JP4709631B2 - 液状化強度曲線推定装置及び液状化強度曲線推定プログラム - Google Patents

液状化強度曲線推定装置及び液状化強度曲線推定プログラム Download PDF

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本発明は、液状化強度曲線推定装置及び液状化強度曲線推定プログラムに係り、より詳しくは、砂質土におけるせん断応力比と当該せん断応力比により液状化に至る載荷繰り返し回数との関係を示す液状化強度曲線を推定する液状化強度曲線推定装置及び液状化強度曲線推定プログラムに関する。
従来、地震時の地盤剛性の変化を考慮した地震応答の解析(一例として、特開2001−208641公報に開示されている解析)や、液状化挙動の評価のために液状化強度曲線がしばしば用いられている。
液状化強度曲線は、砂質土におけるせん断応力比と当該せん断応力比により液状化に至る載荷繰り返し回数との関係を示すものであり、動的非排水変形試験等の繰り返し載荷試験によって導出することができるが、多数点のせん断応力比に対する載荷繰り返し回数を取得するためには多くの試験を行う必要があり、多大な費用がかかるため、液状化強度曲線の中央部近傍の1点(例えば、載荷繰り返し回数が15回となる点)のみについて試験を行い、これによって得られた点を通る曲線を描くことにより、液状化強度曲線を推定していた。
しかしながら、この場合、一例として図27に示すように、試験によって得られた1点を通る曲線は無数に存在するため、推定対象とする地盤の液状化強度を正確に表す高精度な液状化強度曲線を推定することは困難であった。
しかも、比較的大きな地震が発生する場合には、比較的大きな振幅の力が作用し、1回で液状化に至る場合が予想されるため、この場合には液状化に至る載荷繰り返し回数が1回である場合のせん断応力比を正確に導出したいが、上記のような液状化強度曲線の推定方法では、この領域について十分には考慮されておらず、載荷繰り返し回数が1回である場合のせん断応力比を正確に導出することは困難である。
この問題を解決するために、従来、非特許文献1には、液状化強度曲線を、対象とする砂質土の相対密度に基づく演算式により定式化する技術が提案されており、非特許文献2には、液状化強度曲線を、対象とする砂質土の換算N値に基づく演算式により定式化する技術が提案されている。
東、常田、二宮,「締め固めた砂質土の液状化強度特性」,第28回土質工学研究発表会,p.989−990 安、内田、田屋、畑中,「不撹乱砂質土試料による液状化強度曲線の定式化」,日本建築学会大会学術講演梗概集(北陸),2002年8月,p.419−420
しかしながら、上記非特許文献1の技術では、砂質土の液状化に関係する物性量として相対密度のみを用いて液状化強度曲線を定式化しており、上記非特許文献2の技術では、砂質土の液状化に関係する物性量として換算N値のみを用いて液状化強度曲線を定式化しているため、これらによって得られた演算式が推定対象とする砂質土の液状化強度曲線を高精度に表すものとは限らず、必ずしも高精度に液状化強度曲線を推定することができるとは限らない、という問題点があった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、液状化強度曲線を高精度に推定することのできる液状化強度曲線推定装置及び液状化強度曲線推定プログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の液状化強度曲線推定装置は、砂質土におけるせん断応力比と当該せん断応力比により液状化に至る載荷繰り返し回数との関係を示す液状化強度曲線を推定する液状化強度曲線推定装置であって、前記砂質土の平均粒径D 50 、細粒分含有率F 、及び換算N値N を入力する入力手段と、aを載荷繰り返し回数Nの小さなところでの液状化強度曲線の立ち上がりを表す係数とし、bを該載荷繰り返し回数Nが無限大のときの前記せん断応力比Rを表す係数とし、cを液状化強度曲線の曲率を表す係数とする下記数式(1)の係数a、係数b、及び係数cを、条件別に予め定められた下記数式(2A)〜(9A)のうちの前記入力手段によって入力された平均粒径D 50 、細粒分含有率F 、及び換算N値N を満足する条件を有する数式を用いて導出する導出手段と、前記導出手段によって導出された前記係数a、前記係数b、及び前記係数cが代入された下記数式(1)を用いて液状化強度曲線を推定する推定手段と、を備えている。
ここで、本発明の原理を説明する。
本発明の発明者は、まず、沖積砂質土、洪積砂質土、砂礫土からなる砂質土の液状化に関係する物性量として、推定対象とする砂質土の締め固まりの度合いを示す物性量、粒径分布を示す物性量、及び破壊強度を示す物性量の3種類の物性量に着目した。
そして、これらの物性量の具体的なものとして、それぞれ砂質土の相対密度Dr、平均粒径D50、細粒分含有率FC、均等係数UC、換算N値N1、N値、及びせん断波速度VSの7種類の物性量について、液状化強度曲線に対する相関性に関する評価を行った。ここで、相対密度Drが上記締め固まりの度合いを示す物性量に属する物性量であり、平均粒径D50、細粒分含有率FC及び均等係数UCが上記粒径分布を示す物性量に属する物性量であり、換算N値N1、N値及びせん断波速度VSが上記破壊強度を示す物性量に属する物性量である。
なお、ここでは、上記非特許文献2で提案されている上記(1)式を、液状化強度曲線を定式化するものとして適用して評価を行った。
ここで、Nは載荷繰り返し回数を、aは載荷繰り返し回数の小さなところでの液状化強度曲線の立ち上がりを表す係数を、bは載荷繰り返し回数が無限大のときのせん断応力比を表す係数を、cは液状化強度曲線の曲率を表す係数を、Rはせん断応力比を、各々表す。
まず、本発明の発明者は、複数の砂質土のサンプルについて、動的非排水変形試験によってせん断応力比と当該せん断応力比により液状化に至る載荷繰り返し回数とを複数点について計測すると共に、上記7種類の物性量を計測した。ここで、相対密度Dr、平均粒径D50、細粒分含有率FC、均等係数UCは室内分析試験により計測し、N値は標準貫入試験により計測し、せん断波速度VSは弾性波探索試験により計測した。なお、換算N値N1は、N値を有効上載圧1kgf/cm2相当に換算したものであり、計測したN値から算出した。
次に、計測した複数点のせん断応力比と当該せん断応力比により液状化に至る載荷繰り返し回数に上記(1)式を最小二乗法によりフィッティングさせることにより、係数a,b,cを算出した。
そして、以上によって算出された係数a,b,cと、計測した相対密度Dr、平均粒径D50、細粒分含有率FC、均等係数UC、換算N値N1、N値、せん断波速度VSとの関係を示すグラフを作成した。
以上の工程によって作成したグラフを図12及び図13に示す。なお、図12は沖積砂質土をサンプルとしたグラフであり、図13は洪積砂質土をサンプルとしたグラフである。また、各グラフの横軸は上記7種類の物性量の何れか1つであり、縦軸は係数a,b,cの何れか1つである。更に、これらの図の左端部に位置するものが係数aに関するグラフであり、中央部に位置するものが係数bに関するグラフであり、右端部に位置するものが係数cに関するグラフである。
図12及び図13に示すように、上記7種類の物性量は係数a,b,cに高い相関を示すことが分かる。従って、上記非特許文献1において用いられている相対密度Drや、上記非特許文献2において用いられている換算N値N1に加えて、粒径分布を示す物性量を、液状化強度曲線を定式化する際に用いることが効果的であることが判明した。
なお、図12に示したデータを用い、相対密度Dr、平均粒径D50、細粒分含有率FC、均等係数UC及び換算N値N1により係数a、b,cを重回帰分析にて線形近似した結果、係数a,b,cの各演算式として、次の(2)式〜(4)式が得られた。
また、図13に示したデータを用い、細粒分含有率FC、均等係数UC及び換算N値N1により係数a、b,cを重回帰分析にて線形近似した結果、係数a,b,cの各演算式として、次の(5)式〜(7)式が得られた。
なお、この場合の重相関係数は0.461624で、決定係数(重相関係数の二乗値)は0.213096である。
なお、ここで適用した各物性量は、上記7種類の物性量の種々の組み合わせにより得られた演算式において最も重相関係数が高いものとして本発明の発明者によって得られたものである。
一方、以上の重回帰分析による演算式より、更に精度の高い演算式として、高次の関数による演算式が考えられるが、当該演算式は複雑になることが予想される。
そこで、高次の関数による演算式より簡易で、かつ上述した重回帰分析による演算式より高精度な演算式として、区域内線形式を適用する方法が考えられる。以下、当該区域内線形式について説明する。
図12及び図13からも明らかなように、係数a,b,cは、平均粒径D50、細粒分含有率FC及び換算N値N1に依存する。そこで、ここでは、これら3種類の物性量により区域を分割することを考える。
図14(A)は、係数aと換算N値N1との関係を示したものである。
同図において、平均粒径D50が0.4超となる区域に属するサンプルが‘▲’で示されており、平均粒径D50が0.2以下で、かつ細粒分含有率FCが2.0以上の区域に属するサンプルが‘◆’で示されており、それ以外の区域に属するサンプルが‘■’で示されている。同図に示されるように、以上の3つの区域別に線形近似式を用いることにより、係数aは精度よく求めることができる。
一方、図14(B)は、係数bと換算N値N1との関係を示したものである。
同図において、平均粒径D50が0.4超となる区域に属するサンプルが‘▲’で示されており、平均粒径D50が0.4以下の区域に属するサンプルが‘■’で示されている。同図に示されるように、以上の2つの区域別に線形近似式を用いることにより、係数bは精度よく求めることができる。
更に、図14(C)は、係数cと換算N値N1との関係を示したものである。
同図において、換算N値N1が20未満となる区域に属するサンプルが‘■’で示されており、換算N値N1が20以上で、かつ平均粒径D50が0.4超の区域に属するサンプルが‘◆’で示されており、換算N値N1が20以上で、かつ平均粒径D50が0.4以下の区域に属するサンプルが‘▲’で示されている。同図に示されるように、以上の3つの区域別に線形近似式を用いることにより、係数cは精度よく求めることができる。
このように、係数a,b,cは、次の区域毎の演算式((8)式〜(10)式)によって高精度に求めることができる。
なお、ここで適用した各物性量は、上記7種類の物性量の種々の組み合わせにより得られた演算式において、最も高精度に線形近似できるものとして本発明の発明者によって得られたものである。
図15には、せん断応力比と載荷繰り返し回数Nとの関係が、試験によって得られたもの(同図の‘■’)と、重回帰分析による演算式によって係数a,b,cを導出して(1)式に代入して算出したもの(同図の‘△’)と、上述した区域内線形式によって係数a,b,cを導出して(1)式に代入して算出したもの(同図の‘◆’)と、の3種類について示されている。
同図に示されるように、重回帰分析によるものと区域内線形式によるものは、双方とも、試験結果によく一致しており、高精度に液状化強度曲線を推定することができることが分かる。
以上の原理から、請求項1記載の液状化強度曲線推定装置では、入力された物性量に基づいて推定手段により液状化強度曲線が推定される。なお、上記入力手段による物性量の入力には、キーボード、ポインティング・デバイス等の入力装置を介した入力の他、ローカル・エリア・ネットワーク、インターネット、イントラネット等の通信回線を介した外部装置からの入力が含まれる。
このように、請求項1記載の液状化強度曲線推定装置によれば、液状化強度曲線を高精度に推定することができる。
なお、本発明は、前記推定手段は、Nを載荷繰り返し回数とし、aを載荷繰り返し回数の小さなところでの液状化強度曲線の立ち上がりを表し、かつ前記入力手段により入力された物性量に基づいて導出される係数とし、bを載荷繰り返し回数が無限大のときのせん断応力比を表し、かつ前記入力手段により入力された物性量に基づいて導出される係数とし、cを液状化強度曲線の曲率を表し、かつ前記入力手段により入力された物性量に基づいて導出される係数とし、Rをせん断応力比として、(1)式の関数を用いて液状化強度曲線を推定するものとしてもよい。これにより、液状化強度曲線を載荷繰り返し回数が小さなところから無限大まで広範囲に高精度で推定することができる。これは、一例として図16に示すように、(1)式における係数aは載荷回数が1回で液状化(破損)する上限値に関わる係数であり、係数bは過剰間隙水圧が発生しない下限値(非発生下限値)に関わる係数であり、係数cは当該上限値及び下限値を通る点に関わる係数であるためである。
ところで、液状化強度曲線の中央部近傍の1点のみについて試験を行い、これによって得られた点を通る曲線を描くことにより液状化強度曲線を推定する従来の技術では、試験によって得られた1点を通る曲線は無数に存在するため、推定対象とする地盤の液状化強度を正確に表す高精度な液状化強度曲線を推定することが困難であることは前述した通りである。
そこで、本発明の発明者らは、広い載荷繰り返し回数領域において液状化強度曲線を近似できるようにするため、大、中、小の3通りの載荷繰り返し回数に対するせん断応力比を地盤物性から推定し、推定したせん断応力比を用いて(1)式の係数a,b,cを求めることにより液状化強度曲線を推定することを検討した。なお、ここで、載荷繰り返し回数を3通りとしたのは、(1)式において必要とされる係数がa,b,cの3種類であるため、3通りの載荷繰り返し回数に各々対応する3種類のせん断応力比を求めて適用することが、上記3種類の係数を算出するための演算式を導出する上で都合がよいためである。
なお、この際、前記第1の物性量として細粒分含有率FCを適用し、前記第3の物性量として換算N値N1及びN値を適用した。また、この際、推定対象とする砂質土を沖積砂質土と洪積砂質土の2種類に分けて検討した。更に、ここでは、上記3通りの載荷繰り返し回数として、100回、20回、及び4回を適用した。
以下、この検討内容について説明する。
(A)沖積砂質土
道路橋示方書・同解説 V耐震設計編(社団法人日本道路協会)では、載荷繰り返し回数20回に対するせん断応力比R20を推定するための演算式として次の(11)式に示されるものを適用しており、ここでは当該演算式を適用することを考える。なお、(11)式におけるσν’は有効上載圧である。
図17には、(11)式によるせん断応力比R20とN値の相関が実線で示されると共に、試験データのフィッティングによるせん断応力比R20とN値の相関がマーカー(◇)で示されている。また、図18には、(11)式によるせん断応力比R20と試験データのフィッティングによるせん断応力比R20の比較が示されている。これらの図から明らかなように、(11)式はせん断応力比を精度よく近似することができることが分かる。なお、本検討で用いた試験データは、「土木研究所,財団法人国土開発技術研究センター:兵庫県南部地震に係わる地震動・液状化調査及び橋脚基礎の構造解析業務 既存及び新規の液状化試験データに基づいた液状化判定法の見直しに関する調査報告書,1996」、「東電設計株式会社,群杭による締固まりを考慮した液状化対策の検討報告書,平成13年12月」、「内田明彦,東京工業大学大学院 修士論文 レーリー波探査を用いた液状化危険度予測,平成元年度」によるデータであり、せん断応力比は補間により推定したものである。
一方、N値と載荷繰り返し回数Nが4回である場合に対応するせん断応力比Rの図17と同様の図を図19に示すと共に、N値と載荷繰り返し回数Nが100回である場合に対応するせん断応力比R100の図17と同様の図を図20に示す。これらの図に示されるように、この場合の分布状態はせん断応力比R20の場合に類似しており、載荷繰り返し回数が4回である場合と100回である場合のせん断応力比R,R100も(11)式と同様の形をした演算式で近似できると考えられる。
そこで、せん断応力比R及びせん断応力比R100をせん断応力比R20と同様に次の(12)式及び(13)式により算出するものとする。なお、せん断応力比Rに対する係数α,β,γ及びせん断応力比R100に対する係数α100,β100,γ100は、試験データを用いた回帰分析により導出した。
以上の(11)式〜(13)式によって算出される(N,R)=(4,R),(20,R20),(100,R100)の3点を通るように係数a,b,cを定める。このとき、各係数a,b,cは次の(14)式で求めることができる。
なお、係数a,b,cを算出するための演算式が(14)式に示される簡易なものとすることができるのは、適用した3種類の載荷繰り返し回数を等比数列で表される回数としたためである。
以上の(11)式〜(14)式を適用して推定したせん断応力比と試験データによるせん断応力比の比較例を図21に示す。同図に示されるように、広い載荷繰り返し回数の領域で高精度にせん断応力比を推定できていることが分かる。
なお、図22には(12)式によるせん断応力比Rと試験データのフィッティングによるせん断応力比Rの比較が示されており、図23には(13)式によるせん断応力比R100と試験データのフィッティングによるせん断応力比R100の比較が示されている。これらの図から明らかなように、(12)式及び(13)式はせん断応力比を精度よく近似することができることが分かる。
(B)洪積砂質土
本発明の発明者らにより洪積砂質土におけるデータフィッティングによるせん断応力比R,R20,R100と、地盤物性値の相関を調査したところ、図24に示されるように、細粒分含有率FCとN値の線形相関性が強いことが判明した。
そこで、試験データを用い、細粒分含有率FC及びN値によりせん断応力比R、せん断応力比R20、及びせん断応力比R100を重回帰分析にて線形近似した結果、各せん断応力比R,R20,R100の各演算式として、次の(15)式が導出された。
図25には、(15)式によるせん断応力比R,R20,R100と試験データのフィッティングによるせん断応力比Rの比較が示されている。同図から明らかなように、(15)式はせん断応力比を精度よく近似することができることが分かる。
そこで、洪積砂質土における液状化強度曲線を導出するための演算式として、上記(15)式によって示されるせん断応力比R、R20、R100を(14)式に代入することによって係数a,b,cを算出し、算出した係数a,b,cを(1)に代入したものを適用する。
以上により得られた演算式を適用して推定したせん断応力比と試験データによるせん断応力比の比較例を図26に示す。同図に示されるように、広い載荷繰り返し回数の領域で高精度にせん断応力比を推定できていることが分かる。
以上の検討に基づいて、発明の推定手段は、予め定められた3通りの載荷繰り返し回数におけるせん断応力比を所定の演算式を用いて推定し、推定した3種類のせん断応力比を用いて前記立ち上がりa、前記せん断応力比b、及び前記曲率cを求め、当該立ち上がりa、せん断応力比b、及び曲率cを前記関数に代入して前記液状化強度曲線を推定するものとしてもよい。これによっても、高精度に液状化強度曲線を推定することができる。
更に、上述したように、前記予め定められた3通りの載荷繰り返し回数を、等比数列で表される回数としてもよい。これによって、(14)式により係数a,b,cを容易に算出することができる結果、容易に液状化強度曲線を推定することができる。
一方、上記目的を達成するために、請求項2に記載の液状化強度曲線推定装置は、沖積砂質土におけるせん断応力比Rと当該せん断応力比により液状化に至る載荷繰り返し回数Nとの関係を示す液状化強度曲線を推定する液状化強度曲線推定装置であって、前記沖積砂質土の細粒分含有率F 、換算N値N 、及び前記載荷繰り返し回数Nを入力する入力手段と、aを載荷繰り返し回数Nの小さなところでの液状化強度曲線の立ち上がりを表す係数とし、bを該載荷繰り返し回数Nが無限大のときの前記せん断応力比Rを表す係数とし、cを液状化強度曲線の曲率を表す係数とする上記数式(1)の係数a、係数b、及び係数cを、条件別に予め定められた上記数式(11)〜(14)のうちの前記入力手段によって入力された細粒分含有率F 、換算N値N 、及び前記載荷繰り返し回数Nを満足する条件を有する数式を用いて導出する導出手段と、前記導出手段によって導出された前記係数a、前記係数b、及び前記係数cが代入された上記数式(1)を用いて液状化強度曲線を推定する推定手段と、を備えている。
一方、上記目的を達成するために、請求項記載の液状化強度曲線推定プログラムは、砂質土におけるせん断応力比Rと当該せん断応力比により液状化に至る載荷繰り返し回数Nとの関係を示す液状化強度曲線を推定するための液状化強度曲線推定プログラムであって、コンピュータを、aを載荷繰り返し回数Nの小さなところでの液状化強度曲線の立ち上がりを表す係数とし、bを該載荷繰り返し回数Nが無限大のときの前記せん断応力比Rを表す係数とし、cを液状化強度曲線の曲率を表す係数とする上記数式(1)の係数a、係数b、及び係数cを、条件別に予め定められた上記数式(2A)〜(9A)のうちの、前記砂質土の平均粒径D 50 、細粒分含有率F 、及び換算N値N を入力する入力手段によって入力された平均粒径D 50 、細粒分含有率F 、及び換算N値N を満足する条件を有する数式を用いて導出する導出手段、及び前記導出手段によって導出された前記係数a、前記係数b、及び前記係数cが代入された上記数式(1)を用いて液状化強度曲線を推定する推定手段として機能させるためのものである。
請求項4記載の液状化強度曲線推定プログラムは、沖積砂質土におけるせん断応力比Rと当該せん断応力比により液状化に至る載荷繰り返し回数Nとの関係を示す液状化強度曲線を推定するための液状化強度曲線推定プログラムであって、コンピュータを、aを載荷繰り返し回数Nの小さなところでの液状化強度曲線の立ち上がりを表す係数とし、bを該載荷繰り返し回数Nが無限大のときの前記せん断応力比Rを表す係数とし、cを液状化強度曲線の曲率を表す係数とする上記数式(1)の係数a、係数b、及び係数cを、条件別に予め定められた上記数式(11)〜(14)のうちの、前記沖積砂質土の細粒分含有率F 、換算N値N 、及び前記載荷繰り返し回数Nを入力する入力手段によって入力された細粒分含有率F 、換算N値N 、及び前記載荷繰り返し回数Nを満足する条件を有する数式を用いて導出する導出手段、及び前記導出手段によって導出された前記係数a、前記係数b、及び前記係数cが代入された上記数式(1)を用いて液状化強度曲線を推定する推定手段として機能させるためのものである。
本発明によれば、推定対象とする砂質土の粒径分布を示す第1の物性量と、締め固まりの度合いを示す第2の物性量及び破壊強度を示す第3の物性量の少なくとも一方とを入力し、入力した物性量に基づいて液状化強度曲線を推定しているので、液状化強度曲線を高精度に推定することができる、という効果が得られる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明を、液状化強度曲線を表す演算式を導出し、当該演算式を用いて液状化強度曲線を作成してユーザに提示する装置に適用した場合について説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1及び図2を参照して、本発明が適用された液状化強度曲線推定装置10の構成を説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る液状化強度曲線推定装置10は、本装置の全体的な動作を制御する制御部12と、ユーザからの各種情報等の入力に使用するキーボード14及びマウス16と、本装置による処理結果や各種メニュー画面、メッセージ等を表示するディスプレイ18と、を含んで構成されている。すなわち、本実施の形態に係る液状化強度曲線推定装置10は、通常のパーソナル・コンピュータにより構成されている。
次に、図2を参照して、本実施の形態に係る液状化強度曲線推定装置10の電気系の主要構成を説明する。
同図に示すように、液状化強度曲線推定装置10は、液状化強度曲線推定装置10全体の動作を司るCPU(中央処理装置)22と、CPU22による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)24と、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)26と、各種情報を記憶するために用いられるハードディスク28と、前述のキーボード14、マウス16、及びディスプレイ18と、外部に接続された装置との間の各種情報の授受を司る外部インタフェース30と、が備えられており、これら各部がシステムバスBUSにより相互に接続されている。なお、外部インタフェース30にはプリンタ50(図1では図示省略。)が接続されている。
従って、CPU22は、RAM24、ROM26、及びハードディスク28に対するアクセス、キーボード14及びマウス16を介した各種情報の取得、ディスプレイ18に対する各種情報の表示、及び外部インタフェース30を介したプリンタ50による各種情報の印刷、を各々行うことができる。
なお、本実施の形態に係る液状化強度曲線推定装置10では、係数a,b,cが変数とされた状態の(1)式で表される関数と、(8)式〜(10)式で表される演算式がハードディスク28の所定領域に予め記憶されている。
次に、本実施の形態に係る液状化強度曲線推定装置10の作用を説明する。
まず、図3を参照して、液状化強度曲線を示す関数を導出する際の液状化強度曲線推定装置10の作用を説明する。なお、図3は、ユーザによって液状化強度曲線を示す関数を導出する関数導出処理の実行指示がキーボード14やマウス16等を介して行われた際にCPU22によって実行される関数導出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはハードディスク28の所定領域に予め記憶されている。
ここで、本実施の形態に係る関数導出処理プログラムでは、関数の導出対象とする砂質土の予め定められた物性量(本実施の形態では、換算N値N1、平均粒径D50、細粒分含有率FCの3種類の物性量)が必要とされるため、ユーザは、これらの物性量を事前に測定しておく。なお、当該測定には、例えば、社団法人地盤工学会によって規定されている標準貫入試験、室内分析試験、弾性波探索試験等の、これらの物性量を測定することのできる従来既知のあらゆる試験手法を適用することができる。
まず、同図のステップ100では、予め定められた物性量入力画面をディスプレイ18により表示し、次のステップ102にて、所定情報の入力待ちを行う。
図4には、上記ステップ100の処理によってディスプレイ18に表示される物性量入力画面の表示状態例が示されている。同図に示すように、この物性量入力画面では、関数の導出対象とする砂質土に関する物性量の入力を促すメッセージが表示されると共に、入力対象とする物性量の名称として「換算N値」、「平均粒径」及び「細粒分含有率」と、各物性量を入力するための矩形枠が表示される。同図に示されるような物性量入力画面がディスプレイ18に表示されると、ユーザは、これらの物性量を対応する矩形枠内にキーボード14、マウス16等を介して入力し、その後に当該画面の最下に表示されている「終了」ボタンをマウス16にてポインティング指定する。これに応じて、上記ステップ102が肯定判定となって、ステップ104に移行する。
ステップ104では、上記物性量入力画面上で入力された物性量を(8)式〜(10)式に適用することにより、係数a、係数b、及び係数cの各値を算出し、次のステップ106にて、算出した係数a,b,cの各値を(1)式に組み込む。
そして、次のステップ108にて、上記ステップ106の処理によって得られた関数を、当該関数を導出した砂質土を特定する情報(ここでは、当該砂質土の名称)に関連付けた状態でハードディスク28の所定領域に記憶し、その後に本関数導出処理を終了する。
次に、図5を参照して、液状化強度曲線を推定する際の液状化強度曲線推定装置10の作用を説明する。なお、図5は、ユーザによって液状化強度曲線を推定する液状化強度曲線推定処理の実行指示がキーボード14やマウス16等を介して行われた際にCPU22によって実行される液状化強度曲線推定処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムもハードディスク28の所定領域に予め記憶されている。
まず、同図のステップ200では、予め定められた関数選択画面をディスプレイ18により表示し、次のステップ202にて、所定情報の入力待ちを行う。
図6には、上記ステップ200の処理によってディスプレイ18に表示される関数選択画面の表示状態例が示されている。同図に示すように、この関数選択画面では、液状化強度曲線を推定する砂質土の選択を促すメッセージが表示されると共に、選択対象とする砂質土の名称として「沖積砂質土」、「洪積砂質土」等が、選択された際にチェック・マークが表示される矩形枠と共に表示される。同図に示されるような関数選択画面がディスプレイ18に表示されると、ユーザは、液状化強度曲線を推定したい砂質土の名称の表示領域か、又は当該名称に対応する矩形枠をマウス16にてポインティング指定する。これに応じて、上記ステップ202が肯定判定となって、ステップ204に移行する。
ステップ204では、上記関数選択画面上で選択された関数をハードディスク28から読み出し、次のステップ206にて、読み出した関数における載荷繰り返し回数Nの値を予め定められた第1所定値(ここでは、‘1’)から第2所定値(ここでは、‘200’)までの所定値(ここでは‘1’)毎の値(すなわち、N=1,2,3,・・・,200)としてせん断応力比Rを算出する。
そして、次のステップ208にて、上記ステップ206の処理によって得られたせん断応力比を用いて液状化強度曲線を示すグラフを作成してディスプレイ18に表示した後、本液状化強度曲線推定処理プログラムを終了する。
上記ステップ208の処理により、一例として図7に示すような液状化強度曲線がディスプレイ18に表示される。
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、推定対象とする砂質土の粒径分布を示す第1の物性量(ここでは、平均粒径D50及び細粒分含有率FC)と、破壊強度を示す第3の物性量(ここでは、換算N値N1)とを入力し、入力した物性量に基づいて液状化強度曲線を推定しているので、液状化強度曲線を高精度に推定することができる。
また、本実施の形態では、aを載荷繰り返し回数の小さなところでの液状化強度曲線の立ち上がりを表し、かつ前記入力した物性量に基づいて導出される係数とし、bを載荷繰り返し回数が無限大のときのせん断応力比を表し、かつ前記入力した物性量に基づいて導出される係数とし、cを液状化強度曲線の曲率を表し、かつ前記入力した物性量に基づいて導出される係数として、(1)式の関数を用いて液状化強度曲線を推定するものとしているので、液状化強度曲線を載荷繰り返し回数が小さなところから無限大まで広範囲に高精度で推定することができる。
[第2の実施の形態]
本第2の実施の形態では、予め定められた3通りの載荷繰り返し回数におけるせん断応力比を所定の演算式を用いて推定し、推定した3種類のせん断応力比に基づいて液状化強度曲線を推定する場合の形態例について説明する。なお、第2の実施の形態に係る液状化強度曲線推定装置10のハードウェアの構成は、図1及び図2に示される上記第1の実施の形態に係るものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
本第2の実施の形態に係る液状化強度曲線推定装置10では、係数a,b,cが変数とされた状態の(1)式で表される関数と、(11)式〜(15)式で表される演算式がハードディスク28の所定領域に予め記憶されている。
次に、本第2の実施の形態に係る液状化強度曲線推定装置10の作用を説明する。
まず、図8を参照して、液状化強度曲線を示す関数を導出する際の液状化強度曲線推定装置10の作用を説明する。なお、図8は、ユーザによって液状化強度曲線を示す関数を導出する関数導出処理の実行指示がキーボード14やマウス16等を介して行われた際にCPU22によって実行される関数導出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはハードディスク28の所定領域に予め記憶されている。
ここで、本実施の形態に係る関数導出処理プログラムでは、関数の導出対象とする砂質土の予め定められた物性量(本実施の形態では、N値、換算N値N1、有効上載圧σν’、細粒分含有率FCの4種類の物性量)が必要とされるため、ユーザは、これらの物性量を事前に測定しておく。なお、当該測定には、例えば、社団法人地盤工学会によって規定されている標準貫入試験、室内分析試験、弾性波探索試験等の、これらの物性量を測定することのできる従来既知のあらゆる試験手法を適用することができる。
まず、同図のステップ300では、予め定められた土質・物性量入力画面をディスプレイ18により表示し、次のステップ302にて、所定情報の入力待ちを行う。
図9には、上記ステップ300の処理によってディスプレイ18に表示される土質・物性量入力画面の表示状態例が示されている。同図に示すように、この土質・物性量入力画面では、関数の導出対象とする砂質土の選択と、当該砂質土に関する物性量の入力を促すメッセージが表示されると共に、選択対象とする砂質土の名称として「沖積砂質土」及び「洪積砂質土」が、選択された際にチェック・マークが表示される矩形枠と共に表示され、かつ入力対象とする物性量の名称として「N値」、「換算N値」、「有効上載圧」及び「細粒分含有率」と、各物性量を入力するための矩形枠が表示される。同図に示されるような土質・物性量入力画面がディスプレイ18に表示されると、ユーザは、関数を導出したい砂質土の名称の表示領域か、又は当該名称に対応する矩形枠をマウス16にてポインティング指定すると共に、各物性量を対応する矩形枠内にキーボード14、マウス16等を介して入力し、その後に当該画面の最下に表示されている「終了」ボタンをマウス16にてポインティング指定する。これに応じて、上記ステップ302が肯定判定となって、ステップ304に移行する。
ステップ304では、上記土質・物性量入力画面上で選択された砂質土が沖積砂質土であったか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ306に移行して、上記土質・物性量入力画面上で入力された物性量を(11)式〜(13)式に適用することにより、せん断応力比R,R20,R100の各値を算出した後、ステップ310に移行する。
一方、上記ステップ304において否定判定となった場合には、上記土質・物性量入力画面上で選択された砂質土が洪積砂質土であったものと見なしてステップ308に移行し、上記土質・物性量入力画面上で入力された物性量を(15)式に適用することにより、せん断応力比R,R20,R100の各値を算出した後、ステップ310に移行する。
ステップ310では、上記ステップ306の処理又は上記ステップ308の処理によって算出されたせん断応力比R,R20,R100の各値を(14)式に代入することにより、係数a、係数b、及び係数cの各値を算出し、次のステップ312にて、算出した係数a,b,cの各値を(1)式に組み込む。
そして、次のステップ314にて、上記ステップ312の処理によって得られた関数を、当該関数を導出した砂質土を特定する情報(ここでは、当該砂質土の名称)に関連付けた状態でハードディスク28の所定領域に記憶し、その後に本関数導出処理を終了する。
次に、図10を参照して、液状化強度曲線を推定する際の液状化強度曲線推定装置10の作用を説明する。なお、図10は、ユーザによって液状化強度曲線を推定する液状化強度曲線推定処理の実行指示がキーボード14やマウス16等を介して行われた際にCPU22によって実行される液状化強度曲線推定処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムもハードディスク28の所定領域に予め記憶されている。
まず、同図のステップ400では、予め定められた関数選択画面をディスプレイ18により表示し、次のステップ402にて、所定情報の入力待ちを行う。
図11には、上記ステップ400の処理によってディスプレイ18に表示される関数選択画面の表示状態例が示されている。同図に示すように、この関数選択画面では、液状化強度曲線を推定する砂質土の選択を促すメッセージが表示されると共に、選択対象とする砂質土の名称として「沖積砂質土」及び「洪積砂質土」が、選択された際にチェック・マークが表示される矩形枠と共に表示される。同図に示されるような関数選択画面がディスプレイ18に表示されると、ユーザは、液状化強度曲線を推定したい砂質土の名称の表示領域か、又は当該名称に対応する矩形枠をマウス16にてポインティング指定する。これに応じて、上記ステップ402が肯定判定となって、ステップ404に移行する。
ステップ404では、上記関数選択画面上で選択された関数をハードディスク28から読み出し、次のステップ406にて、読み出した関数における載荷繰り返し回数Nの値を予め定められた第1所定値(ここでは、‘1’)から第2所定値(ここでは、‘200’)までの所定値(ここでは‘1’)毎の値(すなわち、N=1,2,3,・・・,200)としてせん断応力比Rを算出する。
そして、次のステップ408にて、上記ステップ406の処理によって得られたせん断応力比を用いて液状化強度曲線を示すグラフを作成してディスプレイ18に表示した後、本液状化強度曲線推定処理プログラムを終了する。
上記ステップ408の処理により、一例として図7に示すような液状化強度曲線がディスプレイ18に表示される。
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、推定対象とする砂質土の粒径分布を示す第1の物性量(ここでは、細粒分含有率FC)と、破壊強度を示す第3の物性量(ここでは、N値及び換算N値N1)とを入力し、入力した物性量に基づいて液状化強度曲線を推定しているので、液状化強度曲線を高精度に推定することができる。
また、本実施の形態では、aを載荷繰り返し回数の小さなところでの液状化強度曲線の立ち上がりを表し、かつ前記入力した物性量に基づいて導出される係数とし、bを載荷繰り返し回数が無限大のときのせん断応力比を表し、かつ前記入力した物性量に基づいて導出される係数とし、cを液状化強度曲線の曲率を表し、かつ前記入力した物性量に基づいて導出される係数として、(1)式の関数を用いて液状化強度曲線を推定するものとしているので、液状化強度曲線を載荷繰り返し回数が小さなところから無限大まで広範囲に高精度で推定することができる。
また、本実施の形態では、予め定められた3通りの載荷繰り返し回数におけるせん断応力比を所定の演算式(ここでは、(11)式〜(13)式,(15)式)を用いて推定し、推定した3種類のせん断応力比を用いて前記立ち上がりa、前記せん断応力比b、及び前記曲率cを求め、当該立ち上がりa、せん断応力比b、及び曲率cを前記関数に代入して前記液状化強度曲線を推定しているので、より高精度に液状化強度曲線を推定することができる。
更に、本実施の形態では、前記予め定められた3通りの載荷繰り返し回数を、等比数列で表される回数としているので、(14)式により係数a,b,cを容易に算出することができる結果、容易に液状化強度曲線を推定することができる。
なお、上記各実施の形態では、推定した液状化強度曲線をユーザに提示する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、推定した液状化強度曲線を用いて地震応答解析を行ったり、液状化挙動の評価を行うことができることは言うまでもない。
また、推定した液状化強度曲線により得られる値を用いて、動的非排水変形試験等の繰り返し載荷試験による計測によって実際の液状化強度曲線を作成する際の計測ポイントを設定する形態とすることもできる。この場合、的確な計測ポイントを設定することができるため、計測ポイントの誤設定による再計測の発生を抑制することができ、効率的な計測を行うことができる。
また、上記第1の実施の形態では、(8)式〜(10)式の演算式によって係数a,b,cを導出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、(2)式〜(4)式や、(5)式〜(7)式等の、本発明の第1の物性量と、第2の物性量及び第3の物性量の少なくとも一方とを用いた他の演算式によって導出する形態とすることもできる。この場合も、本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記第2の実施の形態では、本発明の3通りの載荷繰り返し回数として、4回,20回,100回を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、5回,20回,80回や、3回,15回,75回等、等比数列となる他の回数を適用する形態とすることもできる。また、(14)式が複雑となることを許容する場合には、等比数列とならない回数を適用することもできる。
その他、上記各実施の形態で説明した液状化強度曲線推定装置10の構成(図1、図2参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
例えば、プリンタ50は必ずしも必要ではなく、プリンタ50を除く形態とすることもできる。
また、上記各実施の形態で示した各処理プログラムの処理の流れ(図3、図5、図8、図10参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
例えば、上記各実施の形態に係る液状化強度曲線推定処理プログラムでは、推定した液状化強度曲線をディスプレイ18による表示によって提示する場合について説明したが、これに限らず、プリンタ50による印刷によって提示する形態とすることもできる。この場合も、上記各実施の形態と同様の効果を奏することができる。
更に、上記各実施の形態で示した各画面の表示状態(図4、図6、図7、図9、図11参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
実施の形態に係る液状化強度曲線推定装置の外観を示す斜視図である。 実施の形態に係る液状化強度曲線推定装置の電気系の主要構成を示すブロック図である。 第1の実施の形態に係る関数導出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 第1の実施の形態に係る物性量入力画面の表示状態例を示す概略図である。 第1の実施の形態に係る液状化強度曲線推定処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 第1の実施の形態に係る関数選択画面の表示状態例を示す概略図である。 実施の形態に係る液状化強度曲線推定装置によって推定された液状化強度曲線の提示例を示す概略図である。 第2の実施の形態に係る関数導出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 第2の実施の形態に係る土質・物性量入力画面の表示状態例を示す概略図である。 第2の実施の形態に係る液状化強度曲線推定処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 第2の実施の形態に係る関数選択画面の表示状態例を示す概略図である。 沖積砂質土をサンプルとした場合の係数a,b,cと、計測した相対密度Dr、平均粒径D50、細粒分含有率FC、均等係数UC、換算N値N1、N値、せん断波速度VSとの関係例を示すグラフである。 洪積砂質土をサンプルとした場合の係数a,b,cと、計測した相対密度Dr、平均粒径D50、細粒分含有率FC、均等係数UC、換算N値N1、N値、せん断波速度VSとの関係例を示すグラフである。 (A)は係数aと換算N値N1との関係例を示すグラフであり、(B)は係数bと換算N値N1との関係例を示すグラフであり、(C)は係数cと換算N値N1との関係例を示すグラフである。 せん断応力比と載荷繰り返し回数Nとの関係を、試験によって得られたものと、重回帰分析による演算式によって係数a,b,cを導出して(1)式に代入して算出したものと、区域内線形式によって係数a,b,cを導出して(1)式に代入して算出したものと、の3種類について示したグラフである。 本発明の効果の説明に供するグラフである。 (11)式によるせん断応力比R20とN値の相関を示すと共に、試験データのフィッティングによるせん断応力比R20とN値の相関を示すグラフである。 (11)式によるせん断応力比R20と試験データのフィッティングによるせん断応力比R20の比較を示すグラフである。 せん断応力比RとN値の相関を示すと共に、試験データのフィッティングによるせん断応力比RとN値の相関を示すグラフである。 せん断応力比R100とN値の相関を示すと共に、試験データのフィッティングによるせん断応力比R100とN値の相関を示すグラフである。 (11)式〜(14)式を適用して推定したせん断応力比と試験データによるせん断応力比の比較例を示すグラフである。 (12)式によるせん断応力比Rと試験データのフィッティングによるせん断応力比Rの比較例を示すグラフである。 (13)式によるせん断応力比R100と試験データのフィッティングによるせん断応力比R100の比較例を示すグラフである。 せん断応力比R,R20,R100と、計測した細粒分含有率FC、及びN値との関係例を示すグラフである。 (15)式によるせん断応力比R,R20,R100と試験データのフィッティングによるせん断応力比R,R20,R100の比較例を示すグラフである。 (14)式,(15)式を適用して推定したせん断応力比と試験データによるせん断応力比の比較例を示すグラフである。 従来の技術の問題点の説明に供するグラフである。
符号の説明
10 液状化強度曲線推定装置
14 キーボード(入力手段)
16 マウス(入力手段)
18 ディスプレイ
22 CPU(推定手段)
28 ハードディスク

Claims (4)

  1. 砂質土におけるせん断応力比と当該せん断応力比により液状化に至る載荷繰り返し回数との関係を示す液状化強度曲線を推定する液状化強度曲線推定装置であって、
    前記砂質土の平均粒径D 50 、細粒分含有率F 、及び換算N値N を入力する入力手段と、
    aを載荷繰り返し回数Nの小さなところでの液状化強度曲線の立ち上がりを表す係数とし、bを該載荷繰り返し回数Nが無限大のときの前記せん断応力比Rを表す係数とし、cを液状化強度曲線の曲率を表す係数とする下記数式(1)の係数a、係数b、及び係数cを、条件別に予め定められた下記数式(2)〜(9)のうちの前記入力手段によって入力された平均粒径D 50 、細粒分含有率F 、及び換算N値N を満足する条件を有する数式を用いて導出する導出手段と、
    前記導出手段によって導出された前記係数a、前記係数b、及び前記係数cが代入された下記数式(1)を用いて液状化強度曲線を推定する推定手段と、
    を備えた液状化強度曲線推定装置。
  2. 沖積砂質土におけるせん断応力比Rと当該せん断応力比により液状化に至る載荷繰り返し回数Nとの関係を示す液状化強度曲線を推定する液状化強度曲線推定装置であって、
    前記沖積砂質土の細粒分含有率F 、換算N値N 、及び前記載荷繰り返し回数Nを入力する入力手段と、
    aを載荷繰り返し回数Nの小さなところでの液状化強度曲線の立ち上がりを表す係数とし、bを該載荷繰り返し回数Nが無限大のときの前記せん断応力比Rを表す係数とし、cを液状化強度曲線の曲率を表す係数とする下記数式(10)の係数a、係数b、及び係数cを、条件別に予め定められた下記数式(11)〜(14)のうちの前記入力手段によって入力された細粒分含有率F 、換算N値N 、及び前記載荷繰り返し回数Nを満足する条件を有する数式を用いて導出する導出手段と、
    前記導出手段によって導出された前記係数a、前記係数b、及び前記係数cが代入された下記数式(10)を用いて液状化強度曲線を推定する推定手段と、
    を備えた液状化強度曲線推定装置。

  3. 砂質土におけるせん断応力比Rと当該せん断応力比により液状化に至る載荷繰り返し回数Nとの関係を示す液状化強度曲線を推定するための液状化強度曲線推定プログラムであって、
    コンピュータを、
    aを載荷繰り返し回数Nの小さなところでの液状化強度曲線の立ち上がりを表す係数とし、bを該載荷繰り返し回数Nが無限大のときの前記せん断応力比Rを表す係数とし、cを液状化強度曲線の曲率を表す係数とする下記数式(1)の係数a、係数b、及び係数cを、条件別に予め定められた下記数式(2)〜(9)のうちの、前記砂質土の平均粒径D 50 、細粒分含有率F 、及び換算N値N を入力する入力手段によって入力された平均粒径D 50 、細粒分含有率F 、及び換算N値N を満足する条件を有する数式を用いて導出する導出手段、及び
    前記導出手段によって導出された前記係数a、前記係数b、及び前記係数cが代入された下記数式(1)を用いて液状化強度曲線を推定する推定手段として機能させるための液状化強度曲線推定プログラム。
  4. 沖積砂質土におけるせん断応力比Rと当該せん断応力比により液状化に至る載荷繰り返し回数Nとの関係を示す液状化強度曲線を推定するための液状化強度曲線推定プログラムであって、
    コンピュータを、
    aを載荷繰り返し回数Nの小さなところでの液状化強度曲線の立ち上がりを表す係数とし、bを該載荷繰り返し回数Nが無限大のときの前記せん断応力比Rを表す係数とし、cを液状化強度曲線の曲率を表す係数とする下記数式(10)の係数a、係数b、及び係数cを、条件別に予め定められた下記数式(11)〜(14)のうちの、前記沖積砂質土の細粒分含有率F 、換算N値N 、及び前記載荷繰り返し回数Nを入力する入力手段によって入力された細粒分含有率F 、換算N値N 、及び前記載荷繰り返し回数Nを満足する条件を有する数式を用いて導出する導出手段、及び
    前記導出手段によって導出された前記係数a、前記係数b、及び前記係数cが代入された下記数式(10)を用いて液状化強度曲線を推定する推定手段として機能させるための液状化強度曲線推定プログラム。

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