JP4724775B2 - 質量分析計 - Google Patents

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Description

本発明は、質量分析計および質量分析の方法に関する。
従来の直交加速飛行時間型質量分析器は、ほぼ同一のエネルギーを有するイオンを直交加速領域を通して移送するように構成される。直交加速領域には定期的に直交加速電場が印加される。直交加速領域の長さと、イオンのエネルギーと、直交加速電場の印加頻度とが、飛行時間型質量分析器における分析のためにイオンをサンプリングするサンプリングデューティーサイクルを決定する。エネルギーはほぼ同じだが質量電荷比の異なるイオンは、速度が異なり、それゆえサンプリングデューティーサイクルが異なる。
従来の直交加速飛行時間型質量分析器では、直交加速電場の印加頻度は、有害だと考えられている飛行時間スペクトルのラップアラウンド(wrap−around)を防止するように定められる。このため、直交加速電場の連続した印加間の時間は、飛行時間型質量分析器のドリフトまたは飛行時間領域へと直交加速されたイオンパケット内の最大質量電荷比を有するイオンの飛行時間よりも長くなるように定められる。この条件が満たされない場合、比較的高い質量電荷比を有するイオンが次のマススペクトルにおいて不自然に少ない飛行時間で記録される飛行時間スペクトルのラップアラウンドが生じる。そしてこのことは質量電荷比が誤って割り当てられる原因となるため、回避すべきである。
連続イオンビームを定期的にサンプリングする従来の動作モードで動作する従来の直交加速飛行時間型質量分析計の最大イオンサンプリングデューティーサイクルは、典型的には約20〜25%である。最大サンプルデューティーサイクルは、対象となっている最大質量電荷比を有するイオンに対して達成され、比較的低い質量電荷比を有するイオンについてはイオンサンプリングデューティーサイクルは低くなる。最大質量電荷比を有するイオンの質量電荷比値をmoとし、これらのイオンについてのサンプリングデューティーサイクルをDCoとすると、質量電荷比がmであるイオンについてのサンプリングデューティーサイクルDCは、以下の式によって与えられる。
Figure 0004724775
平均サンプリングデューティーサイクルDCavは最大サンプリングデューティーサイクルDCoの3分の2に等しいことがわかる。したがって、最大サンプリングデューティーサイクルが22.5%である場合、平均サンプリングデューティーサイクルは15%である。
改良された質量分析計および質量分析の方法を提供することが望まれている。
本発明の一態様によると、直交加速電極とドリフトまたは飛行時間領域とを含む飛行時間型質量分析器を準備することと、イオンパケットをドリフトまたは飛行時間領域へと繰り返し直交加速するように直交加速電極を繰り返し付勢する(energising)こととを含む質量分析の方法が提供される。
直交加速電極の付勢周期または直交加速電極の連続した付勢間の時間は、ドリフトまたは飛行時間領域へと直交加速されるパケット内の最大質量電荷比を有するイオンの飛行時間よりも短いのが好ましい。
一実施形態によると、直交加速電極の付勢周期または直交加速電極の連続した付勢間の時間は、ドリフトまたは飛行時間領域へと直交加速される、対象となっている最大質量電荷比を有するイオンの飛行時間よりも短いのが好ましい。
直交加速電極の付勢周期または直交加速電極の連続した付勢間の時間は、ドリフトまたは飛行時間領域へと直交加速されるイオンパケット内の最大質量電荷比を有するイオンの飛行時間よりも少なくともx%短いのが好ましい。好ましくは、上記xは、(i)<1、(ii)1〜5、(iii)5〜10、(iv)10〜15、(v)15〜20、(vi)20〜25、(vii)25〜30、(viii)30〜35、(ix)35〜40、(x)40〜45、(xi)45〜50、(xii)50〜60、(xiii)60〜70、(xiv)70〜80、(xv)80〜90、および(xvi)90〜100からなる群から選択される。
上記好適な実施形態によると、本方法は、第1の周期で、または直交加速電極の連続した付勢間を第1の時間Δt1に維持しながら、イオンパケットをドリフトまたは飛行時間領域へと直交加速することと、第1の飛行時間またはマススペクトルデータを得ることとをさらに含むのが好ましい。
上記好適な実施形態によると、本方法は、第2の周期で、または直交加速電極の連続した付勢間を第2の異なる時間Δt2に維持しながら、イオンパケットをドリフトまたは飛行時間領域へと直交加速することと、第2の飛行時間またはマススペクトルデータを得ることとをさらに含むのが好ましい。
第1の周期と第2の周期との差または第1の時間Δt1と第2の時間Δt2との差は、(i)<0.1μs、(ii)0.1〜0.5μs、(iii)0.5〜1μs、(iv)1〜2μs、(v)2〜3μs、(vi)3〜4μs、(vii)4〜5μs、(viii)5〜6μs、(ix)6〜7μs、(x)7〜8μs、(xi)8〜9μs、(xii)9〜10μs、(xiii)10〜15μs、(xiv)15〜20μs、(xv)20〜25μs、(xvi)25〜30μs、(xvii)30〜35μs、(xviii)35〜40μs、(xix)40〜45μs、(xx)45〜50μs、および(xxi)>50μsからなる群から選択されるのが好ましい。
本方法は、第1の飛行時間またはマススペクトルデータと第2の飛行時間またはマススペクトルデータとを合成して第1の合成データセットD1を作成することをさらに含むのが好ましい。本方法は、第2の飛行時間またはマススペクトルデータを、第1の時間Δt1と第2の時間Δt2との差に実質的に等しいかまたは相当する時間または質量電荷比値の分だけシフトするか、平行移動するか、調節するかまたは補正することにより、修正された第2の飛行時間またはマススペクトルデータを得ることをさらに含むのが好ましい。本方法は、第1の飛行時間またはマススペクトルデータと第2の修正された飛行時間またはマススペクトルデータとを合成して第2の合成データセットD2を作成することをさらに含むのが好ましい。本方法は、第1の合成データセットD1と第2の合成データセットD2とを比較することをさらに含むのが好ましい。
一実施形態によると、本方法は、第1の飛行時間またはマススペクトルデータを第2の飛行時間またはマススペクトルデータと比較することをさらに含む。本方法は、第1の飛行時間またはマススペクトルデータ中の1つまたは複数のピークが、第2の飛行時間またはマススペクトルデータ中の飛行時間、質量もしくは質量電荷比が実質的に同じでありかつ/または強度が実質的に同じである1つまたは複数のピークと一致するか否かを決定することをさらに含むのが好ましい。本方法は、第1の飛行時間またはマススペクトルデータにおいて第2の飛行時間またはマススペクトルデータと飛行時間、質量もしくは質量電荷比が実質的に同じでありかつ/または強度が実質的に同じである飛行時間またはマススペクトルピークを、非ラップアラウンドデータとして特定することをさらに含むのが好ましい。
上記好適な実施形態によると、第1の合成データセットD1と第2の合成データセットD2とを比較する工程は、第1の合成データセットD1中の第1の時間または質量電荷比における飛行時間ピークまたはマススペクトルピークの強度I1の、第2の合成データセットD2中の実質的に同じ第1の時間または質量電荷比における飛行時間ピークまたはマススペクトルピークの強度I2に対する比を決定することと、その比が値y1以上であるか否かを決定することとを含む。
上記好適な実施形態によると、第1の合成データセットD1と第2の合成データセットD2とを比較する工程は、第2の合成データセットD2中の第1の時間または質量電荷比における飛行時間ピークまたはマススペクトルピークの強度I2の、第1の合成データセットD1中の実質的に同じ第1の時間または質量電荷比における飛行時間ピークまたはマススペクトルピークの強度I1に対する比を決定することと、その比が値y1以上であるか否かを決定することとを含む。
上記値y1は、(i)<0.1、(ii)0.1〜0.2、(iii)0.2〜0.3、(iv)0.3〜0.4、(v)0.4〜0.5、(vi)0.5〜0.6、(vii)0.6〜0.7、(viii)0.7〜0.8、(ix)0.8〜0.9、(x)0.9〜1.0、(xi)1.0〜1.1、(xii)1.1〜1.2、(xiii)1.2〜1.3、(xiv)1.3〜1.4、(xv)1.4〜1.5、(xvi)1.5〜1.6、(xvii)1.6〜1.7、(xviii)1.7〜1.8、(xix)1.8〜1.9、(xx)1.9〜2.0、(xxi)2.0〜2.1、(xxii)2.1〜2.2、(xxiii)2.2〜2.3、(xxiv)2.3〜2.4、(xxv)2.4〜2.5、(xxvi)2.5〜2.6、(xxvii)2.6〜2.7、(xxviii)2.7〜2.8、(xxix)2.8〜2.9、(xxx)2.9〜3.0、(xxxi)3.0〜3.1、(xxxii)3.1〜3.2、(xxxiii)3.2〜3.3、(xxxiv)3.3〜3.4、(xxxv)3.4〜3.5、(xxxvi)3.5〜3.6、(xxxvii)3.6〜3.7、(xxxviii)3.7〜3.8、(xxxix)3.8〜3.9、(xxxx)3.9〜4.0、および(xxxxi)>4.0からなる群から選択されるのが好ましい。
別の実施形態によると、本方法は、第1の合成データセットD1を、第1の合成データセットD1中の各ピークの飛行時間または質量電荷比とそれに対応付けられた強度との第1のピークリストP1に変換することをさらに含むのが好ましい。本方法は、第2の合成データセットD2を、第2の合成データセットD2中の各ピークの飛行時間または質量電荷比とそれに対応付けられた強度との第2のピークリストP2に変換することをさらに含むのが好ましい。
本方法は、第1のピークリストP1を第2のピークリストP2と比較することをさらに含むのが好ましい。本方法は、第1のピークリストP1中の1つまたは複数のピークが、第2のピークリストP2中の飛行時間、質量もしくは質量電荷比が実質的に同じでありか
つ/または強度が実質的に同じである1つまたは複数のピークと一致するか否かを決定することをさらに含むのが好ましい。本方法は、第1のピークリストP1において第2のピークリストP2と飛行時間、質量もしくは質量電荷比が実質的に同じでありかつ/または強度が実質的に同じである飛行時間またはマススペクトルピークを、非ラップアラウンドデータとして特定することをさらに含むのが好ましい。
本方法は、第1のピークリストP1中の第1の飛行時間または質量電荷比のピークの強度の、第2のピークリストP2中の実質的に同じ第1の飛行時間または質量電荷比のピークの強度に対する比を決定することと、その比が値y2以上であるかどうかを決定することとをさらに含むのが好ましい。
本方法は、第2のピークリストP2中の第1の飛行時間または質量電荷比のピークの強度の、第1のピークリストP1中の実質的に同じ第1の飛行時間または質量電荷比のピークの強度に対する比を決定することと、その比が値y2以上であるかどうかを決定することとをさらに含む。
上記値y2は、(i)<0.1、(ii)0.1〜0.2、(iii)0.2〜0.3、(iv)0.3〜0.4、(v)0.4〜0.5、(vi)0.5〜0.6、(vii)0.6〜0.7、(viii)0.7〜0.8、(ix)0.8〜0.9、(x)0.9〜1.0、(xi)1.0〜1.1、(xi)1.1〜1.2、(xiii)1.2〜1.3、(xiv)1.3〜1.4、(xv)1.4〜1.5、(xvi)1.5〜1.6、(xvii)1.6〜1.7、(xviii)1.7〜1.8、(xix)1.8〜1.9、(xx)1.9〜2.0、(xxi)2.0〜2.1、(xxii)2.1〜2.2、(xxiii)2.2〜2.3、(xxiv)2.3〜2.4、(xxv)2.4〜2.5、(xxvi)2.5〜2.6、(xxvii)2.6〜2.7、(xxviii)2.7〜2.8、(xxix)2.8〜2.9、(xxx)2.9〜3.0、(xxxi)3.0〜3.1、(xxxii)3.1〜3.2、(xxxiii)3.2〜3.3、(xxxiv)3.3〜3.4、(xxxv)3.4〜3.5、(xxxvi)3.5〜3.6、(xxxvii)3.6〜3.7、(xxxviii)3.7〜3.8、(xxxix)3.8〜3.9、(xxxx)3.9〜4.0、および(xxxxi)>4.0からなる群から選択されるのが好ましい。
やや好適な実施形態によると、本方法は、1つまたは複数の第1のイオンパケットをドリフトまたは飛行時間領域へと直交加速することと、飛行時間型質量分析器を、第1の質量電荷比を有するイオンが、直交加速されてからイオン検出器またはその他の装置に衝突または到達するまでに第1の飛行時間を有するようにされる第1の動作モードで動作させることとをさらに含むのが好ましい。本方法は、1つまたは複数の第2のイオンパケットをドリフトまたは飛行時間領域へと直交加速することと、飛行時間型質量分析器を、第1の質量電荷比を有するイオンが、直交加速されてからイオン検出器またはその他の装置に衝突または到達するまでに第2の異なる飛行時間を有するようにされる第2の動作モードで動作させることとをさらに含むのが好ましい。
第1の動作モードにおいては第1の飛行時間に影響する電場の強さを第1の値に設定するのが好ましく、第2の動作モードにおいては第2の飛行時間に影響する電場の強さを第2の異なる値に設定するのが好ましい。好ましくは、第1の値に対して第2の値は(i)<1%、(ii)1〜5%、(iii)5〜10%、(iv)10〜15%、(v)15〜20%、(vi)20〜25%、(vii)25〜30%、(viii)30〜35%、(ix)35〜40%、(x)40〜45%、(xi)45〜50%、(xii)50〜60%、(xiii)60〜70%、(xiv)70〜80%、(xv)80〜90%、(xvi)90〜100%、(xvii)100〜110%、(xix)110〜120%、(xx)120〜130%、(xxi)130〜140%、(xxii)140〜150%、(xxiii)150〜160%、(xxiv)160〜170%、(xxv)170〜180%、(xxvi)180〜190%、(xxvii)190〜200%、(xxviii)200〜250%、(xxix)250〜300%、(xxx)300〜350%、(xxxi)350〜400%、(xxxii)400〜450%、(xxxiii)450〜500%、および(xxxiv)>500%からなる群から選択される量だけ異なる。
一実施形態によると、本方法は、第1の飛行時間もしくはマススペクトルデータおよび/または第2の飛行時間もしくはマススペクトルデータ中のピークが、所定の量もしくは相対量よりも小さいかまたは大きいピーク幅を有するか否かを決定することをさらに含み得る。
一実施形態によると、本方法は、第1の範囲内の質量電荷比を有するイオンを実質的に減衰させるかまたは前方へ移送しないようにイオンを質量フィルタリングすることと、第1の飛行時間もしくはマススペクトルデータおよび/または第2の飛行時間もしくはマススペクトルデータ中のピークが、第1の範囲内に入る質量電荷比を有するイオンのものであると推測される飛行時間、質量または質量電荷比を有するか否かを決定することとをさらに含み得る。
上記好適な実施形態による本方法は、ある直交加速イベントに関する飛行時間またはマススペクトルにおいて飛行時間またはマススペクトルピークが観測されるが、該飛行時間またはマススペクトルピークによって表されるイオンは前の直交加速イベントにおいてもしくはよって直交加速されたものであるラップアラウンドデータに関する飛行時間またはマススペクトルピークを特定することをさらに含むのが好ましい。本方法は、ラップアラウンドデータに関するかもしくはラップアラウンドデータを含む飛行時間またはマススペクトルピークデータを補正することをさらに含むのが好ましい。
上記好適な実施形態による本方法は、ある直交加速イベントに関する飛行時間またはマススペクトルにおいて飛行時間またはマススペクトルピークが観測され、該飛行時間またはマススペクトルピークによって表されるイオンは前の直交加速イベントにおいてもしくはよって直交加速されたものではない非ラップアラウンドデータに関する飛行時間またはマススペクトルピークを特定することをさらに含むのが好ましい。
本発明の一態様によると、直交加速電極およびドリフトまたは飛行時間領域と、イオンパケットをドリフトまたは飛行時間領域へと繰り返し直交加速するように直交加速電極を繰り返し付勢するように構成および適合された制御手段とを含み、直交加速電極の付勢周期または直交加速電極の連続した付勢間の時間が、ドリフトまたは飛行時間領域へと直交加速されるイオンパケット内の最大質量電荷比を有するイオンの飛行時間よりも短い飛行時間型質量分析器が提供される。
本発明の一態様によると、上記のような飛行時間型質量分析器を含む質量分析計が提供される。
本質量分析計は、(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザー脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザー脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコン上脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝撃(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(xvi)ニッケル−63放射性イオン源、(xvii)サーモスプレーイオン源、(xviii)粒子ビーム(「PB」)イオン源、および(xix)フロー高速原子衝撃(「フローFAB」)イオン源からなる群から選択されるイオン源を含むのが好ましい。
本質量分析計は、飛行時間型質量分析器の上流および/または下流に配置されたマスフィルタまたは質量分析器をさらに含むのが好ましい。マスフィルタまたは質量分析器は、(i)四重極ロッドセットマスフィルタ、(ii)飛行時間型マスフィルタまたは質量分析器、(iii)ウィーンフィルタ、および(iv)磁場型マスフィルタまたは質量分析器からなる群から選択されるのが好ましい。
本質量分析計は、(i)衝突誘起解離(「CID」)フラグメンテーション装置、(ii)表面誘起解離(「SID」)フラグメンテーション装置、(iii)電子移動解離フラグメンテーション装置、(iv)電子捕獲解離フラグメンテーション装置、(v)電子衝突または衝撃解離フラグメンテーション装置、(vi)光誘起解離(「PID」)フラグメンテーション装置、(vii)レーザー誘起解離フラグメンテーション装置、(viii)赤外放射誘起解離装置、(ix)紫外放射誘起解離装置、(x)ノズル−スキマー間インターフェイスフラグメンテーション装置、(xi)インソースフラグメンテーション装置、(xii)イオン源衝突誘起解離フラグメンテーション装置、(xiii)熱または温度源フラグメンテーション装置、(xiv)電界誘起フラグメンテーション装置、(xv)磁場誘起フラグメンテーション装置、(xvi)酵素消化または酵素分解フラグメンテーション装置、(xvii)イオン−イオン反応フラグメンテーション装置、(xviii)イオン−分子反応フラグメンテーション装置、(xix)イオン−原子反応フラグメンテーション装置、(xx)イオン−メタステーブルイオン反応フラグメンテーション装置、(xxi)イオン−メタステーブル分子反応フラグメンテーション装置、(xxii)イオン−メタステーブル原子反応フラグメンテーション装置、(xxiii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−イオン反応装置、(xxiv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−分子反応装置、(xxv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−原子反応装置、(xxvi)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブルイオン反応装置、(xxvii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブル分子反応装置、および(xxviii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するためのイオン−メタステーブル原子反応装置からなる群から選択された衝突、フラグメンテーションまたは反応装置をさらに含むのが好ましい。
本発明の一態様によると、直交加速電極と、ドリフトまたは飛行時間領域と、イオン検出器とを含む飛行時間型質量分析器であって、ある動作モードにおいて、直交加速電極の連続した付勢間の時間がt1であり、イオン検出器によって検出され得る(または検出対象となる)最大質量電荷比を有するイオンの飛行時間がt2であり、t1<t2である飛行時間型質量分析器が提供される。
本発明の一態様によると、直交加速電極と、ドリフトまたは飛行時間領域と、イオン検出器とを準備することと、直交加速電極の連続した付勢間の時間をt1に設定することとを含み、イオン検出器によって検出され得る(または検出対象となる)最大質量電荷比を有するイオンの飛行時間がt2であり、t1<t2であるイオンの質量分析方法が提供される。
本発明の一態様によると、直交加速電場の連続した印加間の時間が、対象となっている最大質量電荷比を有するイオンの飛行時間または直交加速電場によって直交加速される最大質量電荷比を有するイオンの飛行時間よりも短い飛行時間型質量分析器が提供される。
本発明の一態様によると、直交加速電場の連続した印加間の時間を、対象となっている最大質量電荷比を有するイオンの飛行時間または直交加速電場によって直交加速される最大質量電荷比を有するイオンの飛行時間よりも短く設定することを含むイオンの質量分析方法が提供される。
本発明の一態様によると、第1のイオンパケットを直交加速して第1のデータセットを得ることと、
第2の次のイオンパケットを直交加速して第2のデータセットを得ることと、第1のイオンパケットからのイオンに関するデータを特定するために第2のデータセットを分析することとを含む質量分析の方法が提供される。
本発明の一態様によると、第1のイオンパケットを直交加速して第1のデータセットを得るように構成および適合された装置と、第2のイオンパケットを直交加速して第2のデータセットを得るように構成および適合された装置と、第1のイオンパケットからのイオンに関するデータを特定するために第2のデータセットを分析するように構成および適合された装置とを含む質量分析計が提供される。
本発明の一態様によると、飛行時間またはマススペクトルデータにおいてラップアラウンドが生じた飛行時間および/またはマススペクトルピークを特定する方法が提供される。
本発明の一態様によると、飛行時間またはマススペクトルデータにおいてラップアラウンドが生じた飛行時間および/またはマススペクトルピークを特定するように構成および適合された質量分析計が提供される。
本発明の一態様によると、飛行時間またはマススペクトルデータにおいてラップアラウンドが生じた飛行時間および/またはマススペクトルピークの飛行時間および/または質量電荷比を補正する方法が提供される。
本発明の一態様によると、飛行時間またはマススペクトルデータにおいてラップアラウンドが生じた飛行時間および/またはマススペクトルピークの飛行時間および/または質量電荷比を補正するように構成および適合された質量分析計が提供される。
上記好適な実施形態によると、直交加速飛行時間型質量分析計または質量分析器であって、直交加速電場の繰り返し印加間の期間が、飛行時間型質量分析器の飛行時間またはドリフト領域へと直交加速されたイオンパケット内に存在する最大質量電荷比値を有するイオンの飛行時間よりも実質的に短い質量分析計または質量分析器が提供される。上記好適な実施形態は、ラップアラウンドが生じたイオンに関するマススペクトルピーク、すなわち、あるマススペクトルに現れるが実際には以前の直交加速イベントによって直交加速されたイオンに関するマススペクトルピークの特定方法にも関する。上記好適な実施形態は、ラップアラウンドが生じたイオンの正しい飛行時間および/または質量電荷比の計算方法にも関する。
好適な実施形態において、直交加速電場の印加間の時間を2つ以上の既知の値で切り替えてもよい。この2つ以上の時間は、いずれも、飛行時間型質量分析器のドリフトまたは飛行時間領域へと直交加速される、対象となっている最大質量電荷比を有するイオンの飛行時間よりも実質的に短いのが好ましい。イオンの飛行時間に影響するのが好ましい電場は一定に保つことが好ましい。好ましくは、時間の変更の結果、ラップアラウンドが生じたイオンの到着時間がシフトし、ラップアラウンドが生じなかったイオンに関するピークはシフトしない。この手法を用いると、ラップアラウンドが生じたイオンに関するピークを上記好適な実施形態によって識別することが可能である。
やや好適な実施形態によると、直交加速場の連続した印加間の時間は好ましくは実質的に一定に保ちながら、イオンの飛行時間に影響する1つまたは複数の電場を2つ以上の設定値で切り替えてもよい。直交加速場の連続した印加間の時間は、飛行時間型質量分析器のドリフトまたは飛行時間領域へと直交加速される、対象となっている最大質量電荷比を有するイオンの飛行時間よりも実質的に短いのが好ましい。好ましくは、電場の変更の結果、ラップアラウンドイオンに関するピークの到着時間がラップアラウンドしなかったイオンに関するピークとは異なるようにシフトする。この効果をラップアラウンドイオンに関するピークおよび/または非ラップアラウンドイオンに関するピークの識別に用いることが好ましい。
別のやや好適な実施形態によると、イオンの飛行時間に影響する電場と直交加速電場の連続した印加間の時間との両方を2つ以上の設定値で切り替えるかまたは変化させることにより、上述の2つの実施形態で用いられる機構を組み合わせてもよい。
一実施形態によると、ラップアラウンドされたイオンに関するピークとラップアラウンドされなかったイオンに関するピークとの間で異なるピークの特性、例えばピーク幅を、ラップアラウンドイオンに関するピークおよび/または非ラップアラウンドイオンに関するピークの識別に用いてもよい。例えば、ラップアラウンドイオンに関するピークは、ラップアラウンドされなかったイオンであるが実質的に同様の到着時間のイオンに関するピークよりも大きい幅を有し得る。
一実施形態によると、直交加速領域に入るイオンの質量電荷比が既知の最小値を上回るようにしてもよい。すなわち、飛行時間型質量分析器の上流に低質量電荷比カットオフ装置を組み込むことにより、飛行時間型質量分析器による分析対象となるイオンの質量電荷比範囲を制限してもよい。この実施形態によれば、飛行時間型質量分析器を、比較的高い質量電荷比を有するイオンが、次のパルスからの比較的低い質量電荷比(すなわちカットオフ値未満)のイオンが直交加速されれば到着したであろう時間枠内に到着するような構成とし得る。直交加速電場の印加間の時間を、先行するパルスからの最も高い質量電荷比を有するイオンが、次のパルスからの比較的低い質量電荷比を有するイオンの到着時間と重複または一致し得ないようなタイミングで到着するように設定してもよい。
上記好適な実施形態によると、広範囲にわたる質量電荷比のイオンのデューティーサイクルを、連続イオンビームを定期的にサンプリングする従来の動作モードで従来の飛行時間型質量分析器を動作させることによって得られるデューティーサイクルに比べて高めることができる。
好ましくはイオン源が設けられ、該イオン源の例としては、好ましくは、レーザー脱離イオン化(「LDI」)イオン源、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(「MALDI」)イオン源またはシリコン上脱離イオン化(「DIOS」)イオン源などのパルス化イオン源を含み得る。
あるいは、本質量分析計は、エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、電子衝撃(「EI」)イオン源、大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、化学イオン化(「CI」)イオン源、高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、電界イオン化(「FI」)イオン源または電界脱離(「FD」)イオン源などの連続イオン源を含み得る。その他の連続または疑似連続イオン源を用いてもよい。
本質量分析計は、イオン源の下流かつ直交加速飛行時間型質量分析器の上流に配置されるのが好ましいマスフィルタを備えていてもよい。マスフィルタは、ある動作モードにおいて、単一の質量電荷比またはある範囲の質量電荷比を有するイオンを移送するために用い得る。マスフィルタとしては、例えば、多重極ロッドセット、四重極マスフィルタ、飛行時間型質量分析計、ウィーンフィルタまたは磁場型質量分析器を含み得る。
本質量分析計は、直交加速飛行時間型質量分析器の上流に配置されるのが好ましい衝突、反応またはフラグメンテーションセルを備えていてもよい。一動作モードにおいて、衝突、反応またはフラグメンテーションセルに入る少なくともいくつかのイオンを衝突、反応またはフラグメント化させ、娘、フラグメント、生成または付加イオンにし得る。
図1Aは、従来の直交加速飛行時間型質量分析器を示し、図1Bは、連続イオンビームが定期的にサンプリングされる従来の動作モードで動作する該従来の直交加速飛行時間型質量分析器のデューティーサイクル対質量電荷比のグラフを示す。 図2Aは、従来の飛行時間スペクトルを示し、図2Bは、図2Aに示す飛行時間スペクトルに対応するマススペクトルを示す。 図3は、いくつかのイオンにラップアラウンドが生じた一実施形態による飛行時間スペクトルを示す。 図4は、いくつかのイオンにラップアラウンドが生じ、連続した直交加速パルス間の時間を33μsに設定した一実施形態による飛行時間スペクトルを示す。 図5は、いくつかのイオンにラップアラウンドが生じ、連続した直交加速パルス間の時間を34μsに増加させた一実施形態による飛行時間スペクトルを示す。 図6は、図5に示す飛行時間スペクトルを1μsだけシフトしたものを示す。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の種々の実施形態を、単に例示を目的として示す構成とともに、あくまでも例として説明する。
従来の動作モードで動作する従来の直交加速飛行時間(oa−TOF)型質量分析器は、イオンを直交加速領域から出て質量分析器のドリフトまたは飛行時間領域に入るように定期的に加速することにより連続イオンビームをサンプリングするように構成される。図1Aに従来の直交加速飛行時間型質量分析器の基本動作を例示する。連続イオンビーム1は、直交加速または押し出し電極2に隣接して配置された直交加速領域を通過するようになっている。直交加速または押し出し電極2に電圧を印加することにより、連続イオンビーム1の一部3がドリフトまたは飛行時間領域へと直交加速される。ドリフトまたは飛行時間領域へと直交加速されたイオンは、一般に矢印4で示されるような軌道をたどり、リフレクトロン5によって反射されてイオン検出器6へと向かう。
従来の動作モードにおいては、以前のパルスからの最後のイオンがイオン検出器6に到達するまで、直交加速または押し出し電極2への直交加速電圧の印加は行われない。あるパルスからイオン検出器6に到着する最後のイオンとは、質量電荷比の最も高いイオンである。従来の飛行時間型質量分析器を動作させるこの従来のモードは、先行するパルスからの比較的高い質量電荷比を有するイオンが、次のパルスに関するマススペクトルにおいて、比較的低い質量電荷比を有するイオンとして記録されることを防止する。
質量電荷比がm/zであるイオンについての最大サンプリングデューティーサイクルDCは、システムの幾何学的配置によって決定され、典型的には10%〜25%である。最大サンプリングデューティーサイクルは、以下の関係式を用いて計算し得る。
Figure 0004724775
式中、wは直交加速または押し出し領域の長さ、Lは直交加速または押し出し電極の中心とイオン検出器の中心との間隔、(m/z)maxは対象となっているイオンの最大質量電荷比である。したがって、デューティーサイクルは、比較的低い質量電荷比を有するイオンに対して最低となり、比較的高い質量電荷比を有するイオンに対して最高となる。図1Bは、w/L=0.22である場合の質量電荷比の関数としてのデューティーサイクルの具体例を示す。
図2Aは、直交加速電場の連続した印加間の期間が飛行時間型質量分析器のドリフトまたは飛行時間領域へと直交加速された質量電荷比の最も高いイオンの飛行時間よりも長い従来の飛行時間スペクトルを示す。図2Aに示すデータについての直交加速電場の連続した印加間の時間は66μsに設定され、最大質量電荷比を有するイオンの飛行時間は約61.2μsであった。
図2Bは、図2Aに示す飛行時間スペクトルに関する対応マススペクトルを示す。飛行時間スペクトルは、以下の関係式を用いてマススペクトルに変換し得る。
Figure 0004724775
式中、Tは飛行時間であり、Kは機器の幾何学的配置および場の強さに関するパラメータである。
図3は、直交加速場の連続した印加間の時間を33μsに短縮した本発明の一実施形態によって得られた飛行時間スペクトルを示す。図3に示す飛行時間スペクトルは、スペクトルのラップアラウンドを示している。すなわち、この飛行時間スペクトルには、直交加速されたが現在の飛行時間スペクトルに現れた、以前のイオンパケットからのイオンが含まれている。
図2Aと図3とを比較すると、以前に33μsを超える飛行時間が記録されたピークがここではラップアラウンドされ、0〜33μsの見かけの飛行時間で現れていることが明らかである。また、有利なことに、直交加速パルスの周波数を増加させた結果としてサンプリングデューティーサイクルが上昇したことにより、飛行時間型質量分析器の透過が約2倍に上昇したことも明白である。連続した直交加速パルス間の時間を66μsではなく33μsにして飛行時間型質量分析器を動作させるということは、以前の直交加速パルスによって直交加速されたいくつかのイオンと次の直交加速パルスによって直交加速されたいくつかのイオンとが1つの飛行時間データセットに含まれることを意味する。したがって、飛行時間軸上の各点は、2つの異なる飛行時間測定値に対応したものかまたは2つの異なる飛行時間測定値を含むものであり得る。
第1の飛行時間測定値は、ラップアラウンドされなかったイオンの飛行時間TSであり、以下の方程式によって質量電荷比に関連付けられる。
Figure 0004724775
第2の飛行時間測定値TRは、ラップアラウンドされたイオンの飛行時間に関し、以下の方程式によって質量電荷比に関連付けられる。
Figure 0004724775
式中、Δtは連続した直交加速期間と直交加速期間との間の時間、TRはラップアラウンドされたイオンの見かけの飛行時間である。
これらのイオンの実際の飛行時間TROは、以下の方程式によって与えられる。
Figure 0004724775
上記の方程式から、Δtが変わると、第2の飛行時間測定値TRは変わるが、第1の飛行時間測定値TSは変わらないことが明らかである。
図4は、図3に示すのと同じ飛行時間データであるが、到着時間が27μs〜30μsのイオンに関するデータだけを示すように限定したものを示す。連続した直交加速パルス間の期間を33μsに設定したため、データにはラップアラウンドされたイオンと一致するいくつかのピークが含まれているものと思われる。
図5は、連続した直交加速パルス間の時間を33μsから34μsに増加させることによって得られた対応する飛行時間スペクトルを示す。図4および図5に示す飛行時間スペクトルを比較すると、図4および図5のいずれにおいても到着時間が約29μsであると観測される主ピークは、ラップアラウンドされていないイオンに関することが明らかである。これは、それらのピークが、いずれのマススペクトルにおいても同じ到着時間で観測されるためである。しかしながら、図4において到着時間が約28.2μsであると観測される主ピークは、ラップアラウンドされたイオンに関するものと特定することができる。これは、それらの到着時間が図5において約27.2μsに減少しているためである。
図6は、図5に示す飛行時間データを1μsだけシフトしたものを示し、図5においてイオン到着時間が約27.2μs(または図6においてシフトしたときに28.2μs)であるピークが図4において到着時間が約28.2μsであるピークと同じイオン種に関することを裏付けている。これは、これらの特定のピークがここで再び整合しているためである。
上記好適な実施形態によると、ラップアラウンドピークの存在を様々な方法で識別することができる。一実施形態によると、まず、第1の取得期間にわたり、連続した直交加速パルス間を第1の時間Δt1に維持しながらデータを取得し得る。そして、第2の次の取得期間にわたり、連続した直交加速パルス間を第2の異なる時間Δt2に維持しながらデータを取得し得る。第1および第2の取得期間の長さは実質的に同じであるのが好ましい。
一実施形態によると、第1に、連続した直交加速パルス間を第1の時間Δt1にして取得した第1のデータセットを、連続した直交加速パルス間を第2の異なる時間Δt2にして取得した第2のデータセットと合計し得る。これにより、到着時間および強度の新しい合成データセットD1が生成される。この第1の工程は、事実上、図4および図5に示す飛行時間スペクトルを合計するのと同じことである。
第2に、連続した直交加速パルス間を第1の時間Δt1にして取得した第1のデータセットを、修正された第2のデータセットと合計し得る。修正された第2のデータセットは、連続した直交加速パルス間を第2の時間Δt2にして取得した第2のデータセットであるが時間軸を第1および第2の時間の差(すなわちΔt2−Δt1)に等しい時間だけシフトしたものに相当する。これにより、到着時間および強度の新しい第2の合成データセットD2を生成することができる。この第2の工程は、事実上、図4および図6の飛行時間スペクトルを合計するのと同じことである。
一実施形態によると、その後、第1および第2の合成データセットD1、D2の比較を行い得、好ましくは、ラップアラウンドが生じたイオンに関するピークが特定される。一実施形態によると、第1の合成データセットD1において第2の合成データセットD2の約2倍の強度を有するピークが存在するかどうかを確認するために、各到着時間の間隔を検査するのが好ましい。第1の合成データセットD1において第2の合成データセットD2の約2倍の強度を有するピークは、ラップアラウンドが生じなかったマススペクトルピークに対応するイオンカウント数に関するものと考えるのが好ましい。例えば、第1の合成データセットD1が図4および図5に示すデータを合成したものに関する場合、約29μsの飛行時間においてピークが観測されるが、これは、図4および図6に示すデータを合成したものに関する第2の合成データセットD2における飛行時間が約29μsの対応するピークの約2倍の強度である。
あるいはおよび/またはさらに、第2の合成データセットD2において第1の合成データセットD1の約2倍の強度が存在するかについて、各到着時間の間隔を検査してもよい。第2の合成データセットD2において第1の合成データセットD1の約2倍の強度を有するピークは、ラップアラウンドが生じたイオンまたはマススペクトルピークと一致するイオンカウント数に関するものと考え得る。
どのデータがラップアラウンドされたイオンまたはマススペクトルピークに関し、どのデータが関しないかを決定するために比較検査を行う前に、第1の合成データセットD1および/または第2の合成データセットD2に対して平滑化アルゴリズムを適用してもよい。
ラップアラウンドおよび/または非ラップアラウンドデータを含むデータの識別に引き続き、データを2つのセットに分割し得る。第1のセットはラップアラウンドデータを含み、第2のセットは非ラップアラウンドデータを含み得る。そして、第1の飛行時間データセットを普通の方法でマススペクトルに変形し得る。ラップアラウンドデータに関する第2の飛行時間データセットは、到着時間を補正するために調節し得る。その後でデータをマススペクトルまたはマススペクトルデータに変形するのが好ましい。完全なマススペクトルを表示するために、時間補正後のラップアラウンドデータを、以前の直交加速パルスからの非ラップアラウンドデータと合成し得る。その結果として得られる合成データセットは、好ましくは、以前のパルスから飛行時間型質量分析計へと加速されたイオンパケットについての完全なデータセットを含むかまたは完全なデータセットに関する。
図4、図5および図6に例示したデータについては、観測されたイオン到着時間に33μsを加算することによってラップアラウンドデータを時間補正し得る。例えば、到着時間が約28.2μsであると観測されたマススペクトルピークは、61.2μsに等しい飛行時間となるように補正され得る。これは、図2Aにおいて61.2μsで観測されたピークに対応する。正しい飛行時間が割り当てられれば、飛行時間スペクトルを前述のようにマススペクトルに変換し得る。
別の実施形態によると、第1の合成データセットD1および第2の合成データセットD2に対してまずピーク検出を行い、第1の合成データセットに対応する到着時間・強度の対を含む第1のピークリストP1と第2の合成データセットに対応する到着時間・強度の対を含む第2のピークリストP2とが作成されるようにピークにセントロイド処理を施す(centroided)。ラップアラウンドが生じたピークを明らかにするために、第1および第2のピークリストP1、P2を比較し得る。例えば、ピークリストP1中のあるピークについて検査または検討を行い、そのピークの強度がピークリストP2中の実質的に同じピーク重心時間を有する対応ピークの強度の実質的に2倍であるかどうかを確認し得る。そうである場合、そのピークはラップアラウンドされておらず、その飛行時間を補正する必要はないと見なされる。あるいはまたはさらに、ピークリストP2中に存在するピークについて検査または検討を行い、そのピークの強度がピークリストP1中の実質的に同じピーク重心時間を有する対応ピークの強度の実質的に2倍であるかどうかを確認してもよい。そうである場合、そのピークはラップアラウンドされており、2つの異なるパルス繰返し数間の時間差を加算することによりその飛行時間を補正する必要があると見なされる。
ラップアラウンドピークを特定してしまえば、測定された飛行時間または見かけの飛行時間と連続した直交加速パルス間の時間Δtとの和に等しい、正しい飛行時間を割り当て得る。図4に示すデータの場合、これは、記録されたイオン到着時間に33μsを加算するのと同じことになる。例えば、到着時間が約28.2μsであると観測されたピークであれば、補正後の飛行時間は約61.2μsに等しくなる。正しい飛行時間を割り当ててしまえば、飛行時間データを前述のように質量電荷比データまたはマススペクトルに変換し得る。
さらなる実施形態において、飛行時間型質量分析器のドリフトまたは飛行時間領域へと直交加速された最大質量電荷比を有するイオンの飛行時間の3分の1、4分の1または5分の1にまでパルス期間をさらに短縮し得ることが考えられる。これにより、デューティーサイクルはより高くなる。
好適な実施形態を参照しながら本発明を説明したが、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲から逸脱することなく形態および内容ともに種々の変更を加え得ることが当業者には理解されよう。

Claims (15)

  1. 直交加速電極とドリフトまたは飛行時間領域とを含む飛行時間型質量分析器を準備することと、
    イオンパケットを前記ドリフトまたは飛行時間領域へと繰り返し直交加速するように前記直交加速電極を繰り返し付勢し、前記直交加速電極の付勢周期または前記直交加速電極の連続した付勢間の時間が、前記ドリフトまたは飛行時間領域へと直交加速される前記イオンパケット内の最大質量電荷比を有するイオンの飛行時間よりも短いことと、
    第1の周期で、または前記直交加速電極の連続した付勢間を第1の時間Δt1に維持しながら、イオンパケットを前記ドリフトまたは飛行時間領域へと直交加速し、第1の飛行時間またはマススペクトルデータを得ることと、
    第2の周期で、または前記直交加速電極の連続した付勢間を第2の異なる時間Δt2に維持しながら、イオンパケットを前記ドリフトまたは飛行時間領域へと直交加速し、第2の飛行時間またはマススペクトルデータを得ることと、
    前記第1の飛行時間またはマススペクトルデータを前記第2の飛行時間またはマススペクトルデータと比較することと、
    前記第1の飛行時間またはマススペクトルデータにおいて前記第2の飛行時間またはマススペクトルデータと飛行時間、質量もしくは質量電荷比が実質的に同じでありかつ/または強度が実質的に同じである飛行時間またはマススペクトルピークを、非ラップアラウンドデータとして特定することとを含む質量分析の方法。
  2. 前記第1の飛行時間またはマススペクトルデータと前記第2の飛行時間またはマススペクトルデータとを合成して第1の合成データセットD1を作成することをさらに含む請求項1に記載の方法。
  3. 前記第2の飛行時間またはマススペクトルデータを、前記第1の時間Δt1と前記第2の時間Δt2との差に実質的に等しいかまたは相当する時間または質量電荷比値の分だけシフトするか、平行移動するか、調節するかまたは補正することにより、修正された第2の飛行時間またはマススペクトルデータを得ることをさらに含む請求項2に記載の方法。
  4. 前記第1の飛行時間またはマススペクトルデータと前記第2の修正された飛行時間またはマススペクトルデータとを合成して第2の合成データセットD2を作成することと、前記第1の合成データセットD1と前記第2の合成データセットD2とを比較することとをさらに含む請求項3に記載の方法。
  5. 前記第1の飛行時間またはマススペクトルデータ中の1つまたは複数のピークが、前記第2の飛行時間またはマススペクトルデータ中の飛行時間、質量もしくは質量電荷比が実質的に同じでありかつ/または強度が実質的に同じである1つまたは複数のピークと一致するか否かを決定することをさらに含む請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記第1の合成データセットD1と前記第2の合成データセットD2とを比較する工程が、
    前記第1の合成データセットD1中の第1の時間または質量電荷比における飛行時間ピークまたはマススペクトルピークの強度I1の、前記第2の合成データセットD2中の実質的に同じ第1の時間または質量電荷比における飛行時間ピークまたはマススペクトルピークの強度I2に対する比を決定することと、
    前記比が値y1以上であるか否かを決定することとを含む請求項4に記載の方法。
  7. 前記第1の合成データセットD1を、前記第1の合成データセットD1中の各ピークの飛行時間または質量電荷比とそれに対応付けられた強度との第1のピークリストP1に変換することと、
    前記第2の合成データセットD2を、前記第2の合成データセットD2中の各ピークの飛行時間または質量電荷比とそれに対応付けられた強度との第2のピークリストP2に変換することと、
    前記第1のピークリストP1を前記第2のピークリストP2と比較することと、
    前記第1のピークリストP1中の1つまたは複数のピークが、前記第2のピークリストP2中の飛行時間、質量もしくは質量電荷比が実質的に同じでありかつ/または強度が実質的に同じである1つまたは複数のピークと一致するか否かを決定することとをさらに含む請求項4または6に記載の方法。
  8. 前記第1のピークリストP1において前記第2のピークリストP2と飛行時間、質量もしくは質量電荷比が実質的に同じでありかつ/または強度が実質的に同じである飛行時間またはマススペクトルピークを、非ラップアラウンドデータとして特定することをさらに含む請求項7に記載の方法。
  9. 前記第1のピークリストP1中の第1の飛行時間または質量電荷比のピークの強度の、前記第2のピークリストP2中の実質的に同じ第1の飛行時間または質量電荷比のピークの強度に対する比を決定することと、
    前記比が値y2以上であるかどうかを決定することとをさらに含む請求項7に記載の方法。
  10. 1つまたは複数の第1のイオンパケットを前記ドリフトまたは飛行時間領域へと直交加速することと、前記飛行時間型質量分析器を、第1の質量電荷比を有するイオンが、直交加速されてからイオン検出器またはその他の装置に衝突または到達するまでに第1の飛行時間を有するようにされる第1の動作モードで動作させることと、
    1つまたは複数の第2のイオンパケットを前記ドリフトまたは飛行時間領域へと直交加速することと、前記飛行時間型質量分析器を、前記第1の質量電荷比を有するイオンが、直交加速されてからイオン検出器またはその他の装置に衝突または到達するまでに第2の異なる飛行時間を有するようにされる第2の動作モードで動作させることとをさらに含む請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記第1の飛行時間もしくはマススペクトルデータおよび/または前記第2の飛行時間もしくはマススペクトルデータ中のピークが、所定の量もしくは相対量よりも小さいかまたは大きいピーク幅を有するか否かを決定することをさらに含む請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 第1の範囲内の質量電荷比を有するイオンを実質的に減衰させるかまたは前方へ移送しないようにイオンを質量フィルタリングすることと、
    前記第1の飛行時間もしくはマススペクトルデータおよび/または前記第2の飛行時間もしくはマススペクトルデータ中のピークが、前記第1の範囲内に入る質量電荷比を有するイオンのものであると推測される飛行時間、質量または質量電荷比を有するか否かを決定することとをさらに含む請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  13. ラップアラウンドデータに関するかもしくはラップアラウンドデータを含む飛行時間またはマススペクトルピークデータを補正することをさらに含む請求項7に記載の方法。
  14. 直交加速電極およびドリフトまたは飛行時間領域と、
    イオンパケットを前記ドリフトまたは飛行時間領域へと繰り返し直交加速するように前記直交加速電極を繰り返し付勢するように構成および適合された制御手段とを含み、前記直交加速電極の付勢周期または前記直交加速電極の連続した付勢間の時間が、前記ドリフトまたは飛行時間領域へと直交加速される前記イオンパケット内の最大質量電荷比を有するイオンの飛行時間よりも短い飛行時間型質量分析器であって、
    第1の周期で、または前記直交加速電極の連続した付勢間を第1の時間Δt1に維持しながら、イオンパケットを前記ドリフトまたは飛行時間領域へと直交加速し、第1の飛行時間またはマススペクトルデータを得、
    第2の周期で、または前記直交加速電極の連続した付勢間を第2の異なる時間Δt2に維持しながら、イオンパケットを前記ドリフトまたは飛行時間領域へと直交加速し、第2の飛行時間またはマススペクトルデータを得、
    前記第1の飛行時間またはマススペクトルデータを前記第2の飛行時間またはマススペクトルデータと比較し、
    前記第1の飛行時間またはマススペクトルデータにおいて前記第2の飛行時間またはマススペクトルデータと飛行時間、質量もしくは質量電荷比が実質的に同じでありかつ/または強度が実質的に同じである飛行時間またはマススペクトルピークを、非ラップアラウンドデータとして特定する飛行時間型質量分析器。
  15. 請求項14に記載の飛行時間型質量分析器を含む質量分析計。
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