JP4687994B2 - 画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラム - Google Patents

画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラム Download PDF

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Description

本発明は、画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムに関し、特に、動きベクトル検出の精度を向上することができるようにした画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムに関する。
画像のフレーム周波数を変換する画像処理装置において、着目ブロックの動きベクトルを検出する1つの方法として、勾配法が用いられる。この勾配法においては、微小動きに対しては、精度の高い結果を得ることができるが、実際の動画像の中で動きを求める場合には、その動きが大きすぎて、実用的ではない。したがって、特許文献1に示されるように、勾配法の演算を繰り返し行うことにより対応している。
ただし、勾配法の演算をただ繰り返し行うだけでは、リアルタイム処理を行う場合、演算時間がかかってしまう。そこで、勾配法を行う際に、過去のフレームなどにおいて検出された周辺ブロックの動きベクトルから、同じような動きの初期ベクトルを求め、その初期ベクトルを、勾配法演算の初期値として用いることで、勾配法の反復回数を減らしている。この初期ベクトルは、動物体における空間的、または時間的な相関性から、着目ブロックの周辺ブロックの動きベクトルや、前フレーム上の着目ブロックと同位相のブロックの動きベクトルなどから求められる。
特開昭60−158786公報
しかしながら、大きな動き量を持つ物体中や異なる動物体の境界付近などのブロックにおいては、勾配法に用いる初期ベクトルとして用いるための最適な動きベクトル(すなわち、算出する動きに類似している動きベクトル)が存在せず、誤った(異なる動きを有する)初期ベクトルを選択しまう課題があった。また、この結果、後段の勾配法による動きベクトルの検出精度が低下し、画質劣化の原因となってしまう課題があった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、勾配法による動きベクトルの検出精度を向上させる初期ベクトルを選択することができるようにするものである。
本発明の一側面の画像処理装置は、勾配法の初期値として、フレーム上の着目ブロックを始点とした動きベクトルを検出するために用いられる、フレーム上の着目ブロックを始点とした初期ベクトルを選択する初期ベクトル選択手段と、初期ベクトルを用いて、勾配法により、フレーム上の着目ブロックを始点とした動きベクトルを検出する動きベクトル検出手段と、第1のフレーム上の着目ブロックを始点とした第1の動きベクトルを検出する際に、第1の動きベクトルの終点としての終点ブロックが求められたことに対応して、第1のフレームの次のフレームである第2のフレーム上の、終点ブロックと同じ位置にある着目ブロックを始点とした第2の動きベクトルであって第1の動きベクトルと同じ大きさ、かつ、同じ向きの第2の動きベクトルを、第2のフレーム上の着目ブロックを始点としたシフト初期ベクトルとして設定するシフト初期ベクトル設定手段と、少なくともシフト初期ベクトルを、第2のフレーム上の着目ブロックを始点とした第2の動きベクトルを検出するために用いられる初期ベクトルの候補である候補ベクトルとして設定する候補ベクトル設定手段と、複数の候補ベクトル毎に、第1のフレーム上の、候補ベクトルの始点とされたブロックの各画素値と、第2のフレーム上の、候補ベクトルの終点とされたブロックの各画素値との差分絶対値和を表す評価値を演算する評価値演算手段とを備え、初期ベクトル選択手段は、複数の候補ベクトル毎の評価値に基づいて、複数の候補ベクトルの中から、第2のフレーム上の着目ブロックを始点とした初期ベクトルを選択する。
シフト初期ベクトル設定手段は、複数の第1の動きベクトルそれぞれ終点とされた終点ブロックと同じ位置にある、第2のフレーム上の着目ブロックを求めるブロック演算手段と、第1のフレーム上の、第1の動きベクトルの始点とされたブロックの各画素値と、第2のフレーム上の、第1の動きベクトルの終点とされたブロックの各画素値との差分絶対値和を表す評価値であって、複数の第1の動きベクトル毎に演算された評価値を比較する較手段と、複数の第1の動きベクトルのうち、評価値が最小の第1の動きベクトルと同じ大きさであって、かつ、同じ向きの第2の動きベクトルを、第2のフレーム上の着目ブロックを始点としたシフト初期ベクトルとして選択するシフト初期ベクトル選択手段とを有するようにすることができる。
候補ベクトル設定手段は、シフト初期ベクトル設定手段により設定された第2のフレーム上の着目ブロックを始点としたシフト初期ベクトル、および、動きベクトル検出手段により検出された動きベクトルのうちの、第1のフレームまたは第2のフレームにおいて検出された着目ブロックの所定の周辺ブロックを始点とした動きベクトルを、初期ベクトル選択の候補ベクトルとして設定するようにすることができる。
動きベクトル検出手段により検出された第1の動きベクトルを、第1のフレームと第2のフレームの間に内挿される内挿フレーム上の画素に割り付ける割付手段と、割付手段により割り付けられた第1の動きベクトルに基づいて、内挿フレーム上の画素値を補間して生成する画素補間生成手段とをさらに備えるようにすることができる。
本発明の一側面の画像処理方法は、勾配法を用いて動きベクトルを検出する画像処理装置の画像処理方法であって、勾配法の初期値として、フレーム上の着目ブロックを始点とした動きベクトルを検出するために用いられる、フレーム上の着目ブロックを始点とした初期ベクトルを選択する初期ベクトル選択ステップと、初期ベクトルを用いて、勾配法により、フレーム上の着目ブロックを始点とした動きベクトルを検出する動きベクトル検出ステップと、第1のフレーム上の着目ブロックを始点とした第1の動きベクトルを検出する際に、第1の動きベクトルの終点としての終点ブロックが求められたことに対応して、第1のフレームの次のフレームである第2のフレーム上の、終点ブロックと同じ位置にある着目ブロックを始点とした第2の動きベクトルであって第1の動きベクトルと同じ大きさ、かつ、同じ向きの第2の動きベクトルを、第2のフレーム上の着目ブロックを始点としたシフト初期ベクトルとして設定するシフト初期ベクトル設定ステップと、少なくともシフト初期ベクトルを、第2のフレーム上の着目ブロックを始点とした第2の動きベクトルを検出するために用いられる初期ベクトルの候補である候補ベクトルとして設定する候補ベクトル設定ステップと、複数の候補ベクトル毎に、第1のフレーム上の、候補ベクトルの始点とされたブロックの各画素値と、第2のフレーム上の、候補ベクトルの終点とされたブロックの各画素値との差分絶対値和を表す評価値を演算する評価値演算ステップとを含み、初期ベクトル選択ステップは、複数の候補ベクトル毎の評価値に基づいて、複数の候補ベクトルの中から、第2のフレーム上の着目ブロックを始点とした初期ベクトルを選択する。
本発明の一側面の記録媒体に記録されているプログラムは、勾配法の初期値として、フレーム上の着目ブロックを始点とした動きベクトルを検出するために用いられる、フレーム上の着目ブロックを始点とした初期ベクトルを選択する初期ベクトル選択ステップと、初期ベクトルを用いて、勾配法により、フレーム上の着目ブロックを始点とした動きベクトルを検出する動きベクトル検出ステップと、第1のフレーム上の着目ブロックを始点とした第1の動きベクトルを検出する際に、第1の動きベクトルの終点としての終点ブロックが求められたことに対応して、第1のフレームの次のフレームである第2のフレーム上の、終点ブロックと同じ位置にある着目ブロックを始点とした第2の動きベクトルであって第1の動きベクトルと同じ大きさ、かつ、同じ向きの第2の動きベクトルを、第2のフレーム上の着目ブロックを始点としたシフト初期ベクトルとして設定するシフト初期ベクトル設定ステップと、少なくともシフト初期ベクトルを、第2のフレーム上の着目ブロックを始点とした第2の動きベクトルを検出するために用いられる初期ベクトルの候補である候補ベクトルとして設定する候補ベクトル設定ステップと、複数の候補ベクトル毎に、第1のフレーム上の、候補ベクトルの始点とされたブロックの各画素値と、第2のフレーム上の、候補ベクトルの終点とされたブロックの各画素値との差分絶対値和を表す評価値を演算する評価値演算ステップとを含み、初期ベクトル選択ステップは、複数の候補ベクトル毎の評価値に基づいて、複数の候補ベクトルの中から、第2のフレーム上の着目ブロックを始点とした初期ベクトルを選択する処理をコンピュータに実行させる。
本発明の一側面のプログラムは、勾配法の初期値として、フレーム上の着目ブロックを始点とした動きベクトルを検出するために用いられる、フレーム上の着目ブロックを始点とした初期ベクトルを選択する初期ベクトル選択ステップと、初期ベクトルを用いて、勾配法により、フレーム上の着目ブロックを始点とした動きベクトルを検出する動きベクトル検出ステップと、第1のフレーム上の着目ブロックを始点とした第1の動きベクトルを検出する際に、第1の動きベクトルの終点としての終点ブロックが求められたことに対応して、第1のフレームの次のフレームである第2のフレーム上の、終点ブロックと同じ位置にある着目ブロックを始点とした第2の動きベクトルであって第1の動きベクトルと同じ大きさ、かつ、同じ向きの第2の動きベクトルを、第2のフレーム上の着目ブロックを始点としたシフト初期ベクトルとして設定するシフト初期ベクトル設定ステップと、少なくともシフト初期ベクトルを、第2のフレーム上の着目ブロックを始点とした第2の動きベクトルを検出するために用いられる初期ベクトルの候補である候補ベクトルとして設定する候補ベクトル設定ステップと、複数の候補ベクトル毎に、第1のフレーム上の、候補ベクトルの始点とされたブロックの各画素値と、第2のフレーム上の、候補ベクトルの終点とされたブロックの各画素値との差分絶対値和を表す評価値を演算する評価値演算ステップとを含み、初期ベクトル選択ステップは、複数の候補ベクトル毎の評価値に基づいて、複数の候補ベクトルの中から、第2のフレーム上の着目ブロックを始点とした初期ベクトルを選択する処理をコンピュータに実行させる。
本発明においては、第1のフレーム上の着目ブロックを始点とした第1の動きベクトルを検出する際に、第1の動きベクトルの終点としての終点ブロックが求められたことに対応して、第1のフレームの次のフレームである第2のフレーム上の、終点ブロックと同じ位置にある着目ブロックを始点とした第2の動きベクトルであって第1の動きベクトルと同じ大きさ、かつ、同じ向きの第2の動きベクトルが、第2のフレーム上の着目ブロックを始点としたシフト初期ベクトルとして設定される。そして、少なくともシフト初期ベクトルが、第2のフレーム上の着目ブロックを始点とした第2の動きベクトルを検出するために用いられる初期ベクトルの候補である候補ベクトルとして設定される。
本発明によれば、勾配法による動きベクトルの検出精度を向上させる初期ベクトルを選択することができる。さらに、本発明によれば、特に、動きのある境界付近において、勾配法による動きベクトルの精度を向上することができる。
本発明の信号処理装置の構成例を示すブロック図である。 信号処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の処理の原理を説明する図である。 本発明の処理を具体的に説明する図である。 信号処理装置において用いられる動きベクトルの評価値を説明する図である。 信号処理装置のフレーム周波数変換処理を説明するフローチャートである。 画像補間部の構成を示すブロック図である。 画像補間処理を説明するフローチャートである。 ベクトル検出部の構成を示すブロック図である。 ベクトル検出部で用いられる勾配法を説明する図である。 初期ベクトルを用いた反復勾配法を説明する図である。 動きベクトル検出処理を説明するフローチャートである。 シフト初期ベクトル割付部の構成を示すブロック図である。 シフト初期ベクトルの概念を説明する図である。 シフト初期ベクトルを具体的に説明する図である。 シフト初期ベクトルを具体的に説明する図である。 シフト初期ベクトルの決定方法を説明する図である。 シフト初期ベクトルの割り付けの例を説明する図である。 動きベクトルが競合する場合のシフト初期ベクトルの例を説明する図である。 シフト初期ベクトル割付処理を説明するフローチャートである。 初期ベクトル選択部の構成を示すブロック図である。 初期ベクトルの周辺領域を示す図である。 初期ベクトルの候補ブロックを示す図である。 初期ベクトル選択処理を説明するフローチャートである。 反復勾配法演算部の構成を示すブロック図である。 有効画素判定部の構成を示すブロック図である。 勾配法演算部の構成を示すブロック図である。 動きベクトルの検出対象ブロックと演算ブロックを説明する図である。 検出対象ブロックにおけるオブジェクトの動きを説明する図である。 同じ動きのオブジェクトを有する検出対象ブロックにおける輝度の状態を説明する図である。 異なる動きのオブジェクトを有する検出対象ブロックにおける輝度の状態を説明する図である。 画素単位処理の演算ブロックの例を説明する図である。 図29の検出対象ブロックにおける画素単位処理を説明する図である。 反復勾配法演算処理を説明するフローチャートである。 有効画素判定処理を説明するフローチャートである。 勾配法演算処理を説明するフローチャートである。 画素単位の反復勾配法演算処理を説明するフローチャートである。 ベクトル割付部の構成を示すブロック図である。 本発明の4点補間処理の概念を説明する図である。 ベクトル割付処理の概要を説明する図である。 動きベクトルと内挿フレームの交点の近傍画素の例を説明する図である。 割付候補の動きベクトルの評価方法を説明する図である。 ベクトル割付における4点補間の例を説明する図である。 ベクトル割付処理を説明するフローチャートである。 画素位置演算処理を説明するフローチャートである。 割付ベクトル評価処理を説明するフローチャートである。 割付補償部の構成を示すブロック図である。 ベクトル補償部の構成を示すブロック図である。 割付補償処理の原理を説明する図である。 動き相関の原理を説明する図である。 着目画素の周囲画素の構成例を説明する図である。 着目画素の動きベクトルの補償候補ベクトルの例を説明する図である。 着目画素の動きベクトルの補償候補ベクトルの例を説明する図である。 着目画素の動きベクトルの補償候補ベクトルの例を説明する図である。 補償候補ベクトルを評価する例を説明する図である。 補償候補ベクトルを評価する例を説明する図である。 補償候補ベクトルを評価する例を説明する図である。 補償候補ベクトルを着目画素の動きベクトルとして選択する例を説明する図である。 割付補償処理を説明するフローチャートである。 ベクトル補償処理を説明するフローチャートである。
符号の説明
1 信号処理装置,11 CPU,12 ROM,13 RAM,31 磁気ディスク,32 光ディスク,33 光磁気ディスク,34 半導体メモリ,51 フレームメモリ,52 ベクトル検出部,53 検出ベクトルメモリ,54 ベクトル割付部,55 割付ベクトルメモリ,56 割付フラグメモリ,57 割付補償部,58 画像補間部,101 初期ベクトル選択部,103 反復勾配法演算部,104 ベクトル評価部,105 シフト初期ベクトル割付部,106 評価値メモリ,107 シフト初期ベクトルメモリ,201 割付対象位置演算部,202 評価値比較部,203 シフト初期ベクトル置換部,204 評価値置換部,251 候補ベクトル位置演算部,252 検出ベクトル取得部,253 シフト初期ベクトル取得部,254 オフセット位置演算部,255 評価値演算部,256 評価値比較部,257 最適候補格納用レジスタ,401 モード選択部,402 セレクタ,403 有効画素判定部,404 勾配法演算部,405 遅延部,411 時間画素差分算出部,412 画素差分値判定部,413 有効画素数カウンタ,414 勾配法継続判定部,421 時間画素差分算出部,422 画素差分値判定部,423 水平垂直画素差分算出部,424 勾配積算部,425 ベクトル算出部,701 画素情報演算部,702 評価値演算部,703 着目画素差分演算部,704 ベクトル評価部,705 ベクトル選択部,711 画素差分判断部,712 評価値判断部,801 割付ベクトル判定部,802 ベクトル割付部,811 補償処理部,812 評価値演算部,821 メモリ
以下、図を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明を適用した信号処理装置1の構成例を表している。信号処理装置1は、例えば、パーソナルコンピュータなどで構成される。図1において、CPU(Central Processing Unit)11は、ROM(Read Only Memory)12、または記憶部18に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM(Random Access Memory)13には、CPU11が実行するプログラムやデータなどが適宜記憶される。これらのCPU11、ROM12、およびRAM13は、バス14により相互に接続されている。
CPU11にはまた、バス14を介して入出力インタフェース15が接続されている。入出力インタフェース15には、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる入力部16、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部17が接続されている。CPU11は、入力部16から入力される指令に対応して各種の処理を実行する。そして、CPU11は、処理の結果、得られた画像や音声等を出力部17に出力する。
入出力インタフェース15に接続されている記憶部18は、例えばハードディスクなどで構成され、CPU11が実行するプログラムや各種のデータを記憶する。通信部19は、インターネット、その他のネットワークを介して外部の装置と通信する。また、通信部19を介してプログラムを取得し、記憶部18に記憶してもよい。
入出力インタフェース15に接続されているドライブ20は、磁気ディスク31、光ディスク32、光磁気ディスク33、或いは半導体メモリ34などが装着されたとき、それらを駆動し、そこに記録されているプログラムやデータなどを取得する。取得されたプログラムやデータは、必要に応じて記憶部18に転送され、記憶される。
なお、信号処理装置1は、例えば、テレビジョン受像機、光ディスクプレーヤなど、または、それらの信号処理部とすることもできる。
図2は、信号処理装置1を示すブロック図である。
なお、信号処理装置1の各機能をハードウェアで実現するか、ソフトウェアで実現するかは問わない。つまり、本明細書の各ブロック図は、ハードウェアのブロック図と考えても、ソフトウェアによる機能ブロック図と考えてもよい。
図2に構成を示す信号処理装置1においては、例えば、フレーム周波数24Hzのプログレッシブ画像信号(以下、24P信号と称する)の画像が入力され、入力された画像(入力画像)が、フレーム周波数60Hzのプログレッシブ画像信号(以下、60P信号と称する)の画像に変換されて、出力される。すなわち、図2は、画像処理装置である信号処理装置の構成を示す図である。
信号処理装置1に入力された24P信号の入力画像は、フレームメモリ51、ベクトル検出部52、ベクトル割付部54、割付補償部57、および画像補間部58に供給される。フレームメモリ51は、入力画像をフレーム単位で記憶する。フレームメモリ51は、時刻t+1の入力画像の1つ前の時刻tのフレームを記憶する。フレームメモリ51に記憶される時刻tのフレームは、ベクトル検出部52、ベクトル割付部54、割付補償部57、および画像補間部58に供給される。なお、以下、フレームメモリ51上の時刻tのフレームをフレームtと称し、時刻t+1の入力画像のフレームを、フレームt+1と称する。
ベクトル検出部52は、フレームメモリ51上のフレームtの着目ブロックと、入力画像のフレームt+1の対象ブロックの間で動きベクトルを検出し、検出した動きベクトルを、検出ベクトルメモリ53に記憶する。この2フレーム間の動きベクトルの検出方法には、勾配法またはブロックマッチング法などが用いられる。ベクトル検出部52の構成の詳細は、後述する。検出ベクトルメモリ53は、フレームtにおいて、ベクトル検出部52により検出された動きベクトルを記憶する。
ベクトル割付部54は、24P信号のフレームt上において求められた動きベクトルを、割付ベクトルメモリ55上の、補間する60P信号のフレーム(以下、60P信号のフレームは、24P信号のフレームと区別するため、内挿フレームとも称する)上の画素に割り付け、動きベクトルが割り付けられた画素の割付フラグメモリ56の割付フラグを1(True)に書き換える。ベクトル割付部54の構成の詳細は、後述する。
割付ベクトルメモリ55は、ベクトル割付部54により割り付けられた動きベクトルを、内挿フレームの各画素に対応させて記憶する。割付フラグメモリ56は、内挿フレームの画素毎に、割り付けられる動きベクトルの有無を示す割付フラグを記憶している。例えば、True(1)である割付フラグは、対応する画素に動きベクトルが割り付けられていることを示し、False(0)である割付フラグは、対応する画素に動きベクトルが割り付けられていないことを示す。
割付補償部57は、割付フラグメモリ56の割付フラグを参照し、ベクトル割付部54により動きベクトルが割り付けられなかった着目画素に対して、その着目画素の周辺画素の動きベクトルを補い、割付ベクトルメモリ55の内挿フレーム上に割り付ける。このとき、割付補償部57は、動きベクトルを割り付けた着目画素の割付フラグを1(True)に書き換える。割付補償部57の構成の詳細は、後述する。
画像補間部58は、割付ベクトルメモリ55の内挿フレームに割り付けられた動きベクトルと、フレームtおよび次のフレームt+1の画素値を用いて、内挿フレームの画素値を補間生成する。そして、画像補間部58は、生成された内挿フレームを出力し、その次に、必要に応じて、フレームt+1を出力することにより、60P信号の画像を、図示せぬ後段に出力する。なお、以下においては、画素値を、適宜、輝度値とも称する。
図3は、本発明に係る信号処理装置1における処理の原理を説明する図である。図3の例においては、点線が、信号処理装置1に入力される、時刻t,t+1,およびt+2における24P信号のフレームを表しており、実線が、入力された24P信号から信号処理装置1により、生成される時刻t,t+0.4,t+0.8,t+1.2,t+1.6,およびt+2における60P信号の内挿フレームを表している。
一般に、24P信号を、60P信号に変換するためには、5/2倍のフレームが必要になる。すなわち、2枚の24P信号の画像から5枚の60P信号の画像が生成されなければならない。このとき、生成される60P信号の内挿フレームは、そのフレーム間隔を等しくするために、24P信号上での時間位相が0.0,0.4,0.8,1.2,および1.6となる位置に配置される。この中で、時間位相が0.0である時刻tの1フレームを除く4フレーム(t+0.4,t+0.8,t+1.2,およびt+1.6のフレーム)は、24P信号上には存在しない画像である。したがって、信号処理装置1は、24P信号の画像が入力されると、24P信号の時刻tおよび時刻t+1の2枚のフレームから、4つの内挿フレームを生成する。したがって、信号処理装置1からは、時刻t,t+0.4,t+0.8,t+1.2,およびt+1.6の5枚のフレームからなる60P信号の画像が出力される。
以上のようにして、信号処理装置1は、24P信号の画像から60P信号の画像に、フレーム周波数を変換する処理を実行する。
なお、原理的には、上述したように、24P信号の時刻tおよび時刻t+1の2枚のフレームから、時刻t,t+0.4,t+0.8,t+1.2,およびt+1.6の5枚の60P信号のフレームが新しく生成されるが、実際には、図3の例の場合、24P信号の時刻tおよび時刻t+1の2枚のフレームに基づいて、t,t+0.4,t+0.8の60P信号のフレームが生成され、24P信号の時刻t+1およびt+2の2枚のフレームに基づいて、t+1.2,t+1.6,およびt+2の60P信号のフレームが生成される。
図4は、本発明の処理をより具体的に説明する図である。図4の例においては、太線矢印は、各状態への遷移を表しており、矢印Tは、状態81乃至85における時間の経過方向を表している。また、状態81乃至85は、信号処理装置1を構成する各部への入出力時の、24P信号の時刻tのフレームt、時刻tの次の時刻t+1のフレームt+1、または、フレームtおよびフレームt+1の間に生成される60P信号の内挿フレームFの状態を概念的に表している。すなわち、実際には、例えば、状態82に示されるような動きベクトルが検出されたフレームは入力されず、フレームと動きベクトルは、別々に入力される。
状態81は、ベクトル検出部52に入力される、24P信号のフレームtおよびフレームt+1の状態を表している。状態81のフレームt上の黒点は、フレームt上の画素を表している。ベクトル検出部52は、状態81のフレームt上の画素が、次の時刻のフレームt+1において、どの位置に移動するかを検出し、その動きを、状態82のフレームt上に示されるように、各画素に対応する動きベクトルとして出力する。この2フレーム間の動きベクトルの検出方法には、ブロックマッチング法または勾配法などが用いられる。なお、このとき、画素に複数の動きベクトルが検出された場合、ベクトル検出部52は、各動きベクトルについて、後述する評価値を求め、その評価値に基づいて動きベクトルを選択する。
状態82は、ベクトル割付部54に入力される、フレームtおよびフレームt+1の状態を表している。状態82において、フレームtの各画素の矢印は、ベクトル検出部52により検出された動きベクトルを表している。
ベクトル割付部54は、状態82のフレームtの各画素に対して検出された動きベクトルを、次のフレームt+1まで延長させ、予め設定されている時間位相(例えば、図3のt+0.4)にある内挿フレームF上のどの位置を通過するかを求める。これは、フレームtおよびフレームt+1の間が一定動きであると仮定すると、動きベクトルが内挿フレームFを通過した点が、そのフレームでの画素位置となるためである。したがって、ベクトル割付部54は、この通過する動きベクトルを、状態83の内挿フレームF上の近傍4画素に割り付ける。また、このとき、内挿フレームの画素によっては、動きベクトルが存在しない場合、あるいは、複数の動きベクトルが、割付候補となりうる場合がある。後者のような場合には、ベクトル割付部54は、ベクトル検出部52と同様に、各動きベクトルについての評価値を求め、その評価値に基づいて割り付ける動きベクトルを選択する。
状態83は、割付補償部57に入力される、フレームtおよびフレームt+1、並びに動きベクトルが割り付けられた内挿フレームFの状態を表している。状態83の内挿フレームFにおいては、ベクトル割付部54により動きベクトルが割り付けられている画素と、動きベクトルが割り付けられなかった画素が示されている。
割付補償部57は、状態83の動きベクトルが割り付けられていない画素に対して、その画素の周辺画素に割り付けられている動きベクトルを用いて補う。これは、ある着目画素の近傍領域が同じ動きであるという仮定が成り立つならば、着目画素の周辺画素の動きベクトルと、その着目画素の動きベクトルは似たものであるからである。これにより、動きベクトルが割り付けられなかった画素にも、ある程度正確な動きベクトルが与えられ、状態84の内挿フレームF上のすべての画素に動きベクトルが割り付けられる。なお、この場合にも、複数の周辺画素の動きベクトルが候補として存在するため、割付補償部57は、ベクトル割付部54と同様に、各動きベクトルについての評価値を求め、その評価値に基づいて割り付ける動きベクトルを選択する。
状態84は、画像補間部58に入力される、フレームtおよびフレームt+1、並びに、すべての画素に動きベクトルが割り付けられた内挿フレームFの状態を表している。これらのすべての画素に割り付けられた動きベクトルにより、画像補間部58は、内挿フレームF上の画素と、2枚のフレームtおよびフレームt+1の画素の位置関係を決定することができる。したがって、画像補間部58は、内挿フレームF上に割り付けられた動きベクトルと、フレームtおよびフレームt+1の画素値を用いて、状態85の内挿フレームFの黒点に示されるように、内挿フレームF上の画素値を補間生成する。そして、画像補間部58は、生成された内挿フレームを出力し、その次に、必要に応じて、フレームt+1を出力することにより、60P信号の画像を、図示せぬ後段に出力する。
次に、図5を参照して、本発明に係る信号処理装置1において用いられる動きベクトルの評価値を説明する。図4を参照して上述したように、信号処理装置1の各部(ベクトル検出部52、ベクトル割付部54、および割付補償部57)において、後段の処理に最適な動きベクトルが選択される。このとき、信号処理装置1の各部においては、動きベクトルに対する評価値として、2つのフレームの注目するベクトル量分ずらしたブロック間の相関値を表す差分絶対値和(DFD(Displaced Frame Difference))が用いられる。
図5の例においては、時刻tのフレームt上の画素位置pを中心としたm×nのブロック、および、時刻t+1のフレームt+1上の画素位置pから注目する動きベクトルvのベクトル量分ずらした画素位置p+vを中心としたm×nのブロックの2つのブロックが示されている。これら2つのブロック間において求められる差分絶対値和DFDt(p)は、次の式(1)で表される。
Figure 0004687994
・・・(1)
ここで、Ft(p)は、時刻tにおける画素位置pの輝度値を表しており、m×nは、差分絶対値和を求めるためのDFD演算範囲(ブロック)を表している。この差分絶対値和は、2つのフレームにおけるDFD演算範囲(ブロック)間の相関値を表しているため、一般的には、この差分絶対値和が小さいほどフレーム間のブロックの波形が一致しており、差分絶対値和が小さいほど、動きベクトルvの信頼度が高いと判定される。これにより、この差分絶対値和は、複数の候補の中から、最も確からしい動きベクトルを選ぶ場合などに用いられる。
したがって、以降、信号処理装置1の各部(ベクトル検出部52、ベクトル割付部54、および割付補償部57)においては、動きベクトルが選択される場合の評価値として、特に言及しない場合には、差分絶対値和(以下、評価値DFDと称する)が用いられることとする。
次に、図6のフローチャートを参照して、信号処理装置1のフレーム周波数を変換する処理を説明する。
ステップS1において、ベクトル検出部52は、時刻t+1の入力画像のフレームt+1と、フレームメモリ51の入力画像の1つ前の時刻tのフレームtの画素値を入力し、ステップS2に進む。なお、このとき、ベクトル割付部54、割付補償部57および画像補間部58は、時刻t+1の入力画像のフレームt+1と、フレームメモリ51の入力画像の1つ前の時刻tのフレームtの画素値を入力する。
ステップS2において、ベクトル検出部52は、動きベクトル検出処理を実行し、ステップS3に進む。すなわち、ベクトル検出部52は、フレームメモリ51上のフレームtの着目ブロックと、入力画像である次のフレームt+1の対象ブロックの間で動きベクトルを検出し、検出した動きベクトルを、検出ベクトルメモリ53に記憶し、ステップS3に進む。この2フレーム間の動きベクトルの検出方法には、勾配法またはブロックマッチング法などが用いられる。また、動きベクトルの候補が複数ある場合には、各動きベクトルに対して、評価値DFDが求められ、求められた評価値DFDに基づいた信頼度の高い動きベクトルが検出される。すなわち、この場合、動きベクトルを検出する着目ブロックにおいて、最も確からしい動きベクトルが選択され、検出される。ステップS2における、動きベクトル検出処理の詳細は、後述する。
ステップS3において、ベクトル割付部54は、ベクトル割付処理を実行し、ステップS4に進む。すなわち、ベクトル割付部54は、ステップS3において、フレームt上において求められた動きベクトルを、割付ベクトルメモリ55上の、補間する内挿フレーム上の着目画素に割り付け、動きベクトルが割り付けられた画素の割付フラグメモリ56の割付フラグを1(True)に書き換える。例えば、Trueである割付フラグは、対応する画素に動きベクトルが割り付けられていることを示し、Falseである割付フラグは、対応する画素に動きベクトルが割り付けられていないことを示す。なお、各画素において、動きベクトルの候補が複数ある場合には、各動きベクトルに対して、評価値DFDが求められ、求められた評価値DFDに基づいた信頼度の高い動きベクトルが割り付けられる。すなわち、この場合、動きベクトルを割り付ける着目画素において、最も確からしい動きベクトルが選択され、割り付けられる。ステップS3における、ベクトル割付処理の詳細は、後述する。
ステップS4において、割付補償部57は、割付補償処理を実行し、ステップS5に進む。すなわち、割付補償部57は、ステップS4において、割付フラグメモリ56の割付フラグを参照し、ベクトル割付部54により動きベクトルが割り付けられなかった着目画素に対して、その着目画素の周辺画素の動きベクトルを補い、割付ベクトルメモリ55の内挿フレーム上に割り付ける。このとき、割付補償部57は、動きベクトルを補い、割付けた着目画素の割付フラグを1(True)に書き換える。なお、周辺画素の動きベクトルが複数ある場合には、各動きベクトルに対して、評価値DFDが求められ、求められた評価値DFDに基づいた、信頼度の高い動きベクトルが割り付けられる。すなわち、この場合、動きベクトルを割り付ける着目画素において、最も確からしい動きベクトルが選択され、割り付けられる。ステップS4における、割付補償処理の詳細は、後述する。
ステップS5において、画像補間部58は、画像補間処理を実行する。すなわち、画像補間部58は、ステップS5において、割付ベクトルメモリ55の内挿フレームに割り付けられた動きベクトルと、フレームtおよびフレームt+1の画素値を用いて、内挿フレームの画素値を補間生成し、ステップS6に進む。ステップS5における、画像補間処理の詳細は後述する。画像補間部58は、ステップS6において、生成された内挿フレームを出力し、その次に、必要に応じて、フレームt+1を出力することにより、60P信号の画像を、図示せぬ後段に出力し、ステップS7に進む。
ステップS7において、ベクトル検出部52は、すべてのフレームの処理が終了したか否かを判断し、すべてのフレームの処理が終了していないと判断した場合、ステップS1に戻り、それ以降の処理を繰り返す。一方、ベクトル検出部52は、ステップS7において、すべてのフレームの処理が終了したと判断した場合、フレーム周波数を変換する処理を終了する。
以上のように、本発明に係る信号処理装置1は、24P信号の入力画像のフレームから動きベクトルを検出し、検出した動きベクトルを、60P信号のフレーム上の画素に割付け、割付けられた動きベクトルに基づいて、60P信号のフレーム上の画素値を生成する。このとき、信号処理装置1は、各処理において、評価値DFD(差分絶対値和)に基づく、より信頼度の高い動きベクトルを選択し、後段に出力する。したがって、信号処理装置1においては、動きが破綻することなどが抑制され、より精度のよい画像を生成することができる。
次に、画像補間部58の構成の詳細について説明する。
図7は、画像補間部58の構成を示すブロック図である。図7に構成を示す画像補間部58は、割付ベクトルメモリ55の内挿フレームに割り付けられた動きベクトルと、フレームtおよびフレームt+1の画素値を用いて、内挿フレームの画素値を補間生成し、60P信号の画像を出力する処理を行う。
図7の例において、時刻tの画像のフレームtは、空間フィルタ92−1に入力され、時刻t+1の画像のフレームt+1は、空間フィルタ92−2およびバッファ95に入力される。
補間制御部91は、割付ベクトルメモリ55の内挿フレームの画素を選択し、選択した画素に割り付けられている動きベクトルに基づいて、内挿フレーム上の画素と、2枚のフレームtおよびフレームt+1の画素との位置関係(空間シフト量)をそれぞれ求める。すなわち、補間制御部91は、内挿フレームの画素を基準に、その動きベクトルで対応付けられるフレームt上の位置と、内挿フレームの画素に対応するフレームt上の画素の位置から、それらの空間シフト量を求め、求めた空間シフト量を空間フィルタ92−1に供給する。同様に、補間制御部91は、内挿フレームの画素を基準に、その動きベクトルで対応付けられるフレームt+1上の位置と、内挿フレームの画素に対応するフレームt+1上の画素の位置から、それらの空間シフト量を求め、求めた空間シフト量を空間フィルタ92−2に供給する。
また、補間制御部91は、予め設定されている内挿フレームの時間位相(時刻)に基づいて、フレームtとフレームt+1の間における補間重みを求め、求めた補間重みを、乗算器93−1および93−2に設定する。例えば、内挿フレームの時刻が、フレームt+1の時刻t+1から「k」離れた時刻で、かつ、フレームtの時刻tから「1−k」離れた時刻である場合(すなわち、内挿フレームが時刻tと時刻t+1を「1−k」:「k」に内分する時刻に生成される場合)、補間制御部91は、乗算器93−1に「1−k」の補間重みを設定し、乗算器93−2に「k」の補間重みを設定する。
空間フィルタ92−1および92−2は、例えば、キュービックフィルタなどにより構成される。空間フィルタ92−1は、入力されるフレームt上の画素の画素値と、補間制御部91から供給される空間シフト量に基づいて、内挿フレームの画素に対応する、フレームt上の画素値を求め、求めた画素値を乗算器93−1に出力する。空間フィルタ92−2は、入力されるフレームt+1上の画素の画素値と、補間制御部91から供給される空間シフト量に基づいて、内挿フレームの画素に対応する、フレームt+1上の画素値を求め、求めた画素値を乗算器93−2に出力する。
なお、内挿フレームの画素の位置が、フレームtまたはフレームt+1上の画素の位置と一致しない場合(すなわち、内挿フレームの画素の位置が、フレームtまたはフレームt+1において画素以下成分である場合)、空間フィルタ92−1および92−2は、フレームtまたはフレームt+1における内挿フレームの画素の位置の周辺4画素の画素値を用いて、周辺4画素の距離の逆比の和を求めることにより、内挿フレームの画素に対応するフレーム上の画素値を求める。すなわち、画素以下位置の画素値は、周辺4画素との距離を基にした線形補間で値が求められる(その詳細は後述する)。
乗算器93−1は、空間フィルタ92−1から入力されるフレームt上の画素値に、補間制御部91により設定された補間重み「1−k」を乗算し、重み付けされた画素値を、加算器94に出力する。乗算器93−2は、空間フィルタ92−2から入力されるフレームt+1上の画素値に、補間制御部91により設定された補間重み「k」を乗算し、重み付けされた画素値を、加算器94に出力する。
加算器94は、乗算器93−1から入力される画素値と、乗算器93−2から入力される画素値を加算することにより、内挿フレームの画素の画素値を生成し、生成された内挿フレームの画素値を、バッファ95に出力する。バッファ95は、入力されたフレームt+1をバッファしている。バッファ95は、生成された内挿フレームを出力し、その次に、予め設定されている60Pフレームの時間位相(時刻)に基づいて、必要に応じて、バッファしているフレームt+1を出力することにより、60P信号の画像を、図示せぬ後段に出力する。
以上のように構成される画像補間部58の画像補間処理の詳細を、図8のフローチャートを参照して説明する。
補間制御部91は、ステップS51において、処理する内挿フレームの時間位相に基づいて、フレームtとフレームt+1の間における内挿フレームの補間重み(例えば、「k」および「1−k」)を求め、求められた補間重みを、乗算器93−1および93−2にそれぞれ設定し、ステップS52に進む。補間制御部91は、ステップS52において、割付ベクトルメモリ55の内挿フレームの画素を選択し、ステップS53に進む。なお、内挿フレーム上の画素は、フレームの左上の画素からラスタスキャン順に選択される。
補間制御部91は、ステップS53において、選択した画素に割り付けられている動きベクトルに基づいて、内挿フレーム上の画素と、2枚のフレームtおよびフレームt+1の画素との位置関係(空間シフト量)をそれぞれ求め、求められた空間シフト量を、それぞれ空間フィルタ92−1および92−2に供給し、ステップS54に進む。具体的には、補間制御部91は、ステップS53において、内挿フレームの画素を基準に、その動きベクトルで対応付けられるフレームt上の位置と、内挿フレームの画素に対応するフレームt上の画素の位置から、それらの空間シフト量を求め、求めた空間シフト量を空間フィルタ92−1に供給する。同様に、補間制御部91は、内挿フレームの画素を基準に、その動きベクトルで対応付けられるフレームt+1上の位置と、内挿フレームの画素に対応するフレームt+1上の画素の位置から、それらの空間シフト量を求め、求めた空間シフト量を空間フィルタ92−2に供給する。
時刻tの画像のフレームtの画素値は、空間フィルタ92−1に入力され、時刻t+1の画像のフレームt+1の画素値は、空間フィルタ92−2に入力されている。ステップS54において、空間フィルタ92−1および92−2は、入力されるフレームtおよびt+1上の画素の画素値と、補間制御部91から供給される空間シフト量に基づいて、内挿フレームの画素に対応する、各フレーム上の画素値を求め、求めた画素値を乗算器93−1および93−2にそれぞれ出力し、ステップS55に進む。
乗算器93−1および93−2は、ステップS55において、空間フィルタ92−1または92−2から入力される各フレーム上の画素値に、補間制御部91により設定された補間重みを重み付けし、重み付けされた画素値を、加算器94に出力し、ステップS56に進む。すなわち、乗算器93−1は、空間フィルタ92−1から入力されるフレームt上の画素値に、補間制御部91により設定された補間重み「1−k」を乗算し、重み付けされた画素値を、加算器94に出力する。乗算器93−2は、空間フィルタ92−2から入力されるフレームt+1上の画素値に、補間制御部91により設定された補間重み「k」を乗算し、重み付けされた画素値を、加算器94に出力する。
加算器94は、ステップS56において、乗算器93−1により重み付けされた画素値と、乗算器93−2により重み付けされた画素値を加算することにより、内挿フレームの画素の画素値を生成し、生成された画素値を、バッファ95に出力し、ステップS57に進む。補間制御部91は、ステップS57において、内挿フレーム上のすべての画素についての処理が終了したか否かを判断し、内挿フレーム上のすべての画素についての処理が終了していないと判断した場合、ステップS52に戻り、それ以降の処理を繰り返す。補間制御部91は、ステップS57において、内挿フレーム上のすべての画素についての処理が終了したと判断した場合、画像補間処理を終了する。
以上のように、内挿フレームに割り付けられた動きベクトルに基づいて、内挿フレームの画素値が生成され、上述した図6のステップS6において、バッファ95により、内挿フレームが出力され、その次に、必要に応じて、フレームt+1が出力されることにより、60P信号の画像が、後段に出力される。したがって、内挿フレームの画素に、最も確からしい動きベクトルが割り付くので、精度のよい内挿フレームを生成することができる。
次に、ベクトル検出部52の構成の詳細について説明する。
図9は、ベクトル検出部52の構成を示すブロック図である。図9に構成を示すベクトル検出部52は、入力される時刻tの画像のフレームtと、時刻t+1の画像のフレームt+1を用いて、フレームt上の動きベクトルを検出する。この動きベクトルを検出する処理は、複数の画素からなる所定のブロック毎に実行される。
初期ベクトル選択部101は、所定のブロック毎に、過去の動きベクトルの検出結果から求められる信頼度が高い動きベクトルを、勾配法に用いられる初期値となる初期ベクトルV0として、反復勾配法演算部103に出力する。具体的には、初期ベクトル選択部101は、検出ベクトルメモリ53に記憶される過去に求められた周辺のブロックの動きベクトルや、シフト初期ベクトルメモリ107に記憶されるシフト初期ベクトルを、初期ベクトルの候補ベクトルとして選択する。そして、初期ベクトル選択部101は、フレームtとフレームt+1を用いて、候補ベクトルの評価値DFDを求め、候補ベクトルの中から、求められた評価値DFDに基づく、最も信頼度が高いものを選択し、初期ベクトルV0として出力する。なお、初期ベクトル選択部101の構成の詳細は、後述する。
プリフィルタ102−1および102−2は、ローパスフィルタやガウシアンフィルタにより構成され、それぞれ、入力される画像のフレームtおよびフレームt+1のノイズ成分を除去し、反復勾配法演算部103に出力する。
反復勾配法演算部103は、初期ベクトル選択部101から入力された初期ベクトルV0と、プリフィルタ102−1および102−2を介して入力されるフレームtおよびフレームt+1を用いて、所定のブロック毎に、勾配法により、動きベクトルVnを算出する。反復勾配法演算部103は、初期ベクトルV0と、算出された動きベクトルVnをベクトル評価部104に出力する。また、反復勾配法演算部103は、ベクトル評価部104による動きベクトルの評価結果に基づいて、勾配法の演算を繰り返し行い、動きベクトルVnを算出する。なお、反復勾配法演算部103の構成の詳細は、後述する。
ベクトル評価部104は、反復勾配法演算部103からの動きベクトルVn−1(または初期ベクトルV0)と、動きベクトルVnの評価値DFDを求め、求められた評価値DFDに基づいて、反復勾配法演算部103を制御し、勾配法の演算を繰り返し実行させ、最終的に、評価値DFDに基づく、信頼性の高いものを選択し、動きベクトルVとして、検出ベクトルメモリ53に記憶する。このとき、ベクトル評価部104は、動きベクトルVとともに、その動きベクトルVに対して求められた評価値DFDを、シフト初期ベクトル割付部105に供給する。
シフト初期ベクトル割付部105は、ベクトル評価部104より動きベクトルVおよびその評価値DFDが供給されると、次のフレーム上の着目ブロックを通過する動きベクトルを、その着目ブロックにシフトさせた、シフト初期ベクトルとして設定する。換言すると、シフト初期ベクトル割付部105は、動きベクトルVの終点のブロックと同じ位置の次のフレーム上の着目ブロックを始点とした、動きベクトルVと同じ大きさで同じ向きの動きベクトルを、シフト初期ベクトルとして設定する。そして、シフト初期ベクトル割付部105は、設定したシフト初期ベクトルを、着目ブロックに対応させて、シフト初期ベクトルメモリ107に割り付ける。
具体的には、シフト初期ベクトル割付部105は、シフト初期ベクトルとして割り付けられた動きベクトルVの評価値DFDを、着目ブロックに対応させて、評価値メモリ106に記憶させておき、同じ着目ブロックを通過する(すなわち、着目ブロックと同じ位置の過去のフレームのブロックを終点とする)他の動きベクトルVの評価値DFDと比較する。そして、シフト初期ベクトル割付部105は、評価値DFDに基づく、信頼度が高いとされた動きベクトルVを、着目ブロックにシフトさせ、着目ブロックのシフト初期ベクトルとして、シフト初期ベクトルメモリ107に割り付ける。なお、シフト初期ベクトル割付部105の構成の詳細は、後述する。
次に、ベクトル検出部52において用いられる勾配法の原理について説明する。まず、動画像中において、水平、垂直、時間軸を用いた座標(x,y,t)で表される画素の輝度値をg(x,y,t)とする。ここで、着目画素(x0,y0,t0)が、微小時間中に、(dx,dy,dt)だけ変位したとき、水平、垂直、時間軸の勾配(差分差)を、それぞれgx(x0,y0,t0),gy(x0,y0,t0),gt(x0,y0,t0)と表すと、変位後の画素の輝度値は、Taylor展開近似を用いて、次の式(2)で表される。
g(x0+dx,y0+dy,t0+dt)
≒ g(x0,y0,t0)+gx(x0,y0,t0)dx
+ gy(x0,y0,t0)dy+gt(x0,y0,t0)dt
・・・(2)
ここで、動画像中のある着目画素が1フレーム後に水平vx,垂直vyだけ移動した場合(以降、(vx,vy)と表す)、その画素の輝度値は、次の式(3)で表される。
g(x0+vx,y0+vy,t0+1) = g(x0,y0,t0
・・・(3)
式(2)を式(3)に代入すると、次の式(4)で表される。
gx(x0,y0,t0)vx+gy(x0,y0,t0)vy
+gt(x0,y0,t0) = 0
・・・(4)
式(4)は、vx,vyの2変数の式であるので、着目1画素に対する単独の式では、その解を求めることができない。そこで、次に説明するように、着目画素の周辺領域であるブロックを1つの処理単位として考え、ブロック(周辺領域)内の全画素が同じ動き(vx,vy)をすると仮定し、各画素について同様の式を立てる。仮定が前提となるが、2変数に対して周辺画素の個数の式が得られる。したがって、それらの式を連立させ、ブロック内全画素の動き補償フレーム差分の自乗和が最小になるような(vx,vy)を求める。
画素(x,y,t)が1フレーム間に(vx,vy)だけ移動したとき、その動き補償フレーム間差分dは、次の式(5)で表される。
d = g(x+vx,y+vy,t+1)−g(x,y,t)
= Δxvx+Δyvy+Δt
・・・(5)
式(5)において、Δx=gx(x,y,t)であり、水平方向の勾配を表し、Δy=gy(x,y,t)であり、垂直方向の勾配を表し、Δt=gt(x,y,t)であり、時間方向の勾配を表す。これらを用いて、動き補償フレーム間差分の自乗和をEとすると、式(6)で表される。
E = Σd2
= Σ(Δx2vx2+Δy2vy2+2ΔxΔyvxvy
+2ΔxΔtvx+2ΔyΔtvy+Δt2
=vx2ΣΔx2+vy2ΣΔy2+2vxvyΣΔxΔy
+2vxΣΔxΔt+2vyΣΔyΔt+ΣΔt2
・・・(6)
ここで、Eが最小となる(vx,vy)は、各変数における偏微分値が0になるとき、すなわち、δE/δvx=δE/δvy=0の条件が成立するときなので、式(6)から、次の式(7)および式(8)となる。
vxΣΔx2+vyΣΔxΔy+ΣΔxΔt = 0
・・・(7)
vyΣΔy2+vxΣΔxΔy+ΣΔyΔt = 0
・・・(8)
これらの式(7)および式(8)から、求めたい動きである(vx,vy)は、次の式(9)を演算することにより求めることができる。
Figure 0004687994

・・・(9)
ここで、図10を参照して、具体的に説明する。図10の例において、矢印Xは、水平方向を示しており、矢印Yは、垂直方向を示している。また、矢印Tは、図中、右奥の時刻tのフレームtから、左手前の時刻t+1のフレームt+1への時間の経過方向を示している。なお、図10の例においては、各フレームは、着目画素pの周辺領域(ブロック)として、勾配法演算に用いられる8画素×8画素の領域のみ示されている。
フレームtにおいて、左上の画素から下に5番目、右に5番目の画素である着目画素pの動きベクトルV(vx,vy)を、上述した勾配法を用いて求める場合、動きベクトルV(vx,vy)は、着目画素pのx,y方向のそれぞれについて求められる隣接画素pxおよびpyとの輝度の差分差(すなわち、勾配)ΔxおよびΔy、フレームt+1において求められる着目画素pの同位相に位置する画素qとの時間方向の輝度の差分差(勾配)Δtを、着目画素pの周辺領域(8画素×8画素)のすべての画素について求め、それらの差分差を、式(9)を用いて演算することにより、求めることができる。
すなわち、勾配法とは、2フレーム間において、勾配Δx,Δy,およびΔtを求め、求められたΔx,Δy,およびΔtから、差分自乗和を用いて、統計的に、動きベクトルV(vx,vy)を算出するものである。
一般的に、このような勾配法を用いた動きベクトル検出方法においては、微小動きに対して精度の高い結果が得られる。しかしながら、実際の動画像の中で動きを求めようとするとする場合、この勾配法は、その動き量が大きすぎるため実用的とはいえない。これに対応して、この勾配法を複数回反復する方法が考えられる。勾配法を反復して実行することにより、各演算で求められる動き量が収束するため、徐々に正しい動きが求められる。
しかしながら、ただ、勾配法を反復するだけでは、リアルタイム処理を行おうとした場合、演算時間の面から実用的ではない。そこで、ベクトル検出部52においては、過去フレームと現在フレームでの周辺画素の動きに基づいて求められる初期ベクトルを、初期値として用いることで、勾配法の繰り返し回数を軽減している。すなわち、動きの起点となる着目画素から、初期ベクトルが指す先へオフセットを予め加えることで大まかな動きを算出し、オフセットが加えられたその位置から勾配法を用いた演算を行うようにすれば、画素以下動きを含めた微調整を行うことができる。これにより、演算時間を増大させることなく、精度のよい動きベクトルを検出することができる。
図11は、初期ベクトルを用いて実行される反復勾配法について具体的に説明する図である。図11の例においては、矢印Tは、図中、左手前の時刻tのフレームtから、右奥の時刻t+1のフレームt+1への時間の経過を示している。なお、各画素p,q0,q1,q2,およびq3を中心としたブロックは、その画素の、勾配法演算に用いられる周辺領域(ブロック)を表している。
図11の例の場合、フレームtにおける着目画素pに対して、フレームt+1においては、着目画素pの同位相に位置する画素q0ではなく、予め求めておいた初期ベクトルv0をオフセット(移動)して計算した位置(画素)q1を開始点として1回目の勾配法演算が行われ、その結果、動きベクトルv1が得られる。
次に、画素q0からv0+v1をオフセットして計算した位置(画素)q2を開始点として、2回目の勾配法演算が行われ、その結果、動きベクトルv2が得られる。これにより、最終的に動きベクトルVは、式(10)として求められる。
V = v0+v1+v2
・・・(10)
以上のようにして、初期ベクトルを用いて、反復勾配法の演算を実行することにより、演算時間を短縮させつつ、精度の高い動きベクトルを求めることができる。
次に、図12のフローチャートを参照して、動きベクトル検出処理の詳細について説明する。ベクトル検出部52には、入力される時刻tの画像のフレームtと、時刻t+1の画像のフレームt+1が入力される。
初期ベクトル選択部101は、ステップS101において、フレームt上の処理の対象となるブロックを、着目ブロックとして選択し、ステップS102に進む。なお、フレーム上においては、左上のブロックからラスタスキャン順に処理が実行される。
ステップS102において、初期ベクトル選択部101は、初期ベクトル選択処理を実行する。初期ベクトル選択部101は、ステップS101において、所定のブロック毎に、過去の動きベクトルの検出結果から、信頼度が高い動きベクトルを選択し、選択した動きベクトルを、勾配法に用いられる初期値となる初期ベクトルV0として、反復勾配法演算部103に出力し、ステップS103に進む。
すなわち、初期ベクトル選択部101は、過去の勾配法演算評価処理(後述するステップS103)において求められ、検出ベクトルメモリ53に記憶された周辺ブロックの動きベクトルや、過去のシフト初期ベクトル割付処理(後述するステップS104)においてシフト初期ベクトルメモリ107に記憶されたシフト初期ベクトルを、初期ベクトルの候補ベクトルとして選択する。そして、初期ベクトル選択部101は、フレームtとフレームt+1を用いて、候補ベクトルの評価値DFDを求め、候補ベクトルの中から、求められた評価値DFDに基づいた信頼度が高いものを選択し、選択された候補ベクトルを、初期ベクトルV0として出力する。なお、ステップS102における、初期ベクトル選択処理の詳細は、後述する。
ステップS103において、反復勾配法演算部103およびベクトル評価部104は、反復勾配法演算評価処理(なお、反復勾配法演算処理とも称する)を実行し、ステップS104に進む。具体的には、ステップS103において、反復勾配法演算部103は、初期ベクトル選択部101から入力された初期ベクトルV0と、プリフィルタ102−1および102−2を介して入力されるフレームtおよびフレームt+1を用いて、ベクトル評価部104による動きベクトルの評価結果に基づいて、勾配法の演算を繰り返し行い、動きベクトルVnを算出する。また、ベクトル評価部104は、反復勾配法演算部103からの動きベクトルVn−1と、動きベクトルVnの評価値DFDを求め、求められた評価値DFDに基づく、最も信頼性の高いものを選択し、動きベクトルVとして、検出ベクトルメモリ53に記憶する。このとき、ベクトル評価部104は、動きベクトルVとともに、その動きベクトルVに対して求めた評価値DFDを、シフト初期ベクトル割付部105に供給する。なお、ステップS103における、反復勾配法演算処理の詳細は、後述する。
ステップS104において、シフト初期ベクトル割付部105は、シフト初期ベクトル割付処理を実行し、ステップS105に進む。シフト初期ベクトル割付部105は、ベクトル評価部104より動きベクトルVおよびその評価値DFDが供給されると、ステップS104において、次のフレーム上の着目ブロックを通過する動きベクトルを、その着目ブロックにシフトさせた、シフト初期ベクトルとして設定する。すなわち、換言すると、動きベクトルVの終点のブロックと同じ位置の次のフレーム上の着目ブロックを始点とした、動きベクトルVと同じ大きさで同じ向きの動きベクトルが、シフト初期ベクトルとして設定される。そして、シフト初期ベクトル割付部105は、設定したシフト初期ベクトルを、着目ブロックに対応させて、シフト初期ベクトルメモリ107に割り付ける。
なお、具体的には、シフト初期ベクトル割付部105は、シフト初期ベクトルとして割り付けられた動きベクトルVの評価値DFDを、着目ブロックに対応させて、評価値メモリ106に記憶させておき、同じ着目ブロックを通過する(すなわち、着目ブロックと同じ位置の過去のフレームのブロックを終点とする)他の動きベクトルVの評価値DFDと比較し、評価値DFDに基づく、信頼度が高いとされた動きベクトルVを、そのブロックにシフトさせてシフト初期ベクトルと設定し、シフトさせたブロックに対応させて、シフト初期ベクトルメモリ107に割り付ける。なお、シフト初期ベクトル割付部105の構成の詳細は、後述する。
ステップS105において、初期ベクトル選択部101は、フレームtにおいて、すべてのブロックの処理が終了したか否かを判断し、すべてのブロックの処理が終了していないと判断した場合、ステップS101に戻り、それ以降の処理を繰り返す。また、ステップS105において、初期ベクトル選択部101は、フレームtにおいて、すべてのブロックの処理が終了したと判断した場合、すなわち、フレームt上のすべてのブロックにおいて、動きベクトルVが検出されたと判断し、動きベクトル検出処理を終了する。
以上のように、過去に検出された動きベクトルから初期ベクトルが選択され、選択された初期ベクトルに基づいて、反復勾配法の演算が用いられて、繰り返し動きベクトルが算出され、算出された動きベクトルの中から、評価値DFDに基づく、信頼度が高い(すなわち、最も確からしい)動きベクトルが検出される。この結果、検出ベクトルメモリ53に、フレームt上のすべてのブロックに対応する動きベクトルVが記憶される。
次に、シフト初期ベクトル割付部105の構成の詳細について説明する。
図13は、シフト初期ベクトル割付部105の構成を示すブロック図である。図13に構成を示すシフト初期ベクトル割付部105は、前(過去)フレームにおいて、ベクトル評価部104より検出された動きベクトルVに基づいて、初期ベクトルの候補ベクトルとなるシフト初期ベクトルを設定し、シフト初期ベクトルメモリ107に割り付ける処理を行う。シフト初期ベクトル割付部105には、ベクトル評価部104より検出された動きベクトルV、および、その動きベクトルVの評価値DFDが入力される。
割付対象位置演算部201は、ベクトル評価部104より検出された動きベクトルVが、次の時刻のフレーム上において通過するブロックの位置(すなわち、現在のフレーム上において検出された動きベクトルVの終点のブロックと同じ位置にある次のフレーム上のブロックの位置)を演算し、演算されたブロックの位置を、評価値メモリ106およびシフト初期ベクトル置換部203に供給する。
評価値比較部202は、動きベクトルV、および、その動きベクトルVの評価値DFDが入力されると、割付対象位置演算部201からのブロックの位置の評価値DFDを、評価値メモリ106から読み出す。そして、評価値比較部202は、評価値メモリ106から読み出された評価値DFDと、ベクトル評価部104により検出された動きベクトルVの評価値DFDとを比較判断し、検出された動きベクトルVの評価値DFDの方が小さい(すなわち、信頼度が高い)と判断した場合、シフト初期ベクトル置換部203を制御し、シフト初期ベクトルメモリ107の、シフト初期ベクトル割付部105により供給されたブロックの位置のシフト初期ベクトルを、評価値DFDに基づく、信頼度が高いと判断した動きベクトルVで書き換えさせる。また、それと同時に、評価値比較部202は、評価値置換部204を制御し、評価値メモリ106において、割付対象位置演算部201により選択されたブロックの位置の評価値DFDを、動きベクトルVの評価値DFDで書き換えさせる。
シフト初期ベクトル置換部203は、シフト初期ベクトルメモリ107の、割付対象位置演算部201により供給されたブロックの位置のシフト初期ベクトルを、評価値比較部202から供給される動きベクトルV(すなわち、動きベクトルVと同じ大きさで同じ向きの動きベクトル)で書き換える。評価値置換部204は、評価値比較部202の制御のもと、評価値メモリ106において、割付対象位置演算部201により選択されたブロックの位置の評価値DFDを、動きベクトルVの評価値DFDで書き換える。
評価値メモリ106は、次のフレーム上における、各ブロックに割り当てられるシフト初期ベクトル候補の評価値DFDをブロック毎に記憶する。シフト初期ベクトルメモリ107は、次のフレームにおける各ブロックにおいて最も評価値DFDが小さい(すなわち、最も信頼度がある)動きベクトルを、シフト初期ベクトルとして、そのブロックに対応させて記憶する。
図14は、シフト初期ベクトル割付部105により割り付けられるシフト初期ベクトルを1次元的に説明する図である。図14の例においては、上から順に、時刻T=t−1のフレームt−1、時刻T=tのフレームt、および、時刻T=t+1のフレームt+1が示されており、各フレーム上の仕切りは、各フレームにおけるブロックの境界を示している。
図14の例の場合、フレームt−1上のブロックBにおいて検出される動きベクトルを、動きベクトルV(図中、実線矢印)とし、ブロックBを始点とする動きベクトルVによるフレームt上の動き補償先(以下、オフセット先とも称する)を、ブロックBtとする。また、フレームt−1上の動きベクトルVをフレームt上のブロックBtにシフトした動きベクトルを、シフト初期ベクトルSV(図中、点線矢印)とする。なお、この場合、オフセット先とは、フレームt−1上において検出された動きベクトルVの終点のブロックと同じ位置にあるフレームt上のブロックBtのことを表しており、シフトとは、フレームt−1上において検出された動きベクトルVと同じ大きさで同じ向きの動きベクトルの始点を、フレームt−1上の動きベクトルVの終点のブロックと同じ位置にあるフレームt上のブロックBtとすることをいう。すなわち、シフト初期ベクトルSVは、フレームt−1上において検出された動きベクトルVの終点のブロックと同じ位置にあるフレームt上のブロックBtを始点とした、動きベクトルVと同じ大きさで同じ向きの動きベクトルのことである。
一般的に、連続するフレーム間では、動物体の動き量にある程度の連続性があり、その動き量の変化が小さいとされるので、図14の例においては、ブロックB上の物体が等速かそれに近い動きをする場合、ブロックBtにおける動きベクトルも、動きベクトルVかそれに近い動きのベクトルになることが多い。
したがって、このシフト初期ベクトルSVを、フレームt上の着目ブロックBtの動きベクトルを検出する場合に、勾配法演算に与える初期ベクトルの候補として用いることにより、周辺ブロックの動きベクトルだけを初期ベクトルの候補として用いる場合よりも、勾配法演算による動きベクトル検出に、より適切な初期ベクトルを得ることができる。
以上のことを、図15および図16を参照して、具体的に説明する。なお、図15および図16においては、各フレーム上には、9つのブロックが示されている。
図15は、大きな動きの物体が通過しているブロックと、その周辺ブロックの動きベクトルの例を表している。図15の例の場合、1ブロックからなる、ある物体O1の画像オブジェクトは、大きな動きの動きベクトルV1で、フレームt−1上の最右端(左から9番目)のブロックから、フレームt上の左から5番目のブロックを経由して、フレームt+1上の最左端のブロックへ移動している。一方、4ブロックからなる物体O2の画像オブジェクトは、動きベクトルV1よりも小さな動きの動きベクトルV2で、フレームt−1上の左から3乃至6番目の4ブロックから、フレームt上の左から4乃至7番目の4ブロックを経由して、フレームt+1上の左から5乃至8番目の4ブロックへ移動している。すなわち、フレームt上の左から5番目のブロックにおいて、物体O1の画像オブジェクトと物体O2の画像オブジェクトは、物体O1の画像オブジェクトを手前にして交差している。
このとき、フレームt上において、物体O1の画像オブジェクトが動きベクトルV1で通過する、左から5番目のブロックの動きベクトルを検出するために、周辺ブロックの動きから初期ベクトルを抽出しようとしても、周辺ブロック(左から4または6番目のブロック)に、物体O2の画像オブジェクトが、物体O1の画像オブジェクトとは異なる動きベクトルV2で通過しているため、適切な動きベクトルは、存在しない。一方、シフト初期ベクトルSV1(図中、点線矢印)は、このような場合であっても、過去のフレームT−1上で検出された動きベクトルV1を、そのフレームt上の左から5番目のブロックにシフトした動きベクトル(すなわち、フレームt−1上において検出された動きベクトルV1の終点のブロックと同じ位置にあるフレームt上のブロックを始点とした、動きベクトルV1と同じ大きさで同じ向きの動きベクトル)であるので、確実に取得することができる。
図16は、動物体の境界のブロックと、その周辺ブロックの動きベクトルの例を表している。図16の例の場合、1ブロックからなる、ある物体O3の画像オブジェクトは、動きベクトルV3で、フレームt−1上の左から6番目のブロックから、フレームt上の左から5番目のブロックを経由して、フレームt+1上の左から4番目のブロックへ移動している。一方、9ブロック以上からなる物体O4の画像オブジェクトは、動きベクトルV1とは異なる動きベクトルV4で、フレームt−1上の全9ブロックから、フレームt上の左から2乃至9番目の8ブロックを経由して、フレームt+1上の左から3乃至9番目の7ブロックへ移動している。すなわち、物体O3の画像オブジェクトは、フレームt−1の左から6番目のブロック、フレームt上の左から5番目のブロック、およびフレームt+1左から4番目のブロックにおいて、物体O4の画像オブジェクトの手前を通過している。
このとき、フレームt上において、物体O3の画像オブジェクトが動きベクトルV3で通過する、左から5番目のブロックの動きベクトルを検出するために、周辺ブロックの動きから初期ベクトルを抽出しようとしても、周辺ブロック(左から4または6番目のブロック)に、物体O4の画像オブジェクトが、物体O3の画像オブジェクトとは異なる動きベクトルV4で通過しているため、適切な動きベクトルは、存在しない。しかしながら、この場合においても、図15の場合と同様に、シフト初期ベクトルSV3(図中、点線矢印)は、過去のフレームT−1上で検出された動きベクトルV3を、そのフレームt上の右から5番目のブロックにシフトしたベクトル(すなわち、フレームt−1上において検出された動きベクトルV3の終点のブロックと同じ位置にあるフレームt上のブロックを始点とした、動きベクトルV3と同じ大きさで同じ向きの動きベクトル)であるので、確実に取得することができる。
以上のように、図15に示されるような大きな動きを持つ物体や、図16に示されるように動いている物体の境界においては、動きベクトルを検出しようとする着目ブロックの初期ベクトルの候補となる周辺ブロックに、着目ブロックの初期ベクトルとして最適な動きベクトルが存在しない場合が多く存在する。これに対して、シフト初期ベクトルは、過去のフレームt−1上において検出された動きベクトルの終点のブロックと同じ位置にあるフレームt上のブロックを始点とした、動きベクトルと同じ大きさで同じ向きの動きベクトルであるので、ブロック間の空間距離に依存しないため、周辺ブロックに、着目ブロックの初期ベクトルとして適切な動きベクトルが存在しない場合にも、確実に取得することができ、初期ベクトルの最適な候補として用いることができる。
ここで、一旦、図14に戻り、シフト初期ベクトルの決定方法について説明する。図14の例において、動きベクトル検出処理を行うフレームt上の着目ブロックBtを基準として、フレームt−1から、着目ブロックBtを通過する動きベクトル(すなわち、フレームt上のブロックBtと同じ位置にあるフレームt−1のブロックを終点とする動きベクトル)を探索しようとすると、フレームt−1上の全ブロックの動きベクトルを検索しなければならず、処理が膨大になってしまう。したがって、この場合、動きベクトル検出時に、膨大な処理分の演算量をこなさなければならず、その実現(ハードウェア化)が困難であった。
そこで、シフト初期ベクトル割付部105は、フレームt−1における動きベクトル検出の際に、着目ブロックBtにおいて検出された動きベクトルVが、次の時刻のフレームt上で通過するブロックの位置(すなわち、動きベクトルVの終点のブロックと同じ位置のフレームt上のブロック)を求め、その動きベクトルVを、ブロックBtに対するシフト初期ベクトルSVとして、予め割り付けておく。これにより、フレームt上での動きベクトル検出の際に必要となるシフト初期ベクトルを探索する演算量を削減することができ、ハードウェア化が実現できるようになり、現実的に、シフト初期ベクトルを、初期ベクトルの候補として用いることが可能になる。
図17を参照して、シフト初期ベクトル割付部105によるシフト初期ベクトルの決定方法を具体的に説明する。図17の例においては、矢印Tは、図中、左手前の時刻t−1のフレームt−1から、右奥の時刻tのフレームtへの時間の経過を示している。また、各フレーム上の丸は、画素を表している。
フレームt−1上において、ブロックB0は、4×4画素により構成される。ブロックB0において検出された動きベクトルVbとすると、ブロックB0をフレームt上にオフセット(動き補償)したオフセット先(ブロックB0の動きベクトルVbの終点のブロックと同じ位置のフレームt上のブロック)A0は、一般的には、フレームt上の4×4画素により構成される4つのブロックBt1乃至Bt4と重なりを持つ。したがって、図17の例の場合においては、このオフセット先A0と重なりを持つ4つのブロックBt1乃至Bt4のすべてが、動きベクトルVbを、シフト初期ベクトルとして割り付ける対象ブロックとされる。
以上のようにして前のフレームにおいて検出された動きベクトルを、シフト初期ベクトルとして割り付ける。この場合、割り付けられる対象となるブロックの位置は、動きベクトルの大きさと向きによる。このため、フレームt−1上で検出される動きベクトルの分布によっては、図18に示されるように、フレームt上において、複数のシフト初期ベクトルが割り付ける対象となり競合するブロックや、逆に、シフト初期ベクトルの割り付けが起こらないブロックが発生してしまう。
図18は、シフト初期ベクトルの割り付けの例を示している。図18の例において、各フレームの仕切りは、ブロックの境界を示しており、フレームt−1上には、図中左から、ブロックB1乃至B5により構成され、フレームt上には、図中左から、ブロックBt1乃至Bt5が示されている。
ブロックB1においては、動きベクトルV1が検出され、ブロックB1のオフセット先A1は、フレームt上のブロックBt1およびBt2と重なりを持つ。ブロックB2においては、動きベクトルV2が検出され、ブロックB2のオフセット先A2は、フレームt上のブロックBt1およびBt2と重なりを持つ。ブロックB3おいては、動きベクトルV3が検出され、ブロックB3のオフセット先A3は、フレームt上のブロックBt4およびBt5と重なりを持つ。ブロックB4においては、動きベクトルV4が検出され、ブロックB4のオフセット先A4は、フレームt上のブロックBt4およびBt5と重なりを持つ。ブロックB5においては、動きベクトルV5が検出され、ブロックB5のオフセット先A5は、フレームt上のブロックBt5および図示せぬ隣接ブロックと重なりを持つ。
すなわち、図18の例においては、フレームt上のブロックBt1およびBt2には、動きベクトルV1またはV2のどちらか一方がシフト初期ベクトルとして割り付けられる。また、フレームt上のブロックBt4には、動きベクトルV3およびV4のどちらか一方がシフト初期ベクトルとして割り付けられ、フレームt上のブロックBt5には、動きベクトルV3、V4、およびV5のうちのいずれかがシフト初期ベクトルとして割り付けられる。しかしながら、フレームt上のブロックBt3には、シフト初期ベクトルの候補となる動きベクトルが存在せず、シフト初期ベクトルは割り付けられない。
したがって、シフト初期ベクトル割付部105は、ブロックBt3のように、シフト初期ベクトルの割り付けが起こらないブロックに対して、0ベクトルをシフト初期ベクトルとして割り付ける。一方、シフト初期ベクトル割付部105は、ブロックBt1,Bt2,Bt4,およびBt5のように、複数の動きクトルが競合するブロックに対して、上述した評価値DFDに基づく、信頼度が高い動きベクトルを選択し、選択した動きベクトルを、シフト初期ベクトルとしてそれぞれのブロックに割り付ける。
なお、図18の例においては、説明の便宜上、オフセット先Aは、フレームt上から少しずらして示されている。
図19は、競合する動きベクトルの例を示す図である。図19の例においては、フレームt−1上のブロックB1およびB2から、それぞれにおいて検出された動きベクトルV1およびV2が、フレームt上のブロックBtを通過している。すなわち、ブロックBtは、動きベクトルV1のフレームt−1上の終点と同じ位置のフレームt上のブロックであり、動きベクトルV2のフレームt−1上の終点と同じ位置のフレームt上のブロックである。このように、複数の動きベクトルが同じブロックに対して競合する場合には、動きベクトルV1に対する評価値DFD1と、動きベクトルV2に対する評価値DFD2の値が比較され、評価値DFDが小さい方(すなわち、信頼度が高い方)がブロックBtに対応するシフト初期ベクトルSV2として選択される。これにより、評価値DFDに基づく、信頼度の高いシフト初期ベクトルを得ることができる。
次に、図20のフローチャートを参照して、シフト初期ベクトル割り付け処理の詳細について説明する。前段において、ベクトル評価部104は、フレームt−1上の着目ブロックの動きベクトルVを検出すると、検出された動きベクトルVとともに、その動きベクトルVに対して求めた評価値DFDを、シフト初期ベクトル割付部105に供給する。
ステップS201において、評価値比較部202は、ベクトル評価部104から、動きベクトルVとともに、その動きベクトルVの評価値DFDを入力する。また、このとき、割付対象位置演算部201も、動きベクトルVを入力し、ステップS202に進む。割付対象位置演算部201は、動きベクトルVのフレームtにおけるオフセット(動き補償)先の割付対象ブロックの位置を求める。すなわち、割付対象位置演算部201は、フレームt−1上において検出された動きベクトルVの終点のブロックと同じ位置にあるフレームt上のブロックの位置を求め、ステップS203に進む。割付対象位置演算部201は、ステップS203において、求められた割付対象ブロックのうち、1つの割付対象ブロックを選択し、選択した割り付け対象ブロックの位置を、評価値メモリ106およびシフト初期ベクトル置換部203に供給し、ステップS204に進む。なお、ステップS203においては、割付対象ブロックのうち、フレームt上において左上のブロックから順に選択される。
ステップS204において、評価値比較部202は、評価値メモリ106から、割付対象位置演算部201により選択された割付対象ブロックの評価値DFDを取得し、ステップS205に進み、ステップS201において入力された動きベクトルVの評価値DFDが、評価値メモリ106の評価値DFDよりも小さいか否か(すなわち、動きベクトルVの評価値DFDが、評価値メモリ106の評価値DFDよりも信頼度が高いか否か)を判断し、動きベクトルVの評価値DFDが、評価値メモリ106の評価値DFDよりも小さいと判断された場合、ステップS206に進む。
評価値比較部202は、ステップS206において、シフト初期ベクトル置換部203を制御し、割付対象位置演算部201により選択されたシフト初期ベクトルメモリ107の割付対象ブロックのシフト初期ベクトルを、動きベクトルV(すなわち、動きベクトルVと同じ大きさで同じ向きの動きベクトル)に書き換えさせ、ステップS207に進み、評価値置換部204を制御し、割付対象位置演算部201により選択された割付対象ブロックの評価値DFDを、動きベクトルVの評価値DFDで書き換えさせ、ステップS208に進む。
また、評価値比較部202は、ステップS205において、ステップS201において入力された動きベクトルVの評価値DFDが、評価値メモリ106に記憶される評価値DFDよりも小さくないと判断した場合、ステップS206およびS207の処理をスキップし、ステップS208に進む。すなわち、この場合、評価値メモリ106の評価値DFDが、動きベクトルVの評価値DFDよりも信頼度が高いと判断されるので、評価値メモリ106およびシフト初期ベクトルメモリ107の値は、書き換えられることはない。
割付対象位置演算部201は、ステップS208において、動きベクトルVの割り付け対象ブロックすべての処理が終了したか否かを判断し、割り付け対象ブロックすべての処理が終了していないと判断した場合、ステップS203に戻り、それ以降の処理を繰り返す。また、割付対象位置演算部201は、ステップS208において、動きベクトルVの割り付け対象ブロックすべての処理が終了したと判断した場合、シフト初期ベクトル割付処理を終了する。
なお、初回の処理においては、選択された割付対象ブロックに対応するシフト初期ベクトルが、シフト初期ベクトルメモリ107にまだ記憶されていない。したがって、そのシフト初期ベクトルの評価値DFDが、評価値メモリ106の対応する割付対象ブロックに、まだ記憶されていない場合には、ステップS204において、選択された割付対象ブロックから評価値DFDは、取得されないので、ステップS205においてはYesと判断されることとし、ステップS206およびS207の処理が実行される。
以上のように、着目ブロックの動きベクトルの検出を処理する際に、連続するフレーム間において動物体の動き量にはある程度の連続性があり、動き量の変化が小さいことに基づいて、前の時刻(過去)のフレームから、次の時刻のフレームの着目ブロックを通過する動きベクトル(すなわち、過去のフレーム上において検出された動きベクトルVの終点のブロックと同じ位置にある次のフレーム上のブロックを始点とした、動きベクトルVと同じ大きさで同じ向きの動きベクトル)であるシフト初期ベクトルを、初期ベクトルの候補ベクトルとすることにより、従来のように、周辺ブロックにおいて過去に求められている動きベクトルのみを初期ベクトルの候補ベクトルとする場合よりも、特に、動いている物体の境界においては、勾配法演算の初期値として適切な動きベクトルを与えることができ、これにより、勾配法の演算による動きベクトル検出の精度を向上させることができる。
また、シフト初期ベクトルを求める際に、前の時刻のフレームにおいて検出された動きベクトルが次の時刻のフレームにおいて通過するブロック(すなわち、フレームt−1上において検出された動きベクトルVの終点のブロックと同じ位置にあるフレームt上のブロック)を求め、次の時刻のフレーム上の着目ブロックにおけるシフト初期ベクトルとして割り付けるようにしたので、着目ブロックを通過する動きベクトルを、前の時刻のフレームの全ブロックの動きベクトルから探索する場合よりも、処理の演算量が削減されるため、膨大な演算量により実現が困難であったハードウェア化を実現することができる。
さらに、このフレームtにおけるシフト初期ベクトルの決定に必要な評価値は、フレームtの処理が始まる前に取得されている。したがって、上述した本発明における処理を用いることにより、過去のフレームt−1と現在フレームtの間に発生するシフト初期ベクトルの決定のためのフレームtで必要な評価値を演算するためのすべての処理において、リアルタイム処理を実現することができる。
特に、図19および図20を参照して上述した複数の動きベクトルの競合が生じたとしても、過去のフレームt−1から現在フレームtに検出された動きベクトルから、すでに演算されている評価値に基づいて、シフト初期ベクトルを得るための選択処理が要求されるだけである。すなわち、シフト初期ベクトルの選択処理は、過去のフレームの時刻t−1と現在のフレームの時刻tとの間ですでに演算済みの評価値を基準とするだけであり、演算量が少なくてすむので、リアルタイム処理は実現可能である。
次に、初期ベクトル選択部101の構成の詳細について説明する。
図21は、初期ベクトル選択部101の構成を示すブロック図である。図21に構成を示す初期ベクトル選択部101は、前(過去)フレームにおいて検出された動きベクトルや、シフト初期ベクトルなどの候補ベクトル(以下、初期候補ベクトルとも称する)から、信頼度の高い動きベクトルを、初期ベクトルとして選択する処理を行う。初期ベクトル選択部101には、時刻tの画像のフレームtと、時刻t+1の画像のフレームt+1が入力される。
候補ベクトル位置演算部251は、フレームtが入力されると、フレームt上の処理の対象となる着目ブロックを選択し、着目ブロックの周辺領域から、着目ブロックの初期候補ベクトルを取得する候補ブロックの位置、初期候補ベクトルとなる動きベクトルの種類および優先順位を求め、求められた優先順位の順に、候補ブロックの位置情報および初期候補ベクトルの種類情報を、検出ベクトル取得部252およびシフト初期ベクトル取得部253に供給する。また、候補ベクトル位置演算部251は、候補ブロックの位置情報を、オフセット位置演算部254にも供給する。
なお、信号処理装置1においては、初期候補ベクトルの数は、初期ベクトルの精度と、ハードウェア能力の兼ね合いなどに基づいて所定数に設定されており、さらに、候補ブロックの位置、初期候補ベクトルの種類、および優先順位も、例えば、図23を参照して後述するように、予め設定されている。また、初期候補ベクトルの種類としては、過去フレームにおいて、所定のブロックを通過する動きベクトルを、その所定のブロックにシフトさせた動きベクトル(すなわち、過去フレーム上において検出された動きベクトルの終点のブロックと同じ位置にある次のフレーム上のブロックを始点とした、動きベクトルVと同じ大きさで同じ向きの動きベクトル)であるシフト初期ベクトルSV、過去フレームにおいて検出された動きベクトル(以下、過去ベクトルPVとも称する)、現在のフレームにおいて着目ブロックより手前のブロックにおいて検出された動きベクトル(現在ベクトルCVとも称する)、および0ベクトルがある。
したがって、候補ベクトル位置演算部251は、予め設定された初期候補ベクトルの種類が過去ベクトルまたは現在ベクトルであった場合、候補ブロックの位置情報および初期候補ベクトルの種類情報を、検出ベクトル取得部252に供給し、求めた初期候補ベクトルの種類がシフト初期ベクトルであった場合、候補ブロックの位置情報および初期候補ベクトルの種類情報を、シフト初期ベクトル取得部253に供給し、そのどちらでもなかった場合(例えば、初期候補ベクトルの種類が、0ベクトルである場合)、0ベクトルを設定し、0ベクトルと共に、候補ブロックの位置情報を、オフセット位置演算部254に供給する。
検出ベクトル取得部252は、候補ベクトル位置演算部251により供給された候補ブロックの位置情報および初期候補ベクトルの種類情報に応じた動きベクトルを、検出ベクトルメモリ53より取得し、取得した動きベクトルを、初期候補ベクトルとして、オフセット位置演算部254に出力する。
シフト初期ベクトル取得部253は、候補ベクトル位置演算部251により供給された候補ブロックの位置情報および初期候補ベクトルの種類情報に応じて、候補ブロックの位置情報に対応したシフト初期ベクトルを、シフト初期ベクトルメモリ107から取得し、初期候補ベクトルとしてオフセット位置演算部254に出力する。また、シフト初期ベクトル取得部253は、候補ベクトル位置演算部251により指示されたブロックの位置に、シフト初期ベクトルが割り付けられていない場合、0ベクトルを、オフセット位置演算部254に出力する。なお、シフト初期ベクトルが割り付けられていない場合には、0ベクトルが、シフト初期ベクトルメモリ107に予め記憶されているようにしてもよい。
オフセット位置演算部254は、検出ベクトル取得部252またはシフト初期ベクトル取得部253から初期候補ベクトル(あるいは候補ベクトル位置演算部251からの0ベクトル)を入力すると、候補ベクトル位置演算部251により供給された候補ブロックの位置情報に基づいて、各初期候補ベクトルに対して、フレームtの着目ブロックを、フレームt+1にオフセット(動き補償)させたオフセット先のブロック位置を演算する。そして、オフセット位置演算部254は、初期候補ベクトルとともに、候補ブロックの位置情報、およびオフセット先ブロック位置の情報を、評価値演算部255に出力する。
評価値演算部255は、オフセット位置演算部254より初期候補ベクトルとともに、候補ブロックの位置情報、およびオフセット先ブロック位置の情報を入力すると、フレームtとフレームt+1を用いて、初期候補ベクトルの評価値DFDを求める。そして、評価値演算部255は、初期候補ベクトルとともに、求められた評価値DFDを、評価値比較部256に出力する。
評価値比較部256は、評価値演算部255により入力された評価値DFDと、最適候補格納用レジスタ257に格納されている最適候補ベクトルの評価値DFDを比較し、評価値演算部255により入力された初期候補ベクトルの評価値DFDが、最適候補ベクトルの評価値DFDよりも小さい、すなわち、初期候補ベクトルが最適候補ベクトルよりも信頼度が高いと判断された場合、最適候補格納用レジスタ257の最適候補ベクトルおよびその評価値DFDを、信頼度が高いとされた初期候補ベクトルおよびその評価値DFDで置き換える。そして、最終的に、評価値比較部256は、最適候補格納用レジスタ257を制御し、すべての候補ベクトルの中から、評価値DFDに基づく、信頼度が最も高いと判断された最適候補ベクトルを、初期ベクトルV0として、反復勾配法演算部103に出力させる。
最適候補格納用レジスタ257は、評価値比較部256により評価値DFDが小さい(信頼度が高い)とされた初期候補ベクトルが、最適候補ベクトルとして、その評価値DFDとともに記憶されている。そして、最適候補格納用レジスタ257は、評価値比較部256の制御のもと、最終的に記憶されている最適候補ベクトルを、初期ベクトルV0として、反復勾配法演算部103に出力する。
図22は、初期ベクトルの候補ブロックとなり得る周辺領域を示している。図22の例において、矢印Tは、図中、左手前の時刻t−1の過去(前)フレームt−1から、右奥の時刻tの現在フレームtへの時間の経過方向を示している。なお、図22の例においては、初期ベクトルの候補となり得る周辺領域は、着目のブロックBtを中心とした7ブロック×7ブロックにより構成され、各ブロックは、画素数が4画素×4画素により構成されている。
動きベクトル検出処理は、上述したように、フレームの左上のブロックからラスタスキャン順に実行される。したがって、初期ベクトル選択部101は、現在フレームtの着目ブロックBtの動きベクトル検出処理の際には、その直前のブロックまでの動きベクトル検出の結果を、初期ベクトルの候補とすることができる。
すなわち、着目ブロックBtの周辺領域は、着目ブロックBtよりも手前に処理されるブロックCVB、および着目ブロックBtよりも後に処理されるブロックPVBにより構成されている。したがって、着目ブロックBtの初期ベクトルを求める場合、初期候補ベクトルは、ブロックCVBの現在フレームt上で検出された動きベクトル(現在ベクトルCV)、および、ブロックPVBの過去フレームt−1上で検出された動きベクトル(過去ベクトルPV)の中から選択することができる。なお、このとき、同じ周辺領域のブロックに割り付けられるシフト初期ベクトルも、初期候補ベクトルの候補となりうる。
図23は、候補ベクトル位置演算部251において設定される初期ベクトルの候補ブロックの例を示している。図23の例においては、着目ブロックBtの周辺領域のうち、「英字/数字」のシンボルがそれぞれ示されている8個の所定のブロックが、初期候補ベクトルが取得される候補ブロックとして設定されている。これらの8個の所定のブロックに示されている斜線の前後のシンボルは、「初期候補ベクトルの種類」と「優先順位」をそれぞれ表している。なお、初期候補ベクトルの種類のうち、Pは、過去フレームt−1で検出された過去ベクトルPVを表しており、Cは、現在フレームtで検出された現在ベクトルを表しており、Sは、シフト初期ベクトルSVを表している。
着目ブロックBtの「S/1」は、着目ブロックBtに割り付けられたシフト初期ベクトルSVが初期候補ベクトルとして、優先順位「1」番目に用いられることを表している。着目ブロックBtの左隣のブロックの「C/2」は、現在フレームtにおいて検出されたそのブロックの現在ベクトルCVが初期候補ベクトルとして、優先順位「2」番目に用いられることを表している。着目ブロックBtの右上のブロックの「C/3」は、現在フレームtにおいて検出されたそのブロックの現在ベクトルCVが、優先順位「3」番目に初期候補ベクトルとして用いられることを表している。着目ブロックBtの右下のブロックの「P/4」は、過去フレームt−1において検出されたそのブロックの過去ベクトルPVが、優先順位「4」番目に初期候補ベクトルとして用いられることを表している。
周辺領域7×7の左上隅の右下のブロックの「C/6」は、現在フレームtにおいて検出されたそのブロックの現在ベクトルCVが、優先順位「6」番目に初期候補ベクトルとして用いられることを表している。周辺領域7×7の右上隅の左下のブロックの「C/5」は、現在フレームtにおいて検出されたそのブロックの現在ベクトルCVが、優先順位「5」番目に初期候補ベクトルとして用いられることを表している。周辺領域7×7の左下隅の右上のブロックの「P/7」は、過去フレームt−1において検出されたそのブロックの過去ベクトルPVが、優先順位「7」番目に初期候補ベクトルとして用いられることを表している。周辺領域7×7の右下隅の左上のブロックの「P/8」は、過去フレームt−1において検出されたそのブロックの過去ベクトルPVが、優先順位「8」番目に初期候補ベクトルとして用いられることを表している。
以上のように、図23の例において、初期候補ベクトルは、着目ブロックBtを含む、着目ブロックBtに隣接するブロックのうち、着目ブロックBt、着目ブロックBtの左隣、右上、および右下のブロックとされ、着目ブロックBtに隣接していないブロックのうち、周辺領域7×7の四隅から、それぞれ内側に1つ入った位置のブロックから選択される。
すなわち、図23の例の場合、着目ブロックBtに隣接するブロック(空間的にも時間的にも近いブロック)のほうが少し離れたブロックよりも優先順位が高く、現在フレームtで検出された現在ベクトルのほうが、過去フレームt−1で検出された過去ベクトルよりも優先順位が高く設定されている。なお、これらの初期ベクトルの候補の位置、種類、および優先度は、できるだけ少ない候補数で、確かな初期候補ベクトルを得ることができるように、着目ブロックBtの近傍だけでなく、少し離れた位置のブロックも含め、また、偏りのないようになど、空間的な相関や時間的な相関などに基づいて設定されたものである。したがって、このように、予め設定された所定のブロックの動きベクトルを初期候補ベクトルとして用いることにより、初期候補ベクトル数が多くなってしまい、処理の演算量が膨大になってしまうことが抑制される。
なお、候補ブロックの種類と候補ブロックの位置は、図23の例に限定されるものではなく、他の種類のベクトルや、ブロックの位置を用いてもよい。また、周辺のブロックに、最適なベクトルが存在しない場合を考慮して、そのような場合に劣化を抑制する、0ベクトルを用いてもよい。また、候補ブロックの数も8個より多くても少なくてもよい。
次に、図24のフローチャートを参照して、初期ベクトル選択処理の詳細について説明する。
候補ベクトル位置演算部251は、ステップS251において、選択された着目ブロックの周辺領域から、予め設定されている着目ブロックの初期候補ベクトルを取得する候補ブロックの位置、初期候補ベクトルの種類および優先順位を求め、ステップS252において、求められた優先順位の順に、候補ブロックの初期候補ベクトルの種類が、過去ベクトルまたは現在ベクトルであるか否かを判断する。ステップS252において、候補ベクトル位置演算部251は、候補ブロックの初期候補ベクトルの種類が、過去ベクトルまたは現在ベクトルであると判断した場合、ステップS253に進み、候補ブロックの位置情報および初期候補ベクトルの種類情報を、検出ベクトル取得部252に供給し、検出ベクトル取得部252に、候補ブロックの位置情報および初期候補ベクトルの種類情報に応じた動きベクトル(過去ベクトルPVまたは現在ベクトルCV)を、検出ベクトルメモリ53から取得させ、取得させた動きベクトルを、オフセット位置演算部254に出力させ、ステップS257に進む。
ステップS252において、候補ベクトル位置演算部251は、候補ブロックの初期候補ベクトルの種類が、過去ベクトルまたは現在ベクトルでないと判断した場合、ステップS254に進み、候補ベクトル位置演算部251は、候補ブロックの初期候補ベクトルの種類が、シフト初期ベクトルであるか否かを判断する。ステップS254において、候補ベクトル位置演算部251は、候補ブロックの初期候補ベクトルの種類が、シフト初期ベクトルであると判断した場合、ステップS255に進み、候補ブロックの位置情報および初期候補ベクトルの種類情報を、シフト初期ベクトル取得部253に供給し、シフト初期ベクトル取得部253に、候補ブロックの位置情報に対応したシフト初期ベクトルを、シフト初期ベクトルメモリ107から取得させ、取得させたシフト初期ベクトルを、オフセット位置演算部254に出力させ、ステップS257に進む。
ステップS254において、候補ベクトル位置演算部251は、候補ブロックの初期候補ベクトルの種類が、シフト初期ベクトルではないと判断した場合(すなわち、候補ブロックの初期候補ベクトルの種類が、0ベクトルであると判断した場合)、ステップS256に進み、初期候補ベクトルに0ベクトルを設定し、0ベクトルと共に、候補ブロックの位置情報を、オフセット位置演算部254に供給し、ステップS257に進む。なお、ステップS253およびS255においても、候補ベクトル位置演算部251は、候補ブロックの位置情報を、オフセット位置演算部254に供給している。
オフセット位置演算部254は、ステップS257において、検出ベクトル取得部252またはシフト初期ベクトル取得部253から初期候補ベクトルを入力すると、候補ベクトル位置演算部251により供給された候補ブロックの位置情報に基づいて、各初期候補ベクトルに対して、フレームtの着目ブロックを、フレームt+1にオフセットさせたオフセット先のブロック位置を演算する。そして、オフセット位置演算部254は、初期候補ベクトルとともに、候補ブロックの位置情報、およびオフセット先ブロック位置の情報を、評価値演算部255に出力し、ステップS258に進む。
評価値演算部255は、オフセット位置演算部254より初期候補ベクトルとともに、候補ブロックの位置情報、およびオフセット先ブロック位置の情報を入力すると、ステップS258において、フレームtとフレームt+1を用いて、初期候補ベクトルの評価値DFDを求め、初期候補ベクトルとともに、求められた評価値DFDを、評価値比較部256に出力し、S259に進む。
評価値比較部256は、ステップS259において、評価値演算部255により求められた評価値DFDが、最適候補格納用レジスタ257に格納されている最適候補ベクトルの評価値DFDより小さいか否かを判断し、評価値演算部255により求められた評価値DFDが、最適候補格納用レジスタ257に格納されている最適候補ベクトルの評価値DFDより小さい、すなわち、初期候補ベクトルが最適候補ベクトルよりも信頼度が高いと判断された場合、ステップS260において、最適候補格納用レジスタ257の最適候補ベクトルおよびその評価値DFDを、信頼度が高いとされた初期候補ベクトルおよびその評価値DFDで書き換え、ステップS261に進む。
また、ステップS259において、評価値比較部256は、評価値演算部255により求められた評価値DFDが、最適候補格納用レジスタ257に格納されている最適候補ベクトルの評価値DFDより小さくないと判断した場合、ステップS260の処理をスキップし、ステップS261に進む。
ステップS261において、候補ベクトル位置演算部251は、すべての初期候補ベクトル(図23の例の場合、8ベクトル)の処理が終了したか否かを判断し、すべての初期候補ベクトルの処理が終了していないと判断した場合、ステップS252に戻り、それ以降の処理を繰り返す。
ステップS261において、すべての初期候補ベクトルの処理が終了したと判断された場合、処理は、ステップS262に進み、評価値比較部256は、最適候補格納用レジスタ257を制御し、すべての初期候補ベクトルの中から、評価値DFDに基づく、信頼度が最も高いとされた最適候補ベクトルを、初期ベクトルV0として反復勾配法演算部103に出力させ、初期ベクトル選択処理を終了する。
以上のように、着目ブロックにおいて、複数の初期候補ベクトルの評価値DFDを求め、評価値DFDが最も小さい、すなわち、信頼度が最も高いとされる初期候補ベクトルを、初期ベクトルとして選択するようにしたので、後段の動きベクトル検出に最適な初期ベクトルを与えることができ、その結果、後段の動きベクトル検出の精度を向上させることができる。また、予め定められた所定のブロックの動きベクトルを、初期候補ベクトルとして用いるようにしたので、初期候補ベクトル数が多くなってしまい、処理の演算量が膨大になってしまうことが抑制される。
さらに、連続するフレーム間において動物体の動き量にはある程度の連続性があり、動き量の変化が小さいことに基づいて、前フレームから着目ブロックを通過する動きベクトルであるシフト初期ベクトルを、初期ベクトルの候補とするようにしたので、従来のように、周辺ブロックにおいて過去に求められている動きベクトルのみを初期ベクトルの候補とする場合よりも、精度の高い動き検出を行うことができる。これは、特に、動いている物体の境界において、効果的である。
次に、反復勾配法演算部103の構成の詳細について説明する。
図25は、反復勾配法演算部103の構成を示すブロック図である。図25に構成を示す反復勾配法演算部103は、入力される時刻tの画像のフレームtと、時刻t+1の画像のフレームt+1を用いて、最適な動きベクトルを検出する処理を行う。この動きベクトルを検出する処理は、複数の画素からなる所定のブロック毎に実行される処理であり、反復勾配法演算部103は、各ブロックにおいて、ブロック単位毎、または、画素単位毎に、勾配法を用いた演算を繰り返し実行することにより、評価値DFDに基づく、信頼度が高い、最適な動きベクトルを出力する。
反復勾配法演算部103には、プリフィルタ102−1および102−2を介して、時刻tの画像のフレームtと、時刻t+1の画像のフレームt+1が入力され、また、初期ベクトル選択部102からの初期ベクトルV0が入力される。
モード選択部401は、有効画素判定部403からの制御のもと、所定のブロック毎に、勾配法演算の処理モードを選択し、初期ベクトル選択部102からの初期ベクトルV0をセレクタ402およびベクトル評価部104に出力する。勾配法演算の処理モードは、動きベクトルの検出対象がブロックであるブロック単位処理モードと、動きベクトルの検出対象が画素である画素単位処理モードにより構成され、初期値としてブロック単位処理モードが選択される。セレクタ402は、ベクトル評価部104からの制御のもと、モード選択部401からの初期ベクトルV0、または勾配法演算部404から出力された動きベクトルVnのどちらかを、勾配法演算の初期値として用いる動きベクトル(以下、オフセットベクトルと称する)として、有効画素判定部403および勾配法演算部404に出力する。
有効画素判定部403は、セレクタ402により選択されたオフセットベクトルを入力すると、プリフィルタ102−1および102−2を介して入力される時刻tの画像のフレームtと、時刻t+1の画像のフレームt+1を用いて、オフセットベクトルをオフセットして計算した位置を開始点として、各単位処理モードの演算ブロックに、勾配法の演算に有効な画素の数がしきい値より多いか否かを判断し、その結果に応じて処理方法を切り換える。すなわち、有効画素判定部403は、勾配法の演算に有効な画素の数がしきい値以下であると判断した場合、モード選択部401を制御し、その所定のブロックに対しての処理モードを、画素単位処理モードに変更させたり、演算を中止させる。有効画素判定部403は、各単位処理モードの演算ブロックに、勾配法の演算に有効な画素の数がしきい値より多いと判断した場合、勾配法演算部404を制御し、各処理単位での勾配法演算処理を実行させる。
勾配法演算部404は、セレクタ402から入力されたオフセットベクトルを入力すると、プリフィルタ102−1および102−2を介して入力される時刻tの画像のフレームtと、時刻t+1の画像のフレームt+1を用いて、セレクタ402からのオフセットベクトルをオフセットして計算した位置を開始点として、各単位処理モードの勾配法演算を実行し、算出された動きベクトルVnを、遅延部405およびベクトル評価部104に出力する。
遅延部405は、勾配法演算部404から出力された動きベクトルVnを、有効画素判定部403および勾配法演算部404の次の処理のサイクルまで保持しており、セレクタ402の制御に応じて、保持する動きベクトルVnを有効画素判定部403に出力する。
図26は、有効画素判定部403の詳細な構成を示すブロック図である。図26の例において、有効画素判定部403は、時間画素差分算出部411、画素差分値判定部412、有効画素カウンタ413、および勾配法継続判定部414により構成される。
時間画素差分算出部411は、セレクタ402により選択されたオフセットベクトルを入力すると、ブロック単位の演算ブロックにおいて、画素を選択し、オフセットベクトル、並びに、プリフィルタ102−1および102−2を介して入力される時刻tの画像のフレームt、および時刻t+1の画像のフレームt+1を用いて、選択された画素の時間方向の画素差分Δtを算出し、算出された時間方向の画素差分Δtを、画素差分値判定部412に出力する。
画素差分値判定部412は、時間画素差分算出部411により算出された時間方向の画素差分Δtが、所定のしきい値(以下、画素差分値と称する)よりも小さいか否かを判断し、時間方向の画素差分Δtが、所定の画素差分値よりも小さいと判断した場合には、有効画素数カウンタ413の有効画素の数を1つカウントする。有効画素数カウンタ413は、演算ブロック毎に画素差分値判定部412により有効であると判断された画素分の値をカウントする。また、有効画素数カウンタ413は、演算ブロック毎に値がリセットされる。
勾配法継続判定部414は、各単位処理モードの演算ブロックに、勾配法の演算に有効な画素の数がしきい値より多いか否かを判断し、各単位処理モードの演算ブロックに、勾配法の演算に有効な画素の数がしきい値より多いと判断した場合、勾配法演算部404に、各単位処理モードの勾配法演算を実行させるフラグ(flg=1)を出力する。勾配法継続判定部414は、各単位処理モードの演算ブロックに、勾配法の演算に有効な画素の数がしきい値より少ないと判断した場合、モード選択部401を制御し、他の単位処理モードを選択させたり、勾配法演算部404に勾配法演算を打ち切るフラグ(flg=0)を出力する。
図27は、勾配法演算部404の詳細な構成を示すブロック図である。図27の例において、勾配法演算部404は、時間画素差分算出部421、画素差分値判定部422、水平垂直画素差分算出部423、勾配積算部424、およびベクトル算出部425により構成される。
時間画素差分算出部421は、有効画素判定部403から入力されるフラグに基づいて、勾配法演算部404の各部を制御する。すなわち、時間画素差分算出部421は、フラグが1を示す(flg=1)場合には、勾配法演算部404の各部に、勾配法演算の処理を実行させる。具体的には、時間画素差分算出部421は、有効画素判定部403からフラグを入力すると、プリフィルタ102−1および102−2を介して入力される時刻tの画像のフレームtと、時刻t+1の画像のフレームt+1を用いて、セレクタ402からのオフセットベクトルをオフセットして計算した画素を中心とした、各単位処理モードの演算ブロック内の画素を選択し、選択された画素の時間方向の画素差分Δtを算出し、算出された時間方向の画素差分Δtおよびオフセットベクトルを、画素差分値判定部422に出力する。また、時間画素差分算出部421は、演算ブロック内の画素の処理が終了した場合に、オフセットベクトルを、ベクトル算出部425に出力し、ベクトル算出部425を制御し、検出対象ブロックの動きベクトルを算出させる。
一方、フラグが0を示す(flg=0)場合には、時間画素差分算出部421は、演算ブロック内の画素の時間方向の画素差分Δtを算出しないので、勾配法演算部404の各部では、勾配法演算の処理が実行されず、処理は打ち切られる。なお、このとき、時間画素差分算出部421は、ベクトル算出部425を制御し、動きベクトルVを0ベクトルに設定させる。
画素差分値判定部422は、時間画素差分算出部421により算出された時間方向の画素差分Δtが、所定のしきい値(以下、画素差分値と称する)よりも小さいか否かを判断し、時間方向の画素差分Δtが、所定の画素差分値よりも小さいと判断した場合、その画素を、勾配法の演算対象とし、時間方向の画素差分Δtおよびオフセットベクトルを水平垂直画素差分算出部423に出力する。すなわち、所定の画素差分値よりも小さいと判断された画素差分Δtの画素は、水平垂直画素差分算出部423および勾配積算部424において、演算対象とされる。また、画素差分値判定部422は、時間方向の画素差分Δtが、所定の画素差分値以上であると判断した場合、水平垂直画素差分算出部423および勾配積算部424に、その画素の処理を禁止させる。
水平垂直画素差分算出部423は、画素差分値判定部422から入力されたオフセットベクトルを入力すると、プリフィルタ102−1および102−2を介して入力される時刻tの画像のフレームtと、時刻t+1の画像のフレームt+1を用いて、オフセットベクトルをオフセットして計算した画素を中心とした、各単位処理モードの演算ブロック内において、時間方向の画素差分Δtが、所定の画素差分値よりも小さいと判断された画素の水平方向の画素差分Δxおよび垂直方向の画素差分Δyを算出する。また、水平垂直画素差分算出部423は、時間方向の画素差分Δt、水平方向の画素差分Δx、垂直方向の画素差分Δyを勾配積算部424に出力する。勾配積算部424は、時間方向の画素差分Δtが、所定の画素差分値よりも小さいと判断された画素の勾配を積算する。すなわち、勾配積算部424は、時間画素差分算出部421により算出された時間方向の画素差分Δt、水平垂直画素差分算出部423により算出された水平方向の画素差分Δx、および、垂直方向の画素差分Δyを積算し、積算された勾配の値を、ベクトル算出部425に出力する。
ベクトル算出部425は、時間画素差分算出部421からオフセットベクトルが入力されると、勾配積算部424により積算された勾配の値、および上述した式(9)の最小自乗和を用いて、動きベクトルvnを算出する。また、ベクトル算出部425は、時間画素差分算出部421からのオフセットベクトルを、算出した動きベクトルvnに加算して、動きベクトルVnを求め、ベクトル評価部104および遅延部405に出力する。
次に、動きベクトルの検出対象ブロックと演算ブロックについて説明する。画像内のオブジェクトの動きを考えた場合、同じオブジェクトであれば、大方同じ動きをしていることが多い。したがって、動きベクトルを検出する検出処理の単位は、通常、図28に示されるように、ブロック単位で行うことが多い。
図28の例において、矢印Xは、水平方向を示しており、矢印Yは、垂直方向を示している。また、矢印Tは、図中、右奥の時刻tのフレームtから、左手前の時刻t+1のフレームt+1への時間の経過方向を示している。
図28の例の場合、各フレームの検出対象ブロックKとして、8画素×8画素のブロック(以下、8×8ブロックと称する)が示されている。この検出対象ブロックKとは、8×8ブロックに関して動きベクトルの検出を行ったときに、その8×8ブロックに対して同じ動きが求まるブロックのことをいう。
一方、勾配法による動きベクトルの検出(すなわち、演算)は、画素毎に動きベクトルを検出できる特徴を有している。しかしながら、画素単位での動きベクトルの演算を行うと、統計的な解法である最小自乗法を用いる勾配法では、検出精度が著しく低下する欠点がある。したがって、通常、ブロック毎だけでなく、画素毎の処理単位であっても、動きベクトルを演算する場合には、勾配法の演算に用いられる画素は、ブロック(演算ブロック)単位で構成されることが多い。
以上のように、勾配法の演算に用いられる画素は、8×8ブロックの演算ブロックの画素とされる。すなわち、図28の例においては、演算ブロック(8×8)を用いて、勾配法演算を行った結果得られる動きベクトルは、検出対象ブロックK(8×8)のすべての画素に対応する動きベクトルということになる。
しかしながら、上述したように勾配法の演算に用いられる画素を、演算ブロック単位に扱う際に発生する問題として、図29に示されるように、検出対象ブロックを構成する画素の中に、異なる動きを持つオブジェクトの画素が混在する場合が挙げられる。
図29の例においては、8×8画素(64画素)により構成される検出対象ブロック(=演算ブロック)Kにおいて、左上の画素から28画素(太線丸)が、矢印Aに示される斜め左上への動きを有しており、8×8の検出対象ブロックKにおいて、右下の画素から36画素(細線丸)が、矢印Bに示される右横への動きを有している。
したがって、検出対象ブロックKにおいて、上述したような大方同じ動きであるという仮定が崩れてしまい、動きの異なる画素を含んだままの演算ブロックを用いて、勾配法の演算を行うと、著しく、動きベクトルの検出精度が低下してしまう。すなわち、これは、異なる動きを持つオブジェクト同士の境界に発生する、オブジェクトの消滅領域(カバードバックグラウンド領域)および発生領域(アンカバードバックグラウンド領域)に関する検出精度低下問題である。消滅領域は、前景領域に対して、前景のオブジェクトの進行方向の全端部に対応する位置の混合領域であり、時間の経過に対応して背景成分が前景に覆い隠される領域をいう。これに対して、発生領域は、前景領域に対して、前景のオブジェクトの進行方向の後端部に対応する位置の混合領域であり、時間の経過に対応して背景成分が現れる領域をいう。
図30は、同じオブジェクトである場合の検出対象ブロックの輝度の状態を説明する図である。図中左側においては、矢印Xは、水平方向を示しており、矢印Yは、垂直方向を示している。また、矢印Tは、図中、右奥の時刻tのフレームtから、左手前の時刻t+1のフレームt+1への時間の経過方向を示している。また、図中右側においては、矢印Xは、水平方向を示しており、矢印Lは、輝度値を示している。すなわち、図中右側の輝度値Lp1,Lp2,Lp3,…,Lpi(3<i<7),…,Lp7は、図中左側のフレームtの8×8の検出対象ブロックにおいて、例えば、左上の画素から下に5番目の行の画素p1,p2,p3,…,pi(3<i<7),…,p7,…の輝度値を表しており、同様に、輝度値Lq1,Lq2,Lq3,…,Lqi(3<i<7),…,Lq7は、図中左側のフレームt+1の8×8の検出対象ブロックにおいて、画素p1,p2,p3,…,pi(3<i<7),…,p7,…とそれぞれ同位相に位置する画素である、左上の画素から下に5番目の行の画素q1,q2,q3,…,qi(3<i<7),…,q7,…の輝度値を表している。また、輝度値Lp1乃至Lp7およびLq1乃至Lq7間の矢印は、フレームt上の画素とフレームt+1上の画素の時間方向差分Δtを示している。
したがって、図30の例においては、画素p1と画素q1の時間方向差分Δtは、輝度値Lp1と輝度値Lq1の差で表され、画素p2と画素q2の時間方向差分Δtは、輝度値Lp2と輝度値Lq2の差で表され、画素p3と画素q3の時間方向差分Δtは、輝度値Lp3と輝度値Lq3の差で表され、画素piと画素qiの時間方向差分Δtは、輝度値Lpiと輝度値Lqiの差で表され、画素p7と画素q7の時間方向差分Δtは、輝度値Lp7と輝度値Lq7の差で表され、各輝度値の差は、輝度値Lp1乃至Lp7を結んだ曲線と、輝度値Lq1乃至Lq7を結んだ曲線の形状がほぼ同形状で示されるように、輝度変化が小さい。
以上のように、検出対象ブロックの中の画素が、同じオブジェクトである(すなわち、同一動きである)場合には、時間方向の対応画素について、輝度変化は、あまり大きくない。
図31は、異なる動きを持つオブジェクトの画素が混在する場合の検出対象ブロックの輝度の状態を説明する図である。なお、図30において、図31における場合と対応する部分には対応する符号を付してあり、その説明は繰り返しになるので省略するが、図31の例においては、フレームt上の画素p7が、他の画素と異なる動きを有している。
例えば、フレームt上の画素p7が、他の画素と同じ動きを有している場合には、フレームt+1上において、画素p7と同位相に位置する画素q7の輝度値は、輝度値Lq7−1で表されるはずであるが、図31の例においては、画素p7は、他の画素と異なる動きを有しているため、画素q7の輝度値は、輝度値Lq7−2に示されるように、輝度値Lq7−1よりも図中下側に大きく変化している。したがって、画素p7と画素q7の時間方向差分Δt(輝度値Lp7と、輝度値Lq7−2の差)は、大きくなってしまう。
このように、例えば、検出対象ブロック内に、上述したオブジェクトの消滅、発生、または変形などにより、異なる動きを有するオブジェクトの画素が混在する場合には、対応する画素の輝度値が大きく変化することが多く、このことが、動きの乱れにつながってしまう恐れがある。そこで、有効画素判定部403において、輝度変化が小さい画素は、動きベクトル検出に用いても有効であり、逆に、輝度変化が大きい画素は、動きベクトル検出に用いると、有効ではないと判断するようにする。すなわち、輝度変化の大小という要素に着目し、輝度変化の大小でその画素が有効か無効かを判断することにより、輝度変化が小さい画素は、動きベクトル検出に用い、逆に、輝度変化が大きい画素は、動きベクトル検出に用いないようにすることができる。これにより、動きベクトル検出の精度を高くすることができる。
具体的に説明すると、有効画素判定部403は、演算ブロック内の各画素について、時間方向の画素差分Δtに所定の画素差分値(しきい値)を設定し、時間方向の画素差分Δtが、設定された所定の画素差分値よりも小さい場合には、その画素は、動きベクトル検出に寄与する(有効である)と判定し、動きベクトルを検出する際の勾配法の演算に用いるが、時間方向の画素差分Δtが、設定された所定の画素差分値以上である場合には、その画素は、動きの乱れを発生させる恐れがあるとして、動きベクトルを検出する際の勾配法の演算から除外する。これにより、異なる動きが混入することが抑制され、より安定した勾配法演算が実行され、その結果、確からしい動きベクトルが検出される。
ただし、上述したように、勾配法演算は、統計的な解法である最小自乗法に基づいた演算であるため、勾配法演算に用いる画素と用いない画素を切り分けることにより、勾配法演算に用いられる画素が極端に少なくなり、これらの極端に少ない画素数で勾配法演算が行われてしまうと、逆に、演算の信頼性が低下してしまい、動きベクトル検出の精度が低下してしまう恐れがある。
そこで、有効画素判定部403は、勾配法演算に用いられる画素数が少ない場合には、この検出対象ブロック(8×8)の処理単位での演算は不安定であるとし、図32に示されるように、8×8ブロック内の画素(64個)毎の演算単位に切り替えて処理を行う。
図32は、画素単位処理における演算ブロックの例を示している。図32の例においては、フレーム上の検出対象ブロック(ブロック単位の演算ブロック)K(8×8)が画素単位処理に切り替えられた場合の、検出対象ブロックKの左上の画素pの演算ブロックE(図32の例の場合、9×9)を示している。
すなわち、画素pの動きベクトルを求める際には、画素pを中心とした演算ブロックE(図32の例の場合、9×9)が用いられる。また、例えば、画素pの右隣の画素の動きベクトルを求める場合には、画素pの右隣の画素を中心とした演算ブロック9×9(図示せず)が用いられる。
したがって、例えば、検出対象ブロックKにおいて、大半が画素pと異なる動きをしていたとしても、検出対象ブロックK(8×8)において、勾配法演算に用いられる画素数が計数され、その数が少ない場合には、画素単位処理に切り替えられるので、図32に示されるように、画素単位処理での演算ブロックEを用いて勾配法の演算を実行することができる。
このように、勾配法演算に用いる画素と用いない画素を切り分け、勾配法演算に用いられる画素が極端に少なくなった場合に、検出対象ブロックK(8×8)ブロック内すべての画素について動きベクトルの検出をやめるのではなく、画素単位処理に切り替えて、画素毎に、演算ブロックE(9×9)の画素を変えて勾配法演算するようにすることで、演算に用いられない画素の混在を少しでも防ぎ、画素によっては、より高精度の動きベクトルの検出を行うことができる。
図33は、図29の検出対象ブロック(演算ブロック)Kの画素に、画素単位処理を適用する例を示す図である。図33の例においては、矢印Aに示される斜め左上への動きを有する画素(太線丸)と、矢印Bに示される右横への動きの2つの異なる動きを有する画素(細線丸)からなる図29の検出対象ブロックK(8×8)において、画素単位での処理が行われる。この場合において、検出対象ブロックKの左上の検出対象画素pの動きベクトルを検出するとき、検出対象画素pを中心とした演算ブロックE(図33の例の場合、9×9)が用いられる。
演算ブロックE内の画素は、矢印Bに示される右横への動きを有する右下の3画素(細線丸)以外を除いて、矢印Aに示される斜め左上への動きを有している。ここで、上述したブロック単位処理の場合と同様に、演算ブロックE内の各画素について、時間方向画素差分Δtに所定のしきい値(画素差分値)を設定し、時間方向画素差分Δtが、設定された所定の画素差分値よりも小さい場合には、その画素は、動きベクトル検出に寄与する(有効である)と判定し、動きベクトルを検出する際の勾配法演算に用いるが、時間方向画素差分Δtが、設定された所定の画素差分値よりも大きい場合には、その画素は、動きの乱れを発生させる恐れがあるとして、動きベクトルを検出する際の勾配法演算に用いない。
すなわち、図33の例においては、演算ブロックEにおいて、右下の3画素(細線丸)を除いた画素(太線丸)が、検出対象画素pの勾配法演算に有効な画素であるとされ、その有効な画素が用いられて勾配法演算が実行されるため、図29の検出対象ブロックK(8×8)を、演算ブロックとして用いて実行されるブロック単位処理の勾配法演算よりも、より安定した勾配法演算が実行され、その結果、確からしい動きベクトルが検出される。
なお、この画素毎の演算ブロックにおいても、勾配法演算に用いる画素と用いない画素を切り分けることにより、勾配法演算に用いられる画素が極端に少なくなってしまう場合には、動きベクトルを検出することが危険であるとし、演算は、打ち切られる。すなわち、動きベクトル検出が不安定であるにもかかわらす、何かしらの大きさを有する動きが検出されたことにしてしまうと、実際の画像内のオブジェクトの動きにそぐわない(確からしくない)動きベクトルになってしまう恐れがあるからである。このような確からしくない動きベクトルを用いた上で、以降の処理(例えば、ベクトル割付処理またはベクトル補償処理)が実行され、生成された画像は、動きが不連続になってしまったり、ブロックノイズが発生してしまうなどの大きな視覚劣化を及ぼしてしまう場合が多い。
したがって、画素単位の勾配法演算に用いられる画素が極端に少なくなってしまう場合、検出される動きベクトルは、例えば、0ベクトル(すなわち、静止状態)が用いられる。これにより、以降の処理において、この動きベクトルが、悪影響を及ぼすことが抑制され、生成される画像の大きな視覚劣化を抑制することができる。
次に、図34のフローチャートを参照して、反復勾配法演算処理の詳細を説明する。前段よりモード選択部401に初期ベクトルV0が入力される。
モード選択部401は、ステップS401において、ブロック単位処理モードを選択し、フレームt上のブロックを、検出対象ブロック(演算ブロック)とし、検出対象ブロックの初期ベクトルV0をセレクタ402およびベクトル評価部104に出力し、ステップS402に進む。これにより、反復勾配法演算部103の各部においては、ブロック単位での処理が実行される。ステップS402において、セレクタ402は、ベクトル評価部104からの制御に応じて、モード選択部401から入力された初期ベクトルV0をオフセットベクトルとして選択し、選択したオフセットベクトルを、時間画素差分算出部411および時間画素差分算出部421に出力し、ステップS403に進む。
ステップS403において、時間画素差分算出部411および画素差分値判定部412は、選択されたオフセットベクトルを用いて(いまの場合、初期ベクトルV0をオフセットして)、ブロック単位の有効画素判定処理を実行し、ステップS404に進む。この有効画素判定処理の詳細は、図35を参照して後述するが、この有効画素判定処理により、有効画素数カウンタ413には、ブロック単位の演算ブロック内において、画素差分値が所定の画素差分値よりも小さいと判定された(すなわち、後段の勾配法演算で有効な画素であると判定された)画素の数がカウントされている。
勾配法継続判定部414は、ステップS404において、有効画素数カウンタ413にカウントされている画素数(有効画素数)が所定のしきい値αより多いか否かを判断し、有効画素数が所定のしきい値αより多いと判断した場合、勾配法演算部404に、ブロック単位で、勾配法演算を実行させるフラグ(flg=1)を出力し、ステップS405に進む。
ステップS405において、勾配法演算部404は、勾配法継続判定部414からのフラグに基づいて、セレクタ402からのオフセットベクトル(いまの場合、初期ベクトルV0)を用いて、ブロック単位の勾配法演算処理を実行し、ステップS406に進む。この勾配法演算処理の詳細は、図36を参照して後述するが、この勾配法演算処理により、動きベクトルVnが求められ、ベクトル評価部104および遅延部405に出力される。なお、動きベクトルVnは、1回目の勾配法演算により算出された動きベクトルvnに、オフセットベクトルVn−1が加算されたもの(Vn=Vn−1+vn)である。例えば、動きベクトルV1は、1回目の勾配法演算により算出された動きベクトルv1に、オフセットベクトル(初期ベクトルV0)が加算されたもの(V1=V0+v1)である。
ステップS406において、ベクトル評価部104は、勾配法演算処理により求められた動きベクトルVnの評価値DFD(n)と、オフセットベクトルとして用いられた動きベクトルVn−1の評価値DFD(n−1)を求め、評価値DFD(n−1)よりも評価値DFD(n)が小さいか否か、すなわち、オフセットベクトルとして用いられた動きベクトルVn−1よりも勾配法演算処理により求められた動きベクトルVnの信頼度が高いか否かを判断する。具体的には、例えば、1回目の処理においては、求められた動きベクトルV1の評価値DFD(1)と、オフセットベクトルとして用いられた初期ベクトルV0の評価値DFD(0)が比較され、2回目の処理においては、求められた動きベクトルV2の評価値DFD(2)と、オフセットベクトルとして用いられた動きベクトルV1の評価値DFD(1)が比較される。
ベクトル評価部104は、ステップS406において、評価値DFD(n−1)よりも評価値DFD(n)が小さいと判断した場合、すなわち、動きベクトルVn−1よりも動きベクトルVnの信頼度が高いと判断された場合、ステップS407において、算出された動きベクトルVn(1回目の場合、動きベクトルV1、2回目の場合、動きベクトルV2)を、検出対象ブロックの動きベクトルVに設定して、ステップS408に進む。ベクトル評価部104は、ステップS408において、反復回数nを1つカウントし、ステップS409に進み、反復回数nが設定された最大反復回数(例えば、2回)になったか否かを判断し、まだ、反復回数nが設定された最大反復回数ではないと判断した場合、セレクタ402を制御し、ステップS402に戻り、それ以降の処理を繰り返させる。
すなわち、ステップS402において、セレクタ402は、ベクトル算出部425から出力され、遅延部405に保持された動きベクトルV1を、オフセットベクトルとして選択し、ステップS403において、時間画素差分算出部411および画素差分値判定部412は、動きベクトルV1をオフセットベクトルとして用いて、ブロック単位の有効画素判定処理を実行し、それ以降の処理を繰り返す。したがって、ステップS405において算出される動きベクトルV2は、2回目の勾配法演算により算出された動きベクトルv2に、オフセットベクトルとして用いられた動きベクトルV1が加算されたもの(すなわち、V2=V1+v2=V0+v1+v2)となる。
ベクトル評価部104は、ステップS406において、評価値DFD(n−1)よりも評価値DFD(n)が小さくないと判断した場合、すなわち、動きベクトルVn−1の方が、動きベクトルVnよりも信頼度が高いと判断した場合、ステップS410に進み、勾配法演算のオフセットとしたベクトルVn−1(1回目の場合、初期ベクトルV0、2回目の場合、動きベクトルV1)を、検出対象ブロックの動きベクトルVに設定して、ステップS411に進む。また、ベクトル評価部104は、ステップS409において、反復回数nが設定された最大反復回数になったと判断した場合、ステップS411に進む。
ベクトル評価部104は、ステップS411において、動きベクトルVが、動きベクトルを検出する範囲として予め設定されたサーチエリア内であるか否かを判断し、動きベクトルVが、サーチエリア内であると判断した場合、ステップS415に進み、動きベクトルVを、検出対象ブロックに対応させて、検出ベクトルメモリ53に記憶し、反復勾配法処理を終了する。
また、ベクトル評価部104は、ステップS411において、動きベクトルVが、サーチエリア内ではないと判断した場合、ステップS412に進み、動きベクトルVを0ベクトルに設定し、ステップS415に進み、動きベクトルV(0ベクトル)を、検出対象ブロックに対応させて、検出ベクトルメモリ53に記憶し、反復勾配法処理を終了する。
一方、勾配法継続判定部414は、ステップS404において、有効画素数カウンタ413の有効画素数が所定のしきい値α以下であると判断した場合、ステップS413に進み、モード選択部401を制御し、画素単位処理モードを選択させ、ステップS414に進む。これにより、反復勾配法演算部103の各部においては、画素単位での処理が実行される。モード選択部401は、ステップS414において、画素単位の反復勾配法演算処理を実行し、ステップS415に進む。この画素単位処理モードの反復勾配法演算処理の詳細は、図37を参照して後述するが、画素単位処理モードの反復勾配法演算処理により、検出対象ブロック内の全画素の動きベクトルVが求められるので、ベクトル評価部104は、ステップS415において、動きベクトルVを、検出対象ブロックの各画素に対応させて、検出ベクトルメモリ53に記憶し、反復勾配法処理を終了する。
なお、上述したステップS406においては、動きベクトルの信頼度の評価を、勾配法処理により求められた動きベクトルVnの評価値DFD(n)と、オフセットベクトルとして用いられた動きベクトルVn−1の評価値DFD(n−1)を比較することで判断したが、評価値DFDの比較判断と同時に、勾配法演算により求められた動きベクトル(オフセットベクトルが加算される前の動きベクトル)vnのノルムの値(|vn|)が所定の大きさ(演算ブロック8×8の場合、例えば、16)よりも小さいことも判断するようにしてもよい。
ここで、ノルムとは、あるベクトル空間におけるベクトルの大きさを表し、例えば、原点(0,0)を起点とした(x,y)へのベクトルvのノルムは、次の式(11)で表される。
Figure 0004687994

・・・(11)
すなわち、勾配法演算においては、一般的に、微小動きに対して、精度の高い結果が得られるが、勾配法演算により求められた動きベクトルのノルム値|vn|が所定の大きさを超えてしまうと、その大きい動きベクトルvnに対して精度の高い結果が得られているとは限らない。したがって、評価値DFDと並行して、勾配法演算により求められた動きベクトルのノルム値|vn|が所定の大きさを超えたか否かを判断し、ノルム値|vn|が所定の大きさを超えた動きベクトルを除外することにより、この勾配法演算においては、微小動きに対しても、大きい動きに対しても、精度の高い結果を得ることができ、さらに、動きベクトル検出の精度を向上させることができる。
なお、この評価値DFDの判断とノルム値による判断の場合には、ステップS406において、|vn|≦16である場合で、かつ、評価値DFD(n−1)>評価値DFD(n)である場合には、ステップS407に進み、V=Vnに設定され、ステップS406において、|vn|>16である場合で、または、評価値DFD(n−1)≦評価値DFD(n)である場合には、ステップS410に進み、V=Vn−1に設定される。
次に、図35のフローチャートを参照して、有効画素判定処理の詳細を説明する。なお、図35は、図34のステップS403の有効画素判定処理の例を示している。
セレクタ402から、オフセットベクトルが入力されると、時間画素差分算出部411は、ステップS431において、画素差分値判定部412を制御し、有効画素数カウンタ413をリセットさせ、ステップS432に進み、ブロック単位の演算ブロックにおいて、画素を選択し、ステップS433に進む。なお、画素は、演算ブロックの左上の画素からラスタスキャン順に選択される。
時間画素差分算出部411は、ステップS433において、オフセットベクトル、並びに、プリフィルタ102−1および102−2を介して入力される時刻tの画像のフレームt、および時刻t+1の画像のフレームt+1を用いて、選択された画素の時間方向の画素差分Δtを算出し、算出された時間方向の画素差分Δtを画素差分値判定部412に出力し、ステップS434に進む。
画素差分値判定部412は、ステップS434において、時間画素差分算出部411により算出された時間方向の画素差分Δtが、所定の画素差分値よりも小さいか否かを判断し、すなわち、後段の勾配法演算に有効な画素であるか否かを判断し、時間方向の画素差分Δtが、所定の画素差分値よりも小さいと判断した場合、ステップS435に進み、有効画素数カウンタ413の有効画素の数を1つカウントし、ステップS436に進む。また、画素差分値判定部412は、ステップS434において、時間方向の画素差分Δtが、所定の画素差分値以上であると判断した場合、すなわち、後段の勾配法演算に有効な画素ではないと判断し、ステップS435の処理をスキップし、ステップS436に進む。
時間画素差分算出部411は、ステップS436において、演算ブロック内のすべての画素の処理が終了したか否かを判断し、演算ブロック内のすべての画素の処理が終了していないと判断した場合、ステップS432に戻り、次の画素を選択し、それ以降の処理を繰り返す。一方、時間画素差分算出部411は、ステップS436において、演算ブロック内のすべての画素の処理が終了したと判断した場合、有効画素判定処理を終了し、図34のステップS404に戻る。
以上の処理により、有効画素カウンタ413には、演算ブロック内において、その画素差分Δtが所定の画素差分値より小さく、後段の勾配法演算において有効であると判断された画素の数がカウントされている。したがって、勾配法継続判断部414は、図34のステップS404において、この有効画素カウンタ413の画素の数を参照することにより、ブロック単位の勾配法演算を行うか、画素単位の勾配法演算を行うかを判断することができる。
次に、図36のフローチャートを参照して、ブロック単位の勾配法演算処理の詳細を説明する。なお、図36は、図34のステップS405のブロック単位の勾配法演算処理の例を示している。したがって、図36の例においては、時間画素差分算出部421には、勾配法継続判定部414から、勾配法演算を実行させるフラグ(flg=1)が入力される。
勾配法継続判定部414からフラグ(flg=1)が入力されると、時間画素差分算出部421は、ステップS451において、ブロック単位の演算ブロックにおいて、画素を選択し、ステップS452に進む。なお、画素は、演算ブロックの左上の画素からラスタスキャン順に選択される。
時間画素差分算出部421は、ステップS452において、セレクタ402からのオフセットベクトル、並びに、プリフィルタ102−1および102−2を介して入力される時刻tの画像のフレームt、および時刻t+1の画像のフレームt+1を用いて、選択された画素の時間方向の画素差分Δtを算出し、算出された時間方向の画素差分Δtおよびオフセットベクトルを、画素差分値判定部422に出力し、ステップS453に進む。
画素差分値判定部422は、ステップS453において、時間画素差分算出部421により算出された時間方向の画素差分Δtが、所定の画素差分値よりも小さいか否かを判断し、すなわち、後段の勾配法演算に有効な画素であるか否かを判断し、時間方向の画素差分Δtが、所定の画素差分値よりも小さいと判断した場合、ステップS454に進み、垂直水平画素差分算出部423を制御し、有効であると判断した画素の水平方向の画素差分Δxを算出させる。なお、画素差分値判定部422における所定の画素差分値は、画素差分値判定部412における所定の画素差分値と同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。また、このとき、画素差分値判定部422は、時間画素差分算出部421により算出された時間方向の画素差分Δtおよびオフセットベクトルを、垂直水平画素差分算出部423に出力する。
垂直水平画素差分算出部423は、ステップS454において、オフセットベクトル、並びに、プリフィルタ102−1および102−2を介して入力される時刻tの画像のフレームt、および時刻t+1の画像のフレームt+1を用いて、有効であると判断された画素の水平方向の画素差分Δxを算出し、ステップS455に進み、有効であると判断された画素の垂直方向の画素差分Δyを算出し、時間方向の画素差分Δt、水平方向の画素差分Δx、および垂直方向の画素差分Δyを、勾配積算部424に出力し、ステップS456に進む。勾配積算部424は、ステップS456において、垂直水平画素差分算出部423からの時間方向の画素差分Δt、水平方向の画素差分Δx、および垂直方向の画素差分Δyを積算し、積算した結果をベクトル算出部425に出力し、ステップS457に進む。
画素差分値判定部422は、ステップS453において、時間方向の画素差分Δtが、所定の画素差分値以上であると判断した場合、ステップS454乃至S456の処理をスキップし、ステップS457に進む。すなわち、この画素の各画素差分(勾配)は、後段の勾配法演算に有効な画素ではないので、演算に用いられない。
ステップS457において、時間画素差分算出部421は、演算ブロック内のすべての画素の処理が終了したか否かを判断し、演算ブロック内のすべての画素の処理が終了していないと判断した場合、ステップS451に戻り、次の画素を選択し、それ以降の処理を繰り返す。一方、時間画素差分算出部421は、ステップS457において、演算ブロック内のすべての画素の処理が終了したと判断した場合、ベクトル算出部425にオフセットベクトルを出力し、ステップS458に進む。ベクトル算出部425は、時間画素差分算出部421からオフセットベクトルが入力されると、勾配積算部424からの勾配の積算結果と、上述した式(9)の最小自乗和を用いて、動きベクトルvnを算出し、ステップS459に進み、時間画素差分算出部421からのオフセットベクトルに、算出された動きベクトルvnを加算した、動きベクトルVnを求めて、求められた動きベクトルVnをベクトル評価部104に出力し、勾配法演算処理を終了し、図34のステップS406に戻る。
以上のように、時間方向の画素差分Δtが、設定された所定の画素差分値以上の場合には、その画素は、動きの乱れを発生させる恐れがあるとして、動きベクトルを検出する際の勾配法の演算から除外するようにしたので、より安定した勾配法演算が実行され、その結果、確からしい動きベクトルが検出され、これにより、動きベクトル検出の精度が向上される。
次に、図37のフローチャートを参照して、画素単位の反復勾配法演算処理の詳細を説明する。図37は、図34のステップS414の画素単位の反復勾配法演算処理の例を示している。なお、この処理は、検出対象ブロック内の各画素について実行される。
モード選択部401は、画素単位処理モードを設定すると、ステップS471において、検出対象ブロックの画素を検出対象画素として選択し、その画素の演算ブロック(例えば、9×9)の初期ベクトルV0を、セレクタ402およびベクトル評価部104に出力し、ステップS472に進む。なお、画素は、検出対象ブロックの左上の画素からラスタスキャン順に選択される。ステップS472において、セレクタ402は、ベクトル評価部104からの制御に応じて、モード選択部401から入力された初期ベクトルV0をオフセットベクトルとして選択し、選択したオフセットベクトルを、時間画素差分算出部411および時間画素差分算出部421に出力し、ステップS473に進む。
ステップS473において、時間画素差分算出部411および画素差分値判定部412は、選択されたオフセットベクトルを用いて(いまの場合、初期ベクトルV0をオフセットとして)、画素単位の有効画素判定処理を実行し、ステップS474に進む。この有効画素判定処理の詳細は、図35を参照して上述したブロック単位の有効画素判定処理と、対象となる演算ブロック(ブロック範囲や、ブロックを構成する画素)が異なる以外、基本的に同様の処理を行うため、その詳細な説明を省略するが、この有効画素判定処理により、有効画素数カウンタ413には、画素単位の演算ブロック内において、画素差分値が所定の画素差分値よりも小さいと判定された(すなわち、後段の勾配法演算で有効な画素であると判定された)画素の数がカウントされている。なお、画素単位の有効画素判定を行う所定の画素差分値は、ブロック単位の場合と同じ値としてもよいし、異なる値を設定するようにしてもよい。
勾配法継続判定部414は、ステップS474において、有効画素数カウンタ413にカウントされている画素数(有効画素数)が所定のしきい値βより多いか否かを判断し、有効画素数が所定のしきい値βより多いと判断した場合、勾配法演算部404に、勾配法演算を実行させるフラグ(flg=1)を出力し、ステップS475に進む。なお、しきい値βも、ブロック単位の場合のしきい値αと同じ値としてもよいし、異なる値を設定するようにしてもよい。
ステップS475において、勾配法演算部404は、勾配法継続判定部414からのフラグに基づいて、セレクタ402からのオフセットベクトル(初期ベクトルV0)を用いて、画素単位の勾配法演算処理を実行し、ステップS476に進む。この勾配法演算処理の詳細は、図36を参照して上述したブロック単位の勾配法演算処理と、対象となる演算ブロック(範囲や、ブロックを構成する画素)が異なる以外、基本的に同様の処理を行うため、その詳細な説明を省略するが、この勾配法演算処理により、検出対象画素の動きベクトルVnが求められ、ベクトル評価部104および遅延部405に出力される。なお、動きベクトルVnは、1回目の勾配法演算により求められた動きベクトルvnに、オフセットベクトルが加算されたもの(Vn=Vn−1+vn)となる。
ステップS476において、ベクトル評価部104は、勾配法処理により算出された動きベクトルVnの評価値DFD(n)と、オフセットとして用いられた動きベクトルVn−1の評価値DFD(n−1)を求め、評価値DFD(n−1)よりも評価値DFD(n)が小さいか否か、すなわち、オフセットとして用いられた動きベクトルVn−1よりも勾配法処理により算出された動きベクトルVnの信頼度が高いか否かを判断する。
ベクトル評価部104は、ステップS476において、評価値DFD(n−1)よりも評価値DFD(n)が小さいと判断された場合、すなわち、動きベクトルVn−1よりも動きベクトルVnの信頼度が高いと判断された場合、ステップS477において、算出された動きベクトルVn(1回目の場合、動きベクトルV1、2回目の場合、動きベクトルV2)を、検出対象画素の動きベクトルVに設定して、ステップS478に進む。ベクトル評価部104は、ステップS478において、反復回数nを1つカウントし、ステップS479に進み、反復回数nが設定された最大反復回数(例えば、2回)になったか否かを判断し、まだ、反復回数nが設定された最大反復回数ではないと判断した場合、セレクタ402を制御し、ステップS472に戻り、それ以降の処理を繰り返させる。
すなわち、ステップS472において、セレクタ402は、ベクトル算出部425から出力され遅延部405に保持された動きベクトルV1を、オフセットベクトルとして選択し、ステップS473において、時間画素差分算出部411および画素差分値判定部412は、オフセットベクトルである動きベクトルV1をオフセットして、画素単位の有効画素判定処理を実行し、それ以降の処理を繰り返す。したがって、ステップS475において求められる動きベクトルV2は、2回目の勾配法演算により算出された動きベクトルv2に、オフセットとなる動きベクトルV1が加算されたもの(すなわち、V2=V0+v1+v2)である。
ベクトル評価部104は、ステップS476において、評価値DFD(n−1)よりも評価値DFD(n)が大きいと判断した場合、すなわち、動きベクトルVn−1の方が、動きベクトルVnよりも信頼度が高いと判断された場合、ステップS480に進み、勾配法演算のオフセットとしたベクトルVn−1(1回目の場合、初期ベクトルV0、2回目の場合、動きベクトルV1)を、検出対象ブロックの動きベクトルVに設定して、ステップS481に進む。また、ベクトル評価部104は、ステップS479において、反復回数nが設定された最大反復回数になったと判断した場合、ステップS481に進む。
ベクトル評価部104は、ステップS481において、動きベクトルVが、動きベクトルを検出する範囲として予め設定されたサーチエリア内であるか否かを判断し、動きベクトルVが、サーチエリア内であると判断した場合、ステップS483に進む。また、ベクトル評価部104は、ステップS481において、動きベクトルVが、サーチエリア内であると判断しなかった場合、ステップS482に進み、動きベクトルVを0ベクトルに設定し、ステップS483に進む。
一方、ステップS474において、勾配法継続判定部414は、有効画素数カウンタ413の有効画素数が所定のしきい値βより少ないと判断した場合、勾配法演算部404に勾配法演算を打ち切るフラグ(flg=0)を出力し、ステップS482に進む。時間画素差分算出部421は、フラグに基づいて、ベクトル算出部425を制御し、動きベクトルVを0ベクトルに設定させ、ステップS483に進む。
モード選択部401は、ステップS483において、検出対象ブロック内のすべての画素の処理が終了したか否かを判断し、検出対象ブロック内のすべての画素の処理が終了していないと判断した場合、ステップS471に戻り、検出対象ブロックの次の画素を、検出対象画素として、それ以降の処理を繰り返す。モード選択部401は、ステップS483において、検出対象ブロック内のすべての画素の処理が終了したと判断した場合、画素単位の反復勾配法演算処理を終了し、図34のステップS415に戻る。すなわち、画素単位の反復勾配法演算処理により、検出対象ブロック内すべての画素について動きベクトルVが求められるので、図34のステップS415に戻り、ベクトル評価部104は、動きベクトルVを、検出対象ブロックの各画素に対応させて、検出ベクトルメモリ53に記憶し、反復勾配法処理を終了する。
なお、ステップS476の動きベクトルの信頼度の評価も、ステップS406の場合と同様に、評価値DFDの判断とノルム値による判断を併用するようにしてもよい。
以上のように、演算ブロック内の画素差分が所定の画素差分値よりも小さい画素のみ勾配法演算に用いるようにすることで、異なる動きを有する画素を演算対象から除くことができ、勾配法演算により求められる動きベクトルの確からしさが向上し、動きベクトル検出の精度が向上する。
また、演算ブロック内の画素差分が所定の画素差分値よりも大きく、勾配法演算に用いられない画素数が、所定のしきい値よりも多かった場合に、適応的に、勾配法演算の処理を制御するようにしたので、特に、オブジェクトの動きの境界などにおいて、さらに、動きベクトル検出の精度を向上させることができ、その結果、求められる動きベクトルもより確からしいものとすることができる。
具体的には、演算ブロック内の画素差分が所定の画素差分値よりも大きく、勾配法演算に用いられない画素数が、所定のしきい値よりも多かった場合に、ブロック単位モードから画素単位モードに変更し、検出対象ブロックの画素毎に演算ブロックを設定し、有効判定処理および勾配法演算処理を行うようにしたので、画素によっては、より高精度な動きベクトルを検出することができる。また、演算ブロック内の画素差分が所定の画素差分値よりも大きく、勾配法演算に用いられない画素数が、所定のしきい値よりも多かった場合に、勾配法演算処理の処理を打ち切り、0ベクトルとするようにしたので、暴れた動きベクトルの検出を抑制し、より安全な動きベクトルを検出することができる。
次に、ベクトル割付部54の構成の詳細について説明する。
図38は、ベクトル割付部54の構成を示すブロック図である。図38に構成を示すベクトル割付部54は、24P信号の入力される時刻tの画像のフレームtと、時刻t+1の画像のフレームt+1を用いて、フレームt上において検出された動きベクトルを、割付ベクトルメモリ55上の、補間する60P信号の内挿フレーム上の画素に割り付ける処理を行う。
図38の例において、時刻tの画像のフレームtと、時刻t+1の画像のフレームt+1は、画素情報演算部701、評価値演算部702、および着目画素差分演算部703に入力される。
画素情報演算部701は、検出ベクトルメモリ53のフレームt上の画素に検出された動きベクトルを、左上の画素からラスタスキャン順に取得し、取得した動きベクトルを、次の時刻のフレームt+1方向に延ばし、延ばした動きベクトルと、内挿フレームとの交点を算出する。そして、画素情報演算部701は、算出された動きベクトルと内挿フレームとの交点から、内挿フレーム上において、その動きベクトルの割付対象となる画素(以下、割付対象画素と称する)を設定し、動きベクトルおよび割付対象画素の位置の情報を、ベクトル選択部705に出力する。また、画像情報演算部701は、割付対象画素と、動きベクトルで対応付けられるフレームtの位置Pおよびフレームt+1上の位置Qを算出し、算出されたフレームtおよびフレームt+1上の位置情報を、評価値演算部702、および着目画素差分演算部703に出力する。
評価値演算部702は、画素情報演算部701から、割付対象画素と、動きベクトルで対応付けられるフレームtおよびフレームt+1上の位置情報を入力すると、フレームtの位置Pおよびフレームt+1の位置Qの評価値DFDを演算するため、位置Pおよび位置Qを中心とした一定範囲のDFD演算範囲(m×n)をそれぞれ設定し、それらのDFD演算範囲が画枠内にあるか否かを判断する。評価値演算部702は、DFD演算範囲が画枠内にあると判断した場合、このDFD演算範囲を用いて演算することにより、動きベクトルに対する割付対象画素の評価値DFDを求め、求めた評価値DFDを、ベクトル評価部704に出力する。
着目画素差分演算部703は、画素情報演算部701から、割付対象画素と、動きベクトルで対応付けられるフレームtおよびフレームt+1上の位置情報を入力すると、フレームtの位置Pおよびフレームt+1の位置Qを用いて、割付対象画素に対する輝度差分絶対値を求め、求めた輝度差分絶対値を、ベクトル評価部704に出力する。
ベクトル評価部704は、画素差分判断部711および評価値判断部712により構成される。画素差分判断部711は、着目画素差分演算部703から入力された割付対象画素に対する輝度差分絶対値が所定のしきい値よりも小さいか否かを判断する。評価値判断部712は、画素差分判断部711により着目画素差分演算部703から入力された割付対象画素に対する輝度差分絶対値が所定のしきい値よりも小さいと判断された場合に、評価値演算部702から入力された割付対象画素の評価値DFDが、ベクトル選択部705が有するDFDテーブルの最小評価値より小さいか否かを判断する。そして、評価値判断部712は、割付対象画素の評価値DFDが、DFDテーブルの最小評価値より小さいと判断した場合に、割付対象画素が対応する動きベクトルの信頼度が高いと判断し、ベクトル選択部705に、割付対象画素の評価値DFDを出力する。
ベクトル選択部705は、内挿フレーム上の各画素における最小評価値を保持するDFDテーブルを有しており、内挿フレーム上の各画素に対して、0ベクトルを割り付けた場合の評価値DFD0を、内挿フレーム上の各画素における最小評価値としてDFDテーブルに予め保持している。ベクトル選択部705は、ベクトル評価部704からの割付対象画素の評価値DFDを入力すると、画素情報演算部701からの割付対象画素の位置の情報に基づいて、割付フラグメモリ56のフラグを1(true)に書き換え、割付対象画素のDFDテーブルの最小評価値を、その割付対象画素の評価値DFDに書き換える。また、ベクトル選択部705は、画素情報演算部701からの割付対象画素の位置の情報に基づいて、割付ベクトルメモリ55の割付対象画素に、画素情報演算部701からの動きベクトルを割り付ける。
次に、動きベクトルの画素以下精度を説明する。上述した式(1)で表されるDFD評価の演算においては、フレームtの画素位置pをベクトルv量分ずらした先のフレームt+1上の位相p+vは、実際には、24p信号のフレームt+1上の画素位置と一致しない場合が多く、その場合の輝度値は定義されていない。したがって、画素以下精度を有する動きベクトルvに対する評価値DFDの演算を行うためには、画素以下の位相における輝度値を何らかの方法で生成しなければならない。
これに対応して、フレームtの画素位置pをベクトルv量分ずらした先のフレームt+1上の位相p+vに最も近い画素の輝度値をそのまま用いる方法がある。しかしながら、この方法では、評価する動きベクトルの画素以下成分を丸めてしまうため、動きベクトルの画素以下成分を捨てていることになり、これにより求められた評価値DFDの信頼度は、低くなってしまう。
そこで、本発明においては、周辺4画素の輝度値による4点補間処理を用いている。図39は、本発明の4点補間処理の概念を示す図である。図39においては、矢印Xが、フレームt+1における水平方向を示しており、矢印Yが、フレームt+1における垂直方向を示している。このフレームt+1において、白丸は、フレームt+1上の画素位置を表しており、黒点は、画素以下の位置を表している。また、フレームt+1上における最左上の黒点p+vとその周辺4画素は、ウインドウEに拡大して示されている。ウインドウEにおいて、白丸内のアルファベットは、周辺4画素の輝度値を示している。
このフレームt+1における最左上の黒点p+vが、フレームtの画素位置pをベクトルv量分ずらした先の位相p+vとすると、位相p+vの輝度値Ft+1(p+v)は、位相p+vの水平方向の画素以下成分αおよび垂直方向の画素以下成分β、並びに、位相p+vの周辺4画素の輝度値L0乃至L4を用いて、周辺4画素の距離の逆比の和で求められる。すなわち、輝度値Ft+1(p+v)は、次の式(12)で表される。
t+1(p+v) = (1―α)(1−β)L0+α(1−β)L1
+(1−α)βL2+αβL3 ・・・(12)
以上のように、4点補間処理により求められる輝度値Ft+1(p+v)を用いて、DFD評価の演算を行うことにより、ハードウェア実装上のコストを引き上げることなく、評価値DFDの信頼度の低下を抑制することができる。なお、以下においては、ベクトル割付の際の評価値DFDや輝度差分絶対値などの演算において、この4点補間を適用した例を説明するが、もちろん、上述した初期ベクトル選択処理やベクトル検出処理、または、後述する割付補償処理などのベクトルを評価する場合の評価値DFDの演算においても、この4点補間は適用される。
次に、ベクトル割付処理の概念を説明する。例えば、24P信号上でオブジェクトが速度vで動いており、任意の2フレーム間で、このオブジェクトの動きについて等速仮定が成り立つと仮定した場合に、24P信号のフレーム間に、新しくフレームを内挿することを考える。この場合、24P信号のオブジェクトから動きベクトルvを延ばすと、動きベクトルvと内挿フレームとの交点は、同じオブジェクトであり、同じ速度vを有する。
したがって、ベクトル検出部53で検出された24P信号のフレーム(以下、内挿フレームに対して、元フレームとも称する)の動きベクトルを、その動きベクトルと、内挿する60P信号の内挿フレーム上との交点に割り付けることで、内挿フレーム上の各画素の動きを求めることができる。また、逆に、割り付けられた動きベクトルから、内挿フレーム上の画素が24P信号フレーム上でどの位置から動いたものなのかを求めることができる。
図40は、24P信号の元フレームで検出された動きベクトルと、60P信号の内挿フレーム上の画素の例を1次元で示している。図40の例においては、2つの24P信号の時刻tのフレームtおよび時刻t+1のフレームt+1の間に、例えば、時刻t+0.4の内挿フレームF1、および時刻t+0.8の内挿フレームF2が2つ挿入されている。なお、この内挿フレームの位置は、上述したように、24P信号上での時間位相が0.0,0.4,0.8,1.2,および1.6となる位置に、60P信号のフレームが置かれることから、信号処理装置1において予め設定されている。
各フレーム上の丸は、各画素を示している。前段のベクトル検出部52によりフレームtにおいて検出された動きベクトルv1、v2、およびv3が、フレームt+1方向に延ばされている。これらの動きベクトルを内挿フレームF1およびF2の各画素に割り付ける場合、内挿フレーム上の各画素の近傍を通る動きベクトルは、その画素に割り付けられる候補ベクトル(以下、割付候補ベクトルとも称する)とされる。
したがって、フレームtの左側の画素から、フレームt+1の左から4,5番目の画素近傍への動きベクトルv1は、内挿フレームF1上の左から2番目と3番目の画素の間、内挿フレームF2上の左から3番目と4番目の画素の間を通っている。したがって、動きベクトルv1は、動きベクトルv1が内挿フレームF1およびF2を交差する点の近傍N1に含まれる画素(内挿フレームF1の左から2番目と3番目の画素および内挿フレームF2の左から3番目と4番目の画素)に割り付けられる割付候補ベクトルとなる。
また、フレームtの左から3番目の画素から、フレームt+1の左から2,3番目の画素近傍への動きベクトルv2は、内挿フレームF1上の左から2番目と3番目の画素の間、内挿フレームF2上の左から2番目と3番目の画素の間を通っている。したがって、動きベクトルv2は、動きベクトルv2が内挿フレームF1およびF2を交差する点の近傍領域N2に含まれる画素(内挿フレームF1の左から2番目と3番目の画素および内挿フレームF2の左から2番目と3番目の画素)に割り付けられる割付候補ベクトルとなる。
さらに、フレームtの左から5番目の画素から、フレームt+1の左から4,5番目の画素近傍への動きベクトルv3は、内挿フレームF1上の左から4番目と5番目の画素の間、内挿フレームF2上の左から4番目と5番目の画素の間を通っている。したがって、動きベクトルv3は、動きベクトルv3が内挿フレームF1およびF2を交差する点の近傍領域N3に含まれる画素(内挿フレームF1の左から4番目と5番目の画素および内挿フレームF2の左から4番目と5番目の画素)に割り付けられる割付候補ベクトルとなる。
すなわち、内挿フレームF2の左から2番目の画素の割付候補ベクトルは、動きベクトルv2であり、内挿フレームF1上の左から2番目および3番目の画素、並びに内挿フレームF2の左から3番目の画素の割付候補ベクトルは、動きベクトルv1およびv2である。また、内挿フレームF2の左から4番目の画素の割付候補ベクトルは、動きベクトルv1およびv3であり、内挿フレームF1上の左から4番目および5番目の画素、並びに内挿フレームF2の左から5番目の画素の割付候補ベクトルは、動きベクトルv3である。
以上のように、元フレームにおいて検出された動きベクトルの中から、内挿フレーム上の各画素に割り付けられる割付候補ベクトルが求められる。なお、内挿フレームF1およびF2の左端の画素および右端の画素(図中黒丸)においては、近傍を通る動きベクトルは、示されていない。すなわち、内挿フレームF1およびF2の左端の画素および右端の画素には、割り付けられる割付候補ベクトルが存在しない。したがって、これらの画素については、後述する後段の割付補償部57において割付補償処理が実行される。
さらに、図41を参照して、元フレームで検出された動きベクトルと、60P信号の内挿フレーム上の画素について詳しく説明する。図41の例において、矢印Tは、図中、左前の時刻tのフレームtから、右奥の時刻t+1のフレームt+1への時間の経過方向を示している。また、時刻tと時刻t+1の間の時刻t+postに内挿フレームF1が置かれている。
図41の例の場合、フレームt上の画素(xa,ya)で検出された動きベクトルva(xva,yva)をフレームt+1方向に延ばし、内挿フレームF1との交点(xia,yia)を演算する。交点は、24P信号のフレームt上の動きベクトルvaの端点にあたる画素が移動した点であると考えられるので、具体的には、式(13)および式(14)のように表される。
ia = xa+postva ・・・(13)
ia = ya+postva ・・・(14)
ここで、上述したように、動きベクトルvaが画素以下精度を有する場合には、動きベクトルvaの交点と、内挿フレームF1上の画素位置は、一致するとは限らない。一致しない場合、図41に示されるように、動きベクトルvaは、内挿フレームF1上の交点の近傍4画素G1乃至G4に対して割り付けられる。すなわち、動きベクトルvaは、近傍の各画素G1乃至G4上にシフト(平行移動)されて、それぞれの画素に対して割り付けられる割付候補ベクトルとされ、割付補償処理が実行される。
なお、このように、1つの動きベクトルが、近傍4画素に対して割り付けられる候補となることもあるため、画素によっては、複数の動きベクトルが割付候補ベクトルとされる。この場合、ベクトル割付部54は、各動きベクトルについて、内挿フレーム上の画素と、その動きベクトルで対応付けられる元フレーム上の交点を算出し、その交点を用いて、各動きベクトルを評価することにより、最終的に、内挿フレーム上の画素に、割り付ける動きベクトルを決定する。
図42を参照して、ベクトル割付部54における動きベクトルの評価について説明する。図42は、下から、図41の時刻tのフレームt、時刻t+postの内挿フレームF1、および、時刻t+1のフレームt+1を、1次元的に示している。
図42の例において、動きベクトルsvaは、フレームt上の画素(xa,ya)において検出された動きベクトルvaが、近傍の画素G4の割付候補ベクトルとして、画素G4上にシフト(平行移動)されたものである。ここで、画素G4上にシフトされた動きベクトルsvaと、フレームtおよびフレームt+1との交点を、それぞれ点Pおよび点Qとする。
ベクトル割付部54は、動きベクトルsvaの第1の評価として、まず、点Pおよび点Qを中心としたDFD演算範囲をそれぞれ求め、求めたDFD演算範囲が画枠をはみ出してしまうか否かを判断する。したがって、点Pおよび点Qを中心としたDFD演算範囲が画枠をはみ出てしまった場合には、動きベクトルsvaは、候補から除外される。
また、この点Pおよび点Qが、例えば、異なるオブジェクトに属する場合、点Pの輝度値Ft(P)と、点Qの輝度値Ft+1(Q)の差は、大きくなってしまう。したがって、ベクトル割付部54は、動きベクトルsvaの第2の評価として、点Pと点Qを用いて、画素G4における輝度差分絶対値dpを求め、輝度差分絶対値dpが所定の値より大きいか否かを判断する。輝度差分絶対値dpが所定の値より大きいと判断された場合には、画素G4における動きベクトルsvaの信頼度が低いとされ、動きベクトルsvaは、候補から除外される。なお、輝度差分絶対値dpは、次の式(15)で表される。
dp = |Ft(P)― Ft+1(Q)| ・・・(15)
そして、動きベクトルsvaの第3の評価として、ベクトル割付部54は、点Pおよび点Qを中心としたDFD演算範囲の相関値を表す差分絶対値による評価判断を行う。すなわち、ベクトル割付部54は、点Pおよび点Qを中心としたDFD演算範囲を用いて、画素G4における動きベクトルsvaの評価値DFD(差分絶対値)を求め、求められた評価値DFDがDFDテーブルの最小評価値よりも小さいか否かを判断する。以上の評価の結果、ベクトル割付部54は、求められた評価値DFDの中で最小の評価値DFDを有する動きベクトルを、画素G4に割り付ける。
以上のように、内挿フレームの画素における割付候補の動きベクトルを、割付対象画素の評価値DFDだけでなく、割付対象画素における輝度差分絶対値を用いて評価するようにしたので、従来の評価値DFDを用いるだけの場合よりも、確からしい動きベクトルを、割付対象画素に割り付けることができる。この結果、ベクトル割付の精度が向上する。
なお、上述したように内挿フレームの画素における割付候補の動きベクトルを評価するためには、内挿フレームの画素を基準に、その動きベクトルで対応付けられる元フレーム上の位置が用いられるが、輝度差分絶対値dpおよび評価値DFDを求める際に、割付候補の動きベクトルは、内挿フレームの画素位置を基準に延長するため、動きベクトルと元フレーム上の交点は、元フレームの画素位置と一致しないことがあり、このままでは画素値を求めることができない。このような場合に、図39を参照して上述した4点補間処理が実行される。
図43は、ベクトル割付処理における4点補間の例を示している。図43において、図41および図42における場合と対応する部分には対応する符号を付してあり、その説明は繰り返しになるので省略する。
図43の例においては、割付候補の動きベクトルsvaは、内挿フレームF1の画素位置G4を基準に延長されているため、動きベクトルsvaとフレームtとの交点Pは、フレームt上の画素位置(フレームt上の白丸)と一致しておらず、また、動きベクトルsvaとフレームt+1との交点Qも、フレームt+1上の画素位置(フレームt上の白丸)と一致していない。したがって、フレームtおよびフレームt+1においては、それぞれ交点Pおよび交点Qを中心とした近傍Eの4画素(フレームtおよびフレームt+1上の白丸)を用いて、上述した4点補間演算が行なわれ、交点Pおよび交点Qの画素値が求められる。
このように、本発明のベクトル割付処理においては、4点補間処理により求められる交点Pおよび交点Qの画素値が用いられて、輝度差分絶対値dpおよび評価値DFDが演算されるので、従来の画素以下成分を丸めてしまう方法よりも、輝度差分絶対値dpや評価値DFDを精度よく求めることができる。
次に、図44のフローチャートを参照して、ベクトル割付処理の詳細を説明する。24P信号の元フレームである、時刻tの画像のフレームtと、時刻t+1の画像のフレームt+1は、画素情報演算部701、評価値演算部702、および着目画素差分演算部703に入力される。
画素情報演算部701は、新しい元フレームが入力されると、ベクトル選択部705を制御し、ステップS701において、割付フラグメモリ56の割付フラグを0(False)で初期化させ、ステップS702に進み、割付ベクトルメモリ55を0ベクトルで初期化させ、ステップS703に進む。これにより、結果的に、動きベクトルが割り付けられない画素に、0ベクトルが割り付けられる。
また、画素情報演算部701は、ステップS703において、評価値演算部702を制御し、内挿フレーム上のすべての画素に対して、0ベクトルを用いて評価値DFD0を算出させ、ベクトル選択部705を制御し、評価値演算部702により算出された0ベクトルの評価値DFD0を、内挿フレームの各画素に対する最小評価値としてDFDテーブルに記憶させ、ステップS704に進む。すなわち、ステップS703において、評価値演算部702は、内挿フレームすべての画素に対して、0ベクトルを用いて評価値DFD0を算出し、算出した評価値DFD0を、ベクトル評価部704を介して、ベクトル選択部705に出力する。そして、ベクトル選択部705は、ベクトル評価部704を介して入力された評価値DFD0を、DFDテーブルの対応する画素の最小評価値として記憶する。
画素情報演算部701は、ステップS704において、検出ベクトルメモリ53上の元フレームから画素を選択し、ステップS705に進む。なお、この場合、フレームの左上からラスタスキャン順に画素が選択される。
画素情報演算部701は、ステップS705において、画素位置演算処理を実行し、ステップS706に進む。この画素位置演算処理の詳細は、図45を参照して後述するが、この画素位置演算処理により、ステップS704において選択された画素において検出された動きベクトルが割り付けられる対象となる内挿フレーム上の割付対象画素が算出され、算出された割付対象画素を基準に、その動きベクトルで対応付けられる元フレーム上の位置が算出される。
画素情報演算部701は、ステップS706において、算出された割付対象画素を選択し、選択した割付対象画素と、その動きベクトルを、ベクトル選択部705に出力し、ステップS707に進む。このとき、同時に、画素情報演算部701は、選択した割付対象画素を基準に、その動きベクトルで対応付けられる元フレーム上の位置の情報を、評価値演算部702および着目画素演算部703に出力する。なお、ステップS706において、画素情報演算部701は、割付対象画素が複数存在する場合には、左上の画素から選択する。
ステップS707において、画素情報演算部701は、選択された割付対象画素に関して、割付ベクトル評価処理を実行し、ステップS708に進む。この割付ベクトル評価処理の詳細は、図46を参照して後述するが、この割付ベクトル評価処理により、割付対象画素における動きベクトルの評価値DFDおよび輝度差分絶対値が求められ、割付対象画素における動きベクトルの信頼度が判断され、これらの判断の結果、信頼度が高いとされた動きベクトルで、割付ベクトルメモリ55の動きベクトルが書き換えられる。
画素情報演算部701は、ステップS708において、すべての割付対象画素の処理が終了したか否かを判断し、まだ、すべての割付対象画素の処理が終了していないと判断した場合には、ステップS706に戻り、次の割付対象画素を選択し、それ以降の処理を繰り返す。
ステップS708において、すべての割付対象画素の処理が終了したと判断された場合、画素情報演算部701は、ステップS709において、検出ベクトルメモリ53上の元フレームのすべての画素の処理を終了したか否かを判断する。画素情報演算部701は、ステップS709において、検出ベクトルメモリ53上の元フレームのすべての画素の処理を終了していないと判断した場合、ステップS704に戻り、検出ベクトルメモリ53上の元フレームの次の画素を選択し、それ以降の処理を繰り返す。また、画素情報演算部701は、ステップS709において、検出ベクトルメモリ53のすべての画素についての処理を終了したと判断した場合、ベクトル割付処理を終了する。
次に、図45のフローチャートを参照して、画素位置演算処理の詳細を説明する。なお、図45は、図44のステップS705の画素位置演算処理の例を示している。
ステップS721において、画素情報演算部701は、ステップS704の処理により選択された画素で検出された動きベクトルを、検出メモリベクトル53から取得し、ステップS722に進む。なお、選択された画素の動きベクトルが0ベクトルである場合、割付ベクトルメモリ55には、初期値として0ベクトルが予め記憶されているので、以降のステップS722乃至S724、および、図44のステップS706乃至S708の処理はスキップされ、処理は、ステップS709に進む。
画素情報演算部701は、ステップS722において、取得された動きベクトルと内挿フレームの交点を算出する。すなわち、画素情報演算部701は、取得した動きベクトルを、次フレームt+1方向に延ばし、延ばした動きベクトルと、内挿フレームとの交点を算出し、ステップS723に進む。
画素情報演算部701は、ステップS723において、動きベクトルと内挿フレームから算出された交点から、割付対象画素を設定し、ステップS724に進む。このとき、画素情報演算部701は、交点が内挿フレーム上の画素位置に一致する場合には、交点を、割付対象画素に設定する。一方、画素情報演算部701は、交点が内挿フレーム上の画素位置に一致しない場合には、上述したように、内挿フレーム上の交点の近傍4画素を、割付対象画素に設定する。
ステップS724において、画素情報演算部701は、評価値演算部702および着目画素差分演算部703が評価値DFDおよび輝度差分絶対値を求める上で必要である、各割付対象画素を基準に、取得された動きベクトルで対応付けた元フレーム上の位置を算出する。具体的には、画素情報演算部701は、ステップS724において、取得された動きベクトルを、設定された割付対象画素にシフト(平行移動)し、シフトされた動きベクトルと、元フレーム上の交点の位置を求め、画素位置演算処理を終了し、図43のステップS706に戻る。
次に、図46のフローチャートを参照して、割付ベクトル評価処理の詳細を説明する。なお、図46は、図44のステップS707の割付ベクトル評価処理の例を示している。
図44のステップS706において、画素情報演算部701により、選択した割付対象画素を基準に、その動きベクトルで対応付けられる元フレーム上の位置が求められ、求められた元フレーム上の位置の情報が、評価値演算部702および着目画素差分演算部703に入力される。
評価値演算部702は、画素情報演算部701から、元フレーム上の位置の情報が入力されると、ステップS741において、割付対象画素における動きベクトルの評価値DFDを求めるために、フレームtおよびフレームt+1上の位置を中心としたDFD演算範囲(m×n)をそれぞれ求め、ステップS742に進み、求められたDFD演算範囲が画枠内にあるか否かを判断する。評価値演算部702は、ステップS742において、DFD演算範囲が画枠からはみ出していると判断した場合、その動きベクトルは、割付対象画素に割り付ける割付候補ベクトルにはならないと判断し、ステップS743乃至S749の処理をスキップし、割付ベクトル評価処理を終了し、図44のステップS708に戻る。
評価値演算部702は、ステップS742において、求められたDFD演算範囲が画枠内にあると判断した場合、ステップS743に進み、画枠内にあると判断されたDFD演算範囲を用いて、割付対象画素の評価値DFDを演算し、求められた評価値DFDを、評価値判断部712に出力し、ステップS744に進む。なお、このとき、元フレーム上の位置が画素以下であった場合には、上述した4点補間を用いて、元フレーム上の交点の輝度値を求めることにより、割付対象画素の評価値DFDが演算される。
一方、着目画素差分演算部703は、画素情報演算部701から、元フレーム上の位置の情報が入力されると、ステップS744において、割付対象画素における輝度差分絶対値dpを求め、求められた輝度差分絶対値dpを、画素差分判断部711に出力し、ステップS745に進む。なお、このときも、元フレーム上の位置が画素以下であった場合には、着目画素差分演算部703は、上述した4点補間を用いて、元フレーム上の交点の輝度値を求めることにより、割付対象画素における輝度差分絶対値dpを演算する。
画素差分判断部711は、ステップS745において、着目画素差分演算部703からの割付対象画素の輝度差分絶対値dpが、所定のしきい値以下であるか否かを判断し、割付対象画素の輝度差分絶対値dpが、所定のしきい値より大きいと判断した場合、フレームtおよびフレームt+1の交点がそれぞれ異なるオブジェクトに属する可能性が高いと判断し、すなわち、その動きベクトルは、割付対象画素における信頼度が低く、割付対象画素に割り付ける割付候補ベクトルにはならないと判断し、ステップS746乃至S749の処理をスキップし、割付ベクトル評価処理を終了し、図44のステップS708に戻る。
画素差分判断部711は、ステップS745において、割付対象画素の輝度差分絶対値dpが、所定のしきい値以下であると判断した場合、ステップS746に進む。評価値判断部712は、ステップS746において、ベクトル選択部705のDFDテーブルを参照し、評価値演算部702からの割付対象画素の評価値DFDが、DFDテーブルに記憶されている割付対象画素の最小評価値(いまの場合、0ベクトルの評価値DFD0)よりも小さいか否かを判断し、評価値演算部702からの割付対象画素の評価値DFDが、DFDテーブルに記憶されている割付対象画素の最小評価値以上であると判断した場合、その動きベクトルは、割付対象画素において、信頼度が高くないと判断し、ステップS747乃至S749の処理をスキップし、割付ベクトル評価処理を終了し、図44のステップS708に戻る。
一方、評価値判断部712は、ステップS746において、評価値演算部702からの割付対象画素の評価値DFDが、DFDテーブルに記憶されている割付対象画素の最小評価値よりも小さいと判断した場合、その動きベクトルは、割付対象画素において、いままで比較した動きベクトルの中で最も、評価値DFDに基づく信頼度が高いと判断し、信頼度が高いと判断された割付対象画素の評価値DFDを、ベクトル選択部705に出力し、ステップS747に進む。
ベクトル選択部705は、評価値判断部712からの割付対象画素の評価値DFDを入力すると、ステップS747において、割付フラグメモリ56の割付対象画素の割付フラグを1(True)に書き換え、ステップS748に進み、DFDテーブルの割付対象画素が対応する最小評価値を、評価値判断部712により信頼度が高いと判断された評価値DFDに書き換え、ステップS749に進む。
ベクトル選択部705には、ステップS706において、画素情報演算部701から選択した割付対象画素とその動きベクトルが入力されている。したがって、ベクトル選択部705は、ステップS749において、割付ベクトルメモリ55の割付対象画素に割り付けられている動きベクトルを、信頼度が高いと判断された評価値DFDに対応する動きベクトルで書き換え、割付ベクトル評価処理を終了し、図44のステップS708に戻る。
以上のように、内挿フレームの割付対象画素に割り付けられる動きベクトルを選ぶときに、評価値DFDだけでなく、割付対象画素を基準に動きベクトルで対応付けた元フレーム上の位置に基づいて求められる、割付対象画素の輝度差分絶対値を別扱いにし、評価するようにしたので、従来の評価値DFDを用いるだけの場合よりも、割付候補ベクトルの中から、最も確からしい動きベクトルを選んで、割付対象画素に割り付けることができる。これにより、ベクトル割付の精度が向上し、後段の画像補間処理において生成される画像の不連続性などを抑制することができ、画像の品質を向上させることができる。
さらに、評価値DFDや輝度差分絶対値を求める際などに、画素以下位置の画素値が必要な場合に、その画素以下位置の近傍4画素との距離を基にした線形補間で値を求めるようにしたので、画素以下位置精度の処理が可能になり、さらに、従来の画素以下成分を丸めてしまう方法よりも、輝度差分絶対値dpや評価値DFDを精度よく求めることができ、これにより、割付候補ベクトルの中から、着目画素により確からしい動きベクトルを割り付けることができる。すなわち、ベクトル割付処理の精度が向上する。
また、0ベクトルによる評価値DFDを初期値として、DFDテーブルに予め保持しておき、動きベクトルを順次処理している間に、ある動きベクトルによる評価値DFDがその時点で最小評価値となった場合に、DFDテーブルの最小評価値と、割付ベクトルメモリ55に割り付けられている動きベクトルを、随時更新するようにしたので、時間とリソースを効率的に使用することができる。
次に、割付補償部57の構成の詳細について説明する。
図47は、割付補償部57の構成を示すブロック図である。図47に構成を示す割付補償部57は、割付ベクトル判定部801およびベクトル補償部802により構成され、ベクトル割付部54により動きベクトルが割り付けられなかった60P信号の内挿フレーム上の画素に、その周辺画素の動きベクトルを補って割り付ける処理を行う。
前段のベクトル割付部54により、割付ベクトルメモリ55上の内挿フレームの画素には動きベクトルが割り付けられている。また、ベクトル割付部54により動きベクトルが割り付けられた画素の割付フラグメモリ56の割付フラグには、1(True)が書き込まれており、動きベクトルが割り付けられなかった画素の割付フラグメモリ56の割付フラグには、0(False)が書き込まれている。
割付ベクトル判定部801は、割付フラグメモリ56の割付フラグを参照し、着目画素に、ベクトル割付部54により動きベクトルが割り付けられているか否かを判定する。そして、割付ベクトル判定部801は、ベクトル割付部54により動きベクトルが割り付けられなかった着目画素を選択し、選択した着目画素に対して、ベクトル補償部802を制御し、その着目画素の周辺画素の動きベクトルを選択して、割付ベクトルメモリ55の内挿フレーム上に割り付けさせる。
ベクトル補償部802は、割付ベクトルメモリ55から、着目画素の周辺画素に割り付けられている動きベクトルを取得し、入力される時刻tの画像のフレームtと、時刻t+1の画像のフレームt+1を用いて、取得した動きベクトルの評価値DFDを求めて比較することにより、着目画素の周辺画素に割り付けられた動きベクトルのうち、評価値DFDに基づく、最も信頼度が高い動きベクトルを、割付ベクトルメモリ55の着目画素に割り付ける。また、ベクトル補償部802は、動きベクトルが割り付けられた着目画素の割付フラグを1(True)に書き換える。
図48は、ベクトル補償部802の構成を示すブロック図である。図48に構成を示すベクトル補償部802は、補償処理部811および評価値演算部812により構成される。
補償処理部811は、最小評価値DFDと、最小評価値DFDの動きベクトルを候補ベクトル(以下、補償候補ベクトルとも称する)として記憶するメモリ821を有しており、割付ベクトル判定部801により選択された着目画素の初期値として、0ベクトルの評価値DFDを最小評価値としてメモリ821に記憶し、0ベクトルを、補償候補ベクトルとしてメモリ821に記憶する。補償処理部811は、割付フラグメモリ56を参照して、着目画素の周辺画素の動きベクトルの有無を判断し、割付ベクトルメモリ55から、周辺画素に割り付けられている動きベクトルを取得し、評価値演算部812を制御し、その動きベクトルの評価値DFDを演算させる。
また、補償処理部811は、評価値演算部812により演算された評価値DFDがメモリ821に記憶されている最小評価値よりも小さいか否かを判断し、演算された評価値DFDが最小評価値よりも小さいと判断した場合、メモリ821の補償候補ベクトルと最小評価値を、演算された評価値DFDとその動きベクトルに書き換え、最終的に、評価値DFDが最も小さいと判断された周辺画素の動きベクトル(補償候補ベクトル)を、着目画素の動きベクトルとして、割付ベクトルメモリ55の着目画素に割り付ける。さらに、補償処理部811は、動きベクトルが割り付けられた着目画素の割付フラグメモリ56の割付フラグを1(True)に書き換える。
評価値演算部812は、割付ベクトルメモリ55から周辺画素の動きベクトルを取得すると、入力される時刻tの24P信号の画像のフレームtと、時刻t+1の画像のフレームt+1を用いて、割付ベクトルメモリ55からの動きベクトルの評価値DFDを演算し、演算した評価値DFDを補償処理部811に出力する。
図49は、割付補償処理の原理を説明する図である。図49の例においては、内挿フレーム上の各画素が示されている。画素から出力される矢印は、各画素に割り付けられている動きベクトルを表しており、矢印がない画素は、動きベクトルが割り付けられていない画素を表している。
ここで、前段のベクトル割付部54により動きベクトルの割り付けられなかった中央の着目画素Pに対して、着目画素Pの近傍の周辺画素に割り付けられている動きベクトルの中から、評価値DFDに基づく、信頼度が高いものを選択して割り付ける。図49の例の場合、着目画素Pには、着目画素Pの上の画素の動きベクトル(太線矢印)が選択され、割り付けられている。これは、次に説明する動き相関に基づいて実行される処理である。
図50は、動き相関の原理について説明する図である。図50の例においては、あるフレーム上を動きv1で動くオブジェクトO1と、動きv2で動くオブジェクトO2が示されている。オブジェクトO1に属している着目画素P1とその近傍K1は、オブジェクトO1とほぼ同一動きv1を有している。また、オブジェクトO2に属している着目画素P2とその近傍K2は、オブジェクトO2とほぼ同じ動きv2を有している。
このように、動き相関とは、ある同じ時間における空間内(同一フレーム内)において、あるオブジェクトに属する画素の動きは、ほぼ同一動きをしていることが多いということを表すものである。したがって、動きベクトルを割り付けることができなかった画素に対しては、ある同じ時間における空間内(同一フレーム内)において、このような動き相関があることを利用して、周辺画素の動きベクトルから、その画素の対応する動きベクトルを選択することができる。なお、説明は省略するが、時間方向の相関も同様である。
次に、図51乃至図57を参照して、動き相関に基づいて実行される動きベクトルの補償処理について説明する。すなわち、周辺画素の動きベクトルから、動きベクトルを選択し、着目画素の動きベクトルとして補う処理である。図51の例においては、白丸は、内挿フレーム上の画素を表しており、動きベクトルを求めようとしている着目画素Pの周辺に、周辺8画素が示されている。この着目画素Pの動きベクトルは、この周辺8画素の動きベクトルを参照して求められる。
図52の例においては、着目画素Pの周辺8画素の中で、左上画素、右上画素、および、右下画素(黒丸)に、前段の処理(例えば、上述したベクトル割付処理)などにより求められた動きベクトル(矢印)が示されている。すなわち、この場合の着目画素Pの補償候補ベクトルは、左上画素、右上画素、および、右下画素の動きベクトルとされる。なお、フレーム上において、動きベクトルは、フレーム上の左上の画素からラスタスキャン順に求められていくため、周辺8画素のうち、まだ動きベクトルの求められていない画素も存在する可能性もあるが、まだ動きベクトルは求められていないため、補償候補ベクトルにはできない。
ここで、図53の例に示されるように、周辺8画素の中には、前段の処理において求められた動きベクトルを有する画素(黒丸)の他に、本処理により求められた動きベクトルを有する画素(ハッチングされた丸)も存在する。すなわち、本処理においては、本処理自体の前段の結果も利用される。したがって、図53の例の場合の着目画素Pの補償候補ベクトルは、動きベクトルがすでに存在する画素(黒丸)の動きベクトルと、前段の本処理により求められた動きベクトルを有する画素(ハッチングされた丸)の動きベクトルにより構成されている。
また、図54の例に示されるように、動き量を0とした0ベクトル(静止ベクトル)S0も補償候補ベクトルとして利用することができる。なお、図53の例においては、本処理により求められた動きベクトルを有する画素と、動きベクトルがすでに存在する画素を別々に表したが、どちらも動きベクトルを有するという点で同じであるので、図54乃至図57においては、本処理により求められた動きベクトルを有する画素も、動きベクトルがすでに存在する画素(黒丸)に含まれることとする。したがって、図54の例の場合、着目画素Pの補償候補ベクトルは、動きベクトルがすでに存在する画素(黒丸)の動きベクトルおよび0ベクトルS0により構成されている。
以上のようにして構成される補償候補ベクトルの信頼度(確からしさ)を比較するために、動きベクトルの評価方法である評価値DFDは、以降の図55乃至図57に示されるようにして求められる。図55は、補償候補ベクトルとして、0ベクトルS0が用いられる例を示している。図56は、補償候補ベクトルとして、周辺8画素の左上画素の動きベクトルVK1が用いられる例を示している。図57は、補償候補ベクトルとして、周辺8画素の上中央画素の動きベクトルVK2が用いられる例を示している。
図55の例においては、図中左側に示される着目画素Pの補償候補ベクトルの中から、0ベクトルS0が選択され、選択された0ベクトルS0の評価値DFDを求める例が示されている。すなわち、0ベクトルS0に対する評価値DFDは、着目画素P(60P信号の内挿フレーム)を挟む、24P信号のフレームtとフレームt+1上において、内挿フレーム上の着目画素Pを基準にして、選択された0ベクトルS0が対応付けられる交点を求め、この交点を中心として所定の範囲(m×n)のDFD演算範囲D1−1およびD1−2を算出し、算出されたDFD演算範囲D1−1およびD1−2を用いて、上述した式(1)を演算することにより求められる。
図56の例においては、図中左側に示される着目画素Pの補償候補ベクトルの中から、周辺8画素の左上画素の動きベクトルVK1が選択され、選択された動きベクトルVK1の評価値DFDを求める例が示されている。すなわち、周辺8画素の左上画素の動きベクトルVK1に対する評価値DFDは、着目画素P(内挿フレーム)を挟むフレームtとフレームt+1上において、内挿フレーム上の着目画素Pを基準にして、選択された動きベクトルVK1が対応付けられる交点を求め、この交点を中心として所定の範囲(m×n)のDFD演算範囲D2−1およびD2−2を算出し、算出されたDFD演算範囲D2−1およびD2−2を用いて、上述した式(1)を演算することにより求められる。
図57の例においては、図中左側に示される着目画素Pの補償候補ベクトルの中から、補償候補ベクトルとして、周辺8画素の上中央画素の動きベクトルVK2が選択され、選択された動きベクトルVK2の評価値DFDを求める例が示されている。すなわち、周辺8画素の上中央画素の動きベクトルVK2に対する評価値DFDは、着目画素P(内挿フレーム)を挟むフレームtとフレームt+1上において、内挿フレーム上の着目画素Pを基準にして、選択された動きベクトルVK2が対応付けられる交点を求め、この交点を中心として所定の範囲(m×n)のDFD演算範囲D3−1およびD3−2を算出し、算出されたDFD演算範囲D3−1およびD3−2を用いて、上述した式(1)を演算することにより求められる。
なお、図中左側に示される他の補償候補ベクトルについても、基本的に同様の処理であるため、その説明は省略するが、以上のようにして、着目画素Pの周辺画素の補償候補ベクトルすべての評価値DFDが求められ、求められたそれらの評価値DFDが比較され、その中で、最も評価値DFDが最小となる補償候補ベクトルが、図58に示されるように、着目画素Pに割り付けられる最も信頼度がある、確からしい動きベクトルとして選択される。
図58の例の場合、着目画素Pの周辺画素の補償候補ベクトルの中から、周辺8画素の左上画素の動きベクトルVK1の評価値DFDが最も小さいとして判断され、動きベクトルVK1が、着目画素Pの動きベクトルとして選択され、割り付けられている。
以上のように、ベクトル割付部54において割り付けることができなかった画素の動きベクトルを、動き相関を利用して、周辺画素の動きベクトルから補償するようにしたので、動きベクトルが割り付けられず、例えば、0ベクトルが割り付けられていたような場合よりも、動きの乱れを抑制することができる。また、このようにして補償された画素の動きベクトルも、他の画素の補償候補ベクトルとして再度利用することができる。すなわち、空間方向の近傍の動きベクトルだけでなく、時間方向の近傍の動きベクトルも、補償候補ベクトルに用いることができるので、オブジェクト内でほぼ同じ動きをする画素には、ほぼ同一の動きベクトルが選択され、誤りの少ない安定した動きベクトルを得ることができる。これにより、ベクトル割付の精度が向上する。
次に、図59のフローチャートを参照して、割付補償処理の詳細を説明する。前段のベクトル割付部54により、割付ベクトルメモリ55上の内挿フレームの画素には動きベクトルが割り付けられている。また、ベクトル割付部54により動きベクトルが割り付けられた画素の割付フラグメモリ56の割付フラグには、1(True)が書き込まれており、動きベクトルが割り付けられなかった画素の割付フラグメモリ56の割付フラグには、0(False)が書き込まれている。
割付ベクトル判定部801は、ステップS801において、割付フラグメモリ56の内挿フレームの画素を、着目画素として選択し、ステップS802に進む。このとき、割付ベクトル判定部801は、フレームの左上の画素からラスタスキャン順に画素を選択する。
割付ベクトル判定部801は、ステップS802において、割付フラグメモリ56内の着目画素の割付フラグが、0(False)であるか否かを判断し、割付フラグメモリ56内の着目画素の割付フラグが、0(False)であると判断した場合、動きベクトルが割り付けられていないと判定し、ステップS803に進み、補償処理部811を制御し、ベクトル補償処理を実行させ、ステップS804に進む。このベクトル補償処理の詳細は、図60を参照して後述するが、このベクトル補償処理により、周辺画素に割り付けられた動きベクトルの中から、評価値DFDの最小の動きベクトルが補償候補ベクトルとしてメモリ821に記憶される。
補償処理部811は、ステップS804において、メモリ821の補償候補ベクトルを、着目画素の動きベクトルとして、割付ベクトルメモリ55に割り付け、ステップS805に進み、割付フラグメモリ56の着目画素の割り付けフラグを、1(True)に書き換え、ステップS806に進む。
一方、ステップS802において、割付ベクトル判定部801は、割付フラグメモリ56内の着目画素の割付フラグが、1(True)であると判断した場合、その着目画素にはすでに動きベクトルが割り付けられていると判定して、ステップS803乃至S805の処理をスキップし、ステップS806に進む。
割付ベクトル判定部801は、ステップS806において、割付フラグメモリ56の内挿フレームのすべての画素の処理を終了したか否かを判断し、すべての画素の処理を終了していないと判断した場合、ステップS801に戻り、割付フラグメモリ56の内挿フレームの次の画素を、着目画素として選択し、それ以降の処理を実行する。ステップS806において、割付フラグメモリ56の内挿フレームのすべての画素の処理を終了したと判断した場合、割付補償処理を終了する。
次に、図60のフローチャートを参照して、ベクトル補償処理の詳細を説明する。なお、図60は、図59のステップS803のベクトル補償処理の例を示している。
補償処理部811は、ステップS821において、評価値演算部812を制御し、0ベクトルを用いて評価値DFD0を算出させ、ステップS822に進む。具体的には、評価値演算部812は、ステップS821において、入力される時刻tの画像のフレームtと、時刻t+1の画像のフレームt+1を用いて、例えば、図55を参照して上述したように、着目画素について、0ベクトルでの評価値DFD0を演算し、演算した評価値DFD0を補償処理部811に出力する。
ステップS822において、補償処理部811は、評価値DFD0を最小評価値としてメモリ821に記憶し、ステップS823に進み、0ベクトルを補償候補ベクトルとして、メモリ821に記憶し、ステップS824に進む。補償処理部811は、ステップS824において、割付ベクトル判定部801により選択された着目画素の周辺8画素のうち、1つの周辺画素を選択し、ステップS825に進む。このとき、補償処理部811は、周辺8画素のうち、左上の画素からラスタスキャン順に周辺画素を選択する。
補償処理部811は、ステップS825において、割付フラグメモリ56を参照し、選択した周辺画素の動きベクトルが存在するか否かを判断する。割付フラグメモリ56の周辺画素の割付フラグが1(True)であれば、補償処理部811は、ステップS825において、選択した周辺画素に割り付けられている動きベクトルが存在すると判断し、ステップS826に進み、割付ベクトルメモリ55から、周辺画素の動きベクトルを取得し、ステップS827に進む。このとき、割付ベクトルメモリ55から評価値演算部812にも周辺画素の動きベクトルが出力される。
評価値演算部812は、割付ベクトルメモリ55から周辺画素の動きベクトルが入力されると、ステップS827において、入力される時刻tの画像のフレームtと、時刻t+1の画像のフレームt+1を用いて、着目画素について、割付ベクトルメモリ55からの動きベクトルの評価値DFDを演算し、演算した評価値DFDを、補償処理部811に出力し、ステップS828に進む。
補償処理部811は、評価値演算部812から評価値DFDが入力されると、ステップS828において、評価値DFDが、メモリ821に記憶されている着目画素の最小評価値よりも小さいか否かを判断し、評価値DFDが、メモリ821に記憶されている着目画素の最小評価値よりも小さいと判断した場合、ステップS829に進み、メモリ821の最小評価値を、最小評価値よりも小さいと判断された評価値DFDに書き換え、ステップS830に進み、メモリ821の補償候補ベクトルを、その最小評価値の動きベクトルに書き換え、ステップS831に進む。
一方、ステップS825において、割付フラグメモリ56の周辺画素の割付フラグが0(False)であると、補償処理部811は、選択した周辺画素に割り付けられている動きベクトルがないと判断し、ステップS826乃至S830の処理をスキップし、ステップS831に進む。また、ステップS828において、補償処理部811は、評価値DFDが、メモリ821に記憶されている着目画素の最小評価値以上であると判断した場合、ステップS829およびS830の処理をスキップし、ステップS831に進む。
補償処理部811は、ステップS831において、着目画素の周辺8画素すべてに対して処理が終了したか否かを判断し、着目画素の周辺8画素すべてに対して処理が終了していないと判断した場合、ステップS824に戻り、次の周辺画素を選択し、それ以降の処理を繰り返す。また、補償処理部811は、ステップS831において、着目画素の周辺8画素すべてに対して処理が終了したと判断した場合、ベクトル補償処理を終了し、図59のステップS804に戻る。
以上のように、ベクトル割付処理において、割り付けることができなかった画素に関しても、動き相関があることを利用して、その画素の周辺の動きベクトルの中から、評価値DFDに基づく、最も信頼度がある、確からしい動きベクトルを得ることができる。これにより、ベクトルが割り付けられず、0ベクトルなどを割り付けておく場合よりも、ベクトル割付の精度が向上し、後段の画像補間処理において生成される画像の不連続性を抑制することができる。
また、上述した割付補償処理により動きベクトルが割り付けられた画素の割付フラグを1(True)に書き換えるようにし、割付補償処理により割り付けられた動きベクトルも、次の画素の補償候補ベクトルとして用いるようにしたので、オブジェクト内でほぼ同じ動きをする画素には、ほぼ同一の動きベクトルが選択されるようになり、誤りの少ない安定した動きベクトルを得ることができる。その結果、後段において生成される画像のブロックノイズや粉状ノイズなどを抑制し、品質を向上させることができる。
また、動きベクトルを求める着目画素について、0ベクトルの評価値DFDを予め算出し、最小評価値としてメモリに保持しておくことにより、すべての補償候補ベクトル評価値DFDを一度に算出し、その中から最小の評価値DFDを選択する場合よりも、時間とリソースを効率的に使用することができる。
なお、上記説明においては、ベクトル割付部54において割り付けられなかった画素に対してベクトル補償処理を行っているが、ベクトル検出部52において検出されなかった(0ベクトルが検出された)画素など、何らかの処理において動きベクトルが求められなかった画素に対してベクトル補償処理を行うようにしてもよい。また、さらに、検出された動きベクトル、または、割り付けられた動きベクトルが確からしくない(信頼度が低い)とされる画素に対してベクトル補償処理を行うようにしてもよい。
本実施の形態においては、動きベクトルを選択する際の評価値として、差分絶対値和である評価値DFDを用いて説明したが、評価値DFDに限定されず、動きベクトルの信頼度を評価するものであれば、他のものを用いるようにしてもよい。
また、本実施の形態においては、各処理を行うブロックを、例えば、8画素×8画素や9画素×9画素などにより構成するようにして説明したが、これらは、一例であり、各処理を行うブロックを構成する画素は、上記画素数に限定されない。
さらに、本実施の形態においては、24P信号から60P信号への信号変換を例に、説明を行ったが、本発明は、例えば、動画像のフレーム周波数変換として、インターレース信号や、他のフレームレート変換にも適用することができる。
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム格納媒体からインストールされる。
コンピュータにインストールされ、コンピュータによって実行可能な状態とされるプログラムを格納するプログラム格納媒体は、図1に示されるように、磁気ディスク31(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク32(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク33(MD(Mini-Disc)(商標)を含む)、もしくは半導体メモリ34などよりなるリムーバブル記録媒体(パッケージメディア)、または、プログラムが一時的もしくは永続的に格納されるROM12などにより構成される。
なお、本明細書において、フローチャートに示されるステップは、記載された順序に従って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。

Claims (7)

  1. 勾配法の初期値として、フレーム上の着目ブロックを始点とした動きベクトルを検出するために用いられる、前記フレーム上の着目ブロックを始点とした初期ベクトルを選択する初期ベクトル選択手段と、
    記初期ベクトルを用いて、前記勾配法により、前記フレーム上の前記着目ブロックを始点とした前記動きベクトルを検出する動きベクトル検出手段と、
    第1のフレーム上の着目ブロックを始点とした第1の動きベクトルを検出する際に、前記第1の動きベクトルの終点としての終点ブロックが求められたことに対応して、前記第1のフレームの次のフレームである第2のフレーム上の、前記終点ブロックと同じ位置にある着目ブロックを始点とした第2の動きベクトルであって、前記第1の動きベクトルと同じ大きさ、かつ、同じ向きの前記第2の動きベクトルを、前記第2のフレーム上の着目ブロックを始点としたシフト初期ベクトルとして設定するシフト初期ベクトル設定手段と、
    少なくとも前記シフト初期ベクトルを、前記第2のフレーム上の着目ブロックを始点とした前記第2の動きベクトルを検出するために用いられる前記初期ベクトルの候補である候補ベクトルとして設定する候補ベクトル設定手段と
    複数の前記候補ベクトル毎に、前記第1のフレーム上の、前記候補ベクトルの始点とされたブロックの各画素値と、前記第2のフレーム上の、前記候補ベクトルの終点とされたブロックの各画素値との差分絶対値和を表す評価値を演算する評価値演算手段と
    を備え
    前記初期ベクトル選択手段は、前記複数の候補ベクトル毎の前記評価値に基づいて、前記複数の候補ベクトルの中から、前記第2のフレーム上の着目ブロックを始点とした前記初期ベクトルを選択する
    像処理装置。
  2. 前記シフト初期ベクトル設定手段は、
    複数の前記第1の動きベクトルそれぞれ終点とされた前記終点ブロックと同じ位置にある前記第2のフレーム上の着目ブロックを求めるブロック演算手段と、
    前記第1のフレーム上の、前記第1の動きベクトルの始点とされたブロックの各画素値と、前記第2のフレーム上の、前記第1の動きベクトルの終点とされたブロックの各画素値との差分絶対値和を表す評価値であって、前記複数の第1の動きベクトル毎に演算された前記評価値を比較する較手段と、
    前記複数の第1の動きベクトルのうち、前記評価値が最小の前記第1の動きベクトルと同じ大きさであって、かつ、同じ向きの前記第2の動きベクトルを、前記第2のフレーム上の着目ブロックを始点とした前記シフト初期ベクトルとして選択するシフト初期ベクトル選択手段と
    有する請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記候補ベクトル設定手段は、前記シフト初期ベクトル設定手段により設定された前記第2のフレーム上の着目ブロックを始点とした前記シフト初期ベクトル、および、前記動きベクトル検出手段により検出された動きベクトルのうちの、前記第1のフレームまたは前記第2のフレームにおいて検出された前記着目ブロックの所定の周辺ブロックを始点とした動きベクトルを、前記初期ベクトル選択の候補ベクトルとして設定する
    求項1に記載の画像処理装置。
  4. 前記動きベクトル検出手段により検出された前記第1の動きベクトルを、前記第1のフレームと前記第2のフレームの間に内挿される内挿フレーム上の画素に割り付ける割付手段と、
    前記割付手段により割り付けられた前記第1の動きベクトルに基づいて、前記内挿フレーム上の前記画素値を補間して生成する画素補間生成手段と
    をさらに備える求項1に記載の画像処理装置。
  5. 勾配法を用いて動きベクトルを検出する画像処理装置の画像処理方法において、
    勾配法の初期値として、フレーム上の着目ブロックを始点とした動きベクトルを検出するために用いられる、前記フレーム上の着目ブロックを始点とした初期ベクトルを選択する初期ベクトル選択ステップと、
    記初期ベクトルを用いて、前記勾配法により、前記フレーム上の前記着目ブロックを始点とした前記動きベクトルを検出する動きベクトル検出ステップと、
    第1のフレーム上の着目ブロックを始点とした第1の動きベクトルを検出する際に、前記第1の動きベクトルの終点としての終点ブロックが求められたことに対応して、前記第1のフレームの次のフレームである第2のフレーム上の、前記終点ブロックと同じ位置にある着目ブロックを始点とした第2の動きベクトルであって、前記第1の動きベクトルと同じ大きさ、かつ、同じ向きの前記第2の動きベクトルを、前記第2のフレーム上の着目ブロックを始点としたシフト初期ベクトルとして設定するシフト初期ベクトル設定ステップと、
    少なくとも前記シフト初期ベクトルを、前記第2のフレーム上の着目ブロックを始点とした前記第2の動きベクトルを検出するために用いられる前記初期ベクトルの候補である候補ベクトルとして設定する候補ベクトル設定ステップと
    複数の前記候補ベクトル毎に、前記第1のフレーム上の、前記候補ベクトルの始点とされたブロックの各画素値と、前記第2のフレーム上の、前記候補ベクトルの終点とされたブロックの各画素値との差分絶対値和を表す評価値を演算する評価値演算ステップと
    を含み、
    前記初期ベクトル選択ステップは、前記複数の候補ベクトル毎の前記評価値に基づいて、前記複数の候補ベクトルの中から、前記第2のフレーム上の着目ブロックを始点とした前記初期ベクトルを選択する
    像処理方法。
  6. 勾配法の初期値として、フレーム上の着目ブロックを始点とした動きベクトルを検出するために用いられる、前記フレーム上の着目ブロックを始点とした初期ベクトルを選択する初期ベクトル選択ステップと、
    記初期ベクトルを用いて、前記勾配法により、前記フレーム上の前記着目ブロックを始点とした前記動きベクトルを検出する動きベクトル検出ステップと、
    第1のフレーム上の着目ブロックを始点とした第1の動きベクトルを検出する際に、前記第1の動きベクトルの終点としての終点ブロックが求められたことに対応して、前記第1のフレームの次のフレームである第2のフレーム上の、前記終点ブロックと同じ位置にある着目ブロックを始点とした第2の動きベクトルであって、前記第1の動きベクトルと同じ大きさ、かつ、同じ向きの前記第2の動きベクトルを、前記第2のフレーム上の着目ブロックを始点としたシフト初期ベクトルとして設定するシフト初期ベクトル設定ステップと、
    少なくとも前記シフト初期ベクトルを、前記第2のフレーム上の着目ブロックを始点とした前記第2の動きベクトルを検出するために用いられる前記初期ベクトルの候補である候補ベクトルとして設定する候補ベクトル設定ステップと
    複数の前記候補ベクトル毎に、前記第1のフレーム上の、前記候補ベクトルの始点とされたブロックの各画素値と、前記第2のフレーム上の、前記候補ベクトルの終点とされたブロックの各画素値との差分絶対値和を表す評価値を演算する評価値演算ステップと
    を含み、
    前記初期ベクトル選択ステップは、前記複数の候補ベクトル毎の前記評価値に基づいて、前記複数の候補ベクトルの中から、前記第2のフレーム上の着目ブロックを始点とした前記初期ベクトルを選択する
    処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な録媒体。
  7. 勾配法の初期値として、フレーム上の着目ブロックを始点とした動きベクトルを検出するために用いられる、前記フレーム上の着目ブロックを始点とした初期ベクトルを選択する初期ベクトル選択ステップと、
    記初期ベクトルを用いて、前記勾配法により、前記フレーム上の前記着目ブロックを始点とした前記動きベクトルを検出する動きベクトル検出ステップと、
    第1のフレーム上の着目ブロックを始点とした第1の動きベクトルを検出する際に、前記第1の動きベクトルの終点としての終点ブロックが求められたことに対応して、前記第1のフレームの次のフレームである第2のフレーム上の、前記終点ブロックと同じ位置にある着目ブロックを始点とした第2の動きベクトルであって、前記第1の動きベクトルと同じ大きさ、かつ、同じ向きの前記第2の動きベクトルを、前記第2のフレーム上の着目ブロックを始点としたシフト初期ベクトルとして設定するシフト初期ベクトル設定ステップと、
    少なくとも前記シフト初期ベクトルを、前記第2のフレーム上の着目ブロックを始点とした前記第2の動きベクトルを検出するために用いられる前記初期ベクトルの候補である候補ベクトルとして設定する候補ベクトル設定ステップと
    複数の前記候補ベクトル毎に、前記第1のフレーム上の、前記候補ベクトルの始点とされたブロックの各画素値と、前記第2のフレーム上の、前記候補ベクトルの終点とされたブロックの各画素値との差分絶対値和を表す評価値を演算する評価値演算ステップと
    を含み、
    前記初期ベクトル選択ステップは、前記複数の候補ベクトル毎の前記評価値に基づいて、前記複数の候補ベクトルの中から、前記第2のフレーム上の着目ブロックを始点とした前記初期ベクトルを選択する
    処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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