以下、添付図面を参照して、この発明にかかる外部情報記録媒体およびこれを用いたRFIDシステムの好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によって、この発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1であるRFIDシステムの概略構成を模式的に例示するブロック図である。図1において、このRFIDシステム1は、無線通信機能と情報記録機能とを有する1以上の外部情報記録媒体たとえばRFIDタグと、RFIDシステム1の各RFIDタグに対して非接触による情報読取処理または情報書込処理を行える情報端末装置10とを備える。なお、図1では、RFIDシステム1を構成する1以上のRFIDタグのうち、RFIDタグ50を一例として示す。また、以下では、情報端末装置10およびRFIDタグ50の各構成および各機能を説明するが、RFIDシステム1の全RFIDタグは、RFIDタグ50と同様に機能し、情報端末装置10は、RFIDシステム1のRFIDタグ50以外の各RFIDタグに対し、RFIDタグ50の場合と同様に作用する。
情報端末装置10は、入力部11、表示部12、無線通信用のアンテナ13a、RFID処理部13、光学情報読取部14、外部通信部15、ストレージデバイス16、音声入出力部17、記憶部18、および制御部19を有する。
入力部11は、複数の入力キーを用いて実現され、医者または看護師等の使用者によるキー操作に応じ、各種情報を制御部19に入力する。このキー操作によって、入力部11は、たとえば制御部19に対して指示する各種指示情報を制御部19に入力する。この指示情報の例としては、表示部12に表示出力する情報、外部情報記録媒体に書き込む所望の情報(書込情報)、外部情報記録媒体内の情報を読み取る処理(情報読取処理)を開始指示する指示情報、光学情報記録媒体に記録された情報を読み取る処理(光学情報読取処理)を開始指示する指示情報、外部情報記録媒体に対してそのID情報を問い合わせるID問合せ処理を開始指示する指示情報、および書込情報を外部情報記録媒体に書き込む処理(情報書込処理)を開始指示する指示情報等が挙げられる。
表示部12は、液晶表示装置(LCD)または有機ELパネル等の薄型ディスプレイを用いて実現される。表示部12は、制御部19によって表示指示された各種情報を外部に表示出力する。この表示内容の例として、情報読取処理によって外部情報記録媒体から読み取った情報、光学情報読取処理によって光学情報記録媒体から読み取った情報、書込情報等の入力部11によって入力された情報、ID問合せ処理によって取得した外部情報記録媒体のID情報、および情報端末装置10に発生した各種エラーを報知するエラー表示等が挙げられる。
アンテナ13aは、たとえばループアンテナであり、アルミニウム、チタン−ニッケル合金、銅合金、またはステンレス等の金属を用いて実現される。アンテナ13aは、所定の電波を介して外部情報記録媒体たとえばRFIDタグ50との無線通信を行うためのものである。具体的には、アンテナ13aは、RFID処理部13から入力された電気信号を所定の電波に変換するとともに、この所定の電波を介し、この電気信号に基づく情報を外部情報記録媒体に送信する。また、アンテナ13aは、外部情報記録媒体からの電波を受信するとともに、この電波を電気信号に変換する。アンテナ13aは、この電気信号をRFID処理部13に送信する。
RFID処理部13は、周知の変調回路、復調回路、および高周波回路等を用いて実現される。RFID処理部13は、制御部19から入力された電気信号に対して所定の変調処理および電力増幅処理等を行い、得られた電気信号をアンテナ13aに出力する。また、RFID処理部13は、アンテナ13aから受信した電気信号に対して所定の復調処理を行い、外部情報記録媒体から送信された情報を取得する。RFID処理部13は、取得した情報を制御部19に送信する。
光学情報読取部14は、外部の光学情報記録媒体に記録された光学情報を読み取るためのものである。光学情報読取部14は、赤外光または可視光等を発光する発光素子と、レンズおよびミラー等の光学系と、受光した光学情報を所定の電気信号に変換する光電変換機能を有するCCD(Charge Coupled Device)またはフォトダイオード等の受光素子とを用いて実現される。具体的には、光学情報読取部14は、光学情報記録媒体に対して赤外光または可視光等を出力するとともに、この外部情報記録媒体からの反射光を受光し、受光した反射光をもとに、この外部情報記録媒体の光学情報を取得する。光学情報読取部14は、取得した光学情報を電気信号に変換して制御部19に送信する。
外部通信部15は、RS232C、USB、またはIEEE1394等に準拠したシリアル通信インターフェース、IEEE1284等に準拠したパラレル通信インターフェース、あるいはIrDA規格に準拠した赤外線通信インターフェース等を用いて実現され、外部のホストコンピュータ(図示せず)またはプリンタ等の周辺機器(図示せず)に対する情報通信を行う。外部通信部15は、制御部19によって送信指示または受信指示された各種情報をたとえば外部のホストコンピュータまたはプリンタ等の周辺機器との間で送信または受信する。なお、外部通信部15は、たとえば外部のホストコンピュータまたは周辺機器の各端子に電気的に接続できる共用端子が設けられ、この共用端子を介して情報通信を行ってもよい。
ストレージデバイス16は、所定の記憶メディアを着脱可能に装着でき、この記憶メディアに記録された情報を読み取り、またはこの記憶メディアに所望の情報を書き込む。具体的には、ストレージデバイス16は、制御部19によって読取指示された情報をこの記憶メディア内から読み取り、読み取った情報を制御部19に送信する。また、ストレージデバイス16は、制御部19によって書込指示された情報をこの記憶メディアに書き込む。なお、この記憶メディアの例として、スマートメディア、メモリスティック、マルチメディアカード、またはSDメモリカード等の各種記憶メディアが挙げられる。
音声入出力部17は、マイクロフォンおよびスピーカを用いて実現される。音声入出力部17は、外部からの音声および音等の音情報を制御部19に入力する。また、音声入出力部17は、制御部19によって出力指示された音情報を外部に出力する。なお、音声入出力部17は、制御部19による出力指示に基づき、各構成部による処理の開始または完了を報知する報知音を出力してもよいし、情報端末装置10に発生した各種エラーを報知するエラー音を出力してもよい。
記憶部18は、RAM、EEPROM、またはフラッシュメモリ等の情報の再書き込みおよび読み出しが可能な各種ICメモリを用いて実現される。記憶部18は、制御部19によって書込指示された情報を記憶し、また、記憶した情報のうち、制御部19によって読取指示された情報を読み出すとともに、読み出した情報を制御部19に送信する。また、記憶部18には、RFIDシステム1を構成する全RFIDタグのID情報に関する各IDテーブル(IDテーブル18a−1,18a−2,…)が予め書き込まれる。この場合、記憶部18は、たとえばRFIDタグ50のIDテーブル18a−1を格納している。
制御部19は、各種処理プログラムを実行するCPUと、このCPUが実行する各種処理プログラム等を予め記憶したROMと、各処理の演算パラメータまたは制御部19が受信した各種情報等を一時的に記憶するRAMとを用いて実現される。制御部19は、情報端末装置10の各構成部に対して駆動制御および情報の入出力制御を行う。また、制御部19は、情報端末装置10の各構成部との間で入出力される情報に対して所定の情報処理を行う。
また、制御部19は、入力部11から入力された指示情報に基づいて各種処理を行う。たとえば、制御部19は、入力された指示情報に基づいて、ID情報を問い合わせるためのID問合せ情報をたとえばRFIDタグ50に送信するようRFID処理部13を制御する。この場合、制御部19は、ID問合せ情報に基づいてRFIDタグ50が返答したID情報を取得してID問合せ処理を達成する。
さらに、制御部19は、入力された指示情報に基づいてたとえばRFIDタグ50にアクセスし、RFIDタグ50に記録された情報を非接触で読み取る情報読取処理あるいは指示された書込情報をRFIDタグ50に書き込む情報書込処理を行う。この場合、制御部19は、ID問合せ処理によって取得したID情報とIDテーブル18a−1とを用い、RFIDタグ50を特定するID情報をIDテーブル18a−1から抽出する。制御部19は、処理指示先としてRFIDタグ50を指定するために、RFIDタグ50に対する処理指示情報たとえば読取指示情報または書込指示情報にこの抽出したID情報を付加し、このID情報を付加した読取指示情報または書込指示情報をRFIDタグ50に送信するようRFID処理部13を制御する。このようにして、制御部19は、たとえばRFIDタグ50への処理指示情報に対してRFIDタグ50を特定するID情報を付加し、このID情報を付加した処理指示情報をRFIDタグ50に送信する制御を行うことによって、処理指示先としてRFIDタグ50を指定して各種処理を指示する。また、制御部19は、入力された指示情報に基づいて光学情報読取部14を制御し、外部の光学情報記録媒体に記録された光学情報を非接触で読み取る光学情報読取処理を行う。
さらに、制御部19は、ID切替制御部19aを有する。ID切替制御部19aは、RFIDシステム1の各RFIDタグ(たとえばRFIDタグ50)に対する処理指示情報に付加するID情報を切り替えるよう機能する。このID切替制御部19aの動作については、後述する。
つぎに、RFIDタグ50の構成について説明する。図1に示すように、RFIDタグ50は、無線通信用のアンテナ51a、RFID処理部51、記憶部52、およびタグ制御部53を有する。アンテナ51aは、たとえばループアンテナであり、アルミニウム、チタン−ニッケル合金、銅合金、またはステンレス等の金属を用いて実現される。アンテナ51aは、所定の電波を介して情報端末装置10との無線通信を行うためのものである。アンテナ51aは、情報端末装置10のアンテナ13aとの間で所定の電波を送受信できるように構成される。具体的には、アンテナ51aは、たとえばアンテナ13aの共振周波数とほぼ同じ共振周波数を有するように構成される。アンテナ51aは、アンテナ13aによって出力された電波を受信し、受信した電波を電気信号に変換するとともに、この電気信号をRFID処理部51に送信する。また、アンテナ51aは、RFID処理部51から入力された電気信号を所定の電波に変換するとともに、この所定の電波を介し、この電気信号に基づく情報を情報端末装置10に送信する。
RFID処理部51は、周知の変調回路、復調回路、および高周波回路等を用いて実現される。RFID処理部51は、タグ制御部53から入力された電気信号に対して所定の変調処理および電力増幅処理等を行い、得られた電気信号をアンテナ51aに出力する。また、RFID処理部51は、アンテナ51aから受信した電気信号に対して所定の復調処理を行い、情報端末装置10から送信された情報たとえば各種処理指示情報を取得する。RFID処理部51は、取得した情報をタグ制御部53に送信する。
記憶部52は、RAM、EEPROM、またはフラッシュメモリ等の情報の再書き込みおよび読み出しが可能な各種ICメモリを用いて実現される。記憶部52は、タグ制御部53によって書込指示された情報(たとえば書込情報)を記憶し、また、記憶した情報のうち、タグ制御部53によって読取指示された情報(たとえば上述した情報読取処理の読取対象の情報)を読み出すとともに、読み出した情報をタグ制御部53に送信する。
また、記憶部52は、RFIDタグ50を特定するためのID情報として、情報端末装置10によるID情報の問合せに対して返答する第1固有IDである応答IDと、この応答IDと異なる第2固有IDである1以上の秘匿IDとを予め記憶している。この場合、記憶部52は、たとえばこの応答IDと1以上の秘匿IDとを対応付けたIDテーブル18a−1を有する。このIDテーブル18a−1は、上述したように、情報端末装置10の記憶部18にも予め書き込まれている。
なお、RFIDシステム1を構成する全RFIDタグには、相互に異なる固有のID情報(すなわち応答IDおよび1以上の秘匿ID)が予め割り振られる。これらの全RFIDタグは、応答IDと1以上の秘匿IDとを対応付けた固有のIDテーブル(たとえばIDテーブル18a−1,18a−2,…)がそれぞれの記憶部に予め書き込まれる。また、この応答IDおよび秘匿IDは、たとえばISO15693によって全RFIDタグに対してユニークであることが保証されたID情報である。
タグ制御部53は、各種処理プログラムを実行するCPUと、このCPUが実行する各種処理プログラム等を予め記憶したROMと、各処理の演算パラメータまたはタグ制御部53が受信した各種情報等を一時的に記憶するRAMとを用いて実現される。タグ制御部53は、RFIDタグ50の各構成部に対して駆動制御および情報の入出力制御を行う。また、タグ制御部53は、RFIDタグ50の各構成部との間で入出力される情報に対して所定の情報処理を行う。
また、タグ制御部53は、情報端末装置10からの各種処理指示情報によって指示された各種処理を行う。たとえば、タグ制御部53は、情報端末装置10からのID問合せ情報に基づいてRFID処理部51を制御し、RFIDタグ50のID情報(具体的には応答ID)を情報端末装置10に通知する。また、タグ制御部53は、ID問合せ情報以外の各種処理指示情報たとえば読取指示情報または書込指示情報を受信した場合、受信した処理指示情報がRFIDタグ50に対して処理指示されたものであるか否かを判断し、処理指示先としてRFIDタグ50が指定された処理指示情報に基づく処理を行う。
たとえば、タグ制御部53は、情報端末装置10からの読取指示情報に付加されたID情報とRFIDタグ50の秘匿IDとを照合し、これらのID情報が同一である場合に、この読取指示情報の処理指示先がRFIDタグ50であると判断する。この場合、タグ制御部53は、この読取指示情報に基づいてRFID処理部51を制御し、読取指示された情報を情報端末装置10に送信する。また、タグ制御部53は、情報端末装置10からの書込指示情報に付加されたID情報とRFIDタグ50の秘匿IDとを照合し、これらのID情報が同一である場合に、この書込指示情報の処理指示先がRFIDタグ50であると判断する。この場合、タグ制御部53は、この書込指示情報に基づいて書込情報を記憶部52に書き込む。
また、タグ制御部53は、RFIDタグ50のID情報を切り替えるためのタグID切替制御部53aを有する。タグID切替制御部53aは、情報端末装置10からのID問合せ情報に対して返答するID情報すなわち応答IDと、各種指示情報の処理指示先がRFIDタグ50であるか否かを判断するためのID情報すなわち秘匿IDとを使い分けるとともに、処理指示情報毎に秘匿IDを別の秘匿IDに順次切り替えるためのものである。このタグID切替制御部53aの動作については、後述する。
つぎに、IDテーブル18a−1を例示して、RFIDシステム1の各RFIDタグのIDテーブルを具体的に説明する。IDテーブル18a−1は、上述したように、RFIDタグ50に固有のID情報である応答IDと、この応答IDに対応付けられた1以上の秘匿IDとを含む。図2は、IDテーブル18a−1の一具体例を模式的に示す模式図である。図2に示すように、IDテーブル18a−1は、RFIDタグ50に固有の応答ID100と1以上たとえば2つの秘匿ID101,102とを含み、応答ID100と秘匿ID101,102とが対応付けられている。また、応答ID100は、秘匿ID101,102と異なるID情報(たとえば「A100」)が割り振られ、秘匿ID101,102は、相互に異なるID情報(たとえば「A101」および「A102」)がそれぞれ割り振られる。
つぎに、タグID切替制御部53aが行うID情報の切替動作とID切替制御部19aが行うID情報の切替動作とについて詳細に説明する。図3は、タグID切替制御部53aがRFIDタグ50のID情報を切り替える処理手順を説明するフローチャートである。図4は、ID切替制御部19aが処理指示情報に対して指定するID情報を切り替える処理手順を説明するフローチャートである。図5は、ID切替制御部19aによるID情報の切替動作とタグID切替制御部53aによるID情報の切替動作とを説明するための模式図である。
まず、タグID切替制御部53aが行うID情報の切替動作について詳細に説明する。図3において、タグID切替制御部53aは、まず、RFIDタグ50のID情報を問い合わせるID問合せ情報の検知判定処理を行う(ステップS101)。たとえば情報端末装置10がRFIDタグ50に対してID情報を問い合わせた場合、タグ制御部53は、情報端末装置10からのID問合せ情報を受信する。この場合、タグID切替制御部53aは、このID問合せ情報を検知し(ステップS101,Yes)、タグ制御部53に対し、このID問合せ情報の送信元たとえば情報端末装置10に返答するID情報としてRFIDタグ50の応答IDを送信指定する(ステップS102)。
たとえば、IDテーブル18a−1が図2に例示したID情報を有する場合、タグID切替制御部53aは、ステップS102において、IDテーブル18a−1を参照して応答ID100を抽出し、タグ制御部53に対し、この応答ID100を送信指定する。この場合、タグ制御部53は、送信指定された応答ID100をID問合せ情報の送信元たとえば情報端末装置10に送信するようRFID処理部51を制御し、このID問合せ情報の返答として情報端末装置10に応答ID100を通知する。
なお、タグID切替制御部53aは、ステップS102において、処理指示情報に付加されたID情報と照合して処理指示先がRFIDタグ50であるか否かを判断するための秘匿ID(たとえば秘匿ID101,102)を送信指定しない。すなわち、RFIDタグ50は、情報端末装置10等の外部からのID情報の問合せに対して秘匿IDを返答しない。
つぎに、タグID切替制御部53aは、応答IDを送信指定したことをトリガーとし、秘匿IDの切替設定を初期化する(ステップS103)。この初期化によって、タグID切替制御部53aは、後述するステップS105での抽出対象の秘匿IDをIDテーブル18a−1内の1以上の秘匿IDのうちの初期の秘匿IDに変更する。
ここで、IDテーブル18a−1内の1以上の秘匿IDは、タグID切替制御部53aが所定に切替規則に従って秘匿IDを順次切り替えるための切替順位が予め設定されている。たとえば、IDテーブル18a−1内の秘匿IDが複数である場合、これら複数の秘匿IDは、設定された切替順位に沿って、先頭の秘匿IDから最後尾の秘匿IDに向かう一連の順序で配列される。タグID切替制御部53aは、秘匿IDの切替設定を初期化することによって、この先頭の秘匿ID(初期の秘匿ID)を抽出対象の秘匿IDとするよう切替設定を更新する。この場合、タグID切替制御部53aは、図5に示すように、一連の順序で配列される複数の秘匿IDたとえば秘匿ID101,102のうち、初期の秘匿ID101を抽出対象の秘匿IDにする。
その後、タグID切替制御部53aは、たとえば情報端末装置10によって送信された処理指示情報の検知判定処理を行う(ステップS104)。すなわち、タグ制御部53がたとえば情報端末装置10からの読取指示情報または書込指示情報等の処理指示情報を受信した場合、タグID切替制御部53aは、この処理指示情報を検知する(ステップS104,Yes)。一方、ステップS104において、タグ制御部53が処理指示情報を受信しなければ、タグID切替制御部53aは、たとえば情報端末装置10からの処理指示情報を検知せず(ステップS104,No)、上述したステップS101以降の処理手順を繰り返す。
タグID切替制御部53aは、ステップS104において処理指示情報を検知した場合、IDテーブル18a−1を参照し、IDテーブル18a−1内の1以上の秘匿IDのうち、秘匿IDの切替設定に基づく秘匿IDを抽出する(ステップS105)。この場合、タグ切替制御部53aは、この切替設定が初期化されていれば、初期の秘匿ID(たとえば秘匿ID101)を抽出し、この切替設定が初期化されていなければ、抽出対象の秘匿IDを切り替える処理(後述するステップS108)による切替後の秘匿IDを抽出する。
タグID切替制御部53aは、ステップS105において秘匿IDを抽出した場合、タグ制御部53に対し、処理指示情報に付加されたID情報と照合するための秘匿IDとして、この秘匿IDを照合指定し(ステップS106)、その後、この処理指示情報によって指示される処理が完了したか否かを判断する(ステップS107)。
ステップS106において秘匿IDが照合指定された場合、タグ制御部53は、ステップS104において受信した処理指示情報のID情報と、この照合指定された秘匿IDとを照合する照合処理を行う。この照合処理の結果、この処理指示情報のID情報と照合指定した秘匿IDとが一致した場合、タグ制御部53は、上述したように、この処理指示情報によって指示される処理を行う。その後、タグ制御部53は、この処理指示情報に基づく処理が完了した場合、この処理が完了した旨を通知するための処理完了情報を処理指示元たとえば情報端末装置10に送信する制御を行う。
タグID切替制御部53aは、タグ制御部53が処理完了情報の送信制御を行っていなければ、この処理指示情報に基づく処理が完了していない判断し(ステップS107,No)、このステップS107を繰り返す。一方、タグID切替制御部53aは、タグ制御部53が処理完了情報の送信制御を行えば、この処理指示情報に基づく処理が完了したと判断し(ステップS107,Yes)、つぎのステップS105において抽出する抽出対象の秘匿IDを切り替える(ステップS108)。具体的には、タグID切替制御部53aは、この照合指定した秘匿IDをつぎの切替順位の秘匿IDに切り替え、この切替後の秘匿IDをつぎのステップS105での抽出対象の秘匿IDとするよう切替設定を更新する。その後、タグID切替制御部53aは、上述したステップS101以降の処理手順を繰り返す。
たとえば、タグID切替制御部53aは、初期の秘匿ID101を照合指定していれば、ステップS108において、この秘匿ID101をつぎの切替順位の秘匿ID102に切り替え、図5に示すように、つぎのステップS106において照合指定する秘匿IDを初期の秘匿ID101から秘匿ID102に切り替えるよう切替設定を更新する。
一方、タグID切替制御部53aは、ステップS101においてID問合せ情報を検知しなければ(ステップS101,No)、秘匿IDの切替設定を初期化せずに、上述したステップS104以降の処理手順を繰り返す。その後、タグID切替制御部53aは、ステップS104において処理指示情報を検知すれば、上述したステップS108による切替後の秘匿IDをステップS105において抽出し、その直後のステップS106において、この切替後の秘匿IDを照合指定する。
ここで、タグID切替制御部53aは、秘匿IDの切替設定を初期化した場合、この初期化した切替設定に基づいて初期の秘匿IDを抽出し、秘匿IDの切替設定を初期化せずに上述したステップS101〜ステップS108の処理手順を繰り返した場合、ステップS108において順次更新した切替設定に基づいて、秘匿IDを順次切り替えて抽出する。すなわち、タグID切替制御部53aは、たとえば図5に示すように、初期化した切替設定に基づいて秘匿IDを抽出すれば、初期の秘匿ID101を照合指定し、つぎのステップS105の処理手順を行うまでに秘匿IDの切替設定を初期化しなければ、つぎのステップS106では秘匿ID102に切り替えて照合指定する。
また、タグID切替制御部53aは、上述した一連の順序で配列される複数の秘匿IDのうち、最後尾の秘匿IDに対する次の秘匿IDを先頭の秘匿ID(すなわち初期の秘匿ID)に設定する。これによって、タグID切替制御部53aは、RFIDタグ50に割り振られた複数の秘匿IDのうちの最後尾の秘匿IDを次の秘匿IDに切り替える場合、初期の秘匿IDに回帰する。この場合、タグID切替制御部53aは、たとえば図5に示すように、最後尾の秘匿ID102を照合指定していれば、つぎのステップS106では初期の秘匿ID101に切り替えて(すなわち回帰して)照合指定する。
かかるタグID切替制御部53aは、ステップS101〜S108の処理手順を繰り返すことによって、情報端末装置10からの処理指示情報毎に、所定の切替規則に沿って、たとえば切替順位を1ずつ繰り上げるように秘匿IDを切り替える切替規則に沿って、1以上の秘匿ID(たとえば秘匿ID101,102)を順次切り替えて照合指定する。
なお、タグID切替制御部53aは、タグ制御部53が起動し始めた時点において、1以上の秘匿IDのうち初期の秘匿IDを抽出し、初期設定として、この初期の秘匿IDを照合指定してもよい。すなわち、タグID切替制御部53aは、タグ制御部53が起動し始めた後、ID問合せ情報を検知せずに処理指示情報を検知した場合、その直後のステップS106において初期の秘匿ID(たとえば秘匿ID101)を照合指定してもよい。
つぎに、ID切替制御部19aが行うID情報の切替動作について詳細に説明する。図4において、ID切替制御部19aは、まず、ID問合せ処理によって通知されたID情報たとえばRFIDタグ50の応答IDの検知判定処理を行う(ステップS201)。すなわち、使用者は、たとえばRFIDタグ50にアクセスして情報を読み取りまたは書き込むために、情報端末装置10を操作してRFIDタグ50のID情報を予め問い合わせる。これによって、情報端末装置10には、RFIDタグ50の応答IDが通知される。制御部19は、このRFIDタグ50から通知された応答IDを取得する。この場合、ID切替制御部19aは、RFIDタグ50から通知された応答IDを検知し(ステップS201,Yes)、この応答IDを取得する(ステップS202)。
ID切替制御部19aは、ステップS202において応答IDを取得した場合、記憶部18に記録されたIDテーブル(IDテーブル18a−1,18a−2,…)のうち、この応答IDに関するIDテーブルを選択し(ステップS203)、選択したIDテーブルを参照して秘匿IDの切替設定を初期化する(ステップS204)。この初期化によって、ID切替制御部19aは、RFIDシステム1の全RFIDタグのうち、処理対象のRFIDタグ(たとえばRFIDタグ50)に関する抽出対象の秘匿IDを初期の秘匿IDに変更する。
たとえば、ID切替制御部19aは、ステップS202においてRFIDタグ50の応答IDを取得すれば、記憶部18に記録されたIDテーブルのうち、RFIDタグ50と同一のIDテーブル18a−1を選択し、このIDテーブル18aを参照して、RFIDタグ50に関する秘匿IDの切替設定を初期化する。この初期化によって、ID切替制御部19aは、上述したタグID切替制御部53aと同様に、抽出対象のRFIDタグ50の秘匿IDを初期の秘匿ID(たとえば上述した秘匿ID101)に変更する。
つぎに、ID切替制御部19aは、入力部11によって入力された指定の応答IDの検知判定処理を行う(ステップS205)。すなわち、使用者は、たとえばRFIDタグ50にアクセスして情報を読み取りまたは書き込むために、入力部11を操作し、RFIDタグ50に対して処理を指示するための指示情報とRFIDタグ50の応答IDを指定する指定情報とを入力する。制御部19は、この入力操作によって入力部11から入力された指示情報と応答IDの指定情報とをもとに、たとえばRFIDタグ50に処理を指示するための指示情報として、この応答IDを指定した処理指示情報を生成する。この場合、ID切替制御部19aは、この処理指示情報に対して指定された応答ID(たとえばRFIDタグ50の応答ID)を検知し(ステップS205,Yes)、検知した応答IDを取得する(ステップS206)。一方、ステップS205において、使用者が指示情報と応答IDの指定情報とを指定入力する操作を行わなければ、制御部19は、処理指示情報を生成しない。この場合、ID切替制御部19aは、処理指示情報に指定される応答IDを検知せず(ステップS205,No)、上述したステップS201以降の処理手順を繰り返す。
ID切替制御部19aは、処理指示情報に指定された応答IDを取得した場合、記憶部18に記録されたIDテーブルのうち、この応答IDに関するIDテーブルを選択し(ステップS207)、選択したIDテーブル内の1以上の秘匿IDのうち、この応答IDを有するRFIDタグに関する秘匿IDの切替設定に基づく秘匿IDを抽出する(ステップS208)。
たとえば、ID切替制御部19aは、ステップS206においてRFIDタグ50の応答IDを取得すれば、記憶部18に記録されたIDテーブルのうち、RFIDタグ50と同一のIDテーブル18a−1を選択し、IDテーブル18a−1内の1以上の秘匿IDのうち、RFIDタグ50の秘匿IDの切替設定に基づく秘匿IDを抽出する。この場合、ID切替制御部19aは、上述したタグID切替制御部53aと同様に、この秘匿IDの切替設定を初期化していれば、RFIDタグ50の初期の秘匿ID(たとえば秘匿ID101)を抽出し、この秘匿IDの切替設定を初期化していなければ、抽出対象の秘匿IDを切り替える処理(後述するステップS211)によるRFIDタグ50の切替後の秘匿IDを抽出する。いずれの場合であっても、ID切替制御部19aは、この応答IDがRFIDタグ50の応答IDであれば、ステップS208において、図5に示すように、上述したタグID切替制御部53aによる照合指定の秘匿IDと同一の秘匿IDを抽出する。
つぎに、ID切替制御部19aは、この処理指示情報に付加するID情報すなわちこの処理指示情報の処理指示先を指定するためのID情報として、ステップS208において抽出した秘匿IDを送信指定する(ステップS209)。その後、ID切替制御部19aは、この処理指示情報によって指示した処理が完了したか否かを判断する(ステップS210)。
すなわち、ID切替制御部19aが秘匿IDを送信指定した場合、制御部19は、この処理指示情報に指定された応答IDをこの秘匿IDに切り替え、RFID処理部13に対し、この処理指示情報にこの秘匿IDを付加して送信するよう制御する。これによって、この秘匿IDを付加した処理指示情報は、RFIDシステム1の処理対象のRFIDタグたとえばRFIDタグ50に送信される。この場合、RFIDタグ50は、この秘匿IDを付加した処理指示情報を受信し、この秘匿IDと上述したタグID切替制御部53aが照合指定する秘匿IDとが一致する場合に、この処理指示情報によって指示される処理たとえば情報読取処理または情報書込処理等を行う。この処理指示情報による処理が完了した場合、制御部19は、たとえばRFIDタグ50からの処理完了情報を受信する。
ID切替制御部19aは、制御部19が処理完了情報を受信していなければ、この処理指示情報によって指示した処理が完了していないと判断し(ステップS210,No)、このステップS210を繰り返す。一方、ID切替制御部19aは、制御部19が処理完了情報を受信すれば、この処理指示情報によって指示した処理が完了したと判断し(ステップS210,Yes)、この処理指示情報による処理対象のRFIDタグに関する抽出対象の秘匿IDを切り替える(ステップS211)。この場合、ID切替制御部19aは、この処理対象のRFIDタグと同一の切替規則に沿って、この送信指定した秘匿IDをつぎの切替順位の秘匿IDに切り替え、この処理対象のRFIDタグに関し、この切替後の秘匿IDをつぎのステップS208での抽出対象の秘匿IDとするよう切替設定を更新する。その後、ID切替制御部19aは、上述したステップS201以降の処理手順を繰り返す。
たとえばRFIDタグ50が、この処理指示情報の処理指示先である場合、ID切替制御部19aは、RFIDタグ50の初期の秘匿ID101を送信指定していれば、ステップS211において、上述したタグID切替制御部53aと同一の切替規則に沿って、この秘匿ID101をつぎの切替順位の秘匿ID102に切り替え、図5に示すように、つぎのステップS209において送信指定する秘匿IDを初期の秘匿ID101から秘匿ID102に切り替えるよう切替設定を更新する。
一方、上述したステップS201において、制御部19がID問合せ処理を行っていなければ、ID切替制御部19aは、ID問合せ処理によって通知されるID情報たとえばRFIDタグ50の応答IDを検知せず(ステップS201,No)、上述したステップS205以降の処理手順を繰り返す。この場合、ID切替制御部19aは、処理指示情報に指定される応答IDをステップS205において検知すれば、この処理指示情報の処理対象のRFIDタグに関し、上述したステップS211による切替後の秘匿IDをステップS208において抽出し、その直後のステップS209において、この切替後の秘匿IDを送信指定する。
ここで、ID切替制御部19aは、処理対象のRFIDタグに関する秘匿IDの切替設定を初期化した場合、この処理対象のRFIDタグに関し、この初期化した切替設定に基づいて初期の秘匿IDを抽出し、処理対象のRFIDタグに関する秘匿IDの切替設定を初期化せずに上述したステップS201〜S211の処理手順を繰り返した場合、この処理対象のRFIDタグに関し、ステップS211において順次更新した切替設定に基づいて秘匿IDを順次切り替えて抽出する。
具体的には、RFIDタグ50が処理対象のRFIDタグである場合、ID切替制御部19aは、たとえば図5に示すように、上述したタグID切替制御部53aと同一の切替規則に沿って、初期の秘匿ID101を送信指定していれば、つぎのステップS209では秘匿ID102に切り替えて送信指定し、最後尾の秘匿ID102を送信指定していれば、つぎのステップS209では初期の秘匿ID101に切り替えて(すなわち回帰して)照合指定する。
かかるID切替制御部19aは、ステップS201〜S211の処理手順を繰り返すことによって、処理対象のRFIDタグ(たとえばRFIDタグ50)のと同一の切替規則に沿って、このRFIDタグの1以上の秘匿ID(たとえば秘匿ID101,102)を処理指示情報毎に順次切り替えて送信指定する。これによって、ID切替制御部19aは、処理対象のRFIDタグ(たとえばRFIDタグ50)に照合される秘匿IDと同一のものを確実に送信指定できる。なお、この秘匿IDの切替規則は、RFIDシステム1の全RFIDタグについて、共通のものであってもよいし、相互に異なるものであってもよい。
また、このようなRFIDシステム1の1以上のRFIDタグ(たとえばRFIDタグ50)は、たとえば医療処置対象の患者毎に割り当られ、患者の名前、ID情報、および症状等の患者に関する情報(患者情報)がそれぞれ書き込まれる。医者または看護師等の使用者(この発明にかかるRFIDシステム1の特定の使用者)は、情報端末装置10を用い、たとえばRFIDタグ50へのアクセスを試みる。この場合、情報端末装置10は、RFIDタグ50が上述した照合処理において照合する秘匿IDと同一の秘匿IDを処理指示情報に付加して送信できる。したがって、医者または看護師等の使用者は、このような情報端末装置10を用いることによって、たとえばRFIDタグ50に対してアクセスでき、RFIDシステム1の各RFIDタグに記録された各患者情報をそれぞれ読み取ることができ、または各RFIDタグに所望の情報をそれぞれ書き込みことができる。
一方、RFIDシステム1に無関係な第三者は、従来の情報端末装置を用いてたとえばRFIDタグ50にアクセスしようと試みる。しかし、RFIDタグ50は、この従来の情報端末装置によるID情報の問合せに対して秘匿IDを返答せずに応答IDを返答する。このため、この従来の情報端末装置は、RFIDタグ50の秘匿IDを取得することが困難であり、これによって、RFIDタグ50と同一の秘匿IDを処理指示情報に付加して送信することが困難である。したがって、この第三者は、RFIDタグ50に対してアクセスすることが困難になる。このことは、RFIDシステム1の全てのRFIDタグについて同様である。これによって、これら全てのRFIDタグに対する第三者による不正なアクセスを防止でき、患者情報等の第三者に読み取られたくない、または改竄されたくない各種情報を記録するRFIDタグとしての安全性を向上できる。
なお、RFIDシステム1の各RFIDタグ(たとえばRFIDタグ50)のID情報を情報端末装置10に登録するID登録処理は、RFIDシステム1を運用する前に予め行われる。たとえば、RFIDシステム1の各RFIDタグのID情報(応答IDおよび1以上の秘匿ID)を文字または数字等の視認可能な状態でこれらの各RFIDタグ近傍にそれぞれ記録しておき、特定の使用者が、RFIDシステム1の運用前に、入力部11を操作して必要なRFIDタグのID情報を情報端末装置10に直接入力して登録してもよい。または、RFIDシステム1の各RFIDタグのID情報(応答IDおよび1以上の秘匿ID)に対応する光学情報をこれらの各RFIDタグ近傍にそれぞれ記録しておき、特定の使用者が、RFIDシステム1の運用前に、情報端末装置10の光学情報読取機能を用いて必要なRFIDタグの光学情報を読み取ることによって登録してもよい。特定の使用者は、いずれの場合であっても、必要なRFIDタグのID情報を情報端末装置10に登録した後、登録済みのRFIDタグとその近傍に記録されたID情報とを分離し、RFIDシステム1の各RFIDタグのID情報を第三者に知られないように管理する。
また、特定の使用者が管理するホストコンピュータにRFIDシステム1の1以上のRFIDタグの各ID情報を一括して登録し、特定の使用者が、RFIDシステム1の運用前に、外部通信部15を介して必要なRFIDタグのID情報を情報端末装置10に入力して登録してもよいし、必要なRFIDタグのID情報が記録された記憶メディアを媒介にし、この必要なRFIDタグのID情報を情報端末装置10に入力して登録してもよい。
さらに、RFIDシステム1の各RFIDタグ(たとえばRFIDタグ50)の秘匿IDを問い合わせて取得するための特殊な処理指示情報を情報端末装置10に設定し、情報端末装置10が、必要なRFIDタグからこの秘匿IDを直に読み取るようにしてもよい。この場合、従来の情報端末装置がこの特殊な処理指示情報を送信できないようにするために、情報端末装置10は、この特殊な処理指示情報を通常とは異なる変調方式で送信するようにし、または、必要なRFIDタグのID情報を登録し、この特殊な処理指示情報が必要なくなった場合に、この特殊な処理指示情報を送信しないようモード切替等を行うようにする。あるいは、RFIDシステム1の各RFIDタグが、この特殊な処理指示情報に応答して秘匿IDを通知した後、この特殊な処理指示情報を受け付けないようにモード切替等を行うようにしてもよい。これによって、RFIDシステム1の運用の際に、情報端末装置10がRFIDシステム1の各RFIDタグから秘匿IDを読み取れないようにする。
なお、この発明の実施の形態1では、情報端末装置10およびRFIDタグ50は、各秘匿IDの切替順位を1ずつ繰り上げるように複数の秘匿IDを順次切り替えていたが、この発明はこれに限定されるものではなく、情報端末装置10およびRFIDシステム1の各RFIDタグは、情報端末装置10による処理指示情報に付加される秘匿IDと処理対象のRFIDタグに照合される秘匿IDとが同一のものになるように、相互に同一の切替規則に沿って、双方の複数の秘匿IDを切り替えればよく、たとえば各秘匿IDの切替順位を2以上ずつ繰り上げるように双方の複数の秘匿IDを順次切り替えてもよい。
また、この発明の実施の形態1では、情報端末装置10およびRFIDタグ50は、2つの秘匿IDを順次切り替えていたが、この発明はこれに限定されるものではなく、RFIDシステム1の各RFIDタグには、応答IDに1以上の秘匿IDが対応付けられていればよく、情報端末装置10は、これらの各RFIDタグと同一のID情報を有していればよい。すなわち、情報端末装置10およびRFIDシステム1の各RFIDタグは、処理指示情報に付加されたID情報の照合処理とID情報の問合せ処理とに応じて、1つの秘匿IDと応答IDとを使え分けるようにしてもよいし、3以上の秘匿IDを相互に同一の切替規則に沿って順次切り替えるようにしてもよい。また、これら複数の秘匿IDは、応答IDと異なるのみならず、秘匿ID間で相互に異なるものとしてもよい。
さらに、この発明の実施の形態1では、一連の順序で配列された複数の秘匿IDのうち、最後尾の切替順位の秘匿IDを先頭の切替順位の秘匿ID(すなわち初期の秘匿ID)に回帰するように切り替え、これら複数の秘匿IDを周回するようにしていたが、この発明はこれに限定されるものではなく、一連の順序で配列された複数の秘匿IDのうち、最後尾の切替順位の秘匿IDを前の切替順位の秘匿IDに回帰するように切り替え、これら複数の秘匿IDの後尾側を部分的に周回してもよいし、初期の秘匿IDと最後尾の秘匿IDとの間を往復するように複数の秘匿IDを順次切り替えてもよい。
また、この発明の実施の形態1では、RFIDタグ50に割り振られる固有の秘匿IDとして連番のID情報を用いていたが、この発明はこれに限定されるものではなく、RFIDシステム1の各RFIDタグに割り振られる1以上の秘匿IDは、応答IDと異なるID情報であればよく、この場合、各秘匿ID間において互いに相関性がない所望のID情報であってもよい。
さらに、この発明の実施の形態1では、RFIDシステム1を構成する外部情報記録媒体としてRFIDタグを例示したが、この発明はこれに限定されるものではなく、この発明にかかるRFIDシステムの各外部情報記録媒体は、カード状の樹脂製板にRFID機能が設けられた非接触ICカード等のRFID機能を有する各種形態の外部情報記録媒体であってもよい。
また、この発明の実施の形態1では、RFIDシステム1を構成する情報端末装置として、RFID機能を有するPDAまたはノート型パソコン等の携帯型の情報端末装置を例示したが、この発明はこれに限定されるものではなく、この発明にかかるRFIDシステムを構成する情報端末装置は、外部情報記録媒体に対して非接触による情報読取処理または情報書込処理を行える情報端末装置であればよく、たとえば、RFID機能を有するデスクトップ型パソコン等の据置型の情報端末装置であってもよい。
以上、説明したように、この発明の実施の形態1では、固有のID情報として、応答IDとこの応答IDと異なる1以上の秘匿IDとを有し、情報端末装置によるID情報の問合せに対して応答IDを返答し、情報端末装置からの処理指示情報に付加されたID情報と秘匿IDとを照合するようにし、この秘匿IDと一致するID情報が付加された処理指示情報によって指示された処理を行うように構成している。このため、処理指示情報に付加されたID情報と照合する秘匿IDを情報端末装置に対して秘匿できるとともに、この秘匿IDを付加した処理指示情報を送信する特定の情報端末装置によるアクセスを可能にし、これによって、第三者による不正なアクセスを防止するとともに、特定の情報端末装置を用いる特定の使用者が非接触で情報を読み取りまたは書き込むことができる外部情報記録媒体を実現することができる。
また、この外部情報記録媒体が、処理指示情報毎に、所定の切替規則に沿って1以上の秘匿IDを切り替えて照合するようにし、この特定の情報端末装置が、この外部情報記録媒体と同一の応答IDおよび1以上の秘匿IDを有し、この外部情報記録媒体と同一の切替規則に沿って1以上の秘匿IDを切り替え、この外部情報記録媒体が照合処理に用いる秘匿IDと同一の秘匿IDを付加した処理指示情報を送信するようにしている。これによって、この特定の情報端末装置がこの外部情報記録媒体に対して確実にアクセスできるとともに、第三者に対するこの外部情報記録媒体の安全性を向上することができる。
このような1以上の外部情報記録媒体とこのような特定の情報端末装置とを用いることによって、第三者による不正なアクセスを防止するとともに、特定の使用者が操作する特定の情報端末装置によって外部情報記録媒体にアクセスし、この外部情報記録媒体に記録された情報を非接触で読み取ることができ、またはこの外部情報記録媒体に非接触で情報を書き込むことができるRFIDシステムを実現することができる。
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。上述した実施の形態1では、各秘匿IDに予め設定された切替順位に沿って複数の秘匿IDを順次切り替えていたが、この実施の形態2では、応答IDを用いて秘匿IDを算出し、この秘匿IDを初期値として所定の演算規則に従い次の秘匿IDの値を順次算出して秘匿IDを順次切り替えている。
図6は、この発明の実施の形態2であるRFIDシステムの概略構成を模式的に例示するブロック図である。このRFIDシステム2は、実施の形態1の情報端末装置10に代えて情報端末装置20を有し、実施の形態1のRFIDシステム1の1以上のRFIDタグ(たとえばRFIDタグ50)に代えて、RFIDタグ60と同様に構成する1以上のRFIDタグを有する。また、情報端末装置20は、実施の形態1の制御部19に代えて制御部21を有する。制御部21は、実施の形態1のID切替制御部19aに代えてID演算制御部21aを有する。さらに、RFIDタグ60は、実施の形態1のタグ制御部53に代えてタグ制御部61を有する。タグ制御部61は、実施の形態1のタグID切替制御部53aに代えてタグID演算制御部61aを有する。また、記憶部52には、IDテーブル18aが記録されていない。記憶部18には、RFID60に例示される1以上のRFIDタグの各IDテーブルが記録されていない。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
なお、図6では、RFIDシステム2を構成する1以上のRFIDタグのうち、RFIDタグ60を一例として示す。また、以下では、情報端末装置20およびRFIDタグ60の各構成および各機能を説明するが、RFIDシステム2の全RFIDタグは、RFIDタグ60と同様に機能し、情報端末装置20は、RFIDシステム2のRFIDタグ60以外の各RFIDタグに対し、RFIDタグ60の場合と同様に作用する。
記憶部52は、RFIDタグ60に対して複数割り振られた固有のID情報のうち、1つのID情報が予め書き込まれる。ここで、RFIDシステム2を構成する全RFIDタグ(たとえばRFIDタグ60)には、相互に固有である複数のID情報がそれぞれ割り振られている。各RFIDタグの複数のID情報の各ID情報間には、所定の演算規則に従ってそれぞれ同様に変化する(たとえば各ID情報間の差が「+1」である)という相関性がある。したがって、各RFIDタグの複数のID情報は、この相関性を有する一連の番号たとえば所定数ずつ増加する一連の番号によって構成される。すなわち、記憶部52には、RFIDタグ60に割り振られた複数のID情報のうち、所定の演算規則に従って変化する一連の番号の初期値を有する初期のID情報が予め書き込まれている。このことは、RFIDシステム2のRFIDタグ60以外の全RFIDタグについても同様である。
タグ制御部61は、上述したタグ制御部53とほぼ同様に機能し、上述したように、タグID演算制御部61aを有する。タグID演算制御部61aは、ID問合せ情報に対して返答するID情報すなわち応答IDとして、記憶部53に予め記録された初期のID情報を抽出して送信指定し、この応答IDを用いた演算式によって、この応答IDと異なる秘匿IDを算出する。また、タグID演算制御部61aは、所定の演算規則に従い、予め割り振られたID情報の範囲内で秘匿IDを順次算出して更新する。
一方、制御部21は、上述した制御部19とほぼ同様に機能し、上述したように、ID演算制御部21aを有する。ID演算制御部21aは、ID問合せ処理によって取得した応答IDをもとに、この応答IDを有するRFIDタグと同一の演算規則に従って秘匿IDを順次算出する。この場合、ID演算制御部21aは、たとえばRFIDタグ60の応答IDを問い合わせて取得すれば、RFIDタグ60と同一の演算規則(すなわちタグID演算制御部61aが用いる演算規則)に従って秘匿IDを順次算出する。ID演算制御部21aは、処理指示情報毎に秘匿IDを順次算出し、処理指示情報に付加する秘匿IDとして順次切り替える。
つぎに、タグID演算制御部61aが行うID情報の切替動作とID演算制御部21aが行うID情報の切替動作とについて詳細に説明する。図7は、タグID演算制御部61aがRFIDタグ60のID情報を演算処理して切り替える処理手順を説明するフローチャートである。図8は、ID演算制御部21aが処理指示情報に対して指定するID情報を演算処理して切り替える処理手順を説明するフローチャートである。図9は、ID演算制御部21aによるID情報の切替動作とタグID演算制御部61aによるID情報の切替動作とを説明するための模式図である。
まず、タグID演算制御部61aが行うID情報の切替動作について詳細に説明する。図7において、タグID演算制御部61aは、上述したステップS101と同様の処理を行い、ID問合せ情報を検知した場合(ステップS301,Yes)、タグ制御部61に対し、このID問合せ情報の送信元たとえば情報端末装置20に返答する応答IDとして、記憶部52内の初期のID情報を送信指定する(ステップS302)。
つぎに、タグID演算制御部61aは、この初期のID情報すなわち応答IDを送信指定したことをトリガーとし、記憶部52内の秘匿IDを初期化する(ステップS303)。この場合、タグID演算制御部61aは、所定の演算規則に従い、この応答IDを用いて初期の秘匿IDを算出する。この初期の秘匿IDは、RFIDタグ60に割り振られた複数のID情報(すなわち応答IDおよび1以上の秘匿ID)のうち、この演算規則に従って順次算出される秘匿IDの初期値を有する。タグID演算制御部61aは、前回算出して記憶部52に記録した秘匿ID(後述するステップS309による更新後の秘匿ID)をこの初期の秘匿IDに更新することによってステップS303を達成する。
たとえば、RFIDタグ60に固有である複数のID情報として連番のID情報「A100」、「A101」、「A102」が割り振られ、ID情報「A100」が基準のID情報として記憶部52に記録された場合、タグID演算制御部61aは、図9に示すように、この初期のID情報「A100」を応答ID100として送信指定する。また、タグID演算制御部61aは、応答ID100を用い、所定の演算規則に従って初期の秘匿ID101(ID情報「A101」を有する)を算出する。具体的には、タグID演算制御部61aは、応答ID100のID情報「A100」に所定数たとえば「1」加算する演算式によって、初期の秘匿ID101(ID情報「A101」を有する)を算出する。タグID演算制御部61aは、ステップS303において、たとえば初期の秘匿ID101を記憶部52に上書きして秘匿IDを初期化する。
その後、タグID演算制御部61aは、上述したステップS104と同様の処理を行い、たとえば情報端末装置20からの処理指示情報を検知しなければ(ステップS304,No)、上述したステップS301以降の処理手順を繰り返す。一方、タグID演算制御部61aは、たとえば情報端末装置20からの処理指示情報を検知した場合(ステップS304,Yes)、記憶部52内の秘匿IDを読み出す(ステップS305)。この場合、タグID演算制御部61aは、記憶部52内の秘匿IDがステップS303によって初期化されていれば、初期の秘匿ID(たとえば秘匿ID101)を記憶部52から読み出し、記憶部52内の秘匿IDが初期化されていなければ、前回算出して記憶部52に上書きした更新後の秘匿ID(後述するステップS309による更新後の秘匿ID)を記憶部52から読み出す。
タグID演算制御部61aは、ステップS305において秘匿IDを読み出した場合、上述したステップS106とほぼ同様に、タグ制御部61に対し、この秘匿IDを照合指定し(ステップS306)、その後、上述したステップS107と同様に、処理指示情報によって指示される処理が完了したか否かを判断する(ステップS307)。タグID演算制御部61aは、この処理が完了したと判断するまでステップS307を繰り返し、この処理が完了したと判断した場合、上述した所定の演算規則に従い、このステップS306において照合指定した現在の秘匿IDを用いて次の秘匿IDを算出する(ステップS308)。具体的には、タグID演算制御部61aは、このステップS308において、たとえば現在の秘匿IDに所定数を加算する演算式によって次の秘匿IDを算出する演算処理を行う。
つぎに、タグID演算制御部61aは、このステップS308において算出した秘匿IDを記憶部52に上書きし、つぎのステップS305での読出対象の秘匿IDとして、記憶部52内の秘匿IDを更新する(ステップS309)。これによって、タグID演算制御部61aは、記憶部52内の秘匿ID(すなわち照合指定済みの秘匿ID)をステップS308において算出した次の秘匿IDに切り替えることができる。その後、タグID演算制御部61aは、上述したステップS301以降の処理手順を繰り返す。
たとえば、タグID演算制御部61aは、初期の秘匿ID101を照合指定していれば、ステップS308,S309において、この秘匿ID101の次の秘匿ID102を算出して秘匿ID102を記憶部52に上書きする。具体的には、タグID演算制御部61aは、秘匿ID101のID情報「A101」に所定数たとえば「1」加算する演算式によって、次の秘匿ID102(ID情報「A102」を有する)を算出する。この場合、タグID演算制御部61aは、図9に示すように、つぎのステップS306において照合指定する秘匿IDを初期の秘匿ID101から秘匿ID102に切り替えるために、記憶部52内の秘匿IDを更新する。
一方、タグID演算制御部61aは、ステップS301においてID問合せ情報を検知しなければ(ステップS301,No)、記憶部52内の秘匿IDを初期化せずに、上述したステップS304以降の処理手順を繰り返す。ここで、タグID演算制御部61aは、ステップS304において処理指示情報を検知すれば、上述したステップS309による更新後の秘匿IDを記憶部52から読み出し、その直後のステップS306において、この更新後の秘匿IDを照合指定する。
ここで、タグID演算制御部61aは、記憶部52内の秘匿IDを初期化した場合、記憶部52から初期の秘匿IDを読み出し、記憶部52内の秘匿IDを初期化せずに上述したステップS301〜S309の処理手順を繰り返した場合、記憶部52内の秘匿IDを処理指示情報毎に切り替えて順次更新し、更新後の秘匿IDを順次読み出す。すなわち、タグID演算制御部61aは、たとえば図9に示すように、記憶部52内の秘匿IDを初期化していれば、初期の秘匿ID101を読み出して照合指定し、つぎのステップS305の処理手順を行うまでに記憶部52内の秘匿IDを初期化しなければ、つぎのステップS306では更新後の秘匿ID102に切り替えて照合指定する。
また、タグID演算制御部61aは、RFIDタグ60に割り振られた複数の秘匿IDの各値を昇順または降順に配列した場合の最後尾の秘匿IDに対する次の秘匿IDを初期の秘匿IDに設定する。これによって、タグID演算制御部61aは、最後尾の秘匿IDを次の秘匿IDに切り替える場合、初期の秘匿IDに回帰する。具体的には、タグID演算制御部61aは、たとえば図9に示すように、最後尾の秘匿ID102を照合指定していれば、ステップS308において初期の秘匿ID101に回帰し、つぎのステップS306では初期の秘匿ID101に切り替えて(すなわち回帰して)照合指定する。
かかるタグID演算制御部61aは、ステップS301〜S309の処理手順を繰り返すことによって、所定の演算規則に従う演算処理たとえば現在の秘匿IDを用いた演算式によって次の秘匿IDの値を順次算出する演算処理を繰り返し、RFIDタグ60に割り振られた複数のID情報のうちの秘匿IDを処理指示情報毎に順次切り替えて照合指定する。この場合、タグID演算制御部61aは、算出した秘匿ID(たとえば秘匿ID101,102)を送信指定することはない。すなわち、RFIDタグ60は、情報端末装置20等の外部からのID情報の問合せに対して秘匿IDを返答することはない。
なお、タグID演算制御部61aは、タグ制御部61が起動し始めた時点において、上述した初期の秘匿ID(たとえば秘匿ID101)を算出し、初期設定として記憶部52に記録してもよい。この場合、タグID演算制御部61aは、タグ制御部61が起動し始めた後、ID問合せ情報を検知せずに処理指示情報を検知すれば、その直後のステップS305において初期の秘匿IDを照合指定する。
つぎに、ID演算制御部21aが行うID情報の切替動作について詳細に説明する。図8において、ID演算制御部21aは、上述したステップS201,S202と同様の処理を行い、RFIDシステム2を構成する1以上のRFIDタグ(たとえばRFIDタグ60)から通知される応答IDを取得する(ステップS401,S402)。
その後、ID演算制御部21aは、ステップS402において取得した応答IDを用い、この応答IDを通知したRFIDタグ(たとえばRFIDタグ60)と同一の演算規則に従って初期の秘匿IDを算出し、このRFIDタグの秘匿IDとして、この初期の秘匿IDを記憶部18に書き込むまたは上書きする。これによって、ID演算制御部21aは、記憶部18内の秘匿IDのうち、このRFIDタグに関する秘匿IDを初期化する(ステップS403)。この場合、ID演算制御部21aは、ID問合せ処理によって通知された応答IDと、この応答IDをもとに算出した初期の秘匿IDとを対応付けて記憶部18に格納し、RFIDシステム2のRFIDタグ毎に保持管理する。
たとえば、ID演算制御部21aは、ステップS402においてRFIDタグ60の応答ID100を取得した場合、RFIDタグ60と同一の演算規則に従い、この応答ID100を用いて初期の秘匿ID101を算出する。ID演算制御部21aは、この秘匿ID101を応答ID100と対応付けて記憶部18に書き込みまたは上書きし、RFIDタグ60のID情報として保持管理する。これによって、ID演算制御部21aは、記憶部18内の秘匿IDのうち、RFIDタグ60に関する秘匿IDを初期化する。
つぎに、ID演算制御部21aは、上述したステップS205,S206と同様の処理を行い、入力部11から入力された指定情報に基づいて処理指示情報に指定された応答IDを検知すれば(ステップS404,Yes)、この応答IDを取得する(ステップS405)。一方、ID演算制御部21aは、この指定情報に基づく応答IDを検知しなければ(ステップS404,No)、上述したステップS401以降の処理手順を繰り返す。
ID演算制御部21aは、ステップS405において応答IDを取得した場合、記憶部18内の秘匿IDのうち、この応答IDと対応付けた秘匿IDを読み出す(ステップS406)。すなわち、ID演算制御部21aは、ステップS406において、この指定情報に基づく応答IDを有するRFIDタグ(たとえばRFIDタグ60)の秘匿IDを記憶部18から読み出す。この場合、ID演算制御部21aは、記憶部18内の各RFIDタグの秘匿IDのうち、この応答IDを有するRFIDタグの秘匿IDがステップS403によって初期化されていれば、このRFIDタグの初期の秘匿ID(たとえば秘匿ID101)を記憶部18から読み出し、この応答IDを有するRFIDタグの秘匿IDが初期化されていなければ、前回算出して記憶部18に上書きしたこのRFIDタグの更新後の秘匿ID(後述するステップS410による更新後の秘匿ID)を記憶部18から読み出す。いずれの場合であっても、ID演算制御部21aは、この指定情報に基づく応答IDがたとえばRFIDタグ60の応答IDであれば、ステップS406において、図9に示すように、上述したタグID演算制御部61aによる照合指定の秘匿IDと同一の秘匿IDを読み出す。
ID演算制御部21aは、ステップS406において秘匿IDを読み出した場合、上述したステップS209と同様に、制御部21に対し、この秘匿IDを送信指定し(ステップS407)、その後、上述したステップS210と同様に、処理指示情報によって指示する処理が完了したか否かを判断する(ステップS408)。ID演算制御部21aは、この処理が完了したと判断するまでステップS408を繰り返し、この処理が完了したと判断した場合、この秘匿IDを有するRFIDタグすなわち処理対象のRFIDタグ(たとえばRFIDタグ60)と同一の演算規則に従い、このステップS407において送信指定した秘匿IDを用いて、この処理対象のRFIDタグの次の秘匿IDを算出する(ステップS409)。具体的には、ID演算制御部21aは、このステップS409において、上述したタグID演算制御部61aと同様に、たとえば現在の秘匿IDに所定数を加算する演算式によって次の秘匿IDの値を算出する演算処理を行う。
つぎに、ID演算制御部21aは、このステップS409において算出した秘匿IDを記憶部18に上書きし、この処理対象のRFIDタグの秘匿IDを次の秘匿IDに更新する(ステップS410)。このようにして、ID演算制御部21aは、RFIDシステム2のRFIDタグ毎に、記憶部18に格納した処理対象のRFIDタグの秘匿ID(たとえば送信指定済みのRFIDタグ60の秘匿ID)をステップS409において算出した次の秘匿IDに切り替える。この場合、ID演算制御部21aは、RFIDシステム2のRFIDタグ毎に、応答IDと初期または更新後の秘匿IDとを対応付けて保持管理する。
たとえば、ID演算制御部21aは、RFIDタグ60の初期の秘匿ID101を照合指定していれば、ステップS409,S410において、この秘匿ID101の次の秘匿ID102を算出し、RFIDタグ60の次の秘匿IDとして秘匿ID102を記憶部52に上書きする。具体的には、ID演算制御部21aは、上述したタグID演算制御部61aと同様に、秘匿ID101のID情報「A101」に所定数たとえば「1」加算する演算式によって、次の秘匿ID102(ID情報「A102」を有する)を算出する。この場合、ID演算制御部21aは、図9に示すように、RFIDタグ60に対してつぎに送信する秘匿IDを初期の秘匿ID101から秘匿ID102に切り替えるために、記憶部18内のRFIDタグ60の秘匿IDを更新する。
一方、ID演算制御部21aは、ステップS401において、ID問合せ処理によって通知される応答IDを検知しなければ(ステップS401,No)、記憶部18内の各RFIDタグの秘匿IDを初期化せずに、上述したステップS404以降の処理手順を繰り返す。ここで、ID演算制御部61aは、ステップS404において処理指示情報に指定された応答IDを検知すれば、この応答IDを有するRFIDタグすなわち処理対象のRFIDタグの更新後の秘匿ID(上述したステップS410による更新後の秘匿ID)を記憶部52から読み出し、その直後のステップS407において、この処理対象のRFIDタグの更新後の秘匿IDを送信指定する。
ここで、ID演算制御部21aは、処理対象のRFIDタグ(たとえばRFIDタグ60)の秘匿IDを初期化した場合、このRFIDタグの初期の秘匿IDを記憶部18から読み出し、このRFIDタグの秘匿IDを初期化せずに上述したステップS401〜S410の処理手順を繰り返した場合、このRFIDタグと同一の演算規則に従い、このRFIDタグの秘匿IDを処理指示情報毎に算出して順次更新し、このRFIDタグの更新後の秘匿IDを記憶部18から順次読み出す。これによって、ID演算制御部21aは、処理対象のRFIDタグに照合される秘匿IDと同一のものを送信指定できる。たとえば、ID演算制御部21aは、図9に示すように、処理対象に指定されたRFIDタグ60のタグID演算制御部61aによって照合指定される秘匿ID(たとえば秘匿ID101,102)と同一のものを確実に送信指定する。
かかるID演算制御部21aは、ステップS401〜S410の処理手順を繰り返すことによって、処理対象のRFIDタグ(たとえばRFIDタグ60)と同一の演算規則に従って、このRFIDタグの秘匿IDを処理指示情報毎に順次算出し、得られた秘匿IDをRFIDタグ毎に更新するとともに保持管理して送信指定する。これによって、ID演算制御部21aは、処理対象のRFIDタグ(たとえばRFIDタグ60)に照合される秘匿IDと同一の秘匿IDを確実に送信指定できる。なお、この演算規則は、RFIDシステム2の全RFIDタグについて、共通のものであってもよいし、相互に異なるものであってもよい。
このようなRFIDタグ60に例示される1以上のRFIDタグと情報端末装置20とを用いたRFIDシステム2では、上述した実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。また、RFIDシステム2の1以上のRFIDタグは、上述した演算規則に従ってID情報を演算処理するための演算プログラムと上述した初期のID情報とを有していればよいので、実施の形態1の場合に比してRFIDタグの負荷を低減できる。さらに、情報端末装置20では、RFIDシステム2の各RFIDタグと同一の演算プログラムを有していればよいので、実施の形態1の情報端末装置10に比して、制御部21および記憶部18の負荷を低減できる。
なお、この発明の実施の形態2では、RFIDタグ60は、所定の演算規則に従って算出した秘匿IDを処理指示情報のID情報と照合し、情報端末装置20は、RFIDタグ60と同一の演算規則に従って算出した同一の秘匿IDを処理指示情報とともに送信していたが、この発明はこれに限定されるものではなく、この情報端末装置20と実施の形態1のRFIDシステム1の各RFIDタグ(たとえばRFIDタグ50)とを組み合わせてRFIDシステムを構成してもよいし、RFIDシステム2の各RFIDタグ(たとえばRFIDタグ60)と実施の形態1の情報端末装置10とを組み合わせてRFIDシステムを構成してもよい。この場合、上述した情報端末装置10は、たとえばRFIDタグ60に割り振られた応答IDと1以上の秘匿IDとを対応付けたIDテーブルを有し、RFIDタグ60が所定の演算規則に従って算出する秘匿IDと同一のものに順次切り替えて送信すればよい。また、情報端末装置20は、たとえばRFIDタグ50の秘匿IDを順次算出する演算プログラムを有し、RFIDタグ50が所定の切替規則に従って切り替えて照合指定する秘匿IDと同一のものを順次算出して送信すればよい。
また、この発明の実施の形態2では、情報端末装置20およびRFIDタグ60は、各秘匿IDの数値を1ずつ加算して順次切り替えていたが、この発明はこれに限定されるものではなく、RFIDシステム2を構成する情報端末装置20と1以上のRFIDタグは、情報端末装置20による処理指示情報に付加される秘匿IDと処理対象のRFIDタグ(たとえばRFIDタグ60)による照合処理で照合される秘匿IDとが同一のものになるように、相互に同一の演算規則に従って秘匿IDを順次算出すればよい。この場合、秘匿IDの値は、降順または昇順に順次演算処理されてもよく、たとえば各秘匿ID間において所定数ずつ増加または減少するものでもよいし、または各秘匿ID間において所定数ずつ乗算または除算されるものでもよい。
さらに、この発明の実施の形態2では、現在の秘匿IDの値に「1」を加算して次の秘匿IDの値を昇順に順次算出し、この昇順の最後尾の秘匿IDを算出した場合、この最後尾の秘匿IDに対する次の秘匿IDを初期の秘匿IDに設定して、初期の秘匿IDと最後尾の秘匿IDとの間を周回するように秘匿IDを切り替えていたが、この発明はこれに限定されるものではなく、初期の秘匿IDの値を初期値とし、現在の秘匿IDを用いた演算式によって次の秘匿IDの値を降順または昇順に順次演算処理し、初期の秘匿IDとこの降順または昇順の最後尾の秘匿IDとの間を往復するように秘匿IDの値を順次算出して切り替えてもよい。
また、この発明の実施の形態2では、情報端末装置20およびRFIDタグ60は、2つの秘匿IDを順次切り替えていたが、この発明はこれに限定されるものではなく、RFIDシステム2の各RFIDタグ(たとえばRFIDタグ60)に複数割り振られた固有のID情報の範囲内の数量であれば、算出して切り替える秘匿IDは、1つでもよいし、複数でもよい。
さらに、この発明の実施の形態2では、RFIDシステム2を構成する外部情報記録媒体としてRFIDタグ60を例示したが、この発明はこれに限定されるものではなく、この発明にかかるRFIDシステムを構成する外部情報記録媒体は、カード状の樹脂製板にRFID機能が設けられた非接触ICカード等のRFID機能を有する各種形態の外部情報記録媒体であってもよい。
また、この発明の実施の形態2では、RFIDシステム2を構成する情報端末装置として、RFID機能を有するPDAまたはノート型パソコン等の携帯型の情報端末装置を例示したが、この発明はこれに限定されるものではなく、この発明にかかるRFIDシステムを構成する情報端末装置は、外部情報記録媒体に対して非接触による情報読取処理または情報書込処理を行える情報端末装置であればよく、たとえば、RFID機能を有するデスクトップ型パソコン等の据置型の情報端末装置であってもよい。
以上、説明したように、この発明の実施の形態2では、予め割り振られた固有のID情報群のうち、これに含まれる各ID情報を順次演算処理する場合の初期値を有する初期のID情報を有し、情報端末装置によるID情報の問合せに対し、この初期のID情報を応答IDとして返答し、この応答IDを用いた演算式によって、この応答IDと異なる秘匿IDを算出し、情報端末装置からの処理指示情報に付加されたID情報とこの秘匿IDとを照合するようにし、この秘匿IDと一致するID情報が付加された処理指示情報によって指示された処理を行うように構成している。このため、上述した実施の形態1の作用効果を享受するとともに、アクセス動作を行う場合にかかる負荷をより低減できる外部情報記録媒体を実現することができる。
また、この外部情報記録媒体が、所定の演算規則に従って秘匿IDを順次算出し、処理指示情報毎に秘匿IDを切り替えて照合するようにし、この外部情報記録媒体によって照合される秘匿IDと同一の秘匿IDを算出して処理指示情報とともに送信する特定の情報端末装置とこの外部情報記録媒体とを用いることによって、上述した実施の形態1と同様の作用効果を享受できるRFIDシステムを実現することができる。
(実施の形態3)
つぎに、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。上述した実施の形態1では、処理指示情報毎に秘匿IDを順次切り替えていたが、この実施の形態3では、処理指示情報によって指示される処理内容毎に秘匿IDを切り替えるようにしている。
図10は、この発明の実施の形態3であるRFIDシステムの概略構成を模式的に例示するブロック図である。このRFIDシステム3は、実施の形態1の情報端末装置10に代えて情報端末装置30を有し、実施の形態1のRFIDシステム1の1以上のRFIDタグ(たとえばRFIDタグ50)に代えて、RFIDタグ70と同様に構成する1以上のRFIDタグを有する。また、情報端末装置30は、実施の形態1の制御部19に代えて制御部31を有する。制御部31は、実施の形態1のID切替制御部19aに代えてID切替制御部31aを有する。さらに、RFIDタグ70は、実施の形態1のタグ制御部53に代えてタグ制御部71を有する。タグ制御部71は、実施の形態1のタグID切替制御部53aに代えてタグID切替制御部71aを有する。また、記憶部52には、上述したIDテーブル18a−1に代えてIDテーブル18b−1が記録される。記憶部18には、RFIDシステム1の各RFIDタグのIDテーブル(IDテーブル18a−1,18a−2,…)に代えてRFIDシステム3の各RFIDタグのIDテーブル(IDテーブル18b−1,18b−2,…)が記録される。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
なお、図10では、RFIDシステム3を構成する1以上のRFIDタグのうち、RFIDタグ70を一例として示す。また、以下では、情報端末装置30およびRFIDタグ70の各構成および各機能を説明するが、RFIDシステム3の全RFIDタグは、RFIDタグ70と同様に機能し、情報端的装置30は、RFIDシステム3のRFIDタグ70以外の各RFIDタグに対し、RFIDタグ70の場合と同様に作用する。
制御部31は、上述した制御部19とほぼ同様に、情報端末装置30の各構成部を制御し、RFIDシステム3の1以上のRFIDタグ(たとえばRFIDタグ70)にアクセスして上述した情報読取処理または情報書込処理等の各種処理を行う。この制御部31が行う各種処理としては、情報読取処理および情報書込処理の他に、RFIDタグが情報読取処理および情報書込処理を受け付ける状態であるか否かを問い合わせる状態問合せ処理、このRFIDタグの状態を変更する状態変更処理等がある。
また、制御部31は、上述したように、ID切替制御部31aを有する。ID切替制御部31aは、RFIDシステム3の各RFIDタグ(たとえばRFIDタグ70)に対する処理指示情報の種別毎すなわち各RFIDタグに指示する処理内容毎に秘匿IDを切り替え、指示する処理内容に対応付けられた秘匿IDを処理指示情報に付加して送信するよう制御部31に指示する。
一方、タグ制御部71は、上述したタグ制御部53とほぼ同様に、RFIDタグ70の各構成部を制御し、たとえば情報端末装置30からの処理指示情報によって指示された各種処理を行う。この処理指示情報によって指示される処理として、たとえば情報読取処理、情報書込処理、状態問合せ処理、および状態変更処理等が挙げられる。
また、タグ制御部71は、上述したように、タグID切替制御部71aを有する。タグID切替制御部71aは、たとえば情報端末装置30からの処理指示情報によって指示された処理内容毎に秘匿IDを切り替え、指示された処理内容に対応付けられた秘匿IDと処理指示情報に付加されたID情報とを照合するようタグ制御部71に指示する。
一方、RFIDタグ70の記憶部52は、RFIDタグ70に固有である複数のID情報が予め書き込まれる。ここで、RFIDシステム3を構成する全RFIDタグ(たとえばRFIDタグ70)には、相互に固有である複数のID情報がそれぞれ割り振られている。各RFIDタグの複数のID情報は、たとえば情報端末装置30によるID問合せ処理に対して返答するための応答IDと、指示される処理内容毎に対応付けられる1以上の秘匿IDとによって構成される。たとえば記憶部52には、RFIDタグ70に固有のID情報として、これらの応答IDと1以上の秘匿IDとを対応付けたIDテーブル18b−1が予め書き込まれている。このことは、RFIDシステム3のRFIDタグ70以外の全RFIDタグについても同様である。
また、情報端末装置30の記憶部18は、RFIDシステム3を構成する全RFIDタグのID情報に関する各IDテーブル(IDテーブル18b−1,18b−2,…)が予め書き込まれている。この場合、記憶部18は、たとえばRFIDタグ70のIDテーブル18b−1を格納している。
つぎに、IDテーブル18b−1を例示して、RFIDシステム3の各RFIDタグのIDテーブルを具体的に説明する。IDテーブル18b−1は、上述したように、RFIDタグ70に固有の応答IDと1以上の秘匿IDとによって構成され、応答IDと1以上の秘匿IDとが対応付けられている。また、1以上の秘匿IDには、たとえば情報端末装置30によって指示される処理内容がそれぞれ対応付けられている。図11は、処理内容と対応付けられたIDテーブルの一具体例を模式的に示す模式図である。図11に示すように、IDテーブル18b−1は、RFIDタグ70に固有の応答ID100と2つの秘匿ID101,102とを含み、応答ID100と秘匿ID101,102とが対応付けられている。また、応答ID100は、秘匿ID101,102と異なるID情報(たとえば「A100」)が割り振られ、秘匿ID101,102は、相互に異なるID情報(たとえば「A101」および「A102」)がそれぞれ割り振られる。さらに、秘匿ID101には、処理内容として情報読取処理および状態問合せ処理が対応付けられる。秘匿ID102には、処理内容として情報書込処理および状態変更処理が対応付けられる。
つぎに、タグID切替制御部71aが行うID情報の切替動作とID切替制御部31aが行うID情報の切替動作とについて詳細に説明する。図12は、タグID切替制御部71aがRFIDタグ70のID情報を切り替える処理手順を説明するフローチャートである。図13は、ID切替制御部31aが処理指示情報に対して指定するID情報を処理内容毎に切り替える処理手順を説明するフローチャートである。図14は、ID切替制御部31aによるID情報の切替動作とタグID切替制御部71aによるID情報の切替動作とを説明するための模式図である。
まず、タグID切替制御部71aが行うID情報の切替動作について詳細に説明する。図12において、タグID切替制御部71aは、上述したステップS101と同様の処理を行い、ID問合せ情報を検知した場合(ステップS501,Yes)、IDテーブル18b−1を参照して応答ID(たとえば応答ID100)を抽出し、タグ制御部71に対し、このID問合せ情報の送信元たとえば情報端末装置30に返答するID情報として、この応答IDを送信指定する(ステップS502)。このステップS502において、タグID切替制御部71aは、上述したタグID切替制御部53aと同様に、秘匿ID(たとえば秘匿ID101,102)を送信指定しない。すなわち、RFIDタグ70は、情報端末装置30等の外部からのID情報の問合せに対して秘匿IDを返答しない。
つぎに、タグID切替制御部71aは、上述したステップS104と同様の処理を行い、たとえば情報端末装置30からの処理指示情報を検知した場合(ステップS503,Yes)、検知した処理指示情報によって指示される処理内容を確認する(ステップS504)。そして、タグID切替制御部71aは、IDテーブル18b−1を参照し、ステップS504において確認した処理内容と対応付けられた秘匿IDを抽出する(ステップS505)。さらに、タグID切替制御部71aは、タグ制御部53に対し、ステップS503において検知した処理指示情報に付加されたID情報と照合する秘匿IDとして、ステップS503において抽出した秘匿IDを照合指定する(ステップS506)。その後、タグID切替制御部71aは、上述したステップS501以降の処理手順を繰り返す。
具体的には、タグID切替制御部71aは、処理指示情報によって指示された処理内容が情報読取処理または状態問合せ処理である旨を確認した場合、たとえば図11に例示するIDテーブル18b−1を参照し、情報読取処理または状態問合せ処理と対応付けられた秘匿ID101を抽出して照合指定する。また、タグID切替制御部71aは、この処理内容が情報書込処理または状態変更処理である旨を確認した場合、このIDテーブル18bを参照し、情報書込処理または状態変更処理と対応付けられた秘匿ID102を抽出して照合指定する。すなわち、タグID切替制御部71aは、図14に示すように、処理指示情報によって指示される処理内容毎(たとえば情報読取処理または状態問合せ処理と情報書込処理または状態変更処理とに分類した処理内容毎)に秘匿IDを切り替えて照合指定する。
一方、タグID切替制御部71aは、ステップS501においてID問合せ情報を検知しなければ(ステップS501,No)、ステップS503以降の処理手順を繰り返す。また、タグID切替制御部71aは、ステップS503において、たとえば情報端末装置30からの処理指示情報を検知しなければ(ステップS503,No)、ステップS501以降の処理手順を繰り返す。
つぎに、ID切替制御部31aが行うID情報の切替動作について詳細に説明する。図13において、ID切替制御部31aは、上述したステップS205,S206と同様の処理を行い、入力部11から入力された指定情報に基づいて処理指示情報に指定された応答IDを検知すれば(ステップS601,Yes)、この応答IDを取得する(ステップS602)。一方、ID切替制御部31aは、この指定情報に基づく応答IDを検知しなければ(ステップS601,No)、このステップS601を繰り返す。
ID切替制御部31aは、ステップS602において応答IDを取得した場合、記憶部18内のIDテーブル(IDテーブル18b−1,18b−2,…)のうち、この応答IDに関連するIDテーブルを選択する(ステップS603)。すなわち、ID切替制御部31aは、ステップS603において、RFIDシステム3の全RFIDタグのうち、この指定情報に基づく応答IDを有するRFIDタグ(たとえばRFIDタグ60)のIDテーブル(たとえばIDテーブル18b−1)を選択する。
つぎに、ID切替制御部31aは、ステップS602において取得した応答IDが指定された処理指示情報を抽出し、この処理指示情報によって指示される処理内容を確認する(ステップS604)。ID切替制御部31aは、この処理内容を確認した場合、ステップS603において選択したIDテーブルを参照して、この処理内容と対応付けられた秘匿IDを抽出し(ステップS605)、制御部31に対し、この抽出した秘匿IDを送信指定する(ステップS606)。この場合、この秘匿IDは、この処理指示情報の処理指示先を指定するためのID情報として送信指定される。制御部31は、送信指定された秘匿IDをこの処理指示情報に付加し、この秘匿IDと処理指示情報とを処理対象のRFIDタグ(たとえばRFIDタグ70)に送信する制御を行う。その後、ID切替制御部31aは、上述したステップS601以降の処理手順を繰り返す。
ここで、ID切替制御部31aは、ステップS602において、たとえばRFIDタグ70の応答ID100を取得した場合、RFIDタグ70と同一のIDテーブル18b−1を参照し、ステップS604において確認した処理内容に応じて秘匿IDを切り替える。たとえば、ID切替制御部31aは、この処理内容が情報読取処理または状態問合せ処理である場合、秘匿ID101を送信指定し、この処理内容が情報書込処理または状態変更処理である場合、秘匿ID102を送信指定する。この場合、ID切替制御部31aは、図14に示すように、タグID切替制御部71aが照合指定する秘匿ID101,102と同一の秘匿ID101,102を処理内容毎にそれぞれ切り替えて送信指定できる。
かかるID切替制御部31aは、ステップS601〜S606の処理手順を繰り返すことによって、処理指示情報の処理内容毎に、処理対象のRFIDタグ(たとえばRFIDタグ70)と同一の秘匿IDに切り替えて送信指定できる。これによって、情報端末装置30は、RFIDシステム3の各RFIDタグ(たとえばRFIDタグ70)にアクセスでき、処理対象のRFIDタグに記録された情報を非接触で読み取り、または処理対象のRFIDタグに所望の情報を非接触で書き込みことができる。また、RFIDタグ70に例示されるRFIDシステム3の全RFIDタグは、この処理内容毎の秘匿IDを外部に通知しないので、この処理内容毎の秘匿IDが登録されていない従来の情報端末装置によるアクセスを防止する。このようなRFIDタグ70に例示される1以上のRFIDタグと情報端末装置30とを用いたRFIDシステム2では、上述した実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
なお、この発明の実施の形態3では、RFIDタグ70に固有の2つの秘匿ID101,102に情報読取処理および状態問合せ処理と情報書込処理および状態変更処理とがそれぞれ対応付けられていたが、この発明はこれに限定されるものではなく、RFIDシステム3に用いられる1以上の外部情報記録媒体のそれぞれは、固有のID情報として、応答IDとこの応答IDと異なる1以上の秘匿IDとを有し、かつ1以上の秘匿IDには、所望の処理内容をそれぞれ対応付ければよい。この場合、処理内容と1以上の秘匿IDとの組合せは、全ての外部情報記録媒体について共通でもよいし、相互に異なる組合せにしてもよい。
また、この発明の実施の形態3では、RFIDタグ70に固有の2つの秘匿ID101,102に情報読取処理および状態問合せ処理と情報書込処理および状態変更処理とがそれぞれ対応付けられていたが、この発明はこれに限定されるものではなく、異なる秘匿IDを演算する各演算式を所望の処理内容毎にそれぞれ対応付け、これらの各演算式のうち、外部情報記録媒体に指示する処理内容に対応付けられた演算式と応答IDとを用いて秘匿IDを演算するようにしてもよい。この場合、情報端末装置および外部情報記録媒体は、上述したIDテーブル18b−1に例示される秘匿IDと処理内容とを対応付けたIDテーブルを保持していなくてもよい。
さらに、この発明の実施の形態3では、RFIDシステム3を構成する1以上の外部情報記録媒体としてRFIDタグ70を例示したが、この発明はこれに限定されるものではなく、この発明にかかるRFIDシステムを構成する1以上の外部情報記録媒体は、カード状の樹脂製板にRFID機能が設けられた非接触ICカード等のRFID機能を有する各種形態の外部情報記録媒体であってもよい。
また、この発明の実施の形態3では、RFIDシステム3を構成する情報端末装置として、RFID機能を有するPDAまたはノート型パソコン等の携帯型の情報端末装置を例示したが、この発明はこれに限定されるものではなく、この発明にかかるRFIDシステムを構成する情報端末装置は、外部情報記録媒体に対して非接触による情報読取処理または情報書込処理を行える情報端末装置であればよく、たとえば、RFID機能を有するデスクトップ型パソコン等の据置型の情報端末装置であってもよい。
以上、説明したように、この発明の実施の形態3では、固有のID情報として、応答IDと、この応答IDと異なるID情報であって、指示される処理内容毎に区分した1以上の秘匿IDとを有し、情報端末装置によるID情報の問合せに対して応答IDを返答し、情報端末装置からの処理指示情報によって指示される処理内容毎に秘匿IDを切り替え、この処理指示情報に付加されたID情報と秘匿IDとを照合するようにし、この秘匿IDと一致するID情報が付加された処理指示情報によって指示された処理を行うように構成している。このため、1以上の秘匿IDの切替順序を設定する必要がなく、上述した実施の形態1の作用効果を享受できる外部情報記録媒体を容易に実現することができる。
また、処理内容と1以上の秘匿IDとが所望の組合せで対応付けられた各外部情報記録媒体のID情報と同一の各ID情報(たとえば各IDテーブル)を有し、外部情報記録媒体に指示する処理内容毎に秘匿IDを切り替えて処理指示情報とともに送信する特定の情報端末装置と、このような1以上の外部情報記録媒体とを用いることによって、上述した実施の形態1と同様の作用効果を享受できるRFIDシステムを容易に実現することができる。