JP4654233B2 - 反射防止膜を有する光学部材 - Google Patents
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Description
しかしながら、このような反射防止膜を有する光学部材は、耐衝撃性及び耐熱性が十分ではない。その課題を解決する方法として、例えば、プラスチック基材と反射防止膜との間に有機化合物よりなるプライマ−層を施すことが知られており、また、プラスチックレンズにおいて、レンズ素材の高屈折率化が進み、近年では、漬浸方式で施されたプライマ−層及び無機物質を蒸着してなる反射防止膜を有する屈折率1.70以上のプラスチックレンズ素材が市場に提案されている(特許文献1参照)。
また、屈折率1.70以上のプラスチックレンズ素材を基材として、この基材を基準にして、前述したプライマ−層、無機蒸着物質からなる反射防止膜を備えた光学部材は、表面の耐擦傷性に課題を有していた。
すなわち本発明の光学部材は、プラスチック基材と、真空蒸着で形成された多層反射防止膜とを有する光学部材であって、反射防止膜中の少なくとも1層が、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム及び酸化ニオブから選ばれる少なくとも1種の無機物質と、常温、常圧下で液体である有機ケイ素化合物及び/又は常温、常圧下で液体であるケイ素非含有有機化合物とを蒸着原料として、形成されるハイブリッド層であることを特徴とする。
本発明における、ハイブリッド層に使用される無機物質としては、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム及び酸化ニオブから選ばれる少なくとも1種である。これらは単独でもまた複数のものを使用してもよい。複数の無機物質を用いる場合は、それらを物理的に混合してもよいし、また複合酸化物であってもよく、具体的にはSiO2−Al2O3等がある。
前記有機ケイ素化合物としては、例えば、以下の一般式(a)〜(d)のいずれかで表される構造を有することが好ましい。
前記R1〜R8で示される炭素数1〜6の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、フェニル基、シクロヘキシル基、プロピニル基、イソプロペニル基等が挙げられる。
一般式(b)としては、ヘキサメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、などの化合物が挙げられる。
一般式(c)としてはヘキサメチルシクロトリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘキサエチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンなどの化合物が挙げられる。
一般式(d)としては1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルシクロテトラシラザンなどの化合物が挙げられる。
これらの有機ケイ素化合物の数平均分子量は、ハイブリッド膜中の有機成分の制御、膜自体の強度の点から、好ましくは、48〜320、特に好ましくは、48〜249である。
一般式(e):片末端にエポキシ基を有する炭素及び水素を必須成分とするケイ素非含有有機化合物
一般式(f)の化合物の具体例としては、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
また、前記一般式(e)〜(g)で表される化合物の数平均分子量は、ハイブリッド膜中の有機成分の制御及びハイブリッドの膜強度を考慮して、好ましくは、28〜320、特に好ましくは、28〜249である。
また、蒸着速度の制御の観点から、有機物質を貯蔵する外部タンクを加熱・減圧して該有機物質をチャンバー内に供給し、酸素ガス及び/またはアルゴンガスを用いイオンアシスト成膜するのが好ましい。
また、本発明では有機物質が常温・常圧で液体であり、溶媒を使用する必要がなく、直接加熱して蒸着することができる。
有機物質の導入口は、図1に示すよう無機物質蒸発源真上に設けるのが対衝撃性、対磨耗性向上に効果的であり、有機ケイ素化合物を下部より、ケイ素非含有有機化合物を上部より供給するのが好ましい。
外部タンクの加熱温度は、その有機物質の蒸発温度により異なるが、30〜200℃、好ましくは50〜150℃とすることが適当な蒸着速度を得るという点から好ましい。
本発明におけるハイブリッド層の有機物質の好ましい膜内含有率は、特に良好な物性改質効果が得られる点を考慮して、0.02質量%〜25質量%である。
ハイブリッド層は、多層反射防止膜中の任意の層に形成できる。また、前記ハイブリッド層は複数の層への形成も可能である。ハイブリッド層の好ましい位置としては、特に優れた耐衝撃性を得るために、レンズ基材から最も近い位置及び/またはレンズ基材から最も遠い位置に施すことが好ましい。また、特に優れた密着性を得るためイオンアシスト法で形成されていると好ましい。
上述した金属層を下地層として用いた場合、通常、光学部材の耐衝撃性が向上する。また、下地層の膜厚は、特に限定されないが、耐衝撃性及び透過率の良好なレンズを得る観点から言えば、1〜5nmの範囲であることが好ましい。
また、テトラキス(β−エピチオプロピルチオメチル)メタン、1,1,1−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1−(β−エピチオプロピルチオ)−2,2−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,5ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4,5−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,9−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5−(β−エピチオプロピルチオメチル)−5−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオメチル〕−3,7−ジチアノナン、1,10−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,6−ビス〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオ〕−3,6,9−トリチアデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,8−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオメチル〕−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン等の分岐状有機化合物およびこれらの化合物中のエピスルフィド基の水素の少なくとも1個がメチル基で置換された化合物等が挙げられる。
さらには1,3および1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3および1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル〕スルフィド、2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオエチルチオメチル)−1,4−ジチアン等の環状脂肪族有機化合物およびこれらの化合物のエピスルフィド基の水素の少なくとも1個がメチル基で置換された化合物、および1,3および1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,3および1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕スルフォン、4,4’−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ビフェニル等の芳香族有機化合物およびこれらの化合物のエピスルフィド基の水素の少なくとも1個がメチル基で置換された化合物等が挙げられる。
硬化被膜としては、通常、金属酸化物コロイド粒子と下記一般式(I)
(R11)a (R12)bSi(OR13)4-(a+b) ・・・(I)
(式中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数1〜8のアシル基、ハロゲン基、グリシドキシ基、エポキシ基、アミノ基、フェニル基、メルカプト基、メタクリロキシ基及びシアノ基の中から選ばれる有機基を示し、R13は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基及び炭素数6〜8のフェニル基の中から選ばれる有機基を示し、a及びbは、それぞれ独立に0又は1の整数である)で表される有機ケイ素化合物とからなる組成物が使用される。
また、コ−ティング組成物よりなる硬化膜を基材上に形成する方法としては、上述したコ−ティング組成物を基材に塗布する方法が挙げられる。塗布手段としてはディッピング法、スピンコーティング法、スプレー法等の通常行われる方法が適用できるが、面精度の面からディッピング法、スピンコーティング法が特に好ましい。
このプライマ−層の例としては、ポリイソシアネートとポリオールを原料として、ウレタン系の膜を形成するものが挙げられる。ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−シクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートのそれぞれ数分子を種々の方法で結合させた付加物、イソシアヌレート、アロファネート、ビュウレット、カルボジイミドをアセト酢酸、マロン酸、メチルエチルケトオキシムなどでブロックしたものなどが挙げられ、一方、ポリオールとしては、水酸基を1分子内に複数個有するポリエステル、ポリエーテル、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリアクリレートなどが挙げられる。
また、プライマ−膜の屈折率向上のため、酸化チタン微粒子などの酸化金属微粒子をプライマ−層に含有することができる。
特に、屈折率が1.68〜1.76程度のポリスルフィド結合を有するプラスチック基材にプライマ−層を施し、さらに本発明の反射防止膜を施すことにより、基材の中心厚を小さくしても耐衝撃性、密着性、耐擦傷性に優れた光学部材を得ることができる。
上記プライマ−層および硬化層の光学部材中での構成としては、プラスチック基材と反射防止膜との間に、プラスチック基材から順に、プライマ−層、硬化層を施すことが好ましい。
なお、実施例及び比較例において得られた光学部材の物性評価は以下のようにして行った。
物性評価
(1)視感透過率
プラスチックレンズの視感透過率Y1は、両面に反射防止膜を有するプラスチックレンズをサンプルとして、日立分光光度計U−3410を用い測定した。
(2)視感反射率
プラスチックレンズの視感反射率Y2は、両面に反射防止膜を有するプラスチックレンズをサンプルとして、日立分光光度計U−3410を用い測定した。
(3)耐衝撃性
レンズ中心部厚さ1.0mmまたは2.0mm(CTと記載する)で、レンズ度数パワー0.00D(ディオプタ−)のレンズを作製してFDA(Food and Drug Administration)で定められているドロップボールテストを行い、合格を○、不合格を×で表した。なお、ここでのボ−ルの重さは14gであった。更にレンズが破損するまでドロップボールテストを継続し、最大荷重として強度確認を行った。
(4)密着性
プラスチックレンズの表面に剃刀にて1mm×1mmの升目を100個作成し、升目上にセロハンテープ(ニチバン(株)製)を貼り、一気にテープをはがし、残った升目の数で評価した。表中、残った升目の数/100で記載した。
(5)耐摩耗性
プラスチックレンズの表面にスチールウール(規格#0000,日本スチールウール社製)にて1kgf/cm2の荷重をかけ、10ストローク擦り、表面状態により以下の基準で評価した。
UA:殆ど傷なし
A:細い傷数本あり
B:細い傷多数、太い傷数本あり
C:細い傷多数、太い傷多数あり
D:殆ど膜はげ状態
プラスチックレンズをドライオーブンで60℃から、5℃づつ上昇させて1時間加熱し、クラックの発生温度を測定した。
(7)耐アルカリ性
プラスチックレンズをNaOH10%水溶液に20℃、1時間浸漬し、表面状態により以下の基準で評価した。
UA:殆ど変化なし
A:点状の膜はげ数個あり
B:点状の膜はげが全面にあり
C:点状のはげが全面、面状のはげ数個あり
D:殆ど全面膜はげ
(8)Bayer値測定
摩耗試験機 BTETM Abrasion Tester(米COLTS社製)及び、ヘイズ値測定装置(村上色彩技術研究所製)を使用し、基準レンズとのヘイズ値変化の差によりBayer値を測定した。
(サンプル数、測定方法)
1. 基準レンズ(CR39基材)3枚、サンプルレンズ3枚を用意した。
2. 摩耗テスト前のヘイズ(haze)値の測定した。
3. BTETM Abrasion Testerにて、摩耗性をテストした。(砂による表面摩耗600往復)
4. 摩耗テスト後ヘイズ値を測定した。
5. Bayer値算出した(3枚分の平均値)。ここでBayer値とは、基準レンズのヘイズ(haze)値変化/サンプルレンズのヘイズ(haze)値変化)である。
1.基材A:ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、屈折率1.50、中心厚2.0mm、レンズ度数0.00
2.基材B:EYRY基材(商品名、HOYA(株)製造、ポリスルフィド結合を有するレンズ)屈折率1.71、中心厚1.0mm、レンズ度数0.00
ガラス製容器に、コロイダルシリカ(スノ−テックス−40、日産化学(株)製)90質量部、有機ケイ素化合物のメチルトリメトキシシラン81.6質量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン176質量部、0.5N塩酸2.0質量部、酢酸20質量部、水90質量部を加えた液を、室温にて8時間攪拌後、室温にて16時間放置して加水分解溶液を得た。この溶液に、イソプロピルアルコール120質量部、n−ブチルアルコール120質量部、アルミニウムアセチルアセトン16質量部、シリコーン系界面活性剤0.2質量部、紫外線吸収剤0.1質量部を加え、室温にて8時間攪拌後、室温にて24時間熟成させコ−ティング液を得た。このコ−ティング組成物で得られた硬化膜を以下、『ハードコート層A』と言う場合がある。
ガラス製容器にγ−グリシドキシプロピル(トリメトキシ)シラン1045質量部と、γ-グリシドキシプロピルメチル(ジエトキシ)シラン200質量部とを入れ攪拌しながら0.01モル/リットル塩酸299質量部を添加し、10℃のクリーンルーム内で一昼夜攪拌を続け、シラン加水分解物を得た。
別の容器内で酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素を主体とする複合微粒子ゾル(メタノール分散、全固形分30質量%、平均粒子径5〜8ミリミクロン)3998質量部にメチルセロソルブ4018質量部とイソプロパノール830質量部とを加え攪拌混合し、さらに、シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製「L−7001」)4質量部とアルミニウムアセチルアセトネート100質量部とを加え、上記と同様に10℃のクリーンルーム内で一昼夜攪拌を続けた後、上記加水分解物と混合し、さらに一昼夜攪拌した。その後3μmのフィルターでろ過を行い、ハードコート液Bを得た。このコ−ティング組成物で得られた硬化膜を以下、『ハードコート層B』と言う場合がある。
アルカリ水溶液で前処理したプラスチックレンズ基板A又はBを、前記コーティング液の中に浸漬させ、浸漬終了後、引き上げ速度20cm/分で引き上げたプラスチックレンズを120℃で2時間加熱して硬化膜(ハードコートA層またはハードコートB層)を形成した。
イオン銃処理
硬化膜上に、表に記載したイオン加速電圧、照射時間、ガス雰囲気下の条件で、イオン銃にてイオン照射を行った。
前記イオン照射したハードコートA層またはB層の上に、第1表に示した条件で第1〜7層からなる反射防止膜を形成して、プラスチックレンズを得た。
なお、ハイブリッド層は、図1に示す装置を用いて、無機物質の蒸着と有機物質との蒸着との、二元蒸着として、ほぼ同時に蒸着するように条件を設定した。有機物質の蒸着の際は、外部加熱タンクにて気化し、気化した有機物を、ガスバルブ、マスフローコントローラを使用して、蒸着装置内に導入した。ハイブリッド層を形成する際には、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスの雰囲気下にてイオンアシスト法を用いた。また、表中『−』と記載されているのは、イオンアシスト法を用いず、通常の真空蒸着法にて層を形成したことを示す。表中、M1は無機物質、CM1は有機ケイ素化合物、CM2はケイ素非含有有機化合物をそれぞれ表す。
1.エポライト 70P (プロピレングリコールジグリシジルエーテル、分子量約188、共栄社化学(株)製)
2.LS:1370 (ジエトキシジメチルシラン、分子量148.3 信越化学工業(株)製)
3.エピオ−ルP200 (ポリプロピレングリコールグリシジルエーテル、 平均分子量;約304、日本油脂(株)製)
なお、実施例5、6、9、10及び比較例3、4においては、基材と硬化被膜との間にプライマ−層を施した。そのプライマ−層の形成方法は次の通りである。
ポリエステルタイプのポリオール(住友バイエルウレタン(株)社の商品名、デスモフェンA−670使用)6.65質量部、ブロック型ポリイソシアネート(住友バイエルウレタン(株)社の商品名、BL−3175使用)6.08質量部、硬化触媒としてジブチル錫ジラウレート0.17質量部、レベリング剤としてフッ素系レベリング剤(住友スリーエム(株)社の商品名、フロラードFC−430使用)0.17質量部、および溶媒としてジアセトンアルコール95.71質量部からなる混合物を均一な状態になるまで充分攪拌し、得られた液状のプライマ−を、前処理としてアルカリ処理された基体レンズ上に浸漬法(引き上げ速度:24cm/分)にて塗布し、100℃で40分加熱して硬化して、厚さ2〜3μmのプライマ−層を形成した。
第1表に示すような構成で、基材上に反射防止膜を設け、物性評価を行った。その結果を第2表に示す。尚、λは光の波長を示す。
2:基板
3:基板保持用ドーム
4:有機物質導入口A
5:有機物質導入口B
6:蒸発源
7:RF型イオン銃
8:イオン化ガス導入口
9:排気系への接続部
10:外部モノマー加熱(気化)装置への接続部
Claims (10)
- プラスチック基材と、真空蒸着で形成された多層反射防止膜とを有する光学部材であって、反射防止膜中の少なくとも1層が、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム及び酸化ニオブから選ばれる少なくとも1種の無機物質と、常温、常圧下で液体であるケイ素非含有有機化合物とを蒸着原料として、形成されるハイブリッド層であり、該ハイブリッド層が、イオンアシスト法で形成されてなり、該ケイ素非含有有機化合物が、以下の一般式(e)又は(f)で表される構造を有する光学部材。
一般式(e):片末端にエポキシ基を有する炭素及び水素を必須成分とするケイ素非含有有機化合物
- 前記ハイブリッド層は前記無機物質とケイ素非含有有機化合物をそれぞれ別の蒸着源にて同時に蒸着させることにより形成する請求項1記載の光学部材。
- 前記無機物質を、電子銃を用いて加熱することにより気化させ、ケイ素非含有有機化合物をタンクに貯蔵し、該タンク内でケイ素非含有有機化合物を加熱することにより気化させ、該無機物質とケイ素非含有有機化合物を同時に蒸着させる請求項2記載の光学部材。
- 前記ケイ素非含有有機化合物は、溶媒を加えずに加熱して蒸着させる請求項1〜3項のいずれか1項記載の光学部材。
- 前記ケイ素非含有有機化合物の数平均分子量が、28〜320である請求項1〜4項のいずれか1項記載の光学部材。
- 前記ハイブリッド層のケイ素非含有有機化合物の膜内含有率が、0.02質量%〜25質量%である請求項1〜5項のいずれか1項に記載の反射防止膜を有する光学部材。
- 前記プラスチック基材と反射防止膜との間に、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、白金(Pt)、ニオブ(Nb)及びチタニウム(Ti)から選ばれる少なくとも1種からなる膜厚1〜5nmの下地層を施してなる請求項1〜6項のいずれか1項に記載の光学部材。
- プラスチック基材が、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートを原料とする基材である請求項1〜7項のいずれか1項記載の光学部材。
- プラスチック基材が、ポリスルフィド結合を有する基材である請求項1〜7項のいずれか1項記載の光学部材。
- プラスチック基材と反射防止膜との間に、プラスチック基材から順に、プライマ−層、硬化層を施したことを特徴とする請求項1〜9項のいずれか1項記載の光学部材。
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