JP4725146B2 - 高次シラン組成物、膜付基板の製造方法、電気光学装置および電子デバイス - Google Patents

高次シラン組成物、膜付基板の製造方法、電気光学装置および電子デバイス Download PDF

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Description

本発明は、高次シラン組成物、膜付基板の製造方法、電気光学装置および電子デバイスに関するものである。
集積回路や薄膜トランジスタ等に応用されるシリコン膜(アモルファスシリコン膜や多結晶シリコン膜等)のパターン形成は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等の気相プロセスにより全面にシリコン膜を形成した後、フォトリソグラフィーにより不要部分を除去するプロセスで行われるのが一般的である。
しかしながら、この方法では、気相プロセスを用いるため、大掛かりな装置が必要であること、原料の使用効率が悪いこと、原料が気体であるため扱いにくいこと、大量の廃棄物が発生すること等という問題がある。
そこで、液相プロセスを用いるシリコン膜の形成方法の検討が行われ、例えば液体状のシラン化合物(例えば、シクロペンタシラン)に紫外線を照射することによって光重合させた高次シラン化合物と、溶媒を含有する高次シラン組成物を用い、この高次シラン組成物を基板上に塗布した後、溶媒を除去した後、熱処理することによってシリコン膜を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
ここで、高次シラン化合物は、この高次シラン組成物に用いられる溶媒に対する溶解性が低いが、この高次シラン組成物には、溶媒に可溶なシラン化合物が未反応物として残存する。そして、高次シラン化合物は、このシラン化合物(低次シラン化合物)に溶解するので、高次シラン組成物中には、高次シラン化合物が溶存することとなる。
ところで、前述のような高次シラン組成物では、溶媒としてベンゼン等の低次シラン化合物より沸点の低いものが用いられている。
しかしながら、このような溶媒を用いると、次のような問題が生じる。
すなわち、図2(a)に示すように、高次シラン組成物の液状被膜12は、基板11を加熱して溶媒の除去を開始する前の状態では、溶媒の濡れ性が優位であり、多くのガラス基板や石英基板に対して良好な濡れ性を示す。
次に、基板11の加熱を開始すると、図2(b)に示すように、溶媒の沸点がシラン化合物の沸点より低いことから、まず、溶媒が気化して、液状被膜12中から除去される。
その結果、液状被膜12は、シラン化合物に高次シラン化合物が溶解した溶液が主体となり、低次シラン化合物の濡れ性が支配的になる。
ここで、シラン化合物は、その表面張力が非常に大きく、基板11に対する濡れ性が低いため、液状被膜12が濡れ難くなり、図2(c)に示すように、基板11上で凝集または分裂する。
その結果、液状被膜12の膜厚が不均一になり、これを反映して得られる膜13(高次シラン化合物膜、シリコン膜)も、図2(d)に示すように、膜厚が不均一になってしまう。
特開2003−313299号公報
本発明の目的は、液相プロセスを用いて、均一な膜厚の膜を形成することができる高次シラン組成物、かかる高次シラン組成物を用いる膜付基板の製造方法、膜付基板を備える電気光学装置および電子デバイスを提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の高次シラン組成物は、高次シラン化合物と、液体状のシラン化合物と、該シラン化合物より沸点(常圧)の高い溶媒とを含有することを特徴とする。
これにより、液相プロセスを用いて、均一な膜厚の膜を形成することができる高次シラン組成物が得られる。
本発明の高次シラン組成物では、前記シラン化合物の沸点(常圧)をA[℃]とし、前記溶媒の沸点(常圧)をB[℃]としたとき、B−Aが10以上であることが好ましい。
これにより、液相プロセスを用いて、より均一な膜厚の膜を比較的容易に形成することができる高次シラン組成物が得られる。
本発明の高次シラン組成物では、前記シラン化合物は、前記高次シラン化合物の前駆体を主成分とするものであることが好ましい。
これにより、本発明の高次シラン組成物を、比較的容易に得ることができる。また、かかる低次シラン化合物が高次シラン組成物中に存在することにより、高次シラン化合物をより確実に溶存させることもできる。
本発明の高次シラン組成物では、前記シラン化合物は、前記高次シラン化合物の前駆体を重合させて、前記高次シラン化合物を合成した際の未反応物であることが好ましい。
これにより、本発明の高次シラン組成物を、比較的容易に得ることができる。
本発明の高次シラン組成物では、当該高次シラン組成物は、前記シラン化合物を前記溶媒に溶解した溶液中において、前記高次シラン化合物の前駆体の一部を重合させて、前記高次シラン化合物を合成した後の溶液またはその希釈液であることが好ましい。
これにより、本発明の高次シラン組成物を、比較的容易に得ることができる。
本発明の高次シラン組成物では、前記高次シラン化合物の前駆体は、光重合性を有するものであることが好ましい。
これにより、比較的分子量の大きい高次シラン化合物を容易に得ることができる。また、得られる高次シラン化合物の分子量を制御するのが比較的容易である。
本発明の高次シラン組成物では、前記高次シラン化合物の前駆体の重合は、紫外線照射により行われることが好ましい。
これにより、比較的分子量の大きい高次シラン化合物を容易に得ることができる。また、得られる高次シラン化合物の分子量を制御するのが比較的容易である。
本発明の高次シラン組成物では、前記シラン化合物は、その分子内に少なくとも一つの環状構造を有するものであることが好ましい。
これらの前駆体は、光に対する反応性が極めて高く、光重合を効率よく行うことができる化合物である。
本発明の高次シラン組成物では、前記シラン化合物は、一般式Si2n(式中、Xは水素原子および/またはハロゲン原子を示し、nは3以上の整数を示す。)で表されるものであることが好ましい。
これらの前駆体は、光に対する反応性が極めて高く、光重合を効率よく行うことができる化合物である。また、合成や精製を容易に行うことができる。
本発明の高次シラン組成物では、当該高次シラン組成物における前記高次シラン化合物の濃度は、1〜50重量%であることが好ましい。
これにより、高次シラン組成物において、高次シラン化合物の不均一な析出が防止される。その結果、均一な膜厚かつ均質な膜がより確実に得られる。
本発明の高次シラン組成物では、前記シラン化合物と前記高次シラン化合物との比率は、重量比で70:30〜30:70であることが好ましい。
これにより、高次シラン組成物中において、高次シラン化合物をより均一に溶存させることができる。
本発明の高次シラン組成物では、前記溶媒は、その沸点(常圧)が前記高次シラン化合物の分解温度よりも低いものであることが好ましい。
これにより、主として高次シラン組成物で構成される膜を熱処理(焼成)する際に、さらに確実に溶媒を除去することができる。このため、得られたシリコン膜において、溶媒に由来する元素が残存してしまうことをより確実に防止することができる。
本発明の高次シラン組成物では、前記溶媒は、前記高次シラン化合物および前記シラン化合物との反応性が乏しいものであることが好ましい。
これにより、より純度の高い膜を得ることができる。
本発明の高次シラン組成物では、さらに、周期表の第3B族元素を含む物質または周期表の第5B族元素を含む物質を含有することが好ましい。
これにより、n型シリコン膜、p型シリコン膜を、液相プロセスを用いて形成することができる。
本発明の膜付基板の製造方法は、基板上に、本発明の高次シラン組成物を供給して、液体状被膜を形成する第1の工程と、
前記液体状被膜中から、前記シラン化合物および前記溶媒を、この順で除去して、主として前記高次シラン化合物で構成される膜を得る第2の工程とを有することを特徴とする。
これにより、液相プロセスを用いて、均一な膜厚の膜を形成することができる。
本発明の膜付基板の製造方法では、前記第2の工程の後、前記膜に対して、非酸化性雰囲気中で熱処理および/または光照射処理を施すことにより、前記高次シラン化合物をシリコンに変化させて、シリコンを含むシリコン膜を得る第3の工程を有することが好ましい。
これにより、液相プロセスを用いて、均一な膜厚のシリコン膜を形成することができる。
本発明の膜付基板の製造方法では、前記第2の工程の後、前記膜に対して、酸化性雰囲気中で熱処理および/または光照射処理を施すことにより、前記高次シラン化合物を酸化シリコンに変化させて、酸化シリコンを含む酸化シリコン膜を得る第3の工程を有することが好ましい。
これにより、液相プロセスを用いて、均一な膜厚の酸化シリコン膜を形成することができる。
本発明の電気光学装置は、本発明の膜付基板の製造方法により製造された膜付基板を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電気光学装置が得られる。
本発明の電子デバイスは、本発明の電気光学装置を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子デバイスが得られる。
以下、本発明の高次シラン組成物、膜付基板の製造方法、電気光学装置および電子デバイスについて、好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の膜付基板の製造方法を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
本発明の膜付基板の製造方法は、高次シラン化合物を含有する組成物を基板1上に供給して液状被膜2を形成し、この液状被膜2に所定の処理を施すことにより所望の膜3を形成するものであり、[1]高次シラン組成物調製工程と、[2]高次シラン組成物供給工程と、[3]不要成分除去工程と、[4]後処理工程とを有している。
以下、これらの各工程について、順次説明する。
[1]高次シラン組成物調製工程
まず、本発明の高次シラン組成物を調製する。
本発明の高次シラン組成物は、高次シラン化合物(ポリシラン)と、液体状のシラン化合物と、溶媒とを含有するものである。
高次シラン化合物は、−(SiH−で表され、焼成(熱処理)により、アモルファスシリコンに変化する化合物である。
この高次シラン化合物は、その沸点が分解温度よりも高いことが好ましい。これにより、高次シラン化合物を焼成し、アモルファスシリコンに変化させて、シリコン膜を得るに際に、アモルファスシリコンが十分生成する前に、高次シラン化合物が気化(蒸発)して、失われるのを回避することができる。
なお、実際に沸点が分解温度より高い高次シラン化合物を加熱すると、沸点に達する以前に分解してしまうため、その沸点を実測することはできない。
したがって、ここで言う「沸点」とは、蒸気圧の温度依存性や、理論計算によって求めた理論値としての沸点(常圧)を意味する。
この高次シラン化合物において、n(平均値)は、50〜250であるのが好ましく、75〜150であるのがより好ましい。高次シラン化合物において、沸点、濡れ性、粘度および反応性はその分子量に依存し、分子量が大きいもの程、沸点、粘度および濡れ性が高く、反応性が低くなる傾向を示す。このため、nが前記範囲の高次シラン化合物(分子量の大きい高次シラン化合物)を用いることにより、均一な膜厚かつ均質な膜を確実に形成することができる。また、かかる分子量の大きい高次シラン化合物は、反応性が低いことから、取り扱いが容易であるという利点もある。
高次シラン組成物における高次シラン化合物の濃度(含有量)は、目的とする膜厚等によっても若干異なるが、1〜50重量%程度であるのが好ましく、5〜30重量%程度であるのがより好ましい。高次シラン化合物の濃度を前記範囲とすることにより、高次シラン組成物において、高次シラン化合物の不均一な析出が防止される。その結果、均一な膜厚かつ均質な膜がより確実に得られる。
液体状のシラン化合物(以下、「低次シラン化合物」と言う。)は、分子内にSiを少なくとも1つ有し、常温常圧下において液体状を呈する化合物である。
ここで、高次シラン化合物は、一般に溶媒(有機溶剤)に対する溶解性が低い。しかし、低次シラン化合物を高次シラン化合物と併存させると、低次シラン化合物が、溶媒に可溶であり、かつ、高次シラン化合物を溶解し得るので、高次シラン化合物を高次シラン組成物中に溶存させることができる。
この低次シラン化合物には、高次シラン化合物の前駆体(以下、単に「前駆体」と言う。)を主成分とするものを用いるのが好ましい。これにより、例えば、低次シラン化合物を出発原料とし、前駆体の一部を高次シラン化合物に変化させ得る程度に、重合させて高次シラン化合物を合成し、高次シラン化合物と、未反応物として残存する低次シラン化合物との混合物を得、そして、この混合物に溶媒を添加することによって、本発明の高次シラン組成物とすることができる。
このように、低次シラン化合物として、前駆体を主成分とするものを用いることにより、本発明の高次シラン組成物を、比較的容易に得ることができる。また、かかる低次シラン化合物が高次シラン組成物中に存在することにより、高次シラン化合物をより確実に溶存させることもできる。
このような前駆体としては、例えば、光照射、電子線照射、加熱等によって重合して、高次シラン化合物となるものが挙げられるが、光照射(特に、紫外線照射)によって高次シラン化合物に変化するもの(光重合性を有するもの)が好ましい。かかる前駆体を主成分とする低次シラン化合物を出発原料とすることにより、比較的分子量の大きい高次シラン化合物を容易に得ることができる。また、得られる高次シラン化合物の分子量を制御するのが比較的容易である。
紫外線照射によって重合(光重合)する前駆体としては、例えば、一般式Si(ここで、nは3以上の、またmは4以上のそれぞれ独立な整数を示し、Xは水素原子および/またはハロゲン原子等の置換基を示す。)で表される化合物等が挙げられる。
特に、一般式Si2n(式中、nは3以上の整数を示し、Xは水素原子および/またはハロゲン原子を示す。)で表される環状の化合物や、一般式Si2n-2(式中、nは4以上の整数を示し、Xは水素原子および/またはハロゲン原子を示す。)で表される環状構造を2個以上有する化合物の他、分子内に少なくとも一つの環状構造を有する水素化珪素およびそのハロゲン置換体等を用いるのが好ましい。
このような前駆体の具体例としては、例えば、1個の環状構造を有するものとして、シクロトリシラン、シクロテトラシラン、シクロペンタシラン、シクロヘキサシラン、シクロヘプタシラン等が挙げられ、2個の環状構造を有するものとして、1、1’−ビシクロブタシラン、1、1’−ビシクロペンタシラン、1、1’−ビシクロヘキサシラン、1、1’−ビシクロヘプタシラン、1、1’−シクロブタシリルシクロペンタシラン、1、1’−シクロブタシリルシクロヘキサシラン、1、1’−シクロブタシリルシクロヘプタシラン、1、1’−シクロペンタシリルシクロヘキサシラン、1、1’−シクロペンタシリルシクロヘプタシラン、1、1’−シクロヘキサシリルシクロヘプタシラン、スピロ[2、2]ペンタシラン、スピロ[3、3]ヘプタタシラン、スピロ[4、4]ノナシラン、スピロ[4、5]デカシラン、スピロ[4、6]ウンデカシラン、スピロ[5、5]ウンデカシラン、スピロ[5、6]ウンデカシラン、スピロ[6、6]トリデカシラン等が挙げられ、その他にこれらの骨格の水素原子を部分的にSiH基やハロゲン原子に置換したシラン化合物等が挙げられる。なお、これらの化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。これらの前駆体は、光に対する反応性が極めて高く、光重合を効率よく行うことができる化合物である。
これらの中でも、前駆体としては、シクロテトラシラン、シクロペンタシラン、シクロヘキサシラン、シクロヘプタシラン等のSi2n(式中、nは3以上の整数を示し、Xは水素原子および/またはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等のハロゲン原子を示す。)で表される化合物が好ましい。これらの前駆体は、以上の理由に加えて合成、精製が容易であるという観点から特に好ましい。
なお、低次シラン化合物は、紫外線照射による光重合プロセスを阻害しない程度で、必要に応じて、n−ペンタシラン、n−ヘキサシラン、n−ヘプタシラン等のシラン化合物や、ホウ素原子および/またはリン原子等により変性された変性シラン化合物等を含有してもよい。
高次シラン組成物中における低次シラン化合物と高次シラン化合物との比率は、特に限定されないが、重量比で70:30〜30:70程度であるのが好ましく、60:40〜40:60程度であるのがより好ましい。低次シラン化合物と高次シラン化合物との比率を前記範囲とすることにより、高次シラン組成物中において、高次シラン化合物をより均一に溶存させることができる。
さて、本発明では、溶媒として、低次シラン化合物より沸点(常圧)の高いものを用いることに特徴を有する。
ここで、低次シラン化合物より沸点(常圧)の高い溶媒を用いる高次シラン組成物の液状被膜2は、低次シラン化合物および溶媒(不要成分)を除去する前の状態では、図1(a)に示すように、溶媒の基板1に対する高い濡れ性が優位となり、多くのガラス基板や石英基板に対して良好な濡れ性を示す。
そして、本発明の高次シラン組成物では、溶媒として、その沸点が低次シラン化合物の沸点よりも高いものを用いるため、まず、図1(b)に示すように、低次シラン化合物が気化して、液状被膜2中から除去される。
また、この低次シラン化合物が液状被膜2中から除去させるのに伴って、液状被膜2中では、溶媒に対する溶解度の低い高次シラン化合物が析出してくる。
なお、この状態においても、液状被膜2は、溶媒の基板1に対する高い濡れ性に起因して、基板1上において凝集し難い状態(すなわち、濡れ広がり易い状態)となっており、これにより、均一な膜厚を維持することができる。
このような溶媒は、低次シラン化合物の沸点(常圧)をA[℃]とし、溶媒の沸点(常圧)をB[℃]としたとき、B−Aが10以上であるのが好ましく、10〜50程度であるのがより好ましい。B−Aが前記下限値未満の場合、低次シラン化合物が気化する過程で、例えば共沸現象等により溶媒も気化して、液状被膜2中の溶媒量が不足してしまい、十分に平坦な膜が得られないおそれがある。一方、B−Aが前記上限値を上回ると、液状被膜2中から溶媒を除去する際に、溶媒が十分に除去されず、得られたシリコン膜において、溶媒に由来する元素が残存してしまうおそれがある。
また、溶媒の沸点は、高次シラン化合物の分解温度よりも低いことが好ましい。これにより、後工程[4]において、主として高次シラン組成物で構成される膜を熱処理(焼成)する際に、さらに確実に溶媒を除去することができる。このため、得られたシリコン膜において、溶媒に由来する元素が残存してしまうことをより確実に防止することができる。
さらに、溶媒としては、高次シラン化合物および低次シラン化合物との反応性が乏しいものが好ましい。これにより、より純度の高い膜を得ることができる。
このような溶媒としては、前記条件を満足するものであれば、特に限定されないが、例えば、シクロヘキシルベンゼン、デカリン、テトラリン、ドデカン、テトラデカン、ブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、ビシクロヘキシル等の炭化水素系溶剤が挙げられ、これらを単独または混合して用いることができる。
以上のような高次シラン組成物は、例えば、高次シラン化合物、低次シラン化合物および溶媒をそれぞれ、別途用意し、これらを所定量で混合することによって調製することができる。
この場合、低次シラン化合物としては、前述した重合性を有する化合物の他、重合性を有さない化合物を単独または重合性を有する化合物と混合して用いることもできる。
重合性を有さない低次シラン化合物としては、例えば、n−トリシラン、n−テトラシラン、n−ペンタシラン、n−ヘキサシラン、n−ヘプタシラン等の直鎖状のシラン化合物や、これらがホウ素原子および/またはリン原子等により変性された変性シラン化合物等が挙げられる。
また、例えば、高次シラン組成物は、次のようにして、調製することもできる。
すなわち、I:低次シラン化合物として前駆体を主成分とするものを用意し、この前駆体の一部を重合させて高次シラン化合物を合成し、低次シラン化合物(未反応物)と高次シラン化合物との混合物を得、この混合物に前記溶媒を添加(混合)して用いる方法(前述した方法)
II:低次シラン化合物として前駆体を主成分とするものを用意し、この低次シラン化合物を前記溶媒に溶解した溶液中において、前駆体の一部を重合させて、高次シラン化合物を合成した後の当該溶液をそのまま、または、これを希釈して希釈液として用いる方法等が挙げられる。
例えば、低次シラン化合物として、紫外線照射によって重合する前駆体を主成分とするものを用いる場合、紫外線照射は、次のような条件で行うのが好ましい。
まず、用いる紫外線は、前駆体を確実に重合させることができ、また、前記IIの場合には、前記溶媒を分解しない波長の光であるのが好ましい。ここで、「溶媒を分解しない波長」とは、紫外線の照射によって溶媒分子中の化学結合が切断されない程度の波長を意味する。
このような紫外線の波長は、250nm以上であるのが好ましく、300nm以上であるのがより好ましい。かかる波長域の紫外線を用いることにより、前駆体を確実に重合させることができるとともに、前記IIの場合には、溶媒に起因する炭素原子などの不純物原子が膜中に混入するのを防止して、膜の特性が劣化するのを防止することができる。
なお、得られる高次シラン化合物の分子量分布は、紫外線の照射時間、照射量および照射方法によって制御することができる。
紫外線の照射時間は、0.1秒〜120分であるのが好ましく、1〜30分であるのがより好ましい。このような照射時間で紫外線を照射することにより、前述の適正なn数(分子量)の範囲に分布のピークを有する高次シラン化合物、すなわち適正な分子量分布を有する高次シラン化合物を得ることができる。
また、紫外線照射は、低次シラン化合物を溶媒に溶解(希釈)した状態(前記IIの方法)で行うのが好ましく、さらには、この溶液を攪拌しながら、全体に均一に紫外線を照射するのが好ましい。これにより、適正な分子量分布を有する高次シラン化合物をより確実に得ることができる。
なお、高次シラン化合物を合成した後の液体において、高次シラン化合物が析出している場合には、この析出した高次シラン化合物を除去しておくことが好ましい。析出した高次シラン化合物を除去する方法としては、例えば、マイクロフィルターを用いる濾過法等を用いることができる。
また、適正な分子量分布を得るために、分離精製を行うようにしてもよい。これにより、得られる膜の特性のばらつきを抑えることができる。分離精製方法としては、例えば、ゲル濾過クロマトグラフィの他、分子量の異なる高次シラン化合物の間での溶解度の差を利用する方法等が挙げられる。
以上のようにして調製された高次シラン組成物の粘度(常温)は、0.5〜50mPa・s程度であるのが好ましく、1〜20mPa・s程度であるのがより好ましい。これにより、十分な膜厚を有し、かつ、均一な膜厚の膜を得ることができる。
なお、高次シラン組成物の粘度は、高次シラン化合物の分子量分布、濃度や、溶媒の種類等によって調整することができる。
以上のような高次シラン組成物は、必要に応じて各種添加剤を添加するようにしてもよい。
添加剤としては、例えば、周期表の第3B族元素を含む物質または周期表の第5B族元素を含む物質(ドーパント源)が挙げられる。このような物質を添加することにより、これら元素がドープされたシリコン膜、すなわちn型シリコン膜、p型シリコン膜を得ることができる。
ここで、高次シラン組成物を、前述したIまたはIIの方法を用いて調製する場合、ドーパント源は、前駆体を重合させる前または後のいずれに添加してもよいが、重合させる前に添加するのが好ましい。
ドーパント源を、前駆体を重合させる前に添加し、その後、前駆体を重合させるようにすると、この重合反応の際に、分子レベルでドーパントと高次シラン化合物の結合を引き起こすことができる。その結果、性能に優れたn型シリコン膜、p型シリコン膜を得ることができる。
高次シラン組成物におけるドーパント源の濃度は、得られるシリコン膜において最終的に必要なドーパント濃度に応じて適宜選択される。このドーパント源の濃度の調製は、前駆体を重合させた後に、溶媒で希釈することによって行ってもよく、ドーパント源を添加せずに、前駆体を重合させた後の組成物を用意し、これを用いて希釈することによって行ってもよい。
この周期表の第3B族元素を含む物質および周期表の第5B族元素を含む物質(ドーパント)としては、リン、ホウ素、砒素等の元素を含む物質であり、例えば、特開2000−31066号公報に挙げられているような物質が例示できる。
また、他の添加剤として、得られる膜の目的の機能を損なわない範囲で、表面張力調節材を微量添加するようにしてもよい。表面張力調節材としては、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系等のものを使用することができる。これら表面張力調節材を添加することにより、高次シラン組成物の基板1に対する濡れ性が向上し、液状被膜2のレベリング性を改善して、ぶつぶつの発生、ゆず肌の発生等を防止することができる。
[2]高次シラン組成物供給工程
次に、図1(a)に示すような基板1を用意し、調製された高次シラン組成物を、基板1上に供給することによって液状被膜2を形成する。
基板1としては、特に限定されないが、石英基板、ホウ珪酸ガラス、ソーダガラス等よりなるガラス基板の他、ITOなどの透明電極、金、銀、銅、ニッケル、チタン、アルミニウム、タングステン等よりなる金属基板、さらにこれらの金属やその酸化物等を表面に有するガラス基板、プラスチック基板等を使用することができる。
高次シラン組成物を供給する方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ディップコート法、スプレー法、液滴吐出法等の方法を用いることができる。
ここで、液滴吐出法とは、高次シラン組成物の液滴を所望の領域に吐出することにより、高次シラン組成物の液状被膜2を所望パターンで形成する方法である。
この液滴吐出法は、高次シラン組成物が吐出時に噴霧されるものであってもよく、高次シラン組成物の1滴1滴が連続するように吐出されるものであってもよい。
また、スピンコート法を用いる場合のスピナーの回転数は、目的とする膜厚、高次シラン組成物の組成等によっても若干異なるが、100〜5000rpm程度であるのが好ましく、300〜3000rpm程度であるのがより好ましい。
高次シラン組成物の供給は、室温以上の温度で行うのが好ましい。室温以上の温度で高次シラン組成物の供給を行うことにより、高次シラン化合物の溶解性が低下して、高次シラン組成物において析出するの防止することができる。
以上のような一連の工程は、水や酸素の含有量を低減した雰囲気で行うのが好ましく、溶媒や添加物も、水や酸素の含有量を低減させたものを用いるのが好ましい。雰囲気や溶媒、添加物の水や酸素の含有量を低減させることにより、低次シラン化合物、高次シラン化合物や、高次シラン組成物が、水や酸素と反応して、変性するのを確実に防止することができる。
さらに、一連の工程は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが存在する雰囲気で行なうことが好ましい。また、この雰囲気には、必要に応じて水素などの還元性ガスを混入するようにしてもよい。これにより、低次シラン化合物、高次シラン化合物や、高次シラン組成物の変性をより確実に防止することができる。
[3]不要成分除去工程
次に、高次シラン組成物の液状被膜2が形成された基板1を加熱することにより、液状被膜2中から、低次シラン化合物および溶媒(不要成分)を除去する。
加熱温度は、低次シラン化合物および溶媒を効率よく気化して除去し得るように、低次シラン化合物の種類、溶媒の種類、雰囲気等によって、適宜設定される。これにより、得られる膜3の膜厚が不均一となることや、溶媒に由来する元素が不純物として残存してしまうのを好適に防止することができる。
基板1の加熱温度は、100〜200℃程度であるのが好ましく、100〜150℃程度であるのがより好ましい。
ここで、前述したように、不要成分を除去する前の液状被膜2は、溶媒の濡れ性が優位(優勢)であり、基板1に対して良好な濡れ性を示す。
基板1の加熱を開始すると、図1(b)に示すように、溶媒の沸点が低次シラン化合物の沸点よりも高いことから、液状被膜2中からは、溶媒よりも先に低次シラン化合物が気化して除去される。
この低次シラン化合物が液状被膜2中から除去されるのに伴って、高次シラン化合物は、溶媒への溶解性が低いため、液状被膜2中において徐々に基板1上に析出してくる。
また、液状被膜2の基板1に対する濡れ性を低下させる方向に作用する低次シラン化合物が気化して除去されるため、液状被膜2の基板1に対する濡れ性は上昇する傾向を示す。このため、液状被膜2が基板1上で凝集を起したり、分裂したり等して、膜厚が不均一となることを防止することができる。
さらに、基板1の加熱を継続すると、図1(c)に示すように、液状被膜2中からは、溶媒が気化して除去される。その結果、図1(d)に示すように、主として高次シラン化合物で構成され、ほぼ均一な膜厚の膜3が得られる。
この加熱は、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気や、減圧状態のような非酸化性雰囲気下で行うのが好ましい。これにより、高次シラン化合物の変性をより確実に防止することができる。
また、減圧状態で行うことにより、低次シラン化合物および溶媒の沸点が下がるため、より低い温度で不要成分の除去を行うことができる。これにより、加熱による基板1の変質・劣化を好適に防止することできる。
[4]後処理工程
次に、目的に応じて、高次シラン化合物膜(膜3)に対して後処理を行う。これにより、シリコン膜や酸化シリコン膜を得ることができる。
例えば、膜3に対して、非酸化性雰囲気中で熱処理および/または光照射処理を施すことにより、高次シラン化合物をシリコンに変化させて、主としてシリコンで構成されるシリコン膜を得ることができる。
このとき、ドーパントを添加した高次シラン組成物を用いた場合には、この熱処理および/または光処理によって、このドーパントが活性化される。
熱処理を行う場合、この熱処理は、高次シラン化合物の分解温度より高い温度で行われる。これにより、高次シラン化合物が分解してシリコンに変化する。
ここで、得られるシリコン膜の結晶性は、熱処理の温度により制御することができる。
例えば、熱処理を、到達温度が550℃を超えるようにして行った場合には、多結晶状のシリコン膜(多結晶シリコン膜)を得ることができる。
また、熱処理を、到達温度が550℃以下となるようにして行った場合、アモルファス状のシリコン膜(アモルファスシリコン膜)を得ることができる。この到達温度は、具体的には300〜550℃程度であるのが好ましく、350℃〜500℃程度であるのがより好ましい。到達温度が前記下限値未満の場合、高次シラン化合物の熱分解が十分に進行せず、加熱処理後に大気中に出した際に酸化されてしまうおそれがある。
また、熱処理の時間は、特に限定されないが、1〜30分程度であるのが好ましく、5〜20分程度であるのがより好ましい。
また、非酸化性雰囲気としては、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気や、水素等の還元性雰囲気等が挙げられる。
また、アモルファスシリコン膜を形成した後、光照射処理を行うことにより、多結晶シリコン膜(ポリシリコン膜)を得ることができる。
この場合、用いる光源としては、例えば、低圧あるいは高圧の水銀ランプ、重水素ランプあるいはアルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスの放電光の他、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザー等が挙げられる。このうち、レーザー光を用いるのが好ましい。これにより、アモルファスシリコン膜を効率よく多結晶化することができる。
これらの光源の出力は、10〜5000W程度であるのが好ましく、100〜1000W程度であるのがより好ましい。
また、これらの光源の波長は、高次シラン化合物が多少でも吸収するものであればよく、特に限定されないが、通常、170〜600nm程度のものが好適に用いられる。
また、このような光照射処理時の温度は、通常、室温〜1500℃程度であればよいが、目的とするシリコン膜の半導体特性に応じて適宜選択するのが好ましい。
さらに、得られたシリコン膜(アモルファスシリコン膜、多結晶シリコン膜)に対して、酸化性雰囲気中で熱処理を施すことにより、シリコンを酸化シリコンに変化させて、主として酸化シリコンで構成される酸化シリコン膜を得ることができる。このような酸化シリコン膜は、膜3に対して酸化性雰囲気中で熱処理および/または光照射処理を施すことにより、高次シラン化合物を酸化シリコンに変化させ、主として酸化シリコンで構成される酸化シリコン膜を得ることもできる。この場合、非酸化性雰囲気にあった膜3を急激に酸化性雰囲気にさらすのではなく、非酸化性雰囲気に徐々に酸化性雰囲気を混入して行うのが好ましい。
この場合、加熱温度は、300〜550℃程度であるのが好ましく、350℃〜500℃程度であるのがより好ましい。
また、加熱時間は、特に限定されないが、1〜30分程度であるのが好ましく、5〜20分程度であるのがより好ましい。
以上のような工程によって、高次シラン化合物膜、シリコン膜や、酸化シリコン膜が形成された膜付基板(本発明の膜付基板)が製造される。
このような膜付基板の製造方法では、液相プロセス(液体プロセス)を用いるため、大掛かりな装置が不要であること、原料の使用効率がよいこと、原料が液体であるため扱い易いこと、廃棄物が発生し難いこと等の利点もある。
以上説明したような膜付基板の製造方法は、例えば、トランジスタのチャネル、ソース、ドレインの形成、光センサーに用いられるシリコン膜の形成、太陽電池の製造等に用いることができる他、半導体素子が配置されてなる様々な用途の半導体素子基板の製造方法に適用できる。
また、本発明の膜付基板の製造方法によって製造された膜付基板は、電気光学装置や電子デバイスに適用することができる。
ここで、電気光学装置とは、例えば、液晶素子、電気泳動粒子が分散した分散媒体を有する電気泳動素子、EL素子等を備えた装置であって、前記半導体素子基板を駆動回路等に適用した装置をいう。
また、電子デバイスとは、本発明の膜付基板の製造方法によって製造された膜付基板を備えた一定の機能を奏する機器一般をいい、例えば電気光学装置やメモリを備えて構成される。
なお、その構成に特に限定はないが、例えば、ICカ−ド、携帯電話、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、リア型またはフロント型のプロジェクター、さらに表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示板、宣伝広告用ディスプレイ等が含まれる。
以上、本発明の高次シラン組成物、膜付基板の製造方法、電気光学装置および電子デバイスについて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の膜付基板の製造方法は、前述したような工程に、必要に応じて、1または2以上の任意の目的の工程を追加することもできる。
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
(実施例1)
1.シリコン膜付基板および酸化シリコン膜付基板の製造
なお、以下では、特に記載しない限り、各処理を酸素濃度1ppm以下の窒素雰囲気下で行った。
また、いずれものサンプルNo.のシリコン膜付基板および酸化シリコン膜付基板を10個ずつ製造した。
また、以下に示す測定結果における各数値は、いずれも、10個の平均値を示す。
(サンプルNo.1)
<1A> まず、低次シラン化合物としてシクロペンタシラン(沸点:194℃)3gを20mLのガラスビーカーに入れ、撹拌しながら波長405nm、強度100mW/cmの紫外線を10分間照射した。
<2A> 次に、この液をテトラリン(沸点:207℃)で希釈した後、0.5μmのフィルタで濾過して、高次シラン組成物とした。
なお、高次シラン組成物中の高次シラン化合物の濃度は、20重量%であり、シクロペンタシランと高次シラン化合物との比率は、重量比で50:50であった。
また、高次シラン化合物は、−(SiH−において、n(平均値)が100のものであった。
また、高次シラン組成物の粘度(常温)は、5mPa・Sであった。
<3A> 次に、この高次シラン組成物を、1000rpmでスピンコート法を用いて、石英基板上に塗布することによって液状被膜を形成した。
<4A> 次に、この液状被膜を形成した基板を、180℃×30分で加熱することによって、液状被膜中からシクロペンタシランおよびテトラリンを順に除去した。
これにより、高次シラン化合物膜を得た。
<5A> 次に、得られた高次シラン化合物膜に対して、500℃×10分で熱処理を行った。
これにより、茶褐色の膜を得た。
この膜に対してRAMAN分光法による測定を行った結果、この膜はアモルファスシリコン膜であることが判明した。また、このアモルファスシリコン膜に対して、SIMS分析(表面組成の測定)を行った結果、ほとんどシリコン原子で構成されており、不純物としては酸素:2000ppm、炭素:500ppm、その他の金属原子についてはすべて10ppm以下であった。
<6A> 次に、得られたアモルファスシリコン膜に対して、大気(室温)中で波長308nmのエキシマレーザーをエネルギー密度300mJ/cmで照射した。
これにより、多結晶シリコン膜を得た。
なお、多結晶シリコン膜に対して、RAMAN分光法による測定を行った結果、結晶化率:95%であった。
以上のようにして、シリコン膜付基板を製造した。
(サンプルNo.2)
前記工程<6A>において、アモルファスシリコン膜に対して、水素3%含有アルゴン雰囲気中で800℃×10時間の熱処理を施して、多結晶シリコン膜を得た以外は、前記サンプルNo.1と同様にして酸化シリコン膜付基板を製造した。
なお、多結晶シリコン膜に対して、RAMAN分光法による測定を行った結果、結晶化率:90%であった。また、この多結晶シリコン膜に対して、SIMS分析を行った結果はサンプルNo.1と同じであった。
(サンプルNo.3)
まず、前記サンプルNo.1と同様にして合成した高次シラン組成物を精製した。
次に、この高次シラン組成物と、低次シラン化合物としてn−ヘキサシラン(沸点:194℃)と、テトラリンとを混合して、新たな高次シラン組成物とした。
なお、新たな高次シラン組成物中の高次シラン化合物の濃度が、10重量%となるように、n−へキサシランとテトラリンとの比率が、重量比で40:60となるように混合した混合液と、もとの高次シラン組成物との比率が重量比で50:50となるように混合した。
この新たな高次シラン組成物を用いた以外は、前記サンプルNo.1と同様にして、シリコン膜付基板を製造した。
なお、アモルファスシリコン膜に対して、SIMS分析およびRAMAN分光法による測定を行った結果はサンプルNo.1と同じであった。
(サンプルNo.4)
高次シラン組成物の溶媒として、テトラリンに代えてトルエンを用い、前記工程<4A>の処理条件を150℃×30分とした以外は、前記サンプルNo.1と同様にして、シリコン膜付基板を製造した。
(サンプルNo.5)
高次シラン組成物の溶媒として、テトラリンに代えてトルエンを用い、前記工程<4A>の処理条件を150℃×30分とした以外は、前記サンプルNo.2と同様にして、シリコン膜付基板を製造した。
(サンプルNo.6)
高次シラン組成物の溶媒として、テトラリンに代えてトルエンを用い、前記工程<4A>の処理条件を150℃×30分とした以外は、前記サンプルNo.3と同様にして、シリコン膜付基板を製造した。
(サンプルNo.7〜12)
前記工程<4A>にて高次シラン化合物膜を得るまでは、上記サンプルNo.1〜6と同様な処理を行った後、窒素雰囲気のチャンバー内に徐々に大気を導入して30分間で大気雰囲気にした。
その後、大気中で400℃×30分の焼成を行った。これにより、無色透明な膜を得た。
これらの膜に対してESCA分析を行ったところ、いずれについてもシリコン:酸素の比がほぼ1:2の酸化シリコン膜であることが判明した。
また、これらの酸化シリコン膜に対して、SIMS分析を行った結果、不純物としては、すべての膜について炭素:500ppm以下、その他の金属原子についてはすべて10ppm以下であった。
このようにして酸化シリコン膜付基板を製造した。
2.評価
各サンプルNo.のシリコン膜付基板および酸化シリコン膜付基板について、それぞれ、膜厚を測定して、そのバラツキについて評価した。
なお、膜厚の測定は、光干渉式膜厚計により行った。
その結果、サンプルNo.1〜3のシリコン膜付基板(本発明)およびサンプルNo.7〜9の酸化シリコン膜付基板(本発明)では、基板上の10ヶ所において、膜厚を測定したところ、ほぼ均一(平均膜厚に対して±5%以下)であった。
これに対して、サンプルNo.4〜6のシリコン膜付基板(比較例)およびサンプルNo.10〜12の酸化シリコン膜付基板(比較例)では、各膜において、一見して膜厚が明らかに不均一で膜が形成されていない部分や色むらが見られ、膜厚測定においても平均膜厚に対して±100%のバラツキがあることが確認された。
(実施例2)
<1B> まず、低次シラン化合物としてシクロヘキサシラン10gを、シクロヘキシルベンゼン30mLに溶解して溶液を調製した。そして、この溶液に添加物としてP(黄リン)500mgを添加した。
<2B> 次に、この混合液を100mLのビーカーに入れ、撹拌しながら波長365nm、強度200mW/cmの紫外線を30分間照射し、低次シラン化合物の光重合を行うと同時に、添加物と高次シラン化合物を結合させた。そして、この溶液を0.5μmのフィルタで濾過した。
<3B> 次に、この濾液をシクロヘキシルベンゼンで希釈して、高次シラン組成物とした。
なお、高次シラン組成物中の高次シラン化合物の濃度は、10重量%であり、シクロへキサシランと高次シラン化合物との比率は、重量比で50:50であった。
また、高次シラン化合物は、−(SiH−において、n(平均値)が80のものであった。
また、高次シラン組成物の粘度(常温)は、2mPa・Sであった。
<4B> 次に、この高次シラン組成物を、2000rpmでスピンコート法を用いてあらかじめ電極を形成してあるガラス基板上に塗布することによって液状被膜を形成した。
<5B> 次に、この液状被膜を形成した基板を、230℃×20分で加熱することによって、液状被膜中からシクロヘキサシランおよびシクロヘキシルベンゼンを順に除去した後、400℃×10分で熱処理を行った。
これにより、ドープアモルファスシリコン膜を得た。
<6B> 次に、ドープアモルファスシリコン膜に対して、波長308nmのエキシマレーザーをエネルギー密度360mJ/cmで照射した。
これにより、ドープされた多結晶シリコン膜を得た。
なお、この多結晶シリコン膜に対して、RAMAN分光法による測定(結晶化率の測定)を行った結果、結晶化率:90%であった。
また、このドープ多結晶シリコン膜のシート抵抗を測定したところ3kΩ/□であった。
本発明の膜付基板の製造方法を説明するための図(縦断面図)である。 従来の膜付基板の製造方法を説明するための図(縦断面図)である。
符号の説明
1‥‥基板 2‥‥液状被膜 3‥‥膜 11‥‥基板 12‥‥液状被膜 13‥‥膜

Claims (19)

  1. 高次シラン化合物と、液体状のシラン化合物と、該シラン化合物より沸点(常圧)の高い溶媒とを含有することを特徴とする高次シラン組成物。
  2. 前記シラン化合物の沸点(常圧)をA[℃]とし、前記溶媒の沸点(常圧)をB[℃]としたとき、B−Aが10以上である請求項1に記載の高次シラン組成物。
  3. 前記シラン化合物は、前記高次シラン化合物の前駆体を主成分とするものである請求項1に記載の高次シラン組成物。
  4. 前記シラン化合物は、前記高次シラン化合物の前駆体を重合させて、前記高次シラン化合物を合成した際の未反応物である請求項3に記載の高次シラン組成物。
  5. 当該高次シラン組成物は、前記シラン化合物を前記溶媒に溶解した溶液中において、前記高次シラン化合物の前駆体の一部を重合させて、前記高次シラン化合物を合成した後の溶液またはその希釈液である請求項3または4に記載の高次シラン組成物。
  6. 前記高次シラン化合物の前駆体は、光重合性を有するものである請求項3ないし5のいずれかに記載の高次シラン組成物。
  7. 前記高次シラン化合物の前駆体の重合は、紫外線照射により行われる請求項6に記載の高次シラン組成物。
  8. 前記シラン化合物は、その分子内に少なくとも一つの環状構造を有するものである請求項1ないし7のいずれかに記載の高次シラン組成物。
  9. 前記シラン化合物は、一般式Si2n(式中、Xは水素原子および/またはハロゲン原子を示し、nは3以上の整数を示す。)で表されるものである請求項8に記載の高次シラン組成物。
  10. 当該高次シラン組成物における前記高次シラン化合物の濃度は、1〜50重量%である請求項1ないし9のいずれかに記載の高次シラン組成物。
  11. 前記シラン化合物と前記高次シラン化合物との比率は、重量比で70:30〜30:70である請求項1ないし10のいずれかに記載の高次シラン組成物。
  12. 前記溶媒は、その沸点(常圧)が前記高次シラン化合物の分解温度よりも低いものである請求項1ないし11のいずれかに記載の高次シラン組成物。
  13. 前記溶媒は、前記高次シラン化合物および前記シラン化合物との反応性が乏しいものである請求項1ないし12のいずれかに記載の高次シラン組成物。
  14. さらに、周期表の第3B族元素を含む物質または周期表の第5B族元素を含む物質を含有する請求項1ないし13のいずれかに記載の高次シラン組成物。
  15. 基板上に、請求項1ないし14のいずれかに記載の高次シラン組成物を供給して、液体状被膜を形成する第1の工程と、
    前記液体状被膜中から、前記シラン化合物および前記溶媒を、この順で除去して、主として前記高次シラン化合物で構成される膜を得る第2の工程とを有することを特徴とする膜付基板の製造方法。
  16. 前記第2の工程の後、前記膜に対して、非酸化性雰囲気中で熱処理および/または光照射処理を施すことにより、前記高次シラン化合物をシリコンに変化させて、シリコンを含むシリコン膜を得る第3の工程を有する請求項15に記載の膜付基板の製造方法。
  17. 前記第2の工程の後、前記膜に対して、酸化性雰囲気中で熱処理および/または光照射処理を施すことにより、前記高次シラン化合物を酸化シリコンに変化させて、酸化シリコンを含む酸化シリコン膜を得る第3の工程を有する請求項15に記載の膜付基板の製造方法。
  18. 請求項15ないし17のいずれかに記載の膜付基板の製造方法により製造された膜付基板を備えることを特徴とする電気光学装置。
  19. 請求項18に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子デバイス。
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