JP4738821B2 - 大きなバイパス比を有するターボジェット - Google Patents

Description

本発明は、ターボジェットに関し、特に、大きなバイパス比を有するターボジェットに関すし、ターボジェットは、少なくとも１つのコンプレッサと、燃焼室と、タービンと、コンプレッサよりも上流側に搭載されかつタービンにより回転されるファンと、コンプレッサ、燃焼室、およびタービンのケーシングのまわりを流れるバイパス流のための環状空間をファンよりも下流側に画定する手段とを備え、バイパス流は、推力を増大させるためにメイン流の燃焼ガスに加わる。

現代の民間飛行機のターボジェットは、５より大きい、そして９または１０と同じくらい大きい可能性がある大きなバイパス比、すなわちメイン流によって割られたバイパス流の比によって、特徴付けられる。このことは、ファンとタービンとの間のターボジェット本体の横断方向寸法を減少し（「ワスプウエスト」効果）、この横断方向寸法の減少は、前記ターボジェット本体の曲げ強度の減少につながる。

ターボジェット本体の曲げ変形は、次にはロータまわりのケーシングを変形させ、ケーシングを卵形にして、ケーシングの変形は、いくつかの位置におけるケーシングとロータとの間の隙間を減少させると同時に、他の位置における隙間を増大させる（「ケーシング歪」効果）。

本発明の特定の目的は、ターボジェットにおける、特に、大きなバイパス比を有するターボジェットにおける、ワスプウエスト効果およびケーシング歪効果のこれらの問題に対する、簡単で、効果的で、そして安価な解決方法を提供することにある。

このために、本発明は、少なくとも１つのコンプレッサと、燃焼室と、タービンと、コンプレッサよりも上流側に搭載かつタービンにより回転されるファンと、コンプレッサ、燃焼室、およびタービンのケーシングのまわりを流れるバイパス流のための環状空間をファンよりも下流側に画定する手段とを備えるターボジェットであって、前記手段は、固定された実質的に円筒状のジャケットを備え、該ジャケットは、コンプレッサ、燃焼室、およびタービンのケーシングを取り囲み、かつバイパス流を導くための実質的に円筒状の内側表面を画定し、該ジャケットは、単一の剛体片として作られ、その上流側端にて構造ケーシング、例えば中間ケーシングに固定され、かつその下流側端にて排気ケーシングに固定され、中間ケーシングと排気ケーシングとの間に力を伝達するように作用する、ターボジェットを提供する。

ターボジェットの本体をある距離をおいて取り囲みかつターボジェットの本体を補強する、このジャケットは、ターボジェット本体の曲げ変形に対抗し、かつターボジェット本体の前側部分と後側部分との間で力を伝達するための構造体を形成する。

ジャケットを単一片として作ることは、剛性を増大させるように作用し、それによってターボジェット本体の曲げ変形を低減させる。

都合の良いことに、前記ジャケットの下流側端は、動作中、ターボジェット本体の熱膨張に対応する少なくとも１つの自由度を残す手段によって、排気ケーシングに固定される。

特に単純な実施の形態においては、前記ジャケットの両端部は、ボルト締めされることによって中間ケーシングおよび排気ケーシングに固定される。

この固定の方法は、単純でかつ安価であり、必要であるならば、ジャケットが取り外されることを可能とする。

ジャケットの剛性のために、そしてジャケットが中間および排気ケーシングに固定されるために、一般にターボジェットに取り付けられているスラストテイクアップバーを省くことが可能である。

加えて、ジャケットには、ジャケットの内部に配置された設備、特に燃料噴射装置、可変ピッチベーン制御リング、および付属装置駆動ギヤボックスのような設備に接近するためのドアが設けられている。

本発明の他の特徴によれば、ジャケットの下流側部分は、蝶番式に取り付けられたフラップ、およびフラップがジャケットと並んで位置する休止位置と、フラップが前記ジャケットから突出してバイパス流に対する障害物を形成する使用位置との間で、該フラップを動かすための手段を含んでおり、フラップを動かすための手段は、アクチュエータを備え、アクチュエータは、前記ジャケット上に搭載され、かつフラップまたはフラップのための制御リングに作用する。

本発明のこの特徴は、ターボジェットの操作性が、飛行機の降下および進入段階の間における飛行中アイドリングスピードを増大させることを必要とするときに、特別な利点を示す。このスピードにおける増大は、高くなり過ぎたターボジェットからの推力を増大させる。ジャケットに設けられるフラップは、降下および進入段階の間における二次流によって与えられる推力を損ない、それによって推力全体を適切なレベルまで低下させる。

それから、在来の推力反転システムを除去することを想定することが、高バイパス比ターボジェットにおいて可能となる。

本発明の他の利点および特徴は、非限定的な例を用いかつ添付図面を参照して与えられる以下の説明を読むことによって明らかになる。

図１ａは、その前端部に、シュラウド４の内側で回転するホイール３を備えるファン２を有するバイパスターボジェット１の非常に概略的な図である。ファン２によって吸い込まれる空気の流れは、ファンから下流側で、コンプレッサ５、環状燃焼室６、およびタービン７を備えるエンジンを通過するメイン流と、矢印８で示されたようにエンジンのまわりを流れかつタービン７から排出された燃焼ガスによって提供される推力に加えて付加的な推力を提供するバイパス流とに分けられる。

バイパス流８の通路は、その外側においてはシュラウドの内側壁部９によって画定され、かつその内側においては実質的に円筒形状のジャケット１０によって画定され、ジャケット１０は、エンジンを取り囲み、かつ中間ケーシング１１などの構造ケーシングから、タービンの出口における排気ケーシング１２へ延びる。中間ケーシング１１は、径方向アームによってファンシュラウドに剛直に結合されている。

本発明によれば、ジャケット１０は、剛体であり、本体を補剛しかつ曲げ変形およびケーシング歪効果を回避するために、その上流側および下流側端においてエンジンの本体に固定される。

ターボジェットのバイパス比を増大すること、すなわち、メイン流で割られたバイパス流の比を増大することは、コンプレッサとタービンとの間のエンジン断面における減少（「ワスプウエスト」効果）を導き、上述されたように、この断面における減少によってケーシングの歪を促進する。バイパス比が大きいとき、例えばバイパス比が５から１０の範囲内にあるときでさえも、この端部において剛体ジャケット１０をエンジンの本体に固定することによって、本体の曲げ変形は回避される。

ジャケット１０は、単一片として作られている。図１ｂおよび図１ｃにおいてより明確に見られるように、エンジンがそれを飛行機の翼の下に搭載するために、パイロンに固定されるレベルにおいて、ジャケット１０は、その上流側端にて環状フランジ１３を用いて中間ケーシング１１に固定され、かつその下流側端にて支持部品１４を介して排気ケーシング１２に固定される。固定は、好ましくは、ボルト１５、１６、１７、１８を用いてなされる。ジャケット１０の下流側端と排気ケーシング１２との間の固定は、動作中にエンジンの熱膨張に対応する少なくとも１つの自由度を保持すべく構成される。ジャケット１０に対する軸方向の自由度を与えるために、支持部品１４の形状は、支持部品１４が、軸方向において弾性的に変形することを可能としている。

ジャケット１０の断面は、その上流側端からシュラウド４の後方端部と同一レベルに設置された中間部分にかけて増大し、ジャケットの概略的な形状が双円錐形となるように、その下流側端にかけて減少する。

図２に示されるように、ジャケット１０の上流側部分１９は、ジャケットの内部にある装置への接近を可能にする開口部を有しており、特に開口部１０は、コンプレッサ５のケーシング上にある可変ピッチベーンを制御するためのリングに対する接近を可能にし、開口部２１は、付属装置制御ギヤボックスに対する接近を可能にし、そして開口部２２は、燃焼室における燃料噴射装置に対する接近を可能にする。

接近開口部２０、２１、および２２は、例えばネジ等の何らかの適切な手段によって、ジャケット１０に固定されたそれぞれ取り外し可能なドアまたはパネル２３、２４、および２５によって閉じられ得る。

ジャケット１０の下流側部分２６、すなわちバイパス流ノズル８のスロート部から下流側の部分は、蝶番式に取り付けられたフラップまたはパネル２７を有し、フラップまたはパネル２７、図２に示されるようなジャケット１０から外方へ突出する位置と、図３に示されるようなジャケット１０の表面にそれらが位置する引込または休止の位置との間で、ジャケット１０の周囲に対する接線である横断方向軸のまわりで旋回可能に周囲に配置される。

延長位置において、フラップまたはパネル２７は、バイパス流８の下流側移動を妨げ、かつファン２により加えられる推力を損なう。このことは、ターボジェットの操作性が、エンジンスピードを、降下および進入段階の間に充分に低減されるようにすることができないときに、有利である。このことは、推力を低減しながら充分なエンジンスピードを維持することを可能とする。

フラップまたはパネル２７は、ノイズを低減するために鋸歯状の形状からなっていても良い。

それらは、図３および図４に示されるように、直接的にまたは制御リング２９を介してのいずれかによって、小さなアクチュエータ２８によって作動される。

これらの図において、フラップまたはパネル２７を制御するためのリング２９は、ジャケット１０の下流側部分２６の内側に搭載され、かつアクチュエータ２８を用いて動かされ、アクチュエータ２８のシリンダが、ジャケット１０に担持され、かつアクチュエータ２８のピストンロッドが、リンク３０を介してフラップまたはパネル２７に結合されているリング２９に作用する。

フラップまたはパネル２７のこのシステムは、高バイパス比エンジンにおいて、このタイプのエンジンに通常設けられている推力反転手段を除去することを可能とする。このことは、結果として、部品の数およびコストの低減を生ずる。

本発明の高バイパス比ターボジェットの非常に概略的な軸方向断面図である。 図１ａにおける詳細Ｉａの拡大図である。 図１ａにおける詳細Ｉｂの拡大図である。 ターボジェットのジャケットの概略的な斜視図である。 蝶番式に取り付けられたフラップを変位させるための手段を示す、図２のジャケットの下流側部分の概略的な斜視図である。 フラップを動かすための図３に示された手段の拡大された概略図である。

符号の説明

１ バイパスターボジェット
２ ファン
３ ホイール
４ シュラウド
５ コンプレッサ
６ 環状燃焼室
７ タービン
８ バイパス流
９ 内側壁部
１０ ジャケット
１１ 中間ケーシング
１２ 排気ケーシング
１３ 環状フランジ
１４ 支持部品
１５、１６、１７、１８ ボルト
１９ 上流側部分
２０、２１、２２ 開口部
２３、２４、２５ ドアまたはパネル
２６ 下流側部分
２７ フラップまたはパネル
２８ アクチュエータ
２９ 制御リング
３０ リンク

Claims (6)

1. 少なくとも１つのコンプレッサと、燃焼室と、タービンと、シュラウドの内側で回転するホイールを含み、コンプレッサよりも上流側に取り付けられてタービンによって回転されるファンと、コンプレッサ、燃焼室およびタービンの各ケーシングのまわりを流れるバイパス流のための環状空間をファンよりも下流側に画定する手段とを備えるターボジェットであって、
   前記手段が、コンプレッサ、燃焼室およびタービンの各ケーシングを取り囲んでバイパス流を導くための円筒状の内側表面を画定する、固定された円筒状のジャケットからなり、
   前記ジャケットは、単一の剛体部材として作られており、該ジャケットの上流側端が、径方向アームによってファンのシュラウドに剛結合されている中間ケーシングに固定されると共に、該ジャケットの下流側端が排気ケーシングに固定されて、中間ケーシングと排気ケーシングとの間で力を伝達するように作用し、
   前記ジャケットがさらに、ジャケットの内部にある装置への接近を可能にする複数の開口部を含み、該開口部は、ジャケットに固定される取り外し可能なドアまたはパネルによってそれぞれ閉鎖可能になっている、前記ターボジェット。
2. 前記ジャケットの下流側端が、動作中ターボジェットの熱膨張に対応する自由度を残す手段により、排気ケーシングに固定されている、請求項１に記載のターボジェット。
3. 前記ジャケットの両端が、ボルトによって中間ケーシングおよび排気ケーシングに固定されている、請求項１に記載のターボジェット。
4. 前記ジャケットの内側に配設された装置が、燃料噴射装置、可変ピッチベーンのための制御リング、および付属装置の駆動のためのギヤボックスである、請求項１に記載のターボジェット。
5. 前記ジャケットが、ジャケットの下流側部分に蝶番式に取り付けられたフラップと、前記フラップがジャケットと並んで位置する休止位置と、前記フラップが前記ジャケットから突出してバイパス流に対する障害物を形成する使用位置との間で、フラップを動かすための手段とを含む、請求項１に記載のターボジェット。
6. 前記フラップを動かすための手段が、アクチュエータを備え、該アクチュエータは、前記ジャケットに取り付けられてフラップまたはフラップのための制御リングに作用する、請求項５に記載のターボジェット。

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