JP4634748B2 - 隆起型心土作溝土層改良作業機。 - Google Patents

隆起型心土作溝土層改良作業機。 Download PDF

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Description

本発明は、隆起型心土作溝土層改良作業機に関し、さらに詳しくは、心土の掘り起こし、および、部分的厚層作土層の形成、さらには膨軟化促進と、圃場表面の残渣物に影響されずにその作業を行うことを可能にした隆起型心土作溝土層改良作業機に関する。
周知のように、わが国は高温多雨地帯に属するため、農業生産の基盤となる圃場管理では余剰水分の処理、言い換えると、土壌の排水を図ることと、圃場面に繁茂しがちな雑草の対策が肝要である。
排水問題を解決することを目的として、圃場内部に形成されている心土層を破砕して余剰水を深い位置に透排水させるためにサブソイラ作業機が使用されていること周知の通りである。
このサブソイラ作業機を用いた心土破砕作業によれば、心土層内部に連続した破砕空間を形成することで透排水を機能させることができるが、その破砕空間は薄いナイフビームと、チゼルの体積に応じたものであるから、比較的小さく、周囲からの土圧により押しつぶされて破砕空間の寿命が極めて短く、排水効果を永年にわたって期待することができない。
また、上記の作業機では牽引抵抗が甚だしく大きく、係る点を解決するために、破砕効果を向上させることと相まって、ナイフビームを前後方向に振動を与えるバイブロサブソイラ作業機が提案されているが、土中の礫石や、樹木の根よる破損は免れにくくなんらかの改善工夫に迫られているのも現実である。
そこで、本出願人は先に放擲型の心土作溝土層改良機とも言うべき画期的な作業機を提案したのである。
この作業機は、機械化農業の先進国である西欧では出現せず、わが国において初めて開発されたものである。すなわち、この作業機はサブソイラにおけるナイフビームにわが国特有の火山灰層土が付着して牽引作業を困難にしている点に鑑みて開発されたもので、サブソイラ作業機のようにチゼルで心土を破砕するだけに止まらず、ボトムプラウにおける発土板機能を取り入れ組み合わせて前記チゼルで掘削された心土をナイフビームの前縁に沿って取付けた幅の広い発土板により地表面まで上昇させてこれを左右何れかに放擲させる発想に基づくものである。この作業機よれば、サブソイラ作業機と比較して土の付着が少なく、さらに、牽引抵抗が大幅に削減され、心土から地表面まで連続した作溝を形成することができる。土中の水分は硬い場所から柔らかい場所へと流れ、余剰水の排水性、通気性効果は顕著である。さらに、掘削されて形成された作溝の心土層中に作土の一部が混入して部分的な作土層の拡大、この作業の繰り返しにより厚層作土層を形成することができる。
また、形成された作溝は左右方からの土圧により潰される傾向にあるが、その過程で溝壁に亀裂を形成する上に、これらを拡大して土中の排水性、通気性が拡大される。
この作業機をサトウキビ圃場における中耕作業を含む土層改良作業に用いた状態を図13に説明図として示してある。
次に本発明が提案されるまでの経緯について説明する。沖縄県農業試験場の要請により、沖縄県特有の農業的背景に適した作業機を提供を求められた。
その1、沖縄県総合研究(3200)現地サトウキビ栽培管理体系に組み込んだ新しい技術的体系の確立、これにより、茎葉残渣物は除草マルチに使用するために、畦間に残し、その上で、心土層、作土層の排水性、通気性、砕土性の改善、地力増強、収益の向上を図る新しい土壌理化学性の改善技術の開発、
その2、沖縄県総合研究(2100)ジャーカル土壌の理化学性の改善技術の開発、
その目的とするところは、営農的土壌の理化学性改善技術の開発であり、作土層については、排水性、通気性、砕土性の改善、ひいては地力の増強を図り、心土層については排水性の改善である。
上述の要請に応えて、
a.サトウキビ栽培の北限は種子島とされているが、沖縄といえども最適地ではなく、地温を上昇させる必要がある。
b.サトウキビは多年生植物で5年間は株から出る新芽を育成循環収穫することができるものである。
c.作業体系
新しく植えられたサトウキビは、サブソイラによる心土破砕、プラウ耕、ロータリ砕土耕耘、植え付け(節を残した茎)、中耕除草及び培土、収穫はコントラ事業者による中大型ハーベスタによる雨の多い季節であるために畦間、土壌踏圧が大きく根圏域が蜜になり、排水性が低下し、ひいては減収になる。
収穫後圃場から搬出されるものは、茎だけである。反収は凡そ5ないし7トン、大量の茎葉などの残渣物が圃場表面を被う状態になる。残った株から新芽が出てこれらを生育させる。
繰り返されて収穫されるサトウキビは、新芽が発芽、株だし管理作業の開始され、株根元の葉、茎を除去し地温の上昇を図り、生育を促す。
透水、排水性の向上、さらに根圏域拡大のために、畦間にサブソイラ作業機による心土破砕を行うが、大量の茎葉にその作業が阻まれて作業が困難であり、また、コールタを備える作業機にしても茎葉の量が余りにも多いために作業は困難を極める。
そこで、先に述べた放擲型の心土作溝土層改良機を用いた場合、牽引抵抗は少なく、理想に近い土壌物性改善が期待されるが、地表面において放擲される硬い心土が飛散して新芽を折損させる問題がある。また、残渣物の上にも放擲心土が飛散してこれら雑草の繁茂抑制の被覆効果が半減され、後の管理作業において除草剤による雑草繁茂の抑制に頼らざるを得ないのが現状である(図13に説明図として示す)。
前述の放擲型の心土作溝土層改良機は地表における放擲機能を減じるために排出曲面の形状に改良を施すことで放擲量を抑えることができたが、残渣物である茎葉が排出曲面に絡みつき作業を困難にしている。
特開平9−322601号公報 特開2000−270602号公報
従来の技術的な問題点を列挙すると下記のようになる。すなわち、
a.畦間を被っている雑草抑制効果のある残渣物である茎葉をそのままにしてサトウキビを生育させること、
b.収穫時に踏み固められた土壌の排水性、通気性、砕土性の改善、これによる地力の向上、増収増益を図ること、
c.畦間の残渣物は作業後においても畦間に存在し、地表を被っていること、
d.大量な残渣物は切断するのではなく、残渣物が絡みつかないような作業機であること、
e.その上に、安定した作業深さ、すなわち耕深が得られること、
などが挙げられる。
上述のような課題を解決するために、本発明は、作業機を構成する作業機フレームにビームを取付けて構成した隆起型心土作溝土層改良作業機において、前記ビームには下端部から順にチゼル、心土掘削板、掘削心土分割爪板を備え、前記心土掘削板面板は前記ビームの前縁幅より幅広で、かつビームに対して作業姿勢において心土層位置にあるように取付けられ、前記掘削心土分割爪板は前記心土掘削板により掘削されて上昇した掘削心土を分割するように構成したことを特徴とするものである。
これにより、チゼル、心土掘削板、に続き、掘削された心土が上昇し、放擲されようとするものを掘削心土分割爪板で抑制し、上昇放擲エネルギを前記掘削心土分割爪板の側面に沿って表土層を含む掘削心土を隆起させるエネルギに変換し、地表面放擲作用を地表面隆起作用に変えることができる。
そして、形成された隆起部により、圃場表面の茎葉などの残渣物がその隆起部に載せられて一端部を大きく浮きあがらせるとともに、他端部は圃場に接触させた状態にして、その半起立状態にした残渣物の間を掘削心土分割爪板が通過するとともに、隆起部を左右方向に分割しながら作業移動することができる。
また、畦間中央部の地表隆起作用で全地表を覆っている残渣物の中央部が持ち上がり、浮き上がり畦間中央部の残渣物が薄くなり、また、切り株側の残渣物の端部は重くなり、畦間中央を隆起させながら作業進行する掘削心土分割爪板および、ビームナイフに対して残渣物が絡みつくことがない。
その結果、残渣物は作業進行の際に分割されて進行を妨げることがなく、作業後においても残渣物は畦間を覆っている。
また、前記掘削心土分割爪板は心土掘削板の上端部近くにおいて、ビームに対して枢着されていて、進行方向に対する前縁の起立角度を調整自在の構成にしたことを特徴とするもので、これにより、隆起部の高さ(深さ)に、さらには残渣物の多寡、種類に広く対応することができる。
また、前記掘削心土分割爪板の前縁は長さ方向に沿って直線状である構成にしたことを特徴とするものであるから、これにより、圃場表面の隆起部の高さや、最も一般的な作業においては圃場表面の残渣物の種類、多寡に対応することができ、確実に隆起部と、その上に端部を載せている残渣物を分割しながら作業を進行させることができる。
また、前記掘削心土分割爪板の前縁は長さ方向に沿って中間部が前側に張出した円弧を描いた曲線状であり、また中間部を前側に屈曲させた直線状の「く」型の構成としたことを特徴とするものである。
これにより掘削心土分割爪板の前縁における局部的な摩耗に対応することができ、全体として作業寿命の長いものを提供することができる。
また、前記掘削心土分割爪板はビームに対してその側面に接触した状態で取付けられる取付け片をもち、この取付け片は少なくとも前記掘削心土分割爪板の上端部と、下端部にあって下端部の取付け片は、支点機能をもち、上端部の取付け片はビームに対する取付け姿勢の調整機能をもっている構成としたことを特徴とするものである。
これにより、圃場表面に存在する残渣物の種類、大きさ、量に対応することができることは勿論、しかも、掘削心土分割爪板の天地を反転してビームに取付けられることができるものであるから、局部的な摩耗が生じた掘削心土分割爪板であっても、それを天地反転することで、再度使用することができ、摩耗に対して長期間対応することができる。
また、わが国特有の火山灰層のれき土がナイフビームに付着して牽引作業を困難にする場合には、前記ナイフビームの側面に抵抗が少ない樹脂板を取付けて使用する。
以上の説明から明らかなように、本発明に係る作業機によれば、チゼル、心土掘削板、に続き、掘削された心土が上昇し、放擲されようとするものを掘削心土分割爪板で抑制し、上昇放擲エネルギを前記掘削心土分割爪板の側面に沿って表土層を含む掘削心土を隆起させるエネルギに変換し、地表面放擲作用を地表面隆起作用に変えることができる。
また、形成する隆起部により、圃場表面の茎葉などの残渣物がその隆起部に載せられて一端部を大きく浮き上らせるとともに、他端部は圃場に接触させた状態にして、その半起立状態にした残渣物の間を掘削心土分割爪板が通過するとともに、隆起部を左右方向に分割しながら移動することができる。
また、畦間中央部の地表隆起作用で全地表を覆っている残渣物の中央部が持ち上がり、浮き上がり畦間中央部の残渣物が薄くなり、また、切り株側の残渣物の端部は重くなり、畦間中央を隆起させながら作業進行する掘削心土分割爪板および、ビームナイフに対して残渣物が絡みつくことがない。
その結果、残渣物は作業進行の際に分割されて進行を妨げることがなく、作業後においても残渣物は畦間を覆っている。
しかも、本発明の作業機によれば、圃場の心土層に対して掘削作業を施して作溝空間を形成するとともに、その周囲に多数のひび割れによる膨軟化された部分を心土層内部に形成することができ、これにより圃場表面はもちろん土壌が含む余剰水を透排水させることができる。
また、チゼルにより掘削され、心土掘削板で掘削とともに上昇させられる心土のれき土は圃場表面を盛り上げて隆起部を形成させるに止まり、心土層の一部が飛散れき土となって作業進行方向の左右に放擲されることがないので、圃場表面に排出されるれき土はなく、後に行われる圃場表面の仕上げ作業を容易にしている。
また、作業進行に伴い、チゼルにより掘削され、心土掘削板に沿ってさらに上昇する掘削心土を掘削心土分割爪板により左右に分割することで、圃場表面における放擲を抑え、畦間の中心部を隆起させることができる。
また、本発明の作業機を水田圃場に用いれば、圃場に深い溝を形成しないことから田植え機の轍を陥没させることがない。
また、畑圃場に用いれば、表面に放擲するれき土がないことから中耕、除草、培土に都合がよい。このことは牧草地においても有効で、牧草マットを破砕しても牧草上にれき土を放擲しないので牧草を枯らすことがない。
また、礫石の多い圃場においては礫石を圃場表面に露呈させないので除礫作業の必要がない。
さらに、心土掘削板の数、あるいは、それらの間隔を選択すること、さらには、配列の変更などによりでプラウ作業機による反転後の粗砕土作業や、心土と作土の攪拌作業に用いることができる。
以下、本発明の実施の形態について添付した図1ないし、図12に沿って説明する。先ず、符号Tはトラクタを示し、本発明の作業機を装着するものであり、図1、図2、図3において、符号100は本発明に係る隆起型心土作溝土層改良作業機全体(以下、作業機と略称する)を示し、この作業機100は作業幅方向に沿って長い作業機フレーム10と、この作業機フレーム10の作業幅方向の中央位置に立設されているセンターマスト11、さらに、このセンターマスト11の両脇にあってセンターマストとは逆に下方に伸びるロアアーム12を備えていて、前記センターマスト11はトラクタのもつアッパリンクUの一端を取付け、また、前記ロアアーム12の先端部は斜め下方に延びていて、トラクタのもつロアリンクLのヒッチピン12Aが取付けられる。
前記センターマスト11の先端部13Bには、ボルト13AによりトラクタのもつアッパリンクUをヒッチするためのヒッチ座13が枢着されていて、このヒッチ座13は前記ボルト13Aを中心とした回転を止めるボルト孔をもち、前記センターマスト11の先端部13Bに穿ってあるボルト孔13X、13Yの何れかを選択して先端部13Bに対するヒッチ座13の姿勢を固定できるようになっている。
これはアッパリンクUのヒッチ点を選択するためであって、作業条件や、作業機の圃場間移動の場合に使用される。
そして、前記作業機フレーム10には、これから説明する掘削体20を取付けるための取付け座アーム15が取付けられており、この取付け座アーム15は前記作業機フレーム10に対して締着されているフランジ16から延びている。このフランジ16は作業機フレーム10の外周のうち半周を囲む形状で「く」型をしたもので、このフランジ16に対して前記取付け座アーム15が作業進行方向の後方に向かって延びた板状のもので形成されている。このフランジ16に対して作業機フレーム10の残る半周分を囲む「く」型のフランジ16が宛がわれ、その上下両端部をボルト17が貫き、これらを締着することで作業機フレーム10に対して取付けられている。
この取付け座アーム15はセンターマスト11を中心として、その左右位置において後方に延び、作業幅方向の左右に一つづつ設けてあり、言い換えると、2本の掘削体20を装備することができるようになっていて、いわゆる2本爪装備の作業機になっている。
前記取付け座アーム15の端部が取付け座15Aになっており上下に穿ったボルト孔15Bにボルトを通してビーム21の上端部21Uを取付け得るようになっている。
図4以下に示すように、このビーム21はその上端部21Uの前縁21M(作業進行方向の前側の縁)は側面視上直線状であり、この前縁21Mに連続して中間部21Cと作業進行方向に突出した下端部21Sとの間を結んで弧を描いた曲線状になっている。その下端部21Sにはベッド22Aを介してチゼル22が取付けられて、掘削作業時に先頭位置となって掘削作業を行うようになっている。
さらに、このビーム21には前記上端部21U、中間部21Cの前縁に沿った形状の弧を描いた掘削面部23Xを形成した心土掘削板23が取付けられる。この掘削面部23Xは平面の他側面視上曲面を描いた形状のものが用いられる。
また、心土掘削板23の下端部は前記チゼル22と連続した面をもち、チゼル22が掘削したれき土を含んでチゼルより浅い位置での心土をさらに掘削して、これらを上昇させることができるようになっている。
この心土掘削板23はチゼル22とともに作業幅方向の幅(厚さ)寸法が前記ビーム21より大きく定められている。
この心土掘削板23の裏側には適当な間隔で取付けられている一対の取付け板片23A、23Aが複数組あり、これらの取付け板片23Aがビーム21を両側面側から挟む状態におかれてビーム21にボルトにより取付けられている。
この心土掘削板23は金属板単体、あるいは金属板にプラスチックス板を層状に重ねて固定したものなどが用いられる。
さらに、心土掘削板23はビーム21の上端部21U近くまでせり上がっておらず、ビーム21の中間位置まで延びた形状になっており、心土掘削板23の上端部23Uは心土中において作業ができるようになっている。これに接近してビーム21には掘削心土分割爪板24が起立した状態で取付けられている。
この掘削心土分割爪板24の前縁24Mは略直立状態であって、前縁24Mの下端部24Sは前記心土掘削板23の上端部に接近した位置にあって、その前縁24Mは心土掘削板23の掘削面23X(作業面、進行方向前面)と若干の隙間はあるが、これと連続した状態になっている。
また、掘削心土分割爪板24はその背面において突出した一対の取付けアーム24A、24Bを介してビーム21を両側から挟む状態になって取付けられ、このようにして掘削体20が構成される。
この掘削心土分割爪板24は下部の取付けアーム24Aのもつ取付けボルト24Xを中心として、取付けアーム24Bがビーム21に対して弧を描いて移動することができるように長いものになっている。
この取付けアーム24Bにはビーム21に対してボルト固定するためのボルト孔24Yが複数個穿たれていて、それらのボルト孔24Yの何れか一つを選択することで掘削心土分割爪板24の姿勢を定めることができるようになっている。
また、この掘削心土分割爪板24における下部の取付けアーム24Aのもつ取付けボルト24Xと、取付けアーム24Bとの関係は図10、図11、図12に示すように、下部の取付けアーム24A、上部の取付けアーム24Bにそれぞれボルト孔24Z、ボルト孔24Yを穿ち、これに取付けボルト24Xを通して掘削心土分割爪板24をビーム21に対して取付ける。
これらの図において斜線を施してあるボルト孔は取付けボルト24Xが通された状態を示していて、図10のように下部の取付けアーム24Aの取付けボルト24Xを中心に掘削心土分割爪板24を回転させて前縁24Mの姿勢を略垂直状態に整え、固定ボルト24Wにより掘削心土分割爪板24をビーム21に対して固定した例を示している。
図11は回転支点が図10とは逆に、上部のボルト24Xとしたものが示してある。
また、図10、図11に示す掘削心土分割爪板24は天地を反転してビーム21に取り付けることができ、局部的摩耗により掘削心土分割爪板24の機能が低下した場合にその摩耗部分を避けて使用することができる。
これらの図において、ビーム21にも前記取付けボルト24X、固定ボルト24Wに対応した図示を省略したボルト孔が穿たれている。
とくに、図12に示す実施態様では、上部の取付けアーム24Bにはボルト孔がなく、下部の取付けアーム24Aにおいて2本のボルトを用いて取付け姿勢を保持するようにしたものである。この場合、上部の取付けアーム24Bはビーム21の両側にあって、姿勢を変化させるとき、上部の取付けアーム24Bがビーム21の両側面に沿って移動しての掘削心土分割爪板24のガイド機能をもっている。
また、前記掘削心土分割爪板24の前縁24Mは直線状だけに限定されず、進行方向の前側に膨らんだ曲線上の縁、言い換えると、円弧状の縁、あるいは、中間部を前側に屈曲させた、「く」型の形成であってもよく、前縁24Mが膨らんでいる形状では摩耗の著しい箇所を予め膨らませて形成した磨耗代としても利用することができる。
この掘削心土分割爪板24の前縁24Mは作業機100を構成した状態で、作業進行中の姿勢では略垂直な状態に定めることが一般的で、これについて説明をしたが、掘削心土が隆起されることで作業進行方向に対して横方向に横たわる茎葉Znをその進行方向の左右両側に分割して切り分ける機能をもっている。
したがって、圃場表面に存在する茎葉などの残渣物Znの姿勢は、その隆起部Rの形成により残渣物の一端部が持上げられ、他端部は圃場表面に接触した状態におかれて移動するには抵抗が大きく、言い換えると、残渣物Znは断面視上隆起部Rを中心として「ハ」に近い姿勢におかれて、位置としての変化はなく、圃場表面を被い、圃場表面を覆う機能を維持していて、圃場表面に当たる太陽光を遮り雑草の繁茂を防いでいる。
この掘削心土分割爪板24の姿勢は茎葉などの残渣物Znの種類、量によって選定されるもので、例えば、量が多ければ、上端部が前方に傾いた前傾姿勢が選ばれ、量が少なければ後傾姿勢が選ばれる。
この詳しい作業の状態は、図8、図9に示すように、圃場表面には、収穫後のサトウキビの主茎葉が除かれた小さい茎、葉などの残渣物Znが散在しているととともに、株からは新しい芽Sが伸び、この状態の圃場においてサトウキビ畦間を中耕する場合では、掘削体20を構成するチゼル22、心土掘削板23はそれぞれ、作土層より深い心土層の位置、作土層の中間位置になるように作業機の姿勢を整え、このとき、掘削心土分割爪板24はその中心位置が、一般的な圃場の場合、作土層中に中心が位置していて、半分から上端寄りの部分は作土層から表面に露出していて、心土掘削板により掘削された心土が上昇して(水分が多い場合には羊羹状、水分が少ない場合には日干し煉瓦状の)掘削心土が掘削心土分割爪板で左右に切り裂かれて上昇することにより形成される隆起部Rには残渣物Znの一端部Znuが載せられて、その端部Znuが浮き上がった状態にさせられて、残渣物の浮き上がり端部Znuの重量を軽くして隆起部Rに載せられている残渣物の端部を抵抗少なく移動させながら隆起部Rを左右方向に分割して移動できる。
また、図8、図9に圃場内部を断面図として示すように、作業機100がトラクタの移動に伴いチゼル22、心土掘削板23が移動することで、心土層内部では、少なくとも、掘削された心土が上昇し、圃場表面に隆起部Rを形成する。この隆起部Rに相当する体積分だけは心土層内が粗となり、ひび割れによる膨軟部や、作溝空間が形成される。
さらに、この隆起部Rに端部が載せられている残渣物Znはその端部Znuが浮き上がり状態にさせられて軽くなり、他端部Znsが圃場表面に接触していて重い状態となって、軽い端部は移動するが、作業機の移動によって重い端部Znsは移動させられることがないので、残渣物Znによる圃場表面を被う日除け機能を低下させることがない。
さらに詳しくは、心土掘削板23の上端部は心土層、あるいは作土層の内部にあって、圃場表面に露出していないので掘削された心土のれき土を放擲することはなく、隆起部を形成するに止まり、れき土を飛散させることがない。
したがって、中耕作業により新芽のサトウキビの芽S上にれき土が被せられる、新芽が折損させることはない。
そして、掘削心土分割爪板24により形成された隆起部Rを左右方向に切り分け移動するとともに、圃場表面に敷き詰められたような状態のサトウキビ茎葉などの残渣物Znを切り分けながら移動するが、サトウキビの茎葉などの残渣物Znを位置的に移動させる機能はなく、残渣物に姿勢に変化を与えるだけであるので、残渣物Znが日除け機能を失うことはない。
したがって、図7において説明図として示すように、中耕作業を施した後においても圃場全体としては、残渣物に対する大きな移動はなく、その表面はサトウキビの茎葉などの残渣物Znより覆われ、遮光状態を維持している。
これらの図において、作業に先立ち作業機の姿勢を整える必要があることは従来と同様であり、この場合、チゼル22が心土層の深い位置に存在するようにトラクタTと、作業機100の装着の高さを決める。
このとき理想的には、掘削体20を構成する心土掘削板23の上端部が心土層の上層部、言い換えると、作土層の深い位置にあることであるが、実際の圃場では作土層の深さが場所により異なることや、また、心土層の深さも異なるので図示状態とは違った状態になることがある。
本発明の作業機の実施形態を示す前からの斜面図である。 同じく、作業機の実施形態を示す後からの斜面図である。 同じく、作業機をトラクタに装着した状態の斜視図である。 本発明作業機に用いる掘削体の斜面図である。 本発明作業機に用いる掘削体の側面図である。 本発明作業機に用いる掘削体の正面図である。 本発明作業機による作業を施す圃場表面と残渣物を示す説明図である。 同じく、作業状態を示す圃場内部の側断面図である。 同じく、作業状態を示す圃場内部の正面断面図である。 掘削心土分割爪板の一例を示す部分側面図である。 掘削心土分割爪板の他の一例を示す部分側面図である。 掘削心土分割爪板のさらに他の一例を示す部分側面図である。 従来作業機(放擲型心土作溝土層改良機)における作業状態を示す圃場内部の説明的正面断面図である。
符号の説明
100 作業機
10 作業機フレーム
11 センターマスト
12 ロアアーム
12A ヒッチピン
13 ヒッチ座
13A ボルト
13B 先端部
13X ボルト孔
13Y ボルト孔
15 取付け座アーム
15A 取付け座
16 フランジ
17 ボルト
20 掘削体
21 ビーム
21U 上端部
21C 中間部
21S 下端部
22 チゼル
22A ベッド
23 心土掘削板
23A 取付け板片
23U 上端部
23S 下端部
23X 掘削面部
24 掘削心土分割爪板
24A 下部取付けアーム
24B 上部取付けアーム
24M 前縁
Zn 残渣物
Znu 浮き上がった端部
Zns 圃場表面に接触したままの端部

Claims (3)

  1. 作業機を構成する作業機フレームにビームを取付けて構成した隆起型心土作溝土層改良作業機において、
    前記ビームには下端部から順にチゼル、心土掘削板及び掘削心土分割爪板を備え、
    前記心土掘削板は前記ビームの前縁幅より幅広で、かつビームに対して作業姿勢において心土層位置にあるように取付けられており、
    前記掘削心土分割爪板は前記心土掘削板により掘削されて上昇した掘削心土を分割可能であり、かつ茎葉を作業進行方向の左右両側に分割して切り分け可能な機能を有するように作業進行方向に前縁を向けて設けられた1枚の平板を備え、
    前記掘削心土分割爪板は、その背面の上下において突出した上部の取付けアームと下部の取付けアームを介してビームに両側から挟む状態で取付けられる構造となっており、
    該取付けられる構造は、下部の取付けアームは、心土掘削板の上端部近くにおいてビームに枢着され、上部の取付けアームにはボルト孔が複数個穿たれており、下部の取付けアームが枢着された部分を中心に回動して、上部の取付けアームの前記複数のボルト孔の1つを選択してビームに固定することにより、進行方向に対する掘削心土分割爪板の前縁の起立角度を調整自在として、該前縁が、垂直状態に整えられるとともに、前傾姿勢又は後傾姿勢にも選べることが可能な構成であることを特徴とする隆起型心土作溝土層改良作業機。
  2. 掘削心土分割爪板の前縁は、その長さ方向に沿って直線状である構成にしたことを特徴とする請求項1に記載の隆起型心土作溝土層改良作業機。
  3. 掘削心土分割爪板は、上部の取付けアームと下部の取付けアームとを、天地反転してビームに対して取付けすることができるように構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の隆起型心土作溝土層改良作業機。
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