JP4726978B2 - 輻輳制御装置及び輻輳制御方法 - Google Patents
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Description
このような問題を解決するため、従来からアクティブキュー管理方式が提案されている。その代表的なものにRED(Random Early Detection)がある。REDは、バッファー溢れでパケットが連続して廃棄されることを防止するために、バッファーが一杯になる前に、到着するパケットを確率的に廃棄する方法である。これによって、TCPのパケット送出速度が制御されるとともに、TCP同期等を回避できる。このため、Tail Drop方式に比較して、スループットを改善することができる。また、REDは多くの市販製品のルータに実装されており、使用可否を選択することができる。
そこで、トラフィック変動に対応し、REDのパラメータを変動させるARED(Adaptive RED)等が提案されている。ARED等は、平均バッファー長の変化に応じてREDのパラメータを変化させる。しかし、あくまで平均バッファー長を検出した後に制御を行うため、ダイナミックなバッファー長の変動に対する追従性能に限界が生じる。
また、特許文献2には、トラフィック輻輳を予測するために、ハイパーリンク情報を抽出し、このハイパーリンク情報を集計してリンク情報をIPアドレスごとに生成し、ノード中のトラフィックをIPアドレスごとに測定してトラフィックパターンを生成する。また、トラフィック監視手段が、ノード中のトラフィックをIPアドレスごとに監視してトラフィックパターンと比較する。このトラフィックパターンと現在のトラフィックとの差が閾値以上となった場合に、リンクパターンを参照しつつ、輻輳が発生する可能性を判定することが開示されている。
また、特許文献3には、フロー制御サーバがネットワークのトラフィックの増減を予測して管理サーバにフロー制御指示を発行し、管理サーバは、このフロー制御指示に基づいて各ルータのルーティング情報を制御し、ルーティング制御指示を各ルータに送出し、ルータはルーティング制御指示に基づいて自己のルーティング情報を設定することが開示されている。
また、特許文献4には、輻輳の発生度合いに応じて送信レートを適切に変更し、送信中コネクション数を計測する。そして、予測されたコネクション数と実際の通信中コネクション数に基づいて係数が決定され、この係数を用いて次回のコネクション数を予測することが開示されている。
また、特許文献2に開示されている従来技術は、トラフィックパターンと現在のトラフィックとの差が閾値以上となった場合に、リンクパターンを参照しつつ、輻輳が発生する可能性を判定するため、輻輳制御のタイミングが遅くなるといった問題がある。
また、特許文献3に開示されている従来技術は、トラフィックの増減に関する情報をインターネット上で検索してトラフィックの増減を予測するものであり、トラフィックの増減に関する情報を正確に検索するのが難しいといった問題がある。
また、特許文献4に開示されている従来技術は、あくまでもコネクション数を予測するものであり、予測の正確性が必ずしも高いとはいえず、適切な輻輳制御が行われない虞がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、TCP開始で送信端末又はエッジルータから送信されたSYN/ACKを検出し、FINパケットの手前でデータパケットのヘッダー部に付加されたマークを検出するように構成し、SYN/ACKとマークの検出数に基づいて、トラフィックの変動を予測することにより、平均バッファー長の挙動を早い時期に予測するとともに、REDのパラメータを変動することで、その性能を十分に引き出すことができる輻輳制御装置及び輻輳制御方法を提供することを目的とする。
本発明は、ルータにおけるトラフィック変動予測を用いてパケットの廃棄率を低減する輻輳制御装置及び輻輳制御方法に関する発明である。即ち、コアルータ内に送信端から送られたSYN/ACKパケットと、通信終了の数パケット手前のデータパケットに付加されたマークとを検出して夫々を計数しておき、この計数値の増減或いは差分に基づいてREDパラメータを変動させることにより、REDによるパケットの廃棄率の低減を図る発明である。これにより、平均バッファー長の挙動を早い時期に予測することが可能となって、パケットの廃棄率を低減することができる。また、平均バッファー長の挙動を従来より早い時期に予測することができれば、REDのパラメータの動的な設定に早くから取り掛かることができ、追従性能を向上させることができる。そこで本発明では、接続側において通信終了の直前のデータパケットにマークを付加して、送信端でそのマークを通信終了前に検出する。これにより、REDのパラメータの動的な設定に早くから取り掛かることができ、追従性能を向上させることができる。
計数したパケット数が増加してマーク数が減少した場合は、ウィンドウ・サイズが大きい場合である。即ち、それにより平均バッファー長が増加すると予測されるので、その平均バッファー長に基づいた値にREDパラメータを変動させる。これにより、早い時期に平均バッファー長の大きさが予測できるので、適切な追従性能を実現することができる。
計数したパケット数とマーク数の差分が所定の閾値を超えて大きくなるときは、平均バッファー長が急増すると予測できる。このような時は、平均バッファー長が最大閾値に達したときにパケットを廃棄する割合を大きくして、早めにパケット廃棄を促進することで、輻輳を制御し、バッファー溢れによる連続的な廃棄を回避することができる。
請求項4は、前記制御部は、前記パケット・マーク計数部により計数したパケット数と前記マーク数の差分が所定の閾値以下の場合は、前記平均バッファー長が急減すると予測して、前記平均バッファー長が最大閾値に達したときにパケットを廃棄する割合を小さくすることを特徴とする。
計数したパケット数とマーク数の差分が所定の閾値以下になるときは、平均バッファー長が急減すると予測できる。このような時は、平均バッファー長が最大閾値に達したときにパケットを廃棄する割合を小さくして、早めにパケット廃棄を抑制することで、必要以上の過剰な廃棄を回避することができる。
送信端でヘッダー部に付加するマークは、受信端のTCPに何等影響を与えないものでなければならないことが本発明の必要条件であり、その必要条件を満たすための方法の一例として、付加するマークをIPヘッダー又はTCPヘッダー中のオプションフィールドに付加するビット、又はTCPヘッド中に付加するURGビットとする。これにより、受信端のTCPに影響を与えずに通信を行うことができる。
請求項6は、複数の送信端の回線を集約しているルータをエッジルータとし、それ以外のルータをコアルータとした場合、前記送信端の代わりに前記エッジルータで前記マークを付加するように構成したことを特徴とする。
送信端(以下、サーバという)でマークを付けて、ルータでマークを読み取るという協調動作においては、サーバとルータの各メーカーが同一の技術仕様を採用することに合意する必要がある。これは、技術的要素以外の要素が絡むために、一般的には実現が難しくなりがちである。また、仮に合意できたとしても、サーバとルータを新規で導入する場合は良いが、既存の設備を逐次、更新していく場合は、サーバの数が多ければ多いほど、各サーバの更新タイミングに差があるため、実現が困難となる。そこで本発明では、サーバの代わりにエッジルータでマークを付けるようにすれば、エッジルータで付けたマークをコアルータで読み取るというルータ間の協調動作となって、ルータのメーカーだけで技術仕様を採用すれば良くなるため、実現が容易となる。
を備えたことを特徴とする。
本発明は請求項1と同様の作用効果を奏する。
また、接続側において通信終了の直前のデータパケットにマークを付加して、被接続側でそのマークを通信終了前に検出するので、REDのパラメータの動的な設定に早くから取り掛かることができ、追従性能を向上させることができる。
また、計数したパケット数が増加してマーク数が減少した場合は、ウィンドウ・サイズが大きく、それにより平均バッファー長が増加すると予測されるので、その平均バッファー長に基づいた値にREDパラメータを変動させることにより、早い時期に平均バッファー長の大きさが予測でき、適切な追従性能を実現することができる。
また、計数したパケット数とマーク数の差分が所定の閾値以下になるときは、平均バッファー長が急減すると予測でき、平均バッファー長が最大閾値に達したときにパケットを廃棄する割合を小さくして、パケットの廃棄数を減少させるので、平均バッファー長が急減した場合は、更にパケットを廃棄する数を抑制することができる。
また、マークは、IPヘッダー又はTCPヘッダー中のオプションフィールドに付加するビット、又はTCPヘッド中に付加するURGビットとするので、受信端のTCPに影響を与えずに通信を行うことができる。
また、サーバの代わりにエッジルータでマークを付けるようにすれば、エッジルータで付けたマークをコアルータで読み取るというルータ間の協調動作となって、ルータのメーカーだけで技術仕様を採用すれば良くなるため、実現が容易となる。
(1)TCP通信を開始すると、送信端でウィンドウ・サイズが徐々に開くとともに通信速度が上昇していくため、ある程度の時間をもってバッファー量の増加に影響する。そのため、TCP通信を開始する際に下り方向へ送信されるSYN/ACKパケットをルータで検出する(S1)。
(2)通信中は、ウィンドウ・サイズを徐々に開き、送信速度を増加させる(S2)。
(3)TCP通信を終了すると、送信端でウィンドウ・サイズを一気に閉じるので、すぐにバッファー量の減少に影響する。つまり、ある程度の時間をもって予測を行うためには、工夫が必要である。そのため、TCP通信を終了する際に下り方向に送信されるFINパケットの一歩手前で、送信中のデータパケットのヘッダー部に終了を知らせるための印を付けルータで検出する(S3)。即ち、平均バッファー長の挙動を早い時期に予測することができれば、REDのパラメータの動的な設定に早くから取り掛かることができ、追従性能を向上させることができる。そこで本実施形態では、接続する側(以下、接続側と呼ぶ)において通信終了の直前のデータパケットにマークを付加して、そのマークを通信終了前に検出する。これにより、REDのパラメータの動的な設定に早くから取り掛かることができ、追従性能を向上させることができる。また、送信端でヘッダー部に付加するマークは、受信端のTCPに何等影響を与えないものでなければならない。そこで本実施形態では、マークは、IPヘッダー又はTCPヘッダー中のオプションフィールドに付加するビット、又はTCPヘッド中に付加するURGビットとする。これにより、受信端のTCPに影響を与えずに通信を行うことができる。
(4)そして通信終了でウィンドウ・サイズを閉じて送信速度をゼロにする(S4)。
(5)最後にFINパケットを送信して終了する(S5)。
(6)ステップS1及びステップS3で検出したパケットと印の数をカウントし、その数に基づいてトラフィック変動を予測する(S6)。例えば、パケットの検出数が増加し、印の検出数が減少すれば、平均バッファー長は増加することが予測される。また、検出数の差分が大きいほど、急激な増加が予測されることになる。予測精度を高めるために、フロー毎に、ウィンドウ・サイズ、バケット到着間隔、および廃棄・再送パケットを管理してもよい。なお、フローは、ヘッダー部の送受信IPアドレスやポート番号より識別でき、ウィンドウ・サイズは、送信端でウィンドウ・サイズの切れ目となるデータパケットのヘッダー部に印を付けることで、ルータで検出できる。
(7)ステップS6で予測したトラフィック変動に基づいてREDのパラメータを変動させる(S7)。即ち、トラフィックが急増する場合は図6のMAXpを大きくし、トラフィックが急減する場合はMAXpを小さくする。
(8)そして、REDパラメータに基づいてパケットの廃棄を実行する(S8)。
エッジルータ2のバッファーの所要量は、基本的には(FINパケットが届く手前のパケット数(設定値))×(同時発生コネクション数)となる。エッジルータ2による送信端1側の通信速度の制御は、送信側への確認応答(ACK)パケットの返信タイミングを調整したり、一度に受け取ることのできるパケット量の通知を増減することによって行われる。
即ち、送信端(以下、サーバという)でマークを付けて、ルータでマークを読み取るという協調動作においては、サーバとルータの各メーカーが同一の技術仕様を採用することに合意する必要がある。これは、技術的要素以外の要素が絡むために、一般的には実現が難しくなりがちである。また、仮に合意できたとしても、サーバとルータを新規で導入する場合は良いが、既存の設備を逐次、更新していく場合は、サーバの数が多ければ多いほど、各サーバの更新タイミングに差があるため、実現が困難となる。そこで本発明では、サーバの代わりにエッジルータ2でマークを付けるようにすれば、エッジルータ2で付けたマークをコアルータ4で読み取るというルータ間の協調動作となって、ルータのメーカーだけで技術仕様を採用すれば良くなるため、実現が容易となる。
本実施形態は、ルータにおけるトラフィック変動予測を用いてパケットの廃棄率を低減する輻輳制御装置及び輻輳制御方法に関する発明である。即ち、コアルータ4内に送信端から送られたSYN/ACKパケットと、通信終了の数パケット手前のデータパケットに付加されたマークとを検出して夫々を計数しておき、この計数値の増減或いは差分に基づいてREDパラメータを変動させることにより、REDによるパケットの廃棄率の低減を図る。これにより、平均バッファー長の挙動を早い時期に予測することが可能となって、パケットの廃棄率を低減することができる。
また、計数したパケット数とマーク数の差分が所定の閾値を超えて急激に大きくなるときは、平均バッファー長が急増すると予測できる。このような時は、平均バッファー長が最大閾値に達したときにパケットを廃棄する割合を大きくして、パケットの廃棄数を減少させる。これにより、平均バッファー長が急増しても、全てのパケットを廃棄することを抑制することができる。
また、計数したパケット数とマーク数の差分が所定の閾値以下になるときは、平均バッファー長が急減すると予測できる。このような時は、平均バッファー長が最大閾値に達したときにパケットを廃棄する割合を小さくして、パケットの廃棄数を減少させる。これにより、平均バッファー長が急減した場合は、更にパケットを廃棄することを抑制することができる。
Claims (7)
- トラフィック変動予測を用いたTCP/IP通信ネットワークにおける輻輳制御装置であって、
接続側からの接続要求に対して送信端からの接続許可と接続要求を組み合わせたパケットを検出するSYN/ACK検出部と、
前記送信端において通信終了の直前のデータパケットに付加されたマークを検出するマーク検出部と、
前記SYN/ACK検出部により検出したパケット数及び前記マーク検出部により検出したマーク数を夫々計数するパケット・マーク計数部と、
該パケット・マーク計数部により計数した夫々の計数結果に基づいてトラフィックの変動を予測するトラフィック変動予測部と、
該トラフィック変動予測部により予測した平均バッファー長がトラフィックの増減に連動することに鑑みて、該平均バッファー長の変動量に基づいてランダム初期検知に係るパラメータを変動させるREDパラメータ変動部と、
前記各部を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする輻輳制御装置。 - 前記制御部は、前記パケット・マーク計数部により計数したパケット数が増加して前記マーク数が減少した場合は、前記平均バッファー長が増加すると予測して前記ランダム初期検知に係るパラメータを変動させることを特徴とする請求項1に記載の輻輳制御装置。
- 前記制御部は、前記パケット・マーク計数部により計数したパケット数と前記マーク数の差分が所定の閾値を超えた場合は、前記平均バッファー長が急増すると予測して、前記平均バッファー長が最大閾値に達したときにパケットを廃棄する割合を大きくすることを特徴とする請求項1に記載の輻輳制御装置。
- 前記制御部は、前記パケット・マーク計数部により計数したパケット数と前記マーク数の差分が所定の閾値以下の場合は、前記平均バッファー長が急減すると予測して、前記平均バッファー長が最大閾値に達したときにパケットを廃棄する割合を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の輻輳制御装置。
- 前記マークは、少なくともIPヘッダー又はTCPヘッダー中のオプションフィールドに付加するビット、又はTCPヘッド中に付加するURGビットであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の輻輳制御装置。
- 複数の送信端の回線を集約しているルータをエッジルータとし、それ以外のルータをコアルータとした場合、サーバの代わりに前記エッジルータで前記マークを付加するように構成したことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の輻輳制御装置。
- SYN/ACK検出部、マーク検出部、パケット・マーク計数部、トラフィック変動予測部、REDパラメータ変動部、及び制御部を備えた輻輳制御装置の輻輳制御方法であって、
前記SYN/ACK検出部が、接続側からの接続要求に対して送信端からの接続許可と接続要求を組み合わせたパケットを検出するステップと、
前記マーク検出部が、前記送信端において通信終了の直前のデータパケットに付加されたマークを検出するステップと、
前記パケット・マーク計数部が、前記SYN/ACK検出部により検出したパケット数及び前記マーク検出部により検出したマーク数を夫々計数するステップと、
前記トラフィック変動予測部が、前記パケット・マーク計数部により計数した夫々の計数結果に基づいてトラフィックの変動を予測するステップと、
前記REDパラメータ変動部が、前記トラフィック変動予測部により予測した平均バッファー長がトラフィックの増減に連動することに鑑みて、該平均バッファー長の変動量に基づいてランダム初期検知に係るパラメータを変動させるステップと、
前記制御部が、前記各部を制御するステップと、
を備えたことを特徴とする輻輳制御装置の輻輳制御方法。
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