JP4716694B2 - 管網解析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、管網解析方法に関する。
近年、水道事業において、地中に埋設された管路網(以下、管網と記す)の状態を把握し、この管網を構成する管路についての更新計画などを立てるといった維持管理を行うことは極めて重要となっている。
このような中、管網に水を供給する配水池の水頭(海抜0〔m〕から配水池の水面までの高さ)、管路の配置状況、管路の口径、管路どうしの交点(以下、節点と記す)から取り出される水の量(以下、取り出し水量と記す)などの与条件下で、各管路の流量や各節点の水頭を算出する、いわゆる管網解析が実施されている。このような管網解析の結果から各管路の流量や各節点の水頭のデータを得ることで、例えば、流量の多い管路、水頭の低い節点などを把握でき、管路の重要度などを把握できるので、管路の更新計画などに役立てることができる。
上記ような管網解析を、例えば、図15に示すような、水源S1、節点N1〜N4が管路K1〜K5により接続されて構成されている管網に対して実施する場合、実際の管網であれば、例えば、図16に示すように、それぞれの管路から住宅などに給水管P1〜P7が接続され、これらの管から任意の水量V1〜V7が取り出されるが、このような給水管P1〜P7も含めて管網解析を行うと、給水管と管路との交点を節点として取り扱う必要が生じ、さらに給水管も管網解析の対象となってしまうため、結果的に管路の数や節点の数が飛躍的に多くなり、解析時に行う計算の量が非常に膨大になってしまう。
そこで、給水管P1〜P7を解析時に取り扱わないようにして、給水管P1〜P7が管網解析の対象とならないようにし、これらの給水管P1〜P7から取り出される水量だけを別に取り扱うことで、解析時に必要な計算の量を少なくするようにしている。
管網解析の際の取り出し水量の取り扱いについては、図17(a)に示すように、給水管によって管路から取り出される取り出し水量を各節点にまとめて、これらの節点から一定の量の水を取り出すといった節点取り出しモデルと、図18(a)に示すように、給水管によって管路から取り出される取り出し水量をその管路から長さ方向にわたって一様に、一定の水量を取り出すといった管路取り出しモデルとがある。
図17(a)に示す節点取り出しモデルの場合、上述の通り、水は管路からではなく各節点から取り出されるという取り扱いであるので、図17(b)に示すように、例えば、節点Aから節点Bに到る管路内を流れる水の流量は一定となる。
また、図18(a)に示す管路取り出しモデルの場合であれば、上述の通り、水は管路からその長さ方向にわたって一様に、一定量が取り出されるという取り扱いであるので、例えば、図18(b)に示すように、節点Aから節点Bに到る管路内を流れる水の流量は、徐々に一定の割合で減少する。
それぞれのモデルにおいて、上記のようにして取り出し水量を取り扱うことで、解析時に行う計算の量が少なくなるようにし、管網解析を迅速に行えるようにしている。なお、管路取り出しモデルを用いた管網解析方法としては、例えば、非特許文献1に記載されたものがある。
宇土、西川、泉「メッシュ流量法による配水管網の解析と設計」、計測と制御、社団法人計測自動制御学会、1989年8月、Vol.28、No.8、p.45−58
近年の管網解析においては、節点の水頭とその節点における地盤高との差で表される有効水頭を用いて、その節点における有効水頭が所定の大きさより小さいとその節点における水の出が悪くなるといったことを表現する、いわゆる取り出し水量の圧力依存性を考慮する要望が高まっている。これは、従来の管網解析では、取り出し水量を常に一定として取り扱っており、管網解析の結果、節点の有効水頭の大きさがいかなる大きさであっても水の出具合には影響せず、現実に即していないということによる。
取り出し水量の圧力依存性を考慮する場合、図17(b)に示すように、管路内を流れる水の流量が一定となる節点取り出しモデルであれば、計算の都合上、解析時に行う計算の量もそれほど多くはならないので、取り出し水量の圧力依存性を考慮した解析を行うことが可能である。一方、図18(b)に示すように、管路内における水の流量が徐々に一定の割合で減少する管路取り出しモデルの場合には、取り出し水量の圧力依存性を考慮することは理論上は可能であっても、実際に解析を行うときの計算量が非常に膨大になってしまうので、事実上の実施は非常に困難となる。
上述のように、取り出し水量の圧力依存性を考慮した管網解析を行う場合には、管路取り出しモデルよりも節点取り出しモデルのほうが好適であるが、節点取り出しモデルの場合、取り出し水量は上述の通り、各節点から取り出すという取り扱いになっており、実際の管網や管路取り出しモデルのように、管路からの水の取り出しを考えていないので、管路取り出しモデルに比べて管網解析の精度が劣ってしまうおそれがある。
そこで本発明はこのような問題を解決して、精度よくかつ短時間で行える管網解析方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために請求項1記載の発明は、水源と、管路どうしの交点である節点と、一端および他端に前記水源または前記節点が接続される管路とのネットワーク関係から構成される管網に対して、水の需要により前記管路から取り出される水量を、前記管網における水量から減じたうえで、前記管網を構成する各管路内の流量および各節点における水圧である水頭を算出する管網解析方法において、前記取り出される水量を前記管網における水量から減ずる際に、前記水の需要がある管路における少なくとも一箇所から前記取り出される水量を取り出して、前記水の需要がある管路内の流量が水の流れ方向に沿って段階的に変化するようにし、管網における各節点の水頭の初期値を設定し、前記水頭の初期値に基づいて、水の需要がある管路における上流側の流量である始点側管路流量の下限値と上限値とを設定し、前記始点側管路流量の下限値と上限値との間の値を前記始点側管路流量の初期値として設定し、前記始点側管路流量の初期値に基づいて算出した節点の水頭と、前記設定した節点の水頭の初期値とに基づいて前記始点側管路流量の初期値を更新し、更新した始点側管路流量の初期値に基づいて算出した節点の水頭と、前記設定した節点の水頭の初期値とに基づいて前記更新した始点側管路流量の初期値をさらに更新する収束計算を行って、始点側管路流量の収束値を算出し、前記算出した始点側管路流量の収束値から前記取り出される水量を減じた値を管路における下流側の流量である終点側管路流量の収束値として算出し、算出した始点側管路流量の収束値および終点側管路流量の収束値に基づいて、設定した各節点の水頭の初期値を更新し、前記更新した各節点の水頭の初期値に基づいて、前記水の需要がある管路における始点側管路流量の収束値および終点側管路流量の収束値を更新し、前記更新した始点側管路流量の収束値および終点側管路流量の収束値に基づいて、前記更新した各節点の水頭の初期値をさらに更新する収束計算を行い、前記節点の水頭の収束値を前記節点の水頭の値として決定し、前記節点の水頭の収束値を算出したときの始点側管路流量の収束値および終点側管路流量の収束値を前記水の需要がある管路における始点側管路流量の値および終点側管路流量の値として決定するものである。
このようにすると、例えば、管路からの水の取り出しが管路に接続された給水管から行われる場合、その給水管からの取り出し水量に応じて管路からの取り出し水量を設定することで、節点取り出しモデルのように取り出し水量を節点から取り出す場合や、管路取り出しモデルのように取り出し水量を管路からその長さ方向にわたって一様に、一定量を取り出す場合に比べて、水の取り出し状況が現実に近くなり、より現実に即した管網解析を行うことができる。これにより、管網解析の精度の向上を図ることができる。また、水の需要がある管路内の流量として、始点側管路流量と終点側管路流量とを算出するので、現実に即した管路流量を算出することができる。さらに、水の需要がある管路における少なくとも一箇所から水を取り出して管網解析を行っても、解析対象となる管路や節点の数は、節点取り出しモデルや管路取り出しモデルと同様であるので、短時間で管網解析を行うことができる。
また、このようにすると、収束計算を行って始点側管路流量の値を算出するので、この始点側管路流量の値を精度よく算出できるとともに、この始点側管路流量に対応する終点側管路流量も精度よく算出することができる。
また、このようにすると、水の需要がある管路における始点側管路流量および終点側管路流量に基づいて、設定した各節点の水頭の初期値を更新し、前記更新した各節点の水頭の値に基づいて、前記水の需要がある管路における始点側管路流量および終点側管路流量を算出し、前記算出した始点側管路流量および終点側管路流量に基づいて、前記更新した各節点の水頭の値をさらに更新する収束計算を行うことで、始点側管路流量の値および終点側管路流量の値、および節点の水頭の値を精度よく算出することができる。
請求項記載の発明は、請求項1に記載の管網解析方法において、水の需要がある管路における少なくとも一箇所から取り出される水量が、前記水が取り出される箇所の海抜0mからの地盤高を前記管路における水が取り出される箇所の水頭から減じた値である圧力水頭の大きさに応じて変化するものである。
このようにすると、取り出し水量を圧力水頭の大きさに依存させたことで、例えば、圧力水頭の低下する需要のピーク時や高台にある地区において水の出が悪くなるといったことを表現できるので、取り出し水量が一定の場合である従来の管網解析よりも精度よく管網解析を行うことができる。
以上のように本発明によれば、例えば、管路からの水の取り出しが管路に接続された給水管から行われる場合、その給水管からの取り出し水量に応じて管路からの取り出し水量を設定することで、節点取り出しモデルのように取り出し水量を節点から取り出す場合や、管路取り出しモデルのように取り出し水量を管路からその長さ方向にわたって一様に、一定量を取り出す場合に比べて、水の取り出し状況が現実に近くなり、より現実に即した管網解析を行うことができる。これにより、管網解析の精度の向上を図ることができる。また、水の需要がある管路内の流量として、始点側管路流量と終点側管路流量とを算出するので、現実に即した管路流量を算出することができる。さらに、水の需要がある管路における少なくとも一箇所から水を取り出して管網解析を行っても、解析対象となる管路や節点の数は、節点取り出しモデルや管路取り出しモデルと同様であるので、短時間で管網解析を行うことができる。
本発明の実施の形態の管網解析方法により、図1(a)に示す管網に対して管網解析を行う方法を説明する。
本実施の形態では、給水管によって管路から取り出される水を、図1(a)に示すように、各管路における少なくとも一箇所、この場合は任意の複数の箇所から一定量だけ取り出すという取り扱いとし、これにより、例えば、図1(b)に示すように、節点Aから節点Bに到る管路内において、区間AB1では一定流量のq1〔m/s〕の水が流れ、B1地点において(q1−q2)〔m/s〕の水が取り出され、区間B1B2では一定流量のq2〔m/s〕の水が流れ、B2地点において(q2−q3)〔m/s〕の水が取り出され、というように、取り出し水量を取り扱うことができ、節点Aから節点Bに到る管路内を流れる水の流量が、水の流れ方向に沿って階段状に、段階的に減少するように取り扱うことができる。以下、上記のように取り出し水量を取り扱うモデルを離散型取り出しモデルと記す。
また、本実施の形態では、図1(a)に示す管網に対して管網解析を行うにあたって、図2および図3に示すように、種々の初期データが与えられている。
詳細には、図2に示すように、水源S1については、水源の水頭としてのLWL(Low Water Level)の値A〔m〕および水源S1の地盤高H(S1)〔m〕が与えられている。また、本実施の形態では各節点から水が取り出されるといった取り扱いをしないので、節点N1〜N4のそれぞれには、取り出し水量の値0.0〔m/s〕が与えられている。さらに節点N1〜N4にはそれぞれの地盤高H(N1)〜H(N4)〔m〕が与えられている。
また、管路K1〜K5については、図3に示すように、始点、終点、流速係数CH、管路長L(K1)〜L(K5)〔m〕、管内径D(K1)〜D(K5)〔mm〕が与えられている。また、本実施の形態では、例えば、管路K1〜K5のうち、管路K3と管路K4とから水の取り出しがあり、管路K1、K2、K5からは水の取り出しが無い場合を説明する。このため、管路K1、K2、K5には取り出し水量が0.0〔m/s〕、管路K3、K4には取り出し水量V〔m/s〕が与えられている。
なお、以下に説明する管網解析においては、上述のように、給水管によって管路から取り出される水を、各管路における任意の複数の箇所から一定の量だけ取り出すというように取り扱うが、その解析の手順は公知の節点水頭法に基づいて行う。
また、本実施の形態においては、水が管路の一端側から他端側に流れた時の損失水頭を求めるヘーゼン・ウイリアムスの実験式(数1に示す)を用いる。
Figure 0004716694
数1において、hは損失水頭〔m〕、qは流量〔m/s〕、CHは流速係数、Dは管内径〔m〕、Lは管路長〔m〕であり、このrを管路の抵抗係数とする(以下、管路抵抗と記す)。管路抵抗rは、流速係数CH、管内径Dおよび管路長Lにより決定する定数である。また、図4に示すように、節点における圧力水頭である有効水頭e〔m〕と地盤高H〔m〕との和で表される高さを節点の水頭P(以下、節点水頭Pと記す)〔m〕とすると、上記の数1で表される損失水頭hは、数2に示すように、その管路の始点の節点水頭P(水源の場合はLWL)と終点の節点水頭Pとの差で表される。
Figure 0004716694
また、数1をqについて解いた式、数3
Figure 0004716694
を損失水頭hで偏微分したものをgとすると、gは、数4のように表される。なお、以下において、このgを管路についての変分コンダクタンスと記す。
Figure 0004716694
以上のような条件において、図1(a)に示す管網に対して、管網解析を行うには、まず、図5に示すように、ステップ1(S001)として、図2および図3に示すような、管網の初期データの読み込みを行う。
次に、図5に示すように、ステップ2(S002)として、ステップ1にて読み込んだデータに基づいて、水源S1、節点N1〜N4、管路K1〜K5を連結し、管網におけるネットワーク関係を構築する。このとき、管網解析の計算において電気回路網の理論を応用できるようにする。
詳細には、図6に示すように、管網PNにグラフ化の処理を施す。すなわち、電気回路網のアースに相当する基準節点N5(水頭=0〔m〕)を設け、この基準節点N5と水の流出入がある節点(水源)とを接続する。本実施の形態の場合は、水は管路から取り出すものとして取り扱うが、上述したように、解析の手順は公知の節点水頭法に基づいて行うので、ここでは流量が0〔m/s〕の水の流出入が各節点からあるものとして、これらの節点N1〜N4と基準節点N5とを基準節点接続枝b1〜b4により接続する。そして、水源S1と基準節点N5とを基準節点接続枝b5により接続する。
このとき、基準節点接続枝b1〜b4の流量は、節点N1〜N4における取り出し水量、すなわち0〔m/s〕で一定であり、このような場合、基準節点接続枝b1〜b4を公知の解放除去によって、図7に示すように除去することができる。ただし、基準節点接続枝b5の流量は未知であるので、基準節点接続枝b5は除去できない。
なお、図7における矢印は、管路K1〜K4および基準節点接続枝b5における水の流れ方向を示している。管路K1〜K4における水の流れ方向は任意に設定してよいが、基準節点接続枝b5における水の流れ方向は、基準節点N5に向かう方向に設定しておく。また、基準節点接続枝b5についてのデータを図8に示す。図8に示すように、基準節点接続枝b5の始点は水源S1、終点は基準節点N5であり、この基準節点N5の水頭を0〔m〕と設定しているので、始点と終点との水頭差は、水源S1のLWLの値であるA〔m〕となる。
次に、図5に示すように、ステップ3(S003)として、グラフ理論に基づいて広さ優先木を検索する。一般に、グラフ理論における木とは、全ての点(節点)を含み、かつ、閉回路(ループ)を持たない部分グラフ(ここでは管路に相当する)と定義されており、広さ優先木は、根(基準節点)からできるだけ枝分かれするように探索して得られる木である。
この広さ優先木の検索については公知の手法により行うことができるので、ここではその手法についての詳しい説明は避ける。なお、ステップ3において行った広さ優先木検索の結果を図9に示す。図9に示すように、検索の結果、広さ優先木が張られた管路K1〜K3、K5を木枝として実線で表し、広さ優先木が張られなかった管路K4を補木枝として破線で表している。
節点水頭法により管網解析を行う際には、各節点における節点水頭Pを未知数とするので、後の計算において必要となる節点水頭Pの初期値を、図5におけるステップ4(S004)に示すように、前記広さ優先木の検索の結果を利用してあらかじめ決定する。
詳細には、図9に示す管網PNであれば、広さ優先木検索における深さne、すなわち広さ優先木の最末端である節点N3から根である基準節点N5までの枝(管路)の数が4であり、また、図2より、水源S1のLWLはA〔m〕で、節点N3の地盤高はH(N3)〔m〕であるので、水源S1から節点N3に至る途中において、管路一つあたりでの水頭の平均の降下量Δhは数5のように表すことができる。
Figure 0004716694
ここで、例えば、水源S1のLWLがA=30.0〔m〕、節点N3の地盤高がH(N3)=18.0〔m〕である場合には、上記の降下量Δhは数5より4.0〔m〕となる。したがって、節点N1の節点水頭Pの初期値P(N1)を、30.0−4.0=26.0〔m〕、節点N2およびN4の節点水頭Pの初期値P(N2)およびP(N4)を、26.0−4.0=22.0〔m〕と設定する。なお、このとき、隣り合う節点どうしの節点水頭の初期値が同じになってしまうと、それらの節点を接続する管路における損失水頭が0になることがあるので、このようなことを防止するために、各管路における水頭の平均の降下量Δhを乱数により変動させ、それぞれの節点N1〜N4の節点水頭の初期値を、例えば、数6のように設定する。
Figure 0004716694
次に、図5に示すように、ステップ5(S005)に進み、後の工程の計算時に用いるヤコビ行列Jを決定する。本実施の形態の場合、管網PNにおける節点は4ヵ所であるので、ヤコビ行列Jを4×4の行列とする。また、ヤコビ行列Jの対角要素であるjiiの値を、節点Niに接続している管路の変分コンダクタンスgの総和とし、非対角要素jijの値を、節点Niと節点Njとを直結する管路の変分コンダクタンスの値に負の符号を付したものとし、直結する管路が無ければ、jij=0とする。これにより、後の工程の計算時に用いるヤコビ行列Jは、数7のように表すことができる。
Figure 0004716694
このとき、例えば、ヤコビ行列Jの対角要素であるj33の値は、節点N3に接続している管路K3、K4の変分コンダクタンスgの総和であるので、(gK3+gK4)となり、また、非対角要素j23の値は、節点N2と節点N3とを直結する管路、この場合、管路K3の変分コンダクタンスgK3に負の符号を付した(−gK3)となる。ただし、この時点では各管路の変分コンダクタンスの値は未知である。
そこで、ステップ7(S007)、ステップ8(S008)〜ステップ10(S010)においては、管路K1〜K5の変分コンダクタンスを求める。管路K1〜K5においては、管路からの水の取り出しがある管路とそうでない管路とがあり、それぞれの場合において変分コンダクタンスの算出方法が異なるため、図5に示すように、ステップ6(S006)において、管網解析の対象となる全ての管路、すなわち本実施の形態の場合であれば、管路K1〜K5に対して、管路からの水の取り出しがあるか否かについて調べる。
管路からの水の取り出しがある管路(管路K3、K4)については、ステップ8(S008)〜ステップ10(S010)の処理を施して、管路K3、K4の変分コンダクタンスを算出し、管路からの水の取り出しがない管路(管路K1、K2、K5)については、ステップ7(S007)の処理を施して、管路K1、K2、K5の変分コンダクタンスを算出する。
ここではまず、管路からの水の取り出しがある管路K3、K4についての変分コンダクタンスgK3、gK4を算出する方法を説明する。なお、以下では、管路K3について処理を施す場合を説明する。
管路からの水の取り出しがある管路K3は、管路の途中で水が取り出されるので、節点N2から管路K3に流入する水量と、管路K3から節点N3に流出する水量とが異なる、すなわち、管路K3の始点側管路流量と終点側管路流量とが異なる。そこで、ステップ8では、管路K3の始点側管路流量をqs、K3、管路K3の終点側流量をqe、K3とし(管路K4の場合では、始点側管路流量をqs、K4、終点側流量をqe、K4として)、変分コンダクタンスを算出するのに必要な、管路K3の始点側管路流量の下限値と上限値とを設定する。
管路K3については、図10に示すように、管路長L(K3)の管路K3をn等分し、等分されたそれぞれの区間の中点からCL、CL、…、CLn−1、CLの量の水の取り出しがあるものとして取り扱う。なお、以下の計算において用いる文字を表1に示す。また、以下において、需要量とは人などが水を要求する量であり、供給量とは管路から供給可能な水の量である。
Figure 0004716694
なお、第i区間での供給水量は、第i区間での需要水量と、第i区間の有効水頭の大きさに応じた水の取り出し可能率(水の取り出し易さ)とに基づいて表される関数である(図13参照)。
ここで、r=10.666CH−1.85・D−4.87とすると、図10において、第1区間の中間点における水頭P1_midは、節点N2の節点水頭の初期値P(N2)から水が第1区間の中間点まで流れた時の損失水頭を減じた値であり、水が第1区間の中間点まで流れた時の損失水頭は数1より算出することができるので、第1区間の中間点の水頭P1_midを数8のように表すことができる。
Figure 0004716694
また、第1区間の中間点における有効水頭e1_midは、水頭P1_midから、その中間点における地盤高gLを減じた値であり、その中間点の地盤高gLは、始点での地盤高gLに地盤高増加分gLaddの半区間分を加えれば良いので、第1区間の中間点における有効水頭e1_midは、数9のように表すことができる。
Figure 0004716694
また、第1区間の中間点における流量q1_midは、始点側管路流量qから第1の区間で供給された水量を減ずればよいので、数10のように表すことができる。
Figure 0004716694
同様に、第k区間(2≦k≦n)の中間点における水頭Pk_midは、第(k−1)区間の水頭Pk−1_midの値から、水が第(k−1)区間の中間点から第k区間の中間点までの1区間だけ流れた時の損失水頭を減じた値であり、数11のように表すことができる。
Figure 0004716694
また、第k区間の中間点における有効水頭ek_midは、第k区間の中間点における節点水頭Pk_midから、この中間点における地盤高gLk_midを減じた値であるので、数12のように表すことができる。
Figure 0004716694
さらに、第k区間の中間点における流量qk_midは、第(k−1)区間の中間点の流量qk−1_midから第k区間で供給された水量を減ずればよいので、数13のように表すことができる。
Figure 0004716694
管路K3の終点での節点水頭をPpre、eとすると、この終点での節点水頭Ppre、eは、第n区間の中間点における水頭Pn_midから水が半区間だけ流れた時の損失水頭を減じた値であるので、数14のように表すことができる。
Figure 0004716694
そして、管路K3における終点での水頭をPpre、eの値が、ステップ4において設定した管路K3の終点である節点N3の節点水頭P(N3)=Pの値(後述するステップ22において、節点水頭の値を更新しているのであれば、更新後の節点水頭の値)に対して所定の誤差範囲内に収まるように収束計算を行い、管路K3の始点側管路流量qs、K3の値を算出する。
このようなqs、K3を求める方法としては、2分法、はさみうち法、割線法などがあるが、2分法などにより始点側管路流量qs、K3の値を算出するためには、この始点側管路流量qs、K3の下限値qs_min、上限値qs_maxを設定する必要がある。なお、以下では、例えば2分法を用いた場合の説明をする。
始点側管路流量qs、K3の下限値qs_minを設定する際に、管路3からの取り出し水量が0〔m/s〕であると仮定してqs、K3=yh/|h|1−βと一定流量にすると、このときの終点の節点水頭はP(N3)=P(ステップ4で設定した初期値)であるが、qs_min=qs、K3として、qs、K3から取り出し水量があるとすると、CLi≧0であるので、終点側の節点N3に到達する流量はqs、K3よりも少なくなる。数1によると、損失水頭hは、管路の流量の1.85乗に比例することから、始点側管路流量をqs、K3=yh/|h|1−β(ただし、h=P(N2)−P(N3))としたときの損失水頭hと、取り出し水量が0以上のときの損失水頭hとでは、h≧hとなり、したがって、数2より、始点側管路流量をqs、K3=yh/|h|1−βとしたときの終点の節点水頭Pと、取り出し水量が0以上のときの終点の節点水頭Ppre、eとは、Ppre、e≧Pとなる。
次に、始点側管路流量qs、K3の上限値qs_maxを設定する。ここで例えば、管路からの取り出し水量が0〔m/s〕とであると仮定して流量をqs、K3=yh/|h|1−βとし、始点側管路流量の上限値をqs_max=qs、K3+(CL/2)とし、図11に示すように、管路K3がその中間の地点C(=L(K3)/2)において区間Aと区間Bとの2区間に分割され、かつ、供給水量と需要水量とが等しい場合を考える。
このような場合、第A区間の流量はqs、K3+(CL/2)で、供給水量がCLであると、第B区間の流量はqs、K3−(CL/2)となる。ここで、数1式で表される関数を図12に示す。
図12に示すように、流量がqs、K3+(CL/2)のときの損失水頭をh、流量がqs、K3−(CL/2)のときの損失水頭をhとすると、管路K3における損失水頭hは、第A区間における損失水頭と第B区間における損失水頭の和で表すことができ、第A区間は管路長L(K3)の半分であるので、第A区間での損失水頭は、h/2、第B区間での損失水頭はh/2となり、したがって、管路K3における損失水頭hは、h=(h+h)/2となる。
図12において、hは、直線abの中点であり、関数であるh=r・q・|q|0.85は、下に凸な関数であり、区間abにおいては、直線abよりも下側(負の領域)になるので、上記の損失水頭hと、全区間の流量がqs、K3のときの損失水頭hとは、h>hとなる。
したがって、数2より、始点側管路流量をqs、K3=yh/|h|1−β+(CL/2)(ただし、h=P(N2)−P(N3))とした場合、Ppre、e≦Pとなる。
以上のことから、始点側管路流量qs、K3が下限値qs_minと上限値qs_maxとに挟まれることになる。したがって、始点側流量qs、K3の下限値をqs_min=qs、K3、上限値をqs_max=qs、K3+(CL/2)と設定する。
始点側管路流量の下限値qs_min、および上限値qs_maxを設定すると、次に、ステップ9(S009)において、数8〜数14より、始点側管路流量が下限値qs_minであるときの終点の節点水頭Pe_min、終点側管路流路qe_min、および始点側管路流量が上限値qs_maxであるときの終点の節点水頭Pe_max、終点側管路流路qe_maxを算出する。
ここで、上記において算出した節点N2、N3の節点水頭の初期値P(N2)、P(N3)などの値を用いて、上記のステップ8およびステップ9の計算を行う場合を説明する。なお、水源S1、節点N1〜N4、管路K1〜K5については、表2、表3に示すような初期条件が与えられている。
Figure 0004716694
Figure 0004716694
ステップ8にて行う計算は以下のようになる。管路K3の場合、始点は節点N2、終点はN3であり、ステップ4にて設定した初期値は、P(N2)=20.80118、P(N3)=16.41315である。したがって、上述したように、始点側管路流量qの下限値はqs_min=qs、K3=yh/|h|1−βより算出することができるので、数2、数3より、始点側管路流量qの下限値qs_minは、qs_min=0.08162373となる。
また、始点側管路流量qs、K3の上限値はqs_max=qs、K3+(CL/2)=yh/|h|1−β+(CL/2)より算出することができ、ここで、表3より、管路K3の管路長L(K3)は100〔m〕、管路K3からの取り出し水量(供給水量)の合計はCL=0.03〔m/s〕であり、管路K3を分割する区間数をn=20とすると、始点側管路流量qs、K3の上限値qs_maxは、qs_max=0.09662373となる。
ここで、表3より、流速係数CH=110、管内径D=0.2〔m〕であり、上記より、管路K3における1区間の長さは5〔m〕(100〔m〕/20=5〔m〕)であるので、ステップ9にて行う計算は以下のようになる。すなわち、第1区間の中点の水頭は、数8より、P1_mid=20.69217929〔m〕となる。また、第1区間の地盤高gLは、表2の条件を用いて、始点の地盤高gLと終点の地盤高gLとの内挿補間により、gL=15.1428〔m〕となる。さらに、第1区間の中点の有効水頭e1_midは、数9より、e1_mid=5.54937929〔m〕となる。
このとき、第1区間の取り出し水量の圧力依存性を考慮する、すなわち、第1区間における中点の有効水頭e1_midの値に応じた供給水量を求める。図13は、有効水頭と取り出し可能率との特性曲線を示している。この場合、第1区間の中点における有効水頭e1_midが約5.5〔m〕なので、このときの取り出し可能率を、図13より0.057とする。
したがって、第1区間において取り出し可能な水量(供給水量)CLは、数15のように求まる。
Figure 0004716694
次に、第1区間の中点における水頭P1_mid、有効水頭e1_mid、および始点側管路流量qs、K3の下限値qs_minを用い、かつ、数11〜数14を用いて、上記と同様の手順で、第2区間の中点における水頭P2_mid、地盤高gL、有効水頭e2_mid、を求め、さらに、この結果を用いて、第3区間、第4区間、…と、同様の計算を行うことで、始点側管路流量qs、K3の下限値qs_minに対応する終点側管路流量qe_min、終点の節点水頭Pe_minを算出する。
さらに、同様の手順で、始点側管路流量qs、K3の上限値qs_maxについても、この上限値qs_maxに対応する終点側管路流量qe_max、終点の節点水頭Pe_maxを算出する。数16には、算出した結果を示す。
Figure 0004716694
次に、図5に示すように、ステップ10(S010)として、管路K3の変分コンダクタンスgK3を算出する。通常、管路からの水の取り出しがない場合であれば、数4を用いて管路の変分コンダクタンスを算出することができるが、管路K3は、管路からの水の取り出しを考慮した管路であるので、数4を用いて管路の変分コンダクタンスを算出することができない。
そこで、例えば、起点側管路流量と終点側管路流量との平均値と、終点の節点水頭との関係を表した数17により、管路K3の変分コンダクタンスgK3の値を算出する。
Figure 0004716694
数16、数17より、gK3=0.00935086となる。
次に、ステップ11(S011)として、始点側管路流量の初期値qs、K3(0)を数18
Figure 0004716694
に基づいて決定し、ステップ12(S012)〜ステップ17(S017)において、上述したように、2分法による反復計算を行う。
詳細には、ステップ12として、ステップ11において決定した始点側管路流量qs、K3(0)(後述するステップ17にて始点側管路流量の値を更新した場合であれば、その更新後の値)と、ステップ4において設定した節点N2の節点水頭の初期値P(N2)(後述するステップ22で節点水頭を更新した場合であれば、その更新後の値)とを用いて、数8〜数14より、始点側管路流量がqs、K3(0)のときの終点側管路流量qe、K3(0)および終点の水頭Pe、N3を算出する。
そして、ステップ13(S013)として、ステップ12において算出した終点の水頭Pe、N3の値と、ステップ4において設定した節点水頭、この場合、管路K3の終点となる節点N3の節点水頭の初期値P(N3)(後述するステップ22(S022)において節点水頭の値を更新した場合であれば、その更新後の値)との差が、誤差範囲、例えば1.0×10−6の範囲内であるかを算出する。このとき、前記差が誤差範囲内に収まらない場合には、ステップ14(S014)に進む。
ステップ14としては、ステップ12において算出した終点の水頭Pe、N3の値と、ステップ4において設定した節点N3の節点水頭の初期値P(N3)(後述するステップ22において節点水頭の値を更新した場合にはその更新後の値)との大きさを比較し、算出した終点の水頭Pe、N3の値が、設定した節点水頭の初期値P(N3)よりも大きい場合には、ステップ15(S015)に進み、ステップ15において、qs_min=qs、K3(0)として、すなわち始点側管路流量の下限値qs_minの値が、始点側管路流量の初期値qs、K3(0)となるように、qs_minの値を修正して、ステップ17(S017)に進む。
また、算出した終点の水頭Pe、N3の値が、設定した節点水頭の初期値P(N3)よりも小さい場合には、ステップ16(S016)に進み、ステップ16において、qs_max=qs、K3(0)として、すなわち始点側管路流量の上限値qs_maxの値が、始点側管路流量の初期値qs、K3(0)となるように、qs_maxの値を修正して、ステップ17に進む。
ステップ17においては、ステップ15において修正したqs_minの値、または、ステップ16において修正したqs_maxの値を用いて、qs、K3(1)=0.5・(qs_min+qs_max)として、始点側管路流量の値を更新する。なお、qs、Ki(k)は、管路Kiの始点側管路流量の値が、K回更新されていることを表している。
そして、ステップ12に戻り、ステップ17において更新した始点側管路流量qs、K3(1)の値を用いて、ステップ12〜ステップ17の計算を繰り返し行い、ステップ13において、ステップ12において算出した終点の水頭Pe、N3の値と、ステップ4において設定した節点水頭、この場合、管路K3の終点となる節点N3の節点水頭の初期値P(N3)(後述するステップ22において節点水頭の値を更新した場合にはその更新後の値)との差が、誤差範囲内に収まる場合には、ステップ18(S018)に進む。
ステップ18においては、前記差が誤差範囲内に収まったときの始点側管路流量qs、K3(k)の値および終点側管路流量qe、K3(k)の値が、管路K3の始点側管路流量qs、K3の値および終点側管路流量qe、K3の値であると決定する。このとき、上記の数16の値を用いて算出した始点側管路流量の値および終点側管路流量の値はそれぞれ、qs、K3=0.08189067、qe、K3=0.08154781となる。そして、ステップ19(S019)に進む。なお、管路K4についても、ステップ8〜ステップ18と同様の計算を行う。また、上記において、ステップ12〜ステップ17では、2分法を用いた計算についての説明をしたが、これに限らず、はさみうち法や割線法などを用いることもできる。
管路K4を分割する区間数をn=20をすると、管路K4も管路K3と同様に、表3より管路長L(K4)が100〔m〕、管路K4からの取り出し水量の合計がCL=0.03〔m/s〕、流速係数CH=110、管内径D=0.2〔m〕であり、管路K4における1区間の長さが5〔m〕(100〔m〕/20=5〔m〕)であるので、変分コンダクタンスはgK4、管路K4における始点側管路流量qs、K4、終点側管路流量qe、K4は、数19に示す値になる。
Figure 0004716694
また、上記においては、ステップ6において、管路からの水の取り出しがある管路(管路K3、K4)に対してステップ8〜ステップ18の処理を施した場合を説明したが、ステップ6において、管路からの水の取り出しがない管路(管路K1、K2、K5)については、ステップ7に進む。
ステップ7において、管路K1、K2、K5は、管路からの水の取り出しが無い管路であり、管路内の流量が一定であることから、数1〜数3から管路K1、K2、K5の変分コンダクタンスgK1、gK2、gK5を算出する。ここで、例えば表2、表3より管路K1、K2、K5のそれぞれの管路の流速係数がCH=110、管路長がL=100〔m〕、管内径がD=0.2〔m〕、水源S1のLWL=30.0〔m〕であり、ステップ4で設定した節点N1、N2、N5の初期値が、P(N1)=25.40、P(N2)=20.80118、P(N4)=20.84996であるので、数1〜数3より、管路K1、K2、K5の変分コンダクタンスgK1、gK2、gK5、管路K1、K2、K5の流量qK1、qK2、qK5は、数20に示す値になる。
Figure 0004716694
このように、管路K1、K2、K5の変分コンダクタンスgK1、gK2、gK5、管路K1、K2、K5の流量qK1、qK2、qK5を算出すると、ステップ19(S019)に進む。
ステップ19において、ステップ5にて数7に示すように決定したヤコビ行列Jに、数17により算出した管路K3の変分コンダクタンスgK3、数19に示す管路K4の変分コンダクタンスgK4、数20に示す管路K1、K2、K5の変分コンダクタンスgK1、gK2、gK5、の値を代入し、数21に示すようにヤコビ行列Jを算出し、ステップ20(S020)に進む。
Figure 0004716694
ステップ20においては、まず、各節点N1〜N4における流量連続式を立てる。この流量連続式は、例えば、図14に示すような、ある節点Nにおいて、この節点Nから管路に流出する水量をq、q、この節点Nに流入する水量を−q、−q、また、節点から取り出す水量をcとする(上述したように、本実施の形態における管網解析の手順は公知の節点水頭法に基づいて行うので、ここではc=0〔m/s〕とする)とき、これらの総和が、数22に示すように0になることを表している。
Figure 0004716694
したがって、節点N1〜N4についての流量連続式fN1(Q)〜fN4(Q)は数23に示すようになる。このとき、水源S1の水頭はLWL=A〔m〕、基準節点N5の水頭は0〔m〕であって、これらの水頭の値は既知であるので、ここでは水源S1および基準節点N5についての流量連続式は考慮しない。
Figure 0004716694
ここで、本実施の形態においては、c=0であるので、ステップ7において算出した管路K1、K2、K5の流量qK1、qK2、qK5と、ステップ18において算出した管路K3の始点側管路流量qs、K3、終点側管路流量qe、K3、管路K4の始点側管路流量qs、K4、終点側管路流量qe、K4の値を数23に代入し、数24を得る。
Figure 0004716694
ここで、fN1(Q)〜fN4(Q)のそれぞれの絶対値が閾値、例えば1.0×10−6よりも小さくなるいか否かを判断する。数24に示した値では、fN1(Q)〜fN4(Q)のそれぞれの絶対値が閾値1.0×10−6よりも小さくならないので、流量連続式を満たさないとして、ステップ21(S021)に進む。
上記の数23が流量連続式を満たすような管路流量の値を得るためには、ステップ19において算出したヤコビ行列Jを用いてニュートン・ラフソン法による反復計算を行う。そこで、ステップ21では、まず、上記の反復計算に用いる連立一次方程式を立てる。
数23において、qK1、qK2、qK5は、数3および数2より、節点水頭Pを用いて表すことができる。また、数23におけるqs、K3、qs、K4、qe、K3、qe、K4は、ステップ4で設定した節点N1〜N4の節点水頭の初期値P(N1)〜P(N4)の値を用い、ステップ8〜ステップ18の処理を行うことで得られることから、節点水頭Pの関数といえるので、fN1(Q)〜fN4(Q)を数25のようにおくことができる。
Figure 0004716694
したがって、ニュートン・ラフソン法による反復計算に用いる連立一次方程式を数26のように表すことができる。
Figure 0004716694
ここで、ΔP=(ΔPN1、ΔPN2、ΔPN3、ΔPN4(Tは転置行列)は、Pの値を修正する修正値であり、J、ΔP、F(P)、Pのそれぞれは、ニュートン・ラフソン法による反復計算のk回目において用いられている値とする。また、Pk+1は、数27に示す式にて求めることができる。
Figure 0004716694
数7および数25より、数26は、数28のように表すことができる。
Figure 0004716694
ただし、fN1(P)〜fN4(P)のそれぞれは、節点N1〜N4における節点水頭の初期値である。また、数21および数24より、数29を導き、
Figure 0004716694
数29の左からヤコビ行列Jの逆行列を乗じ、ΔPを算出する。
上記のようにして、連立一次方程式を解くと、次に、ステップ22に進む。ステップ22においては、数27より、今回の反復計算に用いた節点水頭の値に、算出した修正値を足し合わせることで、次回の反復計算に用いる節点水頭の値を更新する。そして、ステップ6に戻り、ステップ6〜ステップ19の処理を再び行い、ステップ20における流量連続式を満たすまで、ステップ21、ステップ22、およびステップ6〜ステップ19の処理を繰り返し行う。
ステップ20において流量連続式が満たされると、ステップ23に進み、流量連続式を満たした時における管路K1、K2、K5の流量qK1、qK2、qK5、管路K3における始点側管路流量qs、K3、終点側管路流量qe、K3、管路K4における始点側管路流量qs、K4、終点側管路流量qe、K4、また、流量連続式を満たした時の計算時に用いた節点水頭の値などを記録し、作業を終了する。
そして、以上の管網解析の結果を用いて、管網全体に大きな影響を与える重要な管路などの策定を行い、その結果を、管路の更新計画などの維持管理に用いる。
以上のように本発明によれば、給水管からの取り出し水量に応じて管路からの取り出し水量を設定することで、節点取り出しモデルのように取り出し水量を節点から取り出す場合や、管路取り出しモデルのように取り出し水量を管路からその長さ方向にわたって一様に、一定量を取り出す場合に比べて、水の取り出し状況が現実に近くなり、より現実に即した管網解析を行うことができる。これにより、管網解析の精度の向上を図ることができる。
また、2分法などを用いて始点側管路流量の値を算出するので、この始点側管路流量の値を精度よく算出できるとともに、この始点側管路流量に対応する終点側管路流量も精度よく算出することができる。
また、ニュートン・ラフソン法により収束計算を行うことで、始点側管路流量の値および終点側管路流量の値、および節点の水頭の値を精度よく算出することができる。
さらに、取り出し水量を有効水頭の大きさに依存させたことで、例えば、圧力水頭の低下する需要のピーク時や高台にある地区において水の出が悪くなるといったことを表現できるので、取り出し水量が一定の場合である従来の管網解析よりも精度よく管網解析を行うことができる。
なお、上記の管網解析方法は、節点取り出しモデルと組み合わせて計算することができる。
(a)は、本発明の管網解析方法における離散型取り出しモデルを説明する図、(b)は、図1(a)に示した場合における管路内の流量を示す図である。 図1(a)に示す管網における水源と節点とに与えられている初期データを示す図である。 図1(a)に示す管網における管路に与えられている初期データを示す図である。 LWL、動水位、損失水頭、地盤高、有効水頭の関係を示す図である。 本発明の管網解析方法を示す図である。 基準節点接続枝を形成した状態を示す図である。 開放除去可能な基準節点接続枝を除去した状態を示す図である。 図7における基準節点接続枝b5のデータを示す図である。 図7に示す管網に対する広さ優先木の検索結果を示す図である。 図1に示した離散型取り出しモデルにおいて行う計算の方法を示す図である。 図1に示した離散型取り出しモデルにおいて、始点側管路流量の上限値を決定する際における管路内の流量を示す図である。 図11に示した場合における損失水頭の大きさと、管路流量が一定の場合における損失水頭の大きさとを比較する図である。 有効水頭(圧力)と取り出し可能率(流量)との関係を表した特性曲線を示す図である。 節点における流量連続式を示す図である。 管網解析の対象となる管網を示す図である。 実際の管網では給水管によって管路から水が取り出されているということを示す図である。 (a)は、各節点から一定量の水を取り出す節点取り出しモデルを示す図、(b)は、節点取り出しモデルにおける管路内の流量を示す図である。 (a)は、各管路からその長さ方向にわたって一様に、一定の水量を取り出す管路取り出しモデルを示す図、(b)は、管路取り出しモデルにおける管路内の流量を示す図である。
符号の説明
S1 水源
N1〜N4 節点
K1〜K5 管路
PN 管網
s、Ki 始点側管路流量
e、Ki 終点側管路流量

Claims (2)

  1. 水源と、管路どうしの交点である節点と、一端および他端に前記水源または前記節点が接続される管路とのネットワーク関係から構成される管網に対して、水の需要により前記管路から取り出される水量を、前記管網における水量から減じたうえで、前記管網を構成する各管路内の流量および各節点における水圧である水頭を算出する管網解析方法において、
    前記取り出される水量を前記管網における水量から減ずる際に、前記水の需要がある管路における少なくとも一箇所から前記取り出される水量を取り出して、前記水の需要がある管路内の流量が水の流れ方向に沿って段階的に変化するようにし、
    管網における各節点の水頭の初期値を設定し、前記水頭の初期値に基づいて、水の需要がある管路における上流側の流量である始点側管路流量の下限値と上限値とを設定し、前記始点側管路流量の下限値と上限値との間の値を前記始点側管路流量の初期値として設定し、
    前記始点側管路流量の初期値に基づいて算出した節点の水頭と、前記設定した節点の水頭の初期値とに基づいて前記始点側管路流量の初期値を更新し、更新した始点側管路流量の初期値に基づいて算出した節点の水頭と、前記設定した節点の水頭の初期値とに基づいて前記更新した始点側管路流量の初期値をさらに更新する収束計算を行って、始点側管路流量の収束値を算出し、前記算出した始点側管路流量の収束値から前記取り出される水量を減じた値を管路における下流側の流量である終点側管路流量の収束値として算出し、
    算出した始点側管路流量の収束値および終点側管路流量の収束値に基づいて、設定した各節点の水頭の初期値を更新し、前記更新した各節点の水頭の初期値に基づいて、前記水の需要がある管路における始点側管路流量の収束値および終点側管路流量の収束値を更新し、前記更新した始点側管路流量の収束値および終点側管路流量の収束値に基づいて、前記更新した各節点の水頭の初期値をさらに更新する収束計算を行い、前記節点の水頭の収束値を前記節点の水頭の値として決定し、前記節点の水頭の収束値を算出したときの始点側管路流量の収束値および終点側管路流量の収束値を前記水の需要がある管路における始点側管路流量の値および終点側管路流量の値として決定することを特徴とする管網解析方法。
  2. 水の需要がある管路における少なくとも一箇所から取り出される水量が、
    前記水が取り出される箇所の海抜0mからの地盤高を前記管路における水が取り出される箇所の水頭から減じた値である圧力水頭の大きさに応じて変化することを特徴とする請求項1記載の管網解析方法。
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