以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態について説明する。図1は、実施の形態としての衛星ディジタル多チャネル放送を利用したディジタルCATV(cable television)システム10を示している。本実施の形態においては、衛星ディジタル多チャネル放送として、SkyPerfecTV!を想定している。
このシステム10は、通信衛星20の複数のトランスポンダ(衛星中継器)からのディジタル放送信号を受信するアンテナ11と、この受信されたディジタル放送信号の伝送周波数や変調方式等を変更してCATV用のディジタル放送信号を生成して伝送路13に送出する変調変換送出装置12とを有して構成されている。なお、伝送路13には、受信端末であるセット・トップ・ボックス(宅内受信装置)14-1〜14-mが接続され、これらセット・トップ・ボックス14-1〜14-mで選択されたチャネル番号の画像がモニタ15-1〜15-mに表示される。
ここで、通信衛星20より送られてくるディジタル放送信号について説明する。本実施の形態において、このディジタル放送信号は、DVB(Digital VideoBroadcasting)システムに対応したものである。図2BはDVBシステムにおけるディジタル放送データのフレーム構成を示しており、8個のMPEG2トランスポートパケット(図2A参照)で1フレームが構成されている。この場合、パケット内の同期バイト(=47H)を用い、8パケットに1回の割合で同期バイトを反転(=B8H)させてフレーム同期を得る構成となっている。なお、各MPEG2トランスポートパケット(MPEG2TSパケット)には、リードソロモン(204,188)による誤り訂正符号が付加される。図2Bに示すディジタル放送データがQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調され、その後にSHF帯に周波数変換されて通信衛星20より送信されてくるディジタル放送信号となる。
図3は、MPEG2トランスポートパケットのパケット構成を示しており、188バイトのうち先頭の4バイトはパケットヘッダを構成している。パケットヘッダには該当パケットの個別ストリーム(データ列)の属性を示すPID(Packet Identification:パケット識別子)が配されている。MPEG2トランスポートパケットのペイロード(データ部)には、周知のように図4にパケット構成を示すPES(Packetized Elementary Stream)パケットが再分割されて配されると共に、さらにMPEG2システムの中で規定されているPSI(Program Specific Information:プログラム仕様情報)としてのPAT(Program Association Table)、PMT(Program Map Table)、NIT(Network Information Table)等のテーブル類もセクション形式によって配されている。
ここで、PSIは簡便な選局操作およびプログラム選択を実現するために必要な情報である。PATは各プログラム番号(16ビット)毎に、そのプログラムを構成するパケットの情報を伝送するPMTのPIDを示すものであり、図5はPATのテーブル構造を示している。PAT自体のPIDとしては、固定的にPID=“0×0000”(「0×」は16進表記であることを示している)が割り当てられている。
主な内容について説明する。テーブルIDは、テーブルの種別を示すものであって、PATでは“0×00”である。TS(トランスポート・ストリーム)IDは、ストリーム(多重化された符号化データ)を識別するものであって、衛星の場合はトランスポンダに相当する。バージョン番号は、テーブルの内容が更新される都度加算される。カレント・ネクスト・インジケータは、新旧バージョンを同時に伝送する際の識別に用いられる。プログラム番号は、個々のチャネルを識別するものである。ネットワークPIDは、プログラム番号が“0×0000”の場合に、NITのPIDを示すものである。プログラム・マップPIDは、PMTのPIDを示すものである。
また、PMTは、各プログラム番号毎に、そのプログラムを構成する映像、音声、付加データ等のストリームが伝送されるパケットのPIDを示すものである。PMT自体のPIDは、上述したようにPATで指定される。図6は、PMTのテーブル構造を示している。PATと重複しない主な内容について説明する。テーブルIDは、テーブルの種別を示すものであって、PMTでは“0×02”である。PCR PIDは復号する際の基準となるクロック(PCR:Program Clock Reference)が含まれるパケットのPIDを示すものである。ストリーム・タイプは、映像、音声、付加データ等、ストリームで伝送される信号の種類を示すものである。
また、NITは、伝送路に関する物理的な情報、すなわち衛星においては衛星の軌道、偏波、トランスポンダ毎の周波数等を示すものである。NIT自体のPIDは、上述したようにPATで指定される。図7は、NITのテーブル構造を示している。PAT、PMTと重複しない主な内容について説明する。テーブルIDは、テーブルの種別を示すものであって、当該ネットワークが“0×40”、他のネットワークが“0×41”である。ネットワークIDは、ネットワークを識別するものである。衛星の場合は個々の衛星に相当する。
さらに、NITの一部として重要な役割を果たす二つのディスクリプタについて説明する。まず、サテライト・デリバリー・システム・ディスクリプタを説明する。このディスクリプタは、TS(トランスポート・ストリーム)ディスクリプタ長に従って繰り返されるディスクリプタの1番目として使用するものであって、TS(トランスポート・ストリーム)IDと一対になる。
図8は、サテライト・デリバリー・システム・ディスクリプタの構造を示している。ディスクリプタ・タグは、DVBで規定されており、ディスクリプタの種別を示すものである。このディスクリプタでは、“0×43”となる。周波数は、ストリーム(ここではトランスポンダ)毎の伝送周波数を示すものである。軌道/西経・東経フラグ/偏波は、衛星の軌道、偏波を示すものである。変調/シンボル・レート/内側誤り訂正符号化率は、伝送方式に関する仕様を示すものである。
次に、サービス・リスト・ディスクリプタを説明する。このディスクリプタは、TS(トランスポート・ストリーム)ディスクリプタ長に従って繰り返されるディスクリプタの2番目以降として使用するものであって、当該ストリーム(ここではトランスポンダ)に多重されたサービス(チャネル)のIDを示すものである。すなわち、一つのTS(トランスポート・ストリーム)IDに複数のサービス・リスト・ディスクリプタが付属する。
図9は、サービス・リスト・ディスクリプタの構造を示している。ディスクリプタ・タグは、DVBで規定されており、ディスクリプタの種別を示すものである。このディスクリプタでは、“0×41”となる。サービスIDは、サービスを識別するものである。通常、サービスは視聴者が選局するチャネルと一致する。サービスタイプは、映像、音声、データ等、サービスの内容を示すものである。
また、MPEG2トランスポートパケットのペイロード部(データ部)には、ダウンロードにより伝送システムの転換、受信機の機能向上等を実現するために必要となるDCT(Download Control Table:ダウンロード制御テーブル)とDLT(Download Table:ダウンロードテーブル)も、セクション形式によって配されている。
DCTは、トランスポート・ストリームよりDLTを分離抽出するための情報を持つテーブルである。例えば、SkyPerfecTV!の運用規定では、PID=“0×0017”となっている。このDCTは、当該ネットワークの全てのトランスポート・ストリームにて伝送される。
図10はDCTのテーブル構造を示している。主な内容について説明する。テーブルIDは、テーブルの種別を示すものであって、“0×C0”である。ネットワークIDは、ネットワークを識別するものである。このネットワークIDは、伝送システムの転換を目的とする場合には転換先のネットワークを示し、一方受信機の機能向上やバグフィクスを目的とする場合には当該ネットワークを示すものとなる。
伝送レートは、DLTのサブテーブル毎(機種毎)の伝送レートであり、1秒間に送出されるTSパケットの数を示している。ダウンロードPIDは、DLTのPIDを示すものである。ECM(Entitlement Control Message) PIDは、そのDLTに対応するECMのPIDを示すものである。上述せずも、DLTにはセキュリテーを確保するためにスクランブルが施されている。ECMはそのスクランブルを解除するキー情報を持っている。
機種情報長は、以下に続く機種情報ループの全バイト数を規定している。メーカーIDは、該当DLTが適用される受信機のメーカーを示すものである。モデルIDは、該当DLTが適用される受信機の同一メーカーID内でのモデルを示すものである。バージョンIDは、該当DLTが適用される受信機の同一メーカーID/モデルID内でのソフトバージョンを示すものである。DLTサイズは、同一メーカーID/モデルID/バージョンIDを持つDLTのセクション数を示すものであり、DLTの最終拡張セクション番号の中央8ビットと同じ値をとる。
DLTは、ダウンロードするソフトウェア本体を持つテーブルである。PIDは事業者により運用され、DCTによって示される。このDLTは、当該ネットワークの一部または全部のトランスポート・ストリームにて伝送される。図11はDLTのテーブル構造を示している。主な内容について説明する。テーブルIDは、テーブルの種別を示すものであって、SkyPerfecTV!では、“0×C1”とされている。DLTでは、セクション長は、“0×89C”と固定されている。これは、DLTの1セクションを12TSパケットとし、伝送時間の計算等の取り扱いを容易にするためである。
メーカーID、モデルID、バージョンIDは、上述したDCTでの説明と同じである。拡張セクション番号は、セクション番号を16ビットに拡張したものである。拡張セクション番号は、同一テーブルID/メーカーID/モデルID/バージョンIDを持つセクション毎に1加算される。最終拡張セクション番号は、最大の拡張セクション番号を持つセクション番号を規定している。機種情報は、当該ソフトウェアに関する任意の情報を記載できる。ダウンロードソフトウェアは、ダウンロードするソフトウェアの本体を示している。
図12は、図1のディジタルCATVシステム10における変調変換送出装置12の構成を示している。この送出装置12は、通信衛星20の第1〜第Nのトランスポンダ(衛星中継器)より送られてくるディジタル放送信号の伝送周波数や変調方式等を変更してCATV用のディジタル放送信号を生成して伝送路13に送出するものである。なお、各ディジタル放送信号には複数チャネルの番組が多重化されている。
送出装置12は、マイクロコンピュータを備えてなり、装置全体の動作を制御する制御部31と、通信衛星20の第1〜第Nのトランスポンダより送られてくるSHF(Super High Frequency)帯のディジタル放送信号を処理して、VHF(Very High Frequency)帯またはUHF(Ultra High Frequency)帯のCATV用のディジタル放送信号BS1〜BSNを生成する第1〜第Nの信号処理部32-1〜32-Nと、これらディジタル放送信号BS1〜BSNを加算して伝送路13に送出する加算器33とを有している。なお、制御部31には、各信号処理部32-1〜32-Nのチューナにおける受信周波数の設定等を行うための操作部34と、送出装置12の状態等を表示し、液晶表示器等で構成される表示部35が接続されている。
信号処理部32-1は、アンテナ11で受信されたSHF帯の複数のディジタル放送信号より、通信衛星20の第1のトランスポンダより送られてくるディジタル放送信号を選択し、そのディジタル放送信号に対して周波数変換処理を行ってQPSK変調信号S1を得るチューナ41と、このQPSK変調信号S1を復調してDVBのフレーム構成の信号S2を得る復調器42と、この復調器42より出力されるDVBのフレーム構成の信号S2に対して誤り訂正を行って、ディジタル放送データとしてのMPEG2トランスポートパケットS3を順次得るECC(Error Correction Code)デコーダ43とを有している。
また、信号処理部32-1は、ECCデコーダ43より順次出力されるMPEG2トランスポートパケットS3よりNIT(ネットワーク・インフォメーション・テーブル)を検出するNIT検出回路44と、このNIT検出回路44で検出されたテーブルNITaを記憶するメモリ45と、このメモリ45に記憶されたテーブルNITaを制御部31で変更して得られたテーブルNITbを記憶するメモリ46とを有している。NIT検出回路44では、固定のPIDに基づいてNITの検出が行われる。上述したように通信衛星20に係るディジタル放送データにおけるNITのテーブル構造は図7に示すようになっているため、NIT検出回路44で検出されるテーブルNITaのテーブル構造も同様である。
制御部31では、テーブルNITbを得るに当たって、テーブルNITaにおける伝送周波数情報等を持つサテライト・デリバリー・システム・ディスクリプタ(図8参照)が、図13にその構造を示すCATV・デリバリー・システム・ディスクリプタに変更される。このCATV・デリバリー・システム・ディスクリプタの全長は、サテライト・デリバリー・システム・ディスクリプタと同一であるため、単純に置き換えるだけでよい。
主な内容を説明する。ディスクリプタ・タグは、DVBで規定されており、ディスクリプタの種別を示すものである。このディスクリプタでは、“0×44”となる。周波数は、CATVにおけるストリーム(多重化された符号化データ)毎の伝送周波数を示すものである。FEC(外符号)は、外符号としての誤り訂正符号を示すものであって、このディスクリプタでは、“0010”となる。変調/シンボルレート/FEC(内符号)は、伝送方式に関する仕様を示すものである。
なお、CATVにおけるディジタル放送信号の数が、衛星ディジタル放送におけるディジタル放送信号の数よりも少ない場合がある。つまり、通信衛星20がL個のトランスポンダを備え、衛星ディジタル放送におけるディジタル放送信号の数がL個であるとき、CATVではそのL個のディジタル放送信号のうちN個(N<L)のディジタル放送信号が選択的に使用されることがある。その場合、制御部31では、テーブルNITbを得るに当たって、テーブルNITaにおけるCATVで使用されないディジタル放送信号に対応したTSIDに係る情報(図7において、トランスポート・ストリームID〜ディスクリプタまでの情報)が削除される。
また、制御部31では、テーブルNITbを得るに当たって、操作部34の操作に対応して視聴制限すべきサービス(番組)の情報が削除される。この場合、NIT検出回路44で検出されるテーブルNITaの内容(TSID毎に、そのトランスポート・ストリームに多重化されたサービス)を表示部35に表示させることができる。この状態で、操作部34によって視聴制限すべきサービスが指定されと、テーブルNITaより、そのサービスの情報が削除される。
例えば、あるTSIDに多重化されたサービスの全てが視聴制限をすべきサービスとして指定されるときは、そのTSIDに係る情報(図7において、TSID〜ディスクリプタまでの情報)の全てが削除される。また例えば、あるTSIDに多重化されたサービスの一部が視聴制限をすべきサービスとして指定されるときは、そのTSIDに係るサービス・リスト・ディスクリプタよりそのサービスの情報(図9において、サービスID、サービス・タイプ)が削除される。
メモリ45,46の書き込み、読み出しは、制御部31によりインタフェース47を介して制御される。上述したチューナ41の受信周波数も、制御部31により、インタフェース47を介して制御される。
また、信号処理部32-1は、ECCデコーダ43より順次出力されるMPEG2トランスポートパケットS3よりNITを検出し、そのNITをメモリ46に記憶されているテーブルNITbに置き換えるNIT置換回路48を有している。このNIT置換回路48でも、固定のPIDに基づいてNITの検出が行われる。
また、制御部31でテーブルNITbを得るに当たって、視聴制限すべきサービス(番組)の情報等が削除される場合、上述せずも、その削除された情報に係る部分にダミービットが挿入される。これにより、トランスポート・ストリームの全長が削除前と同じとなり、置き換えが容易となる。NIT置換回路48ではNITの置き換えのみが行われ、パケットS3、パケットS4には、同一のDCTおよびDLTが含まれている。
また、信号処理部32-1は、NITが置き換えられたMPEG2トランスポートパケットS4に対して、リードソロモン(204,188)の誤り訂正符号を付加する等してDVBのフレーム構成の信号S5(図2B参照)を得るECCエンコーダ49と、このDVBのフレーム構成の信号S5に64QAM(Quadrature Amplitude Modulation)の変調処理を行う変調器50と、この変調器50より出力される64QAM変調信号の周波数を変換してVHF帯またはUHF帯のCATV用のディジタル放送信号BS1を得る周波数変換器51とを有している。
なお、信号処理部32-2〜32-Nは、それぞれ上述した信号処理部32-1におけるチューナ41、復調器42、ECCデコーダ43、インタフェース47、NIT置換回路48、ECCエンコーダ49、変調器50および周波数変換器51を備えた構成とされている。そして、信号処理部32-2〜32-NのNIT置換回路48では、それぞれ信号処理部32-1のメモリ46に記憶されているテーブルNITbが使用されてNITの置き換えが行われる。
また、信号処理部32-2〜32-Nのチューナでは、それぞれアンテナ11で受信された複数のディジタル放送信号より通信衛星20の第2〜第Nのトランスポンダより送られてくるディジタル放送信号が選択され、そのディジタル放送信号に対して周波数変換処理が行われて所望のQPSK変調信号S1が得られる。信号処理部32-2〜32-Nのチューナの受信周波数は、制御部31により、インタフェース47を介して制御される。さらに、信号処理部32-2〜32-Nの周波数変換器51では、ディジタル放送信号BS1〜BSNの伝送周波数がそれぞれ異なるように周波数変換される。
次に、図12に示す変調変換送出装置12の動作を説明する。アンテナ11で受信されたSHF帯の複数のディジタル放送信号は信号処理部32-1のチューナ41に供給される。チューナ41では、通信衛星20の第1のトランスポンダより送られてくるディジタル放送信号が選択され、さらにそのディジタル放送信号に対して周波数変換処理が行われて所望のQPSK変調信号S1が得られる。このQPSK変調信号S1は復調器42に供給され、この復調器42ではQPSK変調信号S1に対して復調処理が行われてDVBのフレーム構成の信号S2が得られる(図2B参照)。そして、このDVBのフレーム構成の信号S2がECCデコーダ43に供給され、このECCデコーダ43ではDVBのフレーム構成の信号S2に対して誤り訂正処理が行われてディジタル放送データとしてのMPEG2トランスポートパケットS3が順次得られる(図2A参照)。
また、ECCデコーダ43より順次出力されるMPEG2トランスポートパケットS3はNIT検出回路44に供給され、このNIT検出回路44ではMPEG2トランスポートパケットS3よりNITが検出される。そして、検出されたテーブルNITaはメモリ45に供給されて記憶される。制御部31は、メモリ45よりテーブルNITaを読み出し、そのテーブルNITaにおけるサテライト・デリバリー・システム・ディスクリプタ(図8参照)をCATV・デリバリー・システム・ディスクリプタ(図13参照)に変更し、またテーブルNITaにおける視聴制限するように指定されたサービス(番組)の情報を削除し、さらにテーブルNITaにおけるCATVで使用されないディジタル放送信号に対応したTSIDに係る情報を削除する等してテーブルNITbを得、このテーブルNITbをメモリ46に記憶しておく。
また、ECCデコーダ43より順次出力されるMPEG2トランスポートパケットS3はNIT置換回路48に供給され、このNIT置換回路48ではNITが検出され、そのNITの部分がメモリ46に記憶されているテーブルNITbに置き換えられる。この場合、制御部31でテーブルNITbを得るに当たって、視聴制限すべきサービス(番組)の情報等が削除される場合、その削除された情報に係る部分にダミービットが挿入される。
また、NIT置換回路48でNITが置換されたMPEG2トランスポートパケットS4はECCエンコーダ49に供給され、このECCエンコーダ49では、リードソロモン(204,188)の誤り訂正符号が付加される等してDVBのフレーム構成の信号S5が形成される。このDVBのフレーム構成の信号S5は変調器50に供給され、この変調器50ではDVBのフレーム構成の信号S5に64QAMの変調処理が行われて64QAM変調信号S6が得られる。そして、この64QAM変調信号S6は周波数変換器51に供給され、この周波数変換器51では64QAM変調信号に周波数変換処理が行われてVHF帯またはUHF帯の所定の伝送周波数のCATV用のディジタル放送信号BS1が得られる。
また、アンテナ11で受信されたSHF帯の複数のディジタル放送信号は信号処理部32-2〜32-Nに供給され、それぞれのチューナでは通信衛星20の第2〜第Nのトランスポンダより送られてくるディジタル放送信号が選択され、そのディジタル放送信号に対して周波数変換処理が行われて所望のQPSK変調信号S1が得られる。そして、信号処理部32-2〜32-Nでは、それぞれNIT置換回路48で信号処理部32-1のメモリ46に記憶されているテーブルNITbが使用されてNITの置き換えが行われる等、信号処理部32-1と同様の処理が行われて、VHF帯またはUHF帯の所定の伝送周波数のCATV用のディジタル放送信号BS2〜BSNが得られる。これらのディジタル放送信号BS1〜BSNは加算器33に供給されて加算され、その加算信号はCATVの伝送路13に送出される。
図14は、図1のディジタルCATVシステム10におけるセット・トップ・ボックス14(14-1〜14-m)の構成を示している。
このセット・トップ・ボックス14は、CATVの伝送路13に接続される端子101と、マイクロコンピュータを有して構成され、全体の動作を制御するためのコントローラ102と、CATVの伝送路13から端子101に供給されるディジタル放送信号CDBSより所定のRFチャネルの放送信号を選択し、その所定のRFチャネルの放送信号に対応したディジタル変調データを出力するチューナ105とを有している。
コントローラ102には、視聴者の選局等の操作を受け付けるためのキー入力部103と、装置の動作状態等を表示するための液晶表示素子等で構成される表示部104とが接続されている。チューナ105における選局動作は、視聴者のキー入力部103の操作に基づき、コントローラ102によって制御される。
また、セット・トップ・ボックス14は、チューナ105より出力されるディジタル変調データに対して復調処理をする復調器106と、この復調器106の出力データに対して誤り訂正処理をし、上述の所定のRFチャネルの放送信号に対応したMPEG2トランスポート・ストリームTSを得るECCデコーダ107と、このトランスポート・ストリームTSのスクランブルされているビデオデータやオーディオデータのパケットに対してスクランブルの解除処理をするデスクランブラ108とを有している。
また、セット・トップ・ボックス14は、デスクランブラ108より出力されるトランスポート・ストリームTSより、ユーザのキー入力部103の操作によって指定されたチャネルのビデオデータやオーディオデータのパケットを分離し、それらのパケットからなるビデオデータ・ストリームVDSやオーディオデータ・ストリームADSを出力すると共に、そのチャネルの付加データのパケットを分離し、そのパケットからなる付加データ・ストリームSDSを出力するデマルチプレクサ109とを有している。
なお、デマルチプレクサ109では、コントローラ102の制御に基づいて、上述した番組仕様情報(PSI)としてのNIT,PAT,PMTの取得や、ダウンロード情報としてのDCT,DLTの取得も行われる。そして、取得されたそれらの情報はコントローラ102に供給される。
また、セット・トップ・ボックス14は、ビデオデータ・ストリームVDSに対してデータ伸長処理等をしてビデオ信号SVを得るビデオ処理部110と、そのビデオ信号SVを出力するビデオ出力端子111と、ビデオ処理部110とビデオ出力端子111との間に挿入され、後述する番組案内情報等の文字表示信号SCHを合成する合成器112と、オーディオデータ・ストリームADSに対してデータ伸長処理等をしてオーディオ信号SAを得るオーディオ処理部113と、そのオーディオ信号SAを出力するオーディオ出力端子114とを有している。
また、セット・トップ・ボックス14は、ICカード115が接続されるICカードインタフェース部116を有している。ICカードインタフェース部116は、コントローラ102に接続されている。ICカード115は、スクランブルの鍵情報を記憶していると共に、コントローラ102よりICカードインタフェース部116を介して送られてくる限定受信情報に基づき視聴の可/不可を判断し、可の場合にはスクランブルの鍵情報をICカードインタフェース部116を介してコントローラ102に送る機能を持っている。
また、セット・トップ・ボックス14は、画面上に文字表示をするための文字表示信号SCHを発生するためのOSD(On Screen Display)回路117を有している。このOSD回路117はコントローラ102に接続され、その文字表示信号の発生動作はコントローラ102によって制御される。
次に、図15のフローチャートを参照して、図14に示すセット・トップ・ボックス14の受信動作を簡単に説明する。
なお、PATおよびPMTにおいてはプログラム番号が、NITにおいてはサービスIDが、それぞれの視聴者が選局するチャネル番号に該当する。さらに、NITがネットワーク全体、すなわち全てのトランスポンダの情報を含み、同一のテーブルが全てのトランスポンダで並行に伝送されるのに対し、PATおよびPMTはそれぞれが伝送されるトランスポンダ内の番組の情報だけからなり、各トランスポンダ毎に異なった内容となっている。
視聴者がキー入力部103を操作して「M」チャネルを選局したとする(ステップST1)。この場合、コントローラ102は、デマルチプレクサ109で固定のPIDによってNITが取得されるように制御し、そのNITの各TSIDに付属するサービス・リスト・ディスクリプタ内のサービスIDについて「M」をサーチする(ステップST2)。
サービスID「M」があるとき(ステップST3)、コントローラ102は、サービスID「M」を含むサービス・リスト・ディスクリプタの前に組み合わされているCATV・デリバリー・システム・ディスクリプタより、「M」チャネルを伝送しているトランスポンダの周波数を認識し、チューナ105の受信周波数を制御する(ステップST4)。これにより、チューナ105では、「M」チャネルを伝送している変調変換送出装置12の所定の信号処理部からのディジタル放送信号が選択されることとなる。
そして、コントローラ102は、デマルチプレクサ109で固定のPIDによってPATが取得されるように制御し、そのPAT内のプログラム番号について「M」をサーチしてPAT内のプログラム番号「M」を認識し、そのプログラム番号「M」に付随するプログラム・マップPIDを得る(ステップST5)。そして、コントローラ102は、デマルチプレクサ109でプログラム・マップPIDによってPMTが取得されるように制御し、そのPMT内でプログラム番号「M」に対応するストリーム・タイプ(映像、音声等)毎のエレメンタリーPIDを認識する(ステップST6)。
そして、コントローラ102は、デマルチプレクサ109でエレメンタリーPIDと一致するPIDを持つトランスポート・ストリーム・パケットが分離されるように制御する(ステップST7)。この場合、デマルチプレクサ109では、「M」チャネルのビデオデータやオーディオデータのパケットが分離されると共に、その「M」チャネルの付加データのパケットも分離される。
ここで、コントローラ102は、付加データ・ストリームSDSより抽出される限定受信情報をICカードインタフェース部116を介してICカード113に供給する。ICカード113では、その限定受信情報に基づき視聴の可/不可が判断される。そして、可の場合には、ICカード115より、スクランブルの鍵情報がICカードインタフェース部116を介してコントローラ102に送られる。この鍵情報は、コントローラ102により、デスクランブラ108にセットされる。これにより、デスクランブラ108では、スクランブルされているビデオデータやオーディオデータのパケットのスクランブルが解除され、従ってデマルチプレクサ109より得られるビデオデータ・ストリームVDSやオーディオデータ・ストリームADSは、スクランブルが解除されたデータに係るものとなる。
そして、デマルチプレクサ109より出力されるビデオデータやオーディオデータがデコードされ、「M」チャネルのビデオ信号SVやオーディオ信号SAが得られる(ステップST8)。すなわち、デマルチプレクサ109より出力されるビデオデータ・ストリームVDSに対してビデオ処理部110でデータ伸長等の処理が行われてビデオ信号SVが生成され、このビデオ信号SVが合成器112を介して出力端子111に導出される。
また、デマルチプレクサ109より出力されるオーディオデータ・ストリームADSに対してオーディオ処理部113でデータ伸長等の処理が行われてオーディオ信号SAが生成され、このオーディオ信号SAが出力端子114に導出される。出力端子111に得られるビデオ信号SVをモニタ(図示せず)に供給することで、「M」チャネルの画像を表示でき、また出力端子114に得られるオーディオ信号SAをスピーカ(図示せず)に供給することで、「M」チャネルの音声を出力できる。
また、NITの各TSIDに付属するサービス・リスト・ディスクリプタ内のサービスIDについて「M」をサーチした結果、サービスID「M」がないとき(ステップST3)、コントローラ102は表示部104に受信不可である旨を表示させ(ステップST9)、受信動作を終了する。したがって、上述したように変調変換送出装置12(図12参照)において、視聴制限すべきサービス(番組)の情報として、NITより、TSIDに係る情報やサービス・リスト・ディスクリプタのサービスの情報が削除される場合、セット・トップ・ボックス14では、そのサービス(番組)の受信が不可能となる。
なお、図15のフローチャートでは、ステップST1で「M」チャネルの選局がある毎にステップST2でNITを取得し、そのNITを利用して「M」のサーチを行うように説明したが、内容変更がある毎にNITを随時取得してコントローラ102の内蔵メモリに記憶しておき、そのNITを利用して「M」のサーチを行うようにしてもよい。因に、NITの内容の変更は、バージョン番号で認識される。
次に、ソフトウェアのダウンロード動作について説明する。視聴者がキー入力部103を操作して、現在のダウンロードソフトウェアの送出状況の表示を指示したとする。この場合、コントローラ102は、デマルチプレクサ109で、固定のPIDによってDCTが取得されるように制御し、そして取得されたDCTに基づき、OSD回路117を制御して現在のダウンロードソフトウェアの送出状況を表示するための文字表示信号SCHを発生させる。これにより、ビデオ処理部110より出力されるビデオ信号SVに文字表示信号SCHが合成され、ビデオ出力端子111に接続されるモニタ(図示せず)には、所定チャネルの画像に重ねて現在のダウンロードソフトウェアの送出状況が表示される。
この状態において、視聴者がキー入力部103を操作して、ソフトウェアのダウンロードを指示したとする。この場合、コントローラ102は、受信状態が良好であること等の事業者によって規定されたダウンロード開始条件が成立する場合、ダウンロード処理を実行する。
まず、コントローラ102は、DCT中のTSIDに示されるトランスポート・ストリームを受信するようにチューナ105の受信周波数を制御する。次に、コントローラ102は、デマルチプレクサ109で、DCTで示されるPIDによって、自己に適合するDLTが取得されるように制御する。次に、コントローラ102は、取得されたDLTにかけられたスクランブルをDCT中のECM PIDで取得されたECMを用いて解除すると共に、CRCによって誤りをチェックして正当性を確保する。
そして、コントローラ102は、内蔵のフラッシュメモリ(図示せず)に記憶されているソフトウェアを、ダウンロードされて正当性が確認されたDLTに含まれるソフトウェアで書き換える。この場合、ソフトウェアの固定部を除き、基本的に全てを書き換える。固定部は、ブート部(最低限の初期化部)とローダ部(ダウンロード制御部)とから構成されている。ブート部は、ローダ部を動作させるための最低限の初期化を行い、ローダ部を起動する。ローダ部は、上述したようにダウンロード開始条件が成立する場合はダウンロード処理を起動し、成立しない場合は通常の受信機動作を行う。
なお、ダウンロード処理中に、現在ロード中のものと違うバージョンIDを検出した場合は、ダウンロード処理を最初からやり直すこととなる。コントローラ102は、ダウンロード処理終了後には、通常の受信機動作を実行する。
以上説明したように、本実施の形態においては、変調変換送出装置12(図12参照)では、MPEG2トランスポートパケット(ディジタル放送データ)のうち、NITのみがケーブルネットワークに適合するように変更される。つまり衛星系のディジタル放送データに含まれるDCT,DLT等のダウンロード情報がそのままケーブルネットワークに供給される。したがって、各ケーブルネットワークにおいて独自のダウンロード情報の送出を不要とでき、ダウンロード情報の送出ための設備等が不要となり、コスト削減を図ることができる。
また、このように各ケーブルネットワークに衛星を通じてダウンロード情報を送出できるため、各ケーブルネットワークでソフトウェアのダウンロードが可能となるタイミングがほぼ同じくなり、各ケーブルネットワークで均一なサービスの提供が可能となる。また、ダウンロード情報は、衛星系と共通に使用できるものであってもよく、またケーブル系のみで使用できるものであってもよい。
図16は、変調変換送出装置12の他の構成を示している。この図16において、図12と対応する部分には同一符号を付し、その詳細説明は省略する。図16に示す変調変換送出装置12では、信号処理部32-1は、さらにECCデコーダ43より順次出力されるMPEG2トランスポートパケットS3よりDCT(ダウンロード制御テーブル)を検出するDCT検出回路52と、このDCT検出回路52で検出されたテーブルDCTaを記憶するメモリ53とを有している。メモリ53の書き込み、読み出しは、制御部31によりインタフェース47を介して制御される。
また、図16に示す変調変換送出装置12は、第1〜第Nの信号処理部32-1〜32-Nの他に、独自のCATV用のディジタル放送信号BS0を生成する信号処理部32-0を有している。加算器33では、第1〜第Nの信号処理部32-1〜32-Nで生成されるディジタル放送信号BS1〜BSNの他に、信号処理部32-0で生成されるディジタル放送信号BS0も加算され、加算信号が伝送路13に送出される。
信号処理部32-0は、ビデオ信号V1〜Vnやオーディオ信号A1〜Amより、上述した信号処理部32-1のECCデコーダ43より出力されるパケットS3と同様のMPEG2トランスポートパケットS11を順次得る多重化装置55を有している。この多重化装置55では、例えば地上波放送信号等に係るパケットS11が作成される。この多重化装置55には、制御部31より、DCT検出回路52で検出されたDCTaが供給され、パケットS11内に挿入される。
また、信号処理部32-0は、多重化装置55で得られるMPEG2トランスポートパケットS11に対して、リードソロモン(204,188)の誤り訂正符号を付加する等してDVBのフレーム構成の信号S12(図2B参照)を得るECCエンコーダ56と、このDVBのフレーム構成の信号S12に64QAMの変調処理を行う変調器57と、この変調器57より出力される64QAM変調信号S13の周波数を変換してVHF帯またはUHF帯のCATV用のディジタル放送信号BS0を得る周波数変換器58とを有している。
図16に示す変調変換送出装置12においては、信号処理部32-0によって、独自のCATV用のディジタル放送信号BS0が生成され、このディジタル放送信号BS0も加算器33を介して伝送路13に送出される。CATV用のセット・トップ・ボックス14(図14参照)では、チューナ105でこのディジタル放送信号BS0を選択することで、このディジタル放送信号BS0に係るチャネルの視聴を行うことができる。
しかも、このディジタル放送信号BS0に係るディジタル放送データ(MPEG2トランスポートパケットS11)には、衛星系のディジタル放送データ(MPEG2トランスポートパケットS3)より検出されたダウンロード制御情報DCTaが挿入されている。したがって、受信機14では、信号処理部32-0で生成されたディジタル放送信号BS0を選択しているときでも、ダウンロード制御情報を確認でき、ソフトウェアのダウンロードをタイムリーに行うことが可能となる。
なお、上述説明では、衛星系のディジタル放送データに含まれるDCTやDLTのダウンロード情報をそのままCATVの伝送路13に送出するものを説明したが、各ケーブルネットワークで独自のダウンロード情報を伝送路13に送出するようにも構成できる。この場合、変調変換送出装置12では、例えば衛星系のディジタル放送データに含まれるダウンロード情報を、独自のダウンロード情報に置き換える置換回路を備える構成とされる。この置換回路は、NIT置換回路48と同等の回路で実現できる。このように構成することで、独自に作成されたダウンロード情報を、衛星系のディジタル放送データに含まれるダウンロード情報のデータ領域を利用して、ケーブルネットワークに容易に送出できる。
ここで、DCTに関しては、衛星系のディジタル放送データより抽出し、必要部分のみを書き換えることで、独自のDCTを作成できる。必要な部分とは、メーカーID、モデルID、バージョンID、機種情報長等である。なお、ダウンロード制御情報に関しては、衛星系のダウンロード制御情報の他に、CATV用のダウンロード制御情報を挿入しておけば、ダウンロード制御情報の書き換えや置き換えの処理は不要となる。