JP4618755B2 - 治具及びこれを用いた不定形材料の移換え方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、材料を別容器に移す場合に用いる治具及びこれを用いて不定形材料を移し換える不定形材料の移換え方法に係わり、特に、ロートを用いずに的確に移し換えることができる治具及びこれを用いて不定形材料を移し換える不定形材料の移換え方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、粉体試料をサンプリングする際には、通常、容器に収納されている粉体をスコップ等ですくい取り、ロートを用いて広口瓶等のサンプル瓶に移していた。このようなサンプリングに際し、試料の一定量を計る必要があり、また、粉体試料がサンプル瓶の口からこぼれやすく、移し換える粉末の微粉が飛散することもあり、作業性、衛生面の点からの問題があり、これらに対する様々な工夫がなされていた。
【0003】
特開昭61−269022号公報には、粉体の低量分取方法とその装置並びにそれに用いる粉体容器として、筒状容器内に収容される粉体を押出し機構で一時的集結体を形成し、更に、押出し機構により粉体カッテイング手段を介して器外に押出し、粉体を分取することにより、粉体の定量供給及び正確な秤量を可能にする旨が記載されている。
【0004】
特開昭57−20638号公報には、垂直方向の開口をそれぞれ有する底付円筒と、底なし円筒とを回転可能に嵌合した粉粒体のサンプリング器具を、開口を一致させてドラム状容器にセットし、別のドラムに収容されている粉粒体をドラム状容器に投入し、底付円筒を回転させ開口を閉じ、サンプリング器具をドラム状容器にから引き出すことにより、分布に片寄りを生じさせずに粉粒体を採取できる粉粒体のサンプリング器具が記載されている。
【0005】
実開昭59−92842号公報には、ダクト内を落下する粉体の試料を採取する採取器に関し、採取筒はダクトと密着固定されており、採取袋は採取筒の開口端にゴム等を取り付けてあるので周囲に微粉を発生させることなく試料採取が行え衛生的である試料採取器が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の粉体試料をサンプル瓶等に小分けするサンプリング器具においては、一定量の試料を計測して移す器具として複雑であったり、また、微粉の発生を排除して試料の採取を行うための装置が大掛かりになる等の問題点があった。
【0007】
本発明の課題は、上記問題点を解消するためになされたものであって、すくう・移すの作業が一つの治具ででき、しかも移し換える容器の口が狭い場合であっても、ロートを用いずに容器からのこぼれや、粉体の微粉の飛散をも排除し、操作性のよい治具及びこれを用いた不定形材料移換え方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、構造が簡単で安価であること、使用が簡単で単純であり、すくう・移すの作業が一つの治具ででき、粉末試料の移し換えの場合にも微粉の飛散を排除できることを基本コンセプトとして鋭意研究した結果、スコップとロートを兼ね備えることができる可撓性を有する治具を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、可撓性を有する材質で形成された、開放口を有する有底筒状容器からなり、前記開放口を形成する開放端部の一部に舌状切り欠きが設けられたことを特徴とする治具(請求項1)に関し、特に、舌状切り欠き形成部から、該舌状切り欠き形成部の対向位置に向かって、開放口を形成する開放端部の高さが漸次高くなっていることを特徴とする請求項1記載の治具(請求項2)や、開放口を有する有底筒状容器が、開放口を有する有底円筒状容器であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の治具(請求項3)に関する。
【0010】
また、本発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の治具を用いた不定形材料の移換え方法であって、筒胴部を押圧することにより、前記舌状切り欠きが設けられた縦方向位置で筒胴部が折れ曲がり、前記開放口を閉じるように変形し、前記舌状切り欠きと対向する位置の開放端部により不定形材料を排出する排出口が形成され、該排出口から治具に収納された不定形材料が排出されて移換えられることを特徴とする不定形材料の移換え方法(請求項4)に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の治具は、可撓性を有する材質で形成された、開放口を有する有底筒状容器からなり、前記開放口を形成する開放端部の一部に舌状切り欠きが設けられた治具であれば、特に限定されるものではないが、舌状切り欠き形成部から、該舌状切り欠き形成部の対向位置に向かって、開放口を形成する開放端部の高さが漸次高くなっているものが好ましく、また、開放口を有する有底筒状容器が、開放口を有する有底円筒状容器であるものが好ましい。
【0012】
また、本発明の不定形材料の移換え方法は、上記の治具を用いた不定形材料の移換え方法であって、筒胴部を押圧することにより、前記舌状切り欠きが設けられた縦方向位置で筒胴部が折れ曲がり、前記開放口を閉じるように変形し、前記舌状切り欠きと対向する位置の開放端部により不定形材料を排出する排出口が形成され、該排出口から治具に収納された不定形材料が排出されて移換えられるものであれば、特に限定されるものではない。
【0013】
本発明の治具や、不定形材料の移換え方法によれば、治具が可撓性を有する材質で形成されたため、開放口を開放させた状態で不定形材料を取り込み、不定形材料を別の容器に移し換えるときは、筒胴部を押圧することにより舌状切り欠きが設けられた縦方向位置で筒胴部が折れ曲がり開放口を閉じると共に、舌状切り欠きが設けられる位置と対向する位置の開放端部により不定形材料の排出口を形成することができ、取り込んだ不定形材料を治具内に閉塞し、治具外への微粉の飛散を防止し、移し換える容器の口に挿入した排出口から不定形材料を排出させ移し換えることができる。
【0014】
特に、舌状切り欠き形成部から、該舌状切り欠き形成部の対向位置に向かって、開放口を形成する開放端部の高さが漸次高くなっているものである場合は、舌状切り欠きと対向する位置に形成される排出口を、移し換える容器の口の内部まで挿入して治具内に閉塞された不定形材料を移し換えることができ、簡単な構造により、不定形材料を取り入れる用具を使用せずに治具に取り込み、不定形材料の飛散を排除して、ロート等を用いずに狭い口径の容器に移し換えることができ、しかも、容易に洗浄することができ、作用性を著しく向上させることができる。
【0015】
本発明の治具の好ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。
尚、図1(a)は本発明の不定形材料の移換え治具の正面図、図1(b)は本発明の側面図であり、図2(a)は使用方法を説明する上面図、(b)は使用方法を説明する斜視図、図3は本発明の使用方法を説明する斜視図である。
【0016】
本発明の治具は、図1に示すように、一端に底面1が形成され、他端に開放口2を有する筒胴部である円筒部3が備えられる有底円筒状容器Aからなり、円筒部3の一部には、開放端部2aの一部に舌状切り欠き4が設けられる。
ここで、治具により移し換えられる材料は、不定形材料であり、粉体、粒体、液体等の一定の形状を有しない材料を対象とするものである。
【0017】
円筒部3は、不定形材料を収納する部分であり、移し換える不定形材料の量によって内径、長さ等適宜選択することにより、その大きさを選択することができるものである。
【0018】
円筒部3の一端に設けられる底面1は、円筒部3の一端に密着され、円筒部3と共に、不定形材料を内部に保持するものである。
【0019】
開放口2は、円筒部3の他端に設けられ、開放口2から直接円筒部3内に不定形材料を取り入れるために設けられるものである。開放口2は、底面1と平行に設けられたものであってもよいが、底面1と必ずしも平行に設けられなければならないものではない。例えば、後述する舌状切り欠き4が設けられる舌状切り欠き形成部の開放端部2aの高さL1が最も低く、その対向位置5の開放端部2aの高さL2が最も高く、舌状切り欠き形成部からその対向位置に向かって開放端部の高さが漸次高くなるようなものであってもよい。
【0020】
開放端部2aから円筒部3の一部に設けられる舌状切り欠き4は、円筒部3の開放端部2a近傍が押され、撓むことにより、円筒部3が舌状切り欠き4が設けられた位置で縦方向に折れ曲がり、開放口2を閉じやすくするために設けられるものである。このように舌状切り欠き4部分で円筒部3が折れ曲がり開放口2が閉じられられたとき、舌状切り欠き4が設けられる位置と対向する位置5の開放端部2aにより排出口6が形成されるようになっている。舌状切り欠き4は円筒部3が押されることにより、折り曲げられるような長さ、幅を適宜選択することができ、形成される排出口6が、一定の速度で不定形材料が排出できる程度の大きさとなるような長さ、幅であることが望ましい。
【0021】
このような治具は、適度な可撓性を有する材質で形成されたものである。即ち、円筒部3の内部に容器に収納されている不定形材料を取り込む場合、直接円筒部3を形成する円筒形状部分で、不定形材料をすくいとることができ、また、取り込まれた不定形材料を他の容器に移し換える場合、円筒部3の開放口2の近傍を指又は手で挟むことにより、円筒部3が撓み、開放口2を閉じることができる程度の可撓性を有する材質を選択することができる。このような可撓性を有する材質として、適度な厚さを有するポリエチレン等のプラスチックが好ましく、また、不定形材料が粉体や、粒体の場合は、プラスチック被覆された紙等も適用することができる。
【0022】
このような治具を用いて不定形材料を移し換える本発明の不定形材料の移換え方法について説明する。
不定形材料の移換え治具の円筒部3を持って、開放口2から粉体等の不定形材料をすくい、円筒部3内に不定形材料を取り入れる。円筒部3内に取り入れられた不定形材料はほぼ一定量となる。
次ぎに、円筒部3の開放口2の近傍を手、指で挟むことにより、図2(a)に示すように、舌状切り欠き4が設けられた位置で円筒部3が縦方向に折り曲げられ、開放口2が閉じられ、円筒部3に取り入れられた不定形材料が円筒部3内に閉塞されると共に、舌状切り欠き4と対向する位置の開放端部2aの部分により排出口6が形成される。形成された排出口6からサンプリング瓶等に不定形材料を排出し、不定形材料を移し換えることができる。不定形材料は、開放口2が閉じられ円筒部3内に閉塞されるため、別容器に移し換える際に、飛散することがなく、衛生的であり、また、排出口6が容器の口内に配置されるため、ロートを用いなくとも不定形材料を容器外にこぼすことがない。
【0023】
また、舌状切り欠き4が設けられる舌状切り欠き形成部から、対向位置に向かって開放端部口2の高さを漸次高くするものとした場合、図2(b)に示すように、円筒部3の開放口2近傍を押し開放口2を閉じることにより、舌状切り欠き4と対向位置に形成される排出口6は傾斜線の先端に位置される。このため、図3に示すように、不定形材料を移し換える容器Bの口の内部に排出口6を挿入することができ、移換え作業が更に容易に行うことができ、ロートを用いなくとも不定形材料を移し換える容器B外への漏洩を排除することができ、また、不定形材料の微粉等の飛散を顕著に防止することができ、より衛生的である。
【0024】
【発明の効果】
上記説明からも明らかなように、本発明の治具及び不定形材料の移換え方法によれば、可撓性を有する材質で形成される有底筒状容器の筒胴部の開放端部に舌状切り欠きを設けたため、開放口を開放させた状態で不定形材料を取り込み、不定形材料を別の容器に移し換えるときは、筒胴部の開放口近傍を挟むように持つことにより舌状切り欠きが設けられた位置で筒胴部が縦方向に折れ曲がり、開放口を閉じると共に、筒胴部の一部に設けられる舌状切り欠きと対向する位置に排出口を形成することがでる。このため、取り込んだ不定形材料を治具内に閉塞し、治具外への微粉の飛散を防止し、移し換える容器の口に挿入した排出口から不定形材料を排出させ、ロート等を用いずに狭い口径の容器に移し換えることができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0025】
特に、前記舌状切り欠けが形成される舌状切り欠き形成部から対向位置に向かって漸次開放端部の高さが高くなるように形成された場合は、排出口を移し換える容器の口の内部まで挿入して治具内に閉塞された不定形材料を移し換えることができ、簡単な構造により、不定形材料を取り入れる用具を使用せずに治具に取り込み、不定形材料の飛散を排除して、狭い口径の容器に移し換えることができ、しかも、容易に洗浄することができ、作用性を著しく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の治具の一実施例の正面図である。
(b)本発明の治具の一実施例の側面図である。
【図2】(a)本発明の治具の一実施例の上面図である。
(b)本発明の治具の一実施例の斜視図である。
【図3】本発明の不定形材料の移換え方法の一実施例を説明する説明図である。
【符号の説明】
1……底面
2……開放口
2a……開放端部
3……円筒部(筒胴部)
4……舌状切り欠き
5……対向位置
6……排出口
A……有底筒状容器
B……容器
Claims (4)
- 可撓性を有する材質で形成された、開放口を有する有底筒状容器からなり、前記開放口を形成する開放端部の一部に舌状切り欠きが設けられており、筒胴部を押圧することにより、前記舌状切り欠きが設けられた縦方向位置で筒胴部が折れ曲がり、前記開放口を閉じるように変形し、前記舌状切り欠きと対向する位置の開放端部により不定形材料を排出する排出口が形成されることを特徴とする、材料を別容器に移すために用いる治具。
- 舌状切り欠き形成部から、該舌状切り欠き形成部の対向位置に向かって、開放口を形成する開放端部の高さが漸次高くなっていることを特徴とする請求項1記載の治具。
- 開放口を有する有底筒状容器が、開放口を有する有底円筒状容器であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の治具。
- 請求項1〜3のいずれか記載の治具を用いた不定形材料の移換え方法であって、筒胴部を押圧することにより、前記舌状切り欠きが設けられた縦方向位置で筒胴部が折れ曲がり、前記開放口を閉じるように変形し、前記舌状切り欠きと対向する位置の開放端部により不定形材料を排出する排出口が形成され、該排出口から治具に収納された不定形材料が排出されて移換えられることを特徴とする不定形材料の移換え方法。
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