JP4675291B2 - 農作物、植物又は種子の生育向上方法及び土壌改良方法。 - Google Patents

農作物、植物又は種子の生育向上方法及び土壌改良方法。 Download PDF

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Description

本発明は、γ−ポリグルタミン酸(「γ−PGA」、H体)、その塩(γ−ポリグルタメート)、γ−ポリグルタメートヒドロゲル、及び/又はγ−PGA、その塩及び/又はγ−ポリグルタメートヒドロゲルを含有する発酵ブロスの土壌湿潤作用、保水力、カルシウムとマグネシウムの可溶作用、農作物、植物及び種子の成長刺激作用、抗植物病原性(植物に対する病原性)及び/又は抗ウィルス性機能の組合せ・協同効果に関する。
実際の植物病害の制御現場では、殺菌剤(防カビ剤)として合成抗真菌化合物が主に用いられている。適用スペクトルの広い合成殺菌剤を使用すると、自然界における生物学的コントロールが損なわれると共に、野生生物、農場労働者及び消費者を危険にさらす。多くの植物病害、特に土壌に関連する病害には複数の病原菌が関与し、例えば、豆の根腐れには、Pythium sp.,Rhizoctonia solani及びFusarium solaniが関与している。
現在、そして近い将来、実際の植物病害の制御においては、既存の殺菌剤を選択的に使用する方法が主流になると思われる。殺菌剤は、通常、適用量又は適用頻度を考慮して選択的に使用することができる。化学的手段に生物学的手段の両方を用いることにより、確実で選択的な制御を行える可能性に関心がもたれている。
農作物の病害は、稀に起こるものから大流行に至るものまである。穀草のうどん粉病は頻発性の病害であり被害も甚大である。ブラックシガトカは、バナナに生じる頻発性の重大な病害である。温帯の穀類や世界的に価値が高い農作物に生じる角斑病(Rhizoctonia solani)の発症頻度からみて、角斑病制御のために設計された剤は商業上成功しているといえるかも知れない。一般にセプトリアとうどん粉病は、現在殺菌剤での抑制を行っている穀草病原菌のなかでも最も重要な菌に関連していると考えられている。殺菌剤で効果的に抑制できず且つ深刻な農作物損失に関わる病原菌も存在する。例えば、マメ科植物におけるSclerotiniaやイネ科植物におけるGaeumannomyces、トウモロコシにおけるfusariumが挙げられる。その他の主要な病原菌としては、コメにおけるPyricularia griseaや温暖地方の穀草におけるErysiphe graminisSeptoria tritici、果樹に実る果実におけるVentura inaequalis、マメ科植物におけるSclerotinia sclerotiorumが挙げられる。
天然抗真菌剤として最も広く研究されてきたのはフィトアレキシンであるが、現在ではキチナーゼやグルカン、キチン結合レクチン、ゼアマチン、チオニン、リボソーム不活化タンパク質も真菌の侵入に対するレギュレーターとして重要であると考えられている。バイオトロフィックな病原菌は生きている細胞に侵入するが、一方、ネクロフィックな病原菌は、病原菌侵入後の組織にコロニーを形成する。
D−アミノ酸は、微生物の細胞壁(非特許文献1参照);リポペプチド(非特許文献2参照);抗生物質(非特許文献3参照);莢膜及び毒素(非特許文献4参照)の構成要素である。抗生物質中のD−アミノ酸は、L−アミノ酸の立体化学的に不安的な中間体(環状ジペプチド等)への変化を経由して、L−アミノ酸から生成されると考えられている。抗生物質の生成過程で、対応するL−アミノ酸から生じたデヒドロアミノ酸の結合体が、in vivoで立体特異的にD−異性体に変換されると推測される。アミノ酸のラセミ化も類似の機構で進行すると考えられる。
桿菌によって産生されるペプチド系抗生物質の大部分は、グラム陽性細菌に対して活性を示す。しかしながら、実質グラム陰性細菌にしか活性を示さない化合物や、バシロマイシン(bacillomycin)やマイコバシリン(mycobacillin)等、かびや酵母に対して有効な剤となる化合物もある。マイコバシリンは、7種のアミノ酸を13残基有する環状ペプチド系抗生物質である(非特許文献5参照)。マイコバシリンは分子構造に、D−アミノ酸6残基とL−アミノ酸7残基を含み、D−アミノ酸6残基は、D−グルタミン酸2残基とD−アスパラギン酸4残基からなる。
非全草性の殺菌剤は通常、マルチサイト阻害剤であり、複数の生化学プロセスを破壊して効果を引き出す。これは殺菌剤が、多くの酵素に共通して存在するチオール基等の官能基に結合することよって達成される。ステロール生合成を阻害する物質は、非常に有効な穀草病害制御剤である。これは全草性な剤であり、抵抗的、治癒的且つ根治的に制御するものである。ステロールは、細胞膜の性質維持に重要な機能的成分であり、全真核生物に存在する。真菌では、ステロール生合成はアセチル−CoAからde novoで行われ、これにより真菌の大部分において主なステロールが産生される。エルゴステロールの合成経路は、多くの真菌(AscomycetesDeuteromysetesBasidomycetes等)に特徴的である。穀草のうどん粉病における主たるステロールは24−メチルコレステロールである。エルゴステロールは、膜機能の維持に独特な役割を果たし、エルゴステロールのアベイラビリティが減少すると膜破壊や電解質漏出が生じることになる。
サーファクチン(非特許文献6参照)は、枯草菌や納豆菌によって産生される環状デプシペプチドであり、β−ヒドロキシ脂肪酸と、D−ロイシン2残基を含む7残基のアミノ酸とを有する。サーファクチンは強力な抗真菌活性と、エールリッヒ腹水癌細胞に対する強力な抗腫瘍活性とを示し、また、フィブリン塊の形成を阻害する。両親媒性のリポペプチド系サーファクチンは、脂質二重膜の外層と物理化学的に相互作用し、イオンチャネルの透過性を大きく変化させ、膜組織の破壊を導く。また、サーファクチンはウィルス酵素のプロトン−ATPアーゼ活性を阻害する。この酵素活性は、ウィルスが細胞に侵入する際に必要である(非特許文献7参照)。サーファクチンのプロトン−ATPアーゼ活性阻害については、サーファクチンのアナログであるパミラシジンによる、胃のH+,K+−ATPアーゼに対する作用から示されている(非特許文献8参照)。サーファクチンの抗ウィルス活性は、スペクトルの広い各種ウィルス(セムリキ森林熱ウィルス、単純ヘルペスウィルス、スードヘルペスウィルス、水泡性口内炎ウィルス、サル免疫不全ウィルス、猫カリシウィルス、マウス脳心筋炎ウィルス、エンベローブウィルス、レトロウィルス等)を用いて決定された(非特許文献9参照)。
イチュリン類(非特許文献10参照)は、抗真菌性リポペプチドであり、枯草菌株によって産生される。イチュリンは、D−アミノ酸3残基とL−αアミノ酸4残基を含む環状ヘプタペプチドと、14〜16個の炭素原子を含む脂肪族側鎖を有する親油性β−アミノ酸とを含む。イチュリンは、植物病原性を有する真菌、酵母及び細菌に対して、in vitroとin vivoのいずれにおいても広い抑制スペクトルを示す(非特許文献11及び非特許文献12参照)。イチュリンは、極性ペプチド部分を有するため両親媒性であり、その作用機構が標的膜との相互作用に関係している。イチュリン−コレステロール間に強い相互作用がある場合は、等モル複合体が形成される。イチュリンはまた、エルゴステロールとも反応する。イチュリンと植物病原菌細胞膜のステロールとの間の相互作用は、膜透過性と膜脂質組成を効果的に変化させる。これにより、K+イオン放出チャネルが拡大し、細胞内の各種化合物が失われる。その結果、細胞のフィラメントが分解し、新たな胞子細胞の発芽が阻害されることになる。
枯草菌類は、動物飼料級の消化酵素(プロテアーゼ、カルボヒドラーゼ及びリパーゼ等)を生産するための微生物として米国FDAのGRASリストに掲載されている。
Schleifer K.H. And Kandler O., 1972,「細菌細胞壁のペプチドグリカンの種類とその分類学的意味」, Bacteriolo.Rev., 36:407-477 Asselineau J., 1966,「細菌の脂質」, Harmann, paris Bycroft B.W., 1969,「微生物ペプチドの構造的関係」, Nature(London), 224:595-597 ハト圃場(Hatfield)G.M., 1975,「高等菌類の毒素」. Lloydia, 38:36-55 Sengupta S., Banerjee A.B., Bose S.K.,1971,「マイコバシリン(環状ペプチド系抗生物質)におけるγ−グルタミル性D−又はL−ペプチド結合」, Biochem.J., 121:839-846 Arima K., Kakinums A., Tamura, G., 1968,「サーファクチン、枯草菌によって産生される結晶性ペプチドリピドサーファクチン:単離、特性評価及びそのフィブリン塊形成阻害」, Biochem.Biophys.Res.Commun., 31:488-494 Carrasco L., 1994,「動物ウィルスと高分子の細胞への侵入」, FEBS Lett., 350:151-154 Naruse N., Tenmyo O., Kobaru S., 1990,「パミラシジン、新規抗ウィルス性抗生物質のコンプレックス:製造、単離、化学的諸性質、構造及び生物活性」, J. Antibiot.Japan, 43:267-280 Vollenbroich D., Paul G., Ozel M., Vater J., 1997,「サーファクチン、枯草菌由来のリポペプチド系抗生物質の抗マイコプラズマ性と細胞培養への適用」, Appl.Environ.Microbiol., 63:44-49 Peypoux F., Guinand M., Michel G., Delcambe L., Das B.C., Lederer E.,1978,「イチュリンA、枯草菌由来のペプチドリピド系抗生物質の構造」, Biochemistry, 17:3992-3996 Namai T., Hatakeda K., Asano T., 1985,「多くの重要な植物病原性真菌に対し抗真菌活性を示す物質の産生細菌の同定」, Tohoku J.Agric.Res., 36:1-7 Gueldner R.C., Reiley C.C., Pusey P.L., Costello C.E., Arrendale R.F., Cox R.H., Himmelsbach D.S., Crumley F.G., Cutler H.G., 1987,「枯草菌によるモモ灰星病の生物学的制御における、抗真菌性ペプチドであるイチュリンの単離及び同定」, J.Agric. Food Chem., 36:366-370
全世界で使用されている殺菌剤は、わずか12種の真菌によって引起される病害の制御を目的として使用されている。殺菌剤は、哺乳類に対しては比較的無毒のものが多いが、含水銀化合物等、一部の殺菌剤は非常に毒性が高く、適切に使用しないと惨事を招く。また、ある種の殺菌剤を適用することで、制御不可能な別の病原菌による病害が増大したこともあった。例えば、ピーナッツの斑点病を制御するために使用したある種の殺菌剤によって、ピーナッツの菌核(Sclerotium rolfsii)の数が増加した例や、ベノミルの適用により、ライムギの角斑病(Rhizoctonia solaniによって引起される)、イチゴの果実腐敗(Rhizopusの一種)及びカウピーのウェット菌核(Pythium aphanidermatium)の発生率が上昇したという例である。また、特異性の異なる2種類或いは3種類の殺菌剤を使用すれば、広範囲に亘り作用する毒物を用いた場合と同様な効果が得られる。植物成長ホルモンは、真菌病害のアンタゴニストとしてよく知られている。オーキシンは、細胞壁構造に作用することにより、萎凋病菌に対して特に活性を示す。他の成長レギュレーター、例えば、オーキシン輸送阻害剤やジベレリン生合成阻害剤もまた、トマトや綿花において、フサリウムとバーティシリウムによる萎凋病の重篤度を低減させる。生合成阻害剤クロルメコートクロリドのPherpotrichoidesに対するアンタゴニスト活性は、真菌活性に対する直接的作用に起因するものではなく、本成長抑制剤を適用した結果得られる茎強度の向上によるものと考えられる。サイトカイニンキネチンは、真菌病原菌(Alternaria spp.Erysiphalesに属する菌等)に対するアンタゴニスト活性スペクトルを有し、作用機序は、病原菌に誘導されるタンパク質や核酸の分解速度減少によると考えられている。
本発明者らの研究により、γ−PGA、その塩、即ち、γ−ポリグルタメート(Na+体、K+体、NH4 +体、Mg++体及びCa++体)、γ−ポリグルタメートヒドロゲル(γ−ポリグルタメートNa+体、K+体、NH4 +体、Mg++体及びCa++体から調製)、及び/又はγ−PGA、その塩及び/又はγ−ポリグルタメートヒドロゲルを含有する発酵ブロスは、人体に対して無毒であるだけでなく、生分解性を有し、その最終分解産物も環境に優しい物質(グルタミン酸)であり、また、次に示すような多機能性を有することが分かった。即ち、高い吸水性及び保水力と、長期間に亘り持続的効果をもたらす優れた放出性とを有し、更には有害重金属イオンをキレート化により包含することにより無毒化し、カルシウム及びマグネシウムと配位性イオン性錯体を形成し栄養素バイオアベイラビィーを向上させ、また、優れた抗植物病原活性を示すことが分かった。これらの機能の組合せ・協同効果によって、γ−PGA、その塩及び/又はγ−ポリグルタメートヒドロゲルは、農作物や他の植物及び種子を植物病原作用から保護したり、その成長を刺激したりするための土壌改良を行う際、有利に使用できることは明白である。植物への栄養供給作用と、土壌のpH・水活性を調製する作用と、土壌に生育する病原菌によって引起される各種症状及び植物病害を防止する複合的殺菌作用とを集約した方法は、適切であり、よりよい選択であろう。
本発明は、農作物、植物又は種子の生育を向上させ、植物の茎と幹を同時に強化し、農作物の収穫高を増加させ、且つ植物病原体に起因する病害の抑制を向上させる方法に関し、該方法は、γ−PGA及び/又はその塩(Na+体、K+体、NH4 +体、Ca++体又はMg++体)、γ−ポリグルタメートヒドロゲル、又はγ−PGA、その塩及び/又はγ−ポリグルタメートヒドロゲルを含む発酵ブロス、又はそれらの混合物を含有する材料を、農作物、植物又は種子、あるいは農作物、植物又は種子を成長させる圃場に適用することを含む。
γ−PGA、γ−ポリグルタメート(Na+体、K+体、NH4 +体、Mg++体及びCa++体)及びγ−ポリグルタメートヒドロゲル(γ−ポリグルタメートNa+体、K+体、NH4 +体、Mg++体及びCa++体から調製)は極めて高い吸水性と水結合能とを有するため、効果的に水を保持する共に保持された水をゆっくりと放出し長期に亘り持続的に作用することができる。この性質は農場にとって重要であり、特に乾燥地や、乾燥し且つ温暖又暑い気候条件の地域には重要である。高い保水力は、主として土壌の水活性を向上させて微生物の増殖を促進し、また、成長に必要な栄養素が植物の種子や根に輸送されるのを促進する。
また、γ−PGAとγ−ポリグルタメート(Na+体、K+体、NH4 +体、Mg++体及びCa++体)は、液内発酵プロセスによりL−グルタミン酸から生産することができる(H.Kubotaら, 1993,「枯草菌F−2−01によるポリ(γ−グルタミン酸)の生産」, Biosci.Biotech.Biochem, 57(7), 1212-1213及びY. Ogata, 1997,「ジャー内発酵における枯草菌(ナットウ)によるγ−ポリグルタミン酸の効果的な生産」, Biosci.Biotech.Biochem., 61(10), 1684-1687参照)。γ−PGAとγ−ポリグルタメートは吸水性に優れ、これらのポリアニオン性は、水系における金属イオンCa++、Mg++、Mn++、Zn++、Se++++及びCr+++を可溶化・安定化させる用途に関し研究されている。特に、γ−PGAとγ−ポリグルタメート(Na+体、K+体及びNH4 +体)は中性条件でカルシウム塩やマグネシウム塩と容易に反応し(ホ(Ho),G.H.、2005、「枯草菌(納豆菌)によって生産されるγ−ポリグルタミン酸:構造特性及びその工業的応用((-Polyglutamic acid produced by Bacillus subtilis var. natto: Structural characteristics and its industrial application)」, Bioindustry, 16巻, No.3, 72-182参照)、水溶性の安定なγ−ポリグルタメートカルシウム体やγ−ポリグルタメートマグネシウム体を生成する。イオン系錯体であるγ−ポリグルタメートカルシウム体とγ−ポリグルタメートマグネシウム体は、種子の成長に栄養上必要なCa++とMg++を供給する。Ca++とMg++は、種子にとって利用しやすく、成長している植物の根に極めて効果的に輸送される。結果として、植物の種子、植物の根、穀類及び他の植物の成長が全体的に向上される。
γ−PGAへの金属吸着には二つの可能な機構、即ち、(1)金属イオンとカルボキシル部位との直接相互作用及び(2)COO-基により生じる静電ポテンシャル場による移動可能な重金属対イオンの保持が関与している。カルボキシレート基との相互作用の他に、アミド結合も弱い相互作用部位を提供することができる。γ−PGAの配座構造とイオン化に加え、水溶液中に存在する加水分解金属種の種類を知ることも重要である。種々の異なる化学種が生成するので、金属イオンに対する吸着能に差が生じ得る。
γ−PGAとγ−ポリグルタメート(Na+体、K+体、NH4 +体、Ca++体及びMg++)の分子構造を図1に示す。また、これらの一部の1H−NMR、1C−NMR及びFT−IRのスペクトルを図2、3及び4にそれぞれ示す。スペクトルデータ及び分析データは表1にまとめた。図5にpH滴定曲線を示す。
Figure 0004675291
γ−PGAは、重合度が1,000〜20,000までのグルタミン酸のポリマーであり、グルタミック単位同士のγ−ペプチド結合のみから成る。γ−PGAは末端アミンと多数のα−カルボン酸基とを含む。このポリマーは一般に、pHやイオン強度、その他のカチオン性種等の環境条件により、幾つかの立体配座状態、即ち、α−ヘリックス、ランダムコイル、β−シート、ヘリックスコイル転移領域及び包み込まれた会合体として存在する。通常、円二色性(CD)を用いて、ヘリックス体の存在量を222nmにおけるスペクトル強度の関数として測定する。ヘリックスコイル転移は均一な水溶液中で、約pH3〜5から生じ、γ−PGAは非結合の形態となり、pHがより高い5〜7にシフトすると結合した形態となる。ランダムコイルから包み込まれた会合体への転移は、γ−PGAの大規模なコンホメーション変化によって二価以上の金属イオンとキレートを形成する場合に生じる。
大部分のタンパク質はアミノ酸3.6残基毎に形成される水素結合は1個であるのに対し、γ−PGAは、連続するグルタミック単位3個につき4個の水素結合を形成し得る(Rydon H.N., 1964,「ポリペプチド、パート X、ポリ(γ−D−グルタミン酸)の旋光分散」, J.Chem.Soc., 1928-1933参照)。従って、γ−PGAはとりわけ優れた親水性を有する。このような立体配座をとることにより、γ−PGAはまた、抗植物病原活性等、他の多くの生物機能を果たす担体及び刺激物として重要な役割を果たす。上述の諸性質を組合せれば、γ−PGAとその塩及び/又はγ−ポリグルタメートヒドロゲルは、農作物の成長促進のための土壌調製或いは土壌改良に使用できると共に植物病原菌を制御するための農業用殺生物剤としても同時に使用できる。
本発明の一実施形態においては、γ−ポリグルタメートヒドロゲルは、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4 +体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体又はそれらの混合物を、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル又はそれらの混合物で架橋して調製される。本発明の別の実施形態においては、γ−ポリグルタメートヒドロゲルは、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4 +体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体又はそれらの混合物にガンマ線又は電子ビームを照射し架橋して調製される。
本発明によれば、γ−PGA及び/又はその塩、γ−ポリグルタメートヒドロゲル、γ−PGA、その塩及び/又はγ−ポリグルタメートヒドロゲル又はそれらの混合物を含む発酵ブロスを含有する材料は、殺生剤、土壌調製・改良用湿潤剤、植物の葉に噴霧するための成長刺激剤、農作物、植物又は種子の生育場所に存在する重金属を除去するためのキレート剤、及び/又は可溶性カルシウム及び/又はマグネシウムを形成するための錯化剤として使用される。前記の本発明材料を種子に適用する場合は、該材料を種子にコーティングする。
更に上述の材料は、極性溶媒(エタノールやメタノール等)や水に溶解させることができ、pHは5.0〜8.0に調整する。極性溶媒又は水中のγ−PGA及び/又はその塩の濃度は、0.001wt%〜15wt%である。更に上述の材料は、D体のグルタミン酸及び/又はグルタメートと、L体のグルタミン酸及び/又はグルタメートの比が、90%:10%〜10%:90%、好ましくは65%:35%〜35%:65%である。
市販目的量のγ−PGA及びその塩、即ちγ−ポリグルタメート(Na+体、K+体、NH4 +体、Ca++体及びMg++体)は、液内発酵プロセスにより、枯草菌や納豆菌(Naruse N., Tenmyo O., Kobaru S., 1990,「パミラシジン、新規抗ウィルス性抗生物質のコンプレックス:製造、単離、化学的諸性質、構造及び生物活性」, J.Antibiot.Japan, 43:267-280参照)、又はBacillus licheniformis(Vollenbroich D., Paul G., Ozel M., Vater J., 1997,「サーファクチン、枯草菌由来のリポペプチド系抗生物質、の抗マイコプラズマ性と細胞培養への適用」, Appl.Environ.Microbiol., 63:44-49参照)を用い、L−グルタミン酸及びグルコースを主な供給原料として使用して生産することができる。微生物培養培地は、炭素源、窒素源、各種無機ミネラル分及び他の栄養分を適量含む。通常、L−グルタミン酸量を3〜12%とし、炭素源の一部として、グルコースを5〜12%の濃度範囲で用い、クエン酸を0.2〜2%の濃度で用いる。ペプトンと硫酸アンモニウム(または、尿素或いはNH3)を窒素源として用い、酵母エキスとビオチンを栄養源として用い、Mn++、Mg++やNaClをミネラル源として用いる。培養は、適切な通気・撹拌下、30〜40℃に維持し、pHを尿素溶液、NH3又は水酸化ナトリウム溶液を用いて6〜7.5に維持する。培養時間は通常48〜84時間である。γ−PGA及びその塩、即ちγ−ポリグルタメートは細胞外に蓄積される。
γ−PGA及びその塩、即ちγ−ポリグルタメート(Na+体、K+体、NH4 +体、Ca++体及びMg++体)は通常、発酵用ブロスから一連の手続により抽出するが、その手続には超遠心や加圧ろ過により細胞を分離し、3〜4倍のエタノールを添加してγ−PGAやその塩を沈澱させる工程が含まれる。沈澱物を水に再度溶解し、新たにエタノールを使用してγ−PGAやその塩を沈澱させる。この溶解−沈澱ステップを数回繰り返し、純粋なγ−PGAやその塩を回収する。
通常、γ−PGAやその塩、即ちγ−ポリグルタメート(Na+体、K+体、NH4 +体、Ca++体及びMg++体)は、水やエタノール、メタノール等の適切な溶媒に溶解し、pHは5.0〜7.5に調整する。定常的に撹拌しながら、この溶液に、適切に選択した多官能化学架橋剤、例えばポリグリセロールポリグリシジルエーテルやソルビトール系ポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリアクリレートを添加する。添加量は、架橋剤の種類やヒドロゲルに要求される品質により異なるが、γ−PGA又はその塩の重量の0.01〜20%の範囲である。通常、ゲル化反応は、使用する器具や条件により異なるが、50〜120℃の反応温度で1〜4時間で完了する。次に、生成したヒドロゲルを凍結乾燥し、乾燥した架橋γ−PGA或いはその塩、即ちγ−ポリグルタメートヒドロゲル(Na+体、K+体、NH4 +体、Ca++体及びMg++体のγ−ポリグルタメートから調製)を生成する。これは、超吸水能を有し、非水溶性であり、水中で十分に膨潤すると、無色透明の生分解性ヒドロゲルを生成する。
分子量が5,000〜90,0000のγ−PGA又はその塩、即ちγ−ポリグルタメート(Na+体、K+体、NH4 +体、Ca++体及びMg++体)は、選択された特定の反応条件(pH、温度、反応時間、γ−PGA濃度)において制御された酸加水分解により生成することができる。pHはHClやH2SO4、他の有機酸等の適切な酸類で2.5〜6.5に調整できる。加水分解の温度は、50〜100℃の範囲で行うことができる。反応時間は0.5〜5時間とし、分子量1×106以上のγ−PGAの濃度は、適宜必要ないかなる濃度とすることもできる。高純度で、低分子量から中程度の分子量のγ−PGA又はその塩、即ちγ−ポリグルタメート(Na+体、K+体、NH4 +体、Ca++体及びMg++体)を選択的に生成するためには、反応終了後、透析や膜ろ過による更なる精製と乾燥を行う必要がある。酸加水分解速度はpHが低い程、温度が高い程、また、γ−PGAの濃度が高い程速い。γ−ポリグルタメート塩は、選択したγ−PGAを、選択した金属イオン(Na+、K+、NH4 +、Ca++体及びMg++体)塩基性水酸化物溶液又は酸化物と反応させることにより生産することができ、pHは必要に応じて5.0〜7.2の所望の値に調整できる。
以下、実験例を示し本発明を更に詳細に説明する。本発明は上述の目的を達成し得ることを以下の実験例によって示すが、本発明の範囲はこれら実験例によって何ら限定されるものではない。
実験例1
0.5%酵母エキス、1.5%ペプトン、0.3%尿素、0.2%K2HPO4、10%L−グルタミン酸一ナトリウム、8%グルコースを含有する培養用ブロス300L(pH6.8)を調製し、600Lの発酵槽に添加後、標準的な手続きに従って蒸気滅菌した。次に、枯草菌を植菌し、10%NaOH溶液でpHを調整した。37℃で96時間、連続発酵させたところ培養ブロスのγ−PGA含量が40g/Lに達した。この培養ブロスを15グラムずつ採取し、50mLキャップ付きサンプル瓶3本にそれぞれ移した。続いて、グリセロール系又はソルビトール系ポリグリシジルエーテル600μLを培養ブロス含有サンプル瓶それぞれに添加しキャップをした。各反応混合物を振とう式インキュベーター中で60℃、24時間反応させた。インキュベーターの回転速度は中程度とした。次に、反応後の混合物を50mLサンプル瓶から採取し、4℃で一晩、十分量の水に浸した。水和膨潤後にヒドロゲルが生成した。続いて、得られたヒドロゲルを80メッシュ金属製スクリーンで濾過し、水分を除いて乾燥させた。明らかに分かる自由水がない状態の膨潤ヒドロゲルの重量を測定記録した。次いで、このゲルを同一のビーカーを用いて4℃で一晩、十分量の水に再度浸した。同様の手続きを5日間連続で繰り返し、求めた吸水率を表2に示した。
γ−ポリグルタメートヒドロゲルの吸水率の決定:
重量測定済みの乾燥ヒドロゲルサンプル(W1)を過剰量の水に浸し、水中に放置し一晩膨潤させ、最大限に水和させた。80メッシュ金属製スクリーンを用いて水和ヒドロゲルを濾過し自由水を除去して、水分を除き乾燥させた。次いで、乾燥ヒドロゲルの重量を測定した(W2)。吸水量(W)は、差:W=W2−W1で表される。
吸水率:X=W/W1=(W2−W1)/W1
Figure 0004675291
実験例2
実験例1の方法に従って、5%γ−PGAナトリウム溶液のサンプルと、ポリグリシジル系架橋化合物としてジグリセロールポリグリシジルエーテルとを用いて別の実験を行った。サンプルのpHは表3に示すpHに調整した。得られた反応混合物を培養振とう器に設置した。培養振とう器の回転速度は中程度とした。反応は60℃で24時間連続して行った。反応終了後、吸水率を求め、結果を表3に示した。
Figure 0004675291
実験例3
実験例1の方法に従って、5%γ−PGAナトリウム溶液のサンプルとポリグリシジル系架橋化合物としてジグリセロールポリグリシジルエーテルとを用いて別の実験を行った。各溶液のpHは6.0に調整した。ジグリセロールポリグリシジルエーテルの使用量を変えて架橋反応を行った。反応は60℃で24時間連続して行った。各サンプルの各水和時間での吸水率を求め、その結果を表4に示した。
Figure 0004675291
実験例4
実験例1の方法に従って実験を行った。実験例1と同様にして枯草菌を植菌し培養物中に増殖させた。増殖時間を変えて培養ブロスサンプルを発酵槽から回収し本実験に使用した。ジグリセロールポリグリシジルエーテルを架橋剤として用いた。溶液のpHは6.0に調整した。反応は実験例1と同様、60℃で24時間連続して行った。各培養時間におけるサンプルの吸水率を表5に示した。
Figure 0004675291
実験例5
γ−ポリグルタミン酸カルシウムは、中性pH付近での高い溶解性と、次のpH滴定曲線(即ち、図5B)に示される良好なpH緩衝能(pH4〜7.0)とを有するため、種子、根及び植物の生育促進のための土壌調製に有利に使用できる。
実験例6
γ−ポリグルタメート(Na+体)とγ−ポリグルタメートヒドロゲル(γ−ポリグルタメートNa+体から調製)について、農業関連病原菌の個体群の増殖又は増殖阻止に対する有効性試験を行った。試験は標準的なポテトデキストロース寒天法(PDAディスク)に従った。病原菌の生育に対する阻止能を測定した。阻止試験に使用したγ−ポリグルタメート(Na+体)とγ−ポリグルタメートヒドロゲル(γ−ポリグルタメートNa+体から調製)の濃度は1%〜5%とした。
病原菌サンプル溶液の調製:
選択した病原菌サンプルをプレーンポテトデキストロース寒天(PDA)ディスクの中央に植菌して、病原菌の種類に応じ3〜9日間インキュベート(25℃)してから使用した。ディスク一面に病原菌が増殖したPDAディスクから直径4mmのサンプルを滅菌済み4mm径パーフォレータで採取し、新しいPDAディスクの中央に載置して、スペアサンプルとしてインキュベーター(25℃)に保管した。
10%γ−ポリグルタメート(Na+体)溶液サンプルの調製:
γ−ポリグルタメート(Na+体)サンプル3gを200mLエーレンマイヤーフラスコに加え、滅菌水27mLを添加し10倍希釈サンプル溶液を調製した。次いで、サンプル含有フラスコをレシプロ式振とう器で200rpm、30℃で1時間振とうした。続いて、フラスコを60℃の湯浴中でインキュベートし、温度が60℃に到達後、更に30分維持してから使用した。
50%γ−ポリグルタメート(Na+体)発酵ブロスサンプルの調製:
新鮮な発酵ブロスサンプル50mLを滅菌フラスコに加え、滅菌水50mLを添加し十分混合した後、10000rpmで30分間超遠心分離して細胞を分離させた。次に、最上部の透明溶液を0.4μmマイクロ濾過膜に通し、これを50%発酵ブロス溶液として使用した。
各濃度におけるサンプルの有効性試験を行うために、PDA培地100mLに硫酸ネオマイシン100ppmを含有させ、環境中の微生物叢による汚染を防止した。100ppmの硫酸ネオマイシン以外含まないPDA培地のディスクを対照として用いた。PDA培地100mLをペトリディスク(直径9cm)5枚に均等に分注し、固化後、4mmの病原菌サンプル片を各PDAペトリディスクの中央に植菌した。次いで、病原菌サンプルを植菌した面を下方に向けて25℃でインキュベートした。試験は5連で行った。対照用のディスク一面に病原菌が増殖するまでのサンプルの各濃度における増殖直径(mm)を記録した。
栄養寒天(NA)を用いた対峙培養による病原性細菌の増殖阻止実験:
病原性細菌を濃度1078cfu/mLに調製した。この調製物0.1mLをペトリディスクのNAに移し均一に塗布した。次に、各濃度の試験サンプルを含んだ直径1.0cmの濾紙2枚を載置した。実験は3連で行った。対照として、試験サンプルを含まない濾紙を用いた。NAの入ったペトリディスクを25℃で2〜4日間インキュベートし、増殖面積の直径を記録した。
γ−ポリグルタメート(Na+体)、γ−ポリグルタメートヒドロゲル(γ−ポリグルタメートNa+体から調製)及びγ−ポリグルタメート(Na+体)発酵ブロスのそれぞれについて、農業関連病原菌に対する増殖阻止能を試験した。結果は表6、7、8、9及び10にそれぞれ示す。
Figure 0004675291
Figure 0004675291
Figure 0004675291
Figure 0004675291
Figure 0004675291
実験例7 シロ(Silo)農場の屋外圃場で実施したダイアナスイカ(Diana watermelon)の成長に関する研究:
面積1000M2(10M×100M)の屋外圃場を、幅20cm×高さ25cmのトラフ(trough)で2等分した(1区画:5M×100M)。各区画をロットA、ロットBとし、ロットAは対照用、ロットBは実験用に使用した。ダイアナスイカの幼苗(1週齢)を両区画に2本ずつ1m間隔で植えた。定期的に与える肥料と灌漑は標準的なプログラム及び手続きに従い、区画Aには、台湾・ファーティライザー・オーガニックNo.39(12−18−12)を使用し3回灌漑を行い、区画Bには、3.5%γ−PGA(Na+体)含有γ−PGA発酵ブロスを多く含む灌漑液を用い、0.75kg/500M2の供給速度で灌漑を行った。γ−PGA発酵ブロスは約300倍に希釈した。灌漑は、区画A、Bいずれも20日間隔で3回ずつ行い、自動制御送水ポンプを用いて同量の液を両区画に供給した。60日後、ダイアナスイカを収穫し評価した結果を表11に示した。
Figure 0004675291
実験例8 チャイ(Chia-Yi)農場の屋外農場で実施したアマトウガラシの成長に関する研究:
ダイアナスイカの代わりにアマトウガラシの幼苗(1週齢)を用いて、実験例7と同様にして屋外場での研究を行った。植込みから60日後にアマトウガラシを収穫し評価した結果を表12に示す。
Figure 0004675291
実験例9 台中農事試験場(Taichung Agricultural Station)の屋外農場で実施したタイツリオウギの成長に関する研究:
ダイアナスイカの代わりに東洋で古くから知られている薬草のタイツリオウギを用いて、実験例7と同様の屋外農場研究を実施した。タイツリオウギの幼苗(1週齢)を使用した。まず、2%可溶性マグネシウム強化有機肥料チャンピオン(Champion)280(12−8−10)を用いて土壌を肥やした。幼苗を植え込んだ後、苗の両脇から20cm離れた場所に直径1.5インチ、深さ10cmの穴を2箇所開けた。この穴は、肥料と3.5%γ−PGA(Na+体)含有γ−PGA発酵用ブロスを追加する際に使用した。2個の穴は苗の両脇に対向するように設けた。幼苗を植え込んだ後、24日間隔で更に2回肥料を与えた。追加の肥料としては、台湾・ファーティライザー・オーガニックNo.39(12−18−12)(60g/穴)と、300倍希釈3.5%γ−PGA(Na+体)含有γ−PGA発酵用ブロス(500mL)をそれぞれ使用した。96日後、タイツリオウギの草本を収穫し、根を回収、洗浄した。新鮮な根と葉について評価した結果を表13に示した。
Figure 0004675291
(A)γ−PGA(H体)、(B)γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNa+体及びγ−ポリグルタメートNH4 +体、(C)γ−ポリグルタメートCa++体及びγ−ポリグルタメートMg++体(M(I)=K+、Na+、又はNH4 +、M(II)=Ca++又はMg++)の化学構造を示す。 pH中性、温度30℃のD2Oにおける各種(A)γ−ポリグルタメートNa+体、(B)γ−ポリグルタメートK+体、(C)γ−ポリグルタメートNH4 +体の400MHz1H−NMRスペクトル。化学シフトは内部標準からppm単位で測定。Xは不純物ピークを示す。 pH中性、温度30℃のD2Oにおける各種(A)γ−ポリグルタメートK+体、(B)γ−ポリグルタメートNa+体、(C)γ−ポリグルタメートCa++体及び(D)γ−ポリグルタメートMg++体の13C−NMRスペクトルを示す。化学シフトは内部標準からppm単位で測定。 KBrペレットによる(A)γ−ポリグルタメートNa+体及び(B)γ−ポリグルタメートNH4 +体の赤外(FT−IR)吸収スペクトルを示す。 (A)10%γ−PGAと0.2N NaOH、(B)2%γ−PGAとCa(OH)2及び(C)4%γ−PGAと5N NH4OHの25℃でのpH滴定曲線を示す。

Claims (14)

  1. 植物病原体に起因する病害の抑制の向上剤:当該剤は、γ−ポリグルタミン酸(「γ−PGA」、H体)及び/又はその塩、γ−ポリグルタメートヒドロゲル、γ−PGA、その塩及び/又はγ−ポリグルタメートヒドロゲルを含む発酵ブロス、又はそれらの混合物を含有し、
    前記塩は、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4 +体、γ−ポリグルタメートMg++体又はγ−ポリグルタメートCa++体であり、
    前記γ−ポリグルタメートヒドロゲルは、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4 +体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体又はそれらの混合物を、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル又はそれらの混合物で架橋するか、あるいはガンマ線又は電子ビームを照射して架橋することによって調製され、
    当該剤は、農作物、植物又は種子、あるいは農作物、植物又は種子を成長させる圃場に適用されるものである。
  2. 殺生剤として使用される、請求項1に記載の剤。
  3. 種子にコーティングされるものである、請求項2に記載の剤。
  4. に溶解させ、25℃におけるpHを5.0〜8.0に調整して用いられる、請求項1に記載の剤。
  5. γ−PGA及び/又はその塩の濃度は0.001w/w%〜15w/w%である、請求項4に記載の剤。
  6. γ−ポリグルタメートヒドロゲルの濃度は0.001w/w%〜10w/w%である、請求項4に記載の剤。
  7. 農作物、植物又は種子の生育を向上させ、植物の茎と幹を同時に強化し、農作物の収穫高を増加させるための剤:当該剤は、γ−ポリグルタメートヒドロゲル、γ−ポリグルタメートヒドロゲルを含む発酵ブロス、又はそれらの混合物を含有し、
    前記γ−ポリグルタメートヒドロゲルは、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4 +体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体又はそれらの混合物を、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリソルビトールポリグリシジルエーテル又はそれらの混合物で架橋することによって調製され、
    当該剤は、農作物、植物又は種子、あるいは農作物、植物又は種子を成長させる圃場に適用されるものである。
  8. 土壌調製・改良用湿潤剤、植物の葉に噴霧して使用するための又は農作物圃場又は植物圃場の灌漑に使用するための成長刺激剤、農作物、植物又は種子を生育させる圃場に存在する重金属を除去するためのキレート剤、ならびに/又は可溶性カルシウム及び/若しくはマグネシウムを生成するための錯化剤として使用される、請求項7に記載の剤。
  9. 種子にコーティングされるものである、請求項8に記載の剤。
  10. に溶解させ、25℃におけるpHを5.0〜8.0に調整して用いられる、請求項8に記載の剤。
  11. γ−ポリグルタメートヒドロゲルの濃度は0.001w/w%〜10w/w%である、請求項8に記載の剤。
  12. γ−ポリグルタミン酸及び/又はその塩をさらに含む、請求項8に記載の剤。
  13. 前記塩は、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4 +体、γ−ポリグルタメートMg++体又はγ−ポリグルタメートCa++体である、請求項12に記載の剤。
  14. 前記γ−ポリグルタミン酸及び/又はその塩の濃度は0.001w/w%〜15w/w%である、請求項12に記載の剤。
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