JP4664634B2 - 新規なベンズアミジン誘導体またはその塩 - Google Patents
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Description
アムホテリシンBは、真菌に対する殺菌作用が非常に強い反面、腎毒性などの強い副作用の問題があり、臨床使用には制約がある。また、フルシトシンは連用により早期に耐性化するなどの問題があるため、現在では単独で使用されることは稀である。ミカファンギンはクリプトコッカス属に対する活性が弱い。その他の薬剤は、その構造的特徴から、いずれもアゾール系抗真菌剤と総称され、その真菌に対する殺菌作用は、アムホテリシンBのそれに比べて一般に劣る傾向にあるが、有効性と安全性の兼ね合いから、現在、最も多用されている(非特許文献2)。
このようにごく少数に限られる薬剤のいずれかに耐性の問題が起こるならば、増加の一途を辿っている深在性真菌症患者のマネジメントに深刻な影響を与えることは必至である(非特許文献4)。
本明細書において、特にことわらない限り、ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子を;アルキル基とは、たとえば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、ヘプチルおよびオクチルなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC1-12アルキル基を;シクロアルキル基とは、たとえば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルなどのC3-7シクロアルキル基を;アルキレン基とは、たとえば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、アミレン、へキシレン、ヘプタメチレンおよびオクタメチレンなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC1-8アルキレン基を;低級アルキレン基とは、たとえば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、アミレンおよびへキシレンなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC1-6アルキレン基を;アルコキシ基とは、たとえば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシおよびオクチルオキシなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC1-12アルコキシ基を;低級アルコキシ基とは、たとえば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、ペンチルオキシおよびイソペンチルオキシなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC1-6アルコキシ基を;アミノ低級アルキル基とは、たとえば、アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピルおよびアミノブチルなどのC1-6アミノアルキル基を;低級アルキルアミノ基とは、たとえば、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよびメチルエチルアミノなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のモノまたはジ-C1-6アルキルアミノ基を;低級アルキルオキシカルボニル基とは、たとえば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニルおよびプロポキシカルボニルなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC1-6アルキルオキシカルボニル基を;アシル基とは、たとえば、ホルミル基、アセチル、イソバレリルおよびプロピオニルなどの直鎖状または分枝鎖状のC2-12アルカノイル基、ベンジルカルボニルなどのアルアルキルカルボニル基、ベンゾイルおよびナフトイルなどのアロイル基ならびにニコチノイル、テノイル、ピロリジノカルボニルおよびフロイル基などの複素環式カルボニル基などの基を;アリール基とは、フェニルおよびナフチルなどの芳香族性の環状の基を;複素環式基とは、たとえば、ピロリル、ピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、テトラヒドロピリジル、ピリミジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、キノリル、キノリジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、キヌクリジニル、キナゾリル、チアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ピロリニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、プリニルおよびインダゾリル基などの該環を形成する異項原子として1つ以上の窒素原子を含み、さらに1つ以上の酸素原子または硫黄原子を含んでいてもよい5員もしくは6員環、縮合環または架橋環の含窒素複素環式基、ならびにフリル、チエニル、ベンゾチエニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、オキサゾリル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノキサリル、ジヒドロキノキサリニル、2,3−ジヒドロベンゾチエニル、2,3−ジヒドロベンゾピロリル、2,3−ジヒドロ−4H−1−チアナフチル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾ[b]ジオキサニル、イミダゾ[2,3−a]ピリジル、ベンゾ[b]ピペラジニル、クロメニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリダジニル、イソインドリルおよびイソキノリル基などの該環を形成する異項原子として1つ以上の酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい、窒素、酸素および硫黄原子から選ばれる少なくとも1つ以上の異項原子を含有する5員もしくは6員環、縮合環または架橋環の複素環式基を;低級アルケニル基とは、たとえば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニルおよびペンテニルなどの直鎖状および分枝鎖状のC2-6アルケニル基を;低級アルキルスルホニルカルバモイル基とは、たとえば、メチルスルホニルカルバモイル、エチルスルホニルカルバモイル、プロピルスルホニルカルバモイル、イソプロピルスルホニルカルバモイル、ブチルスルホニルカルバモイル、イソブチルスルホニルカルバモイル、s-ブチルスルホニルカルバモイル、t-ブチルスルホニルカルバモイルおよびペンチルスルホニルカルバモイルなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC1-6アルキルスルホニルカルバモイル基を;低級アルキルカルバモイル基とは、たとえば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、プロピルカルバモイル、イソプロピルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイルおよびメチルエチルカルバモイルなどのモノまたはジ-C1-6アルキルカルバモイル基を;アリールオキシカルボニル基とは、たとえば、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニルなどで表されるアリールオキシ−CO−で表される基を;アルキルオキシカルボニル基とは、たとえば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルおよびプロポキシカルボニルなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のC1-12アルキルオキシカルボニル基を;アルアルキルオキシカルボニル基とは、たとえば、ベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、o−ブロモベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニルおよび4−(フェニルアゾ)ベンジルオキシカルボニルなどのアルアルキルオキシカルボニル基を;脱離基とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子などのハロゲン原子、メタンスルホニルオキシおよびトリフルオロメタンスルホニルオキシなどのアルキルスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシおよびベンゼンスルホニルオキシなどのアリールスルホニルオキシ基ならびにアセチルオキシおよびトリフルオロアセチルオキシなどのアシルオキシ基などの基をそれぞれ意味する。
R2、R3、XおよびZの各置換基としては、ハロゲン原子、保護されていてもよいアミノ、ヒドロキシル、カルボキシル、カルバモイル、ヒドロキシカルバモイルおよび低級アルキルアミノ基、アシル基、アリール基、複素環式基、シクロアルキル基、低級アルケニル基、低級アルキルスルホニルカルバモイル基、低級アルキルカルバモイル基、低級アルコキシ基ならびに低級アルキルオキシカルボニル基から選ばれる1つ以上の基が挙げられる。
Yの置換基としては、アルキル基および保護または置換されていてもよいアミノ低級アルキル基から選ばれる1つ以上の基が挙げられる。
また、各置換基の置換基における複素環式基は、さらに、ケト基によって置換されていてもよい。
R1が、保護されていてもよいアミジノ基である化合物が好ましく、アミジノ基である化合物がより好ましい。
R2が、水素原子またはハロゲン原子である化合物が好ましく、水素原子である化合物がより好ましい。
R3が、保護されていてもよいアミノ基または低級アルキル基である化合物が好ましく、アミノ基またはメチル基である化合物がさらに好ましい。
R4が、水素原子またはアルキルオキシカルボニルもしくはアルアルキルオキシカルボニル基で表されるイミノ保護基である化合物が好ましく、水素原子である化合物がさらに好ましい。
Xが、低級アルキレン基である化合物が好ましく、C2-6低級アルキレン基である化合物がさらに好ましい。
Zが、低級アルキレン基である化合物が好ましく、C2-6低級アルキレン基である化合物がさらに好ましい。
Yが、窒素原子2個を有する飽和または不飽和の単環式3〜7員の環状アミン残基である化合物が好ましく、式
Wがイミノ基または式
本発明化合物は、自体公知の方法を組合せることにより製造できるが、たとえば、次に示す製造法により製造することができる。
一般式[1]の化合物は、たとえば、以下の製造法により製造することができる。
[製造法1]
「式中、R1、R2、R3、R4、X、Y、ZおよびWは、前記したと同様の意味を;L1、L2およびL3は、脱離基を;RaおよびRbは、アミノ基の保護基をそれぞれ示す。」
一般式[2]の化合物は、たとえば、国際公開番号WO96/16947などに記載の方法またはそれに準じた方法により製造することができる。
一般式[4]の化合物は、塩基の存在下または不存在下、一般式[2]の化合物を一般式[3]の化合物と反応させることにより製造することができる。
この反応で使用される溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、たとえば、メタノール、エタノール、2-プロパノールおよび2-メチル-2-プロパノールなどのアルコール類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドおよび1-メチル-2-ピロリドンなどのアミド類;塩化メチレン、クロロホルムおよびジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、ジエチレングリコールジエチルエーテルおよびエチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;アセトニトリルなどのニトリル類;ならびにジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などが挙げられ、これらは混合して使用してもよい。
この反応で所望により使用される塩基としては、たとえば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt-ブトキシド、ナトリウムt-ブトキシドなどの金属アルコキシド;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの無機塩基;トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミンおよびピリジンなどの有機塩基などが挙げられ、塩基の使用量は、一般式[2]の化合物に対して、等モル以上であればよく、好ましくは、1〜3倍モルであればよい。
この反応で用いる一般式[3]の化合物の使用量は、一般式[2]の化合物に対して等モル以上であればよく、好ましくは、1〜5倍モルである。
この反応は、0〜200℃、好ましくは、0〜150℃で1分間〜24時間実施すればよい。
また、Raで示されるアミノ基の保護基の除去は、公知の方法で行えばよい。
一般式[6]の化合物は、一般式[4]の化合物を一般式[5]の化合物と反応させることにより製造することができる。
この反応は、製造法1−aに準じて行えばよい。また、Rbで示されるアミノ基の保護基の除去は、公知の方法で行えばよい。
一般式[5]の化合物は、たとえば、臭化4-[N-[(t-ブトキシ)カルボニル]ピペリジン-4-イル]ブチル、ヨウ化3-[N-[(t-ブトキシ)カルボニル]ピペリジン-4-イル]プロピル[ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J. Med. Chem.)、第37巻、2537〜2551頁、1994年]などが挙げられる。また、3-アミノ-1-プロパノール、4-アミノ-1-ブタノール、5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノールなどを原料にして、公知の方法を組み合わせることにより合成することができる。
一般式[8]の化合物は、塩基の存在下または不存在下、一般式[6]の化合物を一般式[7]の化合物と反応させることにより製造することができる。
この反応は、テトラヘドロン(Tetrahedron)、第57巻、第7073〜7105頁、2001年、ケミカル・アンド・ファーマシューティカル・ブレチン(Chem. Pharm. Bull.)、第44巻、第1577〜1579頁、1996年などに記載されている方法に従って行えばよい。
一般式[7]の化合物としては、たとえば、アセトイミド酸エチル塩酸塩、N,N’-ビス(ベンジルオキシカルボニル)-1H-ピラゾール-1-カルボキシアミジン、1H-ピラゾール-1-[N,N’-ビス(t-ブトキシカルボニル)]カルボキシアミジン[シンセシス(SYNTHESIS)、第597〜582頁、1994年]及び[テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Letters)、第34巻、第3389〜3392頁、1993年]などが挙げられる。
この反応で使用される溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、たとえば、水;メタノール、エタノール、2-プロパノールおよび2-メチル-2-プロパノールなどのアルコール類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドおよび1-メチル-2-ピロリドンなどのアミド類;塩化メチレン、クロロホルムおよびジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、ジエチレングリコールジエチルエーテルおよびエチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;アセトニトリルなどのニトリル類;ならびにジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などが挙げられ、これらは混合して使用してもよい。
この反応で所望により使用される塩基としては、たとえば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt-ブトキシド、ナトリウムt-ブトキシドなどの金属アルコキシド;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの無機塩基;トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミンおよびピリジンなどの有機塩基などが挙げられ、塩基の使用量は、一般式[7]の化合物に対して、等モル以上であればよく、好ましくは、1〜3倍モルであればよい。
この反応で用いる一般式[7]の化合物の使用量は、一般式[6]の化合物に対して等モル以上であればよく、好ましくは、1〜5倍モルである。
この反応は、0〜200℃、好ましくは、0〜100℃で1分間〜7日間実施すればよい。
一般式[1]の化合物は、一般式[8]の化合物をアミジノ化することにより製造することができる。
アミジノ化は、国際公開番号WO96/16947;ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J. Med. Chem.)、第36巻、第1811〜1819頁、1993年;ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J. Org. Chem.)、第64巻、第12〜13頁、1999年およびジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(J. Am. Chem. Soc.)、第107巻、第2743〜2748頁、1985年などに記載の方法またはそれに準じた方法で行えばよい。
より具体的には、たとえば、一般式[8]のベンゾニトリル誘導体からベンズイミドエステル誘導体を経由し、一般式[1]のベンズアミジン誘導体とする方法(Pinner法)が挙げられる。
(1−d−1)
ベンズイミドエステル誘導体は、酸の存在下、一般式[8]のベンゾニトリル誘導体を、たとえば、アルコール類と反応させることにより製造することができる。
この反応に使用されるアルコール類は、溶媒として使用してもよく、メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールなどのアルコール類が挙げられる。また、たとえば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類;アセトンおよび2−ブタノンなどのケトン類;並びに塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類など反応に悪影響を及ぼさない溶媒を混合して使用してもよい。
この反応に使用される酸としては、塩化水素、臭化水素酸、過塩素酸、p-トルエンスルホン酸およびメタンスルホン酸などが挙げられ、その使用量は、一般式[8]のベンゾニトリル誘導体に対して1〜200倍モル、好ましくは、5〜100倍モルであればよい。
この反応において、アルコール類の使用量は、一般式[8]のベンゾニトリル誘導体に対し、1〜1000倍モル、好ましくは、10〜100倍モルであればよい。
この反応は、通常、−30〜150℃、好ましくは、10〜50℃で30分間〜24時間実施すればよい。
(1−d−2)
一般式[1]のベンズアミジン誘導体は、ベンズイミドエステル誘導体を塩基の存在下または不存在下、アンモニア、アミンまたはその塩と反応させることにより製造することができる。
この反応に使用される溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればよく、たとえば、メタノール、エタノール、2−プロパノールおよび2−メチル−2−プロパノールなどのアルコール類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、ジエチレングリコールジエチルエーテルおよびエチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;並びにジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類が挙げられ、これらは混合して使用してもよい。
アミンまたはその塩としては、たとえば、塩化アンモニウム、臭化アンモニウムおよび酢酸アンモニウムなどが挙げられる。
また、この反応で用いられるアミンとしては、たとえば、メチルアミン、エチルアミン、アリルアミンおよびメトキシアミンなどの脂肪族アミン;ヒドロキシルアミンが挙げられ、それらの使用量は、ベンズイミドエステル誘導体またはその塩に対して、1〜100倍モル、好ましくは、1〜10倍モルであればよい。
この反応は、通常、0〜150℃、好ましくは、20〜120℃で1分間〜24時間実施すればよい。
上記した製造法1において得られた各々の製造中間体は、単離せずにつぎの反応に使用することもできる。
上記した製造法1における各々の化合物において、官能基、たとえば、アミノ基、環状アミン残基、ヒドロキシル基、ホルミル基またはカルボキシル基などを有する化合物は、必要に応じ、予めこれらの基を通常の保護基で保護しておき、反応後、自体公知の方法でこれらの保護基を脱保護することもできる。
本発明化合物を医薬として用いる場合、通常、製剤化に使用される賦形剤、担体および希釈剤などの製剤補助剤を適宜混合してもよく、これらは常法にしたがって、錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤、顆粒剤、丸剤、懸濁剤、乳剤、液剤、粉体製剤、坐剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、貼付剤、軟膏剤または注射剤などの形態で経口または非経口で投与することができる。また投与方法、投与量および投与回数は、患者の年齢、体重および症状に応じて適宜選択することができ、通常、成人に対しては、経口または非経口(たとえば、注射、点滴および直腸部位への投与など)投与により、1日、0.01〜1000mg/kgを1回から数回に分割して投与すればよい。
抗真菌活性の測定にはNational Committee for Clinical Laboratory Standards (NCCLS)の標準法M27-Aを参考にし、微量液体希釈法により50%発育阻止濃度(IC50)を測定した。感受性測定培地には、RPMI1640に3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS、終濃度0.165M)を加えて緩衝液とし、1mol/L水酸化ナトリウムを添加してpH7.0に調整したものを用いた。35℃で一夜培養したカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)TIMM1623を培地に懸濁後、1×104cells/mLになるよう測定培地で希釈し、接種菌液とした。96穴マイクロプレート(平底:岩城硝子社製)に培地175μL、被験薬5μL(発育コントロールウェルには、薬剤希釈溶媒)、菌液20μLを加え、ミキサーで撹拌した後、ウェルリーダーSME3400(サイニクス社製)を用い、波長630 nmにおける初発濁度を測定した。35℃で培養し、48時間後に同様に終末濁度を測定した。薬剤の希釈系列において、終末濁度から初発濁度を引いた値のうちで、発育コントロールの終末濁度から初発濁度を引いた値の50%値(IC50計算値)と同等またはそれ以下の濁度を示す被験薬濃度で最も低い薬剤濃度の値をIC50とした。各菌株に対するIC50値の結果を表3に示す。
カンジダ・アルビカンスTIMM1623をサブロー寒天平板培地(栄研化学社製)上、35℃で一夜培養した菌体を滅菌生理食塩液に懸濁し、1.5×105cells/mL相当の感染用菌液を調製した。この菌液を一群5匹のICR系雄性マウス(4週齢)の尾静脈に0.2mL接種した。なお、マウスを易感染状態にするためにシクロホスファミドを感染4日前に200mg/kgおよび1日後に100mg/kg腹腔内投与した。滅菌生理食塩液で0.1mg/mLの濃度に調製した被験化合物溶液0.2mLを感染2時間後に1回、翌日より1日1回6日間、計7回背部皮下に投与した。対照群のマウスには、同量の滅菌生理食塩液を投与し、感染28日目までの生存匹数を観察した。
その結果、感染28日目までに対照群が2/5例生存するのに対し、実施例3bの化合物投与群は全例生存した。
なお、溶離液における混合比は、すべて容量比であり、カラムクロマトグラフィーにおける担体は、特に記載のないものは、B.W.シリカゲル、BW−127ZH(富士シリシア化学社製)を使用した。
各実施例において各略号は、以下の意味を有する。
d6-DMSO:重ジメチルスルホキシド
Cbz:ベンジルオキシカルボニル
Boc:t-ブトキシカルボニル
4-[3-(1-ピペラジニル)プロポキシ]ベンゾニトリル1.85gをN,N-ジメチルホルムアミド10mLに溶解させ、この溶液に室温で無水炭酸カリウム1.77gおよび6-ブロモヘキシルカルバミド酸t-ブチル1.79gを順次加え、同温で22時間攪拌した。反応混合物に1.0mol/L水酸化ナトリウム水溶液とクロロホルムを加え有機層を分取し、水層をクロロホルムで抽出した。有機層をあわせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液;クロロホルム:メタノール=10:1]で精製し、無色油状の6-{4-[3-(4-シアノフェノキシ)プロピル]-1-ピペラジニル}ヘキシルカルバミド酸t-ブチル3.46gを得た。
1H-NMR(CDCl3)δ値: 1.20-1.80(8H,m), 1.44(9H,s), 1.96-2.02(2H,m), 2.32-2.54(12H,m), 3.00-3.20(2H,m), 4.06(2H,t,J=6.3Hz), 4.50(1H,brs), 6.92-6.96(2H,m), 7.55-7.59(2H,m)
6-{4-[3-(4-シアノフェノキシ)プロピル]-1-ピペラジニル}ヘキシルカルバミド酸t-ブチル3.46gを室温で6.0mol/L塩酸30mLに溶解させ、同温で12時間攪拌した。減圧下で溶媒を留去し、残留物を酢酸エチル−エタノールに加えた後、濾取し、白色固形の4-{3-[4-(6-アミノヘキシル)-1-ピペラジニル]プロポキシ}ベンゾニトリル塩酸塩2.51gを得た。
1H-NMR(d6-DMSO)δ値: 1.20-1.80(8H,m), 2.10-2.30(2H,m), 2.74-2.79(2H,m), 3.00-3.90(14H,m), 4.19(2H,t,J=6.0Hz), 7.12(2H,d,J=8.8Hz), 7.79(2H,d,J=8.8Hz), 7.91(3H,brs)
4-{3-[4-(6-アミノヘキシル)-1-ピペラジニル]プロポキシ}ベンゾニトリル塩酸塩0.80gを水とクロロホルムの混液に溶解させ、5.0mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH12.5に調整した。有機層を分取し、更に水層をクロロホルムで2回抽出し、合わせた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物0.75gに室温で1-[N,N’-ビス(ベンジルオキシカルボニル)アミジノ]ピラゾール2.00gのテトラヒドロフラン10mL溶液を加え、同温で3日間攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液;クロロホルム:メタノール=40:1]で精製し、無色油状の{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}[(6-{4-[3-(4-シアノフェノキシ)プロピル]-1-ピペラジニル}ヘキシル)アミノ]メチリデンカルバミド酸ベンジル1.29gを得た。
1H-NMR(CDCl3)δ値: 1.10-1.80,(8H,m), 1.90-2.10(2H,m), 2.20-2.70(12H,m), 3.30-3.50(2H,m), 4.06(2H,t,J=6.3Hz), 5.12(2H,s), 5.17(2H,s), 6.94(2H,d,J=8.9Hz), 7.20-7.45(10H,m), 7.57(2H,d,J=8.9Hz), 8.29(1H,brs), 11.75(1H,brs)
4-(4-ブロモブチル)-1-ピペリジンカルボン酸t-ブチル1.70gをN,N-ジメチルホルムアミド14mLに溶解させ、この溶液に室温で4-[3-(1-ピペラジニル)プロポキシ]ベンゾニトリル塩酸塩1.70gのN,N-ジメチルホルムアミド溶液20mLを加えた。同温で無水炭酸カリウム5.90gを加え、70℃で6時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、水および酢酸エチルの混合溶媒に加え有機層を分取した。更に水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をあわせ、水および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液;クロロホルム:メタノール=30:1]で精製し、黄色油状の4-(4-{4-[3-(4-シアノフェノキシ)プロピル]-1-ピペラジニル}ブチル)-1-ピペリジンカルボン酸t-ブチル1.50gを得た。
1H-NMR(CDCl3)δ値: 0.95-1.15(2H,m), 1.15-1.70(9H,m), 1.45(9H,s), 1.90-2.05(2H,m), 2.25-2.70(14H,m), 3.95-4.15(2H,m), 4.06(2H,t,J=6.5Hz), 6.94(2H,d,J=8.9Hz), 7.57(2H,d,J=8.9Hz)
4-(4-{4-[3-(4-シアノフェノキシ)プロピル]-1-ピペラジニル}ブチル)-1-ピペリジンカルボン酸t-ブチル0.75gをクロロホルム3.8mLに溶解させ、5℃でトリフルオロ酢酸3.8mLを加え、室温で1時間攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた残留物に水およびクロロホルムを加え、5.0mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH12.1に調整し、有機層を分取した。更に水層をクロロホルムで抽出し、有機層をあわせ、水および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を留去し、淡黄色油状の4-(3-{4-[4-(4-ピペリジニル)ブチル]-1-ピペラジニル}プロポキシ)ベンゾニトリル0.66gを得た。
1H-NMR(CDCl3)δ値: 1.00-1.90(11H,m), 1.90-2.05(2H,m), 2.25-2.65(14H,m), 3.00-3.15(2H,m), 4.06(2H,t,J=6.4Hz), 6.94(2H,d,J=8.8Hz), 7.57(2H,d,J=8.8Hz)
4-(3-{4-[4-(4-ピペリジニル)ブチル]-1-ピペラジニル}プロポキシ)ベンゾニトリル0.30gをエタノール10mLに溶解させ、5℃でアセトイミド酸エチル塩酸塩0.29gおよびトリエチルアミン0.49mLを加え、室温で2時間した。反応混合物を5℃に冷却し、同温でアセトイミド酸エチル塩酸塩0.29gおよびトリエチルアミン0.49mLを加え、室温で16時間攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[シリカゲル:YMC社製ODS−AM 120−S50、溶離液;水:アセトニトリル=95:5]で精製し、無色油状の4-(3-{4-[4-(1-エタンイミドイル-4-ピペリジニル)ブチル]-1-ピペラジニル}プロポキシ)ベンゾニトリル0.21gを得た。
1H-NMR(D2O)δ値: 1.10-1.45(6H,m), 1.60-1.80(3H,m), 1.80-1.95(2H,m), 2.00-2.15(2H,m), 2.28(3H,s), 2.50-3.60(14H,m), 3.90-4.00(2H,m), 4.20(2H,t,J=5.9Hz), 7.11(2H,d,J=9.0Hz), 7.74(2H,d,J=9.0Hz)
{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}[(6-{4-[3-(4-シアノフェノキシ)プロピル]-1-ピペラジニル}ヘキシル)アミノ]メチリデンカルバミド酸ベンジル0.58gをエタノール30mLに溶解させ、氷冷下、この溶液に塩化水素ガスを導入後、室温で16時間攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた残留物をエタノール20mLに溶解させ、室温で酢酸アンモニウム0.48gを加え、3時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、減圧下で濃縮し、残留物に水、クロロホルムを加えた後、5.0mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH13.0に調整した。有機層を分取し、更に水層をクロロホルムで2回抽出し、有機層をあわせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を留去し、無色油状の({6-[4-(3-{4-[アミノ(イミノ)メチル]フェノキシ}プロピル)-1-ピペラジニル]ヘキシル}アミノ){[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}メチリデンカルバミド酸ベンジル0.54gを得た。
1H-NMR(CDCl3)δ値: 1.20-1.70(8H,m), 1.80-2.00(2H,m), 2.20-2.70(12H,m), 3.35-3.45(2H,m), 3.90-4.00(2H,m), 5.12(2H,s), 5.17(2H,s), 6.70-7.00(2H,m), 7.10-7.50(10H,m), 7.50-7.80(2H,m), 8.29(1H,brs)
({6-[4-(3-{4-[アミノ(イミノ)メチル]フェノキシ}プロピル)-1-ピペラジニル]ヘキシル}アミノ){[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}メチリデンカルバミド酸ベンジル0.51gをメタノール10mLに溶解させ、この溶液に室温で5%パラジウム−炭素0.05gを加え、水素雰囲気下、常温常圧で5時間攪拌した。触媒を濾去後、減圧下で濃縮し、無色油状の4-{3-[4-(6-{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}ヘキシル)-1-ピペラジニル]プロポキシ}ベンズアミジン0.52gを得た。
1H-NMR(CDCl3)δ値: 1.20-1.60(8H,m), 1.80-1.90(2H,m), 2.15-2.50(12H,m), 3.10-3.20(2H,m), 4.05(2H,t,J=6.2Hz), 6.97(2H,d,J=8.7Hz), 7.73(2H,d,J=8.7Hz)
4-{3-[4-(6-{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}ヘキシル)-1-ピペラジニル]プロポキシ}ベンズアミジン0.52gを1.0mol/L塩酸に溶解させた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー[シリカゲル:YMC社製ODS−AM 120−S50、溶離液:水]で精製し、無色油状の4-{3-[4-(6-{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}ヘキシル)-1-ピペラジニル]プロポキシ}ベンズアミジン塩酸塩0.24gを得た。
1H-NMR(d6-DMSO)δ値: 1.20-1.40(4H,m), 1.40-1.60(2H,m), 1.65-1.80(2H,m), 2.20-2.40(2H,m), 3.00-3.20(4H,m), 3.20-3.60(6H,m), 4.21(2H,t,J=6.0Hz), 7.17(2H,d,J=8.9Hz), 7.85(2H,d,J=8.9Hz), 8.92(2H,brs), 9.22(2H,brs)
4-{3-[4-(6-{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}ヘキシル)-1-ピペラジニル]プロポキシ}ベンズアミジン0.42gを酢酸エチルに溶解させ、この溶液に室温でフマル酸0.14gを加え、同温で24時間攪拌した。析出晶を濾取し、酢酸エチルで洗浄後、減圧下で乾燥させ、白色固形の4-{3-[4-(6-{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}ヘキシル)-1-ピペラジニル]プロポキシ}ベンズアミジン二フマル酸塩0.37gを得た。
1H-NMR(d6-DMSO)δ値: 1.20-1.50(8H,m), 1.80-2.00(2H,m), 2.20-2.60(12H,m), 2.70-4.00(11H,m), 3.00-3.20(2H,m), 4.11(2H,t,J=6.3Hz), 6.51(4H,s), 7.14(2H,d,J=8.8Hz), 7.80(2H,d,J=8.8Hz)
MALDI-TOF-MS(positive)m/z:404(M+H)+
4-(3-{4-[4-(1-エタンイミドイル-4-ピペリジニル)ブチル]-1-ピペラジニル}プロポキシ)ベンゾニトリル0.20gをエタノール20mLに懸濁させ、氷冷下、塩化水素ガスを導入後、室温で17時間30分攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた残留物をエタノール5.0mLに溶解させ、室温で酢酸アンモニウム0.22gを加え、1時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却後、減圧下で濃縮し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[シリカゲル:YMC社製ODS−AM 120−S50、溶離液;水:アセトニトリル=96:4]で精製した。得られた油状物に1.0mol/L塩酸2.0mLを加え、減圧下で濃縮し、無色油状物0.15gを得た。この油状物を水5.0mLに溶解させ、1.0mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH13.2に調整した。析出物を濾取し、白色固形の4-(3-{4-[4-(1-エタンイミドイル-4-ピペリジニル)ブチル]-1-ピペラジニル}プロポキシ)ベンズアミジン90mgを得た。
1H-NMR(d6-DMSO)δ値: 0.90-1.05(2H,m), 1.15-1.45(7H,m), 1.55-1.65(2H,m), 1.80-1.90(2H,m), 1.97(3H,s), 2.15-2.45(12H,m), 2.55-2.65(2H,m), 3.90-4.10(4H,m), 6.91(2H,d,J=8.8Hz), 7.71(2H,d,J=8.8Hz)
Claims (4)
- 一般式
- 請求項1〜3記載のベンズアミジン誘導体またはその塩を含有する抗真菌剤。
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