関連出願に対する相互参照
本出願は、2002年2月1に出願した米国仮出願第60/353,162号、および1999年7月20日に出願した米国出願番号第09/357,188号(これは1998年7月21日出願した米国出願番号第09/119666号の一部継続出願である)の一部継続出願である2000年6月2日に出願した米国出願番号第09/586147号に対する優先権を主張し、これらは、本明細書による開示と矛盾しない範囲で参照として本明細書に組み入れられる。
発明の背景
背景
西ナイルウイルス、HIV、肝炎、およびその他のウイルス、並びに細菌などの感染性の微生物による全血または血液製剤の汚染は、全血の輸血または以下のものなどの種々の血液製剤もしくは血液成分の投与を受けなければならないものにとって深刻な健康上の害が存在する:血小板、赤血球、血漿、第VIII因子、プラスミノーゲン、フィブロネクチン、抗トロンビンIII、クリオプレシピテート、ヒト血漿タンパク質分画、アルブミン、免疫血清グロブリン、プロトロンビン複合体、血漿成長ホルモン、および血液から単離されるその他の成分。血液スクリーニングの手順では、病原性の汚染を逃してしまうかもしれず、細胞の血液成分にダメージを与えずに、全ての感染性ウイルスおよびその他の微生物を効率的に不活化する滅菌手順は、これまで利用できなかった。加えて、血液バンクの設定における使いやすさを含む多くの理由のために、異なる液体中、たとえば別々の血液成分の微生物を不活化するために同じ化学を使用するシステムが望まれている。この種のシステムは、これまで利用できなかった。また、不活化処理が血液バンクの設定において容易に実行され、短期間で不活化を行うことが要求されている。
マラリアは、プラスモジウム(Plasmodium)属の寄生原虫よって引き起こされる感染症である。ヒトでマラリアを引き起こす種は、熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum)(最も悪性)、三日熱マラリア原虫(P. vivax)、四日熱マラリア原虫(P. malariae)、および卵形マラリア原虫(P. ovale)である(Mims, CAら、 Medical Microbiology 1993 ; London: Mosby: 30.8-30. 9)。プラスモジウムの寄生虫は、雌のアノフェレス蚊によって広がり、感染を種々の霊長類および非免疫ヒト宿主に伝染する(Boyd RF. Clinical parasitology. In Basic Medical Microbiology, 1995; Boston: Little, Brown and Company:513-514)。提供された血液は、マラリアの感染について試験されていないが、輸血によるマラリアの伝染を完全に防止する手段はない(Shulman I. Transmission of parasitic infections by blood transfusion. In Principles of transfusion medicine, eds. EC. Rossi, TL. Simon, GL. Moss, SA. Gould, 1996; Baltimore: Williams and Wilkins : 733-8)。米国では、輸血で伝染されるマラリアのリスクは、マラリア流行地に旅行した給血者を除外することによって制限されている。これにより、70,000ドナー/年に据え置かれている(Nahlen BLら、マラリア領域への米国の旅行者に対する給血者選択基準の再評価、Transfusion. 1991; 31: 798-804)。マラリア感染の高有病率の国では、ドナーの据え置きは、任意選択であってはならない。血中マラリア寄生生物を不活化するための方法は、通常のスクリーニング法では除去されないドナーからの輸液伝染のリスクを緩和するであろうし、軍隊がマラリア流行地に配置されているドナーを使用することができであろう。また、このような方法は、ドナー群の大部分が寄生生物に曝露されている国において輸血で伝染されるマラリアのリスクを減少するであろう。
西ナイルウイルスは、最近米国に入り、西ナイル脳炎、西ナイル髄膜炎、および西ナイル髄膜脳炎を含む種々の疾病を引き起こす。西ナイルウイルスは、蚊および鳥類を介して伝染される。西ナイルウイルスは、感染した個体からの血液製剤の輸血を介して伝染されることが知られている
(<、http://www.cdc.gov/ncidod/dvbid/westnile/qa/transfusion.htm>)。現在、血液は、西ナイルウイルスについて試験されておらず、西ナイルウイルスに感染したと考えらるドナーの排除は、輸血を介した西ナイルウイルスの伝播を防止するために使用される唯一の方法である。しかし、西ナイルウイルスに感染する大部分の人々は症状を示さず、提供プロセスから除外されていない可能性があり、したがって、輸血を介してウイルスを伝染する。
血液を除染するための既報告のいくつかの方法がある。血液成分の汚染除去の溶媒洗浄剤方法は、HIVなどのウイルスを囲んでいるリン脂質膜を溶解することよって作用し、血液のタンパク質成分に損害を与えない;しかし、血液細胞が存在する場合、このような方法は、細胞膜に損傷を与えるので、使用することができない。
血液成分の滅菌のために、定義された波長の光を吸収し、吸収エネルギーをエネルギー受容器に伝達する化合物である光増感剤の使用が提唱されていた。たとえば、1986年10月8日に発表された欧州特許出願公開第196,515号は、ポルフィリン、ソラレン、アクリジン、トルイジン、(塩酸アクリフラビン:acriflavine hydrochloride)、フェノチアジン誘導体、並びにニュートラルレッドおよびメチレンブルーなどの色素などの非内因性の光増感剤の血液添加剤としての使用を示唆する。体内で天然に存在するプロトポルフィリンは、代謝されて光増感剤を形成することができるが;しかし、これは、タンパク質の所望の生物活性を分解させるという点で、その有用性は制限される。また、クロロプロマジンは、このような光増感剤として例示されるが;しかし、これは、鎮静効果を有するので、汚染除去手順後に患者に投与されたいずれの液体からも除去されるべきであるという事実よってその有用性は制限される。
Goodrich, R. P.ら、(1997)、「The Design and Development of Selective, Photoactivated Drugs for Sterilization of Blood Products」、Drugs of the Future 22: 159-171は、ソラレンを含むいくつかの光増感剤および血液製剤の汚染除去のために光増感剤の選択の際に重要ないくつかの問題の総説を提供する。DNAの光分解ためのテキサフィリンの使用が、1997年3月4日に発行されたMagdaらに対する米国特許第5,607,924号および1998年2月3日に発行された第5,714,328号に記載されている。ウイルス不活性化のためのサフィリン(sapphyrins)の使用が、Matthewsらに対して1991年8月20日に発行された米国特許第5,041,078に記載されている。フェンチアジン(Phenthiazin)-5-イウム色素プラス光による血液および血液成分中の細胞外外膜ウィルスの不活化が、Wagnerに対する1996年8月13日に発行された米国特許第5,545,51号に記載されている。液体などの体組織からウイルスおよび原生動物などの感染性の汚染菌を根絶するための、ポルフィリン、ヘマトポルフィリン、およびメロシアニン(merocyanine)色素の感光性を与える薬剤としての使用は、1990年4月10日に発行された米国特許第4,915,683号に記載されており、Sieberらに対する1994年4月19日に発行された米国特許第5,304,113号に関連する。このような光増感剤の作用機序は、脂質二重層中の、たとえば外膜ウィルスおよび一部のウイルス感染細胞のドメインに対する優先的な結合が関与するものとして記載されている。膜に結合した薬剤分子の光励起により、一重項酸素などの活性酸素種の形成が引き起こされ、脂質過酸化が生じる。このような光増感剤の使用の問題点は、これらが赤血球などの、除染される液体の望ましい成分の細胞膜を攻撃し、また一重項酸素が、処理される液体の所望のタンパク質成分を攻撃するということである。Wiesehahn, G.P.らに対する1988年2月23日に発行された米国特許第4,727,027号は、血液および血液製剤の汚染除去のためのソラレンおよび誘導体を含むフロクマリンの使用を開示するが、工程では、生物学的に活性なタンパク質の変性を阻害するために溶存酸素およびその他の反応種の利用能を減少させなければならないことを教示する。
ハロゲン化されたクマリンを使用するウイルスおよび細菌の血液汚染の光不活化は、Parkらに対する1996年5月14日に発行された米国特許第5,516,629号、Goodrich Jr. , R. P.らに対する1996年12月24日に発行された米国特許第5,587,490号、およびPlatzに対する米国特許第5,418,130号に記載されており、ウイルスおよび細菌の血液汚染菌の不活化のための置換されたソラレンの使用を開示する。また、後者の特許は、その他の血液成分に対するフリーラジカル損傷を制御する必要性を教示する。Wollowitzらに対する1997年8月5日に発行された米国特許第5,654,443号は、血液の光汚染除去のために使用される新たなソラレン組成物を教示する。Linらに対する1998年1月20日に発行された米国特許第5,709,991号は、血小板標品の光汚染除去のためのソラレンの使用およびその後のソラレンの除去を教示する。また、Horowitzらに対する1992年6月9日に発行された米国特許第5,120,649号および1993年8月3日に発行された関連した米国特許第5,232,844号は、脂質膜を攻撃する光増感剤と組み合わせて「不活化剤」の使用の必要を開示しており、またChapmanらに対する1994年11月1日に発行された米国特許第5,360,734号でも、その他の血液成分の損傷の予防の問題に対処している。
核酸を攻撃する光増感剤は、当該技術分野において既知である。Platzらに対する1994年8月30日に発行された米国特許第5,342,752号は、赤血球、血小板、および血漿タンパク質分画を含む血中物質の寄生中汚染を減少させるためのアクリジン色素に基づく化合物の使用を開示する。これらの物質は、非常に低い毒性であるが、たとえば赤血球に対していくらかの毒性を有する。この特許では、フロースルーに基づいた血液を除染するための装置を開示することができない。Goodrich, Jr.らに対する米国特許第5,798,238号は、ウイルスのおよび細菌の汚染の不活化のためのキノロンおよびキノロン系の化合物の使用を開示する。
Edelsonに対する1986年9月16日に発行された米国特許第4,612,007号および1987年8月4日に発行された関連した米国特許第4,683,889号の中で教示されるように、光活動性薬剤とDNAとの結合を、血中のリンパ性集団を減少するためのプロセスで利用した。
リボフラビン(7,8-ジメチル-10-リビチルイソアロキサジン)は、核酸を攻撃することが報告された。リボフラビンの存在下における核酸の光変化(Photoalteration)は、Tsugita, Aら、(1965), Photosensitized inactivation of ribonucleic acids in the presence of riboflavin, Biochimica et Biophysica Acta 103: 360-363;およびSpeck, W. Tら、 (1976), Further Observations on the Photooxidation of DNA in the Presence of Riboflavin, Biochimica et Biophysica Acta 435: 39-44に記載されている。DNAに対するルミフラビン(7,8,10-トリメチルイソアロキサジン)の結合は、Kuratomi, K.ら、(1977), Studies on the Interactions between DNA and Flavins, Biochimica et Biophysica Acta 476: 207-217に記載されている。Hoffmann, M. E.ら、(1979), DNA Strand Breaks in Mammalian Cells Exposed to Light in the Presence of Riboflavin and Tryptophan, Photochemistry and Photobiology 29: 299-303には、可視蛍光光(visible fluorescent light)または近紫外光(near-ultraviolet light)に対して暴露した後に哺乳類細胞のDNAの破壊を誘導するための、リボフラビンおよびトリプトファンの使用を記載する。該論文は、リボフラビンまたはトリプトファンのいずれかを培地から取り除いた場合に、これらの効果が起こらなかったことを述べる。プロフラビンおよび光に対する暴露によるDNA鎖の切断は、Piette, J.ら、(1979), Production of Breaks in Single-and Double-Stranded Formsof Bacteriophage ΦX174 DNA by Proflavine and Light Treatment, Photochemistry and Photobiology 30: 369-378で報告されており、プロフラビンを媒介したDNAの光増感の間のグアニン残基の変化は、Piette, J.ら、(1981), Alteration of Guanine Residues during Proflavine Mediated Photosensitization of DNA, Photochemistry and Photobiology 33: 325-333で議論されている。
J. Cadetら、(1983), Mechanisms and Products of Photosensitized Degradation of Nucleic Acids and Related Model Compounds, Israel J. Chem. 23: 420-429では、ローズベンガル、メチレンブルー、チオニン、およびその他の色素の一重項酸素の産生による作用機序を、一重項酸素の産生に関与しない機構(これにより、フラビンまたはプテロン誘導体による核酸攻撃が進行する)と比較して論議している。リボフラビンは、この開示の中で、核酸を分解させる能力を有するものとして例示されている。また、Korycka-Dahl, M.ら、(1980), Photodegradation of DNA with Fluorescent Light in the Presence of Riboflavin, and Photoprotection by Flavin Triplet-State Quenchers, Biochimica et Biophysica Acta 610: 229-234では、活性酸素種がリボフラビンよるDNA切断作用に直接関与しないことを開示する。Peak, J. G. ら、(1984), DNA Breakage Caused by 334-nm Ultraviolet Light is Enhanced by Naturally Occurring Nucleic Acid Components and Nucleotide Coenzymes, Photochemistry and Photobiology 39: 713-716では、リボフラビンおよびその他の光増感剤の作用機序をさらに探査する。しかし、このような光増感剤が医学的液体の汚染除去のために使用されるという示唆はなされていない。
熱帯熱マラリア原虫のインビトロ培養へのリボフラビンの添加により、無性の寄生生物の増殖を阻害すること(Akompong, T.ら、In Vitro Activity of Riboflavin against the Human Malaria ParasitePlasmodium falciparum., Antimicrob Agents Chemother, January 2000; 44: 88-96)および配偶子母細胞を死滅させること(Akompong, T.ら、Gametocytocidal Activity and Synergistic Interactions of Riboflavin with Standard Antimalarial Drugs against Growth of Plasrnodium falciparum In Vitro. Antimicrob Agents Chemother, November 2000; 44: 3107-3111)が報告されている。リボフラビンは、抗マラリア剤と組み合わせて、無性段階の培養物に添加したときに、薬物活性を増強することが報告されている(Akompong, T.ら、Gametocytocidal Activity and Synergistic Interactions of Riboflavin with Standard Antimalarial Drugs against Growth of Plasmodiumfalciparum In Vitro. Antimicrob Agents Chemother, November 2000; 44: 3107-3111)。以前の研究(Das BSら、 Riboflavin deficiency and severity of malaria, Eur J Clin Nutr, 1988 Apr; 42: 277-83; Dutta P. Enhanced uptake and metabolism of riboflavin in erythrocytes infected with Plasmodiumfalciparum. JProtozool 1991 Sep-Oct ; 38: 479-83)において、リボフラビンの欠乏は
、寄生生物に有害であることが見出されている。マラリア感染を有するかもしれない血液および血液成分を処理するための光増感剤としてのリボフラビンの使用は、報告されていない。
血液の汚染除去のための装置は、Wolfe, Jr.らに対する1994年3月1日に発行された米国特許第5,290,221号およびBischofに対する1996年7月16日に発行された米国特許第5,536,238に記載されていた。米国特許第5,290,221号は、比較的狭い、弓状の間隙中での液体の照射を開示する。米国特許第5,536,238号は、濾過培地に延長している光ファイバを利用する装置を開示する。両特許は、光増感剤として細胞壁に親和性を有するベンゾポルホリン(benzoporphryin)誘導体を推薦する。
Wolfe, Jr.らに対する1996年6月18日に発行された米国特許第5,527,704号は、光増感剤としてメチレンブルーを使用する、容器中の液体に含まれるウイルスを不活化するための装置について論議する。液体は、照射の間に容器内で静止状態で維持される。Wolfe, Jr.らに対する1999年2月9に発行された米国特許第5,868,695号は、光活動性の物質を含む血液が、処理チャンバの中の狭い間隙の曲がりくねりなどの予め定められた流路に向けられているシステムを開示する。PCT国際公開第96/06647号は、ダイオードの過熱を防止するために使用した液体によって囲まれた発光ダイオードのアレイ中で産物を照射することを開示する。リボフラビンおよび紫外光は、血漿および血小板産物中のウイルスおよび細菌を不活化する(Samar, Rら、Poster, Viral Inactivation in Plasma Using Riboflavin-Based Technology. AABB54th Annual Meeting. November 2001; Goodrich RP. The use of riboflavin for the inactivation of pathogens in blood products. Vox Sang. 2000; 78 (suppl 2): 211-15)。リボフラビンおよび可視光は、血小板中で(Goodrich, L,ら、Poster. Riboflavin Pathogen Inactivation Process Yields Good Platelet Cell Quality and Expedient Viral Kill. ASH43rd Annual Meeting. December 2001)、および赤血球懸濁液中で(McAteer MJら、Poster: Photo-inactivation of virus in packed red blood cell units using riboflavin and visible light. AABB53rd Annual Meeting. November 2000)示されたウイルスの不活化を提供する。
細胞の血液成分にダメージを与えないが、感染性のウイルス並びにその他の微生物および汚染菌を効率的に不活化する滅菌法は、米国特許第6,258,577号、第6,277,337号、第6,268,120号、およびPCT公開国際公開第01/28599号、国際公開00/04930号に開示されている。光増感剤を含む貯蔵溶液は、米国特許出願公開第09/725426号および米国特許出願公開第09/596429号に開示されている。
西ナイルウイルスおよびマラリア、並びに血液製剤中で検出されないその他の微生物の不活化法の要求がある。
本明細書において参照された全ての参照、刊行物、特許、および特許出願は、本明細書の開示と不一致とならない範囲内で参照として本明細書に援用される。
発明の概要
液体を、その中にまたはその上に存在するであろう少なくともいくつかの微生物を不活化するために処理するための方法および装置であって、前記液体は、タンパク質(たとえば、治療的タンパク質などの生物学的に活性なタンパク質)、血液、血液成分からなる群より選択される1つまたは複数の成分を含む方法および装置が提供される。そのような方法は、内因性の光増感剤または内因性のものに基づいた誘導体光増感剤の、不活化に有効な、実質的に無毒な量を前記液体と混合することと;および、光増感剤を活性化するために十分な波長およびエネルギーの光放射に前記液体を曝露することとを含み、これにより前記微生物は、不活化される。1つの特定の態様において、寄生生物またはウイルスの少なくとも1つのタイプが不活化される。もう一つの特定の態様において、少なくとも1つのタイプの、スクリーニングされない微生物が不活化される。もう一つの特定の態様において、ウイルスおよび寄生生物は、同じプロセスで不活化される(すなわち、両方とも同じ液体中に存在するときに)。
また、液体中に存在するであろう微生物を、内因性のまたは内因性のものに基づいた誘導体の光増感剤で不活化するための装置であって:
(a)内因性のまたは内因性のものに基づいた誘導体の光増感剤を活性化するために適した波長および強度の光を放射する光の供与源;
(b)前記液体および内因性のまたは内因性のものに基づいた誘導体の光増感剤の有効な量を、十分な時間光路中に維持して、所望の不活化レベルを達成するための手段、
を含む装置を提供する。
前記液体および内因性のまたは内因性のものに基づいた誘導体の光増感剤の有効な量を光路中に維持するための手段は、前記光の供与源と実質的に平行な支持体表面;キュベットまたはバッグ;または、当該技術分野において既知の他の手段を含んでもよい。
また、液体を、その中に存在するであろう微生物を不活化するために、内因性のまたは内因性のものに基づいた誘導体の光増感剤で処理するためのシステムであって:前記液体を含む容器、内因性のまたは内因性のものに基づいた誘導体の光増感剤の少なくとも有効な量、および任意に1つまたは複数の添加剤を含み、前記容器は、その中の液体を光増感剤を活性化するのに十分な光放射の量に暴露するために十分な光透過性の表面を有し;前記容器と光連絡された少なくとも1つの光放射源であって、前記供与源は、内因性のまたは内因性のものに基づいた誘導体の光増感剤のために適した波長および強度を発生することができ、これにより存在する微生物は不活化されるシステムを提供する。
微生物を含む液体中のこのような微生物を不活化するためのフロースルーシステムを含む、その他のシステム、方法、および装置であって:
(a)内因性の光増感剤または内因性のものに基づいた誘導体の光増感剤の有効な量を前記液体と混合するための手段と;
(b)光増感剤を添加するために前記手段と流体連通された、前記液体のための光透過性の容器と;
(c)前記容器を通る前記液体に前記選択された流速を生じさせるための手段と;および、
(d)光増感剤を活性化するように選択されたタイプおよび量の前記容器内の液体に、十分な光放射を提供するための少なくとも1つの光放射源と、
を含むシステム、方法、および装置が提供される。
また、液体を、その中に存在するであろう微生物を不活化するために処理するための独立型またはバッチ式のシステムであって:
(a)粉末形態の光増感剤と;
(b)前記液体および光増感剤を含むための光透過性の容器と;
(c)前記容器を撹拌するための手段と;
(d)前記容器と光連絡された少なくとも1つの光放射源であって、前記供与源は、光増感剤を活性化するように選択されたタイプおよび量の前記容器内の液体に、十分な光放射を提供することができる光放射源と、
を含み、これにより、存在する微生物は、不活化されるシステムが提供される。
光透過性の容器は、透明なプラスチックバッグ、強固な壁を有する透明なプラスチック容器、または当該技術分野において既知のその他の容器であってもよい。撹拌は、振盪台または当該技術分野において既知の撹拌するためのその他の手段よって提供してもよい。
また、液体を、その中に存在するであろう微生物を減少したレベルにして収集するための方法であって、前記液体は、血液および血液成分からなる群の1つまたは複数のメンバーを含み:
(a)光透過性の容器内に前記液体を配置することと;
(b)内因性のまたは内因性のものに基づいた誘導体の光活動性の物質を添加することと;
(c)前記血液または血液成分中に存在するであろう微生物を不活化するために十分な波長および強度の放射に前記液体を曝露することと、
を含む方法を提供する。
また、液体を、その中に存在するであろう微生物を減少したレベルにして収集するための装置であって、前記液体は、血液および血液成分からなる群の1つまたは複数のメンバーを含み:
(a)内因性のまたは内因性のものに基づいた誘導体の光活動性の物質を含む光透過性の容器;
(b)前記液体中に存在するであろう微生物を不活化するために適した波長および強度の光を放射する光源、
を含む装置を提供する。
光増感剤は、光で活性化される化合物であって、その光分解性産物が(あるとしても)ヒトまたは動物に対して毒性が低いか、または毒性がない化合物であってもよい。最も好ましい光増感剤は、7,8-ジメチル-10-リビチルイソアロキサジンである。その他の好ましい光増感剤は、内因性のアロキサジンまたはイソアロキサジン光増感剤である。光増感剤は、好ましくは有毒な光分解性の分解産物を産生しない、核酸を標的とした無毒の光活性化される化合物である。好ましい光増感剤は、ポルフィリンではない。
光放射は、可視スペクトル、紫外スペクトルの光、または可視および紫外スペクトルの両方の光を含んでいてもよい。任意の適切な光の波長を、所望のレベルの微生物の不活化を生じる任意の比率およびエネルギーで使用してもよい。本明細書において使用されるものとして、波長は、必ずしも1つの分離した波長を意味するというわけではない。波長は、1つの波長を中心とした±約100nmの範囲を含んでいてもよい。好ましくは、紫外線が使用される場合、紫外線の量は、所望の液体成分に対するダメージを最小化するレベルに保たれる。一般に、これは、送達される総光エネルギーを基準として50%以下の紫外線光を使用することによって提供される。また、光の波長は、1つのピーク波長(すなわち、1つの波長を中心とした±10nmの範囲)を中心としてもよい。
本明細書に記載された光増感剤を活性化するために十分であるが、生物学的な成分に対して非特異的なダメージを引き起こすか、または液体中に存在するその他のタンパク質の生物活性を実質的に妨げるであろうよりも少ないな光放射の量を使用して、光増感剤を含む液体を、光増感剤を活性化するために適切な波長の光放射に曝露される。使用される波長は、選択される光増感剤および液体の組成物に依存し、これは、当該技術分野において既知であるか、または本明細書に開示された教示に従って過度の実験なしに容易に決定できる。非特異的なダメージは、全ての成分にダメージを与えるダメージである。
紫外および可視スペクトルの両者の光放射は、同時に、または経時的に供給してもよく、好ましくは可視部分が最初に供給される。光放射源は、単純なランプであってもよく、または異なる波長で放射する多数のランプから成っていてもよい。光放射源は、光増感剤を活性化するために十分な光の量を送達することができるべきであり、好ましくは約1〜少なくとも約200J/cm2、最も好ましくは約7J/cm2である。威力の全ての値および範囲は、本明細書に含まれる。
本明細書で使用するものとして、微生物の不活化の用語は、微生物を死滅させること、またはさもなければこれが再生する能力を妨げることのいずれかにより、微生物が複製することを完全にまたは部分的に防止することを意味する。
微生物は、ウイルス(細胞外および細胞内の両方)、細菌、バクテリオファージ、真菌、マラリアなどの血液で伝染する寄生生物、および原生動物を含む。典型的なウイルスは、後天性免疫不全(HIV)ウイルス、A型、B型、およびC型肝炎ウイルス、sinbisウイルス、サイトメガロウイルス、小胞性口内炎ウィルス、単純ヘルペスウイルス、たとえばタイプIおよびIIのもの、ヒトTリンパ球向性のレトロウイルス、HTLV-III、リンパ腺症ウイルスLAV/IDAV、パルボウイルス、輸液で伝染される(TT)ウイルス、エプスタイン・バー・ウイルス、西ナイルウイルス、および当該技術において既知のその他のものを含む。バクテリオファージは、ΦXI74、Φ6、λ、R17、T4、およびT2を含む。典型的な細菌は、緑膿菌、S.アウレウス(S.aureus)、S.エピダーミス(S.epidermis)、L.モノサイトジェネス(L.monocytogenes)、大腸菌(E.coli)、K.ニューモニア(K.pneumonia)、およびS.マルセセンス(S.maRcescens)を含む。微生物の1つの特定のクラスは、スクリーニングされない微生物であり−現在の血液バンクのプロセスよってスクリーニングされない微生物である。いくつかのスクリーニングされない微生物は、マラリアおよび西ナイルウイルスを含む。微生物の1つのクラスは、マラリアおよび西ナイルウイルスを含む、蚊によって伝染するものを含む。
本発明の方法よって処理されてもよい物質は、微生物不活化を達成するために十分な光を提供するために光放射に適切に透過性であるか、または光放射に対してこのような透過性を有する液体中に懸濁すること、もしは溶解することができる任意の物質を含む。このような物質の例は、全血および血液または血液成分に由来する生物学的に活性なタンパク質を含む水性組成物である。濃縮赤血球、血小板および血漿(新鮮なまたは新鮮な冷凍血漿)は、このような血液成分の典型である。加えて、医学的な障害の治療に有用な生物学的に活性なタンパク質を含む液体、たとえば第VIII因子、フォンウィルブランド因子、第IX因子、第X因子、第XI因子、ハーゲマン因子、プロトロンビン、抗トロンビンIII、フィブロネクチン、プラスミノーゲン、血漿タンパク分画、免疫血清グロブリン、修飾された免疫グロブリン、アルブミン、血漿成長ホルモン、ソマトメジン、プラスミノーゲン・ストレプトキナーゼ複合体、セルロプラスミン、トランスフェリン、ハプトグロビン、アンチトリプシン、およびプレカリクレインなどの、血液に由来するタンパク質を含む治療的なタンパク質成分を、本発明の汚染除去方法によって処理してもよい。前記液体中の生物学的に活性なタンパク質の活性は、前記曝露工程後における生物学的な活性レベルである。前記液体中に存在する治療的なタンパク質は、曝露工程後に治療的な機能を遂行することが可能なままである。
生物学的に活性の用語は、生体またはこれらの成分に変化を生じることができることを意味する。生物学的に活性なタンパク質に関して生物学的に活性とは、本明細書において言及する場合、不活化された微生物の一部であるタンパク質をいわない。同様に、光増感剤に関して無毒とは、ヒトおよびその他の哺乳類にとって低い毒性であるか、または無毒であることを意味し、不活化された微生物に対して無毒であることを意味しない。生物活性の実質的な滅失は、ポルフィリンおよびポルフィリン誘導体、生物学的に活性なタンパク質およびヒトおよび哺乳類の細胞に対して損傷効果を有することが知られている代謝産物および前駆体によって引き起こされるものと少なくとも同等の破壊を意味する。同様に、実質的に無毒とは、血液を滅菌することが既知である、ポルフィリン、ポルフィリン誘導体、代謝産物、および前駆体よりも低い毒性であることを意味する。
本明細書に使用されるものとして、血液製剤の用語は、上記記載の通りの血液に由来するタンパク質を含む血液成分および治療的なタンパク質成分を含む。また、血液に由来するもの以外の生物学的に活性なタンパク質を含む液体を本発明の方法によって処理してもよい。
内因性の光増感剤および内因性のものに基づいた誘導体光増感剤を使用する本発明の汚染除去方法は、実質的に微生物以外の液体成分の生物活性を破壊しない。特定の例において、本方法を最適化されるときには、生物活性の一部の損失、たとえばタンパク質成分の変性を、液体の有効な汚染除去に対して比較しなければならないが、これらの成分の同程度の生物活性は、できる限り保持される。液体成分が、これらの企図されるまたは天然の目的のために有用とされるのに十分な生物活性を保持する限り、これらの生物活性は、実質的に破壊されているとはみなされない。
光増感剤は、微生物を不活化するために有用であることが既知である。光増感剤は、1つまたは複数の定義された波長で放射を吸収し、その後に吸収エネルギーを化学プロセスを行うために利用する任意の化合物として定義される。このような光増感剤の例は、ポルフィリン、ソラレン、ニュートラルレッド、メチレンブルー、アクリジン、トルイジン、フラビン(塩酸アクリフラビン:acriflavine hydrochloride)、およびフェノチアジン誘導体などの色素、クマリン、キノロン、キノン、およびアントロキノンを含む。本発明の光増感剤は、核酸に対して優先して吸着する化合物を含んでもよく、したがってこれらが、付随する細胞またはタンパク質に対してほとんど効果を有さずに、微生物およびウイルスに対する光力学的効果があることに注目する。一重項酸素に依存的な機構を使用するものなどの、その他のタイプの光増感剤も本発明に有用である。内因性の光増感剤は、最も好ましい。内因性の、の用語は、体による合成、または必須食料(たとえばビタミン)としての摂取もしくはインビボでの代謝産物および/または副産物の形成の結果として、ヒトまたは哺乳類の体内で天然に見出されることを意味する。このような内因性の光増感剤の例は、7,8-ジメチル-10-リビチルイソアロキサジン(リボフラビン)、7,8,10-トリメチルイソアロキサジン(ルミフラビン)、7,8-ジメチルアロキサジン(ルミクロム)、イソアロキサジン-アデニンジヌクレオチド(フラビンアデニンジヌクレオチド[FAD])、アロキサジンモノヌクレオチド(別名フラビンモノヌクレオチド[FMN]およびリボフラビン-5-ホスフェート)などのアロキサジン誘導体、ビタミンK類、ビタミンL、これらの代謝産物および前駆体、ナフトキノン(napththoquinones)、ナフタレン、ナフトール、並びに平面の分子高次構造を有するこれらの誘導体である。「アロキサジン」の用語は、イソアロキサジンを含む。内因性のものに基づいた誘導体光増感剤は、合成に由来する内因性の光増感剤の類似体および相同体を含み、これは、これらが由来する光増感剤の低級(1〜5)アルキルまたはハロゲン置換を有してもよく、またその機能および実質的な無毒性を維持していてもよい。内因性のまたは内因性のものに基づいた誘導体光増感剤が使用されるときに、特にこのような光増感剤が本質的に有毒でないか、または光放射後に有毒な光産物を生成しないときは、汚染除去後に除去または精製の工程が必要とされず、処理した製剤を、直接患者の体に戻し、または任意のさらなるプロセシングを必要とせずにその治療的な効果を必要とする患者に投与することができる。
米国特許第6,268,120号に記載されているものなどの内因性の構造に基づいた非内因性の光増感剤も有用であり、かつ含まれる。これらの非内因性の光増感剤および内因性のものに基づいた誘導体光増感剤は、本明細書において、内因性のものに基づいた光増感剤(photosentizers)という。
好ましい光増感剤(本明細書において、光活性化剤ともいう)は、米国特許第6,268,120号および米国特許出願公開第09/777727号(これらの両方とも、本明細書と不一致でない範囲で参照として本明細書に援用される)に記載したように、内因性のアロキサジン誘導体、KビタミンおよびビタミンL、特に7,8-ジメチル-10-リビチルイソアロキサジン(リボフラビン)である7,8-ジメチルアロキサジン、7,8,10-トリメチルイソアロキサジン、アロキサジンモノヌクレオチド、イソアロキサジン-アデノシンジヌクレオチド、並びにイソアロキサジン誘導体および類似体である。特に、内因性のものに基づいた誘導体光増感剤およびイソアロキサジン誘導体光増感剤は、同義であり、以下の構造を有する化合物を意味する:
式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、およびR
6は、互いに独立して、水素、任意に置換されたヒドロカルビル、アルコール、アミン、ポリアミン、サルフェート、ホスフェート、塩素、臭素およびヨウ素からなる群より選択されるハロゲン、前記のものの塩、並びにNR
a-(CR
bR
c)
n-Xから選択され、式中Xは、塩素、臭素およびヨウ素からなる群より選択されるハロゲンであり、R
a、R
b、およびR
cは、互いに独立して、水素、任意に置換されたヒドロカルビル、並びに塩素、臭素およびヨウ素からなる群より選択されるハロゲンからなる群より選択され、並びにnは0〜20の整数である。
好ましい内因性のものに基づいた誘導体光増感剤は、以下の構造を有する化合物であり:
R
1は、-OHではないか、または直鎖アルキル基であって、前記鎖の第二炭素は、-OHまたは=Oで置換され直鎖アルキル基であり;並びに、R
1、R
4、およびR
5は、R
2、R
3、およびR
6が全て水素であるときに、全てメチル基ではないことを条件とする。特に、例示された内因性のものに基づいた誘導体光増感剤のクラスは、R
2、R
3、およびR
6がHで、かつR
4でおよびR
5はCH
3であるときに、R
1は、-OH-COHまたは-Hで終結する2-、3-、4-、または5-炭素の直鎖アルキルではなく;R
2、R
3およびR
6がHで、かつR
4およびR
5がCH
3であるときに、R
1は、-CH
2CH
2-(CHOH)2-CH
3またはCH
2CH
2-(CHOH)2-CH
2SO4または1'-D-ソルビチルまたは1'-D-ダルシチル(dulcityl)または1'-D-ラムニチル(rhamnityl)または1'-D,L-グリセリルまたは-CH
2-O-C(O)-CH
3または-CH
2-O-C(O)-CH
2CH
3または2',3',4',5'-ジ-O-イソプロピリデン-リボフラビンまたは8-アミノオクチルではなく;R
4およびR
5が両方とも塩素類であり、かつR
2、R
3、およびR
6が全て水素であるときに、R
1は、1'-D-ソルビチルまたは1'-D-ダルシチル(dulcityl)ではなく;R
1およびR
4がメチルであり、かつR
2、R
3、およびR
6が全て水素であるときに、R
5はエチルまたはクロロではなく;R
1がメチルであり、かつR
2、R
3、およびR
6が全て水素であるときに、R
4およびR
5は、両方ともメトキシまたは両方ともシクロブタンではなく;R
1、R
4およびR
5がCH
3で、かつR
3およびR
6がHであるときに、R
2は、-CH
2CH
2NHではなく;R
1、R
4およびR
5がCH
3であり、かつR
3およびR
6がHであるときに、R
2は、
ではなく;R
4がメトキシで、かつR
1がエチル-2'N-ピロリジノであり、かつR
2、R
3、およびR
6が水素であるときに、R
5はクロロではなく;R
5がクロロまたはメチルであり、かつR
2、R
3、R
4、およびR
6が水素であるときに、R
1はN,N-ジメチルアミノプロピルまたはN,N-ジエチルアミノエチルではなく;R
6が-NH
2であり、かつR
1、R
2、R
4、およびR
5がHであるときに、R
3は、-NH(CH
2CH
2)Clではなく;R
2、R
3、およびR
6の全てが水素であるときに、R
1、R
4、R
5は全てメチル基ではなく;R
3、R
4、R
5、およびR
6がHであるときに、R
1およびR
2は、両方ともメチル基ではなく;、R
3およびR
6が水素であるときに、R
1、R
4、R
5、およびR
2は、全てメチル基ではなく;R
1、R
4およびR
5がメチルであり、かつR
3およびR
6が水素であるときに、R
2はカルボキシメチルではなく;R
1およびR
5がメチルで、かつR
2、R
3、およびR
6が全て水素であるときに、R
4はNH
2ではなく;R
4およびR
5がメチルであり、かつR
2、R
3、およびR
6が全てHであるときに、R
1はフェニル基でなく;R
2、R
3、R
4、R
5、およびR
6の全てが水素であるときに、R
1は、メチルまたはN,N-ジメチルアミノエチルでなく;R
1がアセトキシエチルであり、かつR
3およびR
6が水素であるときに、R
2、R
4、R
5は、全てメチルではなく;R
1がN,N-ジエチルアミノエチルであり、かつR
2、R
3、R
4、およびR
6が全て水素であるときに、R
5はメチルではなく;R
1がメチルであり、かつR
2、R
3、およびR
6が全て水素であるときに、R
4およびR
5は両方とも塩素ではなく;R
5がNH
2であり、かつR
2、R
3、R
4、およびR
6が、全て水素であるときに、R
1は、エチル、β-クロロエチル、
nBブチル、アニリノ、ベンジル、フェニル、p-トリル、またはp-アニシルではなく;並びに、;R
1がN,N-ジメチルアミノプロピルであり、かつR
2、R
3、R
5、およびR
6が全て水素であときに、R
4は塩素ではない。
化合物の1つの群において、nは0〜5の間の整数である。化合物のもう一つの群において、nは0〜10の整数である。化合物のもう一つの群において、nは0〜20の整数である。
上記特定したマーカッシュの群の置換基またはメンバーの任意の組み合わせを含む化合物も、本発明の範囲内である。本発明の全ての化合物は、微生物を中和する能力を有する。本発明の化合物の全ての置換基は、同じものであってもよく、全ての置換基は異なっていてもよく、または置換基の任意の組み合わせは、同じであってもよく、もしくは異なっていてもよい。指定された機能を有する置換基、たとえば水溶性を化合物に与えるものが、R
1-6に含まれてもよい。本発明の化合物は、イソアロキサジンバックボーン(以下に示した)を有する全てのこれらの化合物を含む:
式中、R
1-R
6は、当該技術分野において以前に知られたものを除いて、他の場所で記載されたとおりの、種々の置換基で置換される。本発明の化合物に含まれ、方法に使用される置換基は、微生物中和剤の所望の微生物中和を実質的に妨げるであろう構造または反応性を有していない任意の置換基であってもよく、これは当業者によって過度の実験を伴わずに容易に決定されるであろう。
本発明は、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、およびR
6の1つまたは複数が、CH
3またはHのいずれでもない化合物のクラス;および、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、およびR
6の1つがCH
3またはHのいずれでもない化合物のクラスを提供する。また、本発明は、R
1-R
6の1つまたは複数がCH
3またはHである化合物のクラスを提供する。これらのクラスの化合物の特定の態様は、実質的に微生物中和剤に水溶性を与える、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、またはR
6が、CH
3でまたはHではないものを含む。これらの化合物の好ましい例は:
式中、Rは、アスコルベート、アルコール、多価アルコール;アミンまたはポリアミン、直鎖または環状の糖類、サルフェート、ホスフェート、任意にいずれかの位置が-OHで置換されたアルキル鎖、ポリエチレングリコールを含むグリコール、およびポリエーテルを含む(しかし、これらに限定されない)水溶性を分子に与える置換基である。
本発明の化合物のもう一つのクラスは、R1、R2、R3、R4、R5、またはR6がHもしくはCH3ではなく、ハロゲンを含むか、またはハロゲンであるものであって、該ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素からなる群より選択されるものを含む。このクラスの化合物の特定の態様は、R1、R2、R3、R4、R5、またはR6がHまたはCH3ではなく:-NRa-(CRbRc)n-Xであって、Xは、塩素、臭素、およびヨウ素からなる群より選択されるハロゲンであるか、または水溶性の基であり、Ra、Rb、およびRcは、互いに独立して、水素および任意に置換されたヒドロカルビルからなる群より選択され、並びにnは0〜20の整数である化合物を含む。
このクラスの化合物の好ましい例は:
式中、Wは、アスコルベート、アルコール、多価アルコール;アミンまたはポリアミン、直鎖または環状の糖類、サルフェート、ホスフェート、任意にいずれかの位置が-OHで置換されたアルキル鎖、ポリエチレングリコールを含むグリコール、およびポリエーテルを含む(しかし、これらに限定されない)水溶性を分子に与える置換基である。
化合物のもう一つの特定の態様は、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、またはR
6がHもしくはCH
3ではなく、ハロゲンを含むか、またはR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、またはR
6がHまたはCH
3ではなく:X-(CH
2)
n-であって、Xは、塩素、臭素、およびヨウ素からなる群より選択されるハロゲンであり、かつnは0〜6の整数である化合物を含むハロゲンである。このクラスの化合物の好ましい例は:
を含む。
本発明の化合物のその他のクラスは、R1が、CH2-(CH2OH)3-CH2OHであるもの、およびR1が、CH2-(CH2OH)3-CH2OHではないものを含む。また、R3およびR6がHである化合物も、本発明に含まれる。
カルボニル化合物は、カルボニル基(-C=O)を含む任意の化合物である。「アミン」の用語は、一級、二級、または三級アミン基をいう。「ポリアミン」は、複数のアミン基を含む基である。「サルフェート」基は、硫酸の塩である。サルフェート基は、基(SO4)2-を含む。「ホスフェート」は、基PO4 3-を含む。「グリコール」は、化合物の分子につき2つのアルコール基を有する基である。「グリコール」は、別名ジオールである。グリコールは、式:CNH2n(OH)2(式中nは、整数である)によって記載される。「アルデヒド」は、式-(C=O)-Hを含む基である。「ケトン」は、式R-(C=O)-R(式中、Rは、水素でない)を有する基である。ケトンのR基は、同じである必要はない。カルボン酸は、式:-COOHを含む基である。エーテルは、-O-を含む基である。塩は、酸の水素原子が金属原子またはNH4 +などの陽性ラジカルによって置換された基である。
アスコルベートは、以下の式を有する基を含む:
「ヒドロカルビル」の用語は、本明細書において、一般に水素および任意にその他のエレメントが付着された炭素鎖で構成される有機基をいうために使用される。ヒドロカルビルのCH
2またはCH基および炭素鎖のC原子は、1つまたは複数のヘテロ原子(すなわち、非炭素原子)によって置換されていてもよい。適切なヘテロ原子は、O、S、P、およびN原子を含むが、こられに限定されない。ヒドロカルビルの用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、エーテル、ポリエーテル、チオエーテル、直鎖または環状の糖類、アスコルベート、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、チオアルキル、アリール、および複素環式アリール基、任意に置換されたイソアロキサジン分子、アミノ酸、多価アルコール、グリコール、飽和および不飽和の結合の混合物を有する基、環状炭素、およびこのような基の組み合わせを含むが、これらに限定されない。また、本用語は、直鎖、分岐鎖、および環状構造、またはこれらの組み合わせを含む。ヒドロカルビル基は、任意に置換される。ヒドロカルビル置換は、ヘテロ原子を含む部分よる、該基の中の1つまたは複数の炭素の置換を含む。ヒドロカルビル基のための適切な置換基は、塩素、フッ素、臭素、およびヨウ素を含むハロゲン、OH、SH、NH
2、COH、CO
2H、OR
a、SR
a、NR
aR
b,CONR
aR
bであって、式中R
aおよびR
bは、独立してアルキル基、不飽和のアルキル基、またはアリール基である基を含むが、これらに限定されない。
「アルキル」の用語は、当該技術分野においてその通常の意味をとり、直鎖、分枝鎖のシクロアルキル基を含むことが企図される。本用語は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、2-メチルブチル、1-メチルブチル、1-エチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、3,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、2-エチルブチル、1-エチルブチル、1,3-ジメチルブチル、n-ヘプチル、5-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、1-メチルヘキシル、3-エチルペンチル、2-エチルペンチル、1-エチルペンチル、4,4-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルペンチル、1,1-ジメチルペンチル、n-オクチル、6-メチルヘプチル、5-メチルヘプチル、4-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、2-メチルヘプチル、1-メチルヘプチル、1-エチルヘキシル、1-プロピルペンチル、3-エチルヘキシル、5,5-ジメチルヘキシル、4,4-ジメチルヘキシル、2,2-ジエチルブチル、3,3-ジエチルブチル、および1-メチル-1-プロピルブチルを含むが、これらに限定されはない。アルキル基は、任意に置換される。低級アルキル基は、C1-C6アルキルであり、とりわけメチル、エチル、n-プロピル、およびイソプロピル基を含む。
「シクロアルキル」の用語は、炭化水素環を有するアルキル基、特に3〜7個の炭素原子の環を有するものをいう。シクロアルキル基は、環にアルキル基置換を有するものを含む。シクロアルキル基は、直鎖および分枝鎖の部分を含むことができる。シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、およびシクロノニルを含むが、これらに限定されない。シクロアルキル基は、任意に置換することができる。
アリール基は、1つ、2つ、またはそれ以上の、低級アルキル、たとえばメチル、エチル、ブチル;ハロ、たとえばクロロ、ブロム;ニトロ;スルファト;スルホニルオキシ;カルボキシ;カルボ低級アルコキシ、たとえばカルボメトキシ、カルボエトキシル;アミノ;モノ-およびジ-低級アルキルアミノ、たとえばメチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ;アミド;ヒドロキシ;低級アルコキシ、たとえばメトキシ、エトキシ;並びに、低級アルカノイルオキシたとえばアセトキシを含む(しかし、これらに限定されない)単純な置換基で置換してもよい。
「不飽和アルキル」の用語は、本明細書において、一般に1つまたは複数の炭素-炭素単結合が、炭素-炭素二重または三重結合に変換されたアルキル基を含むために使用される。本用語は、これらの最も一般的な意味でアルケニルおよびアルキニル基を含む。本用語は、複数の二重もしくは三重結合、または二重および三重結合の組み合わせを有する基を含むことが企図される。不飽和アルキル基は、不飽和の直鎖、分枝、またはシクロアルキル基を含むが、これらに限定されない。不飽和アルキル基は、以下のものを含むが、限定されない:ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘキサジエニル、ヘプテニル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル,シクロヘキサジエニル、1-プロペニル、2-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、エチニル、プロパルギル、3-メチル-1-ペンチニル、および2-へプチニル。不飽和アルキル基は、任意に置換することができる。
アルキル、シクロアルキル、および不飽和アルキル基の置換は、ヘテロ原子を含む部分よる該基の中の1つまたは複数の炭素の置換を含む。これらの基に適した置換基は、OH、SH、NH2、CH、CO2H、ORc、SRc、P、PO、NRcRd、CONRcRd、およびハロゲン、特に塩素および臭素であって、式中RcおよびRdは、独立して、アルキル基、不飽和アルキル基、またはアリール基であるものを含むが、これらに限定されない。好ましいアルキル基および不飽和アルキル基は、低級アルキル基、アルケニル基、または1〜約3炭素原子を有するアルキニル基である。
「アリール」の用語は、本明細書において、共役π電子系を有する少なくとも1つの環を有する芳香族基をいうために一般に使用され、炭素環式アリール基、アラルキル基、複素環式アリール基、ビアリール基、および複素環式ビアリールを含むが、これらに限定されず、これら全ては任意に置換することができる。好ましいアリール基は、1または2つの芳香環を有する。
「炭素環式アリール」は、芳香環原子が全て炭素であるアリール基にをいい、フェニル基、ビフェニル基、およびナフタレン基を含むが、これらに限定されない。
「アラルキル」は、アリール基で置換されたアルキル基をいう。適切なアラルキル基は、その中にベンジル、フェネチルおよびピコリルを含み、任意に置換されてもよい。アラルキル基は、複素環式および炭素環式の芳香族部分を有するものを含む。
「複素環式アリール基」は、環の中に1〜3個のヘテロ原子を有し、残りが炭素原子である少なくとも1つの複素環式芳香環を有する基をいう。適切なヘテロ原子は、酸素、イオウ、および窒素を含むが限定されない。複素環式アリール基は、とりわけフラニル、チエニル、ピリジル、ピロリル、N-アルキル・ピロロ、ピリミジル、ピラジニル、イミダゾリル,ベンゾフラニル、キノリニル、およびインドリルを含むが、これらに限定されず、これら全ては任意に置換される。
「複素環式ビアリール」は、複素環式アリールであって、その中のフェニル基が、デカリンまたはシクロヘキサンに対するフェニル環の付着点に対してオルト、メタ、またはパラに、複素環式アリール基のよって置換された複素環式アリールをいう。複素環式ビアリールは、とりわけ複素環式芳香環で置換されたフェニル基を有する基を含む。複素環式ビアリール基の芳香環は、任意に置換することができる。
「ビアリール」は、炭素環式アリール基であって、その中のフェニル基が、デカリンまたはシクロヘキサンに対するフェニル環の付着点に対してオルト、メタ、またはパラに、炭素環式のアリール基によって置換された炭素環式アリール基をいう。ビアリール基は、とりわけ、デカリンまたはシクロヘキサン構造に対する第1のフェニル環の付着点に対してオルト、メタ、またはパラに、第2のフェニル環で置換された第1のフェニル基を含む。パラ置換が好ましい。ビアリール基の芳香環は、任意に置換することができる。
アリール基置換は、アリール基の芳香環の、1つもしくは複数の炭素または可能な場合には、1つまたは複数のヘテロ原子の、非アリール基(Hを除く)による置換を含む。非置換型アリールは、対照的に、芳香環の炭素が全てHで置換されたアリール基、たとえば非置換型フェニル(-C6H5)またはナフチル(-C10H7)をいう。適切なアリール基のための置換基は、とりわけアルキル基、不飽和アルキル基、ハロゲン、OH、SH、NH2、C.H.、CO2H、ORe、SRR、NReRf、CONReRfであって、式中ReおよびRfは、独立してアルキル、不飽和アルキル、またはアリール基であるものを含む。好ましい置換基は、OH、SH、ORe、およびSReであって、式中Reは、低級アルキル、すなわち1〜約3炭素原子を有するアルキル基であるものである。その他の好ましい置換基は、ハロゲン、より好ましくは、塩素または臭素、並びに低級アルキル基および1〜約3炭素原子を有する不飽和低級アルキル基である。置換基は、アリール基の芳香環の間に、-CO2-、-CO-、-O-、-S-、-P-、-NH-、-CH=CH-、および-(CH2)p-(式中pは、1〜約5の整数であり、特に-CH2-である)などの架橋基を含む。架橋置換基を有するアリール基の例は、安息香酸フェニルを含む。また、置換基は、-(CH2)p-、-O-(CH2)p-、または-OCO-(CH2)p-であって、式中、該部分に適したものとして、pは約2〜7の整数であるものなどの部分を含み、例えば1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン基と同様に、単一の芳香環の2つの環原子を架橋する。アルキル置およびアリール基の不飽和アルキル置換は、置換されたアルキルおよび不飽和アルキル基について以前に記載したように、順番に任意に置換することができる。
「アルコキシ基」および「チオアルコキシ基」(メルカプチド基、アルコキシ基のイオウ類似体としても知られる)の用語は、これらの一般に認められた意味を有する。アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、2-メチルブトキシ、1-メチルブトキシ、1-エチルプロポキシ、1,1-ジメチルプロポキシ、n-ヘキシルオキシ、1-メチルペンチルオキシ、2-メチルペンチルオキシ、3-メチルペンチルオキシ、4-メチルペンチルオキシ、3,3-ジメチルブトキシ、2,2-ジメトキシブトキシ、1-1-ジメチルブトキシ、2-エチルブトキシ、1-エチルブトキシ、1,3-ジメチルブトキシ、n-ペンチルオキシ、5-メチルヘキシルオキシ、4-メチルヘキシルオキシ、3-メチルヘキシルオキシ、2-メチルヘキシルオキシ、1-メチルヘキシルオキシ、3-エチルペンチルオキシ、2-エチルペンチルオキシ、1-エチルペンチルオキシ、4,4-ジメチルペンチルオキシ、3,3-ジメチルペンチルオキシ、2,2-ジメチルペンチルオキシ、1,1-ジメチルペンチルオキシ、n-オクチルオキシ、6-メチルヘプチルオキシ、5-メチルヘプチルオキシ、4-メチルヘプチルオキシ、3-メチルヘプチルオキシ、2-メチルヘプチルオキシ、1-メチルヘプチルオキシ、1-エチルヘキシルオキシ、1-プロピルペンチルオキシ、3-エチルヘキシルオキシ、5,5-ジメチルヘキシルオキシ、4,4-ジメチルヘキシルオキシ、2,2-ジエチルブトキシ、3,3-ジエチルブトキシ、1-メチル-1-プロピルブトキシ、エトキシメチル、n-プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、sec-ブトキシメチル、イソブトキシメチル、(1-エチルプロポキシ)メチル、(2-エチルブトキシ)メチル、(1-エチルブトキシ)メチル、(2-エチルペンチルオキシ)メチル、(3-エチルペンチルオキシ)メチル、2-メトキシエチル、1-メトキシエチル、2-エトキシエチル、3-メトキシプロピル、2-メトキシプロピル、1-メトキシプロピル、2-エトキシプロピル、3-(n-プロポキシ)プロピル、4-メトキシブチル、2-メトキシブチル、4-エトキシブチル、2-エトキシブチル、5-エトキシペンチル、および6-エトキシヘキシルを含むが、これらに限定されない。チオアルコキシ基は、前に特に一覧を示したアルコキシ基のイオウ類似体を含むが、これらに限定されない。
「任意の」または、「任意に」は、その後に記載されている事象または詳細が、起こってもよく、または起こらなくてもよいこと、および該記述は、前記事象または詳細が起こる場合、およびこれが起こらない場合を含むことを意味する。たとえば、「任意に置換されたフェニル」は、フェニルラジカルが置換されてもよく、または置換されなくてもよいこと、および該記述が、非置換型フェニルラジカルおよび置換がなされているフェニルラジカルを含むことを意味する。
「アミノ酸」は、本明細書に使用されるものとして、天然に存在し、商業的に入手可能なアミノ酸、および任意にこれらの光学異性体を含む。典型的な天然のおよび商業的に入手可能なアミノ酸は、グリシン、アラニン、セリン、ホモセリン、スレオニン、バリン、ノルバリン、ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、オルニチン、ヒスチジン、アルギニン、システイン、ホモシステイン、メチオニン、フェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、フェニルグリシン、o-、m-、およびp-チロシン、トリプトファン、グルタミン、アスパラギン、プロリン、並びにヒドロキシプロリンである。アミノ酸は、本明細書に使用されるものとして、アミノ酸残基およびアミノ酸側鎖を含む。アミノ酸残基は、アミノ酸基-NHCH(R)C(O)-であって、式中Rは、アミノ酸側鎖であるが、プロリンおよびヒドロキシプロリンのアミノ酸残基を除き、これらはそれぞれ-N(CH2-CH2-CH2)CHC(O)-および-NCH(CHOHCH2)CHC(O)-である。アミノ酸側鎖は、本明細書で定義されるものとして、α-アミノ酸のα-炭素に見出されるラジカルであって、該ラジカルは、水素(グリシンの側鎖)、メチル(アラニンの側鎖)のいずれか、またはメチレン(--CH2--)またはフェニル基によってα-炭素に結合したラジカルである。
被保護グルコース誘導体は、当該技術分野におけるその通常の意味をとり、いくつかのヒドロキシル基がアセテート基によって置換されているグルコース分子を含む。
直鎖または環状の糖類は、モノ-、ジ-、およびポリ-、直鎖、および環状の糖類であって、任意にアミノ基で置換され、任意にアセチル化されているものを含む。本発明に有用である直鎖糖類は、1つまたは複数の-OH基、およびアルデヒド基またはケトン基が付着された5または6炭素原子の鎖を有する分子を含むが、これらに限定されない。環状の糖類は、環形態の糖類である。二糖は、2つの単糖基が結合した化合物である。多糖体は、2つ以上の単糖基が結合されされた化合物である。とりわけ、本発明に有用な糖類の具体例は、グルコース、リボース、およびグルコサミンを含む。
イソアロキサジン、イソアロキサジン誘導体、またはイソアロキサジンのコア構造体は、以下の構造を含む化合物を含む:
式中、R
1-R
6は、他の場所に記載したように、種々の置換基で置換される。
本明細書で使用されるものとして、微生物の中和または中和することの用語は、微生物を死滅させること、またはそうでなければその再生能力を妨害することのいずれかにより、微生物が複製することを完全にまたは部分的に阻止することを意味する。中和剤は、微生物を中和することができる化合物である。上記記載の通り、本発明に有用な中和剤は、イソアロキサジンのコア構造を有する分子を含む。微生物中和剤を活性化するためには、微生物中和剤を、微生物を中和する方に活性にさせるトリガリングイベントにさらすことである。
トリガリングイベントは、微生物中和剤を活性化する刺激をいう。好ましいトリガリングイベントは、中和に有効な光の波長、または微生物を中和するための中和剤を活性化するために十分なpHに、中和剤を曝すことを含む。
水溶性の基は、中和剤の置換基として含まれるときは、化合物に対して実質的に水への溶解度を与える基を含む。一般的に、本化合物は、約10〜150μMの濃度で水に可溶性である。本発明で言及する水溶性の基は、アルコール;多価アルコール;直鎖または環状の糖類;アミンおよびポリアミン;硫酸基;リン酸基;アスコルベート基;任意に、任意の位置を-OHで置換されたアルキル鎖;ポリエチレングリコールおよびポリエーテルを含むグリコールを含むが、これらに限定されない。
光に暴露することによる中和剤の分解は、中和剤の新たな化合物への化学変化をいう。中和剤の分解の例は、可視光に対するリボフラビンの放射によるルミクロムの生成である。
「アルキル化剤」は、アミノ酸残基および核塩基と反応し、微生物の複製を阻害する化合物である。
「光活性化剤」および「光増感剤」の用語は、本明細書において同義的に使用される。
本明細書で使用されるものとして、「粉末」は、粉末またはピルを含む乾燥媒体を意味する。また、物質の乾燥媒体が本明細書に記載されているときには、該粉末の適切な溶媒の溶液または懸濁液の状態を使用してもよいことが企図され、その逆も同じである。
本発明の方法は、除染される物質と光増感剤を混合することが必要である。「添加すること」は、液体と光増感剤を混合することを含むことが企図される。混合は、単に除染される液体に光増感剤または光増感剤を含む溶液を添加することよってなされてもよい。1つの態様において、光増感剤が添加された除染される物質を、光放射源を通過して流し、物質の流れによって、除染される液体の全体にわたって光増感剤を分配するために十分な乱流を一般にもたらす。もう1つの態様において、液体および光増感剤を光透過性の容器内に配置して、バッチ様式で照射し、好ましくは、一方で完全に光増感剤が分散して、全ての液体を放射に曝露するように容器を撹拌する。
液体と混合される光増感剤の量は、微生物をその中で適切に不活化するために十分であるが、有毒な(ヒトまたはその他の哺乳類に対して)または不溶性の量よりも少ない量である。濃度が高すぎて、光増感剤が有用な強度で所望の深さに光を通すことを阻止しない限り、過剰な光増感剤を使用してもよい。本明細書において教示されるように、所望の光増感剤のための最適の濃度は、過度の実験をともなわずに当業者よって容易に決定されるであろう。好ましくは、光増感剤は、少なくとも約1マイクロモルの濃度で使用される。最適な光増感剤の濃度は、本明細書および参照により援用された参照中で論議されとおり、処理される血液体成分および血漿が除去されているかどうかに応じて変化すると考えられる。赤血球が処理される場合、血漿または血小板が処理されるよりも、より高濃度の光増感剤が要求される。赤血球がリボフラビンによって処理される場合、リボフラビンの有用な濃度は、約1〜500マイクロモル濃度であり、その中の全ての値および範囲を含み、1〜200マイクロモル濃度を含む。血漿内容物が、溶液の総容積の約0〜5%であるときに、リボフラビンの好ましい濃度は、約300〜500マイクロモル濃度である。血漿または血小板が処理される場合、リボフラビンの有用な濃度は、約1〜100マイクロモル濃度であり、リボフラビンの好ましい濃度は、約10〜50マイクロモル濃度であり、その中には全ての値および範囲を含み、血漿内容物が溶液の総容積の約10〜90%であるときに、10〜30マイクロモル濃度を含む。
活性化された光増感剤は、存在する微生物を、これらの複製を防止するために妨害することなどによって不活化することができる。光増感剤の作用の特異性は、微生物の核酸に対して光増感剤を近くに近接させることによって与えられ、これは核酸に対して光増感剤を結合させることによって生じてもよい。核酸は、リボ核酸(RNA)およびデオキシリボ核酸(DNA)を含む。その他の光増感剤は、細胞膜に結合することによって、またはその他の機構によって作用してもよい。また、光増感剤は、抗体、好ましくは微生物に対して特異的なモノクローナル抗体に共有結合でカップリングすることによって不活化される微生物をターゲットしてもよい。
光増感剤を含む液体は、照射のための光透過性の容器に流してもよい。容器の用語は、閉じたまたは開放性の空間をいい、これは、強固なまたは柔軟な材料でできていてもよく、たとえばバッグまたは箱またはくぼみであってもよい。容器は、上部が閉じていても、またはで開放性でもよく、その中で液体のフロー−スルーが可能なように、両端に開口部を有していてもよく、たとえばチューブまたは管であってもよい。フロー−スルーシステムに関して本発明の一実施例を例示するために、キュベットが使用されている。液体のバッチ式処理に関するもう一つの態様を例示するために、GAMBRO, Inc.,のTrima(登録商標)および/またはSpectra(商標)アフェレーシスシステムで使用されたものなどのコレクションバッグを使用した。
光透過性の用語は、処理容器の材料が光増感剤を活性化するための適当な波長の光放射に対して適切に透明であることを意味する。フロー−スルーシステムでは、容器は、適切に容器を透過して、光源からの全ての距離で光増感剤分子を接触させ、かつ除染される液体中の病原体の不活化を確実にするために十分な深さ(光放射源から放射の方向に測定される次元)と、光放射に対する十分な液体の暴露時間を保証するために十分な長さ(流動の方向の次元)を有する。このような容器を作成するための材料、並びに容器の深さおよび長さは、当業者よって容易に決定されるであろうし、容器を通る液体の流速、光放射の強度、および液体成分、たとえば血漿、血小板、赤血球の吸光率と共に、液体が光放射に曝露されるべき時間の量を決定する。
バッチ式処理に関するもう一つの態様において、撹拌されている光透過性の容器内に配置して、微生物を実質的に不活化するために十分な時間光放射に曝露してもよい。光透過性の容器は、好ましくは透明または半透明のプラスチックでできている血液バッグであり、撹拌する手段は、好ましくは振盪台である。光透過性の容器は、強固なプラスチック容器などの、その他のいかなる容器であってもよい。光増感剤は、粉末状のまたは液状の形態で容器に添加してもよく、光増感剤と液体を混ぜ合わせるために容器を撹拌し、微生物の不活化を確実にするために光放射に対して全ての液体を適切に曝露した。
光増感剤は、処理される液体とは別々に光透過性の容器に流してもよく、または光透過性の処理容器内に液体を配置する前に液体に添加してもよい。1つの態様において、光増感剤を抗凝固薬に添加して、光増感剤と抗凝固薬の混合物を液体に添加する。
処理後、血液または血液製剤を患者に送達しても、濃縮しても、または直接注入してもよい。
また、より効率的で、かつ選択的なプロセスを作成するために、液体にエンハンサを添加してもよい。このようなエンハンサは、所望の液体成分に対する損傷を防止するための、または微生物の不活化の割合を改善するための、抗酸化物またはその他の薬剤を含み、アデニン、ヒスチジン、シスチン、チロシン、トリプトファン、アスコルベート、N-アセチル-L-システイン、没食子酸プロピル、グルタチオン、メルカプトプロピオニルグリシン、ジチオスレオトール(dithiothreotol)、ニコチンアミド、BHT、BHA、リジン、セリン、メチオニン、グルコース、マンニトール、トロロクス、グリセリン、およびこれらの混合物によって例示される。これらのエンハンサは、粉末またはピル形態を含む乾燥媒体で、または液体の形態で添加されてもよい。
また、本発明は、生物学的に活性なタンパク質、血液または血液体成分を含み、更には内因性の光増感剤、内因性のものに基づいた誘導体光増感剤、または本明細書に記載された不活化方法よって作成されたこれらの光産物を含む液体を含む。また、液体は、不活化された微生物を含んでいてもよい。
本発明の汚染除去システムにおいて、光放射源は、供与源と液体のための容器の間の光の飛散を防止し、さらに重要なことに、容器内での液体の実質的な加熱を防止する、光チャネルまたは光ファイバチューブなどの光ガイドによって液体のための光透過性の容器に接続されていてもよい。光源に対する直接の放射では、特に光に曝露される液体の量が少ないときに、10〜15℃程度温度を上昇させるかもしれず、これによって血液体成分の変性が生じる得る。光ガイドの使用により、任意の加熱を約2℃より少なく保持する。また、本方法は、液体中の所望のタンパク質が傷害されない温度以下の温度に保持することが必要な場合、温度センサおよび冷却機構の使用を含んでいてもよい。冷却機構は、空気または液体の流れ、並びに当該技術分野に既知のその他の機構を含む。好ましくは、温度は、液体中の組成物に応じて、約0℃〜約45℃の間に、より好ましくは、約22℃〜約45℃の間に、好ましくは約30℃に保たれる。光の暴露による液体の加熱は、当該技術分野において既知であり、所望の液体の構成要素に対する損傷を防止するための条件は、過度の実験を伴わずに当該技術分野において既知であり、本明細書に引用した引例中にも記載されている。赤血球のための通常の操作温度領域は、32〜36℃であり、血小板および血漿については、30℃以下である。
除染される液体に光増感剤を添加するために、および当該技術分野において既知の光透過性の容器内に液体を配置するために、任意の手段を使用してもよく、このような手段は、典型的には流体導管、ポート、貯蔵所、無菌のドッキング、バルブなどを含む。本システムは、除染される液体への光増感剤の流入を制御するためのポンプまたは調節可能なバルブなどの手段を含んでいてもよく、その結果、本明細書に記載されているように、その濃度が有効なレベルで制御されるであろう。1つの態様において、光増感剤は、血液アフェレーシスシステムに送り込まれた抗凝固薬と混合される。糖残基を有する内因性の光増感剤および誘導体については、溶液のpHは、好ましくは、当該技術分野において既知のとおり、糖残基の脱離を防止するために十分に低くしておく。好ましくは、光増感剤は、除染される液体の前もって混合した水溶液に、たとえば水または貯蔵緩衝液に、添加される。
光増感剤および任意の所望の添加剤のいずれも、粉末またはピル形態を含む乾燥媒体として、または溶液として容器内に配置してもよい。成分が生物活性を保持すること、または貯蔵期間を改善することを助ける任意の添加剤を選択してもよい。これらの任意の添加物は、当該技術分野において既知である。所望の添加剤および光増感剤は、粉末として殺菌してもよい。1つの態様において、所望の粉末は、液体の導入前に容器内に配置される。
溶液中の血漿のレベルは、必要に応じて調整してもよい。光増感剤および任意の所望の添加剤が、1つまたは複数の溶液として容器内に配置される場合、溶液(類)の体積および組成は、溶液をさらに付加することなく、試料中に所望の割合の血漿を生成させてもよく、または血漿の割合は、前記容器内の前記液体を配置する間か後に調整してもよい。容器内に液体を配置した後の血漿の割合の調整は、液体を容器内に入れたあとに、適切な溶液を導入することによって行ってもよい。血漿の割合の調整は、液体が容器内に配置されるように、適切な溶液を導入することよって、容器内に液体の導入する間に行ってもよい。
フロースルーシステムのための光透過性の容器は、ポリカーボネート、ガラス、石英、ポリスチレン、塩化ビニル、ポリオレフィン、またはその他の透明物質でできている透明なキュベットであってもよい。キュベットは、反射する壁を有する放射チャンバの中に包埋されていてもよい。キュベット内で液体を接触させる光放射の量を増大するために、第2の光放射源または反射面などの光放射エンハンサをキュベットに隣接して配置してもよい。好ましくは、本システムは、上記の通りに、実質的な汚染除去を確実にするために、所望のレベルに液体の流速を調整するためのポンプを含む。キュベットは、それを通る流速によって調整されて、その中で液体を、その実質的な汚染除去を行うために十分な光放射に対して曝露するのに十分な長さを有する。
また、好ましくは、キュベットは、光ガイドにより、キュベット内の液体の加熱が起こらないほどの、および光が光源からキュベットまで透過するほどの、十分な距離で光源から離れて間隔を置いて配置する。
もう1つの態様において、液体は、血液バッグなどの光透過性の容器内に配置され、たとえば米国特許第5,653,887号に記載されたアフェレーシスシステムで使用され、および光放射に曝露する間に撹拌される。キュベット内で液体に接触する光放射の量を増大するために、第2の光放射源または反射面などの光放射エンハンサをキュベットに隣接して配置してもよい。適切なバッグは、本明細書に記載された収集バッグを含む。GAMBRO Inc.のCobe Spectra(商標)システムまたはTrima(商標)アフェレーシスシステムに使用される収集バッグは、特に適している。振盪台は、たとえば米国特許第4,880,788号に記載したように、当該技術分野において既知である。バッグは、その中に液体を添加するための少なくとも1つのポートまたは開口部を備えている。1つの態様において、光増感剤、好ましくは7,8-ジメチル-10-リビチル-イソアロキサジンは、粉末またはピル形態を含む乾燥媒体として液体の満たされたバッグに添加される。次いで、バッグを振盪台の上に配置して、実質的に全ての液体が光放射に曝露されるまで光放射下で撹拌した。あるいは、バッグは、その中に含まれる粉末状の光増感剤とともに予めパッケージしてもよい。次いで、除染する液体を適切なポートを介して添加してもよい。
上記の通りの汚染除去システムは、独立型のユニットとしてデザインされてもよく、または患者から収集し、もしくは患者に投与される血液を分離するまたは処理するための、当該技術分野に既知の既存の装置に容易に組み込んでもよい。たとえば、このような血液を操作する装置は、GAMBRO Inc. , Lakewood, CO,から入手可能なCobe Spectra(商業)またはGAMBRO TRIMA(商標)アフェレーシスシステム、またはGAMBRO Inc.の1997年9月5日に出願された米国特許第5,653、887および米国特許出願第08/924519号(PCT公開番号WO99/11305)に記載されている装置、並びにその他の製造業者のアフェレーシスシステムを含む。汚染除去システムは、患者へ血液製剤を挿入する直前に、または血液体成分の分離の前か後の任意の時点で、血液が患者またはドナーから収集されるれる点のすぐ下流に挿入してもよい。血漿のレベルは、必要に応じて液体が放射線に曝露される前のいかなる時点において調整してもよい。光増感剤は、好ましい態様において、抗凝固薬とともに血液体成分に添加され、血小板のため、血漿のため、および赤血球のために、別々の放射線源およびキュベットを収集点の下流に配置する。3つの別々の血液汚染除去システムの使用は、アフェレーシスシステムの血液分離容器の上流の単一の血液汚染除去システムに配置することが好ましい。別々の成分系統の流速を低下させることにより、放射を非常に容易にすることができる。その他の態様において、本発明の汚染除去システムは、すでに収集され、貯蔵された血液製剤をプロセスするために使用してもよい。
赤血球が処理される液体中に存在するときに、当業者であれば、セルによる光の生体吸収を代償するために、液体を薄くし、より長い期間高エネルギーの放射に曝露し、より長期間撹拌し、またはその他の血液体成分の用途に必要なものよりも浅い容器もしくは導管中で光放射に提示してもよい。
本明細書に開示された内因性の光増感剤および内因性のものに基づいた誘導体光増感剤は、既存の血液体成分の汚染除去システムにおいて、並びに本明細書に開示される汚染除去システムにおいて使用することができる。たとえば、本発明の内因性の光増感剤および内因性のものに基づいた誘導体光増感剤は、米国特許第5,290,221号、第5,536,238号、第5,290,221号、および第5,536,238号に記載されている汚染除去システムで使用することができる。
また、反射面などの光放射エンハンサは、本発明の任意の方法または装置において提供されてもよい。光は、光ガイドまたはその他の方法を使用して、光源の光路に液体を配置することを含む任意の所望の方法で液体に当たるように導かれてもよい、また、本発明の装置は、温度モニタ、温度調節器、前記容器内にまたは外に前記液体を流すための手段、前記容器内の前記液体を撹拌するための手段、および本システムの種々の側面を制御するためのその他の所望の成分を含んでいてもよい。温度調節器は、光源に向けられた、および液体に向けられたファンであっても、または両方であってもよい。1つまたは複数の温度調節器を、異なる成分を異なるレベルに冷却するために使用してもよい。
本発明の方法は、キット、たとえばウイルスまたは寄生生物(または、その他の微生物)が血液または血液成分中に存在するかどうかを決定するキットにおいて使用してもよい。たとえば、1つのキットは、本発明の方法よって不活化された血液または血液成分の試料を含む。この不活化された試料を不活化されていない試料と比較して、ウイルスまたは寄生生物(または、その他の微生物)が血液もしくは血液成分またはその他の試料中に存在するかどうかを決定する。
発明の詳細な説明
以下の出願は、本明細書の開示と不一致でない範囲で、参照として本明細書に援用される:2002年3月21日に出願された米国特許出願公開第10/104,766号;2002年9月18日に出願された米国特許出願公開第10/247,262号;2002年3月28日に出願された米国仮出願第60/368,778号;2002年5月30日に出願された米国特許出願公開第10/159,781号;2001年10月16日に出願された米国特許出願公開第09/982298号;2002年12月23日に出願された米国特許出願公開第10/328,717号;2002年9月13日に出願された米国特許出願公開第10/065073号;2001年9月25日に出願された米国特許出願公開第09/962029号;2002年2月1日にに出願された米国仮出願第60/353,223番;2002年2月8日に出願された米国仮出願第60/355,393号;2002年5月3日に出願された米国仮出願第60/377,697号;2002年12月20日に出願された米国特許出願公開第10/325,402号(弁護士訴訟事件一覧表番号B0109-US02);2002年2月1日に出願された米国仮出願第60/353,319号;2002年5月8日に出願された米国仮出願第60/379,328号;2002年4月26日に出願された米国仮出願第60/375,734号;2002年4月16日に出願された米国仮出願第60/373,198号;2002年4月19日に出願された米国仮出願第60/373,936号;2002年5月6日に出願された米国仮出願第60/378,374号;2002年4月24日に出願された米国仮出願第60/375,849号;2000年6月2日に出願された米国特許出願公開第09/586147号;2000年6月15日に出願された米国特許出願公開第09/596429号;2002年4月26日に出願された米国仮出願第60/375,670号;2002年7月12日に出願されたPCT特許出願第PCT/US02/21925号;2002年8月23日に出願された米国仮出願第60/319,488号;2002年10月22日に出願された米国仮出願第60/319,641号;1998年7月21日に出願された米国特許出願公開第09/119666号(米国特許6,258k577);1999年7月20日に出願された米国特許出願公開第09/357188号(米国特許6,277,337);1999年10月19日に出願された米国特許出願公開第09/420652号(米国特許6,268,120);2001年2月5日に出願された米国特許出願公開第09/777727号;2002年9月26日に出願された米国特許出願公開第10/256,852号;2000年11月28日に出願された米国特許出願公開第09/725426号。本発明は、本明細書の開示と不一致ではない、引用された出願および特許の全ての側面を含む。たとえば、本明細書の開示に特に例示されたもの以外の装置およびシステムは、引用された出願および特許に含まれるし、本明細書にも含まれる。
内因性の光増感剤および内因性のものに基づいた誘導体光増感剤を使用する本発明の汚染除去方法は、光増感剤として7,8-ジメチル-10-リビチルイソアロキサジンを使用して本明細書にされているが、光放射よって活性化されて、微生物の不活化を引き起こすことができる任意の光増感剤を使用してもよい。光増感剤は、実質的に除染されている液体の所望の成分を破壊せず、更に好ましくは、光放射の結果として、有意に所望の成分を破壊するか、または有意な毒性を有する産物に分解しないものでなければならない。本明細書に記載されているように、光増感剤が活性化される波長は、文献情報源または直接の測定を使用して決定される。また、除染される液体中の、またはキャリア液体と汚染されている液体の組み合わせのその溶解度もこのように決定される。また、活性化波長の光放射が、除染される液体を透過する能力は、本明細書に教示されてたとおりに、および当該技術分野において既知のとおりに決定される。光増感剤とその基質の反応に適した温度、並びに微生物不活性を最適化し、かつ液体中の所望のタンパク質および/または細胞成分に対する損傷を最小化する温度、光放射の強度および期間、および光増感剤濃度の範囲も決定される。
一旦、フロースルーシステムのためのこのようなシステムの要求が決定されると、本明細書に教示されているとおり、液体中に存在する微生物の不活化を引き起こすために、適切な流速、光透過性、血漿含量、光波長、および光強度を提供する装置を設計されてもよい。1つの態様において、液体中の微生物が不活化されるように、液体を光増感剤と混合し、次いで光増感剤を活性化するのに十分な量の光放射で照射して、液体中の微生物と反応される。液体中の微生物に達する光放射の量は、適切な光放射源、除染される液体からの光放射源の適切な距離を選択することよって制御され、これは、液体のための容器に直接の光放射を行うための光ガイド、液体のための容器に適した光透過性の物質、容器内へ完全に光放射を透過することができる適切な深さ、1つまたは複数のさらなる光放射源などの光放射エンハンサ(好ましくは第1のものから容器の反対側に)または容器内に放射源空の光を反射して戻すための反射鏡、容器内の液体の適切な流速、および存在する微生物の不活化のために十分な時間とすることができる適切な容器の長さの使用によって増大してもよい。また、至適温度で液体を保持するために、温度モニタおよび調節計が必要とされてもよい。
バッチシステムについては、光透過性であるか、または光増感剤を活性化するために、十分な放射線をその内容物に到達することができるように、少なくとも十分に光透過性であるバッグ内の光増感剤に沿って除染される液体を配置することが好ましい。不活化をもたらすために、十分な光増感剤がそれぞれのバッグに添加され、好ましくは実質的に全ての液体が放射に暴露されることを確実にするために、バッグを撹拌し、しばらくの間照射する。光増感剤は、粉末状の形態で添加してもよい。
本方法は、好ましくは、核酸複製を妨げることよって機能する内因性の光増感剤を含む内因性の光増感剤を使用する。7,8-ジメチル-10-リビチルイソアロキサジンは、この発明に使用される好ましい光増感剤である。7,8-ジメチル-10-リビチルイソアロキサジンと核酸の間で起こると考えられる化学は、一重項酸素依存的なプロセス(すなわち、タイプII機構)を経て進行するのではなく、むしろ直接的な増感剤−基質相互作用(タイプI機構)による。Cadetら、(1983) J. Chem. , 23: 420-429では、7,8-ジメチル-10-リビチルイソアロキサジンの効果が、明らかにグアノシン残基の非一重項酸素の酸化反応によることを示す。加えて、アデノシン塩基は、7,8-ジメチル-10-リビチルイソアロキサジンにプラスUV光の効果に対して感受性であると思われる。アデノシン残基は、一重項酸素依存的なプロセスに比較的非感受性であったので、これは重要である。7,8-ジメチル-10-リビチルイソアロキサジンは、UV光に対する暴露によって大量の一重項酸素を産生せずに、むしろ励起状態の増感剤種との電子伝達反応を介して基質(たとえば核酸)と直接的相互作用することによってその効果を及ぼすと思われる。細胞およびタンパク質に対する無差別の損傷は、主に一重項酸素源により生じるので、7,8-ジメチル-10-リビチルイソアロキサジンの作用におけるこの機構の経路は、有意なタイプII化学を有するソラレンなどの化合物の場合よりも、その作用においてより優れた選択性にすることができる。
7,8-ジメチル-10-リビチルイソアロキサジン(リボフラビンまたはビタミンB2)は、約200〜500 nmの光を吸収する。7,8-ジメチル-10-リビチルイソアロキサジンの環構造コアは、光分解に耐性であるが、リボフラビンのリビチル側鎖は、光分解を受ける。7,8-ジメチル-10-リビチルイソアロキサジンの光分解により、条件に応じてルミクロム(7,8-ジメチルアロキサジン)を形成するであろう。7,8ジメチルアロキサジンは、強力に紫外(UV)光を吸収し、弱く可視光を吸収するだけである。
7,8(ジメチルアロキサジン)
光に対する暴露による7,8-ジメチル-10-リビチルイソアロキサジンの分解の結果として、7,8-ジメチル-10-リビチルイソアロキサジンを使用する汚染除去手順では、可視光および紫外光の組み合わせが好ましい。紫外光は、可視光よりも光子あたりに高いエネルギーを有するので、また紫外光は、生物液体中の有用な化合物により、可視光よりも強く吸収されるので、可視光を単独で使用することができるときよりも、紫外線を可視光と組み合わせて使用するときに、汚染菌を含む液体中の有用成分により多くの損傷が起こる。
本発明の方法は、不活化剤または脱酸素剤などのエンハンサを使用する必要はないが、これらを、非特異的に細胞またはタンパク質を損害する化学の範囲を減少させること、または病原体不活化の割合を増強することによって本プロセスを増強するために使用してもよい。無毒の内因性の光増感剤および内因性のものに基づいた誘導体光増感剤を使用するさらに好ましい方法は、光放射の後で液体からの光増感剤の除去を必要としない。
装置デザイン
本発明の方法は、種々の装置に使用してもよい。装置は、一般に:試料中に存在するであろう微生物の不活化を誘導するのに十分な波長および威力を有する光を生じる光源;並びに、微生物の不活化を誘導するために十分な波長および威力のエネルギーを試料が受けるように試料を配置するための手段を含む。
システムは、好ましくは試料中で移動を生じるための手段を含む。移動は、光増感剤と不活化される液体との混合を助けることにより、不活化反応の効率を改善すること、およびたとえば容器−光の界面での試料のターンオーバーを提供することを含む多くの利益を提供する。Helmerフラットベッド撹拌システム(Helmer)などの撹拌機を使用してもよい。この撹拌機は、振動性の動きを提供する。バッグに通常の動き提供するために、撹拌機のその他のタイプを使用してもよい。バッグが容器として使用される場合、移動の供与源と組み合わせて、液体中の乱流渦を提供するために、ピンまたはその他の構造をバッグ間にまたはバッグ内に配置してもよい。撹拌機は、不活化システムのコンピュータまたはその他の調節計に接続されていてもよい。制御され、またはモニターされてもよいいくつかのパラメータは、液体の温度、光のエネルギー出力、撹拌の動き、光の制御、タイミングの制御またはモニタリング、およびその他のパラメータを含む。光源および処理される液体は、液体の撹拌を提供するために両方ともが移動してもよく、または処理される液体のみが移動し、光源は静止したままであってもよい。
装置の1つの特定の態様は、試料が、適切な波長または波長を使用するBio-Genic irradiator (Vilber-Lourmat, Cedex, France)と同様の装置に配置されるであろう光放射システムを含む。もう一つの態様は、光放射野または一連の光放射野を通って試料を運ぶための、大規模な操作に使用されるコンベヤー装置である。
試料が、微生物の不活化を誘導するために十分な波長および威力のエネルギーを受けるようにこれを配置するための手段は、配置される試料のための棚またはトレイ;2つの支持体の間の間隙(試料が支持体の間に位置する場合は、光または光のアレイであってもよい);または当該技術分野で既知のその他の手段を含む。棚またはトレイは、コンベアラインとして移動してもよい。液体を保持する棚は、適用した光の波長(群)の1つまたは複数に対して透過性であってもよい。
試料は、2つ以上の光放射源の間の支持体表面上の適切な容器に、サンドイッチ様に配置してもよい。代わりに、光放射源のうちの1つは、光を試料の両側に接触させるための反射物質であってもよい。代わりに、または組み合わせて、試料は、試料の異なる部分が光と接触することができるように、支持体上に配置してもよく、および撹拌しながら光を1つの表面上に与えてもよい。
要求される波長および要求される波長での所望の威力に応じて、異なる光放射源を使用してもよい。使用してもよい1つの光源は、447nmを中心とする発光を有する。
青いスペクトル範囲で放射する光は、種々の供与源から生じる。420〜450nmのまわりのピークの発光を有するランプは、たとえばLCD Lighting, Orange, CT; Bulbtronic, Farmingdale, NY; National Biological Corp. , Twinsburg, OH; The Fluorescent Co., Saugus, CA; Tek-West, Los Angeles, CA; or Southern NE UV, Bransford, CTから購入してもよい。また、LED(発光ダイオード)を使用してもよい。これらのLEDは、所望のスペクトルの出力を生じるように、シリコンカーバイド(約100nmのバンド幅;466nmの近くのピークスペクトルの出力)または窒化ガリウム(約30〜35nmのバンド幅;470nmの近くのピークスペクトルの出力)を含む種々の物質を使用してもよい。また、異なる物質の組み合わせから作成される光により、異なる波長の光を作成することもできる。たとえば、シリコンカーバイド基体上の窒化ガリウムにより、430nmを作成することができる。これらのLEDは、たとえば、Panasonic, Chicago Miniature, Nichia, Toyoda Gosei, Hewlett Packard, LEDTronicsによって製造され、または流通される。LED光は、典型的にはいずれの外部冷却も必要としない。
特定の装置に応じて、異なる方法で光を使用してもよい。たとえば、試料がフローセル光路中で到着するときには、光を放射するためにダイオードをデューティーサイクルにしてもよい。ダイオードのアレイは、任意の所望の配置で液体を囲んでいてもよい。平らなベッド装置の中では、光アレイは、上部もしくは底、または両方から液体を囲んでいてもよい。
所望のバンドのスペクトルを単離するために、カラーガラスフィルターなどのフィルターを使用してもよい。また、単一の波長または狭帯域の供与源を使用してもよい。
本発明の方法に有用な装置の1つの態様は、処理される特定の液体に対して所望の波長の光を生じる交換可能な光のバンクを含む。コーラル(coral)または水槽(aqualium)の光を、赤血球中の微生物を不活化するために有用な440〜470nmの間の波長を生じさせるために使用してもよい。光の出力レベルを制御するために、ランプを別々のパワー供給源によって提供してもよい。これらのランプは、試料に光を当てる位置に、順番に配置してもよく、または試料を、異なる波長の光を通して移動してもよい。それぞれの所望の波長を放射する異なるLEDを1つのアレイに組み合わせてもよい。
ランプまたは血液のいずれかを冷却する必要があるならば、能動的な(いくつかの適用手段による冷却)または受動的な(空冷)冷却を使用してもよい。ファンにより、冷却をもたらしてもよい。ランプおよび血液の両方を冷却するために1セットのファンを使用してもよく、またはランプおよび血液の両方の冷却を異なるレベルで提供するために、異なるファンを使用してもよい。能動的な冷却を提供するために、光透過性の液体により試料および/または光を囲んでもよい。この液体は、任意に制御された温度であってもよい。
その他の血液体成分中の熱帯熱マラリア原虫(Plasniodium, falciparum)およびその他の領域の光は、類似して進み、本明細書のおよび参照により援用された参照の教示を使用して、十分に当業者の技術の範囲内である。本方法の有効性は、処理されたユニット中の寄生生物の生存度を測定することによって、対照のものと比較して評価した。感染した赤血球は、2つの異なるヘマトクリット:感染した赤血球が4%である6%、、および感染した赤血球が0.4%である38%で処理した。それぞれの試験において、寄生生物の生存度は、処理後のインキュベーションの間にバックグラウンドレベルに減少したことから、リボフラビンおよび光が、熱帯熱マラリア原虫を不活化することを示している。
寄生生物種菌:
熱帯熱マラリア原虫(NF54株[Ponnudurai Tら、The production of mature gametocytesof Plasmodium falciparum in continuous culture of different isolates infective to mosquitoes. TransRoy Soc Trop Med Hyg. 1982; 76: 242])を、Walter Reed軍研究所のマラリア培養研究室(Walter Reed Army Institute of Research Malaria Culture Laboratory)で維持された持続保存培養から培養した(修飾したトレーガーおよびイェンセン技術[Trager W, Jensen JB. Human malaria parasites in continuous culture. Science. 1976 ; 193: 673])。種菌は、5mLの保存培養、95mLのRPMI培地、および6%のヒト赤血細胞(RBCs)によって調製し、5%CO2、5%O2、および90%のN2気体に簡単に暴露した後に37℃および100rpmでインキュベートした。種菌培地は、寄生虫血が5%以下になったときには毎日、および寄生虫血が5%より大きいときは2日に1回交換した。
ドナー赤血球
ボランティアのドナーからの血液は、クエン酸−ホスフェート−デキストロース(CPD)中に収集した。ドナー全血ユニットを5000gで10分間で遠心分離し;遠心後、血漿およびバフィーコートの一部を除去して廃棄し、パックされたRBC(pRBCs)を残した。
照射のための標品
寄生生物種菌を遠心分離して、上清を取り除いた。
種菌のみの照射のためには:
--16mlの寄生生物種菌および24mlの500Mのリボフラビン溶液を、Hct=6%および寄生虫血=4%のためには10mlの空気とともに150mlのPVCバッグに添加した
--照射前に混合して、室温で1時間インキュベーション
38%のHctでの赤血球の照射のためには:
--10mlのpRBCsを6mlの種菌および500μMのリボフラビン溶液と合わせて40mlの体積に、Hct=38%および寄生虫血=0.4%にする
--Hct=38%の試験の一方のセットは、懸濁液調製後の直接照射を含んだ(インキュベーションなし);38%のHctの試験の他方のセットは、照射前に混合して室温において1時間のインキュベーションを含んだ(インキュベーションあり)。
照射前に全ての懸濁液から0.3mLの試料を除去した。
照射
調製し、リボフラビン溶液とインキュベーションした後、赤血球懸濁液には、450nmの光を30、45、または60分間、150mLのDEHPバッグ、Charter Med中で照射した。送達されるエネルギーは、それぞれ60、90、および120 J/cm2であった。照射後、それぞれの懸濁液から1mLの試料を除去した。
試料の調製および解析
寄生生物の生存度は、二重モノクローナル抗体ELISA技術により、寄生性の乳酸デヒドロゲナーゼ(pLDH)レベルを測定することよって検査した(Druilhe, P.ら、 A colorimetric in vitro drug-sensitivity assay for P.falciparum based on a highly sensitive two-site LDH antigen capture ELISA assay. Am J Trop Med Hyg 2001 MayJun; 64: 233-41)。pLDHの測定は、%寄生虫血に直線的に相関する。寄生生物の生存度は、pLDHに反映される。照射前に除去した試料は、アッセイのために調製し、直ちに貯蔵した。照射後に除去した試料は、RPMIと共にマルチウエルプレート中で2週間インキュベートし、一定分量を周期的に除去して、アッセイのために調製し、貯蔵した。2週間のインキュベーションの終了後に、全ての試料をpLDHについてアッセイした。寄生生物種菌の%寄生虫血は、RBCの総数あたりの感染したRBCの計数から決定した;%寄生虫血に対するpLDHに関する比例定数を測定するために、この値と、未処置の種菌および未接種のRBCについてのpLDH値を使用した:
κ=種菌の%寄生虫血/(pLDH種菌-pLDH未接種のRBCs)
比例定数κは、全ての試料について%寄生虫血を算出するために使用する:
試料の%寄生虫血=κ*(pLDH試料-pLDH未接種のRBCs)
結果
図1は、照射前にインキュベーションをしていない38%のHct RBC試料から不活化が生じることを示す。図2は、種菌(RBCsなし)の照射により不活化が生じることを示す。図3は、照射前に1時間インキュベートされた38%のHct RBC懸濁液の照射により不活化が生じることを示す。
結果は、リボフラビンおよび可視光が有意に寄生生物の生存度を減少させることを示す。低Hct種菌の処理では、最も急速な寄生生物の生存度の減少を生じた。リボフラビン溶液と1時間インキュベーション後の赤血球懸濁液の照射では、インキュベーションのない照射よりも急速な寄生生物の生存度の減少を生じた。リボフラビン溶液とともに照射されてない対照では、短いインキュベーション時間の間に寄生生物の生存度の減少を示し;より長時間の間に、寄生生物の生存度が回復した。
西ナイルウイルス(WNV)の不活化
西ナイルウイルス(New York 1999, flamingo, 35262-11, from CDC Laboratories, Fort Collins, Colorado)の不活化は、RBCについてはリボフラビン(RF)および可視光を、並びに血漿および血小板についてはリボフラビン(RF)および紫外線を使用して試験した。力価は、組織培養感染用量(Tissue Culture Infectious Dose:TCID50)法を使用して、Vero細胞(アフリカミドリザル腎臓細胞)で決定した。これは、当業者に既知の標準的な技術であり、以下の参照に記載されている: Karber, G. 1931 Beitrag zur kollektiven Behandlung pharmakologisher Reihenversuche. Arch. Exp. Pathol.Pharmakol. 162: 480-483; Reed, L. J. , and H. Meunch. 1938. A sample method for estimating fifty percent endpoints. Am. J. Hyg. 27: 493-497; Leland, D. S. , and M. L. V. French. 1988. Virus Isolation and Identification, p. 39-59, In A. Balows, W. J. Hausler, and E. H. Lennette (eds.), Laboratory Diagnosis of Infectious Diseases, Principles and Practice. Volume II : Viral, Rickettsial, and Chlamydial Diseases. Springer-Verlag, New York。Velo細胞には、10%のウシ胎児血清(Hyclone)を補ったDMEMを供給した。それぞれの成分に添加したウイルスの量は、プラークアッセイ試験でのウイルスの滴定(栄養素寒天重層によって覆われた感染細胞)に基づく特定数のプラーク形成単位(pfu)とした。検定のための終点は、50%の組織培養感染用量を決定するためにウイルスが細胞を感染したかどうか決定するための、顕微鏡でウェル中で培養された組織を観察した場合の細胞変性効果(CPE)に基づいた。試料を37℃、5%のCO2で5日間インキュベートして、毎日モニターした。50μL接種サイズを使用した。それぞれの血液体成分について、試料サイズn=3の結果を報告してある。それぞれの工程は、異なるドナーに由来するRBC、血漿、または血小板を使用した。
血小板研究
250mLの体積の血小板を50μMのリボフラビンで使用した。血小板は、320nmにピークを有する光を2、4、6、8、10、または12 J/cm2送達するために照射した。図4は、種々の適用エネルギーの量を使用するWNVの対数減少を示す。
血漿研究
250mLの血漿を50nMのリボフラビンで使用した。血漿は、320nmにピークを有する光を2、4、6、8、10、または12 J/cm2送達するために照射した。図5は、種々の適用エネルギーの量を使用するWNVの対数減少を示す。
赤血球研究
産物の体積は、30Hctで266mLであった。リボフラビン濃度は、約500μMであった。可視光(400〜520nm)を使用した。30、60、90、120、または180 J/cm2を送達するために
RBCを照射した。種々の適用エネルギー量を使用するWNVの対数減少を図6に示す。
結果
結果は、西ナイルウイルスに感染した血小板、血漿、および赤血球のウイルスの力価の減少を示す。
熱帯熱マラリア原虫の不活化は、照射前にインキュベーションを伴わない38%のHct赤血球試料から生じる。
熱帯熱マラリア原虫の不活化は、種菌(赤血球なし)を照射することによって生じる。
熱帯熱マラリア原虫の不活化は、照射前に1時間インキュベートした38%のHct赤血球懸濁液を照射することによって生じる。
種々の量の適用エネルギーを使用する血小板中の西ナイルウイルスの対数減少を示す。
種々の量の適用エネルギーを使用する血漿中の西ナイルウイルスの対数減少を示す。
種々の量の適用エネルギーを使用する赤血球中の西ナイルウイルスの対数減少を示す。