JP4711355B2 - 時系列データの解析装置 - Google Patents

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Description

本発明は時系列データの解析装置に関するものである。
本発明者は、先に、時系列データを高精度に解析可能な解析装置として、例えば特許文献1、特許文献2に示されるように、最大エントロピー法(MEM)を利用した時系列データの解析手法及びその解析手法を適用したコンピュータプログラムを実行する解析装置を提案している。尚、最大エントロピー法を利用した時系列データの解析手法は、例えば非特許文献1、非特許文献2にも記載されている。
上述した解析手法は、解析対象の時系列データを一般化三角多項式により表現して解析を行うもので、概ね、時系列データに対して最大エントロピー法を適用して、高精度なパワースペクトル密度(PSD)を求め、その顕著なピークから、一般化三角多項式を解く初期値としての、項数と、各三角項の周期値を求める過程と、これらの初期値により、線形化された非線形最小自乗法を用いて、各三角項のパラメータを求めると共に、残差時系列データを求め、これらを加算して時系列データを再構成する過程とから構成されている。
この解析手法及びそれを適用した解析装置では、何らの数値モデルも想定せず、時系列データのみを用いて高精度の解析を行え、しかもその解析は、通常のパーソナルコンピュータ程度の演算能力でも十分に実用的であるという特徴を有している。
特開平5−216195号公報 特開平6−149863号公報 三宅浩次監修 高橋延昭・神山昭男・大友詔雄編、「生物リズムの構造 −MemCalcによる生物時系列データの解析−」、第1版、富士書院、1992年1月15日、p.19-39 常磐野和男・大友詔雄・田中幸雄著、「最大エントロピー法による時系列解析 …MemCalcの理論と実際…」、第1版、北海道大学図書刊行会、2002年6月25日、p.79-99
ところで上述した解析装置で解析を行う場合には、演算速度、演算精度、記憶容量等の点でコンピュータの能力に限界があるため、長大な時系列データを一括して処理するのが困難であり、この場合には、長大な時系列データを分割して処理する必要がある。一方、時系列データには、観測期間内のデータ全体に渡ってデータ構造が均一に保たれるものの他、観測期間内でデータ構造が時々刻々と変化するものがあり、後者の場合には、観測期間内のデータ全体を一括して処理するのは困難である。
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたもので、即ち、解析対象の時系列データを、そのデータ点数やデータ構造に応じて適切にセグメント化して処理を行うことにより、解析する時系列データによらず、常に適切に高精度な解析を行えるようにすることを目的とするものである。
尚、本発明が対象とする時系列データとは、実在の時系列データ、即ち、ある限られた期間に観測されたある点数の有限長離散時系列のデータであり、理論上の存在である無限長のデータや連続データは対象としない。また本発明が対象とする時系列データは、上述したような通常の時系列データの他、例えば地層断面の距離に対する輝度変化等の、空間的に連続するデータも対象とするものである。
上述した課題を解決するために、本発明では、コンピュータにプログラムを実行させることにより、このコンピュータを処理手段として機能させて入力された時系列データを解析する装置であって、
解析対象の時系列データを解析するシーケンスを決定する解析シーケンス決定手段と、
この解析シーケンス決定手段により決定された解析シーケンスに従い、上記時系列データに対して最大エントロピー法及び非線形最小自乗法による演算を行って、上記時系列データの当てはめ曲線のパラメータとしての一般化三角多項式の三角項の項数及び各三角項の振幅・周期・頂位位相を求めると共に、上記当てはめ曲線と上記時系列データとの残差を求めるデータ解析手段と、
このデータ解析手段により求めた解析結果の上記パラメータと残差を評価し、上記時系列データとの一致度の条件に適合する場合に上記パラメータと残差を、以降の処理に用いるために記憶手段に記憶する解析結果評価手段と、
上記パラメータから得られるパワースペクトル密度と最大エントロピー法を用いて求める残差のパワースペクトル密度を合成して上記時系列データの再構成スペクトルを求める再構成スペクトル計算手段と、
この再構成スペクトル計算手段により求めた再構成スペクトルを含む解析結果を出力するための解析結果構成手段の、上記各手段の処理をコンピュータに行わせる構成とし、
上記解析シーケンス決定手段は、
装置に入力された解析対象の時系列データのデータ点数を、予め設定された最大データ点数と比較して、この最大データ点数を越える場合に上記時系列データを必要回数2等分する処理を行って、上記時系列データを、上記最大データ点数を越えない大きさのセグメントに分割する第1の分割処理過程と、
この第1の分割処理過程において分割された各セグメントに対して、そのデータ構造の均一性を評価する処理を行う評価処理過程と、
この評価処理過程において、不均一と評価された上記セグメントを、上記評価処理過程と協同して、必要回数だけ、データ構造が変化している個所において2分割することにより、均一の複数のセグメントに分割処理する第2の分割処理過程と、
これらの第1の分割処理過程及び第2の分割処理過程において分割された均一のセグメントの夫々を基本セグメントとして、それらに対して、記憶手段に記憶領域を設定する処理を行う記憶領域設定処理過程から成る処理を行うように構成されており、
上記解析シーケンス決定手段の処理により、解析対象の時系列データを、その全期間データに対応する最上位レイヤーのセグメントから、順次2等分されて構成される、下位のレイヤーの夫々に含まれる2の累乗のセグメントと、最下位のレイヤーにおいて、データ構造が変化するセグメントを、データ構造の変化している個所において2分割して順次形成されるサブレイヤーの各セグメントとから成るセグメントに分割して解析の処理を行うように構成されているデータの解析装置を提案する。
また本発明では、上記の解析装置において、
解析シーケンス決定手段は、
評価処理過程において、各セグメントに対して、下式による最大エントロピー法のスペクトル密度の計算を最小ラグ値から最大ラグ値まで行って、ラグ値に対するバーグの係数Pmの推移を求め、その推移から判定して各セグメントのデータ構造の均一性の評価の処理を行うように構成されている時系列データの解析装置を提案する。
Figure 0004711355
但し、Bm(f)はラグ値mにおけるスペクトル密度、Δtはサンプリング間隔、Pmとγm(k)はバーグの係数、fは0〜ナイキスト周波数の範囲の、ある周波数である。
また本発明では、上記の解析装置において、
解析シーケンス決定手段は、不等間隔の時系列データを等間隔化処理する等間隔化処理過程の処理を行うように構成されている時系列データの解析装置を提案する。
また本発明では、上記の解析装置において、
データ解析手段は、
解析対象の時系列データから取り出した各セグメントに対して下式による最大エントロピー法のパワースペクトル密度の計算を最小ラグ値から最大ラグ値まで行って、ラグ値に対するバーグの係数Pmの推移を求める計算過程と、
この計算過程において求められ上記バーグの係数Pmの推移から、適切なラグ値を決定するラグ値決定過程と、
このラグ値決定過程において決定されたラグ値により上記パワースペクトル密度を求めるパワースペクトル密度計算過程と、
このパワースペクトル密度計算過程において求められたパワースペクトル密度から主要ピークの周波数と、そのパワーを抽出する抽出過程と、
この抽出過程において抽出された周波数とパワーとから非線形最小自乗法により当てはめ曲線のパラメータを求めるパラメータ導出過程と、
このパラメータ導出過程において求められた当てはめ曲線とセグメントデータとを比較して一致度を評価し、所定の一致度以上の場合には上記当てはめ曲線のパラメータをセグメントに対応する記憶手段に記憶して次の過程に移行し、所定の一致度に達しない場合には上記当てはめ曲線のパラメータを破棄して上記ラグ値決定過程に移行する評価過程の処理を行うように構成されている時系列データの解析装置を提案する。
Figure 0004711355
但し、Bm(f)はラグ値mにおけるスペクトル密度、Δtはサンプリング間隔、Pmとγm(k)はバーグの係数、fは0〜ナイキスト周波数の範囲の、ある周波数である。
また本発明では、上記の解析装置において、
データ解析手段は、セグメントの解析、最上位のレイヤーから最下位のレイヤーに向かって順次行うように制御され、
この際、上位のレイヤーのセグメントは、セグメント当たりのデータ点数が予め設定された最大データ点数を越えないように、解析対象の時系列データのデータ点数をバンチング処理により低減してセグメントを構成する処理を行う構成とすると共に、各レイヤーの各セグメントに対応して一時記憶領域を構成し、上位側のセグメントに対して求められた多項式パラメータを下位の各レイヤーの各セグメントの一時記憶領域に記憶すると共に、上記多項式パラメータから構成される当てはめ曲線と、原時系列データの対応部分との差演算により求められる残差時系列データを次の下位レイヤーのセグメントとして設定する処理を行うように構成されている時系列データの解析装置を提案する。
また本発明では、上記の解析装置において、
解析結果評価手段は、セグメントに対してデータ解析手段により求められた当てはめ曲線と解析対象の時系列データの対応範囲を比較して残差曲線を求めてその解析を行う残差解析過程と、
この残差解析過程により解析された残差曲線と時系列データとを比較して一致度を評価し、所定の一致度以上の場合には当てはめ曲線のパラメータと残差を所定の記憶手段に記憶して次の過程に移行し、
所定の一致度に達しない場合にはデータを破棄して、セグメントデータを次のレイヤーのセグメントに移行する評価過程とから成る処理を行うように構成されている時系列データの解析装置を提案する。
また本発明では、上記の解析装置において、
解析結果構成手段は、全ての記憶領域に記憶されている基本セグメントのパラメータと残差とから全データ領域を一括して再構成スペクトルを求めて記憶する一括解析結果構成手段と、
各記憶領域に記憶されている基本セグメントのパラメータと残差とから、基本セグメント毎に再構成スペクトルを求めて記憶するセグメント解析結果構成手段とから構成すると共に、基本セグメント毎に頂位位相の周波数依存性を解析するための頂位位相推移計算手段を構成し、
この頂位位相推移計算手段により計算した各基本セグメント毎の頂位位相の周波数依存をセグメント解析結果構成手段による再構成スペクトルと共に、基本セグメントの代表時刻の属性として記憶するように構成されている時系列データの解析装置を提案する。
また本発明では、上記の解析装置において、
再構成スペクトル計算手段は、得られたパラメータからパワースペクトル密度を求める計算において、一般化三角多項式の夫々の項の夫々につき、δ函数の原型を用いて全周波数帯に裾の広がる夫々一つのスペクトルピークを構成することにより、パラメータから得られる各周波数に対応する孤立ピーク群を構成し、その重畳として時系列データの再構成スペクトルを求める処理を行うように構成されている時系列データの解析装置を提案する。δ函数の原型としては、例えば余弦函数に微弱な雑音を加えた時系列をラグ2にて最大エントロピー法のスペクトル密度の計算を行って得られたスペクトルを利用することができる。
また本発明では、コンピュータに時系列データの解析を実行させるプログラムであって、
入力された解析対象の時系列データを解析するシーケンスを決定する解析シーケンス決定手順と、
決定された解析シーケンスに従い、上記時系列データに対して最大エントロピー法及び非線形最小自乗法よる演算を行って、上記時系列データの当てはめ曲線のパラメータとしての一般化三角多項式の三角項の項数及び各三角項の振幅・周期・頂位位相を求めると共に、上記当てはめ曲線と上記時系列データとの残差を求めるデータ解析手順と、
このデータ解析手順により求めた解析結果の上記パラメータと残差を評価し、上記時系列データとの一致度の条件に適合する場合に記憶手段に記憶する解析結果評価手順と、
上記パラメータから得られるパワースペクトル密度と最大エントロピー法を用いて求める残差のパワースペクトル密度を合成して時系列データの再構成スペクトルを求める再構成スペクトル計算手順と、
再構成スペクトル計算手順において求めた再構成スペクトルを含む解析結果を出力するための解析結果構成手順との処理をコンピュータに行わせることとし、
その際、解析シーケンス決定手順は、
入力された解析対象の時系列データのデータ点数を、予め設定された最大データ点数と比較して、最大データ点数を越える場合に上記時系列データを必要回数2等分することにより、上記時系列データを、上記最大データ点数を越えない大きさのセグメントに分割する第1の分割処理手順と、
この第1の分割処理手順において分割された各セグメントに対して、そのデータ構造の均一性を評価する評価処理手順と、
この評価処理手順において、不均一と評価された上記セグメントを、上記評価処理手順と協同して、必要回数だけ、データ構造が変化している個所において2分割することにより、均一の複数のセグメントに分割する第2の分割処理手順と、
これらの第1の分割処理手順及び第2の分割処理手順において分割された均一のセグメントの夫々を基本セグメントとして、それらに対して、記憶手段に記憶領域を設定する記憶領域設定処理手順から成る処理をコンピュータに行わせることとし、
上記解析シーケンス決定手順の処理により、解析対象の時系列データを、その全期間データに対応する最上位レイヤーのセグメントから、順次2等分されて構成される、下位のレイヤーの夫々に含まれる2の累乗のセグメントと、最下位のレイヤーにおいて、データ構造が変化するセグメントを、データ構造の変化している個所において2分割して順次形成されるサブレイヤーの各セグメントとから成るセグメントに分割してコンピュータに解析を行わせることとした時系列データの解析用コンピュータプログラムを提案する。
また本発明では、上記のコンピュータプログラムにおいて、
解析シーケンス決定手順の評価処理手順は、
各セグメントに対して、下式による最大エントロピー法のスペクトル密度の計算を最小ラグ値から最大ラグ値まで行って、ラグ値に対するバーグの係数Pmの推移を求め、その推移から判定して各セグメントのデータ構造の均一性の評価の処理をコンピュータに行わせることとした時系列データの解析用コンピュータプログラムを提案する。
Figure 0004711355
但し、Bm(f)はラグ値mにおけるスペクトル密度、Δtはサンプリング間隔、Pmとγm(k)はバーグの係数、fは0〜ナイキスト周波数の範囲の、ある周波数である。
また本発明では、上記のコンピュータプログラムにおいて、
解析シーケンス決定手順には、不等間隔の時系列データを等間隔化処理する等間隔化処理手順を備えている時系列データの解析用コンピュータプログラムを提案する。
また本発明では、上記のコンピュータプログラムにおいて、
データ解析手順は、解析対象の時系列データから取り出したセグメントに対して、下式による最大エントロピー法のパワースペクトル密度の計算を最小ラグ値から最大ラグ値まで行って、
ラグ値に対するバーグの係数Pmの推移を求める計算過程と、
この計算過程において求められ上記バーグの係数Pmの推移から、適切なラグ値を決定するラグ値決定過程と、
このラグ値決定過程において決定されたラグ値により上記パワースペクトル密度を求めるパワースペクトル密度計算過程と、
このパワースペクトル密度計算過程において求められたパワースペクトル密度から主要ピークの周波数と、そのパワーを抽出する抽出過程と、
この抽出過程において抽出された周波数とパワーとから非線形最小自乗法により当てはめ曲線のパラメータを求めるパラメータ導出過程と、
このパラメータ導出過程において求められた当てはめ曲線とセグメントデータとを比較して一致度を評価し、所定の一致度以上の場合には上記当てはめ曲線のパラメータをセグメントに対応する記憶手段に記憶して次の過程に移行し、所定の一致度に達しない場合には上記当てはめ曲線のパラメータを破棄して上記ラグ値決定過程に移行する評価過程から成る処理をコンピュータに行わせることとした時系列データの解析用コンピュータプログラムを提案する。
Figure 0004711355
但し、Bm(f)はラグ値mにおけるスペクトル密度、Δtはサンプリング間隔、Pmとγm(k)はバーグの係数、fは0〜ナイキスト周波数の範囲の、ある周波数である。
また本発明では、上記のコンピュータプログラムにおいて、
データ解析手順におけるセグメントの解析は、最上位のレイヤーから最下位のレイヤーに向かって順次行わせることとし、
この際、上位のレイヤーのセグメントは、セグメント当たりのデータ点数が予め設定された最大データ点数を越えないように、解析対象の時系列データのデータ点数をバンチング処理により低減してセグメントのデータとして構成する処理を行うと共に、各レイヤーの各セグメントに対応して一時記憶領域を構成し、上位側のセグメントに対して求められた当てはめ曲線のパラメータを下位の各レイヤーの各セグメントの一時記憶領域に記憶すると共に、上記パラメータから構成される当てはめ曲線と、原時系列データの対応部分との差演算により残差時系列データを求めて、次の下位レイヤーのセグメントデータとして設定する処理をコンピュータに行わせることとした時系列データの解析用コンピュータプログラムを提案する。
また本発明では、上記のコンピュータプログラムにおいて、
解析結果評価手順は、セグメントに対してデータ解析手順により求められた当てはめ曲線と解析対象の時系列データの対応範囲との差演算により残差曲線を求めてその解析を行う残差解析過程と、
残差解析過程により解析された残差曲線と時系列データとを比較して一致度を評価し、所定の一致度以上の場合には上記当てはめ曲線のパラメータと残差を所定の記憶手段に記憶して次の過程に移行し、所定の一致度に達しない場合にはデータを破棄して、セグメントのデータを次のレイヤーのセグメントに移行する評価過程の、各過程の処理をコンピュータに行わせることとした時系列データの解析用コンピュータプログラムを提案する。
また本発明では、上記のコンピュータプログラムにおいて、
解析結果構成手順は、全ての記憶領域に記憶されている基本セグメントのパラメータと残差とから全データ領域を一括して再構成スペクトルを求めて記憶する一括解析結果構成手順と、
各記憶領域に記憶されている基本セグメントのパラメータと残差とから、基本セグメント毎に再構成スペクトルを求めて記憶するセグメント解析結果構成手順とから構成されると共に、
基本セグメント毎に頂位位相の周波数依存性を解析するための頂位位相推移計算手順が構成され、この頂位位相推移計算手順により計算した各基本セグメント毎の頂位位相の周波数依存をセグメント解析結果構成手順による再構成スペクトルと共に、基本セグメントの代表時刻の属性として記憶する手順の処理をコンピュータに行わせることとした時系列データの解析用コンピュータプログラムを提案する。
また本発明では、上記のコンピュータプログラムにおいて、
再構成スペクトル計算手順は、得られたパラメータからパワースペクトル密度を求める計算において、一般化三角多項式の夫々の項の夫々につき、δ函数の原型を用いて全周波数帯に裾の広がる夫々一つのスペクトルピークを構成することにより、パラメータから得られる各周波数に対応する孤立ピーク群を構成し、その重畳として時系列データの再構成スペクトルを求める手順をコンピュータに行わせることとした時系列データの解析用コンピュータプログラムを提案する。この場合、δ函数の原型としては、例えば余弦函数に微弱な雑音を加えた時系列をラグ2にて最大エントロピー法のスペクトル密度の計算を行って得られたスペクトルを利用することができる。
また本発明では、以上に記載されたコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提案する。
請求項1、10の発明によれば、解析シーケンス決定手段又は手順により、解析対象の時系列データを、その全体のデータ点数に応じて分割して解析装置の演算能力に適合させると共に、データ構造が変化している部分においてセグメントに分割することにより、セグメント中にデータ構造が変化している部分を無くすことにより、これらの均一なセグメントにつき、データ解析手段又は手順により高精度に解析を行うことができる。
更に、請求項1、10の発明によれば、セグメントは、解析シーケンス決定手段又は手順により、解析対象の時系列データの全期間データに対応する、最上位レイヤーのセグメントから、順次2分割されて構成される、下位のレイヤーの夫々に含まれる2の累乗のセグメントと、最下位のレイヤーにおいて、データ構造が変化するセグメントを、データ構造の変化している個所において分割して順次形成されるサブレイヤーの各セグメントとから構成するため、解析装置の演算能力と時系列データのデータ構造の両方に対応して、合理的に時系列データのセグメント化を行うことができ、自動化も容易である。
請求項2、11の発明によれば、データ構造の均一性を容易に評価することができる。
請求項3、12の発明によれば、原時系列データが不等間隔の場合にも、等間隔化することにより、最大エントロピー法のスペクトル密度の計算を行うことができる。一方、非線形最小自乗法により当てはめ曲線のパラメータを求めるパラメータの導出においては、必要に応じて、等間隔化した時系列データか、不等間隔の原時系列データをそのまま使用することができる。
請求項4、13の発明によれば、データ解析手段又は手順において、求められた当てはめ曲線とセグメントデータとを比較して一致度を評価し、所定の一致度以上の場合には上記当てはめ曲線のパラメータをセグメントに対応する記憶手段に記憶して次の過程に移行し、所定の一致度に達しない場合には上記当てはめ曲線のパラメータを破棄して上記ラグ値を決定する過程に移行する評価過程とを備えており、パラメータの導出と、その評価を繰り返すことにより、より高精度の当てはめ曲線を求めることができる。
請求項5、14の発明によれば、解析対象の時系列データの全体のデータ点数を一括して処理するのには、解析装置の演算能力が足りない場合であっても、バンチング処理によりデータ点数を低減することにより、最上位のレイヤーのセグメントデータ、即ち、解析対象の時系列データの全体の一括した解析が可能であり、従って時系列データの全体に渡る長周期の解析が可能であると共に、上位のレイヤーの解析により得られた当てはめ曲線と、原時系列データの対応部分との差演算により求められる残差時系列データを次の下位レイヤーのセグメントデータとして設定して、順次解析を行うので、最下位又はサブレイヤーのセグメントデータにより、バンチング処理によるデータ点数の低減がない、そのままの時系列データに対しての解析を行うことができる。
請求項6、15の発明によれば、解析結果評価手段又は手順において、得られた当てはめ曲線が、解析対象の時系列データの対応範囲と、所定の一致度に達しない場合にはデータを破棄して、セグメントデータを次のレイヤーのセグメントに移行して、処理に供されるので、上位のレイヤーにおいて一致度の高い当てはめ曲線が求まらない場合でも、不都合が生じず、下位のレイヤーにおいての処理により、一致度の高い当てはめ曲線を得ることができる。
請求項7、16の発明によれば、解析結果構成手段又は手順により、解析対象の時系列データを、一括した解析結果と、各セグメント毎の解析結果として出力することができる。
請求項8、9、17、18の発明によれば、理論形式では有限離散値を扱うコンピュータで構成することができない線スペクトル列となる時系列データのスペクトルを、ピーク周波数から離れるに従って急減する連続関数、例えば余弦函数に微弱な雑音を加えた時系列をラグ2にて最大エントロピー法のスペクトル密度の計算を行って得られたスペクトルをδ函数の原型として利用して再構成することにより、コンピュータを利用して、理論と整合する時系列データの解析を行うことができる。
次に本発明に係る時系列データの解析装置の最良の形態を、添付した図1〜図21を参照して説明する。
本発明に係る解析装置1は、上述した解析手法を適用するため、解析対象の時系列データ(以降、必要に応じて原時系列データと称する)を一般化三角多項式により表現して解析を行うように構成されており、概ね、原時系列データに対して最大エントロピー法を適用して、高精度なパワースペクトル密度(PSD)を求め、その顕著なピークから、一般化三角多項式を解く初期値としての、項数と、各三角項の周期値を求める過程と、これらの初期値により、線形化された非線形最小自乗法を用いて、各三角項のパラメータを求めると共に、残差時系列データを求め、これらを加算して時系列データを再構成する過程を実行するように構成されている。
即ち、本発明に係る解析装置1においては、原時系列データは、次式の一般化三角多項式で表現される。
Figure 0004711355
ここで、x(t)は原時系列データ、即ち、有限長離散時系列のデータを示し、Lは項数、ajは振幅、Tjは周期、φjは頂位位相、εx(t)は雑音成分を示しており、上述した一般化三角多項式のパラメータは、これらの項数(モード数)、各項の振幅aj、周期Tj及び頂位位相φjから成る。尚、頂位位相とは、そのモードの値が極大を示す時刻で、そのモードの周期ごとに現れる時刻のうちの一つを示している。
図1は本発明に係る解析装置1の実施の形態を模式的に表した全体構成の説明図であり、図中矢印により処理の流れを模式的に表している。
図に示すように、この実施の形態に係る解析装置1は、原時系列データを解析するシーケンスを決定する解析シーケンス決定手段2と、この解析シーケンス決定手段2により決定された解析シーケンスに従い、最大エントロピー法及び非線形最小自乗法によりデータを解析して一般化三角多項式のパラメータと残差を求めるデータ解析手段3と、データ解析手段3により求めた解析結果を評価し、条件に適合する場合に、予め設定された記憶手段に記憶する解析結果評価手段4と、これらの解析シーケンス決定手段2と、データ解析手段3と、解析結果評価手段4を統合的に制御して、必要な繰り返し演算等を行わせるための制御手段5と、上記パラメータから得られるパワースペクトル密度と最大エントロピー法を用いて求める残差のパワースペクトル密度を合成して時系列データの再構成スペクトルを求める再構成スペクトル計算手段6と、頂位位相の推移を計算する頂位位相推移計算手段7と、出力するデータの準備等に係る計算を行う、その他計算手段8と、これらの各計算手段6〜8を用いて、出力するデータ解析手段3の解析結果を構成する解析結果構成手段9とから構成されている。
後述するように、解析シーケンス決定手段2は、解析シーケンスの一つとして、原時系列データの全期間データのデータ点数やデータ構造等に応じて、それを複数レイヤーに構成した、データ構造の均一な複数のセグメントに分割すると共に、分割された均一なセグメントの夫々を基本セグメントとして、それらに対応して記憶手段に記憶領域を設定する過程を有し、この分割されたセグメントに取り込まれた原時系列データについてデータ解析手段3において解析されるものである。そしてデータ解析手段3において各セグメントの原時系列データについて得られた解析結果は、対象とする時系列データ全体を一括する一括解析結果と、セグメント解析結果として構成されるものであり、このために上記解析結果構成手段9は、前者に対応する一括解析結果構成手段9aと、後者に対応するセグメント解析結果構成手段9bとから構成されている。
図2は本発明に係る解析装置1から出力される解析結果を模式的に示すものであり、原時系列データの全期間に渡ってデータ構造が保たれる一括の解析結果10と、原時系列データの期間内でデータ構造が時々刻々と変動し、原時系列データの全期間を網羅する複数のセグメント毎に得られる解析結果11とから構成される。従って、前者の解析結果10は時間依存がなく、後者の解析結果11は時間依存を有するものである。
解析結果10において、一般化三角多項式パラメータaは、上述した一般化三角多項式の項数、振幅、周期及び頂位位相であり、これらのパラメータaから、周期的に変動する曲線、即ち、多項式パラメータによる最適あてはめ曲線bと、そのスペクトル、即ち、多項式パラメータによる再構成スペクトルcが構成され、これに残差と残差のスペクトルdによる残差成分を加算することにより、原時系列データが再構成される。
一方、解析結果11においては、一般化三角多項式パラメータeと、多項式パラメータによる再構成スペクトルfと、多項式パラメータによる頂位位相gとが夫々各セグメント毎に構成され、従って再構成スペクトルfと頂位位相gの時間変動が構成される。
次に解析装置1の、上述した各構成要素の動作を説明する。
まず図3、図4は解析シーケンス決定手段2における処理の流れを示す流れ図であり、図5は解析シーケンス決定手段2により決定されたレイヤーとセグメントの構成例を模式的に示すものである。
まず解析装置1にステップS1において原時系列データが入力されると、解析シーケンス決定手段2は、まずステップS2において、一つのセグメントが配置されるレイヤーを設定する。この一つのセグメントが配置されるレイヤーは必ず設定されるものであるので、その設定時点はステップS2の時点でなくとも良い。
次にステップS3では、入力された原時系列データの全期間のデータ点数が、予め設定されている最大データ点数を越えているか、否かを判定する。
この最大データ点数は、後述する基本セグメントに取り込んで解析が行われる最大データ点数であるが、一般に、各セグメントに取り込んで同時に解析するデータ点数が小さすぎるとデータの構造の抽出が困難となり、逆に大きすぎると過剰なデータ構造が抽出されてしまうため、最適なデータ点数とするのが高精度の解析結果を得るためには好ましい。一方、解析に最適なデータ点数は、取り込んだデータの周期性が強いか否かによっても異なり、また解析装置1を構成する演算手段の演算速度や演算精度等によってもデータ点数が制限される。
このようなことから、最大データ点数としては、それまでの多数の時系列データの解析により蓄積された知見等から得られた値が設定される。尚、この最大データ点数は、後述する各評価手段による評価の結果をフィードバックして変更可能とし、変更された最大データ点数に基づいてステップS3及びそれ以降の処理を行うようにすることもできる。また最大データ点数は、操作者により設定可能とすることもできる。
尚、不等間隔の原時系列データに対して、自動的に解析を行えるようにするために、不等間隔の原時系列データを、補間や補完等の手法を用いて等間隔化するステップを、ステップS3またはそれに先行して設けることができる。
ステップS3において、入力された時系列データの全体のデータ点数が、予め設定されている最大データ点数を越えていないと判定された場合には、一つのセグメントが配置された一つのレイヤーが設定された状態で、結合子Aを経て図4のステップS6に移行する。
一方、ステップS3において、入力された時系列データの全体のデータ点数が、予め設定されている最大データ点数を越えていると判定された場合には、ステップS4に移行し、そのステップS4において、それまでに設定された上位のレイヤーの下位にレイヤーを追加し、その下位のレイヤーには、上位のレイヤーのセグメント数の2倍のセグメントを配置して、ステップS5に移行する。
ステップS5では、入力された原時系列データの全期間データが、ステップS4において配置された全セグメントに等分されて取り込まれた場合の各セグメント毎のデータ点数が上記最大データ点数を越えているか、否かを判定する。
ステップS5において、各セグメントのデータ点数が、上記最大データ点数を越えていると判定された場合には、ステップS4に移行して、更に下位のレイヤーが追加され、一方、各セグメントのデータ点数が、上記最大データ点数を越えていないと判定された場合には、結合子Aを経て図4のステップS6に移行する。
以上の各ステップにおける処理を経て、原時系列データを、予め設定された最大データ点数を越えないようにセグメントに取り込むための、レイヤーとセグメントの構成が得られ、構成された単数又は順次配列された複数のセグメントが、原時系列データの全期間を網羅する。従って以上のステップの処理は、上述した分割処理過程に相当する。
次いでステップS6では、最下位のレイヤーのセグメントに原時系列データの対応部分が取り込まれ、セグメントデータが構成される。
次いでステップS7では、セグメントデータに対して、次式の最大エントロピー法のスペクトル密度の計算を最小ラグ値から最大ラグ値まで行い、ラグ値に対するバーグの係数Pmの推移をステップS8において評価する。
Figure 0004711355
ここで、Bm(f)はラグ値mにおけるスペクトル密度、Δtはサンプリング間隔、Pmとγm(k)はバーグの係数、fは0〜ナイキスト周波数の範囲の、ある周波数である。
後に例示するように、係数Pmは、ラグ値が増大するに従って単調減少する量であり、ホワイトノイズ的な時系列データでは、この減少は極めてゆるやかであるのに対して、三角関数波に一定量の雑音を重畳した時系列データや、その他の通常観測されるように周期性を有する成分を含む時系列データでは、係数Pmの減少はやや大きくなる。また、周期性を有する成分の他に雑音を含まないか、またはごくわずかに含む三角関数波として記述されるような極めて周期性の高い時系列データでは、係数Pmの減少は極めて急激におこり、最小ラグ値に対する係数Pmの値と、最大ラグ値(セグメントデータのデータ点数−1)に対する係数Pmの比は7〜10桁以上に達する。
そして、セグメントデータの全期間に渡ってデータ構造が変化せず、均一な時系列データでは、係数Pmは最小のラグ値から増大する際に、最初急激に減少した後に、プラトー領域に至って最大ラグ値まで緩やかに漸減するのに対して、セグメントデータの期間内においてデータ構造が変化する不均一な時系列データでは、プラトー領域において、係数Pmの急激な変化が生じる。
そこでステップS8においては、セグメントデータの評価として、a:最小ラグ値に対する係数Pmの値と、最大ラグ値に対する係数Pmの比を算出し、その値を設定値と比較して、セグメントデータの周期性の強さを評価することと、b:プラトー領域における急激な値の変化を検出して、データ構造の変化を検出することが行われる。
ステップS8においてデータ構造が均一であると判定された場合には、ステップS9に移行して、データ構造を評価したセグメントを基本セグメントとして設定し、次いでステップS10に移行して、全てのセグメントに対してセグメントデータのデータ構造の評価が完了したか否かを判定し、完了していない場合にはステップS6に移行して、次のセグメントに対しての上述した処理が行われる。
一方、ステップS8においてデータ構造が不均一であると判定された場合には、ステップS11に移行し、ステップS11においては、ステップS8において評価されたセグメントのレイヤーの下位にサブレイヤーを構成し、このサブレイヤーに、データ構造の変化している個所において2分割したセグメントを配置する。
次いでステップS6に移行して、ステップS11において構成されたサブレイヤーに配置された2つのセグメントに対して、上述と同様な処理が行われる。即ち、ステップS8において、サブレイヤーのセグメントのデータ構造が均一であると判定された場合には、このセグメントもステップS10において基本セグメントとして設定され、一方、データ構造が不均一であると判定された場合には、サブレイヤーの下位に更にサブレイヤーが構成され、このサブレイヤーに、データ構造の変化している個所において2分割したセグメントが配置され、更にステップS6に移行して上述と同様な処理が行われる。
こうしてステップS10において、サブレイヤーのセグメントを含む全てのセグメントに対してセグメントデータのデータ構造の評価が完了したか否かを判定し、完了と判定された場合には、ステップS12に移行し、ステップS9において基本セグメントとして設定された全てのセグメントに対応して、記憶手段に記憶領域を設定し、初期化がされて、解析シーケンスが完成する。
図5は、ある解析対象の時系列データに対して、解析シーケンス決定手段2が決定したレイヤーとセグメントの構成を模式的に示すものであり、レイヤーは、時系列データの全期間データに対応する一つのセグメントが配置されるレイヤー0の下位に、レイヤーN(N:自然数)まで、N+1層のレイヤーが構成されており、また、レイヤーNのセグメント3に対応してサブレイヤー1が構成されている。こうしてレイヤーNの、セグメント3を除く全てのセグメントが基本セグメントとして設定され、またレイヤーNのセグメント3が分割された、サブレイヤー1の2つのセグメントが基本セグメントとして設定されている。そしてこれらの基本セグメントの全てに対応して記憶手段に記憶領域が設定されている。
データ解析手段3は、解析シーケンス決定手段2により上述したように決定されたレイヤーとセグメントの構成に基づき、セグメントに取り込まれた原時系列データ、即ち、セグメントデータの解析を行う。
データ解析手段3によるセグメントデータの解析は、最上位のレイヤー0から最下位のレイヤーN及びサブレイヤー1に向かって順次同様な処理の流れで行われるが、この際、上位のレイヤーのセグメントのセグメントデータは、上述したようにセグメント当たりのデータ点数が予め設定された最大データ点数を越えないように、原時系列データのデータ点数をバンチング処理により低減してセグメントデータを構成して処理が行われる。例えばレイヤー0のセグメントには、バンチング処理により、原時系列データの全期間のデータ点数を1/2に低減したデータをセグメントデータとして取り込み、レイヤー1のセグメントには、原時系列データの全期間のデータ点数を1/2N−1に低減したデータをセグメントとして取り込む。
更に、上位のレイヤーにおける各セグメントの解析結果中、上位側のセグメントに対して求められたパラメータは、その上位のセグメントに対応する全ての基本セグメントの記憶領域に同様に順次記憶されて行く。一方、上記パラメータから構成される当てはめ曲線と、原時系列データの対応部分との差演算により求められる残差時系列データは次の下位レイヤーのセグメントデータとして設定して解析が行われる。
そこで、データ解析手段3及び解析結果評価手段4における各セグメントの解析処理の流れを図6、図7の流れ図につき説明する。
まずステップS101では、セグメントに原時系列データの対応部分が取り込まれて、セグメントデータが構成される。この際、レイヤー0〜N−1のセグメントの場合には、上述したとおり、バンチング処理によるデータ点数の低減が行われる。
次いでステップS102では、ステップS101において取り込まれたセグメントデータに対して、上述のステップS8と同様に最大エントロピー法のスペクトル密度(MEM-PSD)の計算を最小ラグ値から最大ラグ値まで行い、夫々のラグ値に対するバーグの係数Pmの推移を算出する。
次いでステップS103では、上述のステップS9と同様に、ラグ値に対するバーグの係数Pmの推移を評価し、それに基づいて最大エントロピー法によるパワースペクトル密度の計算に用いるM個のラグ値を決定する。このラグ値は単数又は複数で良い。
このラグ値の決定は、例えば、a:周期性の強いデータ、即ち最小ラグ値に対する係数Pmの値と最大ラグ値に対する係数Pmの比が大きい場合には、ラグ値を50%以内とし、データ点数が多い場合には、より小さなラグ値とする、b:周期性の弱い場合には、ラグ値は50%以上で、時系列の構造を効率的に取り出すために75%までとし、データ点数が少ない場合には、より大きなラグ値とする、等のラグ値決定のための条件や、その他、数多くの時系列データにおける解析から得られた知見を知識ベースとして記憶しておき、上述したバーグの係数Pmの評価結果から知識ベースを用いて、単数又は複数のラグ値を自動的に決定する構成とすることができる。この他、解析装置1のインタラクティブな操作により人がラグ値の決定を行うようにすることができる。
次いでステップS103で決定されたM個のラグ値の夫々につき、ステップS104において、上述した文献等に開示される最大エントロピー法によるパワースペクトル密度(MEM-PSD)の計算を行う。
次いでステップS105では、ステップS104において算出したM個のパワースペクトル密度の夫々から、適数の主要なピークと、そのパワーを抽出する。この主要なピーク及びそのパワーの抽出動作においても、ステップS103におけるラグ値の決定動作と同様に知識ベースを利用した自動的な抽出の他、解析装置1のインタラクティブな操作により人がラグ値の決定を行うようにすることもできる。
次いでステップS106では、ステップS105で抽出した主要ピークの周波数の逆数を周期の初期値として、非線形最小自乗法により、複数の当てはめ曲線とそのパラメータが算出される。
次いでステップS107は、ステップS106で求められた当てはめ曲線のパラメータを、初期値と比較して一致度を評価する。この一致度の評価は、例えば、当てはめ曲線の各周期のモードのパワー(振幅の自乗の1/2)を、上記主要ピークのパワーで除した値により評価する。
このようにしてステップS107において、最も一致度の高い当てはめ曲線を最適当てはめ曲線として選択する。
次いでステップS108では、ステップS107において選択された最適当てはめ曲線のパラメータの一致度が、予め設定された一致度以上であるか否かを判定し、設定された一致度以上でない場合には、ステップS111においてラグ値の再設定指示を行ってステップS103に移行し、また予め設定された一致度以上である場合には、ステップS109に移行して、ステップS107において選択された最適当てはめ曲線を、解析結果評価手段4により評価する。
図6においてステップS109として示す解析結果評価手段4による評価は、図7の流れ図に示す流れで行われる。
まずステップS112では、ステップS107において選出されたパラメータにより、最適当てはめ曲線を再構成し、そのデータ期間に対応する原時系列データとの差の演算を行い、残差曲線を求める。また当てはめ曲線の再現性を評価する諸量、ここでは標準偏差と残差パワーの時間依存が求められる。
次いでステップS113においては、ステップS112において求めた当てはめ曲線の再現性を評価する諸量に基づいて、最適当てはめ曲線と、原時系列データの対応部分が十分に一致しているか否かを判定する。
ステップS113において十分に一致していると判定された場合には、ステップS114に移行し、求められたパラメータは、そのセグメントに対応する全ての基本セグメントの記憶領域に同様に順次記憶されて行く。一方、上記パラメータから構成される当てはめ曲線と、原時系列データの対応部分との差演算により求められる残差時系列データは次の下位のレイヤーのセグメントデータとして設定された後、ステップS109の処理が終了する。
一方、ステップS113において十分に一致していないと判定された場合には、ステップS115に移行し、セグメント解析結果は破棄し、そのセグメントデータを、そのまま次のレイヤーのセグメントに設定した後、ステップS109の処理が終了する。
このような処理を行うことにより、一括した解析処理では、十分に一致する当てはめ曲線が得られないセグメントデータは、順次、下位の2つのセグメントに分割されて設定され、次は分割された夫々のセグメントデータとして解析処理されるため、一括した解析処理では、データ構造の変動により十分に一致する当てはめ曲線が得られないセグメントデータであっても、最終的にはサブレイヤーの基本セグメントにおいて、十分に一致する当てはめ曲線を求めることができる。
ステップS109の処理が終了すると、次にステップS110に移行して、全てのセグメントの解析が終了したか否かを判定し、終了していない場合には、ステップS101に移行して、次のセグメントの解析を行い、全てのセグメントの解析処理が終了している場合には、セグメント解析が終了する。
次に、上述したとおり、一括解析結果構成手段9aは、再構成スペクトル計算手段6とその他計算手段8を利用して図2に示すような解析結果10を構成し、またセグメント解析結果構成手段9bは、再構成スペクトル計算手段6と、頂位位相推移計算手段7と、その他計算手段8を利用して図2に示すような解析結果11を構成するものであり、そこでこれらの計算手段6、7の動作を次に説明する。
まず図8は一括解析結果構成手段9aにより利用されている場合の再構成スペクトル計算手段6の動作を説明する模式的流れ図であり、まずステップS201では、全ての記憶領域1〜記憶領域2Nに保存されている全てのパラメータ(振幅aj及び周期Tj)と残差時系列データεx(t)を取り出す。尚、取り出されたパラメータの個数は図中に示すように便宜的にL個としている。
次いで、ステップS202において、時系列データのエネルギーを保存するため、L個のパラメータ、即ち、夫々L個の振幅aj及び周期Tjの規格化を行う。この規格化は、解析シーケンス決定手段2よりサブレイヤーが構成されておらず、従って全ての基本セグメントのデータ期間が等しい長さの場合には、全てのモードの振幅ajの自乗を基本セグメントの個数2Nで除して、その平方根を新たな振幅ajとすることで規格化を行うことができる。一方、サブレイヤーが構成されており、従ってデータ期間の長さが異なる基本セグメントが含まれる場合には、全ての基本セグメントについて、対応する記憶域に記された全モードの振幅ajを自乗すると共に、この値に、モードの属する基本セグメントの長さと、全期間の長さの比を乗じ、得られた積の平方根を新たな振幅ajとすることで規格化を行うことができる。
このようにして規格化されたL個のパラメータ(振幅aj及び周期Tj)の夫々により、ステップS203において、中心周波数1/Tjにピークをもつ孤立ピーク列Pj、即ち図に示される孤立ピーク列( P1 … Pj … PL )を構成する。
この際、孤立ピーク列( P1 … Pj … PL )は、δ函数の原型を用いて全周波数帯に裾の広がる夫々一つのスペクトルピークを構成することにより、パラメータから得られる各周波数に対応する孤立ピーク群を構成する。このように、理論形式では有限離散値を扱うコンピュータで構成することができない線スペクトル列となる時系列データのスペクトルを、ピーク周波数から離れるに従って急減する連続関数、例えば余弦函数に微弱な雑音を加えた時系列をラグ2にて最大エントロピー法のスペクトル密度の計算を行って得られたスペクトルをδ函数の原型として利用して再構成することにより、コンピュータを利用して、理論と整合する原時系列データの再構成スペクトルを求めることができる。
一方、残差時系列データεx(t)については、ステップS204において、最大エントロピー法のスペクトル密度(MEM-PSD)の計算を行い、得られたスペクトル密度と、ステップS203で得られた孤立ピーク列をステップS205において重畳して合成することにより、再構成スペクトルが計算される。
次に図9はセグメント解析結果構成手段9bにより利用されている場合の再構成スペクトル計算手段6と頂位位相推移計算手段7の動作を説明する模式的流れ図である。
まずステップS301では、基本セグメントに対応する記憶領域1〜2Nのいずれかが選択され、それに記憶されている、対応する基本セグメントの代表時刻、パラメータ、残差データが取り出される。最初は最も早い代表時刻の記憶領域1の記憶内容が取り出され、次いで後述する繰り返し処理により、順次、時間が経過した基本セグメントに対応する記憶領域の内容が取り出されて、全ての記憶領域の内容が取り出される。
取り出された記憶領域のデータ中、パラメータ(振幅aj及び周期Tj)と残差時系列データεx(t)は再構成スペクトル計算手段6に入力され、またパラメータ(周期Tj及び頂位位相φj)は頂位位相推移計算手段7に入力されて処理に供される。
再構成スペクトル計算手段6に入力されたパラメータ(振幅aj及び周期Tj)は、一括解析結果構成手段9aにより利用されている場合の上述したステップS202の振幅の規格化の処理は行われず、ステップS203と同様に、ステップS302において、中心周波数1/Tjにピークをもつ孤立ピーク列Pj、即ち図に示される孤立ピーク列( P1 … Pj … PL )を構成する。
一方、残差時系列データεx(t)については、ステップS303において、最大エントロピー法のスペクトル密度(MEM-PSD)の計算を行い、得られたスペクトル密度と、ステップS302で得られた孤立ピーク列をステップS304において合成することにより、再構成スペクトルが計算される。
一方、頂位位相推移計算手段7に入力されたパラメータ(周期Tj及び頂位位相φj)は、ステップS305において解析されて、周波数と頂位位相との対応関係から、基本セグメントの代表時刻に対する頂位位相の周波数依存が得られる。
これらの得られた解析結果は、ステップS306において所定の記録領域に、基本セグメントの代表時刻の属性として記録される。
次いでステップS307では、全ての基本セグメントに対応する記憶領域のデータが解析されたか否かが判定され、解析されていない記憶領域が残っている場合には、結合子Bを経てステップS301に移行して、次の記憶領域の解析が行われる。一方、ステップS307において、全ての基本セグメントに対応する記憶領域のデータが解析されている場合には、終了処理が行われる。
次に以上に説明した本発明の解析装置の動作を具体例につき説明する。
解析する時系列データは、図10に示すもので、データは48時間201点の時系列データである。図から分かるように、24時間モードは、時刻24時においてその位相を反転させている。
まず図10に示される時系列データが解析装置1に入力されると、解析シーケンス決定手段2は上述したように図3、図4に示される処理過程を経て解析シーケンスを決定する。
この解析装置1では、演算処理の精度上、例えば最大データ点数が300点に設定されているとすると、入力された原時系列データのデータ点数は201点であり、原時系列データのデータ点数が最大データ点数以下であるため、図3のステップS3を経て、レイヤーは一層のみ設定され、このレイヤーに一つのセグメントが配置される。
次いでステップS6において、原時系列データの全期間データがセグメントに取り込まれる。次いでステップS7において、最大ラグ値(200点)までバーグの係数Pmの推移が計算される。図11が係数Pmの推移を示すものである。
次いでステップS8において係数Pmの挙動が解析される。まず、最初と最後の係数Pmの比が計算され、その結果、それが10桁を超えるために「周期性の強いデータである」と判断される。
次いで解析シーケンス決定手段2は、係数Pmの推移を解析し、通常、係数Pmは最初急激に減少したのちに最大ラグ値まで漸減するのに対して、入力された原時系列データでは、ラグ値3〜100(対応するデータ点数は4〜101点)の領域で殆ど係数Pmが減少せず、直後に急激に減少して、その後最大ラグ値ちかくまで再びプラトー領域を形成することから、101点を超える付近でデータ構造が変化していることを検出する。
従って解析シーケンス決定手段2は、ステップS11の処理に移行し、サブレイヤーを構成し、データ構造の変化している個所において2分割したセグメントを構成する。
次いでステップS6に移行して、ステップS11において分割されたセグメントの夫々につき、順次ステップS8により、データ構造の均一性を評価する。
尚、分割されたサブレイヤーのセグメントの境界にデータが位置しているため、このデータは隣接するセグメントに重複して取り込まれ、結果としてサブレイヤーの各セグメントのデータ点数は、いずれも101点となる。
まず時間が早い方のセグメントデータについてのステップS8の評価において、係数Pmの推移を計算すると図12に示すように推移し、係数Pmの値はラグ値0から7までで14桁ほど減衰し、上述したようなプラトー領域での急激な減衰領域の存在を検出しない。従って解析シーケンス決定手段2は、ステップS9において、このセグメントを基本セグメントとして設定する。ステップS10からステップS6を経て、時間が遅い方のセグメントデータについても同様な評価がなされ、このセグメントについてもステップS9において基本セグメントとして設定する。
次いで、ステップS10において評価が完了と判定され、ステップS12に移行して、ステップS9において基本セグメントとして設定された全てのセグメントに対応して、記憶手段に記憶領域が設定され、初期化がされて、解析シーケンスが完成する。尚、記憶領域の初期化において、それに対応する基本セグメントがステップS8において「極めて周期性が強い」と判断された場合には、記憶領域にその情報が書き込まれる。
図13は解析シーケンス決定手段2が決定したレイヤーとセグメントの構成を模式的に示すものであり、レイヤーは、時系列データの全期間に対応する一つのセグメント1が配置されるレイヤー0の下位に、サブレイヤー1が構成され、このサブレイヤー1の2つのセグメントが基本セグメント1、2として設定されている。そしてこれらの基本セグメント1、2に対応して記憶手段に記憶領域1、2が設定されている。
次いでデータ解析手段3は、図6の流れ図に示す処理過程により各セグメントの解析を行う。この実施例においては、まず最初にレイヤー0のセグメントについてセグメント解析が実行されるが、レイヤー0のセグメント1が含むサブレイヤーの2つの基本セグメント1、2はともに極めて周期性の強いデータであると判別されていることから、このレイヤー0のセグメントの解析は省略することができるが、以降の説明では、レイヤー0のセグメント1についても解析を行うものとしている。
まずデータ解析手段3は、ステップS101においてセグメント1に原時系列データの対応するデータを取り込んでセグメントデータとする。この実施例においては、このセグメント1のデータは、原時系列データそのもので、201点のデータ点数を有している。
ここでステップS102において、最大エントロピー法のスペクトル密度(MEM-PSD)の計算を最小ラグ値から最大ラグ値まで行い、夫々のラグ値に対するバーグの係数Pmの推移を算出する。この実施例においては、同様の計算を解析シーケンス決定手段2において行って、図11に示されるような結果を得ているので、本発明の解析装置1において、実行された計算を適宜期間保持するように構成することにより、再計算を行う必要がなくなる。
次いでステップS103において、図11に示される推移から特徴的な挙動を示すラグ値を複数選択する。図11において最大の特徴はラグ値2〜101のプラトー領域の存在で、周期性の強いデータなので、データ解析手段3は、自体に構成している知識ベース等を利用した選択手段により、小さめのラグ値を選択することとし、例えばラグ値2・50・101の3つのラグ値を選択し、ステップS104において、これらのラグ値に対応する3つのMEM-PSDを計算する。その結果は、図14に示すとおりであり、左から順にラグ値2・50・101での結果を示す。
次いでステップS105では、主要ピークとしてラグ値2では周期の初期値24.66時間(パワー49.80)、ラグ値50では28.06時間(同49.76)、ラグ値101では2モードで34.48時間(同29.81)と18.63時間(同17.31)を抽出し、これを次の非線形最小自乗法による計算の初期値とする。
次いでステップS106において、上述した3組の初期値に対して非線形最小自乗法により、夫々の場合の最適当てはめ曲線と曲線パラメータの探索が行われる。この場合、非線形最小自乗法解析においては、初期値の周期の近傍に周期値を探索する領域をあらかじめ設定し、初期値が真の値の近傍にあること、およびその近傍で残差自乗和が唯一の極小値を持つことを期待して計算が行われる。
即ち、ステップS106においては、探索過程を監視し、探索中に近傍領域から逸脱する場合や、複数の極小値をもつ場合には、初期値そのものが不適切であると判定して、その結果を使用しない。そこで、ラグ値2と50の初期値は不適切であると判定され、唯一、ラグ値101の初期値に対してのみ計算結果を使用するものとして、最適あてはめ曲線とその曲線パラメータが算出される。図15(a)は算出された最適あてはめ曲線であり、また(b)は原時系列データとの残差曲線を示すものである。
次いでステップS107においては、当てはめ曲線のパラメータを、初期値と比較して一致度を評価して、ステップS106で算出した最適あてはめ曲線の妥当性が判定される。即ち、図16は、上記初期値のピーク周波数の逆数とパワーを、最終的に得られた曲線パラメータの周期・振幅とを比較したものである。尚、この場合、図中に示す一致度とは、上述したとおり、モードのパワー(振幅の自乗の1/2)をピークパワーで除した値としている。
図16から分かるように、一致度は36時間モードでは0.967、18時間モードでは0.803となる。18時間モードの一致度は余り高くないが、ステップS106において算出された唯一の最適あてはめ曲線とそのパラメータであるので、データ解析手段3は、その結果を、ステップS109、即ち、解析結果評価手段4による評価の処理過程に出力する。
まずステップS112においては、ステップS106〜S108を経て得られた最適あてはめ曲線が再構成され、そのデータ期間に対応する原時系列データとの差の演算を行い、残差曲線を求めると共に、当てはめ曲線の再現性を評価する諸量、ここでは標準偏差と残差パワーの時間依存が求められる。
図17は原時系列データ(点線)と最適あてはめ曲線(実線)とを比較したもの、また図18は残差曲線を、20個の区分領域毎に平均したものである。残差の標準偏差は0.836と大きく、また図17から、一見して当てはめが良好でないことが分かる。そして図18から、残差はゼロの回りに一様に分布しておらず、時間依存性が認められる。
このような標準偏差の値の大小や、残差の時間依存性等から、データ解析手段3は、ステップS113において、最適当てはめ曲線と、原時系列データの対応部分が十分に一致していないと判定し、ステップS115に移行する。即ち、それまでの解析対象であったレイヤー0のセグメント1のセグメントデータは、そのまま次のレイヤー1のセグメント1、2の解析対象データとして繰り越して設定される。
尚、上述したとおり、原時系列データのデータ点数をバンチング処理により低減してセグメントデータを構成する場合には、下位のレイヤーのセグメントに設定するデータは、必ずしも上位のレイヤーのセグメントデータと同一でなくとも良い。
次いでデータ解析手段3は、ステップS109からステップS110を経て、ステップS101に移行し、次にサブレイヤー1の基本セグメント1、2の解析が順次行われる。
まず基本セグメント1については、ステップS101においてセグメントデータとして原時系列データの1〜101点までのデータが取り込まれる。
次いでステップS102における計算により、図12に示すような係数Pmの推移が得られる。尚、この場合には、数値演算精度のためにラグ値7までの推移が求められる。
次いでステップS103では、ラグ値として3と7の二つが決定され、ステップS104において決定されたラグ値でMEM-PSDが計算される。その結果は、図19に示すとおりであり、左から順にラグ値3とラグ値7の結果である。
次いでステップS105では、ラグ値2では初期周期値24.00時間(パワー49.66)を、ラグ値7では初期周期値24.00時間(同50.14)が抽出され、これらの二組の初期値を用いて、ステップS106において非線形最小自乗法により二本の最適あてはめ曲線と曲線パラメータが算出される。この場合には、いずれも周期24.00時間、振幅10.00、頂位位相6.00時が得られる。
次いでステップS107では、上述した複数の曲線パラメータの組が比較されるのであるが、この実施例では、いずれのパラメータも一致し、且つ当てはめも良好であるので、その最適当てはめ曲線と、そのパラメータがステップS108を経てステップS109に入力される。
ステップS112において得られる残差の標準偏差は、10−10と十分に小さく、且つ、残差のパワー推移に時間依存がないため、ステップS113において、今度は、最適当てはめ曲線と、原時系列データの対応部分が十分に一致していると判定し、ステップS114に移行する。
ステップS114においては、解析結果のパラメータを記憶領域1に保存する。尚、この実施例と異なり、下位に更にサブレイヤーがある場合には、残差が計算されて、それを下位のサブレイヤーに設定するべく保存がされる。
次いでステップS110を経て、ステップS101に移行して、次の基本セグメント2についても同様な解析処理が行われ、こうして、記憶領域1、2に、原時系列データを一般化三角多項式で記述し、且つ、以降の解析に必要な諸量の全てが蓄積される。
そして記憶領域1、2に蓄積されている原時系列データの解析に必要な諸量は、上述したとおり、一括解析結果構成手段9aまたはセグメント解析結果構成手段9bにより処理されて、図2に示すような解析結果11を構成することができる。
一例として、一括解析結果構成手段9aにより利用されている場合の再構成スペクトル計算手段6による再構成スペクトルの算出の流れを説明する。
まず図8において、ステップS201では、記憶領域1と2からパラメータ(一般化三角多項式のパラメータ)を取り出される。この際、取り出されたパラメータは2つで、いずれも周期24時・振幅10・頂位位相6時である。
次いでステップS202で振幅が規格化される。この規格化は、2つのパラメータそれぞれについて、振幅の自乗=100を基本セグメント数(=2)で割って、その平方根(=√50)をあらたな振幅とすることで行われる。
次いでステップS203における孤立ピークのPSDの計算により、同じピーク周波数(=1/24時間)をもつ二つのピークスペクトルが得られる。この孤立ピークの計算は、あらかじめ三角関数のMEM-PSDを求めておき、その面積を各モードのパワーに一致させる規格化により実現する。図20は求めた余弦関数のMEM-PSDを示している。
このように本発明では、孤立ピーク列は、δ函数の原型を用いて全周波数帯に裾の広がる夫々一つのスペクトルピークを構成することにより、パラメータから得られる各周波数に対応する孤立ピーク群を構成するもので、こうして理論形式では有限離散値を扱うコンピュータで構成することができない線スペクトル列となる時系列データのスペクトルを、ピーク周波数から離れるに従って急減する連続関数、例えば余弦函数に微弱な雑音を加えた時系列をラグ2にて最大エントロピー法のスペクトル密度の計算を行って得られたスペクトルをδ函数の原型として利用して再構成することにより、コンピュータを利用して、理論と整合する原時系列データの再構成スペクトルを求めることができる。
一方、各記憶領域1、2から取り出された基本セグメント1、2の残差成分から全測定長にわたる残差曲線を求め、次いでステップS204において、残差のMEM-PSDが計算される。次いで、ステップS205において、孤立ピーク群のスペクトルと残差のMEM-PSDとが重畳されて、最終的に原時系列データの一般化三角多項式表現と整合する再構成スペクトルが得られる。
以上に説明したように、本発明に係る解析装置は、実在の時系列データに対して、時間軸上での一般化三角多項式表現と周波数軸上での再構成スペクトル表現を機械的に計算する。このとき、時系列データ・一般化三角多項式表現・再構成スペクトル表現それぞれの間には、コンピュータ上に構築された数値演算処理システムの能力の制限の元で、理論上の整合性が完全に保証される。すなわち、任意の実データに対して時間軸上および周波数軸上のもっとも整合的で透徹した理解が機械的に得られる。
また、本発明に係る解析装置では、何らの数値モデルも想定せず、時系列データのみを用いて高精度の解析を行え、しかもその解析は、通常のパーソナルコンピュータ程度の演算能力でも十分に実用的であるという効果があり、特に、解析対象の時系列データを、そのデータ点数やデータ構造に応じて適切にセグメント化して処理を行うことにより、解析する時系列データによらず、常に適切に高精度な解析を行えるという格別なる効果がある。
そして、本発明は、実在の時系列データ、即ち、ある限られた期間に観測されたある点数の有限長離散時系列のデータに加えて、例えば地層断面の距離に対する輝度変化等の、空間的に連続するデータの解析にも利用できるものである。
本発明に係る解析装置の実施の形態を模式的に表した全体構成の説明図本である。 本発明に係る解析装置から出力される解析結果を模式的に示すものである。 解析シーケンス決定手段における処理の流れを示す流れ図である。 解析シーケンス決定手段における処理の流れを示す流れ図である。 解析シーケンス決定手段により決定されたレイヤーとセグメントの構成例を模式的に示すものである。 データ解析手段における各セグメントの解析処理の流れ図である。 解析結果評価手段における各セグメントの解析処理の流れ図である。 一括解析結果構成手段により利用されている場合の再構成スペクトル計算手段の動作を説明する模式的流れ図である。 セグメント解析結果構成手段により利用されている場合の再構成スペクトル計算手段と頂位位相推移計算手段の動作を説明する模式的流れ図である。 解析する時系列データの一例を示す説明図である。 バーグの係数Pmの推移を示す説明図である。 サブレイヤーの時間が早いほうのセグメントデータについてのバーグの係数Pmの推移を示す説明図である。 決定されたレイヤーとセグメントの構成を模式的に示す説明図である。 3つのラグ値に対応して計算された3つのMEM-PSDの一部を示す説明図である。 (a)は算出された最適あてはめ曲線、(b)は原時系列データとの残差曲線を示す説明図である。 初期値のピーク周波数の逆数とパワーを、最終的に得られた曲線パラメータの周期・振幅とを比較した説明図である。 原時系列データ(点線)と最適あてはめ曲線(実線)とを比較した説明図である。 残差曲線を、20個の区分領域毎に平均して示す説明図である。 2つのラグ値に対応して計算された2つのMEM-PSDを示す説明図である。 δ函数の原型として利用する、余弦関数のMEM-PSDを示す説明図である。
符号の説明
1 解析装置
2 解析シーケンス決定手段
3 データ解析手段
4 解析結果評価手段
5 制御手段
6 再構成スペクトル計算手段
7 頂位位相推移計算手段
8 その他計算手段
9a 一括解析結果構成手段
9b セグメント解析結果構成手段
10 一括解析結果
11 セグメント解析結果

Claims (19)

  1. コンピュータにプログラムを実行させることにより、このコンピュータを処理手段として機能させて入力された時系列データを解析する装置であって、
    解析対象の時系列データを解析するシーケンスを決定する解析シーケンス決定手段と、
    この解析シーケンス決定手段により決定された解析シーケンスに従い、上記時系列データに対して最大エントロピー法及び非線形最小自乗法による演算を行って、上記時系列データの当てはめ曲線のパラメータとしての一般化三角多項式の三角項の項数及び各三角項の振幅・周期・頂位位相を求めると共に、上記当てはめ曲線と上記時系列データとの残差を求めるデータ解析手段と、
    このデータ解析手段により求めた解析結果の上記パラメータと残差を評価し、上記時系列データとの一致度の条件に適合する場合に上記パラメータと残差を、以降の処理に用いるために記憶手段に記憶する解析結果評価手段と、
    上記パラメータから得られるパワースペクトル密度と最大エントロピー法を用いて求める残差のパワースペクトル密度を合成して上記時系列データの再構成スペクトルを求める再構成スペクトル計算手段と、
    この再構成スペクトル計算手段により求めた再構成スペクトルを含む解析結果を出力するための解析結果構成手段の、上記各手段の処理をコンピュータに行わせる構成とし、
    上記解析シーケンス決定手段は、
    装置に入力された解析対象の時系列データのデータ点数を、予め設定された最大データ点数と比較して、この最大データ点数を越える場合に上記時系列データを必要回数2等分する処理を行って、上記時系列データを、上記最大データ点数を越えない大きさのセグメントに分割する第1の分割処理過程と、
    この第1の分割処理過程において分割された各セグメントに対して、そのデータ構造の均一性を評価する処理を行う評価処理過程と、
    この評価処理過程において、不均一と評価された上記セグメントを、上記評価処理過程と協同して、必要回数だけ、データ構造が変化している個所において2分割することにより、均一の複数のセグメントに分割処理する第2の分割処理過程と、
    これらの第1の分割処理過程及び第2の分割処理過程において分割された均一のセグメントの夫々を基本セグメントとして、それらに対して、記憶手段に記憶領域を設定する処理を行う記憶領域設定処理過程から成る処理を行うように構成されており、
    上記解析シーケンス決定手段の処理により、解析対象の時系列データを、その全期間データに対応する最上位レイヤーのセグメントから、順次2等分されて構成される、下位のレイヤーの夫々に含まれる2の累乗のセグメントと、最下位のレイヤーにおいて、データ構造が変化するセグメントを、データ構造の変化している個所において2分割して順次形成されるサブレイヤーの各セグメントとから成るセグメントに分割して解析の処理を行うように構成されていることを特徴とする時系列データの解析装置。
  2. 解析シーケンス決定手段は、
    評価処理過程において、各セグメントに対して、下式による最大エントロピー法のスペクトル密度の計算を最小ラグ値から最大ラグ値まで行って、ラグ値に対するバーグの係数Pmの推移を求め、その推移から判定して各セグメントのデータ構造の均一性の評価の処理を行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の時系列データの解析装置。
    Figure 0004711355
    但し、Bm(f)はラグ値mにおけるスペクトル密度、Δtはサンプリング間隔、Pmとγm(k)はバーグの係数、fは0〜ナイキスト周波数の範囲の、ある周波数である。
  3. 解析シーケンス決定手段は、不等間隔の時系列データを等間隔化処理する等間隔化処理過程の処理を行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の時系列データの解析装置。
  4. データ解析手段は、
    解析対象の時系列データから取り出した各セグメントに対して下式による最大エントロピー法のパワースペクトル密度の計算を最小ラグ値から最大ラグ値まで行って、ラグ値に対するバーグの係数Pmの推移を求める計算過程と、
    この計算過程において求められ上記バーグの係数Pmの推移から、適切なラグ値を決定するラグ値決定過程と、
    このラグ値決定過程において決定されたラグ値により上記パワースペクトル密度を求めるパワースペクトル密度計算過程と、
    このパワースペクトル密度計算過程において求められたパワースペクトル密度から主要ピークの周波数と、そのパワーを抽出する抽出過程と、
    この抽出過程において抽出された周波数とパワーとから非線形最小自乗法により当てはめ曲線のパラメータを求めるパラメータ導出過程と、
    このパラメータ導出過程において求められた当てはめ曲線とセグメントデータとを比較して一致度を評価し、所定の一致度以上の場合には上記当てはめ曲線のパラメータをセグメントに対応する記憶手段に記憶して次の過程に移行し、所定の一致度に達しない場合には上記当てはめ曲線のパラメータを破棄して上記ラグ値決定過程に移行する評価過程の処理を行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の時系列データの解析装置。
    Figure 0004711355
    但し、Bm(f)はラグ値mにおけるスペクトル密度、Δtはサンプリング間隔、Pmとγm(k)はバーグの係数、fは0〜ナイキスト周波数の範囲の、ある周波数である。
  5. データ解析手段は、セグメントの解析、最上位のレイヤーから最下位のレイヤーに向かって順次行うように制御され、
    この際、上位のレイヤーのセグメントは、セグメント当たりのデータ点数が予め設定された最大データ点数を越えないように、解析対象の時系列データのデータ点数をバンチング処理により低減してセグメントを構成する処理を行う構成とすると共に、各レイヤーの各セグメントに対応して一時記憶領域を構成し、上位側のセグメントに対して求められた多項式パラメータを下位の各レイヤーの各セグメントの一時記憶領域に記憶すると共に、上記多項式パラメータから構成される当てはめ曲線と、原時系列データの対応部分との差演算により求められる残差時系列データを次の下位レイヤーのセグメントとして設定する処理を行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の時系列データの解析装置。
  6. 解析結果評価手段は、セグメントに対してデータ解析手段により求められた当てはめ曲線と解析対象の時系列データの対応範囲を比較して残差曲線を求めてその解析を行う残差解析過程と、
    この残差解析過程により解析された残差曲線と時系列データとを比較して一致度を評価し、所定の一致度以上の場合には当てはめ曲線のパラメータと残差を所定の記憶手段に記憶して次の過程に移行し、
    所定の一致度に達しない場合にはデータを破棄して、セグメントデータを次のレイヤーのセグメントに移行する評価過程とから成る処理を行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の時系列データの解析装置。
  7. 解析結果構成手段は、全ての記憶領域に記憶されている基本セグメントのパラメータと残差とから全データ領域を一括して再構成スペクトルを求めて記憶する一括解析結果構成手段と、
    各記憶領域に記憶されている基本セグメントのパラメータと残差とから、基本セグメント毎に再構成スペクトルを求めて記憶するセグメント解析結果構成手段とから構成すると共に、基本セグメント毎に頂位位相の周波数依存性を解析するための頂位位相推移計算手段を構成し、
    この頂位位相推移計算手段により計算した各基本セグメント毎の頂位位相の周波数依存をセグメント解析結果構成手段による再構成スペクトルと共に、基本セグメントの代表時刻の属性として記憶するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の時系列データの解析装置。
  8. 再構成スペクトル計算手段は、得られたパラメータからパワースペクトル密度を求める計算において、一般化三角多項式の夫々の項の夫々につき、δ函数の原型を用いて全周波数帯に裾の広がる夫々一つのスペクトルピークを構成することにより、パラメータから得られる各周波数に対応する孤立ピーク群を構成し、その重畳として時系列データの再構成スペクトルを求める処理を行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の時系列データの解析装置。
  9. δ函数の原型として、余弦函数に微弱な雑音を加えた時系列をラグ2にて最大エントロピー法のスペクトル密度の計算を行って得られたスペクトルを利用して処理を行うように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の時系列データの解析装置。
  10. コンピュータに時系列データの解析を実行させるプログラムであって、
    入力された解析対象の時系列データを解析するシーケンスを決定する解析シーケンス決定手順と、
    決定された解析シーケンスに従い、上記時系列データに対して最大エントロピー法及び非線形最小自乗法よる演算を行って、上記時系列データの当てはめ曲線のパラメータとしての一般化三角多項式の三角項の項数及び各三角項の振幅・周期・頂位位相を求めると共に、上記当てはめ曲線と上記時系列データとの残差を求めるデータ解析手順と、
    このデータ解析手順により求めた解析結果の上記パラメータと残差を評価し、上記時系列データとの一致度の条件に適合する場合に記憶手段に記憶する解析結果評価手順と、
    上記パラメータから得られるパワースペクトル密度と最大エントロピー法を用いて求める残差のパワースペクトル密度を合成して時系列データの再構成スペクトルを求める再構成スペクトル計算手順と、
    再構成スペクトル計算手順において求めた再構成スペクトルを含む解析結果を出力するための解析結果構成手順との処理をコンピュータに行わせることとし、
    その際、解析シーケンス決定手順は、
    入力された解析対象の時系列データのデータ点数を、予め設定された最大データ点数と比較して、最大データ点数を越える場合に上記時系列データを必要回数2等分することにより、上記時系列データを、上記最大データ点数を越えない大きさのセグメントに分割する第1の分割処理手順と、
    この第1の分割処理手順において分割された各セグメントに対して、そのデータ構造の均一性を評価する評価処理手順と、
    この評価処理手順において、不均一と評価された上記セグメントを、上記評価処理手順と協同して、必要回数だけ、データ構造が変化している個所において2分割することにより、均一の複数のセグメントに分割する第2の分割処理手順と、
    これらの第1の分割処理手順及び第2の分割処理手順において分割された均一のセグメントの夫々を基本セグメントとして、それらに対して、記憶手段に記憶領域を設定する記憶領域設定処理手順から成る処理をコンピュータに行わせることとし、
    上記解析シーケンス決定手順の処理により、解析対象の時系列データを、その全期間データに対応する最上位レイヤーのセグメントから、順次2等分されて構成される、下位のレイヤーの夫々に含まれる2の累乗のセグメントと、最下位のレイヤーにおいて、データ構造が変化するセグメントを、データ構造の変化している個所において2分割して順次形成されるサブレイヤーの各セグメントとから成るセグメントに分割してコンピュータに解析を行わせることとした時系列データの解析用コンピュータプログラム。
  11. 解析シーケンス決定手順の評価処理手順は、
    各セグメントに対して、下式による最大エントロピー法のスペクトル密度の計算を最小ラグ値から最大ラグ値まで行って、ラグ値に対するバーグの係数Pmの推移を求め、その推移から判定して各セグメントのデータ構造の均一性の評価の処理をコンピュータに行わせることとした請求項10に記載の時系列データの解析用コンピュータプログラム。
    Figure 0004711355
    但し、Bm(f)はラグ値mにおけるスペクトル密度、Δtはサンプリング間隔、Pmとγm(k)はバーグの係数、fは0〜ナイキスト周波数の範囲の、ある周波数である。
  12. 解析シーケンス決定手順には、不等間隔の時系列データを等間隔化処理する等間隔化処理手順を備えていることを特徴とする請求項10に記載の時系列データの解析用コンピュータプログラム。
  13. データ解析手順は、解析対象の時系列データから取り出したセグメントに対して、下式による最大エントロピー法のパワースペクトル密度の計算を最小ラグ値から最大ラグ値まで行って、
    ラグ値に対するバーグの係数Pmの推移を求める計算過程と、
    この計算過程において求められ上記バーグの係数Pmの推移から、適切なラグ値を決定するラグ値決定過程と、
    このラグ値決定過程において決定されたラグ値により上記パワースペクトル密度を求めるパワースペクトル密度計算過程と、
    このパワースペクトル密度計算過程において求められたパワースペクトル密度から主要ピークの周波数と、そのパワーを抽出する抽出過程と、
    この抽出過程において抽出された周波数とパワーとから非線形最小自乗法により当てはめ曲線のパラメータを求めるパラメータ導出過程と、
    このパラメータ導出過程において求められた当てはめ曲線とセグメントデータとを比較して一致度を評価し、所定の一致度以上の場合には上記当てはめ曲線のパラメータをセグメントに対応する記憶手段に記憶して次の過程に移行し、所定の一致度に達しない場合には上記当てはめ曲線のパラメータを破棄して上記ラグ値決定過程に移行する評価過程から成る処理をコンピュータに行わせることとした請求項10に記載の時系列データの解析用コンピュータプログラム。
    Figure 0004711355
    但し、Bm(f)はラグ値mにおけるスペクトル密度、Δtはサンプリング間隔、Pmとγm(k)はバーグの係数、fは0〜ナイキスト周波数の範囲の、ある周波数である。
  14. データ解析手順におけるセグメントの解析は、最上位のレイヤーから最下位のレイヤーに向かって順次行わせることとし、
    この際、上位のレイヤーのセグメントは、セグメント当たりのデータ点数が予め設定された最大データ点数を越えないように、解析対象の時系列データのデータ点数をバンチング処理により低減してセグメントのデータとして構成する処理を行うと共に、各レイヤーの各セグメントに対応して一時記憶領域を構成し、上位側のセグメントに対して求められた当てはめ曲線のパラメータを下位の各レイヤーの各セグメントの一時記憶領域に記憶すると共に、上記パラメータから構成される当てはめ曲線と、原時系列データの対応部分との差演算により残差時系列データを求めて、次の下位レイヤーのセグメントデータとして設定する処理をコンピュータに行わせることとした請求項10に記載の時系列データの解析用コンピュータプログラム。
  15. 解析結果評価手順は、セグメントに対してデータ解析手順により求められた当てはめ曲線と解析対象の時系列データの対応範囲との差演算により残差曲線を求めてその解析を行う残差解析過程と、
    残差解析過程により解析された残差曲線と時系列データとを比較して一致度を評価し、所定の一致度以上の場合には上記当てはめ曲線のパラメータと残差を所定の記憶手段に記憶して次の過程に移行し、所定の一致度に達しない場合にはデータを破棄して、セグメントのデータを次のレイヤーのセグメントに移行する評価過程の、各過程の処理をコンピュータに行わせることとした請求項10に記載の時系列データの解析用コンピュータプログラム。
  16. 解析結果構成手順は、全ての記憶領域に記憶されている基本セグメントのパラメータと残差とから全データ領域を一括して再構成スペクトルを求めて記憶する一括解析結果構成手順と、
    各記憶領域に記憶されている基本セグメントのパラメータと残差とから、基本セグメント毎に再構成スペクトルを求めて記憶するセグメント解析結果構成手順とから構成されると共に、
    基本セグメント毎に頂位位相の周波数依存性を解析するための頂位位相推移計算手順が構成され、この頂位位相推移計算手順により計算した各基本セグメント毎の頂位位相の周波数依存をセグメント解析結果構成手順による再構成スペクトルと共に、基本セグメントの代表時刻の属性として記憶する手順の処理をコンピュータに行わせることとした請求項10に記載の時系列データの解析用コンピュータプログラム。
  17. 再構成スペクトル計算手順は、得られたパラメータからパワースペクトル密度を求める計算において、一般化三角多項式の夫々の項の夫々につき、δ函数の原型を用いて全周波数帯に裾の広がる夫々一つのスペクトルピークを構成することにより、パラメータから得られる各周波数に対応する孤立ピーク群を構成し、その重畳として時系列データの再構成スペクトルを求める手順の処理をコンピュータに行わせることとした請求項10に記載の時系列データの解析用コンピュータプログラム。
  18. δ函数の原型として、余弦函数に微弱な雑音を加えた時系列をラグ2にて最大エントロピー法のスペクトル密度の計算を行って得られたスペクトルを利用して処理を行わせることとした請求項17に記載の時系列データの解析用コンピュータプログラム。
  19. 請求項10〜18のいずれか1項に記載されたコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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