JP4694550B2 - ペクチン化工難消化性デンプン、それを含む組成物、および難消化性デンプンの調製方法 - Google Patents

ペクチン化工難消化性デンプン、それを含む組成物、および難消化性デンプンの調製方法 Download PDF

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Description

本発明は、デンプンの消化性が低下するようにペクチンエステラーゼ反応によってデンプンをペクチンと架橋結合させて調製されるペクチン化工難消化性デンプンに関する。
デンプンは、植物中で貯蔵養分として役立ち、ヒトの食事における重要な構成成分であり、消化はαアミラーゼによって媒介される。一般に、精製デンプンは、酵素的な加水分解によって急速かつ十分に消化され、次いで腸によって吸収されて、エネルギー源として役立ち、または身体に貯蔵される。しかし、ある種のデンプンは、αアミラーゼによる消化に耐性がある。Englystら(1992, Eur. J. Clin. Nutr.46 (suppl 2): S33-S50)は、摂取されたデンプンを、in vivoでのその見込まれる消化速度に基づいて分類した。Englystらは、3クラスの食物デンプン、すなわち、1)ヒトの腸で消化される可能性のある急速消化性デンプン(RDS)、2)小腸でゆっくりではあるが完全に消化される可能性のある緩徐消化性デンプン(SDS)、および3)小腸で消化されそうにない難消化性デンプン(RS)を提案している。
消費者に低カロリーの炭水化物製品を提供する、難消化性デンプンとして役立つ化工デンプンの必要性が認識されつつある。したがって、そのような難消化性デンプンは、糖尿病および前糖尿病性個人用の医療用食品および栄養補助食品を含む食品中に使用するための優れた炭水化物源となり、あるいは健常者にとっては食物のカロリーを低減し、またはデンプンの消化速度を緩慢にするための選択肢となるはずである。このような難消化性デンプンは、食品の消費によってそのグルコース応答を抑え、または持続性のエネルギー放出を達成することを望む個人にとっても有用である。
文献は、延長された期間にわたる緩徐なグルコース放出の結果としての、緩徐消化性デンプンが担う健康に関連した役割を示している。利益には、(体重管理において有用となる)より長期間の満腹感の増大、(持久力を含む運動競技能力を強化するのに有用となる)エネルギー放出の持続、および集中力の維持および記憶の向上が含まれる。
このような緩徐消化性または難消化性デンプンは、薬物として、すなわち、上述のように糖尿病または前糖尿病性の個人が疾患のリスクを低減するのにも有用となり得るはずである。さらに、このようなデンプンは、高血糖、インスリン抵抗性、高インスリン血症、異脂肪血症などの治療にも有用となり得る。また肥満の治療にも有用となり得る。
US6890571は、低アミロースデンプンをイソアミラーゼによって脱分枝し、得られる線状の短鎖が高度に結晶性の形態へと結晶化するのを可能にすることによって調製された緩徐消化性デンプン製品を開示している。US6623943は、難消化性デンプンの物理的および化学的な調製方法を開示している。US6890571の緩徐消化性デンプンおよびUS6623943の難消化性デンプンは、ペクチンと架橋結合させたものではなく、したがってその食物繊維含有量は、ペクチン化工デンプンほど高くない。
紙のコーティングおよびサイジングにおいて有用なUS6670470の化工デンプンは、デンプンを過酸化水素で酸化し、前記の酸化されたデンプンをエステル化し、そのデンプンを架橋結合させて調製される。このような化学的化工デンプンは、理想的な食用形態ではない。
US6890571 US6623943 US6670470 Englystら(1992, Eur. J. Clin. Nutr.46 (suppl 2): S33-S50) Van Buren, 1991, The Chemistry and Technology of Pectin, pp.1-5 Lin, 1976, Food Industry, 8(4):18-22 Sajjaanantakul and Pitifer, 1991, The Chemistry and Technology of Pectin, pp.135-150 Hou and Chang, 1996. J. Food Biochem. 20:397-416.
したがって、ゆっくりと消化されまたは消化に耐性があり、食物中にまたは医学的な用途において従来の炭水化物製品の代わりにまたはそれに加えて使用するのに安全な化工デンプンが求められている。
本特許は、両方が天然物質およびGRAS(generally recognized as safe:一般に安全であると認められている)物質に属するペクチンとデンプンとを架橋結合させるペクチンエステラーゼによる酵素反応によって調製される難消化性デンプンに関する。酵素的な化工は、デンプンの物理化学的性質を変化させ、その製品は、従来の化学的化工デンプンとは異なる。難消化性デンプンは、消化速度が遅く、したがってデンプン由来の炭水化物からのグルコース放出速度を低下させる。難消化性デンプンは、食物繊維含有量が高い自然で安全な物質であり、天然のデンプンまたは従来の化学的化工デンプンの代用品として使用することができる。したがって、難消化性デンプンを使用すると、消費者に、持続性のエネルギー放出の結果として得られる低カロリーの炭水化物製品を提供することができる。
本発明はまた、ペクチンエステラーゼ反応によってデンプンをペクチンと架橋結合させて調製される難消化性デンプンを含む組成物に関する。
本特許はまた、難消化性デンプンの調製方法に関する。
本明細書では、用語「難消化性デンプン」とは、α-アミラーゼによって完全には消化されないデンプンまたはその画分を意味するものとする。
本明細書では、用語「化工デンプン」とは、デンプンまたはデンプン顆粒を処理し、デンプンの分子構造を部分的に改変することによって調製されるデンプンである。化工デンプンは、食品中に増粘剤、安定剤、または乳化剤として使用される。化工デンプンは、食品に加えて医薬品中にも使用される。
本明細書では、用語「酵素反応」とは、その過程の開始時の基質分子が、酵素によって触媒される反応によって異なる分子に変換される反応を意味するものとする。
本明細書では、用語「ペクチン」とは、複合多糖のファミリーであり、高等植物の細胞間の層および細胞壁の主成分である。ペクチンは、果実の細胞壁、特に柑橘果実およびリンゴの絞りかす中に特に広く認められる。ペクチンはヘテロ多糖であり、その主要な構造は、モノマーのD-ガラクツロン酸から構成され、α-1,4グリコシド結合によって連結されており、ガラクツロン酸分子上のカルボキシル基の半分より多くがメタノールとメチルエステル結合を形成しているポリガラクツロニドである。ペクチン分子のエステル化度(DE)は、植物の種、組織、および成熟度に応じて決まり、約60〜90%の範囲にある(Van Buren, 1991, The Chemistry and Technology of Pectin, pp.1-5)。
エステル化度またはメチル化度(DM)は、ペクチン分子中の全ガラクツロン酸に対するメチル化されたガラクツロン酸の百分率として定義される。理論的には、エステル化度は、0〜100%の範囲をとり得る。エステル化度(DE)が>50%であるペクチンは、高メトキシルペクチン(HMP)として知られており、したがって低メトキシルペクチン(LMP)のDEは<50%である(Lin, 1976, Food Industry, 8(4):18-22)。エステル化度およびペクチン分子上のその電荷は、植物細胞壁におけるペクチン分子の機能的性質にとって重要である。これらは、ペクチン調製物のゲル化剤または増粘剤としての商業的な使用にも大きな影響を及ぼす。
ペクチンエステラーゼは、高等植物の広範な種類の根、茎、葉、果実などに存在する一種のペクチン酵素である。ペクチンエステラーゼは、ガラクツロン酸残基の6番目の炭素のメチルエステル結合を加水分解して、遊離のカルボキシル基およびメタノールを生じ、したがってペクチン分子のエステル化度を低下させることができる。この点について、高度にエステル化されているペクチンが、エステル化度のより低いペクチンまたはペクチン酸になり得る(Sajjaanantakul and Pitifer, 1991, The Chemistry and Technology of Pectin, pp.135-150)。DE値が約60%であるペクチンは、天然の植物源から容易に得られる。DE値が約30%である市販のペクチンはほとんどが、天然のペクチンを部分的にエステル分解して製造される。
加水分解およびトランスアシル化反応は、ペクチンエステラーゼによって触媒されるペクチンの反応において行うことができる。加水分解反応では、ペクチン分子がメトキシル基の一部を遊離して、ペクチン酸および遊離のメタノールを生成し;トランスアシル化反応では、最初の段階のトランスアシル化反応によって、ペクチン分子上の一部のアシル基がペクチンエステラーゼ分子と結合して中間体を生成し、次いでその中間体が、別のペクチン分子上のヒドロキシル基またはデンプンなどの他の一部のアクセプター分子との別のトランスアシル化反応を経て、互いを架橋結合させる。反応スキームを以下に示す(Hou and Chang, 1996. J. Food Biochem. 20:397-416.)。
Figure 0004694550
本明細書では、用語「トランスアシル化」とは、アシル基の転移を含む化学反応を意味する。ペクチンエステラーゼは、ペクチン分子のメトキシル基の加水分解だけでなく、ガラクツロン酸のアシル基を、ペクチン、またはデンプンなどの他の炭水化物分子の他のヒドロキシル基に転移させるトランスアシル化反応も触媒する。
本発明では、カロリーが低く、繊維含有量が高い酵素的化工デンプンを提供する。この化工デンプンは、デンプンとペクチンとを、これらの間にトランスアシル化反応がもたらされるようにペクチンエステラーゼを用いて酵素的に反応させ、デンプンとペクチンを架橋結合させることによって調製される。酵素的化工デンプンは、αアミラーゼ消化に耐性を示す。αアミラーゼ消化は、αアミラーゼおよびグルコアミラーゼを、デンプンまたは化工デンプンの希釈した試験サンプルに加え、一定期間インキュベートした後、溶液の遊離グルコース濃度を決定して測定する。
事実上、穀物デンプン、塊根デンプン、塊茎デンプン、豆果デンプン、高アミロースデンプン、および低アミロースデンプンを含めてどんなデンプンも本明細書に記載の方法に従って化工することができる。デンプンの供給源には、コムギ、トウモロコシ、イネ、カラスムギ、タピオカ、リョクトウ、ジャガイモ、サゴ、サツマイモ、オオムギ、ライコムギ、ソルガム、バナナ、および他の植物供給源が含まれる。物理的、化学的、または遺伝的に改変された形態のデンプンを使用することもできる。改変技術には、(1)老化処理(再結晶)、加熱処理、部分的なゼラチン化(gelatization)、アニーリング、焙焼などの物理的な変換;(2)化学薬品および/または酵素での処理;(3)交雑育種、転座、反転、形質転換などの遺伝子工学または染色体工学を含む遺伝子改変;ならびに(4)上記の組合せが含まれる。
本発明の化工難消化性デンプンは、最初にデンプンおよびペクチンを含む溶液を生成することを含む方法によって製造する。デンプンおよびペクチンを含む溶液を生成する既知のどんな技術も本発明に適用することができる。本発明の好ましい実施形態では、デンプンおよびペクチンを含む溶液は、以下の段階によって調製することができる。すなわち、
(i)デンプンと、水およびエタノール溶液から選択される溶媒とを前もって混合して混合物を得る段階;
(ii)上記混合物に水またはアルカリ溶液を加えてデンプン懸濁液を得る段階;
(iii)上記デンプン懸濁液を加熱して、デンプンを溶解させ、デンプン溶液を得る段階;
(iv)上記デンプン溶液に水およびペクチンを加えて、デンプン-ペクチン懸濁液を得る段階;および
(v)上記デンプン-ペクチン懸濁液を加熱して、ペクチンを溶解させ、デンプンおよびペクチンを含む溶液を得る段階。
段階(i)において、溶媒対デンプンの体積/重量比は約60:1、好ましくは約20:1である。エタノール溶液を溶媒として使用する場合、エタノール溶液は、任意の濃度、好ましくは約60%〜95%、最も好ましくは約95%でよい。段階(ii)で加える水/アルカリ溶液対段階(i)で使用する溶媒の体積比は、約3:1、好ましくは約5:1である。本発明によれば、使用するアルカリ溶液には、その限りでないが、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、炭酸ナトリウム溶液、および炭酸水素ナトリウム溶液が含まれる。段階(iii)において、加熱は、約60〜100℃の温度で約5〜60分間、より好ましくは約80〜100℃の温度で約5〜30分間、最も好ましくは約90〜100℃の温度で約5〜10分間行う。段階(iv)で加える水対段階(ii)で加える水/アルカリ溶液の体積比は、約3:1、好ましくは約7:1である。段階(v)において、加熱は、約60〜100℃の温度で約10〜60分間、より好ましくは約80〜100℃の温度で約10〜45分間、最も好ましくは約90〜100℃の温度で約10〜30分間行う。本発明の最も好ましい実施形態では、エタノールおよび/またはアルカリ溶液を使用して、ペクチンの溶解を容易にし、その後の架橋反応を加速させる。
次いで、ペクチンエステラーゼを、デンプンおよびペクチンを含む溶液に加えて、ペクチンのトランスアシル化およびデンプンとペクチンの架橋を実現する。別の振盪の段階を、デンプンおよびペクチンを含む溶液に適用して、酵素反応を促進してもよい。
酵素反応の速度は、酵素の濃度、基質の濃度、反応混合物のpH、温度、およびもしあるならば実現される化工の程度を含めて、当業界で知られている要因に応じて決まる。
本発明で使用する溶液のpHおよび温度は、ペクチンエステラーゼが効果的に酵素反応をもたらすのを可能にすべきである。一般に、約20〜80℃、特に約25〜60℃の温度を用いる。一般に、pHは、当業界で知られている方法を用いて約4.0〜9.0、特に約6.0〜8.0に調整する。
酵素反応は、水溶液中で実施する。一般に、デンプンおよびペクチンを含む溶液中のデンプンとペクチンの重量比は、約20:1、好ましくは約10:1、最も好ましくは1:1である。加えるペクチンエステラーゼの量は、最終溶液1mlあたり約1〜30単位、好ましくは最終溶液1mlあたり約1〜10単位である。
酵素反応は、難消化性デンプンが得られるまで続け、その期間は、デンプンの所望の化工レベルに応じて決まる。反応時間は同様に、使用するデンプンおよびペクチンのタイプ、特にペクチンのエステル化度、およびpHや温度などの反応パラメータに応じて決まる。一般に、酵素反応は、約0.5〜120時間、より好ましくは約1〜96時間を要する。
すべてのエステル化度のペクチンを本発明に適用することができる。しかし、ペクチンのエステル化度が高いほど、その反応が難消化性デンプンを生じる可能性は高い。一実施形態では、エステル化度が30%より高いペクチンを酵素反応にかける。好ましい実施形態では、エステル化度が60%より高いペクチンを酵素反応で使用する。
次いで、溶液中の生成物を遠心処理によって任意選択で回収し、次いで沈殿を従来のオーブン、水加熱器、スプレークッカー、および/または噴霧乾燥機で乾燥させて、固体生成物を得る。
本発明の難消化性デンプンは、ペクチンとデンプンの架橋の前または後にさらに化工してもよい。そのような化工は、当業界で知られている物理的、酵素的、または化学的な化工のいずれかでよい。
本明細書で開示する難消化性デンプンは、高食物繊維、低脂肪、および/または低カロリーの食品組成物などの組成物中に使用することができる。たとえば、難消化性デンプンは、その限りでないが、クッキー、ビスケット、パン、ピザ、プリン、パスタ、麺、アイスクリーム、ヨーグルト、ケーキなどを含む食品に混ぜることができる。難消化性デンプンを食品に混ぜると、でき上がった製品の食物繊維必要量が満たされる。本化工デンプンを当業者によって決定されるレベルで混ぜると、カロリー含有量が低減された食品を製造することができる。
難消化性デンプンは、食品組成物のほかにも、栄養補助食品、糖尿病用の食品および飲料製品などを含む栄養食品および栄養飲料に適用することができる。
難消化性デンプンは、組成物の機能性の実現に所望されまたは必要な任意の量で加えることができる。一般に、デンプンは、組成物の約0.01〜100重量%、特に約1〜50重量%の量で加えることができる。難消化性デンプンは、通常は製品にそのまま混ぜ、または水溶液にそれを加えることによって、他の任意のデンプンと同じようにして食品または飲料に加えることができる。
以下の実施例は、本明細書で報告する手段に従う特定の酵素化工難消化性デンプン、ならびにそのような化工デンプンの調製方法について述べるものである。これらの実施例は、単に例示するものとして挙げるにすぎず、その中の事項は、添付の特許請求の範囲によって規定される発明案件の範囲に対する制限としてみなすべきでないことを理解されたい。
(実施例)
(実施例1)
ペクチン化工アミロース
1.サンプルの調製
(1)アミロース(アミロース、A)溶液
アミロース(50mg、III型、ジャガイモ由来、Sigma Chemical Co.、ドイツ国)を、丸底フラスコ中で1mlのエタノール(95%)と前もって混合し、次いで5mlの水酸化ナトリウム溶液(0.5N)をフラスコに加えた。懸濁液中のアミロースを、95℃で5分間加熱して溶かし、次いで溶液に脱イオン水(Milli-QPF Plus、16.7〜18メガオーム/cm、Millipore、フランス国)を加えて、最終体積を50mlとした。
(2)アミロースとペクチン(アミロース+ペクチン、AP)を含む溶液
アミロース(50mg)を、丸底フラスコ中で1mlのエタノール(95%)と前もって混合し、次いで5mlの水酸化ナトリウム溶液(0.5N)をフラスコに加えた。懸濁液中のアミロースを、95℃で5分間加熱して溶かし、次いで溶液に脱イオン水を加えて体積を40mlとした。溶液にペクチン(50mg、リンゴ由来、DE>60、Sigma Chemical Co.、ドイツ国)を加えた。溶液中のペクチンを、95℃で20分間加熱して溶かし、次いで溶液に脱イオン水を加えて、最終体積を50mlとした。
(3)アミロース、ペクチン、およびペクチンエステラーゼ(アミロース+ペクチン+ペクチンエステラーゼ、APE)の混合溶液
アミロース(50mg)を、丸底フラスコ中で1mlのエタノール(95%)と前もって混合し、次いで5mlの水酸化ナトリウム溶液(0.5N)をフラスコに加えた。懸濁液中のアミロースを、95℃で5分間加熱して溶解させ、次いで溶液に脱イオン水加えて体積を40mlとした。ペクチン(50mg)を溶液に加え、次いで95℃で20分間加熱して溶かした。0.1N塩酸溶液(37%、Merck、ドイツ国)を加えて溶液のpHを約7.5に調整した。ペクチンエステラーゼ(801単位/ml、0.1ml、EC 3.1.1.11、オレンジピール由来、Sigma Chemical Co.、ドイツ国)および脱イオン水を溶液に加えて、最終体積を50mlとした。混合物を150rpmの速度で24〜72時間振盪した。
2.消化速度試験
上で調製した各サンプルに脱イオン水を加えて体積を250mlとし、次いで各溶液のpHを約5.8〜6.5に調整した。熱に安定なα-アミラーゼ(13000Lj/g、0.1ml、クライスターゼT10S、DAIWA KASEI K.K., 日本国)を各溶液に加え、溶液を100℃の水浴に入れて5分間加熱して、酵素反応を実施した。反応の後、溶液のpHを約4に調整し、次いで各溶液に脱イオン水を加えて体積を250mlとした。次いで、グルコアミラーゼ(225GAU/ml、0.3ml、OPIMAX 7525HP、Genencor Division、Danisco US,Inc.、米国)を各溶液に加えて、55〜60℃の水浴中で基質と10分間反応させた。各溶液に再び脱イオン水を加えて体積を2000mlとした。各溶液中のグルコース濃度は、RQflex(登録商標)plus試験紙(Merck、ドイツ国)を使用して決定した。各サンプル中のグルコース濃度は、試験紙で読んだ値に希釈倍数をかけて算出した。各サンプルの消化速度は以下の式に従って算出したが、結果を表1に示す。
Figure 0004694550
Figure 0004694550
(実施例2)
ペクチン化工コムギデンプン
1.サンプルの調製
(1)コムギデンプン(コムギデンプン、S)溶液
コムギデンプン(50mg、Prime grade A1、Cropstar、オーストラリア国)を、丸底フラスコ中で1mlの水と前もって混合し、次いで5mlの水酸化ナトリウム溶液(0.5N)をフラスコに加えた。懸濁液中のコムギデンプンを、95℃で5分間加熱して溶かし、次いで溶液に脱イオン水を加えて体積を40mlとした。溶液のpHを約7.5に調整した。溶液に脱イオン水を加えて、最終体積を50mlとした。使用前に溶液を1時間30℃に保った。
(2)コムギデンプンとペクチン(コムギデンプン+ペクチン、SP)の混合溶液
(i)熱およびアルカリ処理
コムギデンプン(50mg、Prime grade A1、Cropstar、オーストラリア国)を、丸底フラスコ中で1mlの水と前もって混合し、次いで5mlの水酸化ナトリウム溶液(0.5N)をフラスコに加えた。懸濁液中のコムギデンプンを、95℃で5分間加熱して溶かし、次いで溶液に脱イオン水を加えて体積を40mlとした。ペクチン(50mg、リンゴ由来、DE>60、Sigma Chemical Co.、ドイツ国)を溶液に加えた、95℃で20分間加熱して溶かし、次いで溶液に脱イオン水を加えて体積を40mlとした。溶液のpHを約7.5に調整した。溶液に脱イオン水を加えて、最終体積を50mlとした。使用前に溶液を1時間30℃に保った。
(ii)熱処理
コムギデンプン(50mg)を、丸底フラスコ中で1mlの水と前もって混合し、次いで5mlの水をフラスコに加えた。懸濁液中のコムギデンプンを、95℃で5分間加熱して溶かし、次いで溶液に脱イオン水を加えて体積を40mlとした。ペクチン(50mg)を溶液に加え、95℃で20分間加熱して溶かした。溶液のpHを約7.5に調整した。溶液に脱イオン水を加えて、最終体積を50mlとした。使用前に溶液を1時間30℃に保った。
(3)コムギデンプン、ペクチン、およびペクチンエステラーゼ(コムギデンプン+ペクチン+ペクチンエステラーゼ、SPE)の混合溶液
(i)熱およびアルカリ処理
コムギデンプン(50mg)を、丸底フラスコ中で1mlの水と前もって混合し、次いで5mlの水酸化ナトリウム溶液(0.5N)をフラスコに加えた。懸濁液中のコムギデンプンを、95℃で5分間加熱して溶かし、次いで溶液に脱イオン水を加えて体積を40mlとした。ペクチン(50mg)を溶液に加え、95℃で20分間加熱して溶かした。溶液のpHを約7.5に調整した。脱イオン水を溶液に加えて、最終体積を50mlとした。溶液にペクチンエステラーゼ(801単位/ml、0.1ml)を加えた。使用前に溶液を1時間30℃に保った。
(ii)熱処理
コムギデンプン(50mg)を、丸底フラスコ中で1mlの水と前もって混合し、次いで5mlの水をフラスコに加えた。懸濁液中のコムギデンプンを、95℃で5分間加熱して溶かし、次いで溶液に脱イオン水を加えて体積を40mlとした。ペクチン(50mg)を溶液に加え、95℃で20分間加熱して溶かした。溶液のpHを約7.5に調整した。脱イオン水を溶液に加えて、最終体積を50mlとした。使用前に溶液を1時間30℃に保った。溶液にペクチンエステラーゼ(801単位/ml、0.1ml)を加えた。使用前に溶液を1時間30℃に保った。
2.消化速度試験
上で調製した各サンプルに脱イオン水を加えて体積を250mlとし、次いで各溶液のpHを約5.8〜6.5に調整した。熱に安定なα-アミラーゼ(13000Lj/g、0.1ml)を各溶液に加え、溶液を100℃の水浴に入れて5分間加熱して、酵素反応を実施した。反応の後、溶液のpHを約4に調整し、次いで各溶液に脱イオン水を加えて体積を250mlとした。次いで各溶液にグルコアミラーゼ(225GAU/ml、0.3ml)を加えて、55〜60℃の水浴中で10分間基質と反応させた。各溶液に再び脱イオン水を加えて体積を2000mlとした。各溶液中のグルコース濃度は、RQ flex(登録商標)plus試験紙を使用して決定した。各サンプル中のグルコース濃度は、試験紙で読んだ値に希釈倍数をかけて算出した。各サンプルの消化速度は以下の式に従って算出したが、結果を表2に示す。
Figure 0004694550
Figure 0004694550

Claims (19)

  1. ペクチンエステラーゼ反応によってデンプンをペクチンと架橋結合させて調製される難消化性デンプン。
  2. 請求項1に記載の難消化性デンプンを含む組成物。
  3. 食品組成物または医薬組成物である、請求項2に記載の組成物。
  4. 難消化性デンプンの調製方法であって、
    (a)デンプンおよびペクチンを含む溶液を調製する段階と、
    (b)ペクチンエステラーゼ反応によってデンプンをペクチンと架橋結合させる段階と
    を含む方法。
  5. 段階(b)の架橋反応を20〜80℃の温度で実施する、請求項4に記載の方法。
  6. 段階(b)の架橋反応をpH4.0〜9.0で実施する、請求項4に記載の方法。
  7. デンプンおよびペクチンを含む溶液が、
    (i)デンプンと、水およびエタノール溶液から選択される溶媒を前もって混合して混合物を得る段階;
    (ii)前記混合物に水またはアルカリ溶液を加えてデンプン懸濁液を得る段階;
    (iii)前記デンプン懸濁液を加熱して、デンプンを溶解させ、デンプン溶液を得る段階;
    (iv)前記デンプン溶液に水およびペクチンを加えて、デンプン-ペクチン懸濁液を得る段階;および
    (v)前記デンプン-ペクチン懸濁液を加熱して、ペクチンを溶解させ、デンプンおよびペクチンを含む溶液を得る段階
    によって調製される、請求項4から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 段階(i)で使用する溶媒がエタノール溶液である、請求項7に記載の方法。
  9. エタノール溶液の濃度が95%である、請求項8に記載の方法。
  10. 段階(ii)でアルカリ溶液を加える、請求項7に記載の方法。
  11. 段階(iii)の加熱を60〜100℃の温度で5〜60分間行う、請求項7に記載の方法。
  12. ペクチンのエステル化度(DE)の値が30より高い、請求項7に記載の方法。
  13. ペクチンのDE値が60より高い、請求項12に記載の方法。
  14. 段階(v)の加熱を、60〜100℃の温度で10〜60分間行う、請求項7に記載の方法。
  15. 遠心分離によって難消化性デンプンを回収する段階(c)をさらに含む、請求項4から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 回収された難消化性デンプンを乾燥させる段階(d)をさらに含む、請求項15に記載の方法。
  17. 請求項4から16のいずれか一項に記載の方法によって調製される難消化性デンプン。
  18. 請求項17に記載の難消化性デンプンを含む組成物。
  19. 食品組成物または医薬組成物である、請求項18に記載の組成物。
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