JP4647117B2 - 突然変異誘発方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、突然変異誘発方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、生物で突然変異を誘発し、産業上有用な突然変異体、変異代謝物、および変異遺伝子を獲得する方法と、この方法によって得られる突然変異体、その代謝物、およびその遺伝子に関する。
【0002】
【従来の技術】
産業上有用な突然変異体を獲得するためには、生物で突然変異を誘発する必要がある。突然変異とは、DNA(deoxyribonucleic acid )塩基配列の変化である。突然変異は、それが発生した個体に与える影響により、大きく次の3種類に分けられる。
(1)中立突然変異(neutral mutation)
この突然変異は、突然変異の大部分を占め、生物の成育にほとんど影響がない。
(2)有害突然変異(deleterious mutation)
この突然変異は、中立突然変異の次に多く、生物の成長を阻害する。有害突然変異には、生育に必須な遺伝子を破壊するような致死突然変異(lethal mutation )も含まれる。微生物の場合、全突然変異に占める有害突然変異の割合は、1/10〜1/100と推測されている。
(3)有益突然変異(beneficial mutation)
この突然変異は、生物の育種に有益な突然変異であるが、その発生頻度は有害突然変異と比較して極めて低い。したがって、有益突然変異が導入された生物個体を得るためには、大きな生物集団と、長い時間が必要となる。また、生物の育種の十分な効果は、単一の突然変異だけで現れることはまれであり、複数の有益突然変異の蓄積が必要である。育種のための突然変異を誘発する方法としては、次に示すものが知られている。
(1)自然突然変異(spontaneous mutation)の利用
生物が通常の環境下で正常に生育しているときに発生する突然変異を、自然突然変異という。自然突然変異の主な原因は、DNA複製時の誤りと、内在性の突然変異原物質(ヌクレオチドアナログ)であると考えられている(真木, 「自然突然変異と修復機構」, 細胞工学 Vol.13 No.8, pp.663-672, 1994)。
(2)放射線や突然変異原物質(mutagen )による処理
紫外線やX線などの放射線処理、あるいはアルキル化剤のような人工的な突然変異原物質処理によって、DNAに損傷が生じる。その損傷は、DNA複製の過程で突然変異に固定される。
(3)PCR(polymerase chain reaction )法の利用
PCR法は、試験管内でDNAを増幅するため、細胞内の突然変異抑制機構の一部が欠けており、高頻度に突然変異の誘発が可能である。また、遺伝子シャフリング法(Stemmer,“Rapid evolution of a protein in vitro by DNA shuffling”, Nature Vol.370, pp.389-391, Aug. 1994 )と組み合わせることで、有害突然変異の蓄積を避け、複数の有益突然変異を遺伝子に蓄積することができる。
(4)ミューテーター(mutator )の利用
ほとんどすべての生物では、突然変異抑制機構によって、自然突然変異の発生率が非常に低いレベルに保たれている。この突然変異抑制機構には、10種類以上の遺伝子が関与した複数の段階が存在する。これらの遺伝子の1つあるいは複数が破壊された個体は、高い頻度で突然変異を発生するので、ミューテーターと呼ばれている。また、これらの遺伝子は、ミューテーター遺伝子と呼ばれている(真木, 「自然突然変異と修復機構」, 細胞工学 Vol.13 No.8, pp.663-672, 1994; Horst et. al.,“Escherichia coli mutator genes”, Trends in Microbiology Vol.7 No.1, pp.29-36, Jan. 1999)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の突然変異誘発方法には、次のような問題がある。
一般に、有害突然変異は、有益突然変異よりもはるかに高い頻度で発生する。
その結果、既存の方法で、生物の突然変異率を上昇させれば、有益突然変異の発生頻度も上昇するが、その有益な効果は、より高頻度に発生し蓄積する有害突然変異によって打ち消されてしまう。したがって、従来の方法では、有害突然変異の蓄積なしに、複数の有益突然変異を生物に誘発することは極めて困難である。
さらに、上述した育種のための突然変異誘発方法には、それぞれ、以下のような問題がある。
【0004】
自然突然変異の発生頻度は極めて低く、例えば、大腸菌等では10-10 突然変異(1塩基あたり1複製あたり)と推測されている(Drake, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. Vol.88, pp.7160-7164, Aug. 1991)。この極めて低い突然変異発生頻度は、ほとんどすべての生物が持つ突然変異抑制機構によって成し遂げられている。このうち、有益な突然変異の割合は、全自然突然変異に対して数桁低いと考えられる。したがって、自然突然変異を利用した育種は、大きな生物集団と、長い時間を必要とするため、極めて効率が悪い。
【0005】
また、放射線や突然変異原物質を用いる方法は、自然突然変異と比べて高い頻度で突然変異を発生させることが可能であるが、有効な線量で放射線を照射した細胞や、有効な濃度で突然変異原物質処理を施した細胞のほとんどが死滅する。
これは、ランダムに発生した突然変異の大部分が有害致死突然変異であるからである。また、この方法では、有害突然変異の蓄積なしに、複数の有益な突然変異を導入することは不可能である。なぜなら、有害突然変異は有益突然変異よりもはるかに高い頻度で発生するからである。
【0006】
また、PCR法では、数十kbのDNA増幅が限界であり、一部の遺伝子を改良することは可能であるが、多くの遺伝子が関与した複雑な代謝物や生物個体そのものの高度な育種は、不可能である。
また、ミューテーターを利用すれば、突然変異を効率よく誘発できるが、基本的に、有害突然変異の蓄積を避けて、複数の有益突然変異を蓄積することは困難である。
【0007】
このミューテーターを利用した方法に分類されるものに、ディスパリティ法がある(Furusawa and Doi, “Promotion of Evolution: Disparity in the Frequency of Strand-specific Misreading Between the Lagging and Leading DNA Strands Enhances Disproportionate Accumulation of Mutations”, J. Theor. Biol. 157, pp.127-133, 1992; Furusawa and Doi,“Asymmetrical DNA replication promotes evolution: disparity theory of evolution”, Genetica 103, pp.333-347, 1998)。
【0008】
このディスパリティ法では、二本鎖ゲノムDNAの一方の鎖に他方よりも多く点突然変異が導入される。これにより、ゲノムDNAに1つの一方向性(unidirectional)の複製開始点(origin of replication )が存在する生物において、有害突然変異の蓄積を避けて、複数の有益突然変異を蓄積することが可能である。
【0009】
しかし、ほとんどすべての生物はこのようなゲノムDNAの複製機構を持っていない。例えば、バクテリアである大腸菌等では、環状ゲノムDNAに1つの両方向性(bidirectional )の複製開始点を持つ(Kornberg and Baker, “DNA Replication ”, New York, Freeman, 1992 )。また、真核生物は、複数の両方向性の複製開始点を持つ。ゲノムDNAに両方向性の複製開始点があるとき、ディスパリティ法では、有害突然変異の蓄積を避けて、複数の有益突然変異を蓄積することはできない。
【0010】
本発明の課題は、従来の突然変異誘発方法における有害突然変異の蓄積という欠点を克服し、産業上有用な突然変異体を迅速/簡便に創製するために、簡単な操作により、生物で突然変異を効率よく誘発する方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の突然変異誘発方法では、1つの細胞内に、忠実度(fidelity)の異なる2種類以上のDNAポリメラーゼを共存させることにより、突然変異を誘発する。
【0012】
忠実度とは、DNA複製の正確さを意味する。忠実度が高いDNAポリメラーゼは、突然変異を生じにくい正常なDNAポリメラーゼに対応し、忠実度が低いDNAポリメラーゼは、突然変異を生じやすいミューテーターポリメラーゼに対応する。このうち、ミューテーターポリメラーゼは、不正確なDNA複製を行うので、突然変異を促進して遺伝的多様性を生み出すことができ、正常なDNAポリメラーゼは、正確なDNA複製を行うので、環境により良く適応した突然変異体の遺伝情報を維持することができる。
【0013】
したがって、これらの2種類のDNAポリメラーゼを1つの細胞内に共存させることで、突然変異を誘発するとともに、突然変異体の遺伝情報を維持することができる。このとき、所望の有益突然変異を誘発する適切なミューテーターポリメラーゼを用いれば、有害突然変異の蓄積を避けて、複数の有益突然変異を蓄積することができ、突然変異を効率よく誘発することが可能となる。
【0014】
このような突然変異誘発方法を用いることで、産業上有用な突然変異体とその代謝物、およびその突然変異体をコードする遺伝子を、簡便かつ高頻度に獲得することが期待できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
効率の良い育種とは、高速な生物進化を実現することであると考えられる。高速な生物進化には、集団の大きな遺伝的多様性と同時に、有益な突然変異型の安定な増幅が必要である。安定な増幅は、正確なDNA複製によって達成される。一方で、遺伝的多様性を生み出す原動力は、DNA複製のエラーによって生じる突然変異である。したがって、効率の良い生物進化(育種)の鍵は、DNA複製機構に存在する。
【0016】
そこで、生物の遺伝情報であるゲノムDNAの複製機構(Kornberg and Baker, “DNA Replication ”, New York, Freeman, 1992 )について、簡単に説明する。
1つの1本鎖DNAを鋳型として相補的な鎖を合成し、その結果、1つの2本鎖DNAを生じる酵素(DNA複製を行う酵素)を、DNAポリメラーゼという。DNA複製には、2つのDNAポリメラーゼが必要である。なぜなら、リーディング鎖とラギング鎖の合成を同時に行わなければならないからである。
【0017】
DNA複製は、DNA上の決まった位置から開始されるが、その位置を複製開始点という。例えば、バクテリアでは、通常、環状ゲノムDNAに1つの両方向性の複製開始点を持つ。したがって、1つのゲノムDNA複製には、4つのDNAポリメラーゼが同時に働く必要がある。
【0018】
図1は、両方向性の複製開始点を1つだけ持つバクテリア型の環状ゲノムDNAの複製を示す模式図である。図1において、“ori”は両方向性の複製開始点を表し、“ter”は複製の終結点を表す。また、黒丸11はDNAポリメラーゼを表している。この場合、ゲノムDNA12に対して、4つのDNAポリメラーゼ11が同時に働くことにより、2つのゲノムDNA13が生成される。
【0019】
次に、忠実度の異なるDNAポリメラーゼの共存機構について説明する。本実施形態においては、1つの細胞内に、忠実度の高い正常なDNAポリメラーゼと、忠実度の低いミューテーターポリメラーゼを、共存させる機構が必要となる。
DNAポリメラーゼの忠実度制御において最も重要なものは、校正機能(proofreading function )である(真木, 「自然突然変異と修復機構」, 細胞工学 Vol.13 No.8, pp.663-672, 1994)。この校正機能は、DNA合成のときに、間違って取り込まれた、鋳型塩基と相補的でないヌクレオチドを、3’→5’エキソヌクレアーゼで取り除くことにより、DNA合成の忠実度を上昇させる。
【0020】
突然変異によって、この3’→5’エキソヌクレアーゼ活性が低下または破壊された細胞はミューテーターとなり、その突然変異率は大きく上昇する(Echols, Lu, and Burgers,“Mutator strains of Escherichia coli, mutD and dnaQ, with defective exonucleolytic editing by DNA polymerase III holoenzyme”, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. Vol.80, pp.2189-2192, Apr. 1983; 真木, 「自然突然変異と修復機構」, 細胞工学 Vol.13 No.8, pp.663-672, 1994)。
【0021】
3’→5’エキソヌクレアーゼ活性による校正機能は、生物に普遍的に存在している突然変異抑制機構である。そして、この3’→5’エキソヌクレアーゼの活性中心と思われる部位は、高度に保存されている(Fijalkowska and Schaaper, “Mutants in the Exo I motif of Escherichia coli dnaQ: Defective proofreading and inviability due to error catastrophe”, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. Vol.93, pp.2856-2861, Apr. 1996; Taft-Benz and Shaaper, “ Mutational analysis of the 3'→5' proofreading exonuclease of Escherichia coli DNA polymerase III”, Nucleic Acids Research Vol.26 No.17, pp.4005-4011, 1998 )。
【0022】
例えば、グラム陰性バクテリア(Gram-negative bacteria)、グラム陽性バクテリア(Gram-positive bacteria)、および真核生物(Eucaryote )のDNAポリメラーゼの3’→5’エキソヌクレアーゼ活性中心と考えられる、ExoIモチーフのアミノ酸配列は、以下のようになる。
Figure 0004647117
Figure 0004647117
これらの19個のアミノ酸配列では、左から5番目および7番目の2つの酸性アミノ酸(アスパラギン酸Dおよびグルタミン酸E)が、種を越えて保存されていることが分かる。なお、これらのアミノ酸配列は、GenBankよりダウンロードした。
【0023】
このような3’→5’エキソヌクレアーゼ活性が破壊されるような突然変異を、DNAポリメラーゼをコードする遺伝子(DNAポリメラーゼ遺伝子)に導入することにより、ミューテーターポリメラーゼをコードする遺伝子(ミューテーターポリメラーゼ遺伝子)を作成することができる。そして、作成された遺伝子を用いれば、ミューテーターポリメラーゼが得られる。
【0024】
しかしながら、校正機能の3’→5’エキソヌクレアーゼ活性は、単一のDNAポリメラーゼ遺伝子(PolC,POL2,CDC2等)にDNA合成活性と共にコードされる場合(真核生物やグラム陽性バクテリア等)と、DNA合成活性をコードする遺伝子(dnaE)とは異なる遺伝子(dnaQ)にコードされる場合(グラム陰性バクテリア等)がある(Kornberg and Baker, “DNA Replication ”, New York, Freeman, 1992 )。
【0025】
図2は、真核生物・グラム陽性バクテリア型のDNAポリメラーゼの模式図である。真核生物・グラム陽性バクテリア型では、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性とDNA合成活性が、1つのタンパク質(PolC等)の中に存在する。ExoI、ExoII、ExoIIIは、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性中心と考えられる、種を越えて保存されている、アミノ酸配列である。
【0026】
これに対して、グラム陰性バクテリア型のDNAポリメラーゼの模式図は、図3のようになる。グラム陰性バクテリア型では、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性とDNA合成活性が、2つのタンパク質(DnaQとDnaE)に分かれて存在する。
【0027】
このように、生物種によって校正活性のコード方法が異なるため、1つの細胞内で忠実度の異なるDNAポリメラーゼの共存を実現するためには、生物種により異なった方法を用いる必要がある。
まず、真核生物やグラム陽性バクテリアでは、図2に示したように、DNAポリメラーゼのDNA合成活性と校正活性が1本のペプチド内に存在する。そこで、まず、ミューテーターポリメラーゼ遺伝子を作成するために、DNAポリメラーゼ遺伝子(PolC,POL2,CDC2等)に、DNA合成活性は正常であるが、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性のみが破壊されるような突然変異を導入する。
【0028】
3’→5’エキソヌクレアーゼの活性中心の一つであるExoIモチーフには、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性に重要な2つの酸性アミノ酸が存在する(Derbyshire et. al., EMBO J. 10, pp.17-24, Jan. 1991; Fijalkowska and Schaaper,“Mutants in the Exo I motif of Escherichia coli dnaQ: Defective proofreading and inviability due to error catastrophe”, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. Vol.93, pp.2856-2861, Apr. 1996 )。これらの酸性アミノ酸は、上述の大腸菌DnaQタンパク質(Escherichia coli DnaQ )の12番目のアスパラギン酸(D)と14番目のグルタミン酸(E)に相当する。
【0029】
したがって、これらの2つの酸性アミノ酸のどちらか一方、あるいは両方を、異なったアミノ酸(例えば、アラニン等)に置換するような点突然変異を導入することで、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性のみが破壊されたミューテーターポリメラーゼを得ることができると考えられる。
【0030】
こうして生成されたミューテーターポリメラーゼ遺伝子を、適当な量で発現できる、市販のベクターDNAに連結し、野生型のポリメラーゼ遺伝子を持った宿主細胞に形質転換導入する。また、二倍体生物の場合、ミューテーターポリメラーゼ突然変異と野生型のヘテロ接合体を利用することも考えられる。
【0031】
次に、グラム陰性バクテリアでは、図3に示したように、DNAポリメラーゼは、DNA合成サブユニットと校正サブユニット(3’→5’エキソヌクレアーゼ)に分かれている。そのため、細胞内でミューテーターポリメラーゼを発生させるいくつかの方法が存在するが、主なものを以下に挙げる。
(1)校正サブユニットの発現量の調節
DNA合成サブユニット(DnaE)に校正サブユニット(DnaQ)が結合していれば、そのDNAポリメラーゼは高い忠実度を持つ。しかし、校正サブユニットを欠くDNAポリメラーゼは、ミューテーターポリメラーゼとなる。遺伝子工学的に校正サブユニットの発現量を低下させることで、校正サブユニットを持つ正常ポリメラーゼと、校正サブユニットを持たないミューテーターポリメラーゼを細胞内に作り出すことができる。
【0032】
例えば、dnaQ遺伝子の5’−非翻訳領域には、転写開始配列(−10と−35配列)と翻訳開始配列(SD配列)が存在するが(Maki et. al., “Structure and expression of the dnaQ mutator and the RNase H genes of Escherichia coli: Overlap of the promoter regions ”, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. Vol.80, pp.7137-7141, Dec. 1983 )、それらの配列にランダムな突然変異を導入することで、dnaQ遺伝子の発現量が低下した変異体を得ることができると考えられる。
(2)3’→5’エキソヌクレアーゼが欠損した校正サブユニットの共発現
DNAポリメラーゼのDNA合成サブユニット(DnaE)への結合能力は正常であるが、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性のみが破壊されるような突然変異を、校正サブユニット(DnaQ)に導入する。この突然変異は、真核生物・グラム陽性バクテリア型の場合と同様に、3’→5’エキソヌクレアーゼの活性中心の一つであるExoIモチーフに保存されている2つの酸性アミノ酸のどちらか一方、あるいは両方を、アラニン等に置換するような点突然変異が考えられる。
【0033】
突然変異を導入した校正サブユニット遺伝子を、適当な量で発現できる、市販のベクターDNAに連結し、野生型のポリメラーゼ遺伝子を持った宿主細胞に形質転換導入する。
次に、決定論的検証1(淘汰なしの場合)、決定論的検証2(淘汰ありの場合)、および確率論的検証(遺伝的アルゴリズム・シミュレーション)の3つの計算機実験(computer simulation)により、本発明の有効性について検証する。
「決定論的検証1(淘汰なしの場合)」
今後、本発明の突然変異誘発方法(1つの細胞内に、忠実度の異なるDNAポリメラーゼを共存させて行う突然変異誘発方法)を、混在戦略(heterogeneous strategy)と呼ぶことにする。一方で、従来通りの、細胞内のDNAポリメラーゼの忠実度が等しい突然変異誘発方法を、均質戦略(homogeneous strategy)と呼ぶことにする。
【0034】
例として、バクテリア型の一倍体ゲノムDNA上に1つの両方向性の複製開始点が存在する2分裂生物集団において、高頻度に突然変異を誘発した場合の突然変異体の分布を検証する。
図4は、このような生物の細胞集団が淘汰なしの条件で増殖する場合の、混在戦略と均質戦略の突然変異体分布を示している。ここでは、簡単のために、発生した突然変異はゲノムDNAの複製速度に影響を与えないものとした。
【0035】
図4において、縦2本の平行線21はゲノムDNAを表し、菱形22は両方向性の複製開始点を表し、白丸23は正常なDNAポリメラーゼを表し、黒丸24はミューテーターポリメラーゼを表し、横棒25は突然変異を表している。また、F0、F1、F2、およびF3は、それぞれ、第0世代、第1世代、第2世代、および第3世代を表している。
【0036】
混在戦略では、ゲノム複製に関与する4つのDNAポリメラーゼのうち、3つは忠実度の高い正常なポリメラーゼであり、突然変異を生じないものとする。そして、残りの1つがミューテーターポリメラーゼで、1回の合成当たり4つの突然変異を生じるものとする。このミューテーターポリメラーゼは、DNA複製のときに、4ヶ所中ランダムな位置を占める。このとき、平均突然変異率は2(ゲノム当たり複製当たり)であるが、第3世代後においても、突然変異を全く持たない野生型が存在する。また、集団中に一度現れた突然変異型は、後の世代でも保存されていることが分かる。
【0037】
一方、均質戦略では、ゲノム複製に関与する4つのDNAポリメラーゼの忠実度はすべて等しく、1回の合成当たり1つの突然変異を生じる。したがって、平均突然変異率は2(ゲノム当たり複製当たり)となり、混在戦略のそれと等しい。しかしながら、均質戦略では、1つも突然変異を持たない野生型は、第1世代で消失する。また、集団中に現れた突然変異型は、その次の世代には確実に消失する。
【0038】
ここで、細胞内に十分な数のDNAポリメラーゼが存在するとき、ミューテーターポリメラーゼと正常ポリメラーゼの細胞内相対濃度を、それぞれrと(1−r)とする。このとき、二項分布より、娘ゲノムが2つの正常ポリメラーゼによって合成される期待値は(1−r)2 となる。
【0039】
したがって、無限に増殖する2分裂細胞集団において、2(1−r)2 >1より、r<0.29のとき、野生型および集団中に一度現れた突然変異型を、保障することができる。このrの閾値(0.29)は、ミューテーターポリメラーゼの突然変異率には依存しない。この結果は、rが閾値を超えない混在戦略生物集団では、一度獲得した最大適応度を失うことなく、多様性を拡大して、高速に進化できることを意味している。
「決定論的検証2(淘汰ありのとき)」
連続培養装置(例えば、ケモスタット)で連続培養されている十分に大きな細胞集団を考える。集団サイズを一定にするために淘汰が存在する。野生型は突然変異型よりも増殖速度が大きいものとして、連続培養を行い、各遺伝子型の濃度が平衡状態に達したときの野生型の相対濃度xを求める。ここで、xを求めるために、アイゲン方程式の近似解である次式を用いた(Eigen et. al.,“Molecular Quasi-Species ”, Journal of Physical Chemistry. Vol.92 No.24, pp.6881-6891, 1988 )。
【0040】
【数1】
Figure 0004647117
ここで、Qは野生型ゲノムが複製されるときの正確さ(忠実度の一例)に対応し、Wは野生型の複製速度を表し、Mは突然変異体の複製速度を表している。式(1)によれば、ゲノムサイズが十分に大いとき、閾値を越えない突然変異率で、xの良い近似を得ることができる。突然変異率の閾値とは、生物がその遺伝情報を維持して存在することが可能な突然変異率の最大値である(Eigen et. al.,“Molecular Quasi-Species ”, Journal of Physical Chemistry. Vol.92 No.24, pp.6881-6891, 1988 )。混在戦略のときのQは、次式により求めることができる。
【0041】
【数2】
Figure 0004647117
ここで、aはゲノム上に存在する両方向性の複製開始点の数を表し、rと(1−r)は、それぞれ、ミューテーターポリメラーゼと正常ポリメラーゼの細胞内相対濃度を表し、mは平均突然変異率(ゲノム当たり複製当たり)を表す。正常ポリメラーゼの忠実度は非常に高いので(Drake, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. Vol.88, pp.7160-7164, Aug. 1991)、その突然変異率はゼロとした。
【0042】
生物集団が、一度獲得した最大適応度を失うことなく、できるだけ多様性を拡大して進化できる突然変異率の閾値mmax は、x=0のときの平均突然変異率mである。x=0のとき、式(1)をmについて解くと、mmax は次式のようになる。
【0043】
【数3】
Figure 0004647117
図5は、このような淘汰ありの条件で増殖する生物集団における、混在戦略と均質戦略の突然変異率の閾値mmax の変化を示している。ここでは、式(3)において、W=10、M=1とおき、aとrを変化させてmmax をプロットした。
【0044】
図5において、従来法である均質戦略(r=1)のとき、mmax は約2.3である。一方、混在戦略(r<1)のときは、均質戦略と比べて、mmax をより大きく設定することができる。また、複製開始点の数aが増加しても、rを減少させることで、mmax を増加させることができる。式(3)より、r<1−(M/W)1/2aのとき、ミューテーターポリメラーゼの突然変異率に関係なく、最も適応度が高い野生型を保障することができる。
【0045】
この結果は、混在戦略が、均質戦略よりも効率よく、遺伝的多様性を拡大すると同時に、獲得したより高い適応度を持つ個体を保障しつつ、高速に進化できることを意味している。また、混在戦略の優れた進化能力は、複数の複製開始点が存在するゲノムDNAを持つ生物においても発揮されることを示している。
「確率論的検証(遺伝的アルゴリズム・シミュレーション)」
混在戦略の進化能力を確率論的に検証するため、遺伝的アルゴリズム(genetic algorithm, GA )を用いて関数最適化を行った。GAは、突然変異と淘汰による生物進化を模倣して数学問題を解くためのコンピュータプログラムである(Holland,“Adaptation in Natural and Artificial Systems”, Ann Arbor, MI: Univ. of Michigan Press, 1975; Goldberg, “Genetic Algorithms in Search, Optimization, and Machine Learning”, Reading, MA, Addison-Wesley, 1989; Forrest, “Genetic Algorithms: Principles of Natural Selection Applied to Computation”, Science Vol.261, pp.872-878, Aug. 1993)。
【0046】
ここで用いた集団は、バクテリア型の一倍体ゲノムを持つ単細胞個体から構成され、各個体は16ビットの2進数配列ゲノム(Gray code )を持つ。この配列は、中央に両方向性の複製開始点を持つ2本鎖DNAのように、ポリメラーゼによって複製される。
【0047】
また、ミューテーターポリメラーゼと正常ポリメラーゼの細胞内相対濃度は、それぞれrと(1−r)とし、正常ポリメラーゼの忠実度は非常に高いので、その突然変異率はゼロとした。集団個体の平均突然変異率をm(ゲノム当たり複製当たり)とすると、ミューテーターポリメラーゼの突然変異率は、m/r(ゲノム当たり複製当たり)となる。適応関数F(x)は、複雑な適応地形になるように、サイン曲線を組み合わせて、次式のように定義した。
【0048】
【数4】
Figure 0004647117
また、個体集団のサイズは100個体に固定され、この個体集団は1世代で倍加した後、淘汰により、より高い適応度を持った個体が選抜されて、次世代に残される。
【0049】
図6は、このようなGAを用いて関数最適化を行ったときの集団の平均適応度の変化を示している。ここでは、100回の試行の平均を100世代後の集団の平均適応度Fm とし、パラメータrとmを変化させたときのFm の値をプロットした。
【0050】
図6の結果によれば、均質戦略(r=1)のときの最大平均適応度は約0.5であるのに対して、混在戦略(r<1)のときの最大平均適応度は約0.8にまで到達した。この結果は、多重突然変異が必要な複雑な適応地形における進化において、混在戦略は均質戦略よりも優れていることを示している。
【0051】
【実施例】
大腸菌を用いて、混在戦略におけるミューテーター細胞を作成し、2種類の薬剤に対する耐性変異体の出現数を調べることで、その突然変異誘発の効果を検証した。使用した2種類の薬剤はリファンピシンとナリジキ酸である。これらの薬剤の作用機構は異なるために、その薬剤耐性を獲得するには、少なくとも2つ以上の異なった遺伝子上の突然変異が必要となる(田中信男・中村昭太郎, 抗生物質大要 第4版, 東京大学出版会, pp.363-384, 1992)。
【0052】
大腸菌MG1655株(American Type Culture Collectionより購入)の染色体DNAを鋳型として、DNAプライマーセットQB1F(5'-aagtatggaagatctgcgtccgcgatagcgtaaaatag-3':配列表の配列番号20)とQH1R(5'-caagttcgattcgaatcatgagtgaatagtggcggaac-3':配列表の配列番号21)を用いて、dnaQ構造遺伝子とその5’−遺伝子発現調節領域を含む1.1kbのDNA断片をPCR法で増幅した。QB1FとQH1Rの5’−側には、それぞれ、BglIIとHindIIIの制限酵素認識配列が添付されているので、増幅したDNA断片をBglIIとHindIIIで制限酵素消化した。
【0053】
次に、制限酵素消化したDNA断片を、pBR322ベクターDNA(宝酒造より購入)とpMW219ベクターDNA(ニッポンジーンより購入)のそれぞれのHindIIIとBamHI(付着末端がBglIIと同じ)の制限酵素切断部位に連結して、生じたdnaQプラスミドDNAをそれぞれpDQ1とpDQ2と命名した。
【0054】
次に、QuikChange Site-Directed Mutagenesis Kit(STRATAGENE社)を用いて、DnaQタンパク質の3’→5’エキソヌクレアーゼ活性中心の1つと考えられる12番目のアスパラギン酸(GAT)がアラニン(GCT)に置換するように、pDQ2上のdnaQ遺伝子に変異を導入した。この変異をdnaQ55と命名し、生じたdnaQ55プラスミドをpDQ3と命名した。
【0055】
図7は、pBR322およびpMW219と、それらに由来するプラスミドpDQ1、pDQ2、およびpDQ3の、細胞当たりのコピー数(Sambrook et. al., Molecular Cloning 2nd edition, BOOK 1,“Essential Features of Plasmids”, Cold Spring Harbor, NY, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989 )を示している。
【0056】
次に、MG1655株にpDQ1を導入し、アンピシリン(50μg/mL)耐性形質転換体MG1655(pDQ1)を得た。さらに、MG1655(pDQ1)にpDQ3を導入して、カナマイシン(20μg/mL)耐性形質転換体MG1655(pDQ1、pDQ3)を得た。次に、MG1655株にpDQ3を導入し、カナマイシン耐性形質転換体MG1655(pDQ3)を得ようと試みたが、得られなかった。
【0057】
図7に示した各dnaQプラスミドの細胞当たりのコピー数と、染色体上には野生型dnaQ遺伝子が1コピーだけ存在することから、各dnaQプラスミドを持つMG1655株のミューテーターポリメラーゼの細胞内相対比(細胞内相対濃度)を算出すると、図8のような結果が得られた。
【0058】
また、MG1655株を35℃のLB(Luria-Bertani )寒天平板培地で一晩培養し、生じたコロニーを5mLのLB液体培地に植え付け、さらに、35℃で一晩振盪培養した培養液1mLを、リファンピシン(100μg/mL)とナリジキシン酸(30μg/mL)を同時に含むLB寒天平板培地に植え付け、35℃で一日培養した。そして、リファンピシン・ナリジキシン酸耐性変異体の出現数を観測した。
【0059】
同様に、MG1655(pDQ1、pDQ3)株を培養し(ただし、培地には50μg/mLのアンピシリンと20μg/mLのカナマイシンを含む)、リファンピシン・ナリジキシン酸耐性変異体の出現数を観測した。
さらに、大腸菌のミューテーターとして良く研究されているmutD5変異(Fowler et. al., “Mutational Specificity of a Conditional Esherichia coli Mutator, mutD5”, Molec. gen. Genet. 133, pp.179-191, 1974; Fijalkowska and Schaaper, “Mutants in the Exo I motif of Escherichia coli dnaQ: Defective proofreading and inviability due to error catastrophe”, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. Vol.93, pp.2856-2861, Apr. 1996 )を持つHC108株と、mutS変異(Modrich, Annu. Rev. Genet. 25,“Mechanisms and biological effects of mismatch repair”, pp.229-253, 1991; Horst et. al.,“Escherichia coli mutator genes”, Trends in Microbiology Vol.7 No.1, pp.29-36, Jan. 1999; 梅津桂子, 「ミスマッチ修復の分子機構」, 細胞工学 Vol.13 No.8, pp.673-682, 1994)を持つES1301 mutS株(Promega 社より購入)を同様に培養し、リファンピシン・ナリジキシン酸耐性変異体の出現数を観測した。
【0060】
mutD5変異を持つHC108株は、pKO3システム(Link et. al., “Methods for Generating Precise Deletions and Insertions in the Genome of Wild-Type Esherichia coli: Application to Open Reading Frame Characterization”, Jounal of Bacteriology Vol.179 No.20, pp.6228- 6237, Oct. 1997)を用いて、MG1655株のdnaQ遺伝子をmutD5遺伝子に置換したものである。
【0061】
図8のリファンピシン・ナリジキシン酸耐性変異体数は、これらの株における観測結果を示している。野生型のdnaQ遺伝子を持つMG1655株では、リファンピシン・ナリジキシン酸耐性変異体を得ることができなかった。これは、MG1655株の細胞内にはミューテーターポリメラーゼが存在していないので、突然変異の発生頻度が極めて低いためであると考えられる。
【0062】
また、校正機能が破壊されたHC108 mutD5株でも、リファンピシン・ナリジキシン酸耐性変異体を得ることができなかった。これは、HC108 mutD5株の細胞内ポリメラーゼのすべてがミューテーター型であり、その変異誘発が均質戦略に対応するので、有害変異の蓄積を避けて、目的の薬剤耐性変異を効率よく獲得することができなかったためと考えられる。
【0063】
また、校正機能とは異なる変異抑制機構であるミスマッチ修復系が破壊されたES1301 mutS株でも、リファンピシン・ナリジキシン酸耐性変異体を得ることができなかった。これは、ミスマッチ修復系が破壊されたミューテーターでは、突然変異が効率よく誘発されないことを示している。
【0064】
一方、MG1655(pDQ1、pDQ3)株では、細胞内にミューテーターポリメラーゼが〜20%存在し、混在戦略で突然変異が誘発されるが、リファンピシン・ナリジキシン酸耐性変異体を得ることができた。
しかし、細胞内にミューテーターポリメラーゼが〜80%存在することになると予想される、混在戦略のMG1655(pDQ3)株では、その形質転換体を得ることができなかった。これは、ミューテーターポリメラーゼの細胞内相対比が閾値を超えて高いために、野生型と集団中に現れた変異型の遺伝情報を維持できなかったためであると考えられる。
【0065】
したがって、混在戦略で効率よく突然変異を誘発するためには、細胞内のミューテーターポリメラーゼが〜20%程度存在するのが好ましいといえる。この結果は、上述の決定論的検証1で求めた条件“r<0.29”とよく一致している。こうして、計算機実験と大腸菌を用いた実験により、本発明の突然変異誘発方法の有効性が確認できた。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、簡単な操作により、微生物や細胞、または生物個体の育種を行うことができる。これにより、従来の方法では得ることができなかったような、産業上有用な突然変異体やその遺伝子産物を効率よく得ることが期待できる。
【0067】
【配列表】
Figure 0004647117
Figure 0004647117
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【図面の簡単な説明】
【図1】バクテリア型の環状ゲノムDNAの複製を示す図である。
【図2】真核生物・グラム陽性バクテリア型のDNAポリメラーゼを示す図である。
【図3】グラム陰性バクテリア型のDNAポリメラーゼを示す図である。
【図4】生物集団が淘汰なしの条件で増殖する場合の、混在戦略と均質戦略の突然変異体分布を示す図である。
【図5】生物集団が淘汰ありの条件で増殖する場合の、混在戦略と均質戦略の突然変異率の閾値の変化を示す図である。
【図6】遺伝的アルゴリズムを用いて関数最適化を行ったときの、集団の平均適応度の変化を示す図である。
【図7】dnaQプラスミドの細胞当たりのコピー数を示す図である。
【図8】ミューテーターポリメラーゼの細胞内相対比と、リファンピシン・ナリジキシン酸耐性変異体数を示す図である。
【符号の説明】
11 DNAポリメラーゼ
12、13、21 ゲノムDNA
22 複製開始点
23 正常なDNAポリメラーゼ
24 ミューテーターポリメラーゼ
25 突然変異

Claims (4)

  1. 宿主である細胞内において、前記宿主由来の野生型の第1のDNAポリメラーゼと、前記第1のDNAポリメラーゼの校正機能が破壊された第2のDNAポリメラーゼとを共存させるステップであって、前記第1のDNAポリメラーゼと、前記第2のDNAポリメラーゼを合わせた量を1とした場合に、前記第2のDNAポリメラーゼの相対濃度が0.29よりも低くなるように共存させる、ステップ、を含、次世代の細胞のゲノムDNAに突然変異を誘発させる突然変異誘発方法。
  2. 前記第1のDNAポリメラーゼは、突然変異を生じにくい正常な野生型DNAポリメラーゼであり、前記第2のDNAポリメラーゼは、突然変異を生じやすいミューテーターポリメラーゼであることを特徴とする請求項1記載の突然変異誘発方法。
  3. DNAポリメラーゼの校正機能が破壊される変異を、DNAポリメラーゼをコードする遺伝子に導入することにより、ミューテーターポリメラーゼをコードする遺伝子を作成し、作成された遺伝子を用いて前記第2のDNAポリメラーゼを得ることを特徴とする請求項記載の突然変異誘発方法。
  4. 次世代細胞のゲノムDNAに変異が誘発される宿主の細胞であって、
    前記細胞には、前記宿主由来の野生型の第1のDNAポリメラーゼと、前記第1のDNAポリメラーゼの校正機能が破壊された第2のDNAポリメラーゼとが細胞内で共存し、
    前記第1のDNAポリメラーゼと、前記第2のDNAポリメラーゼを合わせた量を1とした場合に、前記第2のDNAポリメラーゼの相対濃度が0.29よりも低ことを特徴とする、細胞。
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