予測することができる。このため、3次元データを基にして3次元形状を描画するとき、実態形状に近い造形が可能となる。
【0088】
従って、シミュレーションによって得られた造形物の形状が目的とする造形物の形状と異なるとき、3次元データを補正する必要があるが、このとき使用した3次元データ補正は、そのまま3次元造形装置を使用して実際に造形するときにも生かすことが可能となる。このため、従来のように3次元データの補正量を試行錯誤的に設定して、実際の造形を何度も行う必要がなくなる。
【0089】
また、本願の粉体状被硬化材料の3次元造形装置によれば、シミュレーションによって正確に硬化深さや幅を予測できるので、高精度を要求する所にも正確に所定の形状を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】粉体焼結積層造形装置の全体構成を示す図である。
【図2】露光ビームのガウス分布を説明する図である。
【図3】露光ビームによって、粉体が硬化される状態を説明する図であり、図3(a )は上面図、図3(b )は側面図、図3(c )は正面図である。
【図4】露光ビームによって硬化した粉体層の状態を示す正面図である。
【図5】実験に用いた粉体層と、露光用レーザビームを説明する図である。
【図6】実験データと理論とを比較したグラフを示す図である。
【図7】本願発明の実施の形態に係る3次元形状の形成シミュレーションを行う粉体焼結積層造形装置の構成を示す図である。
【図8】本願発明の実施の形態に係る粉体焼結積層造形装置を用いて3次元形状の形成シミュレーションを説明するフローチャートである。
【図9】本願発明の実施の形態に係る3次元形状の形成を行う粉体焼結積層造形装置の構成を示す図である。
【図10】本願発明の実施の形態に係る粉体焼結積層造形装置による3次元形状形成工程を説明するフローチャートである。
【図11】本願発明の別の実施の形態に係る3次元形状の形成を行う粉体焼結積層造形装置の構成を示す図である。
【図12】本願発明の実施の形態に係る光ビームの走査順序の変更を説明する図である。
【図13】本願発明の露光密度と硬化深度との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 パウダーベッド
2 粉体層
3 粉体供給用ローラー
4、5 パウダーカートリッジ
6 パウダーベッド機構系
7、23 光学系
8 CO2 レーザー
9、15 レーザービーム
10、11 硬化した粉体
12 硬化した粉体の最上面
13 硬化した粉体の最下面
14 粉体一層分
16、20、26 データ入力手段
17 記憶装置
18、22、28 制御装置
19 表示装置
24、29 パウダーベッド機構系
25、30 パウダー供給手段
31 第1の光学系
32 第2の光学系。

Claims (4)

  1. 粉体状被硬化材料を供給するパウダー供給手段と、
    上下に移動して、前記供給された粉体状被硬化材料を載せ、薄層を形成するパウダーベッドと、
    光ビームを前記薄層の表面に照射し、該薄層を熔融し硬化する光学系と、
    粉体データ、ビームデータ及び目的とする3次元造形物に対応する3次元データを入力するデータ入力手段と、
    前記データ入力手段からの前記データに基づき、前記パウダー供給手段、前記パウダーベッド及び前記光学系を制御することにより、順次、前記パウダーベッド上に前記粉体状被硬化材料を供給して前記薄層を形成し、該薄層の所定の領域に対して相互に隣接して設定される複数の走査ラインに従い前記光ビームを照射して硬化させ、該硬化させた薄層を積層していく制御装置とを有し、
    前記制御装置は、前記硬化させる薄層の所定の領域に対して、一の前記走査ラインに従って前記光ビームを照射し、次に、該光ビームの照射による熱エネルギが加わらない領域の前記走査ラインに従って該光ビームを照射し、これを繰り返して前記硬化させる薄層の所定の領域全体に前記光ビームを照射することを特徴とする3次元造形装置。
  2. 前記制御装置は、前記硬化させる薄層の所定の領域に対して、最初に、第1の走査ラインから一方の向きに1以上の走査ラインを飛ばして前記光ビームの照射を行い、次に、前記第1の走査ラインに隣接する第2の走査ラインから前記一方の向きに前記1以上の走査ラインを飛ばして前記光ビームの照射を行い、該光ビームの照射を、前記薄層の所定の領域全体が照射されるまで繰り返し行うことを特徴とする請求項1記載の3次元造形装置。
  3. 前記粉体データ及び前記ビームデータを用いて、
    Cd=Dp・ln(Emax/Ec)
    (ここで、Cdは硬化深度、Dpは硬化深度係数、Emaxは前記光ビームの露光密度、Ecは臨界露光密度である。)
    及び
    Wc=W0・√(2Cd/Dp)
    (ここで、Wcは硬化幅、W0は光ビームの実質半径である。)
    により算出された硬化深度Cd及び硬化幅Wcと、前記3次元データとに基づき、3次元立体物の画像を作成する3次元造形シミュレーション装置を備え、
    前記3次元造形シミュレーション装置により、前記3次元立体物の画像が前記目的とする3次元造形物に近くなるように前記粉体データ、前記ビームデータ及び前記3次元データを補正しつつシミュレーションし、前記データ入力手段に入力する前記粉体データ、前記ビームデータ及び前記3次元データを設定することを特徴とする請求項1記載の3次元造形装置。
  4. 前記光学系は、第1光学系と、該第1光学系に比較して光ビームの露光密度を低くし、かつビーム幅を細くした第2光学系とを有し、
    前記制御装置により前記光学系を制御して、前記3次元造形物のあまり精度を要しない箇所では第1光学系を用い、前記3次元造形物の精度を要する箇所では第2光学系に切り換えることを特徴とする請求項1記載の3次元造形装置。
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