JP4625593B2 - 光ファイバ多点物理量計測システム - Google Patents

光ファイバ多点物理量計測システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ等の光伝送手段を媒体とした光波長多重通信のために開発されてきた光ファイバブラッググレーティング素子(以下FBGという。)を各種物理量計測用のセンシング素子として用いる光ファイバ多点物理量計測システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
FBGは光ファイバを媒体とした光波長多重通信のためのキーコンポーネントとして開発されてきた素子であるが、これを光ファイバセンシングに利用することはかなり以前から考えられてきた。近年、大規模地震災害等の経験も踏まえ、土木建築物の構造体歪みについてのモニタリング技術の重要性が再認識されており、各方面での研究開発が展開されている。
【0003】
例えば、K.O.Hill, et al., Applied Physics Lett., 32, 10, 647, (1978)、K.O.Hill, et al., Applied Physics Lett., 62, 10, 1035, (1993)、T.Kurashima, et al., “Optronics”, 6, 119 (1998)、J.Takahashi,“Optronics”, 12, 157 (1996)等にも詳しく述べられている。
【0004】
また、微少歪み計測を軸に、温度やその他の物理量(歪み、変位、圧力等)についても、物理量を微小歪みに変換することで計測しようとする試みがなされ、センサ構造とともに光ファイバ線路を有効に利用する一括多点測定技術の開発も進められている。
【0005】
従来の光ファイバ多点物理量計測システムは図22に示すように構成されている。
【0006】
従来の光ファイバ多点物理量計測システムは、光伝送の基幹をなす光ファイバで構成される光幹線部1と、この光幹線部1で縦列(直列)に接続されている複数のFBG2と、光幹線部1にFBG2の反射波長を測定するためのプローブ光を出力する光源部3と、FBG2からの反射光を光幹線部1から分岐するための光分岐部4と、この光分岐部4から光ファイバで接続される光検出処理部5と、光源部3や光検出処理部5と時間的な同期条件を考慮しながら制御する信号処理制御部6とデータ処理部7とから構成されている。
【0007】
光源部3はしばしば白色光源や広帯域光源と呼ばれ、使用しているFBG2群の反射波長帯をすべてカバーすることのできるような発光スペクトルを有する。FBG2からの各反射光は光分岐部4を介して、光導入側とは異なる光ファイバポートに分けられ、光源部3側の光分岐部4から光検出処理部5まで到達する。光検出処理部5では、回折格子や波長干渉・共振原理を用いて高い分解能で波長をフィルタリングする高分解波長走査部8や高分解波長測定部9が含まれる。
【0008】
光源部3に連続光を使用する場合、FBG2からの反射波長としてそれぞれ異なるものを選んでおけば、受光側で波長分析、光スペクトル分析を行うことで、個々のFBG2からの反射光の反射波長、初期波長からのシフト量などを測定することができ、各反射光と物理量とを対比させることで、対象物理量の計測が可能である。
【0009】
また、光源部3として連続光ではなく、パルス駆動する半導体レーザや音響光学素子等によるスイッチングで得られるパルス光源を使用した場合、各FBG2からの反射光は設置位置に応じた伝播遅延時間を伴いながら光検出処理部5に到達する。
【0010】
この場合、着目するFBG2の遅延時間に対応する時間幅内で限定して、高分解能波長計測により着目するFBG2からの反射波長、初期波長からのシフト量を計測することができる。
【0011】
波長計測を行うために、一般的にはFBG2の反射スペクトルの線幅よりも十分狭い線幅の光をプローブ光として作り出し、このプローブ光の波長を走査して最大光強度の波長を探索し、探索された波長をピーク(中心)波長として同定することが一般的に行われている。このように構成された光ファイバ多点物理量計測システムにおいては、高分解の波長計測機能を含んだシステム構成を用いて、複数個のFBG2の信号を識別するものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従来の光ファイバ多点物理量計測システムにおいては、まず高分解能波長計測を装備することが前提となっているため、精密で細かい波長ステップで、必要な波長帯域全てを走査するためには必然的に走査時間を必要とするという問題があった。
【0013】
個々の波長ステップでの高分解能波長計測を実現するためには、十分な光量が必要となるため、1波長あたりの測定時間、あるいはパルス化した光を使う場合には多数回のパルスに対しての積算測定などが必須となり、単純な光強度測定に対して明らかに長い計測時間を必要とするという問題があった。
【0014】
もちろん、高分解能の波長計測については、光スペクトラムアナライザや波長計など一般的な装置として市販もされており、光検出器の光入力部分に波長選択のための光学干渉計等が配置された構造として良く知られている。この光ファイバ多点物理量計測システムにおいても同様な構成を部分適用することができるわけであるが、前述のような処理時間がかかるだけではなく、装置コストにおいても非常に高価になるという問題があった。
【0015】
さらに、FBG2の接続数と実際の測定対象へのFBG2の配置の点でも重大な課題があった。光源として連続光を用い単純にFBG2を直列接続する体系では、光源の波長帯域内にFBG2の反射波長相互が重複しないように割り当てることが必要であることから、「光源帯域/FBGの反射波長スペクトル変化幅=接続上限個数」という制約があり、せいぜい1つの基幹線に10〜20個程度のFBG2しか接続できないという問題があった。
【0016】
光をパルス化して時間分割多重方式でデータ処理を行う場合には、遅延時間を重複させなければ同一波長のFBG2を直列に接続できるものの、光源から遠いFBG2からの波長λaなる反射光が、より光源に近い方に接続された反射波長λaまで戻ってきた時、光源側に完全に透過せずにFBG2の設計反射率に応じて反射してしまう。このため、2つの同一波長λaのFBG2,2間で光が減衰しながら多重に往復を繰り返すことになってしまい、光の有効利用が実現しにくいという問題があった。
【0017】
さらに、現実的な問題として、FBG2の反射光成分にはクラッドでの伝播成分とコアでの伝播成分のモード結合現象等が発生することが知られており、反射スペクトル波長よりも短波長側にもなだらかな反射成分があり、FBG2の接続順序や条件によってはこれが迷光成分として光検出処理部5まで戻ってしまい、雑音成分、誤信号として検出されてしまうという問題があった。
【0018】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたものであり、より多数のFBGを接続可能で、誤信号をなくし、一括して監視できる光ファイバ多点物理量計測システムを提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明は、簡単な光計測とデータ処理で簡便、高速、安価な光ファイバ多点物理量計測システムを提供することを目的とする。
【0020】
さらに、本発明は、静的な物理量計測のみならず、動的な物理量計測、例えば、温度と振動状態等の計測を両立可能とする光ファイバ多点物理量計測システムを提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の光ファイバ多点物理量計測システムは、請求項1に記載したように、複数の物理量計測用の光ファイバブラッググレーティング素子(以下「FBG」という。)が光ファイバで接続され、広帯域の連続光を出力する広帯域光源部とこの連続光の任意の波長帯域のみを選択的に透過させることのできる波長可変フィルタ部とフィルタリングされた連続光をパルス光に変換する光スイッチング部とを備える光源部と、この光源部から出力された計測用のパルス光および前記FBGの反射光を伝送する光幹線部と、この光幹線部に列状に配設され、計測用の光を前記光幹線部から分岐させる複数の光分岐部と、を備える光ファイバ多点物理量計測システムにおいて、前記光幹線部の光分岐部間の距離と、前記光分岐路部内の前記FBG間の距離と、光分岐部と光分岐部に最も近い位置にあるFBGとの距離が等しくなるように列状に配設された光分岐部と、前記FBGからの反射光を検出・処理する光検出処理部と、前記光源部と光検出処理部との間の制御を行う信号処理制御部と、全てのFBGの接続位置または距離条件と反射光波長に関する情報が格納されており、信号処理時に格納情報を利用して各FBGのデータを識別および処理するデータ処理部と、を有し、前記光分岐路部内の複数の前記FBGは、前記光分岐部から反射光の波長順に順次並べて配設され、前記光源部は、前記波長可変フィルタ部および前記光スイッチング部により、前記広帯域光源部が出力する連続光から着目する前記FBGの反射波長帯に相当する光を含むパルス状のプローブ光である前記計測用のパルス光を発することを特徴とするものである。
【0022】
本発明では、光幹線部上に複数の光分岐路部を分岐配置することで、光幹線部に接続される光分岐路部の接続の自由度を確保した上で、従来からの問題であったFBGの反射光の相互反射やクラッドモード結合による迷光の抑制を実現しながら、多数点のFBGを接続することができ、また、広帯域な波長走査が可能なパルス光を適用することにより、多数のFBGを一括して監視することができる光ファイバ多点物理量計測システムを提供することができる。さらに、前記光幹線部の光分岐部間の距離と、光分岐路部内のFBG間の距離と、光分岐部と光分岐部に最も近い位置にあるFBGとの距離を等しくなるように光分岐部を列状に配置したので、光源部の波長帯域が複数のFBG反射波長にまたがるときに、同一遅延時間内では複数種類の反射波長の信号が重なって光検出処理部に戻るが、時間パラメータを固定して波長パラメータを走査することにより一括して複数のFBGの信号処理を行うことができ、簡便、迅速に測定することができる。
【0031】
また、請求項2に記載したように、前記信号処理制御部がゲート信号発生部を備え、前記データ処理部が二値判定処理部、波長測定部、二値判定処理部と動的波長シフト測定部、および波長測定部と動的波長シフト測定部のうちのいずれかを備えており、前記ゲート信号発生部は、着目するFBGに対して所要の遅延時間でゲート信号を発生し、このゲート信号がアクティブな間のみ前記光検出処理部が光を検出する機能を有し、前記データ処理部の二値判定処理部は、光検出処理部が光パルスを検出したか否かの二値情報から着目するFBGからの反射光波長が有意な変化をしたか否かを判定し、また前記波長測定部は、観測された光の最大強度波長あるいは波長スペクトルの中心波長を求め、前記動的波長シフト測定部は、上記時間条件に対して、波長を固定した上で所要時間に複数回連続的に光強度の測定を行い、得られた光強度の相対比率と予めデータ処理部に記憶されている校正曲線を用いて、着目するFBGの反射光の中心波長あるいは波長シフト量とその変化の周期のような時間変化情報を求めるようにしてもよい。
【0032】
このような計測システムにおいては、二値判定処理部によりある一定以上の変化があるか否かを容易に検出することができる。また、波長測定部として一般的な光スペクトル測定手法を適用することが可能となり、さらに、これらと動的波長シフト測定部を備えることにより、静的な物理量と動的な物理量の両方を混在させた計測が可能となる。
【0033】
さらに、広帯域光源部、波長可変フィルタ部および光スイッチング部を備える光源部を有する本発明の光ファイバ多点物理量計測システムにおいては、請求項3に記載したように、前記信号処理制御部がゲート信号発生部と波長走査部とを備え、前記データ処理部が波長測定部および動的波長シフト測定部の少なくとも一方を備えており、前記信号処理制御部のゲート信号発生部は、着目するFBGに対して所要な遅延時間でゲート信号を発生し、このゲート信号がアクティブな間のみ前記光検出処理部が光を検出する機能を有し、前記波長走査部は、上記時間条件に対して2つ以上の波長中心値で光源部の波長可変フィルタ部を走査し、前記データ処理部の波長測定部では、各波長走査に対して光検出処理部で得られた反射光パルスの強度値と走査波長の値を用いて重心演算により反射光の中心波長あるいは波長シフト量を求め、あるいは各波長走査に対して光検出処理部で得られた反射光パルスの強度の相対比率と予めデータ処理部に記憶されている校正曲線を用いて、着目するFBGの反射光の中心波長あるいは波長シフト量を求め、前記動的波長シフト測定部は、上記時間条件に対して波長を固定した上で所要時間に複数回連続的に光強度の測定を行い、得られた光強度の相対比率と予めデータ処理部に記憶されている校正曲線を用いて、着目するFBGの反射光の中心波長あるいは波長シフト量とその変化の周期のような時間変化情報を求めることができる。
【0034】
このような計測システムにおいては、重心演算や校正曲線を用いる手法により、実効的なFBGの中心反射波長やそのシフト量を求めることができ、また簡素かつ迅速な測定ができる。さらに、動的波長シフト測定部を加えることにより、静的な物理量と動的な物理量の両方を混在させた計測が可能となる。
【0035】
広帯域光源部、波長可変フィルタ部および光スイッチング部を備える光源部を有する本発明の光ファイバ多点物理量計測システムにおいては、請求項4に記載したように、前記信号処理制御部が時系列データ測定記憶部を備え、前記データ処理部が時系列データ二値判定処理部、または時系列データ二値判定処理部と動的波長シフト測定部を備えており、前記信号処理制御部の時系列データ測定記憶部では、光スイッチング部のスイッチングタイミングに同期して、複数のFBGからの反射光パルス列を時系列データとして測定記録し、前記データ処理部の時系列データ二値判定処理部は、これらの時系列データから個々のFBGの信号を抽出して反射光パルスが存在するか否かを判定し、前記動的波長シフト測定部は、波長を固定した上で所要時間に複数回連続的に光強度の測定を行ない、これらの時系列データから個々のFBGの信号を抽出して、複数の時系列データに属する個々のFBG反射光パルスの光強度の相対比率と予めデータ処理部に記憶されている校正曲線を用いて、着目するFBGの反射光の中心波長あるいは波長シフト量とその変化の周期のような時間変化情報を求めるようにすることができる。
【0036】
このような計測システムにおいては、プローブ光をFBGの反射スペクトルの半値幅、あるいは10分の1幅オーダの波長幅スペクトルとしておくと、ある一定以上の変化があるか否かを容易に検出することができ、また、時系列データを取得するため、時間ゲートの遅延時間を変えた走査が不要となり迅速に測定が行われる。プローブ光を上記波長幅スペクトルとしておくと、複数の同一基本反射波長を持つ複数のFBGの光量変化から波長シフトの時間変化を連続的に追跡し、その周期とシフト量から複数の物理量変化の動的パラメータを測定することができる。さらに、静的な物理量と動的な物理量の両方を混在させた計測も可能となる。
【0037】
また、広帯域光源部、波長可変フィルタ部および光スイッチング部を備える光源部を有する本発明の光ファイバ多点物理量計測システムにおいて、請求項5に記載したように、前記信号処理制御部が時系列データ測定記憶部と波長走査部とを備え、前記データ処理部が波長測定部および動的波長シフト測定部の少なくとも一方を備えており、前記時系列データ測定記憶部は、光スイッチング部のスイッチングタイミングに同期して、複数のFBGからの反射光パルス列を時系列データとして測定記録し、波長走査部は、この時系列データを取得するために2つ以上の波長中心値で波長可変フィルタ部を走査し、前記データ処理部の波長測定部は、これらの時系列データから個々のFBGの信号を抽出して、複数の時系列データに属する個々のFBG反射光パルスの強度値と走査波長の値を用いた重心演算により反射光の中心波長あるいは波長シフト量を求め、またはこれらの時系列データから個々のFBGの信号を抽出して、複数の時系列データに属する個々のFBG反射光パルスの強度の相対比率と予めデータ処理部に記憶されている校正曲線を用いて、着目するFBGの反射光の中心波長あるいは波長シフト量を求め、前記動的波長シフト測定部は、波長を固定した上で所要時間に複数回連続的に光強度の測定を行った結果、これらの時系列データから個々のFBGの信号を抽出して、複数の時系列データに属する個々のFBG反射光パルスの光強度の相対比率と予め前記データ処理部に記憶されている校正曲線を用いて、着目するFBGの反射光の中心波長あるいは波長シフト量とその変化の周期のような時間変化情報を求めるようにしてもよい。
【0038】
このような計測システムにおいては、重心演算や校正曲線を用いる手法により実効的なFBGの中心反射波長や中心反射波長のシフト量を求めることができる。また、時系列データとして光強度データを取得しているため、簡素かつ迅速な測定ができる。さらに、プローブ光をFBGの反射スペクトルの半値幅、あるいは10分の1幅オーダの波長幅スペクトルとしておくと、複数の同一基本反射波長を持つ複数のFBGの光量変化から波長シフトの時間変化を連続的に追跡し、その周期とシフト量から複数の物理量変化の動的パラメータを測定することができる。また、静的な物理量と動的な物理量の両方を混在させた計測も可能となる。
【0039】
本発明の光ファイバ多点物理量計測システムにおいては、請求項6に記載したように、光幹線部と光分岐路部の各終端部に、光源部から導入された光が反射手段により反射光として光導入側に戻される終端反射手段を備え、この反射光から前記光幹線部ならびに光分岐路部の接続状態に関する健全性および伝送損失の変化を測定する健全性監視手段を前記データ処理部に備えることができる。
【0040】
これにより、本発明においては、システム稼動中に光幹線部および光分岐部がすべて断線することなく健全に接続されていることをオンラインで監視することができる。
【0041】
本発明の光ファイバ多点物理量計測システムにおいては、請求項7に記載したように、接続されたFBGの接続位置・距離および反射光波長の情報が予め与えられない場合に、前記光源部の光源として、個々のFBG反射スペクトルの半値幅よりも十分小さい線幅の光を用い、接続されている全てのFBGの反射光波長帯域を網羅する範囲で順次波長走査しながら光幹線部に光を導入する波長走査部と、走査波長に対する反射光パルス列の時系列データを測定し記録する時系列データ測定記憶部と、この時系列データと走査波長情報からFBGの基本反射光波長を算出し、時系列データから抽出して検出された光パルスの遅延時間情報から接続位置・距離情報を算出して、この結果をデータ処理部に記憶させる校正計算処理部とを備えることができる。
【0042】
これにより、本発明においては、予め設置前のFBG接続条件がない場合や、設置状態のシステムに増設して新たなセンサ等を加えた場合等、システム稼動後の状態であっても、現実の設置状態に促した校正値を求めることができる。
【0043】
また、本発明の光ファイバ多点物理量計測システムにおいては、請求項8に記載したように、測定対象の物理量をFBGに対する微小歪みあるいは温度変化に変換する物理量伝達機構部と、予め各FBGに割り当てられた測定対象の物理量とFBGの波長シフト量との関係を示す校正曲線を記憶する校正曲線記憶部と、連続的に蓄積したデータから、経年劣化および環境による劣化に起因する経路別の伝送損失の変化を算出するファイバ劣化測定部と、校正曲線記憶部に記録された校正曲線から測定対象の物理量を換算する際に必要な補正をファイバ劣化測定部で算出された伝送損失変化値に基づいて行う換算補正部と、を備えて、1種以上の物理量が混在した計測の監視を行うことができる。
【0044】
このような構成の計測システムにより、例えば、原子力プラントのPCV内のような高放射線環境下等の過酷な環境で、しかも人の巡回点検が容易には行えない場所等に設置したセンサシステムのデータの精度、信頼性を高めることができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る光ファイバ多点物理量計測システムの実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0046】
図1において、本発明の光ファイバ多点物理量計測システムは、全体を符号10で示す。この光ファイバ多点物理量計測システム10は、光源部11と、この光源部11からの出力光や反射光を伝送する光伝送手段としての光幹線部12と、光幹線部12上で直列に列状に設置された複数個の光分岐部13と、この光分岐部13で光幹線部12から分岐される光分岐路部14と、分岐路部14内に設置された光ファイバブラッググレーティング素子(以下、FBGという。)15と、光幹線部1から反射光を検出・処理する光検出処理部16と、前記光源部11と光検出処理部16との間の制御を行う信号処理制御部17と、各FBG15のデータを識別および処理するデータ処理部18とから構成される。光分岐部13は光幹線部12からの光または反射光を分岐させる一方、分岐された光およびFBG15の反射光をこの分岐路14内で伝送するようになっている。光幹線部12や光分岐路部14は光ファイバに代えてプラスチックファイバ等の光伝送手段で構成してもよい。
【0047】
また、光分岐路部14内は光分岐部13から離れる下流側に向ってFBG15の反射光波長が順次長くなるように配設される。図1において、光源部11と、信号処理制御部17と、光検出処理部16およびデータ処理部18とを相互に接続している線は電気信号の送受信用結線を表す。
【0048】
光源部11から出力される多点物理量計測用のプローブ光は光幹線部12を構成する例えば光ファイバに導入され、最初の光分岐部13を通り、その出力側の光幹線部12に案内される一方、途中の各光分岐部13,13を順次経て伝播される。各分岐部13,13で分岐された光は光伝送手段としての光分岐路部14に分岐比率に応じて別れていく。分岐された光は光幹線部12と同様の光ファイバからなる光分岐路部14内を伝播し、列状に直列配置の物理量計測用のFBG15に順次到達する。このFBG15は、光分岐部13から離れるにしたがって反射光の波長が長波長側になるように光分岐路部14内で配置されている。
【0049】
光源部11からの出力光の分岐光が到達したFGB15では、その反射波長に応じて反射光を生じ、このFBG15からの反射光は、光の導入側に向かって光分岐路部14を逆に伝播し、光分岐部13を経て、また、光分岐路13の位置によっては、さらに光幹線部12と複数の光分岐部13,13を経て、図1では、光源部11に最も近い光分岐部13(最初の光分岐部)に到達する。
【0050】
この反射光は最初の光分岐部13を介して、光の導入側(光源部側)とは異なる光ファイバポートに案内され、光検出処理部16まで到達する。
【0051】
光検出処理部16では、各FBG15からの反射波長や、初期波長からのシフト量などの変化量を測定する。測定されたデータは電気信号として、光源部11と光検出処理部16との間の制御を行う信号処理制御部17に送られて信号処理される。データ処理部18では、予め格納してあるFBG15の接続位置または距離条件と、反射光波長に関する情報を利用して各FBG15,15のデータ識別と温度、圧力、歪み量、変化量等の物理量計測処理が行われる。
【0052】
光源部11から出力されるプローブ光としてパルス光を用い、時分割多重による信号処理を行う場合、等しい基本反射波長を持つFBG15が時間軸上に異なる時間差で並ぶことになるが、ある基本反射波長を持つFBG15の反射光は、別の同一基本反射波長を持つFBG15に遭遇することなく光検出処理部5まで到達することができる。こうすることで、FBG15,15間の相互反射や本来の反射スペクトルに伴い短波長側に生じるクラッド伝播モードとコア伝播モードのモード結合に起因する迷光反射光成分の影響を避け、100%近い反射率設計のFBG15を接続することができる。その結果、反射光量が増し、より多段の分岐が可能となり、結果的に多数のFBGセンサの一括計測が可能になる。
【0053】
また、各光分岐部13の分岐比率については、実用上全て同一とする方が簡便ではあるが、より接続点数を増やすためには、光源部に近いほど光分岐路部14側への配分(光分岐比率)を小さくしておき、全体として光分岐路部14内に導入される光量を平準化することで、計測精度を一様に保つことも有効である。
【0054】
複数の光幹線部
図1に示す光ファイバ多点物理量計測システム10においては、光幹線部12を1本設けた例を示したが、図2に示すように複数本設けることもできる。光幹線部12を12a,12bのように、複数本設けることによりセンサ接続数をより多数確保することができるので、光の利用率が上げられ、またより多数の物理量の計測を一括して行うことも可能となる。
【0055】
例えば、図2の光ファイバ多点物理量計測システム10Aに示すように、光源部11に最も近い位置に接続された光分岐部13の分岐出力側に複数本の光幹線部12a,12bを直接接続することにより複数本の光幹線部12a,12bを備えた構成となる。また、図3の光ファイバ多点物理量計測システム10Bに示すように、光源部11に最も近い位置に接続された光分岐部12の分岐出力側に、光切替器20を設置してもよい。光切替器20は入力側の1本の光幹線部(光ファイバ)と複数本の出力側光幹線部12a,12bとを切替可能に接続するものである。光切替器20を備えることにより、複数本(個)の光幹線部12a,12bを備えることができる。
【0056】
図1に示される光ファイバ多点物理量計測システム10と同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0057】
図2では、光源部11からの光幹線部12が最初に出会う光分岐部13には2つの光幹線部12a,12bが接続されている。光幹線部12の少なくとも一方12bには、図2に示したように、分岐後に伝播遅延が生じるように光幹線部12bの長さが異なるようにしておく。
【0058】
この遅延時間は、信号処理に応じて都合の良い光幹線部長に設定しておくことにより、2つの光幹線部12a,12b間の識別ができるようになる。その結果、光ファイバ多点物理量計測システム10Aを2系統の光幹線部12a,12bで構成し、この2系統を一括して処理することができるようになる。これにより、より多数のFBG15を一括して監視可能なシステムを実現することができる。
【0059】
通常、光幹線部12(12a,12b)となる光ファイバにプローブ光を導入し、同一のラインから戻ってくる反射光を検出する必要から光分岐手段が光分岐部13,13に用いられる。光分岐部13,13には光分岐手段として、しばしば融着型光分岐器が用いられ、この光分岐器は入出力側に各2ポートの光ファイバをそれぞれ接続することができるため、光源部11側と光検出処理側の各ポートに相対する側に、光幹線部12a,12bを接続することができる。このように光の利用率を最大限にすることで、少なくとも2倍以上のセンサ接続数を確保することができる。
【0060】
図3では、光源部11からの光幹線部12が最初に出会う光分岐部13の出力側に光切替器20が接続され、この光切替器20の出力側に2系統の光幹線部12a,12bが分岐して接続された光ファイバ多点物理量計測システム10Bが示されている。この場合、切替対象となる複数の光幹線部12a,12bおよびそれに連なる光分岐路部14の構成は、互いに等しいものが使用できる。
【0061】
光切替器20は信号処理制御部17とも電気的に接続されており、信号処理制御部17からの制御信号により、光検出処理やデータ処理動作と同期して光切替器20の切り替えが実施される。同一接続設計の複数系統の光幹線部12a,12bを光ファイバ多点物理量計測システム10Bに接続して切り替えながら使用することで、多数個のFBG15を一括して監視可能なシステムを実現することができる。また、光切替器20を用いて光分岐器と組み合せた場合、上述の光分岐器の出力ポート数以上の光幹線部を接続することができる。
【0062】
分岐間隔
本発明の光ファイバ多点物理量計測システム10,10A,10Bにおいては、光分岐部13,13間の距離、光分岐路部14の長さ、光分岐路部14内のFBG15,15間の距離などについては、特に制限されず、通常、使用する光源部11の波長帯域、FBG15の信号処理、識別方法等により、適宜決めることができる。
【0063】
例えば、1つの光幹線部12において、光分岐部13,13間の距離と、光分岐路部14内のFBG15,15間の距離と、光分岐部13と光分岐部13に最も近い位置にあるFBG15との距離とを等しくすることができる。
【0064】
図4に示す光ファイバ多点物理量計測システム10Cでは、図1に示す光ファイバ多点物理量計測システム10と基本的な構成要素は同一であるが、接続条件として長さの制約を付加している。光分岐部13,13同士の接続間隔をLc、光分岐部13と最も近いFBG15の接続間隔をLsc、FBG15,15同士の接続間隔をLsとして、これら全てを等間隔Ls=Lc=Lscとなるように構成する。
【0065】
パルス化した光と時分割多重を用いた伝播遅延時間を利用したFBG15の識別法を適用した場合、すべてのFBG15からの反射光パルスについて、同じ遅延時間を持つ同一波長成分はない。逆にいうと、同一遅延時間では互いに異なる波長のFBG15の信号が同時に存在可能である。
【0066】
このため、光源部11側の波長可変フィルタを信号処理制御部17でコントロールして走査するか、あるいは光検出処理部16側に適切な波長フィルタリング、波長走査を施すことで、1つの時間条件に対して一括して複数のFBG15の信号処理を行うことができ、簡便、迅速な多点物理量計測システム10Cを実現することができる。
【0067】
また、この光ファイバ多点物理量計測システム10Cにおいては、光分岐部13,13間の距離が、光分岐路部14内で光分岐部13から最も遠い位置にあるFBG15と光分岐部13との距離よりも長くすることができる。
【0068】
図5に示す光ファイバ多点物理量計測システム10Dでは、図1と基本的な構成要素は同一であるが、接続条件として長さの制約が付加されている。光分岐部13,13同士の接続間隔をLc、光分岐路部14において光分岐部13と最も遠いFBG15の接続間隔をLdとして、Ld<Lcとなるように構成する。
【0069】
パルス化した光と時分割多重を用いた伝播遅延時間を利用したFBG15の識別法を適用した場合、すべてのFBG15からの反射光パルスが時間軸上に異なる遅延時間で配列される。1つの波長条件に合致するFBG15は1回の時間走査測定で取得することができ、簡便かつ迅速な物理量計測システム10Dを実現することができる。
【0070】
このような接続距離関係を維持すると、FBG15のクラッドモード結合光による迷光や、同一反射波長を持つFBG15,15間での光の相互反射による往復等を引き起こすことなく、前述のように全てのFBG15からの反射パルスが時間的にも重なりなく光検出処理部16に戻ることができ、雑音(ノイズ)や誤信号成分がなく、かつ波長で、あるいは時間的に分離することにより多数個のFBG15に対する信号処理を簡潔に行うことができる。
【0071】
光源部
光ファイバ多点物理量計測システム10(10A〜10B)における光源部11としては、広帯域発光、白色光のような広い帯域の波長スペクトル光、任意の線スペクトル光、連続光、パルス光などいずれも用いることができ、対象とするFBG15の反射波長、FBG15の信号処理、識別方法等により適宜決めることができる。
【0072】
例えば、図6に示すように、光源部11として、連続光(CW)を出力する広帯域光源部22と、出力された連続光のうち任意の波長帯域のみを選択的に透過させることのできるバンドパスフィルタ等の波長可変フィルタ部23と、フィルタリングされた光を時間的に断続的に入切することにより連続光をパルス光に変換する光スイッチング部24を備える。
【0073】
光ファイバ多点物理量計測システムでは、光源部11における光源としては、図7(a)に示すように、広い発光波長帯で平坦に近い発光特性を持つ広帯域光源(部)22を用いることが好ましい。具体的には、ユーロピウムなどのような希土類元素をドープした希土類ドープファイバの光増幅作用における自然放出光成分(ASE)を用いたASE光源やスーパールミネッセンスダイオード(SLD)、波長可変レーザを用いることができる。
【0074】
図7(a)に示すように、着目するFBG15の反射波長帯Δλに相当する光を含むパルス状のプローブ光を作り出すために、波長可変フィルタ部23と光スイッチング部24を用いる。波長可変フィルタ部23としては、音響光学素子による線幅の広いフィルタ、あるいは光干渉・共振器を用いた線幅の細いフィルタ素子を使用することができる。また、光スイッチング部24としては、音響光学素子や誘電体多層膜等を電気制御して、特定波長帯に対する光の実効的透過率を制御することにより、図7(b)に示すように時間的に変化するパルス光を作り出すことができる。
【0075】
このような光源部11によって、広帯域発光、白色光という広い帯域の波長スペクトルから任意の線スペクトルを持つ光まで、信号処理形態にあわせて任意にスペクトル特性を調整することができる。また、広い波長帯域にまたがりパルス化した光出力を得ることにより、FBG15による波長多重に加え伝播遅延時間を用いた時分割多重による信号処理が行えるので、FBG15の接続個数を大幅に増大させることができる。
【0076】
信号処理制御部:ゲート信号発生部
光ファイバ多点物理量計測システム10(10A〜10D)は、光源部11に広帯域光源部22と波長可変フィルタ部23と光スイッチング部24とを備える。この光ファイバ多点物理量計測システム10においては、図8に示すように、信号処理制御部17にゲート信号発生部25を備え、データ処理部18に二値判定処理部26を備える。データ処理部18には二値判定処理部26の他、波長測定部、二値判定処理部26と動的波長シフト測定部、および波長測定部と動的波長シフト測定部のうちのいずれかを備えることにより、良好に多数の物理量を計測することができる。
【0077】
ゲート信号発生部25は、着目するFBG15に対して適切な遅延時間を伴うゲート信号を発生し、このゲート信号がアクティブな間のみ光検出処理部16が光を検出する機能を有する。二値判定処理部26は、光検出処理部16が光パルスを検出したか否かの二値情報から、着目するFBG15からの反射光波長が有意な変化をしたか否かを判定する。また、データ処理部18の波長測定部は、観測された光の最大強度波長あるいは波長スペクトルの中心波長を測定しており、動的波長シフト測定部は、上記時間条件に対して、波長を固定した上で時間連続により複数回測定を行い、得られた光強度の相対比と予めデータ処理部18に記憶されている校正曲線を用いて、FBG15の反射光の中心波長あるいは波長シフト量とその変化の周期の時間変化情報を求める。
【0078】
ゲート型デイジタル二値判定
図8および図9に示す光ファイバ多点物理量計測システム10(10A〜10D)は、信号処理制御部17にゲート信号発生部25を備え、データ処理部18に二値判定処理部26を備えた例を示す。
【0079】
図8では、信号処理制御部17の中に、ゲート信号発生部25が含まれており、このゲート信号がアクティブな間のみ光検出処理部16が光を検出する機能を有し、かつデータ処理部18の中に、二値判定処理部26が含まれている。
【0080】
光源部11から光幹線部12に出力されたプローブ光の光パルスに対して、各FBG15,15からの反射パルスがその接続位置に応じた伝播遅延時間を伴って光検出処理部16まで戻ってくるが、その中で、ゲート信号発生部25は、図9(a)に示すように、着目するFBG15の伝播遅延時間にあわせた遅延時間Tdを伴って、光反射パルスのパルス幅と同等以上の時間幅をもつ時間ゲート信号Twを発生する。このゲート信号Twと同期するようにして、光検出処理部16で着目するFBG15の反射光を検出しその信号を取り出すことで、着目するFBG15の反射パルス信号が含まれる時間帯のゲート信号を取り出すことができる。
【0081】
二値判定処理部26では、ゲート信号に同期して取り出された光強度信号の強度を、予め定めたしきい値以上か否かを判定する。図9(b)に示すように、光源部11からのプローブ光波長帯(λ±Δλ)を一定にしておき、通常状態では着目するFBG15の反射波長をほぼカバーするような波長幅状態aにしておく。ここで仮に、FBG15の反射波長がbのように長波長側にシフトしたとする。この場合、光検出処理部16で検出した反射光信号は、図9(c)に示すように、本来のFBG15からの反射パルス光強度aから小さい値bを示すことになる。この光強度変化を、予め設定したしきい値と比較することにより、波長変化があったかどうか、即ち物理量の変化があったかどうかを判定することができる。また、図9(a)の遅延時間Tdを順次変えて時間ゲート信号Twを出すことにより、着目するFBG15に関する物理量状態変化の有無を読み出すことができる。
【0082】
プローブ光をFBG15の反射スペクトルの半値幅、あるいは10分の1幅オーダの波長幅スペクトルとしておくことを前提とすれば、ある一定以上の変化があるか否かを容易に検出することができる。
【0083】
ゲート型波長測定
図10は光ファイバ多点物理量計測システム10(10A〜10D)の信号処理制御部17にゲート信号発生部25を備え、しかもデータ処理部18に波長測定部30を備えた例を示す。
【0084】
図10では、信号処理制御部17の中に、ゲート信号発生部25が含まれており、このゲート信号がアクティブな間のみ光検出処理部16が光を検出する機能を有し、かつデータ処理部18の中に、波長測定部30が含まれている。
【0085】
信号処理制御部17にゲート信号発生部25を備え、データ処理部18に二値判定処理部26を備えた上図8に示す例と同様にして、ゲート信号発生部25により、特定の着目するFBG15からの反射パルス光が選択的に光検出処理部16に入力される。波長測定部30とゲート信号発生部25と光検出処理部16とは互いに同期せしめられて、光検出処理部16に入力された反射パルス光のスペクトル分析を行う。
【0086】
具体的には、波長測定部30で観測された光の最大強度波長あるいは波長スペクトルの中心波長の求め方としては、時間ゲート信号の中に1つのFBG15の反射パルスしか含まれない場合には、単純に最も光強度の強い波長を求める方法が取られる。複数の異なるFBG15,15の反射波長の光パルスが混在している場合には、波長走査を行い、走査波長に対して極大となる複数の波長値を探索し、それらを各FBG15,15からの反射波長として認識する。
【0087】
このようなゲート信号発生部25と波長測定部30を備える光ファイバ多点物理量計測システム10においては、着目するFBG15を遅延時間を伴う時間ゲート信号で特定することが可能であり、その上で波長測定部30として一般的な光スペクトル測定手法、光スペクトラムアナライザなどの汎用装置を適用することができる。
【0088】
信号処理制御部:ゲート信号発生部と波長走査部
また、光ファイバ多点物理量計測システム10(10A〜10D)の光源部11に広帯域光源部22と波長可変フィルタ部23と光スイッチング部24とを備えると、この光ファイバ多点物理量計測システム10の場合には、信号処理制御部17がゲート信号発生部25を備え、データ処理部18が波長測定部30および/または動的波長シフト測定部を備えることにより、良好に多数の物理量を計測することができる。
【0089】
信号処理制御部17のゲート信号発生部25は、着目するFBG15に対して適切な遅延時間を伴う時間ゲート信号を発生し、このゲート信号がアクティブな間のみ光検出処理部16が光を検出する機能を有する。信号処理制御部17の波長走査部31は、上記時間条件に対して2つ以上の波長中心値で光源部11の波長可変フィルタ部23を走査し、波長測定部31では、各波長走査に対して光検出処理部16で得られた反射パルス光の強度値と走査波長の値を用いて重心演算により反射光の中心波長あるいは波長シフト量を求め、または各波長走査に対して光検出処理部16で得られた反射パルス光の強度の相対比率と予めデータ処理部18に記憶されている校正曲線を用いて、着目するFBG15の反射パルス光の中心波長あるいは波長シフト量を求める。データ処理部18の動的波長シフト測定部は、前記時間条件に対して波長を固定した上で時間連続により複数回測定を行い、得られた光強度の相対比率と予めデータ処理部18に記憶されている校正曲線を用いて、着目するFBG15の反射光の中心波長あるいは波長シフト量とその変化の周期等の時間変化情報を求める。
【0090】
ゲート信号発生部・波長走査部・波長測定部
信号処理制御部17にゲート信号発生部25と波長走査部31とを備え、データ処理部が波長測定部を備えた光ファイバ多点物理量計測システム10(10A〜10D)の例を図11に示す。
【0091】
図11では、信号処理制御部17の中に、ゲート信号発生部25と波長走査部31が備えられており、このゲート信号がアクティブな間のみ光検出処理部16が光を検出する機能を有し、かつデータ処理部18の中に、各波長走査に対して光検出処理部16で得られた反射光パルスの強度値と走査波長の値を用いて重心演算により反射光の中心波長あるいは波長シフト量を演算する波長測定部30が備えられている。
【0092】
信号処理制御部17のゲート信号発生部25は、着目するFBGの伝播遅延時間にあわせた遅延時間を伴って、光パルスのパルス幅と同等以上の時間幅をもつ時間ゲート信号を発生する。このゲート信号と同期するようにして、光検出処理部16で反射パルス光を検出し、その信号を取り出すことで、着目するFBG15からの反射パルス光が選択的に光検出処理部16に入力される。信号処理制御部17の波長走査部31では、この時間条件に対して2つ以上の波長中心値で光源部11の波長可変フィルタ部23を複数回走査し、各波長走査に対してそれぞれ得られる反射光パルスの光強度を光検出処理部16で測定する。データ処理部18の波長測定部30では、この光検出処理部16で得られた反射光パルスの強度値と走査波長の値を用いて重心演算により反射光の中心波長あるいは波長シフト量を求める。
【0093】
重心演算
重心演算については、図12(a)および(b)を用いて説明する。図12(a)中では反射波長スペクトルに対して、光源部11から一定の波長広がりを持つパルスプローブ光をλ1〜λ3の3回走査することを示している。各走査で得られた光強度を、図12(b)に示す。完全にこの3回の波長走査が反射スペクトルに対して対称的であった場合、即ち、走査波長中心値λ2が反射中心波長と完全に一致するのであれば、図12(b)に示す3回の光相対強度も対称な分布となる。しかしながら、現実的にはλ2と反射中心波長はずれている。
【0094】
光源部11から出力されるプローブ光の波長幅を仮にΔとし、図12(b)中で、反射中心波長が点線位置であり、各波長走査で得られた光相対強度は図中に示すようにI、I、Iであったとする。この場合、中心波長をλ2−xとおく。重心演算として以下の式が成立する。
【0095】
【数1】
Figure 0004625593
【0096】
これを解いてxが求められるので、中心波長λ2−xを算出することができる。
【0097】
このような計測システムにおいては、線スペクトル状のプローブ光の多数回の走査によるのではなく、プローブ光をFBG15の反射スペクトルの半値幅、あるいは10分の1幅オーダの波長幅スペクトルとしておくことを前提として、複数個の波長値に対する光強度測定データとプローブ光の走査中心波長を用いた重心演算から実効的なFBGの中心反射波長を求めることができる。重心演算は最低2回でも計算できるため、極めて少数の波長走査のみでFBGの波長中心を求めることができるため、簡素かつ迅速な測定ができる。
【0098】
相対比率・校正曲線
次に、図11と同様に、信号処理制御部17にゲート信号発生部25と波長走査部31とを備え、データ処理部18が波長測定部30を備えるが、データ処理部18の中に含まれる波長測定部30における演算手法が異なる例を図13に示す。
【0099】
データ処理部18の波長測定部30における演算手法は、各波長走査に対して光検出処理部16で得られた反射光パルスの強度の相対比率と予めデータ処理部18に記憶されている校正曲線を用いて着目するFBG15の反射光の中心波長あるいは波長シフト量を求める手法である。図13はこの波長演算手法を示す。
【0100】
図13(a)はFBG15の反射波長スペクトルに対して、一定の幅Δを持つ波長λ1、λ2での波長走査を行うことを示している。FBG15からの反射波長のシフト方向が図13(a)に示すように一方向のみに特定できる場合を想定する。この場合、図13(b)に示すように、2回の波長走査でそれぞれ得られる光強度の比率Rは波長シフトの量と関係があり、予め波長シフトと光強度の関係を図13(c)に示すように校正曲線Aとして多点物理量計測システム10(10A〜10D)に記憶させておくことができる。実際の測定時には、観測されたR値を校正曲線Aに当てはめて波長シフトの量を算出することができる。
【0101】
これによれば、2回の波長走査という最低の走査回数で、波長シフト量を算出することができる。
【0102】
このような光ファイバ多点物理量計測システム10(10A〜10D)においては、線スペクトル状のプローブ光の多数回走査によるのではなく、プローブ光をFBG15の反射スペクトルの半値幅、あるいは10分の1幅オーダの波長幅スペクトルとしておくことを前提として、複数回の波長走査値に対する光強度測定データの比率と校正曲線Aから実効的なFBG15の中心反射波長のシフト量を求めることができる。極めて少数の波長走査のみでFBG15の波長中心を求めることができるため、簡素かつ迅速な測定ができる。
【0103】
ゲート信号発生部・波長走査部・動的波長シフト測定部
図14は光源部11に、図5に示すように、広帯域光源部22と波長可変フィルタ部23と光スイッチング部24とを備える光ファイバ多点物理量計測システム10(10A〜10D)において、信号処理制御部17がゲート信号発生部25と波長走査部31とを備え、データ処理部18が動的波長シフト測定部33を備えた動的物理量計測システム10Eの例を示す。
【0104】
信号処理制御部17のゲート信号発生部25は、着目するFBG15に対して適切な遅延時間を伴う時間ゲート信号を発生し、このゲート信号がアクティブな間のみ光検出処理部16が光を検出する機能を有する。データ処理部18の動的波長シフト測定部33は、上記時間条件に対して波長を固定した上で所要時間に複数回光強度の測定を連続的に行い、得られた光強度の相対比率と予めデータ処理部18に記憶されている校正曲線を用いて、着目するFBG15の反射光の中心波長あるいは波長シフト量とその変化する周期等の時間変化情報を求めることにより動的物理量の計測を良好に行うことができる。
【0105】
この光ファイバ多点物理量計測システム10Eの例を図14に示す。
【0106】
図14では、信号処理制御部17の中に、ゲート信号発生部25と波長走査部31が備えられており、かつデータ処理部18の中に動的波長測定部30が備えられている。
【0107】
ゲート信号発生部25の遅延時間に対応した着目するFBG15の反射光が光検出処理部16で測定される。プローブ光の光強度、波長が一定である場合、反射波長スペクトルがシフトしていなければ常に同一強度とみなし得るパルス反射光が検出される。
【0108】
しかしながら、FBG15からのパルス反射波長が変化(シフト)する場合、パルス反射光の強度も変化する。かりに、FBG15の伸縮が周期的に起こる場合、パルス反射波長のシフトも周期的となり、その結果、検出される光強度の強弱変化の周期もこれらの周期と等しくなる。サンプリング定理によれば、FBG15の波長シフトを生じさせる物理現象の周波数成分のうち半分以上のサンプリング周波数で、この光強度の変化を測定すれば物理現象変化の周波数を計測することができる。
【0109】
このように、波長走査部31での波長を一旦固定して、時間的に連続して繰り返してデータ収集することにより、その区間におけるFBGの波長変化の周期を動的に検出することができる。
【0110】
この計測システム10Eにおいては、ゲート信号発生部15は、前述のように、着目するFBG15の伝播遅延時間にあわせた遅延時間を伴って、光パルスのパルス幅と同等以上の時間幅をもつ時間ゲート信号を発生する。このゲート信号と同期するようにして、光検出処理部16で光を検出しその信号を取り出すことで、着目するFBG15の反射光が光検出処理部16で測定される。このとき、動的波長シフト測定部は、この測定条件に対して波長を固定した上で時間的に連続して複数回光強度の測定を行い、得られた光強度の相対比と予めデータ処理部に記憶されている校正曲線を用いて、着目するFBG15の反射光の中心波長あるいは波長シフト量とその変化の周期の時間変化情報を求める。
【0111】
静的・動的物理量の計測
光源部11に広帯域光源部22と波長可変フィルタ部23と光スイッチング部24とを備える図6の光ファイバ多点物理量計測システム10(10A〜10D)において、さらに信号処理制御部17にゲート信号発生部と波長走査部31とを備え、データ処理部18に動的波長シフト測定部33とを備えて動的物理量を計測する構成とすることにより、動的物理量の計測を行なうことができる。
【0112】
この動的物理量を計測する多点物理量計測システム10Eを前述の静的物理量を計測するシステム10(10A〜10D)と組み合せることができる。動的多点物理量計測システム10Eは、ゲート信号発生部と二値判定処理部とを備える構成、ゲート信号発生部と波長測定部とを備える構成、ゲート信号発生部と波長走査部と波長測定部と信号処理制御部に備える静的多点物理量計測システム10(10A〜10D)に動的波長シフト測定部33のデータ処理部18を組み合せて1つの計測システムとしたものである。
【0113】
この静的・動的物理量の計測システム10Eにおいて、動的物理量の計測は、特定の走査波長に固定して、特定のゲート時間に着目するFBG15の反射パルスの光強度を時間的に連続して取得することで、FBG15の波長シフトの周期を算出するとともに、波長走査を行うことにより波長シフトの量を算出することにより行われる。これらの手順により、波長シフトの量とその周期の両方を求めることが可能となり、時間的に変化し続けること自体を測定する必要のある物理量、例えば振動計測等と静的な定常状態の計測の両方に用いることができる。
【0114】
時系列データ測定記憶部・時系列データ二値判定処理部
上記のような光源部11に広帯域光源部22と波長可変フィルタ部23と光スイッチング部24とを備える光ファイバ多点物理量計測システム10(10A〜10E)においては、信号処理制御部17が時系列データ測定記憶部28を備え、データ処理部18が時系列データ二値判定処理部29、または時系列データ二値判定処理部29と動的波長シフト測定部33を備えることにより、良好に多数の静的あるいは動的物理量を計測することができる。
【0115】
信号処理制御部17の時系列データ測定記憶部28では、光スイッチング部のスイッチングタイミングに同期して、複数のFBG15からの反射光パルス列を時系列データとして測定記録し、データ処理部18の時系列データ二値判定処理部29は、これらの時系列データから個々のFBG15の信号を抽出して反射光パルスが存在するか否かを判定し、また、動的波長シフト測定部33は、波長を固定した上である時間に複数回連続的に測定を行い、これらの時系列データから個々のFBG15の信号を抽出して、複数の時系列データに属する個々のFBG15からのパルス反射光の光強度の相対比率と予めデータ処理部18に記憶されている校正曲線を用いて、着目するFBG15の反射光の中心波長あるいは波長シフト量とその変化の周期等の時間変化情報を求めることができる。
【0116】
信号処理制御部17に時系列データ測定記憶部28を備え、データ処理部18に時系列データ二値判定処理部29を備える例を図15および16に示す。
【0117】
図15では、信号処理制御部17の中に、時系列データ測定記憶部28が備えられており、データ処理部18の中に、時系列データ二値判定処理部29が備えられている。
【0118】
時系列データ測定記憶部28は、光源部11のパルス化タイミングと同期して、一定の遅れ時間を伴って区間から戻ってくるパルス光の波長帯と反射波長が合致するFBGからの反射パルス列の全てを一括して時系列状に測定記憶するものである。ひとつの実用的な方法として、光パルスを光電変換素子により電気パルスに変換したものを、一定時間のサンプリング間隔でAD変換し、そのディジタルデータ列として記憶すれば良い。
【0119】
時系列データ二値判定処理部29では、記憶したこのディジタルデータ列から、着目する各FBG15の接続位置に相当する遅延時間区間に検出されているパルスの有無、あるいはその光強度(波高値)を順次算出判定していく。これにより、最低一回の光パルスの導入により一括して全てのFBG15の反射信号を取得することで、各FBG15の変化の有無が検出できる。
【0120】
このような手順を採用することで、変化の検出されたFBG15だけに限定して、詳細な変化量=波長シフト量=測定物理量変化を調べる手順を続けることができるので、合理的かつ最短の時間で処理を行うことができる。
【0121】
図16に示すように、光源部11でパルス化する波長帯λを順次変化させていくことにより、全てのFBG15からの信号を少ない走査回数で取得することができる。図ではλを順次等間隔で、いわば連続的に走査しているが、着目するFBG15にあわせて離散的に、任意の波長を指定して、当該波長に対する時系列データを測定記憶することにより測定時間を最小に抑えることができる。
【0122】
このような計測システムにおいては、プローブ光をFBG15の反射スペクトルの半値幅、あるいは10分の1幅オーダの波長幅スペクトルとしておくと、ある一定以上の変化があるか否かを容易に検出することができる。また、特定の時間窓に対する光強度ではなく、光強度の時間軸に応じたデータ(時系列データ)を取得するため、時間ゲートの遅延時間を変えた走査が不要となり迅速な測定をすることができる。
【0123】
信号処理制御部:時系列データ測定記憶部・波長走査部
また、光源部11に広帯域光源部22と波長可変フィルタ部23と光スイッチング部24とを備える光ファイバ多点物理量計測システムにおいては、図17に示すように、信号処理制御部17が時系列データ測定記憶部28と波長走査部31とを備え、データ処理部18が波長測定部30および動的波長シフト測定部の少なくとも一方を備えることにより、良好に多数の物理量を計測することができる。
【0124】
時系列データ測定記憶部28は、前述のように、光スイッチング部のスイッチングタイミングに同期して、複数のFBG15,15からの反射光パルス列を時系列データとして測定記録する。波長走査部31は、この時系列データを取得するために2つ以上の波長中心値で波長可変フィルタ部を走査し、データ処理部18の波長測定部30は、これらの時系列データから個々のFBG15の信号を抽出して、複数の時系列データに属する個々のFBG反射光パルスの強度値と走査波長の値を用いた重心演算により反射光の中心波長あるいは波長シフト量を求め、またはこれらの時系列データから個々のFBG15の信号を抽出して、複数の時系列データに属する個々のFBG反射光パルスの強度の相対比率と予めデータ処理部18に記憶されている校正曲線を用いて、着目するFBG15の反射光の中心波長あるいは波長シフト量を求める。データ処理部18に動的波長シフト測定部33を備えてもよい。この測定部33は、図14に示すように、波長を固定した上で所要時間に複数回連続して光強度の測定を行い、これらの時系列データから個々のFBG15の信号を抽出して、複数の時系列データに属する個々のFBG反射光パルスの光強度の相対比率と予めデータ処理部に記憶されている校正曲線を用いて、着目するFBG15の反射光の中心波長あるいは波長シフト量とその変化の周期等の時間変化情報を求める。
【0125】
時系列データ測定記憶部・波長走査部・波長測定部
信号処理制御部17が時系列データ測定記憶部と波長走査部とを備え、データ処理部が波長測定部を備える例を図17に示す。
【0126】
図17では、信号処理制御部17の中に、時系列データ測定記憶部28と波長走査部31が備えられており、かつデータ処理部18の中に波長測定部30が備えられている。
【0127】
重心演算
信号処理制御部17の時系列データ測定記憶部28は、前述のように、光源部11のパルス化タイミングと同期して、一定の遅れ時間を伴なう区間から戻ってくるパルス光の波長帯と反射波長が合致するFBG15からの反射パルス列の全てを一括して時系列状に測定記憶するものである。時系列データ測定記憶部28は、実用的な例として、光パルスを光電変換素子により電気パルスに変換したものを、一定時間のサンプリング間隔でAD変換し、そのディジタルデータ列として記憶すれば良い。
【0128】
信号処理制御部17の波長走査部31は、上記時系列データを取得するために2つ以上の波長中心値で光源部11の波長可変フィルタ部23を走査し、この波長走査で得られる反射光パルスを光検出処理部16で検出し、上記時系列データ測定記憶部28で時系列状に測定記録する。
【0129】
着目するFBG15からのパルス反射光の波長まわりで複数回の波長走査をして取得した時系列データから各FBG15の信号を抽出して、複数の時系列データに属する個々のFBG15のパルス反射光の光強度値が得られる。この光強度値と走査波長の値を用い、先に図12を用いて説明した重心演算を行うことにより、着目するFBG15の反射光の中心波長あるいは波長シフト量を求めることができる。
【0130】
時系列データ測定記憶部28と図12の重心演算により、複数のFBG15に対する物理量データが、必要とする波長走査の回数だけで取得することができる。
【0131】
このような物理量計測システム10(10A〜10E)においては、線スペクトル状のプローブ光の多数回の走査によるのではなく、プローブ光をFBGの反射スペクトルの半値幅、あるいは10分の1幅オーダの波長幅スペクトルとしておくことにより、複数個の波長値に対する光強度測定データとプローブ光の中心波長を用いた重心演算から実効的なFBG15の中心反射波長を求めることができる。この重心演算は最低2回でも計算可能である。さらに、時間ゲートではなく時系列データとして光強度データを取得しているため、遅延時間走査が不要で、極めて少数の波長走査のみでFBG15の波長中心を求めることができるため、簡素かつ迅速な測定ができる。
【0132】
相対比率・校正曲線
次に、図17と同様に、信号処理制御部17に、時系列データ測定記憶部28と波長走査部31とを備え、データ処理部18に波長測定部30を備えるが、データ処理部18に備えられる波長測定部30の演算手法を異にする例を説明する。
【0133】
この波長測定部30における演算手法は、図13で示した手法と同様であり、時系列データ測定記憶部28に記憶された時系列データから個々のFBG15の信号を抽出して、複数の時系列データに属する個々のFBG反射光パルスの強度の相対比率と、予めデータ処理部18に記憶されている校正曲線Aを用いて、着目するFBG15の反射光の中心波長あるいは波長シフト量を求める手法である。
【0134】
この計測システム10(10A〜10F)によれば、反射光の波長は等しいが遅延時間が異なる複数のFBG15,15に対して、一括して2回の時間走査という最低の走査回数で波長シフト量を算出できる。
【0135】
このような計測システム10(10A〜10F)においては、線スペクトル状のプローブ光の多数回の走査によるのではなく、プローブ光をFBG15の反射スペクトルの半値幅、あるいは10分の1幅オーダの波長幅スペクトルとしておくことを前提として、複数回の波長走査値に対する光強度測定データの比率と校正曲線Aから実効的なFBG15の中心反射波長のシフト量を求めることができる。さらに、時間ゲートではなく時系列データとして光強度データを取得しているため、遅延時間走査が不要で、極めて少数の波長走査のみでFBG15の波長中心を求めることができるため、簡素かつ迅速な測定ができる。
【0136】
時系列データ測定記憶部・波長走査部・動的波長シフト測定部
図18は光源部11に広帯域光源部22と波長可変フィルタ部23と光スイッチング部24とを備える光ファイバ多点物理量計測システムにおいて、信号処理制御部17が時系列データ測定記憶部28と波長走査部31とを備え、データ処理部18が動的波長シフト測定部33を備えた光ファイバ多点物理量計測システム10Fを示す。
【0137】
この物理量計測システム10Fの信号処理制御部17の時系列データ測定記憶部28は、光スイッチング部のスイッチングタイミングに同期して、複数のFBG15からの反射光パルス列を時系列データとして測定記録し、波長走査部31は、この時系列データを取得するために光源部11で2つ以上の波長中心値で波長可変フィルタ部23を走査する一方、データ処理部18の動的波長シフト測定部33は、波長を固定した上で所要時間に複数回測定を行い、これらの時系列データから個々のFBG15の信号を抽出して、複数の時系列データに属する個々のFBG反射光パルスの光強度の相対比率と予めデータ処理部18に記憶されている校正曲線Aを用いて、着目するFBG15の反射光の中心波長あるいは波長シフト量とその変化の周期等の時間変化情報を求めることにより動的物理量の計測を良好に行うことができる。
【0138】
具体的には、信号処理制御部17の時系列データ記憶測定部28は、光源部11のパルス化タイミングと同期して、一定の遅れ時間伴う区間から戻ってくるパルス光の波長帯と反射波長が合致するFBG15からの反射パルス列全てを一括して時系列状に測定記憶するものである。
【0139】
図14と同じく、時系列データ記憶測定部28にはプローブ光の光強度、波長が一定である場合、反射波長スペクトルがシフトしていなければ常に同一強度とみなし得る反射パルス列が測定記憶される。しかしながら、FBG15からの反射波長が変化(シフト)する場合、反射光の強度も変化し、変化する光強度が時系列データとして記憶される。一方、波長走査部31では波長をいったん固定して、所要時間繰り返しデータを連続して収集し、時系列データに含まれる個々のFBG15の信号成分を切出していくことで、先の図14で説明したケースと同様となる。これにより、特定反射波長帯に属する複数のFBG15に対する波長変化周期を動的に検出することができる。
【0140】
この計測システム10Fにおいては、プローブ光をFBG15の反射スペクトルの半値幅、あるいは10分の1幅オーダの波長幅スペクトルとしておくことを前提として、複数の同一基本反射波長を持つ複数のFBG15の光量変化から波長シフトの時間変化を連続的に追跡し、その周期とシフト量から複数の物理量変化の動的パラメータを測定することができる。
【0141】
静的・動的物理量の計測
上記のような光源部11に広帯域光源部22と波長可変フィルタ部23と光スイッチング部21とを備える光ファイバ多点物理量計測システム10Fにおいては、時系列データ記憶測定部28と波長走査部31と動的波長シフト測定部33とを備えて動的物理量を計測する構成と、前述の静的物理量を計測するシステム10(10A〜10D)を組み込んで、1つの計測システムを構成することができる。
【0142】
前述の静的物理量を計測するシステム10(10A〜10D)としては、信号処理制御部17に時系列データ測定記憶部28と、データ処理部18に時系列データ二値判定処理部29を備える構成、または信号処理制御部17に時系列データ測定記憶部28と波長走査部31とを、データ処理部18に波長測定部30とを備える構成が挙げられる。
【0143】
この静的・動的物理量の計測システム10Fにおいて、動的物理量の計測は、特定の走査波長に固定して、着目対象となる全てのFBG15からの反射パルス列の光強度を時間的に連続して取得することで、FBG15の波長シフトの周期を算出するとともに、波長走査を行うことにより波長シフトの量を算出する。
【0144】
これら光強度およびは波長シフトを算出する手順により、波長シフトの量とその周期の両方を求めることが可能となり、時間的に変化し続ける物理量自体を測定すること、例えば振動計測等の動的物理量と静的な定常状態物理量の計測の両方に用いることができる。また、時系列データにより複数のFBG15の信号を一括して計測することで、測定時間を最小限に抑えることができる。
【0145】
自己健全性監視
この光ファイバ多点物理量計測システム10(10A〜10F)においては、図19に示すように、光幹線部12や光分岐路部13が断線することなく全て健全に接続されていることを監視する健全性監視手段35を備えていることが好ましい。
【0146】
例えば、光幹線部12と光分岐路部14の各終端部に、光源部11から導入された光が反射手段により反射して光導入側に戻される終端反射手段36を備える。終端反射手段36からの反射光を測定する健全性監視手段36を備えることにより、光幹線部12ならびに光分岐路部14の接続状態に関する健全性および伝送損失の変化を測定して健全性を監視することができる。
【0147】
光源部11からの導入された光の終端反射手段36としては、光の波長を変化させないフレネル反射、鏡面反射、および乱反射面反射のうちの少なくとも1種の光反射手段が挙げられる。
【0148】
健全性監視のための光ファイバ多点物理量計測システム10Gの構成例を図19に示す。
【0149】
図19に示される物理量計測システム10Gでは、例えば、データ処理部18の中に、健全性監視手段35を備えるとともに、光分岐路部14および光幹線部12の各終端部に終端反射手段36が装着される。
【0150】
通常、光ファイバの開放端はフレネル反射を起こすため、場合によってはこの光を吸収、散乱等の作用により反射しないようにする措置が取られることがある。この物理量計測システム10Gでは、終端反射手段36から反射光を利用しようとするものであり、開放端のまま使うか、あるいは積極的に反射手段(反射体)36を装着して、光ファイバ終端部分からの光を光幹線部12まで戻し、光検出処理部16で検出させるようになっている。
【0151】
光源部11からの光はパルス化されており、波長走査をうけながら光幹線部12に導入される。いずれの波長の場合にも、光幹線部12と各光分岐路部14が健全に接続状態を保っている場合には、終端反射手段36からの反射光がパルスの導入タイミングに対して既知の遅延時間の後検出される。もちろん、光幹線部12が途中で分断された場合には、分断ポイント以降に接続された光分岐路部14の先端からの信号が戻ってこない。また、特定の光分岐路部14のみが断線した場合は、この光分岐路部14に装着した終端反射手段36からの光のみが戻ってこない。これら一連の判断が健全性監視手段35でなされる。
【0152】
さらに、健全性監視手段35では、反射パルスの戻りの有無のみならず、反射パルスの光強度の経年変化、経時変化にも着目する。反射パルスが戻されるものの、光強度が著しく低下している場合には、線路12,14の接続損失や光分岐部(光分岐器)13の異常などが考えられる。各区間は、複数の信号が重複して通過してくるため、総合的な情報の組み合せにより、光ファイバやそこに接続されている部品等の健全性自体を判定することができる。
【0153】
本発明においては、システム稼動中に光幹線部および光分岐路部がすべて断線することなく健全に接続されていることをオンラインで監視することができる。
【0154】
自己校正
光ファイバ多点物理量計測システムにおける光分岐部13やFBG15の接続位置は、システム設計時、あるいは敷設時に既知であり、これらの位置・長さ情報を予めシステムに登録しておくのが一般的な方法である。しかし、この光ファイバ多点物理量計測システムにおいては、接続されたFBG15の接続位置・距離、または反射光波長の情報が予め与えられない場合であっても、その場で校正を実施することができる。
【0155】
具体的には、光源部11の光源として、個々のFBG反射スペクトルの半値幅よりも十分小さい線幅の光を用い、接続されている全てのFBG15の反射光波長帯域を網羅する範囲で順次波長走査しながら光幹線部12に光を導入する波長走査部31と、走査波長に対する反射光パルス列の時系列データを測定し記録する時系列データ測定記憶部28と、この時系列データと走査波長情報からFBG15の基本反射光波長を算出し、時系列データから抽出した検出された光パルスの遅延時間情報から接続位置・距離情報を算出して、この結果をデータ処理部18に記憶させる校正計算処理部(図示省略)とを備えることにより、校正することができる。
【0156】
この光ファイバ多点物理量計測システムにおいては、時系列データ測定記憶部28と波長走査部31と校正計算処理部とを備えており、波長走査のみを行うことにより、全てのFBGからの反射パルスを測定記録することができる(図20)。校正計算の対象として取得した全てのFBG15からの反射パルスについて、該当する波長と光源部11からのパルス光に対する遅延時間から、接続されているFBG15の遅延時間(位置)、基本反射波長を取得することができる。従って、敷設後等にこれらの探索測定を行い、得られた結果をシステムに登録しておくことで、予め校正情報が与えられない場合でも、「その場校正」を実施することができる。
【0157】
予め設置前にFBG15の接続条件がない場合に限らず、設置状態のシステムに増設により新たにセンサ等を加えた場合等、システム稼動後の状態で、現実の設置状態に促した校正値を求めることができる。
【0158】
自己補正
光ファイバ多点物理量計測システム10Hにおいては、図21に示すように、ファイバ劣化等が生ずる環境であっても、計測システムのデータの精度、信頼性を高めることができる補正手段を備えることが好ましい。
【0159】
具体的には、測定対象の物理量をFBG15に対する微小歪みあるいは温度変化に変換する物理量伝達機構38と、予め各FBG15に割り当てられた測定対象の物理量(測定対象の種類と歪み変化)とFBG15の波長シフト量との関係を示す校正曲線を記憶する校正曲線記憶部39と、連続的に蓄積したデータから、経年劣化、および環境による劣化(熱や湿度等による劣化・放射線照射劣化など)に起因する経路別の伝送損失の変化を算出するファイバ劣化測定部40と、校正曲線記憶部39に記録された校正曲線から測定対象の物理量を換算する際に必要な補正をファイバ劣化測定部40で算出された伝送損失変化値に基づいて行う換算補正部41とを備えることにより、1種以上の物理量が混在した計測の監視が十分にでき、また過酷な環境下においても、データの精度、信頼性を高めることができる。
【0160】
図21は、1つの物理量計測システム10Hで1種以上の物理量を測定監視できる例を示す。図21に示す物理量計測システム10Hは、図1に示されたシステム10に加えて、例えば、データ処理部18の中に、ファイバ劣化測定部39と換算補正部41と校正曲線記憶部39を備えており、さらに光分岐路部14などの終端には終端反射手段36を備える構成である。
【0161】
さらに、各FBG15には物理量伝達機構38として、各FBG15に割り当てられた単一種類、あるいは複数種類の測定物理量をFBG15の微小歪みに変換して、FBG15の反射波長のシフトを生じさせるような機構を装着してある。
【0162】
校正曲線記憶部39には、各FBG15の波長シフト量と測定対象物理量との関係を示す校正曲線が記憶されている。また、データ処理部18のファイバ劣化想定部40では経年劣化や熱、放射線等による光ファイバやFBG15自体の劣化に起因する損失、波長変化を測定する。測定された劣化から換算補正部41では各物理量換算のための補正係数を算出し、校正曲線記憶部39に記憶された校正曲線から算出される物理量に対して補正を行う。
【0163】
これにより、システム10Hの中に異種の計測対象物理量が混在し、かつ光ファイバの劣化等が生じることを前提としたシステムにおいても正しい測定情報を与えることができる。
【0164】
【発明の効果】
本発明の光ファイバ多点物理量計測システムにおいては、FBGの波長制約条件に拘束されない接続が可能であるので、多数点のFBGを1つのシステムに接続することができる。
【0165】
また、本発明では、光強度の変化自体をしきい値判定することにより、FBGの反射波長変化の有無を高速に検出することができる。
【0166】
本発明では、時間と波長の2つのパラメータの走査条件を最小限にとどめ、効率よく波長変化を計測することができる。
【0167】
本発明では、動的波長シフト測定することにより、波長変化の周期を捉えることができるため、振動計測など動的に変化している物理量自体を計測することができ、また、効率的な波長走査と波長変化検出手段を併せ持つことで、静的な物理量測定とも両立することができる。
【0168】
本発明においては、計測システム自体の自己校正、自己健全性監視、自己補正の機能を有することができるので、物理的な構成条件が変わる場合、あるいはこれらの構成は不変でありながら光学的なパラメータ・特性が変化した場合にも、正常な測定および運用を続行することができる計測システムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ファイバ多点物量計測システムの一実施形態を示す説明図。
【図2】本発明に係る光ファイバ多点物量計測システムにおいて、複数系統の光幹線部を備えた例を示す説明図。
【図3】本発明に係る光ファイバ多点物量計測システムにおいて、複数系統の光幹線部を備えた他の例を示す説明図。
【図4】本発明に係る光ファイバ多点物量計測システムにおける分岐間隔の一例を示す説明図。
【図5】本発明に係る光ファイバ多点物量計測システムにおける分岐間隔の他の例を示す説明図。
【図6】本発明に係る光ファイバ多点物量計測システムに用いられる光源部の説明図。
【図7】(a)は本発明に係る光ファイバ多点物量計測システムの光源部から出力されるプローブ光の発光特性を示す図、(b)は出力プローブ光を制御して作り出されるパルス光の例を示す図。
【図8】本発明に係る光ファイバ多点物量計測システムにおけるデータ処理部と信号処理制御部の関係例を示す説明図。
【図9】(a)は本発明に係る光ファイバ多点物量計測システムの各FBGからの反射パルスと着目するFBGのゲート信号との関係を示す説明図、(b)は着目するFBGの反射波長のシフト例を示す図、(c)は光検出処理部で検出される光信号例を示す図。
【図10】本発明に係る光ファイバ多点物量計測システムにおけるデータ処理部と信号処理制御部の関係の他の例を示す説明図。
【図11】本発明に係る光ファイバ多点物量計測システムにおけるデータ処理部と信号処理制御部のさらに他の関係例を示す説明図。
【図12】(a)および(b)は本発明に係る光ファイバ多点物量計測システムにおいて光強度と走査波長の関係を示す重心演算による中心波長算出の説明図。
【図13】(a),(b)および(c)は本発明に係る光ファイバ多点物量計測システムにおいて比演算による波長シフト量算出の説明図。
【図14】本発明に係る光ファイバ多点物量計測システムにおけるデータ処理部と信号処理制御部のさらに他の関係例を示す説明図。
【図15】本発明に係る光ファイバ多点物量計計測システムにおけるデータ処理部と信号処理制御部とのさらに他の関係例を示す図。
【図16】着目するFBGの波長における時系列データの測定例を示す図。
【図17】本発明に係る光ファイバ多点物量計測システムにおけるデータ処理部と信号処理制御部のさらに他の関係例を示す図。
【図18】本発明に係る光ファイバ多点物量計測システムにおけるデータ処理部と信号処理制御部のさらに他の関係例を示す図。
【図19】本発明に係る光ファイバ多点物量計測システムにおける自己健全性監視例を示す説明図。
【図20】本発明に係る光ファイバ多点物量計測システムにおける自己校正の説明図。
【図21】本発明に係る光ファイバ多点物量計測システムにおける自己補正の例を示す説明図。
【図22】従来の物理量計測システムを示す説明図。
【符号の説明】
10,10A〜10H 光ファイバ多点物量計測システム
11 光源部
12 光幹線部(光伝送手段)
13 光分岐部
14 光分岐路部(光伝送手段)
15 FBG(光ファイバブラッググレーティング素子)
16 光検出処理部
17 信号処理制御部
18 データ処理部
20 光切替器
22 広帯域光源部
23 波長可変フィルタ部
24 光スイッチング部
25 ゲート信号発生部
26 二値判定処理部
28 時系列データ測定記憶部
29 時系列データ二値判定処理部
30 波長測定部
31 波長走査部
33 動的波長シフト測定部
35 健全性監視手段
36 終端反射手段
38 物理量伝達機構
39 校正曲線記憶部
40 ファイバ劣化測定部
41 換算補正部

Claims (8)

  1. 複数の物理量計測用の光ファイバブラッググレーティング素子(以下「FBG」という。)が光ファイバで接続され、
    広帯域の連続光を出力する広帯域光源部とこの連続光の任意の波長帯域のみを選択的に透過させることのできる波長可変フィルタ部とフィルタリングされた連続光をパルス光に変換する光スイッチング部とを備える光源部と、
    この光源部から出力された計測用のパルス光および前記FBGの反射光を伝送する光幹線部と、
    この光幹線部に列状に配設され、計測用の光を前記光幹線部から分岐させる複数の光分岐部と、を備える光ファイバ多点物理量計測システムにおいて、
    前記光幹線部の光分岐部間の距離と、前記光分岐路部内の前記FBG間の距離と、光分岐部と光分岐部に最も近い位置にあるFBGとの距離が等しくなるように列状に配設された光分岐部と、
    前記FBGからの反射光を検出・処理する光検出処理部と、
    前記光源部と光検出処理部との間の制御を行う信号処理制御部と、
    全てのFBGの接続位置または距離条件と反射光波長に関する情報が格納されており、信号処理時に格納情報を利用して各FBGのデータを識別および処理するデータ処理部と、を有し、
    前記光分岐路部内の複数の前記FBGは、前記光分岐部から反射光の波長順に順次並べて配設され、
    前記光源部は、前記波長可変フィルタ部および前記光スイッチング部により、前記広帯域光源部が出力する連続光から着目する前記FBGの反射波長帯に相当する光を含むパルス状のプローブ光である前記計測用のパルス光を発することを特徴とする光ファイバ多点物理量計測システム。
  2. 前記信号処理制御部がゲート信号発生部を備え、前記データ処理部が二値判定処理部、波長測定部、二値判定処理部と動的波長シフト測定部、および波長測定部と動的波長シフト測定部のうちのいずれかを備えており、
    前記ゲート信号発生部は、着目するFBGに対して所要の遅延時間でゲート信号を発生し、このゲート信号がアクティブな間のみ前記光検出処理部が光を検出する機能を有し、
    前記データ処理部の二値判定処理部は、光検出処理部が光パルスを検出したか否かの二値情報から着目するFBGからの反射光波長が有意な変化をしたか否かを判定し、また前記波長測定部は、観測された光の最大強度波長あるいは波長スペクトルの中心波長を求め、前記動的波長シフト測定部は、上記時間条件に対して、波長を固定した上で所要時間に複数回連続的に光強度の測定を行い、得られた光強度の相対比率と予めデータ処理部に記憶されている校正曲線を用いて、着目するFBGの反射光の中心波長あるいは波長シフト量とその変化の周期のような時間変化情報を求めるようにした請求項1に記載の光ファイバ多点物理量計測システム。
  3. 前記信号処理制御部がゲート信号発生部と波長走査部とを備え、前記データ処理部が波長測定部および動的波長シフト測定部の少なくとも一方を備えており、
    前記信号処理制御部のゲート信号発生部は、着目するFBGに対して所要な遅延時間でゲート信号を発生し、このゲート信号がアクティブな間のみ前記光検出処理部が光を検出する機能を有し、前記波長走査部は、上記時間条件に対して2つ以上の波長中心値で光源部の波長可変フィルタ部を走査し、
    前記データ処理部の波長測定部では、各波長走査に対して光検出処理部で得られた反射光パルスの強度値と走査波長の値を用いて重心演算により反射光の中心波長あるいは波長シフト量を求め、あるいは各波長走査に対して光検出処理部で得られた反射光パルスの強度の相対比率と予めデータ処理部に記憶されている校正曲線を用いて、着目するFBGの反射光の中心波長あるいは波長シフト量を求め、前記動的波長シフト測定部は、上記時間条件に対して波長を固定した上で所要時間に複数回連続的に光強度の測定を行い、得られた光強度の相対比率と予めデータ処理部に記憶されている校正曲線を用いて、着目するFBGの反射光の中心波長あるいは波長シフト量とその変化の周期のような時間変化情報を求めるようにした請求項1に記載の光ファイバ多点物理量計測システム。
  4. 前記信号処理制御部が時系列データ測定記憶部を備え、前記データ処理部が時系列データ二値判定処理部、または時系列データ二値判定処理部と動的波長シフト測定部を備えており、
    前記信号処理制御部の時系列データ測定記憶部では、光スイッチング部のスイッチングタイミングに同期して、複数のFBGからの反射光パルス列を時系列データとして測定記録し、
    前記データ処理部の時系列データ二値判定処理部は、これらの時系列データから個々のFBGの信号を抽出して反射光パルスが存在するか否かを判定し、前記動的波長シフト測定部は、波長を固定した上で所要時間に複数回連続的に光強度の測定を行ない、これらの時系列データから個々のFBGの信号を抽出して、複数の時系列データに属する個々のFBG反射光パルスの光強度の相対比率と予めデータ処理部に記憶されている校正曲線を用いて、着目するFBGの反射光の中心波長あるいは波長シフト量とその変化の周期のような時間変化情報を求めるようにした請求項1に記載の光ファイバ多点物理量計測システム。
  5. 前記信号処理制御部が時系列データ測定記憶部と波長走査部とを備え、前記データ処理部が波長測定部および動的波長シフト測定部の少なくとも一方を備えており、
    前記時系列データ測定記憶部は、光スイッチング部のスイッチングタイミングに同期して、複数のFBGからの反射光パルス列を時系列データとして測定記録し、波長走査部は、この時系列データを取得するために2つ以上の波長中心値で波長可変フィルタ部を走査し、
    前記データ処理部の波長測定部は、これらの時系列データから個々のFBGの信号を抽出して、複数の時系列データに属する個々のFBG反射光パルスの強度値と走査波長の値を用いた重心演算により反射光の中心波長あるいは波長シフト量を求め、またはこれらの時系列データから個々のFBGの信号を抽出して、複数の時系列データに属する個々のFBG反射光パルスの強度の相対比率と予めデータ処理部に記憶されている校正曲線を用いて、着目するFBGの反射光の中心波長あるいは波長シフト量を求め、前記動的波長シフト測定部は、波長を固定した上で所要時間に複数回連続的に光強度の測定を行った結果、これらの時系列データから個々のFBGの信号を抽出して、複数の時系列データに属する個々のFBG反射光パルスの光強度の相対比率と予め前記データ処理部に記憶されている校正曲線を用いて、着目するFBGの反射光の中心波長あるいは波長シフト量とその変化の周期のような時間変化情報を求めるようにした請求項1に記載の光ファイバ多点物理量計測システム。
  6. 光幹線部と光分岐路部の各終端部に、光源部から導入された光が反射手段により反射光として光導入側に戻される終端反射手段を備え、
    この反射光から前記光幹線部ならびに光分岐路部の接続状態に関する健全性および伝送損失の変化を測定する健全性監視手段を前記データ処理部に備える請求項1に記載の光ファイバ多点物理量計測システム。
  7. 接続されたFBGの接続位置・距離および反射光波長の情報が予め与えられない場合に、前記光源部の光源として、個々のFBG反射スペクトルの半値幅よりも十分小さい線幅の光を用い、接続されている全てのFBGの反射光波長帯域を網羅する範囲で順次波長走査しながら光幹線部に光を導入する波長走査部と、
    走査波長に対する反射光パルス列の時系列データを測定し記録する時系列データ測定記憶部と、
    この時系列データと走査波長情報からFBGの基本反射光波長を算出し、時系列データから抽出して検出された光パルスの遅延時間情報から接続位置・距離情報を算出して、この結果をデータ処理部に記憶させる校正計算処理部とを備える請求項1に記載の光ファイバ多点物理量計測システム。
  8. 測定対象の物理量をFBGに対する微小歪みあるいは温度変化に変換する物理量伝達機構部と、
    予め各FBGに割り当てられた測定対象の物理量とFBGの波長シフト量との関係を示す校正曲線を記憶する校正曲線記憶部と、
    連続的に蓄積したデータから、経年劣化および環境による劣化に起因する経路別の伝送損失の変化を算出するファイバ劣化測定部と、
    校正曲線記憶部に記録された校正曲線から測定対象の物理量を換算する際に必要な補正をファイバ劣化測定部で算出された伝送損失変化値に基づいて行う換算補正部と、を備えて、1種以上の物理量が混在した計測の監視を行う請求項1に記載の光ファイバ多点物理量計測システム。
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