JP4702653B1 - 化学発光用組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】蛍光物質を含むオキサレート溶液との反応によって化学蛍光を与えるための化学発光用組成物であって、フタル酸エステル系溶剤とクエン酸エステル系溶剤の内の少なくとも1の溶剤と、過酸化水素、触媒と(化1)で示すエーテルを主たる成分とする。
【化1】
Description
近年、容器内に密閉したまま化学発光させるのではなく、結婚披露宴などの会場のような閉鎖空間で、化学発光している液をグラスなどに満たして化学蛍光をアトラクションショーとして、或いはセレモニー会場の装飾として利用するという用途が広がりつつある。
(特許文献2)には、過酸化水素を含んだ組成物とシュウ酸エステル、蛍光物質を含んだ組成物の混合により、化学発光を呈する系において、過酸化水素を含んだ組成物の溶媒としてエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート又はジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテートの少なくとも1つを使用し、シュウ酸エステル及び蛍光物質の溶媒として、アセチルクエン酸エステル又はアセチルクエン酸エステルを含む有機溶媒を使用することが開示されている。また実施の形態として段落[0015]欄にt-ブタノールが入っていない酸化液として、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート500ccに85%の過酸化水素水を35g加え、さらにサリチル酸ナトリウム0.0008モル/L加え溶解したものが記載されている。
(特許文献3)には、触媒成分と水溶性色素とを担持させた被発光基材に、シュウ酸誘導体を含有した液体と酸化液とを含む発光溶液を接触させ、基材を発光させて化学発光を行うことが開示されている。
(特許文献4)には、ビス(p−アルキルフェニルエチニル)アントラセンを蛍光発光化合物とし、ケミルミネッセンスを発生させる混合物として使用する方法、及びケミルミネッセンスを発生させる前記化合物の使用方法が記載されている。
(1)従来の技術では、溶液類や触媒を均一に混合・溶解させ発光を均一にさせるためにt−ブタノールを主とするアルコールが含まれるのが一般的であったため、引火点が低く引火しやすいため、喫煙者や照明等の電気器具がある通常の宴会場などで使用するには危険性が高いという課題があった。
(2)溶液にt−ブタノールを主とするアルコールが含まれるため、引火点が60℃以下と低く、消防法上の危険物第4類第2石油類や、危険物船舶運送及び貯蔵規則の引火性危険物、航空法施行規則の危険物に該当し輸送や保管・取扱いには多くの法規制があり広く一般に普及させ難いという課題があった。また、t−ブタノールは難分解性で、長期毒性の疑いがあるため、第2種監視化学物質に指定されている。
(3)t−ブタノール以外の溶媒として特開平3−22852号公報には水;アルコール、例えばエタノール、オクタノール、エーテル、例えばジエチルエーテル、ジアミルエーテルやエステルなどが記載されているが、水では混合性や溶解性が低く均一な発光が得られないため、アルコール類やエーテル類は、引火性が高いか臭気が強くて宴会場などでは使用できないため、従来技術の組成物のt−ブタノールを代替することができないという課題があった。
(4)(特許文献1)の実施例に記載された、t-ブタノールを除いた酸化液は粘度が高く、混合性が悪く均一な発光が得られないという課題があった。
(5)(特許文献2)の実施の形態に記載されたt−ブタノールを含まない酸化液はアセチル基に由来する酸っぱく鼻を突く不快な臭気が強く、宴会場などの人が飲食をする閉鎖空間では使えないという課題があった。
(6)(特許文献1)及び(特許文献2)の実施例で記載されているt−ブタノールを含まない酸化液は、どちらも空気中の水分を吸って白濁したり、成分が凝集・沈殿して発光性能が低下したりするなど安定性が悪く、実際の商品に適用することは困難であるという課題があった。
(7)(特許文献3)に記載の技術では、化学発光に利用する酸化液については従来の組成のものを使用するので、t-ブタノールが含まれており引火点が低く引火しやすいため、喫煙者や照明等の電気器具がある通常の宴会場などで使用するには危険性が高いという課題があった。
請求項1に記載の化学発光用組成物は、蛍光物質を含むオキサレート溶液との反応によって化学蛍光を与えるための化学発光用組成物であって、(a)フタル酸エステル系溶剤とクエン酸エステル系溶剤の内の少なくとも1の溶剤と、(b)過酸化水素と、(c)(化1)で示すエーテルと、(d)触媒と、を含有する構成を有する。
(1)フタル酸エステル系溶剤とクエン酸エステル系溶剤の内の少なくとも1の溶剤と(化1)で示すエーテルを溶剤とするので引火性が低く、宴会場など喫煙者がいる場所、照明などの電気器具のある閉鎖空間で使用しても火災の危険性が低い。
(2)人を不快にする異臭や刺激臭がないので、食品売り場や宴会場など人や飲食物が同居する空間であっても使用することができる。
(3)組成物の安定性が高く、常温で保存しても組成物が白濁したり、化学発光性が低下したりしないので流通・保管が容易であり、商品としての取扱い性に優れる。
(4)化学発光を必要とするときにオキサレートと混合するだけで容易に化学発光が得られる2液タイプの化学発光液となり、簡便に使用できる。
(5)揮発性が低いので、透過性のあるプラスチック等の容器で保存した場合でも能力低下が起こりにくい。
(6)蛍光物質を含むオキサレート溶液との溶解性・混合性に優れ、組成物と蛍光物質を含むオキサレート溶液との混合物の動粘度が従来品とほぼ同等であるので、均一な化学発光を得ることができる。
クエン酸エステル系溶剤としては、特に限定しないが、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル等の従来の技術の酸化液に用いられているものが使用できる。
(化1)に示したエーテルとしては、特に限定しないが、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が使用できる。ここで(化1)のx、yは2,3,4のいずれかの整数であり、R1、R2はメチル基又はエチル基を示す。xとyが1の場合は引火点が十分に低くならないため好ましくない。またxとyが5以上になると蛍光物質を含むオキサレート溶液との溶解性・混合性が下がるため好ましくない。従来の技術の酸化液に用いられていたt-ブタノールの代替として、濃度5〜20wt%で好適に使用される。5wt%を下回ると過酸化水素を十分に溶解することができず白濁し好ましくない。20wt%を超えると組成物とオキサレート溶液との比重差が大きくなり混合時に分離することがあり好ましくない。
また触媒としては、特に限定しないが、サリチル酸のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩等が濃度0.005〜0.02wt%で好適に使用できる。0.005wt%を下回ると発光強度にバラツキが出る傾向があり好ましくない。また0.02wt%を超えると保管中に析出して均一な発光ができなくなる恐れがあり好ましくない。また5−t−ブチルサリチル酸リチウムなどのサリチル酸誘導体の塩や安息香酸及びその誘導体の塩も触媒として使用できる。
過酸化水素の濃度は1.5〜3wt%が好適に採用される。過酸化水素の濃度が3wt%を超えると化学反応性が増し、保存容器を損傷したり、酸素ガスが発生したりする恐れがあり好ましくない。また1.5wt%を下回ると化学発光が弱くなったり化学発光の維持時間が短くなる傾向があり好ましくない。
このオキサレート溶液に加える蛍光物質としては、従来のオキサレート溶液に用いられていた9,10−ビス(4−メトキシフェニル)−2−クロロアントラセンや9,10−ジフェニルアントラセン等が使用できる。従来から用いられている蛍光物質を用いる場合には濃度0.10〜1.14wt%で好適に採用される。濃度が0.10wt%を下回ると発光強度が低く、発光時間が短くなる傾向があり好ましくない。また1.14wt%以上加えても濃色効果により発光強度が増大せず発光時間も長くならない傾向があり経済的でなく好ましくない。蛍光物質としてはビス(2,4,5−トリクロロ−6−カルボペントキシフェニル)オキサレートやビス(2,4,5−トリクロロ−6−カルボブトキシフェニル)オキサレート等のシュウ酸エステル又はその誘導体に可溶であり、触媒の存在下で過酸化水素と反応して化学発光をするものであればよい。
(1)フタル酸エステル系溶剤とクエン酸エステル系溶剤の内の少なくとも1の溶剤と(化2)で示すエーテルを溶剤とするので引火性が低く、宴会場など喫煙者がいる場所や照明など電気器具がある閉鎖空間内で使用しても火災の危険性が低い。
(2)人を不快にする異臭や刺激臭がないので、食品売り場や宴会場など人や食材のある場所や飲食をする場所で使用することができる。
(3)組成物の化学的及び熱的安定性が高く、常温で保存しても組成物が白濁したり、化学発光性が低下したりしないので流通・保管が容易であり、商品としての取扱い性に優れる。
(4)化学発光を必要とするときに触媒と、若しくは触媒を担持させた基材からなる触媒体と化学発光用組成物と蛍光物質を含むオキサレート溶液とを混合するだけで容易に化学発光が得られる2液+1触媒(又は触媒担持体)タイプの化学発光液となるので、様々な形状の基材上に触媒を担持させておいて、2液の混合物を振りかけて、その基材を発光させる演出ができる。
(5)揮発性が低いので、透過性のあるプラスチック等の容器で保存した場合でも能力低下が起こりにくい。
(6)蛍光物質を含むオキサレート溶液との溶解性・混合性に優れ、組成物と蛍光物質を含むオキサレート溶液との混合物の動粘度が従来品とほぼ同等であるので、均一な化学発光を得ることができる。
また、(化2)で示すエーテルについては請求項1に示した(化1)のエーテルと同じものであるので説明を省略する。
触媒としてサリチル酸ナトリウム自体を用いる場合は、蛍光物質を含むオキサレート溶液1量部に対してサリチル酸塩0.00005〜0.0002重量部が好ましく採用される。0.00005重量部を下回ると発光強度にバラツキが出る傾向があり好ましくない。0.0002を上回ると溶液での使用では溶解残渣により混合液が濁る可能性があり好ましくない。
この構成により、請求項1の作用に加えて、以下のような作用が得られる。
(1)(化1)でx及びyの値が2又は3であるエーテルは引火性が低い上に、サリチル酸塩、オキサレートを溶解する能力が高く、また、フタル酸エステル系溶剤、クエン酸エステル系溶剤、過酸化水素とよく混じりあい、分離したり、白濁などを生じにくいので、従来の酸化液のt-ブタノールの役割を代替でき、尚且つ安全で化学安定性がよい。
(2)(化1)でx及びyの値が2又は3であるエーテルは不愉快な異臭や刺激臭がないので宴会場など飲食をする場所での利用が可能となる。
(3)(化1)でx及びyの値が2又は3であるエーテルは揮発性が低いので、透過性のあるプラスチック等の容器で保存した場合でも能力低下が起こりにくい。
この構成により、請求項1の作用に加えて、以下のような作用が得られる。
(1)(化2)でx及びyの値が2又は3であるエーテルは引火性が低い上に、サリチル酸塩、オキサレートを溶解する能力が高く、また、フタル酸エステル系溶剤、クエン酸エステル系溶剤、過酸化水素とよく混じりあい、分離したり、白濁などを生じにくいので、従来の酸化液のt-ブタノールの役割を代替でき、尚且つ安全で化学安定性がよい。
(2)(化2)でx及びyの値が2又は3であるエーテルは不愉快な異臭や刺激臭がないので宴会場など飲食をする場所での利用が可能となる。
(3)(化2)でx及びyの値が2又は3であるエーテルは揮発性が低いので、透過性のあるプラスチック等の容器で保存した場合でも能力低下が起こりにくい。
この構成により、請求項1の作用に加えて、以下のような作用が得られる。
(1)ジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテルは引火性が低い上に、サリチル酸塩、オキサレートを溶解する能力が高く、また、フタル酸エステル系溶剤、クエン酸エステル系溶剤、過酸化水素とよく混じりあい、分離したり、白濁などを生じにくいので、従来の酸化液のt-ブタノールの役割を代替でき、尚且つ安全で化学安定性がよい。
(2)ジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテルは不愉快な異臭や刺激臭がないので宴会場など飲食をする場所での利用が可能となる。
(3)ジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテルは揮発性が低いので、透過性のあるプラスチック等の容器で保存した場合でも能力低下が起こりにくい。
この構成により、請求項2で得られる作用に加えて、以下のような作用が得られる。
(1)ジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテルは引火性が低い上に、サリチル酸塩、オキサレートを溶解する能力が高く、また、フタル酸エステル系溶剤、クエン酸エステル系溶剤、過酸化水素とよく混じりあい、分離したり、白濁などを生じにくいので、従来の酸化液のt-ブタノールの役割を代替でき、尚且つ安全で化学安定性がよい。
(2)ジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテルは不愉快な異臭や刺激臭がないので宴会場など飲食をする場所での利用が可能となる。
(3)ジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテルは揮発性が低いので、透過性のあるプラスチック等の容器で保存した場合でも能力低下が起こりにくい。
この構成により、請求項1乃至6の内いずれか1の作用に加えて、以下のような作用が得られる。
(1)t-ブタノールが添加されていない、又はt−ブタノールの含有量が5wt%以下であるので、引火点が70℃以上となり、消防法における危険物第4類第3石油類に該当するため、労働安全衛生法、消防法、航空法施行規則、危険物船舶運送及び貯蔵規則等による輸送・保管・取扱いに対する法規制が従来品よりも緩やかである。特に、指定数量が従来品の倍であるので、製造,販売,管理において取扱い性にすぐれる。
(2)t-ブタノールは(化1)又は(化2)に示されたエーテルよりもはるかに安価であるので、t-ブタノール全量を(化1)又は(化2)に示されたエーテルで置き換えないことでコストを削減できる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)フタル酸エステル系溶剤とクエン酸エステル系溶剤の内の少なくとも1の溶剤と(化1)で示すエーテルを溶剤とするので引火性が低く、宴会場など喫煙者がいる場所、照明など電気器具がある空間で使用しても危険性が低い化学発光用組成物を提供できる。
(2)人を不快にする異臭や刺激臭がないので、食品売り場や宴会場など人や飲食物がある場所、飲食をする空間等、使用できる空間を著しく広げることが可能な化学発光用組成物を提供できる。
(3)組成物の化学的及び熱的安定性が高く、常温で保存しても組成物が白濁したり、化学発光性が低下したりしないので流通・保管が容易であり、商品としての取扱い性に優れる化学発光用組成物を提供できる。
(4)化学発光を必要とするときにオキサレートと混合するだけで容易に化学発光が得られる2液タイプの化学発光液となり、簡便に使用できる化学発光用組成物を提供できる化学発光用組成物を提供できる。
(5)揮発性が低いので、透過性のあるプラスチック等の容器で保存した場合でも能力低下が起こりにくい化学発光用組成物を提供できる。
(6)組成物と蛍光物質を含むオキサレート溶液との混合物の動粘度が従来品とほぼ同等であるので混合性に優れ、均一な化学発光を得ることができる化学発光用組成物を提供できる。
(1)化学発光を必要とするときにサリチル酸塩とオキサレートと混合するだけで容易に化学発光が得られる2液+1触媒(又は触媒担持体)タイプの化学発光液となるので、様々な形状の基材上に触媒を担持させておいて、2液の混合物を振るだけでその基材を発光させる演出ができる化学発光用組成物を提供できる。
(1)(化1)でx及びyの値が2又は3であるエーテルは引火性が低い上に、サリチル酸塩、オキサレートを溶解する能力が高く、また、フタル酸エステル系溶剤、クエン酸エステル系溶剤、過酸化水素とよく混じりあい、分離したり、白濁などを生じにくいので、従来の酸化液のt-ブタノールの役割を代替でき、尚且つ安全で化学安定性がよい化学発光用組成物を提供できる。
(2)(化1)でx及びyの値が2又は3であるエーテルは不愉快な異臭や刺激臭がないので宴会場など飲食をする場所での利用が可能となる化学発光用組成物を提供できる。
(3)(化1)でx及びyの値が2又は3であるエーテルは揮発性が低いので、透過性のあるプラスチック等の容器で保存した場合でも能力低下が起こりにくい化学発光用組成物を提供できる。
(1)(化2)でx及びyの値が2又は3であるエーテルは引火性が低い上に、サリチル酸塩、オキサレートを溶解する能力が高く、また、フタル酸エステル系溶剤、クエン酸エステル系溶剤、過酸化水素とよく混じりあい、分離したり、白濁などを生じにくいので、従来の酸化液のt-ブタノールの役割を代替でき、尚且つ安全で化学安定性がよい化学発光用組成物を提供できる。
(2)(化2)でx及びyの値が2又は3であるエーテルは不愉快な異臭や刺激臭がないので宴会場など飲食をする場所での利用が可能となる化学発光用組成物を提供できる。
(3)(化2)でx及びyの値が2又は3であるエーテルは揮発性が低いので、透過性のあるプラスチック等の容器で保存した場合でも能力低下が起こりにくい化学発光用組成物を提供できる。
(1)ジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテルは引火性が低い上に、サリチル酸塩、オキサレートを溶解する能力が高く、また、フタル酸エステル系溶剤、クエン酸エステル系溶剤、過酸化水素とよく混じりあい、分離したり、白濁などを生じにくいので、従来の酸化液のt-ブタノールの役割を代替でき、尚且つ安全で化学安定性がよい化学発光用組成物を提供できる。
(2)ジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテルは不愉快な異臭や刺激臭がないので宴会場など飲食をする場所での利用が可能となる化学発光用組成物を提供できる。
(3)ジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテルは揮発性が低いので、透過性のあるプラスチック等の容器で保存した場合でも能力低下が起こりにくい化学発光用組成物を提供できる。
(1)ジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテルは引火性が低い上に、サリチル酸塩、オキサレートを溶解する能力が高く、また、フタル酸エステル系溶剤、クエン酸エステル系溶剤、過酸化水素とよく混じりあい、分離したり、白濁などを生じにくいので、従来の酸化液のt-ブタノールの役割を代替でき、尚且つ安全で化学安定性がよい化学発光用組成物を提供できる。
(2)ジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテルは不愉快な異臭や刺激臭がないので宴会場など飲食をする場所での利用が可能となる化学発光用組成物を提供できる。
(3)ジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテルは揮発性が低いので、透過性のあるプラスチック等の容器で保存した場合でも能力低下が起こりにくい化学発光用組成物を提供できる。
(1)t-ブタノールが添加されていない、又はt−ブタノールの含有量が5wt%以下であるので、引火点が70℃以上となり、消防法における危険物第4類第3石油類に該当するため、労働安全衛生法、消防法、航空法施行規則、危険物船舶運送及び貯蔵規則等による輸送・保管・取扱いに対する法規制が従来品よりも緩やかであり、指定数量が従来品の倍であるため製造,販売,管理の面においても取り扱い性に優れた化学発光用組成物を提供できる。
(2)t-ブタノールは(化1)又は(化2)に示されたエーテルよりもはるかに安価であるので、t-ブタノール全量を(化1)又は(化2)に示されたエーテルで置き換えないことでコストを削減できる化学発光用組成物を提供できる。
(実施の形態1)
<化学発光用組成物の調製>
フタル酸エステル系溶剤とクエン酸エステル系溶剤の内の少なくとも1の溶剤に対して、80wt%過酸化水素を濃度2.7wt%で、触媒としてサリチル酸塩を濃度0.007wt%で、ジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテルを濃度7.8wt%で加えてよく混合して溶解した液を化学発光用組成物Aとする。
<蛍光物質を含むオキサレート溶液の調製>
従来の2液タイプの化学発光システムで使用されていた蛍光物質を含むオキサレート溶液の組成がそのまま利用できる。以下にその組成の一例を示す。
フタル酸ジブチルを溶剤としてシュウ酸エステルを濃度8wt%、蛍光物質を濃度0.12wt%で溶解した液をオキサレート溶液Bとする。
・使用に当たっては、化学発光用組成物Aとオキサレート溶液Bを体積比率でA:B=1:1で混合するだけでよい。混合直後からこの混合液は強い化学発光を凡そ120分間継続するので、この混合液をグラスなどに分注して、ディスプレーやアトラクションとして利用できる。
フタル酸エステル系溶剤とクエン酸エステル系溶剤としてはフタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、クエン酸トリエチルなどが使用できる。触媒としてはサリチル酸のナトリウム塩やリチウム塩等が採用できる。
フタル酸エステル系溶剤とクエン酸エステル系溶剤の内の少なくとも1の溶剤に対して、80wt%過酸化水素を濃度2.7wt%で、ジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテルを濃度7.8wt%で加えてよく混合して溶解した液を化学発光溶組成物Cとする。
次に蛍光物質を含まないオキサレート溶液を調製する。従来の2液+1触媒タイプの化学発光システムで使用されていた蛍光物質を含まないオキサレート溶液の組成がそのまま利用できる。以下にその組成の一例を示す。
フタル酸ジブチルを溶剤としてシュウ酸エステルを濃度8wt%溶解した液をオキサレート溶液Dとする。
布などの素材で花やキャラクターなどの形状に作製した担持体に蛍光物質とサリチル酸塩を担持させた被発光体を作製する。
使用に当たっては、C液とD液を体積比率で1:1に混合した混合液を被発光体に浸漬するか、非発光体に混合液を振り掛ける等するだけでよい。実施の形態1同様に混合直後からこの被発光体は強い化学発光を凡そ120分間継続するので、この混合液をグラスなどに分注して、ディスプレーやアトラクションとして利用できる。
(1)フタル酸エステル系溶剤とクエン酸エステル系溶剤の内の少なくとも1の溶剤とジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテルを溶剤とするので引火性が低く、宴会場など喫煙者がいる場所や照明など電気器具がある空間で使用しても火災の危険性が低い。
(2)ジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテルは人を不快にする異臭や刺激臭がないので、宴会場など人や飲食物と同じ閉鎖空間で使用することができる。
(3)組成物の化学的及び熱的安定性が高く、常温で保存しても組成物が白濁したり、化学発光性が低下したりしないので流通・保管が容易であり、商品としての取扱い性に優れる。
(4)化学発光を必要とするときに蛍光物質を含むオキサレート溶液と混合するだけで容易に化学発光が得られる2液タイプの化学発光液、又はオキサレート溶液と混合し触媒であるサリチル酸塩と接触させるだけで容易に化学発光が得られる2液+1触媒タイプの化学発光液となり、簡便に使用できる。
(5)t-ブタノールを含まないので、引火性が低く安全であり、消防法における危険物第4類第3石油類に該当するため、規制が従来品よりも緩やかであり、取扱い性に優れる。
(6)ジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテルは引火性が低い上に、サリチル酸塩、オキサレートを溶解する能力が高く、また、フタル酸エステル系溶剤、クエン酸エステル系溶剤、過酸化水素とよく混じりあい、分離したり、白濁などを生じにくいので、安全で安定性がよい化学発光用組成物を提供できる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
57.5重量部のフタル酸ジブチルと、21.0重量部のフタル酸ジメチル、11.0重量部のクエン酸トリエチル、7.8重量部のジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテル、2.7重量部の80wt%過酸化水素水をよく混合し、これにサリチル酸ナトリウムを0.007wt%で溶解し化学発光用組成物とした。
56.3重量部のフタル酸ジブチルと32.0重量部のフタル酸ジメチル、9.0重量部のt−ブタノール、2.7重量部の80wt%過酸化水素水をよく混合し、これにサリチル酸ナトリウムを0.007wt%で溶解し化学発光用組成物とした。
58.3重量部のフタル酸ジブチルと34.0重量部のフタル酸ジメチル、5.5重量部のt−ブタノール、2.7重量部の80wt%過酸化水素水をよく混合し、これにサリチル酸ナトリウムを0.007wt%で溶解し化学発光用組成物とした。
96.42重量部のクエン酸トリエチルと3.75重量部の80wt%過酸化水素水、サリチル酸ナトリウムを0.01重量部で混合し化学発光用組成物とした。
実施例1と比較例1及び比較例2では混合性に差は認められず、均一な発光を得られた。またその発光強度にも差が見られなかった。また混合から10分後、及び30分後、1時間後の発光については同等な発光強度であった。発光時間は約2時間継続し、両者の差はほとんど認められなかった。
一方、比較例3では2液の混合性が非常に悪く、分離した状態で発光し、強く攪拌しても均一な発光を得ることができなかった。
比較例1は従来技術の場合であり、比較例3は(特許文献1)の段落[0036]に記載されたt-ブタノールを含まない実施例と同じ場合である。よって実施例1による組成物は従来技術同等の発光性能を示すこと、従来品と同様の混合性を示し、実使用できることが示された。
その結果、実施例1で作製した組成物の引火点は108.2℃であり、室温での通常使用では安全と考えられる消防法の第3石油類に該当するものであるのに対して、従来技術品である比較例1で作製した組成物の引火点は26.2℃、比較例2で作製した組成物の引火点は59.2℃であり、消防法の第2石油類、危険物船舶運送及び貯蔵規則の引火性危険物、航空法施行規則の危険物に該当し輸送や保管・取扱いには、量や場所、届出など多くの法規制があることがわかった。
また、試験後の組成物に、オキサレート溶液Eを各々体積比で1:1になるよう混合し、発光性能を見た。その結果、実施例1に比べ比較例1の発光は弱かった。さらに、比較例1の組成物はt-ブタノールが気化蒸発したことで比重が重く、粘性が高くなり、混合性も悪かった。
45.3重量部のフタル酸ジブチルと、21.0重量部のフタル酸ジメチル、11.0重量部のクエン酸トリエチル、20.0重量部のジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテル、2.7重量部の80wt%過酸化水素水をよく混合し、これにサリチル酸ナトリウムを0.007wt%で溶解し化学発光用組成物とした。
61.3重量部のフタル酸ジブチルと、21.0重量部のフタル酸ジメチル、11.0重量部のクエン酸トリエチル、4.0重量部のジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテル、2.7重量部の80wt%過酸化水素水をよく混合し、これにサリチル酸ナトリウムを0.007wt%で溶解し化学発光用組成物とした。
35.3重量部のフタル酸ジブチルと、21.0重量部のフタル酸ジメチル、11.0重量部のクエン酸トリエチル、30.0重量部のジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテル、2.7重量部の80wt%過酸化水素水をよく混合し、これにサリチル酸ナトリウムを0.007wt%で溶解し化学発光用組成物とした。
実施例2においては、実施例1と混合性の差は見られず、実施例1と同様に均一な発光が約2時間継続した。比較例4では、作製した組成物が白濁したため、オキサレート溶液Eとの混合は行わなかった。また、比較例5では、組成物とオキサレート溶液Eの比重差が大きいため下層部にオキサレート溶液E、上層部に比較例5の組成物が分離した状態となり、激しく振って混合することで均一な発光が得られた。ここで、比較例4において、組成物が白濁した理由は、過酸化水素を十分に溶解することが出来なかったためだと推測される。
この結果から、酸化剤として用いられていたt−ブタノールの代替えとして、エーテルを用いる場合、5wt%を下回ると過酸化水素を十分に溶解することができず白濁し好ましくないことがわかった。また、20wt%を超えると組成物とオキサレート溶液との比重差が大きくなり混合時に分離することがあり好ましくないことがわかった。
エーテルにジエチレングリコールジメチルエーテルを用い、7.8重量部混合した以外は実施例1と同様の化学発光用組成物とした。
エーテルにジエチレングリコールジエチルエーテルを用い、7.8重量部混合した以外は実施例1と同様の化学発光用組成物とした。
エーテルにジエチレングリコールエチルメチルエーテルを用い、7.8重量部混合した以外は実施例1と同様の化学発光用組成物とした。
よって、実施例3乃至5に記載のエーテルを用いた化学発光用組成物においても、実施例1と同様に従来品と同等の発光性能と混合性を示すことが示された。
その結果、実施例3で作製した組成物の引火点は99℃、実施例4で作製した組成物の引火点は127℃、実施例5で作製した組成物の引火点は104℃であった。よって、t−ブタノールの代替えとして、実施例3乃至実施例5に記載のエーテルを用いた場合であっても、室温での通常使用では安全と考えられる消防法の危険物第4類第3石油類に該当するものであることがわかった。よって、実施例1及び2と同様に、消防法、危険物船舶運送及び貯蔵規則、航空法施行規則など多くの法規制による制約が緩和され、その分、取扱い性に優れることが示された。
21.0重量部のフタル酸ジメチルと、57.5重量部のフタル酸ジブチル、11.0重量部のクエン酸トリエチル、7.8重量部のジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテル、2.7重量部の80wt%過酸化水素水をよく混合して溶解し化学発光用組成物とした。
30.0重量部のフタル酸ジメチルと、52.3重量部のフタル酸ジブチル、15.0重量部のジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテル、2.7重量部の80wt%過酸化水素水をよく混合し、これにサリチル酸ナトリウムを0.007wt%で溶解し化学発光用組成物とした。
82.3重量部のクエン酸トリエチルと、15.0重量部のジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテル、2.7重量部の80wt%過酸化水素水をよく混合し、これにサリチル酸ナトリウムを0.007wt%で溶解し化学発光用組成物とした。
加熱加速保存の結果、実施例1乃至8の組成物に変化はかった。また、加熱加速保存後の実施例1乃至8の組成物に実施例3で作成したオキサレート溶液Eを体積比で1:1になるよう混合したろころ、均一な発光が確認された。しかし、比較例4の組成物は白濁し、比較例5の組成物は混合性が悪くなった。常温保管の結果においても、実施例1乃至8の組成物に変化はなかった。また、常温保存後の実施例1乃至8の組成物とオキサレート溶液Eを体積比で1:1になるよう混合したところ、均一な発光が確認された。
Claims (7)
- (化1)で示す前記エーテルにおいて、x及びyの値が2又は3であることを特徴とする請求項1に記載の化学発光用組成物。
- (化2)で示す前記エーテルにおいて、x及びyの値が2又は3であることを特徴とする請求項2に記載の化学発光用組成物。
- (化1)で示す前記エーテルがジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテルであることを特徴とする請求項1に記載の化学発光用組成物。
- (化2)で示す前記エーテルがジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテルであることを特徴とする請求項2に記載の化学発光用組成物。
- t−ブタノールが添加されていない、又はt−ブタノールが5wt%以下で添加されていることを特徴とする請求項1乃至6の内いずれか1に記載の化学発光用組成物。
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