JP4642404B2 - イオン性有機結晶の研磨方法及び該イオン性有機結晶の研磨方法によって研磨したイオン性有機結晶 - Google Patents

イオン性有機結晶の研磨方法及び該イオン性有機結晶の研磨方法によって研磨したイオン性有機結晶 Download PDF

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Description

本発明は、光学材料の研磨方法に関し、特に、軟脆弱材料のイオン性有機結晶の研磨方法、及び該研磨方法によって研磨したイオン性有機結晶に関する。
従来では、非線形光学効果を有する材料としては、LiNbO3(LN)やKTiOPO4(KTP)などの無機結晶が多く実用化されているが、イオン性有機結晶が高い非線形光学効果を持つことが報告され、非線形光学材料として、イオン性有機結晶が注目を集めている。
特に、イオン性有機結晶として、図1に構造式を示す4-N,N-dimethylamino-4'-N-methyl-stilbazolium tosylate (以下DASTと略す)が、東北大学中西研究室において開発され(特許文献1参照)、極めて大きな非線形光学定数d11=1010pm/V(λ=1.3μm)と電気光学定数r11=75pm/V(λ=820nm)とを有し、有機結晶特有の低い誘電率(ε1=5.2)であるために、低電圧、高速の光変調や高感度、高周波数対応の電界センサ、ミリ波(または、サブミリ波)発生などに関心を集めている。
この結晶は、上記に示すように大きな非線形光学定数及び電気光学定数を持ち、かつ比較的大型の結晶が得やすいために、有望な有機結晶と期待されている。例えば、改良シェア法によってDAST結晶の薄膜を形成し、光変調を行った報告(非特許文献1参照)やDASTの電気光学効果を用いて、その屈折率変化から信号線を伝搬する電気信号を計測する報告(特許文献2参照)がなされている。
このような非線形光学材料は、レーザ光の散乱を防止するため、レーザ光の入射及び出射面を研磨により鏡面加工する必要がある。一般に有機材料は、無機材料に比べ、軟脆弱材料であり鏡面研磨が難しい。そのため、このような有機非線形材料の表面を平滑にする方法としては、ポリオキシアルキレン化合物を含む水溶液からなる研磨液を用い回転研磨盤上に貼付した不織布や人工皮革で、有機結晶の表面をわずかに溶解しながら研磨する機械化学的な反応を誘起した研磨方法(特許文献3参照)や所定の先端曲率半径を持つ探針に所定の荷重を印加しながら二次元的に走査することで、分子レベルで平滑された有機イオン結晶を提供する方法(特許文献4、5参照)などが報告されている。
しかし、イオン性有機結晶の研磨において、特許文献3のようなポリオキシアルキレン化合物を含む水溶液からなる研磨液を用いると、イオン性有機結晶は、一般に水に可用であり、十分平坦な研磨面を得ることができない。さらに、DASTの場合、結晶が水分を吸収することによって、結晶の非対称性が失われ、非線形性がなくなることが知られており、特性が劣化してしまう。
このように、イオン性有機結晶の場合、結晶を構成しているイオン結合の特性により、水溶液性の研磨液では、潮解したり、溶解により十分な平坦な研磨面を得られない、また、DASTのように非線形性を失うなど、十分平坦な研磨面を得られず、また特性劣化の問題が発生する。
一方、特許文献4、5に示すような方法では、分子レベルの平滑性が得られるものの、平滑できるエリアは微小部分であるため、生産性が低い。また、有機単結晶の表面を清浄、平坦化する方法として、育成溶液(DASTメタノール溶液)中に不活性溶媒であるフロリナートを注入し、DAST結晶の周囲をフロリナートで囲うことによって、結晶取り出し時に揮発性の高いメタノールが蒸発して、DAST結晶表面に微結晶が析出することを防止する方法が提示されている(特許文献6参照)。
しかし、この方法は、微結晶付着による平坦性の劣化には効果があるものの、as-grown状態を保持するだけであり、結晶成長に起因して発生するステップなどを平坦化できるものではない。
さらに、難波らによる有機光学結晶の超精密ダイヤモンド切削法があるが(非特許文献2参照)、装置が大掛かりになることがあげられ、また、研削であるため加工面の劣化が懸念される。したがって、イオン性有機結晶のような軟脆弱材料においても、所望の用途に適用できる鏡面を提供できる加工方法が望まれている。
特許第1716929号公報 特開平8−262117号公報 特開平5−309560号公報 特開2001−105285号公報 特開2003−145500号公報 特開2002−29899号公報 M.Thakur他、Appl.Phys.Lett.,Vol.74(1999)635 1992年精密工学会春季大会論文集、International Commission for Optics(ICO), p25, Aug 2002
本発明は、上述した実情を考慮してなされたもので、このような光学材料の研磨方法、特にイオン性有機非線形光学材料などの軟脆弱材料の精密研磨方法に関するものであり、被研磨材料であるイオン性有機結晶の特性劣化がなく、平坦性の良好なイオン性有機結晶の研磨方法を提供することを目的としている。
また、本発明は、非線形光学定数が大きく、また電気光学定数が大きいイオン性有機結晶の研磨方法を提供することを目的としている。
さらに、本発明は、スクラッチを発生せず、被研磨材料であるイオン性有機結晶の特性劣化がなく、平坦性の良好なイオン性有機結晶の研磨方法を提供することを目的としている。
また、本発明は、スクラッチを発生せず、被研磨材料であるイオン性有機結晶の特性劣化がなく、平坦性の良好なイオン性有機結晶の研磨方法を提供することを目的としている。
また、本発明は、被研磨材料であるイオン性有機結晶の特性劣化がなく、平坦性の良好なイオン性有機結晶の研磨方法を提供することを目的としている。
また、本発明は、スクラッチを発生せず、被研磨材料であるイオン性有機結晶の特性劣化がなく、平坦性の良好なイオン性有機結晶の研磨方法を提供することを目的としている。
また、本発明は、研磨剤によるパーティクルの残さがなく、スクラッチの発生のない、被研磨材料であるイオン性有機結晶の特性劣化がなく、平坦性の良好なイオン性有機結晶の研磨方法を提供することを目的としている。
また、本発明は、研磨剤によるパーティクルの残さがなく、スクラッチの発生のない、被研磨材料であるイオン性有機結晶の特性劣化がなく、平坦性の良好なイオン性有機結晶の研磨方法を提供することを目的としている。
また、本発明は、研磨を安定化しながら、被研磨材料であるイオン性有機結晶の特性劣化がなく、平坦性の良好なイオン性有機結晶の研磨方法を提供することを目的としている。
また、本発明は、被研磨材料であるイオン性有機結晶の特性劣化がなく、平坦性の良好なイオン性有機結晶を提供することを目的としている。
磨面を有する研磨パッドと研磨液とにより4-N,N-ジメチルアミノ-4'-N-メチル-スチルバゾリウム トシレート(DAST)結晶を被研磨物とするイオン性有機結晶の研磨方法において、前記研磨パットとして、発泡ポリウレタンを用い、前記研磨液として、シクロヘキサンを溶媒として、微粒子を分散させた研磨液を用いることを特徴とするイオン性有機結晶の研磨方法
前記イオン性有機結晶の研磨方法において、前記微粒子は、シリカ、アルミナであることを特徴とする。
前記微粒子の1次粒径の平均粒径が5nm〜100nmであることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項記載のイオン性有機結晶の研磨方法において、前記微粒子を含む前記研磨液を用いる第1の研磨工程と、前記微粒子を含まない溶媒を用いる第2の研磨工程とからなることを特徴する。
請求項記載の発明は、請求項1または2記載のイオン性有機結晶の研磨方法において、研磨後、ブラシスクラブによる洗浄を行うことを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1からのいずれか1項記載のイオン性有機結晶の研磨方法において、前記第1の研磨工程及び前記第2の研磨工程は、前記研磨液を閉じた空間に保持し、前記被研磨物の研磨面を前記研磨液中に浸漬させて研磨することを特徴する。
請求項1から4のいずれか1項記載のイオン性有機結晶の研磨方法で研磨したイオン性有機結晶を特徴とする。


本発明は、研磨面を有する研磨パッドと研磨液とによりイオン性有機結晶を被研磨物とする研磨方法において、イオン性有機結晶が溶解しにくい非水溶媒に微粒子を分散させた研磨液を用いることにより、イオン性有機結晶の特性劣化の防止、及び平坦性の向上を図ることができる。
また、本発明は、イオン性有機結晶に、4-N,N-dimethylamino-4'-N-methyl-stilbazolium tosylate(DAST)を用いることにより、非線形光学定数及び電気光学定数が大きいイオン性有機結晶の研磨方法を提供できる。
さらに、本発明は、研磨液を閉じた空間に保持し、被研磨材料の研磨面を研磨液中に浸漬しながら研磨することによって、研磨パッド上で非水溶媒の蒸発を抑制し、蒸発によって研磨液の濃度ばらつきがなく、研磨を安定化しながら、被研磨材料であるイオン性有機結晶の特性劣化を防止し、かつ平坦性を向上できる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明は、イオン性有機結晶がほぼ溶解しない非水溶媒を用いた研磨液を作製し、研磨粒子サイズを小さくしたこと、比較的軟らかい発泡ポリウレタンパッドで研磨したことによって、従来研磨が困難で、非線形光学特性などが劣化しやすいイオン性有機結晶に対して研磨による鏡面を得ることができる。イオン性有機結晶に影響を与えない非水溶媒を用いることで、結晶の非線形特性の劣化がない研磨を行うことができる。なお、ここで規定している研磨剤の平均粒径は、1次粒子の平均値を示し、それらが凝集した2次粒子の粒径を示しているのもではない。
次に、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、その実施の形態を任意に変更し得る。
図4及び図1に基づいて、本発明の第一の実施例を説明する。図4は、本発明の研磨方法を示す斜視図である。図1は、図4のA−A'での部分的な断面図である。図1及び図4は、より詳細に研磨方法を説明するためのものである。
研磨装置は、駆動モータ(図示していない)の回転軸にギアなどを介して研磨定盤8の回転軸9に接続されて回転駆動する研磨定盤8と、研磨定盤8に張り合わされた研磨パッド7を備えている。また、被研磨材6を保持して研磨パッド7に当接させて研磨する被研磨材保持装置18と、研磨液を研磨パッド7に滴下する研磨液供給装置3を備えている。
被研磨材保持装置18の一例として、図1に示すように、被研磨材6を保持するサンプルホルダー5と被研磨物にかかる荷重を調整するための重り4、サンプルホルダー5が内接する研磨ガイド及びガイドローラーからなる。このガイドローラー1は、外部に固定されており、研磨定盤8に張り合わされた研磨パッド7が回転するに従い、研磨ガイド2及びサンプルホルダー5が自転方向に回転するようになっている。
サンプルホルダー5の下部面には、イオン性有機結晶を研磨面を下にして、ワックスなどで固定されている。研磨特性を安定化するためには、温度制御機能のついた研磨定盤であることが望ましい。
一方、研磨液供給装置17(図1で3)は、研磨液を貯蔵する研磨液タンクとチュービングポンプのような研磨液を研磨液タンクから研磨パッド7上に供給するための動力手段と研磨液を送るチューブと研磨液供給ノズルを備えている。研磨パッド上に供給される研磨液の量は、チュービングポンプの回転数により制御できる。
また、図1には、複数の研磨液供給装置をもちその各々の研磨液供給ノズル3を示しており、一方の研磨液タンクには微粒子を含む研磨液を、他方の研磨液タンクに、微粒子を含まない非水溶媒のみを貯蔵することによって、各々の研磨液供給ノズル3から微粒子を含む研磨液と微粒子を含まない非水溶媒を独立に供給することができ、各々の供給量を制御することによって、微粒子の研磨液中の濃度(wt%)を自由に制御でき、最適な研磨速度や平坦性を得ることができる。
また、これらの非水溶媒は、揮発性が高いため、非水溶媒のみを供給する研磨液供給ノズルを付与することで、研磨パッド上に微粒子が残渣として残るのを防ぐことができる。
本発明の方法により鏡面研磨を行うには、ます研磨定盤8を回転させながら、研磨液を研磨液供給ノズル3から研磨パッド7上に滴下し、ポリウレタンからなる研磨パッド上に十分研磨液を浸透させる。
ついで、研磨定盤8の回転と研磨液の滴下を継続したまま、被研磨材料6であるイオン性有機結晶を保持した被研磨材保持装置18を研磨パッド7上にガイドローラー1を介して設置し、イオン性有機結晶の研磨面と研磨パッド7を当接させることによって、研磨を行うことができる。このとき、研磨ガイド2及びサンプルホルダー5は、ガイドローラー1によって、自転方向に回転し、研磨パッド7と被研磨材料6であるイオン性有機結晶の相対運動によって研磨効率や平坦性が向上する。
以上の研磨装置を用いて、イオン性有機結晶の研磨方法をより具体的に説明する。ここでは、被研磨材料であるイオン性有機結晶として、下記の構造式に示すDASTを用いた。
Figure 0004642404
公知技術により、DASTメタノール溶液から徐冷法にて作製したバルク結晶を用い、結晶サイズは、8mm×8mm×厚さ1mmである。このDAST結晶の(001)面を被研磨面とした。
ついで、非水溶媒としてシクロヘキサン(関東化学)を、研磨剤として平均粒径30nmのシリカ、silicon dioxide NanotekTM(関東化学)を超音波分散させ、研磨粒子濃度5wt%の研磨液を作製した。5wt%シリカ/シクロヘキサン研磨液は、10ml/min、同時にシクロヘキサン溶媒のみ20ml/minの滴下速度で研磨パッド上に供給した。一方、研磨パッドとしては、発泡ポリウレタンパッドSupreme RN-H(ロデール製)を用いた。研磨定盤8の回転数を10rpm、荷重を20kPaとして、3分間研磨した。研磨後、シクロヘキサン中で音波洗浄により、被研磨材料であるDASTを洗浄した。
このようにして研磨したDAST表面を触針式表面段差計にて計測した結果の一例を図6に示す。研磨前数100nm程度のステップがあったものが、研磨により平坦化され、最大粗さRy=22nm程度、2乗平均平方根粗さrms=5nm程度と、レーザ等の散乱のない非常に平坦な面を得ることができた。また、このとき、DASTのUV可視吸収スペクトル及び電気光学定数、非線形光学定数を計測したところ、研磨によって特性が劣化していないことを確認した。
同様に、非水溶媒を替えて、平坦性及び結晶特性を評価した結果を表1に示す。フッ化炭素の代表例としては、フロリナート(住友3M製)があげられ、ここでは、FC−43を用いたが、炭素数が異なるフロリナートでも同様の効果が得られる。このフロリナートは、不活性溶媒であるため、イオン性有機結晶の非線形特性の劣化を生じさせないことが期待される。表中、平坦性において、◎は非常に良好な鏡面が得られたもの、○は十分な平坦性が得られ、実用可能なもの、×は平坦性が悪く、実用に供さないものをあらわしている。また結晶特性に関して、◎は研磨による特性劣化が見られないもの、○はやや特性に変化があるが実用可能なもの、×は特性劣化があり、実用に供さないものをあらわしている。このように、DAST研磨においては、平坦性及び結晶特性の劣化しない非水溶媒として、シクロヘキサン、フッ化炭素溶媒であるフロリナート、ヘキサン、トルエン、キシレンが望ましい。特に、シクロヘキサンは望ましい溶媒である。
Figure 0004642404
同じく、非水溶媒をシクロヘキサンとして、シリカ研磨微粒子の1次平均粒径をいくつかのもので研磨を行った結果、表2のように、研磨粒子が大きい場合、結晶が軟らかいためスクラッチなどが発生し、十分平坦な研磨表面を得ることはできず、平均粒径としては、5nm〜0.3μmのものが望ましい。
Figure 0004642404
また、非水溶媒をシクロヘキサンとして、微粒子の1次平均粒径が、100nm以下のもので、研磨粒子の種類を変えた結果を表3に示す。ここでも、比較的研磨粒子の硬いFe2O3など、結晶が軟らかいためスクラッチなどが発生し、十分平坦な研磨表面が得られず、粒子種としては、シリカSiO2やアルミナAl2O3が望ましい。
Figure 0004642404
図2は、実施例2の研磨方法を示す部分的な上面図を示す。実施例2では、図2に示すように微粒子を非水溶媒に分散させた研磨液を用いた1次研磨とそれに引き続いた微粒子を含まない非水溶媒のみの2次研磨からなっている点が大きく異なっている。
実施例1で図1に示したのと同様、駆動モータによって回転駆動する研磨定盤8と、研磨定盤8に張り合わされた研磨パッド7を備え、少なくとも微粒子を非水溶媒に分散させた研磨液を研磨パッド7に滴下する研磨液供給装置3(図2で3、図4で17)を備えた1次研磨ステーション10と、駆動モータによって回転駆動する研磨定盤8と、研磨定盤8に張り合わされた研磨パッド7を備え、非水溶媒のみからなる研磨液を研磨パッドに滴下する研磨液供給装置3(図2)を備えた2次研磨ステーション12、被研磨材6を保持して研磨パッド7に当接させて研磨する被研磨材保持装置18とを備えている。
ここでは、図1に示す被研磨材6、サンプルホルダー5及び研磨ガイド2など被研磨材保持装置18(図2の研磨ヘッド)が1次研磨ステーション10から2次研磨ステーション12に移動して、微粒子を研磨剤として用いた研磨に引き続いて、微粒子を含まず、非水溶媒からなる研磨液を用いて研磨する工程となっている。
さらに、洗浄ステーション13を設けており、2次研磨ステーション12での研磨に引き続いて、連続して洗浄工程を行うことができる。図2の洗浄ステーション13は、被研磨材6であるイオン性有機結晶表面に非水溶媒を供給しながら、回転駆動するポリプロピレンブラシによって、ブラシスクラブを行う。このブラシスクラブは、研磨面に直接ブラシが接触して研磨面を傷つけることなく、研磨面の微粒子を除去できる。
具体例として、図3に示すように、被研磨材6であるイオン性有機結晶は実施例1同様、DASTを用い、被研磨面としてDAST結晶(001)面とした。1次ステーション10において、研磨液は、平均粒径35nmのアルミナAl2O3NanotekTM(関東化学)をフッ化炭素溶媒フロリナートFC−43(住友3M製)中に超音波分散させ、濃度は3wt%としている。研磨パッド7は、発泡ポリウレタンパッドIC−1000(ロデール製)、研磨定盤8の回転数を10rpm、荷重を20kPaとして、2分間研磨した。引き続いて、DASTを含む被研磨材保持装置18を2次研磨ステーション12に移動し、非水溶媒であるフッ化炭素として、フロリナートFC−43(住友3M製)のみで研磨を行った。
研磨パッド7は、発泡ポリウレタンパッドSupreme RN-H(ロデール製)、研磨定盤の回転数を10rpm、荷重を20kPaとして、1分間研磨した。研磨後、フロリナートFC−43中で音波洗浄により、被研磨材6であるDASTを洗浄した。
研磨後、触針式表面段差計及び干渉式表面粗さ計で研磨面を観察したところ、最大粗さRyでも15nm程度、2乗平均平方根粗さrmsでも、4nm程度とより平坦な研磨面を実現でき、スクラッチの発生もなく、また研磨微粒子の残留もない。
微粒子を非水溶媒に分散させた研磨液を用いた1次研磨とそれに引き続いた微粒子を含まない非水溶媒のみの2次研磨を行うことで、被研磨材料の研磨面に微粒子の残渣がなく、スクラッチの発生のない、被研磨材料であるイオン性有機結晶の特性劣化がなく、平坦性の良好な研磨方法を提供することができる。
ここでは、異なる研磨定盤8を用いて、2ステップ研磨を行ったが、同じ研磨定盤8で研磨液を微粒子を含む研磨液から微粒子を含まない非水溶媒に替えて研磨してもよい。異なる研磨定盤8を用いて研磨すると、役割を分離でき、また、研磨剤を除去するのに流す非水溶媒を節約できる、生産性があがることが期待される。
また、1次研磨に用いた研磨パッド7は、比較的硬いIC−1000、2次研磨の研磨パッド7は、より軟らかいSupreme RN-Hと異なるものを用いることによって、研磨特性の向上が期待できるが、1次及び2次研磨とも、Supreme RN-Hなど同一のものを用いてもよい。ただし、非水溶媒のみで研磨を行う2次研磨ステーション12の研磨パッド7は、スクラッチ防止のためSupreme RN-Hのような軟らかいパッドが望ましい。
実施例3では、実施例2と同じ図2に示す研磨装置を用い、研磨工程の後にブラシスクラブによる洗浄工程を追加した点が異なる。
具体例として、被研磨材6であるイオン性有機結晶は実施例1同様、DASTを用い、被研磨面としてDAST結晶(001)面とした。1次ステーション10において、研磨液は、平均粒径30nmのシリカSiO2 NanotekTM(関東化学)をシクロヘキサン(関東化学)中に超音波分散させ、濃度は5wt%としている。研磨パッド7上には、シリカを含んだ研磨液とともに、シクロヘキサンのみを研磨液として、各々10ml/min、20ml/minの量を滴下した。研磨パッドは、発泡ポリウレタンパッドSupreme RN-H(ロデール製)、研磨定盤8の回転数を10rpm、荷重を20kPaとして、2分間研磨した。
引き続いて、DASTを含む被研磨材保持装置18(図2の研磨ヘッド11)を2次ステーション12に移動し、非水溶媒であるシクロヘキサン(関東化学)のみで研磨を行った。研磨パッドは、1次研磨と同じく発泡ポリウレタンパッドSupreme RN-H(ロデール製)、研磨定盤8の回転数を10rpm、荷重を20kPaとして、1分間研磨した。その後、ポリプロピレンからなるブラシを用い、シクロヘキサンを供給しながら、ブラシスクラブを行った。
研磨後、触針式表面段差計及び干渉式表面粗さ計で研磨面を観察したところ、最大粗さRyで10nm以下、2乗平均平方根粗さrmsでも、3nm以下とより十分な平坦性を実現でき、スクラッチの発生もなく、また研磨微粒子の残留もない。
研磨後ブラシスクラブによる洗浄を行うことによって、研磨剤によるパーティクルの残さがなく、よりスクラッチの発生のない、被研磨材6であるイオン性有機結晶の特性劣化がなく、平坦性の良好な研磨方法を提供することができる。
図3は、本発明の研磨方法を示す部分的な断面図を示す。実施例1と異なっている点は、非水溶媒の蒸発を防止するために、研磨液15を研磨液槽16に閉じ込めたクローズドシステムとしている点が異なっている。
本研磨装置は、円筒状で一方が閉じられた研磨液槽16と研磨パッド7を張り合わせた研磨定盤8、研磨液槽16と研磨パッド7の閉じた空間に保持された研磨液15、及びその研磨液中に浸漬された被研磨材6であるイオン性有機結晶とそれを保持するサンプルホルダー5、研磨ガイド2からなる。サンプルホルダー5に固定されたイオン性有機結晶は、研磨ガイドによって、研磨パッドに当接し、サンプルホルダーによって荷重を調整されている。実施例1同様、サンプルホルダーと研磨ガイドは、独立に摺動することができる。
また、外部に固定された研磨液槽ガイドローラー1によって、研磨定盤8の回転にしたがって、研磨液槽自身も緩やかに自転し、それに伴って、研磨液槽内に設けられたガイドにそって、研磨ガイド2も自転する。したがって、研磨定盤8の回転に対して、イオン性有機結晶も相対運動し、研磨が実行される。ここでは、このような構成としたが、被研磨材料を取り囲む研磨液中の微粒子濃度を一定に保つ研磨液槽をもつ構造で、研磨パッドと被研磨材が相対運動し、研磨ができる構造であれば、上記の構成に限定されるものではない。
具体例として、被研磨材料であるイオン性有機結晶は実施例1同様、DASTを用い、被研磨面としてDAST結晶(001)面とした。研磨液は、平均粒径30nmのシリカ、silicon dioxide NanotekTM(関東化学)をシクロヘキサン(関東化学)中に超音波分散させ、濃度は1wt%としている。研磨パッドは、発泡ポリウレタンパッドSupreme RN-H(ロデール製)、研磨定盤の回転数を20rpm、荷重を20kPaとして、3分間研磨した。研磨後、シクロヘキサン中で音波洗浄により、被研磨材料であるDASTを洗浄した。
研磨後、触針式表面段差計及び干渉式表面粗さ計で研磨面を観察したところ、スクラッチがなく、表面粗さrms=4nm程度と十分平坦な研磨面が得られた。また、研磨パッド上で非水溶媒の蒸発を抑制できるため、蒸発によって研磨液の濃度ばらつきがなく、より安定した研磨を行うことができる。
本発明に用いる研磨装置の1例の断面図である。 本発明に用いる2次工程を含む研磨装置の上面図である。 本発明の研磨液槽を有する研磨装置の断面図である。 本発明の研磨方法を示す斜視図である。 本発明の研磨による平坦化を示す説明図である。
符号の説明
1 ガイドローラー
2 研磨ガイド
3 研磨液供給ノズル
4 重り
5 サンプルホルダー
6 被研磨材
7 研磨パッド
8 研磨定盤
9 回転軸
10 1次研磨ステーション
11 研磨ヘッド
12 2次研磨ステーション
13 洗浄ステーション
14 ガイド
15 研磨液
16 研磨液槽
17 研磨液供給装置
18 被研磨材保持装置

Claims (4)

  1. 研磨面を有する研磨パッドと研磨液とにより4-N,N-ジメチルアミノ-4'-N-メチル-スチルバゾリウム トシレート(DAST)結晶を被研磨物とするイオン性有機結晶の研磨方法において、
    前記研磨パットとして、発泡ポリウレタンを用い、前記研磨液として、シクロヘキサンを溶媒として、1次粒径の平均粒径が5nm〜100nmのシリカまたはアルミナからなる微粒子を分散させた研磨液を用いることを特徴とするイオン性有機結晶の研磨方法。
  2. 前記微粒子を含む前記研磨液を用いる第1の研磨工程と、
    前記微粒子を含まない溶媒を用いる第2の研磨工程とからなることを特徴する請求項1記載のイオン性有機結晶の研磨方法。
  3. 研磨後、ブラシスクラブによる洗浄を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のイオン性有機結晶の研磨方法。
  4. 前記第1の研磨工程及び前記第2の研磨工程は、
    前記研磨液を閉じた空間に保持し、
    前記被研磨物の研磨面を前記研磨液中に浸漬させて研磨することを特徴する請求項1乃至3のいずれかに記載のイオン性有機結晶の研磨方法。
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