本発明の骨子は、送信データに対して、高速伝送が可能なOFDM変調を施すと共にOFDM変調と比較して高速伝送の点ではやや劣るが伝送品質の点では優れているOFDM−拡散変調を施し、これら2つの変調方式により形成したOFDM信号とOFDM−拡散信号を選択的に送信相手局に割り当てて送信するようにしたことである。これにより通信端末では、自分の置かれている受信環境に応じてこれら2つの信号のうちいずれかを適応的に選択して復調することにより、高速受信及び高品質受信を両立することができる。
これを実現するため本発明では2つの送信方法を提案する。先ず第1に、送信信号のフレーム構成を図1(A)、図1(B)に示すように、周波数−時間軸で見たときに、同一の周波数帯域にOFDM信号とOFDM−拡散信号を混在させて配置すると共に各時点ではいずれか一方の信号を周波数方向に配置し、各信号を異なる時間に送信する方法である。これにより通信端末側では、各時点の信号を選択的に抽出すれば、OFDM信号又はOFDM−拡散信号を選択的に受信復調できるようになる。
また第2に、送信信号のフレーム構成を図2(A)、図2(B)に示すように、周波数−時間軸で見たときに、同一の時間にOFDM信号とOFDM−拡散信号を混在させて配置すると共に各周波数帯域ではいずれか一方の信号を時間方向に配置し、各信号を同一時間に送出する方法である。これにより通信端末側では、各周波数帯域の信号を選択的に抽出すれば、OFDM信号又はOFDM−拡散信号を選択的に受信復調できるようになる。
さらに送信フレームの中のどの位置にOFDM信号があり、どの位置にOFDM−拡散信号があるのかを示すフレーム構成情報を含む制御情報シンボルを、図3に示すように配列してOFDM信号及びOFDM−拡散信号と共に送信する。
(実施の形態1)
図4において、1は全体として、本発明の実施の形態1に係る無線基地局装置の構成を示す。無線基地局装置1は、送信ディジタル信号D1をシリアルパラレル変換部(S/P)2に入力させる。また無線基地局装置1は、送信ディジタル信号D1を拡散部4により所定の拡散符号を用いて拡散した後、シリアルパラレル変換部(S/P)5に入力させる。さらに無線基地局装置1は、OFDM信号とOFDM−CDM変調信号が混在されたときのフレーム構成を示すフレーム構成情報D5がシリアルパラレル変換部(S/P)8に入力させる。
ここでシリアルパラレル変換部(S/P)2、5、8は、フレーム構成部9を形成し、フレーム構成手段として機能する。すなわちフレーム構成部9は、図1(A)、図1(B)、図2(A)又は図2(B)に示すようなOFDM信号とOFDM−CDM信号とが混在した送信フレームが構成されるように、送信データに対してパラレルシリアル変換処理を行う。
例えば図1(A)及び図1(B)に示すように、同一の周波数帯域にOFDM信号とOFDM−拡散信号を混在させて配置すると共に各時点ではいずれか一方の信号を周波数方向に配置した送信フレームを構成する場合には、ある時点ではシリアルパラレル変換部(S/P)2からのみ、送信ディジタル信号D1をサブキャリア数分にパラレルシリアル変換したパラレル信号D2を出力する。また、別の時点ではシリアルパラレル変換部(S/P)5からのみ、拡散された送信ディジタル信号D1をサブキャリア数分にパラレルシリアル変換したパラレル信号D3を出力する。
また例えば図2(A)及び図2(B)に示すように、同一の時間に前記OFDM信号と前記OFDM−拡散信号を混在させて配置すると共に各周波数帯域ではいずれか一方の信号を時間方向に配置した送信フレームを構成する場合には、例えばシリアルパラレル変換部(S/P)2からは2つのサブキャリア分の2系統のパラレル信号D2を出力すると共にシリアルパラレル変換部(S/P)5からは4つのサブキャリア分の4系統のパラレル信号D3を出力すればよい。
逆離散フーリエ変換部(IDFT)は、入力されたパラレル信号D2、D3、フレーム構成パラレル信号に対して逆離散フーリエ変換処理を施すことにより、フレーム構成情報信号、OFDM信号、OFDM−CDM変調信号が混在した送信データD4を形成する。
このように、シリアルパラレル変換部(S/P)2及び逆離散フーリエ変換部(IDFT)3は、送信信号に対して直交周波数分割多重処理を施すことによりOFDM信号を形成するOFDM変調手段として機能する。また逆拡散部4、シリアルパラレル変換部(S/P)5及び逆離散フーリエ変換部(IDFT)3は、送信信号に対して拡散処理及び直交周波数分割多重処理を施すことによりOFDM−拡散信号を形成するOFDM−拡散変調手段として機能する。
無線部6はOFDM信号とOFDM−CDM信号の存在した送信信号D4に対してディジタルアナログ変換やアップコンバート等の所定の無線処理を施し、処理後の信号を送信電力増幅部7に送出する。送信電力増幅部7により増幅された信号はアンテナAN1に送出される。このようにして無線基地局装置1からOFDM信号とOFDM−CDM変調信号との混在信号が送信される。
次に、無線基地局装置1から送信されるOFDM信号とOFDM−CDM信号との混在信号を受信する通信端末の構成を、図5に示す。通信端末10は、アンテナAN2により受信した、OFDM信号とOFDM−CDM信号が混在した受信信号S10を無線部11に入力する。無線部11は受信信号S10に対してダウンコンバートやアナログディジタル変換処理等の所定の無線処理を施し、処理後の信号を離散フーリエ変換部(DFT)12に送出する。
離散フーリエ変換部12は受信混在信号に対して離散フーリエ変換処理を施し、これにより得た受信パラレル信号をパラレルシリアル変換部(P/S)13、14、18にそれぞれ送出する。パラレルシリアル変換部13は受信パラレル信号を入力とし、送信側でOFDM変調された信号に対応する信号をシリアル信号に変換して続く復調部15に送出する。復調部15は入力信号に対して例えばQPSK復調処理を施す。これによりOFDM変調される前の送信データが復元される。
一方、パラレルシリアル変換部14は受信パラレル信号を入力とし、送信側でOFDM−CDM変調された信号に対応する信号をシリアル信号に変調して続く逆拡散部16に送出する。逆拡散部16は入力したシリアル信号に対して、送信側と同じ拡散符号を用いて逆拡散処理を施し、逆拡散後の信号を復調部17に送出する。復調部15は入力信号に対して例えばQPSK復調処理を施す。これによりOFDM−CDM変調される前の送信データが復元される。
またパラレルシリアル変換部18は受信パラレル信号をパラレルシリアル変換した後、制御情報復調部19に送出する。制御情報復調部19はフレーム構成情報を復調する。このフレーム構成情報は、復調部15、逆拡散部16及び復調部17の制御情報として使われる。これにより復調部15はOFDM信号とOFDM−CDM信号の混在信号からOFDM信号のみを復調できるようになる。同様に、逆拡散部16及び復調部17はOFDM信号とOFDM−CDM信号の混在信号からOFDM−CDM信号のみを復調できるようになる。
次に図6を用いて、実施の形態1の動作について説明する。ここで無線基地局装置1から離れた位置に通信端末A、通信端末Bが存在し、一方、無線基地局装置1に比較的近い位置に通信端末Cが存在する場合を考える。ここで図中の実線で示される円の内側がOFDM−CDM信号を高品質で受信可能な領域AR1となっており、点線で示される円の内側がOFDM信号を高品質で受信可能な領域AR2となっている。この領域の限界の差は、スペクトル拡散方式を使っているか否かで生じるものである。
上述したように無線基地局装置1は、各通信端末A〜Cに対してOFDM信号とOFDM−CDM信号の混在した信号を発信する。このとき無線基地局装置1に比較的近い通信端末Cでは、OFDM信号を受信品質の良い状態で受信できるので、OFDM変調方式を用いて発信された信号を復元データとして用いることができる。
これに対して無線基地局装置1から比較的遠い通信端末A、Bでは、OFDM変量信号を受信品質の良い状態では受信できないので、OFDM−CDM変調方式を用いて発信された信号を復元データとして用いるようになる。
これにより通信端末Cでは、受信品質が良くかつ伝送レートの高い受信データを得ることができる。また通信端末A、Bでは、伝送レートの点では通信端末Cよりも若干落ちるが受信品質の良い受信データを得ることができる。
ここでOFDM方式のみを使って信号を送信した場合を考えると、全ての通信端末A〜Cで伝送レートの高い信号を受信できるが無線基地局装置1から遠い通信端末A、Bでは受信品質が劣化し、場合によっては再び同じデータを送らなければならないため実質的な伝送効率が低くなるおそれがある。またOFDM−CDM方式のみを使って信号を送信した場合を考えると、全ての通信端末A〜Cで受信品質の良い信号を受信できるが、OFDM方式に比べて伝送レートが低くなる。
かくして以上の構成によれば、送信データに対して、OFDM変調を施すと共にOFDM−CDM変調を施し、これら2つの変調方式により形成したOFDM信号とOFDM−CDM信号の2種類の変調信号が混在した信号を送信するようにしたことにより、高速通信及び高品質通信の両立した無線基地局装置1及び無線通信方法を実現できる。
(実施の形態2)
この実施の形態では、例えば受信電界強度やドップラ周波数、妨害波強度、マルチパス状態、遅延プロファイル、到来方向、偏波状態等の通信端末との間の電波伝搬環境を推定し、この電波伝搬環境に応じて、各通信端末宛てに発信する信号の変調方式を予めOFDM信号とOFDM−CDM信号とで切り替えることを提案する。
またこの実施の形態では、通信端末からの要求伝送速度、要求変調方式、要求伝送品質等に応じて、各通信端末宛てに発信する信号の変調方式を予めOFDM信号とOFDM−CDM信号とで切り替えることを提案する。
つまり、図7及び図8に示すように、電波伝搬環境の良い通信端末の数が少ない場合には、図7(A)、図8(A)に示すようにOFDM信号の割合を小さくする。これに対して電波伝搬環境の良い通信端末の数が多い場合には、図7(B)、図8(B)に示すようにOFDM信号の割合を大きくする。
なお受信電界強度、ドップラ周波数、妨害波強度、マルチパス状態、遅延プロファイル、到来方向、偏波状態等の電波伝搬環境に応じて、OFDM信号を送信するかOFDM−CDM信号を送信するかを選択する方法に限らず、受信品質に応じて、OFDM信号を送信するかOFDM−CDM信号を送信するかを選択するようにしてもよい。
また電波伝搬環境や受信品質に替えて、又はこれらに加えて、通信端末が要求する要求伝送速度、要求変調方式、要求伝送品質に応じて、図7(A)、図7(B)や図8(A)、図8(B)に示すようにOFDM信号を送信するかOFDM−CDM信号を送信するかを選択するようにしてもよい。
これにより、この実施の形態の無線通信方法においては、各通信端末の電波伝搬環境に適合した又は各通信端末の要求に応じた変調方式の信号のみを送信するので、無駄なデータの送信を抑制することができる。この結果、限りある伝搬路資源を有効利用できると共に、無線基地局装置の実質的なデータ伝送効率を向上させることができるようになる。
具体的には、受信品質を考慮した場合、図9(A)に示すように、無線基地局装置20から比較的遠い距離にある通信端末(通信端末A〜D)が多く、近い距離にある通信端末(通信端末E)の数が少ない場合には、通信フレーム構成を図7(A)又は図8(A)のようする。これに対して、図9(B)に示すように、無線基地局装置20から比較的近い距離にある通信端末(通信端末C〜E)が多く、遠い距離にある通信端末(通信端末A、B)の数が少ない場合には、図7(B)又は図8(B)のようにする。但し、通信端末が要求する情報を考慮した場合は、必ずしも上述のようになるわけではない。
図10に、この実施の形態の無線基地局装置20の構成を示す。図10において、20は全体として無線基地局装置を示す。無線基地局装置20はアンテナAN20により受信した受信信号を無線部23に入力する。無線部23は入力信号に対してダウンコンバートやアナログディジタル変換処理等の所定の無線処理を施し、処理後の直交ベースバンド信号を検波部24に送出する。
検波部24は入力信号を検波し検波後の受信信号S20をデータ検出部25に送出する。ここで検波後の受信信号S20は、図11に示すようなフォーマットとなっている。すなわちデータシンボルS21、S23及びユニークワードS22に加えて、電波伝搬環境推定情報S24及び要求情報S27が付加されている。この電波伝搬環境推定情報S24は、通信端末が受信した信号のマルチパス、電界強度、ドップラ周波数、干渉電力、妨害波強度、遅延プロファイル、電波の到来方向、偏波状態等の情報である。また要求情報S27は、各通信端末が要求する要求伝送速度や要求変調方式、要求伝送品質を示す情報である。
データ検出部25は検波後の受信信号S20を、データシンボルS21、S23と電波伝搬環境推定情報S25、要求情報S27とに分け、このうちデータシンボルS21、S23を受信データとして出力すると共に、電波伝搬環境推定情報S25、要求情報S27をフレーム構成決定部26に送出する。
フレーム構成決定部26は、電波伝搬環境推定情報S25及び要求情報S27に基づいて、送信信号のフレーム構成を決定し、これをフレーム構成情報S26として出力する。具体的には、電波伝搬環境推定情報S25及び要求情報S27に基づいて各通信端末にOFDM信号を送信するかOFDM−CDM信号を送信するかを選択し、この選択結果に応じて図7や図8のような送信フレームを決定する。そしてフレーム構成決定部26は、決定したフレーム構成情報S26をフレーム構成部37内の各シリアルパラレル変換部(S/P)30、33、36に送出する。
例えば電波伝搬環境情報S25として、遅延プロファイルを測定した結果、電界強度の高い遅延波が複数存在する(遅延波の影響が大きい)ことを示すものが受信された場合、OFDM−CDM方式を選択し、電界強度の高い遅延波が存在しないことを示すものが受信された場合、OFDM方式を選択する。
さらに電波伝搬環境情報S25として、偏波状態を測定した結果、送信した偏波に対し、受信した偏波状態が著しく異なることを示すものが受信された場合、OFDM−CDM方式を選択し、受信した偏波状態がほぼ等しいことを示すものが受信された場合、OFDM方式を選択する。
次に、無線基地局装置20の送信系について説明する。無線基地局装置20は、送信ディジタル信号D20をシリアルパラレル変換部(S/P)30に入力する。またシリアルパラレル変換部30には、フレーム構成決定部26により決定されたフレーム構成情報S26が入力される。シリアルパラレル変換部30は入力した送信ディジタル信号D20を、フレーム構成情報S26に基づいてパラレル変換処理し、パラレル信号D21を逆離散フーリエ変換部(IDFT)31に送出する。
また送信ディジタル信号D20は拡散部32に入力される。拡散部32は送信ディジタル信号D20を所定の拡散符号を用いて拡散処理し、これにより得た拡散信号をシリアルパラレル変換部(S/P)33に送出する。またシリアルパラレル変換部33には、フレーム構成情報S26が入力される。シリアルパラレル変換部33は、入力信号をフレーム構成情報S26に基づいてパラレル変換処理し、これにより得たパラレル信号D22を逆離散フーリエ変換部(IDFT)31に送出する。また逆離散フーリエ変換部31には、シリアルパラレル変換部36を介してフレーム構成情報S26が入力される。
逆離散フーリエ変換部31は、入力したパラレル信号D21、OFDM−CDMパラレル信号D22、フレーム情報信号に対して逆離散フーリエ変換処理を施す。これにより、フレーム情報信号、OFDM信号、OFDM−CDM信号が混在した送信信号D23が形成される。
無線部34は送信信号D23に対してディジタルアナログ変換やアップコンバート等の所定の無線処理を施し、処理後の信号を送信電力増幅部35に送出する。送信電力増幅部35により増幅された信号はアンテナAN20に送出される。このようにして、無線基地局装置20においては、各通信端末の電波伝搬環境や要求に応じてOFDM信号又はOFDM−CDM信号のいずれを選択し、複数の通信端末宛のOFDM信号及び又はOFDM−CDM信号を送信フレーム内に配置して送信する。
次に、無線基地局装置20から送信されるOFDM信号とOFDM−CDM信号との混在信号を受信する通信端末の構成を、図12に示す。図12では、上述した図5との対応部分には同一符号を付して示す。そして同一符号を付して示す部分は上述した部分と同様の機能を有するので説明を省略する。
通信端末40の受信系には電波伝搬環境推定部43が設けられている。電波伝搬環境推定部43は、離散フーリエ変換部12の出力に基づいて、受信信号のマルチパス、電界強度、ドップラ周波数、干渉電力、妨害波強度、遅延プロファイル、電波の到来方向、偏波状態等を測定することにより、受信信号の受信品質を伝搬環境として推定し、推定した電波伝搬環境推定情報D41を送信データ形成部44に送出する。
送信データ形成部44には、送信データD40、電波伝搬環境推定部43により推定された電波伝搬環境推定情報D41及び要求情報D42が入力される。送信データ形成部44は、図11に示すフレーム構成の送信データS20を形成し、これを直交ベースバンド信号形成部45に送出する。直交ベースバンド信号形成部45により形成された送信直交ベースバンド信号は、無線部46によりディジタルアナログ変換やアップコンバート等の所定の無線処理が施され、続く送信電力増幅部47に送出される。送信電力増幅部47により増幅された信号はアンテナAN40に送出される。
ここで、要求情報D42は、通信端末を使用しているユーザが要求した伝送速度、変調方式、伝送品質であってもよいし、画像、音声等などを例とする伝送媒体が決定された際にその伝送媒体に応じて決定された要求伝送速度、変調方式、伝送品質であってもよい。このように通信端末40においては、自局と無線基地局装置20との間の電波伝搬環境情報及び要求情報を無線基地局装置20に送信する。
かくして以上の構成によれば、送信データに対して、OFDM変調を施すと共にOFDM−CDM変調を施し、これら2つの変調方式により形成したOFDM信号とOFDM−CDM信号の2種類の変調信号のうち、各通信端末の電波伝搬環境に適合した又は各通信端末の要求に応じた変調方式の信号のみを送信するようにしたことにより、実施の形態1での効果に加えて、さらに無駄なデータの送信を抑制することができる。この結果、限りある伝搬路資源を有効利用できると共に、無線基地局装置の実質的なデータ伝送効率を向上させることができるようになる。
因みに、OFDM方式とOFDM−CDM方式の切り替えは、端末に切り替えの主導権がある場合、端末が、推定した電波伝搬環境と要求情報とから、OFDM方式又はOFDM−CDM方式のいずれかを選択し、基地局に要求情報を送信する。そして、基地局のフレーム構成決定部が、端末からの要求情報に基づき、端末に対し、OFDM方式でデータを送信するか又はOFDM−CDMでデータを送信するかを決定し、フレーム構成信号S26を出力する。
これに対して、基地局に切り替えの主導権がある場合、端末は、推定した電波伝搬環境情報及び要求情報を基地局に送信する。そして、基地局のフレーム構成決定部26が、端末からの電波伝搬環境情報、要求情報、通信トラフィックに応じて、OFDM方式でデータを送信するか又はOFDM−CDMでデータを送信するかを決定し、フレーム構成信号S26を出力する。
(実施の形態3)
上述した実施の形態2では、通信端末の受信品質や通信端末からの要求に応じて、各通信端末に送信する信号をOFDM信号とOFDM−CDM信号とで切り替える場合について説明したが、この実施の形態では、これら2つの変調信号を切り替えるにあたって、1送信フレーム内に混在させるOFDM信号とOFDM−CDM信号の好ましい幾つかの配置について提案する。
(1) 第1に、図13に示すように、1フレーム内で、OFDM−CDM信号を送信する時間t10〜t11とOFDM信号を送信する時間t11〜t12を固定とする方法を提案する。
ここで図13は、基地局が送信する信号の1バーストのフレーム構成を示しており、A、B、C、D、Eと付されたシンボルは、それぞれ端末A、端末B、端末C、端末D、端末E宛の送信シンボルを示している。そして、1バーストにおけるOFDMシンボルとOFDM−CDMシンボルの配置は固定とされている。つまり、時間−周波数軸に対し、1フレーム内には、OFDMシンボルは4×6シンボル、OFDM−CDMシンボルは6×6シンボルが固定的に配置される。
そして、図9(A)のように、基地局20に対し、端末A、端末B、端末C、端末DがOFDM−CDMの受信領域に、端末EのみがOFDMの受信領域に存在している場合、基地局20は、図13(A)に示すようにOFDM−CDM信号を送信する時間t10〜t11を複数の時間に分割し、各時間で端末A、端末B、端末C又は端末D宛のOFDM−CDM信号を送信する。また基地局20は、OFDM信号を送信する時間t11〜t12には、端末E宛のOFDM信号を送信する。
これに対して、図9(B)に示すように、基地局20に対し、端末A、端末BがOFDM−CDMの受信領域に、端末C、端末D、端末EがOFDMの受信領域に存在している場合、基地局20は、図13(B)に示すようにOFDM−CDM信号を送信する時間t10〜t11を複数の時間に分割し、各時間で端末A又は端末B宛のOFDM−CDM信号を送信する。また基地局20は、OFDM信号を送信する時間t11〜t12を複数の時間に分割し、各時間で端末C、端末D又は端末E宛のOFDM信号を送信する。
このように、1送信フレーム内で、OFDM−CDM信号を送信する時間t10〜t11とOFDM信号を送信する時間t11〜t12を固定としたことにより、受信側では、受信したフレームに対して、OFDM−CDM復調処理する時間とOFDM復調処理する時間を分けることができるので、各端末A〜Eでは、自局宛の信号がOFDM−CDM処理された信号であるかOFDM処理された信号であるかに拘わらず、容易に自局宛の信号を復調できるようになる。
因みに、図13には、各端末宛のデータ用のシンボルのみを示したが、各端末のシンボルをどの時間に割り当てたかを示す制御用のシンボルを、例えばフレームの先頭位置に配置すれば、この送信フレームを受信する端末では、制御シンボルに基づいて自局宛のデータを容易に復調することができるようになる。このことは、後述する図14〜図20についても同様である。
例えば端末Cについて考える。端末Cが図12に示すように構成されている場合、端末Cは1送信フレーム中の時間t10〜t11ではOFDM−CDM復調処理を行い、時間t11〜12ではOFDM復調処理を行う。
実際には、端末C宛の信号が、図13(A)に示すようにOFDM−CDM処理された信号であった場合には、逆拡散部16及び復調部15を介して自局宛の信号のみが復調されて出力される。これに対して、端末C宛の信号が、図13(B)に示すようにOFDM処理された信号であった場合には、逆拡散部16及び復調部17を介しては何も出力されず、パラレルシリアル変換部13及び復調部14を介して自局宛の信号のみが復調されて出力される。因みに、OFDM区間t11〜t12のどの時間に端末E宛の信号が割り当てられているかは、例えばフレーム先頭に付加された制御情報(図示せず)に基づいて認識できる。つまり、端末Cは、制御情報復調部19により自局宛のOFDMシンボルの割り当て位置を認識し、復調部17により自局宛のシンボルを選択して抽出するようになっている。
このように、1送信フレーム内で、OFDM−CDM信号を送信する時間t10〜t11とOFDM信号を送信する時間t11〜t12を固定とし、各端末A〜E宛の信号をOFDM−CDM信号とOFDM信号とで適宜切り替えた際に、各固定時間内に各端末宛のOFDM−CDM信号とOFDM信号とが収まるように各信号を配置するようにしたことにより、送信フレームを構成する際の処理が容易になると共に、送信相手局が当該送信フレームを受信して復調する際に、OFDM−CDM信号を復調する時間とOFDM信号を復調する時間とを分けることができるので、復調処理が容易になる。この結果、システム設計を容易化することができる。
(2) 図14に、1送信フレーム内にOFDM信号とOFDM−CDM信号を混在させる第2の方法を示す。この方法では、OFDM−CDM信号が各端末毎に異なる拡散符号を使ってマルチコード多重されている点を除いて、(1)の場合と同様のフレームを構成する。つまり、1送信フレーム内で、OFDM−CDM信号を送信する時間t10〜t11とOFDM信号を送信する時間t11〜t12を固定とすると共に、OFDM−CDM信号をマルチコード多重し、各端末宛のチップを周波数軸方向及び時間方向に拡散する。
因みに、図14(A)は端末A〜DにOFDM−CDM信号を送信し、端末EにOFDM信号を送信する場合のフレームフォーマットであり、図14(B)は端末A、BにOFDM−CDM信号を送信し、端末C、D、EにOFDM信号を送信する場合のフレームフォーマットである。
この方法の場合も(1)の場合と同様に、1送信フレーム内で、OFDM−CDM信号を送信する時間t10〜t11とOFDM信号を送信する時間t11〜t12を固定とし、各端末A〜E宛の信号をOFDM−CDM信号とOFDM信号とで適宜切り替えた際、各固定時間内に各端末宛のOFDM−CDM信号とOFDM信号とが収まるように各信号を配置するので、システム設計を容易化することができる。
(3) 図15に、1送信フレーム内にOFDM信号とOFDM−CDM信号を混在させる第3の方法を示す。この方法は、1送信フレーム内で、OFDM−CDM信号を送信する時間t20〜t21、t20〜t23とOFDM信号を送信する時間t21〜t22、t23〜t22を、各変調信号を送信する端末数に応じて可変とするものである。
例えば図15(A)では、OFDM信号を送信する端末が端末Eのみなので1送信フレーム内のOFDM信号に割り当てられる時間t21〜t22が短くなっている。一方、図15(B)では、OFDM信号を送信する端末が端末C、D、Eなので、1送信フレーム内のOFDM信号に割り当てられる時間t23〜t22が時間t21〜t22と比較して長くなっている。
因みに、この方法では、各端末A〜Eについてある決まった時間が割り当てられるようになるので、各端末に対する送信データ量に公平性をもたせることができるようになる。
例えば(1)で説明した図13の場合と比較すると、図13の場合には、OFDM−CDM信号及びOFDM信号を送信する端末数に拘わらず、各変調信号を送信する時間が固定なので、ある端末に対する送信データ量は多くなるが他の端末に対する送信データは少なくなると言った状況が生じる。
具体的には、図13(A)のようにOFDM信号を送信する端末が端末Eのみの場合には、時間t11〜t12全てを端末E宛の送信信号に割り当てることができるので、端末Eは多くのデータを受け取ることができる。これに対して、他の端末A〜Dについて、時間t10〜t11で4つの端末のデータを送らなければならないので、1つの端末当たりの送信データは当然少なくなる。
このように、1送信フレーム内で、各端末に割り当てる時間を固定とし、OFDM−CDM信号を送信する時間t20〜t21、t20〜t23とOFDM信号を送信する時間t21〜t22、t23〜t22を、各変調信号を送信する端末数に応じて可変としたことにより、送信データ量の点で、各端末に対して公平性のあるデータ送信を行うことができる。
(4) 図16に、1送信フレーム内にOFDM信号とOFDM−CDM信号を混在させる第4の方法を示す。この方法では、OFDM−CDM信号が各端末毎に異なる拡散符号を使ってマルチコード多重されている点を除いて、(3)の場合と同様のフレームを構成する。つまり、1送信フレーム内で、各端末に割り当てる時間を固定とし、OFDM−CDM信号を送信する時間t20〜t21、t20〜t23とOFDM信号を送信する時間t21〜t22、t23〜t22を、各変調信号を送信する端末数に応じて可変とすると共に、OFDM−CDM信号をマルチコード多重し、各端末宛のチップを周波数軸方向及び時間方向に拡散する。
因みに、図16(A)は端末A〜DにOFDM−CDM信号を送信し、端末EにOFDM信号を送信する場合のフレームフォーマットであり、図16(B)は端末A、BにOFDM−CDM信号を送信し、端末C、D、EにOFDM信号を送信する場合のフレームフォーマットである。
この方法の場合も、(3)の方法と同様に、送信データ量の点で、各端末に対して公平性のあるデータ送信を行うことができる。
(5) 図17に、1送信フレーム内にOFDM信号とOFDM−CDM信号を混在させる第5の方法を示す。この方法では、OFDM−CDM信号を送信するサブキャリアとOFDM信号を送信するサブキャリアを固定とする。
つまり、図9(A)のように、基地局20に対し、端末A、端末B、端末C、端末DがOFDM−CDMの受信領域に、端末EのみがOFDMの受信領域に存在している場合、基地局20は、図17(A)に示すようにOFDM−CDM信号を送信する周波数帯域f10〜f11内の複数のサブキャリアを分割して、分割したサブキャリアを端末A、端末B、端末C又は端末D宛のOFDM−CDM信号に割り当てて各局宛のOFDM−CDM信号を送信する。また基地局20は、OFDM信号を送信する周波数帯域f11〜f12内のサブキャリアでは端末E宛のOFDM信号を送信する。
これに対して、図9(B)に示すように、基地局20に対し、端末A、端末BがOFDM−CDMの受信領域に、端末C、端末D、端末EがOFDMの受信領域に存在している場合、基地局20は、図17(B)に示すようにOFDM−CDM信号を送信する周波数帯域f10〜t11内の複数のサブキャリアを分割して、分割したサブキャリアを端末A又は端末B宛のOFDM−CDM信号に割り当てて送信する。また基地局20は、OFDM信号を送信する周波数帯域f11〜f12内のサブキャリアを複数に分割して、分割したサブキャリアを端末C、端末D又は端末E宛のOFDM信号に割り当てて送信する。
このように、1送信フレーム内で、OFDM−CDM信号を送信する周波数帯域f10〜f11とOFDM信号を送信する周波数帯域f11〜f12を固定としたことにより、受信側では、受信したフレームに対して、OFDM−CDM復調処理する周波数帯域とOFDM復調処理する周波数帯域を分けることができるので、各端末A〜Eでは、自局宛の信号がOFDM−CDM処理された信号であるかOFDM処理された信号であるかに拘わらず、容易に自局宛の信号を復調できるようになる。
つまり、このように、1送信フレーム内で、OFDM−CDM信号を送信する周波数帯域f10〜f11とOFDM信号を送信する周波数帯域f11〜f12を固定とすれば、例えば図12の無線部11で周波数帯域10〜f11の信号と周波数帯域f11〜f12を分離すれば、受信信号をOFDM−CDM信号とOFDM信号とに分離できる。そして周波数帯域10〜f11の信号に対してはDFT12、P/S14、逆拡散部16及び復調部17によりOFDM−CDM復調処理を施して復調信号を得ることができると共に、周波数帯域f11〜f12の信号に対してはDFT12、P/S13及び復調部15によりOFDM復調処理を施して復調信号を得ることができるようになる。
(6) 図18に、1送信フレーム内にOFDM信号とOFDM−CDM信号を混在させる第6の方法を示す。この方法では、OFDM−CDM信号が各端末毎に異なる拡散符号を使ってマルチコード多重されている点を除いて、(5)の場合と同様のフレームを構成する。つまり、1送信フレーム内で、OFDM−CDM信号を送信する周波数帯域f10〜f11とOFDM信号を送信する時間f11〜f12を固定とすると共に、OFDM−CDM信号をマルチコード多重し、各端末宛のチップを周波数軸方向及び時間方向に拡散する。
因みに、図18(A)は端末A〜DにOFDM−CDM信号を送信し、端末EにOFDM信号を送信する場合のフレームフォーマットであり、図18(B)は端末A、BにOFDM−CDM信号を送信し、端末C、D、EにOFDM信号を送信する場合のフレームフォーマットである。
この方法の場合も(5)の場合と同様に、1送信フレーム内で、OFDM−CDM信号を送信する周波数帯域f10〜f11とOFDM信号を送信する周波数帯域f11〜f12を固定とし、各端末A〜E宛の信号をOFDM−CDM信号とOFDM信号とで適宜切り替えた際、各固定周波数帯域内に各端末宛のOFDM−CDM信号とOFDM信号とが収まるように各信号を配置するので、システム設計を容易化することができる。
(7) 図19に、1送信フレーム内にOFDM信号とOFDM−CDM信号を混在させる第7の方法を示す。この方法は、1送信フレーム内で、OFDM−CDM信号を送信する周波数帯域f20〜f21、f20〜f23とOFDM信号を送信する周波数帯域f21〜f22、f23〜f22を、各変調信号を送信する端末数に応じて可変とするものである。
例えば図19(A)では、OFDM信号を送信する端末が端末Eのみなので1送信フレーム内のOFDM信号に割り当てられる周波数帯域f21〜f22が狭くなっている。一方、図19(B)では、OFDM信号を送信する端末が端末C、D、Eなので、1送信フレーム内のOFDM信号に割り当てられる周波数帯域f23〜f22が周波数帯域f21〜f22と比較して広くなっている。
因みに、この方法では、各端末A〜Eについてある決まった周波数帯域(サブキャリア)が割り当てられるようになるので、各端末に対する送信データ量に公平性をもたせることができるようになる。
例えば(5)で説明した図17の場合と比較すると、図17の場合には、OFDM−CDM信号及びOFDM信号を送信する端末数に拘わらず、各変調信号を送信する周波数帯域が固定なので、ある端末に対する送信データ量は多くなるが他の端末に対する送信データは少なくなると言った状況が生じる。
このように、1送信フレーム内で、各端末に割り当てる周波数帯域(サブキャリア)を固定とし、OFDM−CDM信号を送信する周波数帯域f20〜f21、f20〜f23とOFDM信号を送信する周波数帯域f21〜f22、f23〜f22を、各変調信号を送信する端末数に応じて可変としたことにより、送信データ量の点で、各端末に対して公平性のあるデータ送信を行うことができる。
(8) 図20に、1送信フレーム内にOFDM信号とOFDM−CDM信号を混在させる第8の方法を示す。この方法では、OFDM−CDM信号が各端末毎に異なる拡散符号を使ってマルチコード多重されている点を除いて、(7)の場合と同様のフレームを構成する。つまり、1送信フレーム内で、各端末に割り当てる周波数帯域を固定とし、OFDM−CDM信号を送信する周波数帯域f20〜f21、f20〜f23とOFDM信号を送信する周波数帯域f21〜f22、f23〜f22を、各変調信号を送信する端末数に応じて可変とすると共に、OFDM−CDM信号をマルチコード多重し、各端末宛のチップを周波数軸方向及び時間方向に拡散する。
因みに、図20(A)は端末A〜DにOFDM−CDM信号を送信し、端末EにOFDM信号を送信する場合のフレームフォーマットであり、図20(B)は端末A、BにOFDM−CDM信号を送信し、端末C、D、EにOFDM信号を送信する場合のフレームフォーマットである。
この方法の場合も、(7)の方法と同様に、送信データ量の点で、各端末に対して公平性のあるデータ送信を行うことができる。
(実施の形態4)
この実施の形態では、隣接した基地局同士がOFDM−CDM信号及びOFDM信号の混在した信号を送信する場合において、端末が受ける影響を軽減する方法を提案する。
図21に示すようなシステム構成を想定する。図21において、基地局AのOFDM−CDM信号の通信限界をAR11とし、OFDM信号の通信限界をAR10とする。また基地局BのOFDM−CDMの通信限界をAR21とし、OFDM信号の通信限界をAR20とする。
ここでOFDM−CDM信号は、OFDM信号と比較して、基地局から離れた端末に宛てた信号となるので、OFDM−CDM信号の端末での受信品質をより向上させるためには、OFDM−CDM信号の送信レベルをOFDM信号よりも大きくすることが考えられる。しかし、OFDM−CDM信号の送信レベルを大きくすると、隣接する他セルのOFDM信号の干渉となりOFDM通信領域での受信品質を劣化させるおそれがある。
そこで、この実施の形態では、図22に示すように、図中の黒丸●で示すOFDM−CDM処理を施す信号点のI−Q平面の原点からの距離raを、図中白丸○で示すOFDM処理を施す信号点のI−Q平面の原点からの距離rbよりも大きくすることに加えて、OFDM−CDM処理を施す信号点●の位相とOFDM処理を施す信号点の位相を異なるように配置するようになされている。因みに、図22ではQPSK変調を行う場合の信号点の配置を示しているが、QPSK変調に限らず、16値QAM等の他の変調方式の場合も同様である。
これにより、OFDM−CDM信号の信号レベルを大きくすることで、OFDM−CDM信号の受信品質を向上し得ると共に、隣接する他セルにおけるOFDM信号に対するOFDM−CDM信号の干渉による受信品質の低下を抑制することができるようになる。
このような送信信号を形成するための基地局の構成を、図23に示す。図4との対応部分に同一符号を付して示す図23において、無線基地局装置50は、OFDM処理を施すための変調信号を形成する変調部51と、OFDM−CDM処理を施すための変調信号を形成する変調部52とでそれぞれ異なる変調処理を行うようになっている。つまり、変調部52は、変調部51によりも変調後のシンボルの信号レベルが大きくなるような変調処理を施すと共に、変調後のシンボルの位相が変調部51の変調後のシンボルの位相と異なるような変調処理を施す。具体的には、信号点のマッピング位置をずらすことで容易にこのような処理を行うことができる。
以上の構成において、図21に示すように、端末Xが、基地局AのOFDM通信限界AR10の外側でかつ基地局AのOFDM−CDM通信限界AR11の内側に存在し、基地局AからOFDM−CDM信号を受信しているものとする。このとき端末Xにおいては、基地局Bが他局宛てに送信するOFDM−CDM信号からの干渉は拡散コードが異なるのでほとんど受けず、また他局宛のOFDM信号からの干渉は信号点位置が異なるのでほとんど受けない。この結果、品質の良いOFDM−CDM復調信号を得ることができる。
また端末Xが、基地局AのOFDM信号の通信限界AR10内に存在し、基地局AからOFDM信号を受信している場合を考えると、基地局Bが他局宛に送信するOFDM−CDM信号からの干渉は信号点位置が異なるのでほとんど受けない。この結果、品質の良いOFDM復調信号を得ることができる。
なお、ここではOFDM−CDM信号の信号レベルをOFDM信号の信号レベルよりも大きくした場合について述べたが、これとは逆に、OFDM信号の信号レベルをOFDM−CDM信号の信号レベルよりも大きくした場合でも、同様の効果を得ることができる。
また端末XがOFDM信号の通信限界AR10内に存在するか、又はOFDM−CDM信号の通信限界AR11内に存在するかに応じて、どちらの信号レベルを大きくするかを選択するかを決定するようにすることも効果的である。例えば端末XがOFDMの通信限界AR10内に存在する場合には、OFDM信号の送信レベルをOFDM−CDM信号の送信レベルよりも大きくすれば、自局宛のOFDM信号を十分な受信レベルで受信できるのに加えて、基地局Bから送信されるOFDM−CDM信号の影響を受けにくくなる。
一方、端末XがOFDM−CDMの通信限界AR11内に存在する場合には、OFDM−CDM信号の送信レベルをOFDM信号の送信レベルよりも大きくすれば、自局宛のOFDM−CDM信号を十分な受信レベルで受信できるのに加えて、基地局Bから送信されるOFDM信号の影響を受けにくくなる。
このように、OFDM−CDM信号の信号点をOFDM信号の信号点を異なるようにしたことにより、隣接する他セルからの異なる変調信号(自局宛の信号がOFDM信号であれば、他セルにおけるOFDM−CDM信号であり、自局宛の信号がOFDM−CDM信号であれば、他セルにおけるOFDM信号)による干渉を抑制して、品質の良い復調信号を得ることができるようになる。
かくして以上の構成によれば、OFDM信号とOFDM−CDMA信号を混在させて送信する場合に、OFDM信号とOFDM−CDM信号の信号点位置を一致させないようにしたことにより、他の局で送信された信号からの干渉を軽減することができるので、実施の形態1や実施の形態2の効果に加えて、受信品質を一段と向上させることができるようになる。
(実施の形態5)
先ず、この実施の形態の原理について説明する。周波数が高い電波は、減衰が大きいため通信エリアは狭いが、周波数帯域を広くとれるため高速データ通信に適している。一方、周波数の低い電波は、周波数帯域を広くとれないため高速データ通信の点に関しては周波数の高い電波に劣るが、減衰が小さいため通信エリアを広くとることができる。
この点に着目して、この実施の形態では、基地局から近い通信領域内に存在する端末に対しては周波数の高い電波を使って通信を行うと共に、基地局から遠い通信領域に存在する端末に対しては周波数の低い電波を使って通信を行うことを提案する。これにより、基地局から近い通信領域では通信品質を確保して高速データ通信を行うことができると共に、基地局から遠い通信領域では品質の劣化を抑制した通信を行うことができる。この結果、高速通信及び高品質通信の両立した通信を実現することができる。
図24は、この実施の形態における基地局100と端末200の位置関係の一例を示しており、AR31は基地局100が周波数1GHz帯で送信した送信信号の通信限界を示しており、AR30は基地局100が周波数30GHz帯で送信した送信信号の通信限界を示している。この実施の形態では、端末200が通信限界AR30の内側に存在する場合には周波数30GH帯で通信を行うと共に、端末200が通信限界AR30の外側でかつ通信限界AR31の内側に存在する場合には周波数1GHz帯で通信を行うようになっている。
またこの実施の形態の場合には、端末200が基地局100からの受信信号に基づいて電波伝搬環境を推定し、基地局100が端末200から受け取った電波伝搬環境情報に基づいてどちらの周波数帯の送信信号を端末200に送信するかを決定するようになっている。なお、どちらの周波数帯の信号を送信するかは、端末200で推定した電波伝搬環境に基づいて決定する場合に限らず、例えば基地局100で推定した電波伝搬環境に基づいて決定してもよく、または端末200からの他の要求(例えば要求伝送速度、要求変調方式、要求伝送品質等)に応じて決定してもよく、さらには単純に基地局100からの距離情報に基づいて決定してもよい。
図25に、この実施の形態の無線基地局装置100の構成を示す。先ず、送信系について説明する。無線基地局装置100は、送信ディジタル信号D100を変調部101、102に入力する。また変調部101、102には、送信方法決定部111により決定された制御信号S100が入力される。変調部101は、制御信号S100が1GHzで通信することを示していた場合、送信ディジタル信号を1GHz通信用の送信直交ベースバンド信号に変調して出力する。変調部102は、制御信号S100が30GHzで通信することを示していた場合、送信ディジタル信号を30GHz通信用の送信直交ベースバンド信号に変調して出力する。
無線部103、104には、それぞれ1GHz通信用の送信直交ベースバンド信号、30GHz通信用の送信直交ベースバンド信号が入力されると共に、制御信号S100が入力される。無線部103は、制御信号S100が1GHz帯で通信することを示していた場合、1GHz通信用の送信直交ベースバンド信号を1GHz帯の無線周波数にアップコンバートする。無線部104は、制御信号S100が30GHz帯で通信することを示していた場合、30GHz通信用の送信直交ベースバンド信号を30GHz帯の無線周波数にアップコンバートする。
これにより、制御信号S100が1GHz帯で通信することを示していた場合には、送信ディジタル信号D100が1GHz帯の送信信号とされてアンテナ105から出力され、一方、制御信号S100が30GHz帯で通信することを示していた場合には、送信ディジタル信号D100が30GHz帯の送信信号とされてアンテナ106から出力される。因みに、この実施の形態の場合、アンテナ105からは1GHzを中心周波数として帯域が5MHzの送信信号を出力し、アンテナ106からは30GHzを中心周波数として、帯域が100MHzの送信信号を出力するようになっている。
図26に、アンテナ105、106から出力される送信信号のフォーマットを示す。各アンテナ105、106からは、データシンボルに加えて、端末200側で電波伝搬環境を推定するための推定用シンボルと、端末200にどちらの周波数帯域の信号を送っているかを知らせて端末200の受信復調動作を制御するための制御用シンボルが付加されて送信される。この推定用シンボルや制御用シンボルはデータシンボルの前後に付加するようにしてもよく、又は一定間隔毎に送信するようにしてもよい。
図25に戻って、無線基地局装置100の受信系の構成を説明する。無線基地局装置100は、端末200からの信号をアンテナ107で受信すると、これを無線部108を介して復調部109に送出する。復調部109によって復調された信号は信号分離部110に送出される。信号分離部110は、復調された受信信号を、データ信号S200と、電波伝搬環境情報S201及び要求情報S202とに分離し、このうち電波伝搬環境情報S201及び要求情報S202を送信方法決定部110に送出する。ここで電波伝搬環境推定情報S201は、端末200が無線基地局装置100からの信号を受信したときの受信品質を示す情報である。また要求情報S202は、端末200が要求する要求伝送速度や要求変調方式、要求伝送品質を示す情報である。
送信方法決定部111には、電波伝搬環境推定情報S201及び要求情報S202に加えて、RNC(Radio Network Controller)からの通信トラフィック情報S203が入力され、送信方法決定部111はこれらの情報に基づいて、各端末200に1GHz帯の信号を送信するか又は30GHz帯の信号を送信するかを決定し、決定結果を変調部101、102及び無線部103、104を制御するための制御信号S100として出力する。具体的には、通信トラフィックが許す限り、伝搬伝搬環境が悪い場合には1GHz帯の信号を送信し、電波伝搬環境が良い場合には30GHz帯の信号を送信する。
このようにこの実施の形態の無線基地局装置100は、通信相手の端末から送られてきた電波伝搬環境情報や要求情報に応じて、その端末に送信する送信ディジタル信号を1GHz帯の信号で送信するか30GHz帯の信号で送信するかを選択して送信するようになっている。
次に、図27を用いて、無線基地局装置100と通信を行う通信端末200の構成について説明する。通信端末200は無線基地局装置100から送信される1GHz帯の信号又は30GHz帯の信号を選択的に受信復調し得るようになっている。
先ず受信系について説明する。通信端末100は、アンテナ201で受信した信号を1GHz帯受信処理部203に入力すると共に、アンテナ202で受信した信号を30GHz帯受信処理部204に入力する。1GHz帯受信処理部203の無線部205は受信信号に対して1GHzの搬送波を乗じる。一方、30GHz帯受信処理部204の無線部206は受信信号に対して30GHzの搬送波を乗じる。これにより、1GHz帯及び30GHz帯の受信信号が検波処理され、処理後の信号が復調部207、208及び電波伝搬環境推定部209、210に送出される。
復調部207、208は、無線処理後の信号を復調し、復調後の信号を選択部211に送出する。選択部211は、復調後の信号に含まれる制御情報(すなわち基地局100がその端末宛の送信データを1GHz帯で送ったか、又は30GHz帯で送ったかを示す情報)に応じて、復調部207からの出力信号又は復調部208からの出力信号のうちいずれか一方を選択的に出力する。これにより、無線基地局装置100により送信データを1GHz帯の搬送波に重畳して送信した場合でも30GHz帯の搬送波に重畳して送信した場合でも、送信データを受信復調して受信ディジタル信号を得ることができるようになっている。
電波伝搬環境推定部209、210は、無線部205、206から出力される信号のうち電波伝搬環境推定用の既知信号に基づいて、1GHz帯の通信状態、30GHz帯の通信状態を推定する。具体的には、1GHz帯、30GHz帯それぞれについて、受信信号のマルチパス、電界強度、ドップラ周波数、干渉電力、妨害波強度、遅延プロファイル、電波の到来方向、偏波状態等を測定することにより、基地局との間の電波伝搬環境を推定する。
ここで、1GHz帯で伝搬された信号と、30GHz帯で伝搬された信号では、劣化の仕方が異なるので(例えば上述したように30GHz帯で伝搬された信号の方が伝搬路での減衰が大きい)、電波伝搬環境推定部209で推定される推定値と電波伝搬環境推定部210で推定される推定値は異なるものとなる。電波伝搬環境推定部209で推定された電波伝搬環境推定情報S300及び電波伝搬環境推定部210で推定された電波伝搬環境推定情報S301は、送信系の情報生成部212に送出される。
情報生成部212には、2つの電波伝搬環境推定情報S300、S301に加えて、送信データD200及び要求情報S302が入力される。情報生成部212は、これらのデータ及び情報から、図28に示すようなフレームフォーマットの信号を構成する。この信号は、続く変調部213により変調され、無線部214により無線周波数にアップコンバートされた後、アンテナ215から出力される。
このように通信端末200においては、無線基地局装置100から送信された1GHz帯の信号及び30GHz帯の信号を選択的に復調できると共に、無線基地局装置100に1GHz帯での通信状態及び30GHz帯での通信状態を通知できるようになっている。
かくして以上の構成によれば、送信相手局との間の電波伝搬環境や送信相手局からの要求に応じて、異なる周波数帯域のいずれか一つを選択し、選択した周波数帯域で送信データを送信するようにしたことにより、高速通信及び高品質通信の両立した通信を実現することができる。
(他の実施の形態)
なお上述の実施の形態1では、無線基地局装置を図4に示すように構成した場合について述べたが、図29に示すように構成してもよい。すなわち図4との対応部分に同一符号を付して示す図29の無線基地局装置300は、拡散部4とシリアルパラレル変換部5の接続位置が逆となっている。つまりシリアルパラレル変換後の各データを拡散部4により拡散処理する。
同様に実施の形態1では、通信端末を図5に示すように構成した場合について述べたが、図30に示すように構成してもよい。すなわち図5との対応部分に同一符号を付して示す図30の通信端末310は、逆拡散部16とパラレルシリアル変換部14の接続位置が逆となっている。つまり逆拡散部16により逆拡散処理した信号をパラレルシリアル変換する。
また上述の実施の形態2における無線基地局装置20の送信部21を、図31に示すように構成してもよい。すなわち図10との対応部分に同一符号を付して示す図31の送信部320は、拡散部32とシリアルパラレル変換部33の接続位置が逆となっている。つまりシリアルパラレル変換後の各データを拡散部32により拡散処理する。
同様に実施の形態2における通信端末40の受信部42を、図32に示すように構成してもよい。すなわち図12との対応部分に同一符号を付して示す図32の受信部330は、逆拡散部16とパラレルシリアル変換部14の接続位置が逆となっている。つまり逆拡散部16により逆拡散処理された信号をパラレルシリアル変換する。
また上述の実施の形態1〜3では、通信端末10、40がOFDM信号とOFDM−CDM信号の混在信号から、OFDM信号の元のデータとOFDM−CDM信号の元のデータを復元する方法として、混在信号を、パラレルシリアル変換部13及び復調部15を通過させることによりOFDM信号の元のデータを復元すると共に、パラレルシリアル変換部14、逆拡散部16及び復調部17を通過させることによりOFDM−CDM信号の元のデータを復元する場合について述べたが、これに限らない。
例えば混在信号から予めOFDM信号を抽出し、これをパラレルシリアル変換部13及び復調部15を通過させることによりOFDM信号の元のデータを復元するようにしてもよい。同様に、混在信号から予めOFDM−CDM信号を抽出し、これをパラレルシリアル変換部14、逆拡散部16及び復調部17を通過させることによりOFDM−CDM信号の元のデータを復元するようにしてもよい。
また上述の実施の形態2では、送信対象となる通信端末の受信状態に応じて、各通信端末に送信する信号を、OFDM信号とOFDM−CDM信号とで適応的に切り替える場合について述べたが、本発明はこれに限らず、通信端末までの距離に応じ、通信端末までの距離が所定値未満の場合、通信端末に対してOFDM信号を送出すると共に、通信端末までの距離が所定値以上の場合、通信端末に対してOFDM−CDM信号を送出するようにしても上述した実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
また上述した実施の形態1〜5では、本発明による無線通信装置を無線基地局装置に適用し、無線基地局装置から通信端末への送信を例にとって説明したが、本発明はこれに限らず、互いに無線通信を行う通信局同士の通信に広く適用することができる。
さらに上述した実施の形態では、通信相手局との間の電波伝搬環境に応じて、送信する信号をOFDM信号とOFDM−CDM信号とで適応的に切り替えたり、周波数の高い信号と周波数の低い信号とで適応的に切り替えるようにした場合について述べたが、通信相手局から送られた遅延プロファイル、到来方向、偏波状態のいずれかの情報に基づいて変調方式を適応的に切り替えるようにしてもよい。
例えば通信相手局で測定した遅延プロファイルが、電界強度の高い遅延波が複数存在する(遅延波の影響が大きい)ことを示すであった場合、送信信号に対してQPSK変調を施し、電界強度の高い遅延波が存在しないことを示すものが受信された場合、16値QAM変調を施すようにする。
また通信相手局で測定した偏波状態が、送信した偏波に対し、受信した偏波状態が著しく異なることを示すものが受信された場合、送信信号に対してQPSK変調を施し、受信した偏波状態がほぼ等しいことを示すものが受信された場合、16値QAM変調を施すようにする。
このようにすれば、上述した実施の形態と同様に高速通信及び高品質通信の両立した通信を行うことができるようになる。