JP4725146B2 - 高次シラン組成物、膜付基板の製造方法、電気光学装置および電子デバイス - Google Patents
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しかしながら、この方法では、気相プロセスを用いるため、大掛かりな装置が必要であること、原料の使用効率が悪いこと、原料が気体であるため扱いにくいこと、大量の廃棄物が発生すること等という問題がある。
ここで、高次シラン化合物は、この高次シラン組成物に用いられる溶媒に対する溶解性が低いが、この高次シラン組成物には、溶媒に可溶なシラン化合物が未反応物として残存する。そして、高次シラン化合物は、このシラン化合物(低次シラン化合物)に溶解するので、高次シラン組成物中には、高次シラン化合物が溶存することとなる。
しかしながら、このような溶媒を用いると、次のような問題が生じる。
すなわち、図2(a)に示すように、高次シラン組成物の液状被膜12は、基板11を加熱して溶媒の除去を開始する前の状態では、溶媒の濡れ性が優位であり、多くのガラス基板や石英基板に対して良好な濡れ性を示す。
その結果、液状被膜12は、シラン化合物に高次シラン化合物が溶解した溶液が主体となり、低次シラン化合物の濡れ性が支配的になる。
ここで、シラン化合物は、その表面張力が非常に大きく、基板11に対する濡れ性が低いため、液状被膜12が濡れ難くなり、図2(c)に示すように、基板11上で凝集または分裂する。
その結果、液状被膜12の膜厚が不均一になり、これを反映して得られる膜13(高次シラン化合物膜、シリコン膜)も、図2(d)に示すように、膜厚が不均一になってしまう。
本発明の高次シラン組成物は、高次シラン化合物と、液体状のシラン化合物と、該シラン化合物より沸点(常圧)の高い溶媒とを含有することを特徴とする。
これにより、液相プロセスを用いて、均一な膜厚の膜を形成することができる高次シラン組成物が得られる。
これにより、液相プロセスを用いて、より均一な膜厚の膜を比較的容易に形成することができる高次シラン組成物が得られる。
本発明の高次シラン組成物では、前記シラン化合物は、前記高次シラン化合物の前駆体を主成分とするものであることが好ましい。
これにより、本発明の高次シラン組成物を、比較的容易に得ることができる。また、かかる低次シラン化合物が高次シラン組成物中に存在することにより、高次シラン化合物をより確実に溶存させることもできる。
これにより、本発明の高次シラン組成物を、比較的容易に得ることができる。
本発明の高次シラン組成物では、当該高次シラン組成物は、前記シラン化合物を前記溶媒に溶解した溶液中において、前記高次シラン化合物の前駆体の一部を重合させて、前記高次シラン化合物を合成した後の溶液またはその希釈液であることが好ましい。
これにより、本発明の高次シラン組成物を、比較的容易に得ることができる。
これにより、比較的分子量の大きい高次シラン化合物を容易に得ることができる。また、得られる高次シラン化合物の分子量を制御するのが比較的容易である。
本発明の高次シラン組成物では、前記高次シラン化合物の前駆体の重合は、紫外線照射により行われることが好ましい。
これにより、比較的分子量の大きい高次シラン化合物を容易に得ることができる。また、得られる高次シラン化合物の分子量を制御するのが比較的容易である。
これらの前駆体は、光に対する反応性が極めて高く、光重合を効率よく行うことができる化合物である。
本発明の高次シラン組成物では、前記シラン化合物は、一般式SinX2n(式中、Xは水素原子および/またはハロゲン原子を示し、nは3以上の整数を示す。)で表されるものであることが好ましい。
これらの前駆体は、光に対する反応性が極めて高く、光重合を効率よく行うことができる化合物である。また、合成や精製を容易に行うことができる。
これにより、高次シラン組成物において、高次シラン化合物の不均一な析出が防止される。その結果、均一な膜厚かつ均質な膜がより確実に得られる。
本発明の高次シラン組成物では、前記シラン化合物と前記高次シラン化合物との比率は、重量比で70:30〜30:70であることが好ましい。
これにより、高次シラン組成物中において、高次シラン化合物をより均一に溶存させることができる。
これにより、主として高次シラン組成物で構成される膜を熱処理(焼成)する際に、さらに確実に溶媒を除去することができる。このため、得られたシリコン膜において、溶媒に由来する元素が残存してしまうことをより確実に防止することができる。
これにより、より純度の高い膜を得ることができる。
本発明の高次シラン組成物では、さらに、周期表の第3B族元素を含む物質または周期表の第5B族元素を含む物質を含有することが好ましい。
これにより、n型シリコン膜、p型シリコン膜を、液相プロセスを用いて形成することができる。
前記液体状被膜中から、前記シラン化合物および前記溶媒を、この順で除去して、主として前記高次シラン化合物で構成される膜を得る第2の工程とを有することを特徴とする。
これにより、液相プロセスを用いて、均一な膜厚の膜を形成することができる。
これにより、液相プロセスを用いて、均一な膜厚のシリコン膜を形成することができる。
これにより、液相プロセスを用いて、均一な膜厚の酸化シリコン膜を形成することができる。
これにより、信頼性の高い電気光学装置が得られる。
本発明の電子デバイスは、本発明の電気光学装置を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子デバイスが得られる。
図1は、本発明の膜付基板の製造方法を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
本発明の膜付基板の製造方法は、高次シラン化合物を含有する組成物を基板1上に供給して液状被膜2を形成し、この液状被膜2に所定の処理を施すことにより所望の膜3を形成するものであり、[1]高次シラン組成物調製工程と、[2]高次シラン組成物供給工程と、[3]不要成分除去工程と、[4]後処理工程とを有している。
[1]高次シラン組成物調製工程
まず、本発明の高次シラン組成物を調製する。
本発明の高次シラン組成物は、高次シラン化合物(ポリシラン)と、液体状のシラン化合物と、溶媒とを含有するものである。
この高次シラン化合物は、その沸点が分解温度よりも高いことが好ましい。これにより、高次シラン化合物を焼成し、アモルファスシリコンに変化させて、シリコン膜を得るに際に、アモルファスシリコンが十分生成する前に、高次シラン化合物が気化(蒸発)して、失われるのを回避することができる。
なお、実際に沸点が分解温度より高い高次シラン化合物を加熱すると、沸点に達する以前に分解してしまうため、その沸点を実測することはできない。
したがって、ここで言う「沸点」とは、蒸気圧の温度依存性や、理論計算によって求めた理論値としての沸点(常圧)を意味する。
ここで、高次シラン化合物は、一般に溶媒(有機溶剤)に対する溶解性が低い。しかし、低次シラン化合物を高次シラン化合物と併存させると、低次シラン化合物が、溶媒に可溶であり、かつ、高次シラン化合物を溶解し得るので、高次シラン化合物を高次シラン組成物中に溶存させることができる。
このように、低次シラン化合物として、前駆体を主成分とするものを用いることにより、本発明の高次シラン組成物を、比較的容易に得ることができる。また、かかる低次シラン化合物が高次シラン組成物中に存在することにより、高次シラン化合物をより確実に溶存させることもできる。
特に、一般式SinX2n(式中、nは3以上の整数を示し、Xは水素原子および/またはハロゲン原子を示す。)で表される環状の化合物や、一般式SinX2n-2(式中、nは4以上の整数を示し、Xは水素原子および/またはハロゲン原子を示す。)で表される環状構造を2個以上有する化合物の他、分子内に少なくとも一つの環状構造を有する水素化珪素およびそのハロゲン置換体等を用いるのが好ましい。
なお、低次シラン化合物は、紫外線照射による光重合プロセスを阻害しない程度で、必要に応じて、n−ペンタシラン、n−ヘキサシラン、n−ヘプタシラン等のシラン化合物や、ホウ素原子および/またはリン原子等により変性された変性シラン化合物等を含有してもよい。
ここで、低次シラン化合物より沸点(常圧)の高い溶媒を用いる高次シラン組成物の液状被膜2は、低次シラン化合物および溶媒(不要成分)を除去する前の状態では、図1(a)に示すように、溶媒の基板1に対する高い濡れ性が優位となり、多くのガラス基板や石英基板に対して良好な濡れ性を示す。
また、この低次シラン化合物が液状被膜2中から除去させるのに伴って、液状被膜2中では、溶媒に対する溶解度の低い高次シラン化合物が析出してくる。
なお、この状態においても、液状被膜2は、溶媒の基板1に対する高い濡れ性に起因して、基板1上において凝集し難い状態(すなわち、濡れ広がり易い状態)となっており、これにより、均一な膜厚を維持することができる。
さらに、溶媒としては、高次シラン化合物および低次シラン化合物との反応性が乏しいものが好ましい。これにより、より純度の高い膜を得ることができる。
この場合、低次シラン化合物としては、前述した重合性を有する化合物の他、重合性を有さない化合物を単独または重合性を有する化合物と混合して用いることもできる。
重合性を有さない低次シラン化合物としては、例えば、n−トリシラン、n−テトラシラン、n−ペンタシラン、n−ヘキサシラン、n−ヘプタシラン等の直鎖状のシラン化合物や、これらがホウ素原子および/またはリン原子等により変性された変性シラン化合物等が挙げられる。
すなわち、I:低次シラン化合物として前駆体を主成分とするものを用意し、この前駆体の一部を重合させて高次シラン化合物を合成し、低次シラン化合物(未反応物)と高次シラン化合物との混合物を得、この混合物に前記溶媒を添加(混合)して用いる方法(前述した方法)
II:低次シラン化合物として前駆体を主成分とするものを用意し、この低次シラン化合物を前記溶媒に溶解した溶液中において、前駆体の一部を重合させて、高次シラン化合物を合成した後の当該溶液をそのまま、または、これを希釈して希釈液として用いる方法等が挙げられる。
まず、用いる紫外線は、前駆体を確実に重合させることができ、また、前記IIの場合には、前記溶媒を分解しない波長の光であるのが好ましい。ここで、「溶媒を分解しない波長」とは、紫外線の照射によって溶媒分子中の化学結合が切断されない程度の波長を意味する。
なお、得られる高次シラン化合物の分子量分布は、紫外線の照射時間、照射量および照射方法によって制御することができる。
また、紫外線照射は、低次シラン化合物を溶媒に溶解(希釈)した状態(前記IIの方法)で行うのが好ましく、さらには、この溶液を攪拌しながら、全体に均一に紫外線を照射するのが好ましい。これにより、適正な分子量分布を有する高次シラン化合物をより確実に得ることができる。
また、適正な分子量分布を得るために、分離精製を行うようにしてもよい。これにより、得られる膜の特性のばらつきを抑えることができる。分離精製方法としては、例えば、ゲル濾過クロマトグラフィの他、分子量の異なる高次シラン化合物の間での溶解度の差を利用する方法等が挙げられる。
なお、高次シラン組成物の粘度は、高次シラン化合物の分子量分布、濃度や、溶媒の種類等によって調整することができる。
添加剤としては、例えば、周期表の第3B族元素を含む物質または周期表の第5B族元素を含む物質(ドーパント源)が挙げられる。このような物質を添加することにより、これら元素がドープされたシリコン膜、すなわちn型シリコン膜、p型シリコン膜を得ることができる。
ドーパント源を、前駆体を重合させる前に添加し、その後、前駆体を重合させるようにすると、この重合反応の際に、分子レベルでドーパントと高次シラン化合物の結合を引き起こすことができる。その結果、性能に優れたn型シリコン膜、p型シリコン膜を得ることができる。
また、他の添加剤として、得られる膜の目的の機能を損なわない範囲で、表面張力調節材を微量添加するようにしてもよい。表面張力調節材としては、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系等のものを使用することができる。これら表面張力調節材を添加することにより、高次シラン組成物の基板1に対する濡れ性が向上し、液状被膜2のレベリング性を改善して、ぶつぶつの発生、ゆず肌の発生等を防止することができる。
次に、図1(a)に示すような基板1を用意し、調製された高次シラン組成物を、基板1上に供給することによって液状被膜2を形成する。
基板1としては、特に限定されないが、石英基板、ホウ珪酸ガラス、ソーダガラス等よりなるガラス基板の他、ITOなどの透明電極、金、銀、銅、ニッケル、チタン、アルミニウム、タングステン等よりなる金属基板、さらにこれらの金属やその酸化物等を表面に有するガラス基板、プラスチック基板等を使用することができる。
ここで、液滴吐出法とは、高次シラン組成物の液滴を所望の領域に吐出することにより、高次シラン組成物の液状被膜2を所望パターンで形成する方法である。
この液滴吐出法は、高次シラン組成物が吐出時に噴霧されるものであってもよく、高次シラン組成物の1滴1滴が連続するように吐出されるものであってもよい。
高次シラン組成物の供給は、室温以上の温度で行うのが好ましい。室温以上の温度で高次シラン組成物の供給を行うことにより、高次シラン化合物の溶解性が低下して、高次シラン組成物において析出するの防止することができる。
さらに、一連の工程は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが存在する雰囲気で行なうことが好ましい。また、この雰囲気には、必要に応じて水素などの還元性ガスを混入するようにしてもよい。これにより、低次シラン化合物、高次シラン化合物や、高次シラン組成物の変性をより確実に防止することができる。
次に、高次シラン組成物の液状被膜2が形成された基板1を加熱することにより、液状被膜2中から、低次シラン化合物および溶媒(不要成分)を除去する。
加熱温度は、低次シラン化合物および溶媒を効率よく気化して除去し得るように、低次シラン化合物の種類、溶媒の種類、雰囲気等によって、適宜設定される。これにより、得られる膜3の膜厚が不均一となることや、溶媒に由来する元素が不純物として残存してしまうのを好適に防止することができる。
ここで、前述したように、不要成分を除去する前の液状被膜2は、溶媒の濡れ性が優位(優勢)であり、基板1に対して良好な濡れ性を示す。
基板1の加熱を開始すると、図1(b)に示すように、溶媒の沸点が低次シラン化合物の沸点よりも高いことから、液状被膜2中からは、溶媒よりも先に低次シラン化合物が気化して除去される。
この低次シラン化合物が液状被膜2中から除去されるのに伴って、高次シラン化合物は、溶媒への溶解性が低いため、液状被膜2中において徐々に基板1上に析出してくる。
さらに、基板1の加熱を継続すると、図1(c)に示すように、液状被膜2中からは、溶媒が気化して除去される。その結果、図1(d)に示すように、主として高次シラン化合物で構成され、ほぼ均一な膜厚の膜3が得られる。
また、減圧状態で行うことにより、低次シラン化合物および溶媒の沸点が下がるため、より低い温度で不要成分の除去を行うことができる。これにより、加熱による基板1の変質・劣化を好適に防止することできる。
次に、目的に応じて、高次シラン化合物膜(膜3)に対して後処理を行う。これにより、シリコン膜や酸化シリコン膜を得ることができる。
例えば、膜3に対して、非酸化性雰囲気中で熱処理および/または光照射処理を施すことにより、高次シラン化合物をシリコンに変化させて、主としてシリコンで構成されるシリコン膜を得ることができる。
このとき、ドーパントを添加した高次シラン組成物を用いた場合には、この熱処理および/または光処理によって、このドーパントが活性化される。
ここで、得られるシリコン膜の結晶性は、熱処理の温度により制御することができる。
例えば、熱処理を、到達温度が550℃を超えるようにして行った場合には、多結晶状のシリコン膜(多結晶シリコン膜)を得ることができる。
また、熱処理の時間は、特に限定されないが、1〜30分程度であるのが好ましく、5〜20分程度であるのがより好ましい。
また、非酸化性雰囲気としては、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気や、水素等の還元性雰囲気等が挙げられる。
この場合、用いる光源としては、例えば、低圧あるいは高圧の水銀ランプ、重水素ランプあるいはアルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスの放電光の他、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザー等が挙げられる。このうち、レーザー光を用いるのが好ましい。これにより、アモルファスシリコン膜を効率よく多結晶化することができる。
また、これらの光源の波長は、高次シラン化合物が多少でも吸収するものであればよく、特に限定されないが、通常、170〜600nm程度のものが好適に用いられる。
また、このような光照射処理時の温度は、通常、室温〜1500℃程度であればよいが、目的とするシリコン膜の半導体特性に応じて適宜選択するのが好ましい。
この場合、加熱温度は、300〜550℃程度であるのが好ましく、350℃〜500℃程度であるのがより好ましい。
また、加熱時間は、特に限定されないが、1〜30分程度であるのが好ましく、5〜20分程度であるのがより好ましい。
このような膜付基板の製造方法では、液相プロセス(液体プロセス)を用いるため、大掛かりな装置が不要であること、原料の使用効率がよいこと、原料が液体であるため扱い易いこと、廃棄物が発生し難いこと等の利点もある。
また、本発明の膜付基板の製造方法によって製造された膜付基板は、電気光学装置や電子デバイスに適用することができる。
また、電子デバイスとは、本発明の膜付基板の製造方法によって製造された膜付基板を備えた一定の機能を奏する機器一般をいい、例えば電気光学装置やメモリを備えて構成される。
例えば、本発明の膜付基板の製造方法は、前述したような工程に、必要に応じて、1または2以上の任意の目的の工程を追加することもできる。
(実施例1)
1.シリコン膜付基板および酸化シリコン膜付基板の製造
なお、以下では、特に記載しない限り、各処理を酸素濃度1ppm以下の窒素雰囲気下で行った。
また、いずれものサンプルNo.のシリコン膜付基板および酸化シリコン膜付基板を10個ずつ製造した。
また、以下に示す測定結果における各数値は、いずれも、10個の平均値を示す。
<1A> まず、低次シラン化合物としてシクロペンタシラン(沸点:194℃)3gを20mLのガラスビーカーに入れ、撹拌しながら波長405nm、強度100mW/cm2の紫外線を10分間照射した。
<2A> 次に、この液をテトラリン(沸点:207℃)で希釈した後、0.5μmのフィルタで濾過して、高次シラン組成物とした。
なお、高次シラン組成物中の高次シラン化合物の濃度は、20重量%であり、シクロペンタシランと高次シラン化合物との比率は、重量比で50:50であった。
また、高次シラン化合物は、−(SiH2)n−において、n(平均値)が100のものであった。
また、高次シラン組成物の粘度(常温)は、5mPa・Sであった。
<4A> 次に、この液状被膜を形成した基板を、180℃×30分で加熱することによって、液状被膜中からシクロペンタシランおよびテトラリンを順に除去した。
これにより、高次シラン化合物膜を得た。
これにより、茶褐色の膜を得た。
この膜に対してRAMAN分光法による測定を行った結果、この膜はアモルファスシリコン膜であることが判明した。また、このアモルファスシリコン膜に対して、SIMS分析(表面組成の測定)を行った結果、ほとんどシリコン原子で構成されており、不純物としては酸素:2000ppm、炭素:500ppm、その他の金属原子についてはすべて10ppm以下であった。
これにより、多結晶シリコン膜を得た。
なお、多結晶シリコン膜に対して、RAMAN分光法による測定を行った結果、結晶化率:95%であった。
以上のようにして、シリコン膜付基板を製造した。
前記工程<6A>において、アモルファスシリコン膜に対して、水素3%含有アルゴン雰囲気中で800℃×10時間の熱処理を施して、多結晶シリコン膜を得た以外は、前記サンプルNo.1と同様にして酸化シリコン膜付基板を製造した。
なお、多結晶シリコン膜に対して、RAMAN分光法による測定を行った結果、結晶化率:90%であった。また、この多結晶シリコン膜に対して、SIMS分析を行った結果はサンプルNo.1と同じであった。
(サンプルNo.3)
まず、前記サンプルNo.1と同様にして合成した高次シラン組成物を精製した。
次に、この高次シラン組成物と、低次シラン化合物としてn−ヘキサシラン(沸点:194℃)と、テトラリンとを混合して、新たな高次シラン組成物とした。
なお、新たな高次シラン組成物中の高次シラン化合物の濃度が、10重量%となるように、n−へキサシランとテトラリンとの比率が、重量比で40:60となるように混合した混合液と、もとの高次シラン組成物との比率が重量比で50:50となるように混合した。
この新たな高次シラン組成物を用いた以外は、前記サンプルNo.1と同様にして、シリコン膜付基板を製造した。
なお、アモルファスシリコン膜に対して、SIMS分析およびRAMAN分光法による測定を行った結果はサンプルNo.1と同じであった。
高次シラン組成物の溶媒として、テトラリンに代えてトルエンを用い、前記工程<4A>の処理条件を150℃×30分とした以外は、前記サンプルNo.1と同様にして、シリコン膜付基板を製造した。
(サンプルNo.5)
高次シラン組成物の溶媒として、テトラリンに代えてトルエンを用い、前記工程<4A>の処理条件を150℃×30分とした以外は、前記サンプルNo.2と同様にして、シリコン膜付基板を製造した。
(サンプルNo.6)
高次シラン組成物の溶媒として、テトラリンに代えてトルエンを用い、前記工程<4A>の処理条件を150℃×30分とした以外は、前記サンプルNo.3と同様にして、シリコン膜付基板を製造した。
前記工程<4A>にて高次シラン化合物膜を得るまでは、上記サンプルNo.1〜6と同様な処理を行った後、窒素雰囲気のチャンバー内に徐々に大気を導入して30分間で大気雰囲気にした。
その後、大気中で400℃×30分の焼成を行った。これにより、無色透明な膜を得た。
また、これらの酸化シリコン膜に対して、SIMS分析を行った結果、不純物としては、すべての膜について炭素:500ppm以下、その他の金属原子についてはすべて10ppm以下であった。
このようにして酸化シリコン膜付基板を製造した。
各サンプルNo.のシリコン膜付基板および酸化シリコン膜付基板について、それぞれ、膜厚を測定して、そのバラツキについて評価した。
なお、膜厚の測定は、光干渉式膜厚計により行った。
これに対して、サンプルNo.4〜6のシリコン膜付基板(比較例)およびサンプルNo.10〜12の酸化シリコン膜付基板(比較例)では、各膜において、一見して膜厚が明らかに不均一で膜が形成されていない部分や色むらが見られ、膜厚測定においても平均膜厚に対して±100%のバラツキがあることが確認された。
<1B> まず、低次シラン化合物としてシクロヘキサシラン10gを、シクロヘキシルベンゼン30mLに溶解して溶液を調製した。そして、この溶液に添加物としてP4(黄リン)500mgを添加した。
<2B> 次に、この混合液を100mLのビーカーに入れ、撹拌しながら波長365nm、強度200mW/cm2の紫外線を30分間照射し、低次シラン化合物の光重合を行うと同時に、添加物と高次シラン化合物を結合させた。そして、この溶液を0.5μmのフィルタで濾過した。
なお、高次シラン組成物中の高次シラン化合物の濃度は、10重量%であり、シクロへキサシランと高次シラン化合物との比率は、重量比で50:50であった。
また、高次シラン化合物は、−(SiH2)n−において、n(平均値)が80のものであった。
また、高次シラン組成物の粘度(常温)は、2mPa・Sであった。
<5B> 次に、この液状被膜を形成した基板を、230℃×20分で加熱することによって、液状被膜中からシクロヘキサシランおよびシクロヘキシルベンゼンを順に除去した後、400℃×10分で熱処理を行った。
これにより、ドープアモルファスシリコン膜を得た。
これにより、ドープされた多結晶シリコン膜を得た。
なお、この多結晶シリコン膜に対して、RAMAN分光法による測定(結晶化率の測定)を行った結果、結晶化率:90%であった。
また、このドープ多結晶シリコン膜のシート抵抗を測定したところ3kΩ/□であった。
Claims (19)
- 高次シラン化合物と、液体状のシラン化合物と、該シラン化合物より沸点(常圧)の高い溶媒とを含有することを特徴とする高次シラン組成物。
- 前記シラン化合物の沸点(常圧)をA[℃]とし、前記溶媒の沸点(常圧)をB[℃]としたとき、B−Aが10以上である請求項1に記載の高次シラン組成物。
- 前記シラン化合物は、前記高次シラン化合物の前駆体を主成分とするものである請求項1に記載の高次シラン組成物。
- 前記シラン化合物は、前記高次シラン化合物の前駆体を重合させて、前記高次シラン化合物を合成した際の未反応物である請求項3に記載の高次シラン組成物。
- 当該高次シラン組成物は、前記シラン化合物を前記溶媒に溶解した溶液中において、前記高次シラン化合物の前駆体の一部を重合させて、前記高次シラン化合物を合成した後の溶液またはその希釈液である請求項3または4に記載の高次シラン組成物。
- 前記高次シラン化合物の前駆体は、光重合性を有するものである請求項3ないし5のいずれかに記載の高次シラン組成物。
- 前記高次シラン化合物の前駆体の重合は、紫外線照射により行われる請求項6に記載の高次シラン組成物。
- 前記シラン化合物は、その分子内に少なくとも一つの環状構造を有するものである請求項1ないし7のいずれかに記載の高次シラン組成物。
- 前記シラン化合物は、一般式SinX2n(式中、Xは水素原子および/またはハロゲン原子を示し、nは3以上の整数を示す。)で表されるものである請求項8に記載の高次シラン組成物。
- 当該高次シラン組成物における前記高次シラン化合物の濃度は、1〜50重量%である請求項1ないし9のいずれかに記載の高次シラン組成物。
- 前記シラン化合物と前記高次シラン化合物との比率は、重量比で70:30〜30:70である請求項1ないし10のいずれかに記載の高次シラン組成物。
- 前記溶媒は、その沸点(常圧)が前記高次シラン化合物の分解温度よりも低いものである請求項1ないし11のいずれかに記載の高次シラン組成物。
- 前記溶媒は、前記高次シラン化合物および前記シラン化合物との反応性が乏しいものである請求項1ないし12のいずれかに記載の高次シラン組成物。
- さらに、周期表の第3B族元素を含む物質または周期表の第5B族元素を含む物質を含有する請求項1ないし13のいずれかに記載の高次シラン組成物。
- 基板上に、請求項1ないし14のいずれかに記載の高次シラン組成物を供給して、液体状被膜を形成する第1の工程と、
前記液体状被膜中から、前記シラン化合物および前記溶媒を、この順で除去して、主として前記高次シラン化合物で構成される膜を得る第2の工程とを有することを特徴とする膜付基板の製造方法。 - 前記第2の工程の後、前記膜に対して、非酸化性雰囲気中で熱処理および/または光照射処理を施すことにより、前記高次シラン化合物をシリコンに変化させて、シリコンを含むシリコン膜を得る第3の工程を有する請求項15に記載の膜付基板の製造方法。
- 前記第2の工程の後、前記膜に対して、酸化性雰囲気中で熱処理および/または光照射処理を施すことにより、前記高次シラン化合物を酸化シリコンに変化させて、酸化シリコンを含む酸化シリコン膜を得る第3の工程を有する請求項15に記載の膜付基板の製造方法。
- 請求項15ないし17のいずれかに記載の膜付基板の製造方法により製造された膜付基板を備えることを特徴とする電気光学装置。
- 請求項18に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子デバイス。
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