JP4629957B2 - 情報記録媒体、記録装置、再生装置、記録方法および再生方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報に対する信頼性の向上した情報記録媒体、記録装置、再生装置、記録方法および再生方法に関する。より詳細には、2ECC(Error Correctioin Code)サイズ以上の欠陥リストの更新、および、欠陥エントリの削除に対応した情報記録媒体、記録装置、再生装置、記録方法および再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大容量で交換可能な情報記録媒体、および、その情報記録媒体を駆動させるディスクドライブ装置が普及し始めている。大容量で交換可能な情報記録媒体としては、DVD(Digital Versatile Disc)のような光ディスクが良く知られている。ディスクドライブ装置は、レーザ光を光ディスクに照射させて、光ディスクに微小なピットを形成することによって情報を記録し、光ディスクにレーザ光を照射させて、ピットに起因する反射率の変化を情報として再生する。大容量で交換可能な情報記録媒体は、このようにして情報の記録/再生を行うディスクドライブ装置に適している。しかしながら、光ディスクは交換可能であるため、光ディスクの記録面には、埃や傷などに起因する欠陥が存在し得る。
【0003】
したがって、ディスクドライブ装置において、記録/再生における情報に対する信頼性を保証するために、光ディスクに存在する欠陥を管理する欠陥管理を行う必要がある。従来のディスクドライブ装置で用いられる欠陥管理について、DVD−RAMの物理規格書(DVD−RAM規格と称する)に記載されている(例えば、非特許文献1を参照。)。DVD−RAM規格の第5章にディスクのレイアウトに関する記述がある。
【0004】
図12は、DVD−RAM規格による情報記録媒体1200のデータ構造図を示す。
【0005】
情報記録媒体1200は、ディスクに関する情報を記録するリードイン領域1201と、ユーザデータを記録するデータ領域1202と、ユーザデータの記録終了位置を示すリードアウト領域1203とを備える。
【0006】
リードイン領域1201は、データ領域1202に存在する欠陥領域を管理するための欠陥管理情報が記録されるDMA1(Defect Management Area)およびDMA2と、将来の拡張性のための保留領域1204および1205とを含む。
【0007】
データ領域1202は、ユーザデータが記録されるユーザ領域1206と、スペア領域1207とを含む。ユーザ領域1206に欠陥領域が存在する場合、その欠陥領域に記録されるべきユーザデータが、欠陥領域に相当するユーザ領域1206の部分の代わりにスペア領域1207に記録される。
【0008】
リードアウト領域1203は、リードイン領域1201と同様に、データ領域1202に存在する欠陥領域を管理するための欠陥管理情報が記録されるDMA3およびDMA4と、将来の拡張性のための保留領域1208および1209とを含む。
【0009】
DMA1〜4には、すべて同じ欠陥管理情報が多重記録されている。これは、DMA1〜4に記録されている情報それ自身を欠陥管理の対象とすることができないためである。つまり、DMA1〜4のうちいずれかに欠陥領域が存在して、正常に再生することができないとしても、DMA1〜4のうち1つでも欠陥領域が存在しないDMAがあれば、そこに記録されている欠陥管理情報を正常に再生することができる。したがって、ユーザデータを失うことなく、信頼性が向上する。
【0010】
DMA1は、DDS(Data Definition Structure)1210と、PDL(Primary Defect List)1211と、SDL(Secondary Defect List)1212とを含む。
【0011】
DDS1210は、PDL1211およびSDL1212のパーティションに関する情報を含む。
【0012】
PDL1211は、情報記録媒体の出荷時、すなわち、情報記録媒体の初期化時に検出されたユーザ領域1206およびスペア領域1207に存在する欠陥領域(例えば、欠陥セクタ)の位置情報(リスト)である。このリストは、情報記録媒体に物理フォーマットを行わない限り基本的に変化しない。
【0013】
DVD−RAM規格によれば、DDS1210のサイズとPDL1211のサイズとを合わせたサイズは1つのECC(Error Correcting Code)ブロックに収まる大きさである。SDL1212のサイズもまた、1つのECCブロックに収まる大きさである。ここでECCブロックとは、DVD−RAMにおいてはエラー訂正の単位であって、16個のセクタ(各セクタは2Kbyteサイズ)から構成された32KByteのサイズを有する。このECCブロックのサイズを以下では1ECCサイズと呼ぶ。
【0014】
図13は、SDL1212の詳細なデータ構造図である。
【0015】
SDL1212は、PDL1211とは異なり、記録再生処理時に欠陥領域(例えば、欠陥セクタ)の検出に応じて変化する情報(リスト)である。SDL1212の内容は、欠陥領域が検出された場合に、ディスクドライブ装置によって適当なタイミングで情報記録媒体1200のDMA1〜4にそれぞれ書き込まれる。
【0016】
SDL1212は、ヘッダ1301と、第1の欠陥エントリ1302と、第2の欠陥エントリ1303と、…、第Nの欠陥エントリ1304と、未使用領域1305とを含む。
【0017】
ヘッダ1301は、SDL1212であることを示す識別子、欠陥エントリの総数(図13の場合、N)、および、SDL1212の更新回数等を含む。
【0018】
第1の欠陥エントリ1302は、ユーザ領域1206に存在する欠陥領域の位置を示す第1の欠陥位置情報1306と、その欠陥領域の代わりにユーザデータを記録したスペア領域1207の部分(例えば、交替セクタ)の位置を示す第1の交替位置情報1307とを含む。第2の欠陥エントリ1303もまた、第2の欠陥位置情報と第2の交替位置情報を含む。第Nの欠陥エントリ1304もまた、第Nの欠陥位置情報と第Nの交替位置情報とを含む。なお、欠陥位置情報および交替位置情報とは、一般的に、セクタ番号である。
【0019】
未使用領域1305は、ヘッダ1301のサイズと第1〜第N欠陥エントリ1302〜1304のサイズとの合計サイズが、1ECCサイズ未満である場合に存在する。この場合、未使用領域1305には、情報として意味を持たないパディングデータ(例えば、0)が記録される。
【0020】
ディスクドライブ装置が、SDL1212を情報記録媒体1200のDMA1〜4に書き込んでいる最中に、タイミング悪くディスクドライブ装置の電源が落ち、処理が中断する恐れがある。このような場合、ディスクドライブ装置は、次の手順で欠陥管理領域(DMA1〜4)の更新結果を判定する。
(1) 1ECCサイズであるSDL1212に対してエラー訂正を施す。エラー訂正が正しく行われた場合、このSDL1212は正常に更新されたと判定される。
(2) (1)をDMA1〜4のそれぞれに含まれる全てのSDLに対して行う。
(3) (2)で正常と判定されたSDLすべてについて、SDL中のヘッダに含まれる更新回数を互いに比較する。比較した結果、最も多い更新回数を有するSDLを正しいSDL(最新のSDL)と判定する。
【0021】
このように、SDL1212のサイズが1ECCサイズであれば、ディスクドライブ装置の電源が落ちたとしても、正しいSDLが判定される。したがって、ユーザデータを失うことなくデータの信頼性を確保できる。
【0022】
近年、情報記録媒体に記録されるべき情報量の増大に伴い、高密度記録技術および大容量技術の向上はめざましい。例えば、レーザとして青色レーザを用いた、従来の光ディスクよりもさらに大容量な情報記録媒体の開発が進められている。従来の容量よりもさらに大容量を記録できるため、SDLのサイズも従来の1ECCサイズより大きくなる。DVD−RAMのようにSDLのサイズが1ECCサイズ以下であれば問題はないが、1ECCサイズを越えた場合には以下のような問題が発生する。ここでは、SDLのサイズが4ECCサイズであると仮定する。
【0023】
SDLが従来の1ECCサイズから4ECCサイズになった場合に、1つのDMA(例えば、DMA1)に対して次のような場合が生じたとする。
・ ヘッダの更新は完了した。
・ SDLの2ECCブロックまでの更新が完了し、3ECCブロックの更新に入るまさにそのタイミングでディスクドライブ装置の電源が落ちた。
【0024】
この場合、従来のSDLの更新結果判定方法では、1ECC単位のエラー訂正は正常に行われる。さらに、DMA1内のSDLの更新回数と、他のDMA2〜4の各SDL内の更新回数のそれぞれとを比較すると、DMA1の更新回数が最も多くなる。このため、DMA1のSDLの更新は途中で失敗したにも関わらず、このSDLが正常で最新のSDLであると誤った判定をしてしまう。
【0025】
これを解決するための1つの方法として、4ECCサイズのSDLの各ECCブロックごとにヘッダを付加する方法が考えられる。各ヘッダは、SDLであることを示す識別子、欠陥エントリ総数およびSDLの更新回数などを含む。
【0026】
図14は、4ECCサイズであるSDL1400のデータ構造図を示す。
【0027】
SDL1400は、第1のECCブロック1401と、第2のECCブロック1402と、第3のECCブロック1403と、第4のECCブロック1404とを含む。
【0028】
第1のECCブロック1401は、ヘッダ1405と、第1の欠陥エントリ1406と、第2の欠陥エントリ1407と、…、第M−1の欠陥エントリ1408と、第Mの欠陥エントリ1409とを含む。
【0029】
第2のECCブロック1402は、ヘッダ1410と、第M+1の欠陥エントリ1411と、…、第Nの欠陥エントリ1412と、未使用領域1413とを含む。
【0030】
第3のECCブロック1403は、ヘッダ1414と未使用領域1415とを含む。
【0031】
第4のECCブロック1404は、ヘッダ1416と未使用領域1417とを含む。
【0032】
ヘッダ1405、1410、1414および1416は、それぞれ、SDLであることを示す識別子、欠陥エントリ数およびSDLの更新回数等を含む。第1〜第Nの欠陥エントリ1406〜1409および1411〜1412は、それぞれ、欠陥位置情報と交替位置情報とを含む。未使用領域1413、1415および1417には、情報として意味を持たないパディングデータ(例えば、0)が記録される。
【0033】
この場合、ディスクドライブ装置は、次の手順で欠陥管理領域(DMA1〜4)の更新結果を判定する。
(1) 4ECCサイズであるSDL1400について、第1のECCブロック1401にエラー訂正を施す。エラー訂正が正しく行われた場合、第1のECCブロック1401は正常に更新されたと判定される。この処理をSDL1400内の第2〜第4のECCブロック1402〜1404に対して行う。第1〜第4のECCブロック1401〜1404のエラー訂正が正しく行われた場合、(2)の処理を行う。
(2) 第1〜第4のECCブロック1401〜1404のそれぞれに付加されているヘッダ1405、1410、1414および1416の更新回数を比較する。ヘッダ1405、1410、1414および1416の更新回数が全て同じ値であれば、このSDL1400は、正常に更新されたと判定される。
(3) (1)〜(2)をDMA2〜4全てのSDLに対して行う。
(4) (3)で正常と判定されたSDLについて、SDL中のヘッダに含まれる更新回数を互いに比較する。比較した結果、最も記録回数の多い更新回数を有するSDLを正しいSDL(最新のSDL)と判定する。
【0034】
このように、SDL1400のサイズが1ECCサイズより多い場合には、SDL内に1ECCごとにヘッダを設けることによって、ディスクドライブ装置の電源が落ちたとしても、正しいSDLを判定することができ、ユーザデータを失うことなくデータの信頼性を確保できる。
【0035】
データの信頼性を向上させた別の従来技術がある(例えば、特許文献1を参照。)
図15は、従来技術による別の情報記録媒体1500のデータ構造図を示す。
【0036】
情報記録媒体1500は、SDL1501の構造、および、SDL1501のサイズが1ECCサイズとは限らない点が異なる以外は情報記録媒体1200と同様である。したがって、図15において、図12に示される構成要素と同一の構成要素には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0037】
SDL1501は、SDL1501であることを示す欠陥リスト識別子1502と、今後の拡張性のための保留フィールド1503と、欠陥管理情報の新旧を判定するための第1の更新情報1504および第2の更新情報1510と、SDL1501に登録された欠陥セクタの数を示す欠陥登録数1505と、欠陥セクタの位置を示す第1の欠陥位置情報1506および第2の欠陥位置情報1508と、欠陥セクタに替わる交替セクタの位置を示す第1の交替位置情報1507および第2の交替位置情報1509と、今後検出される欠陥セクタを登録するための未使用フィールド1511とを含む。第1の更新情報1504および第2の更新情報1510は、例えば、記録回数である。SDL1501の更新が正常に行われている限り、第1の更新情報1504の内容と第2の更新情報1510の内容とは同一である。
【0038】
この場合、ディスクドライブ装置は、次の手順で欠陥管理領域(DMA1〜4)の更新結果を判定する。
(1) SDL1501について、第1の更新情報1504の内容と第2の更新情報1510の内容とを比較する。比較の結果、第1の更新情報1504の内容と第2の更新情報1510の内容とが同じであれば、SDL1501は正常であると判定される。
(2) DMA2〜4すべてのSDLに対して(1)を行う。
(3) (2)で正常と判定されたSDLについて、SDL中の更新情報の内容を互いに比較する。比較した結果、最も多い更新情報を有するSDLを正しいSDL(最新のSDL)と判定する。
【0039】
このように、DMA1〜DMA4のうち1つのDMAに含まれるSDL内に付加された第1の更新情報および第2の更新情報を読み出しさえすれば、SDLのサイズがいかなるサイズであっても、正しいSDLを判定することができる。
【0040】
【特許文献1】
特開平8−293187号公報
【0041】
【非特許文献1】
「DVD Specifications for Rewritable Disc(DVD−RAM) Part1 PHYSICAL SPECIFICATIONS Version2.0」
【0042】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図14に示す情報記録媒体のSDL1400では、SDL1400を構成する4つのECCブロック全てにヘッダを付加しなくてはならない。これにより、SDL1400の更新の処理効率が低下する。さらに、欠陥エントリ(例えば、第Mの欠陥エントリ1409)と欠陥エントリ(例えば、第M+1の欠陥エントリ1411)との間にヘッダ(例えば、ヘッダ1410)が含まれる形態であるため、欠陥エントリの検索、追加および削除といった操作が複雑になってしまうという欠点がある。
【0043】
一方、図15に示す情報記録媒体1500では、第2の更新情報1511を正しく読み出せない場合がある。
【0044】
図16は、図15に示す情報記録媒体1500のSDL1501の(a)更新前の欠陥リストと、(b)正常に更新された欠陥リスト、および、(c)更新に失敗した欠陥リストとのデータ構造図を示す。図16を参照して、以前は欠陥と判定され、登録されたセクタが、正常なセクタであると再度判定された場合のSDL1501の更新を説明する。
【0045】
図16(a)は、図15に示すSDL1501と同じデータ構造である。図16(a)において、第1の更新情報1504の内容および第2の更新情報1510の内容は、ともにMであり、欠陥登録数1505は2である。
【0046】
図16(b)は、SDL1501の更新が正常に行われた場合の更新後のSDL1501のデータ構造である。第1の更新情報1504の内容は、MからM+1へ更新される。欠陥登録数1505は、2から1へ更新される。正常と判定された欠陥セクタの位置情報(第2の欠陥位置情報1508)およびその欠陥セクタの替わりの交替セクタの位置情報(第2の交替位置情報1509)が削除され、第1の欠陥位置情報1506および第1の交替位置情報1507が残る。第2の更新情報1510の内容も、第1の更新情報1504と同様に、MからM+1へ更新される。第2の更新情報1510はまた、第1の交替位置情報1507に続いて配置される。未使用フィールド1511は、削除された第2の欠陥位置情報1508および第2の交替位置情報1509に相当するサイズだけ増加する。
【0047】
図16(c)は、SDL1501の更新が正常に行われなかった場合の更新後のSDL1501のデータ構造である。欠陥登録数1505を更新した直後に、ディスクドライブ装置の電源が落ちたと仮定する。この場合、第1の更新情報1504および欠陥登録数1505は、図16(b)と同様に正常に更新される。しかしながら、第2の欠陥位置情報1508、第2の交替位置情報1509、第2の更新情報1510および未使用フィールド1511は、更新前の図16(a)のデータ構造のままとなる。
【0048】
図16(c)に示すデータ構造の場合に、更新結果の判定を行う。ディスクドライブ装置は、例えば、更新された欠陥登録数1505を用いて、第2の更新情報1510として第2の欠陥位置情報1508を読み出す。ディスクドライブ装置は、更新された第1の更新情報1504の内容と第2の更新情報1510として読み出された第2の欠陥位置情報1508の内容とを比較する。第1の更新情報1504の内容と、第2の欠陥位置情報1508の内容とが不幸にも一致する場合、ディスクドライブ装置は、SDL1501の更新が失敗したにも関わらず、SDL1501を正常に更新されたと判定してしまう。
【0049】
図15に示す情報記録媒体1500が、1ECCサイズのエラー訂正を考慮しており、かつ、SDL1501のサイズが1ECCサイズを越えない場合には、図16(c)に示す問題は発生しない。しかしながら、1ECCサイズを越える場合には、上記問題が発生することになる。
【0050】
したがって、本発明の目的は、SDL(欠陥リスト)のサイズが2ECCサイズ以上である欠陥リスト、および、欠陥リスト内の欠陥エントリの削除に対応した情報記録媒体、記録装置、再生装置、記録方法および再生方法を提供することである。
【0051】
【課題を解決するための手段】
本発明による記録媒体は、ユーザデータを記録するためのデータ領域と、前記データ領域に存在するN個の欠陥領域(Nは、N≧0を満たす整数)を管理する欠陥リストを記録するための欠陥管理領域とを備えた情報記録媒体であって、前記欠陥リストは、前記欠陥リスト内の固定位置に配置されるヘッダと、前記N個の欠陥領域のそれぞれの位置に関する位置情報をそれぞれ含むN個の欠陥エントリと、アンカとを含み、前記ヘッダと、前記N個の欠陥エントリと、前記アンカとは、前記欠陥リスト内にこの順に配置されており、前記ヘッダは、前記欠陥リストを識別する欠陥リスト識別子と、前記欠陥リストの更新回数を示す第1の更新回数情報と、前記N個の欠陥エントリの個数を示す欠陥エントリ数とを含み、前記アンカは、前記欠陥リストのアンカを識別するアンカ識別子と、前記欠陥リストの更新回数を示す第2の更新回数情報とを含み、前記アンカ識別子は、前記欠陥エントリの値とは異なる値であり、とを含み、これにより上記目的を達成する。
【0052】
本発明による記録装置は、情報記録媒体に情報を記録する記録装置であって、前記情報記録媒体は、ユーザデータを記録するためのデータ領域と、前記データ領域に存在するN個の欠陥領域(Nは、N≧0を満たす整数)を管理する欠陥リストを記録するための欠陥管理領域とを備え、前記記録装置は、前記欠陥リストを記録する欠陥リスト記録手段を備え、前記欠陥リスト記録手段は、前記欠陥リスト内の固定位置にヘッダを記録するヘッダ記録手段と、前記ヘッダに続けて、前記N個の欠陥領域のそれぞれの位置に関する位置情報をそれぞれ含むN個の欠陥エントリを記録する欠陥エントリ記録手段と、前記N個の欠陥エントリに続けて、アンカを記録するアンカ記録手段とを備え、前記ヘッダは、前記欠陥リストを識別する欠陥リスト識別子と、前記欠陥リストの更新回数を示す第1の更新回数情報と、前記N個の欠陥エントリの個数を示す欠陥エントリ数とを含み、前記アンカは、前記欠陥リストのアンカを識別するアンカ識別子と、前記欠陥リストの更新回数を示す第2の更新回数情報とを含み、前記アンカ識別子は、前記欠陥エントリの値とは異なる値であり、これにより上記目的を達成する。
【0079】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0080】
(実施の形態1)
(1)情報記録媒体
図1は、実施の形態1による情報記録媒体100のデータ構造図を示す。
【0081】
情報記録媒体(光ディスク)100は、例えば、書換型光ディスクであり得る。光ディスク100には、1ECCブロック単位のエラー訂正が施されるものとする。ECCブロックとは、光ディスクにおけるエラー訂正の単位である。例えば、1ECCブロックは、16個のセクタ(各セクタは2Kbyteサイズ)から構成された32KByteのサイズを有する。このECCブロックのサイズを以下では1ECCサイズと呼ぶ。光ディスク100への情報の記録・更新は1ECCブロックずつ行われるものとする。
【0082】
図1に示すデータ構造は、欠陥管理領域にN個(NはN≧0を満たす整数)の欠陥領域に関する位置情報を正常に記録した後の光ディスク100の構造を示す。欠陥領域は、例えば、欠陥セクタである。
【0083】
光ディスク100は、ユーザデータが記録されるデータ領域102と、記録再生装置(図示せず)が光学ヘッド(図示せず)の移動によりオーバーランした場合の緩衝領域としての役割を果たすリードイン領域101およびリードアウト領域103とを含む。
【0084】
データ領域102は、ユーザデータを記録するユーザ領域106と、スペア領域107とを含む。ユーザ領域106に欠陥領域(例えば、欠陥セクタ)が存在する場合、その欠陥領域に記録されるべきユーザデータが、欠陥領域に相当するユーザ領域106の部分の代わりにスペア領域107に記録される。
【0085】
リードイン領域101は、データ領域102に存在する欠陥領域を管理するための情報が記録される第1の欠陥管理領域104と第2の欠陥管理領域105とを含む。
【0086】
リードアウト領域103は、リードイン領域101と同様に、データ領域102に存在する欠陥領域を管理するための情報が記録される第3の欠陥管理領域108と第4の欠陥管理領域109とを含む。
【0087】
第1の欠陥管理領域104、第2の欠陥管理領域105、第3の欠陥管理領域108および第4の欠陥管理領域109は、それぞれ、光ディスク100内の物理的に特定の位置に配置される。
【0088】
第1の欠陥管理領域104、第2の欠陥管理領域105、第3の欠陥管理領域108および第4の欠陥管理領域109には、同じ欠陥管理のための情報が多重記録される。これは、上述したように、第1の欠陥管理領域104、第2の欠陥管理領域105、第3の欠陥管理領域108および第4の欠陥管理領域109に記録されている情報それ自身を欠陥管理の対象とすることができないためである。つまり、これら第1の欠陥管理領域104、第2の欠陥管理領域105、第3の欠陥管理領域108および第4の欠陥管理領域109のうちいずれかに欠陥領域が存在して、正常に再生することができないとしても、4つの欠陥管理領域のうち少なくとも1つでも欠陥領域が存在しない欠陥管理領域があれば、そこに記録されている欠陥管理のための情報を正常に再生することができる。したがって、ユーザデータを失うことなく、信頼性が向上する。実施の形態1では、光ディスク100は、4つの欠陥管理領域104、105、108、109を有するが、欠陥管理領域の数は、光ディスク100が少なくとも1つの欠陥管理領域を有する限り、任意である。
【0089】
第1の欠陥管理領域104には、ディスク定義構造111と、データ領域102に存在するN個の欠陥領域(Nは、N≧0を満たす整数)を管理する欠陥リスト112とが記録される。第1の欠陥管理領域104は、未使用領域113を含む。
【0090】
ディスク定義構造111は、光ディスク100が欠陥管理を施されているディスクかどうか等のディスク構造を示す情報である。この情報はまたスペア領域107に関する情報も含む。ディスク定義構造111は、第1の欠陥管理領域104内の物理的に特定の位置に配置される。ディスク定義構造111のサイズはまた、所定のサイズである。
【0091】
未使用領域113には、現時点では意味を有さない情報が記録される。未使用領域113には、一般に、パディングデータ127(例えば、0)が記録される。ユーザ領域106において新たな欠陥領域が検出されると、新たな欠陥領域を管理するための欠陥エントリが、欠陥リスト112に追加される。これにともなって、追加された欠陥エントリのサイズだけ未使用領域113のサイズが減少することになる。
【0092】
欠陥リスト112は、ヘッダ121と、第1の欠陥エントリ122、第2の欠陥エントリ123、…、第N−1の欠陥エントリ124および第Nの欠陥エントリ125と、アンカ126とを含む。ヘッダ121と、第1〜第Nの欠陥エントリ122〜125と、アンカ126とは、欠陥リスト112内にこの順に配置される。
【0093】
実施の形態1において、欠陥リスト112のサイズと未使用領域113のサイズとを合わせたサイズが、4ECCであるとする。合計サイズは、4ECCに限定されず、任意のサイズである。
【0094】
ヘッダ121は、欠陥リスト112を識別する欠陥リスト識別子131と、欠陥リスト112に含まれる欠陥エントリの個数を示す欠陥エントリ数132と、更新された欠陥リストが第1の欠陥管理領域104に記録された回数を示す第1の更新回数情報133とを含む。図1において、欠陥エントリ数132はN(NはN≧0を満たす整数)であり、第1の更新回数情報133の内容はM(MはM≧0を満たす整数)である。欠陥リスト識別子131は、例えば、図1に示されるようにヘッダ121の先頭に配置され得る。
【0095】
ヘッダ121は、物理的に決まった位置に配置される。実施の形態1では、ヘッダ121は、欠陥リスト112の先頭に配置されている。しかしながら、欠陥リスト112内のヘッダ121の位置は、ヘッダ121と、第1〜第Nの欠陥エントリ122〜125と、アンカ126とが、欠陥リスト112内にこの順に配置される限り、任意である。
【0096】
図1に示す光ディスク100の場合、欠陥エントリ数132がNであることから、欠陥リスト112中には第1の欠陥エントリ122、・・・、第Nの欠陥エントリ125が存在する。第1の欠陥エントリ122は、欠陥領域の位置に関する位置情報である第1の欠陥位置情報141と、スペア領域107における欠陥領域の代わりの部分の位置に関する位置情報である第1の交替位置情報142とを含む。第2の欠陥エントリ123についても同様に、第2の欠陥位置情報および第2の交替位置情報を含む。以下、第N−1の欠陥エントリ124および第Nの欠陥エントリ125についても同様である。ここで、第1の欠陥位置情報141および第1の交替位置情報142は一般的にセクタ番号である。
【0097】
欠陥エントリは、一般的に、含まれる欠陥位置情報が昇順となるように配置される。詳細には、例えば、欠陥位置情報がセクタ番号の場合には、セクタ番号が最小である欠陥位置情報を第1の欠陥位置情報141として第1の欠陥エントリ122に配置する。以下、順次セクタ番号順に行われる。セクタ番号が最大である欠陥位置情報を第Nの欠陥位置情報として第Nの欠陥エントリ125に配置する。
【0098】
なお、欠陥リスト112中の欠陥エントリは、必ずしも昇順に配置されなくてもよい。例えば、欠陥エントリは、セクタ番号が降順となるように配置されていてもよい。あるいは、欠陥エントリは、ランダムに配置されていてもよい。
【0099】
アンカ126は、欠陥リスト112のアンカを識別するアンカ識別子151と、更新された欠陥リストが第1の欠陥管理領域104に記録された回数を示す第2の更新回数情報152と、今後の拡張性のための予備情報153とを含む。図1において、第2の更新回数情報152の内容はM(MはM≧0を満たす整数)であり、第1の更新回数情報133と同じ内容を有する。第1の欠陥管理領域104の更新が正常に行われている限り、第1の更新回数情報133の内容と第2の更新回数情報152の内容とは同一である。アンカ識別子151は、例えば、図1に示されるようにアンカ126の先頭に配置され得る。
【0100】
本明細書において、第1および第2の更新回数情報133、152は、更新された欠陥リストを第1の欠陥管理領域104に記録した回数(すなわち、光ディスク100において欠陥リスト112が更新され、記録された回数)を示すが、第1および第2の更新回数情報133、152は、欠陥リストが更新された回数(すなわち、後述する格納部内で欠陥リストが更新された回数)を示してもよい。以降では、第1および第2の更新回数情報133、152は、更新された欠陥リストを第1の欠陥管理領域104に記録した回数を示すものとして説明する。
【0101】
アンカ126は、第Nの欠陥エントリ125に続いて配置される。欠陥リスト112のサイズは可変であるため、アンカ126が配置される位置も可変であることに留意されたい。
【0102】
次に、ヘッダ121、第1の欠陥エントリ122、アンカ126および未使用領域113について詳細に説明する。
【0103】
図2は、ヘッダ121、第1の欠陥エントリ122、アンカ126および未使用領域113の詳細なデータ構造図を示す。
【0104】
図2において、BPはビット位置を示し、Valは各BPに対応した値を2進数で表した値である。図2に示す例では、ヘッダ121、第1の欠陥エントリ122、アンカ126および未使用領域113のサイズは、いずれも8バイト(ビット位置0〜ビット位置63)であるとする。
【0105】
図2(a)はヘッダ121の例示的な構造である。この例では、欠陥リスト識別子131のビット位置62のみがVal=1であり、16進数で表すと0x4000である。
【0106】
図2(b)は第1の欠陥エントリ122の例示的な構造である。データ領域102において使用可能なセクタのうち最大セクタ番号を16進数で表すと0x07FFFFFFであるとする。第1の欠陥エントリ122の第1の欠陥位置情報141として登録される可能性のある最大値を16進数で表すと、図2(b)に示されるように0x07FFFFFFである。
【0107】
図2(c)はアンカ126の例示的な構造である。この例では、アンカ識別子151のビット位置59〜63すべてをVal=1とし、16進数で表すと0xFFFFである。
【0108】
図2(d)は未使用領域113の例示的な構造である。未使用領域113には、一般に、パディングデータ127が記録される。未使用領域113では、Val=0となる。図2(d)では、パディングデータとして0が記録されるが、パディングデータは、0に限定されない。
【0109】
欠陥リスト識別子131およびアンカ識別子151には、それぞれ、如何なる欠陥エントリや未使用領域113とも識別できる値が採用される。図2(c)に示すように、欠陥エントリや未使用領域113において絶対に1となることのないビット位置59〜63のいずれかをVal=1に設定する。
【0110】
同様に、図2(a)に示すように、欠陥エントリや未使用領域113において絶対に1となることのないビット位置59〜63のいずれかをVal=1に設定し、かつ、これらのビット位置59〜63をアンカ識別子151とも異なる値に設定すればよい。
【0111】
このような設定により、欠陥リスト識別子131は、アンカ識別子151、如何なる欠陥エントリおよび未使用領域113とも識別できる値となる。同様に、アンカ識別子151もまた、欠陥リスト識別子131、如何なる欠陥エントリおよび未使用領域113とも識別できる値となる。
【0112】
なお、図2に示される欠陥リスト識別子131およびアンカ識別子151の値は、単なる例示にすぎず、この値に限定されない。
【0113】
実施の形態1による光ディスク100は、欠陥リスト識別子131の内容とアンカ識別子151の内容とは、如何なる欠陥エントリおよび未使用領域113とも識別可能な値を有する。これにより、アンカ126に含まれるアンカ識別子151として任意の欠陥エントリを読み出したとしても、誤ってアンカ識別子151と判定することはない。したがって、欠陥リスト112の更新が正常に行われたか否かを容易に判定することができる。
【0114】
1ECCブロックごとにヘッダを付加する必要がないため、欠陥リストの更新の処理効率が向上する。欠陥エントリ間にヘッダが挟まれることはないので、欠陥エントリの検索、追加および削除等の処理を容易に行うことができる。
【0115】
以下の説明では、光ディスク100が図1のようなデータ構造であるものとして説明を行う。
【0116】
(2)再生/記録(更新)
図3は、本発明の実施の形態1による記録再生装置300のブロック図である。記録再生装置300は、実施の形態1による光ディスク100に情報を記録する、および/または、光ディスク100に記録された情報を再生する。
【0117】
記録再生装置300は、制御部301と、記録再生部302と、格納部303とを備える。
【0118】
制御部301は、記録再生部302の動作を制御する。制御部301は、例えば、CPUであり得る。制御部301は、光ディスク100の欠陥リスト112を識別する固有欠陥リスト識別子と、光ディスク100の欠陥リスト112のアンカ126を識別する固有アンカ識別子とを予め格納している。これらの固有欠陥リスト識別子および固有アンカ識別子の内容(値)は、正しい値であり、書き換えることができない。制御部301は、記録再生部302および格納部303を用いて、第1〜第4の欠陥管理領域104、105、108、109に記録されている欠陥リストのうち最新欠陥リストを特定する欠陥管理処理、および、第1〜第4の欠陥管理領域104、105、108、109に記録されている欠陥リストを最新欠陥リストに更新する欠陥管理処理の実行を制御する。
【0119】
記録再生部302は、光ディスク100に情報を記録する、および/または、光ディスク100に記録された情報を再生する。このような記録/再生は、例えば、レーザを発光して、光ディスク100に情報を信号として書き込む、および/または、情報記録媒体100に信号として書き込まれた情報を読み出すことによって行われる。
【0120】
格納部303は、光ディスク100に記録すべき情報を格納する、および/または、光ディスク100から再生された情報を格納する。格納部303は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)であり得る。格納部303には、光ディスク100の欠陥管理領域(例えば、第1の欠陥管理領域104)から再生された欠陥リスト112、または、欠陥管理領域に記録すべき最新欠陥リストを格納するための欠陥リスト領域が、制御部301によって確保されている。
【0121】
(2−1)最新欠陥リストを特定する欠陥管理処理
次に、記録再生装置300による、最新欠陥リストを特定する欠陥管理処理動作を説明する。
【0122】
制御部301は、欠陥管理処理を実行する。制御部301は、欠陥管理処理手順にしたがって、第1の欠陥管理領域104の先頭に配置されたディスク定義構造111の情報を再生し、再生されたディスク定義構造111の情報を格納部303に格納するように、記録再生部302に要求する。
【0123】
記録再生部302は、制御部301からの要求にしたがって、光ディスク100からディスク定義構造111の情報を再生し、格納部303に格納する。記録再生部302は、ディスク定義構造111の情報の再生および格納が完了したことを制御部301に報告する。
【0124】
制御部301は、記録再生部302から再生および格納の完了報告を受け取ると、格納部303に格納されたディスク定義構造111の情報に基づいて、光ディスク100が欠陥管理の施されたディスクであるかどうかを確認する。
【0125】
制御部301は、光ディスク100が欠陥管理の施されたディスクであることを確認すると、第1の欠陥管理領域104に記録された欠陥リスト112の固定位置(図1では、先頭)に配置されたヘッダ121を再生し、再生されたヘッダ121を格納部303に格納するように、記録再生部302に要求する。
【0126】
記録再生部302は、制御部301からの要求にしたがって、第1の欠陥管理領域104に記録された欠陥リスト112内の先頭に配置されたヘッダ121を再生し、再生されたヘッダ121を格納部303に格納する。記録再生部302は、ヘッダ121の再生および格納が完了したことを制御部301に報告する。
【0127】
制御部301は、記録再生部302から再生および格納の完了報告を受け取ると、自身に予め格納されている固有欠陥リスト識別子の内容と、格納部303に格納されたヘッダ121に含まれる欠陥リスト識別子131の内容とを比較し、格納された情報が欠陥リスト112内のヘッダ121であることを確認する。
【0128】
制御部301は、比較の結果が一致した場合には、格納された情報が欠陥リスト112内のヘッダ121であると判定し、欠陥管理処理を続行する。制御部301は、比較の結果が一致しない場合には、第1の欠陥管理領域104が更新に失敗した領域(異常な欠陥管理領域)であると判定し、欠陥管理処理を終了する。比較の結果が一致しない場合としては、例えば、第1の欠陥管理領域104自身に欠陥領域が存在し、情報を読み出すことができない場合等がある。
【0129】
制御部301は、第1の欠陥管理領域104に記録された欠陥リスト112内のアンカ126を識別するために、格納部303に格納されたヘッダ121に含まれる欠陥エントリ数132を用いて、欠陥リスト112内のアンカ126の先頭の位置を算出する。アンカ126の先頭の位置は、欠陥エントリ数132に固定値である1つの欠陥エントリのサイズを乗算することによって求められる。
【0130】
制御部301は、算出した位置に基づいて、欠陥リスト112内のアンカ126を再生し、再生されたアンカ126を格納部303に格納するように、記録再生部302に要求する。
【0131】
記録再生部302は、制御部301の要求にしたがって、欠陥リスト112内の指定された位置に存在する情報を再生し、再生された情報を格納部303に格納する。記録再生部302は、指定された位置に存在する情報の再生および格納が完了したことを制御部301に報告する。
【0132】
制御部301は、記録再生部302から再生および格納の完了報告を受け取ると、自身に予め格納されている固有アンカ識別子の内容と、格納部303に格納された情報のうち先頭に位置する情報の内容とを比較し、格納された情報が欠陥リスト112内のアンカ126であることを確認する。ここで、格納部303に格納された情報のうち先頭に位置する情報とは、アンカ126に含まれるアンカ識別子151と予想された情報である。
【0133】
制御部301は、比較の結果が一致した場合には、格納された情報が欠陥リスト112内のアンカ126であると判定し、欠陥管理処理を続行する。制御部301は、比較の結果が一致しない場合には、第1の欠陥管理領域104が更新に失敗した領域(異常な欠陥管理領域)であると判定し、欠陥管理処理を終了する。比較の結果が一致しない場合としては、欠陥エントリ数132を用いて算出した位置に存在する情報がアンカ126でない場合である。詳細には、例えば、欠陥リスト112の第1〜第Nの欠陥エントリ122〜125の更新時に、記録再生装置300の電源が落ちた場合である。この結果、ヘッダ121に含まれる欠陥エントリ数132と、第1〜第Nの欠陥エントリ122〜125の総数とが一致しなくなる。
【0134】
制御部301は、格納部303に格納されている、ヘッダ121に含まれる第1の更新回数情報133の内容と、アンカ126に含まれる第2の更新回数情報152の内容とを比較する。
【0135】
制御部301は、比較の結果が一致した場合には、第1の欠陥管理領域104は正常に更新された欠陥管理領域であると判定し、欠陥管理処理を続行する。
【0136】
制御部301は、比較の結果が一致しなかった場合には、第1の欠陥管理領域104が更新に失敗した領域(異常な欠陥管理領域)と判定し、欠陥管理処理を終了する。比較の結果が一致しない場合としては、例えば、欠陥リスト112の第1〜第Nの欠陥エントリ122〜125の更新時に、記録再生装置300の電源が落ち、更新が最後まで完了しない場合である。この結果、ヘッダ121に含まれる第1の更新回数情報133の内容と、アンカ126に含まれる第2の更新回数情報152の内容とが不一致となる。
【0137】
制御部301は、第2の欠陥管理領域105、第3の欠陥管理領域108および第4の欠陥管理領域109のそれぞれについても同様の処理を行う。
【0138】
制御部301は、第1〜第4欠陥管理領域104、105、108および109のそれぞれについて、欠陥管理領域が正常な欠陥管理領域であるか否かを確認した後、正常と判定された欠陥管理領域のうち最新の欠陥管理領域を特定する。制御部301は、正常と判定された欠陥管理領域に記録されている第1の更新回数情報133を互いに比較し、更新回数が最大である更新回数情報を有する欠陥管理領域を最新の欠陥管理領域として特定する。特定された最新の欠陥管理領域に記録されている欠陥リストが、最新欠陥リストとして特定される。
【0139】
なお、最新の欠陥管理領域を特定するために用いられる更新回数情報は、第1の更新回数情報133の代わりに、アンカ126に含まれる第2の更新回数情報152を用いてもよい。
【0140】
制御部301は、特定された最新の欠陥管理領域に記録された欠陥リストを再生し、再生された欠陥リストを予め格納部303に確保されている欠陥リスト領域に格納するように、記録再生部302に要求する。
【0141】
記録再生部302は、制御部301の要求にしたがって、特定された最新の欠陥管理領域に記録されている欠陥リストを再生し、再生された欠陥リストを格納部303の欠陥リスト領域に格納する。記録再生部302は、欠陥リストの再生および格納が完了したことを制御部301に報告する。
【0142】
このようにして、記録再生装置300による、最新欠陥リストを特定する欠陥管理処理動作は終了する。
【0143】
特定された最新欠陥リストを用いて、例えば、データ領域102に記録されたユーザデータを再生することができる。この場合、制御部301は、最新欠陥リストに基づいて、ユーザデータを再生し、再生されたユーザデータを格納部303に格納するように、記録再生部302に要求する。
【0144】
記録再生部302は、制御部301の要求にしたがって、データ領域102からユーザデータを再生し、再生されたユーザデータを格納部303に格納する。
【0145】
なお、特定された最新欠陥リストを用いて情報の記録を行ってもよい。
【0146】
図4は、本発明の実施の形態1による、最新欠陥リストを特定する欠陥管理処理手順を示す。欠陥管理処理は、制御部301によって実行される。以下、欠陥管理処理手順を各ステップごとに説明する。欠陥管理処理手順は、光ディスク100に欠陥管理が施されていることを確認した後に開始される。光ディスク100に欠陥管理が施されているかどうかは、光ディスク100のディスク定義構造111から判定される。
【0147】
ステップS401:ヘッダ121に含まれる欠陥リスト識別子131、欠陥エントリ数132および第1の更新回数情報133が再生される。再生された欠陥リスト識別子131の内容と固有欠陥リスト識別子の内容とを比較する。固有欠陥リスト識別子は、光ディスク100の欠陥リスト112を識別する。固有欠陥リスト識別子はまた、書き換えることのできない正しい値を有する。固有欠陥リスト識別子は、制御部301に予め格納され得る。比較の結果、欠陥リスト識別子131の内容と固有欠陥リスト識別子の内容とが一致する場合には、欠陥管理処理はステップS402に進む。比較の結果、欠陥リスト識別子131の内容と固有欠陥リスト識別子の内容とが一致しない場合には、欠陥管理処理はステップS406に進む。
【0148】
ステップS402:ステップS401において、欠陥リスト識別子131の内容と固有欠陥リスト識別子の内容とが一致すると判定されると、再生された情報が、欠陥リスト112内のヘッダ121であることが確認される。ヘッダ121に含まれる欠陥エントリ数132を用いて、欠陥リスト112内のアンカ126の先頭の位置が算出される。アンカ126の先頭の位置は、欠陥エントリ数132に固定値である1つの欠陥エントリのサイズを乗算することによって求められる。欠陥管理処理はステップS403に進む。
【0149】
ステップS403:ステップS402で得られた位置に基づいて、予想されるアンカ126に含まれるアンカ識別子151および第2の更新回数情報152が再生される。アンカ識別子151と予想される情報の内容と固有アンカ識別子の内容とを比較する。固有アンカ識別子は、欠陥リスト112のアンカを識別する。固有アンカ識別子はまた、書き換えることのできない正しい値を有する。固有アンカ識別子は、制御部301に予め格納され得る。比較の結果、アンカ識別子151の内容と固有アンカ識別子の内容とが一致すると判定されると、欠陥管理処理はステップS404に進む。比較の結果、アンカ識別子151の内容と固有アンカ識別子の内容とが一致しないと判定されると、欠陥管理処理はステップS406に進む。
【0150】
ステップS404:ステップS403においてアンカ識別子151と予想される情報の内容と固有アンカ識別子の内容とが一致した場合には、格納された情報が欠陥リスト112内のアンカ126であることが確認される。ヘッダ121に含まれる第1の更新回数情報133の内容とアンカ126に含まれる第2の更新回数情報152の内容とを比較する。比較の結果、第1の更新回数情報133の内容と第2の更新回数情報の内容152とが一致する場合には、欠陥管理処理はステップS405に進む。比較の結果、第1の更新回数情報133の内容と第2の更新回数情報の内容152とが一致しない場合には、欠陥管理処理はステップS406に進む。
【0151】
ステップS405:ステップS404において第1の更新回数情報133の内容と第2の更新回数情報152の内容とが一致した場合には、第1の欠陥管理領域104は、正常に更新された欠陥管理領域であると判定される。欠陥管理処理はステップS407に進む。
【0152】
ステップS406:ステップS401、ステップS403またはステップS404において、比較結果が一致しないと判定されると、第1の欠陥管理領域104が更新に失敗した領域(異常な欠陥管理領域)であると判定され、第1の欠陥管理領域104についての欠陥管理処理を終了する。欠陥管理処理はステップS407に進む。
【0153】
ステップS407:光ディスク100に存在するすべての欠陥管理領域について、ステップS401〜S406を行ったか否かを判定する。すべての欠陥管理領域についてステップS401〜S406を行っていない場合には、欠陥管理処理は再度ステップS401に戻る。すべての欠陥管理領域についてステップS401〜S406を行っている場合には、欠陥管理処理はステップS408に進む。
【0154】
ステップS408:最新欠陥リストが特定される。詳細には、正常と判定された欠陥管理領域のうち最新の欠陥管理領域が特定される。正常と判定された欠陥管理領域に記録されている第1の更新回数情報(または第2の更新回数情報)を互いに比較し、更新回数が最大である更新回数情報を有する欠陥管理領域を最新の欠陥管理領域として特定する。特定された最新の欠陥管理領域に記録されている欠陥リストが、最新欠陥リストとして特定される。
【0155】
ステップS401〜S408によって、光ディスク100の最新欠陥リストが特定されると、欠陥管理処理は終了する。ステップS408で得られた最新欠陥リストを用いて、例えば、データ領域102に記録されているユーザデータを再生することができる。
【0156】
(2−2)欠陥リストを更新する欠陥管理処理
再度図3を参照して、記録再生装置300による、欠陥リストを更新する欠陥管理処理動作を説明する。ここでは、ユーザデータを光ディスク100のデータ領域102に記録時にさらなる欠陥領域が検出されるか、または、データ領域102に記録されたユーザデータの再生時に、以前に欠陥領域と判定されたユーザ領域106の部分が正常な欠陥領域であると再度判定された場合に、欠陥リストが更新される例を説明する。本明細書において、「正常な欠陥領域」とは、以前に欠陥領域と判定された領域であるが、現時点で情報を記録すること、および/または、再生することができる欠陥のない領域を意味する。欠陥領域が正常な欠陥領域と再度判定される例を説明する。例えば、欠陥領域が光ディスクの表面上に存在する埃または指紋等の汚れに起因している場合である。この場合、ユーザが光ディスクの表面を拭いて、光ディスク上の埃または汚れが取り除かれることによって、埃または汚れの存在していた領域(以前に欠陥領域と判定された領域)は、記録/再生に用いることができる正常な領域として再度判定される。
【0157】
格納部303は、最新欠陥リストを格納している。最新欠陥リストは、格納部303の欠陥リスト領域に配置され得る。最新欠陥リストは、最新ヘッダと、P個の最新欠陥エントリ(Pは、P=NまたはP≠N、P≧0を満たす整数)と、最新アンカとを含む。実施の形態1では、最新ヘッダと、P個の最新欠陥エントリと、最新アンカとは、最新欠陥リスト内にこの順に配置されている。最新ヘッダは最新欠陥リスト内の固定位置に配置されている。最新アンカは、P個の最新欠陥エントリのうち第P番目の最新欠陥エントリに続いて配置されている。最新ヘッダは、最新欠陥リスト識別子と、第1の最新更新回数情報と、最新欠陥エントリ数Pとを含む。最新欠陥リスト識別子の内容は、制御部301に格納されている固有欠陥リスト識別子の内容と常に同じである。最新アンカは、最新アンカ識別子と、第1の最新更新回数情報と同じ内容を有する第2の最新更新回数情報とを含む。最新アンカ識別子の内容は、制御部301に格納されている固有アンカ識別子の内容と常に同じである。P個の最新欠陥エントリは、欠陥位置情報(欠陥セクタ番号)順に昇順に並んでいるとする。最新欠陥リストは、未使用領域を含み得る。なお、最新ヘッダは、必ずしも最新欠陥リスト識別子を含んでいなくてもよい。同様に、最新アンカは、必ずしも最新アンカ識別子を含んでいなくてもよい。
【0158】
上述の最新のヘッダと、P個の最新欠陥エントリと、最新アンカとの配置は、単なる例示に過ぎないことに留意されたい。最新欠陥リストにおける最新ヘッダと、P個の最新欠陥エントリと、最新アンカとの配置は、任意である。
【0159】
制御部301は、欠陥管理処理を実行する。制御部301は、さらなる欠陥領域がデータ領域102に存在するか、以前に欠陥領域と判定された欠陥領域が正常な欠陥領域であるか、または、そのいずれでもないかを判定するように、記録再生部302に要求する。さらなる欠陥領域の存在の有無の判定は、例えば、ユーザデータの記録直後に再生して得られる信号と、記録すべきユーザデータを示す信号とを比較して行われる。これらの信号が一致する場合には、ユーザデータはデータ領域102に正常に記録されたと判定される。これらの信号が一致しない場合には、ユーザデータはデータ領域102に正常に記録されず、データ領域102にさらなる欠陥領域が存在すると判定される。
【0160】
制御部301は、データ領域102にさらなる欠陥領域が存在する、または、欠陥領域が正常であると判定すると、格納部303に格納されている最新欠陥リストを更新する。
【0161】
具体的な最新欠陥リストの更新手順を説明する。更新手順には、3つの場合がある。すなわち▲1▼欠陥エントリの追加、▲2▼欠陥エントリの削除、および、▲3▼欠陥エントリの変更である。各場合ごとに説明する。
【0162】
▲1▼欠陥エントリの追加
さらなる欠陥領域がユーザ領域106に存在すると判定された場合には、さらなる欠陥領域の位置に関する位置情報を含む欠陥エントリが最新欠陥リストに追加される。制御部301は、検出された欠陥領域に関する欠陥位置情報に基づいて、追加されるべき欠陥エントリの位置を決定する。制御部301は、決定した位置以降に存在する他の欠陥エントリおよび最新アンカを未使用領域方向へずらし、決定した位置にさらなる欠陥領域に関する位置情報を含む欠陥エントリを追加する。これにより、P個の最新欠陥エントリは、P’個の欠陥エントリに更新される(P≠P’、P<P’)。
【0163】
制御部301は、欠陥エントリの追加にともなって、最新欠陥エントリ数PをP’に更新する。この場合、最新欠陥エントリ数は、追加された欠陥エントリの数(すなわち、検出された欠陥セクタ数)だけ増加する。
【0164】
制御部301は、P個の最新欠陥エントリおよび最新欠陥エントリ数Pが更新された後、最新ヘッダに含まれる第1の最新更新回数情報の内容、および、最新アンカに含まれる第2の最新更新回数情報の内容を1インクリメントさせる。
【0165】
▲2▼欠陥エントリの削除
以前に欠陥領域と判定された領域が正常な欠陥領域であると再度判定された場合には、制御部301は、正常と判定された欠陥領域の位置に関する位置情報を含む欠陥エントリを削除する。制御部301は、次いで、削除された欠陥エントリ以降に続く欠陥エントリおよび最新アンカを削除された欠陥エントリのサイズ分だけ最新ヘッダ方向へずらす。制御部301は、欠陥エントリを削除することによって欠陥エントリのサイズ分だけ増大した未使用領域にパディングデータ(例えば、0)を記録する。これにより、P個の最新欠陥エントリは、P’個の欠陥エントリとなる(P≠P’、P>P’)。
【0166】
制御部301は、欠陥エントリの削除にともなって、最新ヘッダに含まれる最新欠陥エントリ数PをP’に更新する。この場合、最新欠陥エントリ数は、削除された欠陥エントリの数(すなわち、正常と判定された欠陥セクタ数)だけ減少する。
【0167】
制御部301は、P個の最新欠陥エントリおよび最新欠陥エントリ数Pが更新された後、最新ヘッダに含まれる第1の最新更新回数情報の内容、および、最新アンカに含まれる第2の最新更新回数情報の内容を1インクリメントさせる。
【0168】
▲3▼欠陥エントリの変更
さらなる欠陥領域がスペア領域107に存在すると判定された場合には、制御部301は、最新欠陥リスト内のさらなる欠陥領域に相当する交替位置情報を書き換える。さらなる欠陥領域に相当する交替位置情報は、スペア領域107のさらなる欠陥領域以外の部分を示す交替位置情報に書き換えられる。
【0169】
この場合、欠陥エントリは最新欠陥リストに追加も削除もされないので、制御部301は、最新欠陥エントリ数PをP’(ただし、P=P’)に更新する。すなわち、P個の最新欠陥エントリは、P個の最新欠陥エントリのままとなる。ただし、含まれる交替位置情報は異なる。本明細書において、「欠陥リストの更新」には、欠陥リストに含まれる欠陥エントリ数を変更する場合に加えて、変更しない場合も含まれる。
【0170】
制御部301は、P個の最新欠陥エントリおよび最新欠陥エントリ数Pが更新された後、最新ヘッダに含まれる第1の最新更新回数情報の内容、および、最新アンカに含まれる第2の最新更新回数情報の内容を1インクリメントさせる。
【0171】
なお、▲1▼〜▲3▼のいずれの場合も、制御部301は、格納部303が格納している最新欠陥リストに対して行う。第1および第2の更新回数情報133、152が、更新された最新欠陥リストを第1の欠陥管理領域104に記録する回数を示す場合には、第1および第2の最新更新回数情報は、更新された最新欠陥リストが第1の欠陥管理領域104に記録される前に1回だけ、それぞれ1インクリメントされ得る。一方、第1および第2の更新回数情報133、152が、格納部303内で最新欠陥リストが更新された回数を示す場合には、最新欠陥エントリおよび最新欠陥エントリ数が更新されるたびに、第1および第2の最新更新回数情報は1インクリメントされ得る。
【0172】
制御部301は、格納部303において更新された最新欠陥リストを光ディスク100の第1の欠陥管理領域104に記録するように、記録再生部302に要求する。例えば、制御部301は、更新された最新ヘッダ、P’個の最新欠陥エントリ、最新アンカの順で第1の欠陥管理領域104に記録するように、記録再生部302に要求する。
【0173】
記録再生部302は、制御部301の要求にしたがって、更新された最新欠陥リストを第1の欠陥管理領域104に記録する。欠陥リスト112に代わる更新された最新欠陥リストは、ヘッダ121に代わる最新ヘッダ、第1〜第Nの欠陥エントリ122〜125に代わる最新欠陥エントリ、アンカ126に代わる最新アンカの順で第1の欠陥管理領域104に記録される。記録再生部302は、第1の欠陥管理領域104への更新された最新欠陥リストの記録が完了したことを報告する。
【0174】
制御部301は、格納部303において更新された最新欠陥リストを第2〜第4の欠陥管理領域105、108、109のそれぞれに記録するように、記録再生部302に要求する。ここでもやはり、制御部301は、更新された最新ヘッダ、最新欠陥エントリ、最新アンカの順で第2〜第4の欠陥管理領域105、108、109のそれぞれに記録するように、記録再生部302に要求する。
【0175】
記録再生部302は、制御部301の要求にしたがって、更新された最新欠陥リストを第2〜第4の欠陥管理領域105、108、109のそれぞれに記録する。
【0176】
このようにして、記録再生装置300による、欠陥管理処理が実行される。
【0177】
更新された最新欠陥リストの記録順序は、上述の最新ヘッダ、P’個の最新欠陥エントリ、最新アンカの順に限定されない。ヘッダ121と、N個の欠陥エントリ122〜125と、アンカ126とが、欠陥リスト112内にこの順に配置されている限り、制御部301は、更新された最新アンカ、P’個の最新欠陥エントリ、最新ヘッダの順で第1〜第4の欠陥管理領域104、105、108、109のそれぞれに記録するように、記録再生部302に要求し、記録再生部302は、制御部301の要求にしたがって、更新された最新欠陥リストを第1〜第4の欠陥管理領域104、105、108、109のそれぞれに記録してもよい。
【0178】
図5は、本発明の実施の形態1による、欠陥リストを更新する欠陥管理処理手順を示す。欠陥管理処理は、制御部301によって実行される。以下、欠陥管理記録手順を各ステップごとに説明する。
【0179】
ステップS501:さらなる欠陥領域がデータ領域102に存在するか、以前に欠陥領域と判定された領域が正常な欠陥領域であるか、または、そのいずれでもないかを判定する。さらなる欠陥領域がデータ領域102に存在する、または、以前に欠陥領域と判定された領域が正常な欠陥領域であると判定されると、欠陥管理処理はステップS502に進む。いずれでもないと判定されると、欠陥管理処理は、終了する。このような判定は、例えば、ユーザデータをデータ領域102に記録する際、および、データ領域102に記録されたユーザデータを再生する際に行われる。
【0180】
ステップS502:最新欠陥エントリおよび最新欠陥エントリ数Pを更新する。P個の最新欠陥エントリがP’個の欠陥エントリに更新され、最新欠陥エントリ数PがP’に更新される。
【0181】
詳細には、ユーザ領域106にさらなる欠陥領域が存在すると判定されると、最新欠陥リスト内にさらなる欠陥エントリが追加される。次いで、最新欠陥エントリ数が追加された欠陥エントリの数だけ増加される(この場合、P≠P’、P<P’)。
【0182】
スペア領域107にさらなる欠陥領域が存在すると判定されると、最新欠陥リスト内のさらなる欠陥領域に相当する交替位置情報を書き換える。さらなる欠陥領域に相当する交替位置情報は、スペア領域107のさらなる欠陥領域以外の部分を示す交替位置情報に書き換えられる。最新欠陥エントリ数は変更されない(この場合、P=P’)。
【0183】
以前に欠陥領域と判定された領域が正常な欠陥領域であると再度判定された場合には、正常と判定された欠陥領域の位置に関する位置情報を含む欠陥エントリを削除する。次いで、最新欠陥エントリ数は、削除された欠陥エントリの数(すなわち、正常と判定された欠陥領域数(セクタ数))だけ減少される(この場合、P≠P’、P>P’)。
【0184】
最新欠陥エントリおよび最新欠陥エントリ数Pが更新されると、欠陥管理処理はステップS503へ進む。
【0185】
ステップS503:第1および第2の最新更新回数情報をそれぞれ1インクリメントする。次いで、欠陥管理処理はステップS504へ進む。
【0186】
ステップS504:ステップS502およびステップS503において更新された最新欠陥リストを光ディスク100の第1の欠陥管理領域104に記録する。例えば、更新された最新ヘッダ、P’個の最新欠陥エントリ、最新アンカの順で第1の欠陥管理領域104に記録する。次いで、欠陥管理処理はステップS505へ進む。なお、ヘッダ121と、N個の欠陥エントリ122〜125と、アンカ126とが、欠陥リスト112内にこの順に配置されている限り、更新された最新アンカ、P’個の最新欠陥エントリ、最新ヘッダの順で第1の欠陥管理領域104に記録してもよい。
【0187】
ステップS505:光ディスク100のすべての欠陥管理領域(この場合、第1〜第4の欠陥管理領域104、105、108、109)に更新された最新欠陥リストが記録されているかどうかを判定する。光ディスク100のすべての欠陥管理領域に更新された最新欠陥リストが記録されている場合には、欠陥管理処理を終了する。光ディスク100のすべての欠陥管理領域に更新された最新欠陥リストが記録されていない場合には、欠陥管理処理は、ステップS504に戻る。
【0188】
上述したように、最新欠陥リストにおける最新ヘッダと、P個の最新欠陥エントリと、最新アンカとの配置は、任意である。この場合、更新された最新欠陥リストは、次のようにして光ディスク100の第1〜第4の欠陥管理領域104、105、108、109にそれぞれ記録される。更新された最新ヘッダがヘッダ121の位置に配置されるように、更新されたP’個の最新欠陥エントリが欠陥エントリ122〜125の位置に配置されるように、更新された最新アンカがアンカ126の位置に配置されるように、更新された最新ヘッダ、P’個の最新欠陥エントリ、最新アンカの順、または、更新された最新アンカ、P’個の最新欠陥エントリ、最新ヘッダの順のいずれかの順で、第1〜第4の欠陥管理領域104、105、108、109にそれぞれ記録される。
【0189】
上述の説明では、更新された最新欠陥リストが記録される対象は、図1に示される光ディスク100である(すなわち、光ディスクは欠陥管理されている)ものとして説明してきた。次に、光ディスクが工場出荷直後の初期状態の場合の、(更新された)最新欠陥リストの記録について説明する。
【0190】
初期状態の光ディスクは、例えば、図1に示される欠陥リスト112が情報を有していない点を除いて、図1に示される構造と同様であるとする。このような光ディスクには、欠陥リストを識別する欠陥リスト識別子およびその欠陥リストのアンカを識別するアンカ識別子が記録されていない。したがって、最新欠陥リストが最新欠陥リスト識別子および最新アンカ識別子を含んでいない場合、初期状態の光ディスクに対しては、最新欠陥リストを記録する欠陥管理処理は、最新欠陥リストを欠陥管理領域に記録することに加えて、欠陥リスト識別子およびアンカ識別子を欠陥管理領域に記録する必要がある。最新欠陥リストが最新欠陥リスト識別子および最新アンカ識別子を含んでいる場合は、図5を参照して説明したとおりであるため、詳述しない。
【0191】
制御部301は、格納部303に格納されている最新欠陥リストを光ディスクの欠陥管理領域に記録し、かつ、制御部301自身に予め格納されている固有欠陥リスト識別子および固有アンカ識別子を光ディスクの欠陥管理領域に記録するように、記録再生部302に要求する。詳細には、固有欠陥リスト識別子は、ヘッダ121の先頭に位置するように欠陥管理領域に記録される。固有アンカ識別子は、アンカ126の先頭に位置するように欠陥管理領域に記録される。この場合、欠陥エントリ数132および第1〜第Nの欠陥エントリ122〜125に相当する、最新欠陥リストの最新欠陥エントリ数および最新欠陥エントリとして、任意の値がそれぞれ記録される。第1および第2の最新更新回数情報には、いずれも、例えば、0または1が記録される。なお、第1および第2の更新回数情報として記録する値は、ともに同じ値であり、かつ、初期状態の光ディスクに対して1回のみ記録が行われたことを識別できる値である限り、任意である。
【0192】
欠陥リスト識別子およびアンカ識別子の欠陥管理領域への記録方法は、上述の方法に限定されない。例えば、格納部303に格納されている最新欠陥リストの最新ヘッダの先頭位置に、制御部301に予め格納されている固有欠陥リスト識別子を最新欠陥リスト識別子として付与する。同様に、最新欠陥リストの最新アンカの先頭位置に、制御部301に予め格納されている固有アンカ識別子を最新アンカ識別子として付与する。初期状態の光ディスクに対する欠陥管理処理として、このようにして得られた最新欠陥リスト識別子および最新アンカ識別子を含む最新欠陥リストを欠陥管理領域に記録してもよい。
【0193】
この欠陥管理処理は、図5のステップS504およびS505で行われる。
【0194】
次に、実施の形態1の光ディスク100を用いた場合に、欠陥管理領域の更新がうまくいったか否かが確実に判定されることを3つの異なる更新状態を用いて説明する。
【0195】
(具体例1:欠陥エントリが追加された場合)
図6は、(a)更新前の欠陥リストと、(b)正常に更新された欠陥リスト、および、(c)更新に失敗した欠陥リストとのデータ構造図を示す。
【0196】
図6は、ユーザ領域106に1つのさらなる欠陥領域(欠陥セクタ)が検出され、1つの欠陥エントリが追加される場合である。欠陥エントリの追加は、図3および図5を参照して説明したとおりである。
【0197】
図6(a)は欠陥リストの更新が行われる前の欠陥リストのデータ構造を表す。図6(a)に示される欠陥リストは、図1における欠陥リスト112の状態と同一である。ここで、欠陥リストは、第1の欠陥エントリ、…、第Nの欠陥エントリを含む。欠陥エントリ数はNであり、第1の更新回数情報および第2の更新回数情報の内容はそれぞれMである。
【0198】
図6(b)は正常に欠陥リストの更新(欠陥エントリの追加)が行われた後の欠陥リストのデータ構造を表す。1つの欠陥エントリが欠陥リストに正常に追加されると、欠陥リストは、第1の欠陥エントリ、…、第Nの欠陥エントリ、第N+1の欠陥エントリを含む。図6(a)と比べて、欠陥エントリは1つ増加しており、欠陥エントリ数はNからN+1に更新されている。第1の更新回数情報および第2の更新回数情報の内容は、それぞれ、MからM+1に更新されている。
【0199】
欠陥エントリの追加にともなって、アンカの配置位置は、図6(a)に示されるアンカの配置位置から、追加された欠陥エントリのサイズ分だけ未使用領域側にずれている。アンカが配置されている位置を算出するためには、ヘッダに含まれる欠陥エントリ数N+1と1つの欠陥エントリのサイズとを乗算し、ヘッダにおける最終位置から乗算結果分だけ未使用領域側へと進んだ位置として求められ得る。このとき、算出された位置から読み出した情報と、制御部301自身が予め格納している固有アンカ識別子の値とは一致する。これにより、アンカを読み出せたことが確認される。さらに、第1の更新回数情報の内容と第2の更新回数情報の内容とは一致する。これにより、この欠陥リストは正常に更新されものであると判定できる。
【0200】
図6(c)は、欠陥リストの更新が途中で失敗した場合の欠陥リストのデータ構造を表す。図6(c)は、欠陥リストの更新途中で記録再生装置300の電源が切れるなどの原因で、アンカを記録する前に更新が失敗した場合を示す。図6(c)では、欠陥リストは、更新前の図6(a)と同様に第1の欠陥エントリ、…、第Nの欠陥エントリを含む。欠陥リストは図6(a)と同じ欠陥エントリを含むが、欠陥エントリ数はNからN+1に更新されている。第1の更新回数情報の内容もまた、MからM+1に更新されている。しかしながら、第2の更新回数情報の内容は、図6(a)と同様にMのままである。この場合、ヘッダに含まれる欠陥エントリ数N+1と1つの欠陥エントリのサイズを乗算した結果を用いて算出した位置に、アンカは存在しない。このとき、アンカの位置として算出した位置から読み出した情報は、未使用領域に記録された、情報として意味を持たないパディングデータ(図6(c)では、0)である。したがって、アンカの位置として読み出した情報は、制御部301が予め格納している固有アンカ識別子の値と異なるので、更新に失敗した欠陥リストであると判定できる。
【0201】
(具体例2:欠陥エントリが削除された場合)
図7は、(a)更新前の欠陥リストと、(b)正常に更新された欠陥リスト、および、(c)更新に失敗した欠陥リストとのデータ構造図を示す。
【0202】
図7は、以前に欠陥領域と判定された領域が正常な欠陥領域であると再度判定された際に、正常と判定された欠陥領域の位置に関する位置情報を含む欠陥エントリを削除する例である。欠陥エントリの削除は、図3および図5を参照して説明したとおりである。
【0203】
図7(a)は欠陥リストの更新が行われる前の欠陥リストのデータ構造を表す。図7(a)に示される欠陥リストは、図1における欠陥リスト112の状態と同一である。
【0204】
図7(b)は正常に欠陥エントリの削除が行われた後の欠陥リストのデータ構造を表す。1つの欠陥エントリが欠陥リストから正常に削除されると、欠陥リストは、第1の欠陥エントリ、…、第N−1の欠陥エントリを含む。図7(a)と比べて、欠陥エントリは1つ減少しており、欠陥エントリ数はNからN−1に更新されている。第1の更新回数情報および第2の更新回数情報の内容は、それぞれ、MからM+1に更新されている。
【0205】
欠陥エントリの削除にともなって、アンカの配置位置は、図7(a)に示されるアンカの配置位置から、削除された欠陥エントリのサイズ分だけヘッダ側にずれている。アンカが配置されている位置を算出するためには、具体例1と同様に、ヘッダに含まれる欠陥エントリ数N−1と1つの欠陥エントリのサイズとを乗算し、ヘッダにおける最終位置から乗算結果分だけ未使用領域側へと進んだ位置として求められる。算出された位置から読み出した情報と、制御部301自身が予め格納している固有アンカ識別子の値とは一致する。これにより、アンカを読み出せたことが確認される。さらに、第1の更新回数情報の内容と第2の更新回数情報の内容とは一致する。これにより、この欠陥リストは正常に更新されものであると判定できる。
【0206】
図7(c)は、欠陥リストの更新が途中で失敗した場合の欠陥リストのデータ構造を表す。図7(c)は、欠陥リストの更新途中で記録再生装置300の電源が切れるなどの原因で、アンカを記録する前に更新が失敗した場合を示す。図7(c)では、欠陥リストは、更新前の図7(a)と同様に第1の欠陥エントリ、…、第Nの欠陥エントリを含む。欠陥エントリは、図7(a)と同じであるが、欠陥エントリ数はNからN−1に更新されている。第1の更新回数情報の内容もまた、MからM+1に更新されている。しかしながら、第2の更新回数情報の内容は、図7(a)と同様にMのままである。この場合、ヘッダに含まれる欠陥エントリ数N−1と1つの欠陥エントリのサイズを乗算した結果を用いて算出した位置に、アンカは存在しない。このとき、アンカの位置として算出した位置から読み出した情報は、第Nの欠陥エントリに含まれる第Nの欠陥位置情報である。制御部301に予め格納されている固有アンカ識別子の値は、図2を参照して説明したように、欠陥リスト識別子、欠陥エントリ、パディングデータのいずれとも異なる。したがって、偶然にも、第Nの欠陥位置情報の内容と固有アンカ識別子の値とが一致してしまい、この欠陥リストが正常に更新されたと誤って判定することはない。
【0207】
(具体例3:欠陥エントリが変更された場合)
図8は、(a)更新前の欠陥リストと、(b)正常に更新された欠陥リスト、および、(c)更新に失敗した欠陥リストとのデータ構造図を示す。
【0208】
図8では、第N−1の欠陥位置情報によって示される欠陥領域(欠陥セクタ)の交替領域(交替セクタ)として使用していたスペア領域107の部分にさらなる欠陥領域が存在する。その結果、第N−1の欠陥エントリにおける交替位置情報が変化する。欠陥エントリの変更は、図3および図5を参照して説明したとおりである。
【0209】
図8(a)は欠陥リストの更新が行われる前の欠陥リストのデータ構造を表す。図8(a)に示される欠陥リストは、図1における欠陥リスト112の状態と同一である。
【0210】
図8(b)は正常に欠陥リストの変更(交替位置情報の変更)が行われた後の欠陥リストのデータ構造を表す。欠陥エントリの追加も削除も行われないので、欠陥リストは、図8(a)と同様に、第1の欠陥エントリ、…、第Nの欠陥エントリを含む。欠陥エントリ数もまた、図8(a)と同様に、Nである。第1の更新回数情報の内容と第2の更新回数情報の内容とは、それぞれ、MからM+1に更新される。
【0211】
したがって、更新後にアンカが配置される位置は、更新前にアンカが配置されていた位置と同じである。アンカが配置されている位置を算出するためには、具体例1と同様に、ヘッダに含まれる欠陥エントリ数Nと1つの欠陥エントリのサイズとを乗算し、ヘッダにおける最終位置から乗算結果分だけ未使用領域側へと進んだ位置として求められる。算出された位置から読み出した情報と、制御部301自身が予め格納している固有アンカ識別子の値とは一致する。これにより、アンカを読み出せたことが確認される。さらに、第1の更新回数情報の内容と第2の更新回数情報の内容とは一致する。これにより、この欠陥リストは正常に更新されものであると判定できる。
【0212】
図8(c)は、欠陥リストの更新が途中で失敗した場合の欠陥リストのデータ構造を表す。図8(c)は、欠陥リストの更新途中で記録再生装置300の電源が切れるなどの原因で、アンカを記録する前に更新が失敗した場合を示す。図8(c)では、欠陥リストは、更新前の図8(a)と同様に第1の欠陥エントリ、…、第Nの欠陥エントリを含む。欠陥エントリ数は、図8(a)と同様にNである。第1の更新回数情報の内容は、MからM+1に更新されている。しかしながら、第2の更新回数情報の内容は、図8(a)と同様にMのままである。この場合、ヘッダに含まれる欠陥エントリ数Nと1つの欠陥エントリのサイズを乗算した結果を用いて算出した位置は、アンカの正しい位置となる。しかしながら、第1の更新回数情報の内容と第2の更新回数情報の内容とは異なるので、この欠陥リストが正常に更新されたと誤って判定することはない。
【0213】
なお、本実施の形態1では、ヘッダ121は欠陥リスト識別子131を有するものとして説明を行ってきた。しかしながら、ヘッダ121は光ディスク100の物理的に決まった位置に配置されるため、必ずしも欠陥リスト識別子131を含んでいなくてもよい。欠陥リスト識別子131がない場合も実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0214】
以上説明してきたように、本発明の実施の形態1によれば、情報記録媒体100は、ユーザデータを記録するためのデータ領域102と、データ領域102に存在するN個の欠陥領域(Nは、N≧0を満たす整数)を管理する欠陥リストを記録するための欠陥管理領域104、105、108、109とを備える。欠陥リスト112は、ヘッダ121と、N個の欠陥領域のそれぞれの位置に関する位置情報をそれぞれ含むN個の欠陥エントリと、アンカ126とを含む。ヘッダ121と、N個の欠陥エントリと、アンカ126とは、欠陥リスト112内にこの順に配置される。
【0215】
これにより、欠陥リスト112のサイズは可変となる。検出された欠陥領域(欠陥セクタ)の数に応じて、欠陥リスト112のサイズが可変となるので、欠陥領域の数が少ない場合には、欠陥リスト112のサイズは小さくなる。すなわち、欠陥リスト112が少ないECCサイズ(例えば、1ECCサイズ)に収まる。欠陥リスト112のサイズが小さいと、欠陥管理領域に欠陥リスト112を記録する際の記録時間が短くなり、処理速度が向上する。欠陥管理領域における欠陥リスト112を除く残りのECCブロック(未使用領域)に欠陥領域が存在するとしても、その欠陥管理領域は、正常な欠陥管理領域として処理され得る。したがって、その欠陥管理領域を正常に再生することができる。
【0216】
本発明の実施の形態1によれば、情報記録媒体100のヘッダ121は、欠陥リスト112を識別する欠陥リスト識別子131と、欠陥リスト112の更新回数を示す第1の更新回数情報133と、欠陥エントリの個数を示す欠陥エントリ数132とを含み、アンカ126は、欠陥リスト112のアンカを識別するアンカ識別子151と、欠陥リスト112の更新回数を示す第2の更新回数情報152とを含む。
【0217】
これにより、欠陥リスト112のサイズが1ECCサイズに収まらないサイズであっても、1ECCブロックごとにヘッダを付加する必要がないため、欠陥リスト112の更新の処理効率が向上する。欠陥エントリ間にヘッダが挟まれることはないので、欠陥エントリの検索、追加および削除等の処理を容易に行うことができる。
【0218】
また、アンカ識別子151の内容は、欠陥リスト識別子131、欠陥エントリ数132、第1の更新回数情報133、欠陥エントリ、第2の更新回数情報152の内容のいずれとも異なるため、欠陥エントリを削除した場合であっても、アンカ識別子151として誤って読み出された情報の内容と固有アンカ識別子の内容とは一致することはないので、欠陥リスト112の更新が正常に行われたと誤った判断をすることはない。
【0219】
(実施の形態2)
(1)情報記録媒体
図9は、実施の形態2による情報記録媒体900のデータ構造図を示す。
【0220】
情報記録媒体(光ディスク)900は、例えば、書換型光ディスクであり得る。光ディスク900には、1ECCブロック単位のエラー訂正が施されるものとする。ECCブロックとは、光ディスクにおけるエラー訂正の単位である。このECCブロックのサイズを以下では1ECCサイズと呼ぶ。光ディスク900への情報の記録・更新は1ECCブロックずつ行われるものとする。
【0221】
図9の光ディスク900のデータ構造は、欠陥管理領域にN個(NはN≧0を満たす整数)の欠陥領域に関する位置情報を記録した後の正常なデータ構造を示す。欠陥領域は、例えば、欠陥セクタである。
【0222】
光ディスク900は、ユーザデータが記録されるデータ領域902と、記録再生装置(図示せず)が光学ヘッド(図示せず)の移動によりオーバーランした場合の緩衝領域としての役割を果たすリードイン領域901およびリードアウト領域903とを含む。
【0223】
データ領域902は、ユーザデータを記録するユーザ領域906と、スペア領域907とを含む。ユーザ領域906に欠陥領域(例えば、欠陥セクタ)が存在する場合、その欠陥領域に記録されるべきユーザデータが、欠陥領域に相当するユーザ領域906の部分の代わりにスペア領域907に記録される。
【0224】
リードイン領域901は、データ領域902に存在する欠陥領域を管理するための情報が記録される第1の欠陥管理領域904と第2の欠陥管理領域905とを含む。
【0225】
リードアウト領域903は、リードイン領域901と同様に、データ領域902に存在する欠陥領域を管理するための情報が記録される第3の欠陥管理領域908と第4の欠陥管理領域909とを含む。
【0226】
第1の欠陥管理領域904、第2の欠陥管理領域905、第3の欠陥管理領域908および第4の欠陥管理領域909は、それぞれ、光ディスク900内の物理的に特定の位置に配置される。
【0227】
第1の欠陥管理領域904、第2の欠陥管理領域905、第3の欠陥管理領域908および第4の欠陥管理領域909には、同じ欠陥管理のための情報が多重記録される。これは、実施の形態1で上述したように、第1の欠陥管理領域904、第2の欠陥管理領域905、第3の欠陥管理領域908および第4の欠陥管理領域909に記録されている情報それ自身を欠陥管理の対象とすることができないためである。つまり、これら第1の欠陥管理領域904、第2の欠陥管理領域905、第3の欠陥管理領域908および第4の欠陥管理領域909のうちいずれかに欠陥領域が存在して、正常に再生することができないとしても、4つの欠陥管理領域のうち少なくとも1つでも欠陥領域が存在しない欠陥管理領域があれば、そこに記録されている欠陥管理のための情報を正常に再生することができる。したがって、ユーザデータを失うことなく、信頼性が向上する。実施の形態2では、光ディスク900は、4つの欠陥管理領域904、905、908、909を有するが、欠陥管理領域の数は、光ディスク900が少なくとも1つの欠陥管理領域を有する限り、任意である。
【0228】
第1の欠陥管理領域904には、ディスク定義構造911と、データ領域902に存在するN個の欠陥領域(Nは、N≧0を満たす整数)を管理する欠陥リスト912とが記録される。
【0229】
ディスク定義構造911は、光ディスク900が欠陥管理を施されているディスクかどうか等のディスク構造を示す情報である。この情報はまたスペア領域907に関する情報も含む。ディスク定義構造911は、第1の欠陥管理領域904内の物理的に特定の位置に配置される。ディスク定義構造911のサイズはまた、所定のサイズである。
【0230】
欠陥リスト912は、ヘッダ921と、第1の欠陥エントリ922、第2の欠陥エントリ923、…、第N−1の欠陥エントリ924および第Nの欠陥エントリ925と、欠陥リスト912内の固定位置に配置されるアンカ927とを含む。欠陥リスト912は、実施の形態1とは異なり、未使用領域926を含む。ヘッダ921と、第1〜第Nの欠陥エントリ922〜925と、アンカ927とは、欠陥リスト912内にこの順に配置される。
【0231】
実施の形態2において、欠陥リスト912のサイズは、4ECCであるとする。欠陥リスト912のサイズは、4ECCに限定されず、任意のサイズである。
【0232】
ヘッダ921は、欠陥リスト912を識別する欠陥リスト識別子931と、欠陥リスト912に含まれる欠陥エントリの個数を示す欠陥エントリ数932と、更新された欠陥リストが第1の欠陥管理領域904に記録された回数を示す第1の更新回数情報933とを含む。図9において、欠陥エントリ数932はN(NはN≧0を満たす整数)であり、第1の更新回数情報933の内容はM(MはM≧0を満たす整数)である。欠陥リスト識別子931は、例えば、図9に示されるようにヘッダ921の先頭に配置され得る。
【0233】
ヘッダ921は、物理的に決まった位置に配置される。実施の形態2では、ヘッダ921は、欠陥リスト912の先頭に配置されている。しかしながら、欠陥リスト912内のヘッダ921の位置は、ヘッダ921と、第1〜第Nの欠陥エントリ922〜925と、アンカ927とが、欠陥リスト912内にこの順に配置される限り任意である。
【0234】
図9に示す光ディスク900の場合、欠陥エントリ数932がNであることから、欠陥リスト912中には第1の欠陥エントリ922、・・・、第Nの欠陥エントリ925が存在する。第1の欠陥エントリ922は、欠陥領域の位置に関する位置情報である第1の欠陥位置情報941と、スペア領域907における欠陥領域の代わりの部分の位置に関する位置情報である第1の交替位置情報942とを含む。第2の欠陥エントリ923についても同様に、第2の欠陥位置情報および第2の交替位置情報を含む。以下、第N−1の欠陥エントリ924および第Nの欠陥エントリ925についても同様である。ここで、第1の欠陥位置情報941および第1の交替位置情報942は一般的にセクタ番号である。
【0235】
欠陥エントリは、一般的に、含まれる欠陥位置情報が昇順となるように配置される。詳細には、例えば、欠陥位置情報がセクタ番号の場合には、セクタ番号が最小である欠陥位置情報を第1の欠陥位置情報941として第1の欠陥エントリに配置する。以下、順次セクタ番号順に行われる。セクタ番号が最大である欠陥位置情報を第Nの欠陥位置情報として第Nの欠陥エントリ925に配置する。
【0236】
なお、欠陥リスト912中の欠陥エントリは、必ずしも昇順に配置されなくてもよい。例えば、欠陥エントリは、セクタ番号が降順となるように配置されていてもよい。あるいは、欠陥エントリは、ランダムに配置されていてもよい。
【0237】
未使用領域926には、現時点では意味を有さない情報が記録される。未使用領域926には、一般に、パディングデータ952(例えば、0)が記録される。ユーザ領域906において新たな欠陥領域が検出されると、新たな欠陥領域を管理するための欠陥エントリが、欠陥リストに912に追加される。これにともなって、追加された欠陥エントリのサイズだけ未使用領域926のサイズが減少することになる。
【0238】
アンカ927は、更新された欠陥リストが第1の欠陥管理領域904に記録された回数を示す第2の更新回数情報951を含む。図9において、第2の更新回数情報951の内容はM(MはM≧0を満たす整数)であり、第1の更新回数情報933と同じ内容を有する。第1の欠陥管理領域904の更新が正常に行われている限り、第1の更新回数情報933の内容と第2の更新回数情報951の内容とは同一である。
【0239】
本明細書において、第1および第2の更新回数情報933、951は、更新された欠陥リストを第1の欠陥管理領域904に記録した回数(すなわち、光ディスク900において欠陥リスト912が更新され、記録された回数)を示すが、第1および第2の更新回数情報933、951は、欠陥リストが更新された回数(すなわち、後述する格納部内で欠陥リストが更新された回数)を示してもよい。以降では、第1および第2の更新回数情報933、951は、更新された欠陥リストを第1の欠陥管理領域904に記録した回数を示すものとして説明する。
【0240】
アンカ927は、実施の形態1とは異なり、欠陥リスト912内の固定位置に配置される。アンカ927は、好ましくは、ヘッダ921が配置されている位置から一意に決まる位置に配置される。実施の形態2では、アンカ927は、欠陥リスト912の最終位置、すなわち第1の欠陥管理領域904の最終位置に配置される。欠陥リスト912のサイズは4ECCサイズで固定であるので、アンカ927は、欠陥リスト912における先頭から4ECCブロックの最終位置に配置される。しかしながら、アンカ927は、ヘッダ921と、第1〜第Nの欠陥エントリ922〜925と、アンカ927とが、欠陥リスト912内にこの順に配置される限り、欠陥リスト912内の任意の位置に固定される。
【0241】
実施の形態2による光ディスク900では、アンカ927が欠陥リスト912内の物理的に固定位置に配置される。ヘッダ921は第1の更新回数情報933を含み、アンカ927は第2の更新回数情報951を含む。アンカ927の位置が固定であるため、確実に、第1の更新回数情報933の内容と第2の更新回数情報951の内容とが比較される。したがって、欠陥リスト912の更新が正常に行われたか否かを容易に判断することができる。
【0242】
以下の説明では、光ディスク900が図9のようなデータ構造であるものとして説明を行う。
【0243】
(2)再生/記録(更新)
実施の形態2による光ディスク900に情報を記録する、および/または、光ディスク900に記録された情報を再生するために、図3に示される記録再生装置300が用いられる。実施の形態1と異なる点は、実施の形態2では、記録再生装置300の制御部301は、光ディスク900の欠陥リスト912を識別する固有欠陥リスト識別子のみを格納している点である。この固有欠陥リスト識別子の内容(値)は、正しい値であり、書き換えることができない。図3の記録再生装置300の構成の説明は、実施の形態1で詳述したため省略する。
【0244】
(2−1)最新欠陥リストを特定する欠陥管理処理
次に、再度図3を参照して、記録再生装置300による最新欠陥リストを特定する欠陥管理処理動作を説明する。
【0245】
制御部301は、欠陥管理処理を実行する。制御部301は、欠陥管理処理手順にしたがって、第1の欠陥管理領域904の先頭に配置されたディスク定義構造911の情報を再生し、再生されたディスク定義構造911の情報を格納部303に格納するように、記録再生部302に要求する。
【0246】
記録再生部302は、制御部301からの要求にしたがって、光ディスク900からディスク定義構造911の情報を再生し、格納部303に格納する。記録再生部302は、ディスク定義構造911の情報の再生および格納が完了したことを制御部301に報告する。
【0247】
制御部301は、記録再生部302から再生および格納の完了報告を受け取ると、格納部303に格納されたディスク定義構造911の情報に基づいて、光ディスク900が欠陥管理の施されたディスクであるかどうかを確認する。
【0248】
制御部301は、光ディスク900が欠陥管理の施されたディスクであることを確認すると、第1の欠陥管理領域904に記録された欠陥リスト912の固定位置(図9では、先頭)に配置されたヘッダ921を再生し、再生されたヘッダ921を格納部303に格納するように、記録再生部302に要求する。
【0249】
記録再生部302は、制御部301からの要求にしたがって、第1の欠陥管理領域904に記録された欠陥リスト912内の先頭に配置されたヘッダ921を再生し、再生されたヘッダ921を格納部303に格納する。記録再生部302は、ヘッダ921の再生および格納が完了したことを制御部301に報告する。
【0250】
制御部301は、記録再生部302からの再生および格納の完了報告を受け取ると、自身に予め格納されている固有欠陥リスト識別子の内容と、格納部303に格納されたヘッダ921に含まれる欠陥リスト識別子931の内容とを比較し、格納された情報が欠陥リスト912内のヘッダ921であることを確認する。
【0251】
制御部301は、比較の結果が一致した場合には、格納された情報が欠陥リスト912内のヘッダ921であると判定し、欠陥管理処理を続行する。制御部301は、比較の結果が一致しない場合には、第1の欠陥管理領域904が更新に失敗した領域(異常な欠陥管理領域)であると判定し、欠陥管理処理を終了する。比較の結果が一致しない場合としては、例えば、第1の欠陥管理領域904自身に欠陥領域が存在し、情報を読み出すことができない場合等がある。
【0252】
制御部301は、第1の欠陥管理領域904における第1の更新回数情報933の内容と、第2の更新回数情報951の内容とを確認するために、欠陥リスト912内の固有位置(図9では、欠陥リスト912の先頭から4ECCブロックの最終位置)に配置されているアンカ927を再生し、再生されたアンカ927を格納部303に格納するように、記録再生部302に要求する。
【0253】
記録再生部302は、制御部301の要求にしたがって、欠陥リスト912内の指定された位置に存在するアンカ927を再生し、再生されたアンカ927を格納部303に格納する。記録再生部302は、アンカ927の再生および格納が完了したことを制御部301に報告する。
【0254】
制御部301は、格納部303に格納されている、ヘッダ921に含まれる第1の更新回数情報933の内容と、アンカ927に含まれる第2の更新回数情報951の内容とを比較する。
【0255】
制御部301は、比較の結果が一致した場合には、第1の欠陥管理領域904は正常に更新された欠陥管理領域であると判定し、欠陥管理処理を続行する。
【0256】
制御部301は、比較の結果が一致しなかった場合には、第1の欠陥管理領域904が更新に失敗した領域(異常な欠陥管理領域)と判定し、欠陥管理処理を終了する。比較の結果が一致しない場合としては、例えば、欠陥リスト912の第1〜第Nの欠陥エントリ922〜925の更新時に、記録再生装置300の電源が落ち、更新が最後まで完了しない場合である。この結果、ヘッダ921に含まれる第1の更新回数情報933の内容と、アンカ927に含まれる第2の更新回数情報951の内容とが不一致となる。
【0257】
制御部301は、第2の欠陥管理領域905、第3の欠陥管理領域908および第4の欠陥管理領域909のそれぞれについても同様の処理を行う。
【0258】
制御部301は、第1〜第4欠陥管理領域904、905、908および909のそれぞれについて、欠陥管理領域が正常な欠陥管理領域であるか否かを確認した後、正常と判定された欠陥管理領域のうち最新の欠陥管理領域を特定する。制御部301は、正常と判定された欠陥管理領域に記録されている第1の更新回数情報933を互いに比較し、更新回数が最大である更新回数情報を有する欠陥管理領域を最新の欠陥管理領域として特定する。特定された最新の欠陥管理領域に記録されている欠陥リストが、最新欠陥リストとして特定される。
【0259】
なお、最新の欠陥管理領域を特定するために用いられる更新回数情報は、第1の更新回数情報933の代わりに、アンカ927に含まれる第2の更新回数情報951を用いてもよい。
【0260】
制御部301は、特定された最新の欠陥管理領域に記録された欠陥リストを再生し、再生された欠陥リストを予め格納部303に確保されている欠陥リスト領域に格納するように、記録再生部302に要求する。
【0261】
記録再生部302は、制御部301の要求にしたがって、特定された最新の欠陥管理領域に記録されている欠陥リストを再生し、再生された欠陥リストを格納部303の欠陥リスト領域に格納する。記録再生部302は、欠陥リストの再生および格納が完了したことを制御部301に報告する。
【0262】
このようにして、記録再生装置300による、最新欠陥リストを特定する欠陥管理処理動作は終了する。
【0263】
特定された最新欠陥リストを用いて、例えば、データ領域902に記録されたユーザデータを再生することができる。この場合、制御部301は、最新欠陥リストに基づいて、ユーザデータを再生し、再生されたユーザデータを格納部303に格納するように、記録再生部302に要求する。
【0264】
記録再生部302は、制御部301の要求にしたがって、データ領域902からユーザデータを再生し、再生されたユーザデータを格納部303に格納する。
【0265】
なお、特定された最新欠陥リストを用いて情報の記録を行ってもよい。
【0266】
図10は、本発明の実施の形態2による、最新欠陥リストを特定する欠陥管理処理手順を示す。欠陥管理処理は、制御部301によって実行される。以下、欠陥管理処理手順を各ステップごとに説明する。欠陥管理処理手順は、光ディスク900に欠陥管理が施されていることを確認した後に開始される。光ディスク900に欠陥管理が施されているかどうかは、光ディスク900のディスク定義構造911から判定される。
【0267】
ステップS1001:ヘッダ921に含まれる欠陥リスト識別子931、欠陥エントリ数932および第1の更新回数情報933が再生される。再生された欠陥リスト識別子931の内容と固有欠陥リスト識別子の内容とを比較する。固有欠陥リスト識別子は、光ディスク900の欠陥リスト912を識別する。固有欠陥リスト識別子はまた、書き換えることのできない正しい値を有する。固有欠陥リスト識別子は、制御部301に予め格納され得る。比較の結果、欠陥リスト識別子931の内容と固有欠陥リスト識別子の内容とが一致する場合には、欠陥管理処理はステップS1002に進む。比較の結果、欠陥リスト識別子931の内容と固有欠陥リスト識別子の内容とが一致しない場合には、欠陥管理処理はステップS1003に進む。
【0268】
ステップS1002:ステップS1001において、欠陥リスト識別子931の内容と固有欠陥リスト識別子の内容とが一致すると、再生された情報が、欠陥リスト912内のヘッダ921であることが確認される。欠陥リスト912内の固定の位置(図9では、欠陥リスト912の先頭から4ECCブロックの最終位置)に配置されているアンカ927を再生する。ヘッダ921に含まれる第1の更新回数情報933の内容とアンカ927に含まれる第2の更新回数情報951の内容とを比較する。比較の結果、第1の更新回数情報933の内容と第2の更新回数情報951の内容とが一致する場合には、欠陥管理再生処理はステップS1004に進む。比較の結果、第1の更新回数情報933の内容と第2の更新回数情報951の内容とが一致しない場合には、欠陥管理処理はステップS1003に進む。
【0269】
ステップS1003:ステップS1001において欠陥リスト識別子931の内容と固有欠陥リスト識別子の内容とが一致しないと判定されるか、または、ステップS1002において第1の更新回数情報933の内容と第2の更新回数情報951の内容とが一致しないと判定されると、第1の欠陥管理領域904が更新に失敗した領域(異常な欠陥管理領域)であると判定され、第1の欠陥管理領域904についての欠陥管理処理を終了する。欠陥管理処理はステップS1005に進む。
【0270】
ステップS1004:ステップS1002において第1の更新回数情報933の内容と第2の更新回数情報951の内容とが一致した場合には、第1の欠陥管理領域904は、正常に更新された欠陥管理領域であると判定される。欠陥管理再生処理はステップS1005に進む。
【0271】
ステップS1005:光ディスク900に存在するすべての欠陥管理領域について、ステップS1001〜S1004を行ったか否かを判定する。すべての欠陥管理領域についてステップS1001〜S1004を行っていない場合には、欠陥管理処理は再度ステップS1001に戻る。すべての欠陥管理領域についてステップS1001〜S1004を行っている場合には、欠陥管理処理はステップS1006に進む。
【0272】
ステップS1006:最新欠陥リストが特定される。詳細には、正常と判定された欠陥管理領域のうち最新の欠陥管理領域が特定される。正常と判定された欠陥管理領域に記録されている第1の更新回数情報(または第2の更新回数情報)を互いに比較し、更新回数が最大である更新回数情報を有する欠陥管理領域を最新の欠陥管理領域として特定する。特定された最新の欠陥管理領域に記録されている欠陥リストが、最新欠陥リストとして特定される。
【0273】
ステップS1001〜S1006によって、光ディスク900の最新欠陥リストが特定されると、欠陥管理処理は終了する。ステップS1006で得られた最新欠陥リストを用いて、例えば、データ領域902に記録されているユーザデータを再生することができる。
【0274】
(2−2)欠陥リストを更新する欠陥管理処理
再度図3を参照して、記録再生装置300による、欠陥リストを更新する欠陥管理処理動作を説明する。ここでは、ユーザデータを光ディスク900のデータ領域902に記録時にさらなる欠陥領域が検出されるか、または、データ領域902に記録されたユーザデータの再生時に、以前に欠陥領域と判定されたユーザ領域906の部分が正常な欠陥領域であると再度判定された場合に、欠陥リストが更新される例を説明する。本明細書において、「正常な欠陥領域」とは、以前に欠陥領域と判定された領域であるが、現時点で情報を記録すること、および/または、再生することができる欠陥のない領域を意味する。欠陥領域が正常な欠陥領域と再度判定される例を説明する。例えば、欠陥領域が光ディスクの表面上に存在する埃または指紋等の汚れに起因している場合である。この場合、ユーザが光ディスクの表面を拭いて、光ディスク上の埃または汚れが取り除かれることによって、埃または汚れの存在していた領域(以前に欠陥領域と判定された領域)は、記録/再生に用いることができる正常な領域として再度判定される。
【0275】
ここで、格納部303は、最新欠陥リストを格納している。最新欠陥リストは、格納部303の欠陥リスト領域に配置され得る。最新欠陥リストは、最新ヘッダと、P個の最新欠陥エントリ(Pは、P=NまたはP≠N、P≧0を満たす整数)と、最新アンカとを含む。最新ヘッダと、P個の最新欠陥エントリと、最新アンカとは、最新欠陥リスト内にこの順に配置される。最新ヘッダは最新欠陥リスト内の固定位置に配置されている。最新アンカもまた、最新欠陥リスト内の固定位置に配置されている。最新ヘッダは、最新欠陥リスト識別子と、第1の最新更新回数情報と、最新欠陥エントリ数Pとを含む。最新欠陥リスト識別子の内容は、制御部301に格納されている固有欠陥リスト識別子の内容と常に同じである。最新アンカは、第1の最新更新回数情報と同じ内容を有する第2の最新更新回数情報を含む。P個の最新欠陥エントリは、欠陥位置情報(欠陥セクタ番号)順に昇順に並んでいるとする。最新欠陥リストはまた、未使用領域を含み得る。なお、最新ヘッダは、必ずしも最新欠陥リスト識別子を含んでいなくてもよい。
【0276】
上述の最新ヘッダと、P個の最新欠陥エントリと、最新アンカとの配置は、単なる例示に過ぎないことに留意されたい。最新欠陥リストにおける最新ヘッダと、P個の最新欠陥エントリと、最新アンカとの配置は、任意である。
【0277】
制御部301は、欠陥管理処理を実行する。制御部301は、さらなる欠陥領域がデータ領域902に存在するか、以前に欠陥領域と判定された欠陥領域が正常な領域であるか、または、そのいずれでもないかを判定するように、記録再生部302に要求する。データ領域902におけるさらなる欠陥領域の存在の有無の判定は、例えば、ユーザデータの記録直後に再生して得られる信号と、記録すべきユーザデータを示す信号とを比較して行われる。これらの信号が一致する場合には、ユーザデータはデータ領域902に正常に記録されたと判定される。これらの信号が一致しない場合には、ユーザデータはデータ領域902に正常に記録されず、データ領域902にさらなる欠陥領域が存在すると判定される。
【0278】
制御部301は、データ領域902にさらなる欠陥領域が存在する、または、欠陥領域が正常であると判定すると、格納部303に格納されている最新欠陥リストを更新する。
【0279】
具体的な最新欠陥リストの更新手順を説明する。更新手順には、3つの場合がある。すなわち▲1▼欠陥エントリの追加、▲2▼欠陥エントリの削除、および、▲3▼欠陥エントリの更新である。各場合ごとに説明する。
【0280】
▲1▼欠陥エントリの追加
さらなる欠陥領域がユーザ領域906に存在すると判定された場合には、さらなる欠陥領域の位置に関する位置情報を含む欠陥エントリが最新欠陥リストに追加される。制御部301は、検出された欠陥領域に関する欠陥位置情報に基づいて、追加されるべき欠陥エントリの位置を決定する。制御部301は、決定した位置以降に存在する他の欠陥エントリを未使用領域方向へずらし、決定した位置にさらなる欠陥領域に関する位置情報を含む欠陥エントリを追加する。これにより、P個の最新欠陥エントリは、P’個の欠陥エントリに更新される(P≠P’、P<P’)。
【0281】
制御部301は、欠陥エントリの追加にともなって、最新欠陥エントリ数PをP’に更新する。この場合、最新欠陥エントリ数は、追加された欠陥エントリの数(すなわち、検出された欠陥セクタ数)だけ増加する。
【0282】
制御部301は、P個の最新欠陥エントリおよび最新欠陥エントリ数Pが更新された後、最新ヘッダに含まれる第1の最新更新回数情報の内容、および、最新アンカに含まれる第2の最新更新回数情報の内容を1インクリメントさせる。
【0283】
▲2▼欠陥エントリの削除
以前に欠陥領域と判定された領域が正常な欠陥領域であると再度判定された場合には、制御部301は、正常と判定された欠陥領域の位置に関する位置情報を含む欠陥エントリを削除する。制御部301は、次いで、削除された欠陥エントリ以降に続く欠陥エントリを削除された欠陥エントリのサイズ分だけ最新ヘッダ方向へずらす。制御部301は、欠陥エントリを削除することによって欠陥エントリのサイズ分だけ増大した未使用領域にパディングデータ(例えば、0)を記録する。これにより、P個の最新欠陥エントリは、P’個の欠陥エントリとなる(P≠P’、P>P’)。
【0284】
制御部301は、欠陥エントリの削除にともなって、最新ヘッダに含まれる最新欠陥エントリ数を更新する。この場合、最新欠陥エントリ数は、削除された欠陥エントリの数(すなわち、正常と判定された欠陥セクタ数)だけ減少する。
【0285】
制御部301は、P個の最新欠陥エントリおよび最新欠陥エントリ数Pが更新された後、最新ヘッダに含まれる第1の最新更新回数情報の内容、および、最新アンカに含まれる第2の最新更新回数情報の内容を1インクリメントさせる。
【0286】
▲3▼欠陥エントリの変更
この場合は、実施の形態1における欠陥エントリの変更と同一であるため説明を省略する。
【0287】
なお、▲1▼〜▲3▼のいずれの場合も、制御部301は、格納部303が格納している最新欠陥リストに対して行う。実施の形態1と同様に、第1および第2の更新回数情報933、951が、更新された最新欠陥リストを第1の欠陥管理領域904に記録する回数を示す場合には、第1および第2の最新更新回数情報は、更新された最新欠陥リストが第1の欠陥管理領域904に記録される前に1回だけ、それぞれ1インクリメントされ得る。一方、第1および第2の更新回数情報933、951が、格納部303内で最新欠陥リストが更新された回数を示す場合には、最新欠陥エントリおよび最新欠陥エントリ数が更新されるたびに、第1および第2の最新更新回数情報は1インクリメントされ得る。
【0288】
制御部301は、格納部303において更新された最新欠陥リストを光ディスク900の第1の欠陥管理領域904に記録するように、記録再生部302に要求する。例えば、制御部301は、更新された最新ヘッダ、P’個の最新欠陥エントリ、最新アンカの順で第1の欠陥管理領域904に記録するように、記録再生部302に要求する。
【0289】
記録再生部302は、制御部301の要求にしたがって、更新された最新欠陥リストを第1の欠陥管理領域904に記録する。欠陥リスト912に代わる更新された最新欠陥リストは、ヘッダ921に代わる最新ヘッダ、第1〜第Nの欠陥エントリ922〜925に代わる最新欠陥エントリ、アンカ927に代わる最新アンカの順で第1の欠陥管理領域904に記録される。記録再生部302は、第1の欠陥管理領域904への更新された最新欠陥リストの記録が完了したことを報告する。実施の形態1と異なり、実施の形態2の光ディスク900では、アンカ927が固定位置(すなわち、欠陥リスト912の先頭から4ECCブロックの最終位置)に配置される。したがって、欠陥リスト912内にヘッダ921のサイズと欠陥エントリのサイズとを合わせたサイズが1ECCサイズに収まる場合であっても、1ECCブロックと、最新アンカが配置される4ECCブロックとの少なくとも2ECCブロック分の記録を行う必要がある。
【0290】
制御部301は、格納部303において更新された最新欠陥リストを第2〜第4の欠陥管理領域905、908、909のそれぞれに記録するように、記録再生部302に要求する。ここでもやはり、制御部301は、更新された最新ヘッダ、最新欠陥エントリ、最新アンカの順で第2〜第4の欠陥管理領域905、908、909のそれぞれに記録するように、記録再生部302に要求する。
【0291】
記録再生部302は、制御部301の要求にしたがって、更新された最新欠陥リストを第2〜第4の欠陥管理領域905、908、909のそれぞれに記録する。
【0292】
このようにして、制御部301による欠陥管理処理が実行される。
【0293】
更新された最新欠陥リストの記録順序は、上述の最新ヘッダ、P’個の最新欠陥エントリ、最新アンカの順に限定されない。ヘッダ921と、N個の欠陥エントリ922〜925と、アンカ927とが、欠陥リスト912内にこの順に配置されている限り、制御部301は、更新された最新アンカ、P’個の最新欠陥エントリ、最新ヘッダの順で第1〜第4の欠陥管理領域904、905、908、909のそれぞれに記録するように、記録再生部302に要求し、記録再生部302は、制御部301の要求にしたがって、更新された最新欠陥リストを第1〜第4の欠陥管理領域904、905、908、909のそれぞれに記録してもよい。
【0294】
再度図5を参照して、本発明の実施の形態2による、欠陥リストを更新する欠陥管理処理手順を示す。欠陥管理処理は、制御部301によって実行される。ステップS501〜S503およびS505は、実施の形態1と同一であるため説明を省略する。
【0295】
ステップS504:更新された最新欠陥リストを光ディスク900の第1の欠陥管理領域904に記録する。例えば、更新された最新ヘッダ、P’個の最新欠陥エントリ、最新アンカの順で第1の欠陥管理領域904に記録する。ヘッダ921と、N個の欠陥エントリ922〜925と、アンカ927とが、欠陥リスト912内にこの順に配置されている限り、更新された最新アンカ、P’個の最新欠陥エントリ、最新ヘッダの順で第1の欠陥管理領域904に記録してもよい。実施の形態2の光ディスク900では、アンカ927は、欠陥リスト912内の固定位置(図9では、欠陥リスト912の先頭から4ECCブロックの最終位置)に配置された情報である。したがって、欠陥リスト912内にヘッダ921のサイズと欠陥エントリのサイズとを合わせたサイズが1ECCサイズに収まる場合であっても、1ECCブロックと、最新アンカが配置される4ECCブロックとの少なくとも2ECCブロック分の記録を行う。
【0296】
上述したように、最新欠陥リストにおける最新ヘッダと、P個の最新欠陥エントリと、最新アンカとの配置は、任意である。この場合、更新された最新欠陥リストは、次のようにして光ディスク900の第1〜第4の欠陥管理領域904、905、908、909にそれぞれ記録される。更新された最新ヘッダがヘッダ921の位置に配置されるように、更新されたP個の最新欠陥エントリが欠陥エントリ922〜925の位置に配置されるように、更新された最新アンカがアンカ927の位置に配置されるように、更新された最新ヘッダ、P個の最新欠陥エントリ、最新アンカの順、または、更新された最新アンカ、P’個の最新欠陥エントリ、最新ヘッダの順のいずれかの順で、第1〜第4の欠陥管理領域904、905、908、909にそれぞれ記録される。
【0297】
上述の説明では、更新された最新欠陥リストが記録される対象は、図9に示される光ディスク900である(すなわち、光ディスクは欠陥管理されている)ものとして説明してきた。次に、光ディスクが工場出荷直後の初期状態の場合の、(更新された)最新欠陥リストの記録について説明する。
【0298】
初期状態の光ディスクは、例えば、図9に示される欠陥リスト912が情報を有していない点を除いて、図9に示される構造と同様であるとする。このような光ディスクには、欠陥リストを識別する欠陥リスト識別子が記録されていない。したがって、最新欠陥リストが最新欠陥リスト識別子を含んでいない場合、初期状態の光ディスクに対しては、最新欠陥リストを記録する欠陥管理処理は、最新欠陥リストを欠陥管理領域に記録することに加えて、欠陥リスト識別子を欠陥管理領域に記録する必要がある。最新欠陥リストが最新欠陥リスト識別子を含んでいる場合には、図5を参照して説明したとおりであるため、詳述しない。
【0299】
制御部301は、格納部303に格納されている最新欠陥リストを光ディスクの欠陥管理領域に記録し、かつ、制御部301自身に予め格納されている固有欠陥リスト識別子を光ディスクの欠陥管理領域に記録するように、記録再生部302に要求する。詳細には、固有欠陥リスト識別子は、ヘッダ921の先頭に位置するように欠陥管理領域に記録される。この場合、欠陥エントリ数932および第1〜第Nの欠陥エントリ922〜925にそれぞれ相当する、最新欠陥リストの最新欠陥エントリ数および最新欠陥エントリとして、任意の値が記録される。第1および第2の最新更新回数情報には、いずれも、例えば、0または1が記録される。なお、第1および第2の更新回数情報として記録する値は、ともに同じ値であり、かつ、初期状態の光ディスクに対して1回のみ記録が行われたことを識別できる値である限り、任意である。
【0300】
欠陥リスト識別子の欠陥管理領域への記録方法は、上述の方法に限定されない。例えば、格納部303に格納されている最新欠陥リストの最新ヘッダの先頭位置に、制御部301に予め格納されている固有欠陥リスト識別子を最新欠陥リスト識別子として付与する。初期状態の光ディスクに対する欠陥管理処理として、このようにして得られた最新欠陥リスト識別子を含む最新欠陥リストを欠陥管理領域に記録してもよい。
【0301】
この欠陥管理処理は、図5のステップS504およびS505で行われる。
【0302】
次に、実施の形態2の光ディスク900を用いた場合に、欠陥管理領域の更新がうまくいったか否かが確実に判定されることを以下に説明する。
【0303】
(具体例1:欠陥エントリが追加された場合)
図11は、(a)更新前の欠陥リストと、(b)正常に更新された欠陥リスト、および、(c)更新に失敗した欠陥リストとのデータ構造図を示す。
【0304】
図11は、ユーザ領域906に1つのさらなる欠陥領域(欠陥セクタ)が検出され、1つの欠陥エントリが追加される場合である。欠陥エントリの追加は、図3および図5を参照して説明したとおりである。
【0305】
図11(a)は欠陥リストの更新が行われる前の欠陥リストのデータ構造を表す。図11(a)に示される欠陥リストは、図9における欠陥リスト912の状態と同一である。ここで、欠陥リストは、第1の欠陥エントリ、…、第Nの欠陥エントリを含む。欠陥エントリ数はNであり、第1の更新回数情報および第2の更新回数情報の内容はそれぞれMである。
【0306】
図11(b)は正常に欠陥リストの更新(欠陥エントリの追加)が行われた後の欠陥リストのデータ構造を表す。1つの欠陥エントリが欠陥リストに正常に追加されると、欠陥リストは、第1の欠陥エントリ、…、第Nの欠陥エントリ、第N+1の欠陥エントリを含む。図11(a)と比べて、欠陥エントリは1つ増加しており、欠陥エントリ数はNからN+1に更新されている。第1の更新回数情報および第2の更新回数情報の内容は、それぞれ、MからM+1に更新されている。
【0307】
欠陥エントリの追加にともなって、追加された欠陥エントリのサイズ分だけ未使用領域のサイズが減少するが、アンカの配置位置は固定である。第1の更新回数情報の内容と第2の更新回数情報の内容とは一致する。これにより、この欠陥リストは正常に更新されものであると判定できる。
【0308】
図11(c)は、欠陥リストの更新が途中で失敗した場合の欠陥リストのデータ構造を表す。図11(c)は、欠陥リストの更新途中で記録再生装置300の電源が切れるなどの原因で、アンカを記録する前に更新が失敗した場合を示す。図11(c)では、欠陥リストは、更新前の図11(a)と同様に第1の欠陥エントリ、…、第Nの欠陥エントリを含む。欠陥リストは図11(a)と同じ欠陥エントリを含むが、欠陥エントリ数はNからN+1に更新されている。第1の更新回数情報もまた、MからM+1に更新されている。しかしながら、第2の更新回数情報の内容は、図11(a)と同様にMのままである。第1の更新回数情報の内容と第2の更新回数情報の内容とが異なるので、更新に失敗した欠陥リストであると判定できる。
【0309】
欠陥エントリが変更された場合および欠陥エントリが削除された場合も同様に、第1の更新回数情報の内容と第2の更新回数情報の内容とを比較することによって、欠陥リストの更新が正常に行われたか否かを判定することができる。
【0310】
なお、本実施の形態2では、アンカ927は第2の更新回数情報951のみを有するものとして説明を行ってきた。しかしながら、本実施の形態1のように、欠陥リスト912のアンカを識別するアンカ識別子を含んでいてもよい。この場合も実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0311】
なお、本実施の形態2では、ヘッダ921は欠陥リスト識別子931を有するものとして説明を行ってきたが、ヘッダ921は物理的に決まった位置に配置されるため、必ずしも欠陥リスト識別子931を含んでいなくてもよい。この場合も実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0312】
以上説明してきたように、本発明の実施の形態2によれば、情報記録媒体900は、ユーザデータを記録するためのデータ領域902と、データ領域902に存在するN個の欠陥領域(Nは、N≧0を満たす整数)を管理する欠陥リストを記録するための欠陥管理領域904、905、908、909とを備える。欠陥リスト912は、ヘッダ921と、N個の欠陥領域のそれぞれの位置に関する位置情報をそれぞれ含むN個の欠陥エントリと、欠陥リスト912内の固定位置に配置されるアンカ927とを含む。ヘッダ921は第1の更新回数情報933を含み、アンカ927は第2の更新回数情報951を含む。
【0313】
アンカ927が、常に固定の位置に配置されているため、アンカ927として誤って他の情報を再生することはない。つまり、第1の更新回数情報933の内容と第2の更新回数情報951の内容とを確実に比較することができる。したがって、欠陥リスト912の更新が正常に行われたか否かを容易に判断できる。
【0314】
アンカ927が、常に固定の位置に配置されているため、アンカ927を再生する際に、実施の形態1に示されるアンカ927の位置を算出し、算出された位置にアンカ927が存在するか否かを確認する必要がない。したがって、欠陥管理処理が、簡素化・高速化され得る。
【0315】
欠陥リスト912のサイズが1ECCサイズに収まらないサイズであっても、1ECCブロックごとにヘッダを付加する必要がないため、欠陥リスト912の更新の処理効率が向上する。欠陥エントリ間にヘッダが挟まれることはないので、欠陥エントリの検索、追加および削除等の処理を容易に行うことができる。
【0316】
【発明の効果】
上述してきたように、本発明による情報記録媒体は、ユーザデータを記録するためのデータ領域と、データ領域に存在するN個の欠陥領域(Nは、N≧0を満たす整数)を管理する欠陥リストを記録するための欠陥管理領域とを備える。欠陥リストは、ヘッダと、N個の欠陥領域のそれぞれの位置に関する位置情報をそれぞれ含むN個の欠陥エントリと、アンカとを含む。ヘッダと、N個の欠陥エントリと、アンカとは、欠陥リスト内にこの順で配置される。これにより、欠陥リストのサイズが可変となるので、欠陥リストのサイズに応じて処理速度が向上する。
【0317】
本発明による情報記録媒体によれば、ヘッダは、欠陥リストを識別する欠陥リスト識別子と、欠陥リストの更新回数を示す第1の更新回数情報と、欠陥エントリの個数を示す欠陥エントリ数とを含む。アンカは、欠陥リストのアンカを識別するアンカ識別子と、欠陥リストの更新回数を示す第2の更新回数情報とを含む。欠陥リストのサイズが1ECCサイズに収まらないサイズであっても、1ECCブロックごとにヘッダを付加する必要がないため、欠陥リスト112の更新の処理効率が向上する。さらに、欠陥エントリ間にヘッダが挟まれることはないので、欠陥エントリの検索、追加および削除等の処理を容易に行うことができる。
【0318】
また、アンカ識別子の内容は、欠陥リスト識別子、欠陥エントリ数、第1の更新回数情報、欠陥エントリ、第2の更新回数情報の内容のいずれとも異なるため、欠陥エントリが削除された場合であっても、アンカ識別子として誤って読み出された情報の内容と固有アンカ識別子の内容とは一致することはないので、欠陥リストの更新が正常に行われたと誤った判断をすることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1による情報記録媒体100のデータ構造図
【図2】ヘッダ121、第1の欠陥エントリ122、アンカ126および未使用領域113の詳細なデータ構造図
【図3】本発明の実施の形態1による記録再生装置300のブロック図
【図4】本発明の実施の形態1による、最新欠陥リストを特定する欠陥管理処理手順
【図5】本発明の実施の形態1による、欠陥リストを更新する欠陥管理処理手順
【図6】本発明の実施の形態1による、欠陥エントリを追加することによって欠陥リストが更新される場合の、(a)更新前の欠陥リストと、(b)正常に更新された欠陥リスト、および、(c)更新に失敗した欠陥リストとのデータ構造図
【図7】本発明の実施の形態1による、欠陥エントリを削除することによって欠陥リストが更新される場合の、(a)更新前の欠陥リストと、(b)正常に更新された欠陥リスト、および、(c)更新に失敗した欠陥リストとのデータ構造図
【図8】本発明の実施の形態1による、欠陥エントリを変更することによって欠陥リストが更新される場合の、(a)更新前の欠陥リストと、(b)正常に更新された欠陥リスト、および、(c)更新に失敗した欠陥リストとのデータ構造図
【図9】実施の形態2による情報記録媒体900のデータ構造図
【図10】本発明の実施の形態2による、最新欠陥リストを特定する欠陥管理処理手順
【図11】本発明の実施の形態2による、欠陥エントリを追加することによって欠陥リストが更新される場合の、(a)更新前の欠陥リストと、(b)正常に更新された欠陥リスト、および、(c)更新に失敗した欠陥リストとのデータ構造図
【図12】DVD−RAM規格による情報記録媒体1200のデータ構造図
【図13】SDL1212の詳細なデータ構造図
【図14】4ECCサイズであるSDL1400のデータ構造図
【図15】従来技術による別の情報記録媒体1500のデータ構造図
【図16】図15に示す情報記録媒体1500のSDL1501の(a)更新前の欠陥リストと、(b)正常に更新された欠陥リスト、および、(c)更新に失敗した欠陥リストとのデータ構造図
【符号の説明】
100 光ディスク
101 リードイン領域
102 データ領域
103 リードアウト領域
104 第1の欠陥管理領域
105 第2の欠陥管理領域
108 第3の欠陥管理領域
109 第4の欠陥管理領域
106 ユーザ領域
107 スペア領域
111 ディスク定義構造
112 欠陥リスト
113 未使用領域
121 ヘッダ
122、123、124、125 欠陥エントリ
126 アンカ
131 欠陥リスト識別子
132 欠陥エントリ数
133 第1の更新回数情報
152 第2の更新回数情報
141 第1の欠陥位置情報
142 第2の交替位置情報
151 アンカ識別子
Claims (2)
- ユーザデータを記録するためのデータ領域と、前記データ領域に存在するN個の欠陥領域(Nは、N≧0を満たす整数)を管理する欠陥リストを記録するための欠陥管理領域とを備えた情報記録媒体であって、
前記欠陥リストは、
前記欠陥リスト内の固定位置に配置されるヘッダと、
前記N個の欠陥領域のそれぞれの位置に関する位置情報をそれぞれ含むN個の欠陥エントリと、
アンカと
を含み、
前記ヘッダと、前記N個の欠陥エントリと、前記アンカとは、前記欠陥リスト内にこの順に配置されており、
前記ヘッダは、
前記欠陥リストを識別する欠陥リスト識別子と、
前記欠陥リストの更新回数を示す第1の更新回数情報と、
前記N個の欠陥エントリの個数を示す欠陥エントリ数と
を含み、
前記アンカは、
前記欠陥リストのアンカを識別するアンカ識別子と、
前記欠陥リストの更新回数を示す第2の更新回数情報と
を含み、
前記アンカ識別子は、前記欠陥エントリの値とは異なる値を有する、情報記録媒体。 - 情報記録媒体に情報を記録する記録装置であって、前記情報記録媒体は、ユーザデータを記録するためのデータ領域と、前記データ領域に存在するN個の欠陥領域(Nは、N≧0を満たす整数)を管理する欠陥リストを記録するための欠陥管理領域とを備え、
前記記録装置は、
前記欠陥リストを記録する欠陥リスト記録手段
を備え、
前記欠陥リスト記録手段は、
前記欠陥リスト内の固定位置にヘッダを記録するヘッダ記録手段と、
前記ヘッダに続けて、前記N個の欠陥領域のそれぞれの位置に関する位置情報をそれぞれ含むN個の欠陥エントリを記録する欠陥エントリ記録手段と、
前記N個の欠陥エントリに続けて、アンカを記録するアンカ記録手段と
を備え、
前記ヘッダは、前記欠陥リストを識別する欠陥リスト識別子と、前記欠陥リストの更新回数を示す第1の更新回数情報と、前記N個の欠陥エントリの個数を示す欠陥エントリ数とを含み、前記アンカは、前記欠陥リストのアンカを識別するアンカ識別子と、前記欠陥リストの更新回数を示す第2の更新回数情報とを含み、
前記アンカ識別子は、前記欠陥エントリの値とは異なる値を有する、
記録装置。
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