JP4631405B2 - 磁気浮上推進装置 - Google Patents
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Description
図12は、従来の磁気浮上推進装置の側断面図である。
また、図13(a)、(b)はいずれも従来の磁気浮上推進装置の磁束の様子を示す説明図である。図12、13において、100は可動体、101は磁石、102は導体リング、200は固定体、201は左コイル、202は右コイルである。尚、図中記号×および記号・は電流方向を表し、記号×と記号・は互いに逆向きを示す。
また、図14は、従来の磁気浮上推進装置への印加電流を示す波形図であり、(a)は正にバイアスされた印加電流の波形を示し、(b)は負にバイアスされた印加電流の波形を示している。
以下、図12、13、14を用いて、従来技術の磁気浮上推進装置の構成および動作について説明する。
左コイル201と右コイル202は巻き方向が逆になっている。図14のように正もしくは負にバイアスされた電流を流した場合、左コイル201は固定体200の左側からN、Sの磁極、右コイル202は同じく左側からS、Nの磁極を生成する。可動体100の磁石101の左端がN極、右端がS極であるのに対し、固定体200の左端と右端ではN極となるので、可動体100は左端側で反発力、右端側で吸引力が発生し、右方向に移動する。
また、図14のように左コイル201と右コイル202に正弦波状の高周波の電流を重畳した場合は、図13(a)に示すように可動体100を通る高周波の磁束が生成され、この高周波の磁束を打ち消すように、導体リング102には高周波の渦電流が生成される。その結果、左コイル201と右コイル202が生成した磁束と導体リング102の渦電流が生成した磁束との作用により、図13(b)に示すように固定体200の内周面と可動体100の外周面を通る磁束が生成されることとなり、可動体100は固定体200に対し反発力が生じる。
この反発力は、可動体100の外周面である導体リング102の全周に渡って均一の強さで生成されるため、可動体100は固定体200に対し非接触で浮上することができる。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、可動体が移動量や固定体との相対位置に関わらず一定の推進力、案内力、浮上力を得ることができ、移動ストロークを長くすることができる磁気浮上推進装置を提供することを目的とする。
また、請求項2に記載の発明によると、可動体はX軸に対し回転方向(ローリング)の動作を抑制でき、可動体に負荷が搭載されたことによる偏荷重に対してもローリングせずに磁気浮上推進することができる。
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
図1において、1は磁気浮上推進部、2は制御装置、3は可動体、4は固定体、5はXコイル、6はZコイル、7はYコイル、8はXセンサ、9はZセンサ、10はYセンサ、14は制御装置2内のAMP(増幅器)である。
本発明の特徴は以下のとおりである。
磁気浮上推進部1は、固定体4と、固定体4と非接触にX方向に推進する可動体3から構成されている。可動体3は、Xコイル5、Zコイル6、Yコイル7の3つの多相コイルと、Xセンサ8、Zセンサ9、Yセンサ10の3つのセンサから構成されている。Xコイル5、Zコイル6、Yコイル7は電流を供給することで推進X方向、浮上Z方向、案内Y方向に力を発生するものであり、Xセンサ8、Zセンサ9、Yセンサ10は、それぞれX、Z、Y方向の位置を検出する位置検出手段であり、例えば、Xセンサ8、Zセンサ9、Yセンサ10には、リニアエンコーダや渦電流式ギャップセンサが使用される。
制御装置2は、Xセンサ8、Zセンサ9、Yセンサ10からの位置情報をもとに電流指令を生成する。制御装置2内のAMP14は、この電流指令を増幅してXコイル5、Zコイル6、Yコイル7に所定の電流を供給する。
図2、3において、11は固定体4に配設されたリングマグネットである。
固定体4には径方向に磁極を有するリングマグネット11が配設され、一定間隔で隣と極性が異なるように並んでいる。尚、図2、3において、リングマグネットの矢印の方向が磁化方向を示している。
可動体3の進行方向(推進X方向)左側にはXコイル5が巻装され、進行方向右側にはZコイル6とYコイル7から成るコイル組がXコイル5と隣接して配設されている。また、Xコイル5とZコイル6およびYコイル7は、電気角で90°位相が異なるように配設されている。Xコイル5はリングマグネット11を包含するように円筒状に形成されているのに対し、Zコイル6とYコイル7は円弧状に形成され、さらに、リングマグネット11の上下にZコイル6、左右にYコイル7が配置されている。また、Zコイル6は上下のコイルで巻き方向が逆になっており、Yコイル7も左右のコイルで巻き方向が逆になっている。なお、図2、3ではXコイル5、Zコイル6、Yコイル7を3相の巻線で構成した例を示している。
図4において、12は制御装置2内の位置制御部、13は制御装置2内の電流制御部、15は制御装置2内の電気角生成部、Prefは位置指令、Trefは推力指令、Irefは相電流指令である。尚、図4において、図1と構成要素が同じものについてはその説明を省略し、異なる点のみを説明する。
以下、図4を用いて、本発明の磁気浮上推進装置部1における制御装置2の構成について説明する。尚、各方向とも制御部は、位置制御部12と電流制御部13から構成されることから、X方向の制御部についてのみ説明する。
位置指令PrefとXセンサ8から出力される位置情報xとを比較し、位置制御部12により推力指令Trefが出力される。この推力指令Trefと電気角生成部15から出力される電気角信号θから電流制御部13により相電流指令Irefが出力され、AMP14から、Xコイル5へ3相電流を供給することで、推進力が得られるようになっている。
以下、図5および図6を用いて、本発明の磁気浮上推進装置の動作原理を説明する。
例えば、図5(a)に示す位置x1での電流指令を与えた場合、Xコイル5とZコイル6には図6に示すような向きに電流が流れる。その結果、Xコイル5には、リングマグネット11が作る磁界との関係により、フレミング左手の法則に従った向き、つまり左方向に力を発生する。Zコイル6には、同じくリングマグネット11が作る磁界との関係により、Zコイル6の上側で反発力、下側で吸引力が発生する。
可動体3の位置に応じて図5(a)に示すような3相正弦波電流を供給することで、図5(b)に示すように安定した推進力と浮上力を得ることができる。また、Yコイル7については、Zコイル6に対し推進方向軸に90度傾けただけなので、Zコイル6同様に安定した案内力を得ることができる。さらに、位置指令とXセンサ8、Zセンサ9、Yセンサ10の実位置との差である位置偏差に応じて、各コイルに供給する電流の振幅を調整し力を制御することで、位置偏差を小さくする位置制御を実現することができる。
図7において、20は第1実施例のリングマグネット11に対応するブロックマグネットである。第2実施例が第1実施例と異なる点は、第2実施例では、固定体4の断面形状を四角柱状に、可動体3の断面形状を中空の四角柱状にしている点である。そのような形状としたことにより、固定体4の磁石は、断面において4分割したブロックマグネット20により構成されている。同じく可動体3についても、リング状であったXコイル5は中空四角形状に形成され、また、円弧状であったZコイル6とYコイル7は平板状に形成されている。
図8において、21はXコイル、22は第1のZコイル、23は第2のZコイル、24は第1のYコイル、25は第2のYコイルである。
第3実施例が第1実施例と異なる点は、第3実施例では可動体3に複数のZコイルと複数のYコイルが配設されて構成している点である。可動体3は、推進X方向中央にXコイル21、その左右両側に第1のYコイル24と第2のYコイル25、さらにその左右両側に第1のZコイル22と第2のZコイル23が設けられている。
図9において、26は第1の可動体、27は第2の可動体、28は第3の可動体である。
第4実施例が第1、3実施例と異なる点は、第4実施例では1個の固定体4に対し複数個の可動体26、27、28を配設した構成としている点である。
図10において、29は第1の固定体、30は第2の固定体、31は2個の可動体を並列に接続した可動体である。
第5実施例が第1、3、4実施例と異なる点は、第5実施例では可動体と固定体を推進X方向に対し並列に配置した点である。すなわち、図1における磁気推進浮上部1を並列に構成している点である。
図11において、32はXコイル、33は第1のYコイル、34は第2のYコイル、35は推進用と浮上用コイルを個別の固定体に配設した可動体、36は第1の固定体、37は第2の固定体、38は第3の固定体、39は第4の固定体、40は第5の固定体である。
第6実施例が本発明の他の実施例と異なる点は、第6実施例では推進用と浮上用コイルを個別の固定体に配設した点である。
2 制御装置
3、26、27、28、31、35、100 可動体
4、29、30、36、37、38、39、40、200 固定体
5、21、32 Xコイル
6、22、23 Zコイル
7、24、25、33、34 Yコイル
8 Xセンサ
9 Zセンサ
10 Yセンサ
11 リングマグネット
12 位置制御部
13 電流制御部
14 AMP(増幅器)
15 電気角生成部
20 ブロックマグネット
101 磁石
102 導体リング
201 左コイル
202 右コイル
Claims (5)
- 推進X方向に多極の磁極を並べた固定体と、
推進X方向、案内Y方向、浮上Z方向の各方向に力を発生するXコイル、Yコイル、Zコイルの3つの多相巻線で構成されたコイルと前記各方向の位置を検出するXセンサ、Yセンサ、Zセンサの3つのセンサを備えた可動体と、
前記3つのセンサから得られる位置情報をもとに、前記X、Y、Z方向の位置制御を行う制御装置と、から構成された磁気浮上推進装置において、
前記固定体は、円筒状で構成すると共に径方向に磁極を有するリングマグネットが配設され、
前記可動体は、前記固定体を包含する中空円筒形状で構成してあり、
前記Xコイルは、前記リングマグネットを包含するように中空の円筒状に形成され、
前記Zコイルは、前記リングマグネットの上下に配置されるように円弧状に形成され、
前記Yコイルは、前記リングマグネットの左右に配置されるように円弧状に形成され、
前記Xコイルと前記Yコイルおよび前記Zコイル間で位相が電気角で90°異なり、
前記Zコイルは、上下のコイルで巻き方向が逆になるように、前記Yコイルは左右のコイルで巻き方向が逆になるように形成されており、
前記制御装置は、前記Xセンサから得た位置情報に基づいて電気角を生成する電気角生成部と、前記電気角から前記Xコイル、前記Yコイル、前記Zコイルの電流位相を生成する電流制御部と、から構成されたことを特徴とする磁気浮上推進装置。 -
推進X方向に多極の磁極を並べた固定体と、
推進X方向、案内Y方向、浮上Z方向の各方向に力を発生するXコイル、Yコイル、Zコイルの3つの多相巻線で構成されたコイルと前記各方向の位置を検出するXセンサ、Yセンサ、Zセンサの3つのセンサを備えた可動体と、
前記3つのセンサから得られる位置情報をもとに、前記X、Y、Z方向の位置制御を行う制御装置と、から構成された磁気浮上推進装置において、 前記固定体は四角柱状で構成すると共にブロックマグネットが配設されており、
前記可動体は前記固定体を包含する中空四角柱形状で構成してあり、
前記Xコイルは前記リングマグネットを包含するように中空の四角柱状に形成され、
前記Zコイルは前記リングマグネットの上下に配置されるように平板状に形成され、
前記Yコイルは前記リングマグネットの左右に配置されるように平板状に形成され、
前記Xコイルと前記Yコイルおよび前記Zコイル間で位相が電気角で90°異なり、
前記Zコイルは上下のコイルで巻き方向が逆になるように、前記Yコイルは左右のコイルで巻き方向が逆になるように形成されており、
前記制御装置は、前記Xセンサから得た位置情報に基づいて電気角を生成する電気角生成部と、前記電気角から前記Xコイル、前記Yコイル、前記Zコイルの電流位相を生成する電流制御部と、から構成されたことを特徴とする磁気浮上推進装置。 - 前記可動体は、前記Xコイル、前記Yコイル、前記Zコイルをそれぞれ少なくとも1つ有した1つのコイル群で構成されたことを特徴とする請求項1または2記載の磁気浮上推進装置。
- 前記固定体の軸方向に前記可動体を複数個直列に配置したことを特徴とする請求項1または2記載の磁気浮上推進装置。
- 前記固定体を複数個並列に配置したことを特徴とする請求項1または2記載の磁気浮上推進装置。
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