JP4680522B2 - 熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリアセタール樹脂を含み、樹脂製歯車や機構部品等の素材として利用できる熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法に関する。
ポリアセタール樹脂は、機械的強度、耐疲労性、摺動性、耐薬品性等に優れたエンジニアリングプラスチックであり、OA機器、情報機器、家電、自動車、衣類、文具、雑貨、建材等に用いられる、樹脂製歯車や機構部品等の素材として広く利用されている。特に、上記特性に加えて、低コストで大量生産が可能なこと等から、上記の特性が必要なボタン類、クリップ、歯車の素材として多く利用されている。
ボタン類、クリップ等の素材として利用するにあたっては、高耐衝撃性、低摩耗性、高精度等の性能が要求される。特に耐衝撃性に優れることは重要である。
ここで、耐衝撃性を向上する手段としては、ポリアセタール樹脂に、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、炭酸カルシウム、タルク等の無機充填材等の強化用充填剤を添加することが考えられる。しかしながら、一般に強化用充填剤はポリアセタール樹脂よりも硬く、摺動時に強化用充填剤がポリアセタール樹脂を削り、摩耗量の増大を招く恐れがある。
そこで摺動性、寸法安定性等といったポリアセタール樹脂の特長を損なうことなく耐衝撃性を向上する手段として、特許文献1には、衝撃強度改質剤としてアクリル架橋ゴムグラフト共重合体を特定範囲で添加することが提案されている。具体的には、コアシェル型のグラフト共重合体を添加することが提案され、その場合、ウレタン系エラストマーを添加する場合より耐衝撃性が高いことが示されている。
ところが、一般的な乳化重合で得た特許文献1に記載のコアシェル型グラフト共重合体をポリアセタール樹脂に添加した場合には、ポリアセタール樹脂を分解させることがあった。これは、ポリアセタール樹脂はポリマー構造上結合が切れやすく、酸やアルカリ、その他要因で比較的簡単に分解するという性質に起因しており、グラフト共重合体に含まれる界面活性剤、触媒、アルカリ金属等によってポリアセタール樹脂が分解した。その結果、ポリアセタール樹脂が持つ本来の機械特性を充分に発揮できなかった。
このようなことから、ポリアセタール樹脂自身の分解に対する耐性を向上させる方法あるいはpH調整剤を添加する方法などが提案され実施されている。また、特許文献2には実質的にアニオンが検出されないポリマーが開示されており、特許文献3には、熱分解等に起因する熱老化性を改良する目的で、特定の安定剤を添加した樹脂組成物が開示されている。
特開平2−129266号公報 特開平6−100759号公報 特開平7−316393号公報
しかしながら、これまでに提案された方法では、ポリアセタールの分解を充分に防ぎつつ、耐衝撃性を高めることはできなかった。
本発明は、ポリアセタール樹脂の分解が防止されているとともに耐衝撃性が高い熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂と、
ビニル基を有する界面活性剤および該界面活性剤の少なくとも一部が化学結合したグラフト重合体が含まれる衝撃強度改質剤とを含有することを特徴とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、ビニル基を有する界面活性剤の存在下で、ゴム成分に単量体を乳化重合した後、水を除去して衝撃強度改質剤を得る衝撃強度改質剤製造工程と、
該衝撃強度改質剤とポリアセタール樹脂とを配合する配合工程とを有することを特徴とする。
本発明では、耐衝撃性が高い上に、ポリアセタール樹脂の分解が防止されているので、ポリアセタール樹脂が本来持つ優れた機械特性を損なうこともない。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂と特定の衝撃強度改質剤とを含有するものである。
「ポリアセタール樹脂」
ポリアセタール樹脂としては特に限定されないが、オキシメチレン基を主たる繰り返し単位とし、炭素数2以上のオキシアルキレン基を含むポリオキシメチレン共重合体を主成分とする樹脂が好ましい
具体的には、ホルムアルデヒド、又はその環状オリゴマーであるトリオキサンを主モノマーとし、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキセパン、1,4−ブタンジオールホルマール、ジエチレングリコールホルマール等の少なくとも1つの炭素間結合を有する環状エーテル及び/又は環状アセタールの中から選ばれた少なくとも1種をコモノマーとし、カチオン性触媒の存在下で共重合することで得られるものが好ましい。コモノマーとしては特に、コモノマー分散性が良好なことから、ポリマー中に連鎖移動を生じさせない1,3−ジオキソラン及び/又は1,3,5−トリオキセパンが好ましい。
ポリオキシメチレン共重合体としては、コモノマーとして炭素数2以上のオキシアルキレン基を含むものが好適であることを述べたが、オキシアルキレン基単位の含有量が0.5〜3.0質量%であることが好ましく、0.6〜2.0質量%であることがより好ましく、0.7〜1.6質量%であることが特に好ましい。コモノマー含有量が過小では、共重合体の熱や薬品に対する安定性が不充分となり、強度、精度等の諸特性の長期耐久性が低下する恐れがあり、コモノマー含有量が過大では、強度、剛性が低下する傾向にあり、好ましくない。
ポリオキシメチレン共重合体は、従来公知のトリオキサンの共重合法と同様の設備と方法にて製造することができる。
ポリオキシメチレン共重合体の製造にあたっては、バッチ式、連続式、いずれの製造方式を採用しても良く、また、溶融重合、溶液塊状重合等、いずれの重合法を採用しても良いが、工業生産性を考慮すれば、原料として液体モノマーを用い、必要に応じて不活性液体触媒の存在下、重合の進行とともに固体粉塊状のポリマーを得る連続式塊状重合法が好適である。
重合時には、ポリオキシメチレン共重合体の分子量調節のために、連鎖移動剤を添加することもできる。連鎖移動剤としては、メチラール、エチラール、ブチラール等が例示される。連鎖移動剤の添加量は特に限定されないが、共重合体の分子量に応じて0〜1000ppmの範囲内で適宜調整される。
重合触媒としては、公知のカチオン活性触媒を用いることができる。カチオン活性触媒としては、ルイス酸、殊にホウ素、スズ、チタン、リン、ヒ素及びアンチモン等のハロゲン化物、例えば三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五塩化リン、五フッ化リン、五フッ化ヒ素及び五フッ化アンチモン並びにその錯体化合物又は塩の如き化合物、プロトン酸、例えばトリフルオロメタンスルホン酸、パークロル酸、プロトン酸のエステル、殊にパークロル酸と低級脂肪族アルコールとのエステル(例えばパークロル酸の三級ブチルエステル)、プロトン酸の無水物、特にパークロル酸と低級脂肪族カルボン酸との混合無水物(特にアセチルパークロライト)、又はイソポリ酸、ヘテロポリ酸、(例えばリンモリブデン酸)、又はトリエチルオキソニウムヘキサフルオロホスファート、トリフェニルメチルヘキサフルオロアルゼナート、アセチルヘキサフルオロボラート等が挙げられる。中でも三フッ化ホウ素及び三フッ化ホウ素と有機化合物(例えばエーテル類)との配位化合物は好適である。これら触媒の添加量は、主モノマー及びコモノマーの総量に対して10〜300ppmが一般的である。
重合装置としては特に限定されないが、コニーダー、2軸スクリュー式連続押出混合機、2軸パドルタイプの連続混合機等の連続重合装置が使用可能である。用いる装置は密閉系であれば二段階以上に分かれているものであってもよい。但し、重合反応によって生成される固体重合物が微細な形態で得られる粉砕機能を備えたものが好ましい。
重合温度は特に限定されないが、64〜120℃が一般的であり、この範囲内でも比較的低温が好適である。
重合時間は触媒量に応じて好適範囲が変動し、特に制限はないが、0.5〜100分が一般的である。
好適な重合時間を経過した後は、重合装置から排出される粗重合体に対して、直ちに失活剤を混合接触させ、重合触媒の失活化を行うことが好ましい。失活剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等のアミン類と、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等の無機アルカリ性物質等とを混合した溶液等が挙げられる。用いる失活剤は水溶液であることが好ましい。
ポリアセタール樹脂は、重合触媒を失活させた後、必要に応じて洗浄、未反応モノマーの分離回収、乾燥等を経て、さらに必要に応じて不安定末端部の分解除去等の末端安定化工程を経て、さらに必要に応じて各種安定剤や加工性改良剤等の添加剤の添加を経て、溶融混練ペレット化され、製品化される。
添加する安定剤、加工性改良剤として好適な有機化合物としては、例えば、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリトールテトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル}2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、ジ−ステアリル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)等のヒンダードフェノール類に代表される酸化防止剤、ナイロン6・10、ナイロン6・66・610、ポリアクリルアミド等のポリアミド、メラミン、ジシアンジアミド等及びホルムアルデヒドとの重縮合物に代表される含窒素化合物、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のステアリン酸の如き高級脂肪酸及び水酸基等の置換基を有する置換高級脂肪酸の塩等の金属含有化合物等に代表される耐熱安定剤、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス−(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類に代表される紫外線吸収剤、また、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アジペート等のヒンダードアミン類に代表される光安定剤、グリセリンモノステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等の高級脂肪酸エステル類、エチレンビス(ステアリルアミド)等の高級脂肪酸アミドに代表される滑剤、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリプロピレン共重合体等の可塑剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
中でも特に、酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス−{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)フロピオニルオキシ−〕1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等のヒンダードフェノール類が好ましく、含窒素化合物としては、メラミン、ジシアンジアミド等及びホルムアルデヒドとの重縮合が好ましく、金属含有化合物としては、マグネシウム、カルシウムの高級脂肪酸及び置換高級脂肪酸の塩が好ましい。
ポリアセタール樹脂に安定剤として添加される化合物の総量は特に限定されないが、0.1〜2.0質量%であることが好ましく、0.1〜1.0質量%であることが特に好ましい。
「衝撃強度改質剤」
衝撃強度改質剤は、反応性を有する界面活性剤(以下、反応性界面活性剤と略す)と、反応性界面活性剤の少なくとも一部が化学結合したグラフト重合体とが含まれるものである。このように、反応性界面活性剤の少なくとも一部がグラフト重合体に化学結合していることで、溶融状態においてブリード等を起こさず、その結果、ポリアセタール樹脂の分解を抑制することができる。
反応性界面活性剤とは、衝撃強度改質剤を構成する単量体成分と反応することのできる官能基を有する界面活性剤のことである。官能基としてはビニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基等が挙げられる。反応性界面活性剤の具体例としては、官能基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル、官能基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート、官能基を有するアルキル脂肪酸系塩、官能基を有するアルキルリン酸、またはその塩等が挙げられ、一般に入手可能なもので、好ましい例としては、株式会社花王製、ラテムルS−180、ラテムルPD−104、ラテムルPD−420、ラテムルPD−430、あるいは東邦化学製FP−120が挙げられる。
衝撃強度改質剤中の反応性界面活性剤の含有量は、グラフト重合体100質量部に対して、通常0.1〜20質量部、好ましくは0.3〜10質量部、さらに好ましくは0.4〜7質量部の範囲である。
グラフト重合体は、ゴム成分とゴム成分に結合したグラフト成分とからなる。ゴム成分によって耐衝撃性を高めることができ、グラフト成分によってポリアセタール樹脂への分散性、製造時の回収性を高くできる。
衝撃強度改質剤のゴム成分としては、例えば、ジエン系単量体の重合体であるジエン系ゴム、(メタ)アクリル系単量体の重合体であるアクリル系ゴム、シリコーン系単量体の重合体とジエン系単量体あるいはアクリル系単量体の重合体との複合ゴムなどが挙げられる。ゴム成分の種類は要求性能に応じて適宜選択されるが、特に高い靭性が要求される場合にはジエン系単量体を含んだものが好ましい。
ジエン系ゴムにおいては、1,3ブタジエン等のブタジエン系単量体をジエン系単量体として含むものが好ましく、特に、ジエン系ゴムの全体を100質量部とした場合、1,3ブタジエン単位が30質量部以上、好ましくは60質量%以上であるものが好ましい。1,3ブタジエン量が60質量部以上であることで、耐衝撃性付与効果がより発揮される。
アクリル系ゴムをなす(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等が挙げられ、これらの中でも好適に用いられるものはブチルアクリレート、プロピルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、オクチルアクリレートである。
また、耐衝撃性を損なわない範囲、具体的には30質量%以下の範囲で、これらと共重合可能な他の単量体が共重合されていてもよい。他の単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;メタクリル酸変性シリコーン、フッ素含有ビニル化合物等の各種ビニル系単量体が挙げられる。
複合ゴムとしては、シリコーン/アクリル複合ゴムが好ましく、さらに、シリコーン/アクリル複合ゴムとしては、ポリオルガノシロキサン成分1〜99質量%とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分99〜1質量%とが分離できないように相互に絡み合った構造を有し、かつポリオルガノシロキサン成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分との合計量が100質量%のものが好適である。
ポリオルガノシロキサンを構成する単量体としては、例えばジオルガノシロキサン系単量体が用いられる。ジオルガノシロキサンとしては、3員環以上のジオルガノシロキサン系環状体が挙げられ、特に3〜7員環のものが好ましい。具体的にはヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
またビニル系単量体等との複合化のためには、それらと反応可能な単量体成分を含む必要がある。ビニル重合性官能基含有シロキサンとしては、ビニル重合性官能基を含有しつつジオルガノシロキサンとシロキサン結合を介して結合し得るものであれば特に限定されないが、ジオルガノシロキサンとの反応性を考慮すると、ビニル重合性官能基を含有する各種アルコキシシラン化合物が好ましい。具体的には、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエトキシメチルシランおよびδ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等のメタクリロイルオキシシラン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン等のビニルシロキサン、p−ビニルフェニルジメトキシメチルシラン等のビニルフェニルシラン、さらにγ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシロキサン等が好適である。なお、ビニル重合性官能基含有シロキサンは、1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
また、ポリオルガノシロキサンにはシロキサン系架橋剤が共重合されていてもよい。シロキサン系架橋剤としては、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等の3官能性または4官能性のシラン系架橋剤が好適に用いられる。
上記ゴム成分には、反応性界面活性剤の官能基の種類により、それと結合可能な官能基を持つビニル系化合物を共重合してもよい。
さらに、上記ゴム成分には、必要に応じて、架橋剤および/またはグラフト交叉剤が共重合されていてもよい。
架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等の芳香族多官能ビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3ブタンジオールジアクリレート等の多価アルコールのジカルボン酸エステル、多官能メタクリル基変性シリコーンなどのシリコーン等が好適である。
また、グラフト交叉剤としては、トリメタクリル酸エステル;トリアクリル酸エステル;アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル等のカルボン酸アリルエステル;ジアリルフタレート、ジアリルセバケート、トリアリルトリアジン等のジまたはトリアリル化合物、例えば、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が好適である。なお、アリルメタクリレートは架橋剤として用いることもできる。
これら架橋剤およびグラフト交叉剤は、1種を単独で用いても良いし、2種以上併用することもできる。
なお、ジエン系ゴムにおける架橋剤の含有量は、必要とされる耐応力白化のレベルに応じて適宜定めればよいが、その含有量が10質量部以下であることで耐衝撃性付与効果の低下を防止する。
また、アクリル系ゴムにおいて、架橋剤および/またはグラフト交叉剤の含有量は、耐衝撃性付与効果を損なわないことから、好ましくは20質量%以下、より好ましくは0.1〜18質量%の範囲である。
ゴム成分は、耐衝撃性を高くしつつ他の機械的性質を損ねないことから、質量平均粒子径(d)が70〜300nmであることが好ましく、80〜240nmであることがより好ましい。
質量平均粒子径(d)が80nm未満では、耐衝撃性付与効果が小さくなる恐れがあり、300nm超では、耐応力白化性が悪化する恐れがある。ここで、ゴム成分の質量平均粒子径(d)は、公知の方法により測定できる。例えば、市販のキャピラリー式粒度分布計を用いて、測定することができる。
ゴム成分は乳化重合法により製造することが好ましい。乳化重合法で製造した場合にはラテックス状のゴム成分が得られるから、続けてグラフト成分を乳化重合できる。その重合の際の重合温度は、重合開始剤の種類にもよるが、40〜80℃程度が一般的である。
グラフト成分を構成する単量体単位としては、メタクリル酸エステルを使用することが好ましく、また、必要に応じて、芳香族ビニル化合物を使用し、さらに必要に応じて、その他共重合可能なビニル系単量体、例えばアクリル酸エステル、シアン化ビニル系化合物を併用することが好ましい。
メタクリル酸エステルの具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等が挙げられる。
芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン、アルキル置換スチレン等が挙げられる。
その他共重合可能なビニル系単量体の具体例としては、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有ビニル系単量体等が挙げられる。
衝撃強度改質剤を製造するには、衝撃強度改質剤製造工程にて、まず、反応性界面活性剤の存在下で上記ゴム成分とグラフト成分を構成する単量体とを混合し、さらに重合開始剤を添加し、加熱して乳化重合する。次いで、乳化重合で得られたラテックスから水を除去して衝撃強度改質剤を回収する。
乳化重合に際して使用される重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ化合物;上記各化合物と亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩、第一金属塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、デキストローズ等を組み合わせたレドックス系開始剤等が挙げられる。
乳化重合時に必要に応じて鉄化合物を添加する場合、鉄化合物の量は10ppm以下とすることが好ましく、5ppm以下とすることがより好ましい。これは、ポリアセタール樹脂の分解を抑制する意味があり、上記範囲を超えるとポリアセタール樹脂を分解させる恐れがあり、好ましくない。
さらに、乳化重合時には、必要に応じて、ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物等の非反応性の界面活性剤あるいはポリオキシエチレンアルキルエーテル等の分散剤を添加してもよい。その場合、衝撃強度改質剤中の非反応性界面活性剤あるいは分散剤の含有量が、グラフト重合体100質量部に対して、通常0.1〜20質量部、好ましくは0.3〜10質量部、さらに好ましくは0.4〜7質量部の範囲になるように添加する。0.1質量部を下回った場合には衝撃強度改質剤製造時の乳化重合安定性を損なうことがあり、20質量部を上回った場合には、衝撃強度改質剤の分散性や耐衝撃性を損なうことがあり、好ましくない。
衝撃強度改質剤の回収方法としては、ラテックスから水を除去する公知の技術を採用できる。例えば酸、塩基等をラテックスに添加して凝集させ、分離、洗浄ののち乾燥して粉体として回収する凝固法、またラテックスをそのまま冷却して凍結し、乳化能が失活したところで、分離、洗浄、乾燥して回収する凍結凝固法、また噴霧回収装置を使用し、そのままラテックスの水分を除去して回収する噴霧回収法などが挙げられる。
なお、凝固法において使用する酸としては硫酸、塩酸が好ましく、塩類としてはカルシウム塩、マグネシウム塩が好ましい。なお、アルミニウム塩は、ポリアセタール樹脂の分解を促進する傾向があるため好ましくない。
衝撃強度改質剤中のゴム成分含有量は50〜95質量%であることが好ましい。50質量%を下回る場合には耐衝撃性が不足することがあり、95質量%を上回る場合には、ポリアセタール樹脂中での分散性が低下しやすく、また粉体としての回収が困難になることがある。
ゴム成分がポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートゴムとを含む複合ゴムである場合、衝撃強度改質剤中のポリオルガノシロキサンの含有量が8〜70質量%、複合ゴムの含有量が65〜90質量%であることが好ましい。
耐衝撃改質剤中の鉄もしくはそのイオンの含有量は15ppm以下であることが好ましく、10ppmであることがさらに好ましく、8ppm以下であることが特に好ましい。15ppmを上回る場合には、ポリアセタール樹脂の分解が顕在化しやすく、耐衝撃性等の物性を低下させる傾向にあるので好ましくない。
「熱可塑性樹脂組成物」
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、配合工程にて、ポリアセタール樹脂に対して、衝撃強度改質剤を所定量配合することで得られる。その方法としては特に制限はなく、樹脂組成物の調製に一般に用いられる公知の方法を適宜選択することができる。例えば、ポリアセタール樹脂と衝撃強度改質剤を、直接、又は予め混和した後、1軸又は2軸の押出機等により混練し、ペレット化して熱可塑性樹脂組成物を調製することができる。
また、熱可塑性樹脂組成物の成形方法としては、以上のようにして目的組成に調製されたペレットを成形する方法が好適であるが、一旦組成の異なる複数種のペレットを調製した後、これらを所定比で混合(希釈)して成形に供し、成形後に目的組成とする方法を採用することもできる。なお、ペレットの調製に際しては、基体であるポリアセタール樹脂(A)の一部又は全部を予め粉砕しておくことが、これに配合される成分の分散性を良くするため、好適である。
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は特に断らない限り、それぞれ「質量部」、「質量%」を表すものとする。
「衝撃強度改質剤の製造(製造例)」
(製造例1)衝撃強度改質剤(1)
ジャケットおよび攪拌機を備えた圧力容器に、表1に示す成分からなる第1のゴム成分用単量体混合物を仕込んだ。その第1のゴム成分用単量体混合物を攪拌しながら50℃に昇温し、イオン交換水20部に溶解した和光純薬製「V−50」0.05部を投入して重合を開始した。重合開始後、ジャケットを60℃で90分保持し、容器内温度を60℃に調整した後、イオン交換水20部に溶解した和光純薬製「V−50」0.2部を投入した。
次いで、表1に示す第2のゴム成分用単量体混合物を、ホモミキサーにて10000rpm、5分間攪拌処理し、それを90分かけて滴下し、重合した。ここで得られたゴム成分の粒子径は150nmであった。
その後、ジャケット温度60℃にて、90分間保持した後、表1に示す成分からなるグラフト成分用単量体混合物を調製し、そのグラフト成分用単量体混合物を40分かけて滴下した後、ジャケット温度60℃にて90分間保持し、重合を完了した。
得られたラテックスを、酢酸カルシウム5部を溶解し、70℃に調温したイオン交換水200部中に投入して凝固した後、遠心脱水した。次いで、遠心脱水により得られた湿粉を70℃に調温したイオン交換水200部中に投入し、再び遠心脱水する工程を合計4サイクル行った。その後60℃の乾燥機中で48時間乾燥して、粉体状の衝撃強度改質剤(1)を得た。
Figure 0004680522
なお、粒子径分布は以下のように測定した。
得られたラテックスをイオン交換水で希釈したものを試料とし、米国MATEC社製、CHDF2000型粒度分布計を用いて測定した。測定条件は、MATEC社が推奨する標準条件で行った。すなわち、専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジおよびキャリア液を用い、液性はほぼ中性、流速1.4ml/min、圧力約4000psi、温度35℃の状態を保ち、濃度約3%の希釈ラテックス試料0.1mlに対して測定を行った。なお、標準粒子径物質としては、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンを0.02μm〜0.8μmの範囲内で合計12点用いた。
(製造例2)衝撃強度改質剤(2)
製造例1における反応性界面活性剤として花王製ラテムルPD−104を使用した以外は製造例1と同様にして、ゴム成分の粒子径が140nmである衝撃強度改質剤(2)を得た。
(製造例3)衝撃強度改質剤(3)
2−エチルヘキシルアクリレート99.5部、アリルメタクリレート0.2部を混合し、(メタ)アクリレート単量体混合物100部を得た。
次いで、反応性界面活性剤である花王製ラテムルPD−104を2部(固形分)溶解したイオン交換水195部に、上記(メタ)アクリレート単量体混合物100部を加え、ホモミキサーにて10,000rpmで予備撹拌した後、ホモジナイザーにて300kg/cmの圧力下、乳化・分散させて、(メタ)アクリレートエマルジョンを得た。
このエマルジョンをコンデンサーおよび撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに移し、窒素置換および混合撹拌しながら昇温し、50℃になった時点で和光純薬製アゾ系開始剤V−50を0.5部、およびイオン交換水10部を添加した。その後5時間放置して重合を完結し、アクリルゴム(Q1)ラテックスを得た。
得られたアクリルゴム(Q1)ラテックスの重合率は99.9%であった。また、このラテックスをエタノールで凝固乾燥して固形物を得、トルエンで90℃、12時間抽出し、ゲル含量を測定したところ93.7%であった。
次いで、得られたアクリルゴム(Q1)ラテックスに花王製ラテムルPD−104を固形分として1.0部追加した。このラテックスを、アリルメタクリレートを含むポリ2−エチルヘキシルアクリレートの固形分が20部となるように採取し、撹拌機を備えたセパラブルフラスコに入れ、系内のイオン交換水量が195部となるようにイオン交換水を追加した。
次いで、アクリルゴム(P1)成分を構成するアリルメタクリレート2.0%を含むn−ブチルアクリレート68部を仕込み、10分間撹拌し、この混合液を先に調製したアクリルゴム(Q1)粒子に浸透させた。さらに10分間攪拌した後、窒素置換を行い、系内を50℃に昇温し、和光純薬製アゾ系開始剤V−50を0.5部、およびイオン交換水5部の混合液を仕込み、ラジカル重合を開始させた。その後内温70℃で2時間保持し、重合を完了して、アクリルゴム(P1)成分およびアクリルゴム(Q1)成分からなるポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴムラテックスを得た。
このラテックスを一部採取し、ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴムの粒子径分布の測定を行ったところ、質量平均粒子経は140nmであった。また、このラテックスを乾燥して固形物を得、トルエンで90℃、12時間抽出し、ゲル含量を測定したところ、98.3%であった。
得られたポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴムラテックスに、メチルメタクリレート11.5部およびブチルアクリレート0.5部とを含む単量体混合物を70℃にて15分間にわたり滴下し、その後70℃で4時間保持し、ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴムへのグラフト重合を完了し、アクリルゴム系グラフト共重合体ラテックスを得た。
得られたラテックスを、酢酸カルシウム5部を溶解し、70℃に調温したイオン交換水200部中に投入して凝固した後、遠心脱水した。次いで、遠心脱水により得られた湿粉を70℃に調温したイオン交換水200部中に投入し、再び遠心脱水する工程を合計4サイクル行った。その後60℃の乾燥機中で48時間乾燥して、粉体状の衝撃強度改質剤(3)を得た。
(製造例4)衝撃強度改質剤(4)
反応性界面活性剤である花王製ラテムルPD−104を0.5部(固形分)、イオン交換水70部をオートクレーブに仕込んだ後、表2に示す成分の第1のゴム成分用単量体混合物を仕込み、昇温を開始し、43℃になった時点で、下記レドックス系開始剤を添加して反応を開始した。その後さらに65℃まで昇温した。
レドックス系開始剤:
硫酸第一鉄 0.0008部
デキストローズ 0.2部
イオン交換水 5部
重合開始から3時間後に花王製ラテムルPD−104を1.5部(固形分)、およびイオン交換水75部を反応系内に添加し、開始剤であるp−メンタンハイドロパーオキサイド0.2部をさらに添加し、その直後から表2に示す成分の第2のゴム成分用単量体混合物を8時間かけて連続滴下した。
重合開始から14時間後、ブタジエン系ゴム重合体(R1)ラテックスを得た。このブタジエン系ゴム重合体(R1)ラテックスの質量平均粒子径(d)は120nmであった。また、ラテックス中のブタジエン系ゴム重合体(R1)の転化率は95.1%であった。
上記で得られたブタジエン系ゴム重合体(R1)75部(固形分)を窒素置換したフラスコ内に仕込み、内温を70℃に保持した。また花王製ラテムルPD−104を1.5部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.6部を仕込んだ。
次いで、表2に示す成分のグラフト成分用単量体混合物を1時間かけて滴下し、その後1時間保持した。なお、クメンハイドロキシパーオキサイドの添加量は、グラフトモノマーの合計量100%に対して0.3%とした。
重合反応終了後、グラフト共重合体ラテックスを得た。
得られたラテックスを、酢酸カルシウム5部を溶解し、60℃に調温したイオン交換水200部中に投入しえ凝固した後、遠心脱水した。次いで、遠心脱水により得られた湿粉を70℃に調温したイオン交換水200部中に投入し、再び遠心脱水する工程を合計4サイクル行った。その後60℃の乾燥機中で48時間乾燥し、粉体状の衝撃強度改質剤(4)を得た。
Figure 0004680522
(製造例5)衝撃強度改質剤(5)
製造例4において、反応性界面活性剤ラテムルPD−104の代わりに東邦化学製反応性界面活性剤FP−120のアンモニア中和品を使用した以外は製造例4と同様にして、ゴム成分の粒子径が130nmの衝撃強度改質剤(5)を得た。
(製造例6)衝撃強度改質剤(6)
製造例1において、第1のゴム成分用単量体混合物中の反応性界面活性剤ラテムルS−180 1.0部の代わりにアルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム0.5部を用い、第2のゴム成分用単量体混合物中の反応性界面活性剤ラテムルS−180 2.0部の代わりにアルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム2.0部を用いたこと以外は製造例1と同様にして、ゴム成分の粒子径が150nmの粉体状の衝撃強度改質剤(6)を得た。
「ポリアセタール樹脂」
トリオキサンと少量の1,3−ジオキソラン(コモノマー)との混合物を、三フッ化ホウ素エーテラート(触媒)の存在下に重合して、オキシエチレン基として0.75重量%、1.00重量%及び1.50重量%の3種類の共重合体を調製した。重合後、トリエチルアミン(失活剤)による触媒の失活をさせ、さらに末端安定化工程を経てペレット化した。
(実施例1〜5、比較例1)
表3に示す割合で、ポリアセタール樹脂78部と衝撃強度改質剤22部とを配合し、東芝機械製TEM35B型2軸押出機にてペレット化して熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。次いで、各種の評価試験を行うため、得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを三条機械製SAV60型射出成形機にて通常の条件で射出成形し、試験片を調製した。
(評価試験)
得られた熱可塑性樹脂組成物を以下のように評価した。結果を表3に示す。
1)アイゾット衝撃強度
サンプル厚みが1/8インチ、ノッチ付きの試験片のアイゾット衝撃強度を、ASTMD256に従って23℃で測定した。
2)曲げ弾性率
サンプル厚みが1/4インチの試験片の曲げ弾性率をASTM D790に従って23℃で測定した。
3)樹脂の分解性試験
W50E型2軸タイプのヘッドを装着したブラベンダー社製プラストミルを200℃に調温し、これを用いて熱可塑性樹脂組成物のペレット60gを5分間混練した。その際の、におい、ガス発生状況から、分解の程度を○、△、×3段階で評価した。○は、ほぼ臭いが無く、ガスの発生のないもの、△はやや臭いがする、あるいはガスが発生するもの。×は非常に臭いが強く、またガスが発生するものを示し、○が最も良好である。
Figure 0004680522
(結果)
反応性界面活性剤を使用した実施例は、ポリアセタール樹脂の分解が抑えられており、良好な耐衝撃性を示した。特に、衝撃強度改質剤のゴム成分がジエン系ゴムである実施例4,5は、非常に優れた耐衝撃性を示した。
これら対して反応性界面活性剤を使用しなかった比較例は、ポリアセタール樹脂の分解が見られ、耐衝撃性は低かった。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、OA機器、情報機器、家電、自動車、衣類、文具、雑貨、建材等に利用される、樹脂製歯車や機構部品等に好適に用いられる。

Claims (2)

  1. ポリアセタール樹脂と、
    ビニル基を有する界面活性剤および該界面活性剤の少なくとも一部が化学結合したグラフト重合体が含まれる衝撃強度改質剤とを含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. ビニル基を有する界面活性剤の存在下、ゴム成分に単量体を乳化重合した後、水を除去して衝撃強度改質剤を得る衝撃強度改質剤製造工程と、
    該衝撃強度改質剤とポリアセタール樹脂とを配合する配合工程とを有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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