JP4696345B2 - ディスタンスブロックの配置方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスタンスブロックの配置方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用鋼板やその他の金属板材などをプレスして成形するプレス成形における形成不具合として、主なものに、寸法精度不良、われ不具合、しわ不具合などがある。近年数値解析技術の進歩により、これらの不具合を、コンピュータを用いたシミュレーションにより推定すること可能になってきている。例えば特開平11−319971号公報では、有限要素法を用いたシミュレーションによりプレス成形時のわれやしわの発生をシミュレートする技術が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなシミュレーションを実行して、その解析結果からプレス圧型を製造し、実際にプレス成形を行った場合、単発形成ではわれ、しわなどの不具合の発生しない圧型でも、量産時には形成変動により、われ、しわが発生することがあり、従来のシミュレーションだけでは、現場でさらに型の調整が必要であるといった問題があった。
【0004】
本発明者による研究の結果、このような量産時における形成変動の主要因は、量産に伴う型の温度変化であることがわかってきた。
【0005】
ところが、プレス成形シミュレーションでは、これまでプレス圧型の温度変化に着目して数値解析したものはなく、全くといっていいほど研究されていないのが現状である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、プレス成形シミュレーション方法によりプレス形成時におけるブランク材や圧型の温度上昇の原因となる熱発生を評価して、発熱分布の偏りのないプレス圧型を得ることができるディスタンスブロックの配置方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記する手段により達成される。
【0008】
(1)コンピュータを用いた有限要素法に基づくプレス成形シミュレーション方法を用いて、前記有限要素法の各要素節点における温度変化を求め、求めた各要素節点の温度変化に基づき、所定温度以上となっている高温領域部分を抽出し、該高温領域部分からブランク材が圧型内に入り込む方向線上で、ポンチプロファイルラインの外側にディスタンスブロックを配置することを特徴とするディスタンスブロックの配置方法。
【0009】
(2)前記ポンチプロファイルラインの外側に配置したディスタンスブロックによって熱を逃がすことのできない前記ポンチプロファイルラインの内側にある前記高温領域部分には、その近傍に圧型リブを設けることを特徴とする(1)に記載のディスタンスブロックの配置方法。
【0010】
(3)前記プレス成形シミュレーション方法における前記各要素節点における温度変化は、ブランク材とプレス圧型の間の摺動熱、およびブランク材の塑性変形に起因する材料変形熱を算出することにより求めることを特徴とする(1)または(2)に記載のディスタンスブロックの配置方法。
【0011】
(4)前記摺動熱は、ブランク材とプレス圧型の接触部分における面圧、摩擦係数、および単位時間あたりの摺動距離から算出することを特徴とする(3)に記載のディスタンスブロックの配置方法。
【0012】
(5)前記摺動熱の算出時には、ブランク材とプレス圧型との接触部分における熱伝導による熱の移動を算出することを特徴とする(3)または(4)に記載のディスタンスブロックの配置方法。
【0013】
(6)前記材料変形熱は、相当塑性仕事と比例した量として近似することを特徴とする(3)に記載のディスタンスブロックの配置方法。
【0014】
(7)前記摺動熱および材料変形熱の算出時には、ブランク材からの大気放熱量を算出することを特徴とする(3)〜(6)のいずれか1つに記載のディスタンスブロックの配置方法。
【0016】
【発明の効果】
本発明は請求項ごとに以下の効果を奏する。
【0017】
請求項1記載の本発明によれば、プレス成形シミュレーションにより有限要素の各要素節点における温度変化を求め、求めた各要素節点の温度変化に基づき、所定温度以上となっている高温領域部分を抽出し、該高温領域部分からブランク材が圧型内に入り込む方向線上で、ポンチプロファイルラインの外側にディスタンスブロックを配置することとしたので、プレス成形シミュレーションにより解析された温度分布のうち、高温領域の熱をポンチプロファイルラインの外側に配置したディスタンスブロックによって逃がすことができるようになり、プレス成形時に、発熱分布の偏りがなく、熱による圧型変形や形成変動を抑えたプレス圧型を得ることが可能となる。
【0018】
請求項2記載の本発明によれば、ポンチプロファイルラインの外側に配置したディスタンスブロックによって熱を逃がすことのできない前記ポンチプロファイルラインの内側にある前記高温領域部分の近傍に圧型リブを設けることとしたので、ポンチプロファイルラインの内側で、ディスタンスブロックの配置が難しい部分においてもリブを設けることで、熱を逃がし、プレス成形時の熱により圧型変形や形成変動を抑えることが可能となる。
【0019】
請求項3記載の本発明によれば、温度変化を求めるために、ブランク材とプレス圧型の間の摺動熱、およびブランク材の塑性変形に起因する材料変形熱を算出することとしたので、プレス成形時の主な発熱原因による温度変化を適確に求めることが可能となる。
【0020】
請求項4記載の本発明によれば、摺動熱をブランク材とプレス圧型の接触部分における面圧、摩擦係数、および単位時間あたりの摺動距離から算出することとしたので、増分型で解析を行う有限要素法によるシミュレーションに容易に導入することができる。
【0021】
請求項5記載の本発明によれば、摺動熱の算出時にブランク材とプレス圧型の接触部分における熱伝導による熱の移動を算出することとしたので、接触部分からの放熱が考慮された正確な温度変化を求めることが可能となる。
【0022】
請求項6記載の本発明によれば、材料変形熱を、相当塑性仕事と比例した量として近似することとしたので、増分型で解析を行う有限要素法によるシミュレーションに容易に導入することができる。
【0023】
請求項7記載の本発明によれば、摺動熱および材料変形熱の算出時には、ブランク材からの大気放熱量を算出することとしたので、大気放熱が考慮された正確な温度変化を求めることが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施の形態を説明する。
【0026】
本実施の形態では、従来からある有限変形弾塑性有限要素法、特に動的陽解法を元にしたコンピュータによるシミュレーションにより、プレス圧型やブランク材(プレス材料)に加わる変位量、ひずみ量、および応力などを解析すると共に、本発明を適用してプレス圧型の温度変化を解析し、熱の発生領域を求めるものである。なお、シミュレーションは、後述する処理手順にしたがって作成されたプログラムをワークステーション、あるいはパソコンなどと称されているコンピュータが実行することにより行なわれる。また、このようなシミュレーションを行なうコンピュータをシミュレータと称する。
【0027】
図1および図2は、本発明を適用したシミュレーションの処理手順を示すフローチャートである。
【0028】
まず、シミュレーションに必要なデータの入力を行う。入力するデータは、例えばCAD装置などに記憶されている設計データをもとに、有限要素法解析に必要な有限要素メッシュデータ、プレス圧型の形状および質量、ブランク材の形状および質量、プレス圧型とブランク材との接触条件および支持条件などの幾何学境界条件、荷重、熱源などの力学境界条件などである(S1)。
【0029】
続いて、変数の初期条件を設定する(S2)。ここでは、シミュレートするプレス圧型およびブランク材の座標、変位、ひずみ、応力、および温度などの初期値を設定する。
【0030】
続いて、入力されたプレス圧型およびブランク材のデータから形状関数の設定し(S3)、質量マトリックスおよび減衰マトリックスを設定する(S4)。
【0031】
そして、各種設定が済んだところで、増分計算の繰り返しとなる(S5)。増分量は、通常の動的陽解法においては、時間増分を用いるのであるが、プレス成形のシミュレーションでは、プレス圧型の移動によりブランク材が変形されて成形されるため、ここではプレス圧型の移動量を増分とし、あらかじめ決めた一定量を一増分量としている。また、増分計算の繰り返しの終了(後述するステップS21)は、プレス圧型が下死点に到達した時点である。
【0032】
増分計算では、まず、周知の方法(例えば、「非線形有限要素法」、1994年12月20日、コロナ社発行)により、材料構成式マトリックス(弾塑性構成式)の算出(S6)、ガウス求積法による節点内力の算出とペナルティ法による節点外力の算出(S7)、中央差分による変位算出(S8)、算出されたこの増分内での変位から、変位、ひずみ、応力の増分量の計算(S9)を順次実行して、有限要素節点ごとの変位量、ひずみ、および応力を求め、これらの値を更新する(S10)。これにより、プレス圧型の変形量や、ひずみ、応力がシミュレートされる。
【0033】
続いて、同じ増分計算の中で、本発明を適用した要素節点ごとの温度変化を求める計算に入る。
【0034】
温度変化は、発熱量と放熱量を算出することにより求めることができる。発熱量としては、ブランク材とプレス圧型が接触する部分で発生する摺動熱と、ブランク材の塑性変形による発熱である。一方、放熱は、大気中への放熱と、プレス圧型と接触した部分からの熱伝導による放熱である。本実施の形態では、まず発熱量を算出した後、放熱量を算出して、ブランク材および圧型の温度を更新する。
【0035】
まず、摺動熱を算出する。プレス圧型とブランク材との摺動熱算出のために、要素節点面圧を算出し(S11)、続いて、算出された節点面圧を用いて節点摺動熱増分を算出する(S12)。
【0036】
摺動熱Tsは、摩擦抵抗の仕事量と比例していると考えることができ、ブランク材の要素節点ごとに、摺動熱増分ΔTsは下記(1)式より求める。
ΔTs=f(P,μ,l)=αPiμΔL ・・・・・(1)
ただし、式中、Piは増分ステップiにおける面圧(前記ステップS12にて算出)、μはブランク材の摩擦係数、ΔLは1増分における摺動距離、αは摩擦抵抗の仕事量が熱に変換される割合で、ブランク材を自動車車体用の鋼板とした場合、α=0.75〜0.95を用いる。
【0037】
なお、ステップS12における面圧Piの算出は、例えばペナルティ法を用いて算出し、各増分ステップにおいて、ブランク材の有限要素が圧型モデルの方へ食い込む量を計算し、この値にペナルティ数を乗じることで、法線方向の接触力として面圧を算出する。
【0038】
続いて塑性変形に伴う発生熱を算出する。このためには、相当応力および相当塑性ひずみ速度を算出し(S13)、これを用いて有限要素の素材(ブランク材)の変形熱増分を算出する(S14)。
【0039】
ここで要素素材変形熱増分ΔTdは、相当塑性仕事と比例していると考えることができる。そこで、各材料要素に対して下記(2)式により、変形熱増分ΔTdを近似して求める。
【0040】
【数1】
【0041】
ここで、式中、βは塑性仕事の熱に変換される割合で、β=0.85〜0.95とした。また、式中、Wpは塑性仕事量であり、σは相当応力、
【0042】
【外1】
【0043】
である。
【0044】
続いて、求めた摺動熱増分ΔTsと変形熱増分ΔTdを各要素節点に分配する(S15)。これにより、ブランク材の発熱による温度上昇が要素節点ごとに求まる。
【0045】
次に、プレス形成中における放熱量を算出する。
ブランク材は、成形中に型との接触離脱を繰り返す。本実施の形態では、要素節点ごとに熱量計算を行うため、各要素節点の有効面積を定義しておく必要がある。
【0046】
要素節点ごとの有効面積Sは、下記(3)式により、節点を含む各要素について、要素節点周りにおける形状関数の数値積分を行い、各要素の総和をとることで求める。
【0047】
【数2】
【0048】
ここで,式中、sは各要素の接触面積、iは各要素番号、ξ,ηは局所座標系、F(ξ,η)は形状関数(ステップS3で定義)である。
【0049】
また、ブランク材と型との接触した部分における熱伝導によるブランク材から型への熱移動速度は、下記(4)式により求める。
【0050】
【数3】
【0051】
ここで、kはブランク材の熱伝導率、Δxは熱源間距離、ΔTは2つの熱源間の温度差である。
【0052】
本実施の形態では、熱源、すなわち熱の発生部分をブランク材の内部と仮定して、Δxを板厚の1/2とし、接触時間を熱移動速度にかけることで、下記(5)式により、各増分ステップでの熱移動量ΔQを計算する。
【0053】
【数4】
【0054】
ここで、式中、Δtは1増分あたりの時間、wはブランク材の厚さである。
【0055】
さらに、熱移動量から温度変化を求めるためには下記(6)式による計算を行う。
ΔT=ΔQ/(cm) ・・・・・(6)
ここで、式中、cは比熱、mは質量である。
【0056】
本実施形態において、比熱cは、ブランク材とプレス圧型をいずれも炭素鋼とした場合480J/kgKを使用する。また、質量mは、ブランク材においては、その質量であるが、プレス圧型は、ブランク材と同板厚の質量を仮定する。そのため、プレス圧型の質量mは、下記(7)式より求める。
【0057】
m=Vt・ρ=St・W・ρ ・・・・・(7)
ここで、式中、Vtは接触要素体積、ρはプレス圧型の密度、Stは接触要素面積である。なお、雰囲気温度は一定として取り扱う。
【0058】
放熱量の算出には、これら各式を用いて、まず、プレス圧型と接触していない非接触材料節点の放熱量を算出する(S16)。そしてこの非接触材料節点、すなわち、空気中への放熱量を先に算出した発熱量に加算する(実質的には大気中への放熱であるので、(6)式の算出結果はマイナスとなる)。すなわち、材料節点温度増分=摺動熱増分+材料変形熱増分+放熱量増分を算出する(S17)。
【0059】
続いて、プレス圧型と接触しているブランク材の要素節点における吸放熱量による温度変化を算出し(S18)、続いて、プレス圧型の大気放熱量による温度変化を算出する(S19)。
【0060】
そして、この増分ステップにける各要素節点の温度変数、すなわち、ブランク材の温度と、プレス圧型の温度を更新して(S20)、プレス圧型が下死点へ到達するまでステップS5からS21を繰り返し実行する(S21)。これにより、プレス成形時のプレス圧型とブランク材の温度変化を有限要素法によるシミュレーションにより求めることができる。
【0061】
次に、上述したプレス成形時の温度変化のシミュレーション結果を用いて、ディタンスブロック(ディスタンスピースなどとも称されている)をレイアウトする方法について説明する。
【0062】
ディスタンスブロックは、プレス圧型の温度増分が大きな部分に配置することで、板厚クリアランス変動を抑え、成形変動によるわれやしわの発生を抑制するためのものである。したがって、ディスタンスブロックとしては、放熱の良い形状、例えばフィン形状のものを配置したり、あるいは熱容量の大きな部材を設けることが好ましい。
【0063】
図3は、上記のシミュレーションによる熱解析の結果を用いたディスタンスブロックの配置方法の手順を示すフローチャートである。
【0064】
まず、シミュレーションにプレス成形時の熱解析の結果と、初期ブランク形状のデータを入力する(S51)。このとき入力されるデータを図4に示す。図4は、解析結果の温度分布図1とブランク材の初期外形線2(プレス成形前の初期形状である)。温度分布図1はシミュレーションの結果として、プレス形成後のブランク材の熱分布を示すもので、図4では、温度分布を示す等高線として示し、特に、温度の高くなっている部分をハッチングの密度の違い(ハッチング密度の密な方がより温度が高い)により示したが、実際のシミュレーションにおいては、例えば温度分布を色で表すなど、ブランク材の温度分布がよりわかりやすいように表示される。
【0065】
続いて、図5に示すように、入力されたデータから一定温度以上となっているホットポイント3(高温領域部分)を抽出する(S52)。このホットポイントの抽出は、あらかじめ閾値温度を設定しておき、その閾値温度以上となっている発熱点をホットポイント3としてシミュレータに抽出させる。なお、自動抽出させる代わりに、設計者などが温度分布図1を見て問題となそうな発熱点をホットポイント3として設定してもよい。
【0066】
続いて、図6に示すように、ホットポイント3の流入線4上、ポンチプロファイルライン5の外側にディスタンスブロック6を配置するようにディスタンスブロック6のレイアウトを決定する(S53)。発熱点、すなわち解析結果におけるホットポイント3の近傍では、発熱によって型変形が発生し、上下型間のクリアランスが変化する。そこで、発熱点から流入方向にディスタンスブロック6を配置することで、この部分の熱を下げ、型変形の発生を防止するものである。なお、流入線4とは、ブランク材が圧型内に入り込む方向線である。
【0067】
続いて、配置されたディスタンスブロック6の効果を確かめるために熱発生点の再評価を行う(S54)。この再評価は、図7に示すように、配置したディスタンスブロック6によりクリアランスが安定する効果範囲7(半径任意設定)内にあるホットポイント3を評価対象から外す。しかし、ダイフェース上の発熱範囲が広い場合、単独のディスタンスブロック6では発熱による影響を全て解決できないので、ここで、温度分布図1内における発熱部分を再評価して、新たに問題となるような高温域があればホットポイント13として設定する。この新たなホットポイント13の設定は、設計者などが温度分布図1を見て問題となりそうな発熱点を見出して、その部分をホットポイント13として設定してもよいし、先のホットポイントを抽出する閾値を下げて、シミュレータに自動抽出させてもよい。なお、1つのディスタンスブロック6によりクリアランスが安定する効果範囲7は、型構造によって変化するため、ここでは、その半径を設計者などが任意(例えばこれまでの経験値など)に設定するものとする。
【0068】
続いて、新たに設定したホットポイント13に対して、図8に示すように、前記ステップS53と同様に、新たにディスタンスブロック16を配置する(S55)。このディスタンスブロック16によってクリアランスが安定する効果範囲17により、新たに設定したホットポイント13を消去することができる。
【0069】
そして、ダイフェース上のポンチプロファイルライン5の外側に配置するディスタンスブロック6および16によって消去できるホットポイント3および13がなくなるまで、前記ステップS54〜S55を繰り返し実行して、ディスタンスブロック16を配置する(S56)。
【0070】
続いて、ディスタンスブロック6および16の配置が終了したなら、図9に示すように、圧型リブ必要線9および必要点10を入力する(S57)。これには、まず、ディスタンスブロックおよびネストピンなどのレイアウト要件から圧型外形線8を設定し、成形荷重などの要件から圧型リブ必要線(必ずリブを設けなくてはならない設計線)9を定義し、さらに、先にレイアウトしたディスタンスブロック6および16の配置個所にも流入方向に、圧型外形線からポンチプロファイルラインまで、圧型リブ必要線9を設定する。
【0071】
また、ポンチプロファイルライン5内のホットポイント3(ステップS54〜S56においてディスタンスブロック6の配置により消去できないホットポイント3)のうち、リブ必要線9が通らないホットポイントを圧型リブ必要点10と定義し、必ずリブが通らなくてはならない設計線とする。これにより、ポンチプロファイルライン5内のホットポイント3に起因する型変形を抑制し、圧型の熱容量の増大を図る。
【0072】
続いて、リブ必要点10を再評価し、リブ必要点10近傍には、圧型リブ必要線19を設け、これにより、この部分での型変形などが抑制されるものとして、リブ必要点10を評価対象から外す(S58)。結果として、図10に示すように、圧型リブ必要箇所を線分のみで表現する。
【0073】
続いて、図11に示すように、圧型リブ必要線を単に線分として設定した段階において、ところどころ他のリブと接続されていないような部分を、それぞれ他のリブと交差するまで追加延長して(S59)、すべての圧型リブ必要線9および19を接続し(S60)、さらに、圧型リブ必要線9および19が設計基準以上に離れている個所に新たに圧型補強リブ11を追加する(S61)。
【0074】
このようにして出来上がったディスタンスブロックおよびリブ必要線のレイアウト図面データを圧型設計CADなどへ出力して(S62)、処理を終了する。
【0075】
以上のように、本実施の形態では、有限要素法によるシミュレーションにより、プレス成形時の温度変化を求め、その結果に基づいてディスタンスブロックおよびリブを配置することで、ディスタンスブロックおよびリブにより、圧型の表面積および熱容量の増大を図り、発熱点から熱を効果的に逃がし、また、リブにより圧型の強度を増大させて、熱による型変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用した実施の形態におけるシミュレーションの処理手順を示すフローチャートである。
【図2】 図1に続くシミュレーションの処理手順を示すフローチャートである。
【図3】 本発明を適用した実施の形態におけるディスタンスブロックの配置方法の手順を示すフローチャートである。
【図4】 前記シミュレーションの結果である温度分布図とブランク材の初期外形を示す図面である。
【図5】 前記シミュレーションの結果である温度分布図、ブランク材の初期外形、およびホットポイントを示す図面である。
【図6】 前記シミュレーションの結果である温度分布図、ブランク材の初期外形、ホットポイント、およびディスタンスブロックの配置を示す図面である。
【図7】 前記ディスタンスブロックの効果範囲を示す図面である。
【図8】 前記ディスタンスブロックの効果範囲から外れたホットポイントの設定を示す図面である。
【図9】 前記ディスタンスブロックの効果範囲から外れたホットポイントに新たに配置されたディスタンスブロックを示す図面である。
【図10】 前記ディスタンスブロックと圧型リブの配置を示す図面である。
【図11】 最終的に出力されるディスタンスブロックと圧型リブの配置を示す図面である。
【符号の説明】
1 温度分布図
2 ブランク材初期外形線
3、13 ホットポイント
4 流入線
5 ポンチプロファイルライン
6、16 ディスタンスブロック
7 ディスタンスブロックの効果範囲
8 圧型外形線
9、19 圧型リブ必要線
10 圧型リブ必要点
11 圧型補強リブ
Claims (7)
- コンピュータを用いた有限要素法に基づくプレス成形シミュレーション方法を用いて前記有限要素法の各要素節点における温度変化を求め、求めた各要素節点の温度変化に基づき、所定温度以上となっている高温領域部分を抽出し、該高温領域部分からブランク材が圧型内に入り込む方向線上で、ポンチプロファイルラインの外側にディスタンスブロックを配置することを特徴とするディスタンスブロックの配置方法。
- 前記ポンチプロファイルラインの外側に配置したディスタンスブロックによって熱を逃がすことのできない前記ポンチプロファイルラインの内側にある前記高温領域部分には、その近傍に圧型リブを設けることを特徴とする請求項1に記載のディスタンスブロックの配置方法。
- 前記プレス成形シミュレーション方法における前記各要素節点における温度変化は、ブランク材とプレス圧型の間の摺動熱、およびブランク材の塑性変形に起因する材料変形熱を算出することにより求めることを特徴とする請求項1または2に記載のディスタンスブロックの配置方法。
- 前記摺動熱は、ブランク材とプレス圧型の接触部分における面圧、摩擦係数、および単位時間あたりの摺動距離から算出することを特徴とする請求項3に記載のディスタンスブロックの配置方法。
- 前記摺動熱の算出時には、ブランク材とプレス圧型との接触部分における熱伝導による熱の移動を算出することを特徴とする請求項3または4に記載のディスタンスブロックの配置方法。
- 前記材料変形熱は、相当塑性仕事と比例した量として近似することを特徴とする請求項3に記載のディスタンスブロックの配置方法。
- 前記摺動熱および材料変形熱の算出時には、ブランク材からの大気放熱量を算出することを特徴とする請求項3〜6のいずれか1つに記載のディスタンスブロックの配置方法。
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