JP4625299B2 - 輻射熱型原子力発電装置 - Google Patents

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Description

本発明は、原子力発電装置に関する。
図1は従来の沸騰水型原子力発電装置の概観図である。原子炉圧力容器(1)の中には発熱源である固体核燃料棒(2)と反応を制御する制御棒(3)が装荷されている。固体核燃料棒(2)で発生した熱は、給水ポンプ(4)により原子炉圧力容器(1)の中に入ってきた液体水に伝達され、高温になった水は飽和蒸気となってタービン(5)を回転させる。回転運動は発電機(6)に伝えられ電気を発生する。
約70気圧の飽和蒸気温度が300℃程度の現行水冷却型原子力発電の熱効率は約33%であり、超臨界圧力で蒸気温度が500℃程度の火力発電における40%台の熱効率に対して見劣りする。
固体核燃料棒(2)の周囲を流れる冷却材である水は固体核燃料棒(2)からの熱を熱伝達により受熱し、飽和蒸気を発生させていた。核燃料の反応の仕方は減速材でもある水の存在により大きな影響を受ける。固体核燃料棒(2)の下部では液体である水が豊富なため反応が活発で熱発生が盛んである。上部では液体である水が少なく蒸気が多いため反応が不活発で熱発生が少ない。水量が少ないと除熱不足により被覆管の破損を起こす恐れがあった。したがって、熱効率を犠牲にして飽和蒸気温度を制限していた。
図2に示す本発明の輻射熱型原子力発電装置は、溶鉱炉(13)の中に高温の溶融核燃料(12)が存在し輻射熱を発している。上部空間に受熱管(26)を敷設する。
核燃料に水を接しめることなく核燃料と冷却材とを離して、運転中核燃料温度を高めて溶融させ溶融核燃料(12)とし、溶融核燃料(12)から発した輻射熱を受熱管(26)が受熱し、受熱管(26)の中に流入した低温蒸気に熱を伝達し高温蒸気を発生せしめる。
高温蒸気はタービン(5)に入り発電機(6)を回転させて電気を発生する。
従来は核燃料と冷却材が接していて相互作用を及ぼしていた。その結果、核燃料を保護するため冷却水温度の上限を低く設定せざるをえなかった。本発明では核燃料と冷却材は分離したため、核燃料を融点以上の高温にすることができるため高温蒸気を得ることができてエネルギー効率が上がり、発電コストが低下する。
本発明では被覆管が不要でコストが下がる。
溶鉱炉(13)の外壁は外から常に冷却されているため、冷却材喪失事象が生じても外壁冷却を消防ホース等により冷却すれば溶鉱炉(13)の破損は生じない。
発電コストが安く、安全性の高い原子炉が提供できた。
図2は本発明の輻射熱型原子力発電装置の概観図である。溶鉱炉(13)の中には核燃料の核分裂反応により溶融した溶融核燃料(12)がある。金属ウランや金属プルトニウムや金属アメリシウムの融点は摂氏900度以下である。希釈材の選定により融点を制御することもできる。
溶鉱炉(13)の壁に接した部分は反応が弱いことと溶鉱炉(13)の壁からの除熱により固化し固体核燃料(11)となっている。固体であることと低温であることから溶鉱炉(13)の壁を腐食する割合が小さい。
仕事を終えてタービン(5)からでてきた低温蒸気は、吸引ポンプ(16)に吸引され吸気管(17)を通って原子炉容器(10)の低温蒸気部(18)に入る。次に、蒸気隔壁(14)によって隔てられた中温蒸気部(19)に網目蒸気隔壁(20)の網目から入っていく。溶鉱炉(13)の壁を摂氏600度程度に冷却し壁に接した核燃料を固化させる。低温蒸気は溶鉱炉(13)の壁から受熱して中温蒸気となる。中温蒸気は送風管(22)を通って送風機(23)から耐熱鋼または石英ガラスでできた受熱管(26)に入る。
受熱管(26)に入った中温蒸気は溶融核燃料(12)から出る輻射熱により過熱されている受熱管(26)から受熱して高温蒸気となって、タービン(5)に入り発電機(6)を回転させ電気を発生する。タービン(5)で仕事を終えた蒸気は再び吸引ポンプ(16)に吸引され循環する。
原子炉出力の制御は、中温蒸気部(19)の中をモーターMにより上下に動く制御棒(21)による。制御棒(21)が下にあれば溶鉱炉(13)から漏洩してくる中性子を吸収して反応を抑制する。制御棒(21)が上にあれば溶鉱炉(13)から漏洩してくる中性子は中温蒸気部(19)と低温蒸気部(18)の蒸気や蒸気隔壁(14)に反射され溶鉱炉(13)の内側に戻され核燃料の反応に寄与する。
受熱管(26)上部に敷設せる制御材タンク(25)に5硼酸ナトリウム水溶液等の液体の中性子吸収材が充填されると溶融核燃料(12)の上部に漏洩する中性子を吸収し出力を低下させることができる。純水の水が充填されると漏洩してきた中性子を溶融核燃料(12)に反射し出力の低下を抑えることができる。液体の充填排出は給排水ポンプ(24)により実施する。
溶鉱炉(13)内の核燃料から発生する気体はフイルター(28)を介して排気筒(27)から格納容器(15)の外に送られる。
緊急または長期停止時には可燃性毒物粉末注入管(29)から、融点が摂氏2000度程度で密度の小さい可燃性毒物である炭化硼素や酸化ユーロピウムの粉末が溶融核燃料(12)の表面に散布される。軽い可燃性毒物は表面を覆い中性子を吸収し反応を抑制する。再び出力を上昇させたい場合は、可燃性毒物粉末注入管(29)から表面に浮いている可燃性毒物粉末を吸い上げる。吸い上げきれなかった可燃性毒物は、運転中に中性子を吸収すると中性子を吸収する性質が非常に小さくなるため原子炉運転継続に支障を来たすことはない。更に超長期では可燃性毒物粉末で固化した核燃料の表面に液体の中性子吸収材を注入する。
タービン(5)に復水器(7)を付ければ、低温蒸気部(18)は液体の水になり、吸引ポンプ(16)は給水ポンプとなる。タービン効率をあげる事ができる。
受熱管(26)を循環する物質として水の気体の他に、炭酸ガスやヘリウムでもよい。
溶融核燃料(12)の上を石英ガラスのような赤外線に対して透明な物資で覆えば、受熱管(26)無しとし、水を直接石英ガラスの上に注入し蒸気を発生させることができる。
熱効率の高い高温蒸気発生装置としての原子炉を提供できたことは、廃熱低減による環境への熱汚染を低減させることできた。発電コストを低減させてかつ人工的な地球温暖化を抑制することができた。
従来の沸騰水型原子力発電装置の概観図。 本発明の輻射熱型原子力発電装置の概観図。
符号の説明
1は原子炉圧力容器
2は固体核燃料棒
3は制御棒
4は給水ポンプ
5はタービン
6は発電機
7は復水器
10は原子炉容器
11は固体核燃料
12は溶融核燃料
13は溶鉱炉
14は蒸気隔壁
15は格納容器
16は吸引ポンプ
17は給気管
18は低温蒸気部
19は中温蒸気部
20は網目蒸気隔壁
21は制御棒
22は送風管
23は送風機
24は給排水ポンプ
25は制御材タンク
26は受熱管
27は排気筒
28はフィルター
29は可燃性毒物粉末注入管

Claims (1)

  1. 核燃料の核分裂反応により溶融した溶融核燃料(12)、
    前記溶融核燃料(12)を中に装荷する溶鉱炉(13)、
    前記溶融核燃料(12)の融点以下に冷却し壁に接した部分の核燃料を固体核燃料(11)となす前記溶鉱炉(13)の壁、とを有し、
    仕事を終えてタービン(5)からでてきた低温蒸気を吸引する吸引ポンプ(16)、
    前記吸引ポンプ(16)で吸引した前記低温蒸気を原子炉容器(10)の低温蒸気部(18)に通す吸気管(17)、
    前記低温蒸気が、前記溶鉱炉(13)の前記壁を冷却し、前記壁に接した前記核燃料を固化することで、前記溶鉱炉(13)の前記壁から受熱して中温蒸気となる中温蒸気部(19)、
    前記低温蒸気部(18)と前記中温蒸気部(19)とを隔てる蒸気隔壁(14)、
    前記中温蒸気部(19)に前記低温蒸気部(18)から前記低温蒸気を入れるための網目蒸気隔壁(20)、とを有し、
    前記溶融核燃料(12)から出る輻射熱により過熱されている耐熱鋼または石英ガラスでできており、前記低温蒸気を高温蒸気にする受熱管(26)、
    前記低温蒸気を前記受熱管(26)に送る送風管(22)および送風機(23)、
    前記高温蒸気が送られるタービン(5)、
    前記タービン(5)に前記高温蒸気が入ることで回転し電気を発生する発電機(6)、とを有し、
    さらに、原子炉出力の制御のための、
    前記中温蒸気部(19)の中に敷設せる制御棒(21)および前記制御棒(21)を上下動させるモーターM、並びに、前記受熱管(26)上部に敷設した液体の中性子吸収材または純水を充填させた制御材タンク(25)、
    また、核燃料から発生する気体を格納容器(15)の外に送るために、
    前記溶鉱炉(13)内の前記核燃料から発生する気体を通すフイルター(28)、前記気体を前記フイルター(28)を介して前記格納容器(15)の外に送る排気筒(27)、
    そして、緊急または長期停止時のために、
    可燃性毒物の粉末を前記溶融核燃料(12)の表面に散布させる可燃性毒物粉末注入管(29)、
    とを有するようにしたことを特徴とする輻射熱型原子力発電装置。
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